説明

リサイクル処理管理システム

【課題】 指定引取場所で入力された廃家電品のような処理対象物に関する情報を再処理工程まで一貫して活用できるリサイクル処理管理システムを提供する。
【解決手段】 指定引取場所1で入力された処理対象物4に関する情報を指定引取場所1と再処理工場10を含んで構築された第1のネットワーク18を介して再処理工場10でも利用できるようにする。処理対象物4に関する情報を入力する作業を指定引取場所1でのみ行うことにより入力作業の簡素化を実現するとともに入力間違いをなくすことによって作業効率の向上および情報精度を向上させることができるものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃棄された処理対象物をリサイクル処理する際に必要な管理システムに関するもので、特に洗濯機、冷蔵庫、TV受像機、エアコンなど大型の不要になった家電製品等のリサイクル処理に適したリサイクル処理管理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、大型家電製品などの廃棄物(以下廃家電品という)は、自治体または販売店で回収され、回収業者によって廃棄物処理工場へ搬入され、処理されている。
【0003】なお、2001年から特定家庭用機器再商品化法(通常、家電リサイクル法と呼ばれている)の実施が決められており、家電製品に関するリサイクル、無公害化が家電メーカーに義務づけられることになる。
【0004】そのために家電メーカーには廃家電品についてフロンや鉛等の回収また部品材料の回収および処理に関して適正に管理し、その結果を報告することが要求されることになる。
【0005】このような背景のもとに、廃家電品の回収から再処理までに必要なシステム開発や技術開発が多くなされている。例えば、特開2000−126749号公報には家電リサイクル法で要求される廃家電品の再処理工場への入着からリサイクル部品、材料の出荷までの処理手段を管理するための管理システムが開示されている。
【0006】また一般的な廃棄物の排出から再処理作業までに関する情報を一括して管理するシステムが特開平6−321305号公報に開示されている。このシステムでは、排出源と、排出源から収集した廃棄物を持ち込む収集基地と、収集基地から持ち込まれた廃棄物を貯留する中継基地と、廃棄物を処理する処理プラントと、運搬業者と、情報管理センターとが情報ネットワークを介して結ばれている。この情報ネットワークによって、廃棄物の引取料金に関する情報、集積状況に関する情報、廃棄物の引取および運搬に関する情報などが一括して管理されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の従来のシステムでは排出から再処理までの各ステップにおける情報が一つのネットワークによって一括管理されているが、廃家電品のように品目ごとに構成が異なる廃棄物に関しての課題について言及されていない。すなわち、廃家電品のように品目別に使用材料、使用材料比率、構成およびその再処理作業が異なる廃棄物に関しては、品目ごとにその情報を管理する必要がある。
【0008】またリサイクルに関する種々の情報はそれぞれ許可された部署で管理できるようにすることが望ましく、また許可されていない部署からのアクセスに対して機密保持に関する対策が必要となるという課題を有していた。
【0009】本発明は上記の従来の課題を解決するもので廃家電品のように品目ごとに構成が異なるような廃棄物に関する複雑な情報を管理するためのシステムであって、指定引取場所で入力された処理対象物に関する情報を再処理工程まで一貫して活用することができるとともに、所望の情報を許可された部署または所定の端末でアクセスできるようにしたリサイクル処理管理システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために本発明のリサイクル処理管理システムは指定引取場所で入力された処理対象物に関する情報を指定引取場所と再処理工場を含んで構築された第1のネットワークを介して再処理工場でも利用できるようにしたものであり処理対象物に関する情報を入力する作業を指定引取場所でのみ行うことにより工程の簡素化を実現するとともに入力間違いをなくすことによって、作業効率の向上および情報精度を向上させることができる。
【0011】さらに本発明のリサイクル処理管理システムは、リサイクル管理センターのホストコンピュータを第1のネットワークとは独立した第2のネットワークを介して複数の指定引取場所と複数の再処理工場にそれぞれ設置されたリサイクル管理センター専用端末に接続することにより機密保持を容易かつ確実にしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、処理対象物に関する情報が記載され第1の識別マークを有するマニフェスト伝票と第2の識別マークが貼着された処理対象物とを指定引取場所へ搬入するステップと処理対象物とマニフェスト伝票に記載の情報とを現物照合するステップと第3の識別マークが貼着された収納容器に処理対象物を収納するステップと処理対象物に関してマニフェスト伝票に記載された情報および運送に関する情報を指定引取場所に設置された第1の運送関係端末から入力するステップと収納容器をマニフェスト伝票の一部とともに再処理工場へ運送するステップと、再処理工場において収納容器が到着したことを再処理工場に設置された第2の運送関係端末から入力するステップとを有しかつ指定引取場所と再処理工場は第1のネットワークを介して処理対象物に関する情報および指定引取場所から再処理工場への処理対象物運送・搬入に関する情報を相互に利用できることを特徴とするシステムであり指定引取場所と再処理工場の双方において処理対象物の集荷状況、在庫状況を容易に把握することができる。
