説明

リソースブロックを最適に組み合わせる送信機、プログラム及び方法

【課題】OFDMA伝送方式の送信機について、リソースブロックを最適に組み合わせることによって、伝送特性を向上させることができる送信機等を提供する。
【解決手段】複数のサブキャリアから生成したリソースブロックを、複数個ずつ同時に出力するリソースブロック選択手段と、複数個のリソースブロックを符号化し、複数の送信ストリームを出力するプリコーディング手段と、送信ストリーム毎の全てのリソースブロックについて共通MCS(Modulation and Coding Scheme)値を決定するMCS決定手段と、リソースブロック毎に、当該リソースブロックのMCS値と共通MCS値との差分値を算出する差分算出手段とを更に有する。リソースブロック選択手段は、複数の差分値の中で、最大の差分値のリソースブロックと、最小の差分値のリソースブロックとを組にして同時に出力すると共に、この処理を、全てのリソースブロックを出力するまで繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)伝送方式用の送信機について、リソースブロックを組み合わせる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信規格の発展に伴って、通信の大容量化が進んできている。特に、IMT-Advancedによれば、静止時に1Gbps、移動時でも数百Mbpsの伝送レートを達成することが目標とされている。この目標を達成するためには、周波数帯域幅が、100MHz程度、必要と考えられている。
【0003】
3GPP標準化におけるLTE(Long Term Evolution)の仕様によれば、下りリンク(基地局->移動局)には、マルチパス干渉に対する耐性が高く、且つ、サブキャリア数を変更することによって広範囲な周波数帯域幅に対応できるOFDMA多重化伝送方式を用いる。この技術によれば、高速情報レートの広帯域信号を、多数の低速シンボルレートのマルチキャリア信号を用いて並列的に伝送することができる。
【0004】
OFDMAに基づいて、高速伝送を実現するMIMO(Multiple Input Multiple Output:多入力・多出力)多重化伝送方式の技術がある。この技術によれば、複数のアンテナを用いて、複数の送信ストリームを同一周波数及び同一時間に並列に送信することができる。また、周波数ダイバーシチゲインを効果的に得ることもできる。
【0005】
図1は、従来技術におけるMIMO多重化伝送システムを表す説明図である。
【0006】
図1によれば、送信機となる基地局1から、受信機となる移動局2への下りリンクの送信ストリームが表されている。
(S11)最初に、基地局1は、移動局2へ、リファレンス信号を送信する。
(S12)移動局2は、そのリファレンス信号を用いて、基地局との間のチャネル状態を測定する。そして、移動局2は、そのチャネル状態に基づいて最適なMCS(Modulation and Coding Scheme)値を選択する。「MCS」値とは、適応変調の際に予め決めておく変調方式と符号化率の組合せであって、一般に、MCS値が高い値になるほど、高速な伝送パラメータの組合せとなる。
(S13)移動局は、選択されたMCS値をCQI(Channel Quality Indicator)情報として、基地局へフィードバックする。
【0007】
ここで、図1のリソースブロックについて説明する。例えば、基地局が、ある移動局に対して、6個のリソースブロックを割り当てているとする。ここで、移動局から受信したCQI情報に基づいて、6個のリソースブロックのMCS値が、「7」「9」「10」「5」「1」「3」であるとする。そして、リソースブロック毎に、各MCS値を用いて、SINR(signal-to-interference-plus-noise ratio、信号対干渉電波雑音比)を再生する。次に、リソースブロック毎のSINRから、全てのリソースブロックにおける平均SINRaveを算出する。この平均SINRaveにおける所要誤り率を達成できるように、実際に通信に用いる1つの共通MCS値が選択される。平均SINRaveに基づいて共通MCS値が選択されているために、その共通MCS値は、各リソースブロックのMCS値の平均値に近い値となる。図1によれば、全てのリソースブロックに対して、共通MCS値=6に基づいて、変調方式及び符号化率が決定される。
【0008】
前述した高速伝送方式とは別の技術として、スペクトラムアグリゲーションの技術がある。現状、周波数リソースは既に逼迫しており、連続的な広帯域を一括で確保することは、非常に困難となっている。この問題を解決するために、周波数帯域が互いに離れた複数のキャリア信号を束ねて同時に送信する「スペクトラムアグリゲーション」の技術がある。この技術によれば、周波数特性が異なる複数のチャネル信号を同時に利用することによって、広い周波数帯域を確保することができる。
【0009】
