説明

ラジオコントロール自動車

【課題】実車のデザインを壊すことや使用者に対するコストの増加を強いることなく、複数種類のボディを装着できるシャーシを備えるラジオコントロール自動車を提供する。
【解決手段】前輪が連結される前輪軸と、後輪が連結される後輪軸と、前記前輪軸と前記後輪軸とを支持しボディが装着されるシャーシと、ホイールベースの寸法を調整するための調整手段と、を備えることを特徴とするラジオコントロール自動車。さらに、前記前輪を駆動するためのドライブモータと、前記前輪の操舵を行うためのステアリング機構と、前記ステアリング機構を駆動するステアリングモータと、を備え、前記ドライブモータと、前記ステアリング機構と、前記ステアリングモータとは、前記シャーシの、前記後輪よりも前記前輪に近い位置に配置されることを特徴とするラジオコントロール自動車。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジオコントロール自動車に関し、特に、ホイールベースを調整可能なシャーシを備えるラジオコントロール自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のラジオコントロール自動車(以下、ラジコン自動車と称す。)の駆動方式は、実車と異なり、RR(リアエンジン(モータ)・リアドライブ方式)の2WD(2輪駆動)及びミッドシップ型の4WD(4輪駆動)(特許文献1参照。)等が主流である。これらのタイプは、ボディ後部側、すなわち後輪側にモータ等の動力源が配される。この場合、前輪の操舵を行うサーボモータは、前輪の近傍に配されるため、後輪側に走行用のドライブモータと、前輪側に操舵用のステアリングモータとが分散されて配置されることになる。
【0003】
さらに、ラジコン自動車のボディにおいては、実車のボディをスケールダウンしてシャーシ上に配したものと、架空の外観を造形したボディをシャーシ上に配したものが存在する。
【0004】
前者の実車をスケールダウンしたボディにおいては、各車、前輪軸と後輪軸との間の距離であるホイールベースが決まっており、そのホイールベースにあわせてボディを開発する必要があった。従って、各車のホイールベースが異なるため、あるボディに対応させて、新しくラジコン自動車用のシャーシを開発した場合であっても、ホイールベースの異なる他の車のボディを、当該シャーシに配することが出来なかった。そのため、ラジコン自動車の使用者は、種々のラジコン自動車を使用する際には、ホイールベースが異なるボディ毎にシャーシを用意するか、ホイールベースの異なるボディが共通のシャーシに適合するように、実車のデザインを変形したボディを用いることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−29139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、複数種類のシャーシを用意するには、コストの増加が避けられず、ボディのデザイン変更においては実車の雰囲気が奪われたりするといったことが危惧されていた。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、実車の雰囲気を損なうことや使用者に対しコストの増加を強いることなく、複数種類のボディを装着できるシャーシを備えるラジオコントロール自動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明のラジオコントロール自動車は、前輪が連結される前輪軸と、後輪が連結される後輪軸と、前記前輪軸と前記後輪軸とを支持しボディが装着されるシャーシと、ホイールベースの寸法を調整するための調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のラジオコントロール自動車は、さらに、前記前輪を駆動するためのドライブモータと、前記前輪の操舵を行うためのステアリング機構と、前記ステアリング機構を駆動するステアリングモータと、を備え、前記ドライブモータと、前記ステアリング機構と、前記ステアリングモータとは、前記シャーシの、前記後輪よりも前記前輪に近い位置に配置されることを特徴とする。
【0010】
本発明のラジオコントロール自動車は、前記シャーシは、前記前輪軸が支持される前方シャーシと前記後輪が支持される後方シャーシとから構成され、前記調整手段は、前記後方シャーシに設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明のラジオコントロール自動車は、前記調整手段は、前記シャーシに設けられた、前記後輪軸を支持する複数の溝であることを特徴とする。
