説明

リスク層別化のための患者間比較

患者に関連付けられる患者データを受信するように適合された通信モジュールと、前記患者に対応する参照群データを選択および記憶するように適合された参照群モジュールと、前記参照群データのモデルを生成し、前記患者データと前記モデルとを比較して患者に関する指数を算出するように適合された分析モジュールと、を含む患者装置を備えるシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許文書は、概して埋め込み型医療機器、特に、限定はしないが、将来の心代償不全のリスク層別化のための患者間比較システムおよび方法に関する。
(優先権の主張)
本明細書により、2006年12月27日に提出された米国特許出願第11/616,430号に対し優先権を主張する。この出願は引用により本明細書に組み込まれる。
(著作権の表示)
本特許文書の開示の一部は、著作権保護されている資料を含む。著作権所有者は、本特許文書または特許開示のいかなる部分もファクシミリで複製することを拒絶しないが、その他の点ではいかなる著作権もすべて保持する。以下の表示を、後述するように、本文書の一部を成す図面内のソフトウェアおよびデータに適用する。著作権2006、カーディアック ペースメーカーズ インコーポレイテッド(Cardiac Pacemakers、Inc.)。無断転載を禁ず。
【背景技術】
【0002】
ペースメーカや埋め込み型電気除細動器/除細動器などの心臓律動管理装置を含む埋め込み型医療機器(IMD)は通常、無線周波数(RF)またはその他のテレメトリリンクなどの無線テレメトリを介して、外部プログラマなどの外部装置と通信する能力を有する。外部プログラマは通常、IMDの動作パラメータをプログラムし、変更するように設けられるが、現代のIMDは、生理学的データなどの情報をプログラマに送信できるように双方向通信の能力も有する。在宅看護遠隔監視システムは、IMDと通信し、患者のデータおよび患者に関連するデータを収集することができる。加えて、一部の監視システムは、血圧計用カフ、体重計、または健康状態に関する質問をして、患者に入力を要求する専門機器などの追加の外部センサを用いて、他の客観的または主観的データを収集することもできる。一部の在宅看護監視システムは、直接に、またはネットワークシステムを用いて、中央システムまたはその他の遠隔システムと通信することができる。医療システムを含む中央システムは、患者関連データを管理するために、医師やその他の医療担当者に効率的な方法を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
実施例1は、現患者の患者監視装置によって収集された患者データを受信すること、患者に関連する参照群を決定すること、参照群から選択され、患者監視装置から受信されるのと類似の種類の患者データを含む参照群データセットを決定すること、参照群データセットのモデルを生成すること、受信された生理学的データとモデルとを自動的に比較し、患者に関する指数を導き出すこと、を備える方法を記載している。
【0004】
実施例2では、実施例1の方法が、参照群が中央患者管理システムに関連付けられる患者から選択されるように任意に実行される。
実施例3では、実施例1または2のうちの1つ以上の方法が、参照群が、1つ以上の基準を用いて、現患者に類似する患者から選択され、基準が年齢、性別、民族、左心室駆出分画(LVEF)、ニューヨーク心臓協会(NYHA)心不全分類、6分間歩行テスト(6MW)の結果、生活の質、心不全病因、肥満度指数(BMI)、血圧、投薬内容、併存症、不整脈歴、埋め込み歴、治療コンプライアンス、医療システム、概日リズム、地理的場所、特定の時間フレーム内に生存した患者、または特定の時間フレーム内に代償不全とならなかった患者を含むように任意に実行される。
【0005】
実施例4では、実施例1〜3のうちの任意の1つ以上の方法が、1つ以上の基準の変化を検知すること、変化した基準を用いて参照群を更新することを備えるように任意に実行される。
【0006】
実施例5では、実施例1〜4のうちの任意の1つ以上の方法が、参照群が、1つ以上の基準を用いて、安定状態にあると考えられる1人以上の患者を含み、基準が、特定の期間内に死亡しなかった、代償不全を起こさなかった、あるいは生活の質が低下しなかった患者を含むように任意に実行される。
【0007】
実施例6では、実施例1〜5のうちの任意の1つ以上の方法が、モデルを生成することが確率関数を用いて参照群データセットのモデルを生成することを含むように任意に実行される。
【0008】
実施例7では、実施例1〜6のうちの任意の1つ以上の方法が、確率関数が1つ以上の累積分布関数を含むように任意に実行される。
実施例8では、実施例1〜7のうちの任意の1つ以上の方法が、確率関数が1つ以上の確率分布関数を含むように任意に実行される。
【0009】
実施例9では、実施例1〜8のうちの任意の1つ以上の方法が、患者と参照群の類似性を判定する指数を用いることを備えて任意に実行される。
実施例10では、実施例1〜9のうちの任意の1つ以上の方法が、指数を用いて、参照群が時間フレーム内に心代償不全を起こす可能性に対して、患者が、どの程度時間フレーム内に代償不全を起こす可能性があるかを判定することを、さらに備えるように任意に実行される。
【0010】
実施例11では、実施例1〜10のうちの任意の1つ以上の方法が、指数を用いて、参照群が時間フレーム内に死亡する可能性に対して、患者が、どの程度時間フレーム内に死亡する可能性があるかを判定することを、さらに備えるように任意に実行される。
【0011】
実施例12では、実施例1〜11のうちの任意の1つ以上の方法が、指数を用いて、参照群が時間フレーム内に生活の質を変える可能性に対して、患者が、どの程度時間フレーム内に生活の質を変える可能性があるかを判定することを、さらに備えるように任意に実行される。
【0012】
実施例13では、実施例1〜12のうちの任意の1つ以上の方法が、指数を用いて、患者を1つ以上のリスクレベルに対応付けられる1つ以上の個々の群に層別化することを、さらに備えるように任意に実行される。
【0013】
実施例14では、実施例1〜13のうちの任意の1つ以上の方法が、リスクレベルが特定の時間フレームにおける心代償不全の可能性を示すように任意に実行される。
実施例15では、実施例1〜14のうちの任意の1つ以上の方法が、指数を使用することが、指数と1つ以上の閾値とを比較して、患者をリスクレベル毎に分類することを含むように任意に実行される。
【0014】
実施例16では、実施例1〜15のうちの任意の1つ以上の方法が、閾値を自動的に調節することを備えるように任意に実行される。
実施例17では、実施例1〜16のうちの任意の1つ以上の方法が、閾値を周期的または定期的に調節することを備えるように任意に実行される。
【0015】
実施例18では、実施例1〜17のうちの任意の1つ以上の方法が、患者監視装置が埋め込み型医療機器を含むように任意に実行される。
実施例19では、実施例1〜18のうちの任意の1つ以上の方法が、患者データが患者コンプライアンスデータを含むように任意に実行される。
【0016】
実施例20では、実施例1〜19のうちの任意の1つ以上の方法が、患者データが生理学的データを含むように任意に実行される。
実施例21では、実施例1〜20のうちの任意の1つ以上の方法が、生理学的データが心電図、活動レベル、心拍数変動、心拍数、心音、血圧、インピーダンス、体重、または酸素飽和度のうち、1つ以上を含むように任意に実行される。
【0017】
実施例22では、実施例1〜21のうちの任意の1つ以上の方法が、トリガ事象を検知すること、およびトリガ事象が検知されたときに参照群を更新することを備えるように任意に実行される。
【0018】
実施例23では、実施例1〜22のうちの任意の1つ以上の方法が、トリガ事象が、患者監視装置の質問、新たな患者装置の埋め込み、新たな患者装置の導入、改訂参照群の許可、定期的または周期的な時間間隔、1人以上の患者の健康状態の変化、ユーザコマンド、または参照群へのアクセス要求のうち1つ以上を含むように任意に実行される。
【0019】
実施例24は、患者と関連付けられる患者データを受信するように適合された通信モジュールと、患者に対応する参照群データを選択および記憶するように適合された参照群モジュールと、参照群データのモデルを生成し、患者データとモデルを比較して患者に関する指数を算出するように適合された分析モジュールと、を含む患者装置を備えるシステムを記載している。
【0020】
実施例25では、実施例24のシステムが、中央患者管理システムを備えるように任意に構成される。
実施例26では、実施例24または25のうちの任意の1つ以上のシステムが、分析モジュールが、確率関数を用いて参照群のモデルを生成するように適合されるように任意に構成される。
【0021】
実施例27では、実施例24〜26のうちの任意の1つ以上のシステムが、分析モジュールが、1つ以上の累積分布関数を用いて参照群のモデルを生成するように適合されるように任意に構成される。
【0022】
実施例28では、実施例24〜27のうちの任意の1つ以上のシステムが、分析モジュールが、1つ以上の確率分布関数を用いて参照群のモデルを生成するように適合されるように任意に構成される。
【0023】
実施例29では、実施例24〜28のうちの任意の1つ以上のシステムが、分析モジュールが、指数を用いて、患者と参照群の類似点を判定するように適合されるように任意に構成される。
【0024】
実施例30では、実施例28〜29のうちの任意の1つ以上のシステムが、分析モジュールが、指数を用いて、参照群が時間フレーム内に心代償不全を起こす可能性に対して、どの程度患者が時間フレーム内に代償不全を起こす可能性があるかを判定するように適合されるように任意に構成される。
【0025】
実施例31では、実施例28〜30のうちの任意の1つ以上のシステムが、分析モジュールが、指数を用いて、患者を1つ以上のリスクレベルに層別化するように適合されており、リスクレベルが特定の時間フレームにおける心代償不全の可能性を示すように任意に構成される。
【0026】
実施例32では、実施例28〜31のうちの任意の1つ以上のシステムが、患者装置が埋め込み型医療機器を含むように任意に構成される。
実施例33では、実施例28〜32のうちの任意の1つ以上のシステムが、患者データが患者コンプライアンスデータを含むように任意に構成される。
【0027】
実施例34では、実施例28〜33のうちの任意の1つ以上のシステムが、患者データが生理学的データを含むように任意に構成される。
実施例35は、患者監視装置によって収集される現患者の患者データを受信する手段と、患者に関連する参照群を決定する手段と、参照群から選択される参照群データセットを判定する手段であって、データセットが患者監視装置から受信されるのと同様の種類の患者データを含む手段と、参照群データセットのモデルを生成する手段と、受信した生理学的データとモデルとを比較して患者に関する指数を導き出す手段と、を備える装置を記載している。
【0028】
この概要は、本特許出願の主題の概要を提供することを目的とする。本発明の排他的または包括的説明を提供することを目的としていない。詳細な説明は、本特許出願の主題に関する追加情報を提供するために含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】医師と患者との間のコミュニケーションを可能にするシステムの一部を示す図である。
【図2】患者関連データの変動を測定および検知して、生理学的状態の発症を示し得る急性変化を特定するシステムの一部を示す詳細概略図である。
【図3】複合警告スコアを用いて、病状の進行の可能性または生理学的状態の発症を検知する方法を示す図である。
【図4】警告値、警告スコア、および複合警告スコア間の関係の例を示す図である。
【図5】警告値、警告スコア、および複合警告スコア間の関係の例を示す図である。
【図6】警告値、警告スコア、および複合警告スコア間の関係の例を示す図である。
【図7】感知された患者の行動を用いて、患者コンプライアンスのレベルを判定する方法の例を示す図である。
【図8】2つ以上の異なる患者の応答に関してコンプライアンス指数を判定する方法の例を示す図である。
【図9A】少なくとも1つの特定の要求に応答する、記録される患者の行動の例を示すチャート図である。
【図9B】少なくとも1つの特定の要求に応答する、記録される患者の行動の例を示すチャート図である。
【図9C】少なくとも1つの特定の要求に応答する、記録される患者の行動の例を示すチャート図である。
【図9D】少なくとも1つの特定の要求に応答する、記録される患者の行動の例を示すチャート図である。
【図9E】少なくとも1つの特定の要求に応答する、記録される患者の行動の例を示すチャート図である。
【図9F】少なくとも1つの特定の要求に応答する、記録される患者の行動の例を示すチャート図である。
【図10】患者集団と比較された特定の患者に基づく確率的指数を導き出す方法の例を示す図である。
【図11A】身体活動累積分布関数(CDF)チャート、SDANN CDFチャート、およびフットプリント%CDFチャートの例を示す図である。
【図11B】身体活動累積分布関数(CDF)チャート、SDANN CDFチャート、およびフットプリント%CDFチャートの例を示す図である。
【図11C】身体活動累積分布関数(CDF)チャート、SDANN CDFチャート、およびフットプリント%CDFチャートの例を示す図である。
【図12】参照群患者の身体活動レベルを示す確率分布関数チャートの例を示す図である。
【図13】患者分析プロセス間の制御装置とデータフローの例を示す図である。
【図14】患者分析プロセス間の制御装置とデータフローの例を示す図である。
【図15】患者分析プロセスのクロスフィードバック構造を示す図である。
【図16】医師フィードバックプロセスの例を示すデータフロー図である。
【図17】中央システムと医師間のフィードバックループの例を示す図である。
【図18】医師フィードバックを用いて、患者分析ルーチンの実行を修正する方法の例を示すフローチャート図である。
【図19】医療専門家が、制御システムのインプットまたはフィードバックを提示することのできるユーザインタフェースの例を示す図である。
【図20】図19に示されるユーザインタフェースによるユーザインタフェースシステムと制御システム間の相互作用の例を示す制御フロー図である。
【図21】医療専門家が、インプットまたはフィードバックを制御システムに提示することのできるユーザインタフェースの例を示す図である。
【図22】図21に示されるユーザインタフェースによるユーザインタフェースシステムと制御システム間の相互作用の例を示す制御フロー図である。
【図23】医療専門家が、フィードバックを制御システムに提示することのできるユーザインタフェースの別の例を示す図である。
【図24】図23に示されるユーザインタフェースによるユーザインタフェースシステムと制御システム間の相互作用の例を示す制御フロー図である。
【図25】ユーザインタフェースの別の例を示す図である。
【図26】図25に示されるユーザインタフェースによるユーザインタフェースシステムと制御システム間の相互作用の例を示す制御フロー図である。
【図27】1つ以上のセンサを制御するユーザインタフェースの別の例を示す図である。
【図28】図27に示されるユーザインタフェースによるユーザインタフェースシステムと制御システム間の相互作用の例を示す制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面は必ずしも等縮尺である必要はなく、複数の図面全体を通じて、類似の符号は略類似の構成要素を示す。異なる接尾字を有する類似の符号は、略類似の構成要素の異なる例を示す。図面は限定のためでなく例示のために、本文書に記載される各種実施形態を概略的に示す。
【0031】
以下の詳細な説明は、詳細な説明の一部を成す添付図面を含む。図面は説明のために、本発明を実行することのできる具体的な実施形態を示す。これらの実施形態は、本文書では「実施例」とも称され、当業者が本発明を実行できるように、十分詳細に説明されている。実施形態は組み合わせてもよく、他の実施形態を利用することもでき、本発明の範囲を逸脱せずに、構造的、論理的、および電気的変更を加えることができる。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味にとらえるべきではなく、本発明の範囲は、添付の請求項およびその等価物によって定義される。
【0032】
