説明

ライフログ表示制御装置、方法及びプログラム

【課題】ユーザがライフログデータを閲覧するときの条件に応じてライフログデータに対する表示の優先度を可変設定できるようにし、ライフログデータの閲覧効率を高める。
【解決手段】ライフログデータの表示中に、表示されている時間帯と現在時刻を表す情報を定期的に取得してこれをスクロール操作履歴として時間軸操作情報一時記憶部31に記憶しておく。この状態で、ユーザ端末において再描画命令が入力された場合に、各ライフログデータについて、上記時間軸操作情報一時記憶部31に蓄積されているスクロール操作履歴情報を用い、ユーザ操作により表示画面上に表示されている時間が長いライフログデータと、当該ライフログデータに関連する他のライフログデータほど値が大きくなるように表示指数を計算し直す。そして、この計算し直された表示指数に従い、表示すべきライフログデータを選択し直して表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザの普段の生活から得られるライフログデータの表示を制御するライフログ表示制御装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機等の携帯端末に搭載された位置計測機能や各種センサを利用して、ユーザの普段の生活から得られる様々な情報をライフログデータとして常時収集し、この収集したライフログデータを用いて例えば広告やニュース等の種々の情報提供サービス、ユーザの健康管理サービスを行うことが提案されている。
【0003】
ところで、ライフログデータをサービス提供者に提供する際には、他人に知られたくないデータをユーザが事前にチェックしてサービス提供者へ提供するか否かを判断する必要があり、そのためにはライフログデータを可視化する必要がある。ライフログデータの可視化にあたっては、多くのライフログデータは「時間」に対応付けられることから時間軸上で可視化するのが一般的である。例えば、非特許文献1にはパーソナル・コンピュータ上の操作履歴やパーソナル・コンピュータに取り込まれた画像データ等のデータを時間軸上で表示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J. Rekimoto, "Time-Machine Computing: A Time-centric Approach for the Information Environment", In Proc. of UIST'99, pp.45-54, 1999.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、ライフログデータを可視化するための従来の技術には以下のような解決すべき課題があった。すなわち、人の普段の生活の状況を常時電子的に記録する場合、大量かつ多種多様な情報がライフログデータとして収集されるため、表示時間粒度を粗くした場合には全てのライフログデータを表示することができなくなってしまう。このため、ユーザにとって重要なライフログデータを中心に表示する必要性がある。さらに、ユーザにとって重要なライフログデータは、その時々のユーザの状況によって変化する可能性が高い。
【0006】
例えば、ある1年間のライフログデータを振り返るにあたり、仕事に関するライフログデータを閲覧する場合には、業務に関する重要なイベントや出張に関するライフログデータを優先的に表示するほうが望ましい。一方、プライベートに関するライフログデータを閲覧する場合には、プライベートで行った旅行等に関するライフログデータを優先的に表示するほうが望ましい。
【0007】
すなわち、蓄積されているライフログデータの特徴をもとに一律に「重要な情報」を抽出し表示するだけでなく、ユーザがライフログデータを閲覧しようとするときの条件、例えば閲覧対象とする時間帯や閲覧時のユーザの状況に応じてライフログデータに対する優先度を適宜切り替えて表示できるようにすることが望まれている。
【0008】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、ユーザがライフログデータを閲覧するときの条件に応じてライフログデータに対する表示の優先度を可変設定できるようにし、これによりライフログデータの閲覧効率を高めたライフログ表示制御装置、方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためにこの発明の第1の観点は、ユーザが携行する端末から当該ユーザの生活状況に関する情報を第1の期間に渡り複数回収集し、この収集した各情報をそれぞれその発生時刻を表す情報と関連付けてライフログデータとして記憶媒体に蓄積しておく。そして、上記記憶された複数のライフログデータのうち、上記第1の期間より短く設定された単位時間帯に含まれるライフログデータの各々について、当該ライフログデータが上記単位時間帯に占める時間の割合と、当該ライフログデータと関連するライフログデータが上記第1の期間に占める時間の割合とをもとに、当該ライフログデータの表示優先度を表す表示指数を算出し、この算出された表示指数に従い、上記単位時間帯に含まれる複数のライフログデータの中から上記表示指数が高い順に予め設定された上限数分だけライフログデータを選択し、この選択されたライフログデータを時間軸に対応付けて表示媒体に表示させるようにしたものである。
