説明

ラベル用紙、及びその製造方法

【課題】剥離紙の切断を抑制しつつ、ラベル用紙本体中の機能性部材の切断を実現するラベル用紙の製造方法を提供すること。
【解決手段】例えば、基紙及び粘着層を持つラベル用紙本体の粘着層から剥離紙を剥離する第1剥離装置20Aと、粘着層上に線状の機能性部材14を供給する供給装置40と、粘着層を剥離紙で被覆する第1被覆装置30Aと、粘着層から剥離紙を剥離する第2剥離装置20Bと、粘着層12から剥離紙を剥離した状態で、ラベル用紙本体と共に線状の機能性部材を当該線状の機能性部材の長さ方向と交差(例えば直交)する方向に沿って切断する第1切断装置50と、粘着層を剥離紙で被覆する第2被覆装置30Bと、粘着層を剥離紙で粘着層を被覆した状態で、線状の機能性部材を除くラベル用紙本体を線状の機能性部材の長さ方向に沿って切断する第2切断装置60と、を備えた製造装置101を用い、順次各工程を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル用紙、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、表面に多数のラベルが貼付された台紙を搬送する一対のローラと、この一対のローラによる台紙の搬送途中で、台紙の一端縁側をラベルと共に台紙の裏面側に垂直に折り曲げて台紙とラベルの弾性差を利用してラベルの一端縁側を台紙の表面側より剥離させる台紙折り曲げ用のローラを備えているラベル剥離装置が提案されている。
【0003】
また、特許文献2には、帯状のラベル基材を送り出す過程でラベルを剥離するラベル剥離装置であって、ラベルを送り方向に沿って案内する本体部と、この本体部の先端部に設けられた剥離部2と、本体部の領域内に設けられた第1及び第2の送り方向変換手段を備えるラベル剥離装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−032336号公報
【特許文献2】特開2004−224353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、剥離紙の切断を抑制しつつ、ラベル用紙本体中の機能性部材の切断を実現するラベル用紙の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
基紙と前記基紙の片面に設けられた粘着層とを有するラベル用紙本体と、前記ラベル用紙本体中に配置される機能性部材と、前記ラベル用紙本体の前記粘着層を被覆する剥離紙と、で構成されたラベル用紙のうち、前記ラベル用紙本体を切断する工程として、前記粘着層から前記剥離紙を剥離した状態で、前記ラベル用紙本体と共に前記機能性部材を切断する工程を含む切断工程を有するラベル用紙の製造方法。
【0007】
請求項2に係る発明は、
前記機能性部材が、線状の機能性部材であり、
前記切断工程が、
前記粘着層から前記剥離紙を剥離した状態で、前記ラベル用紙本体と共に前記線状の機能性部材を、当該線状の機能性部材の長さ方向と交差する方向に沿って切断する第1切断工程と、
前記第1切断工程後、前記粘着層を前記剥離紙で被覆した状態で、前記機能性部材を除く前記ラベル用紙本体を、前記線状の機能性部材の長さ方向に沿って切断する第2切断工程と、
を有する請求項1に記載のラベル用紙の製造方法。
【0008】
請求項3に係る発明は、
前記第1切断工程が、未切断部を有するように断続的に切断する工程である請求項2に記載のラベル用紙の製造方法。
【0009】
請求項4に係る発明は、
前記第2切断工程が、前記第1切断工程による前記未切断部の両端部と接するようにして切断する工程である請求項3に記載のラベル用紙の製造方法。
【0010】
請求項5に係る発明は、
基紙と前記基紙の片面に設けられた粘着層とを有するラベル用紙本体と、前記ラベル用紙本体の前記粘着層を被覆する剥離紙と、で構成されたラベル用紙を準備する工程と、
前記粘着層から前記剥離紙を剥離する第1剥離工程と、
前記第1剥離工程後、前記粘着層上に線状の機能性部材を供給する供給工程と、
前記供給工程後、前記粘着層を前記剥離紙で被覆する第1被覆工程と、
前記第1被覆工程後、前記粘着層から前記剥離紙を剥離する第2剥離工程と、
第2剥離工程後、前記粘着層から前記剥離紙を剥離した状態で、前記ラベル用紙本体と共に前記線状の機能性部材を当該線状の機能性部材の長さ方向と交差する方向に沿って切断する第1切断工程と、
前記第1切断工程後、前記粘着層を前記剥離紙で被覆する第2被覆工程と、
前記第2被覆工程後、前記粘着層を前記剥離紙で被覆した状態で、前記線状の機能性部材を除く前記ラベル用紙本体を前記線状の機能性部材の長さ方向に沿って切断する第2切断工程と、
を有するラベル用紙の製造方法。
【0011】
請求項6に係る発明は、
基紙と前記基紙の片面に設けられた粘着層とを有するラベル用紙本体と、前記ラベル用紙本体中に配置される機能性部材と、前記ラベル用紙本体の前記粘着層を被覆する剥離紙と、で構成されたラベル用紙のうち、前記ラベル用紙本体を切断する手段として、前記粘着層から前記剥離紙を剥離した状態で、前記ラベル用紙本体と共に前記機能性部材を切断する手段を含む切断手段を有するラベル用紙の製造装置。
【0012】
請求項7に係る発明は、
前記機能性部材が、線状の機能性部材であり、
前記切断手段が、
前記粘着層から前記剥離紙を剥離した状態で、前記ラベル用紙本体と共に前記線状の機能性部材を、当該線状の機能性部材の長さ方向と交差する方向に沿って切断する第1切断手段と、
前記第1切断手段による切断後、前記粘着層を前記剥離紙で被覆した状態で、前記機能性部材を除く前記ラベル用紙本体を、前記線状の機能性部材の長さ方向に沿って切断する第2切断手段と、
を有する請求項6に記載のラベル用紙の製造装置。
【0013】
請求項8に係る発明は、
前記第1切断手段が、未切断部を有するように断続的に切断する手段である請求項7に記載のラベル用紙の製造装置。