【0012】
本発明のラジオコントロール自動車は、前記後方シャーシは、中空部材から構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明のラジオコントロール自動車は、前記後輪軸を支持するシャフト支持部が、可撓性を有する部材から構成され、前記後方シャーシに設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明のラジオコントロール自動車は、前記後輪軸に装着される2つの後輪は、前記後輪軸に対してそれぞれ独立して回転可能であることを特徴とする。
【0015】
本発明のラジオコントロール自動車は、前記ドライブモータと前記ステアリングモータとは、回転軸線が互いに平行で、前記シャーシの幅方向に並置されていることを特徴とする。
【0016】
本発明のラジオコントロール自動車は、前記シャーシは、前記前輪軸が支持される前方シャーシと前記後輪が支持される後方シャーシとから構成され、前記調整手段は、前記前方シャーシと前記後方シャーシとの間に介在するスペーサであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シャーシにホイールベースを変更できる調整手段を設けることで、実車の雰囲気を損なうことなく、ホイールベースの異なる種々のボディを共通のシャーシに装着できるラジオコントロール自動車を実現できる。さらに、ホイールベースの異なるボディ毎にシャーシを用意する必要がないので、ラジオコントロール自動車のコストの増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係るラジコン自動車と送信機の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示されたラジコン自動車からボディを取り外した状態のシャーシの斜視図であって、シャーシカバーを展開し、左側前輪を取り外したものである。
【図3】図2に示された前方シャーシの駆動系を示す部分斜視図であって、左側のカップリング部材及びナックルを展開したものである。
【図4】(a)は、補正ロッドの斜視図であり、(b)は、補正ロッドとタイロッドとねじりコイルばねとの位置関係を示す斜視図である。
【図5】シャーシの裏面の斜視図であって、バッテリーカバーを展開したものである。
【図6】図2に示された後方シャーシを上方から見た斜視図である。
【図7】図2に示された後方シャーシを下方から見た斜視図であって、右側後輪を取り外したものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態に係るラジオコントロール自動車1について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態に係るラジコン自動車1と送信機3の外観を示す斜視図であり、図2は、図1に示されたラジコン自動車からボディを取り外した状態のシャーシの斜視図であって、シャーシカバーを展開し、左側前輪を取り外したものである。図3は、図2に示された前方シャーシの駆動系を示す部分斜視図であって、左側のカップリング部材及びナックルを展開したものである。図4(a)は、補正ロッド61の斜視図であり、図4(b)は、補正ロッド61とタイロッド55とねじりコイルばね64との位置関係を示す斜視図であり、図5は、シャーシの裏面の斜視図であって、バッテリーカバーを展開したものである。図6は、図2に示された後方シャーシ7bを上方から見た斜視図であり、図7は、図2に示された後方シャーシを下方から見た斜視図であって、右側後輪を取り外したものである。
【0020】
図1に示されるように、ラジコン自動車1は、ボディ5と、衝突の衝撃を吸収するためのバンパー6が先端に装着されたシャーシ7(図2等参照。)とを備える。使用者が送信機3のスティック状の操作部(操舵スティック3a、スピードスティック3b)を操作すると、送信機3から制御信号が無線送信される。制御信号は、ラジコン自動車1に内蔵されている受信機13(図2等参照。)により受信され、ドライブモータ23及びステアリングモータ27が作動し、操作者の意図するようにラジコン自動車1が走行する。なお、送信機3については、従来型の前後進及び左右操舵の2系統のものを使用可能である。
【0021】
