説明

ランプ包装容器およびランプ包装体

【課題】 ランプの破損を抑制可能なランプ包装容器およびランプ包装体を提供する。
【解決手段】 本発明のランプ包装体は、略平行な一対の直管部211、一対の直管部211を繋ぐ連結部212とを具備するガラスバルブ21の端部に口金22が装着されてなる口金付きランプ2がランプ包装容器1に保持されてなるランプ包装体であって、ランプ包装容器1は、外径がr1である直管部211と外径がr2(>r1)である口金22の外径差を吸収可能な口金収容部14を備えており、口金付きランプ2は、口金22部分が口金収容部14に収容された状態でランプ包装容器1に保持されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端部に口金を備えている、U字状やコ字状に屈曲したランプ等を包装する包装容器および包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶テレビなどの表示装置においては、冷陰極蛍光ランプなどの細管のランプが使用されている。このランプの中には、U字状やコ字状に屈曲したランプがある。
【0003】
U字状やコ字状に屈曲したランプは、二本の直管ランプに相当するため、ランプ本数や点灯回路の削減化可能となり有利であるが、その屈曲した部分が破損しやすいことが知られている。そのため、特許文献1のように、U字状やコ字状に屈曲したランプについて特別な包装手段が用いられてきた。
【0004】
一方、U字状やコ字状に屈曲したランプにおいても、特許文献2や特許文献3にあるような、端部に口金が装着されたランプが提案されるようになってきている。このような口金を備えるランプは、表示装置のランプホルダに保持させるだけで、ランプと表示装置の機械的・電気的な接続を容易に行うことができ、大変取り扱いやすいためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−234551号公報
【特許文献2】国際公開第2008/001562号パンフレット
【特許文献3】特開2009−110915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、U字状やコ字状に屈曲した口金付きのランプでは、特許文献1のような包装ではランプが破損することがわかった。
【0007】
本発明の目的は、ランプの破損を抑制可能なランプ包装容器およびランプ包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のランプ包装体は、略平行な一対の直管部、前記一対の直管部を繋ぐ連結部とを具備するバルブの端部に口金が装着されてなる口金付きランプがランプ包装容器に保持されてなるランプ包装体であって、前記ランプ包装容器は、外径がr1である前記直管部と外径がr2(>r1)である前記口金の外径差を吸収可能な口金収容部を備えており、前記口金付きランプは、前記口金部分が前記口金収容部に収容された状態で前記ランプ包装容器に保持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ランプの破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態のランプ包装体について説明するための図。
【図2】ランプ包装体の両端付近について説明するための図。
【図3】図2の一点鎖線X−X’による断面を矢印方向から見た図。
【図4】従来のランプ包装容器に口金付きランプを保持させた状態について説明するための図。
【図5】隣接する口金付きランプの口金同士の引っ掛かりについて説明するための図。
【図6】ランプの梱包例について説明するための図。
【図7】本発明の第2の実施の形態のランプ包装体について説明するための図。
【図8】本発明の第3の実施の形態のランプ包装体について説明するための図。
【図9】ランプ包装容器の第1の変形例について説明するための図。
【図10】ランプ包装容器の第2の変形例について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施の形態)
以下に、本発明の実施の形態のランプ包装体について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態のランプ包装体について説明するための図、図2はランプ包装体の両端付近について説明するための図、図3は図2の一点鎖線X−X’による断面を矢印方向から見た図である。
【0012】
ランプ包装体は、ランプ包装容器1に一対の直管部211と連結部212とを具備するガラスバルブ21の端部に口金22が装着されてなる口金付きランプ2が保持されてなるものである。
【0013】
ランプ包装容器1は、それぞれ一対の広面、長側面、短側面とで構成された、段ボールにより成形されてなる直方体状の容器であり、第1の載置部11、第2の載置部12、突出部13および口金収容部14を具備している。
