説明

ラジオ受信機

【課題】気兼ねなくオートストア機能を実行することができるラジオ受信機を提供する。
【解決手段】複数のプリセットキー58と、各プリセットキー58に対応づけて設けられ、オートストア機能により検出される受信可能な放送局の放送局情報が順次書き換え可能に記憶されるトラベルチャンネル用メモリ19Bと、トラベルチャンネル用メモリ19Bに記憶された放送局を受信中にプリセットキー58を操作することで、当該受信中の放送局の放送局情報が操作したプリセットキー58に対応づけて書き込まれるプリセットチャンネル用メモリ19Aと、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信したラジオ放送局を自動的に登録するオートストア機能を備えるラジオ受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラジオ放送の放送局からの放送電波を受信して再生する機能を備えたラジオ受信機において、予め設定された受信可能範囲を走査しながら受信電波強度を観測することにより、受信可能な放送局を探し出して複数備えたプリセットキーの各々に自動的に登録するオートストア機能を備えたラジオ受信機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−79017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、オートストア機能を備えるラジオ受信機は、再度オートストア機能が実行された際に、これまでプリセットキーに登録されていた放送局は消去し、オートストア機能実行時に受信電波強度の強い放送局を新たにプリセットキーに登録する。そのため、オートストア機能を実行したことで、気に入った放送局が異なる放送局に書き換わってしまい、気に入った放送局をプリセットキーから選局することができなくなる場合があり、ユーザーは、気兼ねなくオートストア機能を実行することができないという問題があった。
本発明は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、気兼ねなくオートストア機能を実行することができるラジオ受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、複数のプリセットキーと、各プリセットキーに対応づけて設けられ、オートストア機能により検出される受信可能な放送局の放送局情報が順次書き換え可能に記憶されるトラベルチャンネル用メモリと、前記トラベルチャンネル用メモリに記憶された放送局を受信中に前記プリセットキーを操作することで、当該受信中の放送局の放送局情報が前記操作したプリセットキーに対応づけて書き込まれるプリセットチャンネル用メモリと、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この構成において、前記放送局情報には、すくなくとも当該放送局情報が係る放送局の受信周波数が書き込まれる構成としても良い。また、前記トラベルチャンネル用メモリに放送局情報が記憶された放送局の受信と、前記プリセットチャンネル用メモリに放送局情報が記憶された放送局の受信と、を切り替える操作ボタンを備えた構成としても良い。また、前記トラベルチャンネル用メモリ、或いは、前記プリセットチャンネル用メモリに放送局情報が記憶された放送局の受信中に、当該受信中の放送局情報を表示する表示手段を備えた構成としても良い。また、手動選局により検出された放送局の受信中に、前記プリセットキーを操作することで、当該受信中の放送局の放送局情報が前記操作したプリセットキーに対応づけてプリセットチャンネル用メモリに書き込まれる構成としても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数のプリセットキーと、各プリセットキーに対応づけて設けられ、オートストア機能により検出される受信可能な放送局の放送局情報が順次書き換え可能に記憶されるトラベルチャンネル用メモリと、トラベルチャンネル用メモリに記憶された放送局を受信中にプリセットキーを操作することで、当該受信中の放送局の放送局情報が操作したプリセットキーに対応づけて書き込まれるプリセットチャンネル用メモリと、を備えたため、オートストア機能を実行しても、記憶されている放送局情報が書き換えられることがないプリセットチャンネル用メモリに、トラベルチャンネル用メモリに記憶された放送局の放送局情報を簡単な操作で記憶させておくことができ、ユーザーは、登録されていたお気に入りの放送局の放送局情報が消えてしまう等の心配をすることなく、気兼ねなくオートストア機能を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明を適用した実施形態に係るラジオ受信機の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】ラジオ受信機の正面図である。
