説明

ラベルプリンタ及び記憶媒体

【課題】簡単な操作で所望のレイアウトデータのファイルを選択可能としたラベルプリンタを提供する。
【解決手段】ラベルプリンタ1Aは、ラベルに印刷可能とする項目に対応して所定のオフセット値が設定されるレイアウト管理テーブルが保存されると共に、複数種類のフォーマットのラベルのレイアウトデータがオフセット値に関連付けられた固有のファイル番号が付けられて保存される不揮発性メモリ42と、操作表示部43でラベルに印刷される項目が選択されると、選択された項目に対応した値をレイアウト管理テーブルから読み出し、読み出した値を用いてファイル番号を生成し、ファイル番号で特定されるレイアウトデータを不揮発性メモリ42から読み出すCPU40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルに印刷を行うラベルプリンタ及びラベルに印刷されるデータが記憶される記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
スタンドアロンタイプと称される単体でラベルの発行が可能なラベルプリンタでは、パーソナルコンピュータ等でラベル作成アプリケーションを用いてラベルのレイアウトが作成され、作成されたレイアウトデータがラベルプリンタに装着されるメモリに保存されている。
【0003】
ラベルのレイアウトデータにはファイル番号またはファイル名が付けられており、ラベルの発行時には、ファイル番号またはファイル名を検索することで所望のファイルを読み出すことができるようになっている。
【0004】
スタンドアロンタイプのラベルプリンタでは、ラベルレイアウト自体を作成できる機能を備えたものがある。一方、漢字フォント等を持たないことで内蔵メモリを容量の小さいものとし、低コスト化を図ったラベルプリンタも提供されている。
【0005】
漢字フォント等を持たないラベルプリンタでは、漢字等を画像データとして処理することで、フォントを持たない漢字等を印刷することを可能としている。但し、漢字で書かれた内容は、ラベルプリンタ本体では編集できない。従って、表示内容を変更する場合、印刷しようとするラベルの数だけレイアウトデータを持つ必要がある。
【0006】
さて、値引きに関するラベルを発行するラベルプリンタでは、値引き方法や値引率、金額等は一定ではないので、ラベルの発行の都度、選択や入力をする必要がある。
【0007】
値引きに関するラベルは、内容はある程度限定される。このため、値引きラベルの発行に用いられるラベルプリンタでは、想定される複数種類のフォーマットのラベルのレイアウトデータが、それぞれ固有のファイル番号が付けられて保存されている。これにより、漢字フォント等を持たなくても、漢字表記等を含むラベルを発行可能となる。
【0008】
但し、所望のレイアウトデータを読み出すためには、ファイル番号を入力して読み出す作業が必要で、ファイル番号を覚えておく必要があった。
【0009】
一方、対話型でラベルを作成できるようにしたラベルプリンタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような対話型でラベルを作成できるようにしたラベルプリンタでも、作成したラベルにファイル番号を付けて保存する作業が必要で、同じファイルを読み出すためには、ファイル番号を覚えておく必要があった。また、同じファイルが異なるファイル番号で重複して保存される可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4359053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
複数種類のフォーマットのラベルのレイアウトデータが、それぞれ固有のファイル番号等を付けて保存され、ファイル番号等で所望のファイルを検索できるようにした従来のラベルプリンタでは、ファイル番号とファイルの内容の関連付けをラベルの発行者が認識できるようにする必要があり、ファイルの検索が手間となって、作業時間が増大していた。
【0012】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、簡単な操作で所望のレイアウトデータのファイルを選択可能としたラベルプリンタ及びラベルプリンタで用いられる記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するため、本発明は、ラベルに印刷可能とする項目に対応して所定の値が設定される管理テーブルが保存されると共に、複数種類のフォーマットのラベルのレイアウトデータが、ラベルに印刷可能とする項目に対応した値に関連付けられた固有のファイル番号が付けられて保存される記憶手段と、ラベルに印刷される項目が選択される操作手段と、操作手段でラベルに印刷される項目が選択されると、選択された項目に対応した値を管理テーブルから読み出し、読み出した値を用いてファイル番号を生成し、ファイル番号で特定されるレイアウトデータを記憶手段から読み出す制御手段とを備えたラベルプリンタである。
