説明

ラミネート装置及びラミネート方法

【課題】予熱部による予熱に起因した被加工物の反りを抑制できるラミネート装置及びラミネート方法を得ること。
【解決手段】ラミネート装置は、被加工物を予熱する予熱部と、前記予熱部により予熱された前記被加工物に対してラミネート加工を施すラミネート部とを備え、前記予熱部は、予熱ヒータと、前記予熱ヒータの上方に前記被加工物が位置するように前記被加工物を支持する複数の支持部材と、前記被加工物における温度分布が均一になるように、前記複数の支持部材をそれぞれ上下させる支持制御部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート装置及びラミネート方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のラミネート装置では、ラミネート装置本体の前部に搬送コンベアを設け、搬送コンベア上の被加工物をラミネート装置本体へ搬入する。ラミネート装置本体は上チャンバー部と下チャンバー部とに分かれており、上チャンバーを開いた状態で、下チャンバーのヒータ板上に被加工物を配置する。被加工物では、最下層のガラス基板にシート状の樹脂封止材、太陽電池セル、シート状樹脂材を積層し、最上層に保護シート材を配置する。
【0003】
ラミネート装置本体では、上チャンバーと下チャンバーとを重ねて、内部を減圧しながら被加工物を加熱する。その後、上チャンバー内を大気開放することにより、上チャンバーに備えられたダイアフラムが膨張し、被加工物としての太陽電池モジュールがヒータ板上で挟圧される。ヒータ板上で樹脂が溶融しながら減圧されることで、被加工物内部の気泡を抜きながら樹脂材により密閉封止されることでラミネート加工が完了する。
【0004】
特許文献1には、ラミネート装置において、搬入された太陽電池パネルが、ヒータ盤の上面よりも上方に突出させた複数の支持ピンの上端に載置されることが記載されている。これにより、特許文献1によれば、太陽電池パネルをヒータ盤の上方に持ち上げた状態で徐々に加熱することが可能なので、太陽電池パネルの下面側のみを急激に加熱した場合に発生するガラスの反りを減らすことができるとされている。
【0005】
特許文献2には、ラミネート装置において、ラミネート処理を行うラミネート部に太陽電池パネルを搬入する前に、供給部で赤外線ヒータにより太陽電池パネルの上方から赤外線を照射して太陽電池パネルを予熱することが記載されている。これにより、特許文献2によれば、ラミネート部に搬入する前に太陽電池パネルが予熱されているので、ラミネート部のヒータ盤上に載置した際に発生する太陽電池パネル内部の温度勾配が小さくなり、太陽電池パネルの上面と下面との温度差に起因する太陽電池パネルの反りの発生を少なくできるとされている。
【0006】
特許文献3には、ラミネート装置において、ラミネート部に搬入する前に待機する被加工物を、搬入コンベアに配置された複数個の予熱ヒータにより予熱することが記載されている。具体的には、搬入コンベアの幅方向に対して両端の予熱ヒータの温度を高く中央部の予熱ヒータの温度を低く設定し、搬入コンベアの搬送方向に対して投入側の予熱ヒータの温度を高くラミネート部側の予熱ヒータの温度を低く設定するとされている。これにより、特許文献3によれば、ラミネート部における加熱時の被加工物の反りの発生を従来に比べ格段に少なく抑えることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】登録実用新案第3037201号公報
【特許文献2】特開平10−95089号公報
【特許文献3】特開2008−72056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、太陽電池モジュールを樹脂で封止するラミネート装置において、被加工物である太陽電池モジュールをラミネート部のヒータで急激に加熱をすると、太陽電池モジュールにおけるガラス基板に上向きの反りが発生する。この反りを抑制するために、ラミネート部前段に予熱部を設け、予熱部で予め被加工物を予熱してからラミネート部に搬入する。
【0009】
このとき、被加工物である太陽電池モジュールの大型化に伴い、予熱部における搬送コンベアに配置された予熱ヒータ内の複数の加熱部の設定温度が一様である場合、太陽電池モジュールにおけるガラス基板の中央部と外周部との間に温度差が生じ、太陽電池モジュールの外周部が搬送コンベアより浮き上がることがある。すなわち、予熱部による予熱によっても既に被加工物(太陽電池モジュール)に反りが生じることがある。
【0010】
