説明

ラインガイドデバイス用クロスビーム

【課題】
操作子およびラッチを有するロック機構を少なくとも片端に備えたクロスビームを、容易に、ラインガイドデバイスの側面部に架設した状態にロックできるようにする。
【手段】
ツール(W)をビーム本体(1)に係合させることにより操作子(3)を旋回させて前記解除位置へ向かう少なくとも1つの分力を作用させる挿込凹部(11)を、操作子(3)の自由端(8)及び前記スイベル軸(S)に対して所定の距離のある係合領域(10)に設けることにより、操作子(3)をツール(W)により1アクションで前記ロック位置から前記解除位置まで完全に旋回させることができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラインガイドデバイスの2つの側面部に架設され、その少なくとも一端側が側面部にロックされるラインガイドデバイス用クロスビームに関する。
クロスビームは、ビーム本体に操作子およびラッチを有するロック機構を備え、ラッチはトグルレバーを介して操作子に接続され、操作子は、端部に設けられた旋回支持部によってビーム本体に接続されるとともに、スイベル軸を中心にして旋回するように支持されている。
ラッチは、操作子により、少なくとも、側面部に接続可能な端部に向かうビーム本体の長手方向に沿ってロック位置まで変位し、そのロック位置では、クロスビームが側面部にロックされ、かつ、操作子はビーム本体の外面に一体化される。
またラッチは、クロスビームが側面部から外される解除位置まで前記端部から離すように変位させることができる。
旋回支持部から離れた自由端を備えた操作子は、ビーム本体の外側に設けられた開口部を通して、外側から操作することができるようにビーム本体内に収容されている。
【背景技術】
【0002】
類似の種類のクロスビームは、特許文献1に記載されている。
従来技術は、ロック機構を開放する操作子を2工程で操作させるものであり、第1工程においてツールを使用して、作動端となる自由端を外面の上に突出させ、次いで、第2工程において自由端を手で把持して、解除位置へと移動させる。
ツール操作及び手動操作の連続操作を伴うこの2工程の開放動作は、比較的複雑で時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国登録実用新案第202007005566号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、ロック機構の操作を容易にしたエネルギーガイドデバイス用クロスビームを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この目的は請求項1の特徴によって達成され、さらなる有利な展開例は付属の従属項に記載される。
その目的は、特に、操作子をロック位置から解除位置へとツールを用いて1アクションで完全に旋回させることができ、係合領域には、操作子の自由端およびスイベル軸に対してある距離を空けて、ツールを横桁に係合するとともに、ツールを用いて少なくとも1つの分力によって操作子の旋回運動の方向で解除位置へと力を加えるための横方向の挿込凹部が設けられ、挿込凹部は、開口部の開口端縁と操作子とによって横方向の限界が定められるという点で達成される。
【0006】
操作子の自由端に対してある距離を空けて横方向の挿込凹部を配置することによって、スイベル軸に対する距離に対応して、従来技術よりも短いレバーが形成される。
この短い力レバーの結果、ツールを用いて1アクションで操作子をそのロック位置から解除位置へと旋回させることができる。
したがって、操作子をその解除位置へと旋回させる付加的な第2工程が不要になる。
【0007】
好ましくは、操作子は、ツールのてこ作用を用いて動作させることができ、それによってツールを用いて力を手動で加えるのが容易になる。
側面の挿込凹部の係合領域にある開口部の縁部は、ツールをてことして用いたときの支点として機能する。
したがって、ツールの係合位置では挿込凹部の開口部から係合点に向かって延在するツール荷重アームを介して、ツールを操作子で係合することができる。