本文書では、「または」という語は、非限定的、または他に指示のない限りという意味を示すように使用される。さらに、本文書で引用されるすべての出版物、特許、および特許文書は、引用により個々に組み込まれるかのように、引用により全文を本文書に組み込まれる。本文書と引用により組み込まれた文書との間で矛盾する使用がある場合、組み込まれた引例での使用は、本文書の使用を補完するものとみなすべきであり、相容れない不一致の場合、本文書での使用が優先する。
概要
図1は、医師と患者とのコミュニケーションを可能にするシステムの一部を示す。図1の実施例では、患者100には埋め込み型医療機器(IMD)102が提供される。埋め込み型医療機器の例は、ペースメーカ、埋め込み型電気除細動器(ICD)、心臓再同調療法ペースメーカ(CRT−P)、心臓再同調療法除細動器(CRT−D)、神経刺激装置、深部脳刺激装置、人工内耳または網膜移植などが含まれる。いくつかの実施例では、IMD102は、生理学的データを感知し、後の通信のためにこのデータを記憶することができる。生理学的データの例は、埋め込み型電位図、表面心電図、心拍間隔(たとえば、AA、VV、AV、またはVA間隔)、たとえば頻脈性不整脈区別のための電位図テンプレート、圧力(たとえば、心内圧または全身圧)、酸素飽和度、活動、心拍数変動、心音、インピーダンス、呼吸、内因性脱分極振幅などが含まれる。
【0033】
IMD102は、外部トランシーバ104と双方向通信103を行うことができる。各種実施例では、IMD102は、トランシーバ104からコマンドを受信し、1つ以上の患者の徴候をトランシーバ104に通信することもできる。患者の徴候の例は、心拍数、心拍数変動、頻脈性不整脈事例に関連するデータ、血行動態安定性、活動、治療歴、自律神経系平衡運動傾向、頻脈区別のための電位図テンプレート、心拍数変動傾向またはテンプレート、または感知した生理学的データから引き出した傾向、テンプレート、抽象化作用などを含むことができる。いくつかの実施例では、患者の徴候は、上述の生理学的データなどの1つ以上の生理学的徴候を含む。別の実施例では、IMD102は、1つ以上の装置の徴候をトランシーバ104に通信することができる。装置の徴候の例は、リード/ショックインピーダンス、ペーシング振幅、ペーシング閾値、またはその他の装置メトリクスを含む。特定の実施例では、IMD102は、感知した生理学的信号データをトランシーバ104に通信し、その後、信号データを、例えば処理のために、遠隔装置に通信することができる。
【0034】
通常、トランシーバ104は、患者100に近接して配置される。トランシーバ104は、パーソナルコンピュータまたは医療機器プログラマなどの専門機器内に含むか、あるいは装着することができる。一実施例では、トランシーバ104は、ローカルコンピュータ106に接続することができる携帯装置である。通常、接続105は、ハードワイヤード接続(たとえば、シリアル、USB、ファイアワイヤ)、または無線接続(たとえば、RF、IR)を用いて行うことができる。いくつかの実施例では、ローカルコンピュータ106は専門装置またはパーソナルコンピュータである。特定の実施例では、ローカルコンピュータ106は、遠隔サーバシステム108と通信するように適合されている。ローカルコンピュータ106と遠隔サーバシステム108との間の通信リンクは通常、コンピュータまたは遠距離通信ネットワーク110を介して実現される。ネットワーク110は、様々な実施例では、インターネット、衛星テレメトリ、セルラテレメトリ、マイクロ波テレメトリ、またはその他の長距離通信ネットワークなどの1つ以上の有線または無線ネットワーキングを含むことができる。
【0035】
一実施例では、1つ以上の外部センサ107は、トランシーバ104と通信するように適合され、感知したデータなどの情報を送受信することができる。外部センサ107は、温度(たとえば、体温計)、血圧(たとえば、血圧計)、血液特性(たとえば、血糖値)、体重、体力、知力、食生活、またはその他の心臓特性などの患者の生理学的データを測定するために使用することができる。外部センサ107は1つ以上の環境センサも含むことができる。外部センサ107は、様々な地理的場所(患者に近接して、あるいは集団全体に分散して)配置し、たとえば、温度、空気の質、湿度、一酸化炭素レベル、酸素レベル、気圧、光度、および音などの具体的な非患者特徴を記録することができる。
【0036】
外部センサ107は、患者からの主観的データを測定する装置も含むことができる。主観的データは、客観的な生理学的データとは対照的に、患者の感情、認知、および/または意見に関連する情報を含む。たとえば、「主観的」装置は、「どのように感じますか」、「痛みはどの程度ですか」、「これはおいしいですか」、などの問いに対する患者の応答を測定することができる。このような装置は、「空は何色ですか」や「外はお天気ですか」などの観測的データに関連する質問を提示するように適合されることも可能である。装置は、患者に入力を要求し、視覚的および/または聴覚的キューを用いて、患者からの応答データを記録することができる。たとえば、患者は、コード付きの応答ボタンを押す、あるいはキーパッド上で適切な応答をタイプすることができる。もしくは、患者にマイクに向けてしゃべらせ、音声認知ソフトを利用して応答を処理することによって、応答データを収集することができる。
【0037】
いくつかの実施例では、遠隔サーバシステム108は、データベースサーバ114、ネットワークサーバ116、ファイルサーバ118、アプリケーションサーバ120、およびウェブサーバ122などの1つ以上のコンピュータを備える。特定の実施例では、1つ以上の端末112A、112B、...、112Nが、ネットワーク110を介して遠隔サーバシステム108に、局地的または遠隔に接続される。端末112は、有線通信124または無線通信126を用いて、遠隔サーバシステム108に通信可能に接続される。端末112の例としては、パーソナルコンピュータ、専用端末コンソール、携帯機器(たとえば、携帯情報端末(PDA)または携帯電話)、またはその他の専門装置が含まれる。様々な実施例では、1人以上のユーザは、遠隔サーバシステム108にアクセスするために、端末112を使用することができる。たとえば、カスタマサービスの専門家は、端末112を使用して遠隔サーバシステム108に記憶された記録にアクセスし、患者記録を更新することができる。別の実施例として、医師または臨床医が端末112を使用して、患者の来院に関するコメント、試験により、あるいはセンサまたはモニタにより収集された生理学的データ、治療歴(たとえば、IMDショックまたはペーシング治療)、またはその他の医師の所見などの患者関連データを、受信または提供することができる。
【0038】
いくつかの実施例では、IMD102は、患者データを記憶し、そのデータを使用してオーダーメイド治療を提供するように適合さらえている。たとえば、過去の生理学的データを用いて、IMD102は、致死的な心律動と非致死的な心律動とを区別し、適切な治療を施すことができる。しかし、IMD102内に十分量のデータを収集することによって、過去データの適切なベースラインを確立することが望ましい場合が多い。いくつかの実施例では、ある期間(たとえば、30日間)の「学習期間」が、1つ以上の生理学的信号に関するベースラインを確立するために使用される。IMD102は、一実施例では、学習期間と等しい期間などの、演算のデータの移動ウィンドウを記憶し、その情報を、患者のバイオリズムまたは生物学的事象のベースライン徴候として使用することができる。
【0039】
いったんベースラインが確定されれば、急性および慢性の患者の状態を、確率的に判定することができる。ベースラインは、過去の患者の記録を使用して、あるいは患者と患者の集団とを比較することによって確立することができる。一実施例では、診断方式は患者基本のベースラインを使用して、長期間にわたる患者の症状の変化を検出する。患者由来のベースラインを使用する診断方式の例を次のセクションで説明する。
【0040】
一実施例では、患者の症状は、埋め込み型装置102により自動的に収集され記憶される。これらの値は、ある期間(たとえば、24時間)における、患者の心拍数または身体活動に基づくことができ、各症状パラメータは、その期間の関数として記憶される。一実施例では、心拍数ベースの症状は、正常な固有の心拍のみを利用する。心拍数変動(HRV)患者の症状の場合、平均心拍数は、期間内の間隔毎に、たとえば、24時間中に発生する288回の5分間隔毎に求めることができる。これらの間隔値、最小心拍数(MinHR)、平均心拍数(AvgHR)、最大心拍数(MaxHR)、および平均NN間隔の標準偏差(SDANM)値を算出し、記憶することができる。一実施例では、埋め込み型装置102は、心拍数(連続脈拍間の間隔)と脈拍間の変動(連続間隔間の絶対差)との組み合わせ毎に生じる、1日の拍動数を計数する2次元ヒストグラムを含むことのできるHRVフットプリント(HRV Footprint)(登録商標)患者症状を算出する。各ヒストグラムビンは、その組み合わせに対する1日の総数を含む。1つ以上のカウントを含むヒストグラムビンのパーセントは、フットプリントパーセント(フットプリント%)として、毎日保存することができる。埋め込み型装置102は、患者の活動の一般測度を含むことができ、装置基本の加速度計信号が閾値を超える各期間のパーセントとして、報告することのできる活動ログ(Activity Log)(登録商標)患者症状(活動%)も提供することができる。
患者内診断
特定の実施例では、患者内診断方式は、1つ以上の患者関連生理学的パラメータの短期的変動を測定し、生理学的センサ値の急性変化を検知する。測定された生理学的パラメータは、ベースライン値と比較して、閾値を超える変化を検知することができる。これらの変化は患者が生理学的状態の発症を感じる前の、短い期間内に生じる場合があるので、変化が閾値量を超過した際に、警告を生成させることができる。
【0041】
図2は、患者関連データの変動を測定および検知し、生理学的状態の発症を示す急性変化を特定するシステム200の一分を示す詳細概略図である。システム200では、2つ以上の検知器202A、202B、...、202Nが、1つ以上のセンサ204に接続される。センサ204は、上述したような埋め込み型センサまたは外部センサを含むことができる。センサ204は、患者関連データを自動的に収集するように(たとえば、心拍数モニタ)、あるいはユーザコマンドによって動作するように(たとえば、ディスプレイ付きの質問装置または体重計)、構成することができる。患者関連データは、感知された生理学的データ、感知された環境データ、または問合せまたは要求に応答して患者から収集されたデータを含むことができる。センサ204の例は、心電図、加速度計、圧力センサ、心出力(CO)検知器、心拍数モニタ、質問装置、体重計、およびマイクロフォンを制限なく含む。感知される値の例は、平均NN間隔標準偏差(SDANN)心臓脱分極間隔傾向、心拍数最小(HRMin)、身体活動、または患者コンプライアンス指数(後述)を制限なく含む。各検知器202は、たとえば、センサと検知器の対に関連付けられる警告状態の値を決定するために、1つ以上のセンサ204からの、1つ以上の入力信号を評価するハードウェアまたはソフトウェアを含むことができる。
【0042】
検知器202は、1つ以上の状態が検知されたときに、警告状態を提示するように構成することができる。一実施例では、警告状態は、たとえば、1つ以上のパラメータが対応する閾値を上回るか、あるいは下回るかを判定するため、1つ以上のパラメータ(たとえば、感知された値)と1つ以上の閾値とを比較することに基づく。閾値は、絶対値(たとえば、最小または最大の許容可能な安全値)として、あるいはベースライン値またはその他の既知の値との差または変化に基づき構成することができる。たとえば、閾値は、値(たとえば、ベースライン値)からの最大(または最小)パーセント変化として、上記値からの標準偏差値として、または上記値からの絶対変化(たとえば、5ポイント増)として構成することができる。一実施例では、最大パーセント変化閾値が、ベースライン値を用いて算出されるため、感知された値(または感知された値の1日平均)が、ベースライン値からのパーセント変化閾値を超える場合、警告状態が発見される。ベースライン値は、中央傾向(たとえば、平均、中間、中位、最頻値など)、またはその他の特定の期間(たとえば、日、週、月、訓練期間など)にわたり感知された、2つ以上の値の複合を用いて算出することができる。最初の閾値は、訓練期間または学習期間(たとえば、新たな装置の動作の最初の30日)中の患者内診断方式の実行によって、決定することができる。その後の実行間に、1つ以上の閾値を最初の閾値から自動的に、または手動で調整することができる。
【0043】
いくつかの実施例では、警告状態は、事象が発生したか否かを反映する。たとえば、患者がある行動をとるように要求され(たとえば、服薬する、あるいは毎日運動する)、要求された行動を行わない場合、警告を生成することができる。様々な実施例では、警告状態は、2値、略連続値、または個々の値として表わすことができる。2値は、たとえば、患者の行動が検知されたか否か(たとえば、はい/いいえ)、あるいは2つの状態の条件が存在するか否か(たとえば、オン/オフ、熱/冷)を示すことができる。また、2値は、生活の質の変化、発病(たとえば、心代償不全)、または死亡などの健康上の変化を、程度の差はあれ、経験する可能性があるか否かを示すことができる。個々の値は、たとえば、多状態の条件(たとえば、低/中/高)や、1〜5段階の主観的痛みの格付けなどの段階的値を示すことができる。略連続値は、たとえば、0〜1までの正規化段階などを示すことができるが、こうした値はアナログデジタル変換器により数量化することができる。
【0044】
各警告状態は、対応するデータ経路206A、206B、...、206Nを用いて、融合器208に通信される。検知器202および融合器208の構造に応じて、対応するデータ経路206のうち1つ以上は、有線であっても無線であってもよい。たとえば、特定の実施例では、検知器202および融合器208は、IMDに一体化される。他の実施例では、1つ以上の検知器202は、IMDから離して、および互いに離して配置することができる。この場合、融合器208は、1つ以上の検知器202に一体化させることができ、別個の機械を備えることができる。
【0045】
さらに、図2に示される実施例は、警告状態値(データ経路206上で通信される)に関連付けられる検知器202を示しているが、センサ204、検知器202、およびデータ経路206は、様々な形で組み合わせる、あるいは多重化させることができる。たとえば、検知器202は、1つ以上のセンサ204を使用して、警告状態値を決定することができる。別の実施例として、2つ以上の検知器202を、特定の警告状態値を決定するために、組み合わせて使用することができる。別の実施例では、センサ204または検知器202は、警告状態値を導くために、他のセンサ204または検知器202との複数の組み合わせ、または順列で再利用することができる。センサ204または検知器202の上記組み合わせまたは順列は、より複雑な決定や判定を反映する警告状態値を提供するのに有利であろう。
【0046】
2つ以上の検知器202は、その警告状態値を第1の融合モジュール210に伝えることができる。第1の融合モジュール210は、1つ以上の検知器202からの警告状態を用いて、警告スコアを算出する。一実施例では、第1の融合モジュール210は加重関数を用いて、警告スコアを算出する。加重関数の加重は、たとえば、疑われる患者の状態および使用されるセンサの種類と数に関する過去の知識に基づき、加重を調節することによって、特定の患者または特定の患者集団に関して、適合することができる。たとえば、心代償不全のリスクが高い患者は、身体活動または心拍数変動(HRV)が異常に低い場合がある。これらのセンサの感度を高めることによって(たとえば、閾値を下げる)、低身体活動度値または低HRV値を早期に検知することができる。
【0047】
別の実施例では、加重関数の加重は、時間、センサの種類または数、またはセンサ204または検知器202に関連付けられる信頼値に基づかせることができる。たとえば、新しい警告値には、さほど新しくない警告値よりも大きな加重をかけ、特定の種類のセンサは信頼度が高いとみなされ、信頼度が低いとみなされるセンサよりも、比較的高い加重をかけることができる。別の実施例として、2つ以上のセンサが警告値の決定に使用される状況では、上記警告状態を決定するセンサの数を、加重を割り当てるために利用することができるため、より多くのセンサを使用して算出された警告値は、少ないセンサを用いて算出された警告値よりも信頼度が高いとみなされ、高い加重がかけられる。さらに別の実施例では、加重は、コスト関数を用いて割り当てることができる。たとえば、個々の決定は、信頼度に応じて重み付けされるため、加重は、個々の検知ミスの確率または誤警告の確率の関数とみなすことができる。
