説明

ラドンによる岩盤の間隙状況の評価方法及びラドンによる岩盤の間隙状況の評価装置

【課題】 間隙の広がり半径に応じて割れ目の表面積Sを的確に評価する。
【解決手段】 自然状態のラドンの濃度[Rnn]とラドンフラックスの理論値Fnにより間隙の幅wnを求め、水を循環させた際に水に放出されたラドンの濃度[Rn]と間隙の幅wn及び容器の体積V、容器の表面積S、及び、容器のラドンフラックスFにより、間隙の広がりの半径rを求めてディスクモデルに置き換えた広がりを求め、間隙の広がりの半径rに基づいて間隙の表面積S(=2πr)を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラドンを用いて岩盤の間隙状況(間隙の表面積、広がりの状態)を評価するラドンによる岩盤の間隙状況の評価方法及び間隙状況の評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射性廃棄物を地中に隔離処理する場合や二酸化炭素(CO)を地中貯留する場合、地表下の岩石の層や岩石でできている地盤(岩盤)の崩落や崩壊等を検証する場合、更に、岩盤に溜まる天然資源の状況を検証する場合等において、岩盤における間隙状況(間隙の表面積や多きさ等)を検証することは重要な事項となっている。
【0003】
岩盤の間隙を検証するため、地中空間に超音波測定器を挿入し、挿入深度が異なる箇所で超音波速度を測定し、超音波速度の違いから亀裂の大きさを測定することが従来から行われている(例えば、特許文献1参照)。しかし、亀裂(岩盤の間隙)の表面積や広がりの状態を検出することはできず、岩盤の間隙状況を的確に評価することができないのが現状である。
【0004】
ところで、岩盤の岩石中には微量のウランが含まれ、岩石からは壊変生成物としてのラドンが放出されている。ラドンは所定の半減期で放射線を出して鉛に至る元素である。岩石には間隙があり、ラドンは岩石の流動間隙の表面から放出される。このため、ラドンの放出量を測定することで、岩盤の間隙の表面積を含めた間隙状況を評価することができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−318996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、ラドンを用いて岩盤の間隙の状況を評価することができるラドンによる岩盤の間隙状況の評価方法及びラドンによる岩盤の間隙状況の評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明のラドンによる岩盤の間隙状況の評価方法は、岩盤内部の所定区域と岩盤外部との間で流体の循環経路を構築し、流体を循環させる前の流体に放出されたラドンの濃度[Rnn]と岩盤のラドンフラックスの理論値Fnを求め、ラドンの濃度[Rnn]とラドンフラックスの理論値Fnとにより岩盤における間隙の幅wnを導出し、所定期間にわたり循環経路に流体を循環させた後に流体に放出されたラドンの濃度[Rn]を求め、ラドン濃度[Rn]、間隙の幅wn及び循環経路の状況に基づいて間隙の広がりの半径rを求め、間隙の広がりの半径rに基づいて間隙の表面積を評価することを特徴とする。
【0008】
請求項1に係る本発明では、流体を循環させる前のラドンの濃度[Rnn]とラドンフラックスの理論値Fnにより間隙の幅wnを求め、流体を循環させた際に流体に放出されたラドンの濃度[Rn]と間隙の幅wn及び循環経路の状況により、間隙の広がりの半径rを求め、間隙の広がりの半径rに基づいて間隙の表面積を評価するので、間隙の広がりに応じて表面積を評価することができる。このため、間隙の広がりにおける表面の凹凸が加味された状態で表面積を評価することができ、間隙の広がりや間隙の表面状態を含めて間隙の表面積を評価することが可能になる。
【0009】
この結果、ラドンを用いて岩盤の間隙の状況を的確に評価することが可能になる。
【0010】