【0010】
具体的には、表示指数を算出する際に、ライフログデータが単位時間帯に占める時間の割合が大きいほど、かつ当該ライフログデータと関連するライフログデータが上記第1の期間に占める時間の割合が小さいほど、優先度が高くなるような値を有する表示指数を算出する。
【0011】
したがって、この発明の第1の観点によれば、時間軸上の単位時間帯ごとに、当該単位時間帯に含まれる複数のライフログデータに対しそれぞれ表示指数が計算され、この表示指数が高い順に予め指定された上限数のライフログデータが選択されて優先表示される。ここで、上記表示指数は、ライフログデータの単位時間帯に占める時間の割合が大きいほど大きくなり、また当該ライフログデータと関連するライフログデータが第1の期間に占める時間の割合が小さいほど大きくなる。このため、ライフログデータのデータ長(時間長)と、関連するライフログデータの少なさ(つまりデータの希少性)とを考慮して、ライフログデータを優先表示することが可能となる。その結果、ユーザはデータ長が長くかつ希少性の高いライフログデータを重要度の高いデータとしてもれなくかつ短時間に効率良く閲覧することが可能となる。
【0012】
この発明の第2の観点は、ライフログデータの表示動作中にユーザにより時間軸方向のスクロール操作が行われた場合にライフログデータをスクロール表示させる機能を備えている場合に、上記スクロール表示中のライフログデータの各々について表示画面における表示時間を計測し、この計測された表示時間をもとにその時間長が長いほど表示優先度が高くなるように当該ライフログデータ及び当該ライフログデータと関連するライフログデータの表示指数を変更するものである。
【0013】
一般に、ユーザがスクロール操作をしながらライフログデータを閲覧する場合、ユーザにとって重要なライフログデータが含まれる時間区間ほどスクロール速度が遅くなり、その表示時間が長くなる。そこで、上記したようにスクロール表示中のライフログデータの表示時間を計測し、この計測された表示時間長が長いほど表示優先度が高くなるように表示指数を変更すれば、ライフログデータに対する優先度をユーザの閲覧操作の状況を考慮してさらに正確に設定することができる。
【0014】
この発明の第3の観点は、ライフログデータの表示動作中に、例えばユーザによるライフログデータ又は時刻の選択操作が行われた場合に、その選択位置を表示画面中におけるユーザの注目部位として検出し、スクロール表示中のライフログデータの各々について上記検出された注目部位における当該ライフログデータの表示時間を計測し、この計測された表示時間をもとにその時間長が長いほど表示優先度が高くなるように、当該ライフログデータ及び当該ライフログデータと関連するライフログデータの表示指数を変更するものである。
【0015】
一般に、ユーザが時間軸をスクロールしながら閲覧したいライフログを探す場合、表示画面全体を均等に見ながら閲覧したいライフログを探すのではなく、表示画面の特定の部位、例えばマウスポインタの表示位置付近を注視しながら探すことが多い。このため、表示画面上に同時に複数のライフログデータが表示されている場合に、ユーザが注視している表示画面中の部位又はその近傍に表示されている時間が長いライフログデータほど、ユーザにとって重要なライフログデータであると見なすことができる。
【0016】
そこで、先に述べたように表示画面におけるユーザの注目部位を検出して、この注目部位におけるライフログデータの表示時間を計測し、この計測された表示時間をもとにその時間長が長いほど表示優先度が高くなるように表示指数を変更する。このようにすると、表示画面上に同時に複数のライフログデータが表示されている場合に、これらのライフログデータのすべてに高い優先度を与えてしまわずに、表示画面上のユーザが注視している部位に長時間表示されているライフログデータに対し高い優先度を与えることが可能となる。したがって、ライフログデータに対する優先度をユーザの視線を考慮してより一層正確に設定することができる。
【発明の効果】
【0017】