【0014】
また、本発明は、ラベルに印刷可能とする項目に対応して所定の値が設定される管理テーブルが保存されると共に、複数種類のフォーマットのラベルのレイアウトデータが、ラベルに印刷可能とする項目に対応した値を用いて所定の演算規則により求められた固有のファイル番号が付けられて保存される記憶媒体である。
【0015】
本発明では、ラベルに印刷する項目を選択する操作で、所望のフォーマットのレイアウトデータを特定するファイル番号が生成される。このため、レイアウトデータのファイル検索が容易な作業となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ラベルの発行者は、ラベル発行に必要な項目を選択する作業を行うだけ、所望のラベルのレイアウトデータを読み出すことができる。これにより、簡単な操作で所望のレイアウトデータのファイルを選択可能となり、所望のラベルを容易に発行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す機能ブロック図である。
【図2】本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す構成図である。
【図3】本実施の形態のラベルプリンタの操作表示部一例を示す外観図である。
【図4】本実施の形態のラベルプリンタで印刷されるラベルの一例を示す構成図である。
【図5】ラベルのレイアウトデータの一例を示す構成図である。
【図6】ラベルのレイアウトデータの一例を示す構成図である。
【図7】ラベルのレイアウトデータの一例を示す構成図である。
【図8】ラベルのレイアウトデータの一例を示す構成図である。
【図9】レイアウト管理テーブルの一例を示す構成図である。
【図10】レイアウトデータの構成の一例を示す構成図である。
【図11】ラベルに印刷する項目を選択する処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】ラベルに印刷する項目の選択が行われる選択画面の遷移の一例を示す動作説明図である。
【図13】値引き方法の選択に対応して表示される入力画面の一例を示す動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明のラベルプリンタ及び記憶媒体の実施の形態について説明する。
【0019】
<本実施の形態のラベルプリンタの構成例>
図1は、本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す機能ブロック図、図2は、本実施の形態のラベルプリンタの一例を示す構成図、図3は、本実施の形態のラベルプリンタの操作表示部の一例を示す外観図、図4は、本実施の形態のラベルプリンタで印刷されるラベルの一例を示す構成図である。
【0020】
本実施の形態のラベルプリンタ1Aの概要について説明すると、ラベルプリンタ1Aは、複数種類のフォーマットのラベルのレイアウトデータが、それぞれ固有のファイル番号が付けられて保存される。また、ラベルに印刷可能とする項目に対応して、ファイル番号の生成で用いられるオフセット値が設定される。
【0021】
ラベルプリンタ1Aは、ラベルに印刷する項目が選択されると、選択された項目に対応したオフセット値を用いて所定の演算を行うことで、選択された項目の組み合わせで特定されるフォーマットに対応したレイアウトデータのファイル番号が生成される。
【0022】
これにより、本実施の形態のラベルプリンタ1Aでは、予め保存されているラベルのレイアウトデータのファイル番号が判らなくても、ラベルに印刷する項目を選択する操作で、所望のフォーマットのレイアウトデータを読み出すことができる。
【0023】
本実施の形態のラベルプリンタ1Aで用いられるラベル2について説明すると、ラベル2は、図4に示すように、例えば、長尺の剥離紙20の一の面である表面に剥離可能に貼着された形態で提供される。剥離紙20の表面には、複数のラベル2が間隔を開けずに貼着されると共に、剥離紙20の他の面である裏面には、印刷可能領域を示す印刷可能領域マーク21が印刷されて、長尺状のラベル用紙22が構成される。ラベルプリンタ1Aは、図2に示すように、ラベル用紙22がロール状に巻かれた形態のラベルロール23がセットされる。