【図3】(A)A−SELバンドリストを示す図であり、(B)通常バンドリストを示す図である。
【図4】ラジオ受信機の動作を示すフローチャートである。
【図5】A−SELバンドリストと、通常バンドリストを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した実施形態に係るラジオ受信機1の機能的構成を示すブロック図である。図1に示すように、ラジオ受信機1は、マイコン10、CD再生部11、受信部12、外部通信部13、入力部14、音響出力部15、スピーカー16、表示部(表示手段)17、記憶部19を備える。ラジオ受信機1は、オートストア機能を備え、予め設定された受信可能範囲を走査しながら受信電波強度を観測することにより、受信可能な放送局を探し出し、探し出した放送局を周波数が小さい放送局から順に後述する複数のダイレクトボタンに自動的に登録することができる。
ラジオ受信機1は、図示は省略したが、車両に搭載され、ダッシュボードの下部中央など前部座席の搭乗者にとって操作しやすい位置に配設される。ラジオ受信機1は、例えば、電源系統を介して車両の電源に接続される。
【0010】
マイコン10は、ラジオ受信機1の各部の制御を実行するものであり、図示は省略したが制御手段としてのCPU、記憶手段としてのROMやRAMを備えている。ROMには、CPUに実行される基本制御プログラムがコンピューターに読み取り可能な形態で不揮発的に記憶されている。RAMには、CPUに実行されるプログラムやこのプログラムに係るデータ等が一時的に記憶される。また、マイコン10は、その他の周辺回路等を備えている。
【0011】
CD再生部11は、マイコン10の制御の下、CD再生部11に挿入されたCDに記録されている音楽データを読み取り、音声信号を音響出力部15に出力する。
受信部12は、FM/AM波のラジオ放送を受信するものであり、アンテナ18と、不図示のチューナー回路とを備える。受信部12は、マイコン10の制御の下、所定の放送局からのラジオ放送を受信し、音声信号を音響出力部15に出力する。
【0012】
外部通信部13は、図示は省略したが、携帯型音響機器などの外部機器をラジオ受信機1に接続するための複数の接続ポートを備え、外部通信部13に接続された外部機器との通信を確立する。外部通信部13は、マイコン10の制御の下、外部通信部13に接続された外部機器から音声信号を受信して音響出力部15に出力する。
入力部14は、後述する複数の操作キー5を備え、ユーザーの操作キー5に対する操作を検出してマイコン10に出力する。
【0013】
音響出力部15は、マイコン10の制御の下、CD再生部11、受信部12、外部通信部13のいずれかから入力される音声信号に基づいて音声を出力するものであり、図示は省略したが、DSP(Digital Signal Processor)、電子ボリューム回路、及び、アンプを備える。音響出力部15は、マイコン10の制御の下、入力される音声信号に対して、DSPで例えばフィルター処理やイコライザ処理、音声信号が符号化されている場合にデコード処理といったデジタル音声信号処理を施して、電子ボリューム回路に出力し、電子ボリューム回路で、再生音量を調整すべく、音声信号をD/A変換した後に、信号の振幅レベルを調整してアンプに出力し、アンプで音声信号を増幅してスピーカー16に出力するものである。
【0014】
表示部17は、表示パネル6を備え、制御部10の制御の下、表示パネル6にラジオ受信機1の駆動状態を表示する。表示パネル6には、不図時のタッチパネルが重ねて配設されていても良く、この場合、入力部14は、このタッチパネルを介して入力されるユーザー指示を検出する。
【0015】
記憶部19は、あらかじめ受信、再生対象の放送局としてユーザーが選択した放送局に係る情報が記憶されるプリセットチャンネル用メモリ19Aと、オートストア機能によって自動受信された放送局に係る情報が記憶されるトラベルチャンネル用メモリ19Bと、を備える。プリセットチャンネル用メモリ19A、及び、トラベルチャンネル用メモリ19Bに記憶される放送局情報は、ユーザー操作、或いは、制御部10の制御の下、書き換え自在に記憶されている。