すなわちこの発明によれば、ユーザがライフログデータを閲覧するときの条件に応じてライフログデータに対する表示の優先度を可変設定できるようになり、これによりライフログデータの閲覧効率の向上を図ったライフログ表示制御装置、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の一実施形態に係わるライフログ表示制御機能を備えたライフログ管理サーバの構成を示すブロック図。
【図2】図1に示したライフログ管理サーバによるライフログ表示制御の手順と処理内容を示すフローチャート。
【図3】図1に示したライフログ管理サーバのライフログデータベースに記憶されるライフログデータの一例を示す図。
【図4】ライフログデータの表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るライフログデータ表示制御機能を備えたライフログ管理サーバの構成を示すブロック図である。
ライフログ管理サーバ1は、入出力インタフェースユニット10と、制御ユニット20と、記憶ユニット30とを備えている。入出力インタフェースユニット10は、制御ユニット20の制御の下で、入出力デバイスとしてのユーザ端末との間で、通信ネットワークを介して操作データの受信及び表示データの送信を行う。ユーザ端末としては、例えばパーソナル・コンピュータ等の固定情報端末や、携帯電話機、スマートホン、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末が用いられる。
【0020】
記憶ユニット30は、HDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)を使用したランダムアクセス可能な不揮発性メモリを使用したもので、この発明を実現するために必要な記憶部として、時間軸操作情報一時記憶部31と、ライフログ・表示指数一時記憶部32と、ライフログデータベース33とを備えている。
【0021】
ライフログデータベース33には、ユーザの携帯端末やセンサ群から過去の一定期間に収集されたユーザのライフログデータが記憶される。図3はこのライフログデータベース33に記憶されたライフログデータの一例を示すもので、同図に示すように個々のライフログデータは開始時刻と終了時刻とライフログの内容を表す情報をライフログ識別情報(ID)に関連付けたものからなる。
【0022】
時間軸操作情報一時記憶部31は、ユーザ端末から受信された表示中の時間帯と現在時刻を表す情報を、時間軸の操作履歴を表す情報として記憶するために用いられる。
ライフログ・表示指数一時記憶部32は、後述する制御ユニット20により算出された表示指数をライフログデータの識別IDと関連付けた状態で一時記憶するために用いられる。
【0023】
制御ユニット20は、中央処理ユニット(CPU;Central Processing Unit)を中核として備えるもので、この発明を実施するために必要な制御機能として、時間軸操作情報取得部21と、ライフログ/時刻指定情報取得部22と、表示指数算出部23と、再描画命令取得部24と、ライフログ描画処理部25と、ライフログ表示制御部26とを備えている。これらの制御機能はいずれも、記憶ユニット30内の図示ないプログラムメモリに格納されたアプリケーション・プログラムを、上記CPUに実行させることにより実現される。
【0024】
時間軸操作情報取得部21は、時間軸方向のスクロール表示動作を含むライフログデータの表示動作中に、一定時間おきに表示中の時間帯を表す情報を現在の時刻情報と共に入出力インタフェースユニット10を介して受信し、この受信された表示中の時間帯と現在時刻を表す情報を時間軸操作履歴として上記時間軸操作情報一時記憶部31に記憶させる処理を行う。
【0025】
ライフログ/時刻指定情報取得部22は、ユーザ端末において、ライフログデータの表示中にライフログデータ又は時刻を選択指定するクリック操作等が行われた場合に、その操作情報を入出力インタフェースユニット10を介して受信する処理を行う。
【0026】
表示指数算出部23は、ライフログデータベース33に記憶された各ライフログデータに対し、予め指定された単位時間帯の情報と、上記時間軸操作情報一時記憶部31に一時記憶された時間軸操作情報と、上記ライフログ/時刻指定情報取得部22により受信されたライフログデータ又は時刻の選択操作情報とに基づいて、上記表示画面上に優先的に表示するライフログデータを決定する指数である「表示指数」を計算する。そして、この計算された表示指数を対応するライフログデータのIDと関連付けて上記ライフログ・表示指数一時記憶部32に一時記憶させる処理を行う。
【0027】
