説明

リグノセルロースをベースとする微粒状材料からなる成形体の製造

本発明は、リグノセルロースをベースとする微粒状材料からなる成形体の製造法ならびにこれにより得られる成形体に関する。さらに本発明は、成形体の製造のために、少なくとも1つの架橋性尿素化合物を含有する水性組成物で処理された微粒状材料を製造するための前記水性組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リグノセルロースをベースとする微粒状材料からなる成形体の製造法ならびにこれにより得られる成形体に関する。さらに本発明は、成形体を製造するための、少なくとも1つの架橋性尿素化合物を含有する水性組成物により処理された微粒状材料を製造するための前記水性組成物の使用に関する。
【0002】
リグノセルロースをベースとする微粒状材料をベースとする成形体(以下で同様にリグノセルロース粒子をベースとする成形体)、例えば木材粒子をベースとするものは、建築材料として建築および家具の分野で幅広く使用される。一般にそれらの製造は、リグノセルロース粒子と、バインダーポリマーの液体の、通常は水性の組成物との接着剤塗布(Beleimen)、そのように接着剤塗布された材料の形状付与および硬化により行われる。硬化に際して、場合によりバインダーの架橋下で微粒状材料の接着結合が生じ、それにより成形体はその安定性を得る。木材プラスチック複合体(Wood−Plastic−Composites=WPC)の場合、微粒状材料はプラスチックマトリックス中に埋め込まれる。リグノセルロース粒子をベースとする慣例の成形体の型およびそれらの製造法についての概観は、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、CD−ROM、Wiley−VCH、Weinheim 1997の中のH.H.Nimz他、"Wood−Wood−based Materials"により示される。大量生産される製品として、微細なリグノセルロース粒子をベースとする成形体は莫大なコスト圧迫下にある。
【0003】
リグノセルロース粒子をベースとする成形体における中心的な問題は、それらの頻繁に中程度に過ぎない〜低い耐水性である。これは、水との接触に際してまたは湿潤雰囲気において、例えば水を細胞壁中に組み込むリグノセルロース粒子の性質から結果的に生じる。これにより成形体は膨潤しかつそれらの機械的強度は減少する。加えて、リグノセルロース粒子をベースとする成形体は、殊に湿潤状態において、木材分解菌または木材変色菌、殊に微生物から被害を受け、そのため相応する殺菌剤および殺虫剤による成形体の処理が不可欠となる。これは他方で、僅かとは言えないコスト要因を生み出しかつまた環境面からも欠点である。
【0004】
耐久性の改善のために、頻繁に、木材および相当するリグノセルロースベース材料は、例えばワックスを含有する浸漬剤で処理することにより撥水加工される。これにより、材料の細孔中への水の浸透が困難となる。
【0005】
木材材料、例えばパーティクルボードおよび繊維ボードの寸法安定性、および木材腐朽菌に対するそれらの安定性を、無水物、例えば無水酢酸を用いた木材粒子のアセチル化により改善することが提案された(EP−A213252およびその中で引用された文献ならびにRowell他、Wood and Fiber Science、21(1)、第67頁〜第79頁を参照のこと)。欠点なのは、処理の高いコストおよびそのように処理された材料の不快な特異臭であり、そのためこれらの処置は市場において定着していない。
【0006】
他の化学物質、例えばイソシアネート、シロキサンおよびアクリルアミドも、リグノセルロース繊維の変性のために提案された(J.Appl.Polym.Sci.、73(1999)2493〜2505)。しかしながら、全体としてこれらの処置も要求を満たしえない
【0007】
WO2004/033170およびWO2004/033171は、無垢木材からの木材の耐久性、寸法安定性および表面硬化の改善のための、ヒドロキシメチル変性尿素誘導体またはアルコキシメチル変性尿素誘導体、例えば1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、アルコールで変性されたビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジノン、1,3−ビス(ジヒドロキシメチル)尿素、1,3−ビス(メトキシメチル)尿素、1−ヒドロキシメチル−3−メチル尿素、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾリジン−2−オン、1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オンまたはテトラ(ヒドロキシメチル)アセチレンジ尿素をベースとする含浸剤の使用を記載する。微粒状リグノセルロース材料をベースとする成形体の寸法安定性の問題点は言及されない。
【0008】
それに応じて、本発明の基礎をなす課題は、改善された寸法安定性を有する成形体を湿潤作用下で製造することができる、リグノセルロースをベースとする微粒状材料を提供することである。さらに、この微粒状材料は、大量生産される製品、例えば繊維ボードおよびパーティクルボードの製造における使用に鑑みて経済的に製造されうるべきである。
【0009】
意想外にも、該課題およびさらに他の課題が、少なくとも1つの架橋性尿素化合物を包含する水性組成物で処理された、リグノセルロースをベースとする微粒状材料により解決されうることが判明し、その際、架橋性尿素化合物は、式CHOR(式中、Rは水素またはC−Cアルキルである)の少なくとも1つのN−結合基、および/または尿素の2つの窒素原子を架橋する1,2−ビスヒドロキシエタン−1,2−ジイル基を有する尿素化合物H、尿素化合物Hの初期縮合物、および尿素化合物Hと、C〜Cアルカノール、C〜Cポリオールおよびオリゴエチレングリコールの中から選択されている少なくとも1つのアルコールとの反応生成物または混合物の中から選択される。
【0010】
以下でリグノセルロースをベースとする微粒状材料はまた、微粒状リグノセルロース材料またはリグノセルロース粒子と短く記載される。それに応じて、本発明により処理されたリグノセルロースをベースとする微粒状材料はまた、処理されたもしくは本発明による微粒状リグノセルロース材料もしくは処理されたもしくは本発明によるリグノセルロース粒子と記載され、かつ未処理のリグノセルロースをベースとする微粒状材料はまた、未処理の微粒状リグノセルロース材料もしくは未処理のリグノセルロース粒子と記載される。
【0011】
処理とは、水性組成物での未処理の微粒状リグノセルロース材料の含浸もしくは浸漬、および場合により、含浸された材料もしくは含浸された材料により吸収された硬化性成分の乾燥および/または硬化と理解される。
【0012】
架橋性尿素化合物の水性組成物で含浸され、かつ尿素化合物の架橋(硬化)が行われるように処理された微粒状リグノセルロース材料は、通常のその後の加工に際して、優れた機械的特性を、殊に改善された形状安定性もしくは寸法安定性を、つまり湿気との接触に際しての比較的僅かな膨潤を、かつ比較的高い表面硬化を特徴とする成形体を供給する。さらに、該成形体は、木材腐朽微生物、例えば有害な木材腐朽菌類および木材腐朽細菌による被害をあまり被らず、それにより相応する殺菌剤および殺虫剤にかかる費用が減少され、かつそれどころか頻繁に回避されうる。その際、水性組成物の架橋性尿素化合物の架橋は、含浸に続けて、選択的に独立した乾燥/硬化工程において高められた温度でかつ/または成形体製造のための通常のバインダーによる接着剤塗布による引き続く形状付与法に際して、場合により尿素化合物の硬化を促進する触媒の添加により行われる。
【0013】
