説明

ラベル製造方法およびラベル製造装置

【課題】感熱性粘着シートの搬送方向の後端部に意図しない非加熱部分が生じるのを抑える。
【解決手段】M0桁×N0行のマトリクス状の加熱パターンに従ってサーマルヘッドおよび搬送手段を駆動して、搬送手段による感熱性粘着シート2の搬送にタイミングを合わせてサーマルヘッドの複数の発熱素子を選択的に作動させることにより、感熱性粘着シート2の少なくとも一部を加熱して粘着性を発現させる際に、感熱性粘着シート2の搬送方向の後端部2bがサーマルヘッドの発熱素子と接する位置に到達する前に、加熱パターンの最終行(N0行目)に基づく加熱が完了した場合には、後端部2bがサーマルヘッドの発熱素子と接する位置を通過するまで感熱性粘着シート2を搬送するとともに、加熱パターンの最終行(N0行目)に基づく加熱を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常時には非粘着性を示し、加熱されることにより粘着性を発現する感熱性粘着剤層がシート状基材の片面に形成された感熱性粘着シートからなるラベルを製造するためのラベル製造方法およびラベル製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱されることによって粘着性を発現する感熱性粘着剤層を有する感熱性粘着シートが実用化されている。このような感熱性粘着シートは、加熱前のシートは粘着性を持たないため取り扱いが容易であることや、剥離紙を必要としないため産業廃棄物が生じないことなどの利点を有している。そして、この感熱性粘着シートからなるラベルは、食品などの商品のPOS(販売時点情報管理)用のバーコードなどの表示や、物流および配送用の荷札や、ホテルまたは乗物等におけるバゲッジタグや、瓶、缶、薬包などの内容表示などのために、様々な物品に貼り付けられて幅広い分野で使用されている。
【0003】
一般に、感熱性粘着シートを搬送しながら加熱手段によって感熱性粘着剤層を加熱して粘着性を発現させることにより、所望のラベルを製造している。感熱性粘着シートから製造されるラベルは、用途によっては、全面に粘着性を持つように形成されるのではなく、粘着部分と非粘着部分とが混在するように形成されることがある。例えば、ラベルの外周部分を粘着部分として、その内側の部分を非粘着部分とすることが考えられる。また、例えば、ラベルの一部を切り取って控えとして保管するために、切り取るべき部分を非粘着部分とすることが考えられる。このように、1枚のラベル内に、加熱により粘着性が発現した粘着部分と、加熱されず粘着性が発現していない非粘着部分とが混在する場合がある。
【0004】
感熱性粘着シートの感熱性粘着剤層の加熱には、一般にサーマルプリンタの記録ヘッドとして用いられているサーマルヘッドが加熱手段として用いられることが多い(特許文献1,2参照)。その場合、感熱性粘着シートの感熱性粘着剤層をサーマルヘッドに押し付けつつ感熱性粘着シートを搬送して、感熱性粘着剤層の全面または一部を熱活性化させて粘着力を発現させる。サーマルヘッドを用いることにより、感熱性粘着剤層中に加熱部分と非加熱部分とを混在させることが比較的容易にできる。
【特許文献1】特開2004−243606号公報
【特許文献2】特開2004−136972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記したように感熱性粘着シートを搬送しながら加熱手段を作動させて感熱性粘着剤層を加熱して熱活性化させる場合には、所望のラベルの寸法に基づいて、加熱手段を作動させる期間が決定される。すなわち、感熱性粘着シートの後端部が加熱手段に接触する位置を通過し終えるとほぼ同時に、加熱手段の作動が停止する。
【0006】
しかし、ラベル製造装置の動作の機械的な誤差(感熱性粘着シートの搬送誤差など)が生じることがある。例えば、感熱性粘着シートの1行あたりの搬送量が小さくなった場合など、計算上のタイミングよりも後に感熱性粘着シートの後端部が加熱手段に接する位置に到達する場合には、感熱性粘着シートの後端部が加熱手段に接する位置に到達する前に加熱手段の作動が停止してしまう。その結果、感熱性粘着シートの後端部は加熱されず、熱活性化されず粘着性が発現しない状態になってしまう。
【0007】
機械的な誤差自体は許容範囲内でほぼ一定なものであって、この誤差に合せて加熱パターンを調整して出力することにより十分軽減できる程度の大きさである。しかし、感熱性粘着シートの搬送方向の後端部においては、同じ調整を行ったとしても、意図しない非粘着部分が大きく生じてしまう。特に、1行あたりの搬送量の誤差は、感熱性粘着シートの1行ごとの搬送を繰り返すのに従って蓄積されるため、感熱性粘着シートの搬送方向の後端部における位置ずれは、加熱パターンの他の部分(後端部以外の部分)に比べて大きくなる傾向がある上に、搬送長さによって位置ずれの程度が異なるため予測しづらく、加熱パターンの調整によって予め対処しておくことが容易ではない。結果的に、感熱性粘着シートの搬送方向の後端部に意図しない非粘着部分が生じると、この感熱性粘着シートからなるラベルを物品に貼り付けた後に剥がれ易くなるという問題を生じてしまう。
【0008】
そこで本発明の目的は、感熱性粘着シートの搬送方向の後端部に意図しない非粘着部分が生じるのを抑えることができるラベル製造方法およびラベル製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の特徴は、複数の発熱素子を有するサーマルヘッドと、感熱性粘着シートをサーマルヘッドの発熱素子と接する位置を通るように搬送する搬送手段とを用い、感熱性粘着シートの少なくとも一部を加熱して粘着性を発現させるラベル製造方法において、設定された加熱パターンに従ってサーマルヘッドおよび搬送手段を駆動して、搬送手段による感熱性粘着シートの搬送にタイミングを合わせてサーマルヘッドの複数の発熱素子を選択的に作動させることにより、感熱性粘着シートの少なくとも一部を加熱して粘着性を発現させ、感熱性粘着シートの搬送方向の後端部がサーマルヘッドの発熱素子と接する位置に到達する前に、加熱パターンの最終行に基づく加熱が完了した場合には、後端部がサーマルヘッドの発熱素子と接する位置を通過するまで感熱性粘着シートを搬送するとともに、加熱パターンの最終行に基づく加熱を繰り返すところにある。
【0010】
また、本発明の他の特徴は、複数の発熱素子を有するサーマルヘッドと、感熱性粘着シートをサーマルヘッドの発熱素子と接する位置を通るように搬送する搬送手段とを用い、感熱性粘着シートの少なくとも一部を加熱して粘着性を発現させるラベル製造方法において、設定された加熱パターンに従ってサーマルヘッドおよび搬送手段を駆動して、搬送手段による感熱性粘着シートの搬送にタイミングを合わせてサーマルヘッドの複数の発熱素子を選択的に作動させることにより、感熱性粘着シートの少なくとも一部を加熱して粘着性を発現させ、感熱性粘着シートの搬送方向の後端部が、サーマルヘッドの発熱素子と接する位置の所定距離だけ手前の位置に到達する前に、加熱パターンの最終行に基づく加熱が完了した場合には、感熱性粘着シートを搬送するとともに、加熱パターンの最終行に基づく加熱を繰り返し、後端部が、サーマルヘッドの発熱素子と接する位置の所定距離だけ手前の位置に到達したら、サーマルヘッドによる加熱を停止するとともに、少なくとも後端部がサーマルヘッドの発熱素子と接する位置を通過するまで感熱性粘着シートの搬送を続行するところにある。
【0011】
加熱パターンは、1つの発熱素子の大きさと実質的に同じ大きさのドットごとに分割されたマトリックス状のパターンであってよい。
【0012】
搬送手段による感熱性粘着シートの搬送経路内の、サーマルヘッドよりも感熱性粘着シートの搬送方向の上流側に設けられたシート検知センサによって、感熱性粘着シートの後端部を検知し、配送経路内のシート検知センサとサーマルヘッドの発熱素子との間の間隔に基づいて、後端部がサーマルヘッドの発熱素子と接する位置に到達するタイミングまたは後端部がサーマルヘッドの発熱素子と接する位置の所定距離だけ手前の位置に到達するタイミングを求めることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、感熱性粘着シートの少なくとも一部を加熱して熱活性化させる際に、何らかの機械的誤差等により感熱性粘着シートの搬送方向の後端部に意図しない非加熱部分が生じることを抑制できる。しかも、設定された所望の加熱パターンの最終行と同じ加熱パターンを、感熱性粘着シートの後端部に形成できる。すなわち、感熱性粘着シートの後端部に関しては、機械的誤差等にかかわらず所望の加熱パターンにすることができるため、この後端部から剥がれ易くなるおそれを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
