説明

ラミネート突板

【課題】
突板は銘木化粧合板として付加価値が高い材料であるが、割れ易い、折れ易い、欠け易い、湿気及び金気による変色、シミが入り易い等の欠点があり、突板を主体とした商品開発が困難である。そこで突板の欠点を解消して、突板主体での商品を提供することにある。
【解決手段】
樹脂フイルムと突板と和紙とからなって、厚さ0.35〜2.0mmの3〜5層の積層であって、樹脂フイルムは、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂であって、厚さ15ミクロン〜200ミクロンであるラミネート突板である

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は突板の欠点である割れ易い、折れ易い、欠け易い、湿気及び金気による変色、シミが入り易い等を解消し、突板の長所である木目の素材感を生かした高付加価値の突板を主体とした商品開発が出来るラミネート突板である。
【背景技術】
【0002】
従来突板の一般的利用方法は和紙、ベニヤ、MDF(ボード)等に酢酸ビニール樹脂系エマルジョン形接着剤等をロール式糊付機械で塗布し、その上に突板を貼り平プレスで100度前後の温度で熱圧着し生地研磨、着色、塗装等を施し家具、建材用の補完的部材として提供してきたが使用される環境条件は内装、外装を問わず非常に厳しい環境下にさらされる場合がある。
【0003】
一番の問題点としては、日当たりが悪く、高湿度の場所で化粧合板を使用された場合、工事施工時点では問題ないが、経時変化による突板表面への著しい変色、シミ等が発生することである。この要因として、突板は0.15tと薄く破砕し易く、ベニヤ、MDFに貼り化粧合板として使用するため、酸素や水蒸気の影響を受け易いのである。ラミネート突板は0.15〜2.0ミリの薄い突板にフイルム、和紙を積層したもので、破砕に強く、高湿度の影響を抑止し著しい変色、シミを発生することなく長期間使用可能な突板と突板主体の商品開発が出来るために提供するものである。
【0004】
突板の変色の原因となる酸素や水蒸気の影響を抑えることで、著しい変色を発生することなく長期間使用可能な突板シートが提供されている(特許文献1参照)。
多目的ホール、ホテル、エントランス、病院、劇場、美術館、公共施設、一戸建て住宅、集合住宅、店舗、マンション等の外装用化粧材としても好適に使われる高耐候性、耐汚染性、意匠性等に優れる外装用積層突板化粧板の提供を目的とするものが提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
自動車、建築物等の内装材、楽器、家具家庭電気製品等の外装材として使用する木
パネルの製造原価を安くすると共に、内装材或いは外装材としての設計の自由度をする(特許文献3参照)。
【0006】
照明具を用途として、木質感、素材感を有するとともに、熱や光に耐性があり、しか
も様々なデザインに対応するために折り曲げ加工等の複雑な加工が可能な、かつ手入れのし易い突板シートの提供がある(特許文献4参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−174738号公報
【特許文献2】特開2006−110929号公報
【特許文献3】特願平4−169101号公報
【特許文献4】特開2004−213964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
突板の欠点である割れ易い、折れ易い、欠け易い、湿気及び金気による変色、シミが入り易い等を解決し、これまでの家具、建具、建材用の補完的部材としての使用に止まらず、突板を主体とした木材の変色と耐久性を高めて、形状特性の商品を開発することにある。