【0014】
請求項9に係る発明は、
前記第2切断手段が、前記第1切断手段による前記未切断部の両端部と接するようにして切断する手段である請求項8に記載のラベル用紙。
【0015】
請求項10に係る発明は、
基紙と前記基紙の片面に設けられた粘着層とを有するラベル用紙本体と、前記ラベル用紙本体の前記粘着層を被覆する剥離紙と、で構成されたラベル用紙を準備する手段と、
前記粘着層から前記剥離紙を剥離する第1剥離手段と、
前記第1剥離手段による剥離後、前記粘着層上に線状の機能性部材を供給する供給手段と、
前記供給手段による供給後、前記粘着層を前記剥離紙で被覆する第1被覆手段と、
前記第1被覆手段による被覆後、前記粘着層から前記剥離紙を剥離する第2剥離手段と、
第2剥離手段による剥離後、前記粘着層から前記剥離紙を剥離した状態で、前記ラベル用紙本体と共に前記線状の機能性部材を当該線状の機能性部材の長さ方向と交差する方向に沿って切断する第1切断手段と、
前記第1切断手段による切断後、前記粘着層を前記剥離紙で被覆する第2被覆手段と、
前記第2被覆手段による被覆後、前記粘着層を前記剥離紙で被覆した状態で、前記線状の機能性部材を除く前記ラベル用紙本体を前記線状の機能性部材の長さ方向に沿って切断する第2切断手段と、
を有するラベル用紙の製造装置。
【0016】
請求項11に係る発明は、
基紙と前記基紙の片面に設けられた粘着層とを有するラベル用紙本体と、
記ラベル用紙本体中に配置される線状の機能性部材と、
前記ラベル用紙本体の前記粘着層を被覆する剥離紙と、
前記ラベル用紙本体と共に前記線状の機能性部材が切断された第1切断部であって、前記線状の機能性部材の長さ方向と交差する方向に沿って、且つ未切断部を有するように断続的に切断された第1切断部と、
前記線状の機能性部材を除く前記ラベル用紙本体が切断された第2切断部であって、前記線状の機能性部材の長さ方向に沿って、且つ前記第1切断部における前記未切断部の両端部と接するように切断された第2切断部と、
を有するラベル用紙。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、剥離紙の切断を抑制しつつ、ラベル用紙本体中の機能性部材の切断を実現するラベル用紙の製造方法を提供できる。
請求項2に係る発明によれば、剥離紙の切断を抑制しつつ、ラベル用紙本体中の機能性部材の切断を実現して、切断により分割されたラベル用紙本体が得られるラベル用紙の製造方法を提供できる。
請求項3に係る発明によれば、連続的な切断で上記第1切断工程を施した場合に比べ、切断されたラベル用紙本体同士の位置ズレを抑制するラベル用紙の製造方法を提供できる。
請求項4に係る発明によれば2工程で、目的とする大きさで切断したラベル用紙本体が得られるラベル用紙の製造方法を提供できる。
請求項5に係る発明によれば、剥離紙の切断を抑制しつつ、ラベル用紙本体中の機能性部材の切断を実現するラベル用紙の製造方法を提供できる。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、剥離紙の切断を抑制しつつ、ラベル用紙本体中の機能性部材の切断を実現するラベル用紙の製造装置を提供できる。
請求項7に係る発明によれば、剥離紙の切断を抑制しつつ、ラベル用紙本体中の機能性部材の切断を実現して、切断により分割されたラベル用紙本体が得られるラベル用紙の製造装置を提供できる。
請求項8に係る発明によれば、連続的な切断を行う上記第1切断手段を有する場合に比べ、切断されたラベル用紙本体同士の位置ズレを抑制するラベル用紙の製造装置を提供できる。
請求項9に係る発明によれば、2つの切断手段で、目的とする大きさで切断したラベル用紙本体が得られるラベル用紙の製造装置を提供できる。
請求項10に係る発明によれば、剥離紙の切断を抑制しつつ、ラベル用紙本体中の機能性部材の切断を実現するラベル用紙の製造装置を提供できる。
【0019】
請求項11に係る発明によれば、剥離紙の切断が抑制され、ラベル用紙本体中の機能性部材が切断されたラベル用紙を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係るラベル用紙の製造装置を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態に係るラベル用紙の製造方法を示す概略工程図である。
【図3】本実施形態に係るラベル用紙の製造方法を示す概略工程図である。
【図4】本実施形態に係るラベル用紙の製造方法を示す概略工程図である。
【図5】本実施形態に係るラベル用紙の製造方法を示す概略工程図である。
【図6】本実施形態に係るラベル用紙の製造方法を示す概略工程図である。
【図7】本実施形態に係るラベル用紙の製造方法を示す概略工程図である。
【図8】本実施形態に係るラベル用紙の製造方法を示す概略工程図である。
【図9】本実施形態に係るラベル用紙の製造方法を示す概略工程図である。
【図10】本実施形態に係るラベル用紙の製造方法を示す概略工程図である。
【図11】本実施形態に係るラベル用紙を示す概略斜視図である。
【図12】本実施形態に係るラベル用紙を示す概略断面図である。
【図13】本実施形態に係るラベル用紙の製造装置において、第1切断装置が備える押切刃を示す概略構成図である。
【図14】本実施形態に係るラベル用紙の製造装置において、第2切断装置が備える回転刃を示す概略構成図である。
【図15】大バルクハウゼン効果を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。なお、実質的に同一の機能・作用を持つ部材には、全図面通して同じ符合を付与して説明し、重複する説明は省略することがある。
【0022】
図1は、本実施形態に係るラベル用紙の製造装置を示す概略構成図である。
【0023】
