説明

ラベル貼付装置

【課題】吸着板の駆動部を利用してシート材のシワを伸ばす機構を搭載できるようにし、ラベルを貼付する際自動的にシワを伸ばしてラベル貼付を確実に行うことができるラベル貼付装置を提供する。
【解決手段】ラベルLを吸着する吸着位置及び吸着したラベルLをシート材Sに貼付する貼付位置Yの2位置に駆動部11により移動させられる吸着板10を備え、吸着板が貼付位置でラベルを物品Wに貼付する前にシート材を伸展させる伸展部Tを備え、伸展部を、吸着板の周囲に所要の間隔で設けられ吸着板が吸着位置Xから貼付位置に至る途中においてシート材の外周部分に当接する複数の当接部材20と、駆動部に連動して作動させられ各当接部材をシート材の外周部分に当接した位置からシート材の面方向にかつ互いに離間する外方へ移動させてシート材を伸展させる連動機構30とを備えて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル貼付面が可撓性のシート材で構成される物品にラベルを貼付するラベル貼付装置に係り、特に、ラベルを貼付する際、シート材のシワを伸ばしながらラベルを貼付するラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ラベル貼付装置としては、例えば、ラベル供給部から供給されたラベルを吸着する吸着位置及び吸着したラベルをシート材に貼付する貼付位置の2位置に移動させられる吸着板を備えたものが知られている。貼付位置においては、吸着板によりラベルを物品に押し付けて貼付し、あるいは、吸着板からエアを噴射してラベルを物品に吹き付け貼付する。
ところで、ラベルを貼付する物品が、例えば、可撓性の樹脂製シート材そのもの、あるいは、シーツや紙等の内容物を薄い可撓性の樹脂製シート材で被覆したものであって、シート材でラベル貼付面が構成される物品である場合には、シート材にシワが寄り易く、シワが発生した状態でラベルが貼付されると貼付不良が生じることがある。そのため、従来においては、例えば、手作業によりシワを伸ばし、それから、ラベル貼付を行っている。
【0003】
また、従来においては、シワを伸ばす装置も開発されている。この装置は、例えば、特許文献1(特開2001−225986号公報)に掲載されており、図7に示すように、シート材100の外周部分の複数位置を複数の保持部101によって保持し、これらの保持部101がシート材100を保持した状態でシート材100の中心から外周方向に放射状に図示外の駆動部によって移動させ、シート材100に張力を付与して伸展させるものである。駆動部としては、ソレノイドと圧縮コイルばねを用いたもの、エアシリンダを用いるもの、形状記憶合金アクチュエータを用いるもの、正逆転可能なモータを用いるもの、あるいは、バイメタルを用いるもの等が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−225986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この従来のシワを伸ばす装置にあって、これを、吸着板を吸着位置及び貼付位置の2位置に移動させる機構を有したラベル貼付装置に適用しようとした場合、複数の保持部を放射状に駆動する駆動部が専用になっているので、吸着板の動作を確保しなければならないことからスペース上組込みが難しく、容易に適用できないという問題があった。
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、吸着板の駆動部を利用してシート材のシワを伸ばす機構を搭載できるようにし、ラベルを貼付する際自動的にシワを伸ばしてラベル貼付を確実に行うことができるようにしたラベル貼付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のラベル貼付装置は、ラベル貼付面が可撓性のシート材で構成される物品にラベルを貼付するラベル貼付装置であって、ラベル供給部から供給されたラベルを吸着する吸着位置及び該吸着したラベルをシート材に貼付する貼付位置の2位置に移動させられる吸着板と、該吸着板を移動させる駆動部とを備えたラベル貼付装置において、