【0048】
加えて、加重は、状態の変動に対応して調節されるため、たとえば警告スコア算出間で、加重を変更することができる。警告スコアは、毎時、毎日、または毎週のように、定期的または周期的に算出することができる。一実施例では、警告スコアの算出後、第1の融合モジュール210は警告スコアを警告スコアメモリ212に記憶する。警告スコアの履歴は、後述するように、変化を追跡するため、あるいはその後の処理のために使用することができる。警告スコアメモリ212は、データベース、ファイル、ランダムアクセスメモリ、またはその他の記憶ユニットを含むことができる。
【0049】
警告スコアは、第1の融合モジュール210から第2の融合モジュール214に伝えることができる。別の実施例では、第2の融合モジュール214は、警告スコアデータベース212などの記憶ユニットにアクセスして、最新の警告スコアを取得する。第2の融合モジュール214は、同一または異なる記憶ユニットにもアクセスして、1つ以上の過去の警告スコアを取得する。一実施例では、固定数の過去の警告スコアが、記憶ユニットから取得されて、たとえば、最新の過去の警告スコアデータの「移動ウィンドウ」を取得する。一例として、警告スコアが毎週算出され記憶されれば、先の3つの算出警告スコアが、最新の警告スコアとともに取得され、1ヶ月間の警告スコアデータを効率的に視聴することができる。第2の融合モジュール214は、最新の警告スコアと組み合わせて、1つ以上の過去の警告スコアを使用して、複合警告スコア(CAS)を算出する。一実施例では、CASは警告スコアの加重関数である。様々な実施例では、加重関数の加重は、均等、不均等、あるいは1つ以上の患者の特徴に基づき、あるいは時間に基づき(たとえば、新しい警告スコアには高い加重が与えられ、より関連性が高いとみなされ、新しくない警告スコアには低い加重が与えられる)、適応可能である。
【0050】
一実施例では、第2の融合モジュール214は、CASを比較器モジュール216に伝える。比較器モジュール216は、CASと閾CAS値とを比較する。各種実施例では、閾CAS値は絶対値、あるいはベースライン値またはその他の標準値からのパーセント変化に基づかせることができる。他の実施例では、閾CAS値は、動的または静的である。たとえば、閾CAS値は、ユーザにより手動で設定することができる。ユーザは、周期的または定期的間隔で、値を変更することができる。たとえば、ユーザは、CAS閾値を任意の高値に設定し、たとえば、偽陽性または偽陰性の比率(たとえば、特異度または感度)を微調整するため、CAS閾値を動的にまたは手動で調節することができる。
【0051】
感度は概して、特定の結果を、効率的に検知する検知スキームの能力を指す。感度は、式:感度=(真陽性)/(真陽性+偽陰性)で表すことができる。よって、高感度は概して、分析が真陽性を正しく特徴付け、偽陰性を排除することを示す。
【0052】
特異度は概して、不適切な分類を回避する検知スキームの能力を指す。特異度は、関数:特異度=(真陰性)/(真陰性+偽陽性)で表すことができる。よって、高特異度は概して、真陰性の正確な分類と偽陽性の低減を反映する。
【0053】
他の実施例では、閾CAS値は自動的に決定される。一実施例では、閾値更新モジュール224は、1つ以上の入力パラメータを使用して、閾CAS値を構成または更新する。入力パラメータは、時間、センサまたは検知器の数、1つ以上の患者の特徴、医師または臨床医の選好、先の閾CAS値、またはCASなどを含むことができる。閾値更新モジュール224は、比較での使用のために、最新の閾値を比較器モジュール216に伝えることができる。特定の実施例では、閾CAS値は、2006年3月13日に提出され、本特許出願の譲受人に譲渡され、引用により本文書に全文を組み込まれ、CFAR事象検知方式の説明を含む、Siejkoらの米国特許出願第11/276、735号「生理学的事象検出システムおよびその方法(physiological event detection systems and methods)」に記載されるような、一定偽警告率(CFAR)方式を用いて確立される。
【0054】
CASが閾CAS値を超過すると、比較器モジュール216は、この状態の表示を警告モジュール220に提供する。警告モジュール220は、いくつかの実施例では、警告履歴データベース222などに、生成された警告の1つ以上の側面を記録することができる。警告モジュール220は、ユーザ(たとえば、医師または臨床医)への通信のために、警告状態を通信モジュール226に伝えることができる。
【0055】
図2は、融合器208内の融合論理を実行するシステム200の例を示すが、処理の一部は、センサ204、検知器202で行う、あるいはいくつかの処理機械の間で分散させることができる。たとえば、センサ204または検知器202は、長期間にわたり感知された1つ以上の値を記録するメモリを含むことができ、中心傾向(たとえば、中間、中位、または最頻値)のみを、今後の処理のために、第1の融合モジュール210に送信することができる。別の実施例として、融合器208は、中央サーバ、プログラマ、または患者装置に配置することができる。
【0056】
図3は、複合警告スコアを用いて、病状の進行の可能性または生理学的状態の発症を検知する方法300を示す。302で、1つ以上の警告状態値が検出される。警告状態値は、2値(たとえば、オン/オフ、はい/いいえ、高/低)であっても、略連続的(たとえば、1.4、2.9、9.34)であっても、あるいは個別(たとえば、5のうち1、4のうち2)であってもよい。304で、警告スコアが警告状態値を用いて算出される。一実施例では、警告スコアは以下の加重関数である。
【0057】
【数1】

式中、加重w、w、...、wは、患者の特徴やセンサの信頼度などの要因に基づき、ある警告値に高い加重を、別の警告値に低い加重をかけるように変更することができる。一実施例では、警告を一時的に関連付けることができる。たとえば、警告状態は、特定のセンサから、毎日のように、定期的または周期的に検知することができる。別の実施例では、警告をその他の方法で関連付けることができる。たとえば、1つ以上の類似の種類のセンサ(たとえば、埋め込み型または外部心拍数モニタ)から、警告状態を検知することができるため、警告が1つのセンサから検知されれば、その警告は関連する、あるいは関連付けられるすべてのセンサに対して、有効であるとみなされる。別の実施例では、関連する、あるいは関連付けられるすべてのセンサがポーリングされ、複数またはすべてのセンサが、警告状態に同意した場合に警告が検知される。
【0058】
306で、2つ以上の警告スコアが、複合警告スコア(CAS)に結合される。一実施例では、CASは以下の警告スコア加重関数である。
【0059】
【数2】

式中、加重w、wi−1、...、wは、時間や長期間にわたる患者の変化などの要因に基づき、ある警告値に高い加重を、別の警告値に低い加重をかけるように変更することができる。一実施例では、ASは現期間の警告スコアであり、ASi−1は前の期間の警告スコアである。期間は、日、週、月、またはその他の一定時間間隔にすることができる。308で、CASは閾値と比較される。一実施例では、閾値は固定されるが、他の実施例では、特定の患者や期間にわたり調整することができる。この実施例で、CASが閾値を超える場合、310で警告状態が設定される。この実施例で、CASが閾値を超えない場合、312で警告状態が設定されない。各種実施例では、警告状態は、生理学的状態の発症、生理学的状態の変化、または上記生理学的状態の発症の可能性の予測尺度のうち1つ以上を示すことができる。たとえば、警告状態は、HF代償不全、リード破損、突然心臓死(SCD)、または心筋梗塞(MI)などの生理学的事象または患者関連事象の予測を助けるために使用することができる。さらに、警告状態は、特定の期間または時間フレームにおける、患者の生活の質の変化の可能性または、患者の死の可能性を示す、あるいはそれを判定するために使用することができる。方法300の一部または全部は、別の処理機械で実行することができ、たとえば、方法300は、中央サーバ、プログラマ、または患者装置によって実行することができる。
【0060】
図4は、警告値、警告スコア、および複合警告スコア間の関係の例を示す図である。一実施例では、警告値400が時間とともに感知または検知され、特定のセンサ402と関連付けられる。警告値400は、まず特定のセンサ402、たとえば、AS、AS、...AS404に対して結合させることができる。次に、各センサと結合された警告スコアが結合されて、複合警告スコア、CAS406を形成する。もしくは、警告値400はまずAS、AS、...、AS408など特定のタイムスライスに対して結合させることができる。同様に、次に、各特定のタイムスライスと結合された警告スコアは、複合警告スコア406に結合させることができる。上述したように、特定のセンサまたは特定のタイムスライスに対する警告スコアの算出は、加重関数の使用を含むことができる。加えて、複合警告スコア406の算出も、加重関数を含むことができる。
【0061】
他の実施例では、図5〜6に示されるように、警告スコアは、警告値の様々な組み合わせを用いて算出することができる。図5は、警告値、警告スコア、および複合警告スコア間の関係を示す図である。図5では、警告値500は、警告スコア502A、502B、502Cを決定するために様々な組み合わせで使用される。たとえば、警告スコアAS502Aは、警告値AおよびAから成り、警告スコアAS’502Bは警告値AおよびAから成り、警告スコアAS”502Cは、警告値AおよびAから成る。警告スコア502A、502B、502Cは、結合して複合警告スコア504を形成することができる。警告値500は、時間とともに同じセンサから、または2つ以上のセンサから取得することができる。一実施例では、警告値500が同じセンサから取得される場合、警告値500は、毎日や毎時などの定期的または周期的時間間隔で決定することができる。別の実施例では、警告値500が、2つ以上のセンサから取得される場合、値500は、ほぼ同時に取得することができる。
【0062】
図6は、警告値、警告スコア、および複合警告スコア間の別の関係を示す。警告値600のアレイまたはマトリクスを前提とし、警告値600の様々なサブセットを結合して、AS602およびAS604などの警告スコアを形成することができる。警告スコア602、604を結合して複合警告スコア606を形成することができる。他の実施例を参照して上述したように、図5および6に示される関係は、加重関数を含むことができる。
患者コンプライアンスの代用尺度
患者コンプライアンスの測定は、患者が医師または臨床医の指導または指示を、いかに厳密に遵守するかに関する概括的表示を提供することができる。食生活、運動、または薬剤に関してなど、1つ以上の点で非遵守である患者は、その他の医学的忠告または指示に対しても非遵守である場合がある。非遵守患者は、医師または臨床医のより厳密な観察または経過観察から恩恵を得ることができる。観察または経過観察は、医師または臨床医が、非遵守による医療リスクの増大、および患者の全般的コンプライアンスの向上を管理するのに役立てることができる。加えて、非遵守患者は、再評価、変更、停止、または新たな治療の実行からも恩恵を得ることができる。
【0063】
いくつかの実施例では、患者コンプライアンスは、1つ以上の要求された行動を、患者が実行したか否かを検知することによって測定することができる。実行は、頻度、時間、または方式などに関する、1つ以上の指数を用いて分析することができる。たとえば、毎日午前9:00に服を脱いで体重を計るように要求された患者は、毎日一貫して体重を計る場合、高頻度コンプライアンススコアを有することができる。しかし、計量が、たとえば午前8:30〜午前11:00の間に散発的に行われる場合、患者は、比較的低い時間コンプライアンススコアに関連付けられる。加えて、計量中に測定された患者の体重が正常な1日の体重変動とみなされる数ポンドよりも大きく変動する場合、服を着て計量したと類推されるため、患者は、比較的低い方式コンプライアンススコアと関連付けられる。
【0064】
よって、頻度コンプライアンスは、頻度コンプライアンス指数スコアによって測定することができ、要求された行動が、どのくらいの頻度で記録されたかとして概念化することができる。一実施例では、頻度コンプライアンススコアは、特定の期間中に実行されなかった測定の比率として測定される。上記構成では、高頻度コンプライアンススコアは、低患者コンプライアンスを示す。別の実施例では、逆の比率、すなわち、特定の期間中に実行された測定回数が使用される場合、高コンプライアンススコアは高患者コンプライアンスを示すことができる。
【0065】
加えて、時間コンプライアンスは、何時または何曜日など、いつ行動が実行または記録されたかとして概念化することができる。時間コンプライアンスは、時間コンプライアンス指数スコアによって測定することができる。一実施例では、要求時間に対する実行時間に関する変動、標準偏差、またはその他の変動性尺度が、ある期間にわたって算出される。上記構成では、高変動性スコアは低患者コンプライアンスを示すことができる。時間コンプライアンス指数スコアは、高コンプライアンス指数スコアが通常高患者コンプライアンスを示すように、変動性スコアの正規化逆関数などの変動性スコアの関数であってもよい。
【0066】
方式コンプライアンスは、いかに正確に、または完全に患者が行動する、あるいは要求された行動を実行するかとしてみなすことができる。1つ以上の客観的な補足的測定を用いて、方式コンプライアンス指数スコアを導き出すことができる。非常に簡易な行動もあれば、方式を測定する客観的なメトリクスを提供しない行動もあるため、要求された患者の行動すべてが方式コンプライアンスに関して試験できるわけではない。
【0067】
患者の行動は、対話装置または質問装置(たとえば、患者モニタまたはパーソナルコンピュータ)、1つ以上の外部装置(たとえば、体重計または血圧計用カフ)、1つ以上の埋め込み型装置(たとえば、心律動管理(CRM)装置、加速度計、または心臓モニタ)、またはその任意の組み合わせを用いて検知することができる。外部センサのその他の例は、ピークフローモニタ、血糖モニタ、酸素飽和度モニタ、または心電図モニタを含むが、それらに限定されない。
【0068】
要求される患者の行動は、継続中の医療または治療に関連する1つ以上の行動を含むことができる。たとえば、一定間隔での血圧測定または計量を患者に要求することができる。要求される患者の行動は、非医療や非治療に関連する行動も含むことができる。たとえば、毎日特定の時間の外気温を記録するように、患者に要求することができる。このような行動は、患者の医療または治療に直接関連しないが、コンプライアンスの代用または間接的尺度として利用することができる。任意の指示を概して遵守する患者は、医療上の指示も遵守すると思われる。
【0069】
1つ以上の患者コンプライアンス指数スコアを監視することで、生理学的または心理学的な病状の変化を示すことができる。患者を患者集団と比較して、特定レベルのコンプライアンスまたはコンプライアンス指数スコアの範囲(たとえば、患者集団の中間または最頻値)に属さないか否かを判定する。患者集団は、年齢、体重、性別、疾病リスク、現在の医療状態などの患者の具体的特徴のうち、1つ以上を用いて選択することができる。加えて、患者コンプライアンススコアは、上述したように、患者内診断などの補足的プロセスで使用することができる。ある期間における患者のコンプライアンスの急性の変化は、図示される例のように、心代償不全などの生理学的または心理学的状態の発病または病状を示すことができる。他の実施例では、患者のコンプライアンスの変化は、特定の期間または時間フレームにおける、患者の生活の質の変化の可能性、または患者の死亡の可能性を示す、またはそれを判定するために使用することができる。
【0070】
患者は、遵守度のクラス別に特徴付けることができる。概して遵守度の高い患者と。概して遵守度の低い患者のグループ分けは、どの患者がより多くの観察、より明確な指示、または別の治療を必要とするかを決定するのに使用することができる。
【0071】
