説明

ラミネート建材の製造方法

【課題】製造効率がよく安定した品質のラミネート建材が得られるラミネート建材の製造方法を提供する。
【解決手段】一方端部から他方端部へ向かって凹溝20が形成されている略矩形状の板状基材2の表面2aに、前記凹溝の形成方向とは直交する方向のいずれか一方端部から他方端部へ前記凹溝の一方の側面21、底面22、他方の側面21を経て化粧シート3を貼着しラミネート基材10を得た後、該ラミネート基材の裏面2d側から前記凹溝の底面部分24を前記凹溝の底面角部23から裏面にかけて、斜めの面取り形状になるよう切断手段4によって切断し、複数のラミネート建材1を得ることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート建材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、板状建材の少なくとも表面とその両端面を化粧シートで包むように貼着して形成されたラミネート建材が知られており、例えば巾木、廻り縁、腰板、家具材などに用いられる。
下記特許文献1には、巾木とその製造方法が開示されている。
ここには、巾木素材の下面にクッション層を固着し、その表面に表面化粧外皮(化粧シート)を設けてなる巾木が記載されており、その製造方法は以下のとおりである。
まず、型内に2個の巾木素材を対向凹所を介して配置し、この対向凹所に弾性を有する成形材料を充填して硬化させる。そしてその後、2個の巾木素材の表面と成形材料の表面とに表面化粧外皮を貼着し、成形材料により形成されたクッション材の中央部で切断することにより、クッション層を有する2個の巾木を形成する。
上述によれば、クッション層を有する巾木を2個同時に製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−190567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなラミネート建材を製造する方法としては、上述の他、板状基材の両端面(木口面)まで化粧シートを貼着させるために、一枚の板状基材に対して化粧シートを一枚ずつ製造ラインへ投入して、板状基材を化粧シートで巻き込んで製造する方法がある。しかしながらこれでは、一枚ずつしか製造できず、製造効率に問題がある。
そこで、一枚の板状基材の表面中央に凹溝を形成し、化粧シートを貼着した後、刃物で2枚に分割する方法が考えられる。しかしながらこの場合は、刃物で精度よく切断しなければ、端面に貼着された化粧シートを切削したり傷つけてしまうため、品質を安定させることが難しい点が問題となる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、製造効率がよく安定した品質のラミネート建材が得られるラミネート建材の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るラミネート建材の製造方法は、一方端部から他方端部へ向かって凹溝が形成されている略矩形状の板状基材の表面に、前記凹溝の形成方向とは直交する方向のいずれか一方端部から他方端部へ前記凹溝の一方の側面、底面、他方の側面を経て化粧シートを貼着しラミネート基材を得た後、該ラミネート基材の裏面側から前記凹溝の底面部分を前記凹溝の底面角部から裏面にかけて、斜めの面取り形状になるよう切断手段によって切断し、複数のラミネート建材を得ることを特徴とする。
【0007】
本発明において、前記切断手段は、先側が尖った側面視して略V字型の刃物としてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るラミネート建材の製造方法によれば、製造効率がよく安定した品質のラミネート建材が得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係るラミネート建材の製造方法を説明するために製造工程を示した模式的側面図である。
【図2】(a)及び(b)は、同ラミネート建材の製造方法を説明するために製造工程を示した模式的側面図である。
【図3】同ラミネート建材の製造方法によって製造したラミネート建材を巾木に用いた例を示した模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係るラミネート建材の製造方法は、以下のとおりである。
まず一方端部から他方端部へ向かって凹溝20が形成されている略矩形状の板状基材2を用意する。板状建材2の表面2aに、凹溝20の形成方向とは直交する方向のいずれか一方端部(以下、一方端面2b)から他方端部(以下、他方端面2c)へ凹溝20の一方の側面21、底面22、他方の側面21を経て化粧シート3を貼着しラミネート基材10を得る。その後、ラミネート基材10の裏面2d側から凹溝20の底面部分24を凹溝20の底面角部23から裏面2dにかけて、斜めの面取り形状となるよう切断手段4によって切断し、複数のラミネート建材1を得る。
以下、詳しく説明する。
【0011】
ラミネート建材1は、平板状の略直方体形状とされ、板状基材2と、板状基材2の外表面に貼着された化粧シート3とから構成されている。ラミネート建材1は、巾木、回り縁、腰板、家具材などとして使用され、例えば図3に示すように壁面5の最下部における床面6と接する部分に帯状に取り付けられる巾木として好適に用いられる。
【0012】
板状基材2は、板状の木質系材料からなり、この板状芯材1に適用される木質系材料としては、どのようなものでもよく、無垢の木材を板状に加工したものや、集成材や合板、LVL(単板積層材)、パーティクルボード、或いは、インシュレーションボードやMDF等の木質繊維板などを板状に加工したものとしてもよい。
板状基材2の表面2a側中央には、板状基材2の一方端部から他方端部へ向かって直線的に切削された凹溝20が形成されている。また板状基材2の表面2a側角部は、図例のように面取り加工されたものとしてもよい。
板状基材2の表面2a、一方端面2b及び他方端面2cには、化粧シート3が貼着され、化粧シート3としては、オレフィン系樹脂などの合成樹脂系材料をシート状(フィルム状)に加工したもの等が用いられ、その模様は木目に限らずどのようなものでもよい。
【0013】
次に図1、図2を参照しながら、ラミネート建材1の製造方法についてさらに説明する。