【0013】本発明の請求項2に記載の発明は請求項1に記載のリサイクル処理管理システムにおいて第1のネットワークに指定引取場所において少なくともマニフェスト伝票の情報、第1、第2および第3の識別マークの情報、指定引取場所から再処理工場への運送に関する運送伝票の内容等を入力する第1の運送関係端末と、再処理工場において収納容器の搬入の確認を入力する第2の運送関係端末とが接続されていることを特徴とするものであり、物流のきめ細かい運行管理を行うことができる。
【0014】本発明の請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のリサイクル処理管理システムにおいて、第1のネットワークに運送業者のホストコンピュータが接続されているものであり、指定引取場所から再処理工程までの間で処理対象物の在庫管理、運行状況等を一括して把握することができる。
【0015】本発明の請求項4に記載の発明は請求項1に記載のリサイクル処理管理システムにおいて第1、第2および第3の識別マークがバーコード、磁気記録媒体、電子タグおよびホログラムの少なくとも一つであることを特徴とするものでありこれらの識別マークを単独でまたは組み合わせて用いることにより精細でかつ機密保持に優れた情報管理および運行管理が可能となる。
【0016】本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のリサイクル処理管理システムにおいて指定引取場所と再処理工場を統括するリサイクル管理センターのホストコンピュータは第2のネットワークを介して指定引取場所に設置された第1のリサイクル管理センター専用端末と再処理工場に設置された第2のリサイクル管理センター専用端末が接続され、かつ第2のネットワークは第1のネットワークとは独立して設けられていることを特徴とするものであり、多数の指定引取場所および多数の再処理工場に対するマニフェスト伝票管理費用処理関係等を一括して行うことができさらには第2のネットワークを第1のネットワークから独立させることにより所望の情報に対して許可された部署からアクセスできるようにすることができる。
【0017】本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1に記載のリサイクル処理管理システムにおいて指定引取場所における第1の運送関係端末と第1のリサイクル管理センター専用端末の間、再処理工場における第2の運送関係端末と第2のリサイクル管理センター専用端末とホストコンピュータの間では電子情報媒体を介して情報が交換されることを特徴とするものであり、情報の交換は容易でありながらその機密を高度に保つことができる。
【0018】本発明の請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6に記載のリサイクル処理管理システムにおいて処理対象物を廃家電品としたもので、品目別に材料、その使用比率、構成が異なる廃家電品のリサイクル処理を効率よく管理できるものである。
【0019】以下本発明の実施の形態について、図1を参照しながら説明する。
【0020】(実施の形態)図1は本発明の実施の形態におけるリサイクル処理管理システムを説明するための図である。図1において1は指定引取場所2は搬入トラック3はマニフェスト伝票3aはマニフェスト伝票3に印刷された第1の識別マーク4は処理対象物、4aは処理対象物4に貼着された第2の識別マーク5は収納容器5aは収納容器5に貼着された第3の識別マーク、6はバーコードリーダー等の識別マーク読取装置、7は第1の運送関係端末、8は第1のリサイクル管理センター専用端末9は運送トラック10は再処理工場、11は再処理工程、12は再処理工程11に設置された再処理工程端末13は再処理工場10のホストコンピュータ、14は第2の運送関係端末15は第2のリサイクル管理センター専用端末16はバーコードリーダー、17はフロッピー(登録商標)ディスク(FD)等の電子情報媒体、18は第1のネットワーク、19は運送業者のホストコンピュータ20は第2のネットワーク21はリサイクル管理センターのホストコンピュータである。
【0021】以上のように構成されたリサイクル処理管理システムにおける処理対象物および情報の流れについて、以下に説明する。
【0022】廃家電品等の処理対象物(以下廃家電品4という)は所定事項が記入されたマニフェスト伝票3とともに回収業者の搬入トラック2によって指定引取場所1へ搬入される。なおマニフェスト伝票3は廃家電品4を回収した小売店または回収業者などがリサイクル管理センターから購入したものでありそこには第1の識別マーク(第1のバーコード3a)が印刷されている。
