説明

ラミネート式電池の外装材、ラミネート式電池の外装材製造方法、ラミネート式電池の製造方法、及びラミネート式電池

【課題】従来構成は、ステンレス鋼板を基材とする外装材を用い、ヒートシール工程時の圧力により外装材の板面をタブの形状に沿うように変形させる構成であるので、外装材とタブとの間に隙間が生じ、電池ケースの密封性を確保することが難しい。
【解決手段】本発明によるラミネート式電池の外装材では、タブ3を挟み込む前に、外装材に挟み込まれる位置でのタブ3の断面形状に適合する段差加工部21が予め形成されている。段差加工部21には、タブの幅方向に沿って延在される第1段差端面部と、第1段差端面部の端部からタブの厚み方向に沿って延在される第1段差側面部と、第1段差側面部の端部と接合部の端部とを接続する接続部とが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート式電池の外装材、ラミネート式電池の外装材製造方法、ラミネート式電池の製造方法、及びラミネート式電池に関し、特に、タブを挟み込む前に外装材に挟み込まれる位置でのタブの断面形状に適合する段差加工部を外装材に予め形成するようにすることで、外装材とタブとの間に隙間が生じることを回避でき、より確実に電池ケースの密封性を確保できるようにするための新規な改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばリチウム電池等の二次電池の形態の1つとして、電池要素を外装材(ラミネートシート)により封止するラミネート式電池が注目されている。この種のラミネート式電池の構成としては、例えば下記の特許文献1,2等に記載されたものを挙げることができる。
【0003】
特許文献1には、樹脂層が設けられた一対のアルミニウムシートを外装材として用い、電池要素に接続されたタブ(正電極及び負電極の引出端子)を外装材間に配置した状態で、外装材を押さえつつ外装材に熱を加える(ヒートシール工程を行う)ことにより、各外装材の樹脂層を互いに融着させるラミネート式電池の製造方法が開示されている。しかしながら、外装材の基材としてアルミニウムシートを用いた場合、アルミニウムが軟質の金属であるために、強度が不足し、長期間の使用に耐えることが難しいという問題点がある。
【0004】
一方で、特許文献2には、ステンレス鋼板を基材とする外装材を用いて、上述の特許文献1と同様の方法によりラミネート式電池を製造する方法が開示されている。この特許文献2の構成のように、ステンレス鋼板を基材とする外装材を用いることで、強度を向上でき、長期間の使用に耐え得るラミネート式電池を構成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−190283号公報
【特許文献2】特開2006−196217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1のようにアルミニウムシートを基材とする外装材を用いる場合には、アルミニウムが軟質の金属であるため、ヒートシール工程時の圧力により外装材をタブの形状になじませることができ、電池ケースの密封性を確保できる。しかしながら、特許文献2のようにステンレス鋼を基材とする外装材を用いる場合には、ステンレス鋼が硬質の金属であるために、ヒートシール工程時の圧力だけでは外装材の形状を凍結できず、スプリングバックにより外装材とタブとの間に隙間が生じてしまう。
【0007】
すなわち、上述の特許文献2に記載された従来構成は、ステンレス鋼板を基材とする外装材を用い、ヒートシール工程時の圧力により外装材の板面をタブの形状に沿うように変形させる構成であるので、外装材とタブとの間に隙間が生じ、電池ケースの密封性を確保することが難しい。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、外装材とタブとの間に隙間が生じることを回避でき、より確実に電池ケースの密封性を確保できるラミネート式電池の外装材、ラミネート式電池の外装材製造方法、ラミネート式電池の製造方法、及びラミネート式電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るラミネート式電池の外装材は、樹脂層が設けられたステンレス鋼板からなるとともに、電池要素を収容する電池ケースを構成する2枚の外装材のうちの一方の外装材であって、電池要素に接続されたタブを他方の外装材との間に配置した状態で各々の樹脂層が互いに融着されることで電池ケースを形成する外装材であり、タブを挟み込む前に、2枚の外装材に挟み込まれる位置でのタブの断面形状に適合する段差加工部が予め形成されている。
【0010】
また、タブは、外装材に挟み込まれる位置において、タブの幅方向に沿って延在された第1タブ端面と、第1タブ端面の端部からタブの厚み方向に沿って延在された第1タブ側面と、第1タブ側面の端部からタブの幅方向に沿って延在された第2タブ端面と、第2タブ端面の端部からタブの厚み方向に沿って延在された第2タブ側面とを有しており、段差加工部には、段差加工部がタブに重ねられた際に、第1タブ端面に対応するようにタブの幅方向に沿って延在される第1段差端面部と、段差加工部がタブに重ねられた際に、第1タブ側面に対応するように第1段差端面部の端部からタブの厚み方向に沿って延在される第1段差側面部と、段差加工部がタブに重ねられた際に、第1段差側面部の端部からタブの幅方向及び厚み方向に沿って離れた位置であって、タブの幅方向に沿う第2タブ側面の外方位置からタブの幅方向に沿って延在される接合部の端部と第1段差側面部の端部とを接続する接続部とが設けられている。