反りが残ったまま被加工物(太陽電池モジュール)がラミネート部で加熱・狭圧処理されると、ガラス基板等に対して反りを矯正する力が加わることとなり、ガラス基板の破損など太陽電池モジュールにおける破損が発生する傾向にある。また、太陽電池モジュールの端部の部分的な加熱温度不足が発生して、ガラスと樹脂・保護フィルムとの間の未接着等が起こることがある。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、予熱部による予熱に起因した被加工物の反りを抑制できるラミネート装置及びラミネート方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の1つの側面にかかるラミネート装置は、被加工物を予熱する予熱部と、前記予熱部により予熱された前記被加工物に対してラミネート加工を施すラミネート部とを備え、前記予熱部は、予熱ヒータと、前記予熱ヒータの上方に前記被加工物が位置するように前記被加工物を支持する複数の支持部材と、前記被加工物における温度分布が均一になるように、前記複数の支持部材をそれぞれ上下させる支持制御部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の支持部材により被加工物と予熱ヒータとの接触・被接触を制御するので、予熱部において被加工物が急加熱されることを低減でき、急加熱による被加工物における温度分布の不均一性を低減でき、被加工物の反りを抑制できる。すなわち、予熱部による予熱に起因した被加工物の反りを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施の形態1における被加工物の構成を示す図である。
【図2】図2は、実施の形態1にかかるラミネート装置の構成を示す図である。
【図3】図3は、実施の形態1における予熱部の構成を示す図である。
【図4】図4は、実施の形態1における予熱部の構成を示す図である。
【図5】図5は、実施の形態1における予熱部の構成を示す図である。
【図6】図6は、実施の形態1におけるラミネート部の構成を示す図である。
【図7】図7は、実施の形態2におけるラミネート部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明にかかるラミネート装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる。
【0016】
実施の形態1.
実施の形態1にかかるラミネート装置100について説明する。
【0017】
ラミネート装置100は、被加工物10のラミネート加工を行う前に被加工物10を予熱するが、その予熱の際における被加工物10の面内温度分布を均一化するための機能を有する。ラミネート装置100で取扱う被加工物10は、例えば太陽電池モジュールであり、図1に示すような構成を有する。
【0018】
被加工物10(例えば、太陽電池モジュール)では、ガラス基板11、樹脂封止材12、太陽電池アレイ15、樹脂封止材16、保護シート材17が順に積層されている。樹脂封止材12は、シート状であり、例えばエチレンビニルアセテート(EVA)などのラミネート加工可能な材料で形成されている。太陽電池アレイ15では、複数の太陽電池セル13が複数のリード線14を介して直列に接続された太陽電池ストリングが例えば図1における奥行き方向に配列されている。樹脂封止材16は、シート状であり、例えばエチレンビニルアセテート(EVA)などのラミネート加工可能な材料で形成されている。保護シート材17は、例えばポリエチレン樹脂などで形成されている。被加工物10では、例えばガラス基板11が最下層とされ、保護シート材17が最上層とされる。
【0019】
ラミネート装置100は、図2に示すように、搬入部(予熱部)120、ラミネート部130、及び搬出部140を備える。図2は、ラミネート装置100の正面図である。搬入部120は、ラミネート部130の図2中左側に配され、ラミネート加工すべき被加工物10をラミネート部130に搬入する。搬出部140は、ラミネート部130の図2中右側に配され、ラミネート加工された被加工物10をラミネート部130から搬出する。
【0020】
具体的には、搬入部120は、搬入コンベアCV1の駆動ローラ122、123を回転させ加工前の被加工物10を搬送ベルト121により、ラミネート部130の搬送コンベアCV2の搬送ベルト131上へ搬入する。また、搬出部140は、搬出コンベアCV3の駆動ローラ142、143を回転させラミネート部130から加工後の被加工物10を搬送ベルト141を介して搬出する。搬入部120では、一度にラミネート処理する被加工物10の数に応じて搬入コンベアCV1を複数個配置しても良く、その各々の搬入コンベアCV1にラミネート部130へ供給する前に被加工物10を予熱することができる予熱ヒータ126を配置し、コンベア毎に個別に予熱ヒータ126の温度設定が可能な機構とする。
【0021】
図3は、搬入コンベアCV1の1ユニット分の正面図である。搬入コンベアCV1下部に備えられた予熱ヒータ126により、被加工物10をラミネート部130へ搬入する前に予熱を行う。すなわち、ラミネート部130のヒータ板136による急激な加熱処理における被加工物10のガラス基板11の反りを緩和し、被加工物10におけるガラス基板11の破損、太陽電池セル13の破損などを抑制することを目的として、予熱ヒータ126は、ラミネート加工前の被加工物10を予熱する。予熱ヒータ126は、複数の加熱部1261−1〜1261−p(図4参照)を有する。