これに対応して、ツールの係合位置では開口端縁からツールに対する加力の係合点へと延在するツールレバーアームを介して、力のモーメントを荷重アームに掛けることができる。
例えば、把持ハンドル、軸体、および平坦なツール端部を備えるマイナスドライバーの場合、荷重アームはツールの短い端部のみを含む場合があるが、レバーアームは、軸体によって、またユーザが握る手に対応して把持ハンドルの一部によって形成することができる。
なお、ツールレバーアームは様々な態様のツール荷重アームを含むことができる。
操作子はツールと接する力点部分からスイベル軸までが実際には短いレバーとなっているが、比較的長いツールレバーアームを用いることにより、ユーザは弱い力で簡単に操作することができ、またそのようにして、ユーザは強い力を作用させることなく弱い力でロック位置から解除位置への旋回が可能になる。
【0008】
特に不慣れなユーザを手助けする目的で、開口部の縁部または挿込凹部は、視覚的に目立つように、一目瞭然に印刷/成型された矢印あるいは絵文字などの視覚的マークによって、任意に開放プロセスに関して明らかに強調することができる。
ロック機構の作動をさらに容易にするため、ツールを挿し込む挿込凹部は、操作子の両側にそれぞれ設けることができる。
挿込凹部は、好ましくは、操作子の長手方向の延長方向に対し同じ位置に、すなわち、二つの挿込凹部が長手方向軸線に互いに面して形成されている。
【0009】
好ましくは、操作子のロック位置にある挿込凹部はスリット状である。
この目的のため、挿込凹部は、クロスビームの長手方向に沿って延設されていてもよい。
【0010】
挿込凹部は、開口部に形成されている場合、操作子の力点近傍に切欠きを形成する場合、または、その双方であってもよい。
挿込凹部が、操作子によって形成される場合、力点近傍の開口部の端縁に対して横方向に間隔を空けて形成することができる。
【0011】
挿込凹部が内側に拡張するようにして設計されているのは利点であるとみなされる。
この場合、ツールを移動させるための内側に拡張する自由空間が形成される。
挿込凹部は内側に向かって拡張するくさび状または錐体状に形成することができる。
この場合、ツールをより簡単にクロスビームに挿入し、開口部の縁部を支点として、自由空間内で操作子に対して旋回させることができる。
クロスビームに挿入されたツールの先端部を、てこ支点となる開口部の縁部に係合させることにより、当該先端部が操作子に係合され、操作子を旋回する位置に容易にセットすることができる。
【0012】
操作子には、挿込凹部を区画形成すると同時に、ツールを案内する案内面を形成することができる。
この案内面に沿って、挿込凹部に係合させようとするツールの先端部を、操作子の下縁部または下側にまで滑らせて挿し入れることができる。案内面は、好ましく使用されるツールに対応した形状に形成される。
また、案内面が、所定の幅を有する溝形状に形成されている場合、ツールの側面を摺接させた状態で案内することができる。
好ましくは、スイベル軸に対して90°未満、好ましくは70°未満の角度を有する平坦な案内面であることが望ましい。
【0013】
操作子のための回り継手を形成するため、旋回支持部はスイベル軸として、横方向に連続する玉縁突起を形成することができる。
玉縁突起は操作子の全幅にわたって延在させることができる。
さらに、玉縁突起は、操作子の外向きに面する上面から離れる直角方向に曲がるようにして設計することができる。
これによって、操作子を、クロスビーム内のロック位置に完全に埋没させることができる。
【0014】
クロスビームのさらなる展開例では、旋回支持部は、クロスビームのほぼ長手方向に延設され、回動アームとして設計された2つの突出部を含むことができる。
これらの回動アームはそれぞれ、玉縁突起となる端部が肉厚に形成されている。
回り継手を形成するため、軸受は、スイベル軸となる玉縁突起を回動可能に支持する軸受溝を含むことができ、好ましくは玉縁突起をビーム本体にスナップ止めして、ロック位置において回動し得るように回動可能に支持している。
各回動アームはスイベル軸の方向に間隔を空けて配され、それぞれ好ましくは外側面に沿って形成されている。