図1(a)に示すように凹溝20が形成された板状基材2を用意する。次いで化粧シート3を凹溝20の形成方向とは直交する方向のいずれか一方端面2bから他方端面2cへ貼着しラミネート基材10を得る。
このとき、板状基材2の表面2aはもちろん、凹溝20の一方の側面21、底面22、他方の側面21に均一に強固に化粧シート3を貼着するよう留意する。具体的には、図1(b)に示すように凹溝20の両側面21,21、底面22及び底面角部23に剥がれて化粧シート3が浮いた箇所がないようしっかりと貼着する。このとき、コテやローラなどの工具を用いて浮きのないように貼着させてもよい。後にラミネート基材10を小割りした際に凹溝20の両側面21,21(図2(b)参照)が、ラミネート建材1のそれぞれの側面となり、化粧シート3が浮いた箇所があると、そこから剥がれてしまうおそれが生じるからである。またこのとき、化粧シート3の巻き始め及び巻き終わりの端部は、板状基材2の裏面2d側の端部を巻き込むように貼着することが望ましい。図3に示すように出来上がったラミネート建材1を壁面5に沿わせて設置する際に、板状基材2が化粧シート3で覆われ見栄えが美しく仕上がるからである。
【0014】
化粧シート3が強固に貼着されたラミネート基材10を得たら、図2(a)に示すように切断手段4の刃先となる先側4aをラミネート基材10の裏面2d側から当てる。そして凹溝20の底面部分24(図1(b)参照)を凹溝20の底面角部23から裏面2dにかけて、斜めの面取り形状になるよう切断手段4によって切断する。すなわち、切断手段4によって底面部分24が切断され、切断された部分を除去すると、凹溝20の両側面21,21から裏面2dにかけての角部が斜めの面取り形状に形成される。したがって、このとき切断され除去される底面部分24は、図1(b)に示すように側面視して台形状の切断片となる。
ここで用いられる切断手段4は、平刃でもどのようなものでもよく、図例のものは切断手段4として、先側4aが尖った側面視して略V字型の刃物を用いた例を示している。
こうしてラミネート建材1の裏面2d側から表面2a側に向けて刃を入れ、ラミネート基材10を2分割に小割りすることにより、図2(b)に示すように2枚のラミネート建材1を得ることができる。
【0015】
以上によれば、一枚のラミネート基材10から一度に2枚のラミネート建材1,1を製造することができるので、ラミネート建材1の製造効率を向上させることができる。しかも、製造において、裏面2d側から刃を当てて切断していくので、凹溝20の側面21,21に貼着された化粧シート3を傷つけることなく小割りでき、安定した品質のラミネート建材1を得ることができる。すなわち、上述の製造方法によれば、ラミネート基材10の裏面2d側から凹溝20の底面部分24を切断手段4によって切断するので、凹溝20の側面21,21に刃が当たることがなく、刃先で傷つけてしまうおそれがなくなる。また切断時に、加工精度が悪く上下左右にある程度ずれても、凹溝20の側面21,21に貼着された化粧シート3が破れるおそれが少ない。
さらに上述のように切断手段4として側面視して略V字型のものを用いれば、一度に2箇所を切断していくことができるので、より一層製造効率を向上させることができる。また、板状基材2がMDF単体の場合は、強度等を考慮すると図例のものが有効となる。
【0016】
なお、板状建材2の形状、構成は図例に限定されるものではない。例えば板状建材2の表面2aに装飾のための溝が複数形成されているものとしてもよいし、板状建材2の表面2aの角部も面取りされていなくてもよいし、丸みを帯びた形状としてもよい。また巾木の例も図例のように巾木が壁面5より出る出巾木に限定されず、壁面5と面一とされた面巾木、壁面5より内方に配置された入巾木としてもよい。また化粧シート3の板状基材2への貼着方法についても限定されず、接着剤を介して板状基材2に強固に貼着される方法であればよい。
【0017】
さらに上述では、化粧シート3を板状基材2の両端面2b,2cに巻き込む例を説明したが、本実施形態の製造方法はこれに限定されず、化粧シート3は少なくとも板状基材2の表面2aに貼着されるものに適用することができる。
したがって、ここで、図示はしていないが、板状基材2の端面2b,2c、裏面2dまで化粧シート3で巻き込む必要がないものに関しては、凹溝20が形成された板状基材2を複数枚並べておき、表面2aに化粧シート3を同時に貼着するようにしてもよい。その後の切断工程は上述と同様である。この場合は、化粧シート3の貼着工程を簡略化することができ、より一層製造効率の向上を図ることができる。この場合も上述と同様に板状基材2の表面2aはもちろん、凹溝20の一方の側面21、底面22、他方の側面21に均一に強固に化粧シート3を貼着するよう留意する。
【符号の説明】
【0018】
1 ラミネート建材
10 ラミネート基材
2 板状基材
20 凹溝
21 側面
22 底面
23 底面角部
24 底面部分
2a 表面
2b,2c 端面
2d 裏面
3 化粧シート
4 切断手段
4a 先側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方端部から他方端部へ向かって凹溝が形成されている略矩形状の板状基材の表面に、前記凹溝の形成方向とは直交する方向のいずれか一方端部から他方端部へ前記凹溝の一方の側面、底面、他方の側面を経て化粧シートを貼着しラミネート基材を得た後、該ラミネート基材の裏面側から前記凹溝の底面部分を前記凹溝の底面角部から裏面にかけて、斜めの面取り形状になるよう切断手段によって切断し、複数のラミネート建材を得ることを特徴とするラミネート建材の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記切断手段は、先側が尖った側面視して略V字型の刃物としたことを特徴とするラミネート建材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−86523(P2012−86523A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237548(P2010−237548)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】