【0016】
プリセットチャンネル用メモリ19A、及び、トラベルチャンネル用メモリ19Bに記憶される放送局情報には、放送局の局名、放送局の種別(FMラジオ放送局あるいはAMラジオ放送局)、受信バンド、受信周波数を示す情報等が登録されている。ユーザーが、プリセットチャンネル用メモリ19A、或いは、トラベルチャンネル用メモリ19Bに記憶された放送局情報に基づいて受信する放送局を選局すると、この放送局について、受信部12における受信処理および表示部17における各種情報の表示がなされる。
【0017】
図2は、ラジオ受信機1の一実施例を示す正面図である。図2に示すように、ラジオ受信機1は、正面にコントロールパネル3を備え、このコントロールパネル3には、複数の操作キー5、表示パネル6、及び、CDの挿入口7が備えられる。ユーザーは、これらの操作キー5を操作することにより、複数の音源の中から所望の音源を選択することができる。コントロールパネル3は、ラジオ受信機1に着脱自在に取り付けられていても良い。
操作キー5は、ボリュームキー51、FMラジオ音源ボタン52、AMラジオ音源ボタン53、CD音源ボタン54、オートストア(A−SEL)ボタン55、サーチボタン56、メモリーボタン57、ダイレクトボタン(プリセットキー)58(58A,58B,58C・・・)、イジェクトボタン59から構成される。
【0018】
ラジオ受信機1は、6個のダイレクトボタン58を備える。また、ラジオ受信機1には、FM放送用のバンドとしてFM1、FM2の二つのバンド、及び、AM放送用のバンドが設けられる。つまり、ラジオ受信機1には、プリセットチャンネル用メモリ19Aに、FM放送用の2バンド6チャンネルの12チャンネルとAM放送用の6チャンネルで計18チャンネル、及び、トラベルチャンネル用メモリ19Bに、FM放送用2バンド6チャンネルの12チャンネルとAM放送用の6チャンネルで計18チャンネルの、合計36チャンネル登録をすることができる。
【0019】
ボリュームキー51は、ノブの回転操作によってボリューム(音量)を調整するために用いられる。また、ボリュームキー51は、押下操作によってラジオ受信機1の電源をオン・オフするために用いられても良い。ボリュームキー51は、コントロールパネル3の左右にそれぞれ設けられ、車両の運転者、或いは、助手席の搭乗者のどちらからでも容易にボリューム操作ができるように備えられている。
【0020】
FMラジオ音源ボタン52は、音源ソースをFMラジオ音源に切り替えるための押下式のボタンであり、押下されることでFMラジオ音源が音源ソースとして選択される。また、ラジオ受信機1は、FM放送用の受信バンドとして、FM1と、FM2との二つのバンドを切り替え可能に備える。FM放送用の受信バンドは、FMラジオ音源ボタン52を押すたびに、FM1からFM2へ、そして、FM2からFM1へと切り替えられる。本実施形態では、ラジオ受信機1は、FM放送用のバンドを、FM1と、FM2の2つのバンドを備える構成としたが、ラジオ受信機1は、FM放送用のバンドを2つに限らず、複数備えていても良い。この場合、FM放送用の受信バンドは、FMラジオ音源ボタン52を押すたびに、順にFM1、FM2、FM3・・・と遷移される。
AMラジオ音源ボタン53は、音源ソースをAMラジオに切り替えるための押下式のボタンであり、押下されることでAMラジオが音源ソースとして選択される。本実施形態では、ラジオ受信機1は、AM放送用のバンドを1つ備える構成としたが、例えば、AM放送用のバンドとしてAM1と、AM2との2つ、或いは複数のバンドをAMラジオ音源ボタン53の押下操作で切り替え可能に備えていても良い。
【0021】
CD音源ボタン54は、音源ソースをCD音源に切り替えるための押下式のボタンであり、押下されることでCD音源が音源ソースとして選択される。
オートストアボタン55は、押下式のボタンである。ラジオ受信機1は、受信電波の強いラジオ放送局を自動受信し、受信した放送局の放送局情報(周波数等)を自動的にダイレクトボタン58に登録するオートストア機能を備え、ユーザーは、オートストアボタン55を長押し(数秒間押し続ける)することで、このオートストア機能を実施することができる。
【0022】