それに応じて、本発明の第一の対象は、式CHOR(式中、Rは水素またはC〜Cアルキルである)の少なくとも1つのN−結合基、および/または尿素の2つの窒素原子を架橋する1,2−ビスヒドロキシエタン−1,2−ジイル基を有する尿素化合物H、尿素化合物Hの初期縮合物、および尿素化合物Hと、C〜Cアルカノール、C〜Cポリオールおよびオリゴエチレングリコールの中から選択されている少なくとも1つのアルコールとの反応生成物または混合物の群からの少なくとも1つの架橋性尿素化合物を含有する水性組成物により処理されたリグノセルロースをベースとする、成形体を製造するための微粒状材料を製造するための前記水性組成物の使用である。
【0014】
そのうえ本発明は、そうして得られた処理されたリグノセルロース材料および成形体の製造のためのそれらの使用に関する。さらに本発明は、この種類の含浸されたリグノセルロース材料の使用下で製造された成形体に関する。
【0015】
問題となる種類の架橋性尿素化合物の水性組成物は、例えば冒頭で引用されたWO2004/033170およびWO2004/033171から、ならびにUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、CD−ROM版、Wiley−VCH、Weinheim 1997の中のK.Fisher他、"Textile Auxiliaries−Finishing Agents"第7.2.2章およびそこで引用された文献、例えばUS2,731,364およびUS2,930,715から公知であり、かつ通常はテキスタイル加工のための架橋剤として使用される。尿素化合物とアルコールとの反応生成物、例えば変性1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジノン−2(mDMDHEU)は、例えばUS4,396,391およびWO98/29393から公知である。その他の点では、尿素化合物Hならびにそれらの反応生成物および初期縮合物は商業的に得られ、例えばBASF Aktiengesellschaftの商品名Fixapret(R)CPおよびFixapret(R)ECOの中から得られる。
【0016】
水性組成物中に含有される尿素化合物は、低分子量化合物または比較的低い分子量を有するオリゴマーであって、それらは一般に水中で完全に溶解して存在する。通常、尿素化合物の分子量は400ダルトンを下回る。想定されるのは、該化合物がこれらの性質に基づきリグノセルロース粒子の細胞壁中に組み込まれえ、かつ硬化に際して細胞壁の機械的安定性を改善しかつ水により引き起こされるそれらの膨潤を減少させることである。
【0017】
硬化性水性組成物の架橋性尿素化合物のための例は、以下のものであるがそれらに制限されるべきではない:
−1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(DMDHEU)、
−C〜Cアルカノール、C〜Cポリオール、オリゴエチレングリコールで変性されている1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(変性DMDHEUもしくはmDMDHEU)、
−1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、
−1,3−ビス(メトキシメチル)尿素、
−1−ヒドロキシメチル−3−メチル尿素、
−1,3−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾリジン−2−オン(ジメチロールエチレン尿素)、
−1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−ヘキサヒドロピリミジン−2−オン(ジメチロールプロピレン尿素)、
−1,3−ビス(メトキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(DMeDHEU)および
−テトラ(ヒドロキシメチル)アセチレンジ尿素。
【0018】
本発明の有利な一実施態様において、架橋性尿素化合物は、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オンおよびC〜Cアルカノール、C〜Cポリオール、オリゴエチレングリコールで変性された1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オンの中から選択される。
【0019】
mDMDHEUは、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジノン−2とC〜Cアルカノール、C〜Cポリオール、オリゴエチレングリコールまたはこれらのアルコールの混合物との反応生成物である。適切なC〜Cアルカノールは、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノールおよびn−ペンタノールであり、有利なのはメタノールである。適切なポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコールおよび1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールおよび1,4−ブチレングリコール、グリセリンである。適切なオリゴエチレングリコールは、殊に2〜20のnを有する式HO(CHCHO)のものであって、その中でもジエチレングリコールおよびトリエチレングリコールが有利である。mDMDHEUの製造のために、DMDHEUはアルカノール、ポリオールまたはポリエチレングリコールと混合される。この場合、通常、1価のアルコール、ポリオール、またはオリゴ−もしくはポリエチレングリコールは、DMDHEUに対してそのつどモル当量0.1〜2.0、殊に0.2〜2の比において使用される。DMDHEU、ポリオールまたはポリエチレングリコールからの混合物は、通常、水中で、有利には20〜70℃の温度および有利には1〜2.5のpH値で反応させられ、その際、一般にpH値は反応後に4〜8の範囲に設定される。
【0020】
硬化性水性組成物は、尿素化合物Hまたは該化合物の反応生成物または初期縮合物(成分A)の他にまた前記アルコール、C〜Cアルカノール、C〜Cポリオール、オリゴエチレングリコールの1つ以上またはこれらのアルコールの混合物も含有してよい(成分C)。適切なC〜Cアルカノールは、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノールおよびn−ペンタノールであり、有利なのはメタノールである。適切なポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコールおよび1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、および1,4−ブチレングリコール、グリセリンである。適切なオリゴエチレングリコールは、殊に2〜20のnを有する式HO(CHCHO)のものであって、その中でもジエチレングリコールおよびトリエチレングリコールが有利である。
【0021】
尿素化合物Hもしくはその反応生成物または初期縮合物の水性組成物中での濃度は、組成物の全質量に対して、通常1〜60質量%の範囲に、頻繁に10〜60質量%の範囲にかつ殊に15〜50質量%の範囲にある。硬化性水性組成物が前記アルコールの1つを含有する場合、その濃度は、有利には1〜50質量%の範囲に、殊に5〜40質量%の範囲にある。成分A)および成分C)の全量は、通常、水性組成物の全質量の10〜60質量%および殊に20〜50質量%となる。
【0022】
水性組成物は、成分A)および場合によりC)の他に、尿素化合物Hもしくはその反応生成物または初期縮合物の架橋を引き起こす触媒Kも含有してよい。一般に、触媒Kとして、金属ハロゲン化物、金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属リン酸塩、金属テトラフルオロホウ酸塩の群からの金属塩;三フッ化ホウ素;ハロゲン化アンモニウム、硫酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウムおよびリン酸二アンモニウムの群からのアンモニウム塩;ならびに有機カルボン酸、有機スルホン酸、ホウ酸、硫酸および塩酸が適している。