【0022】
この予熱工程においても、予熱ヒータ126における複数の加熱部1261−1〜1261−pに対して一様な温度設定で加熱を行うと、被加工物10のガラス基板11の中央部と外周部とに温度差が生じ、上向きの反りが発生する傾向にある。また、複数個ある搬入コンベアCV1のうち、先頭の搬入コンベアCV1上の被加工物10と中間、最終の搬入コンベアCV1a、CV1b上の被加工物10との間での温度差が生じる傾向にある。
【0023】
そこで、本実施の形態では、予熱ヒータ126から被加工物10を持ち上げる機構として複数の支持部材127−1〜127−k(図4参照)を設ける。複数の支持部材127−1〜127−kは、被加工物10を安定して支持できるように、例えば2次元的に配されている。各支持部材127は、例えば、ピン形状を有しており、予熱ヒータ126に設けられた孔内を上下に移動可能である。すなわち、搬入部(予熱部)120は、搬入コンベアCV1、予熱ヒータ126、複数の支持部材127−1〜127−kを有しているとともに、複数の支持部材127−1〜127−kを駆動制御する支持制御部125も有している。
【0024】
支持制御部125は、被加工物10の温度が所定温度を超えて上昇することの無いように被加工物10と予熱ヒータ126との接触・非接触を調整することができる。この所定温度は、例えば、被加工物10における温度分布の不均一性が許容範囲内に収まるものとして予め実験的に取得されたものである。図3(a)は、支持制御部125が複数の支持部材127を全て下降させた状態を示し、図3(b)は、支持制御部125が複数の支持部材127を全て上昇させた状態を示す。支持制御部125が被加工物10と予熱ヒータ126との接触・非接触の状態を制御することで、被加工物10のガラス基板11における温度分布のむらを緩和できるとともに、一度にラミネート部130へ搬入する複数の被加工物10間の温度差も少なくすることができる。
【0025】
具体的には、図4に示すように、複数の支持部材127−1〜127−kは、予熱ヒータ126全面に適当な間隔で形成された複数の孔内に配置される。また、各支持部材127−1〜127−kの先端には、温度センサ129−1〜129−k(図5参照)が設けられている。支持制御部125は、被加工物10の温度が所定温度を超えて上昇した場合に、支持部材127−1〜127−kを上昇させて被加工物10を予熱ヒータ126から持ち上げて非接触の状態とし、被加工物10の温度が所定温度より低下した場合に、支持部材127−1〜127−kを下降させて被加工物10を予熱ヒータ126の上面に接触した状態とする。これにより、被加工物10における温度分布の不均一性が低減されるように調整することができる。なお、支持制御部125は、被加工物10の温度として、複数の温度センサ129−1〜129−kによる測定温度の平均値を用いても良いし、複数の温度センサ129−1〜129−kから選択された1つの温度センサの測定温度を用いても良い。
【0026】
また、支持制御部125は、複数の温度センサ129−1〜129−kと複数の支持部材127−1〜127−kとの対応関係を把握しており、複数の温度センサ129−1〜129−kによる測定温度に応じて複数の支持部材127−1〜127−kを個別に上下させることができる。これにより、支持制御部125は、被加工物10における温度の低い部分を予熱ヒータ126に接触させ被加工物10における温度の高い部分を予熱ヒータ126に対して被接触とすることも可能であり、被加工物10における温度分布の不均一性が低減されるように調整することができる。
【0027】
また、図4に示すように、予熱ヒータ126は、複数の加熱部1261−1〜1261−pに分割されている。複数の加熱部1261−1〜1261−pは、例えば複数の温度センサ129−1〜129−kに対応するように(例えば2次元的に)分割されている。搬入部(予熱部)120は、複数の加熱部1261−1〜1261−pによる予熱ヒータ温度を個別に設定することができる機構として図5に示す温度制御部128を有する。温度制御部128は、ガラス基板11の温度分布にむらが生じて反りが大きくなる前に、複数の温度センサ129−1〜129−kによる測定結果に基づいて、ガラス基板11の温度分布のむらを補正するように、複数の加熱部1261−1〜1261−pによる予熱ヒータ温度を個別に制御することができる。例えば、温度制御部128は、ガラス基板11の外周部を高く、ガラス基板11の中央部を低い温度設定とすることができる。
【0028】