また、接続部には、段差加工部がタブに重ねられた際に、第2タブ端面に対応するように第1段差側面部の端部からタブの幅方向に沿って延在される第2段差端面部と、一端が第2段差端面部の端部に接続されるとともに他端が接合部の端部に接続され、段差加工部がタブに重ねられた際に、第2タブ側面に対応するようにタブの厚み方向に沿って延在される第3段差側面部とが設けられている。
また、接続部には、段差加工部がタブに重ねられた際に、第2タブ端面に対応するように第1段差側面部の端部からタブの幅方向に沿って延在される第2段差端面部と、第2段差端面部の端部と接合部の端部とを接続する傾斜面からなる傾斜部とが設けられている。
また、接続部は、接合部の端部と第1段差側面部の端部とを接続する傾斜面からなる傾斜部である。
また、第1段差側面部は、断面円弧状に形成されている。
【0011】
本発明に係るラミネート式電池の外装材製造方法は、段差加工部の形成に用いるパンチ及びダイには、第1段差側面部に対応するパンチ側壁面とダイ側壁面とが設けられており、パンチ側壁面とダイ側壁面との間のクリアランスを外装材の板厚よりも広くすることにより、第1段差側面部が断面円弧状に形成される。
【0012】
本発明に係るラミネート式電池の製造方法は、樹脂層が設けられた一対のステンレス鋼板からなる第1及び第2外装材の間に、電池要素に接続されたタブを配置した状態で、第1及び第2外装材を押さえつつ第1及び第2外装材に熱を加えるヒートシール工程を実施することで、第1及び第2外装材間にタブを挟み込んだ状態で第1及び第2外装材の樹脂層を互いに融着させるラミネート式電池の製造方法であって、第1及び第2外装材間にタブを挟み込む前に、第1及び第2外装材間に挟まれる位置でのタブの断面形状に適合する段差加工部を第1及び第2外装材の少なくとも一方に予め形成する。
【0013】
本発明に係るラミネート式電池は、電池要素を格納する電池ケースと、樹脂層が設けられた一対のステンレス鋼板からなり、樹脂層が互いに熱融着されることで電池ケースを形成する第1及び第2外装材と、電池要素に接続されるとともに、第1及び第2外装材間から電池ケースの外部へと引き出されたタブとを備え、第1及び第2外装材の少なくとも一方には、タブを挟み込む前に、第1及び第2外装材間に挟まれる位置でのタブの断面形状に適合する段差加工部が予め形成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のラミネート式電池の外装材、ラミネート式電池の製造方法、及びラミネート式電池によれば、タブを挟み込む前に、外装材に挟み込まれる位置でのタブの断面形状に適合する段差加工部が外装材に予め形成されているので、より確実に段差加工部の形状を凍結でき、ヒートシール工程を実施した後にスプリングバックが生じることを回避できる。これにより、外装材とタブとの間に隙間が生じることを回避でき、より確実に電池ケースの密封性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1によるラミネート式電池を示す斜視図である。
【図2】図1のラミネート式電池の分解斜視図である。
【図3】図2の第1及び第2外装材の断面図である。
【図4】図2のタブを示す斜視図である。
【図5】図4の線V−Vに沿う断面図である。
【図6】図2の段差加工部の断面図である。
【図7】図1のラミネート式電池を製造するためのラミネート式電池の製造方法を示すフローチャートである。
【図8】図6の段差加工部が形成された第1及び第2外装材を用いた場合の段差加工部の周辺の断面図である。
【図9】図6の段差加工部とは異なる形状の段差加工部が形成された場合の比較例1を示す説明図である。
【図10】図6の段差加工部とは異なる形状の段差加工部が形成された場合の比較例2を示す説明図である。
【図11】図8の第1及び第2外装材の変形例を示す説明図である。
【図12】本発明の実施の形態2によるラミネート式電池の外装材に設けられた段差加工部の断面図である。
【図13】図12の段差加工部が形成された第1及び第2外装材を用いた場合の段差加工部の周辺の断面図である。
【図14】図12の段差加工部を形成するためのパンチ及びダイの断面図である。
【図15】本発明の実施の形態3によるラミネート式電池の外装材に設けられた段差加工部の断面図である。
【図16】図15の段差加工部が形成された第1及び第2外装材を用いた場合の段差加工部の周辺の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1によるラミネート式電池を示す斜視図である。図において、電池ケース2の内部には電池要素1が格納されている。周知のように、電池要素1は、正電極、負電極、及びセパレータの積層体であり、電解液に浸されているものである。電池要素1には、一対のタブ3(正電極及び負電極の引出端子)が接続されている。タブ3は、電池ケース2の外部へと引き出されており、図示しない外部電源又は外部負荷に接続される。電池ケース2には、複数の取付孔4が設けられている。取付孔4は、例えば電気自動車等の取付対象にラミネート式電池を取付けるためのものである。
【0017】
次に、図2は、図1のラミネート式電池の分解斜視図である。図において、第1外装材2aと第2外装材2bとは、図1に示す電池ケース2を構成するものである。図1に示す電池ケース2は、電池要素1に接続されたタブ3を間に配置した状態で第1及び第2外装材2a,2bを互いに貼り合わせることで形成される。
【0018】
第1及び第2外装材2a,2bには、接合部20、一対の段差加工部21、及び電池要素収容部22が設けられている。接合部20は、第1及び第2外装材2a,2bの外周の略全体に設けられた平面部である。接合部20は、第1及び第2外装材2a,2b同士の直接の貼り合わせに用いられる。
