説明

ライセンスランプの取付構造

【課題】ライセンスランプの交換時にブラケットのガタツキを防止でき、かつ高い強度を有するライセンスランプの取付構造を提供する。
【解決手段】リヤバンパ4のライセンスプレート6を照明するためのライセンスランプ8と、リヤバンパ4の一部を舌片状に形成し、さらにリヤバンパ4の一部をリヤバンパ4の車両前方側の面である裏面側に折り返して形成したブラケット7とを備え、ブラケット7を折り曲げた部分である基端部7aと基端部7aの反対側の端部である先端部7bとの間にライセンスランプ8を取付けているライセンスランプの取付構造において、先端部7bに車幅方向に間隔を空けて一対の係合部7cを設け、係合部7cにそれぞれ係合孔7dを設け、一対の係合孔7dを基端部7aの車幅方向両端よりブラケット7の外側にそれぞれ配置し、リヤバンパ4に係合孔7dに対応して係合ツメ部5dを設け、係合孔7dを係合ツメ部5dに係合させているライセンスランプの取付構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のリヤバンパに設置されたライセンスプレートを照明するためのライセンスランプの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、一般的にナンバープレートと呼ばれる個体識別のためのライセンスプレートが取付けられている。このライセンスプレートは、車両前方および車両後方に取付けられており、このうち車両後方のライセンスプレートは、リヤバンパに設置されることがある。
【0003】
また、多くの車両には、夜間などの暗がりでライセンスプレートを認識できるように、ライセンスプレートを照明するためのライセンスランプが設けられている。このうち車両後方のライセンスプレートを照明するためのライセンスランプは、特許文献1のようにリヤバンパに取付けられることがある。
【0004】
特許文献1のライセンスランプの取付構造では、リヤバンパの一部を舌片状のブラケットとして形成し、このブラケットをリヤバンパの車両前方側の面である裏面側に折り返して形成している。ライセンスランプは、ブラケットの折り曲げた部分である基端部と、この基端部の反対側の端部である先端部との間に、取付けられることとなる。
【0005】
さらに、ブラケットの先端部は、その車幅方向の中央部分の1箇所をリヤバンパの他の部分に取付けている。また、車体の内部構造を隠すために、この中央部分から車幅方向両側に向かって延出する目隠し片部が設けられている。これらの目隠し片部は、リヤバンパの裏面と車体側のボディパネルとによって挟持されている。このような構造によって、ブラケットのガタツキが防止され、ライセンスランプの取付構造の強度が高められることとなる。
【特許文献1】特開2001−105971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のライセンスランプの取付構造では、ブラケットの先端部がその中央部分の1箇所のみで取付けられている。そのため、車両の走行時に振動が加わった際やライセンスランプを交換する際に、この中央部分を中心にブラケットが揺動するおそれがある。従って、長期に渡る走行やライセンスランプの交換が繰り返し行なわれると、ブラケットもまた繰り返し揺動されることとなる。このとき、リヤバンパの裏面とボディパネルとの間に挟持された目隠し片部には、集中的に繰り返しの負荷が加わることとなり好ましくない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ライセンスランプを交換する際に、ブラケットのガタツキを防止でき、かつ高い強度を有するライセンスランプの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
課題を解決するために本発明のライセンスランプの取付構造は、車両のリヤバンパに設置されたライセンスプレートを照明するためのライセンスランプと、前記リヤバンパの一部を舌片状に形成して、さらに前記リヤバンパの一部を前記リヤバンパの車両前方側の面である裏面側に折り返して形成したブラケットとを備え、該ブラケットを折り曲げた部分である基端部と該基端部の反対側の端部である先端部との間に前記ライセンスランプを取付けているライセンスランプの取付構造において、前記先端部に車幅方向に間隔を空けて一対の係合部を設け、該一対の係合部にそれぞれ係合孔を設け、該一対の係合孔の中心を前記基端部の車幅方向両端よりも前記ブラケットの外側にそれぞれ配置し、前記リヤバンパの他の部分に前記係合孔に対応して係合ツメ部を設け、前記一対の係合孔を前記一対の係合ツメ部に係合させている。
