説明

リアルタイムRT−PCRによるHDVの定量的検出

HDVの定量アッセイ用の、より具体的には慢性的に感染した患者においてHDVウイルス量を追跡するための特異的試薬、及びそのような定量的アッセイ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HDVの定量的アッセイ用の、より具体的には、慢性的に感染した患者におけるHDVウイルス量(viral load)を追跡する特定の試薬に関する。
本発明は、このような定量的アッセイにも関する。
【背景技術】
【0002】
デルタ型肝炎ウイルス(HDV)は、B型肝炎ウイルスに以前感染したか又は同時に感染した患者における重篤な急性及び慢性の肝炎の原因である。治療は、アルファ−インターフェロン(IFN)の高用量の長期間投与に依存し、その有効性は、通常、血清中の特異的抗-HDV IgM又はHDVゲノムの検出により追跡される。
【0003】
デルタ型肝炎ウイルス(HDV)は、ビリオンの組み立て及び増殖についてB型肝炎ウイルス(HBV)に依存する36 nmのウイルス粒子である1。HDV粒子は、1672〜1697ヌクレオチドの環状一本鎖RNAゲノムからなり2,3、これが2つのウイルスタンパク質であるsHDとLHDと組み立てられて、リボヌクレオタンパク質を形成する。ウイルス複製の間に、リボヌクレオタンパク質は、肝細胞小胞体を通して発芽し、B型肝炎表面抗原(HBsAg)が埋め込まれたエンペロープを獲得する。広範な分子内相補性は、塩基の対形成を導き、HDVゲノムに偽の二本鎖構造をもたらす3(図1)。多数の単離体の広範な配列分析により、HDVは、異なる地理的分布による少なくとも7つの別個のクレードに分類された2。簡単に、HDVクレード1ウイルス(遺伝子型I、以下においてHDV-1と名付ける)はほとんどの領域において見出され、クレード2及び4(それぞれ遺伝子型IIA及びIIB、HDV-2およびHDV-4という)は、極東領域に位置し、クレード3(遺伝子型III、HDV-3)は南アメリカの北で、そしてクレード5、6及び7 (HDV-5、HDV-6及びHDV-7)は西アフリカに位置する2,4〜7 (WO 03/027291も参照されたい)。
【0004】
HDV感染は、劇症肝炎がHBV単独の場合よりも少なくとも10倍多い頻度で発生し、かつ重複感染の場合に慢性率が70〜90%に達する、重篤な肝臓疾患を引き起こし得る1、8、9。多くの場合、慢性デルタ型肝炎は、肝硬変(60〜70%)及び肝癌に発展し1011、治療の有効性は期待できない1213。実際に、高用量での12ヶ月のインターフェロン−アルファ(IFN) (毎週27 MU) (これは、長期の生存を増大させるとみられる唯一の投与計画である14)の後に、約50%の患者のみが治療に応答を示し、この応答者の40%が治療の終了から6ヶ月の間に再発している12。HBV-DNAポリメラーゼのヌクレオシドアナログ阻害剤であるラミブジン1516も、リバビリンもアシクロビルもファムシクロビルも、HDV感染の制御には有効ではない17〜19
【0005】
HDV感染の診断は、通常、特異的抗HDV抗体の検出に依拠し、抗HDV IgMの存在は進行中のウイルス複製を反映する。しかし、ウイルス複製の検出についてのこの血清学的アプローチは、感度が低い20、21
【0006】
同時感染及び重複感染の間のB及びデルタのマーカーの発展のまとめは、PCT国際出願WO 03/027291号に示されている。
【0007】
HDV抗原は、急性感染(抗体の血清変換の前) 又は著しく免疫抑制された慢性感染の患者の場合を除いて血清中でほとんど検出されない22。よって、HDV複製は、手製の定性的RT-PCRアッセイ23を用いて、血清中のHDV-RNAの検出により最も効率的に測定される。血清中でのHDV-RNAの検出は肝臓損傷及び乏しい結果に通常は関連するが24、このことは、定量的アプローチほどに正確には治療の有効性の評価を可能にしない25
【0008】
リアルタイムPCRは、ウイルスゲノムの定量の正確で感度の高い手段を提供し、DNAの持ち越し(carryover)の元となり得るPCR後の取り扱いを回避する主要な利点を有する。いくつかの研究は、血液試料中のウイルスゲノムの定量についてのこの方法の利点を報告している26〜28。最近、Yamashiro T.らは、血清中のHDV-RNAを定量するリアルタイムRT-PCRアッセイを開発し、ウイルス量と肝臓疾患の臨床段階との可能な関連性を提案した29。Yamashiro T.らで用いられたプライマーは、1、2a及び2b型のHDV遺伝子型のうちで保存された領域に基づいて設計された。よって、上記のプライマーは、他のHDV遺伝子型を考慮に入れていない。
【0009】
リアルタイム定量RT PCRの一般的な原理は、当該技術において知られており、例えばPoitrasら43及びGibsonら44に記載される。