【0024】
以下に、本実施の形態のラベルプリンタ1Aの詳細について説明する。ラベルプリンタ1Aは、ラベル2の搬送手段として、ラベルロール23から引き出されたラベル用紙22を搬送するプラテンローラ30と、プラテンローラ30を駆動する搬送モータ31と、搬送モータ31を駆動するモータドライバ32を備える。
【0025】
また、ラベルプリンタ1Aは、ラベル2への印刷手段として、ラベル2が感熱紙である構成では、サーマルヘッドで構成される印刷ヘッド33を備える。更に、ラベルプリンタ1Aは、ラベル2の検出手段として、印刷可能領域マーク21等を検出するラベル検出センサ34を備える。
【0026】
ラベルプリンタ1Aでは、ラベル用紙22に形成された印刷可能領域マーク21をラベル検出センサ34で読み取って、ラベル2に設定されている印刷可能領域を検知し、ラベル2の印刷可能領域に印刷ヘッド33で各種情報を印刷する制御が実行される。
【0027】
このため、ラベルプリンタ1Aは、所定のプログラムに従い各種情報を印刷する制御を実行する制御手段の一例であるCPU40と、CPU40が制御を実行する際の作業用メモリ等として用いられるRAM41と、書き換え可能な半導体メモリ等で構成される記憶媒体(記憶手段)の一例である不揮発性メモリ42を備える。
【0028】
また、ラベルプリンタ1Aは、表示手段の一例であるディスプレイ43a及びキーボード等の入力手段の一例である入力部43bで構成される操作表示部43と、入力手段の一例であるバーコードリーダ等のコードスキャナ44を備える。
【0029】
更に、ラベルプリンタ1Aは、パーソナルコンピュータやホストコンピュータ等の外部の情報処理装置45と公衆網や専用回線等の通信回線46aで接続され、情報処理装置45との間で通信を行って、データの授受を行う通信手段の一例である通信I/F46を備える。
【0030】
値引きに関するラベルを発行するラベルプリンタ1Aでは、発行するラベルの内容はある程度限定される。このため、ラベルプリンタ1Aは、想定される複数種類のフォーマットのラベルのレイアウトデータが、それぞれ固有のファイル番号(ファイル名)が付けられて、不揮発性メモリ42に保存される。
【0031】
また、ラベルに印刷可能とする項目に対応して所定のオフセット値が設定され、ラベルに印刷すると選択された項目に対応したオフセット値が読み出されるレイアウト管理テーブルが不揮発性メモリ42に保存される。レイアウトデータにつけられるファイル番号は、ラベルに印刷可能とする項目に対応したオフセット値に関連付けられる情報で、オフセット値を用いて所定の演算規則により求められる値である。ここで、不揮発性メモリ42は、ラベルプリンタ1Aに内蔵されたメモリでも良いし、ラベルプリンタ1Aに着脱可能なカード状等のメモリでも良い。
【0032】
図5〜図8は、ラベルのレイアウトデータの一例を示す構成図である。本実施の形態では、値引き方法、半額表示を印刷するか否か、値引き前の元価格を印刷するか否か、値引き後の後価格を印刷するか否かの組み合わせにより、例えば14種類のラベルのレイアウトデータが保存される。
【0033】
図5(a)〜図5(d)は、値引き方法の表示を「%引き」で行い、かつ、値引き率が50%の場合を示す。図5(a)に示すフォーマットは、ラベル2に印刷される項目が、バーコード25Aと値引き率25BであるレイアウトデータD1であり、レイアウトデータD1のファイル番号を、十進数の表記で「901」とする。
【0034】
図5(b)に示すフォーマットは、ラベル2に印刷される項目が、バーコード25Aと値引き率25Bと値引き後価格25CであるレイアウトデータD2であり、レイアウトデータD2のファイル番号を「902」とする。
【0035】
図5(c)に示すフォーマットは、ラベル2に印刷される項目が、バーコード25Aと値引き率25Bと値引き前価格25DであるレイアウトデータD3であり、レイアウトデータD3のファイル番号を「903」とする。
【0036】
図5(d)に示すフォーマットは、ラベル2に印刷される項目が、バーコード25Aと値引き率25Bと値引き後価格25Cと値引き前価格25DであるレイアウトデータD4であり、レイアウトデータD4のファイル番号を「904」とする。
【0037】
図6(a)〜図6(d)は、値引き方法の表示を「%引き」で行い、かつ、値引き率が50%で半額表示を印刷する場合を示す。図6(a)に示すフォーマットは、ラベル2に印刷される項目が、バーコード25Aと半額表示25EであるレイアウトデータD5であり、レイアウトデータD5のファイル番号を「905」とする。
