ラジオカプセル送受信システムとこれに用いられる体外ユニット
【課題】本発明は、生体内に留置されるラジオカプセルと、このラジオカプセルから送信される生体情報を受信する体外ユニットとを有するラジオカプセル送受信システムのアンテナに関するものであり、アンテナ間通過損を大幅に低減することが可能となるラジオカプセル送受信システムを提供することを目的とする。
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明のラジオカプセル送受信システムは、生体情報を検出するセンサ、及びこのセンサによって検出された後変調された生体情報を磁流型アンテナにより送信する送信器を有するラジオカプセルと、このラジオカプセルの磁流型アンテナから送信される信号を受信する磁流型アンテナを有する体外ユニットとを備える。
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明のラジオカプセル送受信システムは、生体情報を検出するセンサ、及びこのセンサによって検出された後変調された生体情報を磁流型アンテナにより送信する送信器を有するラジオカプセルと、このラジオカプセルの磁流型アンテナから送信される信号を受信する磁流型アンテナを有する体外ユニットとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内に留置されるラジオカプセルと、このラジオカプセルから送信される生体情報を受信する体外ユニットとを有するラジオカプセル送受信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
体腔内の温度やpH値等の物理量の長時間にわたる測定や観察を行うために、センサと小型発信器とを備え、生体内に留置されて生体内の生体情報を無線によって体外に伝送するラジオカプセル及びその無線信号を受信する体外ユニットが知られている。
【0003】
このようなラジオカプセル及び体外ユニットに関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3などが存在している。
【0004】
特許文献1の車載アンテナの代表例を図13及び図14に示す。図13は特許文献1の体外ユニット100の概略図が示されている。この体外ユニット100は被験者が装着するベスト型であり、複数のアンテナ101を配置したアンテナアレイ、受信モジュール102、体外ユニット100から着脱可能なメモリ103および電源104を有する。アンテナ101で受信された生体情報は、受信モジュール102で加工され、メモリ103に記憶される。電源104は体外ユニット100から取り外して充電できる充電池であって、受信モジュール102に接続されてこれに電力を供給する。
【0005】
図14は、特許文献1のラジオカプセル105の概略が示されている。図14に示すラジオカプセル105は、生体情報を検出するセンサ105a、センサ105aによって検出された後変調された生体情報を送信する送信器105b、これらに電力を供給するバッテリー105c、および送信アンテナ105dを備えている。このセンサ105aは体腔内におけるpH値や温度等の測定や撮影を行うもので、この測定・観察した生体情報が送信器105bから送信される。
【0006】
体内のラジオカプセル105から送信された信号は、被験者の着用している体外ユニット100に設けられたアンテナアレイにて受信(スキャン)され、受信モジュール102に設けられた復調回路と位置特定手段とに送られる。生体情報は復調回路において復調されると共に、ラジオカプセルの位置情報については位置特定手段において、強い信号を受信したアンテナ101の位置およびその周辺のアンテナ101の受信状態などから特定される。これら生体情報、ラジオカプセル位置情報は、時刻情報とともに、メモリ103に記憶される。測定観察された動的生体情報信号は全てメモリ103に記憶されるので、被験者はベッドに固定されたり測定機器のそばから離れられないなどの不自由を被ることなく行動できる。
【0007】
特許文献2では、ラジオカプセルからの生体情報を体外ユニットのアンテナで受信すると共に、ラジオカプセルの位置情報をアレイ状に並んだ受光素子を用いて行う例が示されている。また特許文献3では、特許文献1の体外ユニットに電力供給用の電力送信アンテナアレイが設けられたものが示されており、ラジオカプセルの位置情報を基に、その位置に最も近い電力送信アンテナからラジオカプセルへ電力を送信するものである。
【特許文献1】特開2001−46357号公報
【特許文献2】特開2001−46358号公報
【特許文献3】特開2005−52502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
生体内に留置されるラジオカプセルと体外ユニットの間における無線信号のやり取りは、一般的な携帯電話と基地局の無線信号のやり取りと比較すると、以下の点で非常に特徴的なものとなっている。
1.ラジオカプセルと体外ユニットの間の通信距離が約10cm以内と極めて短い距離である。
2.ラジオカプセルは人体内に留置されており、通過損の大きな誘電体である人体を介する。
【0009】
以上の特殊な条件下での無線通信となるため、当該特殊条件を考慮した最適アンテナを用いないと、ラジオカプセルと体外ユニットの間の無線通信における通過損が極めて大きなものとなってしまう。通過損が極めて大きなものとなると、ラジオカプセルのアンテナの送信電力を大きなものにする必要が生じ、これにより、ラジオカプセルに内蔵する電池容量を大きくするか、又は、生体情報の取得回数を減らす等の弊害が発生してしまう。
【0010】
上記の特許文献1〜3においては、体外ユニットのアンテナの詳細内容が記載されておらず、上記の無線通信における特殊条件への配慮が為されていない。また、ラジオカプセルのアンテナに関しては、図面においてメアンダ形状のアンテナが使用されていることが伺えるが、このような電流型アンテナを人体内で使用した場合には、アンテナ自体において大きな電力ロスが生じることが想定され、上記の無線通信における特殊条件への配慮が為されているとは考えにくい。
【0011】
そこで本発明のラジオカプセル送受信システムは、ラジオカプセルと体外ユニットとの間の無線通信における通過損を小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明のラジオカプセル送受信システムは、生体情報を検出するセンサ、及びこのセンサによって検出された前記生体情報を磁流型アンテナにより送信する送信器を有するラジオカプセルと、このラジオカプセルの前記磁流型アンテナから送信される信号を受信する磁流型アンテナを有する体外ユニットとを備える。
【0013】
本発明の最も重要な点は、ラジオカプセルに内蔵されたアンテナと体外ユニットを構成するアンテナを、共に磁流型アンテナにした点である。このように、磁流型アンテナをラジオカプセル及び体外ユニットに用いる事により、ラジオカプセルと体外ユニット間の無線通信における通過ロスを大きく低減できるという極めて大きな効果が得られる事となる。磁流型アンテナとは、アンテナの動作に基づいて付けられたあるアンテナのグループの総称であり、具体的なアンテナとしては、ループアンテナ、マイクロストリップアンテナ、板状逆Fアンテナ等が挙げられる。
【0014】
以下に、何故、磁流型アンテナをラジオカプセル及び体外ユニットに用いると、上記の特殊条件での無線通信において、通過損を低減できるのかを説明する。
【0015】
まず最初に、ラジオカプセルに内蔵されたアンテナが磁流型アンテナであった場合、電流型アンテナ(ダイポールアンテナ、モノポールアンテナ等の総称)であった場合に、それぞれのアンテナの周囲に生じる電界、磁界を考えてみる。ラジオカプセルと体外ユニット間の通信に使用される周波数を最も一般的な300MHz〜500MHzの間の周波数だとした場合に、ラジオカプセルに内蔵されるアンテナサイズは、その波長に対して極めて小さなものとなる。なぜなら、ラジオカプセルは人が口より飲み込む事ができるサイズ(直径10mm、長さ25mm程度)に抑える必要があるためである。故に、アンテナ周囲の電界・磁界を考えるに当たっては、磁流型アンテナに関しては微小ループアンテナ(ループ周囲長<<波長)、電流型アンテナに関しては微小ダイポールアンテナ(ダイポールエレメント長<<波長)をその対象とするのが最良である。