TaqMan (登録商標)に基づくリアルタイムPCRは、広いダイナミックレンジ(10〜107コピー)にわたるDNA又はcDNAの定量を可能にし、よって、ウイルスゲノムの定量によく適合している。HDVの場合、チンパンジーでは非常に高いウイルス量が検出された(直接肝臓接種の後の感染の急性期の間)こと36、及び治療のフォローアップが非常に少量のRNAの検出の可能性を必要とすることを考慮して、このような広い範囲の定量が必要とされる。
【0010】
しかし、すでに提案された方法は、3型並びに最近記載された5、6及び7型を含むいずれのHDV遺伝子型を、高感度及び良好な特異性をもって検出することができない。
さらに、血液試料中のHDV-RNA定量のための正確で感度の高い試験の開発は、2つの技術的問題を有する。第一に、配列の70%を超える分子内塩基対形成によるHDV-RNAの「桿状」構造337は、cDNA合成効率及びそれによりPCR効率を減ずる傾向にある。第二に、ウイルスの遺伝的変異性24〜7は、プライマー及びプローブの特定の設計を含む。実際に、HDVの型の間の多様性は、ゲノムのヌクレオチド配列全体の37%にわたるほど高いことが示されている2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者らは、感染患者の血清中の全ての型のHDVのHDV-RNAを定量可能なアッセイにおいて用いることができるHDV核酸分子試薬を提供することを目的とした。リボザイムから選択される本発明の試薬を用いる血清中のHDV-RNAの定量は、予期せぬことに、従来技術のものよりも、患者のフォローアップを改善する。
【0012】
実際に、これらの領域において設計されたプライマー及びプローブは、それらが含有する強い二次構造にもかかわらず、93%を超えるPCR効率を導く。
さらに、これは、HDV感染の自然な進展を理解し、慢性デルタ型肝炎の管理のためのガイドラインを規定する助けとなる。
【0013】
上記のアッセイは、予期せぬことに、血清1 ml当たり100コピーのHDV-RNAを検出するのに充分感度が高く、再現性があり、かつ3型並びに最近記載された5、6及び7型を含む全てのHDVの型のゲノムを検出するのに有効であった。治療された患者のウイルス量の決定は、通常の定性的アプローチ又はデルタ抗原コード領域から選択されたプライマーの使用に基づく定量的アプローチのいずれよりもより正確に、IFN療法に対する応答者と非応答者とを区別する助けとなる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
よって、本発明の主題は、生体試料中のHDV-RNAを検出する方法であり、該方法は、
(1) 生体試料からHDV-RNAを抽出する工程と、
(2)
- それに対応するcDNAを、以下のプライマー対:
(a) Delta-F (ダイレクトプライマー):5'-GCATGGTCCCAGCCTCC-3'(配列番号1)とDelta-R (リバースプライマー):5'-TCTTCGGGTCGGCATGG-3' (配列番号2)、及び
(b) T3-Delta-F (ダイレクトプライマー):5'-GCATGGCCCCAGCCTCC-3' (配列番号3)とDelta-R (リバースプライマー):5'-TCTTCGGGTCGGCATGG-3' (配列番号2)
からなる群より選択される少なくとも1つのプライマー対の存在下で増幅し(III型ゲノムの配列と1つのミスマッチが存在するので、第二のダイレクトプライマーは、HDV-3単離体の増幅のために特異的に設計された:T3-Delta-F:5'-GCATGGCCCCAGCCTCC-3' (配列番号3);よって、上記の2対のプライマーは、同時に用いることが有利である);そして
- 形成されたアンプリコンの量を検出し、該量を少なくともコントロール試料と比較する
ことを含む、リアルタイムRT-PCR定量化により該HDV-RNAの量を測定する工程と
を含むことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
上記の方法の有利な実施形態によると、検出工程は、次の配列:5'- ATGCCCAGGTCGGAC-3' (配列番号4)で規定される蛍光発生プローブ[Delta-P (プローブ)]の存在下で行われる。
【0016】
上記の方法の別の有利な実施形態によると、上記の検出工程は、コントロール試料として、位置305〜1161に対応するHDVゲノムのR'1領域(PCT国際出願WO 03/027291を参照)、アンプリコン(位置692〜904)を含む該R'1領域のフラグメント、及びHDVのゲノム全体からなる群より選択されるポジティブコントロール試料を含み、該ポジティブコントロールは、好ましくはプラスミドの形である。
【0017】
上記の方法の別の有利な実施形態によると、上記の検出工程は、コントロール試料として、上記で規定されるポジティブコントロール試料とネガティブコントロール(例えばHDVについて陰性の血清試料)とを含む。
【0018】
HDVゲノム上の種々のプライマー及びプローブ(配列番号1〜4)の位置は、図1に記載され、HDVゲノムのゲノム方向(genomic orientation)の環状ゲノム上に示すHDVゲノム内の位置は、Wangら3の番号付けに従う。