図2を用いて、ラジコン自動車1のシャーシ7の構成について説明する。シャーシ7は、前方シャーシ7aと前方シャーシ7aに連結される後方シャーシ7bとから構成される。前方シャーシ7aには、前輪9(ホイール9a及びタイヤ9b)、前輪軸35、操舵機構11、受信機13、及びバッテリー15(図5参照。)等が配置される。後方シャーシ7bには、後輪17(ホイール17a及びタイヤ17b)及び後輪軸19等が配置される。
【0022】
前方シャーシ7aの構成について詳細に説明する。前方シャーシ7は、主として、前輪9を駆動するためのドライブモータ23と、操舵機構11を駆動するためのステアリングモータ27とが配置され、シャーシカバー14がねじ留めされる前方領域8aと、受信機13及びバッテリー15が配置され、後方シャーシ7bに隣接する中央領域8bと、を有する。なお、シャーシカバー14は、円柱状のボディサポート89を備え、ボディサポート89には、先端にボディ5を留めるスナップピン90(図1参照)を通す穴89aが設けられている。
【0023】
図3に示すように、ドライブモータ23及びステアリングモータ27の回転軸23a、27aの回転軸線が、シャーシ7の長手方向に平行で、両回転軸23、27aが同じ向きに突出するように、両モータ23、27がシャーシ7の幅方向に並置されている。このように両モータ23、27を配置することで、両モータ23、27への電気配線を簡素化できる。また、両モータ23、27がシャーシ7の幅方向に並置されることにより、シャーシ7における左右の重量バランスが近接し、ラジコン自動車1の直進性が向上できる。
【0024】
ドライブモータ23の回転軸23aにはドライブモータピニオンギア28が装着されている。ドライブモータピニオンギア28は、ドライブモータ23の回転軸23aに対してほぼ垂直(シャーシ7の短手方向)に延びる、回転可能に前方シャーシ7aに支持されているドライブ中間ギアシャフト29に装着されているドライブ中間ギア31のクラウンギア31aに噛合している。さらに、クラウンギア31aのギア部が突出する方向に対向する側には、クラウンギア31aと同軸で一体構成され、ともにドライブ中間ギア31を構成するピニオンギア31bがドライブ中間ギアシャフト29に装着されている。ピニオンギア31bは、前輪軸35に固定されているスパーギア、すなわちドライブギア37に噛合する。
【0025】
図3に示すように、前輪軸35の両端部には、6角ドライブジョイント41が装着されている。6角ドライブジョイント41は、略楕円体の部材の外周面に、等角度間隔に6つの溝を刻設したものである。また、6角ドライブジョイント41は、その溝に係合する突起部が設けられた収容穴42bに挿入されカップリング部材42に装着される。従って、カップリング部材42は、ホイールシャフト42aを有し、6角ドライブジョイント41がカップリング部材42の収容穴42bに挿入されると、6角ドライブジョイント41の回転力がカップリング部材42に伝達される。
【0026】
6角ドライブジョイント41を用いることにより、カップリング部材42との接触面積を比較的大きくとることができ、回転力の伝達に伴う負荷を分散させることができるとともに、伝達効率を高めることができる。結果として、従来から使用されている2点接触を前提としたシャフトとカップとにより動力が伝達されるジョイント構造に比較して耐久性を向上させることができる。従って、伝達効率及び耐久性の向上を図るべく、刻接するドライブジョイントの溝は、6つに限らず、3つ(3角)、8つ(8角)等、適宜選択可能である。
【0027】
カップリング部材42は、ナックルアーム44aを有するナックル44に固定されると、ホイールシャフト42aが、ナックル44から突出する。この突出した状態のホイールシャフト42aに、前輪9のタイヤ9bが装着されているホイール9aを固定する。また、ナックル44には、前輪軸35に対して垂直方向に延びるキングピン48が装着されている。このように、キングピン48の長手方向軸線が、6角ドライブシャフト41の中心を通るような位置関係とすることにより、前輪軸35の回転力を前輪9に伝達させる機構を簡素化できるとともに、回転力の伝達損失を抑えることができる。
【0028】
キングピン48の上部及び下部は、それぞれ、シャーシカバー14の貫通孔14a及び前方シャーシ7aの貫通孔8に支持されて、キングピン48を回転軸としてナックル44が後輪軸35に対して向きを変えられる構成である。また、ナックルアーム44aは、略L字形状であり、キングピン48の上部近傍からシャーシ7の後方に向かい延び、鉛直方向上方に屈曲している。従って、ナックルアーム44aをキングピン48の回りに揺動することにより、後輪9の後輪軸35に対する角度が変更できる。