【課題を解決するための手段】
【0009】
突板を家具、建材用の補完的部材、資材の使用に止まらず、突板を主体とした商品開発を可能にするには突板の欠点である割れ易い、折れ易い、欠け易い、湿気及び金気による変色、シミが入り易い等を解決し、突板の長所である素材感の価値を損なうことなく高付加価値の突板として提供しなければならない。
【0010】
これを解決するための手段として、突板の片面または両面に和紙、ポリエステルフイルム、ポリプロピレンフイルム等を積層し突板の欠点を解決し、突板の長所を生かす事が出来る突板、すなわちを、樹脂フイルムと突板と和紙とからなって、厚さ0.3mm〜2mmの3〜5層の積層であるラミネート突板を提供するものである。
【0011】
樹脂フイルムは、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂であって、厚さ15ミク
ン〜300ミクロンであるラミネート突板である。ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン樹脂フイルム、ポリプロピレン樹脂フイルム、ポリスチレン樹脂フイルムであり、ポリエステル樹脂はポリテレフタール酸樹脂フイルムである。
【0012】
突板は、原木から0.15〜2mmにスライス突、ロータリー突きした、天然突板のものと木質系、単板を集成し人工的に木目を作った集成材を0.25〜0.55mmにスライス突きした人工突板とがあって、材料として、桧、ヒバ、地杉、米杉、米松、スプルス、トガ、メープル、アルダー、サクラ、ブラックチェリー、タモ、オーク、ウォールナット、カリン、黒檀、ローズ、ウエンジュ、ブビンガ、チーク、ニヤト、モワビ、サペリ、シナ、ポプラ、桐、栓、欅、ニレ、イエローパイン、ゼブラ、ブナ、ホワイトシカモワ、クス、であって、厚さ0.15〜2mmであるラミネート突板である。
又、ラミネート突板として好ましくは導管が浅い突板で桧、杉、サクラ、メープル、ポプラ、楠、シナ、桐、シカモワ等が好適な結果が得られる。
【0013】
和紙は、機械漉和紙であって、パルプと植物性セルロース繊維、パルプとビニロン繊維、パルプとポリエステル繊維等で構成され必要に応じて選定出来る。 厚さ0.065〜0.1mm、幅980〜1280mmであって、長さについては必要寸法を選定できる。好ましくは厚み0.09mm最大幅1280mmの選定が好適な結果が得られる。
【0014】
製造方法は突板の片面に接着剤で和紙を80〜130℃で圧着接着し、突板、又は和紙の面に樹脂フイルムを120〜150℃で熱圧着して積層にするラミネート突板である。好ましくは、突板と和紙の接着温度は90〜110℃、突板及び和紙と樹脂フイルムの熱圧着温度は125〜135℃が好適な結果が得られる。

【発明の効果】
【0015】
割れ、折れ、欠け易い、湿気及び金気による変色、シミが入り易い突板に和紙とフイルムを積層することにより突板の割れ、折れ、欠け易い、湿気及び金気による変色、シミが入り易い欠点を解決し、これまで補完的部材としての使用が多く見られたが、ラミネート突板にすることにより耐久性、耐水性、に優れ、突板の長所である素材感と木目を生かした高付加価値のラミネート突板を主体としたインテリア商品、家具、建具、建材、看板等、多岐にわたり木材の模様を呈する耐久性の新商品の開発ができた。その結果、住宅用品の装飾、家具、建具のデザインに用いられた。