【0023】
触媒Kとして適切な金属塩のための例は、殊に塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化亜鉛、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸亜鉛およびテトラフルオロホウ酸ナトリウムである。
【0024】
触媒Kとして適切なアンモニウム塩のための例は、殊に塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウムおよびリン酸二アンモニウムである。
【0025】
触媒Kとして、殊に水溶性の有機カルボン酸、例えばマレイン酸、ギ酸、クエン酸、酒石酸およびシュウ酸、そのうえベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸も、しかしまた無機酸、例えば塩酸、硫酸、ホウ酸またはその混合物も適している。
【0026】
有利には、触媒Kは、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウムまたはその混合物の中から選択され、その際、塩化マグネシウムがとりわけ有利である。
【0027】
通常、触媒Kは、リグノセルロース材料の含浸の少し前に初めて水性組成物に添加される。通常、それは、硬化性水性組成物中に含有される成分A)および場合によりC)の全質量に対して1〜20質量%、殊に2〜10質量%の量において使用される。通常、硬化性水性組成物の全質量に対して、触媒の濃度は、0.1〜10質量%の範囲および0.5〜5質量%の範囲にある。
【0028】
そのうえ、含浸するのに使用される水性組成物は、成形体の製造のために必要なバインダーの一部または全量を含有してよく、該バインダーはさらに以下で詳細に説明される。所望される場合、水性組成物中のバインダーの濃度は、水性組成物の全質量に対して通常0.5〜25質量%の範囲、頻繁に1〜20質量%の範囲および殊に5〜15質量%の範囲にあり、かつ乾燥接着剤成分(dry glue components)として計算される(つまり、場合によって生じうるバインダーの溶剤成分または希釈剤成分を含まない)。
【0029】
接着剤組成物のバインダー成分は、架橋性尿素化合物、触媒Kおよび場合により存在する成分C)のアルコールとは異なり、リグノセルロース粒子の細胞壁に吸収されないかまたは僅かな程度においてしか吸収されず、粒子の表面上に大部分が残留しかつそれゆえ引き続く成形体の製造の形状付与プロセスにおいてバインダーとして使用されうると想定される。
【0030】
原則的に、水性組成物で含浸されたリグノセルロースをベースとする微粒状材料の製造は、2つの異なった方法で行われる。
【0031】
そのため、本発明の第一の実施態様に従って、リグノセルロースをベースとする粗粒状の未処理の材料、例えば木材ブロックを、触媒Kを含有する水性組成物により、WO2004/033170もしくはWO2004033171の中で記載された方法で処理し、引き続き、例えば細断することにより、繊維状にほぐすことによりまたは磨砕することにより粉砕してよく、またはそうして得られた材料の加工またはリサイクリングに際して発生する処理された木材くずまたは木材繊維を獲得することができる。
【0032】
しかしながら、有利には、リグノセルロースをベースとする未処理の微粒状材料は、硬化性水性組成物および触媒Kにより含浸され、引き続き、組成物中に含有される尿素化合物の架橋ひいては組成物の硬化を引き起こす条件に供される。水性組成物および触媒Kは、1つの組成物において一緒にまたは2つの別個の組成物において、リグノセルロースをベースとする未処理の微粒状材料に施与される。しかしながら、通常、施与前に触媒Kは水性組成物中に組み込まれる。しかしながら、リグノセルロースをベースとする微粒状材料を、触媒Kを溶解した形で含有する第一の水性配合物、および架橋性尿素化合物と場合によりアルコール成分C)とを含有する第二の水性組成物とで同時にまたは連続して含浸することも考えられる。
【0033】
未処理の微粒状リグノセルロース材料の種類は、公知の方法において製造されるべき成形体に従う。適切な微粒状リグノセルロース材料のための例は、それらに制限されることなく、木材、例えば木材くず、例えば細断された丸材および丸太、細断された産業用木材および産業用の残余木材、製材廃棄物および合板廃棄物、加工熱処理により蒸解された木材からのくず、かんなくずおよびはく皮くず、木材チップおよび木材片、そのうえ木材を異にするリグノセルロースを含有する原材料、例えば竹、バガス、綿の茎、黄麻、サイザル麻、藁、亜麻、ココナッツ繊維、バナナ繊維、リード、例えばススキ、ラミー、麻、マニラ麻、エスパルト(アルファグラス)、もみ殻およびコルクを包含する。
【0034】
その際、未処理の微粒状リグノセルロース材料は、おがくずおよびかんなくず、繊維および/または片材を含めた、顆粒、細粉、または有利にはくずの形で存在してよい。これらの中で、木材および竹、例えば木材繊維、木材くず、木材チップおよび木材片もしくは竹繊維、竹片および竹くずおよびその混合物からの材料がとりわけ有利である。殊に、それは木材からの微粒状材料である。微粒状材料を構成する木材の種類は、例えば針葉樹、例えばベイマツ、トウヒ、マツ、カラマツ、カサマツ、モミ、スギ、ヨーロッパハイマツ、および広葉樹、例えばカエデ、アカシア、カバノキ、ブナノキ、オーク、ハンノキ、トネリコ、ヤマナラシ、ハシバミ、クマシデ、サクラ、ライム、ポプラ、ハリエンジュ、ニレ、クルミノキ、ヤナギ、トルコガシ等である。
【0035】
少なくとも90%の微粒状リグノセルロース材料が有する大きさ、つまり寸法(長さ、厚さ)は、通常0.1〜20mm、殊に0.5〜10mmおよび特に1〜5mmの範囲にあり、その際、長さ/幅の比>5を有する方形に形成された微粒状材料の場合、少なくとも90%の粒子が有する長さは、また10mmを超えてもよくかつ200mmまでであってよい。方形粒子の平均幅もしくは厚さは、典型的には0.1〜10mmの範囲に、殊に0.2〜5mmの範囲にかつ特に0.3〜3mmの範囲にある。
【0036】
リグノセルロースをベースとする未処理の微粒状材料の含浸もしくは浸漬は、例えば水性組成物中へ繊維を浸すことにより、真空の適用により、場合により圧力との組み合わせにおいて、または噴霧により実施されうる。一般に条件は、水性組成物の硬化性成分の吸収される量が、未処理の材料の乾燥物に対して少なくとも1質量%であるように選択される。硬化性成分の吸収される量は、未処理のリグノセルロース材料の乾燥物に対して100質量%までであってよくかつ使用される未処理の材料の乾燥物に対して頻繁に1〜60質量%の範囲に、有利には5〜50質量%の範囲に、かつ殊に10〜30質量%の範囲にある。通常、含浸は、周囲温度で、典型的には15〜40℃の範囲で行われる。
【0037】
浸漬に使用される未処理のリグノセルロース材料の湿分は重要ではなく、かつ例えば100%までであってよい。ここにおいておよび以下で、"湿分"という概念は、DIN52183による概念の残留湿分含有率と同義である。頻繁に、それは1〜80%および殊に5〜50%の範囲にある。
【0038】
浸すのに際して、有利には1〜100%の範囲の湿分を有する未処理の微粒状リグノセルロース材料は、数秒〜12時間、殊に1分〜60分の時間にわたって容器中で水性組成物中に浸されるかまたはこの中で懸濁される。この場合、微粒状リグノセルロース材料は水性の含浸組成物を有し、その際、水性組成物中の硬化性成分(つまり成分A)およびC))の濃度により、温度および処理時間により、微粒状リグノセルロース材料により吸収される硬化性成分の量は制御されうる。実際に吸収された硬化性成分の量は、当業者により容易な方法で、微粒状リグノセルロース材料の質量増加および水性組成物の濃度を介して算出されうる。
【0039】