スペクトラムアグリゲーションシステムとして、伝搬特性の異なる複数の周波数帯域のチャネル信号を、ユーザのQoS(Quality Of Service)に応じて割り当てる技術がある(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、ユーザのQoSとして、アプリケーション毎に必要な平均伝送速度、遅延(平均、最大遅延、ジッタなど)、フレーム誤り率、送信電力、最大伝送速度、最低保証伝送速度などが考慮される。各ユーザにQoSに応じた最適な周波数帯域を割り当てることができ、周波数リソースを効率的に運用することができる。
【0010】
また、ユーザに周波数リソースを割り当てる際、利用可能な周波数帯域の中から、高い周波数帯域から順に優先的に割り当てる技術がある(例えば特許文献2参照)。この技術によれば、システム全体で収容可能なユーザ数を増加させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−094001号公報
【特許文献2】WO2006/088082
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、いずれの従来技術によっても、OFDMA伝送方式の送信機について、あるユーザに複数のリソースブロックが割り当てられた際に、無線品質の悪いリソースブロックが含まれる可能性がある。ここで、無線品質の悪いリソースブロックの数が多い場合、伝送特性の劣化を抑えるために低速の伝送レートが選択され、伝送可能なデータ量が減少するという問題があった。
【0013】
前述した図1によれば、RB1〜3については、移動端末の測定に基づく当初のMCS値よりも低いMCS値が選択され、RB4〜6については、当初のMCS値よりも高いMCS値が選択されることとなる。このように、各リソースブロックによって、共通MCS値との間でばらつきが発生する。
【0014】
移動局によって測定されたチャネル状態に基づく当初のMCS値が、共通MCS値よりも小さいほど、伝送特性が劣化する可能性がある。特に、当初のMCS値が共通MCS値よりも小さいリソースブロック同士を組み合わせて出力した場合、更に伝送特性が劣化する可能性がある。
【0015】
そこで、本発明は、OFDMA伝送方式の送信機について、リソースブロックを最適に組み合わせることによって、伝送特性の劣化を軽減し、伝送レートを向上させることができる送信機、プログラム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、送信ストリーム毎に、複数のサブキャリアに分割するサブキャリア生成手段と、
複数のサブキャリアからリソースブロックを生成し、当該リソースブロックを、複数個ずつ同時に出力するリソースブロック選択手段と、
複数個のリソースブロックに対して符号化し、複数の送信ストリームを出力するプリコーディング手段と、
送信ストリーム毎に、周波数信号処理をし、各アンテナへ出力する複数の周波数信号処理手段と
を有し、送信ストリームを複数のアンテナから同時に送信するOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)伝送方式用の送信機であって、
送信ストリーム毎の全てのリソースブロックについて共通MCS(Modulation and Coding Scheme)値を決定するMCS決定手段と、
リソースブロック毎に、当該リソースブロックのMCS値と、共通MCS値との差分値を算出する差分算出手段と
を更に有し、
リソースブロック選択手段は、複数の差分値の中で、最大の差分値のリソースブロックと、最小の差分値のリソースブロックとを組にして同時に出力すると共に、この処理を、全てのリソースブロックを出力するまで繰り返す
ことを特徴とする。
【0017】
本発明の送信機における他の実施形態よれば、MCS決定手段は、
移動局からフィードバックされた、リソースブロック毎のCQI(Channel Quality Indicator)情報に基づいて、リソースブロック毎のMCS値を取得し、
リソースブロック毎にMCS値に基づく信号対干渉比を導出し、これら信号対干渉比から平均信号対干渉比を算出し、該平均信号対干渉比から共通MCS値を算出するか、又は、全てのリソースブロックの全てのMCS値の平均値を共通MCS値とするものであってもよい。
【0018】
本発明の送信機における他の実施形態よれば、
送信機は、周波数帯域が互いに離れた複数のキャリア信号毎に、各送信ストリームを、複数のアンテナから同時に送信するスペクトラムアグリゲーション用のものであって、
MCS決定手段は、キャリア信号毎に、その送信ストリームにおける全てのリソースブロックについて共通MCS値を決定し、
差分算出手段は、キャリア信号毎に、その送信ストリームにおける各リソースブロックについて、当該リソースブロックのMCS値と、共通MCS値との差分値を算出し、
リソースブロック選択手段は、キャリア信号毎に最小の差分値を導出し、両方のキャリア信号における最小の差分値を比較し、小さい方の差分値となる一方のキャリア信号における最小の差分値のリソースブロックと、他方のキャリア信号における最大の差分値のリソースブロックとを組にして同時に出力し、この処理を、全てのリソースブロックを出力するまで繰り返すものであってもよい。