上記吸着板が貼付位置でラベルを物品に貼付する前にシート材を伸展させる伸展部を備え、該伸展部を、上記吸着板の周囲に所要の間隔で設けられ該吸着板が吸着位置から貼付位置に至る途中において上記シート材の外周部分に当接する複数の当接部材と、上記駆動部に連動して作動させられ上記各当接部材を上記シート材の外周部分に当接した位置から該シート材の面方向にかつ互いに離間する外方へ移動させて該シート材を伸展させる連動機構とを備えた構成としている。
【0007】
これにより、物品にラベルを貼付する際には、駆動部により吸着板を吸着位置から貼付位置に移動させる。この吸着板が吸着位置から貼付位置に至る途中においては、伸展部の複数の当接部材がシート材の外周部分に当接し、更に駆動部に連動して連動機構が作動し、各当接部材をシート材の外周部分に当接した位置からシート材の面方向にかつ互いに離間する外方へ移動させ、シート材を伸展させる。そのため、吸着板が貼付位置においてラベルを貼付するときは、伸展部によってシート材が伸展させられシワが伸ばされているので、ラベルがシワが伸ばされた平坦なラベル貼付面に貼付されることになり、そのため、ラベル貼付不良がほとんどなくなり、確実にラベルが貼付される。
この場合、当接部材は吸着板の周囲に設けられ、連動機構が吸着板の駆動部に連動して作動させられるので、当接部材専用の駆動部を設けなくても良く、それだけ、スペース的に有利になるので、シワ伸ばし機能を容易に搭載することができるようになり、ラベルを貼付する際自動的にシワを伸ばしてラベル貼付を確実に行うことができるようになる。
【0008】
また、必要に応じ、上記駆動部を、機台に固定されるシリンダと該シリンダに対して進退動するとともに先端に上記吸着板が取り付けられるピストンとから構成され該ピストンの後退時に上記吸着板を吸着位置に位置決めし進出時に上記吸着板を貼付位置に位置決めするシリンダ装置で構成し、上記連動機構を、上記吸着板の外側に配置されるとともに上記各当接部材を進退移動可能に支持する支持部材と、上記吸着板に支承されるとともに該支承された支承位置から離間移動可能なベース部材と、上記吸着板に設けられ上記支承位置から離間移動するベース部材をガイドするガイド機構と、上記当接部材と上記ベース部材との間に設けられ上記当接部材が上記シート材に当接してから上記シリンダ装置のピストンが進出した際上記当接部材を外方へ進出移動させながら上記ベース部材を上記支承位置から離間移動させ上記シリンダ装置のピストンが後退した際上記当接部材を後退移動させながら上記ベース部材を上記吸着板への支承位置側に移動させるリンク機構と、上記ベース部材を上記吸着板への支承位置側に付勢するスプリングとを備えた構成としている。
これにより、シリンダ装置とリンク機構の組み合わせにより、伸展部を作動させる構造なので、伸展部の組付けが容易に行われるとともに、作動が確実になり、ラベルを貼付する際自動的にシワを伸ばしてラベル貼付を確実に行うことができるようになる。また、スプリングの付勢力によりシート材を押えながらシート材に張力付与が行われるので、シート材の伸展が無理なく円滑に行われるとともに、押えも確実になる。
【0009】
更に、必要に応じ、上記支持部材を、上記吸着板を囲繞する枠状に形成し、該支持部材の上記各当接部材に対応する位置に夫々設けられ該当接部材を該支持部材に対して進退移動可能にガイドするガイドピンを備え、該各当接部材に上記ガイドピンを摺動可能な貫通孔を形成した構成としている。当接部材をガイドピンによりガイドして移動させるので、移動が確実かつ円滑に行われ、シート材の伸展を確実に行うことができる。
【0010】
更にまた、必要に応じ、上記当接部材を、上記吸着板の外側に偶数個設け、互いに隣接する一対の当接部材のグループを複数組設け、該各当接部材のグループにおいて、一対の当接部材を互いに近接離間可能にガイドするガイドシャフトを設け、該一対の当接部材に上記ガイドシャフトを摺動可能な挿通孔を設け、上記リンク機構を、一端が上記ベース部材に回動自在に軸支され他端が上記ガイドシャフトに軸支されるアームを備えて構成している。