まず、本発明において用いられるラベル製造装置1の基本構成について、図1を参照して説明する。このラベル製造装置1は、感熱性粘着シート2をラベル製造装置1の内部に導入するための1対の挿入ローラ3と、感熱性粘着シート2の感熱性粘着剤層を加熱して熱活性化するためのサーマルヘッド4と、サーマルヘッド4との間に感熱性粘着シート2を挟み込むプラテンローラ5と、サーマルヘッド4の下流側に位置する1対の排出ローラ6と、センサ7,8,9とを有している。これらの各部材について、搬送方向の上流側から順に説明する。
【0016】
ラベル製造装置1の導入口10の近傍に、シート挿入検知センサ7が設けられている。シート挿入検知センサ7は、検知部が感熱性粘着シート2の搬送経路11を向くように配置されており、導入口10から挿入ローラ3の近傍へ挿入された感熱性粘着シート2の有無を検知する。
【0017】
シート挿入検知センサ7の下流側に1対の挿入ローラ3が配置され、両ローラ3の接点が搬送経路11の一部になっている。挿入ローラ3のうちの一方が駆動ローラであって、他方は従動ローラであってよい。挿入ローラ3の下流側にはシート検知センサ8が設けられている。シート検知センサ8は、検知部が搬送経路11を向くように配置されており、挿入ローラ3からサーマルヘッド4およびプラテンローラ5の近傍に搬送された感熱性粘着シート2の先端部2aおよび後端部2b(図4(b),4(c)参照)を検知する。
【0018】
挿入ローラ3によって感熱性粘着シート2が導かれる位置に、サーマルヘッド4とプラテンローラ5が設けられている。サーマルヘッド4は、一般的なサーマルプリンタに用いられている記録用のヘッドと同様な構成であってよく、例えば、小さな抵抗体からなる複数の発熱素子が幅方向(図1に垂直な方向)に並べて配設された発熱部4aを有している。このサーマルヘッド4と対向するようにプラテンローラ5が配置されており、サーマルヘッド4とプラテンローラ5によって、搬送経路11の感熱性粘着シート2を挟みつけるようになっている。プラテンローラ5は、感熱性粘着シート2をサーマルヘッド4の発熱部4aに圧接させて良好な熱活性化を行うための押圧手段として機能するとともに、回転することによって感熱性粘着シート2を搬送する。
【0019】
サーマルヘッド4の下流側には、感熱性粘着シート2を排出口12から外部に排出するための1対の排出ローラ6が配置されている。さらに、排出ローラ6の近傍にはシート取り去り検知センサ9が設けられている。シート取り去り検知センサ9は、検知部が感熱性粘着シート2の搬送経路11を向くように配置されており、排出口12から外部へ取り去られる前の感熱性粘着シート2の有無を検知する。
【0020】
図2には、このラベル製造装置1のブロック図が示されている。ラベル製造装置1内のCPU(制御手段)13が、記憶手段であるROM(リード・オンリー・メモリ)14に格納された様々なデータを参照し、かつもう1つの記憶手段であるRAM(ランダム・アクセス・メモリ)15のデ−タの読み書きを行いながら、ラベル製造装置1の全体の動作を制御する。ラベル製造装置1には、さらに、入力手段16および表示手段17が設けられている。この入力手段16と表示手段17が一体化された液晶表示パネル等からなるタッチパネル等が用いられる場合もある。このCPU13、ROM14、RAM15、入力手段16、および表示手段17は、IF(インタフェース)18を介して、モータ駆動回路19とヘッド駆動回路20とセンサ回路21に接続されている。そして、モータ駆動回路19にはステッピングモータである搬送モータ22が、ヘッド駆動回路20にはサーマルヘッド4が、センサ回路21には3つのセンサ7,8,9がそれぞれ接続されている。本実施形態の搬送モータ22には、駆動伝達手段23,24,25を介して、搬送手段である挿入ローラ3、プラテンローラ5、および排出ローラ6がそれぞれ接続されている。本実施形態では、図2に示すように全ての構成要素がラベル製造装置1内に配置されて、このラベル製造装置1単体でラベル製造システムが構成されている。しかし、ラベル製造装置1にホストコンピュータ(図示せず)を接続してラベル製造システムを構成してもよい。その場合、図2に示す構成のうちの入力手段16と表示手段17を、ラベル製造装置1ではなくホストコンピュータに設けてもよい。
【0021】
以上説明したラベル製造システムによってラベルを製造する方法の基本工程について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0022】
まず、シート挿入検知センサ7によって、導入口10から感熱性粘着シート2が挿入されていることを確認すると(ステップS1)、CPU13がIF18およびモータ駆動回路19を介して搬送モータ22を作動させて、駆動伝達手段23〜25を介して各ローラ(搬送手段)3,5,6を回転させる。それによって、感熱性粘着シート2を搬送経路11に沿って、サーマルヘッド4とプラテンローラ5の間へ向けて1行分だけ搬送する(ステップS2)。
【0023】
シート検知センサ8が感熱性粘着シート2の先端部2a(図4(b),4(c)参照)を検知すると(ステップS3)、適宜のタイミングでCPU13がIF18およびヘッド駆動回路20を介してサーマルヘッド4を駆動する。これによって、サーマルヘッド4の発熱部4aが発熱する。具体的には後述するが、サーマルヘッド4の発熱部4aの発熱による感熱性粘着シート2の加熱と、挿入ローラ3、プラテンローラ5、および排出ローラ6による1行ごとの感熱性粘着シート2の搬送とを交互に繰り返して、感熱性粘着シート2の感熱性粘着剤層の熱活性化を行う(ステップS4)。
【0024】
その後、感熱性粘着シート2は、排出ローラ6の回転によって排出口12から外部に順次送り出される(ステップS5)。なお、一般的には、所望のラベルの大きさに切断された感熱性粘着シート2がラベル製造装置1に供給されるが、長尺の連続紙状の感熱性粘着シート2がラベル製造装置1に供給される場合もある。後者の場合には、サーマルヘッド4の上流側または下流側に配置されているカッター手段(図示せず)によって、感熱性粘着シート2を所望のラベルの大きさに適宜切断する。以上が本実施形態のラベル製造方法の基本工程である。
【0025】
本実施形態は、以上説明したラベルの製造方法において、感熱性粘着シート2の搬送方向の後端部2bの加熱の制御に主な特徴を有するものである。まず、本発明者が本実施形態の加熱方法を発明するに至った経緯について以下に説明する。
【0026】
従来、ラベルを製造する場合には、例えばM0桁×N0行のマトリクス状の所望の加熱パターン26(図4(a)参照)を予め設定しておき、その加熱パターン26に従って搬送手段(ローラ3,5,6)とサーマルヘッド4を駆動する。それによって、設定された加熱パターン26の通りに粘着部分(ハッチングにて図示されている加熱部分R1)と非粘着部分(ハッチング無しで図示されている非加熱部分R2)とを有するラベルを製造している(もちろん、全面が粘着部分(加熱部分R1)である場合もあり得る)。ただし、機械的な誤差や装置の組立時の誤差等によって、設定された加熱パターン26(図4(a)参照)と実際のラベルに形成された加熱パターンとにずれが生じる可能性がある。例えば、感熱性粘着シート2の1行あたりの搬送量が狂った場合などには、感熱性粘着シート2の搬送方向の先端部2aでは無視できる程度の誤差であっても、搬送方向の後端部2bでは大きな誤差になってしまうことがある。
【0027】