【0014】
第1の載置部11は、口金付きランプ2の直管部211を載置可能なように、ランプ包装容器1の広面に構成された面である。第1の載置部11は、略平行するように一対設けられている。略平行とは、平行であるのが最適であるが、平行ではなくても双方によって成される角度が2度以内、望ましくは1度以内であれば許容することを意味するものである。第2の載置部12は、口金付きランプ2の連結部212を載置可能なように、ランプ包装容器1の短側面に構成された面である。
【0015】
突出部13は、第2の載置部12からランプ包装容器1の端部方向に突出形成された部分である。この突出部13により、口金付きランプ2が搬送時等にランプ包装容器1の長側面方向にスライドして、ランプ包装容器1から脱落すること、および連結部212に他の部材等が衝突して、破損することを防止可能である。なお、その突出長さL1は、少なくとも口金付きランプ2の連結部212の外径r3よりも長く形成するのが望ましい。
【0016】
口金収容部14は、外径がr1である直管部211と外径がr2(>r1)である口金22の外径差を吸収可能なように、ランプ包装容器1の広面に形成された部分である。本実施の形態では、口金収容部14はランプ包装容器1に形成された穴として、それぞれの広面に構成されている。
【0017】
口金付きランプ2は、2つの屈曲部を備えたコ字状のガラスバルブ21の端部に口金22が装着されてなる冷陰極蛍光ランプである。ガラスバルブ21は、略平行な一対の直管部211と、それらを繋ぐ連結部212とを具備している。直管部211の外径r1、連結部212の外径r3は、ともに2〜6mmである。ガラスバルブ21の内部には、放電媒体として水銀とネオン−アルゴンの混合ガスが封入され、内面にはRGBの三波長蛍光体で構成された蛍光体層が形成されている。また、ガラスバルブ21の両端部には電極マウントが封着されている。電極マウントは電極とリード線23を備えており、リード線23はガラスバルブ21から導出されている。
【0018】
口金22は、金属板により成形されてなるキャップであり、本体部221と接続部222を具備している。本体部221は外径r2が3〜7mmである円筒である。本体部221には内径方向に突出する一対の突起と一対のスリットが形成されている。これらは、ガラスバルブ21を本体部221内に挿入したときに、弾性変形するため口金22をガラスバルブ21に弾性的に接続することが可能となる。接続部222は本体部221から突出形成された部分であり、その先端はリード線23と例えば加締め付けによって接続されている。このような構造により、本体部221と電極とが接続部222、リード線23を介して電気的に接続されることになるため、本体部221に電力を供給することでランプを点灯させることが可能となる。
【0019】
ここで、口金付きランプ2の保持状態について詳しく説明する。
【0020】
図2、図3からわかるように、口金付きランプ2の一対の直管部211はランプ包装容器1の第1の載置部11に、連結部212は第2の載置部12に載置され、口金22部分は口金収容部14に収容されている。口金付きランプ2をランプ包装容器1にこのような状態で保持されたことで、直管部211が第1の載置部11から離れることを防止できるため、ランプの破損を抑制することができる。具体的には、ランプ包装容器1に口金収容部14が形成されていない場合、図4のように、直管部211と口金22の外径差分だけ直管部211が第1の載置部14から強制的に離されて、直管部211と連結部212によって形成される角度αが最適な角度である90度よりも大きくなってしまう。つまり、口金付きランプ2がランプ包装容器1に保持されている状態では、常に屈曲部に応力がかかっている状態となり、ランプが破損しやすくなるが、本実施の形態のような構造にすれば、屈曲部に負担がかかっている状態を回避できるため、ランプの破損を抑制することができる。なお、本実施の形態では、ランプ包装容器1個につき、口金付きランプを20本保持させることが可能である。
【0021】
この口金収容部14は、口金22が余裕をもって収容される大きさに形成されるのが望ましい。具体的には、口金収容部14の長さL2は、口金22の本体部221の長さL3の2倍以上(ただし、20倍以下)であるのが望ましい。これにより、搬送時などにランプが管軸方向にスライドした結果、図5のようにスライドしたランプの口金22が隣のランプの口金22に引っかかってしまうようなことがあっても、それら両方のランプの口金部分を口金収容部14に収容することが可能となるため、ランプの破損等を防止することができる。
【0022】
また、ランプ包装体には、ランプ包装容器1に付帯して第1の押さえ部3、第2の押さえ部4が構成されている。
【0023】