さらに、回動アームは、軸受に係合された状態で、スイベル軸の方向に弾性的に湾曲変形され、そのわずかな弾性バイアスを受けて軸受に係合される。
弾性変形可能な回動アームを用いているので、ビーム本体へのロック機構の装着、あるいは、回り継手の操作子の装着は、軸受内で回動アームを撓ませながらその操作子をビーム本体内に押し込むことができ、これによって容易に装着できる。
さらに、弾性的な付勢力が作用することにより、ロック機構はビーム本体内部に、より確実に装着することができる。
【0015】
回動アームは軸受内に係止されている。
具体的には、回動アームは、その先端に肉厚部分が形成されたフック状に設計することができ、それぞれの肉厚部分は、好ましくはスイベル軸の方向へ突出されている。
好ましくは、肉厚部分はそれぞれ、その外側が、自由端から離れる方向および操作子の長手方向に沿って、円錐またはくさび状の先細形状に形成される。
この結果、操作子から突出した回動アームの外表面にはテーパ面が形成され、これによって、回動アームを軸受内に係合させる際に回動アームが弾性的に湾曲変形しながら案内され、より簡単に回動アームを軸受内に係合させることができる。
【0016】
本例では、回動アームの全長領域が旋回支持部となっている。
回動アームを形成するため、その長手方向に延びる2つのスリットをその端部から設けることができる。
そして、中央の回動アームを、回動アームの弾性的湾曲変形を制限する停止要素として形成することができ、この場合、停止要素は、回動アームの方向に延在され、旋回支持部の幅方向に対して中央に配置されることになる。
停止要素は、両端の回動アームの間に配置され、前記スリットによって両端の回動アームからそれぞれ間隔を空けることができる。
停止要素は、先端に肉厚部分となる玉縁突起が形成され、肉厚部分を含み他の回動アームと同じ断面形状に形成されている。
さらに、停止要素は、旋回支持部の中央に向かう回動アームの弾性的屈折を制限することができる。
玉縁突起の中央部分は回り継手の安定化に寄与する。
スリットは、玉縁突起に向かって延び、スイベル軸との関係でいえば、その中心に達する。
これによって、スリットによって形成された回動アームを安定的に旋回させることができる。
【0017】
その上、特にトグルレバー及びラッチの設計に関して、ロック機構は、特許文献1に記載されているような形に設計することもできる。
同様に、上述の特徴を除外した操作子は、特許文献1のロック機構の操作子と同じまたは類似した形で設計することができる。
このため、特許文献1の開示内容は参照により本明細書に含まれる。
【0018】
トグルレバーは、第1のヒンジを介して第1の端部によって操作子に接続され、第2のヒンジを介して第1の端部とは反対側に配置された第2の端部によってラッチに接続される。ヒンジは好ましくは薄型ヒンジである。
したがって、操作子、レバー及びラッチは、例えば射出成形によって、プラスチック部品として一体的に形成することができる。
【0019】
有用なさらなる展開例では、操作子、レバー及びラッチは、操作子との関係において、ラッチが実質的に伸張した時点でレバーの旋回を制限するストッパを備えている。
【0020】
さらに好ましい実施形態では、操作子は、ビーム本体の中またはその位置にある回り継手とは反対側のその端部上に、レバー部を超えて延在するタブを含む。
タブを設けることにより、トグルレバーを回動させる操作子のレバー長が増大することとなり、これにより、小さな手動の力のみでロック操作を行うことができるようになる。
【0021】
タブは、好ましくは、増加した材料厚さを有する操作子の領域に設けられている。
【0022】
ロック位置では、操作子とトグルレバーはスナップ接続によって止められており、スナップ接続は、ロック位置から解除位置へと操作子を回動させることによって解放することができる。
この目的のため、操作子は、好ましくはその自由端の下側にあるトグルレバーに向かって突出するスナップを含むことができ、ロック位置では、前記スナップは、トグルレバーの上側に設けられた係止溝内の適所にある。
スナップは、自由端の下側またはトグルレバーの上側にある、相互に係合するスナップフックによって形成することもできる。
【0023】