例えば、仮に感熱性粘着シート2の1行あたりの搬送量が大きくなったとしたら、図4(b)に模式的に示すように、設定された加熱パターン26の最終行(N0行目)に基づく加熱を行う前に、感熱性粘着シート2の搬送方向の後端部2bが、サーマルヘッド4に接する位置を通り過ぎてしまう。すなわち、設定された加熱パターン26のうち、最終行(N0行)よりも手前のパターンまでしか感熱性粘着シート2に反映させることができない。ラベルの一端部(後端部2b)は予め設定された加熱パターン26とは異なる加熱パターンにより加熱されて熱活性化された粘着状態になる可能性がある。この場合、感熱性粘着シート2が、設定された加熱パターン26の通りに正確に加熱されないという問題はあるが、後端部2bにおいても全く加熱され得ないわけではなく、少なくとも一部は加熱される可能性が高い。結果的に、感熱性粘着シート2の実際の加熱パターンの、設定された加熱パターン26との差異が比較的小さく、実用上問題にならない場合がある。
【0028】
これに対し、仮に感熱性粘着シート2の1行あたりの搬送量が小さくなったとしたら、図4(c)に模式的に示すように、感熱性粘着シート2の搬送方向の後端部2bが、サーマルヘッド4に接する位置を通り過ぎる前に、設定された加熱パターン26の最終行(N0行目)に基づく加熱が完了してしまう。そうすると、それ以降は、加熱すべきパターンが存在しないので、感熱性粘着シート2の後端部2bまで全く加熱されない。すなわち、ラベルの一端部(後端部2b)は全く加熱されず熱活性化されない非粘着部分になる。このラベルを物品に貼り付けた場合、全幅にわたって非粘着状態の端部(後端部2b)からラベルが剥がれ易いという欠点がある。
【0029】
このように、従来は、機械的な誤差等に起因して、設定された加熱パターン26と異なり、感熱性粘着シート2の搬送方向の後端部2bにおいて全幅にわたって非粘着部分になってしまうという不具合が生じることがあった。
【0030】
そこで、本発明者はこのような不具合を防ぐために、設定された加熱パターン26の最終行(N0行目)に基づく加熱が完了した後であっても、感熱性粘着シート2の搬送方向の後端部2bがサーマルヘッド4の発熱素子と接する位置を通過するまでは、サーマルヘッド4による加熱を停止せず続行させるようにした(図5参照)。そして、設定された加熱パターン26の最終行(N0行目)に基づく加熱が完了した後には、加熱すべきパターンが存在しないが、最終行(N0行目)の加熱パターンに基づく加熱を繰り返し、加熱部分(粘着部分)R1が形成されるようにした。これが、本発明の技術的思想である。
【0031】
なお、いくつかの図面(例えば図4〜8,12等)において一部の寸法の縮尺が不正確になっているが、これは図面を見易くするためである。
【0032】
このような本発明のラベル製造方法の実施形態について改めて説明すると、前記したようにステップS3(図3参照)においてシート検知センサ8が感熱性粘着シート2の先端部2aを検知すると、CPU(制御手段)13は、既知であるシート検知センサ8からサーマルヘッド4の発熱部4aまでの間隔に基づいて、シート検知センサ8が感熱性粘着シート2の先端部2a(図4(b),4(c)参照)を検知した時点から感熱性粘着シート2を何行分だけ搬送すれば感熱性粘着シート2の先端部2aが発熱部4aに接する位置に到達するかを求める。こうして求めたタイミングに基づいて、感熱性粘着シート2の先端部2aが発熱部4aに接する位置に到達したと判断される時点から、予め設定された加熱パターン26に従ってサーマルヘッド4を作動させて感熱性粘着シート2を加熱する。
【0033】
設定された加熱パターン26(図4(a)参照)は、通常、1つの発熱素子の大きさと同じ大きさのドットの集合であって、例えばM0桁×N0行のマトリックス状である。そして、サーマルヘッド4が感熱性粘着シート2に対して、設定された加熱パターン26のうちの1行分の加熱パターンに従って加熱を行うことと、1行分の加熱の完了後に、搬送手段(ローラ3,5,6)が感熱性粘着シート2を1行分だけ搬送することとを繰り返す。こうして1行分の加熱と搬送とを繰り返すことにより、M0桁×N0行のマトリクス状の加熱パターン26に従って1行ごとに感熱性粘着シート2の加熱を行う。この際に、誤差がなければ、感熱性粘着シート2の搬送方向の後端部2bがサーマルヘッド4の発熱部と接する位置にある時に、設定されたマトリクス状の加熱パターン26のうちの最終行(N0行目)の加熱パターンに基づく加熱が行われ、加熱工程が完了する。この場合、感熱性粘着シート2に、図4(a)に示す加熱パターン26の通りの加熱部分R1が形成でき、理想的な状態である。
【0034】
何らかの誤差等により、設定されたマトリクス状の加熱パターン26のうちの最終行(N0行目)の加熱パターンに基づく加熱が行われる前に、感熱性粘着シート2の搬送方向の後端部2bがサーマルヘッド4の発熱部4aと接する位置を通過してしまう可能性がある。その場合には、設定された加熱パターン26の途中までしか感熱性粘着シート2に形成されない(図4(b)参照)。しかし、感熱性粘着シート2の端部(後端部2b)において全幅にわたって加熱され得ないという不具合は生じないので、実用上の問題はないと判断して補正等は行わない。
【0035】
一方、何らかの誤差等により、感熱性粘着シート2の搬送方向の後端部2bがサーマルヘッド4の発熱部4aと接する位置に到達する前に、設定されたマトリクス状の加熱パターン26のうちの最終行(N0行目)の加熱パターンに基づく加熱が完了してしまう可能性もある。本実施形態では、そのような場合には、設定された加熱パターン26の最終行(N0行目)の加熱パターンに基づく加熱が完了した後に、感熱性粘着シート2の搬送方向の後端部2bがサーマルヘッド4の発熱部4aと接する位置を通過するまでは、最終行(N0行目)の加熱パターンに基づく加熱と1行ずつの搬送とを繰り返す。図5に示すように、このような本実施形態の方法によると、感熱性粘着シート2の端部(後端部2b)において全幅にわたって加熱されないという不具合は生じなくなる。しかも、感熱性粘着シート2の搬送方向の中間部分においては所望の加熱パターンと実際の加熱部分R1との間に誤差が存在する場合があるが、後端部2bにおいては所望の加熱パターンと実際の加熱部分R1とが必ず一致する。例えば、図4(a)に示す例では、最終行(N0行目)の加熱パターンは幅方向の中央に加熱部分(粘着部分)R1が存在し、その両側に非加熱部分(非粘着部分)R2が存在している。そして、図4(c)の感熱性粘着シート2においても、後端部2bでは、図4(a)に示す加熱パターン26の最終行(N0行目)と全く同様に、幅方向の中央に加熱部分(粘着部分)R1が形成され、その両側に非加熱部分(非粘着部分)R2が形成されている。
【0036】
本実施形態では、意図しないラベルの剥離に大きく関与する端部(後端部2b)については、所望の加熱パターンが実現できるので、剥離を抑えることができる。なお、後端部2b以外の端部(先端部2aと幅方向の両端部2c,2d)においては、後端部2bに比べて誤差が小さい場合が多いので、意図しない非粘着部分が生じたとしてもその大きさは小さく、さほどラベルが剥離し易くなることはないと考えられる。このように本実施形態によると、何らかの誤差によって、所望の加熱パターン26を実際の感熱性粘着シート2において正確に実現することができなくても、それが原因でラベルの端部に意図しない非粘着部分(特に全幅にわたる非粘着部分)が生じることを抑え、そのラベルが剥離し易くなるおそれを低減することができる。
【0037】
次に、本発明のラベル製造方法の第2の実施形態について説明する。本実施形態では、前記した第1の実施形態と異なり、感熱性粘着シート2の後端部2bの所定の範囲だけサーマルヘッド4による加熱を停止する。この点について以下に説明する。
【0038】
前記した通り、何らかの誤差等により、感熱性粘着シート2の搬送方向の後端部2bがサーマルヘッド4の発熱部4aと接する位置に到達する前に、設定された加熱パターン26のうちの最終行(N0行目)の加熱パターンに基づく加熱が完了してしまった場合に、後端部2bに意図しない非粘着部分R2が生じるのを防ぐことが、ラベルが剥離し易くなることを防ぐために効果的である。
【0039】