【0019】
プライマーの位置は、約215〜221 bpを有するアンプリコンを得る観点で選択される。プライマーの配列は、特異的ハイブリダイゼーションが得られ:クロスハイブリダイゼーションがなく、約60℃のTa (アニーリング温度)及び高GC含量が得られる観点で選択される。さらに、上記のプライマーは、リボザイムの保存された二次構造において高い効率を得るように設計される。
【0020】
有利には、上記の蛍光発生プローブは、蛍光色素によりその末端の1つで少なくとも標識される。好ましくは、5'末端が蛍光レポーター色素で標識されかつ3'末端が消光色素で標識される。
さらに、上記のプローブの上記の末端の一方、好ましくは3'末端は、MGB (副溝バインダー(Minor Groove Binder))基でも標識され、これはプローブのハイブリダイゼーション温度を人為的に上昇させ、よって長さが減少されたプローブの使用を可能にする。
【0021】
有用な蛍光レポーター色素は、当該技術において知られている。これらは、例えば次のものから選択される:6-FAM (6-カルボキシフルオレセイン)、TET (テトラクロロ-6-カルボキシフルオレセイン)、HEX (ヘキサクロロ-6-カルボキシ-フルオレセイン)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、シアニン(CY3、CY5)及びテキサスレッド42
有用な消光色素も当該技術において公知である。これらは、例えば以下のものから選択される:メチルレッド又はTAMRA (6-カルボキシテトラメチルローダミン) 42又はダーククエンチャー。
【0022】
本発明による好ましいプローブは、次のものである:
5'-FAM-ATGCCCAGGTCGGAC-MGB-3' (= 5'-FAM-配列番号4-MGB-3')。
【0023】
本発明のリアルタイムRT-PCRアッセイは、試験するHDVの型が何であっても、血清1 ml当たり100コピーのHDV-RNAを検出するのに充分感度が高く、慢性のデルタ型肝炎であってIFNを用いて以前に処置された患者から採取された経時的(sequential)血清におけるウイルス量を定量するのに用いられた。得られた結果は、治療効率が、本発明の特異的プライマー及びプローブと組み合わせた定量的アプローチを用いて、より高い精度で監視できることを示す。つまり、本発明の方法は、慢性的に感染した患者の管理の改善を構成し、かつ標準化された治療ガイドラインを規定する助けとなるはずである。
【0024】
本発明の定量リアルタイムRT-PCR法は、従来の診断手順における定性アッセイを置き換えることができる。このことは、本方法の感度、及び偽陰性の結果を回避して全ての既知の型のHDV-RNAを検出する本方法の潜在的な能力により可能になる。HDV-3配列に関して、プライマーの一方とのミスマッチが存在するので、HDV-3感染が疑われる場合(臨床データ、患者の地理的起源及び特異的抗HDV IgMの存在にもかかわらずHDV-RNAが検出されないことを考慮して)、特異的フォワードプライマーを用いる必要がある。プライマーのどちらの対も用い得る。
【0025】
血清又は血漿中のHDV-RNAを検出する可能性は、特異的であるが充分に感度が高くないIgM検出に比較して38、患者のフォローアップを改善する。定性RT-PCRを行う場合、アンプリコンのエチジウムブロミドでの染色(及び最後にはその後のサザンブロット)により得られるシグナルの強度は、ウイルス量の大まかな示唆を与えることができるが、厳密でないままであり、血漿1 ml当たり50000コピーを超えるウイルス量同士の区別を可能にしない。
【0026】
本発明の主題は、生体試料からHDV-RNAを抽出し、その対応するcDNAを合成し、該cDNAを増幅するために必要な緩衝剤及び試薬のほかに、上記で規定される少なくとも2対のプライマーを含むことを特徴とする検出キットでもある。
【0027】
上記のキットの有利な実施形態によると、これは:
- 上記で規定する蛍光発生プローブと、
- 位置305〜1161に相当するHDVゲノムのR'1領域、アンプリコン(位置692〜904)を含む該R'1領域のフラグメント、及びHDVのゲノム全体からなる群より選択されるポジティブコントロール試料と、
- HDV陰性血清のようなネガティブコントロールと
をさらに含む。
【0028】
上記のキットの有利な実施形態によると、上記の蛍光発生プローブは、5'末端にて蛍光レポーター色素で、そして3'末端にて消光色素、好ましくはダーククエンチャー及びMGB基で標識されている。
【0029】
本発明の別の主題は、いずれのHDVゲノムを増幅可能なプライマー対でもあり、該プライマー対は、配列番号1と配列番号2のプライマー対、及び配列番号3と配列番号2のプライマー対からなる群より選択される。
【0030】
本発明の別の主題は、上記のプライマー対により増幅される核酸フラグメントに特異的なプローブでもあり、該プローブは配列番号4により規定される。