含浸はまた、減少された圧力の適用により達成されえ、その際、場合により、高められた圧力による段階が続いてよい。このために、頻繁に10〜500mbarの範囲および殊に50〜100mbarの範囲にある減少された圧力下の微粒状リグノセルロース材料が、水性組成物と、例えば硬化性水性組成物中に浸すかまたは懸濁させることにより反応させられる。時間の長さは、通常1分〜1時間の範囲にある。場合により、高められた圧力での、例えば1bar〜20barの範囲における段階が続いてよい。この段階の時間は、通常1分〜6時間、殊に5分〜1時間の範囲にある。この場合、微粒状リグノセルロース材料は水性の含浸組成物を有し、その際、水性組成物中の硬化性成分の濃度により、適用された圧力により、温度および処理時間により、微粒状リグノセルロース材料により吸収される硬化性成分の量が制御されうる。実際に吸収された量は、ここでも微粒状リグノセルロース材料の質量増加を介して計算されうる。
【0040】
本発明のさらに他の一実施態様において、含浸は、水性組成物による未処理のリグノセルロース粒子の噴霧により行われる。有利には、リグノセルロース粒子は50%以下の、例えば1%〜30%の範囲の湿分を有する。噴霧は、通常15〜50℃の範囲の温度で行われる。水性組成物中の硬化性成分の濃度により、施与された量により、温度によりかつ噴霧の時間により、微粒状リグノセルロース材料により吸収される硬化性成分の量が制御されうる。実際に吸収された硬化性成分の量は、噴霧された水性組成物の量から直接もたらされる。噴霧は、通常の方法において、固体の噴霧のために適した全ての装置において、例えばスプレー塔、流動床装置等において行ってよい。
【0041】
含浸は、超音波を用いて行ってもよい。
【0042】
そうして得られた含浸された微細なリグノセルロース粒子は、場合により乾燥工程および/または硬化工程によるその後の加工により成形体にされる。
【0043】
大抵の場合、その後の加工は、未処理の微粒状材料と液体または粉末状のバインダーの配合物との接着剤塗布、および成形体にするための、接着剤塗布された材料の形状付与と硬化を包含する。その他の場合、例えばWPC’sの製造に際して、その後の加工は、工程i)で得られた材料と熱可塑性ポリマーとの混合および混合物の形状付与を包含する。この場合、工程i)における製造は、通常、含浸工程および乾燥工程または硬化工程を包含する。
【0044】
それゆえ本発明はまた、リグノセルロースをベースとする微粒状材料からなる成形体の製造法に関し、該製造法は、
i)ここに記載された硬化性水性組成物により含浸されかつ場合により硬化されたリグノセルロースをベースとする微粒状材料の準備、
ii)工程i)で得られたリグノセルロースをベースとする微粒状材料またはそれと他の微粒状材料との混合物と、液体または粉末状のバインダーの配合物との接着剤塗布;および
iii)成形体にするための、接着剤塗布された微粒状材料の形状付与および硬化、
または
ii’)工程i)で得られた処理された、有利には乾燥されたかつ/または硬化されたリグノセルロースをベースとする微粒状材料と、熱可塑性ポリマーとの混合および
iii’)成形体にするための、混合物の形状付与
を包含する。
【0045】
さらに本発明は、該方法により得られる成形体に関する。
【0046】
処理された微粒状リグノセルロース材料の準備が未処理のリグノセルロース材料の含浸を包含する場合、工程i)における含浸に続けてかつ工程ii)における接着剤塗布の前に、乾燥工程、以下でまた前乾燥工程も実施してよい。この場合、尿素化合物の硬化/架橋において反応しない水性組成物の揮発性成分、殊に水および過剰の有機溶剤が、部分的にまたは完全に除去される。加えて、選択される乾燥温度に依存して、組成物中に含有される硬化性成分の部分的なまたは完全な硬化/架橋を行ってよい。含浸された材料の前乾燥/硬化は、通常、50℃〜220℃の温度で、殊に80〜200℃の範囲において行われる。硬化が所望される場合、有利には乾燥は100℃を上回って行われる。硬化/乾燥は、従来の新鮮空気式/排気式空調(fresh air/exhaust air system)において、例えば回転乾燥機中で実施されうる。有利には、前乾燥は、微粒状リグノセルロース材料の湿分含有率が前乾燥後に乾燥物に対して30%以下、殊に20%以下であるように行われる。乾燥物に対して<10%および殊に<5%の湿分含有率にまで乾燥/硬化を運転に掛けることが有利でありうる。湿分含有率は、温度、時間および前乾燥に際して選択される圧力により容易な方法で制御されうる。
【0047】
しかしながら、前乾燥工程は原則的に必要ではなく、かつ揮発性成分の除去および水性組成物の硬化性成分の架橋はまた工程ii)における接着剤塗布に続けて行ってよくまたは形状付与工程および硬化工程iii)において行われうる。そのような処理方法は、方法簡素化の利点を有するだけでなく、比較的短い接着剤塗布および形状付与時間を可能にする。それゆえ、有利な一実施態様において、有利には、別個に設けられた乾燥工程は実施されず、かつ接着剤塗布は含浸に続けて直ぐにかまたはそれと同時に行われる。
【0048】
水性組成物がすでに成形体を製造するために十分なバインダーの量を含有する場合、処理工程i)および接着剤塗布ii)は時間的に重なり、かつ揮発性成分の除去および水性組成物の硬化性成分の架橋は形状付与工程および硬化工程iii)において行われる。
【0049】
工程i)において含浸するのに使用される水性組成物が成形体を製造するために十分なバインダーの量を含有しない場合、含浸されたかつ場合により前乾燥されたかつ硬化されたリグノセルロース粒子は、次いで通常の方法において、成形体を製造するために必要とされるバインダーで接着剤塗布される。
【0050】
この接着剤塗布は、通常の方法において行ってよい。場合により、この段階でさらに他の、成形体を形成する微粒状材料、添加剤、触媒または助剤が添加される。
【0051】
バインダーの種類は、公知の方法において製造されるべき成形体の種類に従う。適切なバインダーは、例えばA.Pizzi(Hrsg.):Wood Adhesives、Marcel Dekker、New York 1983の中で記載されている。バインダーのための例は:
i)熱硬化性バインダー(反応性バインダー)、例えばアミノプラスト樹脂、フェノール樹脂、イソシアネート樹脂、エポキシド樹脂およびポリカルボン酸樹脂;
ii)熱可塑性材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン、ポリエステル樹脂;および
iii)フィルム形成ポリマー、例えばスチレンアクリレート、ポリアクリレート(アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル−コポリマー)、ビニルアセテート−ポリマー(ポリビニルアセテート)、スチレン−ブタジエン−コポリマー等をベースとする水性ポリマー分散液。
【0052】
有利なバインダーは、グループi)で記載された熱硬化性バインダー、およびグループiii)のフィルム形成ポリマーとのその混合物であって、その際、熱硬化性バインダーは、有利には、水性配合物の形で使用される。
【0053】
有利なバインダーは、アミノプラスト樹脂、フェノール樹脂、イソシアネート樹脂、ポリビニルアセテートおよびポリカルボン酸樹脂である。
【0054】
アミノプラスト樹脂として、殊に尿素のホルムアルデヒド縮合物(尿素−ホルムアルデヒド−縮合物)ならびにメラミンのホルムアルデヒド縮合物(メラミン−ホルムアルデヒド−縮合物)が適している。それらは水性溶液または粉末としてKaurit(R)ならびにKauramin(R)(製造元BASF)の名称で商業的に得られ、かつ尿素−および/またはメラミン−ホルムアルデヒド−初期縮合物を含有する。典型的なフェノール樹脂は、フェノール−ホルムアルデヒド縮合物、フェノール−レゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物等である。適切なのはまた、アミノプラスト樹脂とフェノール樹脂との混合縮合物である。アミノプラスト樹脂とフェノール樹脂との混合縮合物のための例は、尿素−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、メラミン−尿素−ホルムアルデヒド−フェノール縮合物、ならびにそれらの混合物である。微粒状リグノセルロース材料からなる成形体を製造するためのそれらの製造および使用は一般的に公知である。有利なのは、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、およびその中でも殊に尿素1モル対ホルムアルデヒド1.1〜1.4モルのモル比を有するものである。