一方、感熱性粘着シート2の搬送方向の後端部がサーマルヘッド4の発熱部4aと接する位置を通過する時点まで、感熱性粘着シート2の加熱を行うと、感熱性粘着シート2の後端部2bの感熱性粘着剤2eがサーマルヘッド4に付着してしまうという問題が生じる場合がある。具体的には、感熱性粘着シート2に設けられている感熱性粘着剤2eは、サーマルヘッド4の発熱部(発熱素子)4aに接する部分において加熱されて熱活性化し、粘着性が発現する。粘着性が発現した感熱性粘着剤2eは、サーマルヘッド4に付着し易い状態になっている。通常は、粘着性が発現した感熱性粘着剤2eがサーマルヘッド4に付着しようとしても、感熱性粘着シート4の搬送に伴ってサーマルヘッド4から引き剥がされ、多少サーマルヘッド4に引き擦られて感熱性粘着シート2の後端側に僅かに移動する程度である。しかし、図6に示すように、感熱性粘着シート2の後端部2bにおいては、粘着性が発現した感熱性粘着剤2eがサーマルヘッド4に少しでも引き擦られると、感熱性粘着シート2の外側にはみ出してしまう。そうすると、はみ出した感熱性粘着剤2eは感熱性粘着シート2の搬送に伴う力をあまり受けず、サーマルヘッド4に付着して残留するおそれがある。ラベルの製造を繰り返すと、このようにサーマルヘッド4に付着して残留した感熱性粘着剤2eが蓄積し、感熱性粘着シート2の円滑な搬送を妨げる要因となる。従って、多数のラベルの製造を行う場合には、サーマルヘッド4を清掃して付着した感熱性粘着剤2eを除去するためのメンテナンス作業を行う必要があり、多数のラベルを連続して製造することができず効率が悪い。
【0040】
そこで、本発明者は、感熱性粘着剤2eのサーマルヘッド4への残留を生じ易い、感熱性粘着シート2の後端部2bに対する加熱を停止することに思い至った。すなわち、図7に示すように、感熱性粘着シート2の後端部2bから所定の距離(例えば2mm)だけ手前までの範囲を非加熱部分R2’とする。具体的には、感熱性粘着シート2の後端部2bより所定の距離(例えば2mm)だけ手前の位置がサーマルヘッド4の発熱部4aに接触する前に、設定された加熱パターン26のうちの最終行(N0行目)の加熱パターンに基づく加熱が完了してしまったら、第1の実施形態と同様に、感熱性粘着シート2に対し最終行(N0行目)の加熱パターンに基づく加熱を繰り返す。そして、感熱性粘着シート2の後端部2bより所定の距離(例えば2mm)だけ手前の位置がサーマルヘッド4の発熱部4aに接触した時点で、サーマルヘッド4の作動を完全に停止させる。そして、搬送手段(ローラ3,5,6)による感熱性粘着シート2の搬送は続行し、排出口12から排出する。こうして、図7に示す本実施形態のラベルが完成する。
【0041】
本実施形態によると、感熱性粘着シート2の後端部2bの所定の範囲(非加熱部分R2’)は加熱されず熱活性化されない。従って、この部分の感熱性粘着剤2eは粘着性を持たず、流動性もほとんどないので、図8に示すように、サーマルヘッド4に付着しようとすることはなく、サーマルヘッド4に引き擦られて感熱性粘着シート2の外側にはみ出してしまうことはない。そうすると、感熱性粘着剤2eがサーマルヘッド4に付着して残留することはなく、その後に処理される感熱性粘着シート2の円滑な搬送を妨げるおそれはない。なお、この非加熱部分R2’は、基本的には非粘着部分となるが、前記したように、加熱されて熱活性化され粘着性と流動性が発現した感熱性粘着剤2eはサーマルヘッド4に引き擦られて感熱性粘着シート2の後端側に僅かに移動する。従って、感熱性粘着シート2の後端部2bより所定の距離(例えば2mm)だけ手前の位置よりももっと手前の部分の、加熱されて熱活性化した感熱性粘着剤2eの一部が、非加熱部分R2’まで移動してくることが考えられる。そうすると、非加熱部分R2’内でも、移動してきた感熱性粘着剤2eによって粘着性を有する部分があり、全面的に非粘着になるわけではない。
【0042】
このように、本実施形態によると、第1の実施形態と同様に、搬送誤差等の何らかの原因によって感熱性粘着シート2の後端部2bに意図しない非粘着部分が形成されるのを防ぎ、ラベルが剥離し易くなるおそれを低減することができるとともに、感熱性粘着剤2eがサーマルヘッド4に付着して残留することを防ぎ、その後に処理される感熱性粘着シート2の円滑な搬送を妨げるおそれを低減することができる。
【実施例】
【0043】
本発明のラベル製造方法のより詳細な具体例について説明する。以下に説明する実施例は、前記した第2の実施形態に基づくものである。
【0044】
なお、本実施例では、特許文献2に記載の発明のように予め記憶された複数の制御データ(複数の加熱パターン)のいずれかに従って感熱性粘着シート内に粘着部分を形成するのではなく、使用者が加熱パターンを自由に設定することができるようにしている。具体的には、本実施例では、感熱性粘着シート2においてサーマルヘッド4により感熱性粘着シート2を加熱するパターンを、1つの画像領域とみなして画像データを作成し、いわゆるビットマップイメージと同様に処理できるようになっている。
【0045】
本実施例では、図9に示すように、ラベル製造装置1の作動開始時点で、加熱パターンの初期化が行われる(ステップS11)。これは、過去のラベル製造時の加熱パターン等のデータがRAM15に残っている場合に、それを消去して、初期データの加熱パターン(デフォルトの加熱パターン)を一旦、RAM15に登録することである。なお、初期データの加熱パターンは、全面加熱であってよい。その状態で、加熱パターンが新たに入力されるのを待機する。そして、使用者が表示手段17および入力手段16を用いて、所望の加熱パターンを入力したことが検知されると(ステップS12)、その加熱パターンの補正を行ってRAM15に登録する(ステップS13)。
【0046】
ここで、使用者による所望の加熱パターンの入力の具体例を、図10,11を参照して説明する。この例では液晶タッチパネルが用いられており、これは入力手段16と表示手段17を兼ねたものであると言える。しかし、以下の説明では、便宜上、入力手段16と表示手段17とを別部品として記載している。これは、入力と表示という異なる機能を明確にするためである。
【0047】
まず、表示手段17に初期メニュー画面(図10(a)参照)が表示されている状態で、入力手段16によって編集パターン選択を指定する(ステップS21)。すると、図10(b)に示す選択画面が表示手段17に表示される。この段階では、新規の加熱パターンの作成と、既存の加熱パターンの変更のいずれかを選択することができ、前者の場合には入力手段16により「新規」を選択し、後者の場合には変更したい加熱パターン(既に記憶されている加熱パターン)の番号を入力手段16により入力する(ステップS22)。ここで「新規」が選択された場合には、図10(c)に示す入力画面にて、製造するラベルのサイズを入力手段16から入力する(ステップS23)。これに基づいて、画像編集画面17aの大きさおよび形状が決まる。そして、図10(d)に示すように表示手段17に画像編集画面(2値画像)17aが表示されるとともに、次の処理の選択肢として「加熱部分の追加・修正」、「加熱部分の削除」、「ラベルサイズの変更」、「加熱パターンの登録」が提示される。そこで、「加熱部分の追加・修正」と「加熱部分の削除」とを適宜に選択し、画像編集画面17a内で黒く表示されている部分(加熱部分R1)を任意に移動させたり、変形させたり、拡大または縮小させたりして、加熱部分R1の所望の配置を決定する(ステップS24)。なお、このように画像編集画面17a内での移動や変形や拡大または縮小の処理を行ってもよいが、図10(e)に示すように粘着部分の座標やサイズを直接入力することによって、加熱部分R1の所望の配置を決定してもよい。加熱部分R1の追加・修正や削除は、発熱素子の位置および大きさに対応した1ドット単位で細かく設定することができる。そして、画像編集画面17a、すなわち感熱性粘着シート2のサイズを変更したい場合には、図10(d)に示す画面で「ラベルサイズの変更」を選択すると、図10(c)に示す入力画面に戻るので、所望のラベルのサイズを入力し直せばよい。このようにして、加熱部分R1の所望の配置を決定したら、「加熱パターンの登録」を選択して、その編集画像を加熱パターンとしてRAM15に記憶させる(ステップS25)。こうして所望の加熱パターンの入力が完了する。なお、本実施例では、所望の加熱パターンは、図4(a)に示すように、1行目からN0行目に至る合計N0行と、サーマルヘッド4の発熱素子の数(ここでは合計M0個とする)とに分割された、M0×N0のマトリックス状の2値画像で表される画像データである。
【0048】