患者コンプライアンスの代用尺度の別の使用例は、データを異常値として特定または分類することである。すなわち、収集された患者データは、主観的な応答データ、測定された生理学的データ、またはその他の検知、測定、または感知された患者に関連するデータを含むことができ、患者コンプライアンスの患者代用尺度が閾値許容レベルを下回る場合、疑わしいと考えることができる、あるいは信頼度が低いとみなすことができる。一実施例では、その患者コンプライアンススコアが、閾値を下回ったときとほぼ同時に記録される患者データ(たとえば、電位図、身体活動レベル、HRV、心音など)は、フラグを立てられる。フラグは、測定された患者データの質の尺度として使用することができる。たとえば、患者コンプライアンス指数スコアは、外部体重計を用いて適時に一貫して行われる患者の計量に基づかせることができる。コンプライアンス指数スコアが閾値を下回るとき、取得された患者の体重値は疑わしいと考えられ、患者内分析または患者間分析で低い加重が与えられる。別の実施例では、コンプライアンス指数スコアが閾値を下回るとき、低いコンプライアンスは患者の気分がよくないことを推論上示すという根拠に基づき、生理学的センサデータへの加重を、代わりに高めることができる。これは、たとえば、特定の生理学的センサデータが、使用されている特定の患者コンプライアンス評価方式と相対的に無関係であると考えられる場合に有用であろう。
【0072】
いくつかの分析方法を、図7および8に示す。図7は、感知された患者の行動を用いて、患者コンプライアンスのレベルを判定する方法700の例を示す。図7に示される方法700は、要求に応じた患者の行動を検知および監視する。702で、1回またはそれ以上の患者の行動の発生が検知される。患者の行動は、臨床医、セラピスト、または医師による行動の要求に応答するものである。たとえば、患者には、毎日ウェブサイトにログオンし、1つ以上の質問に回答するように要求することができ、その質問は必ずしも患者の健康または現在の治療に関係する必要はない。臨床医が「外は曇りですか」というような、患者の健康に関する以外の質問をする場合、患者が応答すれば、臨床医はその応答が正しいか否かよりも、患者が応答するか否か、およびいつ患者が応答するか、の方に関心を向けることができる。別の実施例では、毎日血圧を測定し報告するように、患者に要求することができる。このような要求は、患者の現在の治療や健康の監視に関連しているかもしれないが、患者コンプライアンスの測定および判定のため、血圧の読取値は関係なく、要求している医師または臨床医は、患者の行動の規則性または適切な実行により関心を向けることができる。要求された行動は、ユーザインタフェースディスプレイのボタンを毎日特定の時間に押すというような、比較的簡単なものもあれば、特定のウェブサイトにアクセスし交流するというような、比較的複雑なものもある。
【0073】
704で、患者コンプライアンス指数が算出される。一実施例では、患者コンプライアンス指数が、頻度コンプライアンス値、時間コンプライアンス値、または方式コンプライアンス値のうち、1つ以上を用いて算出される。一実施例では、患者コンプライアンス指数が、たとえば、ゼロ(最も従順でない)〜1(最も従順)の値の範囲を提供するため正規化される。いくつかの実施例では、患者コンプライアンス指数が、加重関数において、2つ以上の値を用いて算出される。一実施例では、加重関数は、検知された患者の応答行動の側面の関数である。たとえば、加重関数は、ある期間にわたる患者の行動の時間コンプライアンスに重点を置く。加重関数は、さほど新しくない発生よりも、最近の発生の方に大きな加重をかける。別の実施例では、加重関数は、検知された患者の応答行動の2つ以上の側面の関数である。たとえば、患者の行動を前提とすると、時間コンプライアンスは方式コンプライアンスよりも重要と考えられ、加重関数でより高い加重を与えられる。別の実施例では、検知された患者の行動の異なる側面全体に、また一時的に異なる加重が配分される。加重係数は、各種実施例では、使用されるセンサの数または種類、1つ以上の患者の特徴(たとえば、健康上の傾向またはリスク層別化)、または患者集団に関係させることもできる。
【0074】
706で、患者指数が1つ以上の閾値と比較される。様々な実施例では、閾値は、絶対値、傾向値、集団ベース値とすることができ、あるいは、医師などのユーザによって手動で選択することができる。患者が最小閾値を下回る、あるいは最大閾値を上回ると、結果として特定の行為または状態(たとえば、警告または警報)を生じさせるように、閾値は最大または最小予測値を定義することができる。閾値は、たとえば予測または許容される値の内側または外側範囲を定義するように使用することもできる。たとえば、
708では、患者指数が閾値または状態を犯す場合、たとえば、値が1つ以上の閾値により定められる範囲外にあるとき、警告が生成される。警告は医師などのユーザに伝える、あるいは、その後の処理、たとえば、上述するように警告スコアまたは複合警告スコアを決定する際に使用することができる。
【0075】
指数スコア、および警告状態に関する1つ以上の詳細、たとえば、警告が生成されたか否か、警告があった場合に誰に伝えられるかなどは、710で記憶させることができる。コンプライアンス指数または警告は、たとえば、システムの品質保証評価のために患者の履歴を記録し保持するために、1つ以上の他のシステム、プロセス、または装置に提供することができる。ある期間にわたり患者コンプライアンス指数スコアを記録することは、患者のコンプライアンス行為の1つ以上の傾向を分析または評価するのに好都合である。
【0076】
図7は、単独の要求された患者の応答の検知と監視を重視する方法700を示し、図8は、2つ以上の異なる患者の応答に関するコンプライアンス指数を決定する方法800の例を示す。患者コンプライアンスの指標であることに加えて、1つ以上の患者の応答を監視することは、たとえば二義的な身体的、生理学的、または心理学的状態を判定するのに有利である。たとえば、患者には、毎日自分の体重を量り、携帯型質問装置(たとえば、患者監視装置)を用いて戸外の温度を報告するように要求することができる。患者が数日間計量を怠るが、携帯型質問装置を用いて戸外の温度を報告し続ける場合、患者が身体的に浴室へ行って計量できない可能性があると、担当医師は類推するかもしれない。その類推は、患者は自分のベッドの脇などの、より便利な場所に置ける携帯型患者監視装置を用いて温度を報告できているという推定事実により、裏付けることができる。このような状況下で、医師は、患者が身体的に安定していることを確かめるために、経過観察を望むかもしれない。データまたはその他の傾向の有無の検知は、心代償不全、認知機能の喪失、または身体の故障などの患者の問題を判定または予測するのに有用であろう。
【0077】
802では、様々な患者の応答の、2回またはそれ以上の発生が検知される。検知は自動であっても手動であってもよい。自動的に検知される患者の応答の例は、毎日特定の時間に、患者に電話する、あるいはEメールを送り、患者の応答を検知するためのソフトウェアプログラムまたはその他のプログラム可能装置を使用することを含む。その他の例は、患者の身体活動レベルや患者の身体的位置(たとえば、患者が特定の期間に家を離れたか否かを検知するGPS装置を用いて)などを検知することのできる、埋め込み型または外部装置内のセンサを含む。手動検知の例は、たとえば、中央患者管理システムに接続されるネットワーク可能体重計を用いる、あるいは、人間のオペレータまたはその他の人員に、毎日患者に電話をさせて、または患者の下を訪れさせて、患者がその日遵守したかどうかを判定することによって、患者自身に自分の体重を計量させるよう要求することを含む。
【0078】
804で、検知された発生に関して、806でその発生が分析される。発生の分析は、図7の方法700を参照して説明した方法に類似する。たとえば、1つ以上の発生の側面が、たとえば時間の規則性、頻度の規則性、または方式の正確さが分析される。
【0079】
808で、特定の発生に対して、コンプライアンススコアが決定される。コンプライアンススコアは、1つ以上の発生の側面の加重関数であってもよい。コンプライアンススコアは、特定の期間内の連続的発生の重み付けのように、ある期間にわたる加重関数であってもよい。
【0080】
810で、様々な患者の応答の、2回またはそれ以上の発生のコンプライアンススコアが、複合コンプライアンス指数として結合される。複合コンプライアンス指数は、加重関数を用いて算出することができる。加重関数の加重は静的であっても動的であってもよい。複合コンプライアンス指数は、その他のシステム、プロセス、または装置に記憶し提供することができる。
【0081】
図9A〜9Fは、少なくとも1つの特定の要求に応答する、記録される患者の行動の例を示すチャートである。図示される実施例では、患者への具体的な要求は、毎日午前7:30に服を脱いで体重を計ることである。図9Aの第1のチャート900は、具体的な要求に応答して検知された一連の体重測定値を示す概念化(現実ではない)データを示す。図示されるように、患者の通常の体重は、約114kg〜117kgの範囲内にある。一実施例では、許容可能な1日の体重変動が、自然な体重変動を考慮に入れるために提示される。
【0082】
図9Bの第2のチャート902は、各計量の記録時間を示す。一実施例では、許容可能な時間変動が、患者の応答行動のタイミングにいくらかの柔軟性を与えるために提供される。別の実施例では、正確に明示された時間からの変動はすべて、結果的に低コンプライアンススコアとなる。
【0083】
図9C〜9Eにそれぞれ示される第3、第4、および第5のチャート904、906、908は、傾向時間コンプライアンススコア、傾向頻度コンプライアンススコア、および傾向質コンプライアンススコア(方式コンプライアンス)を示す。一実施例では、傾向時間コンプライアンススコアは、第3のチャート904に示されるように、過去1週間の記録された患者の行動を用いて算出される。一実施例では、傾向時間コンプライアンススコアは、たとえば0〜1のスコアから正規化される。ここでは、行動を実行する特定時間は午前7:30である。本実施例では、±30分の許容可能な時間変動を用いて、患者が午前7:00〜午前8:00の間のいつでも要求された行動(計量)を実行する場合、患者は、時間に関して完全に遵守したとみなされる。過去の7日間のデータを用いると、過去7日間の計量はどれも許容可能な時間範囲の午前7:00〜午前8:00に実行されたため、傾向時間コンプライアンスの第1の値910は1.0である。患者が、912の場合のように、許容可能な範囲内に要求された行動を取らない場合、対応する傾向時間コンプライアンススコアは群914のように落ち込む。
【0084】
図9Dの第4のチャート906は、第1のチャート900のデータに基づく、傾向頻度コンプライアンススコアを示す。時間コンプライアンススコアと同様、傾向頻度コンプライアンススコアは、本実施例では、前週のデータに基づく。ここでは、患者が行動を取ると、対応する1日の頻度コンプライアンススコアは1であり、患者が行動を取らないと、対応する1日の頻度スコアはゼロである。傾向頻度コンプライアンスは、前週の1日の頻度コンプライアンススコアの
【0085】
【数3】

などの線形関数として算出することができる。ただし、fcは1日の頻度コンプライアンススコアである(患者が要求された行動を取った場合は1、取らなかった場合は0)。図示されるように、918のように、患者の行動が検知されないと、患者が規則的に週全部の時間、要求された行動を実行するまで傾向頻度コンプライアンススコアは落ち込む。群916を参照。その後で、傾向頻度コンプライアンススコアは、完全なコンプライアンスを示す値920に調節される。
【0086】
図9Eの第5のチャート908は、傾向質コンプライアンススコアを示す。質コンプライアンスは、方式コンプライアンスと称することもできる。いくつかの患者の行動が、質のレベル、または要求された行動を実行する際に患者によって使用される正しい方式を類推または推定するため、測定値または要求された患者の行動のその他の側面を用いて、上記コンプライアンスを分析される。傾向時間コンプライアンススコアおよび傾向頻度コンプライアンススコアと同様、傾向質コンプライアンススコアも、患者の応答行動の過去の発生を基にすることができる。この実施例では、傾向質コンプライアンススコアを算出するために使用されたウィンドウまたは発生回数は、5日間と示されている。ここでは、具体的な指示は、患者に服を脱いで体重を測定する指示を含む。第1のチャート900のその他のデータ点と比較して、異常に高い922の点などのデータ異常値を認識し、患者が服を着たまま計量したと類推または推定され得る。よって、1日の質または方式コンプライアンススコアは低くなり、対応する傾向質コンプライアンススコアは、924のように落ち込む。
【0087】
傾向時間コンプライアンススコア、傾向頻度コンプライアンススコア、または傾向質コンプライアンススコアのうち、1つ以上は、傾向コンプライアンススコアが閾値を下回る場合に、警告が生成されるように関連付けられる閾値を有することができる。閾値はそれぞれ第3、第4、および第5のチャート904、906、908で破線926、928、930として示される。閾値は、統計的または確率的モデル(たとえば、集団データベースまたは過去の特定の患者からの測定値を用いて)を基にする、あるいは、ユーザ(たとえば、医師または臨床医)によって保持することができる。たとえば、状況によっては、ユーザは、異なるコンプライアンス尺度の変化に対して、より高いまたは低い感度を求めるかもしれない。1つ以上の傾向コンプライアンススコアに対して、閾値を手動で上昇または低下させることによって、ユーザはコンプライアンス警告の偽陽性または偽陰性(たとえば、特異度または感度)を管理することができる。上述して組み込んだように、CFAR方式も使用可能である。
【0088】
いくつかの実施例では、図9Fの第6のチャート932に示されるように、複合コンプライアンススコアを算出することができる。複合コンプライアンススコアは、傾向時間コンプライアンススコア、傾向頻度コンプライアンススコア、または傾向質コンプライアンススコアのうち、1つ以上の加重関数であってもよい。図示される実施例では、複合コンプライアンススコアは、それぞれ等しい加重の傾向時間コンプライアンススコア、傾向頻度コンプライアンススコア、および傾向質コンプライアンススコアの加重線形関数である。一実施例では、複合コンプライアンススコアは、時間に関する傾向であってもよい。複合コンプライアンススコアが閾値よりも低く算出される場合、警告が発せられるように閾値を提供することもできる(破線934で示される)。
【0089】
図9A〜9Fに示される実施例の拡張として、2つ以上の要求された患者の行動を記録し分析することができる。第6のチャート932に示されるように、複合コンプライアンススコアは、2つ以上の要求された患者の行動の、それぞれの時間、頻度、または質コンプライアンススコアのうち、1つ以上の関数であってもよい。1つ以上の要求された患者の行動は、複合コンプライアンススコアにおいて、互いに異なる加重をかけてもよい。加えて、複合コンプライアンススコアの各構成要素(たとえば、時間、頻度、または質)は、互いに異なることのできる対応加重を有することができる。
患者間診断
ある期間にわたり、患者の生理学的またはその他の健康関連の徴候を監視することは、患者の健康関連傾向に対する何らかの識見を提供するが、患者間診断方式を含めることによって、分析をより完全にすることができる。患者間診断は、以前に記録し文書化された患者データを利用して、現患者に利益をもたらす。現患者と同様な状況下の患者集団とを比較することによって、確率的決定を下すことができる。たとえば、患者の参照群または対照群に基づき、特定の患者が、参照群に類似する、あるいはさほど類似しないと言うことができる。別の実施例として、参照群との1つ以上の他の比較を用いて、特定の患者が、参照群よりも、所与の時間内に(たとえば、特定の「予測時間間隔」)健康上の事象を経験する可能性が高いか低いかを確率的にみなすことができる。1つ以上の上記確率的測定を用いて、医師は診断を変更する、あるいは治療を調節または調整して、特定の患者の生活の質を高めることができる。たとえば、医師は経過観察の訪問回数を増やす、あるいは連続する経過観察訪問間の時間を短縮する、1つ以上の警告方法で、1つ以上の閾値を調整する、あるいは薬剤を侵襲性の高いものまたは低いものに変更することができる。
【0090】
