説明

ラベルプリンタ

【課題】 ラベルの粘着剤層側にラベル用シートの印字反対面を向き合わせて積層し、ラベル用シートに印字された情報を隠蔽して貼付することに適したラベルプリンタを提供すること。
【解決手段】 剥離シートSにラベルL1が仮着された第1の原反M1と、粘着剤層を有しない第2の原反M2を繰り出す途中でラベルL1及び第2のラベル原反L2にそれぞれ印字を行う印字手段12と、ラベルL1を剥離シートSから剥離する剥離手段13と、切断手段14を介して形成されたラベル用シートL2を保持する第1及び第2の保持手段15,16と、ラベルL1の粘着剤層側にラベル用シートL2の印字反対面を向き合わせて積層する積層手段17とを備えている。ラベル用シートL2を積層したラベルL1は、粘着剤層がラベル用シートL2の外周全域に閉ループ状に表出した状態で被着体Wに貼付される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラベルプリンタに係り、更に詳しくは、ラベルの粘着剤層側に、粘着剤層を有しないラベル用シートを積層させて当該ラベル用シートをラベルと被着体との間に挟み込んで貼付することに適したラベルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、インターネットやテレビショッピング等の普遍的な拡大に伴い、伝統的な店頭販売に加えて通信販売が普及するに至り、配送業者が販売者に代わって商品を消費者に届ける流通形態が多く見られるようになっている。そのため、配送伝票を通じて商品に関する情報、例えば、商品名、商品価格等が漏洩し得ることとなる。これらの情報は、消費者が購入した商品が何であるかを特定するため、消費者のプライバシーに大きく関わる秘匿情報であるとともに、商品価格は、商品価値を把握できる性質を有していることから、流通過程における盗難防止を図る観点からも秘匿情報と捉えた方が好ましい。
この点、配送伝票の構造が複数枚の帳票を積層して束ねられたものであれば、当該配送伝票の一部に商品名記載や領収金額等の記載を行って秘密性を担保した状態で商品を消費者に手渡すことができるが、このタイプの配送伝票を用いた場合には、利用できるラベルプリンタが限定されてしまうことになる。
【0003】
そこで、プリンタの制約を解消するために、枚葉タイプの配送伝票を採用すればよいことになるが、このような配送伝票では、他人に見られたくない秘匿情報も外部より見えてしまうことになる。
【0004】
特許文献1には、枚葉タイプの配送伝票として用いることができるラベルが開示されている。同ラベルは公開情報帳票部に秘匿情報帳票部が連設された枚葉タイプであり、秘匿情報帳票部を公開情報帳票部の裏面側に折り返して当該公開情報帳票部を被着体に貼付することで、秘匿情報帳票部を外部から見ることができない構成となっている。
また、特許文献2には、ラベルの両面に印字を行うことのできるラベルプリンタが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−246882号公報
【特許文献2】米国特許第6786263号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたラベルは、ラベルを手作業によって折り返す工程が必要になる、という不都合がある。また、裏面側に折り返したラベルの外周全域に粘着剤層が表出するものではなく、一部の領域に粘着剤層が表出する状態となる。つまり、ラベルの折り返し縁に沿う領域は被着体に接着されない状態となり、貼付された後のラベルの外周が部分的に浮き上がったり、波打ったりし、これにより、ラベルの意図しない剥離を招来するという不都合がある。
【0007】
また、特許文献2に記載されたプリンタは、ラベルの粘着剤層に印字を行う構成であり、印字予定部分に粘着剤層を設けない、いわゆる糊無し加工を行う一方、剥離シートにも印字予定部分に穴を開ける加工が必要となる。しかも、印字を行う領域が変更される毎に、ラベルの糊無し加工部分を変更しなければならないので、印字領域の自由度が制限的なものになる、という不都合がある。