当接部材をガイドシャフトによってガイドして移動させるので、移動がより一層確実かつ円滑に行われ、シート材の伸展をより一層確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のラベル貼付装置によれば、シート材に当接する当接部材を吸着板の周囲に設け、連動機構により吸着板の駆動部に連動して当接部材を作動し、シート材を伸展するので、当接部材専用の駆動部を設けなくても良く、それだけ、スペース的に有利になるので、シワ伸ばし機能を容易に搭載することができるようになり、ラベルを貼付する際自動的にシワを伸ばしてラベル貼付を確実に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係るラベル貼付装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るラベル貼付装置をシート材を伸展させラベルを貼付するときの状態で示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るラベル貼付装置をラベル吸着時の状態で示す正面である。
【図4】本発明の実施の形態に係るラベル貼付装置をシート材を伸展させラベルを貼付するときの状態で示す正面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るラベル貼付装置において伸展部を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るラベル貼付装置において伸展部をシート材を伸展させるときの状態で示す斜視図である。
【図7】従来のシート材を伸展させる装置の原理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係るラベル貼付装置について詳細に説明する。
図1乃至図6には、本発明の実施の形態に係るラベル貼付装置を示している。この実施の形態に係るラベル貼付装置は、コンベアCで搬送されてくる物品WにラベルLを貼付する。このラベル貼付装置がラベルLを貼付する物品Wは、例えば、可撓性の樹脂製シート材Sそのもの、あるいは、シーツや紙等の内容物を薄い可撓性の樹脂製シート材Sで被覆したものであって、このシート材Sでラベル貼付面Saが構成される物品Wである。
【0014】
本発明の実施の形態に係るラベル貼付装置は、機台1と、ラベルLを仮着した帯状台紙D(図3)を図示外の供給リールから台紙搬送経路に供給するラベル供給部2と、図3に示すように、機台1に設けられ台紙搬送経路に供給された帯状台紙Dに仮着されたラベルLに印字するサーマル型の印字ヘッド3a及びローラ状のプラテン部材3bからなる印字部3と、機台1の印字部の下流側に設けられ帯状台紙Dを折り返してこの帯状台紙Dに仮着されたラベルLを剥離する剥離部材4とを備えている。剥離部材4でラベルLが剥離された帯状台紙Dは図示外の巻取リールに巻き取られる。
【0015】
また、実施の形態に係るラベル貼付装置は、図1乃至図4に示すように、剥離部材4のラベルLの下流側近傍に設けられ、ラベル供給部2から供給されたラベルLを吸着する吸着面を有した吸着板10を備えている。吸着板10は、剥離部材4で剥離されたラベルLをその表側から吸着面10aに吸着する吸着位置X(図1,図3)及びこの吸着したラベルLをエア噴射により物品Wに貼付する貼付位置Y(図2,図4)に駆動部11により移動させられる。
吸着板10を移動させる駆動部11は、エアシリンダ装置12で構成される。エアシリンダ装置12は、機台1に固定されるシリンダ13と、シリンダ13に対して進退動するとともに先端に吸着板10の裏面10bが取り付けられるピストン14とから構成され、ピストン14の後退時に吸着板10を吸着位置Xに位置決めし、ピストン14の進出時に吸着板10を貼付位置Yに位置決めする。
【0016】
更に、実施の形態に係るラベル貼付装置は、図1乃至図6に示すように、吸着板10が貼付位置YでラベルLを物品Wに貼付する前にシート材Sを伸展させる伸展部Tを備えている。
伸展部Tは、吸着板10に付帯させられている。伸展部Tは、吸着板10の周囲に所要の間隔で設けられ吸着板10が吸着位置Xから貼付位置Yに至る途中においてシート材Sの外周部分に当接する複数の当接部材20を備えている。実施の形態では、当接部材20は、吸着板10の外側に偶数個(実施の形態では4つ)設けられている。当接部材20はゴム等で円柱状に形成され下面がシート材Sに当接して摩擦的に接合する当接体21と、各当接体21が固定される可動ブロック22とからなる。
【0017】
また、伸展部Tは、上記の駆動部11に連動して作動させられ各当接部材20をシート材Sの外周部分に当接した位置からシート材Sの面方向にかつ互いに離間する外方へ移動させてシート材Sを伸展させる連動機構30を備えている。この連動機構30は吸着板10の移動により作動させられるように構成されている。
