説明

ラバーシート

【課題】 1種類のラバーシートによって発光部の表示が必要な電子機器と、発光部の表示が必要のない電子機器とに使用できるようにすることによって製造コストの低減を図る。
【解決手段】 ラバーシート25は、全体が透孔性を有するシリコンゴム等の弾性材によってシート状に形成され、プリント基板20上に載置されている。このラバーシート25には、弾性変形可能な薄肉でスカート状に形成された第1の支承部27を介して円柱状に形成された押圧体26が一体に立設されている。また、ラバーシート25には、プリント基板20上に実装された発光素子22を囲むような円筒状に形成された囲い壁37が一体に立設されている。この囲い壁37の上端には、弾性変形可能な薄肉でスカート状に形成された第2の支承部38を介して円柱状に形成された導光体39が一体に立設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器のキートップのスイッチをオン・オフさせる押圧体が一体に形成されているとともに、発光部からの光を電子機器の外から視認させる透光体を備えた透光性を有するラバーシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のラバーシートは、プリント基板上に実装された発光素子を覆い、発光素子から発光された光を筺体の外部に導くための透光体をラバーシートに一体に立設し、この透光体を照光パネルケースに設けた窓に臨ませたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭63−102122号公報(2頁左上欄10行〜右上欄19行、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、家庭や事務所等の屋内で使用される固定電話機においては、ハンドセットと電話機本体との間にカールコードが必要なカールコード付き電話機と、ハンドセットと電話機本体との間を無線を介して通信を行うコードレス型電話機とがある。このうち、コードレス型電話機においては、ハンドセットに内蔵された蓄電池の充電状態を表示する必要がある。このため電話機の筺体に小孔が設けられており、この小孔から電話機の内部に設けられたプリント基板上に実装された発光素子を発光させ、この光で充電状態を表示させるような構造を採っている。一方、カールコード付き電話機においては、ハンドセットの充電状態を表示する必要がないから、電話機の筺体にこれを表示するための小孔は設けられていない。したがって、このカールコード付き電話機に、上述した従来のラバーシートをそのまま使用すると、ラバーシートに設けた透光体が電話機の筐体に当たり筐体によって押圧される。このため、透光体が破損したり、ラバーシートが部分的に弾性変形することにより、隣接して設けられたスイッチの動作不良が発生するおそれがある。したがって、カールコード付き電話機用として透光体を設けていない専用のラバーシートが別に必要になるため、2種類のラバーシートを用意しなければならなくなり製造コストが嵩むという問題があった。
【0004】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、1種類のラバーシートによって発光部の表示が必要な電子機器と、発光部の表示を必要としない電子機器とに使用できるようにすることによって製造コストの低減を図ったところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、スイッチ部が設けられたプリント基板上に積載され、全体が透光性を有する弾性材によってシート状に形成されたラバーシートであって、弾性変形可能な第1の支承部を介して柱状に形成され押圧することにより前記スイッチ部をオンする押圧体が一体に形成されたラバーシートにおいて、このラバーシート上に一体に立設され発光部を囲む筒状の囲い壁と、この囲い壁の上端に前記押圧体の押圧方向に変形可能な第2の支承部を介して設けられ柱状に形成された透光体とを一体に形成したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るラバーシートを発光部をもたない電子機器に使用して、筐体によって透光体が押圧されても、第2の支承部が弾性変形するため透光体が破損するようなことはない。また、透光体を押圧する押圧力が第2の支承部の弾性変形によって吸収されるため、ラバーシートに部分的な弾性変形が発生するようなことがないからスイッチの動作不良が発生するようなこともない。したがって、1種類のラバーシートを2種類の電子機器に使用することができるから、製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係るラバーシートを使用したコードレス型電話機の平面図、図2は同じく一部を破断して示す側面図、図3は同じくラバーシートの平面図、図4は同じく実装された状態の要部を示す断面図、図5は本発明に係るラバーシートを使用したカールコード付き電話機の平面図、図6は同じく実装された状態の要部を示す断面図である。
【0008】