【0008】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、ラベルの粘着剤層側に、当該ラベルよりも平面積が小さいラベル用シートを自動的に積層することができるとともに、ラベル用シートに印刷された秘匿情報を被着体との間に隠蔽した状態で貼付することに適したラベルプリンタを提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、ラベルの粘着剤層に特別な加工等を必要とすることなく両面側に印字を行うことのできるラベルプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明のラベルプリンタは、剥離シートの一方の面にラベルが仮着された第1の原反と、粘着剤層を有しない第2の原反とを繰り出し可能に支持する支持手段と、前記各原反を繰り出す途中で前記ラベルと第2の原反にそれぞれ印字を行う印字手段と、前記剥離シートからラベルを剥離する剥離手段と、前記第2の原反を前記ラベルの平面積より小さい平面積となるように切断してラベル用シートを形成する切断手段と、前記剥離手段で剥離されたラベルとラベル用シートとを保持する第1及び第2の保持手段と、前記ラベルの粘着剤層側にラベル用シートの印字反対面が向き合うようにこれらを積層する積層手段とを備える、という構成を採っている。
【0011】
本発明において、前記ラベル用シートの外縁に、前記ラベルの粘着剤層が閉ループ状に表出するように当該ラベルにラベル用シートが積層される、という構成を採ることができる。
【0012】
また、前記第1の保持手段は駆動装置に支持されて所定の被着体に対して進退可能に設けられ、第1の保持手段が被着体に押圧されたときに、前記ラベル用シートの外周側に表出する粘着剤層を介して当該ラベル用シートが前記ラベルと被着体との間に挟み込まれて貼り付けられる、という構成を採っている。
【0013】
更に、前記第1及び第2の保持手段は、それぞれに対応した第1の吸着プレートと第2の吸着プレートとを備え、当該第2の吸着プレートは、前記ラベル用シートの繰り出し方向に沿って進退可能に設けられている。
【0014】
また、前記第2の吸着プレートが前記繰出方向上流側に移動して前記ラベル用シートに対応する領域を吸着したときに、前記切断手段が、前記第2の吸着プレートの前記繰出方向上流側の端縁に略沿って第2の原反を切断するように設けられている。
【0015】
また、前記ラベルの面内に、前記ラベル用シートを積層した状態でラベルを部分的に切り取り可能とする切り取り線が形成されている、という構成を採るとよい。
【0016】
また、前記切り取り線に沿う所定箇所に切欠部が形成され、この切欠部は、前記ラベル用シートが前記ラベルと被着体との間に挟み込まれた状態で貼付された後の捲り部を形成するとよい。
【0017】
更に、前記第2の保持手段の吸着面は、前記ラベル用シートの外形と略同一又はこれより小さく設けられている。
【発明の効果】
【0018】
本発明のラベルプリンタによれば、ラベル用シートがラベルよりも平面積が小さく形成され、ラベル用シートをラベルの粘着剤層側に積層した後に、当該ラベルと被着体との間にラベル用シートを挟み込んで貼付することができるので、ラベルの外周全域を被着体に粘着させることが可能となる。従って、貼付された後のラベル外周の部分的な浮き上がり等を効果的に防止することができ、ラベル用シートに印刷された情報を完全に隠蔽することが可能となる。
【0019】
また、第2の吸着プレートが、ラベル用シートの繰り出し方向に沿って進退可能に設けられているため、ラベル用シートをラベルの粘着剤層側に貼付する際の、前記繰出方向に沿う位置調整が可能となる。しかも、第2の原反は、第2の吸着プレートにおける繰出方向上流側の端縁に沿って切断されるので、ラベル用シートの全領域を第2の吸着プレートに吸着させることができる。
【0020】
更に、ラベルの面内に切り取り線と切欠部を形成することにより、ラベル用シートがラベルの一部と共に容易に切り取りできる一方、この切り取りに際して捲り部を利用することが可能となる。
【0021】