なお、既存の加熱パターンの変更を行う場合には、ステップS22において、変更したい加熱パターンの番号を入力する。そうすると、製造するラベルのサイズの入力(ステップS23)を省略して、図10(d)に示すように表示手段17に画像編集画面(2値画像)17aが表示される。そこで、前記したのと同様に、加熱部分R1の所望の配置を決定し(ステップS24)、それを所望の加熱パターンとして登録する(ステップS25)。この場合、図示しないが、変更した画像を所望の加熱パターンとして登録する際に、上書き登録するか、または別データとして新規登録するかを選択できるようにしてもよい。
【0049】
以上説明したステップS21〜S25によって使用者から入力された加熱パターンは、例えば図4(a)に示すように、所望のラベルを製造するための計算上(理論上)の所望の加熱パターン26である。本実施形態では、この入力された所望の加熱パターンを補正する(ステップS13)。その補正内容は、外周部における加熱パターンをそれぞれ外方に向かって数mm(例えば2mm)拡張することと、加熱部分(粘着部分)R1と非加熱部分(非粘着部分)R2の境界部分において加熱部分R1の縁部を所定の位置よりも数mm(例えば2mm)後退した位置になるように変更することである。補正後の加熱パターンは、図12に示すように、(N0行+4mm)×(M0桁+4mm)のサイズのマトリクス状の画像データである。なお、本実施例では1行および1桁がそれぞれ1/8mmに設定されているので、(N0+32)行×(M0+32)桁となる。もちろん、1行および1桁の大きさが1/8mm以外の場合には行数および桁数が変わる。この補正後の加熱パターンはN行×M桁(ここでN=N0+32、M=M0+32である)のマトリクス状である。
【0050】
このように本実施例では、加熱部分R1が感熱性粘着シート2の外周部から外にはみ出すように広い範囲に加熱するように、設定された加熱パターン26を補正している。これは、感熱性粘着シート2の外側に至るまで加熱することにより、加熱位置に多少の誤差が生じたとしてもラベルの外周部に意図しない非粘着部分R2が生じることが抑えられ、ラベルが剥がれ易くなる可能性を小さくすることができるからである。さらに、この補正時に、粘着部分R1と非粘着部分R2の境界部分では、粘着部分(加熱部分)R1の縁部が所定の位置よりも後退した位置になるように制御している。すなわち、粘着部分R1と非粘着部分R2の境界線を、製造すべきラベルの形状および大きさに合わせて決定される正確な位置よりも、粘着部分R1側に少し(数mm程度)シフトさせる。従って、ミシン目Pが設けられている場合には、ミシン目Pよりも粘着部分側にずらした位置に、粘着部分R1と非粘着部分R2の境界線が位置することになる。こうすることによって、仮にラベル製造装置の動作の機械的な誤差(感熱性粘着シートの搬送誤差)等によって粘着部分R1と非粘着部分R2の境界線の位置ずれが生じたとしても、粘着部分R1が所定の境界線の位置を越えて形成されてしまう可能性を非常に小さくすることができる。このことは、感熱性粘着シート2にミシン目Pが形成されている場合に特に有効であり、粘着部分がミシン目Pを跨いで形成されてしまう可能性を低減し、従って、ミシン目Pに沿っての切り離しが困難になりラベルを破いてしまうおそれを小さくすることができる。
【0051】
以上説明したように、加熱パターン26の補正を行ったら、実際のラベル製造開始の指令を待機する。この指令とは、使用者がラベル製造装置1の特定のスイッチ(図示せず)を操作することによって出される信号であってもよいし、使用者が導入口10からラベル製造装置1の内部に感熱性粘着シート2を挿入して、シート挿入検知センサ7がそれを検知して送出する信号であってもよい(その場合、図3のステップS1に相当する工程になる)。このようなラベル製造開始の指令を受信すると(ステップS14)、図3に示すステップS2〜S5によってラベルの製造を行う。ステップS4では、ステップS13にて補正された補正後の加熱パターンに従って、かつステップS13にて設定された制御方法に則って加熱を行う。この補正後の加熱パターンと設定された制御方法とに従って行われる加熱方法を、図13を参照して具体的に述べる。
【0052】
まず、ステップS3にてシート検知センサ8が感熱性粘着シート2の先端部2aを検知した時点から、ステッピングモータである搬送モータ22によってローラ3,5,6を駆動して計算上で感熱性粘着シート2の先端部2aがサーマルヘッド4の発熱部4aとの当接位置の数mm(例えば2mm)手前に到達するまでの行数を、予め求めておく。これは、シート検知センサ8からサーマルヘッド4の発熱部4aまでの間隔(例えば10mm)と、感熱性粘着シート2の1行あたりの搬送距離(例えば1/8mm)とに基づいて求めることができる。例えば、シート検知センサ8からサーマルヘッド4の発熱部4aまでの間隔が10mmで、1行あたりの搬送距離が1/8mmであるとすると、(10mm−2mm)/(1/8mm)=64行である。
【0053】
そこで、ステップS3にてシート検知センサ8が感熱性粘着シート2の先端部2aを検知すると、そこから、予め求めておいた行数(前記した例では64行)だけ感熱性粘着シート2を搬送する(ステップS4a)。この搬送が完了した地点が、補正後の加熱パターン(図12参照)の先頭位置(1行目)である。そこで、加熱パターンの行番号を示す変数nをn=1と設定する(ステップS4b)。なお、この位置を、図4(a)に示す補正前の加熱パターン26(入力された所望の加熱パターン)において表すとしたら、先頭位置から−2mm=−16行目ということになる。
【0054】
前記したように計算上で感熱性粘着シート2の先端部2aがサーマルヘッド4の発熱部4aとの当接位置の2mm手前に到達したら、CPU13がRAM15からサーマルヘッド4に送信した補正後の加熱パターンの先頭位置(1行目)の加熱パターンを示すデータに従って、サーマルヘッド4が加熱を行う(ステップS4c)。それから、ローラ3,5,6によって感熱性粘着シート2を1行分だけ搬送する(ステップS4d)。そして、行番号を示す変数nが最終行の行番号Nに一致していないことを確認すると(ステップS4e)、変数nを1つ繰り上げ、n=n+1と設定し直す(ステップS4f)。そして、シート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部2bを検知していないことを確認する(ステップS4g)。
【0055】
その後、感熱性粘着シート2の1行ごとに、加熱(ステップS4c)と、搬送(ステップS4d)と、変数nと最終の行番号Nとの比較(ステップS4e)と、変数nの繰り上げ(ステップS4f)と、シート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部2bを検知していないことの確認(ステップS4g)とを繰り返す。
【0056】
なお、補正後の加熱パターンの各行のデータが随時CPU13によってRAM15からサーマルヘッド4に送信されて、ステップS4cでは、サーマルヘッドはその都度送信されたデータに従って加熱を行う。すなわち、その送信されたデータに従って、各発熱素子1つずつの加熱または非加熱の制御が行われる。データの送信は、加熱(ステップS4c)の前の適当なタイミングで、例えば搬送(ステップS4d)中や前の行の加熱(ステップS4c)中などに行われる。
【0057】
ここで、補正後の1行目から16行目までの加熱パターンは全て同じ加熱パターンであり、それは、ステップS12で入力された所望の加熱パターン26(補正前の加熱パターン)の1行目の加熱パターンを幅方向両側に2mm(16桁)ずつ拡張したものである。この加熱パターンでは、1桁目から16桁目までは全て17桁目(これが補正前の加熱パターンの1桁目に相当する)と同じ加熱パターンであり、(M−16)桁目からM桁目までは全て(M−17)桁目(これが補正前の加熱パターンのM0桁目に相当する)と同じ加熱パターンである。従って、同一行内で、1桁目から17桁目までは全て加熱または全て非加熱であり、(M−17)桁目からM桁目までは全て加熱または全て非加熱である。このように、加熱パターンの幅方向の拡張の結果、同一行内で、1桁目から17桁目までは全て加熱または全て非加熱であり、(M−17)桁目からM桁目までは全て加熱または全て非加熱であることは、補正後の加熱パターンの全ての行において同様である。