【0009】
また、本発明のライセンスランプの取付構造では、前記ブラケットの車幅方向の幅が、前記ライセンスランプを取付けた部分と前記係合部との間で、前記基端部から前記先端部に向かって広がるように形成されている。
【0010】
さらに、本発明のライセンスランプの取付構造では、前記一対の係合部同士の間に、前記先端部を切り欠いて形成した切欠部が設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明のライセンスランプの取付構造によれば、以下の効果を得ることができる。本発明のライセンスランプの取付構造は、車両のリヤバンパに設置されたライセンスプレートを照明するためのライセンスランプと、前記リヤバンパの一部を舌片状に形成して、さらに前記リヤバンパの一部を前記リヤバンパの車両前方側の面である裏面側に折り返して形成したブラケットとを備え、該ブラケットを折り曲げた部分である基端部と該基端部の反対側の端部である先端部との間に前記ライセンスランプを取付けているライセンスランプの取付構造において、前記先端部に車幅方向に間隔を空けて一対の係合部を設け、該一対の係合部にそれぞれ係合孔を設け、該一対の係合孔を前記基端部の車幅方向両端よりも前記ブラケットの外側にそれぞれ配置し、前記リヤバンパの他の部分に前記係合孔に対応して係合ツメ部を設け、前記一対の係合孔を前記一対の係合ツメ部に係合させている。そのため、走行時の振動が加わった際や前記ライセンスランプを交換する際に前記ブラケットに発生するねじれを、前記一対の係合部によって確実に抑えることができる。従って、前記ブラケットの揺動を確実に防止できる。すなわち、ブラケットのガタツキが防止されることとなり、前記ブラケットに加わる負荷が減少し、前記ブラケットの強度を向上させることができる。
【0012】
また、本発明のライセンスランプの取付構造では、前記ブラケットの車幅方向の幅が、前記ライセンスランプを取付けた部分と前記係合部との間で、前記基端部から前記先端部に向かって広がるように形成されており、前記ブラケットの基端部に加わる負荷を分散させて応力集中を防ぐことができる。よって、前記ブラケットの強度を向上させることができる。
【0013】
さらに、本発明のライセンスランプの取付構造では、前記一対の係合部同士の間に、前記先端部を切り欠いて形成した切欠部が設けられており、前記ブラケットの先端部の車幅方向中央部分と前記リヤバンパの他の部分とがブラケットの車幅方向中央で当接しなくなり、この当接した部分を支点とする前記ブラケットの車幅方向左右の揺動が防止されることとなる。このような揺動が防止されることによって前記ブラケットの基端部への負荷が減少し、さらに前記ブラケットの強度を向上させることができる。また、前記ブラケットの軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施形態におけるライセンスランプの取付構造を以下に説明する。なお、本発明の実施形態では、車両の進行方向を車両前方と定義し、車両進行方向と反対側の方向を車両後方と定義し、車幅方向については車両進行方向を向いた状態を基準として車両左右方向を定義し、かつ車両の高さ方向を車両上下方向と定義するものとする。
【0015】
本発明の実施形態では、ハッチバック式の車両を用いて説明を行なうものとする。図1は、本発明の実施形態における車両1を概略的に示す斜視図であり、車両前方を矢印Fで示す。車両1における車体2の車両後側面2aには、バックドア3が設けられている。このバックドア3の下方には、リヤバンパ4が設けられている。リヤバンパ4の車幅方向中央部には、車両前方に向かって窪む座部5が設けられており、ライセンスプレート6は、この座部5の車両前側の座面部5aに取付けられている。
【0016】
図2は、本発明の実施形態におけるリヤバンパ4の裏面を概略的に示す斜視図であり、車両前方を矢印Fで示す。座部5の座面部5aには、ライセンスプレート6を取付けるための一対のプレート取付孔5b,5bが穿設されている。この一対のプレート取付孔5b,5bは、ライセンスプレート6に穿設される一対のボルト締結孔(図示せず)に対応するように車幅方向に間隔を空けて穿設されている。ライセンスプレート6は、そのボルト締結孔と座面部5aのプレート取付孔5bにボルトを挿通かつ締結することによって取付けられることとなる。