オートストアボタン55が長押しされると、制御部10は、オートストア機能を実施する。このオートストア機能では、制御部10の制御の下、受信部12で予め設定された受信可能範囲を走査しながら受信強度を観測するシーク動作を行い、受信可能な放送局を探し出す。制御部10は、このシーク動作で探し出された放送局に基づいて、受信電波の強い放送局の放送局情報を複数あるダイレクトボタン58のそれぞれに対応づけて、トラベルチャンネル用メモリ19Bに記憶する。
【0023】
また、オートストアボタン55が押下されると、放送局の受信モードが、プリセットチャンネル用メモリ19Aに記憶されたラジオ放送局の中から受信する放送局を選択する通常バンドモードから、トラベルチャンネル用メモリ19Bに記憶されたラジオ放送局の中から受信する放送局を選択するA−SEL(オートストア)バンドモードへと切り替えられる。
【0024】
サーチボタン56は、サーチアップボタン56Aと、サーチダウンボタン56Bとから構成される押下式のボタンである。ユーザーは、このサーチボタン56を押して、受信できるラジオ放送局に選局する手動選局を行うことができる。ラジオを聴くためには、ユーザーは、まず、FMラジオ音源ボタン52、或いは、AMラジオ音源ボタン53を押して、音源ソースの切り替えと、受信バンドの切り替えを行い、サーチボタン56を操作して受信する放送電波を所望する周波数に合わせて選局することで、ラジオ放送を受信することができる。
また、サーチボタン56は、CD音源が音源ソースとして選択されているさいには、CDに収録されている楽曲の選曲に使用されるとともに、長押しされた場合には、再生中の楽曲の早送り/早戻しを行うために用いられる。
【0025】
メモリーボタン57は、プリセットチャンネル用メモリ19Aへの書き込を可能とするために用いられ、選局したラジオ放送局をダイレクトボタン58に登録するさいに用いられる、押下式のボタンである。ユーザーは、メモリーボタン57を押下し、次に、任意のダイレクトボタン58を押下することで、現在受信中の放送局をダイレクトボタン58のいずれかに割り当てて登録し、当該放送局に係る放送局情報がプリセットチャンネル用メモリ19Aに記憶される。
【0026】
ダイレクトボタン58は、複数の押下式のダイレクトボタン58A,58B・・・から構成される。各ダイレクトボタン58A,58B・・・には、選択されている、受信モード(通常バンドモード、或いは、A−SELバンドモード)、選択されているラジオ音源(FMラジオ、或いは、AMラジオ)、及び、選択されている受信バンド(FM1、或いは、FM2)に応じた放送局を登録することができる。各ダイレクトボタン58A,58B・・・に登録されるラジオ放送局の放送局情報は、受信モードに応じて、それぞれプリセットチャンネル用メモリ19A、或いは、トラベルチャンネル用メモリ19Bのいずれかに記憶されている。なお、本実施形態では、ダイレクトボタン58は、押下式のボタンであり、ダイレクトボタン58を操作するとは、ダイレクトボタン58を押下する操作であるが、ダイレクトボタン58は、押下式ボタン以外にも、例えば、切替操作をおこなえる切替スイッチでもよい。
【0027】
イジェクトボタン59は、押下式のボタンであり、ラジオ受信機1の内部にCD挿入されているときに、このイジェクトボタン59を押すことで、CDを挿入口7から排出することができる。
【0028】
プリセットチャンネル用メモリ19Aには、ユーザー操作によって選局され、ダイレクトボタン58に登録された放送局の放送局情報が通常バンドリストNLに書き込まれて記憶される。通常バンドリストNLは、図3(A)に示すように、バンドリストNL1,NL2,NL3から構成され、各バンドリストNL1,NL2,NL3には各受信バンドAM,FM1,FM2に対して、各ダイレクトボタン58に対応付けて登録される放送局の放送局情報が記憶される。各ダイレクトボタン58に登録されているラジオ放送局は、ユーザー操作によって変更可能であり、通常バンドリストNLに記憶されている放送局は、ユーザー操作に応じて書き換えられる。
各ダイレクトボタン58A,58B・・・に登録される放送局の放送局情報は、バンドリストNL1,NL2,NL3ごとに、チャンネルCh1,Ch2・・・・に順に記憶される。つまり、ダイレクトボタン58Aに登録される放送局の放送局情報はチャンネルCh1に、ダイレクトボタン58Bに登録される放送局の放送局情報はチャンネルCh2に、それぞれ記憶される。
【0029】