ラインガイドデバイスは、複数の相互に枢動可能な要素を連結して構成され、個々の要素は、2つの向かい合った側面部と、これらを相互接続するクロスビームとを含む。
【0024】
以下、本発明の一実施形態を、添付図面を参照してより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】解除位置にある2つのロック機構を含むクロスビームの斜視図である。
【図2】クロスビームの左側を縦断面図で示した、図1によるクロスビームの側面図である。
【図3】ロック機構がロック位置にある、図1によるクロスビームの端部と、ロック機構に係合するツールとを示す斜視図である。
【図4】端面側の旋回支持部を含むロック機構の斜視図である。
【図5】旋回支持部を含む図4による詳細図である。
【図6】図4によるロック機構の側面図である。
【図7】図6によるロック機構の拡大詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1〜3は、ラインガイドデバイス(図示せず)の要素(図示せず)の2つの側面部(図示せず)に接続するためのロック機構2をビーム本体1に備えたクロスビームの説明図である。
図示される実施形態では、クロスビームは、ビーム本体1の両端部をロック機構2を用いて側面部にロックすることができる。
図3は、それに加えて、ロック機構2を作動させるためにそこに適用されるツールWとしてマイナスドライバーSを用いた例を示す。
図4〜7は、ロック機構2の説明図および拡大詳細図を示す。
【0027】
クロスビームの図示される実施形態のロック機構2は、一体成型された一個の射出成形プラスチック部品として設計されている。
そのロック機構2は、操作子3およびラッチ4を備え、ラッチ4はトグルレバー5を介して操作子3に接続される。
操作子3は、ビーム本体1の中または上にある軸受7のスイベル軸sを中心にして旋回するように、その端部にある旋回支持部6が当該軸受7によって支持される。
クロスビームの図示される実施形態では、その2つの端部のそれぞれにロック機構2が設けられている。
クロスビームをロックするため、個々のラッチ4は、一体化された操作子3により、側面部に接続可能なビーム本体1の端部に向かう長手方向lに沿って、ビーム本体1を側面部にロックすることができるロック位置まで変位させることができる。
また、個々のラッチ4は、ビーム本体1を側面部から外すことができる解除位置まで、ビーム本体1の端部から離れる方向に変位させることができる。
図3に示されるように、ロック位置にある操作子3は、ビーム本体1に完全に埋没した状態に収容される。
図1および2に示されるように、操作子3は、ビーム本体1の外表面上に設けられた開口部9を通してビーム本体1内に埋没するように収容され、その自由端8は、手動操作することができるように旋回支持部6から離れた位置に設けられている。
【0028】
本発明によれば、操作子3は、ツールWを用いて1アクションで、図3に示すロック位置から図1および2による解除位置へと完全に旋回させることができる。
この目的のため、操作子3の自由端7及びスイベル軸sまで所定距離離れた係合部10には、ツールWをビーム本体1に係合させる横方向の挿込凹部11が設けられている。
挿込凹部11は、ツールWに適合する形状でビーム本体1に形成され、本例では、ツールとなるマイナスドライバーSの先端チップAをビーム本体1内の底面上に位置する操作子3に係合させるこができ、少なくとも操作子3を解除位置へ旋回させる方向の分力を作用させることができるようになっている。
挿込凹部11は、開口端縁12および操作子3によって所定幅に区画形成されている。
平坦な先端チップAに適合させるため、挿込凹部11はスリット状であり、挿込凹部はクロスビームの長手方向lに沿って延設されている。
【0029】
操作子3は、ツールWのてこ作用によって旋回させることができる。
挿込凹部11の係合領域にある開口端縁12は、マイナスドライバーのてこの支点となる。
マイナスドライバーSを挿込凹部11に挿入することにより、その平坦な先端チップAは、操作子3の下縁部13の下側に達し、さらに開口端縁12に接して支持される。