第1の押さえ部3は、段ボールにより成形された帯状の部材である。ランプ包装体への装着状態では、ランプ包装容器1の一対の広面および長側面を覆うようなコ字状を呈している。その開口付近には、切り込み31がそれぞれに形成されており、それらの切り込み31にゴムバンド32を引っ掛けることで、ゴムの弾性によって第1の押さえ部3が帯状に展開しないように維持している。このような第1の押さえ部3により、それぞれのランプが第1の載置部11に接触するように維持されるため、ランプの上にランプが乗る、すなわち隣接するランプ同士が重なったりすることによるランプの破損を防止することができる。また、口金付きランプ2が広面の短手方向にスライドすることにより、ランプ包装容器1から脱落することも防止することができる。
【0024】
この第1の押さえ部3は、口金収容部14付近、例えば口金収容部14と第1の押さえ部3の端部同士の距離L4が150mm以下、望ましくは50mm以下になるように配置するのが望ましい。このように位置関係とすることで、振動等によって口金22部分が口金収容部14から抜け出そうとする動きを押さえつけやすくなる。つまり、口金22を口金収容部14の中に留めやすくすることができるため、さらにランプの破損を防止することができるようになる。
【0025】
第2の押さえ部4は、いわゆるエアー・クッション等と呼ばれている略透明な気泡緩衝材である。ランプ包装体への装着状態では、ランプ包装容器1の短側面を覆うようなコ字状を呈しており、機械的に弱い屈曲部を衝撃から保護している。さらに、第2の押さえ部4の開口付近には各口金付きランプ2を横断するようにゴムバンド41が引っ掛けられている。このような構成により、連結部212を第2の載置部12から離れにくくすることが可能となる。つまり、口金付きランプ2の管軸方向の動きが第2の押さえ部4によって抑制されるため、口金22部分が口金収容部14から抜け出すことを抑制することができる。
【0026】
以上のようなランプ包装体100は、図6のように第2の載置部212が梱包箱200の底部と直交するように配置された状態で、内部に緩衝材300が設けられた梱包箱200に配置される。同様に、ランプ包装体100が一列につき複数(例えば4体)整列され、それらに緩衝材300を配置しながら複数(例えば5層)積層されて、ランプ搬送体として出荷・搬送されることになる。このように、ランプ包装体100を、第2の載置部212が梱包箱200の底部と直交するように配置するようにしたことで、特許文献1のように、梱包箱の底部に対して縦に収容領域を形成するための井桁が必要なくなるし、梱包作業が楽になるといメリットがある。なお、図6では、連結部212も梱包箱200の底部と直交するように配置しているが、連結部212は梱包箱200の底部と平行するように配置しても構わない。
【0027】
本実施の形態において、直管部211の長さ=約830mm、連結部212の長さ=約46mm、r1=r3=4.0mm、r2=4.6mm、L1=15mm、L2=28mm、L3=7mm、L4=90mmとしたランプ包装体(実施例)と特許文献1のような従来のランプ包装体(従来例)を図6のように梱包し、JIS Z202およびJIS Z200に基づく落下試験を行った。その結果、従来例では400本に対して2本、ランプの割れが確認されたが、実施例では割れたランプの本数は0であった。このことから、本発明のランプ包装はランプ破損に対して効果があることが明確となった。
【0028】
したがって、第1の実施の形態では、ランプ包装容器1に外径がr1である直管部211と外径がr2(>r1)である口金22の外径差を吸収可能な口金収容部14を形成し、口金付きランプ2を口金22が装着された直管部211の部分が口金収容部14に収容されるようにランプ包装容器1に保持させたことで、直管部211と口金22の外径差によって直管部211が第1の載置部11から離れることによって、ランプの屈曲部に応力がかかることが抑制することができるため、ランプの破損を防止することができる。
【0029】
(第2の実施の形態)
図7は、本発明の第2の実施の形態のランプ包装体について説明するための図である。これ以降の実施の形態の各部については、第1の実施の形態の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明を省略する。
【0030】
第2の実施の形態では、ランプ包装容器1を折り曲げることで広面の一部に凹みを形成し、その凹みによって形成される空間に口金22部分を配置している。この凹みによって形成される空間は、直管部211と口金22の外径差を吸収可能なランプ収容部14として機能するため、このような構造であっても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0031】
(第3の実施の形態)
図8は、本発明の第3の実施の形態のランプ包装体について説明するための図である。
【0032】