一実施例では、患者間方式は、特定の時間フレーム(たとえば、3ヶ月)内の健康状態のリスク(たとえば、心代償不全)による集団ベースの患者層別化を提供する。たとえば、参照患者集団と比較される際、患者は「高」、「中」、または「低」リスクと分類できると仮定する。この手法は、患者の1つ以上の心拍数変動(HRV)特徴と、参照集団と類似の1つ以上の特徴のモデルとの比較を含むことができる。参照集団は、類似の医療機器を規定される、あるいは類似の治療に関連付けられる患者のような、現患者に類似する1人以上、通常は複数の患者を含むことができる。患者間方式の結果、その患者が参照集団に類似するか否か(あるいはどの程度類似するか)を示すことのできる指数値が得られる。
【0091】
一実施例では、1つ以上の閾値は、リスクレベルまたはカテゴリに関連付けられる特定の群に、患者を分類または保存するために使用される。たとえば、閾値は、四分位数、十分位数、五分位数などを用いて確定することができる。他の実施例では、対数、指数、またはその他の分布関数(たとえば、Bell曲線)が、患者集団を、2つ以上のリスクカテゴリ、またはレベルに層別化するために使用することができる。閾値は、たとえば定期的または周期的に調節することができる。各種実施例では、自動または手動で調節を行うことができる。たとえば、新たな患者が既存の参照群に追加されるなどして、参照患者集団が変更または置換されるとき、適切な集団分布を維持するため、1つ以上の閾値を修正することができる。改訂患者集団参照群を確認して使用するユーザ(たとえば、医師)によってトリガされる際に、このような調節が起こり得る。1つ以上の閾値の調節は、たとえば、システムが改訂患者集団参照群の可用性または使用を検知するときに自動的に生じ得る。
【0092】
HRV診断値の使用を示す例を説明したが、特定の患者と参照群とを比較するのに、その他の生理学的、心理学的、またはその他の患者の徴候を使用することもできる。たとえば、心拍数(HR)、身体活動、血圧、心音、心臓内または胸郭またはその他のインピーダンス、またはその他のメトリクスが、分類または比較のために使用できる。
【0093】
適切な参照群の構成は、患者と参照群との比較に基づく、あらゆる予測的算出の精度または値に影響を及ぼし得る。そのため、参照群は、当該患者との1つ以上の類似点に基づき、選択することができる。類似の患者は以下を含むことができる。
−同じ比較試験に参加した患者、
−同じインプラント提供者または同じ治療提供者など同一または類似の医療提供者によって管理される患者、
−健全である(たとえば、特定の時間に死亡しなかった、特定の時間内に代償不全を起こさなかった、薬剤またはその他の処方を遵守する、高い生活の質を報告する、または特定の期間内に医療システムを利用しなかった)とみなされる患者、
−類似の年齢、性別、民族、地理、臨床、左心室駆出分画(LVEF)、ニューヨーク心臓協会(NYHA)心不全分類、HF病因、肥満度指数(BMI)、血圧、6分間歩行テスト(6MW)、生活の質(QOL)を有する患者、
−特定の時間フレーム(たとえば、埋め込みの5年後または治療変更の6ヶ月後)間、生存した患者、特定の時間フレーム(たとえば、最近の9ヶ月間)間、代償不全を起こさなかった患者
−同一または類似の薬剤を使用する患者、
−1つ以上の類似の併存症または不整脈歴を有する患者、
−類似の装置埋め込みまたは装置埋め込み歴を有する患者。
【0094】
この類似性特徴のリストは、包括的または完全であることを意図しておらず、患者を参照群にグループ分けする、あるいは参照群と関連付けるパラメータとして、使用可能な特徴の例を示すに過ぎない。
【0095】
参照群患者は、公的または民間データベースから選択することができる。たとえば、患者は、ミネソタ州セントポール、ボストンサイエンティフィック社(Boston Scientific Corporation)の心律動管理(CRM)グループによって提供されるラティチュード(LATITUDE)(登録商標)などの遠隔患者管理システムと関連付けられるデータベースから選択することができる。加えて、参照群は静的であっても動的であってもよい。静的参照群は、現患者が、データベースまたはシステムに登録または入力された時点で、データベースまたはシステムに存在する記録を有する患者から構成することができる。よって、静的参照群は、新たな患者の登録時など、特定の時間に、システムに存在した患者のスナップショットを示すことができる。静的参照群は更新することができない。たとえば、特定の診断方式の場合、患者のスナップショット静的参照群は、特定の診断方式の分析で行う推定を満たすために使用される。静的参照群の変更は、上記の厳密な診断方式の結果を無効にする場合がある。
【0096】
動的参照群は、動的に更新された静的参照群または真の動的参照群を含むことができる。動的に更新された静的参照群は、毎週、毎月、毎四半期、または毎年など、周期的または定期的に更新される。このような更新は、ある期間にわたり使用される新たな静的参照群を作成することができる。動的に更新された静的参照群は、トリガ事象の際に更新することもできる。トリガ事象の例は、現患者の埋め込み型装置の質問、新たな患者装置の埋め込み、新たな患者装置の導入(たとえば、新たなモデル、ファームウェア、ソフトウェア、またはその他の患者装置の素子の公開)、新たな薬剤の導入、あるいは、参照群の新たな改定が食品医薬品局(FDA)などの当局により許可されるときなどが含まれる。トリガ事象のその他の例には、検知された患者の健康状態の変化、標準治療の変化、人口統計(たとえば、ライフスタイル、食習慣、教育、出生率、死亡率、または習慣)の変化などが含まれる。トリガ事象は、参照群を更新するための、1つ以上のユーザコマンドも含むことができる。ユーザコマンドは、患者の年齢、性別、併存症、インプラントの種類、またはその他の生理学的、環境的、文化的、または患者に関連するデータなどの、1つ以上のパラメータを含むことができる。一実施例では、パラメータは、動的に更新された患者参照群として使用される患者のサブ集団を定義するフィルタとしての役割を果たす。様々な実施例では、パラメータは、論理積、論理和、またはその両方を用いて組み合わせることができる。
【0097】
真の動的参照群は通常、たとえば略リアルタイムで自動的にコンテンツを修正する患者参照群を含む。たとえば、真の動的参照群は、患者のサブ集団を特徴付ける、あるいは選択するために、上述したような、1つ以上のパラメータを用いて定義することができる。患者が生理学的、環境的、またはその他の患者関連の特徴の変化を経験すると、自動的に患者を真の動的参照群に追加する、あるいは排除することができる。実質上、一実施例では、真の動的参照群は、参照群統計(たとえば、分布)が要求またはアクセスされたときに更新される、動的に更新される静的参照群とみなすことができる。別の実施例では、真の動的参照群は、参照群を略リアルタイムで患者サブ集団の動的ビューとするため、毎秒などの細かい時間増分で更新するようにトリガされる、動的に更新される静的参照群とみなすことができる。
【0098】
図10は、患者集団と比較された特定の患者に基づく確率指数を導く方法1000の例を示す。1002で、1つ以上の生理学的徴候が受信される。生理学的徴候の例は、感知される心臓信号、身体活動レベル、およびSDANNまたはフットプリント%指数などが含まれる。フットプリント%指数は、患者の心拍数変動の2次元ヒストグラム下にある領域の測定を含む。生理学的徴候は、埋め込み型または外部患者監視装置によって、検知または提供することができる。たとえば、埋め込み型心律動管理装置は、心拍数間隔、埋め込み型電位図、頻脈性不整脈検知または律動区別のための電位図テンプレート、圧力(たとえば、心内圧または全身圧)、酸素飽和度、身体活動、心拍数変動、心音、胸郭または心臓内またはその他のインピーダンス、呼吸、内因性脱分極振幅、心拍数、頻脈性不整脈事例に関連するデータ、血行動態安定性、治療歴、自律神経系平衡、心拍数変動傾向またはテンプレート、または感知した生理学的データから引き出した傾向、テンプレート、抽象化作用を検出または記憶する、電子機器、メモリ、またはその他の素子を含むことができる。
【0099】
1004で、患者参照群が決定される、あるいは他の方法で現患者にマッピングされる。上述したように、患者参照群は、現患者と1つ以上の類似点を共有する患者プールからの患者を有することができる。参照群と現患者の間で共有される類似点の数が増えると、予測的算出の質または精度が向上する。関連参照群の決定は、上述したような年齢、性別、薬剤、病歴などの、1つ以上の要因の考慮を含むことができる。
【0100】
1006で、参照群データセットが決定される。一実施例では、参照群データセットは、参照群内の患者の患者データを含み、その患者データは、1002で受信した生理学的徴候と略同様である。たとえば、1002で患者の身体活動レベルが、内部または外部患者装置によって監視され報告されている場合、1006では、患者参照群からの身体活動レベルと関連付けられている患者データが、参照群データセットとして選択される。
【0101】
1008で、参照群データセットのモデルが決定される。一実施例では、モデルは確率的モデルであり、確率関数を用いて算出される。別の実施例では、確率関数は、累積分布関数(CDF)を含む。たとえば、モデルは、参照群の週平均活動度、SDANN、およびフットプリント%値の一連の1次元(1D)経験的累積分布関数を含むことができる。別の実施例として、CDFは、対角共分散行例または全共分散行例のいずれかを有する、単独のジョイント多変数CDFを含むことができる。別の実施例では、確率関数は、確率分布関数(PDF)を含む。一実施例では、確率的モデルは、一連の1−D確率分布関数(PDF)を含むことができ、特定のPDFが個々のパラメータをモデル化する。別の実施例では、モデルは、単独ジョイント多次元PDFを含むことができ、各次元が個々のパラメータをモデル化する。たとえば、PDFは、対角共分散または全共分散のいずれかを有するジョイント多変数PDFを含むことができ、参照群患者の週平均活動度、SDANN、およびフットプリント%値に対して推定することができる。平均心拍数、最大心拍数、最小心拍数、呼吸速度、S3心音の振幅、または肺動脈圧などのその他の生理学的パラメータも、モデル化および比較の際に使用することができる。
【0102】
1010で、現患者の受信した生理学的値は、参照群データセットのモデルに基づく指数値を決定するために使用することができる。指数値は、たとえば、定期的または周期的な時間間隔での平均値を使用することによって、毎日、毎週、または毎月など、定期的または周期的に算出することができる。一実施例では、1次元CDFは、参照群患者の何パーセントが、現患者の身体活動レベル以下の身体活動レベルであるかを判定するための「ルックアップテーブル」として使用可能である。同様のプロセスが、SDANNおよびフットプリント%値でも使用することができる。各パーセンタイル値に関しては、約0.5の値は、患者が参照群の50番目のパーセンタイル値にある(たとえば、患者が参照群に類似する)ことを示し、約0または1の値は、患者が参照群に類似しないことを示すことができる。個々の指数は、たとえば、個々の指数を乗算、加算、またはその他の方法で数学的に結合することによって、複合指数に結合することができる。
【0103】
別の実施例では、確率分布関数(PDF)は、参照群データセットをモデル化するために使用することができる。たとえば、PDFは、参照患者の活動、SDANN、およびフットプリント%値を用いて構成することができる。現患者の生理学的値は、推定PDFと比較して、患者の指数値を決定することができる。指数値は、現患者の活動度、SDANN、およびフットプリント%値のセットが、PDFに属する負の対数尤度を含むことができる。特定の実施例では、指数値は、現患者の値のセットが、推定PDFに属する可能性を表す等確率輪郭によって包囲される(あるいはその外の)PDF下の領域であってもよい。いずれの場合も、低(または高)指数値は、現患者が参照群と比較して、どの程度類似するか(あるいは異なる)を示す。
【0104】
指数値は、患者間の、より簡易な比較を提供し、より解釈しやすい参照値を提供し、異常値のより簡易な識別を提供し、あるいは患者の生理学的徴候と確率的診断との間の1つ以上の相関関係のより深い洞察を提供するのに有利であろう。いくつかの実施例では、指数値は、患者が特定の期間内に、ある病状を発病する、あるいは病状から回復する可能性を示すことができる。図示されるように、指数値は、患者が、たとえば患者参照群内の他の患者に対して、今後6ヶ月以内に心代償不全に係る可能性を示すよう解釈できる。このような可能性を判定するのに、たとえば、ハザード比またはCox比例モデルを使用することができる。他の実施例では、指数は、特定の時間フレームにおける生活の質の向上または低下などの健康上の変化を患者が経験する可能性、または死亡の可能性を示すために使用することができる。
【0105】
図11A〜11Cは、図11Aで身体活動累積分布関数(CDF)チャート1100の例、図11BでSDANN CDFチャート1102の例、および図11Cでフットプリント%CDFチャート1104の例を示す。図11Aでは、活動度CDFチャート1100は、x軸の活動度値1106とy軸の活動指数1108とを含む。一実施例では、活動度値1106は、患者が、心拍数、血圧、加速度計、または1つ以上の身体活動のその他の徴候に基づくことのできる閾値を用いて、活動的であるとみなされる時間のパーセントを示す。活動指数1108は、特定の活動度値1106を有する特定の患者のパーセンタイル値を表す。たとえば、活動度値1106が10である患者では、対応する活動指数1108は約0.62であり、それはその患者が活動的な患者の62パーセンタイル値を有する、たとえば、その患者は、示される患者の62%より活動的であることを示す。
【0106】
同様に、図11Bでは、SDANN CDF1102は、x軸の標準偏差値1110とy軸のSDANN指数1112とを含む。この実施例では、SDANN指数1112は、対応する標準偏差値1110以下のSDANN値を有する患者のパーセントを表す。
【0107】
図11Cでは、フットプリント%CDF1104は、フットプリント指数1116に対してフットプリントパーセント1114をマッピングする。この実施例では、フットプリント指数1116は、対応するフットプリントパーセント1114以下のフットプリントパーセント値を有する患者のパーセンタイル値を表す。
【0108】
図12は、参照群患者の身体活動レベルを示す、確率分布関数チャート1200の例である。チャート1200は、x軸の活動度値と、y軸の対応する活動度を有する患者のパーセントとを含む。特定の患者に関する活動指数を決定するため、確率分布関数(PDF)曲線下の領域が算出される。図示される実施例では、確率分布関数チャート1200を記載する式を用いることによって、14の活動レベルを有する患者が、曲線上の点1202に相当することを算出することができる。図12に示される1-D活動度PDFは、統合の間隔を定義する等確率密度を有する一対の点を特定する。類推すると、2-D密度は、統合の領域を定義する等確率密度または輪郭を有する点のセットを生じる。図12に示される実施例では、点1202と点1204は、共通の確率密度を共有する。2つの点1202、1204を用いて、PDF下の領域1206が定義される。一実施例では、活動指数は、PDF下の領域1206と等しい。算出された活動指数を用いることで、患者間の比較がしやすくなる、患者またはその他の医療専門家に患者の状態を伝えやすくなるなどの利点を提供することができる。
患者内診断と患者間診断間の相関関係
患者間分析は、集団と比較して、患者のリスクの比較的長期的な徴候を提供することができる。対照的に、患者内分析は、患者の健康の急性変化の比較的短期的徴候を提供することができる。よって、一つの分析を用いて、別の分析の実行を同調させることが有利であろう。たとえば、集団内の多くの患者を含む患者間分析は、特定の患者の特定の生理学的状態の発生のリスクが、高いまたは低いという十分な信頼度を提供することができる。患者が高リスクにあると考えられる場合、患者内分析の1つ以上のパラメータを修正することができる。たとえば、サンプリングタイミング間隔を短縮して、急性変化をより迅速に検知することができ、閾値を変更することができ、あるいは、確率分布モデルを集団ベースのリスクの種類または重症度に基づき選択することができる。対照的に、患者が低リスク、または比較的低リスクにあると考えられる場合、患者内分析が必要とみなされないかもしれない。もしくは、このような状況下での患者内分析は、侵襲性を少なくするように変更する、あるいは感度を低減して特異度を高める(たとえば、誤警告を低減するため)ことができる。このようなシステムによって、医師は、患者間方式を用いて長期的リスクに応じて患者を層別化し、患者内方式を用いて高リスク患者の急性変化をより厳密に観察し続けることができる。