再描画命令取得部24は、ユーザ端末において、ライフログデータの表示中にユーザが表示すべきライフログデータの再決定・再描画命令を入力した場合に、その命令情報を入出力インタフェースユニット10を介して受信する処理を行う。
【0028】
ライフログ描画処理部25は、上記ライフログ・表示指数一時記憶部32に一時記憶されている表示指数に従い、上記単位時間帯ごとに当該単位時間帯に含まれるライフログデータの中から、表示指数が高い順に予め指定された上限数分のライフログデータを選択する。そして、この選択されたライフログデータをライフログデータベース33から読み出し、この読み出したライフログデータを時間軸に対応付けて表示するための表示データを生成する処理を行う。
【0029】
ライフログ表示制御部26は、上記ライフログ描画処理部25により生成された表示データを入出力インタフェースユニット10からユーザ端末へ送信し、そのディスプレイに表示させる処理を行う。
【0030】
次に、以上のように構成された装置によるライフログデータ表示制御動作を説明する。図2はその制御手順と内容を示すフローチャートである。
(1)ライフログデータの初期表示
ユーザ端末からライフログ閲覧要求を受信すると、制御ユニット20はライフログ描画処理部25の制御の下で、ライフログ初期表示データを以下のように生成する。
すなわち、先ずステップS1によりライフログデータベース33から、予め指定された単位時間帯ごとに当該時間帯に時刻が含まれるライフログデータを読み出す。次にステップS2において表示指数算出部23を起動し、上記読み出されたライフログデータの各々について表示指数を計算する。この表示指数は、例えば下式(1)によって計算する。
【数1】

【0031】
ただし、
pi;IDがiのライフログデータの表示指数
li;IDがiのライフログデータが該当の単位時間帯に占める時間長
l;指定の単位時間帯の時間長
n;ライフログデータベース33に記憶されているライフログデータの中で、開始日時が最も古いライフログデータの開始時刻をto 、終了日時が最も新しいライフログデータの終了時刻をtn として、
n=(tn−to)/lによって算出される値
ni;該当するライフログデータの関連するライフログデータ、例えば該当するライフログデータの「ライフログ内容」と同一の内容をもつライフログデータが存在する単位時間帯の個数
とする。なお、複数の単位時間帯にまたがるライフログデータに関しては、各々の単位時間帯について上記piを算出した後、その平均を取ることにより算出する。
【0032】
すなわち、初期表示の時点での表示係数は、指定された単位時間帯において当該単位時間帯に含まれるライフログデータが占める割合が長いほど、また当該ライフログデータの「ライフログ内容」と同一の内容をもつライフログデータが他の時間帯に存在する数が少ないほど、値が大きくなるように計算される。
【0033】
以上述べた表示指数の計算は、ライフログデータベース33に記憶されたすべてのライフログデータについて単位時間帯ごとに分けて行われる。そして、上記すべてのライフログデータについて表示指数の計算が終わると、ステップS3において、表示指数算出部23は当該計算により得られた表示指数を、対応するライフログデータのIDと関連付けてライフログ・表示指数一時記憶部32に記憶する。
【0034】
制御ユニット20は、続いてステップS4によりライフログ描画処理部25及びライフログ表示制御部26を起動し、ライフログ描画処理部25により、上記ライフログ・表示指数一時記憶部32に一時記憶された表示指数に従い、上記単位時間帯ごとに当該単位時間帯に含まれるライフログデータの中から表示指数が高い順に予め指定された上限数分のライフログデータを選択する。そして、この選択されたライフログデータを時間軸に対応付けて表示するための表示データを生成する。そして、ライフログ表示制御部26により、上記生成された表示データを入出力インタフェースユニット10からユーザ端末へ送信し、ディスプレイに表示させる。
【0035】
かくして、ユーザ端末には、ライフログデータが単位時間帯を占有する割合(データの大きさ)と、当該ライフログデータの「ライフログ内容」と同一の内容をもつライフログデータが他の時間帯に存在する数(データの希少性)を考慮して表示の優先度が設定されたライフログデータが、時間軸に対応付けて表示される。図4はこのようにして表示されたライフログデータの一例を示すものである。
【0036】
(2)ユーザの操作に応じたライフログデータの再表示
(2−1)ユーザがスクロール操作した場合