【0016】
図1に示す微小ループアンテナの周囲の電界・磁界を表す(数1)〜(数4)を以下に示す。
【0017】
【数1】
【0018】
【数2】
【0019】
【数3】
【0020】
【数4】
【0021】
図2に示す微小ダイポールアンテナの周囲の電界・磁界を表す(数5)〜(数8)を以下に示す。
【0022】
【数5】
【0023】
【数6】
【0024】
【数7】
【0025】
【数8】
【0026】
微小ループアンテナにおいて、波長と比較して十分遠方な領域へ放射され、微小ループアンテナにエネルギーが戻ってこない電界・磁界の成分は、(数2)、(数3)の1/rに比例する成分のみである。(数1)〜(数3)の1/r2及び1/r3の成分は、そのエネルギーが遠方に放射されて消費されるものではなく、微小ループアンテナの周囲に存在する無効電力の成分である。この成分は微小ループアンテナに近づくにつれ、距離の2乗及び3乗に反比例してその成分が大きくなる。このため、微小ループアンテナ近傍にtanδ値の良好でない誘電体や磁性体が存在している場合には、これらの誘電体、磁性体によりエネルギーが消費され、本来、微小ループアンテナに戻ってくるべき(数1)〜(数3)の1/r2及び1/r3のエネルギーがアンテナに帰らず、微小ループアンテナの放射効率の大幅な劣化を招いてしまう。
【0027】
微小ダイポールアンテナにおいても、微小ループアンテナの場合と同様であり、波長と比較して十分遠方な領域へ放射され、微小ダイポールアンテナにエネルギーが戻ってこない電界・磁界の成分は、(数6)、(数7)の1/rに比例する成分のみである。そして、(数5)〜(数7)の1/r2及び1/r3の成分は、そのエネルギーが遠方に放射されて消費されるものではなく、微小ダイポールアンテナの周囲に存在する無効電力の成分である。
【0028】
ここで、着目すべきは、それぞれのアンテナの近傍における電界と磁界の比率である。図3に示したのは、微小ループアンテナと微小ダイポールアンテナのθ=90度における電界と磁界の比率(=E/H)を示したものである。そして、図3は、ラジオカプセルが人体内に留置される事を考慮し、300MHzにおける脂肪の比誘電率:5.7において、(数2)、(数3)及び(数6)、(数7)から算出したものである。図3において、横軸はアンテナからの距離を波長で正規化して表したものである。図3より、アンテナから1波長以上離れた空間においては、微小ダイポールアンテナと微小ループアンテナの電界と磁界の比率はほぼ同一値を取ることが分かる。これは、アンテナから1波長以上離れた空間では、(数2)、(数3)及び(数6)、(数7)における1/rの有効電力成分が主流となり、1/r2及び1/r3の無効電力成分が放射に寄与している有効電力に比べて極めて小さい事を意味している。一方、アンテナから1波長以内の空間、特に0.3波長以内の空間においては、様相が一変する。微小ダイポールアンテナに関しては、アンテナに近づくにつれて電界Eの比率が指数関数的に増加する。また、微小ループアンテナの場合には、アンテナに近づくにつれて磁界Hの比率が指数関数的に増加してゆく。これは、アンテナ近傍においてアンテナからの距離に最も大きな感度を持つ1/r3の項を、微小ダイポールアンテナは電界Eが有しており((数1)、(数2)参照)、微小ループアンテナは磁界Hが有している((数5)、(数6)参照)為である。
【0029】
ここで、着目すべき点は、ラジオカプセルが人体内に留置される点である。前述の通り、人体は大きなロスを持った誘電体と考える事ができるが(脂肪の300MHzにおける比誘電率:5.7、tanδ:0.73)、磁性体としては扱われない点である(磁性体として敢えて人体を考えた場合、比透磁率はほぼ1、tanδはほぼ0とみなされる)。つまり、人体において、電界に関しては極めて大きな減衰を生じてしまうが、磁界の場合は、人体による減衰をほとんど考える必要がない。
【0030】
故に、人体内部に留置されるラジオカプセル内のアンテナについては、アンテナ周囲のE/Hの値が小さなアンテナを使用することにより、1/r2及び1/r3の無効電力成分が人体により減衰する割合を低減する事が可能になる事が分かる。よって、本発明におけるラジオカプセル送受信システムのラジオカプセルに内蔵されるアンテナには、微小ループアンテナのような性質を有する磁流型アンテナを用いている。これにより、ラジオカプセルに内蔵されるアンテナの放射効率を極めて大きく向上させることが可能となり、結果として、ラジオカプセルの送信電力を大きく低減でき、電池サイズの縮小化、ラジオカプセルの動作時間の長期化を図る事が可能となる。
【0031】
図3より、アンテナから0.3波長程度離れるとE/Hのカーブの傾きが緩やかになり、定常値に近づいているのが分かる。そこで、人体内に留置されるラジオカプセルと体外ユニット間の距離が約10cmであることを考えると、0.3波長が10cmとなる約1GHz以下の周波数を無線通信に使用すれば、アンテナ間伝搬損を効果的に低減できる。
【0032】
次に、体外ユニットを構成するアンテナに磁流型アンテナを用いることにより、ラジオカプセルと体外ユニット間の通過損を低減できる理由を述べる。
【0033】
上述したが、ラジオカプセルと体外ユニットのアンテナ間距離は約10cm以内と極めて近距離である。今、ラジオカプセルと体外ユニット間を周波数300MHzで無線通信を行う場合、ラジオカプセルと体外ユニットのアンテナ間距離は、0.1波長以下となる。図3からも分かるように、0.1波長以内の空間においては、微小ダイポールアンテナに比べて微小ループアンテナ(磁流型アンテナ)の磁界Hの比率は極めて高いことが分かる。つまり、体外ユニットのアンテナについても、0.1波長以内の領域において磁界Hに対する感度が高い磁流型アンテナを採用した方が、受信電力を大きくできることが分かる。
【0034】
図4に、体外ユニットのアンテナに電流型アンテナであるダイポールアンテナを使用した場合と磁流型アンテナであるループアンテナを使用した場合の、ラジオカプセルから体外ユニット間の通過損をモーメント法シミュレーション(シミュレータ:Ie3d,Zeland社)により導出した結果を示す。このシミュレーションにおける人体モデルは、比誘電率:5.7、tanδ:0.73の誘電体で表現した。人体モデルの厚みは150mm、100mm、50mmの3種で検討を行い、ラジオカプセル側のアンテナは人体モデルの厚み方向の中間位置に配置した。また、ラジオカプセル側のアンテナには、磁流型アンテナであるループアンテナを用いた。更に、アンテナ間通過損の値は、ラジオカプセル側のループアンテナの向きにより変化するため、直交するX,Y,Z軸の3軸方向にループアンテナをそれぞれ置いた場合の通過損を導出し、それらの平均値を図4に示した。
【0035】
図4より、体外ユニットのアンテナとして磁流型アンテナであるループアンテナを用いた場合に、電流型アンテナであるダイポールアンテナを用いた場合に比べてアンテナ間の通過損を大きく低減できる事が分かる。
【発明の効果】
【0036】
以上の理由より、ラジオカプセルに内蔵されるアンテナ、体外ユニットを構成するアンテナ共に、磁流型アンテナを採用する事により、人体を介した無線通信時のアンテナ間通過損を著しく低減する事が可能となる。その結果、ラジオカプセル及び体外ユニットの送信出力を低減する事が可能となる事から、ラジオカプセル及び体外ユニットの電源を小さいものに変更することが可能となり、ラジオカプセル及び体外ユニットの小型化、軽量化、動作時間の長期化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
(実施の形態1)
図5(a)及び図5(b)は、本発明の体外ユニットのブロック図である。
【0038】