【0038】
図6(b)に示すフォーマットは、ラベル2に印刷される項目が、バーコード25Aと値引き後価格25Cと半額表示25EであるレイアウトデータD6であり、レイアウトデータD6のファイル番号を「906」とする。
【0039】
図6(c)に示すフォーマットは、ラベル2に印刷される項目が、バーコード25Aと値引き前価格25Dと半額表示25EであるレイアウトデータD7であり、レイアウトデータD7のファイル番号を「907」とする。
【0040】
図6(d)に示すフォーマットは、ラベル2に印刷される項目が、バーコード25Aと値引き後価格25Cと値引き前価格25Dと半額表示25EであるレイアウトデータD8であり、レイアウトデータD8のファイル番号を「908」とする。
【0041】
図7(a)〜図7(d)は、値引き方法の表示を「円引き」で行う場合を示す。図7(a)に示すフォーマットは、ラベル2に印刷される項目が、バーコード25Aと値引き額25FであるレイアウトデータD9であり、レイアウトデータD9のファイル番号を「909」とする。
【0042】
図7(b)に示すフォーマットは、ラベル2に印刷される項目が、バーコード25Aと値引き後価格25Cと値引き額25FであるレイアウトデータD10であり、レイアウトデータD10のファイル番号を「910」とする。
【0043】
図7(c)に示すフォーマットは、ラベル2に印刷される項目が、バーコード25Aと値引き前価格25Dと値引き額25FであるレイアウトデータD11であり、レイアウトデータD11のファイル番号を「911」とする。
【0044】
図7(d)に示すフォーマットは、ラベル2に印刷される項目が、バーコード25Aと値引き後価格25Cと値引き前価格25Dと値引き額25FであるレイアウトデータD12であり、レイアウトデータD12のファイル番号を「912」とする。
【0045】
図8(a)〜図8(b)は、値引き方法の表示を値引き後の価格である「ズバリ価格」と称す項目で行う場合を示す。図8(a)に示すフォーマットは、ラベル2に印刷される項目が、バーコード25Aと値引き後価格25CであるレイアウトデータD13であり、レイアウトデータD13のファイル番号を「913」とする。
【0046】
図8(b)に示すフォーマットは、ラベル2に印刷される項目が、バーコード25Aと値引き後価格25Cと値引き前価格25DであるレイアウトデータD14であり、レイアウトデータD14のファイル番号を「914」とする。
【0047】
図9は、レイアウト管理テーブルの一例を示す構成図である。図5〜図8で説明したレイアウトデータD1〜D14のファイル番号「901」〜「914」を生成できるようにするため、レイアウト管理テーブルTBは、ラベルに印刷可能とする項目として、ラベルに印刷するバーコードの種別に対応してオフセット値A1が設定される。なお、本例では、ラベルに印刷するバーコードの種別が、code128の1種類であるので、オフセット値A1は設定しなくても良いが、例えば、ラベルに印刷するバーコードの種別として、code128とJANコードを選択可能とするような場合は、オフセット値A1の設定が必要となる。
【0048】
また、レイアウト管理テーブルTBは、ラベルに印刷可能とする項目として、値引き方法の選択に対応してオフセット値A2が設定され、半額表示を印刷するか否かの選択に対応してオフセット値A3が設定され、元価格を印刷するか否かの選択に対応してオフセット値A4が設定され、後価格を印刷するか否かの選択に対応してオフセット値A5が設定される。
【0049】
レイアウト管理テーブルTBでは、ラベルに印刷するバーコードの種別、値引き方法、半額表示を印刷するか否か、値引き前の元価格を表示するか否か、値引き後の後価格を表示するか否かの組み合わせにより、各項目で選択されるオフセット値の組合せが一意に決まる。
【0050】
このため、ファイル番号Fnの生成は、ファイル番号を演算するための変数をNとすると、以下の(1)式により求められる。
【0051】
Fn=N+A1+A2+A3+A4+A5 ・・・(1)
【0052】
レイアウト管理テーブルTBでは、ファイル番号の基底番号を「901」とし、基底番号を変数Nとすることで、ラベルに印刷するバーコードの種別、値引き方法、半額表示を印刷するか否か、値引き前の元価格を表示するか否か、値引き後の後価格を表示するか否かに応じて選択されたオフセット値A1〜A5を、変数Nに加算する演算を行うと、図9の左欄に示すファイル番号が生成される。
【0053】