【0031】
上記の態様の他に、本発明は、本発明の実施例に言及する以下の記載、及び添付の図面から明らかになるその他の態様も含む。以下の図面において:
- 図1は、HDVゲノムの概略図である。HDVゲノムは、約1680ヌクレオチドの環状一本鎖RNA分子である。これは、広範囲の分子内塩基対形成のために、偽二本鎖桿状分子として従来表されている。デルタ抗原コード領域(アンチゲノム鎖上の)は、位置1012の複製部位(edition site)(Wangら3による)を有する白色の方形で表す。リボザイムは、ヌクレオチド900/901 (アンチゲノムリボザイム)及び685/686 (ゲノムリボザイム)に位置する。定性RT-PCRアッセイを用いて増幅されたR0領域(900〜1280)、及びpCRIIにクローニングされかつリアルタイムRT-PCRアッセイにおいて定量のための標準物質として用いられたR1 (305〜1161)は、灰色の線で表す。フォワード(Delta-F)及びリバース(Delta-R)のプライマー及びプローブ(Delta-P)は、中抜きの矢印で示す。
【0032】
- 図2は、HDVゲノムのリボザイム領域(Perrottaら41による)内で設計されたプライマー及びプローブを示す。
A:ゲノムリボザイム:フォワードプライマー配列は、濃い灰色で強調する。
B:アンチゲノムリボザイム:リバースプライマー配列は、濃い灰色で強調し、プローブは薄い灰色で強調する。
- 図3は、定性及び定量のRT-PCRアッセイの感度の比較を表す。試料番号40の例である。cDNA (試料番号40)の終点希釈(10μl)を、定性及び定量アッセイの両方で試験した。定性アッセイでは、1.5%アガロースゲルのエチジウムブロミド染色後の目視可能な最終希釈は、1/1000であった。定量リアルタイムPCRアッセイでは、1/5000希釈したcDNA 10μl中に1コピーを検出した。
【0033】
- 図4は、種々のHDVクレードの一団から得られた一連のウイルス量を示す。23個のHDV-1試料を試験した。平均ウイルス量は、1950コピー/10μl cDNAであった(2〜986000コピー/10μl cDNAの範囲)。16個のHDV-1でないHDVを試験した(HDV-2、n=1、HDV-5、n=6、HDV-6、n=4、HDV-7、n=5)。平均ウイルス量は、1300コピー/10μl cDNAであった(2〜1000000コピー/10μl cDNAの範囲)。HDV-1及びHDV-非1の量の間に有意な違いは検出されなかった(マン−ホイットニーノンパラメトリックU検定)。
【0034】
- 図5は、慢性的に感染した患者でのHDV-RNA定量を示す:
A:「応答者」のプロフィールを示す患者:患者A及びBは、IFN治療に応答し、そのウイルス量が減少した(negativated)。患者C及びDは、治療の最後で検出可能なままであったが、ウイルス量は5 log10コピー/ml血漿を超える減少を示した。
B:「非応答者」プロフィールを示す患者:ウイルス量の減少は、治療の期間中に2 log10コピー/mlを超えなかった。患者E、F、H及びIの場合、初期のウイルス量は、6 log10コピー/mlを超えていた。
C:患者J:HBV-HIV感染患者でのHDV重複感染。患者K:2回の治療の失敗後に肝臓移植。
【0035】
本発明の出願の他に、以下の結果が発表されている:Le Gal F.ら, Journal of Clinical Microbiology, 2005, 43, 5, 2363〜2369。
【0036】
実施例1:材料及び方法
1.1 患者及び試料
84個の血液試料を、アッセイの技術的妥当性検査のために用いた(表1)。
【表1】

【0037】
HDV血清学的に陰性な試料1〜26を、アッセイの特異性を評価するために試験した。これらの試料のうち、5個はHBs抗原及びHBV DNAに陽性であり、16個はHBs抗原スクリーニングに陰性であったが、C型肝炎ウイルス(HCV) RNA (n=6)又はA型肝炎ウイルス(HAV) IgM (n=4)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV) RNA (ウイルス量>10000コピー/ml, n=5)、E型肝炎ウイルスRNA (n=1)のいずれかに陽性であった。残りの5個は、HCV-RNA、HAV-IgM及びHIV-RNAに陰性であった。HDV-1 (n=23)、HDV-2 (n=1)、HDV-5 (n=6)、HDV-6 (n=4)及びHDV-7 (n=5)に対応する(Radjefら2による)試料41〜79は、リアルタイムRT-PCRアッセイがいずれの型のHDVのゲノムを検出及び定量する能力を評価するために、定性RT-PCRアッセイ及び定量リアルタイムRT-PCRアッセイの両方で試験した。HDV-3試料(80〜84)は、アマゾニア領域の感染した地元の人々の中から指先皮刺により採取した採取物の残りの乾燥した血液スポットろ紙検体から入手可能であった。ろ紙を空気乾燥させ、使用するまで室温にて貯蔵した。試験のために、各乾燥した血液スポットの中央から7 mmのディスクをパンチで切り出し、−20℃にて500μlの9‰ NaCl溶液に入れた。RNAを、QIAamp MinElute Virus Vacuum (QIAGEN)を製造者の推奨に従って用いて、250μlの溶出物から抽出した。