【0055】
アミノプラスト樹脂およびフェノール樹脂の加工に際して、可溶性および可融性の初期縮合物から不溶性および不融性の生成物への変換が行われる。硬化と称されるこの過程に際して、公知のように、一般に硬化により加速される初期縮合物の一貫した架橋が生じる。硬化剤として、尿素樹脂、フェノール樹脂および/またはメラミン−ホルムアルデヒド樹脂のための当業者に公知の硬化剤、例えば酸反応性化合物および/または酸分離化合物、例えばアンモニウム塩またはアミン塩を使用してよい。一般に、接着樹脂溶液中の硬化剤割合は液体樹脂割合に対して1〜5質量%である。
【0056】
イソシアネート樹脂として、メチレンジフェニレンイソシアネート(MDI)をベースとする通常の全ての樹脂が適している。それらは一般にモノマーとオリゴマージイソシアネートまたはポリイソシアネートとの混合物、セルロース、リグニンおよびリグノセルロース粒子の湿分と反応することができるいわゆる初期縮合物からなる。適切なイソシアネート樹脂は、例えば商標Lupranat(R)(Elastogran社)として商業的に入手可能である。
【0057】
反応性ポリカルボン酸樹脂のための例は、以下のもの:
i)5〜100質量%、有利には5〜50質量%の割合で、エチレン性不飽和酸無水物または、そのカルボン酸基が無水物基を形成しうるエチレン性不飽和ジカルボン酸、またはアルカノールアミンとのその反応生成物(モノマーa))、およびモノマーa)とは異なるモノマーb)0〜95質量%、有利には50〜95質量%から構成されている、エチレン性不飽和モノマーからのポリマーP;および
ii)少なくとも2つのヒドロキシル基を有する少なくとも1つのアルカノールアミンA−(OH)および/またはアルコキシル化ポリアミンおよび
iii)場合により水不溶性、水分散性のフィルム形成ポリマーP’
を含有する組成物である。
【0058】
反応性ポリカルボン酸樹脂は当業者に公知であり、かつ例えばEP−A−882093、WO97/45461、WO99/09100、WO99/02591、WO01/27163ならびにWO01/27198の中で記載される。
【0059】
とりわけ有利なのは、モノマーa)としてマレイン酸および/または無水マレイン酸を含有するポリマーPである。
【0060】
有利なポリマーb)は、エチレン性不飽和C〜Cモノカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、オレフィン、例えばエテン、プロペン、ブテン、イソブテン、シクロペンテン、ジイソブテン、ビニル芳香族化合物、例えばスチレン、アルキルビニルエーテル、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルアセテート、ブタジエン、アクリロニトリルもしくはそれの混合物である。とりわけ有利なモノマーb)は、アクリル酸、メタクリル酸、エテン、アクリルアミド、スチレンおよびアクリロニトリルもしくはその混合物である。
【0061】
殊に、モノマーb)が少なくとも1つのC〜Cモノカルボン酸、有利にはアクリル酸をコモノマーb)として包含するポリマーPが有利である。
【0062】
成分A−(OH)として、少なくとも2つのOH基を有するアルカノールアミンが使用され、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミンおよびメチルジイソプロパノールアミンが挙げられる。有利なのはトリエタノールアミンである。そのうえ、成分A−(OH)には、WO97/45461の中で記載されるアルコキシル化、殊にエトキシル化ポリアミン、例えばそこで記載される式I、および殊にIa、IeおよびIfの化合物が含まれる。
【0063】
成分P’としてならびにグループiii)のバインダーとして、原則的に、フィルムを形成しかつ水の中で分散可能である、水に溶けない全てのポリマーが考慮に入れられる。これには、殊にエマルジョンポリマーおよびそれから製造された、例えばWO01/27198の中でポリマーA1と称される粉末が含まれる。ポリマーP’は、頻繁に−10〜+150℃の範囲および殊に+20〜+120℃の範囲のガラス転移温度を有する。殊にそれは、スチレン/ブタジエンをベースとする、スチレン/アクリル酸アルキルエステルをベースとするコポリマーおよびメタクリル酸アルキルエステル/アクリル酸アルキルエステルをベースとするものである。
【0064】
ポリカルボン酸樹脂の製造のために、有利には、ポリマーPおよびアルカノールアミンA−(OH)は、成分Pのカルボキシル基と成分A−(OH)のヒドロキシル基とのモル比が20:1〜1:1、有利には8:1〜5:1およびとりわけ有利には5:1〜1.7:1である比において相互に使用される(この場合、無水物基は2つのカルボキシル基として計算される)。
【0065】
通常、バインダーは、処理されたリグノセルロース材料に対して0.5〜30質量%の、頻繁に1〜20質量%の量において、殊に5〜15質量%の量において使用される。
【0066】
グループi)の有利なバインダーはまた、自明のこととして互いの混合物またはグループii)および殊にiii)のバインダーとの混合物においても使用してよい。
【0067】
そのうえ、成形体の製造のために、通常の助剤および混和剤、例えばすでに上で言及された硬化剤、つまりバインダーのより迅速な架橋を引き起こす触媒を使用してよい。
【0068】
助剤には、成形体の耐水性を高めるための、例えば殺菌剤または殺虫剤ならびに撥水剤が含まれる。適切な撥水剤は、通常の水性パラフィン分散剤またはシリコーンである。さらに、製造に際して湿潤剤、増粘剤、可塑剤、歩留向上剤を使用してよい。これらは頻繁にバインダー組成物に添加される。頻繁に、バインダー組成物はまた、カップリング試薬、例えばアルコキシシラン、例えば3−アミノプロピルトリエトキシシラン、潤滑剤としての可溶性または乳化性油および粉塵吸着剤ならびに湿潤助剤も含有する。
【0069】
通常の混和剤は、不活性の充填剤、例えばケイ酸アルミニウム、石英、沈降シリカまたは熱分解法シリカ、セッコウ(Leichtspat)および重晶石、タルク、ドロマイトまたは炭酸カルシウム;着色付与顔料、例えばチタン白、亜鉛白、酸化鉄黒等を包含する。
【0070】
最終的に、成形体の製造に際して、通常の防火剤、例えばケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ホウ酸塩および/またはリン酸塩を使用してよい。
【0071】
接着剤塗布は、このための通常の方法に従って、例えば液体材料と固体材料との混合のための通常の混合装置中での、含浸された微粒状リグノセルロース材料とバインダーとの混合により、空気流中でのリグノセルロース材料の流動化および、有利には液体のバインダー組成物の形におけるバインダーの、そのように生成された繊維流中への噴霧により行われる(ブローライン法)("Blow-Line"-Verfahren)。
【0072】
リグノセルロースを含有する材料とバインダー組成物とからの接着剤塗布された混合物は、形状付与前、揮発性成分の除去のために高められた温度で、例えば10〜200℃の温度で前乾燥してよい。しかしながら、揮発性成分の除去はバインダー組成物の種類に応じて省いてもよく、または形状付与工程中に前乾燥してよい。
【0073】
接着剤塗布および場合により前乾燥に続けて、それ自体公知の方法において一般に高められた温度で、例えば50〜300℃、有利には100〜250℃およびとりわけ有利には140〜225℃の温度で、かつ通常、一般的に2〜200bar、有利には5〜100bar、とりわけ有利には20〜50barの高められた圧力で行われる、形状付与工程が行われる。