このようにマイナスドライバーSが挿入されると、操作子3は、開口端縁12から操作子3の下縁部14まで伸びる作用点側アームwlに係合される。
開口端縁12からそのハンドル端部GまでのマイナスドライバーSの残りの長さは、力をかける力点側アームwkとして機能する。
図3に示されるように、この場合に使用されているマイナスドライバーSの力点側アームwk部分は、作用点側アームwlよりも数倍長いので、わずかな力を加えるだけで操作子3をビーム本体1から持ち上げることができる。
挿込凹部11はスイベル軸sからわずかな距離に配置されるので、マイナスドライバーSを用いた1アクションで、操作子3をロック位置から解除位置へと変位させることができる。
【0030】
図3並びに図1及び2で分かるように、ロック状態で操作子3の係合領域10がトグルレバー5およびラッチ4の上方に位置されていないので、操作子3は、マイナスドライバーSによりロック位置から解除位置へと1アクションで完全に移動させることができる。
この場合に、挿込凹部11の係合領域10に対応する開口端縁12を支点として、マイナスドライバSのてこ動作により、操作子3を解除位置まで1アクションで確実に旋回させることが可能となる。
【0031】
挿込凹部11は内側へと拡張するくさび状に形成されている。
これにより、操作子3には、ツールWの先端チップAが下縁部13に向かって滑動する案内面14が形成される。
案内面14はスイベル軸sに対して90°未満の角度を形成する。
これは特に図4および5で明確に分かる。
案内面14は、その両側に形成される側壁部15を備えた所定幅のスリット状に形成されている。
したがって、先端チップAは、挿込凹部11に挿入されたときにクロスビームの長手方向lに位置ずれすることがない。
【0032】
クロスビームの図示される実施形態では、ツールWを挿入するのに選択的に使用することができる、2つの対向する挿込凹部11が両側に設けられる。
操作子3の上面上には、関連付けられた挿込凹部11をそれぞれ指す矢印16が付加的に提供される。
【0033】
操作子3は、その旋回支持部6の先端に、回り継手19を構成する軸受7に係合される玉縁突起17の形態の肉厚部分18を有する。
軸受7には、玉縁突起17を受け入れる軸受溝20が形成されている。
旋回支持部6には、ビーム本体1の両端を結ぶ長手方向lに沿って、2つのスリット21が形成されている。
図4および5に示されるように、先端に肉厚部分18を有する2つの横方向の回動アーム22は、前記スリット21によって形成される。
端部に設けられる肉厚部分18は、スイベル軸sを構成する玉縁突起17を形成し、玉縁突起17はそれぞれ旋回支持部6の操作子3から外縁から突出して形成されている。
これにより、回動アーム22はフック状に形成される。
また、各回動アーム22は、スイベル軸sの方向に撓んで弾性的に湾曲変形される。
【0034】
特に図2に示されたビーム本体1の右端側より分かるように、軸受溝20は、ビーム本体1の側壁24に開口形成された軸受開口部23内で横方向に終端する。
【0035】
ロック機構2をビーム本体1に装着するときは、操作子3はその旋回支持部6が軸受7に係合するように挿し込まれる。
これにより、回動アーム22は旋回支持部の中心に向かってこれを横断する方向に進入し、回動アーム22の端部にある肉厚部分18はビーム本体1の側壁24に接して滑動する。
回動アーム22の先端が軸受開口部23に達すると、その先端に形成された肉厚部分18とともに軸受開口部内へと進入するので、操作子3が軸受7内に係止される。
このように、回動アーム22は、わずかに弾力的に付勢された状態で、その個々の軸受開口部23に係合させることができ、ロック機構2は、操作子3によってクロスビーム内に簡単に収納させることができる。
装着をさらに容易にするため、回動アーム22の端部の肉厚部分18は、上方から見たときに自由端から離れる方向でくさび状に先細になるように設計され、それぞれ外向きに面する案内面25を形成する。
案内面25は、操作子3が、その旋回支持部6がビーム本体1の軸受7に入るように装着されるときテーパ面として作用する。
【0036】
中央の回動アームは、スイベル軸sの方向への回動アーム22の弾性的な湾曲変形を制限する停止要素26として設けられている。