【0023】次に、このマニフェスト伝票3と廃家電品4とが現物照合される。なお廃家電品4には第2のバーコード4aが小売店または回収業者等において貼着されている。また指定引取場所1には廃家電品4を収納する収納容器5が準備されておりこの収納容器5にも第3のバーコード5aが貼着されている。
【0024】次に、廃家電品4は品目別に収納容器5に入れられるがこの時点で第1のバーコード3a、第2のバーコード4aおよび第3のバーコード5aがバーコードリーダー6で読み込まれ、その情報とマニフェスト伝票3に記載の情報とが第1の運送関係端末7に入力される。また運送トラック9には通常6個の収納容器5が積載されるが、運送トラック9に積載され、運送される収納容器5に関する情報が運送伝票に記入されるとともに、その情報が第1の運送関係端末7に入力される。同様にマニフェスト伝票3に記載されている情報が第1の管理センター専用端末8へ入力される。なお、第1の運送関係端末7と第1の管理センター専用端末8の間は図に示していないが電子情報媒体例えばFD等を用いて情報を交換することができる。
【0025】再処理工場10へ到着した運送トラック9から収納容器5が搬入されるとともに第2の運送関係端末14に収納容器5の到着状況が入力される。この入力は、運送伝票の伝票番号を第2の運送関係端末14へ入力することによって行われる。なお指定引取場所1に設置された第1の運送関係端末7、再処理工場10に設置された第2の運送関係端末14は第1のネットワーク18を介して運送業者のホストコンピュータ21に接続されている。この段階で、運送業者のホストコンピュータ19ではマニフェスト伝票3に記載の情報、集荷状況、在庫状況運送トラック9による出荷状況、再処理工場10への到着状況を含め廃家電品4の一品ごとの動向を把握し管理することができる。
【0026】再処理工場10へ搬入された廃家電品4は再処理工程11へ投入されるがこの段階で再処理工程端末12に接続されたバーコードリーダー16を用いて収納容器5に貼着された第3のバーコード5aが読み込まれることになる。また指定引取場所1において入力された廃家電品4に関する情報は第1のネットワーク18を介して第2の運送関係端末14で読み出されそれらの情報は電子情報媒体17(以下FD17という)を用いて第2のリサイクル管理センター専用端末15、ホストコンピュータ13へ送られる。
【0027】ホストコンピュータ13では、バーコードリーダー16で読み込んだバーコード情報と、FD17を用いて入力された情報とから廃家電品4のリサイクル処理に関する帳票を作成する。
【0028】再処理工程11へ投入された廃家電品4は順次工程を経て部品材料が回収されてゆくがその情報(回収された材料部品の名称、重量等)は再処理工程端末12を経てホストコンピュータ13へ送られる。上記の回収に関する情報と運送関係端末14から読み出された廃家電品4に関する情報とからリサイクル率その他の家電リサイクル法に規定された管理項目がホストコンピュータ13で計算され管理される。
【0029】なお、上記の回収から再処理に関する情報はFD17を用いて第2のリサイクル管理センター専用端末15に入力される。リサイクル管理センターのホストコンピュータ21は、第2のネットワーク20を介して指定引取場所1に設置された第1のリサイクル管理センター専用端末8と再処理工場10に設置された第2のリサイクル管理センター専用端末15とからリサイクルに関する各種情報を取り込み、情報の把握および処理費用の管理等を行う。
【0030】このようにして、一つには指定引取場所1において入力された廃家電品3に関する情報を再処理工場10で読み出して利用できることから、入力作業が簡素化されかつ2回入力に比較して入力誤りを減少させることができる。
【0031】また第1のネットワークと第2のネットワークを独立させておくことにより、情報へのアクセスを許可された部署または所定の端末に限定することが容易となり、機密保持が容易となる。
【0032】なお上記の実施の形態において、識別マークとして印刷されたバーコードの例について説明したが、これ以外にもホログラム、磁気記録媒体、電子タグなどを単独使用または併用することができる。ホログラムはバーコードに比べて情報量が格段に多いことから、より複雑な情報を持たせることが可能である。また磁気記録媒体では必要に応じて新たに情報を付け加えることができることから、各段階での状況をさらに詳しく把握することが可能である。また電子タグは新たに情報を付け加えることが可能である上に、情報量が大きく、さらに機密性が高いという特徴がある。なお、上記の識別マークの種類に応じて、識別マーク読取装置6はその機能を備えたものを使用するものとする。
【0033】また上記の実施の形態において、再処理工場10に設置された第2の運送関係端末14、第2のリサイクル管理センター専用端末15およびホストコンピュータ13の間の情報交換にFDを用いた例を説明したが、これ以外にも電子情報を伝達できる記録媒体(半導体メモリ、光記憶媒体、光磁気記録媒体など)またはLAN接続を用いてもよい。