【0029】
このように、ドライブモータ23の回転軸23aからの回転力は、ドライブモータピニオンギア28、ドライブ中間ギア31(クラウンギア31a、ピニオンギア31b)、ドライブギア37、前輪軸35、カップリング部材42(ホイールシャフト42a)を介して、前輪9のホイール(9a)に伝達され、前輪9(タイヤ9b)が回転する。
【0030】
図3に示すように、ステアリングモータ27の回転軸27aは、遠心クラッチ39a(クラッチ内部は不図示)とピニオンギア39bとが同軸で一体構成されたクラッチケースギア39に連結している。さらに、図2に示すように、クラッチケースギア43を構成するピニオンギア39bは、回転軸27aに対してほぼ垂直に延在するステアリング中間ギアシャフト46に回転自在に固定されているステアリング中間ギア45のクラウンギア45aに噛合している。ここでステアリング中間ギア45は、同軸で一体構成されたクラウンギア45a及びピニオンギア45bからなり、クラウンギア45aのギア部が突出する方向と対向する側に、ピニオンギア45bがステアリング中間シャフト46にともに装着されている。
【0031】
さらに、ステアリング中間ギア45のピニオンギア45bは、ステアリング中間シャフト46と平行に延びるステアリングギアシャフト50に装着されるステアリングギア51のスパーギア51aに噛合する構成である。ここでステアリングギア51は、同軸で一体構成されたスパーギア51a及びピニオンギア51bからなり、ピニオンギア51bは、操舵機構11を構成するラックギア57と噛合する構成である。
【0032】
ここで、操舵機構11は、ラックギア57、前述した図3、4に示すラックギア57と一体で構成されているタイロッド55、キングピン48、ナックルアーム44aを有するナックル44と、から構成されている。タイロッド55の両端部に設けられたリング部55aには、前述した図3のナックルアーム44aが係合している。タイロッド55がシャーシ7の短手(幅)方向へ移動すると、ラジコン自動車1が左右に進むように前輪9が傾く。
【0033】
このように、相対的に重量の大きいモータ23、27等を前方シャーシ7aに配置することにより、シャーシ7の前輪9側の重量配分を大きくでき、駆動輪である前輪9の回転を効果的に地面に伝えることができ、ラジコン自動車1の前進性を向上できる。さらに、ステアリング回転力を伝達するためのギア等の動力伝達機構を小型化できる。
【0034】
本実施形態のように、ラジコン自動車1の重心を後輪17より前輪9の近くに配置することで、ラジコン自動車1を旋回させる際に、後輪17を滑らせることにより旋回半径を小さくできる。従って、タイヤ9b、17bのグリップ力を生かした通常のグリップ走行の他、ドリフトや、スピンといった特殊な走行形態を簡単に行えるラジコン自動車1を実現できる。特に、駆動輪が前輪9であり、横滑りするのが後輪17であることから、ドリフトや、スピン時にも操作不能に陥ることが防止される。そのため、ラジコン自動車1を走行させる場所自体、室内等の狭いスペースで、障害物等が存在する場合であっても、使用者は、ラジコン自動車1の旋回半径が小さいので走行を十分楽しむことができる。
【0035】
上記構成において、ステアリングモータ27の回転軸27aの回数数が所定値を越えると、クラッチケースギア39を構成する遠心クラッチ39aが繋がり、一体のピニオンギア39bに回転力が伝達され、ステアリング中間ギア45を構成するクラウンギア45a、一体のピニオンギア45b、ステアリングギア51を構成するスパーギア51a、一体のピニオンギア51b、ラックギア57に伝わり、ラックギア57と一体構成されたタイロッド55からナックル44を介して前輪9が左右を向く。なお、上述のように、タイロッド55は、ステアリングギアシャフト50の上端部に回転自在に配されたばね受けキャップ63の周囲に巻き回されたねじりコイルばね64の両端部64a、bにより、常に調整ツマミ61dにより調整したニュートラル位置に付勢されているので(図4(b)のy参照。)、送信機3の操舵スティック3aを操縦者が離した場合には、前輪9は、ニュートラル位置に戻る性向を示す。
【0036】
次に、補正機構59について説明する。補正機構59は、送信機3のステアリング操作部3bから手を離したときにラジコン自動車1が左右に偏らずに直進するように前輪9の向きを真っ直ぐにするために、タイロッド55の位置を補正する機構である。
【0037】