停止要素26は、スイベル軸sを形成するため、端部の肉厚部分18を備える他の回動アーム22と同じ長手方向の断面を有する。
図5は、停止要素26が操作子3の自由端8から離れる方向で先細になっていることを明白に示している。
これにより、回動アーム22及び停止要素26を所定の範囲で安定的に旋回させることができる。
【0037】
図4〜6によってさらに示されるように、肉厚部分18はその上面および底面それぞれに平坦部分27を有し、それによってこの部分の断面積が低減される。
これによって、特定の位置にある玉縁突起17を軸受溝20に対してより簡単に挿入することができ、平坦部分27は同時に、軸受溝20の開口端縁28上で滑動面として機能する。
この場合、軸受溝20の開口端縁28の開口幅は、円形である軸受溝20の断面の直径よりも短く形成されている。
【0038】
図6および7は、操作子3の下側およびトグルレバー5の上側には、互いに係合するロッキングフック29が形成されたロック機構2のさらなる有利な実施例を示す。
ここでは図示されないが、ロック位置では、ロック機構2が伸長された状態に配され、これによって、前記ロッキングフック29が互いに噛み合ってロック状態に維持される。
したがって、ロック機構2は、ビーム本体1内に、そのロック位置で平坦に伸長した状態に収納される。
【0039】
本明細書で引用した特許文献1にも記載されているように、トグルレバー5は、そのロック位置では操作子のタブ30によって覆われるようにその下に配置される。
タブ30は、解除位置からロック位置へと操作子3を手動で移動させるために用いられる。
トグルレバー5は薄型ヒンジ31によって操作子3またはラッチ4に接続される。
ラッチは、長手方向lに変位可能にビーム本体1内で支持されており、操作子3を回動させることによって、ラッチ4はビーム本体1内でロック位置と解除位置との間で移動させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、相対移動する2点間に接続されるケーブルやホース類を保護するラインガイドデバイスの二つの側面部に架設されるクロスビームの用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 クロスビーム
2 ロック機構
3 操作子
4 ラッチ
5 トグルレバー
6 旋回支持部
7 軸受
8 自由端
9 開口部
10 係合領域
11 挿込凹部
12 開口端縁
13 下縁部
14 案内面
15 側壁部
16 矢印
17 玉縁突起
18 肉厚部分
19 回り継手
20 軸受溝
21 スリット
22 回動アーム
23 軸受開口部
24 側壁
25 案内面
26 停止要素
27 平坦部分
28 開口端縁
29 係止フック
30 突起区画
31 薄型ヒンジ
A 先端チップ
S マイナスドライバー
W ツール
l 長手方向
s スイベル軸
wl 作用点側アーム
wk 力点側アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインガイドデバイスの二つの対向する側面部間に架設されるビーム本体(1)と、少なくともその一方の端部で前記側面部にロックされるロック機構(2)とを備え、当該ロック機構(2)は操作子(3)およびラッチ(4)を有すると共に、前記ラッチ(4)がトグルレバー(5)を介して前記操作子(3)に接続され、前記操作子がその旋回支持部(6)によって軸受(7)に支持され、かつ/またはビーム本体のスイベル軸(s)を中心に旋回可能に支持され、
前記ラッチ(4)は、操作子(3)により、少なくとも、側面部との接続端部に向かう長手方向に沿ってロック位置まで変位し、そのロック位置では側面部にロックされ、かつ、操作子(3)がビーム本体(1)の外面に一体化されるように配され、ロック位置から解除位置まで、前記端部から離れる方向に変位させることができ、
旋回支持部(6)から離れた自由端を備えた操作子(3)が、ビーム本体(1)の外側に設けられた開口部(9)を通して外側から操作することができるようにビーム本体(1)内に収容されて成るラインガイドデバイス用クロスビームであって、