【0109】
一実施例では、患者内代償不全検知方式は、低指数値または高指数値が、患者間リスク層別化方式から戻ってくる際に、使用可能または使用不能にすることができる。図13は、患者分析プロセス間の制御装置とデータフローとの例を示す図1300である。センサデータ1302は、上述したような患者間診断方式1304によって受信および分析することができる。患者間診断方式1304は、患者間診断方式1304で使用される集団と同様の疾病またはその他の健康上の問題を、患者が経験するリスクまたは可能性を示す指数1306を出力する。制御モジュール1308は、指数1306を受信し、それをリスク閾値と比較する。一実施例では、リスク比較結果が、閾値または閾値範囲と比較して、「低」、「中」、および「高」リスクなどの3つの状態で出力される。指数1306が、低リスクと関連付けられる場合、対応する患者内警告(WPA)方式が使用不能にされる1308。指数1306が、中リスクと関連付けられる場合、変更されない−WPA方式が使用可能とされていたら、使用可能のままであり、WPA方式が使用不能とされていたら、使用不能のままである。指数1306が、高リスクと関連付けられる場合、WPA方式は使用可能とされる。一実施例では、WPA方式は、自動的に使用可能または使用不能とされる。別の実施例では、ユーザ(たとえば、担当医師)は、WPA状態の変更示唆を通知され、手動または半自動でWPA方式を使用可能または使用不能にすることができる。
【0110】
例:入院後、心臓の診断が薬物治療の効果で安定すると、その結果、指数値(患者間診断方式の結果)が低くなることがある。低い指数値を考慮に入れ、患者内方式は、もはや不要であると考えられる。よって、患者データの急性変化から生じ得る誤警告を低減するために、患者内方式が自動または手動で使用不能にされる。
【0111】
例:埋め込み処置後、患者間方式による指数値が十分に高い(たとえば、閾値より高い)場合、それはその患者が、安定的CRT−D患者を含む参照群とは十分に異なることを示唆し、医師は、その患者の厳密な観察の継続を選択することができる。そうするため、医師は、診断パラメータの急性変化を医師に警告する患者内方式を使用可能にすることができる。
【0112】
一実施例では、患者内方式の1つ以上のパラメータを、患者間方式の結果に基づき、使用可能、使用不能、あるいは、修正することができる。たとえば、急性の検知閾値は、1つ以上の集団ベースリスク評価に基づき調節することができる。別の実施例として、測定確率分布関数(PDF)モデルを、(たとえば、ガウスまたは対数正規PDFモデルを用いて)集団ベース結果に基づき選択することができる。
【0113】
図14は、患者分析プロセス間の制御装置とデータフローの例を示す図(1400)である。図13に示されるシステムと同様、指数値(1402)に基づき、3つの状態の出力でリスクを評価することができる。この図では、リスクが低いと考えられるとき、患者内方式の1つ以上のパラメータが、方式の特異度を上昇させ、感度を低下させるように修正される(1404)。リスクが高いと考えられるとき、1つ以上のパラメータを調節することによって方式の感度を高め、特異度を低下させる(1406)。最後に、リスクが中間であると考えられるとき、1つ以上のパラメータは、現行値で維持される(1408)。パラメータは、加重関数の加重(加重係数)、患者比較に使用されるモデル、1つ以上の閾値などを含むことができる。パラメータは、条件状態(たとえば、制御フロー)、サンプル分解能(タイミング)、評価の頻度、評価のパターン(たとえば、1日のうちの時間、複数の評価の連続)などを制御する変数を含むこともできる。たとえば、1つ以上のパラメータは、ユーザ(たとえば、医師または臨床医)によって、自動的に決定または提供され、1つ以上の分析プロセスのうち、いずれが評価されるか、および先行する分析の後、どの順番で完了するかを示すことができる。分析処理の選択および構成を制御することは、分析結果を絞り込む、あるいは処理エラー(たとえば、偽陽性または偽陰性の表示)を低減するのに有利であろう。
【0114】
患者内方式のパラメータを自動的または手動で調節することによって、誤警告を低減する、あるいは最小限にとどめて、患者をより効率的に管理することが可能になる。一実施例では、いくつかのパラメータが自動的に調節される。別の実施例では、提案される1つ以上のパラメータ変更が、ユーザ、たとえば、パラメータの変更を許可または拒絶することのできる担当医師に提示される。
【0115】
例:患者間層別化方式が、最低心拍数(HRMin)と比較して、SDANNが、特定の患者に関してより高い感度を有すると示す場合、患者内方式は、加重関数においてSDANNパラメータに、より高い加重を割り当てるように修正することができる。
【0116】
特定の実施例では、患者間層別化などの第1の方式の、1つ以上の実行パラメータが、患者内方式などの第2の方式の偽陽性、偽陰性、特異度、感度、陽性予測値、陰性予測値、および1年当りの偽陽性の数に影響を及ぼすように調節することができる。
【0117】
上述したように、感度は通常、特定の結果を有効に検知する検知スキームの能力を指す。感度は以下の式、感度=(真陽性)/(真陽性+偽陰性)で表すことができる。よって、高感度は通常、分析がさらに真陽性を正確に特徴付ける、あるいは偽陰性を排除することを示す。
【0118】
特異度は通常、不適切な分類を回避する検知スキームの能力を指す。特異度は、関数、特異度=(真陰性)/(真陰性+偽陽性)で表すことができる。よって、高特異度は通常、真陰性のより正確な分類または偽陽性の低減を反映する。
【0119】
陽性予測値(PPV)は通常、正しい陽性結果を正確に生成する検知スキームの能力を指す。PPVは関数、PPV=(真陽性)/(真陽性+偽陽性)で表すことができる。よって、PPVは、正しい陽性表示の比率を示す。
【0120】
陰性予測値(NPV)は通常、正しい陰性結果を正確に生成する検知スキームの能力を指す。NPVは関数、NPV=(真陰性)/(真陰性+偽陰性)で表すことができる。よって、NPVは、正しい陰性表示の比率を示す。
【0121】
1年当りの偽陽性(FP)は、1年またはそれ以上の年数にわたる、偽陽性の表示の割合である。1年当りの偽陽性は関数、FP/yr=(1年またはそれ以上の年数間のFP)/(年数)で表すことができる。
【0122】
一実施例では、患者内方式は、患者間方式に影響を及ぼすために使用することができる。たとえば、患者間方式は、患者内方式の結果に基づき、使用可能、使用不能、あるいは、1つ以上のパラメータを修正、または使用可能にすることができる。
【0123】
図15は、患者分析プロセスのクロスフィードバック構造を示す。患者データ1500は、分析システム1502で受信される。一実施例では、分析システムは、ラティチュード(LATITUDE)(登録商標)などの、遠隔患者管理システムを含む。患者間指数方式1504または患者内方式1506は、受信された患者データ1500を用いて、指数1508または警告1510をそれぞれ算出することができる。一実施例では、指数1508は、患者がどの程度患者集団(たとえば、参照群)に類似するかを示す。一実施例では、警告1510は、患者の生理学的パラメータの急性変化を示す。指数1508および警告1510は、制御システム1516で受信される。一実施例では、制御システム1516は、ラティチュード(LATITUDE)(登録商標)などの分析システム1502と、同じシステムの一部である。他の実施例では、制御システム1516および分析システム1502は、別個の装置である。たとえば、分析システム1502はプログラマに配置し、一方制御システム1516は、中央患者管理サーバに配置することができる。制御システム1516内の第1のモジュール1512は、算出された指数1508に基づき患者内方式1506を修正するか否かを判定する。制御システム1516内の第2のモジュール1514は、警告1510に基づき患者間指数方式1504を修正するか否かを判定する。いずれの場合も、修正例は、対応する方式の1つ以上のパラメータを使用可能にする、使用不能にする、初期化する、あるいは修正するなどである。
【0124】
別の実施例では、3つ以上の診断方式が、相互に作用するように構成される。たとえば、第1の患者間診断方式は、身体活動レベルに焦点を当てるように構成し、第2の患者間指数は、心拍数変動に焦点を当てるように構成し、第3の患者内診断方式も利用することができる。患者内診断方式(第3の方式)の結果は、患者間方式(第1および第2)の一方または両方に影響を及ぼすことができる。他の実施例では、2つの方式が、第3の方式に影響を及ぼすように構成することができる。他の実施例では、1つの方式を使用して、次にどの方式を使用するか、あるいは、どの順番で以後の方式を実行するかを決定することができる。上記構成では、一群の方式は、状態機械とみなすことができる。患者間診断方式と患者内診断方式の、1つ以上の順列または組み合わせのマトリクスまたは「ウェブ」の生成は、診断の効率性の向上、または偽陽性または偽陰性表示の低減を提供することができる。
医師フィードバック
状況によっては、本文書に記載される方式などの診断方式は、偽陽性または偽陰性表示を招く場合がある。たとえば、特定の患者に対して、方式が改定または調整される前に、方式が最初に通常状態に初期化される際、誤った表示が生じることがある。誤表示の数を低減し、精度を向上させるため、医療専門家が、上記診断方式を監視および制御できることが有利であろう。
【0125】
図16は、医師フィードバックプロセスの例を示すデータフロー図である。患者データ1600は、制御システム1602に通信される。患者データ1600は、各種実施例では、生理学的データ、環境データ、または主観的な患者の応答を含むことができる。一実施例では、制御システム1602は、108(図1)に記載される構成要素の一部または全部を含む。図16に示される実施例では、制御システムは、記憶装置1604と演算装置1606を含む。記憶装置1604は、データベース、ファイル構造、またはその他の記憶手段として構成することができる。記憶装置1604は通常、患者データファイル1608、医師データファイル1610、および患者診断ルーチンファイル1612を含む。
【0126】
患者データファイル1608は、生の、または要約フォーマットなどの過去の生理学的データ、過去の主観的応答患者データ、1つ以上の患者検知方式から生成される1つ以上の警告、傾向データ、外挿データ(たとえば、特定の時間フレーム間の患者関連の最小、最大、または中間値)、またはその他の患者関連情報(たとえば、患者の識別情報、入院情報、過去の自動的または医師による診断など)を含むことができる。
【0127】
医師データファイル1610は、特定の患者に関連する医師の注記やコメント、医師インプット(以下でさらに詳細に説明)、処方された治療、またはその他の医師関連情報を含むことができる。
【0128】
患者診断ルーチンファイル1612は、自動化患者評価の判定プロセスを制御する、あるいは可能にするプログラムコードまたはその他の構造を含むことができる。患者診断ルーチンファイル1612は、閾値、加重係数、または患者診断ルーチンの実行中に使用されるその他のパラメータなどの変数も含むことができる。
【0129】
演算装置1606は、患者診断ルーチンファイル1614の実行を制御する、1つ以上のコンピュータまたはその他のプログラム装置を含むことができる。一実施例では、演算装置1606は、患者データリポジトリ1608から患者データにアクセスし、患者データファイル1608または患者診断ルーチンファイル1612に記憶されるパラメータを用いて、1つ以上の患者診断ルーチンファイル1614を初期化し、患者診断ルーチンファイル1614を実行し、患者データファイル1610または患者診断ルーチンファイル1612に結果を保存することができる。
【0130】
いずれかの時点で、医師またはその他の医療専門家は、制御システム1602にアクセスし、患者関連データ1616を受信することができる。患者関連データ1616は、生理学的データ、検査結果、概要データ、患者診断パラメータ、患者の治療、または患者データファイル1608または患者診断ルーチンファイル1612に記憶されるその他の患者データを含むことができる。医師は、たとえば患者の来院1618中に、患者と面談する、あるいは患者を検査する機会を持つことができる。観察、面談、またはその他の情報を用いて、医師は、制御システム1602にフィードバック1620を提供することができる。一実施例では、医師は、観察、面談、検査、または患者または患者関連データの評価を用いて、制御システム1602に医師インプット(たとえば、フィードバック1620)を提供することができる。このようなインプットは、制御システム1602で生成される同時期の結果から独立させることができるので、医師は、検査結果を再検討したり、患者関連データ1616に検査結果を提供したりしなくてもよい。制御システム1602によって生成される結果にバイアスをかけられない独自の患者評価は、「黄金律」すなわち真の標準を有効に提供することができ、その標準に従い、制御システム1602は、医師の判断と比較して、より精密になるように、方法またはプロセスを適合させることができる。
【0131】
いくつかの実施例では、たとえば、112で示されるように(図1)、医師または臨床医は、端末を用いてインプットまたはフィードバックを提供することができる。いくつかの実施例では、医師または臨床医は、電子医療記録システム1622にインプットを提供することができる。その後、電子医療記録システム1622に記憶された電子医療記録1624(EMR)の一部または全部は、制御システム1602にインポートすることができる。医師フィードバック1620の一部または全部は、医師データファイル1610に記憶することができる。一実施例では、演算装置1606は、医師フィードバック1620を使用して、1つ以上の患者診断ルーチンファイル1614の実行を変更または調節することができる。
【0132】
図17は、中央システムと医師間のフィードバックループの例を示す。いずれかの時点で、患者データが受信される1700。患者データは、1つ以上の患者診断ルーチンによって分析される1702。分析結果が記憶される1704。医師または臨床医は、記憶された結果にアクセスし、検討することができる1706。医師または臨床医は、フィードバックを提供することができる1708。各種実施例では、フィードバックは検証の形で(たとえば、正確、または不正確な結果)、あるいは1つ以上のコマンドで(たとえば、特定の患者診断ルーチンに関して、特異度を上げる、または閾値を下げる)行うことができる。フィードバックは、一実施例において、独立した判断であってもよい。実施例では、フィードバックメッセージは、1つ以上の標準化言語(たとえば、拡張可能マーク付け言語(XML))、または標準化フォーマット(たとえば、カンマ区切りファイル(.csv))の形式であってもよい。医師または臨床医のフィードバックを用いて、分析の1つ以上のパラメータは修正し1710、その後の実行に影響を及ぼすことができる。
【0133】
図18は、医師フィードバックを用いて、患者分析ルーチンの実行を修正する方法1800の例を示すフローチャートである。1802で、患者データが受信される。患者データは、1つ以上の埋め込み型監視装置または外部監視装置から感知される生理学的データ、対話型装置または質問装置からの患者の応答データ、あるいは医療専門家の来院またはその他の検査または面談により得られる健康上のデータなどを含む、1つ以上のソースから発生することができる。患者データは、電子医療記録データベースなどの外部データソースから、検索または受信することもできる。
【0134】
1804で、患者データは、上述したような(たとえば、患者内方式または患者間方式)、1つ以上の患者診断分析で分析される。1806で、分析結果がユーザに提供される。一実施例では、特定の状態が存在する際、たとえば、警告が生成されたとき、結果が自動的にユーザに送られる。別の実施例では、結果は、ユーザによるその後のアクセスのために記憶される。
【0135】
1808で、応答がユーザから受信される。応答は実施例に検証メッセージを含めることができる。検証メッセージは、たとえば、ユーザによるさらなる調査に基づき、分析結果が正しいか誤りかを示すことができる。別の実施例では、応答は、1つ以上のユーザ指令を含むことができる。ユーザ指令は、単独で、または検証メッセージと組み合わせて行うことができる。ユーザ指令は、分析の感度または特異度の増大または減少、閾値またはその他のパラメータに関する特定値の増大、減少、または提供、あるいはセンサまたは測定の重要度または順位に関する特定値の増大、減少、または提供を含むことができる。ユーザ指令の別の例を以下に示す。