図4に示すように、補正機構59は、タイロッド55と、補正ロッド61と、ねじりコイルばね64とから構成される。タイロッド55の長手方向のほぼ中心位置に、鉛直方向上方に突出する突出部55bが設けられている。補正ロッド61は、円盤状の第1の連結部材61aと、第1の連結部材61aの裏面上であって第1の連結部材61aの中心から外周側にずれた位置から、鉛直方向下方に延びるロッド本体61bと、ロッド本体61bの下端部に第2の連結部材61cを介して連結され、前方シャーシ7aの裏面に露出する円柱状の調整ツマミ61d(図5参照。)と、第1の連結部材61cの表面上であってロッド本体61aの連結される位置から直径方向に対向する位置から、鉛直方向上方に延びる円柱形状のバネ係合部61eと、第1の連結部材61aとほぼ平行に延在する円盤状の第3の連結部材61fを介してバネ係合部61eに連結される、円柱状の支持部61gと、を備える。
【0038】
調整ツマミ61dが前方シャーシ7aの貫通孔62に支持され、支持部61gが前方シャーシカバー8に支持された状態では、互いに同心である調整ツマミ61dと支持部61gとの中心軸線を通る回転軸線xの回りに補正ロッド61が回転可能である。調整ロッド61を回転すると、バネ係合部61eは回転軸線xから所定変形の円弧を描くように回動する。
【0039】
また、ステアリングギア51のステアリングギアシャフト50には、前述の如くばね受けキャップ63を介してねじりコイルばね64が装着され、その両端部64a、64bは、タイロッド55の突起部55bを挟むように延在し、補正ロッド61のバネ係合部61eに到達している。なお、ねじりコイルばね63は、その両端部64a、64bが、互いに近づく方向に付勢するような状態で装着されている(図4(b)のy参照。)。従って、調整ツマミ61d(図4参照。)の窪み61hをマイナスドライバ等で所定量回転させバネ係合部61aを揺動させると、ねじりコイルばね64による締め付け力がタイロッド55の突起部55bに作用しているので、調整ツマミ61bの回転量に応じてバネ係合部61eが揺動し、タイロッド55が左右何れかに移動する。このように、補正機構59によりラジコン自動車1の直進性を補正することができる。また、補正ロッド61を構成する円盤状の第1の連結部材61aのバネ係合部61e側の先端部には、図4に示すように、貫通孔部61a2を介して三角形に構成された先端突部61a1が形成されており、シャーシ7の前方領域8aに固定された受け溝部66(図4(b)においてのみ図示)の何れかの溝に先端突部61a1が噛み合うことにより、調整ツマミ61bの回転に応じてクリック感を使用者に与えるとともに、調整ツマミ61bを含む補正ロッド61及びねじりコイルばね64を介して連動するタイロッド55をその調整位置に留め置くことが可能である。また、円盤状の第1の連結部材61aの貫通孔部61a2の存在によって発生する可撓性により、先端突部61a1が、受け溝部66の溝間の移動が容易となる。
【0040】
図5に示すように、後方シャーシ7bの裏面には、バッテリー15を保持するバッテリホルダ65が配置されている。本実施形態のラジコン自動車1は、バッテリー15(4つの単三電池)からの電力により、受信機13、ドライブモータ23、ステアリングモータ27とを作動させる。バッテリホルダ65は、前方シャーシ7aの中央領域8b(すなわち、シャーシ7のほぼ中央)に配置され、幅方向に4つのバッテリー15が並置されている。
【0041】
前方シャーシ7aを小型化するため、バッテリホルダ65には、段差が設けられている。すなわち、バッテリホルダ65の底面は、受信機13をシャーシ7の幅方向において挟むように配置される2つのバッテリー15が載置される領域に対して、残り2つの真中に配置される2つのバッテリー15が載置される領域が、受信機13の下方(図5中の上方)に位置づけられる構成である。バッテリホルダ65にバッテリー15を装填した後は、バッテリーカバー16を前方シャーシ7aの裏面にねじ止めしバッテリー15の落下を防止する。このバッテリホルダ65の段差によって、バッテリー15の載置面積を減少させ、かつ、受信機13をバッテリー15間に囲んで配することができるため、車体の小型化を図ることが可能である。
【0042】
図6、7に示すように、後方シャーシ7bは、その幅方向に延在し前方シャーシ7aの2つのフック部材72に係止される板状部材71を有する。さらに、板状部材71のほぼ中央には、位置決め用の突起70が設けられている。この突起70が、前述の2つのフック部材72の間にぴったり嵌まり込むことにより、前方シャーシ7aと後方シャーシ7bとを連結させた際、それらの幅方向に関する位置決めがなされる。なお、前方シャーシ7aに後方シャーシ7bを連結するために、板状部材71をフック72に収容した後、後方シャーシ7bの板状部材71の両端部に設けられたネジ留め部21の貫通孔にねじを通し、前方シャーシ17aに設けられた不図示のねじ穴にねじ留めする。