また、第2の保持手段の吸着面がラベル用シートの外形と略同一又はこれより小さい形状であることにより、第2の保持手段がラベルの粘着剤に接着することを回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1には、本実施形態に係るラベルプリンタの概略正面図が示され、図2には、その概略平面図が示されている。また、図3には、前記ラベルプリンタの一部概略斜視図が示されている。これらの図において、ラベルプリンタ10は、プリンタケースCと、当該プリンタケースCの領域内に設けられるとともに、帯状をなす剥離シートSの一方の面にラベルL1が図示しない粘着剤層を介して仮着された第1の原反M1と、帯状をなす普通紙若しくは感熱紙等からなる第2の原反M2とを同一軸上で繰出可能に支持する支持手段としての支持ロール11と、第1及び第2の原反M1,M2を繰り出す途中でラベルL1と第2の原反M2に印字を行う印字手段12と、剥離シートSからラベルL1を剥離する剥離手段13と、第2の原反M2をラベルL1の平面積よりも小さく切断してラベル用シートL2を形成する切断手段14と、前記剥離手段13で剥離されたラベルL1を保持する第1の保持手段15及びラベル用シートL2を保持する第2の保持手段16と、前記ラベルL1の粘着剤層側にラベル用シートL2の印字反対面が向き合うようにラベルL1及びラベル用シートL2を積層する積層手段17と、前記第1の原反M1に繰出力を付与する第1の繰出力付与手段18と、第2の原反M2に繰出力を付与する第2の繰出力付与手段100と、ラベルL1が剥離された後の剥離シートSを巻き取る巻取手段19とを備えて構成されている。なお、前記プリンタケースCは、前記剥離手段13の前方(図1中左方)からラベルL1及び第2の原反M2を排出する図示しない排出口が形成されている。
【0024】
本実施形態における第1の原反M1は、図2及び図3に示されるように、剥離シートSの一方の面において、当該剥離シートSの延出方向に沿ってラベルL1を所定間隔毎に仮着したものが採用されている。第1の原反M1は、剥離シートSと同一幅となる帯状のラベル基材にラベルL1の形状に対応した切り込み(ハーフカット)を所定間隔毎に形成し、ラベルL1の外周側のラベル基材部分をカスとして剥離することによって形成することができる。但し、ハーフカットを形成するダイカット装置や、カス巻取装置をラベルプリンタ10内に設けることにより、ラベルL1を形成しつつ印字を行うこともできる。
【0025】
前記第2の原反M2は、ラベルL1の幅(図2中上下方向幅)よりも小さい幅(具体的には、後述するミシン目の幅と略同一)に設けられ、これを繰り出す際に、ラベルLの長さ(図2中左右方向長さ)よりも短い繰出長さ(具体的には、後述するミシン目の繰出方向に沿った長さと略同一)毎に切断手段14で切断され、これにより、ラベルL1の平面積よりも小さい平面積となるラベル用シートL2が形成されるようになっている。
【0026】
図2に示されるように、前記ラベルL1の面内には、前記ラベル用シートL2の外形サイズに略対応した切り取り線としてのミシン目PLがそれぞれ形成されている。このミシン目PLは、ラベルL1の裏面すなわち粘着剤層側に、ラベル用シートL2の印字反対面(図3中下面)が向き合うようにラベルL1及びラベル用シートL2を積層した後に、当該ラベル用シートL2と共に、ラベルL1の外周領域を除く内側領域を切り取りできるようにするものである。なお、ミシン目PLに替えて、連続する切り込みを形成してもよい。また、ミシン目PLの一つのコーナー領域には、ラベルL1を部分的に切り抜いて形成された捲り部Laが形成され、この捲り部Laにより、前記ミシン目PL位置にてラベルL1の内側領域をラベル用シートL2と共に切り取るときの捲り操作が容易に行われる。本実施形態において、ラベルL1には、例えば、被着体が宅配商品である場合の当該商品の受取人住所等、秘匿の必要性のない情報が印字される一方、ラベル用シートL2には、公開すべきでない秘匿情報、例えば、商品名、商品価格等が印字される。
【0027】
前記印字手段12は、ロール状に巻回されたインキリボンRを保持するリボン保持ロール20と、当該リボン保持ロール20から繰り出されたインキリボンRが巻き掛けられて所定の印字情報を印字する印字ヘッド21と、この印字ヘッド21に対向するプラテンロール22と、インキリボンRのリボン巻取ロール23と、当該リボン巻取ロール23を回転駆動させる図示しない駆動装置とを備えて構成されている。本実施形態における印字ヘッド21はラベルL1及び第2の原反M2にそれぞれ印字を行うサーマルヘッドにより構成され、インキリボンRを使用して印字しているが、感熱紙によってラベルL1及び第2の原反M2を構成すればインキリボンRは不要である。また、サーマルヘッドに替えて、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ等も採用することができる。