【0058】
17行目から(N−17)行目までは、補正前の加熱パターンにおける1行目から最終行(N0行目)までの加熱パターンを、幅方向両側に2mm(16桁)ずつ拡張したものである。すなわち、補正後の加熱パターン内の(17行目〜(N−17)行目)×(17桁目〜(M−17)桁目)のマトリクスは、補正前の加熱パターン26の(1行目〜N0行目)×(1桁目〜M0桁目)のマトリクスと全く同じである。そして、補正後の加熱パターンの1行目〜16行目と、(N−16)行目〜N行目と、1桁目〜16桁目と、(M−16)桁目〜M桁目がそれぞれ、入力された加熱パターン26を補正して四方に拡張した部分である。
【0059】
このようにして、ステップS4c〜S4gによって、感熱性粘着シート2の各行の熱活性化を順次行っていき、行番号を示す変数nが最終行の行番号Nに到達したら(ステップS4e)、変数nの繰り上げ(ステップS4f)を行わずに、シート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部2bを検知していないことの確認(ステップS4g)を行う。その後は、変数n=Nに固定したまま(すなわち、ステップS4eでn=Nを確認し、ステップS4fを省略して)、N行目の加熱パターンによる加熱(ステップS4c)と、搬送(ステップS4d)と、シート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部2bを検知していないことの確認(ステップS4g)とを繰り返す。
【0060】
そして、シート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部2bを検知したら(ステップS4g)、その時点から、感熱性粘着シート2の後端部2bの2mm手前の部分がサーマルヘッド4の発熱部4aと接する位置に到達するまでの行数をカウント開始する。なお、ステップS4gにてシート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部2bを検知した時点から、ステッピングモータである搬送モータ22によってローラ3,5,6を駆動して、計算上で感熱性粘着シート2の後端部2bの2mm手前の部分がサーマルヘッド4の発熱部4aと対向する位置に到達するまでの行数は、予め求めておく。これは、シート検知センサ8からサーマルヘッド4の発熱部4aまでの間隔(例えば10mm)と1行あたりの搬送長さ(例えば1/8mm)とに基づいて求めることができる。例えば、シート検知センサ8からサーマルヘッド4の発熱部4aまでの間隔が10mmで、1行あたりの搬送長さが1/8mmであるとすると、(10mm−2mm)/(1/8mm)=64行である。
【0061】
そこで、ステップS4gにおいてシート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部2bを検知した時点から、64行分だけ加熱(ステップS4c)と搬送(ステップS4d)を繰り返す。この時、前に行われたステップS4eにて既にn=Nと確認されている場合には変数nの繰り上げ(ステップS4f)は行わずに、N行目の加熱パターンに基づく加熱を繰り返すことになる。
【0062】
一方、前に行われたステップS4eにてn=Nと確認されていないままで、ステップS4gにおいてシート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部2bが検知された場合には、前記したように64行分だけ加熱(ステップS4c)と搬送を繰り返し始めた時点で、まだn=Nになっていない。その場合には、加熱(ステップS4c)および搬送(ステップS4d)を行う度に、変数nの繰り上げ(ステップS4f)を行う。そして、n=Nと確認されると(ステップS4e)、その時点から変数nの繰り上げ(ステップS4f)は行わずにN行目の加熱パターンに基づく加熱を繰り返す。
【0063】
なお、図13に示すフローチャートによると、前記したように64行分だけ加熱(ステップS4c)と搬送を繰り返す最中に、シート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部2bを検知したかどうかを確認するステップS4gをその都度再通過する。しかし、既に、シート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部2bを検知したことが確認されている(ステップS4g)ので、その後にステップS4gを通過する際には、検知済み(Yes)と判断されるようにする。または、ステップS4gでは何の判断も行わないようにする。いずれにしても、その時点で既にカウント中の行数をリセットすることはなくカウントを続行する。
【0064】
そして、前記したいずれの場合であっても、ステップS4gにおいてシート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部2bを検知した時点から、64行分だけ感熱性粘着シート2が搬送されたら(ステップS4h)、加熱を行わずに、排出ローラ6によって感熱性粘着シート2を搬送して排出口12から外部に排出する(図3のステップS5に相当)。これが、前記した、感熱性粘着シート2の後端部2bがサーマルヘッド4との対向位置の数mm(例えば2mm)手前に位置したタイミングから全ての加熱を停止する制御方法である。
【0065】
また、図13に示すフローチャートにおいて、ステップS4eにてn=Nと確認され、その後に、N行目の加熱パターンによる加熱(ステップS4c)と、搬送(ステップS4d)と、シート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部2bを検知していないことの確認(ステップS4g)とを延々と繰り返しても、シート検知センサ8が感熱性粘着シート2の後端部2bをなかなか検知しないこともあり得る。そのような場合には、ステップS4cおよびステップS4dによって、N行目の加熱パターンによる加熱と1行分の搬送の繰り返しを延々と続ける。これが、前記した第1の実施形態に相当する技術的思想である。ただし、本実施例では、第2の実施形態に従って、感熱性粘着シート2の後端部2bの2mm手前の部分がサーマルヘッド4との対向位置を実際に通り過ぎるタイミングまでの間だけ、最終行の加熱パターンを延々と繰り返すことにする。
【0066】
なお、図13に基づく説明では言及しなかったが、本実施例によると、感熱性粘着シート2の粘着部分R1と非粘着部分R2の境界線に当たる位置において、補正前の加熱パターンよりも粘着部分R1、すなわち加熱部分の縁部が所定距離(例えば2mm)だけ後退している。これは、ステップS13において補正前の加熱パターンを外側に所定距離ずつ拡張する補正とともに行われた、補正前の加熱パターンの加熱部分と非加熱部分の境界において加熱部分の縁部を所定距離だけ後退させる補正によるものである。特に、感熱性粘着シート2の粘着部分と非粘着部分の境界線に当たる位置の少なくとも一部にミシン目Pが設けられている場合には、加熱部分R1の縁部が、ミシン目P(補正前の所望の加熱パターン26の境界線)よりも加熱部分R1側に2mm程度ずれた位置に来るように、加熱部分R1が狭く形成されている(図12参照)。これらの修正は、ステップS4cにおいて用いられる、ステップS13で補正された補正後の加熱パターンにおいて既に補正済みである。従って、サーマルヘッド4がその補正後の加熱パターンに従って作動すれば、自ずと前記した加熱制御が行われる。サーマルヘッド4が加熱を行うステップS4cごとにその都度加熱パターンの修正を行うわけではない。
【0067】
以上詳細に説明したとおり、本実施例では、何らかの理由で感熱性粘着シート2の後端部2bの進行が遅く、所望の加熱パターンの最終行(N行目)の後にも感熱性粘着シート2の加熱を行う必要がある場合には、最終行の加熱パターンを延々と繰り返すように加熱を制御することが実施されている。それにより、比較的大きな誤差が生じた場合であっても、ラベルの外周部に意図しない非粘着部分が生じることが防げ、しかも、必ずしも行全体を粘着部分R1にしてしまうのではないため必要以上に粘着部分R1を設けてしまうこともない。また、感熱性粘着シート2の後端部2bがサーマルヘッド4との対向位置の少し手前(例えば2mm手前)に位置したタイミングから全ての加熱を停止するように加熱を制御しているので、感熱性粘着シート2から剥離した感熱性粘着剤2eがサーマルヘッド4に付着して残留することを防いでいる。