詳しくは、連動機構30は、吸着板10の外側に配置されるとともに各当接部材20を進退移動可能に支持する支持部材31を備えている。支持部材31は、吸着板10を囲繞する矩形枠状に形成されており、コーナ部に位置する4つの固定ブロック32と、隣接する固定ブロック32を連結する連結シャフト33とから構成されている。
【0018】
そして、支持部材31の各固定ブロック32の外側に、当接部材20が取り付けられる可動ブロック22が位置し、この支持部材31の各当接部材20に対応する位置にある固定ブロック32には、夫々、当接部材20を支持部材31に対して支持部材31の略対角線方向に進退移動可能にガイドするガイドピン34が突設されている。各固定ブロック32には、ガイドピン34を摺動可能な貫通孔35が形成されており、この貫通孔35にガイドピン34を挿通することにより、各当接部材20は支持部材31の略対角線方向に進退移動可能に支持される。
【0019】
また、実施の形態では、互いに隣接する一対の当接部材20のグループを複数組(2組)設け、各当接部材20のグループにおいて、一対の当接部材20を互いに近接離間可能にガイドするガイドシャフト36を設け、一対の当接部材20の固定ブロック32にガイドシャフト36を摺動可能な挿通孔37を設け、この挿通孔37にガイドシャフト36を挿通することにより、各当接部材20は互いに近接離間可能になっており、ガイドシャフト36にガイドされて移動しうるようになっている。
【0020】
更にまた、連動機構30は、吸着板10に支承されるとともに支承された支承位置(図1,図3)から離間移動可能なベース部材40を備えている。ベース部材40は、中央にシリンダ装置12のピストン14が移動可能に挿通される開口41を有した矩形板状に形成されている。また、連動機構30は、吸着板10に設けられ支承位置から離間移動するベース部材40をガイドするガイド機構42を備えている。ガイド機構42は、吸着板10の裏面に立設された4本のガイドロッド43と、ベース部材40に形成されガイドロッド43に摺動可能に挿通される4つのガイド孔44とから構成されている。
【0021】
更に、連動機構30は、吸着板10の移動により作動させられるリンク機構50を備えて構成されている。このリンク機構50は、当接部材20とベース部材40との間に設けられ、当接部材20がシート材Sに当接してからシリンダ装置12のピストン14が進出した際、当接部材20を外方へ進出移動させながらベース部材40を支承位置から離間移動させ、シリンダ装置12のピストン14が後退した際当接部材20を後退移動させながらベース部材40を吸着板10への支承位置側に移動させる。詳しくは、リンク機構50は、上記の当接部材20のグループ毎に設けられ、一端がベース部材40に立設した支柱51に回動自在に軸支され、他端がガイドシャフト36に軸支されるアーム52を備えて構成されている。アーム52は、上記の支持部材31の固定ブロック32の間隔に対応して配設された一対のアーム単体53を備え、このアーム単体53を連結杆54で連結して構成されている。支柱51は、支持部材31の固定ブロック32に対応して、ベース部材40の各コーナ部に4つ立設されており、上記の当接部材20のグループに対応する一対の支柱51間に軸55を架設し、この軸55の両端にアーム単体53の一端を軸支し、ガイドシャフト36にアーム単体53の他端を軸支している。
【0022】
そしてまた、連動機構30は、ベース部材40を吸着板10への支承位置側に付勢する4つのコイルスプリング56を備えて構成されている。上記の4つの各ガイドロッド43の先端には大径の頭部43aが形成されており、各コイルスプリング56は、各ガイドロッド43にそれぞれ挿通され、ガイドロッド43の頭部43aとベース部材40の上面40aとの間に介装されている。
【0023】
図3及び図4中、57はベース部材40に設けられスプリング56の付勢力により吸着板10の裏面側に押圧されたベース部材40が吸着板10に支承されて停止させられる停止ストッパであり、ベース部材40の支承高さ位置を調整し得るようにボルト及びナットで構成されている。
また、図1乃至図3中、58はシリンダ装置12のシリンダ13に垂設され、下端に支持部材31の連結シャフト33が当接して支持部材31の上昇位置を規制する規制ストッパである。
【0024】