【0028】
前記剥離手段13は、前記印字ヘッド21に対して、第1の原反M1の繰出方向下流側に配置されたピールプレート27により構成され、当該ピールプレート27の先端位置で、第1の原反Mを急激に反転させることで、剥離シートSからラベルL1が剥離できるように構成されている。
【0029】
前記切断手段14は、第2の原反M2の面に対して直交する方向、すなわち、図1中上下方向に移動可能なカッター刃101と、当該カッター刃101の先端(下端)に対抗配置されたカッター受け台102とからなる。カッター刃101は、後述する第2の吸着プレートの前記繰出方向上流側端縁に略沿って移動可能とされ、これにより、第2の吸着プレートの吸着面からラベル用シートL2がはみ出すことがないように保たれる。なお、切断手段14に対して前記繰出方向上流側には第2の原反M2を略水平面内で繰り出すガイドプレート104が配置されている。
【0030】
前記第1及び第2の保持手段15,16は、前記ラベルL1及びラベル用シートL2の平面積に略対応した平面積となる吸着面を下面側に有する第1及び第2の吸着プレート30,31を備えて構成されている。これら第1及び第2の吸着プレート30,31は、前記プリンタケースCの前端面(図1中左端面)に固定された後部フレームF1と、当該後部フレームF1に連結フレームF2,F2を介して連結された前部フレームF3との下部間に配置されている。ここで、第1の吸着プレート30は、その後端30Aが、後部フレームF1の下端よりも後方(図1中右方)に延びてピールプレート27の先端直近位置となるように配置されている。また、第1の吸着プレート30は、後部フレームF1の面内にブラケット32を介して固定された駆動装置としてのシリンダ装置33に支持されており、搬送路P(図5参照)に沿って下方を通過する被着体Wの上面に対して進退可能に設けられている。
【0031】
前記第2の吸着プレート31は、前記積層手段17を介して後部フレームF1と前部フレームF3との間に支持されている。積層手段17は、後部フレームF1及び前部フレームF3の下部相対面にそれぞれ固定された一対の軸受プレート35,36と、これら軸受プレート35,36の下部間に延びるとともに、前端側(図1中左端側)が軸受プレート36を貫通して前方に延びる長さを備えた回転軸38と、当該回転軸38に固定されて前記軸受プレート35,36の内方に位置する一対の旋回軸固定プレート40,41と、これら旋回軸固定プレート40,41の上部間に固定された旋回軸43と、当該旋回軸43及び前記回転軸38に跨る状態で固定された側面視略L型をなす第1アーム45及び第2アーム46と、これら第1、第2アーム45,46と第2の吸着プレート31との間に位置して当該第2の吸着プレート31を第1、第2アーム45,46に連結する複数のボルト50と、前記回転軸38に回転力を付与する回転駆動装置51と、第2の吸着プレート31を前記繰出方向に沿って進退させる進退装置52とを備えて構成されている。
【0032】
前記旋回軸43において、第1及び第2アーム45,46の図1中各右側には、環状のばね受け部材53,54が固定されており、これらばね受け部材53,54と第1,第2アーム45,46との間にコイルばね56,57が介装され、これにより、第1、第2アーム45,46は、旋回軸43の前方(図1中左方向)に付勢される。この一方、旋回軸43の略中央部に固定されたストッパ58で第1アーム45の移動が規制され、初期位置、つまり、第2の吸着プレート31に吸着されたラベル用シートL2が、ラベルL1のミシン目PL内に貼り合わせられる位置で止まるようになっている。
【0033】
前記回転駆動装置51は、前部フレームF3の後面(内面)側に固定されたロータリーアクチュエータ60と、このロータリーアクチュエータ60の出力軸に固定された上部プーリ61と、前記回転軸38の前端に固定された下部プーリ63と、これら上下の各プーリ61,63間に掛け回されたタイミングベルト64とにより構成されている。この回転駆動装置51は、ロータリーアクチュエータ60が駆動することにより、前記回転軸38が回転可能となり、この回転軸38を回転中心位置として旋回軸43と共に第1及び第2のアーム45,46が回転し、これら第1及び第2のアーム45,46に固定されている第2の吸着プレート31が第1の吸着プレート30の下面側に上下面を反転する状態で回転可能となる。