そして、請求項2に係る本発明のラドンによる岩盤の間隙状況の評価方法は、請求項1に記載のラドンによる岩盤の間隙状況の評価方法において、循環させる前記流体は水であることを特徴とする。また、請求項3に係る本発明のラドンによる岩盤の間隙状況の評価方法は、請求項2に記載のラドンによる岩盤の間隙状況の評価方法において、循環経路は水が貯留される容器を含み、循環経路の状況は、容器の体積V、容器の表面積S、及び、容器のラドンフラックスFを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項2、請求項3に係る本発明では、水に放出されたラドンを用いることで、岩盤の間隙の状況を的確に評価することができる。請求項3に係る本発明では、容器の体積V、容器の表面積S、及び、容器のラドンフラックスFを用いて間隙の広がりの半径rを求め、間隙の表面積を評価することができる。
【0012】
上記目的を達成するための請求項4に係る本発明のラドンによる岩盤の間隙状況の評価装置は、岩盤外部から岩盤内部にわたり形成され、岩盤外部から水が供給されることにより岩盤内部に水を放出する第1孔通路と、岩盤外部から岩盤内部にわたり形成され、前記第1孔通路から放出された水が岩盤内部で回収されて岩盤外部に送られる第2孔通路と、前記第1孔通路と前記第2通路孔との間で水を循環させる循環路と、前記循環路により循環する水を採水して前記第1孔通路と前記第2通路孔との間における岩盤の間隙の表面積を評価する評価手段とを備え、前記評価手段は、循環させる前の水に放出されたラドンの濃度[Rnn]と岩盤のラドンフラックスの理論値Fnを求める機能と、ラドンの濃度[Rnn]とラドンフラックスの理論値Fnとにより岩盤における間隙の幅wnを導出する機能と、所定期間にわたり前記循環路に水を循環させた後の水に放出されたラドンの濃度[Rn]を求める機能と、ラドン濃度[Rn]、間隙の幅wn及び前記循環路の状況に基づいて間隙の広がりの半径rを求める機能と、間隙の広がりの半径rに基づいて間隙の表面積を評価する機能とを備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る本発明では、流体を循環させる前のラドンの濃度[Rnn]とラドンフラックスの理論値Fnにより間隙の幅wnを求め、流体を循環させた際に流体に放出されたラドンの濃度[Rn]と間隙の幅wn及び循環路の状況により、間隙の広がりの半径rを求め、間隙の広がりの半径rに基づいて間隙の表面積を評価するので、間隙の広がりに応じて表面積を評価することができる。このため、間隙の広がりにおける表面の凹凸が加味された状態で表面積を評価することができ、間隙の広がりや間隙の表面状態を含めて間隙の表面積を評価することが可能になる。
【0014】
この結果、ラドンを用いて岩盤の間隙の状況を的確に評価することが可能になる。
【0015】
そして、請求項5に係る本発明のラドンによる岩盤の間隙状況の評価装置は、請求項4に記載のラドンによる岩盤の間隙状況の評価装置において、前記循環路は、岩盤外部で水を貯留する容器と、容器に貯留された水を前記第1孔通路に圧送する圧送経路と、前記第2通路孔から送られた水を前記容器に循環させる収容経路とを備え、前記評価手段における間隙の広がりの半径rを求める機能の前記循環路の状況は、前記容器の体積V、前記容器の表面積S、及び、容器のラドンフラックスFを含むことを特徴とする。
【0016】
請求項5に係る本発明では、水に放出されたラドンを用い、容器の体積V、容器の表面積S、及び、容器のラドンフラックスFを用いて間隙の広がりの半径rを求め、間隙の表面積を評価することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のラドンによる岩盤の間隙状況の評価方法及び装置は、ラドンを用いて岩盤の間隙の広がり及び表面積を的確に評価することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態例に係るラドンによる岩盤の間隙状況の評価装置の全体構成図である。
【図2】処理フローチャートである。
【図3】ラドン濃度の経時変化を表すグラフである。
【図4】間隙の状況評価を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1には本発明の一実施形態例に係るラドンによる岩盤の間隙状況の評価装置の全体概念構成、図2には本発明の一実施形態例に係るラドンによる岩盤の間隙状況の評価方法の処理フロー、図3にはラドン濃度の経時変化を示してある。また、図4には間隙の幅をディスクモデルで評価した際の概念を示してある。