【0019】
段差加工部21は、第1及び第2外装材2a,2bの外周の一部において接合部20から張り出されるように加工が施された部分である。この段差加工部21は、電池ケース2が形成される際にタブ3を挟み込む位置に設けられており、第1及び第2外装材2a,2bに挟まれる位置でのタブ3の断面形状に適合するように形成されている。電池要素収容部22は、第1及び第2外装材2a,2bの略中央位置において接合部20から張り出されるように加工が施された部分である。電池要素収容部22は、電池ケース2が形成された際に、電池要素1を収容する空間を形成する。後述のように、段差加工部21及び電池要素収容部22は、第1及び第2外装材2a,2bがタブ3を挟み込む前に(後述のヒートシール工程が実施される前に)予め形成されたものである。なお、タブ3の断面形状に適合する段差加工部21の形状とは、後述のヒートシール工程が実施された後に、段差加工部21とタブ3との間に隙間が生じないように設計された形状である。
【0020】
次に、図3は、図2の第1及び第2外装材2a,2bの断面図である。図に示すように、第1及び第2外装材2a,2bは、基材としてのステンレス鋼板5の表面に樹脂層6が設けられたものである。ステンレス鋼板5の厚さは0.04〜0.40mm程度であり、樹脂層6の厚さは0.02〜0.40mm程度である。また、樹脂層6は、例えばポリプロピレンやポリエチレン等により構成されており、130〜200度程度まで熱せられると溶融するものである。周知のように、図1に示す電池ケース2は、電池要素1に接続されたタブ3を第1及び第2外装材2a,2bの間に配置した状態で、第1及び第2外装材2a,2bを押さえつつ第1及び第2外装材2a,2bに熱を加えるヒートシール工程を実施することにより、第1及び第2外装材2a,2bの樹脂層6を互いに融着させることで形成される。なお、外装材に優れた成形性や耐薬品性を付与するために、ステンレス鋼板5として、樹脂層6を設けた面とは反対側の面に潤滑皮膜(図示せず)を設けたステンレス鋼板を用いることが好ましい。
【0021】
次に、図4は、図2のタブ3を示す斜視図である。図に示すように、タブ3には、タブ本体30とフィルム体31とが含まれている。タブ本体30は、帯状の金属箔片であり、タブ3の厚み方向3aに沿う厚みtを有している。なお、正極のタブ本体30は、例えばアルミニウム、チタン或いは白金等により構成され、負極のタブ本体30は、例えば銅、ニッケル、ステンレス鋼或いは白金等により構成される。タブ3の厚み方向3aは、第1及び第2外装材2a,2bの接合部20が形成する接合面に対して垂直な方向である(図1参照)。
【0022】
フィルム体31は、例えばポリプロピレンやポリエチレン等により構成された一対の帯状フィルムがタブ本体30の表面及び裏面に貼り付けられることで形成されたものである。このフィルム体31は、第1及び第2外装材2a,2bに挟み込まれる位置に配置されており、電池ケース2が形成されるときに第1及び第2外装材2a,2bの段差加工部21の樹脂層6と融着される。また、フィルム体31は、段差加工部21の樹脂層6とともに、第1及び第2外装材2a,2bのステンレス鋼板5とタブ本体30との間を電気的に絶縁する絶縁層としての機能も有する。
【0023】
フィルム体31には、タブ3の幅方向3bに沿うタブ本体30の両端からタブ3の幅方向3bに沿って突出されたフィルム突部32が設けられている。このフィルム突部32は、帯状フィルムが互いに貼り合わされることで形成されたものであり、タブ3の厚み方向3aに沿うタブ本体30の中央位置に配置されている。フィルム突部32は、タブ3の幅方向3bに沿う突出量t、及びタブ3の厚み方向3aに沿う厚みtを有している。t/2は、帯状フィルムの1枚分の厚みに相当する。なお、タブ3の幅方向3bは、タブ3の厚み方向3aと電池ケース2からのタブ3の延出方向3cとに垂直な方向である(図1参照)。
【0024】
次に、図5は、図4の線V−Vに沿う断面図であり、第1及び第2外装材2a,2bに挟み込まれる位置でのタブ3の断面形状を示している。図に示すように、第1及び第2外装材2a,2bに挟み込まれる位置でのタブ3の断面形状は、タブ本体30の両端からフィルム突部32が突出されていることにより、単なる長方形に比べて複雑な形状とされている。具体的に説明すると、タブ3は、第1及び第2外装材2a,2bに挟み込まれる位置において、第1タブ端面35、第1タブ側面36、第2タブ端面37、及び第2タブ側面38を有している。
【0025】
第1タブ端面35は、タブ3の幅方向3bに沿って延在するフィルム体31の端面であり、タブ本体30の幅全体に渡ってタブ本体30の表面及び裏面と重なる端面である。
第1タブ側面36は、タブ3の幅方向3bに沿う両側の第1タブ端面35の端部からタブ3の厚み方向3aに沿って延在されたフィルム体31の端面である。この第1タブ側面36は、第1タブ端面35に直交する平面上に設けられている。
第2タブ端面37は、第1タブ側面36の端部からタブ3の幅方向3bに沿って延在されたフィルム体31のフィルム突部32の端面である。この第2タブ端面37は、第1タブ側面36に直交する平面上に設けられている。
第2タブ側面38は、第2タブ端面37の端部からタブ3の厚み方向3aに沿って延在されたフィルム体31のフィルム突部32の端面である。この第2タブ側面38は、第2タブ端面37に直交する平面上に設けられている。
【0026】