トラベルチャンネル用メモリ19Bには、オートセレクト機能によって探し出され、ダイレクトボタン58に登録された放送局の放送局情報がA−SELバンドリストALに書き込まれて記憶される。A−SELバンドリストALは、図3(A)に示すように、バンドリストAL1、AL2,AL3から構成され、各バンドリストAL1,AL2,AL3には各受信バンドAM,FM1,FM2に対して、各ダイレクトボタン58に対応付けて登録される放送局の放送局情報が記憶される。オートストアボタン55が再び長押しされた際には、制御部10の制御の下、現在受信している受信バンド(FM1バンド、FM2バンド、AMバンド)に応じて、バンドリストAL1,AL2,AL3のいずれかに記憶されている放送局情報が、現在受信可能な放送局の放送局情報に書き換えられて、最新の状態に更新される。
【0030】
次に、各ダイレクトボタン58A,58B・・・にラジオ放送局を登録する操作方法について説明する。
まず、通常バンドモードで受信する放送局の登録方法について説明する。
ユーザーは、始めに、FMラジオ音源ボタン52、或いは、AMラジオ音源ボタン53のいずれかを押下して、音源を選択するとともに、受信するラジオ放送のバンドを選択する。ユーザーは、選択している音源、及び、バンドを表示部17の表示パネル6の表示から確認することができる。
【0031】
次に、ユーザーは、サーチボタン56を操作して、所望する放送局の周波数に合わせて選局し、ラジオ放送を受信する。続いて、ユーザーは、メモリーボタン57を押下してから、ダイレクトボタン58A,58B・・・の中から登録させたいダイレクトボタン58を選択して押下する。これによって、押下されたダイレクトボタン58に現在受信中の放送局が登録され、当該放送局の放送局情報がプリセットチャンネル用メモリ19Aに記憶される。
また、ユーザーは、メモリーボタン57の押下操作を省いて、登録させたいダイレクトボタン58を長押し(数秒間押し続ける)することでも、当該ダイレクトボタン58に現在受信中の放送局を登録することができる。
【0032】
次に、オートストア機能によってダイレクトボタン58に登録された放送局を受信するA−SELバンドモードでの受信中に、当該受信中の放送局をプリセットチャンネル用メモリ19Aに記憶させて、通常バンドモードでのラジオ放送の受信時に、任意のダイレクトボタン58から当該放送局を選局可能とする方法について図4のフローチャートを用いて説明する。
【0033】
ユーザーは、まず、オートストアボタン55を押下し、受信モードをA−SELバンドモードに設定する。次に、FMラジオ音源ボタン52、或いは、AMラジオ音源ボタン53のいずれかを押下して、音源を選択し、受信するラジオ放送のバンドを選択する。続いて、ユーザーは、ダイレクトボタン58A,58B・・・の中から登録させたいダイレクトボタン58を選択して押下する。これによって、押下されたダイレクトボタン58に登録されている放送局に選局する。ラジオ受信器1は、ユーザー操作に基づいて、ラジオ放送を受信する(ステップS1)。
次に、ユーザーは、メモリーボタン57を押下してプリセットチャンネル用メモリ19Aへの書き込みを可能としてから、続いて、登録させたいダイレクトボタン58を押下する。制御部10は、ユーザー操作に基づいて、受信中の放送局を通常バンドリストNLに登録する操作がなされたことを検出する(ステップS2:Yes)。制御部10は、押下されたダイレクトボタン58に、現在受信中の放送局を登録し、当該放送局の放送局情報を通常バンドリストNLに書き込む(ステップS3)。
【0034】
オートストア機能によってダイレクトボタン58に登録された放送局を受信するA−SELバンドモードでの受信中に、当該受信中の放送局をプリセットチャンネル用メモリ19Aに記憶させる方法の具体例を、図5を用いて説明する。
例えば、図5(A)に示した、トラベルチャンネル用メモリ19Bの、A−SELバンドリストALのAMバンド用リストであるバンドリストAL1から、チャンネル3(ダイレクトボタン58Cに対応するメモリ)に登録されている放送局情報をプリセットチャンネル用メモリ19Aのチャンネル1(ダイレクトボタン58Aに対応するメモリ)に書き込む場合、ユーザーは、まず、オートストアボタン55を押下し、次に、AMラジオ音源ボタン53を押下して、続いて、ダイレクトボタン58Cを押下し、受信する放送局を、バンドリストAL1のチャンネル3に記憶されている放送局に選局する。ラジオ受信機1は、受信する放送局の情報を、図2に示すように、表示部17の表示パネル6に表示する。