図1に示すCPU40は、ラベル2に印刷する項目等の選択が行われる選択画面を、操作表示部43のディスプレイ43aに表示する。また、操作表示部43の入力部43bの入力を監視し、選択された項目に応じて画面を切り換えると共に、選択された項目に対応したオフセット値を選択してレイアウト管理テーブルTBから読み出す。そして、読み出したオフセット値A1〜A5を用いて、上述した(1)式による演算を行い、ファイル番号Fnを生成し、ファイル番号Fnで特定されるレイアウトデータを不揮発性メモリ42から読み出す。
【0054】
また、CPU40は、ラベル2に印刷する項目の中で、内容が変更可能に設定された項目について、項目の内容の変更が行われる入力画面を、操作表示部43のディスプレイ43aに表示する。そして、操作表示部43の入力部43b、または、コードスキャナ44が操作されて数字やコード記号等が入力されると、入力された内容に応じて画面を切り換えると共に、ラベルのレイアウトデータの選択された項目に、入力された値をセットする。
【0055】
図10は、レイアウトデータの構成の一例を示す構成図である。なお、図10では、レイアウトデータとして、図5(d)で説明したレイアウトデータD4を例に説明する。
【0056】
ラベルのレイアウトデータでは、ラベル2に印刷される各項目をオブジェクトと称し、例えば、レイアウトデータD4では、ラベル2に印刷される各項目が、バーコード等の単体のデータ、及び価格等の数字のデータと「表示価格」や「円」等の画像データを組み合わせたオブジェクトC1で構成される。
【0057】
レイアウトデータは、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置45で、所定のラベル作成アプリケーションを用いて作成される。ラベル作成アプリケーションでは、ラベルのサイズの設定、バーコード等のコード情報や、数字や漢字等の文字情報が入力される入力枠の設定、コード情報や文字情報の入力、文字のサイズの設定等が行われる。
【0058】
内容を変更可能とするオブジェクトについては、コード情報または文字情報が入力される入力枠について、ラベルプリンタでの編集を可能として、ラベル発行時にラベルプリンタでの内容の変更を可能に設定する。また、内容を変更可能とするオブジェクトに任意の名称、例えば内容に関連する名称を表示名として設定する。
【0059】
このように作成されたレイアウトデータは、ラベルに印刷する項目に対応して、図9で説明したレイアウト管理テーブルTBの規則に従い設定されたオフセット値を用いて求められるファイル番号を付与して保存される。
【0060】
ラベル作成アプリケーションで作成されたレイアウトデータは、例えば、情報処理装置45とラベルプリンタ1Aで通信を行うことで、ラベルプリンタ1Aの不揮発性メモリ42に保存される。ラベルプリンタ1Aの不揮発性メモリ42に保存されるレイアウトデータは、情報処理装置45との通信により、一部または全部が更新可能に設定される。
【0061】
また、情報処理装置45がホストコンピュータである場合、情報処理装置45と複数台のラベルプリンタ1Aとの間で通信を行うことで、複数台のラベルプリンタ1Aの不揮発性メモリ42に保存されるレイアウトデータの一部または全部が更新可能に設定される。このように、外部の情報処理装置45と通信回線46aを介して単数または複数のラベルプリンタ1Aを接続することで、ラベルプリンタ1Aで保存されるレイアウトデータを容易に更新することができる。
【0062】
なお、情報処理装置45で作成されたレイアウトデータを、着脱可能なメモリに保存し、このメモリをラベルプリンタ1Aに装着して不揮発性メモリ42として使用する構成でも良い。
【0063】
図1に示すCPU40は、オブジェクトの内容を変更可能とした項目を含むラベルのレイアウトデータを不揮発性メモリ42から読み出し、内容の変更を可能とした項目が選択されると、ラベル作成時にオブジェクトに設定された表示名を操作表示部43のディスプレイ43aに表示する。そして、操作表示部43の入力部43b、または、コードスキャナ44が操作されて数字やコード記号等が入力されると、入力された内容に応じて画面を切り換えると共に、ラベルのレイアウトデータの選択された項目に、入力された値をセットする。ここで、「円」等の漢字は画像データとすることで、ラベルプリンタ1Aが漢字フォントを持たない構成であっても、漢字の印刷を可能にしている。
【0064】
<本実施の形態のラベルプリンタの動作例>
図11は、ラベルに印刷する項目を選択する処理の一例を示すフローチャート、図12は、ラベルに印刷する項目の選択が行われる選択画面の遷移の一例を示す動作説明図で、次に、各図を参照して、本実施の形態のラベルプリンタ1Aで実行されるレイアウトデータの読み出し処理について説明する。