【0034】
前記進退装置52は、前部フレームF3の前面に固定されるとともに、ピストンロッド66が前部フレームF3を貫通して当該前部フレームF3の内側に延びるように配置されたエアシリンダ67と、ピストンロッド66の先端に固定されて前記第2の吸着プレート31の前端面に接する当接パッド68とにより構成されている。この進退装置52は、ピストンロッド66が突出したときに、図4に示されるように、コイルばね56,57の付勢力に抗して第2の吸着プレート31をカッター刃101側に後退させ、第2の吸着プレート31の後端31Aがカッター刃101の鉛直面と略同一面上に位置するようになっている。この一方、ピストンロッド66が引き込まれた位置にあるときに、前記コイルばね56,57の付勢力により、第2の吸着プレート31は前記初期位置に戻るようになっている。
【0035】
前記第1の繰出力付与手段18は、駆動ロール70と、当該駆動ロール70との間に剥離シートSを挟み込むピンチロール71と、駆動ロール70を回転駆動させるモータAとにより構成されている。
【0036】
前記巻取手段19は、剥離シートSのリード端を固定して当該剥離シートSを巻き取る巻取ロール80により構成されている。この巻取ロール80は、前記プリンタケースCの背面側に図示しなし回転軸が突出しており、当該回転軸は、前記第1の繰出力付与手段18を構成する前記モータAの出力軸にプーリ、ベルト等の図示しない動力伝達手段を介して駆動可能に設けられ、これにより、剥離シートSの巻き取りを行えるようになっている。
【0037】
前記第2の繰出力付与手段100は、第2の原反M2の図1中下面側に位置する駆動ロール110と、当該駆動ロール110をプーリ、ベルト等を介して回転させるモータBと、駆動ロール110の上部に位置して第2の原反M2を挟み込むピンチロール112とを備えて構成されている。ピンチロール112は、アーム114の一端側に回転可能に支持されており、当該アーム114の他端側は、前記ガイドプレート104の側端部に回転可能に支持されている。なお、ピンチロール112は、コイルばね116により、駆動ロール110側に付勢されている。
【0038】
次に、本実施形態の全体動作について、図5ないし図9をも参照しながら説明する。ここで、説明の便宜上、被着体Wは、宅配商品であるとし、ラベルL1及びラベル用シートL2には、当該商品の配達先情報を含む関連情報が印字されるものとする。
【0039】
予め、図示しない入力装置及び制御装置を介して所定の印字情報が入力され、第1の繰出力付与手段18のモータAと第2の繰出力付与手段100のモータBが駆動することにより、第1の原反M1と第2の原反M2の繰り出しが行われるとともに、第1の原反M1を構成する剥離シートSの巻き取り動作が開始される。この際、初期位置に位置している第2の吸着プレート31(図2参照)は、前記進退装置52を構成するエアシリンダ67の駆動に伴う当接パッド68の押圧力により、コイルばね56,57の付勢力に抗して第1及び第2のアーム45,46と共にカッター側に移動する(図4参照)。これにより、第1及び第2の吸着プレート30,31の各吸着面全域にラベルL1及びラベル用シートL2を吸着保持する状態が確保される。
【0040】
ラベルL1及び第2の原反M2には、印字ヘッド21を通過する際に予め入力された情報が印字される。この印字に際し、ラベルL1には受取人の住所、氏名、送り主の住所、名称等、秘匿の必要性のない情報が印字される。この一方、第2の原反M2には、例えば、領収書としての機能を発揮させるべく商品価格に対応した領収金額、商品名等の秘匿情報及び日付等が印字される。なお、商品によっては、送り主を仮名で表示する場合もあり、この場合には、送り主の名称は秘匿情報として第2の原反M2に印字される場合もある。
【0041】
印字されたラベルL1は、ピールプレート27の先端位置で剥離され、ラベルL1は第1の吸着プレート30に吸着保持される。また、印字された第2の原反M2は、前記ミシン目PLの図1中左右方向長さに対応した分だけカッター刃101の位置を通過した状態で、当該カッター刃101で切断され、これにより形成されたラベル用シートL2が第2の吸着プレート31に吸着保持される(図5参照)。