【0020】
図1に基づいてラドンによる岩盤の間隙状況の評価装置を説明する。
【0021】
図に示すように、岩盤1には外部から流体としての水が供給されることにより岩盤1の内部に水を放出する第1孔通路2が設けられている。第1孔通路2の先端部にはパッカー3で区画された放出空間4が形成され、第1孔通路2の孔口はパッカー6で塞がれている。放出空間4には第1ロッド5を介して岩盤1の外部(パッカー6で塞がれた部分の外側)から水が圧送される。
【0022】
尚、本実施例では、地下水が存在する岩盤1を想定して外部から流体として水を供給する例を挙げて説明したが、地下水が存在しない岩盤に適用する場合には、流体として空気や不活性ガスを用いることも可能である。
【0023】
一方、岩盤1には第2孔通路7が設けられ、第2孔通路7の先端部にはパッカー8で区画された流入空間9が形成され、第2孔通路7の孔口はパッカー10で塞がれている。第1孔通路2の放出空間4から岩盤1に放出された水は岩盤1の間隙ができている部位(割れ目の広がりの領域:図中点線で示してある)を流れて流入空間9に送られ、流入空間9に送られた水は第2ロッド21から岩盤1の外部(パッカー10で塞がれた部分の外側)に送られる。
【0024】
岩盤1の外部には第1孔通路2と第2孔通路7との間で水を循環させる循環路11が備えられている。循環路11は、岩盤1の外部で水を貯留する容器12と、容器12に貯留された水を第1孔通路2に圧送するポンプ13及び圧送管14(圧送経路)と、第2孔通路7から送られた水を容器12に循環させる収容管15(収容経路)とを備えている(循環経路)。
【0025】
循環路11、第1孔通路2、第2孔通路7を循環する水は、循環前及び所定期間の循環後に採水され、水に放出されたウランの濃度や岩盤の岩石のウランフラックスの理論値等に基づいて、評価手段16で間隙の状況が評価される。即ち、第1孔通路2の放出空間4と第2孔通路7の流入空間9との間における岩盤1の間隙の状況(割れ目の広がり、割れ目の幅、割れ目の表面積)が評価手段16で評価される。
【0026】
評価手段16は、循環させる前の水を採取し、水に放出されたラドンの濃度[Rnn]と岩盤の岩石のラドンフラックスの理論値Fnを求め、ラドンの濃度[Rnn]とラドンフラックスの理論値Fnとにより岩盤1の間隙(割れ目)の幅wnを導出する機能を備えている。
【0027】
図4に基づいて、割れ目の幅wnの導出について説明する。岩盤R1と岩盤R2との間に幅wnの割れ目Cが存在しているとし、幅wnの割れ目Cを半径rのディスクモデルの範囲に広がっているものとする。このような岩盤R1、岩盤R2の表面から割れ目Cにラドンが放出されるが、放出されたラドンと割れ目Cの大きさとには次のような関係がある。
【0028】
【数1】

【0029】
は平衡に達したラドン原子の数、Aは時刻tにおけるラドン原子の数、λはラドンの壊変定数、Fは割れ目表面におけるラドンフラックスである。ここで、tが半減期(222Rは3.8日)より十分に大きければ(例えば、半減期の10倍程度)ラドンは平衡に達するので、次式の関係が成り立つ。
【0030】
【数2】

【0031】
したがって、数1と数2とから、割れ目の幅wnは次式のように表せる。
【0032】
【数3】

【0033】
つまり、ラドンフラックスと、岩盤R1、R2から割れ目に放出されたラドンの濃度から割れ目の幅wnが推定できる。なお、ラドンフラックスは、岩盤R1、R2から取得した試料に基づいて理論上の値を求めることができる。また、放出されたラドンの濃度は、例えば、割れ目内のラドンを含む水を採取し、固体放射線センサ等を用いてラドンの量(放射線のトラック数)を計測することにより行うことができる。
【0034】
評価手段16では、循環させる前の水を採水してラドンの濃度[Rnn]を求め、数式3に説明した計算により、ラドンの濃度[Rnn]とラドンフラックスの理論値Fnとから岩盤1の間隙(割れ目)の幅wnを導出する。
【0035】