【0017】
リヤバンパ4の座部5の車両上側部分には、車幅方向に沿って開口する開口部5cが設けられており、この開口部5cに懸架されるようにブラケット7が設けられている。このブラケット7は、リヤバンパ4の一部を上端から突出する舌片形状に形成し、かつリヤバンパ4の車両前方側の面である裏面側に向かって折り返すことによって形成されている。そのため、ブラケット7は、車両上下方向に沿って折り曲げた部分である基端部7aからこの基端部7aの反対側の端部である先端部7bに向かって延出することとなる。
【0018】
このブラケット7の基端部7aと先端部7bとの間には、ライセンスプレート6を照明するためのライセンスランプ8が取付けられている。
【0019】
ブラケット7の先端部7bには、一対の係合部7c,7cが設けられている。一対の係合部7c,7cは、車幅方向に間隔を空けて配置されている。また、ライセンスランプ8を取付けた部分と係合部7cとの間では、ブラケット7の車幅方向の幅が、基端部7aから先端部7bに向かって広がるように形成されている。
【0020】
一対の係合部7c,7cには、それぞれ係合孔7dが穿設されている。この一対の係合孔7d,7dの中心は、ブラケット7の基端部7aの車幅方向両端よりも、ブラケット7の外側にそれぞれ配置されている。また、一対の係合部7c,7c同士の間には、ブラケット7の先端部7bを車両上方に向かって切り欠いた切欠部7eが設けられている。
【0021】
さらに、座面部5aの車両前方側の面である裏面部分には、車両前方に向かって突出する一対の係合ツメ部5d,5dが、設けられている。この一対の係合ツメ部5d,5dは、一対のプレート取付孔5b,5b同士の間で、かつ一対の係合孔7d,7dに対応するように配置されている。
【0022】
一対の係合部7c,7cは、この係合ツメ部5dを係合孔7dに係合することによって支持されている。このような構成によって、ブラケット7の先端部7bが支持されることとなる。
【0023】
図3は、図2のA−A断面図である。ブラケット7は、その基端部7aからライセンスランプ8の車両上側端部の位置までの範囲で車両上方から車両下方に向かうに従って車両後方に傾斜するように形成され、ライセンスランプ8の車両上側端部の位置から係合部7cの車両上側端部までの範囲で車両上方から車両下方に向かうに従って車両前方に傾斜するように形成されている。また、係合部7cは、車両上下方向に沿って配置されている。
【0024】
ブラケット7の断面は、車両後方に突出する略楔形状に形成されている。ライセンスランプ8は、ブラケット7に設けられたランプ取付孔7fに挿通されて取付けられている。このようなブラケット7に、ライセンスランプ8は車両後下側方向を向いた姿勢で取付けられることとなる。
【0025】
次に、ブラケット7の取付作業について説明する。図4は、本発明の実施形態において、ブラケット7の折り曲げ前後の状態を概略的に示す斜視図であり、車両前方を矢印Fで示す。仮想線で示す折り曲げ前のブラケット7は、車両前上側方向に向かって延出しており、この状態のブラケット7が、車幅方向に沿って配置される基端部7aを軸としてリヤバンパ4の裏面側に向かって矢印Bで示す方向に折り曲げられる。
【0026】
このような作業によって折り曲げられたブラケット7は、実線で示すような状態となり、一対の係合孔7d,7dには一対の係合ツメ部5d,5dが挿通されることとなる。さらに、一対の係合ツメが車両上方に向かって折り返されて、ブラケット7の一対の係合部7c,7cが、座部5の座面部5aに支持されることとなる。このような作業によって、ブラケット7が取付けられることとなる。
【0027】
本発明の実施形態によれば、一対の係合部7cの係合孔7dの中心は、ブラケット7の基端部7aの車幅方向両端よりも、ブラケット7から車幅方向に離れた位置にそれぞれ配置されており、走行時の振動が加わった際やライセンスランプ8を交換する際にブラケット7に発生するねじれを、一対の係合部7c,7cによって確実に抑えることができる。従って、ブラケット7の揺動を確実に防止できる。すなわち、ブラケット7のガタツキが防止されることとなり、ブラケット7に加わる負荷が減少し、ブラケット7の強度を向上させることができる。
【0028】
ブラケット7の一対の係合部7c,7cとリヤバンパ4の座面部5aとが当接しており、座面部5aがより広い面積でブラケット7に支持されることとなる。従って、座面部5aの剛性が向上し、この剛性の向上に伴って、従来では座面部5aに設けられていた剛性向上のためのリブを無くすことができる。そのため、このようなリブを作製するための金型費用および作製工数を削減することができる。