【0042】
このようにして、各吸着プレート30,31にラベルL1及びラベル用シートL2が吸着されると、前記エアシリンダ67のピストンロッド66が引き戻され、これに伴って当接パッド68がエアシリンダ67側に移動する。これにより、コイルばね56,57の付勢力により、第1及び第2のアーム45,46が回転軸38及び旋回軸43の軸線に沿って移動し、これに保持されている第2の吸着プレート31が初期位置に復帰する(図2参照)。
【0043】
次いで、図6に示されるように、回転駆動装置51のロータリーアクチュエータ60が回転し、プーリ61,63及びタイミングベルト64を介して回転軸38が回転し、これに固定されている旋回軸固定プレート40,41を介して旋回軸43、第1,第2のアーム45,46及び第2の吸着プレート31が一体となって図6中時計方向に向かって回転する。この回転角度は、略180度であり、これにより、第2のプレート31が第1の吸着プレート30に対して略平行な位置まで回転し、ラベルL1の粘着剤層側に、ラベル用シートL2の印字反対面を向き合わせてラベルL1とラベル用シートL2が積層され、これにより、ラベル用シートL2の外周にラベルL1の粘着剤層が閉ループ状に表出することとなる。
【0044】
前記積層が完了すると、第2の吸着プレート31は、初期位置に復帰し(図7参照)、第1の吸着プレート30は、シリンダ装置33を介して下方に移動し、第1の吸着プレート30の下方で待機する被着体Wの面に押圧され、ラベル用シートL2をラベルL1と被着体Wとの間に挟み込んだ状態で、ラベルL1の粘着剤層が被着体Wの面に貼付することとなる(図8参照)。この状態では、ラベル用シートL2の外周側全域にラベルL1の粘着剤層が粘着しているため、貼付された後のラベルLの外周が部分的に浮き上がったりする領域はないものとなる。
【0045】
被着体Wに貼付されたラベルL1は、前記ミシン目PLで囲まれる内側を切り取ることができる。この際、捲り部Laに指先を引っかけて上方に引き上げるように操作することで、ミシン目PLの内側領域を全体的に捲り取ることができ(図8,図9参照)、これにより、ラベル用シートL2に印字された内容を確認することができ、必要に応じて保管することができる。
【0046】
従って、このような実施形態によれば、枚葉タイプのラベルを用いて印字を行い、秘匿情報を隠蔽した状態で被着体に貼付する機能を備えたラベルプリンタを提供することが可能となる。また、貼付されたラベルは、閉ループ状にラベルの粘着剤層が形成されることによって、その外周側に非粘着領域の存在が無く、以後の不用意なる捲れ、剥離が防止されることとなる。
【0047】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
【0048】
例えば、本発明に適用されるラベルL1のミシン目PLは、図示構成例に限定されるものではなく、更に細分化することができるミシン目としてもよい。この際、ラベル用シートL2にも同様のミシン目を形成しておくことで、被着体Wから剥離する単位を複数にすることができる。
【0049】
また、ラベル用シートL2において、前記捲り部Laに位置する部分に切欠きを設けてもよい。これによって、前記ミシン目PL位置にてラベルL1の内側領域をラベル用シートL2と共に切り取るときの捲り操作がより簡単に行われる。
【0050】
また、ラベルL1及びラベル用シートL2の平面形状は、方形に限らず、多角形、円形、楕円形等、種々の平面形状を備えたものを対象とすることができる。要するに、本発明は、ラベルに印字を行って秘匿情報を隠した状態で貼付することができ、しかも、ラベル用シートL2の外周全域に、ラベルL1の粘着剤層が表出して被着体に貼付することができるものである限り、種々の設計変更が可能となる。
【0051】
更に、前記実施形態では、第2の吸着プレート31の吸着面はラベル用シートL2の平面積と略同一、つまり、ラベル用シートL2の外形と略同一であるとしたが、当該ラベル用シートL2よりも小さいものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施形態に係るラベルプリンタの概略正面図。