【0074】
形状付与の適切な方法は当業者に公知であり、かつ例えば押出法、深絞りおよび殊にホットプレスを包含し、その際、これらの方法は非連続的にまたは連続的に、例えばローラープレス、スライドプレス(Gleitpressen)、カレンダープレス、押出プレス、蒸気噴射プレスとして整えられていてよい。通常の方法についての概観は、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、"Wood−Wood based Materials"第2.3.1章、第2.3.2章および第2.3.3章、第5版、CD−ROM版、Wiley−Verlag−Chemie、Weinheim 1997の中で見られる。
【0075】
形状付与に際して支配する温度および圧力の場合、リグノセルロース粒子の接着結合、およびバインダーの種類に応じて溶融および/またはバインダー成分の架橋が起き、そうして型の冷却および除去に際して安定な成形体が生じる。
【0076】
成形体は任意に付形されていてよく、かつ平面状の成形体、例えばボードまたはマット、または3次元の形態、例えば特別に付形された成形部材を有する。平面状の成形体のための例は、OSBボード(配向性ストラクチュラルボード)(oriented structural board)、パーティクルボード、ウェハーボード、インシュレーションボード、中密度繊維ボード(MDF)および高密度繊維ボード(HDF)を包含する。本発明による成形体にはまた、OSLボードおよびOSL成形部材(配向性ストランドランバー)(Oriented-Strand-Lumber)、ならびにPSLボードおよびPSL成形部材(パラレルストランドランバー)(Parallel-Strand-Lumber)も含まれる。成形体にはまた、WPC(木材プラスチック複合体)からの成形部材も含まれる。
【0077】
本発明による方法は、殊にリグノセルロース材料が木材である成形体の製造に適している。この場合、使用されるリグノセルロースを含有する粒子の大きさに応じて、OSB(配向性ストラクチュラルボード)ボード、パーティクルボード、ウェハーボード、OSLボードおよびOSL成形部材(配向性ストランドランバー)、PSLボードおよびPSL成形部材(パラレルストランドランバー)、インシュレーションボードおよび中密度繊維ボード(MDF)および高密度繊維ボード(HDF)等とが区別される。
【0078】
本発明による方法は、例えばWO96/34045、そこで引用された文献ならびに一般的な方法において、オーストリアのKunststoffzeitschrift 35、2004、10〜13およびKlauditzforum 第5版.6/2004の中で記載されるように、殊にいわゆるWPC(木材プラスチック複合体)の製造にも適している。WPCを製造するのに公知の方法は、類似する方法において本発明により処理されたリグノセルロース材料で実施されうる。
【0079】
WPC’sの製造のために、本発明により処理された微粒状リグノセルロース材料は、まず先に乾燥工程/硬化工程を実施した後、少なくとも1つの熱可塑性プラスチック材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリ−C〜Cオレフィンをベースとする、または塩化ポリビニル、塩化ポリビニリデンのようなポリ−C〜Cハロゲンオレフィンをベースとする熱可塑性ポリマー、または塩化ビニルと塩化ビニリデン、酢酸ビニルおよび/またはC〜Cオレフィンとのコポリマーと混合され、引き続き形状付与プロセス、一般に射出成形法または押出法に供される。その際、熱可塑性ポリマーは、一般に全物質量に対して20〜90質量%および殊に30〜80質量%となる。それに応じて、本発明により処理された微粒状リグノセルロース材料の割合は、WPC’sの全質量に対して10〜80質量%および殊に20〜70質量%の範囲にある。その他に、通常の添加物、例えば接着促進剤(例えばオルガノシラン、無水マレイン酸、イソシアネート)、顔料、光安定剤、潤滑剤または難燃性成分をWPC’sに添加してよい。それに対して殺虫剤の添加は必要ではない。
【0080】
本発明により処理された微粒状リグノセルロース材料は、殊に木材材料、例えばHDF、MDF、OSB、OSLおよびPSLを含めた(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、上記引用文中を参照のこと)木材パーティクルボードおよび木材繊維ボードの製造に適しており、これらは、分割された木材、例えば木材くず、木材片、木材チップおよび/または木材繊維の接着剤塗布により達成される。
【0081】
パーティクルボードの製造は一般的に公知であり、かつ例えばH.J.Deppe,K.Ernst Taschenbuch der Spanplattentechnik,第2版、Leinfelden出版社 1982の中で記載され、かつ本発明による方法において同様に利用されうる。
【0082】
パーティクルボード製造に際して、あらかじめ乾燥されたくずの接着剤塗布は連続混合機中で行われる。大抵の場合、種々のくず部分は分離された混合機中で様々に接着剤塗布され、次いで別々に堆積させられるか(多層ボード)または一緒に堆積させられる。有利には、その平均くず厚さが平均して0.1〜2mm、殊に0.2〜0.5mmであり、かつ水6質量%未満を含有するくずが使用される。バインダー組成物は、例えばそのバインダー組成物を微粒状形でくず上に噴霧することにより可能な限り均一に木材くず上に施与される。接着剤塗布された木材くずは、引き続き可能な限り均一な表面を有する層へと散布され、その際、層の厚さは出来上がったパーティクルボードの所望された厚さに従う。散布層は場合により冷却して前圧縮され、かつ例えば100〜250℃の、有利には140〜225℃の温度で通常10〜750barの圧力の適用により寸法通りのボードに圧縮成形される。必要とされる圧縮時間はさらに別の範囲に変動させてよく、かつ一般的に15秒〜30分である。
【0083】
中密度木材繊維ボード(MDF)の製造のために必要とされる適切な品質の木材繊維は、バーク不含の木材片から、特殊な粉砕機またはいわゆるリファイナー中で約180℃の温度での粉砕により製造されうる。
【0084】
MDFボードおよびHDFボード製造に際して、繊維は、リファイナーによりブローライン中で接着剤塗布される。接着剤塗布のために、木材繊維は一般的に空気流により流動化され、かつバインダー組成物がそのように生成された繊維流中に噴霧される("ブローライン"法)。次いで、接着剤塗布された繊維は乾燥機を通過し、そこで該繊維は1〜20質量%の湿分に乾燥される。場合により繊維はまた最初に乾燥され、後になって特殊な連続混合機中で接着剤塗布される。ブローラインと混合機による接着剤塗布とからの組み合わせもまた可能である。乾燥物含有率もしくは固体含有率に対する、木材繊維対バインダー組成物の比は、通常40:1〜3:1、有利には20:1〜4:1である。接着剤塗布された繊維は、繊維流中において、例えば130〜180℃の温度で乾燥され、繊維フリースへと散布され、場合により冷却して前圧縮され、かつ20〜40barの圧力でボードまたは成形体へと圧縮成形される。
【0085】
OSB製造に際して、木材くず(ストランド)は場合により乾燥後に中間層材料および被覆層材料中で別々に、かつ連続混合機中で別々に接着剤塗布される。ボードの仕上げのために、接着剤塗布された木材くずは、次いでマットへと堆積させられ、場合により冷却して前圧縮され、かつ加熱された圧縮機中において170〜240℃の温度でボードへと圧縮成形される。
【0086】
DE−OS2417243の中で記載されるように接着剤塗布された木材繊維はまた、可搬性の繊維マットに加工されうる。次いでこの半製品に、第二の、時間的および空間的に別々にされた工程においてその後の加工を行ってボードまたは成形部材、例えば自動車のインテリアドアトリムを得ることができる。