図1および図2に全体を符号1で示すものはコードレス型電話機であって、上方が開口したロアーケース2と下方が開口したアッパーケース3とを、互いの開口端を対接させるようにして結合することによって筺体が形成される。5は図示を省略したハンドセットと電話機本体との間で無線を介して通信を行う際に機能するアンテナであって、基端部が軸5aを介してロアーケース2の側部に回動自在に取り付けられている。
【0009】
図1において、7はアッパーケース3の上面板3aに設けられたハンドセット載置部であって、受話用凹部7aと送話用凹部7bとが設けられている。8は送話用凹部7bに設けられた送話部受けであって、ハンドセット載置部7に載置されたハンドセットの送話部が送話用凹部7bから脱落しないように係止する。この送話部受け8には、この送話部受け8に係止されるハンドセットの送話部に設けた端子部(いずれも図示せず)が接触する一対の充電端子9,9が設けられている。
【0010】
10はアッパーケース3に倒伏自在に設けられた表示体であって、発信されたダイヤル番号や通話時間等が表示される。11はアッパーケース3の上面板3aに設けられた孔15に摺動自在に支持された複数のダイヤルボタンであって、図4に示すように下端縁に孔15の下端縁に係合する鍔11aが設けられている。12は一端部に透孔性を有する導光部12aが設けられた多数の第1の機能ボタンであって、アッパーケース3の上面板3aに設けられた孔(図示せず)に摺動自在に支持されている。13は遮光部のみによって形成された4つの第2の機能ボタンであって、アッパーケース3の上面板3aに設けられた孔(図示せず)に出没自在に支持されている。14は十字型キースイッチであって、アッパーケース3の上面板3aに設けられた孔(図示せず)からわずかに突出し揺動自在に設けられている。
【0011】
16はアッパーケース3の上面板3aに設けられた充電表示用孔であって、後述するラバーシート25の透光体39が臨んでいる。この充電表示用孔16の裏面側には、図4に示すように、ラバーシート25の透光体39の揺動を規制する円筒状に形成された規制部16aが下方に突設されている。17はラバーシート25の後述する囲い壁37を囲むようにアッパーケース3の上面板3aの裏面から下方に突設され円筒状に形成された遮光部であって、後述する発光素子22から発光された光の漏洩を阻止するためのものである。
【0012】
図4において、20はロアーケース2に取り付けられたプリント基板であって、その表面にはダイヤルボタン11を押下することによってオンするスイッチ部21が印刷配線されている。22は充電表示用孔16と対応する位置であってプリント基板20上に実装された発光素子であって、ハンドセット載置部7に載置されたハンドセットに内蔵された蓄電池(いずれも図示せず)の充電状態を表示する。
【0013】
図3および図4において、25は全体が透孔性を有するシリコンゴムのような弾性材によってシート状に形成されたラバーシートであって、プリント基板20上に載置されている。26は円柱状に形成された押圧体であって、ラバーシート25上に弾性変形可能な薄肉でスカート状に形成された第1の支承部27を介して一体に立設されている。この押圧体26の下面には導電部28が形成されており、ダイヤルボタン11を矢印A方向に押圧することによって、第1の支承部27が弾性変形し、導電部28がスイッチ部21に接触することによりスイッチ部21が接続される。
【0014】
図3において、29は上記した第1の機能ボタン12に対応して設けられた円柱状に形成された押圧体であって、ラバーシート25上に弾性変形可能な薄肉でスカート状に形成された支承部30を介して一体に立設されている。31は第1の機能ボタン12の導光部12aに対応してラバーシート25に穿設された窓であって、この窓31に対応させてプリント基板20上に発光素子(図示せず)が実装されている。
【0015】
32は上記した第2の機能ボタン13に対応して設けられた楕円柱状に形成された押圧体であって、ラバーシート25上に弾性変形可能な薄肉でスカート状に形成された支承部33を介して一体に立設されている。34は上記した十字型キースイッチ14に対応してラバーシート25上に一体に立設され角筒状に形成された5個の支承部であって、この支承部34の上端に弾性変形可能な薄肉状に形成された支承部35を介して押圧体36が一体に立設されている。
【0016】
図4において、37は円筒状に形成された囲い壁であって、上記したプリント基板20上に実装された発光素子22を囲むようにラバーシート25上に一体に立設されている。この囲い壁37の上端には、弾性変形可能な薄肉でスカート状に形成された第2の支承部38を介して円柱状に形成された透光体39が一体に立設されている。この透光体39はアッパーケース3の充電表示用孔16内に臨んでおり、発光素子22から発光された光はこの透光体39を通して充電表示用孔16の外部から視認できる。
【0017】