従って、本発明の実施の形態に係るラベル貼付装置によれば、図1,図3及び図5に示すように、帯状台紙Dがラベル供給部2から供給され、印字部4においてラベルLに所要の印字が行なわれ、剥離部材4側に搬送される。搬送された帯状台紙Dが剥離部材4で折り返されると、帯状台紙Dに仮着したラベルLが剥離して、吸着位置Xに位置した吸着板10にその表側から吸着される。
その後、図2,図4及び図6に示すように、駆動部11であるエアシリンダ装置12が作動し、シリンダ13からピストン14が進出すると、吸着板10は、吸着位置Xから貼付位置Yに進出させられる。
【0025】
この吸着板10が吸着位置Xから貼付位置Yに至る途中においては、図2,図4,図5及び図6に示すように、先ず、伸展部Tの複数の当接部材20がシート材Sの外周部分に当接する。この状態で、更に駆動部11であるエアシリンダ装置12のピストン14が進出すると、当接部材20がリンク機構50を介してベース部材40に連係し、ベース部材40はガイドロッド43を介して吸着板10に連係しているので、ピストン14の進出により吸着板10が降下すると、当接部材20を外方へ進出移動させながらベース部材40をスプリング56の付勢力に抗して支承位置から離間移動させる。これにより、当接部材20によりシート材Sにほぼ放射方向の張力が作用することから、シート材Sが伸展する。
【0026】
この場合、当接部材20は、固定ブロック32に設けたガイドピン34にガイドされて移動するとともに、ガイドシャフト36にガイドされて移動するので、移動が確実かつ円滑に行われ、シート材Sの伸展を確実に行うことができる。
また、この場合、スプリング56の付勢力によりシート材Sを押えながらシート材Sに張力付与が行われるので、シート材Sの伸展が無理なく円滑に行われるとともに、押えも確実になる。
【0027】
そして、更に駆動部11であるエアシリンダ装置12のピストン14が進出して吸着板10が貼付位置Yに至ると、図4に示すように、吸着板10からエアが噴射されてラベルLがシート材Sのラベル貼付面Saに吹き付けられ、これにより、ラベルLがラベル貼付面Saに貼付される。この場合、シート材Sは、伸展部Tの当接部材20によって、伸展させられシワが伸ばされているので、ラベルLはシワが伸ばされた平坦なラベル貼付面Saに貼付されることになり、そのため、ラベルLの貼付不良がほとんどなくなり、確実にラベルLが貼付される。
【0028】
吸着板10がラベルLを物品Wに貼付したならば、駆動部11であるエアシリンダ装置12が作動し、ピストン14が後退する。これにより、図1,図3及び図5に示すように、吸着板10は、貼付位置Yから吸着位置Xに復帰する。また、伸展部Tにおいても、当接部材20がリンク機構50を介してベース部材40に連係し、ベース部材40はガイドロッド43を介して吸着板10に連係しているので、ピストン14の後退により吸着板10が上昇すると、当接部材20が内側へ移動するとともにベース部材40がスプリング56の付勢力により支承位置に至り、元位置に復帰する。このようにして、ラベルLが貼付される。
【0029】
この実施例に係るラベル貼付装置によれば、伸展部Tにおいて当接部材20は吸着板10の周囲に設けられ、連動機構30が吸着板10の駆動部11に連動して作動させられるので、当接部材20専用の駆動部11を設けなくても良く、それだけ、スペース的に有利になるので、シワ伸ばし機能を容易に搭載することができるようになり、特に、伸展部Tを吸着板10に付帯させ、吸着板10の移動により連動機構30を作動させるので、駆動部11との連携も容易になり、それだけ、伸展部Tの組付けが容易に行われ、ラベルLを貼付する際自動的にシワを伸ばしてラベルL貼付を確実に行うことができるようになる。そしてまた、伸展部Tは、吸着板10の移動により作動させられるリンク機構50により、連動機構30を作動させる構造なので、この点でも伸展部Tの組付けが容易に行われるとともに、作動が確実になり、ラベルLを貼付する際自動的にシワを伸ばしてラベルL貼付を確実に行うことができるようになる。
【0030】
尚、上記実施の形態の伸展部Tにおいては、当接部材20を4つ設けて構成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、5つ以上設けて良いことは勿論である。また、上記実施の形態においては、本発明を、エアを噴射してラベルを物品に吹き付け貼付するタイプの吸着板に適用したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、ラベルを物品に押し付けて貼付するタイプの吸着板に適用しても良く、適宜変更して差支えない。