【0068】
さらに、本実施例では、ステップS13において、所望の加熱パターン26の外周部を外側に向かってそれぞれ拡張するとともに、加熱部分R1(粘着部分)と非加熱部分R2(非粘着部分)の境界線を加熱部分R1側に移動させる(加熱部分R1の縁部を後退させる)ような補正を行い、その補正後のパターンに基づいて感熱性粘着シート2の加熱を行っている。このように所望の加熱パターン26を補正することによって、ラベルの外周部に意図しない非粘着部分が生じることが防げ、ラベルが剥がれ易くなる可能性を小さくすることができるとともに、粘着部分が切り取り線を跨いで形成されることが防げ、非粘着部分の切り取りを容易にしてラベルが破れるおそれを小さくすることができる。このように加熱部分の縁部を後退させることは、切り取り線としてミシン目Pが形成されている場合に特に効果的である。なお、感熱性粘着シート2の搬送方向の後端部2bに関しては、前記したような加熱の制御が行われるため、補正された加熱パターン通りの加熱が実行されるわけではない。従って、ステップS13において、必ずしも、所望の加熱パターンの外周部を全方向に関して外側に向かってそれぞれ拡張する必要はなく、特定の方向(例えば後端部2b以外の方向)に関してのみ外側に向かって拡張するようにしてもよい。
【0069】
以上の説明では、加熱パターンの補正と加熱制御は、ラベル製造装置1自体に内蔵されたCPU13が行う処理としている。ただし、このラベル製造装置1にホストコンピュータ(図示せず)を接続してラベル製造システムを構成するようにしてもよい。その場合、ラベル製造装置1自体に内蔵されているCPU13が加熱や搬送の制御を行うが、加熱パターンの設定や補正(ステップS11〜S13)は、ホストコンピュータにて行う。すなわち、ホストコンピュータは、CPUと、ROMと、RAMと、マウスやキーボード等の入力手段16と、液晶ディスプレイや陰極線管等の表示手段17を有している。ラベル製造装置1は、搬送モータ22やサーマルヘッド4や各センサ7,8,9の動作を制御するために、CPU(制御手段)13、ROM(記憶手段)14、RAM(記憶手段)15を有しているが、これらは加熱パターンの設定や補正の機能は持たない。そして、ホストコンピュータにおいて加熱パターンの設定や補正が行われ、補正後の加熱データがホストコンピュータからラベル製造装置1に送信され、ラベル製造装置1のCPU13は、その送信された加熱パターンに従って搬送モータ22やサーマルヘッド4や各センサ7,8,9の動作を制御する。なお、この場合、ホストコンピュータのCPU13、ROM14、RAM15に、前記したような加熱パターンの設定および補正を行うための設定を行っていてもよいが、ホストコンピュータにインストールされるアプリケーションソフトウェアに、加熱パターンの設定や補正を実施するためのプログラムが含まれていて、そのソフトウェアをインストールした状態でホストコンピュータのCPU13が加熱パターンの設定や補正を実行できるようになっていてもよい。
【0070】
さらに他の例としては、加熱パターンの設定や補正(ステップS11〜S13)はラベル製造装置1自体のCPU13によって行うが、入力手段16および表示手段17のみを別部品としてラベル製造装置1に接続した構成にすることもできる。
【0071】
最後に、粘着部分と非粘着部分が混在するラベルの用途の一例について説明する。図14に示すラベルLは4つの部分L1〜L4からなり、第4部分L4のみが粘着部分(斜線にて図示されている加熱部分R1)であり、それ以外の部分L1,L2,L3は全て非粘着部分(斜線無しで図示されている非加熱部分R2)である。このラベルLは荷物の配送用の伝票であり、4つの部分L1〜L4には、ほぼ同様な内容、すなわち発送元および発送先の住所と氏名または名称と電話番号と、配達に必要な情報(希望配達日時や料金や内容物の種類等)がそれぞれ記載されている。このラベルLの各部分の境界には切り取り線としてミシン目Pが設けられている。
【0072】
このラベルLの使用方法の一例について説明する。まず、発送依頼者から配送依頼を受けた配送業者が、前記した製造方法に従って、図14に示すラベルを製造する。そして、発送依頼者または配送業者がラベルLの各部分L1〜L4に必要事項を記入し、非粘着部分である第1部分L1を切り取って発送元控として発送依頼者に保管させる。一方、粘着部分である第4部分L4を荷物に貼り付けて第2〜4部分L2〜L4を荷物に保持させた状態で、配送業者がその荷物を運搬する。配送業者は、必要に応じて適宜のタイミングで、非粘着部分である第2部分L2を切り取って集配控として保管する。こうして第3部分L3と第4部分L4を保持している荷物を運搬して発送先に届けたら、発送先は、非粘着部分である第3部分L3を切り取って受領控として保管する。最終的に粘着部分である第4部分L4のみが荷物に保持されたままである。
【0073】
このようなラベルLにおいて、前記した製造方法を採用することによって、加熱部分R1(斜線にて図示)は、第4部分L4において幅方向(左右方向)端部e3,e4からラベル外まではみ出すとともに、ミシン目Pより第4部分L4の内側までの範囲になる。従って、仮に多少の機械的誤差等により、加熱部分が幅方向(左右)にずれたとしても、第4部分L4のほぼ全体が熱活性化されて粘着性が発現する。ただし、第4部分L4内であっても、ミシン目Pの近傍は非活性で非粘着状態になっている。このことは、多少の機械的誤差等が存在していても、第3部分L3の切り取り時に荷物に貼り付いている部分を引き剥がす必要がなく、切り取りが容易であるとともに、誤ってミシン目以外の部分でラベルを破ってしまうことが防げる。なお、図14に示すラベルLの例では、ラベルLの前端部e1には粘着部分が存在しないため、前端部e1において加熱パターンを拡張する補正は特に意味がなく、省略しても構わない。
【0074】
なお、本実施例でも、前記した実施形態と同様に、熱性粘着シート2の搬送方向の後端部2bがサーマルヘッド4の発熱部4aと接する位置の所定距離(例えば2mm)だけ手前の位置に到達する前に、加熱パターンの最終行に基づく加熱が完了した場合には、加熱パターンの最終行に基づく加熱を繰り返す。そして、熱性粘着シート2の搬送方向の後端部2bがサーマルヘッド4の発熱部4aと接する位置の所定距離(例えば2mm)だけ手前の位置に到達したら、サーマルヘッド4の発熱部4aの駆動を完全に停止して、感熱性粘着シート2の搬送を続行する。それによって、感熱性粘着シート2の後端部2bに意図しない非粘着部分が形成されるのを防ぎ、ラベルが剥離し易くなるおそれを低減するとともに、感熱性粘着剤2eがサーマルヘッド4に付着して残留することを防ぎ、その後に処理される感熱性粘着シート2の円滑な搬送を妨げるおそれを低減している。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明のラベル製造方法に用いられるラベル製造装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明のラベル製造装置の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明のラベル製造方法の基本工程を示すフローチャートである。
【図4】(a)は所望の加熱パターンの画像を示す模式図、(b)は誤差が生じた場合の感熱性粘着シートの加熱パターンを示す模式図、(c)は(b)とは異なる誤差が生じた場合の従来の感熱性粘着シートの加熱パターンを示す模式図である。
【図5】本発明の第1の実施形態のラベル製造方法によって、図4(c)に示す例における誤差に対応した感熱性粘着シートの加熱パターンを示す模式図である。
【図6】従来のラベル製造方法における感熱性粘着シートの後端部の加熱工程を示す模式図である。
【図7】本発明の第2の実施形態のラベル製造方法による感熱性粘着シートの加熱パターンを示す模式図である。
【図8】本発明の第2の実施形態のラベル製造方法における感熱性粘着シートの後端部の加熱工程を示す模式図である。
【図9】本発明のラベル製造方法の、図3に示す基本工程の前の工程を示すフローチャートである。