【0038】
HDV-感染ウッドチャック-5肝臓トータルRNA (HDV-1プロトタイプで感染した30)を、リアルタイム定量RT-PCR 31のために外部コントロールとして用いた。
【0039】
慢性HDV感染のためにIFN (又はPEG化された形:PEG-IFN)を受けており、一連の血漿試料を−80℃にて凍結保存しているA〜Kのラベルをつけた11人の患者(76個の試料)を、後ろ向き(retrospective) HDV-RNA定量のために選択した。これらの試料は、国際PCT出願WO 03/0227291 (ヌクレオチド889〜1289) (図1) 32で規定されるHDVゲノムのR0領域を増幅するために設計された定性アッセイにおいて以前に試験された。これらの患者の年齢、性別、HDVの型及びHIV状態を、表2に示す。
【0040】
【表2】

【0041】
1.2 血清試料中のリアルタイムPCR定量
HDV-RNAを、QIAamp MinElute Virus Vacuum (QIAGEN)を用いて250μlの血清又は血漿から抽出した。cDNA合成を、5μlの抽出生成物から、0.5 mmol/l GeneAmp dNTPs (Applied Biosystems)、0.4 pmol/μl Random Hexamers (Applied Biosystems)、1 IU/μl RNasin (Promega)、100 IU/μl Superscript II RNase H Reverse Transcriptase (Invitrogen)、1×First-Strand Buffer (Invitrogen)及び10 mmol/μl DTT (Invitrogen)を含む25μlの混合物中で行った。反応を、42℃にて45分間行った。cDNAを、Montage PCR Centrifugal Filter Devices (Millipore)を用いて精製した。
cDNAを、Microcon 50カラムで精製する。
【0042】
プライマー及びプローブを、Primer Express (登録商標) Software v2.0 (Applied Biosystems)を用いて、HDVの遺伝変異性2を考慮してわずかに修飾して設計した。フォワードプライマーは、ゲノムのリボザイム領域において選択し、リバースプライマーはアンチゲノムリボザイムの領域Iにおいて選択した。リバースプライマーと同じ領域で規定したプローブは、リバースプライマーへの対形成を回避するようにアンチゲノム配列内でアニールするように設計した(図2)。プライマー及びプローブの名称と配列は次のとおりである:
Delta-F (ダイレクトプライマー):5'-GCATGGTCCCAGCCTCC-3' 配列番号1)、
Delta-R (リバースプライマー):5'-TCTTCGGGTCGGCATGG-3' (配列番号2)、
Delta-P (プローブ):5'-FAM-ATGCCCAGGTCGGAC-MGB-3' (配列番号4)。
【0043】
III型ゲノムの配列と1つのミスマッチが存在するので、第二のダイレクトプライマーは、HDV-3単離体の増幅のために特異的に設計した:T3-Delta-F:5'-GCATGGCCCCAGCCTCC-3' (配列番号3)。
【0044】
リアルタイムPCR反応は、TaqMan (登録商標) Universal PCR Master Mix (Applied Biosystems)を用いて行った。精製されたcDNA (10μl)を、25μlのTaqMan (登録商標) Universal PCR Master Mix、0.3 mmol/μlの各プライマー及び0.2 mmol/μlの蛍光発生プローブを含む40μlのPCR混合物に加えた。反応は、50℃にて2分間の1回の開始工程、続いて95℃にて10分間、並びに95℃にて15秒間及び60℃にて1分間を含む45回の増幅サイクルからなった。反応、データ取得及び分析は、ABI PRISM 7000 Sequence Detection System (Applied Biosystems)を用いて行った。反応中の標的のコピー数は、放出された蛍光が平均ベースライン放射の標準偏差の20倍を超えるときの分別サイクル数(fractional cycle number)に対応するサイクル閾値(CT)から導き出した。
【0045】
国際PCT出願WO 03/027291に規定されるようなHDVゲノムのR'1領域(Wangら3を参照してヌクレオチド305〜1161)の1コピーを含有するプラスミド(pCRII-dFr45-R1 2) (図1)を、HDV-cDNA定量のスタンダードとして用いた。プラスミドをEcoRI (Biolabs)で消化した後に、R'1領域を、QIAEX II (Qiagen)を用いてアガロースゲルから精製した。精製R'1 DNAの濃度は、マルチチャネル分光光度計で決定し、対応するコピー数を算出した。