【0043】
また、板状部材71には、ほぼ同一平面上に延び、略コの字状に外側フレーム73が連結されている。外側フレーム73は、ほぼ平行に延在する一対の外側前方フレーム73a、その長さ方向の中間位置でシャーシ7の幅方向外方に突出するように屈曲する一対の外側後方フレーム73b、及び後端フレーム73cから構成され、それぞれ、鉛直方向に開口する円筒ジョイント75を介して連結されている。外側フレーム73は、その断面C字形状の中空部材で、鉛直方向上方に開口する部材である。
【0044】
外側後方フレーム73bのシャーシ7の幅方向内方には、外側後方フレーム73bの両端部が連結される円筒ジョイント75間を結ぶ内側フレーム77が延びている。
【0045】
また、シャーシ7の幅方向で対向する2つの内側フレーム77から等距離で、シャーシ7の長手方向の延びるシャフト支持部83が設けられている。シャフト支持部83は、下向きに凸となるような半円筒状の部材であり、シャフト後輪軸19の鉛直方向上方への移動を規制する。
【0046】
また、シャフト支持部83は、可撓性のあるL字状ビーム79により連結されている。L字状ビーム79は、内側フレーム77からシャーシ7の幅方向に所定寸法延び、シャーシ7の鉛直方向下方に屈曲し、シャフト支持部83に連結する。ここで、L字状ビーム79は、可撓性を備えるので、後輪軸19に伝わる衝撃を吸収するサスペンションとして機能する。
【0047】
さらに、内側フレーム77の下面には、鉛直方向下方に延びる板状の第1のスカート部81が連結している。第1のスカート部81の下縁部には、第2のスカート部87の一部が当接した状態で配置されている。第2のスカート部87の上縁部には、平行な2つの長辺部と、2つの長辺部の一端部を連結する円弧部と、により規定されるU字状の溝87aが設けれられている。後輪軸19の鉛直方向下方への移動は、溝87aを形成する円弧部により規制される。
【0048】
なお、第2のスカート部87の前方縁は、外側フレーム73や内側フレーム77と同じ中空部材である側部フレーム92により固定されている。側部フレーム92の一端部は、外側前方フレーム73aに連結され、他端部は、内側フレーム77に連結されている。第2のスカート部87の後方縁は、側部フレーム92と同様の中空部材である後部フレーム94に連結されている。後部フレーム94の両端部は、ボディサポート89が装着されている2つの円筒ジョイント75にそれぞれ連結されている。
【0049】
また、第2のスカート部87の隣り合う2つの溝87a、87aの間には、第2のスカート部87の内面に対して垂直であって、シャーシ7の幅方向内方に延びるリブ85が設けられる。このリブ85は、第2のスカート部87の剛性を確保するとともに、第1のスカート部81に第2のスカート部87を固定するための固定部として機能する。なお、前述したシャフト支持部83は、何れの溝87aに後輪軸19を挿入された状態であっても、後輪軸19を支持できる程度の長手方向長さを有する。従って、後輪軸19が挿入される溝87aの位置に拘わらず、シャフト支持部83は、サスペンション機能を奏する。溝87aの数や、隣り合う溝87aの間隔は適宜変更できる。
【0050】
このように、第2のスカート部87に溝87aを複数設けることにより、ホイールベースの異なる種々のボディを、シャーシ7に装着できる。よって、ホイールベースが異なるボディを有するラジコン自動車を得るために、当該ボディに適合するシャーシを別途用意する必要がない、汎用性の高いシャーシを実現できる。
【0051】
なお、後輪軸19のシャーシ7の長手(前後)方向への移動は、溝87aを構成する長辺部により規制される。また、本実施形態では、2つの長辺部の間の距離、すなわち、溝87aの幅は、後輪軸19が貫通できる程度に寸法付けされている。従って、後輪軸19は、シャフト支持部83、溝87aの円弧部、溝87aの直線部により支持される構成である。
【0052】
後端フレーム73cの両端部が連結される円筒ジョイント75は、それぞれ鉛直方向に延びる。円筒ジョイント75には、先端にボディ5を留めるスナップピン90(図1参照)を通す穴89aが設けられているボディサポート89が装着されている。また、図6中の右側に位置するボディサポート89の下部は、円筒状のアンテナ固定部99を支持する連結部99aが設けられており、アンテナ97(図1参照。)の固定が可能となっている。これによって、ボディサポート89を回転させることにより(図6のz参照。)、アンテナ固定部99も回転し、アンテナ97の位置を調整することが可能である。