本実施形態に係るラベル用紙の製造装置101は、例えば、基紙11と基紙11の片面に設けられた粘着層12とを有するラベル用紙本体10Aと、ラベル用紙本体10A中に配置された機能性部材14と、ラベル用紙本体10Aの粘着層12を被覆した剥離紙13と、で構成されたラベル用紙10、具体的には、例えば、切断され複数に分割されたラベル用紙本体10Aの粘着層12を一枚の剥離紙13で被覆したラベル用紙10(図11及び図12参照)を得るための装置である。
【0024】
本実施形態に係るラベル用紙の製造装置101は、図1に示すように、例えば、予め準備されたロール状に巻かれたラベル用紙10(但し、機能性部材14が未配置のラベル用紙本体10Aを有するラベル用紙10)の一端を引出しつつ、搬送して、線状の機能性部材14の供給、ラベル用紙本体10Aの切断を行う装置であって、
ラベル用紙本体10Aの搬送方向の下流側から上流側に向かって、
ラベル用紙本体10Aの粘着層12から剥離紙13を剥離する第1剥離装置20Aと、
ラベル用紙本体10Aの粘着層12上に線状の機能性部材14を供給する供給装置40と、
ラベル用紙本体10Aの粘着層12を剥離紙13で被覆する第1被覆装置30Aと、
ラベル用紙本体10Aの粘着層12から剥離紙13を剥離する第2剥離装置20Bと、
ラベル用紙本体10Aの粘着層12から剥離紙13を剥離した状態で、ラベル用紙本体10Aと共に線状の機能性部材14を当該線状の機能性部材14の長さ方向と交差(例えば直交)する方向に沿って切断する第1切断装置50と、
ラベル用紙本体10Aの粘着層12を剥離紙13で被覆する第2被覆装置30Bと、
ラベル用紙本体10Aの粘着層12を剥離紙13で粘着層12を被覆した状態で、線状の機能性部材14を除くラベル用紙本体10Aを線状の機能性部材14の長さ方向に沿って切断する第2切断装置60と、
ラベル用紙10を目的とするサイズ(大きさ)に裁断する裁断する裁断装置70と、
を順次備えている。
【0025】
以下、本実施形態に係るラベル用紙の製造装置101の各要素と共に、本実施形態に係るラベル用紙の製造方法について説明する。
図2〜図10は、本実施形態に係るラベル用紙の製造方法を示す概略工程図である。
ここで、図2〜図6は、ラベル用紙の平面図に相当する概略工程図(但し、図2(A)〜図4(E)はラベル用紙本体の粘着層側から見た平面図に相当する概略工程図であり、図4(F)〜図6(I)はラベル用紙本体の基紙側から見た平面図に相当する概略工程図である)
図7〜図8は、ラベル用紙の搬送方向と直交する方向に沿って切断した断面図に相当する概略工程図である。
図9〜10は、ラベル用紙の搬送方向に沿って切断した断面図に相当する概略工程図である。
なお、図中、「P」は、ラベル用紙10の搬送方向を示している。
【0026】
まず、図2(A)、図7(A)及び9図(A)に示すように、未切断のラベル用紙本体であって基紙11と基紙11の片面に設けられた粘着層12とを有するラベル用紙本体10A(機能性部材が未配置のラベル用紙本体)と、ラベル用紙本体10Aの粘着層12を被覆した剥離紙13と、で構成されたラベル用紙10を準備する。
【0027】
次に、図2(B)、図7(B)及び9図(B)に示すように、ラベル用紙本体10Aの粘着層12から剥離紙13をから剥離する(第1剥離工程)。
本工程は、第1剥離装置20Aにより行う。
【0028】
第1剥離装置20Aは、例えば、ラベル用紙10の表面(剥離紙13の表面)を押え付ける押付ロール21Aと、押付ロール21Aの上方に配置され、剥離紙13の裏面(粘着層12と接する面)と接触させ、ラベル用紙本体10Aの粘着層12から剥離紙13を剥離する剥離ローラ22Aと、で構成されている。
【0029】
第1剥離装置20Aでは、押付ロール21Aの押付部を起点として、回転する剥離ローラ22Aにより剥離紙13を引き上げて、ラベル用紙本体10Aの粘着層12から剥離紙13を剥離する。
【0030】
なお、第1剥離装置20は、上記構成に限られず、周知の構成としてもよい。
【0031】
次に、図3(C)、図7(C)及び9図(C)に示すように、ラベル用紙本体10Aの粘着層12上に、線状の機能性部材を供給する(供給工程)。
本工程は、供給装置40により行う。
【0032】
供給装置40は、例えば、第1剥離装置20Aと第1被覆装置30Aとの間であって、第1剥離装置20A(その剥離ロール22A)により剥離された剥離紙13とラベル用紙本体10Aの粘着層12との間に生じた領域(空間)に配置されている。
【0033】
供給装置40は、例えば、線状の機能性部材14の長さ方向がラベル用紙10の搬送方向に沿うように、連なった線状の機能性部材14を連続して、ラベル用紙本体10Aの粘着層12上に供給する装置である。
【0034】
供給装置40では、切断されて複数に分割されたラベル用紙本体10Aの各々に、線状の機能性部材14が少なくとも1つ配置されるように供給する。
つまり、供給装置40では、例えば、第2切断装置60による切断により、ラベル用紙本体10Aがその幅方向(ラベル用紙10の搬送方向と交差(例えば直交)する方向)に分断されたとき、その分断された個々のラベル用紙本体10Aに線状の機能性部材14を供給する。
【0035】
具体的には、供給装置40では、第2切断装置60による切断により、ラベル用紙本体10Aがその幅方向(ラベル用紙10の搬送方向と交差(例えば直交)する方向)にn個分断するとき、少なくともn本の線状の機能性部材をラベル用紙10の搬送方向と交差(例えば直交)する方向に間隔をもって、供給する。
【0036】
ここで、本実施形態では、第2切断装置60による切断により、ラベル用紙本体10Aがその幅方向(ラベル用紙10の搬送方向と交差(例えば直交)する方向)に5個分断し、供給装置40により5本の線状の機能性部材を供給する形態を示すが、これに限られるわけではない。
【0037】
なお、供給装置40は、上記構成に限られず、周知の構成としてもよい。
【0038】