【0019】
本発明の送信機における他の実施形態よれば、
送信機は、周波数帯域が互いに離れた複数のキャリア信号毎に、各送信ストリームを、複数のアンテナから同時に送信するスペクトラムアグリゲーション用のものであって、
MCS決定手段は、全てのキャリア信号の全ての送信ストリームにおける全てのリソースブロックについて共通MCS値を決定し、
差分算出手段は、キャリア信号毎に、その送信ストリームにおける各リソースブロックについて、当該リソースブロックのMCS値と、共通MCS値との差分値を算出し、
リソースブロック選択手段は、キャリア信号毎に最小の差分値を導出し、両方のキャリア信号における最小の差分値を比較し、小さい方の差分値となる一方のキャリア信号における最小の差分値のリソースブロックと、他方のキャリア信号における最大の差分値のリソースブロックとを組にして同時に出力し、この処理を、全てのリソースブロックを出力するまで繰り返すものであってもよい。
【0020】
本発明の送信機における他の実施形態よれば、リソースブロック選択手段は、
キャリア信号毎に最小の差分値を導出し、両方のキャリア信号における最小の差分値を比較し、同数である場合、
キャリア信号毎に最大の差分値を導出し、大きい方の差分値となる一方のキャリア信号における最大の差分値のリソースブロックと、他方のキャリア信号における最小の差分値のリソースブロックとを組にして同時に出力し、この処理を、全てのリソースブロックを出力するまで繰り返すものであってもよい。
【0021】
本発明の送信機における他の実施形態よれば、
両方のキャリア信号におけるリソースブロックの数が同数でない場合、
リソースブロック選択手段は、最終的に、一方のキャリア信号のリソースブロック同士を組にして同時に出力するものであってもよい。
【0022】
本発明によれば、
送信ストリーム毎に、複数のサブキャリアに分割するサブキャリア生成手段と、
複数のサブキャリアからリソースブロックを生成し、当該リソースブロックを、複数個ずつ同時に出力するリソースブロック選択手段と、
複数個のリソースブロックに対して符号化し、複数の送信ストリームを出力するプリコーディング手段と、
送信ストリーム毎に、周波数信号処理をし、各アンテナへ出力する複数の周波数信号処理手段と
を有し、送信ストリームを複数のアンテナから同時に送信するOFDMA(直交周波数分割多元接続)伝送方式用の送信機に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
送信ストリーム毎の全てのリソースブロックについて共通MCS値を決定するMCS決定手段と、
リソースブロック毎に、当該リソースブロックのMCS値と、共通MCS値との差分値を算出する差分算出手段と
を更に有し、
リソースブロック選択手段は、複数の差分値の中で、最大の差分値のリソースブロックと、最小の差分値のリソースブロックとを組にして同時に出力すると共に、この処理を、全てのリソースブロックを出力するまで繰り返す
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、
送信ストリーム毎に、複数のサブキャリアに分割する第1のステップと、
複数のサブキャリアからリソースブロックを生成し、当該リソースブロックを、複数個ずつ同時に出力する第2のステップと、
複数個のリソースブロックに対して符号化し、複数の送信ストリームを出力する第3のステップと、
送信ストリーム毎に、周波数信号処理をし、各アンテナへ出力する第4のステップと
を有し、送信ストリームを複数のアンテナから同時に送信するOFDMA(直交周波数分割多元接続)伝送方式用の送信機における送信方法であって、
送信ストリーム毎の全てのリソースブロックについて共通MCS値を決定し、
リソースブロック毎に、当該リソースブロックのMCS値と、共通MCS値との差分値を算出し、
第2のステップは、複数の差分値の中で、最大の差分値のリソースブロックと、最小の差分値のリソースブロックとを組にして同時に出力すると共に、この処理を、全てのリソースブロックを出力するまで繰り返す
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の送信機、プログラム及び方法によれば、OFDMA伝送方式の送信機について、リソースブロックを最適に組み合わせることによって、伝送特性を向上させることができる。即ち、本発明によれば、伝送特性が良いリソースブロックが、伝送特性が悪いリソースブロックにおける伝送特性の劣化を軽減し、全体の伝送特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来技術におけるMIMO多重化伝送システムを表す説明図である。
【図2】本発明における送信機の機能構成図である。
【図3】本発明におけるリソースブロックの第1の組合せ方法を表す説明図である。
【図4】スペクトラムアグリゲーションのシステム構成図である。