このように、第1及び第2外装材2a,2bに挟み込まれる位置でのタブ3の断面形状が複雑な形状とされているため、タブ3を挟み込む段差加工部21の形状もこれを考慮した形状とする必要がある。
【0027】
次に、図6は、図2の段差加工部21の断面図である。図において、段差加工部21には、第1段差端面部210、第1段差側面部211、及び接続部212が設けられている。第1段差端面部210は、図中一点鎖線にて示すように段差加工部21がタブ3に重ねられた際に、第1タブ端面35に対応するようにタブ3の幅方向3bに沿って延在された壁部である。第1段差側面部211は、段差加工部21がタブ3に重ねられた際に、第1タブ側面36(図5参照)に対応するように第1段差端面部210の端部からタブの厚み方向3aに沿って延在された壁部である。
【0028】
接続部212は、接合部20の端部と第1段差側面部211の端部とを接続する壁部である。本実施の形態では、接続部212は、第2段差端面部212aと第3段差側面部212bとにより構成されている。第2段差端面部212aは、段差加工部21がタブ3に重ねられた際に、第2タブ端面37(図5参照)に対応するように第1段差側面部211の端部からタブ3の幅方向3bに沿って延在された壁部である。第3段差側面部212bは、一端が第2段差端面部212aに接続されるとともに他端が接合部20の端部に接続された壁部であり、段差加工部21がタブ3に重ねられた際に、第2タブ側面38に対応するようにタブ3の厚み方向3aに沿って延在されるものである。なお、接合部20は、段差加工部21がタブ3に重ねられた際に、第1段差側面部211の端部からタブ3の幅方向3b及び厚み方向3aに沿って離れた位置であって、タブ3の幅方向3bに沿う第2タブ側面38の外方位置からタブの幅方向3bに沿って延在される。
【0029】
第1段差端面部210の接合部20に対する張り出し量は、タブ本体30の厚みtとフィルム体31を構成する帯状フィルムの2枚分の厚みtとの合計を2で割った数から所定の調節量αを減算した量、すなわち{(t+t)/2}−αとされている。この張り出し量を(t+t)/2よりも小さくしているのは、ヒールシート工程を実施する際に、第1段差端面部210の樹脂層6(図2参照)とタブ3のフィルム体31とをより確実に密接させることができるようにするためである。なお、帯状フィルムの1枚分の厚みt/2は0.05〜0.2mm程度であるが、調節量αは、この帯状フィルムの1枚分の厚みt/2未満の量であり、かつ0.01mmよりも大きな量である。
【0030】
第3段差側面部212bの接合部20に対する張り出し量は、フィルム突部32の厚み(フィルム体31を構成する帯状フィルムの2枚分の厚み)tを2で割った数から所定の調節量βを減算した量、すなわち(t/2)−βとされている。この張り出し量を(t/2)よりも小さくしているのも、ヒールシート工程を実施する際に、第3段差側面部212bの樹脂層6(図2参照)とタブ3のフィルム体31とをより確実に密接させることができるようにするためである。なお、調節量βは、帯状フィルムの1枚分の厚みt/2未満の量であり、かつ0.01mmよりも大きな量である。
【0031】
タブ3の幅方向3bに沿う第2段差端面部212aの長さは、フィルム突部32の突出量tとほぼ同じ長さとされている。
【0032】
次に、図7は、図1のラミネート式電池を製造するためのラミネート式電池の製造方法を示すフローチャートである。図7に示すように、本実施の形態のラミネート式電池の製造方法には、外装材製造工程S1とヒートシール工程S2とが含まれている。
【0033】
外装材製造工程S1は、第1及び第2外装材2a,2bを製造するための工程であり、ヒートシール工程S2の前に実施されるものである。この外装材製造工程S1では、平面状の板材に対してプレス加工を施すことにより、接合部20、一対の段差加工部21、及び電池要素収容部22を有する第1及び第2外装材2a,2bを製造する。
【0034】
ヒートシール工程S2は、電池要素1に接続されたタブ3を第1及び第2外装材2a,2bの間に配置した状態で、第1及び第2外装材2a,2bを押さえつつ第1及び第2外装材2a,2bに熱を加える工程である。この工程が行われることにより、第1及び第2外装材2a,2bの樹脂層6が互いに融着されて電池ケース2が形成される。
【0035】
すなわち、従来方法では、段差加工部21が設けられていない状態の外装材が用いられ、ヒートシール工程時の圧力により外装材の板面をタブの形状に沿うように変形させるようにしていたが、本実施の形態では、ヒートシール工程S2の実施前に(タブ3を第1及び第2外装材2a,2bの間に挟み込む前に)、段差加工部21を予め形成するようにしている。これにより、より確実に段差加工部21の形状を凍結でき、ヒートシール工程S2を実施した後にスプリングバックが生じることを回避できる。従って、外装材2a,2bとタブ3との間に隙間が生じることを回避でき、より確実に電池ケース2の密封性を確保できる。
【0036】
次に、図8は、図6の段差加工部21が形成された第1及び第2外装材2a,2bを用いた場合の段差加工部21の周辺の断面図である。図9及び図10は、図6の段差加工部21とは異なる形状の段差加工部が形成された場合の比較例1,2を示す説明図である。なお、図8〜図10の(a)はヒートシール前の状態を示し、(b)はヒートシール後の状態を示している。
【0037】
図8の(a),(b)に示すように、図6の段差加工部21が形成された第1及び第2外装材2a,2bを用いた場合には、ヒートシール工程S2が実施された後に段差加工部21とタブ3とに隙間は生じない。これに対して、図9及び図10に示す比較例1,2では、ヒートシール工程S2が実施された後に段差加工部とタブとに隙間10が生じている。