上記ライフログデータの表示中に制御ユニット20は、ステップS5及びステップS6においてそれぞれユーザによるライフログデータ又は時刻の選択操作と、再描画命令の入力操作を監視している。そして、これらの操作がいずれも行われずに予め設定された一定時間が経過すると、ステップS7からステップS8に移行し、時間軸操作情報取得部21の制御の下でユーザ端末から現在の「時刻情報」と「表示中の時間帯を表す情報」を受信して、時間軸操作情報一時記憶部31に一時記憶させる。
【0037】
また、制御ユニット20はステップS9においてユーザが時間軸の操作、つまりスクロール操作を行ったか否かを監視し、スクロール操作が行われていなければ上記ステップS5に戻って上記ステップS5〜ステップS9による処理を繰り返す。これに対し、表示中のライフログデータに対しユーザがスクロール操作を行ったとする。そうすると制御ユニット20は、ステップS9からステップS10に移行し、ライフログ描画処理部25の制御の下で、上記スクロール操作に応じて表示データの内容を更新する。そしてステップS11において、ライフログ表示制御部26の制御の下で、上記更新された表示データを入出力インタフェースユニット10からユーザ端末へ送信し、ステップS5に戻る。かくして、ユーザ端末に表示されるライフログデータは、ユーザのスクロール操作に応じて時間軸方向にスクロールされる。
【0038】
以上のステップS5からステップS11による処理は、ライフログデータ又は時刻の選択操作か、又は再描画命令の入力操作が検出されるまで繰り返される。したがって、ユーザ端末において時間軸方向にスクロール操作が行われれば、このスクロール操作に応じて表示データが更新されると共に、この更新された後の「表示時間帯を表す情報」が一定時間おきにユーザ端末から収集され、これがスクロール操作履歴として時間軸操作情報一時記憶部31に蓄積される。
【0039】
さて、この状態でユーザが再描画命令の入力操作を行ったとする。そうすると、制御ユニット20はこの再描画命令を再描画命令取得部24により受信し、ステップS6からステップS13に移行する。そして、表示指数算出部23の制御の下で、ライフログデータベース33に記憶されているライフログデータを読み込み、この読み込んだ各ライフログデータに対し表示指数を計算し直す処理を行う。この表示指数の再計算は、例えば下式(2)によって行われる。
【数2】

【0040】
ただし、
pi;IDがiのライフログデータの表示指数
li;IDがiのライフログデータが該当の単位時間帯に占める時間長
l;指定の単位時間帯の時間長
n;ライフログデータベース33に記憶されているライフログデータの中で、開始日時が最も古いライフログデータの開始時刻をto 、終了日時が最も新しいライフログデータの終了時刻をtn として、
n=(tn−to)/lによって算出される値
ni;該当するライフログデータの関連するライフログデータ、例えば該当するライフログデータの「ライフログ内容」と同一の内容をもつライフログデータが存在する単位時間帯の個数
m;ライフログデータベース33に記憶されるライフログデータの中で、該当のライフログデータの「ライフログ内容」と同一の内容をもつライフログデータの個数
cj ;該当のライフログデータの「ライフログ内容」と同一の内容をもつライフログデータの中でj(1〜m)番目のライフログが、時間軸操作情報一時記憶部31に操作履歴情報の蓄積が開始されてから表示された時間長
とする。
【0041】
すなわち、スクロール操作後における表示指数piは、時間軸操作情報一時記憶部31に蓄積されているスクロール操作履歴情報を用い、ユーザ操作により画面上に表示されている時間が長いライフログデータと、当該ライフログデータに関連する他のライフログデータほど、値が大きくなるように計算し直される。
【0042】
以上述べたスクロール操作に応じた表示指数の再計算は、ライフログデータベース33に記憶されたすべてのライフログデータについて単位時間帯ごとに分けて行われる。そして、上記すべてのライフログデータについて表示指数の計算が終わると、ステップS14によりライフログ・表示指数一時記憶部32に記憶されていた表示指数を、上記(2)式により計算し直された表示指数に更新する。
【0043】
制御ユニット20は、続いてステップS15によりライフログ描画処理部25及びライフログ表示制御部26を起動し、ライフログ描画処理部25により、上記ライフログ・表示指数一時記憶部32に記憶された再計算後の表示指数に従い、上記単位時間帯ごとに当該単位時間帯に含まれるライフログデータの中から表示指数が高い順に予め指定された上限数分のライフログデータを選択し直す。そして、この選択されたライフログデータを時間軸に対応付けて表示するための表示データを生成する。続いて、ライフログ表示制御部26により、上記生成された表示データを入出力インタフェースユニット10からユーザ端末へ送信し、ディスプレイに表示させる。最後に、ステップS16において、上記時間軸操作情報一時記憶部31に記憶された時間軸操作情報を消去する。