【0136】
1810で、患者診断分析の1つ以上の側面が、応答を用いて修正または調節することができる。修正は、分析を使用可能または使用不能にすること、分析に関連付けられる1つ以上の加重関数の加重を増大または減少させること、あるいは警告検出方式(たとえば、閾値を上げる、または下げることによって)を修正することを含むことができる。その他の修正は、ある予測的または区別的方式を別の方式に重ねて選択する、あるいは一緒に使用する方式を選択するなど、他の修正も実行することができる。たとえば、頻脈性不整脈の区別および検知では、医師は、間隔ベースの区別アルゴリズム(たとえば、ワンボタン検出強化(OBDE))に重ねて形態ベースの区別アルゴリズム(たとえば、律動ID)を使用するように決定することができる。別の実施例として、心代償不全の検出または予測では、医師は、肺浮腫検知の結果と電気的同期不全の結果とを混合するように選択することができる。
【0137】
図19は、医療専門家が、制御システムにインプットまたはフィードバックを提示できるユーザインタフェースの例である。図示される実施例では、医療専門家が、心不全患者が代償不全を起こしているか否かの表示を提供することができる。このような表示は、制御システムから算出される結果から、独立して提供される。たとえば、医師は、独自に患者を診察し、あるいは患者と面談して、制御システムによって生成される診断を参照せずに、診断を導き出すことができる。その表示は、特定の診断分析に縛られる必要はない。たとえば、医師は、1つ以上の患者内診断方式および/または1つ以上の患者間診断方式に関連させることのできる表示を提供することができる。各種実施例では、医療専門家は、インプットを提示して、1つ以上の健康特性(たとえば、代償不全、不整脈、体重増、血圧の側面)を提供することができ、そのうちのいくつかは、制御システム(たとえば、図16の1602)によって使用され、患者診断方式またはセンサの検知プロセスのパラメータまたはその他の側面を修正することができる。
【0138】
図20は、図19に示されるユーザインタフェースによる、ユーザインタフェースシステム2002と制御システム2004間の相互作用の例を示す制御フロー図である。一実施例では、ユーザインタフェースシステム2002は、図1の112で示されるようなユーザ端末に組み込まれる。一実施例では、制御システム2004は、図1の108などの遠隔サーバシステムに組み込まれる。図20に示される例では、データ2006は、制御システム2004によって受信され、本文書に記載される分析のような患者内分析2008によって分析される。複合警告スコアが評価されて、閾値(Th)と比較される。複合警告スコアが閾値(Th)より大きい場合、状態が、ディスプレイなどの医師インタフェース2010に表示される。実施例では、医師インタフェース2010は、コンピュータ端末、電子医療記録システム、またはその他の入力機構を含むことができる。医師は、たとえば来院中または患者との電話面談中に、患者の状態を独自に判定することができる。その後、医師は、図19に示されるインタフェースなどのインタフェースを用いて、独自の判定を提供することができる。独自の判定は、制御システム2004またはその他のシステムによって実行される同時期の評価と非同期で実行することができるため、たとえば、独自の判定は、特定の患者内分析2008が評価される前、途中、または後に行うことができる。独自の判定は、データ2006などの制御システム2004によって受信されるデータと類似のデータに、少なくとも部分的に、依存することができ、あるいは、患者の検査中に得られるデータなどの独自に得られたデータを使用することができ、またはデータソースの組み合わせを利用することができる。データのソースが何であれ、独自の評価は通常、患者内分析2008の結果などの自動的に判定された結果を参照せずに行われる。一実施例では、独自の評価は、電子医療記録に記憶され、後で評価メッセージの形で制御システム2004に通信される。
【0139】
独自の判定は、評価メッセージ2012の形式を取ることができる。1つ以上の評価メッセージ2012が、制御システム2004内の検証モジュール2014に通信される。各種実施例では、評価メッセージ2012は、XMLなどの標準化インタフェース言語を用いて、またはカンマ区切り値(csv)、またはタブ区切りフォーマットなどの標準ファイルフォーマットでフォーマット化することができる。また、検証モジュール2014は、現行閾値、使用される現行センサ、または現行CAS値などの分析2008の、1つ以上の側面にアクセスすることができ、あるいはそれを提供される。検証モジュール2014は、分析2008の出力と医師の評価メッセージ2012とを比較するため、ソフトウェアプログラムなどの、1つ以上のプログラムモジュールを含むことができる。たとえば、患者が代償不全を起こしていると医師が示すとき、分析2008の結果、患者が代償不全を起こす可能性が高い場合、検証モジュール2014は、分析結果が正しかったことを示す検証メッセージ2016を生成する。各種実施例では、検証メッセージ2016は、XMLなどの標準化インタフェース言語を用いて、またはカンマ区切り値(csv)、またはタブ区切りフォーマットなどの標準ファイルフォーマットでフォーマット化することができる。しかし、代償不全を起こしていないと医師が示すならば、検証モジュール2014は、分析結果が不正確であったことを示す検証メッセージ2018を生成する。
【0140】
検証メッセージ2016、2018は、制御メッセージモジュール2020によって受信される。制御メッセージモジュール2020は、分析2008の1つ以上の側面にアクセスすることができ、あるいはそれを提供される。制御メッセージモジュール202は、もしあれば、どんな種類の修正が分析2008に通信されるかを決定する指示を含む、ソフトウェア、ハードウェア、またはその両方の組み合わせなど、1つ以上のプログラムユニットを含むことができる。たとえば、警告状態および検証メッセージ2018を示した患者内分析2008が、結果が不正確であると示す場合、実施例では、制御メッセージモジュール2020が制御メッセージ2022を生成し、分析の感度を低減し、その後、制御システム2004が閾値2014を増大して、後の評価の際に分析2008の特異度を高めることができる。閾値を増大し、分析の特異度を高めることによって、医師は、後の評価で偽陽性を低減するように、分析に影響を及ぼすことができる。ある実施例では、制御メッセージモジュール2020は、どの制御メッセージが特定の状況で生成されるかに影響を及ぼす、1つ以上のパラメータにアクセスすることができ、あるいはそれを提供される。たとえば、分析が不正確であり、閾値が数回増大される場合、制御メッセージモジュール2020は、現在の閾値を保持することを示す制御メッセージ2024を生成することができる。
【0141】
同様に、複合警告スコアが閾値を超過しない場合、その結果は、医師インタフェース2010に提示することもできる。医師は、患者の状態の類似する独自の評価を行い、評価メッセージ2012を制御システム2004内の検証モジュール2014に提示することができる。その後、検証モジュール2014は、評価メッセージ2012に含まれる医師の独自の評価と分析結果の1つ以上の側面とを比較し、検証メッセージ2026を生成する。その後、検証メッセージ2026は、制御メッセージモジュール2020に送られて、制御メッセージ2028、2030が生成される。制御システム2004は、制御メッセージ2028、2030を使用して、特定の実施例で、閾値2032を減少させる、あるいは同じ閾値2034を維持することができる。たとえば、医師が、患者が代償不全を起こしていないと示す場合、検証モジュール2014は、医師の診断が分析2008の結果と一致し、閾値への変更が行われないことを確認する2034。しかし、医師が、患者が代償不全を起こしていると判定する場合、検証モジュール2014は、分析が不正確であることを示す検証メッセージ2026を送り、閾値を低減して2032、後の評価の際に、分析の感度を高めることができる。閾値を増大し、分析の感度を高めることによって、医師はその後の評価において、偽陰性を低減するように分析に影響を及ぼすことができる。前述した場合と同様、制御メッセージモジュール2020は、閾値の減少が不可能である(たとえば、分析方式またはセンサの特定の能力の下限により)、あるいは実行不能であると決定することができ、このような場合、制御メッセージモジュール2020は、「変更なし」メッセージを生成することができる2030。
【0142】
図21は、医療専門家が、インプットまたはフィードバックを制御システムに提示することができるユーザインタフェースの例である。図示される実施例では、医療専門家は、診断分析の特定の結果が正しいか否かの表示を提供することができる。一実施例では、ユーザには、1つ以上の患者の生理学的徴候(たとえば、心拍数間隔、埋め込み型電位図、頻脈性不整脈検知または律動区別のための電位図テンプレート、圧力(たとえば、心内圧または全身圧)、酸素飽和度、身体活動、心拍数変動、心音、胸郭または心臓内またはその他のインピーダンス、呼吸、内因性脱分極振幅、心拍数、頻脈性不整脈事例に関連するデータ、血行動態安定性、治療歴、自律神経系平衡、心拍数変動傾向またはテンプレート、または感知した生理学的データから引き出した傾向、テンプレート、抽象化作用))と一緒に、特定の分析の結果(たとえば、心代償不全リスク)が提供される。その後、ユーザは、患者の状態を評価し、分析結果が正しいか否かを判定することができる。概念上、実施例では、ユーザは、図20の検証モジュール2014の代わりをする。
【0143】
図22は、図21に示されるユーザインタフェースによるユーザインタフェースシステム2202と、制御システム2204間の相互作用の例を示す制御フロー図である。一実施例では、ユーザインタフェースシステム2202は、図1の112で示されるようなユーザ端末に組み込まれる。一実施例では、制御システム2204は、図1の108などの遠隔サーバシステムに組み込まれる。図22に示される実施例では、データ2206が制御システム2204によって受信され、本文書に記載される患者内分析などの患者内分析2208によって分析される。複合警告スコアが評価されて、閾値(Th)と比較される。複合警告スコアが閾値(Th)より大きい場合、その状態が、ディスプレイなどの医師インタフェース2210に表示される。実施例では、医師インタフェース2210は、コンピュータ端末、電子医療記録システム、またはその他の入力機構を含むことができる。医師は、提供された情報を利用して、分析結果を確認することができる。図20に示される状況と異なり、医師は自動分析の予知結果を知っているため、患者の評価はその結果に応答して行われ、さらにその結果を確認する。医師は、図21に示されるインタフェースなどのインタフェースを用いて、確認決定を提供することができる。医師の決定は、特定の実施例では、検証メッセージ2212を用いて通信される。各種実施例では、検証メッセージ2012は、XMLなどの標準化インタフェース言語、あるいはカンマ区切り値(csv)、またはタブ区切りフォーマットなどの標準ファイルフォーマットでフォーマット化することができる。図20に示される動作と同様、制御システム2204は、検証メッセージ2212を用いて、分析2208の実行を修正するために、制御システム2204に向けることのできる1つ以上の制御メッセージ2214を生成することができる。
【0144】
図23は、医療専門家が、フィードバックを制御システムに提示することのできるユーザインタフェース2300の別の例である。図23では、患者分析の感度を調節する制御装置2302、2304、2306が医師に提供される。医師が制御装置2302、2304、2306のうちの1つを起動すると、一実施例では、制御メッセージが生成されて、制御システムに通信される。ユーザインタフェースは、たとえば、医師が独自に患者の状態を判定する患者評価の間に、アクセスすることができる。医師が、自動患者分析に同意する場合、医師は、「変更なし」制御装置2306を起動することができる。医師が、患者分析が不正確であり偽陽性を示すと考える場合、医師は分析の感度を低減し、「低感度」制御装置を起動するよう決定することができる2302。一方、医師が、患者分析が不正確であり偽陰性を示すと考える場合、医師は分析の感度を高め、「高感度」制御装置を起動したいと望むかもしれない2304。複数の患者分析方式が使用される他の実施例では、別個の制御装置のセットが各患者分析方式と関連付けられ、医師に提示することができる。上記構造で、次に医師は、各分析を制御することができる。他の実施例では、図示されるような単独セットの制御装置が提示され、複数の患者分析方式をまとめて制御することができる。さらに、アルゴリズム感度を修正するために使用可能な制御装置が図23に示されるが、他の実施例では、その他の制御装置がユーザに提供され、偽陽性比率、陽性予測値、陰性予測値などの実行尺度の側面を制御することができる。
【0145】
図24は、図23に示されるユーザインタフェースによるユーザインタフェースシステム2402と制御システム2404間の相互作用の例を示す制御フロー図である。患者内分析2406の結果に基づき、医師は、結果が不正確であると判定し、不正確な結果が偽陽性または偽陰性として知覚されるか否かに応じて、それぞれ感度2408を低下させ、感度2410を上昇させることができる。医師が患者内分析に同意する場合、たとえば、制御メッセージ2412および2414で変更なしが示される。制御メッセージ2412、2414は、XMLなどの標準化インタフェース言語を用いて、あるいはカンマ区切り値(csv)、またはタブ区切りフォーマットなどの標準ファイルフォーマットでフォーマット化することができる。
【0146】
図25は、ユーザインタフェース2500の別の例である。図25では、患者分析方式と関連付けられる1つ以上のセンサを、活性化または非活性化する1つ以上の制御装置2504がユーザに提供される。図示される実施例では、1つ以上のセンサが、心代償不全評価と関連付けられる。ユーザ(たとえば、医師または臨床医)は制御装置2504を使用して、各センサの結果が患者分析(たとえば、患者内分析)で使用されるか否かを管理する。このような患者評価の側面の管理は、特定の患者にとって特に好ましくないセンサを却下し、特に好ましいセンサを重視したいと考える医師には有利であろう。たとえば、医師は、特定の患者の評価に使用される際、特定のセンサがあまり決定的でない、あるいはあまり正確でないと実務中に判定したかもしれない。図25に示される制御装置の使用によって、上記医師は、上記センサを患者の状態の計算から排除することができる。
【0147】
また、各センサの重要度または加重は、重要度制御装置2502を操作することによってユーザから提供することができる。重要度制御装置2502は、重要度を示す許容可能な値の範囲を含むドロップダウン制御として提示することができる。一実施例では、各センサは、重要度制御装置2502に示すことのできるデフォルト制御と関連付けることができる。
【0148】
図26は、図25に示されるユーザインタフェースによるユーザインタフェースシステム2602と制御システム2604間の相互作用の例を示す制御フロー図である。ユーザは、センサ加重を変更する、あるいは、患者分析と関連付けられる特定のセンサを活性化または非活性化するために、1つ以上の制御メッセージ2606A、2606Bを送信することができる。
【0149】
図27は、1つ以上のセンサを制御するユーザインタフェース2700の別の例である。たとえば、1つ以上の制御装置を、閾値を変更し、概括的ラベル(たとえば、「高感度」または「低感度」)を用いて感度を変更し、使用される閾値算出の種類を変更し(たとえば、絶対値またはベースライン値からのパーセント変更)、あるいは、特定のセンサによって使用される検知方式を変更するために提供することができる。図27に示される実施例では、特定の値(たとえば、ベースライン値または任意の初期値)からのパーセント変更の関数などの閾値を設定するために、閾値制御装置2702がユーザに提供される。加えて、ユーザが、概して特定のセンサの感度をより高くまたは低く設定できるように、感度制御装置2704が提供される。感度制御装置2704は、太字、彩色、または、ユーザの現在の設定に対して表示するその他の図またはテキストの詳細など、ユーザに対して現在の設定を示すように構成することができる。図示される例では、ユーザが、閾値を現在の設定よりも高く変更することにより感度を低減すると、変更された閾値制御装置2702に関連付けられる一般的な感度制御装置2704は、低減された感度を反映するように表示を変更させる。同様に、ユーザが一般的な感度制御装置2704を選択すると、関連付けられる閾値制御装置2702において対応する閾値を示すことができる。