【0065】
ラベルプリンタ1AのCPU40は、図11のステップSA1で、ファイル番号を演算するための変数Nを用意し、ステップSA2で、変数Nにファイル番号の基底番号、本例では「901」をセットする。
【0066】
CPU40は、図11のステップSA3で、ラベルに印刷する項目として、バーコードの種別を判断し、ステップSA4で、図9に示すレイアウト管理テーブルTBから、ラベルに印刷するバーコードの種別に対応したオフセット値A1を読み出す。本例では、ラベルに印刷するバーコードの種別が、code128の1種類であるので、オフセット値A1は「0」である。
【0067】
CPU40は、図11のステップSA5で、ラベルに印刷する項目として、図12(a)に示す値引き方法を選択させる選択画面S1を表示し、値引き方法を選択させる。
【0068】
選択画面S1で値引き方法として「%引き」が選択されると、CPU40は、図11のステップSA6で、図9に示すレイアウト管理テーブルTBから、「%引き」に対応したオフセット値A2を読み出す。「%引き」に対応したオフセット値は、A2=0である。
【0069】
選択画面S1で値引き方法として「円引き」が選択されると、CPU40は、図11のステップSA7で、図9に示すレイアウト管理テーブルTBから、「円引き」に対応したオフセット値A2を読み出す。「円引き」に対応したオフセット値は、A2=8である。
【0070】
選択画面S1で値引き方法として「ズバリ価格」が選択されると、CPU40は、図11のステップSA8で、図9に示すレイアウト管理テーブルTBから、「ズバリ価格」に対応したオフセット値A2を読み出す。「ズバリ価格」に対応したオフセット値は、A2=12である。
【0071】
図13は、値引き方法の選択に対応して表示される入力画面の一例を示す動作説明図である。図13では、値引き方法として「%引き」が選択された場合に、値引率を入力可能とした入力画面E1を示す。
【0072】
例えば、図5(a)〜図5(d)で説明したように、値引き方法が「%引き」であるレイアウトデータでは、任意の値引率に設定できるようにするため、値引率の項目について、内容が変更可能に設定されている。
【0073】
このため、値引き方法として「%引き」が選択されると、図13に示すように、ラベル作成時に変更可能に設定された値引率の項目のオブジェクトに対して入力された表示名、本例では「値引率変更」で特定される入力画面E1を操作表示部43のディスプレイ43aに表示して、値引率の入力を可能にする。
【0074】
なお、値引き方法として「円引き」または「ズバリ価格」が選択された場合、または、元価格や後価格を表示すると選択された場合、価格の入力が必要となるので、同様にして価格の内容が変更可能に設定されている。
【0075】
CPU40は、値引き方法が選択される共に、値引き方法の選択に対応して値引率等が入力されると、図11のステップSA9で、ラベルに印刷する項目として、図12(b)に示す半額表示を印刷するか否かを選択させる選択画面S2を表示し、半額表示を印刷するか否かを選択させる。ここで、半額表示を印刷するか否かの選択は、値引き方法として「%引き」が選択され、かつ、値引き率が50%に設定された場合に選択可能な項目である。
【0076】
選択画面S2で半額表示を印刷しないと選択されると、CPU40は、図11のステップSA10で、図9に示すレイアウト管理テーブルTBから、「半額表示を印刷しない」に対応したオフセット値A3を読み出す。「半額表示を印刷しない」に対応したオフセット値は、A3=0である。
【0077】
選択画面S2で半額表示を印刷すると選択されると、CPU40は、図11のステップSA11で、図9に示すレイアウト管理テーブルTBから、「半額表示を印刷する」に対応したオフセット値A3を読み出す。「半額表示を印刷する」に対応したオフセット値は、A3=4である。
【0078】
CPU40は、半額表示を印刷するか否かが選択されると、図11のステップSA12で、ラベルに印刷する項目として、図12(c)に示す元価格を印刷するか否かを選択させる選択画面S3を表示し、元価格を印刷するか否かを選択させる。
【0079】
選択画面S3で元価格を印刷しないと選択されると、CPU40は、図11のステップSA13で、図9に示すレイアウト管理テーブルTBから、「元価格を印刷しない」に対応したオフセット値A4を読み出す。「元価格を印刷しない」に対応したオフセット値は、A4=0である。
【0080】