図5(a)は、ラジオカプセルと体外ユニットの間で双方向の信号のやり取りを行うことを想定した体外ユニットのブロック図である。ラジオカプセルから送信された信号は複数のアンテナをアレイ状に並べて構成されたアンテナユニット1で受信されることになるが、どのアンテナを受信アンテナとして選択するかは、アンテナ切り替えスイッチ2において各アンテナが受信した電力値を比較して、決定される。受信電力が最大となるアンテナから得られた受信信号は、受信モジュール3に送られ、ダウンコンバージョンされた後、復調されて、ラジオカプセルが得た生体情報が体外ユニットにおいて復元される事となる。この生体情報は、一時的にメモリ4に記録され、一定時間経過後、外部のパソコン等により吸い上げられ、生体情報の分析を行う事となる。また、ラジオカプセルにコントロール信号を送信する場合、コントロール信号は、送信モジュールにおいて、無線通信を行いやすい形に変換された後、アンテナ切り替えスイッチにおいて選択された最適なアンテナによりラジオカプセルに送信される。本ブロック図においては、複数のアンテナをアレイ状に配置したアンテナユニットにより体外ユニットを構成したが、単数のアンテナで構成し、アンテナ切り替えスイッチを削除した構成にしても良い。
【0039】
図5(b)は、ラジオカプセルからの生体情報を体外ユニットにおいて受信のみ行う場合の体外ユニットのブロック図である。ラジオカプセルからの信号を単数のアンテナにて構成されたアンテナユニット1により受信し、その受信信号を受信モジュール3においてダウンコンバージョンし、復調することによりラジオカプセルが得た生体情報が体外ユニットにおいて復元される事となる。図5(a)の場合と異なり、アンテナユニットが単数のアンテナにより構成されているため、アンテナユニット1と受信モジュール3を結ぶ同軸ケーブルの本数が1本ですみ、装着感向上、軽量化を図ることが可能となる。但し、ラジオカプセルの体内位置により、体外ユニットのアンテナが良好な受信電力を確保できない場合には、複数のアンテナをアレイ化したアンテナユニットを用いた方が良い。
【0040】
図5(a)の送受信ユニット7及び図5(b)の受信ユニット8は、アンテナユニット1と分離して構成することもできる。コルセットや衣服にはアンテナユニット1のみを装着し、送受信ユニット7及び受信ユニット8は腰にベルト等により固定することで、コルセットや衣服の重量を下げる事ができ、人の装着感が向上する。人が体外ユニットを装着した様子を図6及び図7に示す。
【0041】
図6は、シャツにアンテナユニット1を装着した場合を示す。ラジオカプセルにより生体情報を得ることを考えている体内部位を覆うようにアンテナユニット1が配設されており、このアンテナユニット1の設置位置は、シャツ9の人体に対して内側、外側のどちらでも良い。但し、シャツ9の人体に対して内側に設置する場合は、シャツ9に設けられたポケット等にアンテナを挿入して保持し、人体に直接的にアンテナユニット1が取り付けられることがないようにする。アンテナユニット1と送受信ユニット7は同軸ケーブル10で接続されると共に、送受信ユニット7はベルト11により、腰に固定される。
【0042】
このようにシャツにアンテナユニット1を取り付けた場合には、アンテナユニット1が直接的に人体に密着設置されないため、体外ユニットを長時間装着した場合の人の負担、装着感を向上させることができる。
【0043】
図7は、コルセット12にアンテナユニット1を装着した場合を示す。図6のシャツの場合と同様に、ラジオカプセルにより生体情報を得ることを考えている体内部位を覆うようにアンテナユニット1が配設されており、このアンテナユニット1の設置位置は、コルセット12の人体に対して内側、外側のどちらでも良い。アンテナユニット1と送受信ユニット7は同軸ケーブル10で接続されると共に、送受信ユニット7はベルト11により、腰に固定される。
【0044】
コルセット12にアンテナユニット1を設置した場合には、人の体形に合わせてコルセットの締め方を随時調整可能であるため、人体とアンテナユニットの間のギャップ幅が刻一刻と変化することが無く、人体とアンテナユニットの間の距離が変わることによるアンテナインピーダンスの変化を防止する事ができる。
【0045】
図8(a)〜図8(c)において、アンテナユニット1のシャツ9又はコルセット12への取り付け方法の一例が示されている。図8(a)はコルセット12の人体に対して内側にポケット14を設け、そのポケット14にアンテナユニット1を構成するアンテナ13を挿入する様子を示したものである。ポケット14に挿入固定するような方法を採用し、アンテナユニット1や同軸ケーブル10を随時取り外す事ができれば、コルセット12やシャツ9を容易に洗濯することが可能となる。
【0046】
ポケット14にアンテナ13が配置されている状態におけるポケット14の断面図を図8(b)に示す。アンテナ13は詳細を記載していないが、磁流型アンテナを樹脂ケースでカバーしたものである。コルセット12を装着した時の装着感を向上させるため、アンテナ13に接するポケット14には緩衝材15が設けられている。また、アンテナ13がポケット14の内部で移動しないように、ポケット14のふたはマジックテープ(登録商標)16で閉じられている。アンテナ13から伸びる同軸ケーブル10は、コルセット12に設けられた貫通穴17を通して人体に対して外側に引き回される。その様子を図8(c)に示す。図8(c)は人体に対して外側からコルセット12を外観した図である。貫通穴17から引き出された同軸ケーブル10は、同軸ケーブル留め治具18でコルセット12の表面に固定されながら、送受信ユニット又は受信ユニットまで引き回され、接続される。同軸ケーブル10をコルセット12の人体側表面に引き回すと、コルセットの装着感が損なわれる可能性があるためである。尚、図8(c)において図示してはいないが、面状の導体に関しては、人体に対して同軸ケーブル10の更に外側に配置するのが好ましい。同軸ケーブルに対する外部からのノイズの影響を面状の導体により低減することが可能となるためである。
【0047】
図8(a)〜図8(c)においては、コルセット12の人体側にポケット14を設け、アンテナ13を配置したが、人体に対してコルセット12の外側表面にポケット14を設けても問題ない。こうする事により、体外ユニットを装着した時の人体装着感が向上する。また、アンテナ13のコルセット12又はシャツ9への取り付け方法は、ポケット14を設けて挿入する方法以外に、マジックテープ(登録商標)等で取り付けても良い。
【0048】
図9にシャツ9又はコルセット12へアンテナユニットを取り付けるための別の方法を示す。これは、布等の形状が柔軟に変化する材料から成るアンテナユニット取り付け治具19の表面にポケット14を設け、そこにアンテナユニット1を構成するアンテナ13を挿入し、固定する。そして、このアンテナユニット取付け治具19を、マジックテープ(登録商標)等の固定治具を介してシャツ9又はコルセット12に取り付けるものである。このような方法でアンテナユニット1をシャツ9又はコルセット12に固定できれば、人の体型によるアンテナユニット1の位置調整を容易に行う事が可能となると共に、洗濯時のアンテナユニット1の取り外しが容易になる。
【0049】
(実施の形態2)
図10は、本発明のラジオカプセル送受信システムを示した断面図である。人体20の腹部内部に留置されたラジオカプセル21の中に、磁流型アンテナであるラジオカプセル側ループアンテナ22が設けられている。人体20の腹側には、アンテナユニット1を構成する対外ユニット側ループアンテナ23が、シャツ9の人体側に設けられた第1のポケット26の中に挿入され、固定されている。腹側に体外ユニット側ループアンテナ23を設置したのは、tanδの高く通過損の大きい筋肉が背中に比べて腹側は少なく、アンテナ間通過損を低減できるためである。
【0050】
人体20の背中側に設けられた第3のポケット28の中には第2の面状の導体25が設置されると共に、第1の面状の導体24が、シャツ9の人体に対して外側に設けられた第2のポケット27に挿入され、体外ユニット側ループアンテナ23を覆うように設置されている。第1の面状の導体24及び第2の面状の導体25を図10に示すように配置する事により、ラジオカプセル側ループアンテナ22と体外ユニット側ループアンテナ23の間の通過損を低減する事が可能となる。そのメカニズムを図11(a)、図11(b)、図11(c)に示す。
【0051】