具体的には、図5に示すように、予熱ヒータ126から持ち上げられた被加工物10には支持部材127が接触していることから、複数の支持部材127−1〜127−kの先端部分には、それぞれ温度センサ129−1〜129−kが埋め込まれるなどして設けられている。温度センサ129−1〜129−kは、例えば、熱電対や抵抗温度計などである。
【0029】
温度制御部128は、複数の温度センサ129−1〜129−kに対応した複数の温度制御装置1282−1〜1282−kを有するとともに、複数の温度制御装置1282−1〜1282−kを統括的に制御する主制御装置1281を有している。複数の温度制御装置1282−1〜1282−kは、複数の温度センサ129−1〜129−kによる測定結果から測定温度を求めて主制御装置1281へ供給する。主制御装置1281は、複数の温度センサ129−1〜129−kと複数の加熱部1261−1〜1261−pとの対応関係を把握しており、複数の温度センサ129−1〜129−kによる測定温度に応じて複数の加熱部1261−1〜1261−pによる予熱ヒータ温度を個別に設定することができる。
【0030】
これにより、温度制御部128は、被加工物10における温度の低い部分に対応した加熱部による予熱ヒータ温度を高く設定し被加工物10における温度の高い部分に対応した加熱部による予熱ヒータ温度を低く設定することも可能であり、被加工物10における温度分布の不均一性が低減されるように調整することができる。すなわち、複数の温度センサ129−1〜129−kで測定された被加工物10の場所毎に異なる温度を、複数の加熱部1261−1〜1261−pの設定温度を決めるための情報として、温度制御装置1282を介して主制御装置1281へフィードバックする。これにより、被加工物10のガラス基板11の反りに応じて、それを打ち消し補正するような主制御装置1281による予熱温度設定が可能となり、予熱工程における被加工物10の反りを緩和できる。
【0031】
次に、ラミネート部130におけるラミネート加工の処理について図6を用いて説明する。
【0032】
ラミネート部130は、被加工物10のラミネート加工を行なう。ラミネート部130は、上チャンバー部132と下チャンバー部133とに分かれており、図6(a)に示すように上チャンバー部132を開いた状態で、下チャンバー部133のヒータ板136上に、搬送ベルト131により被加工物10を搬入する。
【0033】
次に、上チャンバー部132と下チャンバー部133とを重ねて、吸排気口1321および吸排気口1335を介して内部を減圧しながら被加工物10を加熱する。その後、上チャンバー部132を大気開放することにより、図6(b)に示すように上チャンバー部132に備えられたダイアフラムシート1323が膨張し、被加工物10(太陽電池モジュール)はヒータ板136上で上シート1324を介して挟圧される。このとき、上記した予熱が適用されていると、ラミネート処理前に十分に被加工物10の反りを緩和できているため、被加工物10のガラス基板11の破損、被加工物10内部の太陽電池セル13の破損などを抑制できる。また、被加工物10のガラス基板11の端部における部分的な加熱温度不足によるガラス基板11と樹脂封止材12、保護シート材17との間の未接着等を防ぐことができる。これにより、ラミネート加工前の被加工物10の状態を例えば一定に保つことができるため、ラミネート加工後の品質を安定化させることができる。
【0034】
ヒータ板136上で樹脂封止材12が溶融しながら減圧されることで、被加工物10内部の気泡を抜きながら樹脂封止材12により密閉封止され、ラミネート加工が完了する。
【0035】
以上のように、実施の形態1では、まず予熱ポジションにある被加工物10を上下させることができる複数の支持部材(例えば、複数の支持ピン)127を設け、複数の支持部材127により被加工物10と予熱ヒータ126との接触・被接触を制御する。これにより、搬入部(予熱部)120において被加工物10が急加熱されることを低減でき、急加熱による被加工物10における温度分布の不均一性を低減でき、被加工物10の反りを抑制できる。すなわち、搬入部(予熱部)120による予熱に起因した被加工物10の反りを抑制できる。
【0036】
また、実施の形態1では、各支持部材127の先端に温度センサ129を設け、被加工物10の温度を複数個所で測定し、測定された複数個所の温度に応じて、被加工物10の温度の面内不均一を補正するように、予熱ヒータ126内で互いに分割された複数個の加熱部1261−1〜1261−pの設定温度を場所毎に制御する。これにより、被加工物10における温度分布のむらを低減でき、被加工物10の反りを抑制できる。すなわち、搬入部(予熱部)120による予熱に起因した被加工物10の反りを抑制できる。
【0037】
なお、予熱に用いられる予熱ヒータは、被加工物の下側から加熱するものに限定されず、例えば、被加工物の上側から加熱するもの(例えば、ランプヒータなど)であっても良いし、被加工物の上下両側から加熱するものであってもよい。
【0038】
実施の形態2.