選択画面S1で値引き方法として「%引き」または「円引き」が選択され、選択画面S3で元価格を印刷すると選択されると、CPU40は、図11のステップSA14で、図9に示すレイアウト管理テーブルTBから、値引き方法が「%引き」または「円引き」で、「元価格を印刷する」に対応したオフセット値A4を読み出す。値引き方法が「%引き」または「円引き」で、「元価格を印刷する」に対応したオフセット値は、A4=2である。
【0081】
選択画面S1で値引き方法として「ズバリ価格」が選択され、選択画面S3で元価格を印刷すると選択されると、CPU40は、図11のステップSA15で、図9に示すレイアウト管理テーブルTBから、値引き方法が「ズバリ価格」で、「元価格を印刷する」に対応したオフセット値A4を読み出す。値引き方法が「ズバリ価格」で、「元価格を印刷する」に対応したオフセット値は、A4=1である。
【0082】
CPU40は、元価格を印刷するか否かが選択されると、図11のステップSA16で、ラベルに印刷する項目として、図12(d)に示す値引後価格を印刷するか否かを選択させる選択画面S4を表示し、値引後価格を印刷するか否かを選択させる。
【0083】
選択画面S4で値引後価格を印刷しないと選択されると、CPU40は、図11のステップSA17で、図9に示すレイアウト管理テーブルTBから、「値引後価格を印刷しない」に対応したオフセット値A5を読み出す。「値引後価格を印刷しない」に対応したオフセット値は、A5=0である。ここで、選択画面S1で値引き方法として「ズバリ価格」が選択された場合、「値引後価格を印刷する」と選択される。選択画面S1で値引き方法として「ズバリ価格」が選択されると、値引き方法が「ズバリ価格」で、「値引後価格を印刷する」に対応したオフセット値A5を読み出す。値引き方法が「ズバリ価格」で、「値引後価格を印刷する」に対応したオフセット値は、A5=0である。
【0084】
選択画面S1で値引き方法として「ズバリ価格」が選択されておらず、選択画面S4で値引後価格を印刷すると選択されると、CPU40は、図11のステップSA18で、図9に示すレイアウト管理テーブルTBから、「値引後価格を印刷する」に対応したオフセット値A5を読み出す。「値引後価格を印刷する」に対応したオフセット値は、A5=1である。これらの項目の選択は、発行の都度行っても良いし、ラベルプリンタ1Aの基本設定を行う際に、頻繁に用いるレイアウトデータのオフセット値に予め設定しておいても良い。
【0085】
CPU40は、選択画面S1〜S4でラベルに印刷する項目が選択され、選択された項目に対応したオフセット値をレイアウト管理テーブルTBから読み出すと、読み出したオフセット値A1〜A5を用いて、上述した(1)式による演算を行ってファイル番号Fnを生成し、ファイル番号Fnで特定されるレイアウトデータを不揮発性メモリ42から読み出す。
【0086】
例えば、ラベルに印刷されるバーコードの種別が「code128」、値引き方法が「%引き」、半額表示を「印刷しない」、元価格を「印刷する」、後価格を「印刷する」と選択されると、それぞれオフセット値はA1=0、A2=0、A3=0、A4=2、A5=1となり、上述した(1)式による演算を行うと、Fn=904となる。
【0087】
ファイル番号Fnが「904」で特定されるレイアウトデータは、図5(d)に示すように、ラベル2に印刷される項目が、バーコード25Aと値引き率25Bと値引き後価格25Cと値引き前価格25DであるレイアウトデータD4であり、ラベルに印刷すると選択された項目に合致したフォーマットであることが判る。ラベルに印刷すると選択した項目が他の組み合わせであっても、同様にファイル番号が生成される。
【0088】
これにより、本実施の形態のラベルプリンタ1Aでは、不揮発性メモリ42に予め保存されているラベルのレイアウトデータのファイル番号が判らなくても、ラベルに印刷する項目を選択する操作で、複数のファイルの中から所望のフォーマットのレイアウトデータを読み出すことができ、ラベルの発行者であるユーザが印刷したい項目を含むフォーマットでラベルを印刷することができる。また、値引率情報や元価格情報等は、ラベルプリンタ1Aでの発行時に変更可能なオブジェクトに設定することで、ユーザが任意に入力した値を印刷できる。
【0089】
更に、図9に示すような予め決められたレイアウト管理テーブルに従ってファイル番号を付けることにすれば、従来からのラベル作成アプリケーション及びラベルプリンタで用いられている同じファイル形式を利用でき、レイアウトデータは従来と同様の方法で作成できるので、既存のラベル作成アプリケーション及びラベルプリンタとの互換性を確保できる。また、ラベルレイアウトの変更や置き換えが容易に行なえる。