図11(a)は、人体20の内部に留置されたラジオカプセル21に内蔵されたラジオカプセル側ループアンテナ22の近傍の電界・磁界の流れを示した概略図であり、電界・磁界の放射パターンを表すものではない。図11(a)において、ラジオカプセル側ループアンテナ22から体外ユニット側ループアンテナ23への信号の無線送信において利用される電界・磁界は、ラジオカプセル側ループアンテナ22から体外ユニット側ループアンテナ23へ向かう1/rの項の電界・磁界と1/r2、1/r3の項の電界・磁界である。ラジオカプセル側ループアンテナ22から体外ユニット側ループアンテナ23へ向かう方向以外の方向へ放射される1/rの項の電界・磁界に関しては、無線通信に利用されず、通過損の一部となる。そこで、図11(b)に示すように、第1の面状の導体24を設置すると、これまで無線通信に利用されていなかったラジオカプセル側ループアンテナ22から放射された1/rの項の電界・磁界により第1の面状の導体24に誘起電流I1が流れ、この誘起電流により再放射された電界・磁界の一部(図11(b)中の点線矢印)を体外ユニット側ループアンテナ23が受信する事により、通過損の低減を図ることが可能となる。図11(c)においては更に、体外ユニット側ループアンテナ23の人体に対して外側にも第2の面状の導体25を配置した実施の形態を示す。本実施の形態においても、図11(b)の場合と同様に、これまで無線通信に利用されていなかったラジオカプセル側ループアンテナ22から放射された1/rの項の電界・磁界により第2の面状の導体25にも誘起電流I2が流れ、この誘起電流により再放射された電界・磁界の一部(図11(c)中の点線矢印)を体外ユニット側ループアンテナ23が受信する事により、通過損の更なる低減を図ることが可能となる。又、第2の面状の導体25により、体外ユニット側ループアンテナ23が外部からのノイズを受信しにくくなるため、良好な通信品質を実現できる。
【0052】
図10においては、面状の導体を腹側、背中側の両方に設置したが、一方のみに設置しても良い事は言うまでも無い。また、図10においては、面状の導体をポケットに挿入する事で固定したが、マジックテープ(登録商標)やフォック等の脱着機構を用いて固定してもよい。また、面状の導体を用いる代わりに、シャツ9自体の繊維に導電性を持たせても良い。第2のポケット27及び第3のポケット28を無くすことができると共に、第1の面状の導体24及び第2の面状の導体25に柔軟性を持たせることができ、体外ユニットの装着感を向上させることができる。また、シャツに面状の導体を取り付ける手間を削減することができる。但し、体外ユニット側ループアンテナ23の人体と接する面には、導電性の繊維が使用されないように配慮する必要がある。ラジオカプセル側ループアンテナ22と体外ユニット側ループアンテナ23の間の通過損が劣化するためである。
【0053】
図10においては、体外ユニット側のアンテナをループアンテナで構成したが、マイクロストリップアンテナや板状逆Fアンテナを用いてもよい。但し、ループアンテナは、アンテナ部分のみでバランス動作しているため、アンテナから伸びる同軸ケーブルのグランド部分に放射に寄与する電流が分布することがないため、体外ノイズの影響を低減できるという有利な点がある。
【0054】
図12は、体外ユニット側のアンテナに磁流型アンテナの一種である板状逆Fアンテナを使用した場合の実施の形態を示したものである。背中側に設置された面状の導体30はコルセット12にマジックテープ(登録商標)で固定されている。尚、面状の導体30を設置する代わりに、コルセット12の生地全体に導電性の繊維を貼付けておいても良い。但し、板状逆Fアンテナ29の人体と接する面には、導電性の繊維が使用されないように配慮する必要がある。ラジオカプセル側ループアンテナ22と板状逆Fアンテナ29の間の通過損が劣化するためである。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明にかかるラジオカプセル送受信ユニットは、アンテナ間通過損を大幅に低減する事ができる。その結果、ラジオカプセルに内蔵される電池サイズを小さくする事ができ、ラジオカプセル自体の小型化が図れると共に、ラジオカプセルの使用時間の長期化をも図れるという効果を有している。また、体外ユニットを構成するアンテナをシャツ、コルセット等の衣服に配置する事で、アンテナを直接人体に張付ける事を回避でき、体外ユニットの装着間を向上させることができ、人が長時間、体外ユニットを装着しても、苦痛を与える事は無い。このようなことから当該発明は、小型のラジオカプセルを人が飲む事で人体内部の生体情報を容易に取得できるカプセル内視鏡等の医療機器に用いるのに最適である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】微小ループアンテナモデル図
【図2】微小ダイポールアンテナモデル図
【図3】E/Hのアンテナからの距離変化を示すグラフ
【図4】体外アンテナを変更したときのアンテナ間通過損を示す図
【図5】(a)、(b)体外ユニットのブロック図
【図6】シャツに体外ユニットを装着した図
【図7】コルセットに体外ユニットを装着した図
【図8】(a)アンテナ設置方法を示す上面斜視図、(b)アンテナ設置方法を示す断面図、(c)アンテナ設置方法を示す背面斜視図
【図9】アンテナ設置方法を示す上面図
【図10】本発明のラジオカプセル送受信システム例を示す断面図
【図11】(a)、(b)、(c)ラジオカプセル側アンテナ周囲の電界・磁界の流れの概略を示す図
【図12】本発明のラジオカプセル送受信システム例を示す断面図
【図13】従来の体外ユニットの図
【図14】従来のラジオカプセルの図
【符号の説明】
【0057】
1 アンテナユニット
2 アンテナ切り替えスイッチ
3 受信モジュール
4 メモリ
5 送信モジュール
6 電池
7 送受信ユニット
8 受信ユニット
9 シャツ
12 コルセット
21 ラジオカプセル
22 ラジオカプセル側ループアンテナ
23 体外ユニット側ループアンテナ
24 第1の面状の導体
25 第2の面状の導体
29 板状逆Fアンテナ
100 体外ユニット
101 アンテナ
102 受信モジュール
103 メモリ
104 電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内に留置されるラジオカプセルと、このラジオカプセルから送信される生体情報を受信する体外ユニットとを有するラジオカプセル送受信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
体腔内の温度やpH値等の物理量の長時間にわたる測定や観察を行うために、センサと小型発信器とを備え、生体内に留置されて生体内の生体情報を無線によって体外に伝送するラジオカプセル及びその無線信号を受信する体外ユニットが知られている。
【0003】
このようなラジオカプセル及び体外ユニットに関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3などが存在している。
【0004】
特許文献1の車載アンテナの代表例を図13及び図14に示す。図13は特許文献1の体外ユニット100の概略図が示されている。この体外ユニット100は被験者が装着するベスト型であり、複数のアンテナ101を配置したアンテナアレイ、受信モジュール102、体外ユニット100から着脱可能なメモリ103および電源104を有する。アンテナ101で受信された生体情報は、受信モジュール102で加工され、メモリ103に記憶される。電源104は体外ユニット100から取り外して充電できる充電池であって、受信モジュール102に接続されてこれに電力を供給する。
【0005】
図14は、特許文献1のラジオカプセル105の概略が示されている。図14に示すラジオカプセル105は、生体情報を検出するセンサ105a、センサ105aによって検出された後変調された生体情報を送信する送信器105b、これらに電力を供給するバッテリー105c、および送信アンテナ105dを備えている。このセンサ105aは体腔内におけるpH値や温度等の測定や撮影を行うもので、この測定・観察した生体情報が送信器105bから送信される。
【0006】