【0150】
図28は、図27に示されるユーザインタフェースによるユーザインタフェースシステム2802と制御システム2804間の相互作用の例を示す制御フロー図である。ユーザインタフェースシステム2802のユーザは、1つ以上の制御メッセージ2806を制御システム2804に送信して、1つ以上のセンサに関連付けられる、1つ以上の閾値を変更し、1つ以上のセンサの感度を変更し、1つ以上のセンサで使用される検知方式を管理し、あるいは、図27のユーザインタフェースに関して記載されるような、その他の管理タスクを実行することができる。一実施例では、制御システム2804は、1つ以上のセンサ2810から未修正の感知されたデータ2808を受信することができる。その後、制御システム2804は、データ2808を分析し、変更された閾値、感度レベル、またはその他のユーザ提供のインプットを用いて1つ以上の警告を設定し、最終的に複合警告スコアを導き出すことができる。すなわち、制御システム2804は、ユーザ提供情報を保持し、制御システム2804に局所的な警告を管理することができる。別の実施例では、制御システム2804は、たとえば図27でユーザインタフェース内に表示されるセンサに対応する、1つ以上のセンサ2810に、閾値、感度レベル、またはその他のユーザ提供情報を通信することができる。このような実施例では、その後、各センサ2810は、自身の検知アルゴリズムを修正し、たとえば新たな閾値を用いて適切な警告を提供することができる。
【0151】
図19、21、23、25、27に示されるユーザインタフェースの一部または全部は、ユーザに異なる制御範囲を与えるため、様々な組み合わせまたは順列で組み合わせることができる。分析混合、センサ混合、ある期間にわたるセンサ融合のタイミング間隔、センサ設定、検知閾値、選択される集団群などの患者分析方式のその他の側面を制御するため、図示されないその他のユーザインタフェースをユーザに提供することができる。
【0152】
上述したように、中央集中化データは、いくつかの理由により有利であろう。たとえば、医師は、同じ医療現場のメンバーではなく、そのため相互のEMRデータベースにアクセスできない医療提供者の診察を患者が受ける状況で、より容易にデータを共有することができる。加えて、中央集中化データは、本文書に記載されるシステムおよび方法を使用する際に、患者の健康傾向をより深く洞察することができる。
【0153】
上記の説明は、限定的ではなく説明的であることを目的とするように理解されるべきである。たとえば、上述の実施形態(および/またはその側面)は、互いに組み合わせて使用することができる。上記説明を検討すれば、当業者であれば多数のその他の実施形態が自明であろう。たとえば、上記説明では、情報が医療従事者に提供される具体例を記載しているが、他の実施例では、1人以上のその他のユーザが現システムおよび方法を用いて上記情報を取得する。したがって、本発明の範囲は、添付の請求項と、権利を与えられる上記請求項の等価物の全範囲を参照して決定されるべきである。添付の請求項では、「含む」という文言は、「備える」という文言の等価物として使用される。さらに、以下の請求項では、「含む」および「備える」という文言はオープンエンドである。すなわち、請求項内の上記文言の後に挙げられる構成要素とは別の構成要素を含むシステム、装置、物品、または工程も、その請求項の範囲内に収まるとみなされる。さらに、以下の請求項では、「第1の」、「第2の」、および「第3の」などの文言は、単に標示として使用され、対象に数字的な条件を付与することを目的としていない。
【0154】
この明細書の目的で、「機械読取り可能媒体」または「コンピュータ読取り可能媒体」という文言は、機械による実行の指示の順番を記憶または暗号化することができ、機械に発明の主題の方法のいずれかを実行させるいかなる媒体も含むように解釈すべきである。したがって、「機械読取り可能媒体」または「コンピュータ読取り可能媒体」という文言は、半導体メモリ、光ディスクおよび磁気ディスク、および実行可能ストリーミングダウンロード可能プログラムなどの、その他の一時的、過渡的、または永久的記憶手段を含むがそれらに限定されない。さらに、ソフトウェアは、機械読取り可能媒体を含むことのできる、複数の機械または記憶媒体間に分配させることができると理解される。
【0155】
本文書に記載される方法の実施形態は、コンピュータ実施可能であってもよい。いくつかの実施形態は、電子機器に各種実施形態の方法を実行させるように動作可能な指示を含むコンピュータプログラム(たとえば、ソフトウェア)で暗号化されるコンピュータ読取り可能媒体を含むことができる。ソフトウェア実行(またはコンピュータ実行方法)は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、または高位言語コードを含むことができ、各種方法を実行するためのコンピュータ読取り可能指示もさらに含むことができる。コードは、コンピュータプログラム製品の一部を形成することができる。さらに、コードは、実行中またはその他の時点で、1つ以上の揮発性または不揮発性コンピュータ読取り可能媒体に明確に記憶させることができる。これらのコンピュータ読取り可能媒体は、ハードディスク、取外し可能磁気ディスク、取外し可能光ディスク(たとえば、コンパクトディスクおよびデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカードまたはスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)などを含むが、それらに限定されない。
【0156】
要約は、読み手が技術上の開示の本質を迅速に認識できるように定める米国特許法施行規則第1.72(b)条を遵守するように提供される。要約は請求項の範囲または意味を解釈または制限するために使用されないという了解の下で提出されている。また、上記の詳細な説明では、様々な特徴が、開示を簡素化するために一緒にグループ分けされている。これは、請求項にない開示された特徴が請求項にとって必須であることを意図するものと解釈すべきではない。本発明の主題は、具体的に開示された実施形態の特徴すべてに存在するわけではない。よって、以下の請求項をこれにより詳細な説明に組み込み、各請求項は、別個の実施形態として個々に有効である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者装置を備えるシステムであって、前記患者装置は、
患者に関連付けられる患者データを受信するように適合された通信モジュールと、
前記患者に対応する参照群データを選択および記憶するように適合された参照群モジュールと、
前記参照群データのモデルを生成し、前記患者データと前記モデルとを比較して前記患者に関する指数を算出するように適合された分析モジュールと
を含む、システム。
【請求項2】
中央患者管理システムを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記分析モジュールが、確率関数を用いて前記参照群の前記モデルを生成するように適合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記分析モジュールが、1つ以上の累積分布関数を用いて前記参照群の前記モデルを生成するように適合されている、請求項1または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記分析モジュールが、1つ以上の確率分布関数を用いて前記参照群の前記モデルを生成するように適合されている、請求項1または3に記載のシステム。
【請求項6】
前記分析モジュールが、前記指数を用いて前記患者と前記参照群の類似点を判定するように適合されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記分析モジュールが、前記指数を用いて、参照群が時間フレーム内に心代償不全を起こす可能性と比較して、前記患者が、どの程度前記時間フレーム内に代償不全を起こす可能性があるかを判定するように適合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記分析モジュールが、前記指数を用いて、1つ以上のリスクレベルに前記患者を層別化するように適合されており、前記リスクレベルが特定の時間フレームにおける心代償不全の可能性を示す、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記患者装置が埋め込み型医療機器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記患者データが患者コンプライアンスデータを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記患者データが生理学的データを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
装置であって、
患者監視装置によって収集される現患者の患者データを受信する手段と、
前記患者に関連する参照群を決定する手段と、
前記参照群から選択され、前記患者監視装置から受信されるのと類似の種類の患者データを含む参照群データセットを決定する手段と、
前記参照群データセットのモデルを生成する手段と、
前記受信された生理学的データと前記モデルとを自動的に比較し、前記患者に関する指数を導き出す手段と
を備える装置。
【請求項13】
方法であって、
患者監視装置によって収集される現患者の患者データを受信すること、
前記患者に関連する参照群を決定すること、
前記参照群から選択され、前記患者監視装置から受信されるのと類似の種類の患者データを含む参照群データセットを決定すること、
前記参照群データセットのモデルを生成すること、
前記受信された生理学的データと前記モデルとを自動的に比較し、前記患者に関する指数を導き出すこと
を備える方法。
【請求項14】
前記参照群が中央患者管理システムに関連付けられる患者から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記参照群が、1つ以上の基準を用いて、前記現患者に類似する患者から選択され、前記基準が、年齢、性別、民族、臨床、左心室駆出分画(LVEF)、ニューヨーク心臓協会(NYHA)心不全分類、6分間歩行テスト(6MW)の結果、生活の質、心不全病因、肥満度指数(BMI)、血圧、投薬内容、併存症、不整脈歴、埋め込み歴、治療コンプライアンス、医療システム、概日リズム、地理的場所、特定の時間フレーム間に生存した患者、または特定の時間フレーム内に代償不全とならなかった患者を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
1つ以上の前記基準の変化を検知すること、
前記変化した基準を用いて前記参照群を更新すること、
を備える、請求項13または15に記載の方法。
【請求項17】
前記参照群が1つ以上の基準を用いて安定状態にあると考えられる1人以上の患者を含み、前記基準が、特定の期間中に、死亡しなかった、代償不全を起こさなかった、または生活の質を低下させなかった患者を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記モデルを生成することが、確率関数を用いて、前記参照群データセットの前記モデルを生成することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記確率関数が1つ以上の累積分布関数を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記確率関数が1つ以上の確率分布関数を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記指数を用いて、前記患者と前記参照群の類似点を決定することを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記指数を用いて、参照群が時間フレーム内に心代償不全を起こす可能性に対して、どの程度、前記患者が前記時間フレーム内に代償不全を起こす可能性があるかを判定することを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記指数を用いて、参照群が時間フレーム内に死亡する可能性に対して、どの程度、前記患者が前記時間フレーム内に死亡する可能性があるかを判定することを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記指数を用いて、参照群が時間フレーム内に生活の質を変化させる可能性に対して、どの程度、前記患者が前記時間フレーム内に生活の質を変化させる可能性があるかを判定することを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項25】
前記指数を用いて、1つ以上のリスクレベルに関連付けられる1つ以上の個々の群に前記患者を層別化することを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項26】
前記リスクレベルが、特定の時間フレームにおける心代償不全の可能性を示す、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記指数を用いることが、前記指数と1つ以上の閾値とを比較して、前記患者をリスクレベル別に分類することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記閾値を自動的に調節することを備える、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記閾値を周期的または定期的に調節することを備える、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記現患者の患者データを受信することが、埋め込み型医療機器で患者データを受信することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項31】
前記患者データが患者コンプライアンスデータを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項32】
前記患者データが生理学的データを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項33】
前記生理学的データが、心電図、活動レベル、心拍数変動、心拍数、心音、血圧、インピーダンス、体重、または酸素飽和度のうち1つ以上を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
トリガ事象を検知すること、
前記トリガ事象が検知されたときに前記参照群を更新すること、
を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項35】
前記トリガ事象が、前記患者監視装置の質問、新たな患者装置の埋め込み、新たな患者装置の導入、改訂参照群の許可、定期的または周期的な時間間隔、1人以上の患者の健康状態の変化、ユーザコマンド、または前記参照群へのアクセス要求のうち1つ以上を含む、請求項34に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公表番号】特表2010−514497(P2010−514497A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544022(P2009−544022)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/025666
【国際公開番号】WO2008/085308
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(505003528)カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド (466)
【Fターム(参考)】