【0046】
1.3血清試料中のHDV-RNA検出のための定性RT-PCR
RNA抽出及びcDNA合成は、定量アッセイについて記載したようにして行った。国際PCT出願WO 03/027291 (ヌクレオチド889〜1289)を参照するゲノムのR0領域を、該国際PCT出願に記載されるようにして、プライマー900s及び1280asを用いて、以前に記載されたようにして32増幅した(図1)。アンプリコンは、エチジウムブロミドで染色した1.5%アガロースゲルでの電気泳動後に検出した。
【0047】
HDVの型の決定は、増幅したR0領域から、WO 03/027291に記載されるような2ステップRFLP法又は以前に記載された、配列の系統的分析2のいずれかを用いて行った。
【0048】
統計分析
マン−ホイットニーノンパラメトリックU検定(StatView 4.02)は、統計的な比較のために用いた。差は、P≦0.05で有意であると考えた。
【0049】
実施例2:血清中のHDV-RNAの検出及び定量のためのリアルタイムPCRアッセイの特異性、感度及び再現性
アッセイの特異性を、45サイクルの増幅の後に一連の26個のコントロール血清試料で得られた陰性の結果により確かめた(結果は示さず)。
【0050】
HDV-R'1フラグメントは、HDV-RNAを定量するスタンダードとして用いた。10〜107コピーの範囲の10倍系列希釈を3重で試験し、標準曲線を構築するために、平均CT値をコピー数に対してプロットした。相関係数は、繰り返して0.997より優れており、傾きは-3.5であった。[10(-1/傾き)-1] ×100として計算される増幅効率は、93%であった。反応当たり10コピーの投入量に相当する希釈は、100%の感度で繰り返して検出された(結果示さず)。つまり、RNA抽出及びRT手順の間の希釈比によると、臨床試料の定量のためのアッセイの感度は、標的配列1 ml 当たり約1000コピーであった。リアルタイムRT-PCRアッセイが血漿1 ml当たり1〜1000コピーを検出した試料は、定量限界未満であるが、HDV-RNA陽性と考えられた。
【0051】
イントラアッセイ再現性を、2つのアプローチから評価した。まず、反応当たり10〜107コピーの範囲の10倍の標準希釈の8つの重複を、同じ実験において試験した。CTの変動係数(CV)は、0.4%〜2.6%の範囲であり、表3に報告する。
【0052】
【表3】

【0053】
次に、7つの血清試料(27〜33の番号を付す−表1)の3つの重複を、同じ実験におけるRNA抽出、cDNA合成及びリアルタイムPCRに独立して供した。試料の平均ウイルス量は、70〜21500コピーの範囲であり、CVは1.8%〜25%の範囲であった(表4)。
【0054】
【表4】

【0055】
アッセイ間の変動を評価するために、4つの血清試料(34〜37の番号を付す)から3回、3人の異なるオペレータにより、異なる3日でRNAを抽出した。試料の平均ウイルス量は17〜2200コピーの範囲であり、CVは3.3%〜25.4%の範囲であった(表5)。
【0056】
【表5】

【0057】
リアルタイムPCRアッセイ及び定性アッセイを、感度の点で比較した。3つの異なる血清試料(38〜40の番号を付す)から得られた3つのcDNAを、各アッセイの終点の希釈値を決定するために希釈した。精製したcDNAを、次のように希釈した:1/2、1/5、1/10、1/25、1/50、1/100、1/250、1/500、1/1000、1/5000及び1/10000。そして、各希釈を定性及び定量の両方のアッセイで並行して試験した。定性アッセイでは、アガロースゲルのエチジウムブロミドでの染色後に目に見える最後の希釈は、試料38については1/100であり、試料39及び40については1/1000であった。リアルタイムPCRアッセイでは、終点希釈は、試料38、39及び40についてそれぞれ1/500、1/1000および1/5000であり、定量アッセイは定性アッセイと少なくとも同程度に感度が高いことが示唆された(図3)。
【0058】
実施例3:血液試料中でのHDV-RNAの定量
血清中の異なるクレードのHDV-RNAを定量するアッセイの能力を、41〜84の番号を付した44個の血清試料中のHDV-RNAの検出により確かめた(図4)。HDV-1ウイルスで得られたウイルス量の範囲とその他の型のウイルスで得られたウイルス量の範囲との間に著しい違いは見られず、該アッセイは、いずれのHDVの検出及び定量にも適合することが示唆された。41〜63の番号を付した23個のHDV-1試料を試験し、2〜986000コピー/10μl cDNAの範囲で、平均コピー数が1950であった。HDV-2 (n=1)、5 (n=6)、6 (n=4)及び7 (n=5)を含有する血清試料も試験し、2〜1000000コピー/10μl cDNAの範囲で、平均ウイルス量が1300であった。同じ試料を定性アッセイを用いて試験し、エチジウムブロミド染色バンドの強度は、≧500コピー/10μl cDNAのウイルス量の全ての試料について同じに見えた(結果示さず)。