次に、図3(D)、図7(D)及び9図(D)に示すように、ラベル用紙本体10Aの粘着層12を剥離紙13で被覆する(第1被覆工程)。
本工程は、第1被覆装置により行う。
【0039】
第1被覆装置30Aは、例えば、第1剥離装置20Aの剥離ロール22Aにより剥離された剥離紙13の裏面を支持する支持ロール31Aと、剥離紙13の表面と接触させ、ラベル用紙本体10Aの粘着層12側に剥離紙13を押し付ける押付ロール32Aと、を備えている。
【0040】
第1被覆装置30Aでは、例えば、支持ロール31Aの支持部を起点として、回転する押付ロール32Aにより剥離紙13を引き下げ、ラベル用紙本体10Aの粘着層12に剥離紙13を押し付けて被覆する。
【0041】
ここで、第1被覆装置30Aによる剥離紙13の被覆により、供給装置40により供給された線状の機能性部材14が粘着層12に埋没し、固定化される。
【0042】
なお、第1被覆装置30Aは、上記構成に限られず、周知の構成としてもよい。
【0043】
次に、図4(E)、図7(E)及び9図(E)に示すように、ラベル用紙本体10Aの粘着層12から剥離紙13を剥離する(第2剥離工程)。
本工程は、第2被覆装置30Bにより行う。
【0044】
第2剥離装置20Bは、第1剥離装置20Aと同様に、例えば、ラベル用紙10の表面(剥離紙13の表面)を押え付ける押付ロール21Bと、押付ロール21Bの上方に配置され、剥離紙13の裏面(粘着層12と接する面)と接触させ、ラベル用紙本体10Aの粘着層12から剥離紙13を剥離する剥離ローラ22Bと、で構成されている。
【0045】
第2剥離装置20Bでも、押付ロール21Bの押付部を起点として、回転する剥離ローラ22Bにより剥離紙13を引き上げて、ラベル用紙本体10Aの粘着層12から剥離紙13を剥離する。
【0046】
なお、第2剥離装置20Bは、上記構成に限られず、周知の構成としてもよい。
【0047】
次に、図4(F)、図8(F)及び10図(F)に示すように、ラベル用紙本体10Aの粘着層12から剥離紙13を剥離した状態で、ラベル用紙本体10A(基紙11及び粘着層12)と共に線状の機能性部材14を当該線状の機能性部材14の長さ方向と交差する方向、つまりラベル用紙10の搬送方向と交差(例えば直交)する方向に沿って切断する(第1切断工程)。
本工程は、第1切断装置50により行う。そして、本工程により、第1切断部15(スリット)が形成される。
【0048】
第1切断装置50は、例えば、第2剥離装置20Bと第2被覆装置30Bとの間であって、第2剥離装置20B(その剥離ロール21B)により剥離された剥離紙13とラベル用紙本体10Aの粘着層12との間に生じた領域(空間)に配置されている。
【0049】
第1切断装置50は、例えば、線状の機能性部材14の長さ方向と交差(例えば直交)する方向、つまりラベル用紙10の搬送方向と交差(例えば直交)する方向に沿った直刃状の押切刃51(図13参照)を備えた装置である。
【0050】
第1切断装置50では、ラベル用紙本体10Aの粘着層12側から押し付けることで、ラベル用紙本体10Aの粘着層12から剥離紙13を剥離した状態で、ラベル用紙本体10A(基紙11及び粘着層12)と共に線状の機能性部材14を切断する。
【0051】
ここで、第1切断装置50に備えられた押切刃51は、例えば、線状の機能性部材14の長さ方向と交差(例えば直交)する方向に、予め定めさられた間隔で凹部51Aを有している(図13参照)、
この凹部51Aにより、第1切断装置50による切断は、未切断部15Aを有して断続的に行われる。
【0052】
押切刃51の凹部の間隔は、第2切断装置60による切断により、ラベル用紙本体10Aがその幅方向(ラベル用紙10の搬送方向と交差(例えば直交)する方向)に分断されたとき、その切断されて複数に分割されたラベル用紙本体10Aの各々の間に位置するように設けられる。
つまり、第1切断装置50では、未切断部15Aが第2切断装置により切断されて複数に分割されたラベル用紙本体10Aの各々の間に位置して設けられるように、切断が行われる。
【0053】
ここで、本実施形態では、第2切断装置60による切断により、ラベル用紙本体10Aがその幅方向(ラベル用紙10の搬送方向と交差(例えば直交)する方向)に5個分断し、第1切断装置50による切断により、4つの未切断部15Aを有するように断続的に第1切断部15を形成する形態を示すが、これに限られるわけではない。
【0054】
なお、第1切断装置50は、上記構成に限られず、周知の構成としてもよい。
【0055】
次に、図5(G)、図8(G)及び10図(G)に示すように、ラベル用紙本体10Aの粘着層12を剥離紙13で被覆する(第2被覆工程)。
本工程は、第2被覆装置30Bにより行う。
【0056】
第2被覆装置30Bは、例えば、第2剥離装置20Bの剥離ロール21Bにより剥離された剥離紙13の裏面を支持する支持ロール31Bと、剥離紙13の表面と接触させ、ラベル用紙本体10Aの粘着層12側に剥離紙13を押し付ける押付ロール32Bと、を備えている。
【0057】
第2被覆装置30Bでは、例えば、支持ロール31Bの支持部を起点として、回転する押付ロール32Bにより剥離紙13を引き下げ、ラベル用紙本体10Aの粘着層12に剥離紙13を押し付けて被覆する。
【0058】
次に、図5(H)、図8(H)及び10図(H)に示すように、ラベル用紙本体10Aの粘着層12を剥離紙13で被覆した状態で、線状の機能性部材14を除くラベル用紙本体10A(基紙11及び粘着層12)を線状の機能性部材14の長さ方向、つまりラベル用紙10の搬送方向に沿って切断する(第2切断工程)。
本工程は、第2切断装置60により行う。そして、本工程により、第2切断部16(スリット)が形成される。
【0059】
第2切断装置60は、例えば、線状の機能性部材14の長さ方向、つまりラベル用紙10の搬送方向に沿った円形状の回転刃61(図14参照)を備えた装置である。
【0060】