体内のラジオカプセル105から送信された信号は、被験者の着用している体外ユニット100に設けられたアンテナアレイにて受信(スキャン)され、受信モジュール102に設けられた復調回路と位置特定手段とに送られる。生体情報は復調回路において復調されると共に、ラジオカプセルの位置情報については位置特定手段において、強い信号を受信したアンテナ101の位置およびその周辺のアンテナ101の受信状態などから特定される。これら生体情報、ラジオカプセル位置情報は、時刻情報とともに、メモリ103に記憶される。測定観察された動的生体情報信号は全てメモリ103に記憶されるので、被験者はベッドに固定されたり測定機器のそばから離れられないなどの不自由を被ることなく行動できる。
【0007】
特許文献2では、ラジオカプセルからの生体情報を体外ユニットのアンテナで受信すると共に、ラジオカプセルの位置情報をアレイ状に並んだ受光素子を用いて行う例が示されている。また特許文献3では、特許文献1の体外ユニットに電力供給用の電力送信アンテナアレイが設けられたものが示されており、ラジオカプセルの位置情報を基に、その位置に最も近い電力送信アンテナからラジオカプセルへ電力を送信するものである。
【特許文献1】特開2001−46357号公報
【特許文献2】特開2001−46358号公報
【特許文献3】特開2005−52502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
生体内に留置されるラジオカプセルと体外ユニットの間における無線信号のやり取りは、一般的な携帯電話と基地局の無線信号のやり取りと比較すると、以下の点で非常に特徴的なものとなっている。
1.ラジオカプセルと体外ユニットの間の通信距離が約10cm以内と極めて短い距離である。
2.ラジオカプセルは人体内に留置されており、通過損の大きな誘電体である人体を介する。
【0009】
以上の特殊な条件下での無線通信となるため、当該特殊条件を考慮した最適アンテナを用いないと、ラジオカプセルと体外ユニットの間の無線通信における通過損が極めて大きなものとなってしまう。通過損が極めて大きなものとなると、ラジオカプセルのアンテナの送信電力を大きなものにする必要が生じ、これにより、ラジオカプセルに内蔵する電池容量を大きくするか、又は、生体情報の取得回数を減らす等の弊害が発生してしまう。
【0010】
上記の特許文献1〜3においては、体外ユニットのアンテナの詳細内容が記載されておらず、上記の無線通信における特殊条件への配慮が為されていない。また、ラジオカプセルのアンテナに関しては、図面においてメアンダ形状のアンテナが使用されていることが伺えるが、このような電流型アンテナを人体内で使用した場合には、アンテナ自体において大きな電力ロスが生じることが想定され、上記の無線通信における特殊条件への配慮が為されているとは考えにくい。
【0011】
そこで本発明のラジオカプセル送受信システムは、ラジオカプセルと体外ユニットとの間の無線通信における通過損を小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明のラジオカプセル送受信システムは、生体情報を検出するセンサ、及びこのセンサによって検出された前記生体情報を磁流型アンテナにより送信する送信器を有するラジオカプセルと、このラジオカプセルの前記磁流型アンテナから送信される信号を受信する磁流型アンテナを有する体外ユニットとを備える。
【0013】
本発明の最も重要な点は、ラジオカプセルに内蔵されたアンテナと体外ユニットを構成するアンテナを、共に磁流型アンテナにした点である。このように、磁流型アンテナをラジオカプセル及び体外ユニットに用いる事により、ラジオカプセルと体外ユニット間の無線通信における通過ロスを大きく低減できるという極めて大きな効果が得られる事となる。磁流型アンテナとは、アンテナの動作に基づいて付けられたあるアンテナのグループの総称であり、具体的なアンテナとしては、ループアンテナ、マイクロストリップアンテナ、板状逆Fアンテナ等が挙げられる。
【0014】
以下に、何故、磁流型アンテナをラジオカプセル及び体外ユニットに用いると、上記の特殊条件での無線通信において、通過損を低減できるのかを説明する。
【0015】
まず最初に、ラジオカプセルに内蔵されたアンテナが磁流型アンテナであった場合、電流型アンテナ(ダイポールアンテナ、モノポールアンテナ等の総称)であった場合に、それぞれのアンテナの周囲に生じる電界、磁界を考えてみる。ラジオカプセルと体外ユニット間の通信に使用される周波数を最も一般的な300MHz〜500MHzの間の周波数だとした場合に、ラジオカプセルに内蔵されるアンテナサイズは、その波長に対して極めて小さなものとなる。なぜなら、ラジオカプセルは人が口より飲み込む事ができるサイズ(直径10mm、長さ25mm程度)に抑える必要があるためである。故に、アンテナ周囲の電界・磁界を考えるに当たっては、磁流型アンテナに関しては微小ループアンテナ(ループ周囲長<<波長)、電流型アンテナに関しては微小ダイポールアンテナ(ダイポールエレメント長<<波長)をその対象とするのが最良である。
【0016】
図1に示す微小ループアンテナの周囲の電界・磁界を表す(数1)〜(数4)を以下に示す。
【0017】
【数1】
【0018】
【数2】
【0019】
【数3】
【0020】
【数4】
【0021】
図2に示す微小ダイポールアンテナの周囲の電界・磁界を表す(数5)〜(数8)を以下に示す。
【0022】
【数5】
【0023】
【数6】
【0024】
【数7】
【0025】
【数8】
【0026】
微小ループアンテナにおいて、波長と比較して十分遠方な領域へ放射され、微小ループアンテナにエネルギーが戻ってこない電界・磁界の成分は、(数2)、(数3)の1/rに比例する成分のみである。(数1)〜(数3)の1/r2及び1/r3の成分は、そのエネルギーが遠方に放射されて消費されるものではなく、微小ループアンテナの周囲に存在する無効電力の成分である。この成分は微小ループアンテナに近づくにつれ、距離の2乗及び3乗に反比例してその成分が大きくなる。このため、微小ループアンテナ近傍にtanδ値の良好でない誘電体や磁性体が存在している場合には、これらの誘電体、磁性体によりエネルギーが消費され、本来、微小ループアンテナに戻ってくるべき(数1)〜(数3)の1/r2及び1/r3のエネルギーがアンテナに帰らず、微小ループアンテナの放射効率の大幅な劣化を招いてしまう。
【0027】
微小ダイポールアンテナにおいても、微小ループアンテナの場合と同様であり、波長と比較して十分遠方な領域へ放射され、微小ダイポールアンテナにエネルギーが戻ってこない電界・磁界の成分は、(数6)、(数7)の1/rに比例する成分のみである。そして、(数5)〜(数7)の1/r2及び1/r3の成分は、そのエネルギーが遠方に放射されて消費されるものではなく、微小ダイポールアンテナの周囲に存在する無効電力の成分である。
【0028】
ここで、着目すべきは、それぞれのアンテナの近傍における電界と磁界の比率である。図3に示したのは、微小ループアンテナと微小ダイポールアンテナのθ=90度における電界と磁界の比率(=E/H)を示したものである。そして、図3は、ラジオカプセルが人体内に留置される事を考慮し、300MHzにおける脂肪の比誘電率:5.7において、(数2)、(数3)及び(数6)、(数7)から算出したものである。図3において、横軸はアンテナからの距離を波長で正規化して表したものである。図3より、アンテナから1波長以上離れた空間においては、微小ダイポールアンテナと微小ループアンテナの電界と磁界の比率はほぼ同一値を取ることが分かる。これは、アンテナから1波長以上離れた空間では、(数2)、(数3)及び(数6)、(数7)における1/rの有効電力成分が主流となり、1/r2及び1/r3の無効電力成分が放射に寄与している有効電力に比べて極めて小さい事を意味している。一方、アンテナから1波長以内の空間、特に0.3波長以内の空間においては、様相が一変する。微小ダイポールアンテナに関しては、アンテナに近づくにつれて電界Eの比率が指数関数的に増加する。また、微小ループアンテナの場合には、アンテナに近づくにつれて磁界Hの比率が指数関数的に増加してゆく。これは、アンテナ近傍においてアンテナからの距離に最も大きな感度を持つ1/r3の項を、微小ダイポールアンテナは電界Eが有しており((数1)、(数2)参照)、微小ループアンテナは磁界Hが有している((数5)、(数6)参照)為である。
【0029】