第3の実施の形態では、ランプ包装容器1の広面上に段ボール等の板状部材15を設け、板状部材15が設けられていないランプ包装容器1の広面の空間上に口金22部分が位置するように、板状部材15の面上(第1の載置部11)に直管部211を載置させている。この板状部材15とランプ包装容器1の広面により形成される空間は、直管部211と口金22の外径差を吸収可能なランプ収容部14として機能するため、このような構造であっても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0033】
なお、本発明の実施の形態は上記に限られるわけではなく、例えば次のように変更してもよい。
【0034】
ランプ包装容器1は、厚紙、樹脂、金属等により成形したものであってもよい。
【0035】
また、図9のように、ランプ包装容器1の全体を、ビニール袋のような袋体5によって包み込むようにしてもよい。これにより、段ボールから生じる微細なゴミの飛散を防止することができる。なお、袋体5は、ランプ包装容器1の一部を覆うようだけでもよいし、段ボールで形成された第1の押さえ部3も袋体5によって覆うようにしてもよい。また、袋体5はランプ包装容器1の形状や、口金付きランプ2の口金22の位置などを確認可能とするために、少なくとも向こう側が見える程度の透過性を備えたものであるのが望ましい。さらに、袋体5は、その材料や表面状態等を目的に応じて変更してもよい。例えば、ランプ包装容器1へのランプの配置を容易にしたい場合は、ランプ包装容器1よりも摩擦係数が低い袋体5を使用すればよい。本発明においては、保持させた後のランプの動きを抑制すべく、ランプ包装容器1よりも摩擦係数が袋体5を使用するのが望ましいといえる。
【0036】
また、図10のように、口金収容部14の両端に突出部16を形成してもよい。この突出部16により、口金22部分が広面の短手方向にスライドしてランプ包装容器1から脱落することを防止することができる。なお、図10の突出部16は、口金収容部14を切り抜きにより形成する際に、一部切り抜かないで残した部分によって形成したものである。
【0037】
口金付きランプ2は、U字状であってもよい。つまり、ランプ包装容器1に跨らせて載置可能な形状であればよい。また、外部電極蛍光ランプや熱陰極蛍光ランプなどであってもよい。
【0038】
口金22は、特許文献2や特許文献3のようなものであってもよいし、半田からなる層などであってもよい。要は、給電や被保持の部分となるものであって、直線部211に装着したときに、直線部211と外径差が生じるようなものであれば形状、大きさ、材料等は特に限定されない。
【0039】
第1の押さえ部3は、直管部211を第1の載置部11に載置させたり、ランプの重なりを抑制できるようなものであればよいため、例えば紐やゴムバンドなどを代用してもよい。
【0040】
第2の押さえ部4は、連結部212を第2の載置部12に載置させたり、ランプの管軸方向のスライドを抑制できるものであればよいため、突出部14を途中から折り曲げて連結部212に接触させるようにしたり、コ字状に形成した段ボールを代用したりしてもよい。また、第1の押さえ部3や第2の押さえ部4は、ランプ包装容器1の一部であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 ランプ包装容器
11 第1の載置部
12 第2の載置部
14 口金収容部
2 口金付きランプ
211 直管部
212 連結部
22 口金
3 第1の押さえ部
4 第2の押さえ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平行な一対の直管部、前記一対の直管部を繋ぐ連結部とを具備するバルブの端部に口金が装着されてなる口金付きランプがランプ包装容器に保持されてなるランプ包装体であって、
前記ランプ包装容器は、外径がr1である前記直管部と外径がr2(>r1)である前記口金の外径差を吸収可能な口金収容部を備えており、前記口金付きランプは、前記口金部分が前記口金収容部に収容された状態で前記ランプ包装容器に保持されていることを特徴とするランプ包装体。
【請求項2】
略平行な一対の直管部、前記一対の直管部を繋ぐ連結部とを具備するバルブの端部に口金が装着されてなる口金付きランプを保持可能なランプ包装容器であって、
前記口金付きランプを保持させたときに、前記口金部分が配置される部分に、外径がr1である前記直管部と外径がr2(>r1)である前記口金の外径差を吸収可能な口金収容部を備えていることを特徴とするランプ包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−225248(P2011−225248A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97146(P2010−97146)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】