かくして、ユーザ端末に表示されているライフログデータは、ユーザのスクロール操作を反映した優先順位に従い選択し直されて再表示される。
【0044】
(2−2)ユーザが表示中のライフログデータ又は時刻を指定操作した場合
上記ライフログデータの表示中に、ユーザが所望のライフログデータ又は時刻をクリック操作等により選択指定したとする。そうすると制御ユニット20は、ステップS5からステップS12に移行し、ライフログ/時刻指定情報取得部23の制御の下で、上記ユーザ端末から送信されたライフログデータ又は時刻の操作情報を入力インタフェースユニット10を介して受信する。
【0045】
次に制御ユニット20は、ステップS13において、表示指数算出部23の制御の下で、ライフログデータベース33に記憶されているライフログデータを読み込み、この読み込んだ各ライフログデータに対し表示指数を計算し直す処理を行う。この表示指数の再計算は、例えば下式(3)によって行われる。
【数3】

【0046】
ただし、
pi;IDがiのライフログデータの表示指数
li;IDがiのライフログデータが該当の単位時間帯に占める時間長
l;指定の単位時間帯の時間長
n;ライフログデータベース33に記憶されているライフログデータの中で、開始日時が最も古いライフログデータの開始時刻をto 、終了日時が最も新しいライフログデータの終了時刻をtn として、
n=(tn−to)/lによって算出される値
ni;該当するライフログデータの関連するライフログデータ、例えば該当するライフログデータの「ライフログ内容」と同一の内容をもつライフログデータが存在する単位時間帯の個数
m;ライフログデータベース33に記憶されるライフログデータの中で、該当のライフログデータの「ライフログ内容」と同一の内容をもつライフログデータの個数
cjk;該当するライフログの「ライフログ内容」と同一の内容をもつライフログの中でj(1〜m)番目のライフログデータが、表示画面上の時間軸方向の位置k(0≦k≦w)に表示された時間長
dk ;ユーザが選択した時刻またはライフログの表示画面上の位置をe (0 < e < w)として、
【数4】

w;表示画面上の横幅
とする。
【0047】
すなわち、ライフログデータ又は時刻の選択指定操作における表示指数piは、表示画面内でユーザが選択操作をした位置に近い場所ほど、その位置に表示されていた時間が長いライフログデータと当該ライフログデータと関連する他のライフログデータの表示優先度が高くなるように計算し直される。
【0048】
以上述べたライフログデータ又は時刻の選択指定操作に応じた表示指数の再計算は、ライフログデータベース33に記憶されたすべてのライフログデータについて単位時間帯ごとに分けて行われる。そして、上記すべてのライフログデータについて表示指数の計算が終わると、ライフログ・表示指数一時記憶部32に記憶されていた表示指数を、上記(3)式により計算し直された表示指数に更新する。
【0049】
制御ユニット20は、続いてステップS15によりライフログ描画処理部25及びライフログ表示制御部26を起動し、ライフログ描画処理部25により、上記ライフログ・表示指数一時記憶部32に記憶された再計算後の表示指数に従い、上記単位時間帯ごとに当該単位時間帯に含まれるライフログデータの中から表示指数が高い順に予め指定された上限数分のライフログデータを選択し直す。そして、この選択されたライフログデータを時間軸に対応付けて表示するための表示データを生成する。続いて、ライフログ表示制御部26により、上記生成された表示データを入出力インタフェースユニット10からユーザ端末へ送信し、ディスプレイに表示させる。最後に、ステップS16において、上記時間軸操作情報一時記憶部31に記憶された時間軸操作情報を消去する。
かくして、ユーザ端末に表示されているライフログデータは、ユーザによるライフログデータ又は時刻の選択指定操作を反映した優先順位に従い選択し直されて再表示される。
【0050】
以上詳述したようにこの実施形態では、ユーザ端末にライフログデータを表示する際に、以下のような表示制御を行っている。
(1)先ずユーザ操作が行われる前の初期状態において、ライフログデータベース33に記憶された各ライフログデータについて、予め指定された単位時間帯ごとに、前記(1) 式に従い、指定された単位時間帯において当該単位時間帯に含まれるライフログデータが占める割合が長いほど、また当該ライフログデータの「ライフログ内容」と同一の内容をもつライフログデータが他の時間帯に存在する数が少ないほど、値が大きくなるように表示指数を計算する。そして、この計算された表示指数に従い、上記単位時間帯ごとに当該単位時間帯に含まれるライフログデータの中から表示指数が高い順に予め指定された上限数分のライフログデータを選択し、この選択されたライフログデータを時間軸に対応付けて表示させる。