そして、評価手段16は、所定期間(例えば、1年間)にわたり循環路11に水を循環させた後に、水に放出されたラドンの濃度[Rn]を求める機能と、このラドン濃度[Rn]、割れ目(間隙)の幅wn及び循環路11の状況に基づいて間隙の広がりの半径rを求める機能と、間隙の広がりの半径rに基づいて間隙の表面積Sを評価する機能を備えている。間隙の広がりの半径rを求める機能の循環路11の状況は、容器12の体積V、容器12の表面積S、及び、容器12のラドンフラックスFを含んでいる。
【0036】
これにより、循環させる前の水に放出された自然状態のラドンの濃度[Rnn]とラドンフラックスの理論値Fnにより間隙の幅wnを求め(数式3)、所定期間水を循環させた際に水に放出されたラドンの濃度[Rn]と間隙の幅wn及び容器12の体積V、容器12の表面積S、及び、容器12のラドンフラックスFにより、間隙の広がりの半径rを求めて(後述する)ディスクモデルに置き換えた広がりを求め、間隙の広がりの半径rに基づいて間隙の表面積S(=2πr)を評価することができる。このため、間隙の広がりに応じて表面積Sを評価することができる。即ち、広がり範囲の大きさ含めて表面積Sを評価することができる。
【0037】
従って、間隙面に凹凸があっても、表面の凹凸が加味された状態で表面積Sを的確に評価することができ、間隙の広がりや間隙の表面状態を含めて間隙の表面積Sを評価することが可能になる。
【0038】
図2、図3に基づいて上述したラドンによる岩盤の間隙状況の評価装置により間隙(割れ目)の表面積を評価する方法を具体的に説明する。
【0039】
水を循環させる前の状態(自然状態)で岩盤1の内部(例えば、放出空間4:図1参照)から注水し、図2に示すように、ステップS1で原位置(自然状態)のラドン濃度[Rnn](Bq/ m)を求める(数式1、2)。また、ステップS2で岩盤1の岩石のラドンフラックスを室内で測定し、ラドンフラックスの理論値Fn(Bq/m)とする。ステップS3でラドン濃度[Rnn](Bq/m)及びラドンフラックスの理論値Fnにより間隙の幅wnを求める(数式3)。
【0040】
ステップS4で水の循環を開始する。所定量(例えば、300cc)の水をポンプ13により第1ロッド5から第1孔通路2の放出空間4に圧送し、岩盤1に通水して第2孔通路7の流入空間9に流入させる。流入空間9に流入した水を容器12に収容すると共に、ポンプ13により容器12内の水を第1孔通路2に循環させる。第1孔通路2、第2孔通路7、循環路11の経路に対して、例えば、1年間水を循環させる。
【0041】
図3に示すように、水を循環させる自然状態のラドン濃度[Rnn](Bq/m)に対し、水の循環を開始すると、ラドンの放出がない循環路11の容積により、ラドン濃度は時間の経過と共に低下する。所定期間(例えば、1年間)にわたり循環路11に水を循環させた後、ラドン濃度は[Rn](Bq/m)となる([Rnn]>[Rn])。循環を終了すると、ラドン濃度が徐々に高くなり自然状態のラドン濃度[Rnn](Bq/m)になる。
【0042】
水の循環を所定期間実施した後に注水し、図2のステップS5に示すように、間隙(割れ目)の半径r(間隙の広がりの半径r)を算出する。割れ目の半径r(m)は、注水した循環後の水のラドン濃度[Rn](Bq/m)、容器12の体積V(m)、容器12の表面積S(m)、及び、容器12のラドンフラックスF(Bq/m)に基づいて以下の数式4により求める。
【0043】
【数4】

【0044】
割れ目の半径r(m)が算出された後、ステップS6で割れ目の半径r(m)に基づいて(割れ目の広がりに応じた)表面積S(m)がS=2πrにより算出される。
【0045】
従って、上述したラドンによる岩盤の間隙状況の評価方法及び装置は、間隙(割れ目)の広がりの半径rに基づいて間隙の表面積Sを評価するので、間隙の広がりに応じて割れ目の表面積Sを評価することができる。このため、間隙の広がりにおける表面の凹凸が加味された状態で割れ目の表面積Sを評価することができ、間隙の広がりや間隙の表面状態を含めて間隙の表面積を評価することができ、ラドンを用いて岩盤の間隙の状況を的確に評価することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、ラドンを用いて岩盤の間隙状況(間隙の表面積、広がりの状態)を評価するラドンによる岩盤の間隙状況の評価方法及びラドンによる岩盤の間隙状況の評価装置の産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 岩盤