第2切断装置60では、ラベル用紙本体10Aの基紙11側から押し付けることで、ラベル用紙本体10Aの粘着層12を剥離紙13で被覆した状態で、線状の機能性部材14を除くラベル用紙本体10A(基紙11及び粘着層12)を切断する。
つまり、第1切断装置50では、例えば、ラベル用紙10の基紙11側から、線状の機能性部材14を除くラベル用紙本体10A(基紙11及び粘着層12)のみを切断(所謂ハーフカット)する。
【0061】
ここで、第2切断装置60に備えられた回転刃61は、例えば、ラベル用紙本体10Aをその幅方向(ラベル用紙10の搬送方向と交差(例えば直交)する方向)に分断する数に応じて、ラベル用紙10の搬送方向と交差(例えば直交)する方向に間隔をもって配置される(図14参照)。
【0062】
そして、第1切断装置50による切断の際に設ける未切断部15Aの両端部(ラベル用紙10の搬送方向と交差(例えば直交)する方向の両端部)と接するように切断するために、回転刃61として、例えば、軸方向両端部に2枚の刃が設けられた回転刃を適用する(図14参照)。
【0063】
この回転刃61により、第2切断装置60による切断は、第1切断装置50による切断の際に設けた未切断部15Aの両端部と接すようにして、行われる。
【0064】
ここで、本実施形態では、第2切断装置60による切断により、第2切断部16を形成し、ラベル用紙本体10Aがその幅方向(ラベル用紙10の搬送方向と交差(例えば直交)する方向)に5個分断する形態を示すが、これに限られるわけではない。
【0065】
なお、第2切断装置60は、上記構成に限られず、周知の構成としてもよい。
【0066】
次に、図6(I)、図8(I)及び10図(I)に示すように、ラベル用紙10を目的とするサイズ(大きさ)に裁断する裁断する(裁断工程)。
本工程は、裁断装置70により行う。
【0067】
裁断装置70は、例えば、第1切断装置50及び第2切断装置60による切断を経たラベル用紙10を、例えばA4、A3サイズ等、目的とする大きさ(サイズ)に裁断する装置であり、周知の裁断装置70が適用される。
【0068】
以上の工程を経て、目的とするラベル用紙10、つまり、例えば、切断され複数に分割されたラベル用紙本体10Aの粘着層12を一枚の剥離紙13で被覆したラベル用紙10(図11及び図12参照)が得られる。
【0069】
ここで、従来、ラベル用紙本体10Aと剥離紙13とで構成されるラベル用紙において、ラベル用紙本体10Aを切断して分割するにあたり、ラベル用紙本体10Aの粘着層12に剥離紙13を被覆した状態で行っていた。
一方で、基紙11及び粘着層12で構成されたラベル用紙本体10Aと共に、ラベル用紙本体10A中に配置された機能性部材14を切断する場合、当該機能性部材の硬度が基紙11及び粘着層12が高いことから、切断するための刃の当付力(刃をラベル用紙本体10Aに当て付ける圧力)を高めなければならない。
このため、ラベル用紙本体10Aの粘着層12に剥離紙13を被覆した状態で、ラベル用紙本体10Aと共に、これに配置される機能性部材14を切断する場合、機能性部材を確実に切断するために、ラベル用紙本体10Aを切断するための刃の当付力を高めると、剥離紙13まで切断してしまうことが多くなる一方で、剥離紙13を切断しないように、ラベル用紙本体10Aを切断する刃の当付力を弱めると、機能性部材14が切断されなくなってしまうことが多くなり、刃の当付力を調整することが困難であるのが現状である。
【0070】
そこで、本実施形態では、ラベル用紙本体10Aと機能性部材14と剥離紙13とで構成されたラベル用紙のうち、ラベル用紙本体10Aを切断する工程として、粘着層12から剥離紙13を剥離した状態で、ラベル用紙本体10Aと共に機能性部材14を切断する工程(本実施形態では第1切断装置50による第1切断工程)を行う。
【0071】
これにより、剥離紙13の切断を考慮することなく、ラベル用紙本体10Aに対する第1切断装置50(その押切刃51)の押付力を高め、ラベル用紙本体10A(基紙11及び粘着層12)と共に、機能性部材14が切断される。
したがって、本実施形態では、剥離紙13の切断を抑制しつつ、ラベル用紙本体10A中の機能性部材14の切断が実現される。
【0072】
また、本実施形態では、機能性部材14として線状の機能性部材14を適用し、ラベル用紙本体10Aを切断工程として、ラベル用紙本体10Aの粘着層12から剥離紙13を剥離した状態で、ラベル用紙本体10A(基紙11及び粘着層12)と共に線状の機能性部材14を当該線状の機能性部材14の長さ方向と交差する方向(本実施形態ではラベル用紙10の搬送方向と交差する方向)に沿って切断する第1切断工程(本実施形態では第1切断装置50による第1切断工程)と、ラベル用紙本体10Aの粘着層12を剥離紙13で被覆した状態で、線状の機能性部材14を除くラベル用紙本体10A(基紙11及び粘着層12)を線状の機能性部材14の長さ方向(本実施形態ではラベル用紙10の搬送方向)に沿って切断する第2切断工程と、を行う。
つまり、ラベル用紙本体10A(基紙11及び粘着層12)と共に機能性部材14を切断する第1切断工程は、ラベル用紙本体10Aの粘着層12から剥離紙13を剥離した状態で行う一方で、機能性部材を切断せず、ラベル用紙本体10A(基紙11及び粘着層12)のみを切断する第2切断工程は、ラベル用紙本体10Aの粘着層12を剥離紙13で被覆した状態で行う。
【0073】
これにより、第1切断工程では、剥離紙13の切断を考慮することなく、ラベル用紙本体10Aに対する第1切断装置50(その押切刃51)の押付力を高め、ラベル用紙本体10A(基紙11及び粘着層12)と共に、機能性部材14が切断される一方で、第2切断工程では、機能性部材14を切断する必要がないため、第2切断装置60(その回転刃61)の押付力を調整することで、剥離紙13を切断することなく、線状の機能性部材14を除くラベル用紙本体10A(基紙11及び粘着層12)が切断される。