【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のラミネート突板の斜視図
【図2】(1)突板表面にフイルムを積層する三層からなるラミネート突板の構造図 (2)和紙表面にフイルムを積層する三層からなるラミネート突板の構造図
【図3】四層からなるラミネート突板の構造図
【図4】五層からなるラミネート突板の構造図
【図5】突板とフイルムの積層化装置の図
【図6】ラミネート突板を使用したブラインド図
【図7】ラミネート突板を使用した行燈図
【図8】ラミネート突板を使用したマウスパット図
【発明を実施するための形態】
【0017】
突板には柾目、板目、杢目がある。寸法分類は厚み×長さ×幅、からなり、厚み:薄突板0.15〜0.28mm、厚突板0.3〜0.55mm、厚単板0.8〜2.0mm、長さ:1800〜4000mm 幅:100〜1300mm位等からなり、これらの寸法は必要に応じて、スライス加工し適宜選定して使用出来る。
【0018】
突板の樹種には100種類以上があり代表的な樹種を列記する。
桧、ヒバ、地杉、米杉、米松、スプルス、トガ、メープル、アルダー、サクラ、ブラックチェリー、タモ、オーク、ウォールナット、カリン、黒檀、ローズ、ウエンジュ、ブビンガ、チーク、ニヤト、モワビ、サペリ、シナ、ポプラ、桐、栓、欅、ニレ、イエローパイン、ゼブラ、ブナ、ホワイトシカモワ、クス、人工ツキ板等がある、これらのツキ板に和紙とポリプロピレンフイルム、ポリエステルフイルム等を3層(図2)、4層(図3)、5層(図4)、とそれぞれ積層してラミネート突板をつくる。
【0019】
積層方法はラミネート機械で突板、和紙、PPフイルム又はPETフイルムを120〜140度前後の温度で熱圧着、または常温で冷圧着する。光沢度は透明、マットがある。
【実施例1】
【0020】
三層からなるラミネート突板であって、図2(1)、(2)に示すように、
厚0.09mm、幅900mm、長2400mmの和紙に、酢酸ビニール樹脂系エマルジョン形接着剤を平米当たり80gで塗布して、厚さ0.2mmの杉板目の突板を、100℃の温度で、50秒時間で油圧平プレスにて熱圧着し、和紙貼突板を製作した。
【0021】
次に和紙付き突板の表面に100ミクロンのポリプロピレン樹脂フイルムを130℃の温度で、ロールフイルム用ラミネーターにて熱圧着して、三層の積層にした。これによって三層からなる厚さ0.40mm×幅900mm×長さ2400mmのラミネート突板を製作した。これは杉目模様のフイルム被覆の突板になって、防水性をもった装飾ラミネート板であった。
【実施例2】
【0022】
四層からなるラミネート突板であって、図3に示すように、
厚0.09mm、幅900mm、長2400mmの和紙に、酢酸ビニール樹脂系エマルジョン形接着剤を平米当たり80gで塗布して、厚さ0.2mmの杉板目の突板を、100℃の温度で、50秒時間で油圧平プレスにて熱圧着し、和紙貼突板を製作した。
【0023】
次に和紙付き突板の両面に100ミクロンのポリプロピレン樹脂フイルムを130℃の温度で、ロールフイルム用ラミネーターにて熱圧着して、四層の積層にした。これによって四層からなる厚さ0.49mm×幅900mm×長さ2400mmのラミネート突板を製作した。これは杉目模様のフイルム被覆の突板になって、防水性をもった装飾ラミネート板であった。
【実施例3】
【0024】
五層からなるラミネート突板であって、図4に示すように、
厚さ0.09mm、幅900mm、長さ2400mmの和紙に、酢酸ビニール樹脂系エマルジョン形接着剤を平米当たり80gで塗布して、厚さ0.2mmの杉板目の突板を、100℃の温度で、50秒時間で油圧平プレスにて熱圧着し、和紙貼突板を製作した。
【0025】
次に0.29mm厚さ×900mm幅×2400mm長さの和紙付き突板となった、和紙面に突板杉板目を貼る。これによって、杉突板+和紙+杉突板からなる三層の0.49mm厚さ×900mm幅×2400mm長さの和紙貼突板が出来た。
【0026】
次に和紙付き突板の両面に100ミクロンのポリプロピレン樹脂フイルムを130℃の温度で、ロールフイルム用ラミネーターにて熱圧着して、五層の積層にした。これによって五層からなる厚さ0.69mm×幅900mm×長さ2400mmのラミネート突板を製作した。これは杉目模様のフイルム被覆の突板になって、防水性をもった装飾ラミネート板であった。
【実施例4】
【0027】
突板と樹脂フイルムの積層(図5)
二層からなる杉突板+和紙0.3mm厚さ×900mm幅×2400mm長さ、又は三層からなる杉突板+和紙+杉突板0.4mm厚さ×900mm幅×2400mm長さ、これらをそれぞれ100ミクロンのロール樹脂フイルムを温度130℃でロールフイルム用ラミネーターにて両面、又は片面に熱圧着、積層した。
これは高耐候性、耐汚染性、耐水性等に優れた装飾ラミネート板であった。
【実施例5】
【0028】
杉板目ラミネート突板を使用したブラインド(図6)
四層からなる厚さ0.49mm×幅600mm×長さ2400mm杉板目ラミネート突板を2枚作成し、これを100mm幅にカットし0.49mm厚さ×100mm幅×2400mm長さを、12枚を作製した。
【0029】
次に杉板目ラミネート突板0.49mm厚さ×100mm幅×2400mm長さのもの、12枚をブラインド用ルーバー材質として使用し、縦型ブラインド幅1200mm×高さ2400mmを製作した。これは外の光により癒しのある杉目模様が浮かび上がり、高耐候性、耐汚染性、意匠性等に優れた縦型ブラインドとなった。
【実施例6】
【0030】
杉板目ラミネート突板を使用した行燈(図7)
三層からなる杉板目ラミネート突板を底辺400mm×上辺200mm×高さ300mmにカットし、高さ300mmの左右にマジックテープ(登録商標)を貼り付けた。
【0031】
次に杉板目ラミネート突板底辺400mm×上辺200mm×高さ300mmを円錐形状にマジックテープ(登録商標)で接着した。
【0032】
次に円錐形状となった杉板目ラミネート突板の内部に照明器具を入れ行燈を製作した。これは高耐候性、耐汚染性、意匠性等に優れ又、明かりを灯すことにより杉目模様が浮かび上がり癒しのある行燈となった。
【実施例7】
【0033】
杉板目ラミネート突板を使用したマウスパット(図8)
四層からなる杉板目ラミネート突板を幅300mm×長200mmにカットしマウスパットを作成した。これは高耐候性、耐汚染性、意匠性等に優れ、またパソコン操作による目の疲れ、ストレスを和らげる、杉目模様が入った癒しのあるマウスパットとなった。