【0090】
なお、ファイル番号の生成は、上述した(1)式を用いた演算以外の方法でも良い。例えば、ラベルに印刷する項目に対応したオフセット値を、ファイル番号の桁に対応させても良い。上述した例で、ラベルに印刷されるバーコードの種別が「code128」、値引き方法が「%引き」、半額表示を「印刷しない」、元価格を「印刷する」、後価格を「印刷する」と選択された場合、それぞれオフセット値はA1=0、A2=0、A3=0、A4=2、A5=1となり、ファイル番号が「00021」となる。但し、この方法では、項目数が増えると、ファイル番号の桁数が増加する。また、項目毎にフォルダを作成する方法も考えられるが、項目数が増えると、階層が深くなる上、フォルダを指定する必要があるので、ファイル更新時の手順が煩雑になる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、予め複数のフォーマットが用意されているラベルプリンタに適用される。
【符号の説明】
【0092】
1A・・・ラベルプリンタ、2・・・ラベル、40・・・CPU、42・・・不揮発性メモリ、43・・・操作表示部、TB・・・レイアウト管理テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルに印刷可能とする項目に対応して所定の値が設定される管理テーブルが保存されると共に、複数種類のフォーマットのラベルのレイアウトデータが、ラベルに印刷可能とする項目に対応した値に関連付けられた固有のファイル番号が付けられて保存される記憶手段と、
ラベルに印刷される項目が選択される操作手段と、
前記操作手段でラベルに印刷される項目が選択されると、選択された項目に対応した値を前記管理テーブルから読み出し、読み出した値を用いてファイル番号を生成し、ファイル番号で特定されるレイアウトデータを前記記憶手段から読み出す制御手段と
を備えたことを特徴とするラベルプリンタ。
【請求項2】
前記記憶手段に保存されたラベルのレイアウトデータに付けられたファイル番号は、ラベルに印刷される項目に対応した値を用いて所定の演算規則により求められた演算値であり、
前記制御手段は、前記管理テーブルから読み出した値を用いて所定の演算規則でファイル番号を生成する
ことを特徴とする請求項1記載のラベルプリンタ。
【請求項3】
前記制御手段は、前記管理テーブルから読み出した値を加算する演算規則でファイル番号を生成する
ことを特徴とする請求項2記載のラベルプリンタ。
【請求項4】
前記制御手段は、ラベルに印刷される項目を選択させる選択画面を前記操作手段で表示し、前記操作手段でラベルに印刷される項目が選択されると、選択された項目に応じて画面を切り換えると共に、選択された各項目に対応した値を前記管理テーブルから読み出す
ことを特徴とする請求項1、2または3記載のラベルプリンタ。
【請求項5】
前記制御手段は、前記操作手段でラベルに印刷される項目が選択され、選択された項目の内容が変更可能に設定されていると、項目の内容の変更が行われる入力画面を前記操作手段で表示し、入力された内容に応じて画面を切り換えると共に、ラベルのレイアウトデータの選択された項目に、入力された値をセットする
ことを特徴とする請求項4記載のラベルプリンタ。
【請求項6】
前記制御手段は、
ラベル作成アプリケーションを用いてラベルのレイアウトデータが作成される情報処理装置から、前記管理テーブルの規則に従いラベルに印刷される項目に対応して設定される所定の値に関連付けられたファイル番号が付与されたレイアウトデータを授受し、
前記記憶手段に保存された一部または全部のレイアウトデータを更新する
ことを特徴とする請求項1〜5項のいずれか1項に記載のラベルプリンタ。
【請求項7】
ラベルに印刷可能とする項目に対応して所定の値が設定される管理テーブルが保存されると共に、
複数種類のフォーマットのラベルのレイアウトデータが、ラベルに印刷可能とする項目に対応した値を用いて所定の演算規則により求められた固有のファイル番号が付けられて保存される
ことを特徴とする記憶媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2011−136513(P2011−136513A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298997(P2009−298997)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】