したがって、本実施形態では、剥離紙13の切断を抑制しつつ、ラベル用紙本体10A中の機能性部材14の切断を実現して、切断により分割されたラベル用紙本体10Aが得られる。
【0074】
また、本実施形態では、第1切断工程を、未切断部15Aを有するように断続的に行う(本実施形態では、第1切断装置50(その凹部51Aを有する押切刃51)により行う)。
【0075】
ここで、第1切断工程を、連続的な切断、つまりラベル用紙本体における線状の機能性部材14の長さ方向と交差する方向(本実施形態ではラベル用紙10の搬送方向と交差する方向)の一端から他端まで全て切断すると、当該切断後に、ラベル用紙本体10Aが離間して、剥離紙13を被覆したとき(第2被覆工程を行ったとき)、切断されたラベル用紙本体10A同士の位置ズレが生じてしまう。
【0076】
そこで、第1切断工程を、未切断部15Aを有するように断続的に行うことで、切断したラベル用紙本体10A同士が一部連結させ、ラベル用紙本体10Aの離間を抑制する。
したがって、本実施形態では、第1切断工程により切断されたラベル用紙本体10A同士の位置ズレが抑制される。
【0077】
また、本実施形態では、第2切断工程を、第1切断工程による未切断部15Aの両端部と接するようにして行う(本実施形態では、第2切断装置60(その軸方向両端部に2枚の刃が設けられた回転刃61)により行う)。
【0078】
これにより、第1切断工程による切断と共に、第2切断工程による切断により、ラベル用紙本体10Aが切断により分割される。
したがって、本実施形態では、第1切断工程及び第2切断工程の2工程(第1切断装置50及び第2切断装置60)で、目的とする大きさで切断したラベル用紙本体10Aが得られる。
【0079】
以上説明した本実施形態に係るラベル用紙の製造装置101(製造方法)により得られる、ラベル用紙10は、図11及び図12に示すように、基紙11と基紙11の片面に設けられた粘着層12と線状の機能性部材14とを有するラベル用紙本体10Aと、ラベル用紙本体10Aの粘着層12を被覆した剥離紙13と、基紙11、粘着層12及び線状の機能性部材14が切断された第1切断部15であって、線状の機能性部材14の長さ方向と交差(例えば直交)する方向に沿って、且つ未切断部15Aを有するように断続的に切断された第1切断部15と、基紙11及び粘着層12が切断された第2切断部16であって、線状の機能性部材14の長さ方向に沿って、且つ第1切断部15における未切断部15Aの両端部と接するように切断された第2切断部16と、を有することとなる。
【0080】
つまり、得られるラベル用紙10は、上述したように、剥離紙13の切断が抑制され、ラベル用紙本体10A中の機能性部材14が切断されたラベル用紙となる。
ここで、図11は、本実施形態に係るラベル用紙を示す概略斜視図である。
また、図12は、本実施形態に係るラベル用紙を示す概略断面図であり、図11のA−A断面図に相当する。
【0081】
以下、本実施形態に係るラベル用紙10を構成する各部材(層)について詳細に説明する。
ラベル用紙10は、ラベル用紙本体10Aと剥離紙13とを有する。
そして、ラベル用紙本体10Aは、基紙11と粘着層12を有すると共に、機能性部材14が配置されている。
【0082】
本実施形態に係る基紙11について説明する。
基紙11としては、上質紙、クラフト紙、再生紙、コート紙などが挙げられる。基紙11の坪量は、例えば、50g/m以上180g/m以下の範囲が挙げられる。
【0083】
基紙11に内添剤が配合されていてもよい。配合する内添剤としては、特に限定はなく、例えば、有機系及び無機系の粒子が挙げられる。
基紙11には、サイズ剤などの各種薬品を内添又は外添させてもよい。サイズ剤の種類としては、ロジン系サイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性サイズ剤などのサイズ剤が挙げられる。
基紙11には、紙力増強剤を内添あるいは外添してもよい。
なお、基紙11、上記以外にも、染料、pH調整剤など、通常の紙媒体に配合される各種助剤を使用してもよい。
【0084】
本実施形態に係る粘着層12について説明する。
粘着層12は、粘着剤で構成されている。
粘着層12を構成するための粘着剤としては、アクリル系、ポリエステル系、ウレタン系、シリコーン系、天然ゴム系、合成ゴム系の接着剤など、各種の粘着剤が挙げられる。
【0085】
粘着層12の厚さは、例えば、2μm以上40μm以下の範囲が挙げられる。また、粘着層12の塗工量(固形分換算量)は、例えば、基紙11片面当たり、5g/m以上40g/m以下の範囲が挙げられる。
【0086】
本実施形態に係る機能性部材14について説明する。
機能性部材14としては、ラベル用紙10(ラベル用紙本体10A)に目的とする機能を付与する材料であり、例えば、磁性材料、ICタグ等が挙げられる。
これらの中でも、磁性材料が好適である。
ここで、機能性部材14として好適に適用する線状の機能性部材としては、例えば、直径10μm以上(望ましくは15μm以上60μm以下)のものが挙げられる。
【0087】
機能性部材14としての磁性材料は、大バルクハウゼン効果を有するものである。ここで、大バルクハウゼン効果について簡単に説明する。図15は、大バルクハウゼン効果を説明するための模式図である。大バルクハウゼン効果は、図15(A)に示すB−H(磁束密度−磁界)特性、つまり、ヒステリシスループが長方形で、保磁力(Hc)が比較的小さな材料、例えば、Co−Fe−Ni−B−Siにより構成されるアモルファス磁性材料を交番磁界中においた際に、急峻な磁化反転が起きる現象である。
【0088】
このため、励磁コイルに交流電流を流して交番磁界を発生させ、その交番磁界中に磁性材料を置くと、磁化反転時に、磁性材料の周辺に配置した検知コイルにパルス状の電流が流れることとなる。