【0038】
図9に示す比較例1は、図6の段差加工部21から接続部212が省略された構成、すなわち第1段差側面部211の端部に接合部20を直接的に接続した構成である。この構成の場合、第1外装材2aの接合部20と第2外装材2bの接合部20とによってフィルム突部32を挟むことになり、第1及び第2外装材2a,2bの接合部20が互いに接触できない。これにより、フィルム突部32(第2タブ側面38)の外方において隙間10が生じる。これに対して、図6の段差加工部21では、段差加工部21がタブ3に重ねられた際に、第1段差側面部211の端部からタブ3の幅方向3b及び厚み方向3aに沿って離れた位置であって、タブ3の幅方向3bに沿う第2タブ側面38の外方位置からタブ3の幅方向3bに沿って延在される接合部20の端部と第1段差側面部211の端部とを接続部212が接続するように構成されている。この接続部212の構成により、接合部20によるフィルム突部32の挟み込みを回避し、フィルム突部32の外方における隙間10の発生を回避している。
【0039】
図10に示す比較例2は、図6の段差加工部21から第1段差側面部211が省略された構成、すなわち第1段差端面部210の端部とフィルム突部32の外方から延びる接合部20の端部とが傾斜面よりなる接続部212によって接続された構成である。この構成の場合、ヒートシール工程S2の前から接続部212とフィルム突部32との間に大きな隙間10が生じ、ヒートシール工程S2の後でも隙間10が解消されない。これに対して、図6の段差加工部21では、段差加工部21がタブ3に重ねられた際に、第1タブ側面36に沿うように第1段差端面部210の端部からタブ3の厚み方向3aに沿って延在されるように第1段差側面部211が設けられる。この第1段差側面部211の構成により、タブ3の厚み方向3aに沿うフィルム突部32の両側において大きな隙間10が発生することを回避し、ヒートシール工程S2の後に当該隙間10が残ることを回避している。
【0040】
次に、図11は、図8の第1及び第2外装材2a,2bの変形例を示す説明図である。図8では、図5に示すようにフィルム突部32がタブ3の厚み方向3aに沿うタブ本体30の中央位置に配置されている場合の第1及び第2外装材2a,2bを示しているが、図11のようにタブ3の厚み方向3aに沿うタブ本体30の一端にフィルム突部32が形成される場合もある。このような場合には、図11に示すように段差加工部21は第1及び第2外装材2a,2bのいずれか一方に設けられる。すなわち、段差加工部21は、フィルム突部32の態様に応じて第1及び第2外装材2a,2bの少なくとも一方に設けられればよい。
【0041】
このようなラミネート式電池の外装材2a,2b、ラミネート式電池の製造方法、及びラミネート式電池では、第1及び第2外装材2a,2b間にタブ3を挟み込む前に、第1及び第2外装材2a,2bに挟み込まれる位置でのタブ3の断面形状に適合する段差加工部21が第1及び第2外装材2a,2bの少なくとも一方に予め形成されているので、より確実に段差加工部21の形状を凍結でき、ヒートシール工程S2を実施した後にスプリングバックが生じることを回避できる。これにより、第1及び第2外装材2a,2bとタブ3との間に隙間10が生じることを回避でき、より確実に電池ケース2の密封性を確保できる。
【0042】
また、段差加工部21には、段差加工部21がタブ3に重ねられた際に、第1タブ端面35に対応するようにタブ3の幅方向3bに沿って延在される第1段差端面部210と、段差加工部21がタブ3に重ねられた際に、第1タブ側面36に対応するように第1段差端面部210の端部からタブ3の厚み方向3aに沿って延在される第1段差側面部211と、段差加工部21がタブ3に重ねられた際に、第1段差側面部211の端部からタブ3の幅方向3b及び厚み方向3aに沿って離れた位置であって、タブ3の幅方向3bに沿う第2タブ側面38の外方位置からタブ3の幅方向3bに沿って延在される接合部20の端部と第1段差側面部211の端部とを接続する接続部212とが設けられているので、タブ本体30の両端からフィルム突部32が突出されることによりタブ3の断面形状が比較的複雑な形状となるような場合でも、より確実に第1及び第2外装材2a,2bとタブ3との間に隙間10が生じることを回避でき、電池ケース2の信頼性を向上できる。
【0043】
また、接続部212には、段差加工部21がタブ3に重ねられた際に、第2タブ端面37に対応するように第1段差側面部211の端部からタブ3の幅方向3bに沿って延在される第2段差端面部212aと、一端が第2段差端面部212aの端部に接続されるとともに他端が接合部20の端部に接続され、段差加工部21がタブ3に重ねられた際に、第2タブ側面38に対応するようにタブ3の厚み方向3aに沿って延在される第3段差側面部212bとが設けられているので、ヒートシール工程S2が実施される前から段差加工部21をタブ3に密接させることができ、より確実に第1及び第2外装材2a,2bとタブ3との間に隙間10が生じることを回避できる。
【0044】
なお、実施の形態1では、段差加工部21の形状はフィルム突部32の存在を考慮した形状とされているが、フィルム体にフィルム突部が設けられておらず、外装材に挟み込まれる位置でのタブの断面形状が単純な四角形の場合には、図9を用いて説明した段差加工部でもタブの断面形状に適合した形状となる。この場合でも、外装材間にタブを挟み込む前に外装材に段差加工部を予め形成しておくことで、ヒートシール工程を実施した後のスプリングバックの発生を回避でき、外装材とタブとの間での隙間の発生を回避できる。
【0045】
実施の形態2.