【図2】前記ラベルプリンタの要部概略平面図。
【図3】前記ラベルプリンタにおけるケース側内部構造の概略斜視図。
【図4】第2のラベル吸着プレートがピールプレート側に移動した状態を示す要部概略平面図。
【図5】前記ラベルプリンタの概略側面図。
【図6】第2のラベル吸着プレートが第1のラベル吸着プレートの下面側に回転した状態を示す概略側面図。
【図7】第1及び第2のラベルを積層した状態で被着体に貼付する状態を示す概略側面図。
【図8】被着体にラベルが貼付された状態を示す概略斜視図。
【図9】被着体に貼付されたラベルの内側領域をミシン目に沿って切り取った状態を示す概略斜視図。
【符号の説明】
【0053】
10 ラベルプリンタ
11 支持ロール(支持手段)
12 印字手段
13 剥離手段
14 切断手段
15 第1の保持手段
16 第2の保持手段
17 積層手段
27 ピールプレート
30 第1の吸着プレート
31 第2の吸着プレート
33 シリンダ装置(駆動装置)
52 進退装置
L1 ラベル
L2 ラベル用シート
M1 第1の原反
M2 第2の原反
S 剥離シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離シートの一方の面にラベルが仮着された第1の原反と、粘着剤層を有しない第2の原反とを繰り出し可能に支持する支持手段と、前記各原反を繰り出す途中で前記ラベルと第2の原反にそれぞれ印字を行う印字手段と、前記剥離シートからラベルを剥離する剥離手段と、前記第2の原反を前記ラベルの平面積より小さい平面積となるように切断してラベル用シートを形成する切断手段と、前記剥離手段で剥離されたラベルとラベル用シートとを保持する第1及び第2の保持手段と、前記ラベルの粘着剤層側にラベル用シートの印字反対面が向き合うようにこれらを積層する積層手段とを備えたことを特徴とするラベルプリンタ。
【請求項2】
前記ラベル用シートの外縁に、前記ラベルの粘着剤層が閉ループ状に表出するように当該ラベルにラベル用シートが積層されることを特徴とする請求項1記載のラベルプリンタ。
【請求項3】
前記第1の保持手段は駆動装置に支持されて所定の被着体に対して進退可能に設けられ、第1の保持手段が被着体に押圧されたときに、前記ラベル用シートの外周側に表出する粘着剤層を介して当該ラベル用シートが前記ラベルと被着体との間に挟み込まれて貼り付けられることを特徴とする請求項1又は2記載のラベルプリンタ。
【請求項4】
前記第1及び第2の保持手段は、それぞれに対応した第1の吸着プレートと第2の吸着プレートとを備え、当該第2の吸着プレートは、前記ラベル用シートの繰出方向に沿って進退可能に設けられていることを特徴とする請求項1,2又は3記載のラベルプリンタ。
【請求項5】
前記第2の吸着プレートが前記繰出方向上流側に移動して前記ラベル用シートに対応する領域を吸着したときに、前記切断手段が、前記第2の吸着プレートの前記繰出方向上流側の端縁に略沿って第2の原反を切断することを特徴とする請求項4記載のラベルプリンタ。
【請求項6】
前記ラベルの面内に、前記ラベル用シートを積層した状態でラベルを部分的に切り取り可能とする切り取り線が形成されていることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載のラベルプリンタ。
【請求項7】
前記切り取り線に沿う所定箇所に切欠部が形成され、この切欠部は、前記ラベル用シートが前記ラベルと被着体との間に挟み込まれた状態で貼付された後の捲り部を形成することを特徴とする請求項6記載のラベルプリンタ。
【請求項8】
前記第2の保持手段の吸着面は、前記ラベル用シートの外形と略同一又はこれより小さいことを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載のラベルプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−264701(P2006−264701A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−81392(P2005−81392)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】