【0059】
アッセイのHDV-3 RNAを検出する能力は、乾燥した血液スポットの溶出後に得られ、かつ定性アッセイでHDV-RNAについて陽性であることが見出された試料80〜84を用いて評価した(但し、試料82〜84についてはエチジウムブロミドで染色したアガロースゲルでわずかなシグナルしか検出されなかった-表6)。
【0060】
【表6】

【0061】
これらの試料の性質を考慮して、リアルタイムRT-PCRアッセイで得られた定量的結果は、参酌しなかった。試料80及び81からのHDV-RNAは、フォワードプライマーとしてDelta-F (配列番号1)又はT3Delta-F (配列番号3)のいずれかを用いて検出した。試料82及び83について、HDV-RNAは、プライマーT3Delta-F (配列番号3)のみを用いて検出し、試料84は、どちらの条件下でも陰性のままであった(表6)。しかし、血漿試料から直接得られたウイルスRNAが、よりよい結果を与えたであろうことが予測できる。
【0062】
実施例4:慢性感染患者におけるHDV-RNAの定量
リアルタイムRT-PCRアッセイを、慢性デルタ型肝炎についてIFNを受けた感染患者の血漿中のHDVウイルス量の進展を追跡する手段として評価した。実験室において定性RT-PCRを用いて以前に試験した一連の試料が利用可能な11人の患者について、このフォローアップを考慮した。血漿1 ml当たりのコピー数のlog10として表されるウイルス量を、図5に報告する。
【0063】
患者の3つの群が認められた。第1群において(図5A)、ウイルス量の進展は、治療の期間中に少なくとも5 log10/mlの減少であり、IFN療法に対して好ましい答えを示した。患者A及びBについて、HDV-RNAは、治療の終了時に定性及び定量の両方のアッセイにおいて検出できないことが見出された。2002年12月から2003年12月までPEG-IFNを受けた患者Cは、ウイルス量が劇的に減少したが、治療の終了後2ヶ月でも検出可能であり、以前のIFN治療に応答しなかった患者Dは、PEG-IFNに応答した(1 ml当たり5 log10コピーの損失)。これらの2つの場合において、HDV RNAは、ウイルス学的応答の徴候なしに、定性アッセイを用いて検出可能なままであった。
【0064】
患者の第2群において(図5B)、PEG-IFN療法の下でのウイルス量の減少は、2.5 log10コピー/mlを超えなかった。治療の初期に6.5 log10コピー/mlのウイルス量を示した患者E、F、H及びI、並びに患者H及びIは、HIVに同時感染していた(表2)。
【0065】
患者J及びKの場合は、個別に解釈するべきである(図5C)。HBVに慢性的に感染している患者Jは、2001年9月までHDVマーカーに陰性であり、HDVの重複感染が2000年6月から2001年9月の間に起こったことを示唆する。2001年12月に、ウイルスRNAは検出できず、自然発生的なウイルス中和が示唆された。しかし、2002年10月に、ウイルス量は5.5 log10コピー/mlまで戻った。次いで、2003年2月にPEG-IFNでの治療が開始され、ウイルス量が迅速に減少し、それ以来、ウイルス量は定量及び定性アッセイの両方で検出できないままである。1999年にSTD-IFNを受けたが成功しなかった患者Kは、治療中であった2001年に肝癌を発生した。この患者は、2002年5月に肝臓移植を受け、彼のウイルス量は、それ以来、検出できないままである。
【0066】
一連の血漿試料が入手可能であり、かつHDVに慢性的に感染している11人の患者を、HDVウイルス量の観点で評価した。IFNに対するウイルス学的応答の2つのパターンが認められた。第1群において、ウイルス量の著しい減少(少なくとも5 log10/ml)が、治療の期間中に観察され、患者A及びBを、1年間のPEG-IFN治療に対する「応答者」と分類することを可能にした。患者Cについて、治療の期間中に実験室において行った定性RT-PCRは、常に陽性のままであり、ウイルス応答の証拠が得られなかった。しかし、PCRの定量的結果を考慮すると、この患者は明らかに応答していた(5.5 log10/mlの減少)。治療は1年後に終了したが、定量的結果が入手可能であれば、おそらく追跡したであろう。患者Dの場合、患者は以前の1年間のIFNでの治療に耐性のままであったが、HDV-RNA量の著しい減少が、PEG-IFN治療の期間中に観察された。このことは、慢性デルタ型肝炎の治療についてのPEG-IFNのよりよい効能を示し、定量RT-PCRアッセイがこの点を評価するのに有用であろう。患者E〜Iは、PEG-IFNに対して「非応答者」のままであり、その他の因子により治療の成功が妨げられたことを示す。例えば、初期のウイルス量は、非応答者の群では全体的により高く(P=0.05)、このことは、用量及び持続期間の点において、ベースラインのウイルス量が治療の有効性を予期し、治療管理において考慮できることを示し得る。