図12は、本発明の実施の形態2によるラミネート式電池の外装材2a,2bに設けられた段差加工部21の断面図である。なお、実施の形態1の構成と同一又は同等部分については同一の符号を用いて説明する。実施の形態1では、第2段差端面部212aと第3段差側面部212bとにより接続部212が構成されるように説明したが、この実施の形態2では、図12に示すように、第2段差端面部212aと傾斜部212cとにより接続部212が構成されている。傾斜部212cは、第2段差端面部212aの端部と接合部20の端部とを接続する傾斜面より構成されている。
【0046】
実施の形態1の構成(図6の構成)のように、第2段差端面部212aから直角に屈曲された第3段差側面部212bを形成できれば、ヒートシール工程S2が実施される前から段差加工部21をタブ3に密接させることができる。しかしながら、フィルム突部32の厚みtによっては、接続部212の加工が極めて細かいものとなり、板材を直角に屈曲させることで第3段差側面部212bを形成しようとしても、形状を凍結することが難しい場合がある。そこで、本実施の形態では、第3段差側面部212bに換えて傾斜部212cを設けることで、板材の加工量を小さくでき、より確実に形状を凍結できるようにしている。
【0047】
次に、図13は、図12の段差加工部21が形成された第1及び第2外装材2a,2bを用いた場合の段差加工部21の周辺の断面図である。図13の(a)に示すように、図12の段差加工部21の場合、ヒートシール工程S2が実施される前の段階では、フィルム突部32の角部が傾斜部212cに当接されることにより、フィルム突部32の周辺において隙間10が生じている。ヒートシール工程S2が実施されると、図13の(b)に示すように、フィルム体31が溶融し段差加工部21にならって変形される。
【0048】
ここで、第1及び第2外装材2a,2bの接合部20が互いに接触されたときに第1及び第2外装材2a,2bの接続部212と各接続部212の基端を結ぶ線分とによって区画される空間の断面積は、フィルム突部32の断面積よりも小さい。このため、当該空間は、図13の(b)に示すようにヒートシール工程S2が実施されると、溶融されたフィルム突部32によって満たされる。すなわち、図12に示すように第2段差端面部212aと傾斜部212cとにより接続部212を構成しても、隙間10の発生を回避でき、電池ケース2の密封性を確保できる。
【0049】
なお、ヒートシール工程S2が実施されるときには、傾斜部212cの傾斜面がフィルム突部32に押し当てられることにより、タブ3の幅方向3bに沿う内方へとフィルム突部32の溶融物を移動させようとする圧力が発生する。このため、上述の空間に収まらなかったフィルム突部32の溶融物の大部分は、接合部20間に進入せずに、タブ3の延出方向3cに沿って電池ケース2の内側又は外側へと押し出される。
【0050】
次に、図14は、図12の段差加工部21を形成するためのパンチ15及びダイ16の断面図である。図12の段差加工部21は、図14に示すパンチ15及びダイ16を用いてのプレス加工により形成される。これらパンチ15及びダイ16には、第1段差側面部211に対応するパンチ側壁面15aとダイ側壁面16aとが設けられている。パンチ側壁面15aとダイ側壁面16aとの間のクリアランス17は、第1及び第2外装材の板厚よりも広くされている。このため、第1段差側面部211は、第1段差端面部210から直角に屈曲されることで形成されるのではなく、断面円弧状に形成される。
【0051】
実施の形態1のように、第1段差側面部211を第1段差端面部210から直角に屈曲することで形成するのであれば、クリアランス17を第1及び第2外装材の板厚と実質的に等しい値に設定する必要がある。しかしながら、クリアランス17をこのように設定すると、パンチ15とダイ16との間に位置ずれが生じた場合に、実際のクリアランス17が板厚よりも小さくなることがある。仮にクリアランス17が板厚よりも小さくなると、パンチ15及びダイ16によって板材がせん断され、外装材に亀裂が生じる可能性ある。そこで、本実施の形態2では、外装材2a,2bを製造するに当り、クリアランス17を第1及び第2外装材2a,2bの板厚よりも広くして、第1段差側面部211を断面円弧状に形成することで、外装材2a,2bに亀裂が生じる可能性を低減し、外装材2a,2bの成形歩留まりを高くすることができるようにしている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0052】
このようなラミネート式電池の外装材2a,2bでは、段差加工部21がタブ3に重ねられた際に、第2タブ端面37に対応するように第1段差側面部211の端部からタブ3の幅方向3bに沿って延在される第2段差端面部212aと、第2段差端面部212aの端部と接合部20の端部とを接続する傾斜面からなる傾斜部212cとが接続部212に設けられているので、フィルム突部32の厚みtが小さい場合でもより確実に接続部212の形状を凍結でき、接続部212でのスプリングバックの発生を回避できる。これにより、より確実に第1及び第2外装材2a,2bとタブ3との間に隙間10が生じることを回避できる。
【0053】
また、このようなラミネート式電池の外装材2a,2b、及びその製造方法では、パンチ側壁面15aとダイ側壁面16aとの間のクリアランス17を外装材の板厚よりも広くすることにより、第1段差側面部211が断面円弧状に形成されるので、外装材2a,2bに亀裂が生じる可能性を低減でき、外装材2a,2bの成形歩留まりを高くすることができる。
【0054】
実施の形態3.