次に、実施の形態2にかかるラミネート装置について説明する。以下では、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0039】
実施の形態2にかかるラミネート装置では、ヒータ内部に支持部材を設け、支持部材の先端部分に温度センサを設けて被加工物10の温度を測定し、測定箇所近傍のヒータ設定温度を制御する方法および機構を、ラミネート部130iのヒータ板136iにも適用する。
【0040】
具体的には、ヒータ板136iは、複数の加熱部1361i−1〜1361i−pに分割されている。ラミネート部130iは、複数の加熱部1361i−1〜1361i−pによるヒータ温度を個別に設定することができる機構として図7に示す温度制御部138iを有する。温度制御部138iは、ガラス基板11の温度分布にむらが生じて反りが大きくなる前に、複数の温度センサ139i−1〜139i−kによる測定結果に基づいて、ガラス基板11の温度分布のむらを補正するように、複数の加熱部1361i−1〜1361i−pによるヒータ温度を個別に制御することができる。
【0041】
具体的には、図7に示すように、被加工物10には支持部材137iが接触していることから、複数の支持部材137i−1〜137i−kの先端部分には、それぞれ温度センサ139i−1〜139i−kが埋め込まれるなどして設けられている。温度センサ139i−1〜139i−kは、例えば、熱電対や抵抗温度計などである。
【0042】
温度制御部138iは、複数の温度センサ139i−1〜139i−kに対応した複数の温度制御装置1382i−1〜1382i−kを有するとともに、複数の温度制御装置1382i−1〜1382i−kを統括的に制御する主制御装置1381iを有している。複数の温度制御装置1382i−1〜1382i−kは、複数の温度センサ139i−1〜139i−kによる測定結果から測定温度を求めて主制御装置1381iへ供給する。主制御装置1381iは、複数の温度センサ139i−1〜139i−kと複数の加熱部1361i−1〜1361i−pとの対応関係を把握しており、複数の温度センサ139i−1〜139i−kによる測定温度に応じて複数の加熱部1361i−1〜1361i−pによる予熱ヒータ温度を個別に設定することができる。
【0043】
これにより、温度制御部138iは、被加工物10における温度の低い部分に対応した加熱部によるヒータ温度を高く設定し被加工物10における温度の高い部分に対応した加熱部によるヒータ温度を低く設定することも可能であり、被加工物10における温度分布の不均一性が低減されるように調整することができる。すなわち、複数の温度センサ139i−1〜139i−kで測定された被加工物10の場所毎に異なる温度を、複数の加熱部1361i−1〜1361i−pの設定温度を決めるための情報として、温度制御装置1382iを介して主制御装置1381iへフィードバックする。これにより、被加工物10のガラス基板11の反りに応じて、それを打ち消し補正するような主制御装置1381iによる加熱温度設定が可能となり、ラミネート工程においても、被加工物10の反りを緩和できる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明にかかるラミネート装置は、太陽電池モジュールのラミネート加工に有用である。
【符号の説明】
【0045】
10 被加工物
11 ガラス基板
12 樹脂封止材
13 太陽電池セル
14 リード線
15 太陽電池アレイ
16 樹脂封止材
17 保護シート材
100 ラミネート装置
120 搬入部
121 搬送ベルト
122、123 駆動ローラ
125 支持制御部
126 予熱ヒータ
127−1〜127−k 支持部材
128 温度制御部
129−1〜129−k 温度センサ
130 ラミネート部
131 搬送ベルト
132 上チャンバー部
133 下チャンバー部
136 ヒータ板
140 搬出部
141 搬送ベルト
142、143 駆動ローラ
1261−1 〜1261−p 加熱部