ここで、着目すべき点は、ラジオカプセルが人体内に留置される点である。前述の通り、人体は大きなロスを持った誘電体と考える事ができるが(脂肪の300MHzにおける比誘電率:5.7、tanδ:0.73)、磁性体としては扱われない点である(磁性体として敢えて人体を考えた場合、比透磁率はほぼ1、tanδはほぼ0とみなされる)。つまり、人体において、電界に関しては極めて大きな減衰を生じてしまうが、磁界の場合は、人体による減衰をほとんど考える必要がない。
【0030】
故に、人体内部に留置されるラジオカプセル内のアンテナについては、アンテナ周囲のE/Hの値が小さなアンテナを使用することにより、1/r2及び1/r3の無効電力成分が人体により減衰する割合を低減する事が可能になる事が分かる。よって、本発明におけるラジオカプセル送受信システムのラジオカプセルに内蔵されるアンテナには、微小ループアンテナのような性質を有する磁流型アンテナを用いている。これにより、ラジオカプセルに内蔵されるアンテナの放射効率を極めて大きく向上させることが可能となり、結果として、ラジオカプセルの送信電力を大きく低減でき、電池サイズの縮小化、ラジオカプセルの動作時間の長期化を図る事が可能となる。
【0031】
図3より、アンテナから0.3波長程度離れるとE/Hのカーブの傾きが緩やかになり、定常値に近づいているのが分かる。そこで、人体内に留置されるラジオカプセルと体外ユニット間の距離が約10cmであることを考えると、0.3波長が10cmとなる約1GHz以下の周波数を無線通信に使用すれば、アンテナ間伝搬損を効果的に低減できる。
【0032】
次に、体外ユニットを構成するアンテナに磁流型アンテナを用いることにより、ラジオカプセルと体外ユニット間の通過損を低減できる理由を述べる。
【0033】
上述したが、ラジオカプセルと体外ユニットのアンテナ間距離は約10cm以内と極めて近距離である。今、ラジオカプセルと体外ユニット間を周波数300MHzで無線通信を行う場合、ラジオカプセルと体外ユニットのアンテナ間距離は、0.1波長以下となる。図3からも分かるように、0.1波長以内の空間においては、微小ダイポールアンテナに比べて微小ループアンテナ(磁流型アンテナ)の磁界Hの比率は極めて高いことが分かる。つまり、体外ユニットのアンテナについても、0.1波長以内の領域において磁界Hに対する感度が高い磁流型アンテナを採用した方が、受信電力を大きくできることが分かる。
【0034】
図4に、体外ユニットのアンテナに電流型アンテナであるダイポールアンテナを使用した場合と磁流型アンテナであるループアンテナを使用した場合の、ラジオカプセルから体外ユニット間の通過損をモーメント法シミュレーション(シミュレータ:Ie3d,Zeland社)により導出した結果を示す。このシミュレーションにおける人体モデルは、比誘電率:5.7、tanδ:0.73の誘電体で表現した。人体モデルの厚みは150mm、100mm、50mmの3種で検討を行い、ラジオカプセル側のアンテナは人体モデルの厚み方向の中間位置に配置した。また、ラジオカプセル側のアンテナには、磁流型アンテナであるループアンテナを用いた。更に、アンテナ間通過損の値は、ラジオカプセル側のループアンテナの向きにより変化するため、直交するX,Y,Z軸の3軸方向にループアンテナをそれぞれ置いた場合の通過損を導出し、それらの平均値を図4に示した。
【0035】
図4より、体外ユニットのアンテナとして磁流型アンテナであるループアンテナを用いた場合に、電流型アンテナであるダイポールアンテナを用いた場合に比べてアンテナ間の通過損を大きく低減できる事が分かる。
【発明の効果】
【0036】
以上の理由より、ラジオカプセルに内蔵されるアンテナ、体外ユニットを構成するアンテナ共に、磁流型アンテナを採用する事により、人体を介した無線通信時のアンテナ間通過損を著しく低減する事が可能となる。その結果、ラジオカプセル及び体外ユニットの送信出力を低減する事が可能となる事から、ラジオカプセル及び体外ユニットの電源を小さいものに変更することが可能となり、ラジオカプセル及び体外ユニットの小型化、軽量化、動作時間の長期化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
(実施の形態1)
図5(a)及び図5(b)は、本発明の体外ユニットのブロック図である。
【0038】
図5(a)は、ラジオカプセルと体外ユニットの間で双方向の信号のやり取りを行うことを想定した体外ユニットのブロック図である。ラジオカプセルから送信された信号は複数のアンテナをアレイ状に並べて構成されたアンテナユニット1で受信されることになるが、どのアンテナを受信アンテナとして選択するかは、アンテナ切り替えスイッチ2において各アンテナが受信した電力値を比較して、決定される。受信電力が最大となるアンテナから得られた受信信号は、受信モジュール3に送られ、ダウンコンバージョンされた後、復調されて、ラジオカプセルが得た生体情報が体外ユニットにおいて復元される事となる。この生体情報は、一時的にメモリ4に記録され、一定時間経過後、外部のパソコン等により吸い上げられ、生体情報の分析を行う事となる。また、ラジオカプセルにコントロール信号を送信する場合、コントロール信号は、送信モジュールにおいて、無線通信を行いやすい形に変換された後、アンテナ切り替えスイッチにおいて選択された最適なアンテナによりラジオカプセルに送信される。本ブロック図においては、複数のアンテナをアレイ状に配置したアンテナユニットにより体外ユニットを構成したが、単数のアンテナで構成し、アンテナ切り替えスイッチを削除した構成にしても良い。
【0039】
図5(b)は、ラジオカプセルからの生体情報を体外ユニットにおいて受信のみ行う場合の体外ユニットのブロック図である。ラジオカプセルからの信号を単数のアンテナにて構成されたアンテナユニット1により受信し、その受信信号を受信モジュール3においてダウンコンバージョンし、復調することによりラジオカプセルが得た生体情報が体外ユニットにおいて復元される事となる。図5(a)の場合と異なり、アンテナユニットが単数のアンテナにより構成されているため、アンテナユニット1と受信モジュール3を結ぶ同軸ケーブルの本数が1本ですみ、装着感向上、軽量化を図ることが可能となる。但し、ラジオカプセルの体内位置により、体外ユニットのアンテナが良好な受信電力を確保できない場合には、複数のアンテナをアレイ化したアンテナユニットを用いた方が良い。
【0040】
図5(a)の送受信ユニット7及び図5(b)の受信ユニット8は、アンテナユニット1と分離して構成することもできる。コルセットや衣服にはアンテナユニット1のみを装着し、送受信ユニット7及び受信ユニット8は腰にベルト等により固定することで、コルセットや衣服の重量を下げる事ができ、人の装着感が向上する。人が体外ユニットを装着した様子を図6及び図7に示す。
【0041】
図6は、シャツにアンテナユニット1を装着した場合を示す。ラジオカプセルにより生体情報を得ることを考えている体内部位を覆うようにアンテナユニット1が配設されており、このアンテナユニット1の設置位置は、シャツ9の人体に対して内側、外側のどちらでも良い。但し、シャツ9の人体に対して内側に設置する場合は、シャツ9に設けられたポケット等にアンテナを挿入して保持し、人体に直接的にアンテナユニット1が取り付けられることがないようにする。アンテナユニット1と送受信ユニット7は同軸ケーブル10で接続されると共に、送受信ユニット7はベルト11により、腰に固定される。
【0042】
このようにシャツにアンテナユニット1を取り付けた場合には、アンテナユニット1が直接的に人体に密着設置されないため、体外ユニットを長時間装着した場合の人の負担、装着感を向上させることができる。
【0043】
図7は、コルセット12にアンテナユニット1を装着した場合を示す。図6のシャツの場合と同様に、ラジオカプセルにより生体情報を得ることを考えている体内部位を覆うようにアンテナユニット1が配設されており、このアンテナユニット1の設置位置は、コルセット12の人体に対して内側、外側のどちらでも良い。アンテナユニット1と送受信ユニット7は同軸ケーブル10で接続されると共に、送受信ユニット7はベルト11により、腰に固定される。
【0044】