図15は、本発明の実施の形態3によるラミネート式電池の外装材2a,2bに設けられた段差加工部21の断面図である。なお、実施の形態1,2の構成と同一又は同等部分については同一の符号を用いて説明する。実施の形態2では、第2段差端面部212aと傾斜部212cとにより接続部212が構成されていたが(図12参照)、図15に示すように、第2段差端面部212aを省略して、傾斜部212cのみにより接続部212を構成してもよい。接続部212を傾斜部212cのみにより構成する場合、傾斜部212cの接合部20に対する最大張り出し量が(t/2)−βとされる。その他の構成は、実施の形態1,2と同様である。
【0055】
次に、図16は、図15の段差加工部21が形成された第1及び第2外装材2a,2bを用いた場合の段差加工部21の周辺の断面図である。図16の(a)に示すように、ヒートシール工程S2が実施される前の段階では、傾斜部212cとフィルム突部32との間に隙間10が生じている。しかしながら、傾斜部212cの接合部20に対する最大張り出し量が(t/2)−βとされるので、第1外装材2aの傾斜部212cと第2外装材2bの傾斜部212cとを2つの辺とする三角形の面積は、フィルム突部32の断面積よりも小さい。このため、図16の(b)に示すように、ヒートシールが実施されると、第1及び第2外装材2a,2bの傾斜部212cを2つの辺とする三角形の空間は、溶融されたフィルム突部32で満たされる。すなわち、本実施の形態の段差加工部21でも隙間10の発生を回避でき、電池ケース2の密封性を確保できる。
【0056】
なお、実施の形態2において説明したように、上述の空間に収まらなかったフィルム突部32の溶融物の大部分は、接合部20間に進入せずに、タブ3の延出方向3cに沿って電池ケース2の内側又は外側へと押し出される。
【0057】
このようなラミネート式電池の外装材2a,2bでは、接続部212は、接合部20の端部と第1段差側面部211の端部とを接続する傾斜面からなる傾斜部212cであるので、フィルム突部32の厚みtが小さい場合でもより確実に接続部212の形状を凍結でき、接続部212でのスプリングバックの発生を回避できる。これにより、より確実に第1及び第2外装材2a,2bとタブ3との間に隙間10が生じることを回避できる。
【符号の説明】
【0058】
1 電池要素
2 電池ケース
2a,2b 第1及び第2外装材
3 タブ
5 ステンレス鋼板
6 樹脂層
15 パンチ
15a パンチ側壁面
16 ダイ
16a ダイ側壁面
17 クリアランス
20 接合部
21 段差加工部
30 タブ本体
35 第1タブ端面
36 第1タブ側面
37 第2タブ端面
38 第2タブ側面
210 第1段差端面部
211 第1段差側面部
212 接続部
212a 第2段差端面部
212b 第3段差側面部
212c 傾斜部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂層(6)が設けられたステンレス鋼板(5)からなるとともに、電池要素(1)を収容する電池ケース(2)を構成する2枚の外装材のうちの一方の外装材であって、前記電池要素(1)に接続されたタブ(3)を他方の外装材との間に配置した状態で各々の前記樹脂層(6)が互いに融着されることで前記電池ケース(2)を形成する外装材であり、
前記タブ(3)を挟み込む前に、前記2枚の外装材に挟み込まれる位置での前記タブ(3)の断面形状に適合する段差加工部(21)が予め形成されていることを特徴とするラミネート式電池の外装材。
【請求項2】
前記タブ(3)は、前記外装材に挟み込まれる位置において、前記タブ(3)の幅方向(3b)に沿って延在された第1タブ端面(35)と、前記第1タブ端面(35)の端部から前記タブ(3)の厚み方向(3a)に沿って延在された第1タブ側面(36)と、前記第1タブ側面(36)の端部から前記タブ(3)の幅方向(3b)に沿って延在された第2タブ端面(37)と、前記第2タブ端面(37)の端部から前記タブ(3)の厚み方向(3a)に沿って延在された第2タブ側面(38)とを有しており、
前記段差加工部(21)には、
前記段差加工部(21)が前記タブ(3)に重ねられた際に、前記第1タブ端面(35)に対応するように前記タブ(3)の幅方向(3b)に沿って延在される第1段差端面部(210)と、
前記段差加工部(21)が前記タブ(3)に重ねられた際に、前記第1タブ側面(36)に対応するように前記第1段差端面部(210)の端部から前記タブ(3)の厚み方向(3a)に沿って延在される第1段差側面部(211)と、