【0087】
また他のリグノセルロース材料、例えば天然繊維物質、例えばサイザル、黄麻、麻、ラミー、藁、亜麻、ココナッツ繊維、バナナ繊維および他の天然繊維も公知のバインダーの使用下でボードおよび成形体へと加工されうる。天然繊維物質はまた、プラスチック繊維、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミドまたはポリアクリロニトリルとの混合物中でも使用されうる。その際、これらのプラスチック繊維はまた、上で言及されたバインダー組成物の他にコバインダーとしても作用しうる。その際、プラスチック繊維の割合は、全てのくず、片材または繊維に対して有利には50質量%未満、殊に30質量%未満および極めて有利には10質量%未満である。繊維の加工は、木材繊維ボードの場合に実施された方法に従って行われうる。しかしまた前付形された天然繊維マットを、本発明によるバインダーにより、場合により湿潤助剤の添加下で含浸してもよい。次いで、含浸されたマットは、バインダーが湿潤した状態または前乾燥された状態において、例えば100〜250℃の温度および10〜100barの圧力でボードまたは成形部材へと圧縮成形される。
【0088】
その高い安定性に基づき、本発明による成形体は、多数の異なる適用のために、殊に風化作用および湿度にさらされている適用のために、例えば家屋および船舶における構造部材のための基盤として、例えば内壁および外壁、床建築のために、家屋、船舶および自動車構造物の被覆加工のために、例えば外装、内装、トランクルームおよびエンジンルームライニングとして、装飾パネル、例えば天井パネル、壁面パネルおよび既製の寄木張り床パネルのための支持体として、家具工業における部材およびボードとしてかつ家庭用工具領域等のために適している。
【0089】
以下の例は本発明による例を単に説明しているに過ぎず、かつ制限するものとして理解されるべきではない。
【0090】
記載された湿分含有率は、DIN52183に従って測定した。
【0091】
例1:
含浸剤として、ジエチレングリコールおよびメタノールで変性されたDMDHEUs(mDMDHEU)の50%の水性溶液を用い、該溶液をMgCl×6HO1.5%と混合した。
【0092】
平均繊維長さ(90%値)および11%の湿分含有率を有する、加工熱処理により蒸解されたスプルース木材くずを、金属バスケットを用いて浸漬装置に導入した。浸漬装置を30分間、100mbar(絶対)の真空に供し、引き続き含浸剤により流動化した。引き続き、10barの圧力を1時間かけた。圧力段階を終了させ、かつ残留液体を除去した。引き続き、そうして得られたくずを乾燥機中で4時間、50℃で乾燥させた。
【0093】
例2:
例1と同様の方法で、0.5mm×5mm×100mmの平均寸法を有するマツ材からのかんなくずを浸漬させ、引き続き乾燥させた。
【0094】
例3:
例2で得られた含浸されたマツ材のくずを、乾燥炉中で1時間、130℃に加熱し、その際、硬化されたマツ材のくずを得た。
【0095】
例4:パーティクルボードの製造
例1からの乾燥されたくず5400gを、表1の中で記載された組成物1628gで噴霧し、その内3370gを型(56.5cm×44cm)に注ぎ込んだ。材料を、プレス中で190℃で18mmの厚さに230秒で圧縮しパーティクルボードを作った。
【0096】
パーティクルボードは、固体樹脂14%/atroくず、固形ワックス0.5%/atroくずを含有していた(atro=乾燥くずに対する質量%)。
【0097】
表1
尿素−ホルムアルデヒド−樹脂、68% 100.0T
パラフィン−エマルジョン、60% 6.3T
硝酸アンモニウム溶液、52% 4.0T
T=質量部
【0098】
例5:MDFボードの製造
例3からの1000gatro繊維を、表2の中で記載された接着剤バッチで噴霧しかつ8%の湿分に乾燥させた。その内920gを型(30cm×30cm)に注ぎ込んだ。材料を、プレス中で190℃で12mmの厚さに300秒で圧縮しMDFボードを作った。
【0099】
MDFボードは、固体樹脂14%/atro繊維および固形ワックス0.5%/atro繊維を含有していた。
【0100】
表2:
尿素−ホルムアルデヒド−樹脂、68% 100.0g
パラフィン−エマルジョン、60% 3.2g
水 11.8g
【0101】
例6:
そのつど例3からの木材繊維70gを、WO01/27198の例P2〜P6に従う粉末状の組成物13.2gで良く混合した。引き続きこの繊維−バインダー混合物上に、混合を継続しながらさらに水14gを噴霧した。接着剤塗布された繊維を、70℃で10%atroの残留湿分に乾燥させかつ散布して19×19cmの大きさの繊維マットを作った。
【0102】
これらの繊維マットは、水圧プレス(製造元Wickert Maschinenbau GmbH社、Landau、WKP600/3、5/3モデル)により220℃のプレス温度で120秒間、2mmのスペーサーを有する2枚の金属ボード間で圧縮成形した。このためにまず20秒間、50barのプレス圧力を設定した。次いで、10秒続けられる放圧後にさらに90秒の間、200barの圧力を維持した。
【0103】
得られた繊維ボードを、標準大気において24時間、23℃および相対湿度65%で貯蔵し、引き続き試験した。吸水率は、質量増加(本来の質量に対する%での記載)を介して測定した。木材繊維ボードの厚さ膨潤は、2×2cmの大きさの試験体の相対的な増加として、24時間の貯蔵後に脱塩水中でDIN52351と同様に測定した。
【0104】
例7
例2と同様に、WO2004/033170に従って製造された、DMDHEUで変性されたマツの板の切削により製造された木材くずを、例4と同様に例3の中で記載された接着剤と、190℃で230秒間、圧縮成形しパーティクルボード(密度650kg/m)を作った。並行して、変性されなかったマツ材のくずを同じ条件下で圧縮成形しパーティクルボードを作った。そうして製造されたパーティクルボードを水中で24時間貯蔵し、かつ膨潤を厚さの相対的な増加として測定した。
【0105】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式CHOR(式中、Rは水素またはC〜Cアルキルである)の少なくとも1つのN−結合基、および/または尿素の2つの窒素原子を架橋する1,2−ビスヒドロキシエタン−1,2−ジイル基を有する尿素化合物H、尿素化合物Hの初期縮合物、および尿素化合物Hと、C〜Cアルカノール、C〜Cポリオールおよびオリゴエチレングリコールの中から選択されている少なくとも1つのアルコールとの反応生成物または混合物の中から選択された少なくとも1つの架橋性尿素化合物を含有する水性組成物により処理されたリグノセルロースをベースとする、成形体を製造するための微粒状材料を製造するための前記水性組成物の使用。
【請求項2】
架橋性尿素化合物が、以下
−1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、
−C〜Cアルカノール、C〜Cポリオール、オリゴエチレングリコールまたはポリエチレングリコールで変性されている1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、
−1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、
−1,3−ビス(メトキシメチル)尿素、
−1−ヒドロキシメチル−3−メチル尿素、
−1,3−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾリジン−2−オン、
−1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−ヘキサヒドロピリミジン−2−オン、
−1,3−ビス(メトキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、
−テトラ(ヒドロキシメチル)アセチレンジ尿素
の中から選択されている、請求項1記載の使用。
【請求項3】