1282−1 〜1282−k 温度制御装置
CV1、CV1a、CV1b 搬入コンベア
CV2 搬送コンベア
CV3 搬出コンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を予熱する予熱部と、
前記予熱部により予熱された前記被加工物に対してラミネート加工を施すラミネート部と、
を備え、
前記予熱部は、
予熱ヒータと、
前記予熱ヒータの上方に前記被加工物が位置するように前記被加工物を支持する複数の支持部材と、
前記被加工物における温度分布の不均一性が低減されるように、前記複数の支持部材をそれぞれ上下させる支持制御部と、
を有する
ことを特徴とするラミネート装置。
【請求項2】
被加工物を予熱する予熱部と、
前記予熱部により予熱された前記被加工物に対してラミネート加工を施すラミネート部と、
を備え、
前記予熱部は、
複数の加熱部を有する予熱ヒータと、
前記予熱ヒータの上方に前記被加工物が位置するように前記被加工物を支持する複数の支持部材と、
前記複数の支持部材の先端の温度を測定する複数の温度センサと、
前記複数の温度センサによる測定結果に基づいて、前記被加工物における温度分布の不均一性が低減されるように、前記複数の加熱部を制御する温度制御部と、
を有する
ことを特徴とするラミネート装置。
【請求項3】
被加工物を予熱する予熱部と、
前記予熱部により予熱された前記被加工物に対してラミネート加工を施すラミネート部と、
を備え、
前記ラミネート部は、
複数の加熱部を有するヒータと、
前記ヒータの上方に前記被加工物が位置するように前記被加工物を支持する複数の支持部材と、
前記複数の支持部材の先端の温度を測定する複数の温度センサと、
前記複数の温度センサによる測定結果に基づいて、前記被加工物における温度分布の不均一性が低減されるように、前記複数の加熱部を制御する温度制御部と、
を有する
ことを特徴とするラミネート装置。
【請求項4】
被加工物を予熱する予熱工程と、
前記予熱工程で予熱された前記被加工物に対してラミネート加工を施すラミネート工程と、
を備え、
前記予熱工程は、
予熱ヒータの上方に前記被加工物が位置するように複数の支持部材で前記被加工物を支持する工程と、
前記複数の支持部材の先端の温度を測定する工程と、
前記測定された結果に基づいて、前記被加工物における温度分布の不均一性が低減されるように、前記複数の支持部材をそれぞれ上下させる工程と、
を有する
ことを特徴とするラミネート方法。
【請求項5】
被加工物を予熱する予熱工程と、
前記予熱工程で予熱された前記被加工物に対してラミネート加工を施すラミネート工程と、
を備え、
前記予熱工程は、
複数の加熱部を有する予熱ヒータの上方に前記被加工物が位置するように複数の支持部材で前記被加工物を支持する工程と、
前記複数の支持部材の先端の温度を測定する工程と、
前記測定された結果に基づいて、前記被加工物における温度分布の不均一性が低減されるように、前記複数の加熱部を制御する工程と、
を有する
ことを特徴とするラミネート方法。
【請求項6】
被加工物を予熱する予熱工程と、
前記予熱工程で予熱された前記被加工物に対してラミネート加工を施すラミネート工程と、
を備え、
前記ラミネート工程は、
複数の加熱部を有するヒータの上方に前記被加工物が位置するように複数の支持部材で前記被加工物を支持する工程と、
前記複数の支持部材の先端の温度を測定する工程と、
前記測定された結果に基づいて、前記被加工物における温度分布の不均一性が低減されるように、前記複数の加熱部を制御する工程と、
を有する
ことを特徴とするラミネート方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−245669(P2012−245669A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117982(P2011−117982)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】