例えば、励磁コイルにより図15(B)の上段に示す交番磁界を発生させた場合、検知コイルには、図15(B)の下段に示すパルス電流が流れることとなる。
ただし、検知コイルに流れる電流には、交番磁界によって誘導される交流電流も流れており、パルス電流は、この交流電流に重畳されて検出されることとなる。また、複数の磁性材料を含むものを交番磁界中に置いた場合には、複数のパルス電流が重畳され、図15(C)に示す電流が検出される。
このように、磁界中に「磁性材料が含まれるラベル用紙本体10Aが貼り付けられた貼付対象物」が置かれた場合に、磁性材料に発生する電気的信号(例えば、図15に例示するパルス信号など)を、検出装置により検出するため、貼付対象物に対して、磁性材料が含まれるラベル用紙本体10Aを貼り付けることで、持ち出し禁止又は制限状態が付与される。
【0089】
磁性材料としては、一般には永久磁石が挙げられ、例えば、希土類系のネオジュウム(Nd)−鉄(Fe)−ボロン(B)を主成分としたもの、サマリウム(Sm)−コバルト(Co)を主成分としたもの、アルニコ系のアルミ(Al)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)を主成分としたもの、フェライト系のバリュウム(Ba)又はストロンチウム(Sr)と酸化鉄(Fe)を主成分としたものや、その他に軟質磁性材料、酸化物軟質磁性材料などが挙げられるが、基本組成がFe−Co−SiやCo−FeNi系であるアモルファス磁性材料がよい。
【0090】
磁性材料の形状としては、大バルクハウゼン効果を起こすのに適した縦長の形状であれば特に限定されないが、大バルクハウゼン効果を起こすには、断面積に対して予め定められた長さが必要となってくることから、基本的にはワイヤ状や帯状などの繊維状であることがよいが、本実施形態では、線状(ワイヤ状)を適用している。
【0091】
磁性材料が線状(ワイヤ状)である磁性体ワイヤの場合には、大バルクハウゼン効果を起こすために、その直径は10μm以上であることがよい。
磁性体ワイヤの長さは、大バルクハウゼン効果を起こすために10mm以上がよい。
【0092】
磁性材料の表面はパルス信号の出力を高くするなどのためにセラミック、ガラスなどの絶縁材料により絶縁処理されていてもかまわない。
【0093】
本実施形態に係る剥離紙13について説明する。
剥離紙13としては、基紙を剥離剤で含浸処理又は表面処理したものが挙げられる。基紙としては、上質紙、クラフト紙、ポリラミ紙、再生紙、コート紙などが挙げられる。剥離剤としては、シリコーン樹脂系、ワックス類、高級脂肪酸、高級アルコール、高級脂肪酸アミドなどの剥離剤が挙げられ、シリコーン樹脂系の剥離剤がよい。剥離剤の基紙への含浸処理又は表面処理は、公知の方法によって行えばよい。
剥離紙13の坪量は、例えば、50g/m以上180g/m以下の範囲で用いられる。
【0094】
なお、本実施形態に係るラベル用紙の製造装置101(製造方法)では、各切断装置による切断工程前に、予め準備するラベル用紙10として、機能性部材14が未配置のラベル用紙本体10Aを有するものを適用した形態を説明したが、予め機能性部材14が配置されたラベル用紙本体10Aを有するものを適用してた形態であってもよい。
本形態の場合、機能性部材14は、基紙11と粘着層12との間、粘着層12と剥離紙13との間、粘着層12中のいずれに設けてもよい。
また、本形態の場合、機能性部材14を供給する供給装置40(供給工程)。機能性部材14を供給する前にラベル用紙本体10Aの粘着層12から剥離紙13を剥離する第1剥離装置20A(第1剥離工程)、機能性部材14を供給する後にラベル用紙本体10Aの粘着層12から剥離紙13で被覆する第1被覆装置30A(第1被覆工程)が、省略される。
【0095】
また、本実施形態に係るラベル用紙の製造装置101(製造方法)では、ロール状に巻かれたラベル用紙10を準備し、各切断装置(切断工程)による切断を経た後、裁断装置70による裁断工程を行う形態を説明したが、予め目的とする大きさ(サイズ:例えばA3、Aサイズ)のシート状のラベル用紙10を準備してもよい。なお、本形態では、裁断装置70による裁断は不要となる。
【0096】
また、本実施形態に係るラベル用紙の製造装置101(製造方法)では、ロール状に巻かれたラベル用紙10の一端を引き出しつつ、搬送し、各切断装置(切断工程)による切断を経た後、裁断装置70による裁断工程を行う形態を説明したが、例えば、ロール状に巻かれたラベル用紙10の一端を引き出した後、置き台に置いた状態で、又は、シート状のラベル用紙10を置き台に置いた状態で、各切断装置(切断工程)による切断を経た後、裁断装置70による裁断工程を行う形態、つまり、ラベル用紙10を未搬送で、各切断装置(切断工程)による切断を経た後、裁断装置70による裁断工程を行う形態であってもよい。
【0097】
また、本実施形態に係るラベル用紙の製造装置101(製造方法)では、線状の機能性材料14をラベル用紙10の搬送方向に沿って供給(配置)する形態を説明したが、機能性材料の形状・配置位置に関らず、ラベル用紙本体10A(基紙11及び粘着層12)と共に機能性材料14を切断する際、ラベル用紙本体10Aの粘着層12から剥離紙13を剥離した状態で行う形態であればよい。
【符号の説明】
【0098】
10 ラベル用紙
10A ラベル用紙本体
11 基紙
12 粘着層
13 剥離紙
14 機能性部材
15 第1切断部
15A 未切断部
16 第2切断部
20A 第1剥離装置
21A 押付ロール
21B 剥離ロール
20B 第2剥離装置
21B 押付ロール
22B 剥離ローラ
30A 第1被覆装置
31A 支持ロール
32A 押付ロール
30B 第2被覆装置
31B 支持ロール
32B 押付ロール
40 供給装置
50 第1切断装置
51 押切刃
51A 凹部
60 第2切断装置
61 回転刃
70 裁断装置