前記操作子(3)を、ツール(W)により1アクションで前記ロック位置から前記解除位置まで完全に旋回させることができるように、前記操作子(3)の前記自由端(8)及び前記スイベル軸(s)に対して所定の距離のある係合領域(10)に、前記ツール(W)をビーム本体(1)に係合させることにより前記操作子(3)を旋回させて前記解除位置へ向かう少なくとも1つの分力を作用させる挿込凹部(11)が、前記開口部(9)の前記開口端縁(12)および前記操作子(3)によって区画形成されたことを特徴とするラインガイドデバイス用クロスビーム。
【請求項2】
前記操作子(3)が前記ツール(W)のてこ作用によって旋回可能であり、前記挿込凹部(11)の前記係合領域(10)にある前記開口部(9)の前記開口端縁(12)が、前記ツール(W)のてこの支点として形成された請求項1に記載のラインガイドデバイス用クロスビーム。
【請求項3】
前記挿込凹部(11)がスリット状であり、前記挿込凹部(11)が前記ビーム本体(1)の前記長手方向(l)に沿って延設された請求項2に記載のラインガイドデバイス用クロスビーム。
【請求項4】
前記挿込凹部(11)が内側に拡張するように形成された請求項2または3に記載のラインガイドデバイス用クロスビーム。
【請求項5】
前記挿込凹部(11)が、ツール(W)の案内面(14)により前記操作子(3)に区画形成された請求項4に記載のラインガイドデバイス用クロスビーム。
【請求項6】
前記操作子(3)の両側に、前記ツール(W)を横方向から係合させる挿込凹部(11)がそれぞれ形成された請求項1から5のいずれか一項に記載のラインガイドデバイス用クロスビーム。
【請求項7】
前記操作子(3)を支持する回り継手(19)を形成するため、前記操作子(3)の旋回支持部(6)の先端に、前記スイベル軸(s)となる玉縁突起(17)が形成された請求項1から6のいずれか一項に記載のラインガイドデバイス用クロスビーム。
【請求項8】
前記旋回支持部(6)が、前記ビーム本体(1)の長手方向(l)に延設された回動アーム(22)として設計され、その先端に、前記玉縁突起(17)で肉厚部分(18)が形成された請求項7に記載のラインガイドデバイス用クロスビーム。
【請求項9】
前記回動アーム(22)が、前記スイベル軸(s)の方向で互いに間隔を開けて設けられ、前記スイベル軸(s)の方向に少なくともわずかに弾性的に湾曲変形された状態で、前記軸受(7)に係合された請求項8に記載のラインガイドデバイス用クロスビーム。
【請求項10】
前記回動アーム(22)が、前記回動アームが前記軸受内に係止可能なフック状の形に設計された請求項8または9に記載のラインガイドデバイス用クロスビーム。
【請求項11】
前記回動アーム(22)の弾性的湾曲変形を制限するため、前記旋回支持部(6)が前記回動アーム(22)の方向で延設された停止要素(26)を含み、前記停止要素(26)が前記回動アーム(22)の間に、スリット(21)を介してそれぞれ互いに間隔を空けて配された請求項8から10のいずれか一項に記載のラインガイドデバイス用クロスビーム。
【請求項12】
前記スリット(21)が前記玉縁突起に向かって拡張する、請求項11に記載のラインガイドデバイス用クロスビーム。
【請求項13】
前記停止要素(26)の先端に、玉縁突起(17)による肉厚部分(18)が形成された請求項11または12に記載のラインガイドデバイス用クロスビーム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−524218(P2012−524218A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505168(P2012−505168)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054978
【国際公開番号】WO2010/119101
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(507336499)イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング (12)
【Fターム(参考)】