【0051】
したがって、単位時間帯ごとに、この単位時間帯に含まれる複数のライフログデータのうち、ライフログデータが単位時間帯を占有する時間長と、関連するライフログデータの少なさ(つまりデータの希少性)とを考慮してライフログデータが選択され、優先的に表示される。このため、ユーザは単位時間帯ごとに当該単位時間帯を占有する時間長が長くかつ希少性の高いライフログデータを重要度の高いデータとしてもれなくかつ短時間に効率良く閲覧することが可能となる。
【0052】
(2)上記ライフログデータの表示中に、表示されている時間帯と現在時刻を表す情報を定期的に取得してこれをスクロール操作履歴として時間軸操作情報一時記憶部31に記憶しておく。この状態で、ユーザ端末において再描画命令が入力された場合に、各ライフログデータについて、上記(2) 式に従い、上記時間軸操作情報一時記憶部31に蓄積されているスクロール操作履歴情報を用い、ユーザ操作により表示画面上に表示されている時間が長いライフログデータと、当該ライフログデータに関連する他のライフログデータほど値が大きくなるように表示指数を計算し直す。そして、この計算し直された表示指数に従い、表示すべきライフログデータを選択し直して表示させる。
【0053】
したがって、スクロール表示中のライフログデータの表示時間を考慮して、表示時間長が長いほど表示優先度が高くなるように表示指数が変更される。このため、ライフログデータに対する優先度を、ユーザのスクロール操作の状況を考慮してさらに正確に設定することができる。
【0054】
(3)上記ライフログデータの表示中に、ユーザによりライフログデータ又は時刻の選択指定操作が行われた場合に、各ライフログデータについて、上記(3) 式に従い、表示画面内でユーザが選択操作をした位置に近い場所ほど、その位置に表示されていた時間が長いライフログデータと当該ライフログデータと関連する他のライフログデータの表示優先度が高くなるように、表示指数を計算し直す。そして、この計算し直された表示指数に従い、表示すべきライフログデータを選択し直して表示させる。
【0055】
したがって、表示画面上に同時に複数のライフログデータが表示されている場合に、これらのライフログデータのうち、表示画面上のユーザが注視している部位に長時間表示されているライフログデータに対し高い優先度を与えることが可能となる。このため、ライフログデータに対する優先度を表示画面に対するユーザの視線を考慮してより一層正確に設定することができる。
【0056】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態ではこの発明に係るライフログ表示制御機能をライフログ管理サーバに設けた場合を例にとって説明した。しかし、それに限定されるものではなく、この発明に係るライフログ表示制御機能をユーザ端末内に設けるようにしてもよい。
その他、ライフログ表示制御装置の種類やその構成、ライフログ表示制御処理の手順と処理内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
【0057】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…ライフログ管理サーバ、10…入出力インタフェースユニット、20…制御ユニット、21…時間軸操作情報取得部、22…ライフログ/時刻指定情報取得部、23…表示指数算出部、24…再描画命令取得部、25…ライフログ描画処理部、26…ライフログ表示制御部、30…記憶ユニット、31…時間軸操作情報一時記憶部、32…ライフログ・表示指数一時記憶部、33…ライフログデータベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが携行する端末から当該ユーザの生活状況に関する情報を第1の期間に渡り複数回収集し、この収集した各情報をそれぞれその発生時刻を表す情報と関連付けてライフログデータとして記憶媒体に蓄積する手段と、
前記記憶媒体に記憶された複数のライフログデータのうち、前記第1の期間より短く設定された単位時間帯に含まれるライフログデータの各々について、当該ライフログデータが前記単位時間帯に占める時間の割合と、当該ライフログデータと関連するライフログデータが前記第1の期間に占める時間の割合とをもとに、当該ライフログデータの表示優先度を表す表示指数を算出する手段と、