コルセット12にアンテナユニット1を設置した場合には、人の体形に合わせてコルセットの締め方を随時調整可能であるため、人体とアンテナユニットの間のギャップ幅が刻一刻と変化することが無く、人体とアンテナユニットの間の距離が変わることによるアンテナインピーダンスの変化を防止する事ができる。
【0045】
図8(a)〜図8(c)において、アンテナユニット1のシャツ9又はコルセット12への取り付け方法の一例が示されている。図8(a)はコルセット12の人体に対して内側にポケット14を設け、そのポケット14にアンテナユニット1を構成するアンテナ13を挿入する様子を示したものである。ポケット14に挿入固定するような方法を採用し、アンテナユニット1や同軸ケーブル10を随時取り外す事ができれば、コルセット12やシャツ9を容易に洗濯することが可能となる。
【0046】
ポケット14にアンテナ13が配置されている状態におけるポケット14の断面図を図8(b)に示す。アンテナ13は詳細を記載していないが、磁流型アンテナを樹脂ケースでカバーしたものである。コルセット12を装着した時の装着感を向上させるため、アンテナ13に接するポケット14には緩衝材15が設けられている。また、アンテナ13がポケット14の内部で移動しないように、ポケット14のふたはマジックテープ(登録商標)16で閉じられている。アンテナ13から伸びる同軸ケーブル10は、コルセット12に設けられた貫通穴17を通して人体に対して外側に引き回される。その様子を図8(c)に示す。図8(c)は人体に対して外側からコルセット12を外観した図である。貫通穴17から引き出された同軸ケーブル10は、同軸ケーブル留め治具18でコルセット12の表面に固定されながら、送受信ユニット又は受信ユニットまで引き回され、接続される。同軸ケーブル10をコルセット12の人体側表面に引き回すと、コルセットの装着感が損なわれる可能性があるためである。尚、図8(c)において図示してはいないが、面状の導体に関しては、人体に対して同軸ケーブル10の更に外側に配置するのが好ましい。同軸ケーブルに対する外部からのノイズの影響を面状の導体により低減することが可能となるためである。
【0047】
図8(a)〜図8(c)においては、コルセット12の人体側にポケット14を設け、アンテナ13を配置したが、人体に対してコルセット12の外側表面にポケット14を設けても問題ない。こうする事により、体外ユニットを装着した時の人体装着感が向上する。また、アンテナ13のコルセット12又はシャツ9への取り付け方法は、ポケット14を設けて挿入する方法以外に、マジックテープ(登録商標)等で取り付けても良い。
【0048】
図9にシャツ9又はコルセット12へアンテナユニットを取り付けるための別の方法を示す。これは、布等の形状が柔軟に変化する材料から成るアンテナユニット取り付け治具19の表面にポケット14を設け、そこにアンテナユニット1を構成するアンテナ13を挿入し、固定する。そして、このアンテナユニット取付け治具19を、マジックテープ(登録商標)等の固定治具を介してシャツ9又はコルセット12に取り付けるものである。このような方法でアンテナユニット1をシャツ9又はコルセット12に固定できれば、人の体型によるアンテナユニット1の位置調整を容易に行う事が可能となると共に、洗濯時のアンテナユニット1の取り外しが容易になる。
【0049】
(実施の形態2)
図10は、本発明のラジオカプセル送受信システムを示した断面図である。人体20の腹部内部に留置されたラジオカプセル21の中に、磁流型アンテナであるラジオカプセル側ループアンテナ22が設けられている。人体20の腹側には、アンテナユニット1を構成する対外ユニット側ループアンテナ23が、シャツ9の人体側に設けられた第1のポケット26の中に挿入され、固定されている。腹側に体外ユニット側ループアンテナ23を設置したのは、tanδの高く通過損の大きい筋肉が背中に比べて腹側は少なく、アンテナ間通過損を低減できるためである。
【0050】
人体20の背中側に設けられた第3のポケット28の中には第2の面状の導体25が設置されると共に、第1の面状の導体24が、シャツ9の人体に対して外側に設けられた第2のポケット27に挿入され、体外ユニット側ループアンテナ23を覆うように設置されている。第1の面状の導体24及び第2の面状の導体25を図10に示すように配置する事により、ラジオカプセル側ループアンテナ22と体外ユニット側ループアンテナ23の間の通過損を低減する事が可能となる。そのメカニズムを図11(a)、図11(b)、図11(c)に示す。
【0051】
図11(a)は、人体20の内部に留置されたラジオカプセル21に内蔵されたラジオカプセル側ループアンテナ22の近傍の電界・磁界の流れを示した概略図であり、電界・磁界の放射パターンを表すものではない。図11(a)において、ラジオカプセル側ループアンテナ22から体外ユニット側ループアンテナ23への信号の無線送信において利用される電界・磁界は、ラジオカプセル側ループアンテナ22から体外ユニット側ループアンテナ23へ向かう1/rの項の電界・磁界と1/r2、1/r3の項の電界・磁界である。ラジオカプセル側ループアンテナ22から体外ユニット側ループアンテナ23へ向かう方向以外の方向へ放射される1/rの項の電界・磁界に関しては、無線通信に利用されず、通過損の一部となる。そこで、図11(b)に示すように、第1の面状の導体24を設置すると、これまで無線通信に利用されていなかったラジオカプセル側ループアンテナ22から放射された1/rの項の電界・磁界により第1の面状の導体24に誘起電流I1が流れ、この誘起電流により再放射された電界・磁界の一部(図11(b)中の点線矢印)を体外ユニット側ループアンテナ23が受信する事により、通過損の低減を図ることが可能となる。図11(c)においては更に、体外ユニット側ループアンテナ23の人体に対して外側にも第2の面状の導体25を配置した実施の形態を示す。本実施の形態においても、図11(b)の場合と同様に、これまで無線通信に利用されていなかったラジオカプセル側ループアンテナ22から放射された1/rの項の電界・磁界により第2の面状の導体25にも誘起電流I2が流れ、この誘起電流により再放射された電界・磁界の一部(図11(c)中の点線矢印)を体外ユニット側ループアンテナ23が受信する事により、通過損の更なる低減を図ることが可能となる。又、第2の面状の導体25により、体外ユニット側ループアンテナ23が外部からのノイズを受信しにくくなるため、良好な通信品質を実現できる。
【0052】
図10においては、面状の導体を腹側、背中側の両方に設置したが、一方のみに設置しても良い事は言うまでも無い。また、図10においては、面状の導体をポケットに挿入する事で固定したが、マジックテープ(登録商標)やフォック等の脱着機構を用いて固定してもよい。また、面状の導体を用いる代わりに、シャツ9自体の繊維に導電性を持たせても良い。第2のポケット27及び第3のポケット28を無くすことができると共に、第1の面状の導体24及び第2の面状の導体25に柔軟性を持たせることができ、体外ユニットの装着感を向上させることができる。また、シャツに面状の導体を取り付ける手間を削減することができる。但し、体外ユニット側ループアンテナ23の人体と接する面には、導電性の繊維が使用されないように配慮する必要がある。ラジオカプセル側ループアンテナ22と体外ユニット側ループアンテナ23の間の通過損が劣化するためである。
【0053】
図10においては、体外ユニット側のアンテナをループアンテナで構成したが、マイクロストリップアンテナや板状逆Fアンテナを用いてもよい。但し、ループアンテナは、アンテナ部分のみでバランス動作しているため、アンテナから伸びる同軸ケーブルのグランド部分に放射に寄与する電流が分布することがないため、体外ノイズの影響を低減できるという有利な点がある。
【0054】