【0035】
表示パネル6には、図2に示すように位、A−SELバンドモードで放送局を受信している、つまり、オートストア機能によってトラベルチャンネル用メモリ19Bに記憶された放送局を受信していることを示すインディケータI1と、FM1、FM2、或いは、AMバンドのいずれの受信バンドを受信しているかを示すインディケータI2と、選択されている受信チャンネルを示すインディケータI3と、受信している放送局の周波数値を示すインディケータI4と、が表示される。
【0036】
続いて、ユーザーは、メモリーボタン57を押下してから、ダイレクトボタン58Aを押下する。制御部10は、このユーザー操作を検出して、図5(B)に示すように、プリセットチャンネル用メモリ19Aに記憶されているバンドリストNL1のチャンネルCh1を、現在受信している放送局の放送局情報に書き換える。この構成によれば、A−SELバンドモードでの受信中に、現在受信しているラジオ放送の放送局情報を通常バンドリストNLに簡単に書き込むことができる。
【0037】
別の実施形態として、プリセットチャンネル用メモリ19Aは、メモリーボタン57を押下しなくても、現在受信している放送局を登録したいダイレクトボタン58をユーザーが数秒間押し続ける(長押しする)ことで書き換え可能な構成としても良い。このようにして、トラベルチャンネル用メモリ19Bに記憶している放送局情報に基づいて受信した放送局を、任意のダイレクトボタン58に登録し、プリセットチャンネル用メモリ19Aに簡単に記憶させることができる。また、オートストア機能を実施した際には、すでにトラベルチャンネル用メモリ19Bに記憶されている放送局情報は、現在受信可能な放送局の放送局情報に書き換えられ、最新の状態に更新されてしまうが、一方、プリセットチャンネル用メモリ19Aに記憶された放送局情報は、図5(C)に示すように、書き換えられることなく記憶されている。
【0038】
この構成によれば、通常聴くラジオ放送の放送局情報が記憶されているプリセットチャンネル用メモリ19Aは、オートストア機能を実施しても書き換えられることがないため、オートストア機能を実施するたびに、お気に入りのラジオ放送局の登録をやり直す必要がなく、ユーザーは気兼ねなくオートストア機能を実施することができる。
また、この構成によれば、簡単な操作で、オートストア機能によってトラベルチャンネル用メモリ19Bに記憶された放送局情報を、任意のダイレクトボタン58に対応付けてプリセットチャンネル用メモリ19Aに記憶させることができるため、操作性が向上する。
【0039】
以上説明したように、本発明を適用した実施形態によれば、複数のダイレクトボタン(プリセットキー)58と、各ダイレクトボタン58に対応づけて設けられ、オートストア機能により検出される受信可能な放送局の放送局情報が順次書き換え可能に記憶されるトラベルチャンネル用メモリ19Bと、トラベルチャンネル用メモリ19Bに記憶された放送局を受信中にダイレクトボタン58を操作することで、当該受信中の放送局の放送局情報が操作したダイレクトボタン58に対応づけて書き込まれるプリセットチャンネル用メモリ19Aと、を備えた。これにより、オートストア機能によってトラベルチャンネル用メモリ19Bに書き込まれた放送局の放送局情報を、簡単な操作で、オートストア機能によって書き換えられることがないプリセットチャンネル用メモリ19Aに書き込むことができ、ユーザーは、オートストア機能によって検出されたお気に入りの放送局をプリセットチャンネル用メモリ19Aに対応づけて任意のダイレクトボタン58に登録させておくことができる。そのため、長距離の移動中等で、受信電波が弱くなった時にはお気に入りの放送局の放送局情報が他の放送局に書き換えられてしまう心配をすることなく、気兼ねなくオートストア機能を実行することができるようになる。
【0040】
また、本発明を適用した実施形態によれば、放送局情報には、すくなくとも当該放送局情報が係る放送局の受信周波数が書き込まれるため、対応づけられたプリセットキーが操作された場合には、メモリに記憶されている放送局の受信周波数を受信部12のチューナー回路で受信することで、選局されたラジオ放送を受信することができる。
【0041】