【0053】
また、後輪17が装着されるホイール91のハブ91aが、円筒形状の後輪軸19の両端部に回転可能に嵌合している回転子19aに固定されている。従って、後輪軸19の回転子19aにホイール18を介して装着される2つの後輪17は、それぞれ独立して回転可能であるためラジコン自動車1の最小旋回半径を小さくできる。
【0054】
さらに、本実施形態のように、外側フレーム73、内側フレーム77を、断面C字形状の部材から形成することにより、後方シャーシ7b全体の構造に可撓性を付与することができる。その結果、後方シャーシ7bは、ラジコン自動車1の走行中に受ける衝撃を吸収することができる。従って、上述したシャフト支持部83自体の撓み、リブ79自体の撓み、そして、外側フレーム73、内側フレーム77の撓みにより、衝撃を吸収することができる。
【0055】
また、本実施形態のように、後方シャーシ7bの軽量化を図ることで、操舵時において、操舵方向とは逆側に後方シャーシ7bを容易に横滑りさせることが可能であり、当該横滑りにより、操舵方向に車体を容易に向けることが可能である。従って、通常のグリップ走行による旋回に比較して、小さい旋回半径が達成され、室内での走行及び障害物の多い条件での走行が容易となる。
【0056】
なお、本実施形態では、外側フレーム73、内側フレーム77を、断面C字形状としたが、本発明はこの形状に限定されず、中空であれば種々の断面形状を有する管状部材を選択できる。中空部材を採用することにより、後方シャーシ7bの剛性を確保しつつ、軽量化を実現できる。
【0057】
さらに、本実施形態のホイールベースの寸法を調整する調整手段は、後方シャーシ7bに設けられた溝87aとしたが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、前方シャーシ7aと後方シャーシ7bとの間に介在させる、所定厚さの板状部材、適宜形状を加工した追加部材、又はそれらの組み合わせからなるスペーサを調整手段とすることもできる。調整手段は、溝87aとスペーサとを用いる構成としてもよいし、いずれか一方とする構成でもよい。
【0058】
なお、本実施形態における前輪9のタイヤ9b及び後輪17のタイヤ17bは、硬度の低いスリックタイヤを用いグリップ力を確保する構成としたが、ラジコン自動車1の使用する路面の状態に合わせて硬度が高くグリップ力が弱いタイヤを使用できることは言うまでもない。例えば、狭い場所でラジコン自動車1を使う場合、後輪17のタイヤ17bに硬度の高いタイヤを用いることにより、ラジコン自動車1を旋回する際に後輪17を操舵方向とは逆側にさらに横滑りさせ易くすることで、通常のグリップ走行による旋回に比較して、旋回半径をさらに小さく走行させることができる。
【0059】
また、後方シャーシ7bは、専ら後輪17を支持する機構が設けられているのみであるので、後方シャーシ7bに4輪駆動のための追加のモータを配置したり、はしご車用のはしごを作動させる機構を配置させたり、追加機能を容易に付加することができる。
【0060】
また、本実施形態では、ボディサポート89が装着される円筒ジョイント75と、アンテナ97を固定するための円筒状のアンテナ固定部99とを別体にしたが、円筒ジョイント75自体をアンテナ固定部99として使用しても良い。また、複数の円筒ジョイント75を有するため、ボディを変更した場合であっても、当該ボディに適したアンテナの固定位置を選択できる。さらに、前輪軸35及び後輪軸19を取り替え、前輪軸35及び後輪軸19の長さを拡張することにより、ボディを変更した場合であっても、ホイールベースのみならず、車幅の異なるボディを採用することも可能である。
【0061】
この発明は、その本質的特性から逸脱することなく数多くの形式のものとして具体化することができる。よって、上述した実施形態及び実施例は専ら説明上のものであり、本発明を制限するものではないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0062】
1 ラジオコントロール自動車
3 送信機
5 ボディ
6 バンパー
7 シャーシ
7a 前方シャーシ
7b 後方シャーシ
8a 前方領域
8b 中央領域
9 前輪
9a ホイール
9b タイヤ
11 操舵機構
13 受信機
14 シャーシカバー
15 バッテリー
17 後輪
17a ホイール