この透光体39を矢印A方向から押圧することによって、第2の支承部38を弾性変形させ透光体39が矢印A方向に変位するように形成されている。この透光体39の矢印A方向への変位に際しては、充電表示用孔16の裏面側に設けた規制部16aによって、透光体39が矢印A方向へ確実に変位する。このため、故意に充電表示用孔16からピン等を挿入して透光体39を下方に押圧したとしても、透光体39が充電表示用孔16から外れて充電表示用孔16の裏面側に引っ掛かるようなことがない。したがって、仮に透光体39をピン等で押圧したとしても、押圧を解除することによって、透光体39が充電表示用孔16内に臨むように復旧する。
【0018】
次に、図5および図6を用いて、このような構造のラバシート25を充電表示用孔16を必要としないカールコード付き電話機に適用する場合について説明する。図5に全体を符号51で示すカールコード付き電話機は、ハンドセット載置部7に載置されるハンドセット52と電話機本体との間がカールコードによって接続されている。このカールコード付き電話機51ではハンドセット52側を充電する必要がないため、アッパーケース3の上面部3aに充電表示用孔16が設けられていない。
【0019】
このような構成において、充電表示用孔16が設けられていないアッパーケース3をロアーケース2に結合すると、図6に示すように、アッパーケース3の上面部3aの裏面が透光体39に当たり、透光体39を矢印A方向に押圧する。上述したように、透光体39を矢印A方向から押圧することによって、透光体39が矢印A方向に変位するように第2の支承部38が弾性変形する。したがって、アッパーケース3の上面部3aの裏面によって、透光体39が矢印A方向に押圧されたとしても、この押圧力が第2の支承部38の弾性変形によって吸収される。このため、透光体39が破損したり、透光体39の周辺部が部分的に弾性変形してプリント基板20上から浮き上がるようなことがないから、透光体39の近傍に設けられた押圧体26,32によるスイッチの動作不良を防止することができる。
【0020】
このように、コードレス型電話機1に使用するラバーシート25をカールコードレス付き電話機51にも使用することができるため、2種類のラバーシート25を必要としないため製造コストを低減することができる。
【0021】
図7は透光体39を支承する第2の支承部38の変形例を示す要部の平面図である。同図に示すように、この変形例においては、第2の支承部38を透光体39の円周方向全体にわたってスカート状に設けたものではなく、4個の第2の支承部38を円周方向に等角度おいて設けたものである。この場合は必ずしも第2の支承部38を薄肉状に形成する必要はなく、要は透光体39を矢印A方向に押圧することにより、透光体39が矢印A方向に変位するように第2の支承部38が弾性変形する厚みとすればよい。また、第2の支承部38は必ずしも4個である必要はなく2個以上であればよい。
【0022】
なお、本実施の形態においては、本発明に係るラバーシートを電話機に使用した例を説明したが、パソコン等他の電子機器にも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るラバーシートを使用したコードレス型電話機の平面図である。
【図2】本発明に係るラバーシートを使用したコードレス型電話機の一部を破断して示す側面図である。
【図3】本発明に係るラバーシートの平面図である。
【図4】本発明に係るラバーシートがコードレス型電話機に実装された状態の要部を示す断面図である。
【図5】本発明に係るラバーシートを使用したカールコード付き電話機の平面図である。
【図6】本発明に係るラバーシートがカールコード付き電話機に実装された状態の要部を示す断面図である。
【図7】本発明に係るラバーシートにおいて、第2の支承部の変形例を示す要部の平面図である。
【符号の説明】
【0024】
1…コードレス型電話機、2…ロアーケース、3…アッパーケース、11…ダイヤルボタン、16…充電表示用孔、16a…規制部、20…プリント基板、21…スイッチ部、22…発光素子、25…ラバーシート、26…押圧体、27…第1の支承部、28…導電部、37…囲い壁、38…第2の支承部、39…透光体、51…カールコード付き電話機。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ部が設けられたプリント基板上に積載され、全体が透光性を有する弾性材によってシート状に形成されたラバーシートであって、弾性変形可能な第1の支承部を介して柱状に形成され押圧することにより前記スイッチ部をオンする押圧体が一体に形成されたラバーシートにおいて、
このラバーシート上に一体に立設され発光部を囲む筒状の囲い壁と、この囲い壁の上端に前記押圧体の押圧方向に変形可能な第2の支承部を介して設けられ柱状に形成された透光体とを一体に形成したことを特徴とするラバーシート。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−87630(P2007−87630A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−271909(P2005−271909)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】