【符号の説明】
【0034】
1・・・突板
2・・・和紙
3・・・ポリエステル(PET)フイルム
又はポリプロピレン(PP)フイルム
4・・・熱圧着ロール
5・・・照明器具
A・・・平面図
B・・・断面図
C・・・ルーバー用ラミネート突板
D・・・ラミネート突板縦型ブラインド
E・・・行燈
F・・・行燈展開図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フイルムと突板と和紙とからなって、厚さ0.3mm〜3mmの3〜5層の積層であることを特徴とするラミネート突板
【請求項2】
樹脂フイルムは、ポリエステル樹脂、又はポリオレフィン樹脂であって、厚さ15ミクロン〜300ミクロンであることを特徴とする請求項1の記載のラミネート突板
【請求項3】
突板は、原木をスライス加工、又はロータリー加工した天然突板と、原木の単板を集成した集成材をスライス加工した人工突板とであって、代表的原木として、桧、ヒバ、地杉、米杉、米松、スプルス、トガ、メープル、アルダー、サクラ、ブラックチェリー、タモ、オーク、ウォールナット、カリン、黒檀、ローズ、ウエンジュ、ブビンガ、チーク、ニヤト、モワビ、サペリ、シナ、ポプラ、桐、栓、欅、ニレ、イエローパイン、ゼブラ、ブナ、ホワイトシカモワ、クスの中から選ばれた一種、又は二種以上を使用して、厚さ0.1mm〜2mmであることを特徴とする請求項1の記載のラミネート突板
【請求項4】
和紙は、機械漉和紙であって、パルプと植物性セルロース繊維、パルプとビニロン繊維、パルプとポリエステル繊維等で構成され必要に応じて選定できて、厚さ0.065~0.1mm、幅980〜1280mm、であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のラミネート突板
【請求項5】
突板の片面に接着剤で和紙を80〜130℃で圧着接着し、突板、又は和紙の面に樹脂フイルムを120〜150℃で熱圧着して積層にすることを特徴する請求項1〜4のいずれかに記載のラミネート突板


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−255542(P2011−255542A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130107(P2010−130107)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(710005957)
【Fターム(参考)】