また、本発明を適用した実施形態によれば、トラベルチャンネル用メモリ19Bに放送局情報が記憶された放送局の受信と、プリセットチャンネル用メモリ19Aに放送局情報が記憶された放送局の受信と、を切り替える操作ボタン55を備えたため、受信モードを、トラベルチャンネル用メモリ19Bに記憶された放送局を受信するA−SELバンドモードと、プリセットチャンネル用メモリ19Aに記憶された放送局を受信する通常バンドモードとを簡単な操作で切り替えることができ、操作性が向上する。
【0042】
また、本発明を適用した実施形態によれば、トラベルチャンネル用メモリ19B、或いは、プリセットチャンネル用メモリ19Aに放送局情報が記憶された放送局の受信中に、当該受信中の放送局情報を表示する表示部17を備えたため、ユーザーは、現在受信中の放送局の放送局情報を目視して確認することができる。また、表示部17には、現在の受信モードが、トラベルチャンネル用メモリ19Bに記憶された放送局を受信するA−SELバンドモードであるか、或いは、プリセットチャンネル用メモリ19Aに記憶された放送局を受信する通常バンドモードであるかを示す情報が表示されるため、ユーザーは現在の受信モードを確認して、お気に入りの放送局をプリセットチャンネル用メモリ19Aに記憶する、或いは、オートストア機能を実行する等の操作を行うことができるようになり、利便性が向上する。
【0043】
また、本発明を適用した実施形態によれば、手動選局により検出された放送局の受信中に、ダイレクトボタン58を操作することで、当該受信中の放送局の放送局情報が操作したダイレクトボタン58に対応づけてプリセットチャンネル用メモリ19Aに書き込まれるため、ユーザーが手動で選局した任意の放送局の放送局情報をオートストア機能によって書き換えられることのないプリセットチャンネル用メモリ19Aに書き込んで記憶しておくことができるため、例えば6つのダイレクトボタンを58を備える本実施形態のラジオ受信機では、オートストア機能によりダイレクトボタン58に登録されない7番目に受信電波強度の強いラジオ放送の受信、及び、登録をユーザが所望する場合の利便性が向上する。
【符号の説明】
【0044】
1 ラジオ受信機
17 表示部(表示手段)
19A プリセットチャンネル用メモリ
19B トラベルチャンネル用メモリ
55 オートストアボタン(操作ボタン)
58 ダイレクトボタン(プリセットキー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプリセットキーと、各プリセットキーに対応づけて設けられ、オートストア機能により検出される受信可能な放送局の放送局情報が順次書き換え可能に記憶されるトラベルチャンネル用メモリと、前記トラベルチャンネル用メモリに記憶された放送局を受信中に前記プリセットキーを操作することで、当該受信中の放送局の放送局情報が前記操作したプリセットキーに対応づけて書き込まれるプリセットチャンネル用メモリと、を備えたことを特徴とするラジオ受信機。
【請求項2】
前記放送局情報には、すくなくとも当該放送局情報が係る放送局の受信周波数が書き込まれることを特徴とする請求項1に記載のラジオ受信機。
【請求項3】
前記トラベルチャンネル用メモリに放送局情報が記憶された放送局の受信と、前記プリセットチャンネル用メモリに放送局情報が記憶された放送局の受信と、を切り替える操作ボタンを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のラジオ受信機。
【請求項4】
前記トラベルチャンネル用メモリ、或いは、前記プリセットチャンネル用メモリに放送局情報が記憶された放送局の受信中に、当該受信中の放送局情報を表示する表示手段を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のラジオ受信機。
【請求項5】
手動選局により検出された放送局の受信中に、前記プリセットキーを操作することで、当該受信中の放送局の放送局情報が前記操作したプリセットキーに対応づけてプリセットチャンネル用メモリに書き込まれることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のラジオ受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−248928(P2012−248928A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116770(P2011−116770)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】