【符号の説明】
【0031】
L ラベル
D 帯状台紙
W 物品
S シート材
Sa ラベル貼付面
C コンベア
1 機台
10 吸着板
X 吸着位置
Y 貼付位置
11 駆動部
12 エアシリンダ装置
13 シリンダ
14 ピストン
T 伸展部
20 当接部材
21 当接体
22 可動ブロック
30 連動機構
31 支持部材
32 固定ブロック
33 連結シャフト
34 ガイドピン
36 ガイドシャフト
40 ベース部材
42 ガイド機構
43 ガイドロッド
50 リンク機構
51 支柱
52 アーム
55 軸
56 コイルスプリング
57 停止ストッパ
58 規制ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル貼付面が可撓性のシート材で構成される物品にラベルを貼付するラベル貼付装置であって、ラベル供給部から供給されたラベルを吸着する吸着位置及び該吸着したラベルをシート材に貼付する貼付位置の2位置に移動させられる吸着板と、該吸着板を移動させる駆動部とを備えたラベル貼付装置において、
上記吸着板が貼付位置でラベルを物品に貼付する前にシート材を伸展させる伸展部を備え、
該伸展部を、上記吸着板の周囲に所要の間隔で設けられ該吸着板が吸着位置から貼付位置に至る途中において上記シート材の外周部分に当接する複数の当接部材と、
上記駆動部に連動して作動させられ上記各当接部材を上記シート材の外周部分に当接した位置から該シート材の面方向にかつ互いに離間する外方へ移動させて該シート材を伸展させる連動機構とを備えて構成したことを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項2】
上記駆動部を、機台に固定されるシリンダと該シリンダに対して進退動するとともに先端に上記吸着板が取り付けられるピストンとから構成され該ピストンの後退時に上記吸着板を吸着位置に位置決めし進出時に上記吸着板を貼付位置に位置決めするシリンダ装置で構成し、
上記連動機構を、上記吸着板の外側に配置されるとともに上記各当接部材を進退移動可能に支持する支持部材と、上記吸着板に支承されるとともに該支承された支承位置から離間移動可能なベース部材と、上記吸着板に設けられ上記支承位置から離間移動するベース部材をガイドするガイド機構と、上記当接部材と上記ベース部材との間に設けられ上記当接部材が上記シート材に当接してから上記シリンダ装置のピストンが進出した際上記当接部材を外方へ進出移動させながら上記ベース部材を上記支承位置から離間移動させ上記シリンダ装置のピストンが後退した際上記当接部材を後退移動させながら上記ベース部材を上記吸着板への支承位置側に移動させるリンク機構と、上記ベース部材を上記吸着板への支承位置側に付勢するスプリングとを備えたことを特徴とする請求項1記載のラベル貼付装置。
【請求項3】
上記支持部材を、上記吸着板を囲繞する枠状に形成し、該支持部材の上記各当接部材に対応する位置に夫々設けられ該当接部材を該支持部材に対して進退移動可能にガイドするガイドピンを備え、該各当接部材に上記ガイドピンを摺動可能な貫通孔を形成したことを特徴とする請求項2記載のラベル貼付装置。
【請求項4】
上記当接部材を、上記吸着板の外側に偶数個設け、互いに隣接する一対の当接部材のグループを複数組設け、該各当接部材のグループにおいて、一対の当接部材を互いに近接離間可能にガイドするガイドシャフトを設け、該一対の当接部材に上記ガイドシャフトを摺動可能な挿通孔を設け、
上記リンク機構を、一端が上記ベース部材に回動自在に軸支され他端が上記ガイドシャフトに軸支されるアームを備えて構成したことを特徴とする請求項3記載のラベル貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−202250(P2010−202250A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49404(P2009−49404)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】