前記段差加工部(21)が前記タブ(3)に重ねられた際に、前記第1段差側面部(211)の端部から前記タブ(3)の幅方向(3b)及び厚み方向(3a)に沿って離れた位置であって、前記タブ(3)の幅方向(3b)に沿う前記第2タブ側面(38)の外方位置から前記タブ(3)の幅方向(3b)に沿って延在される接合部(20)の端部と前記第1段差側面部(211)の端部とを接続する接続部(212)と
が設けられていることを特徴とする請求項1記載のラミネート式電池の外装材。
【請求項3】
前記接続部(212)には、
前記段差加工部(21)が前記タブ(3)に重ねられた際に、前記第2タブ端面(37)に対応するように前記第1段差側面部(211)の端部から前記タブ(3)の幅方向(3b)に沿って延在される第2段差端面部(212a)と、
一端が前記第2段差端面部(212a)の端部に接続されるとともに他端が前記接合部(20)の端部に接続され、前記段差加工部(21)が前記タブ(3)に重ねられた際に、前記第2タブ側面(38)に対応するように前記タブ(3)の厚み方向(3a)に沿って延在される第3段差側面部(212b)と
が設けられている請求項2記載のラミネート式電池の外装材。
【請求項4】
前記接続部(212)には、
前記段差加工部(21)が前記タブ(3)に重ねられた際に、前記第2タブ端面(37)に対応するように前記第1段差側面部(211)の端部から前記タブ(3)の幅方向(3b)に沿って延在される第2段差端面部(212a)と、
前記第2段差端面部(212a)の端部と前記接合部(20)の端部とを接続する傾斜面からなる傾斜部(212c)と
が設けられていることを特徴とする請求項2記載のラミネート式電池の外装材。
【請求項5】
前記接続部(212)は、前記接合部(20)の端部と前記第1段差側面部(211)の端部とを接続する傾斜面からなる傾斜部(212c)であることを特徴とする請求項2記載のラミネート式電池の外装材。
【請求項6】
前記第1段差側面部(211)は、断面円弧状に形成されていることを特徴とする請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載のラミネート式電池の外装材。
【請求項7】
請求項6に記載のラミネート式電池の外装材を製造するためのラミネート式電池の外装材の製造方法であって、
前記段差加工部(21)の形成に用いるパンチ(15)及びダイ(16)には、前記第1段差側面部(211)に対応するパンチ側壁面(15a)とダイ側壁面(16a)とが設けられており、
前記パンチ側壁面(15a)と前記ダイ側壁面(16a)との間のクリアランス(17)を外装材の板厚よりも広くすることにより、前記第1段差側面部(211)が断面円弧状に形成されることを特徴とするラミネート式電池の外装材製造方法。
【請求項8】
樹脂層(6)が設けられた一対のステンレス鋼板(5)からなる第1及び第2外装材(2a,2b)の間に、電池要素(1)に接続されたタブ(3)を配置した状態で、前記第1及び第2外装材(2a,2b)を押さえつつ前記第1及び第2外装材(2a,2b)に熱を加えるヒートシール工程を実施することで、前記第1及び第2外装材(2a,2b)間に前記タブ(3)を挟み込んだ状態で前記第1及び第2外装材(2a,2b)の前記樹脂層(6)を互いに融着させるラミネート式電池の製造方法であって、
前記第1及び第2外装材(2a,2b)間に前記タブ(3)を挟み込む前に、前記第1及び第2外装材(2a,2b)間に挟まれる位置での前記タブ(3)の断面形状に適合する段差加工部(21)を前記第1及び第2外装材(2a,2b)の少なくとも一方に予め形成することを特徴とするラミネート式電池の製造方法。
【請求項9】
電池要素(1)を格納する電池ケース(2)と、
樹脂層(6)が設けられた一対のステンレス鋼板(5)からなり、前記樹脂層(6)が互いに熱融着されることで前記電池ケース(2)を形成する第1及び第2外装材(2a,2b)と、
前記電池要素(1)に接続されるとともに、前記第1及び第2外装材(2a,2b)間から前記電池ケース(2)の外部へと引き出されたタブ(3)と
を備え、
前記第1及び第2外装材(2a,2b)の少なくとも一方には、前記タブ(3)を挟み込む前に、前記第1及び第2外装材(2a,2b)間に挟まれる位置での前記タブ(3)の断面形状に適合する段差加工部(21)が予め形成されていることを特徴とするラミネート式電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−94374(P2012−94374A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240595(P2010−240595)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(397009152)エナックス株式会社 (23)
【出願人】(000004581)日新製鋼株式会社 (1,178)
【Fターム(参考)】