2 第1孔通路
3、6、8、10 パッカー
4 放出空間
5 第1ロッド
7 第2孔通路
9 流入空間
11 循環路
12 容器
13 ポンプ
14 圧送管
15 収容管
16 評価手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
岩盤内部の所定区域と岩盤外部との間で流体の循環経路を構築し、
流体を循環させる前の流体に放出されたラドンの濃度[Rnn]と岩盤のラドンフラックスの理論値Fnを求め、
ラドンの濃度[Rnn]とラドンフラックスの理論値Fnとにより岩盤における間隙の幅wnを導出し、
所定期間にわたり循環経路に流体を循環させた後に流体に放出されたラドンの濃度[Rn]を求め、
ラドン濃度[Rn]、割れ目の幅wn及び循環経路の状況に基づいて間隙の広がりの半径rを求め、
隙間の広がりの半径rに基づいて間隙の表面積を評価する
ことを特徴とするラドンによる岩盤の間隙状況の評価方法。
【請求項2】
請求項1に記載のラドンによる岩盤の間隙状況の評価方法において、
循環させる前記流体は水である
ことを特徴とするラドンによる岩盤の間隙状況の評価方法。
【請求項3】
請求項2に記載のラドンによる岩盤の間隙状況の評価方法において、
循環経路は水が貯留される容器を含み、
循環経路の状況は、容器の体積V、容器の表面積S、及び、容器のラドンフラックスFを含む
ことを特徴とするラドンによる岩盤の間隙状況の評価方法。
【請求項4】
岩盤外部から岩盤内部にわたり形成され、岩盤外部から水が供給されることにより岩盤内部に水を放出する第1孔通路と、
岩盤外部から岩盤内部にわたり形成され、前記第1孔通路から放出された水が岩盤内部で回収されて岩盤外部に送られる第2孔通路と、
前記第1孔通路と前記第2通路孔との間で水を循環させる循環路と、
前記循環路により循環する水を採水して前記第1孔通路と前記第2通路孔との間における岩盤の間隙の表面積を評価する評価手段とを備え、
前記評価手段は、
循環させる前の水に放出されたラドンの濃度[Rnn]と岩盤のラドンフラックスの理論値Fnを求める機能と、
ラドンの濃度[Rnn]とラドンフラックスの理論値Fnとにより岩盤における間隙の幅wnを導出する機能と、
所定期間にわたり前記循環路に水を循環させた後の水に放出されたラドンの濃度[Rn]を求める機能と、
ラドン濃度[Rn]、間隙の幅wn及び前記循環路の状況に基づいて間隙の広がりの半径rを求める機能と、
間隙の広がりの半径rに基づいて間隙の表面積を評価する機能とを備えている
ことを特徴とするラドンによる岩盤の間隙状況の評価装置。
【請求項5】
請求項4に記載のラドンによる岩盤の間隙状況の評価装置において、
前記循環路は、
岩盤外部で水を貯留する容器と、
容器に貯留された水を前記第1孔通路に圧送する圧送経路と、
前記第2通路孔から送られた水を前記容器に循環させる収容経路とを備え、
前記評価手段における間隙の広がりの半径rを求める機能の前記循環路の状況は、
前記容器の体積V、前記容器の表面積S、及び、容器のラドンフラックスFを含む
ことを特徴とするラドンによる岩盤の間隙状況の評価装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−207999(P2012−207999A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73524(P2011−73524)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、経済産業省、地層処分技術調査等委託費(地層処分共通技術調査:岩盤中地下水移行評価技術高度化開発)委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000173809)一般財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】