前記算出された表示指数に従い、前記単位時間帯に含まれる複数のライフログデータの中から前記表示指数が高い順に予め設定された上限数分だけライフログデータを選択し、この選択されたライフログデータを時間軸に対応付けて表示媒体に表示させる手段と
を具備することを特徴とするライフログデータ表示制御装置。
【請求項2】
前記表示指数を算出する手段は、ライフログデータが単位時間帯に占める時間の割合が大きいほど、かつ当該ライフログデータと関連するライフログデータが前記第1の期間に占める時間の割合が小さくなるほど、優先度が高くなる表示指数を算出することを特徴とする請求項1記載のライフログデータ表示制御装置。
【請求項3】
前記ライフログデータの表示動作中に時間軸方向のスクロール操作が行われた場合に、前記ライフログデータをスクロール表示させる手段と、
前記スクロール表示中のライフログデータの各々について表示時間を計測し、この計測された表示時間をもとにその時間長が長いほど表示優先度が高くなるように、当該ライフログデータ及び当該ライフログデータと関連するライフログデータの表示指数を変更する手段と
を、さらに具備することを特徴とする請求項1又は2記載のライフログデータ表示制御装置。
【請求項4】
前記ライフログデータの表示動作中にその表示画面に対する前記ユーザの注目部位を検出する手段と、
スクロール表示中のライフログデータの各々について前記検出された注目部位における当該ライフログデータの表示時間を計測し、この計測された表示時間をもとにその時間長が長いほど表示優先度が高くなるように、及び当該ライフログデータと関連するライフログデータ当該ライフログデータの表示指数を変更する手段と
を、さらに具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のライフログデータ表示制御装置。
【請求項5】
ユーザが携行する端末から当該ユーザの生活状況に関する情報を第1の期間に渡り複数回収集し、この収集した各情報をそれぞれその発生時刻を表す情報と関連付けてライフログデータとして記憶媒体に蓄積する過程と、
前記記憶媒体に記憶された複数のライフログデータのうち、前記第1の期間より短く設定された単位時間帯に含まれるライフログデータの各々について、当該ライフログデータが前記単位時間帯に占める時間の割合と、当該ライフログデータと関連するライフログデータが前記第1の期間に占める時間の割合とをもとに、当該ライフログデータの表示優先度を表す表示指数を算出する過程と、
前記算出された表示指数に従い、前記単位時間帯に含まれる複数のライフログデータの中から前記表示指数が高い順に予め設定された上限数分だけライフログデータを選択し、この選択されたライフログデータを時間軸に対応付けて表示媒体に表示させる過程と
を具備することを特徴とするライフログデータ表示制御方法。
【請求項6】
前記表示指数を算出する過程は、ライフログデータが単位時間帯に占める時間の割合が大きいほど、かつ当該ライフログデータと関連するライフログデータが前記第1の期間に占める時間の割合が小さくなるほど、優先度が高くなる表示指数を算出することを特徴とする請求項5記載のライフログデータ表示制御方法。
【請求項7】
前記ライフログデータの表示動作中に時間軸方向のスクロール操作が行われた場合に、前記ライフログデータをスクロール表示させる過程と、
前記スクロール表示中のライフログデータの各々について表示時間を計測し、この計測された表示時間をもとにその時間長が長いほど表示優先度が高くなるように、当該ライフログデータ及び当該ライフログデータと関連するライフログデータの表示指数を変更する過程と
を、さらに具備することを特徴とする請求項5又は6記載のライフログデータ表示制御方法。
【請求項8】
前記ライフログデータの表示動作中にその表示画面に対する前記ユーザの注目部位を検出する過程と、
スクロール表示中のライフログデータの各々について前記検出された注目部位における当該ライフログデータの表示時間を計測し、この計測された表示時間をもとにその時間長が長いほど表示優先度が高くなるように、当該ライフログデータ及び当該ライフログデータと関連するライフログデータの表示指数を変更する過程と
を、さらに具備することを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のライフログデータ表示制御方法。
【請求項9】
請求項1乃至4のいずれかに記載のライフログデータ表示制御装置が備える手段による処理を、前記ライフログデータ表示制御装置が備えるコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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