【0029】
また、本発明の実施形態によれば、ブラケット7の車幅方向の幅が、ライセンスランプ8を取付けた部分と係合部7cとの間で基端部7aから先端部7bに向かって広がるように形成されており、ブラケット7の基端部7aに加わる負荷を分散させて応力集中を防ぐことができる。よって、ブラケット7の強度を向上させることができる。
【0030】
また、ブラケット7の車幅方向の幅が開口部5cに近付くほど広がることとなり、座部5の開口部5cから露出するボディパネルが、より広い範囲で隠されることとなる。そのため、車両の後方からの外観が向上することとなる。
【0031】
さらに、本発明の実施形態によれば、一対の係合部7c,7c同士の間には、ブラケット7の先端部7bを車両上方に向かって切り欠いた切欠部7eが設けられており、ブラケット7の先端部7bの車幅方向中央部分とリヤバンパ4の座部5の座面部5aとがブラケット7の車幅方向中央で当接しなくなり、この当接した部分を支点とするブラケット7の車幅方向左右の揺動が防止されることとなる。このような揺動が防止されることによってブラケット7の基端部7aへの負荷が減少し、さらにブラケット7の強度を向上させることができる。また、ブラケット7の軽量化を図ることができる。
【0032】
ここまで本発明の実施形態について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【0033】
例えば、本発明の実施形態の変形例として、車両がハッチバック式以外の型式の車両であってもよく、本発明の実施形態と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態において、ライセンスランプの取付構造を有する車両を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態において、ライセンスランプの取付構造を設けたリヤバンパの裏側面を概略的に示す斜視図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】本発明の実施形態において、ブラケットの折り曲げ前後の状態を概略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
1 車両
2 車体
3 バックドア
4 リヤバンパ
5 座部
5a 座面部
5b プレート取付孔
5c 開口部
5d 係合ツメ部
6 ライセンスプレート
7 ブラケット
7a 基端部
7b 先端部
7c 係合部
7d 係合孔
7e 切欠部
7f ランプ取付孔
8 ライセンスランプ

F,B 矢印


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のリヤバンパに設置されたライセンスプレートを照明するためのライセンスランプと、前記リヤバンパの一部を舌片状に形成して、さらに前記リヤバンパの一部を前記リヤバンパの車両前方側の面である裏面側に折り返して形成したブラケットとを備え、該ブラケットを折り曲げた部分である基端部と該基端部の反対側の端部である先端部との間に前記ライセンスランプを取付けているライセンスランプの取付構造において、
前記先端部に車幅方向に間隔を空けて一対の係合部を設け、該一対の係合部にそれぞれ係合孔を設け、該一対の係合孔の中心を前記基端部の車幅方向両端よりも前記ブラケットの外側にそれぞれ配置し、前記リヤバンパの他の部分に前記係合孔に対応して係合ツメ部を設け、前記一対の係合孔を前記一対の係合ツメ部に係合させていることを特徴とするライセンスランプの取付構造。
【請求項2】
前記ブラケットの車幅方向の幅が、前記ライセンスランプを取付けた部分と前記係合部との間で、前記基端部から前記先端部に向かって広がるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のライセンスランプの取付構造。
【請求項3】
前記一対の係合部同士の間に、前記先端部を切り欠いて形成した切欠部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のライセンスランプの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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