【図10】(a)〜(e)は図9に示すラベル製造方法の、所望の加熱パターンの入力用の画面を示す模式図である。
【図11】図9に示すラベル製造方法の一実施形態の、所望の加熱パターンの入力工程を詳細に示すフローチャートである。
【図12】本発明の一実施例における、補正後の加熱パターンを示す模式図である。
【図13】図3,9に示すラベル製造方法の熱活性化工程を詳細に示すフローチャートである。
【図14】粘着部分と非粘着部分が混在するラベルの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0076】
1 ラベル製造装置
2 感熱性粘着シート
2a 先端部
2b 後端部
2c,2d 幅方向の端部
2e 感熱性粘着剤
3 挿入ローラ
4 サーマルヘッド
4a 発熱部
5 プラテンローラ
6 排出ローラ
7 シート挿入検知センサ
8 シート検知センサ
9 シート取り去り検知センサ
10 導入口
11 搬送経路
12 排出口
13 CPU(制御手段)
14 ROM(記憶手段)
15 RAM(記憶手段)
16 入力手段
17 表示手段
17a 画像編集画面(2値画像)
18 IF(インタフェース)
19 モータ駆動回路
20 ヘッド駆動回路
21 センサ回路
22 搬送モータ
23,24,25 駆動伝達手段
26 加熱パターン
R1 加熱部分
R2,R2’ 非加熱部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発熱素子を有するサーマルヘッドと、感熱性粘着シートを前記サーマルヘッドの前記発熱素子と接する位置を通るように搬送する搬送手段とを用い、前記感熱性粘着シートの少なくとも一部を加熱して粘着性を発現させるラベル製造方法において、
設定された加熱パターンに従って前記サーマルヘッドおよび前記搬送手段を駆動して、前記搬送手段による前記感熱性粘着シートの搬送にタイミングを合わせて前記サーマルヘッドの複数の前記発熱素子を選択的に作動させることにより、前記感熱性粘着シートの少なくとも一部を加熱して粘着性を発現させ、
前記感熱性粘着シートの搬送方向の後端部が前記サーマルヘッドの前記発熱素子と接する位置に到達する前に、前記加熱パターンの最終行に基づく加熱が完了した場合には、前記後端部が前記サーマルヘッドの前記発熱素子と接する位置を通過するまで前記感熱性粘着シートを搬送するとともに、前記加熱パターンの前記最終行に基づく加熱を繰り返すことを特徴とする、ラベル製造方法。
【請求項2】
複数の発熱素子を有するサーマルヘッドと、感熱性粘着シートを前記サーマルヘッドの前記発熱素子と接する位置を通るように搬送する搬送手段とを用い、前記感熱性粘着シートの少なくとも一部を加熱して粘着性を発現させるラベル製造方法において、
設定された加熱パターンに従って前記サーマルヘッドおよび前記搬送手段を駆動して、前記搬送手段による前記感熱性粘着シートの搬送にタイミングを合わせて前記サーマルヘッドの複数の前記発熱素子を選択的に作動させることにより、前記感熱性粘着シートの少なくとも一部を加熱して粘着性を発現させ、
前記感熱性粘着シートの搬送方向の後端部が、前記サーマルヘッドの前記発熱素子と接する位置の所定距離だけ手前の位置に到達する前に、前記加熱パターンの最終行に基づく加熱が完了した場合には、前記感熱性粘着シートを搬送するとともに、前記加熱パターンの前記最終行に基づく加熱を繰り返し、前記後端部が、前記サーマルヘッドの前記発熱素子と接する位置の前記所定距離だけ手前の位置に到達したら、前記サーマルヘッドによる加熱を停止するとともに、少なくとも前記後端部が前記サーマルヘッドの前記発熱素子と接する位置を通過するまで前記感熱性粘着シートの搬送を続行することを特徴とする、ラベル製造方法。
【請求項3】
前記加熱パターンは、1つの前記発熱素子の大きさと実質的に同じ大きさのドットごとに分割されたマトリックス状のパターンである、請求項1または2に記載のラベル製造方法。
【請求項4】
前記搬送手段による前記感熱性粘着シートの搬送経路内の、前記サーマルヘッドよりも前記感熱性粘着シートの搬送方向の上流側に設けられたシート検知センサによって、前記感熱性粘着シートの前記後端部を検知し、前記配送経路内の前記シート検知センサと前記サーマルヘッドの前記発熱素子との間の間隔に基づいて、前記後端部が前記サーマルヘッドの前記発熱素子と接する位置に到達するタイミングまたは前記後端部が前記サーマルヘッドの前記発熱素子と接する位置の所定距離だけ手前の位置に到達するタイミングを求める、請求項1から3のいずれか1項に記載のラベル製造方法。
【請求項5】
複数の発熱素子を有するサーマルヘッドと、
感熱性粘着シートを前記サーマルヘッドの前記発熱素子と接する位置を通るように搬送する搬送手段と、
設定された加熱パターンに従って前記サーマルヘッドおよび前記搬送手段を駆動して、前記搬送手段による前記感熱性粘着シートの搬送にタイミングを合わせて前記サーマルヘッドの複数の前記発熱素子を選択的に作動させることにより、前記感熱性粘着シートの少なくとも一部を加熱させて粘着性を発現させる制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記感熱性粘着シートの搬送方向の後端部が前記サーマルヘッドの前記発熱素子と接する位置に到達する前に、前記加熱パターンの最終行に基づく加熱が完了した場合には、前記後端部が前記サーマルヘッドの前記発熱素子と接する位置を通過するまで前記感熱性粘着シートを搬送するとともに、前記加熱パターンの前記最終行に基づく加熱を繰り返すように、前記搬送手段および前記サーマルヘッドを駆動するものである、ラベル製造装置。
【請求項6】
複数の発熱素子を有するサーマルヘッドと、
感熱性粘着シートを前記サーマルヘッドの前記発熱素子と接する位置を通るように搬送する搬送手段と、
設定された加熱パターンに従って前記サーマルヘッドおよび前記搬送手段を駆動して、前記搬送手段による前記感熱性粘着シートの搬送にタイミングを合わせて前記サーマルヘッドの複数の前記発熱素子を選択的に作動させることにより、前記感熱性粘着シートの少なくとも一部を加熱して粘着性を発現させる制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記感熱性粘着シートの搬送方向の後端部が、前記サーマルヘッドの前記発熱素子と接する位置の所定距離だけ手前の位置に到達する前に、前記加熱パターンの最終行に基づく加熱が完了した場合には、前記感熱性粘着シートを搬送するとともに、前記加熱パターンの前記最終行に基づく加熱を繰り返し、前記後端部が、前記サーマルヘッドの前記発熱素子と接する位置の前記所定距離だけ手前の位置に到達したら、前記サーマルヘッドによる加熱を停止するとともに、少なくとも前記後端部が前記サーマルヘッドの前記発熱素子と接する位置を通過するまで前記感熱性粘着シートの搬送を続行するように、前記搬送手段および前記サーマルヘッドを駆動するものである、ラベル製造装置。
【請求項7】
前記加熱パターンは、1つの前記発熱素子の大きさと実質的に同じ大きさのドットごとに分割されたマトリックス状のパターンである、請求項5または6に記載のラベル製造装置。
【請求項8】
前記搬送手段による前記感熱性粘着シートの搬送経路内の、前記サーマルヘッドよりも前記感熱性粘着シートの搬送方向の上流側に設けられたシート検知センサを有し、
前記制御手段は、前記シート検知センサが前記感熱性粘着シートの前記後端部を検知すると、該シート検知センサと前記サーマルヘッドの前記発熱素子との間の間隔に基づいて、前記後端部が前記サーマルヘッドの前記発熱素子と接する位置を通過するタイミングまたは前記後端部が前記サーマルヘッドの前記発熱素子と接する位置の所定距離だけ手前の位置に到達するタイミングを求める、請求項5から7のいずれか1項に記載のラベル製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−262996(P2009−262996A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118430(P2008−118430)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】