図12は、体外ユニット側のアンテナに磁流型アンテナの一種である板状逆Fアンテナを使用した場合の実施の形態を示したものである。背中側に設置された面状の導体30はコルセット12にマジックテープ(登録商標)で固定されている。尚、面状の導体30を設置する代わりに、コルセット12の生地全体に導電性の繊維を貼付けておいても良い。但し、板状逆Fアンテナ29の人体と接する面には、導電性の繊維が使用されないように配慮する必要がある。ラジオカプセル側ループアンテナ22と板状逆Fアンテナ29の間の通過損が劣化するためである。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明にかかるラジオカプセル送受信ユニットは、アンテナ間通過損を大幅に低減する事ができる。その結果、ラジオカプセルに内蔵される電池サイズを小さくする事ができ、ラジオカプセル自体の小型化が図れると共に、ラジオカプセルの使用時間の長期化をも図れるという効果を有している。また、体外ユニットを構成するアンテナをシャツ、コルセット等の衣服に配置する事で、アンテナを直接人体に張付ける事を回避でき、体外ユニットの装着間を向上させることができ、人が長時間、体外ユニットを装着しても、苦痛を与える事は無い。このようなことから当該発明は、小型のラジオカプセルを人が飲む事で人体内部の生体情報を容易に取得できるカプセル内視鏡等の医療機器に用いるのに最適である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】微小ループアンテナモデル図
【図2】微小ダイポールアンテナモデル図
【図3】E/Hのアンテナからの距離変化を示すグラフ
【図4】体外アンテナを変更したときのアンテナ間通過損を示す図
【図5】(a)、(b)体外ユニットのブロック図
【図6】シャツに体外ユニットを装着した図
【図7】コルセットに体外ユニットを装着した図
【図8】(a)アンテナ設置方法を示す上面斜視図、(b)アンテナ設置方法を示す断面図、(c)アンテナ設置方法を示す背面斜視図
【図9】アンテナ設置方法を示す上面図
【図10】本発明のラジオカプセル送受信システム例を示す断面図
【図11】(a)、(b)、(c)ラジオカプセル側アンテナ周囲の電界・磁界の流れの概略を示す図
【図12】本発明のラジオカプセル送受信システム例を示す断面図
【図13】従来の体外ユニットの図
【図14】従来のラジオカプセルの図
【符号の説明】
【0057】
1 アンテナユニット
2 アンテナ切り替えスイッチ
3 受信モジュール
4 メモリ
5 送信モジュール
6 電池
7 送受信ユニット
8 受信ユニット
9 シャツ
12 コルセット
21 ラジオカプセル
22 ラジオカプセル側ループアンテナ
23 体外ユニット側ループアンテナ
24 第1の面状の導体
25 第2の面状の導体
29 板状逆Fアンテナ
100 体外ユニット
101 アンテナ
102 受信モジュール
103 メモリ
104 電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報を検出するセンサ、及びこのセンサによって検出された前記生体情報を磁流型アンテナにより送信する送信器を有するラジオカプセルと、
このラジオカプセルの前記磁流型アンテナから送信される信号を受信する磁流型アンテナを有する体外ユニットとを備えたラジオカプセル送受信システム。
【請求項2】
請求項1に記載のラジオカプセル送受信システムにおける前記体外ユニットであって、
前記体外ユニットを構成する前記磁流型アンテナが配置される位置を除く場所に面状の導体を有する体外ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載のラジオカプセル送受信システムにおける前記体外ユニットであって、
人体に対し、前記体外ユニットを構成する前記磁流型アンテナが配置される位置の外側を覆う状態で面状の導体が配置された体外ユニット。
【請求項4】
請求項1に記載のラジオカプセル送受信システムにおける前記体外ユニットであって、
前記ラジオカプセルに内蔵された前記磁流型アンテナ及び前記体外ユニットの前記磁流型アンテナが、ループアンテナ又はマイクロストリップアンテナ又は板状逆Fアンテナにより構成された体外ユニット。
【請求項5】
請求項1に記載のラジオカプセル送受信システムにおける前記体外ユニットであって、
コルセット又は衣服に配置された体外ユニット。
【請求項6】
コルセット又は衣服に前記面状の導体が配置された請求項2または請求項3に記載の体外ユニット。
【請求項7】
前記面状の導体が導電性を有する繊維により織られた導電性生地により構成された請求項2または請求項3に記載の体外ユニット。
【請求項8】
前記体外ユニットの前記磁流型アンテナは、前記コルセット又は前記衣服に取り外し可能な構成で配置された請求項5に記載の体外ユニット。
【請求項9】
前記コルセット又は前記衣服及び前記面状の導体に脱着機構が設けられた請求項6に記載の体外ユニット。
【請求項10】
前記体外ユニットを構成する前記磁流型アンテナと送受信ユニット又は受信ユニットとを接続するケーブルが、人体に対して前記コルセット又は前記衣服の外側に引き回された請求項6に記載の体外ユニット。
【請求項11】
前記体外ユニットを構成する前記磁流型アンテナと送受信ユニット又は受信ユニットとを接続するケーブルが、人体からみて面状の導体の内側を引き回された請求項6に記載の体外ユニット。
【請求項12】
前記ラジオカプセルと前記体外ユニットの無線による信号のやり取りに1GHz以下の周波数の信号が使用された請求項1に記載のラジオカプセル送受信システム。
【請求項1】
生体情報を検出するセンサ、及びこのセンサによって検出された前記生体情報を磁流型アンテナにより送信する送信器を有するラジオカプセルと、
このラジオカプセルの前記磁流型アンテナから送信される信号を受信する磁流型アンテナを有する体外ユニットとを備えたラジオカプセル送受信システム。
【請求項2】
請求項1に記載のラジオカプセル送受信システムにおける前記体外ユニットであって、
前記体外ユニットを構成する前記磁流型アンテナが配置される位置を除く場所に面状の導体を有する体外ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載のラジオカプセル送受信システムにおける前記体外ユニットであって、
人体に対し、前記体外ユニットを構成する前記磁流型アンテナが配置される位置の外側を覆う状態で面状の導体が配置された体外ユニット。
【請求項4】
請求項1に記載のラジオカプセル送受信システムにおける前記体外ユニットであって、
前記ラジオカプセルに内蔵された前記磁流型アンテナ及び前記体外ユニットの前記磁流型アンテナが、ループアンテナ又はマイクロストリップアンテナ又は板状逆Fアンテナにより構成された体外ユニット。
【請求項5】
請求項1に記載のラジオカプセル送受信システムにおける前記体外ユニットであって、
コルセット又は衣服に配置された体外ユニット。
【請求項6】
コルセット又は衣服に前記面状の導体が配置された請求項2または請求項3に記載の体外ユニット。
【請求項7】
前記面状の導体が導電性を有する繊維により織られた導電性生地により構成された請求項2または請求項3に記載の体外ユニット。
【請求項8】
前記体外ユニットの前記磁流型アンテナは、前記コルセット又は前記衣服に取り外し可能な構成で配置された請求項5に記載の体外ユニット。
【請求項9】
前記コルセット又は前記衣服及び前記面状の導体に脱着機構が設けられた請求項6に記載の体外ユニット。
【請求項10】
前記体外ユニットを構成する前記磁流型アンテナと送受信ユニット又は受信ユニットとを接続するケーブルが、人体に対して前記コルセット又は前記衣服の外側に引き回された請求項6に記載の体外ユニット。
【請求項11】
前記体外ユニットを構成する前記磁流型アンテナと送受信ユニット又は受信ユニットとを接続するケーブルが、人体からみて面状の導体の内側を引き回された請求項6に記載の体外ユニット。
【請求項12】
前記ラジオカプセルと前記体外ユニットの無線による信号のやり取りに1GHz以下の周波数の信号が使用された請求項1に記載のラジオカプセル送受信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−54474(P2007−54474A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−245610(P2005−245610)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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