101 ラベル用紙の製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基紙と前記基紙の片面に設けられた粘着層とを有するラベル用紙本体と、前記ラベル用紙本体中に配置される機能性部材と、前記ラベル用紙本体の前記粘着層を被覆する剥離紙と、で構成されたラベル用紙のうち、前記ラベル用紙本体を切断する工程として、前記粘着層から前記剥離紙を剥離した状態で、前記ラベル用紙本体と共に前記機能性部材を切断する工程を含む切断工程を有するラベル用紙の製造方法。
【請求項2】
前記機能性部材が、線状の機能性部材であり、
前記切断工程が、
前記粘着層から前記剥離紙を剥離した状態で、前記ラベル用紙本体と共に前記線状の機能性部材を、当該線状の機能性部材の長さ方向と交差する方向に沿って切断する第1切断工程と、
前記第1切断工程後、前記粘着層を前記剥離紙で被覆した状態で、前記機能性部材を除く前記ラベル用紙本体を、前記線状の機能性部材の長さ方向に沿って切断する第2切断工程と、
を有する請求項1に記載のラベル用紙の製造方法。
【請求項3】
前記第1切断工程が、未切断部を有するように断続的に切断する工程である請求項2に記載のラベル用紙の製造方法。
【請求項4】
前記第2切断工程が、前記第1切断工程による前記未切断部の両端部と接するようにして切断する工程である請求項3に記載のラベル用紙の製造方法。
【請求項5】
基紙と前記基紙の片面に設けられた粘着層とを有するラベル用紙本体と、前記ラベル用紙本体の前記粘着層を被覆する剥離紙と、で構成されたラベル用紙を準備する工程と、
前記粘着層から前記剥離紙を剥離する第1剥離工程と、
前記第1剥離工程後、前記粘着層上に線状の機能性部材を供給する供給工程と、
前記供給工程後、前記粘着層を前記剥離紙で被覆する第1被覆工程と、
前記第1被覆工程後、前記粘着層から前記剥離紙を剥離する第2剥離工程と、
第2剥離工程後、前記粘着層から前記剥離紙を剥離した状態で、前記ラベル用紙本体と共に前記線状の機能性部材を当該線状の機能性部材の長さ方向と交差する方向に沿って切断する第1切断工程と、
前記第1切断工程後、前記粘着層を前記剥離紙で被覆する第2被覆工程と、
前記第2被覆工程後、前記粘着層を前記剥離紙で被覆した状態で、前記線状の機能性部材を除く前記ラベル用紙本体を前記線状の機能性部材の長さ方向に沿って切断する第2切断工程と、
を有するラベル用紙の製造方法。
【請求項6】
基紙と前記基紙の片面に設けられた粘着層とを有するラベル用紙本体と、前記ラベル用紙本体中に配置される機能性部材と、前記ラベル用紙本体の前記粘着層を被覆する剥離紙と、で構成されたラベル用紙のうち、前記ラベル用紙本体を切断する手段として、前記粘着層から前記剥離紙を剥離した状態で、前記ラベル用紙本体と共に前記機能性部材を切断する手段を含む切断手段を有するラベル用紙の製造装置。
【請求項7】
前記機能性部材が、線状の機能性部材であり、
前記切断手段が、
前記粘着層から前記剥離紙を剥離した状態で、前記ラベル用紙本体と共に前記線状の機能性部材を、当該線状の機能性部材の長さ方向と交差する方向に沿って切断する第1切断手段と、
前記第1切断手段による切断後、前記粘着層を前記剥離紙で被覆した状態で、前記機能性部材を除く前記ラベル用紙本体を、前記線状の機能性部材の長さ方向に沿って切断する第2切断手段と、
を有する請求項6に記載のラベル用紙の製造装置。
【請求項8】
前記第1切断手段が、未切断部を有するように断続的に切断する手段である請求項7に記載のラベル用紙の製造装置。
【請求項9】
前記第2切断手段が、前記第1切断手段による前記未切断部の両端部と接するようにして切断する手段である請求項8に記載のラベル用紙。
【請求項10】
基紙と前記基紙の片面に設けられた粘着層とを有するラベル用紙本体と、前記ラベル用紙本体の前記粘着層を被覆する剥離紙と、で構成されたラベル用紙を準備する手段と、
前記粘着層から前記剥離紙を剥離する第1剥離手段と、
前記第1剥離手段による剥離後、前記粘着層上に線状の機能性部材を供給する供給手段と、
前記供給手段による供給後、前記粘着層を前記剥離紙で被覆する第1被覆手段と、
前記第1被覆手段による被覆後、前記粘着層から前記剥離紙を剥離する第2剥離手段と、
第2剥離手段による剥離後、前記粘着層から前記剥離紙を剥離した状態で、前記ラベル用紙本体と共に前記線状の機能性部材を当該線状の機能性部材の長さ方向と交差する方向に沿って切断する第1切断手段と、
前記第1切断手段による切断後、前記粘着層を前記剥離紙で被覆する第2被覆手段と、
前記第2被覆手段による被覆後、前記粘着層を前記剥離紙で被覆した状態で、前記線状の機能性部材を除く前記ラベル用紙本体を前記線状の機能性部材の長さ方向に沿って切断する第2切断手段と、
を有するラベル用紙の製造装置。
【請求項11】
基紙と前記基紙の片面に設けられた粘着層とを有するラベル用紙本体と、
記ラベル用紙本体中に配置される線状の機能性部材と、
前記ラベル用紙本体の前記粘着層を被覆する剥離紙と、
前記ラベル用紙本体と共に前記線状の機能性部材が切断された第1切断部であって、前記線状の機能性部材の長さ方向と交差する方向に沿って、且つ未切断部を有するように断続的に切断された第1切断部と、
前記線状の機能性部材を除く前記ラベル用紙本体が切断された第2切断部であって、前記線状の機能性部材の長さ方向に沿って、且つ前記第1切断部における前記未切断部の両端部と接するように切断された第2切断部と、
を有するラベル用紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−139928(P2012−139928A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294474(P2010−294474)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】