17b タイヤ
19 後輪軸
23 ドライブモータ
23a (ドライブモータの)回転軸
27 ステアリングモータ
27a (ステアリングモータの)回転軸
28 ドライブモータピニオンギア
29 ドライブ中間ギアシャフト
31 ドライブ中間ギア
31a クラウンギア
31b ピニオンギア
35 前輪軸
37 ドライブギア
39 クラッチケースギア
39a 遠心クラッチ
39b ピニオンギア
41 6角ドライブジョイント
42 カップリング部材
43 クラッチケースギア
44 ナックル
44a ナックルアーム
45 ステアリング中間ギア
45a クラウンギア
45b ピニオンギア
46 ステアリング中間ギアシャフト
48 キングピン
50 ステアリングギアシャフト
51 ステアリングギア
51a スパーギア
51b ピニオンギア
55 タイロッド
55a リング部
55b 突出部
57 ラックギア
59 補正機構
61 補正ロッド
61d 調整ツマミ
61e バネ係合部
63 ばね受けキャップ
64 ねじりコイルばね
64a、b 両端部
65 バッテリホルダ
71 板状部材
73 外側フレーム
75 円筒ジョイント
81 第1のスカート部
83 シャフト支持部
85 リブ
87 第2のスカート部
87a 溝
89 ボディサポート
90 スナップピン
97 アンテナ
99 アンテナ固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪が連結される前輪軸と、
後輪が連結される後輪軸と、
前記前輪軸と前記後輪軸とを支持しボディが装着されるシャーシと、
ホイールベースの寸法を調整するための調整手段と、を備えることを特徴とするラジオコントロール自動車。
【請求項2】
さらに、前記前輪を駆動するためのドライブモータと、前記前輪の操舵を行うためのステアリング機構と、前記ステアリング機構を駆動するステアリングモータと、を備え、前記ドライブモータと、前記ステアリング機構と、前記ステアリングモータとは、前記シャーシの、前記後輪よりも前記前輪に近い位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載のラジオコントロール自動車。
【請求項3】
前記シャーシは、前記前輪軸が支持される前方シャーシと前記後輪が支持される後方シャーシとから構成され、前記調整手段は、前記後方シャーシに設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のラジオコントロール自動車。
【請求項4】
前記調整手段は、前記シャーシに設けられた、前記後輪軸を支持する複数の溝であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のラジオコントロール自動車。
【請求項5】
前記後方シャーシは、中空部材から構成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のうち、いずれか1に記載のラジオコントロール自動車。
【請求項6】
前記後輪軸を支持するシャフト支持部が、可撓性を有する部材から構成され、前記後方シャーシに設けられていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のうち、いずれか1に記載のラジオコントロール自動車。
【請求項7】
前記後輪軸に装着される2つの後輪は、前記後輪軸に対してそれぞれ独立して回転可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうち、いずれか1に記載のラジオコントロール自動車。
【請求項8】
前記ドライブモータと前記ステアリングモータとは、回転軸線が互いに平行で、前記シャーシの幅方向に並置されていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のラジオコントロール自動車。
【請求項9】
前記シャーシは、前記前輪軸が支持される前方シャーシと前記後輪が支持される後方シャーシとから構成され、前記調整手段は、前記前方シャーシと前記後方シャーシとの間に介在するスペーサであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち、いずれか1に記載のラジオコントロール自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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