【0034】また上記の実施の形態では、指定引取場所1において廃家電品4を品目別に分別し収納容器5へ入れるものとして説明したが、それ以外に指定引取場所1において廃家電品4を混載状態で収納容器5へ入れておき、再処理工程11の先頭において品目別に分別して各工程に投入することにしてもよい。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のリサイクル処理管理システムは処理対象物が集められた指定引取場所で入力した処理対象物の情報を再処理工場での再処理工程において取り出すようにし、さらには処理対象物の回収から再処理までの間で物と情報とを一体化することによって情報精度の向上と作業効率の向上を図ることができるものである。
【0036】したがって廃家電品のように品目毎に使用材料、構成、再処理工程が異なるものに関して情報を指定引取場所で一回入力するだけで、再処理工場においても一品ごとに管理することになり、廃家電品以外にも品目別に複雑な構成を有する廃棄物のリサイクル処理の管理を容易に精度よく実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるリサイクル処理管理システムを説明する図
【符号の説明】
1 指定引取場所
3 マニフェスト伝票
3a 第1の識別マーク
4 処理対象物
4a 第2の識別マーク
5 収納容器
5a 第3の識別マーク
7 第1の運送関係端末
10 再処理工場
14 第2の運送関係端末
18 第1のネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】 処理対象物に関する情報が記載され第1の識別マークを有するマニフェスト伝票と第2の識別マークが貼着された処理対象物とを指定引取場所へ搬入するステップと前記処理対象物と前記マニフェスト伝票に記載の情報とを現物照合するステップと第3の識別マークが貼着された収納容器に前記処理対象物を収納するステップと前記処理対象物に関してマニフェスト伝票に記載された情報および運送に関する情報を前記指定引取場所に設置された第1の運送関係端末から入力するステップと前記収納容器をマニフェスト伝票の一部とともに再処理工場へ運送するステップと、前記再処理工場において前記収納容器が到着したことを前記再処理工場に設置された第2の運送関係端末から入力するステップとを有しかつ前記指定引取場所と前記再処理工場は第1のネットワークを介して前記処理対象物に関する情報および前記指定引取場所から前記再処理工場への前記処理対象物運送・搬入に関する情報を相互に利用できることを特徴とするリサイクル処理管理システム。
【請求項2】 第1のネットワークに、指定引取場所において少なくともマニフェスト伝票の情報、第1、第2および第3の識別マークの情報、指定引取場所から再処理工場への運送に関する運送伝票の内容等を入力する第1の運送関係端末と、再処理工場において収納容器の搬入の確認を入力する第2の運送関係端末とが接続されていることを特徴とする請求項1に記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項3】 第1のネットワークに、運送業者のホストコンピュータが接続されていることを特徴とする請求項2に記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項4】 第1、第2および第3の識別マークがバーコード、磁気記録媒体、電子タグおよびホログラムの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項5】 指定引取場所と再処理工場を統括するリサイクル管理センターのホストコンピュータは第2のネットワークを介して指定引取場所に設置された第1のリサイクル管理センター専用端末と再処理工場に設置された第2のリサイクル管理センター専用端末が接続され、かつ第1のネットワークは第2のネットワークとは独立して設けられていることを特徴とする請求項1に記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項6】 指定引取場所における第1の運送関係端末と第1のリサイクル管理センター専用端末の間、再処理工場における第2の運送関係端末と第2のリサイクル管理センター専用端末とホストコンピュータの間では電子情報媒体を介して情報が交換されることを特徴とする請求項1に記載のリサイクル処理管理システム。
【請求項7】 処理対象物が廃家電品であることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5または請求項6に記載のリサイクル処理管理システム。

【図1】
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【公開番号】特開2002−132908(P2002−132908A)
【公開日】平成14年5月10日(2002.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−322294(P2000−322294)
【出願日】平成12年10月23日(2000.10.23)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】