【0067】
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【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】HDVゲノムの概略図である。
【図2】HDVゲノムのリボザイム領域(Perrottaら41による)内で設計されたプライマー及びプローブを示す。
【図3】定性及び定量のRT-PCRアッセイの感度の比較を表す。
【図4】種々のHDVクレードの一団から得られた一連のウイルス量を示す。
【図5】慢性的に感染した患者でのHDV-RNA定量を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1) 生体試料からHDV-RNAを抽出する工程と、
(2)
- 前記HDV-RNAに対応するcDNAを、以下のプライマー対:
(a) Delta-F (ダイレクトプライマー):5'-GCATGGTCCCAGCCTCC-3'(配列番号1)とDelta-R (リバースプライマー):5'-TCTTCGGGTCGGCATGG-3' (配列番号2)及び
(b) T3-Delta-F (ダイレクトプライマー):5'-GCATGGCCCCAGCCTCC-3' (配列番号3)とDelta-R (リバースプライマー):5'-TCTTCGGGTCGGCATGG-3' (配列番号2)
からなる群より選択される少なくとも1対のプライマーの存在下で増幅させ;そして
- 形成されたアンプリコンの量を検出し、前記量を少なくともコントロール試料と比較する
ことを含む、リアルタイムRT-PCR定量化により前記HDV-RNAの量を測定する工程と
を含むことを特徴とする生体試料中のHDV-RNAを検出する方法。
【請求項2】
前記検出が、次の配列:5'- ATGCCCAGGTCGGAC-3' (配列番号4)により規定される蛍光発生プローブ[Delta-P (プローブ)]の存在下で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検出工程が、コントロール試料として、HDVゲノムの位置305〜1161に対応する該ゲノムのR'1領域、前記ゲノムの位置692〜904を含む前記領域R'1のフラグメント及びHDVのゲノム全体からなる群より選択されるポジティブコントロール試料を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記検出工程が、コントロール試料として、請求項3で規定されるポジティブコントロール試料とネガティブコントロールとを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記蛍光発生プローブが、蛍光色素によりその末端の1つで少なくとも標識されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
生体試料からHDV-RNAを抽出し、それに対応するcDNAを合成し、そして前記cDNAを増幅するために必要な緩衝液及び試薬のほかに、請求項1で規定される少なくとも2対のプライマーを含むことを特徴とする検出キット。
【請求項7】
- 請求項2で規定される蛍光発生プローブと、
- 請求項3で規定されるポジティブコントロール試料と、
- ネガティブコントロールと
をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の検出キット。
【請求項8】
前記蛍光発生プローブが、その5'末端にて蛍光レポーター色素で、及びその3'末端にて消光色素及びMGB基で標識されていることを特徴とする請求項7に記載の検出キット。
【請求項9】
配列番号1と配列番号2のプライマー対、及び配列番号3と配列番号2のプライマー対からなる群より選択される、いずれのHDVゲノムを増幅可能なプライマー対。
【請求項10】
配列番号4で規定される、請求項9で規定されるプライマーの1対により増幅される核酸フラグメントに特異的なプローブ。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−508874(P2008−508874A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524424(P2007−524424)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【国際出願番号】PCT/IB2005/002628
【国際公開番号】WO2006/016274
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(500257447)
【氏名又は名称原語表記】ASSISTANCE PUBLIQUE−HOPITAUX DE PARIS
【住所又は居所原語表記】3,avenue Victoria,F−75004 Paris,FRANCE
【Fターム(参考)】