架橋性尿素化合物が、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オンまたはC〜Cアルカノール、C〜Cポリオール、オリゴエチレングリコールまたはポリエチレングリコールで変性された1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オンである、請求項2記載の使用。
【請求項4】
水性硬化性組成物中における架橋性尿素化合物の濃度が、組成物の全質量に対して1〜60質量%の範囲にある、請求項1から3までのいずれか1項記載の使用。
【請求項5】
水性組成物が、尿素化合物の架橋を引き起こす少なくとも1つの触媒Kを含有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の使用。
【請求項6】
触媒Kが、金属ハロゲン化物、金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属リン酸塩、金属テトラフルオロホウ酸塩の群からの金属塩;三フッ化ホウ素;ハロゲン化アンモニウム、硫酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウムおよびリン酸二アンモニウムの群からのアンモニウム塩;有機カルボン酸、有機スルホン酸、ホウ酸、硫酸および塩酸の中から選択されている、請求項5記載の使用。
【請求項7】
触媒Kが塩化マグネシウムである、請求項6記載の使用。
【請求項8】
水性組成物中における触媒の濃度が、組成物の全質量に対して0.1〜20質量%の範囲にある、請求項5から7までのいずれか1項記載の使用。
【請求項9】
リグノセルロースをベースとする微粒状材料からなる成形体の製造法であって、該製造法が、
i)硬化性水性組成物により処理されたリグノセルロースをベースとする微粒状材料の準備、その際、硬化性水性組成物は以下のものを含有する:
a)式CHOR(式中、Rは水素またはC〜Cアルキルである)の少なくとも1つのN−結合基、および/または尿素の2つの窒素原子を架橋する1,2−ビスヒドロキシエタン−1,2−ジイル基を有する尿素化合物H、尿素化合物Hの初期縮合物、および尿素化合物Hと、C〜Cアルカノール、C〜Cポリオールおよびオリゴエチレングリコールの中から選択されている少なくとも1つのアルコールとの反応生成物または混合物の群からの少なくとも1つの架橋性尿素化合物、および
b)尿素化合物の架橋を引き起こす少なくとも1つの触媒K;
ii)工程i)において得られたリグノセルロースをベースとする微粒状材料またはそれと他の微粒状材料との混合物と、液体または粉末状のバインダーの配合物との接着剤塗布;および
iii)成形体にするための、接着剤塗布された微粒状材料の形状付与および硬化、または
ii’)工程i)において得られた処理されたリグノセルロースをベースとする微粒状材料と、熱可塑性ポリマーとの混合および
iii’)成形体にするための、混合物の形状付与
を包含する、リグノセルロースをベースとする微粒状材料からなる成形体の製造法。
【請求項10】
リグノセルロースをベースとする未処理の微粒状材料を水性組成物で含浸し、かつ場合により乾燥および/または硬化を高められた温度で実施することにより、リグノセルロースをベースとする処理された材料を製造する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
微粒状材料を、工程ii)における接着剤塗布の前に乾燥物に対して30%未満の残留湿分に乾燥させる、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
乾燥および/または硬化を、50〜220℃の範囲の温度で実施する、請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
工程i)においてリグノセルロースをベースとする処理された微粒状材料を、硬化性水性組成物での含浸により製造し、かつ本質的に硬化されなかった材料を工程ii)において接着剤塗布する、請求項9記載の方法。
【請求項14】
硬化性水性組成物を、微粒状材料により吸収される硬化性成分が未処理の微粒状材料の乾燥物に対して1〜60質量%の範囲となる量で使用する、請求項9から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
リグノセルロースをベースとする未処理の微粒状材料を、木材繊維、木材くずおよび木材片の中から選択する、請求項9から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
リグノセルロースをベースとする微粒状材料が、成形体を形成する微粒状材料の全質量に対して少なくとも80質量%となる、請求項9から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
工程ii)において使用されるバインダーが、少なくとも1つの熱硬化性バインダーを包含する、請求項9から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
熱硬化性バインダーを水性配合物の形において使用する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
熱硬化性バインダーを、アミノプラスト樹脂、フェノール樹脂、イソシアネート樹脂およびポリカルボン酸樹脂の中から選択する、請求項17または18記載の方法。
【請求項20】
バインダーを固体のバインダー成分に対して、成形体を形成する材料の全質量に対して0.5〜20質量%の量で使用する、請求項9から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
工程i)において乾燥工程および硬化工程を実施し、かつそうして得られた微粒状材料を少なくとも1つの熱可塑性ポリマーと混合し、かつその混合物を形状付与法に掛ける、請求項9から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
熱可塑性ポリマーが、熱可塑性ポリマーおよび成形体の全量に対して20〜90質量%となる、請求項21記載の方法。
【請求項23】
熱可塑性ポリマーを、ポリ−C〜Cオレフィン、ポリ−C〜Cハロゲンオレフィンおよびそれらの混合物の中から選択する、請求項21または22記載の方法。
【請求項24】
請求項9から23までのいずれか1項記載の方法により得られる、リグノセルロースをベースとする微粒状材料からなる成形体。
【請求項25】
水性組成物によるリグノセルロースをベースとする未処理の微粒状材料の処理によるか、または硬化性水性組成物での木材の含浸により得られる、リグノセルロースをベースとする微粒状材料であって、前記硬化性水性組成物が、
a)式CHOR(式中、Rは水素またはC〜Cアルキルである)の少なくとも1つのN−結合基、および/または尿素の2つの窒素原子を架橋する1,2−ビスヒドロキシエタン−1,2−ジイル基を有する尿素化合物H、尿素化合物Hの初期縮合物、および尿素化合物Hと、C〜Cアルカノール、C〜Cポリオールおよびオリゴエチレングリコールの中から選択されている少なくとも1つのアルコールとの反応生成物または混合物の群からの少なくとも1つの架橋性尿素化合物、および場合により
b)尿素化合物の架橋を引き起こす少なくとも1つの触媒K
を含有する、リグノセルロースをベースとする微粒状材料。

【公表番号】特表2008−531800(P2008−531800A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557441(P2007−557441)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【国際出願番号】PCT/EP2006/001979
【国際公開番号】WO2006/092330
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】