【図5】本発明におけるリソースブロックの第2の組合せ方法を表す説明図である。
【図6】Eb/NOに対するパケット誤り率を表すグラフである。
【図7】本発明におけるリソースブロックの第3の組合せ方法を表す説明図である。
【図8】本発明におけるリソースブロックの第4の組合せ方法を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0027】
図2は、本発明における送信機の機能構成図である。
【0028】
図2によれば、送信機1は、LTE(Long-Term Evolution)-Advancedの基地局に適用されている。送信機1は、データ送信部10と、サブキャリア生成部11(111及び112)と、リソースブロック選択部12と、プリコーディング(pre-coding)部13と、周波数信号処理部14(141及び142)と、アンテナ15と、コードブック記憶部16と、共通MCS決定部17と、差分値算出部18とを有する。アンテナ15を除くこれら機能構成部は、送信機に搭載されたコンピュータ(例えばDSP(Digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array))を機能させるプログラムを実行することによっても実現できる。
【0029】
サブキャリア生成部11は、送信ストリーム毎に、複数のサブキャリアに分割する。図2によれば、サブキャリア生成部11は、誤り訂正符号器と、シンボルマッパと、直並列変換器(Serial to Paraveel)とを有する。誤り訂正符号器は、原データに対して、誤り訂正符号化の処理を実行し、CRC(Cyclic Redundancy Check)のチェックビットを抽出する。シンボルマッパは、送信変調シンボルにチェックビットを付加する。直並列変換器は、サブキャリア毎のパラレルデータに変換する。例えば、LTE用の送信機の場合(本発明はLTE-Advancedに適用できる)、12本のサブキャリア(サブキャリア間隔:15kHz、帯域幅:180kHz=12×15kHz)を、周波数軸上の伝送基本単位と定めている。
【0030】
尚、図1によれば、送信ストリーム毎にサブキャリア生成部11を備えているが、複数の送信ストリームに対して1つのサブキャリア生成部11を共有して用いるものであってもよい。これによって、装置構成を簡略化することもできる。あくまで、送信機における本発明の特徴は、リソースブロック選択部12、共通MCS決定部17及び差分値算出部18にある。
【0031】
リソースブロック選択部12は、送信ストリーム毎に、複数のサブキャリアからリソースブロック(RB:Resource Block)を生成する。例えば、LTE用の送信機の場合、12本のサブキャリアをまとめて1つのリソースブロックとして取り扱う。12サブキャリアの1スロット(7シンボル)を、「リソースブロック」と称する。
【0032】
そして、リソースブロック選択部12は、送信ストリーム各々の当該リソースブロックを1個ずつ、プリコーディング部13へ出力する。例えば、第1の送信ストリーム及び第2の送信ストリームにそれぞれ、リソースブロックが3個ずつ生成された場合、リソースブロックの2個の組を、合計3回、プリコーディング部13へ出力する。
【0033】
尚、リソースブロック選択部12の具体的な動作については、図3以降で詳述する。
【0034】
プリコーディング部13は、送信ストリーム毎のリソースブロックに対して、重み付け行列によって符号化し、アンテナ毎の送信ストリームを生成する。プリコーディング方式は、一般に、MIMO多重化伝送方式に適用されるSDM(Space Division Multiplex:空間分割多重)送信処理又はSTC(Space Time Coding)送信処理に適用される技術である。「プリコーディング方式」とは、コードブック(パターンの符号表)に応じて、入力信号系列と出力信号系列との符号化(重み付け加算による合成)をするものである。
【0035】
周波数信号処理部14は、送信ストリーム毎に、周波数信号処理をし、各アンテナへ出力する。図2によれば、周波数信号処理部14は、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform、逆高速フーリエ変換)部と、CP(Cyclic Prefix)挿入部と、送信部とを有する。IFFT部は、符号化された送信ストリームs1'、s2'の周波数軸成分を、時間軸成分に変換する。CP挿入部は、CPを挿入し、CP時間長以下の遅延波に対してサブキャリア間の直交性を保持し、マルチパス遅延波に対するロバスト性を高める。送信部は、CPが挿入された送信ストリームを、アンテナへ出力する。
【0036】
コードブック記憶部16は、プリコーディング部13に対する重み付け行列を予め記憶する。
【0037】
共通MCS決定部17は、全てのリソースブロックについて共通MCSを決定する。例えば、リソースブロック毎のSINRから、全てのリソースブロックの平均SINRaveを算出し、その平均SINRaveから共通MCS値を決定するものであってもよい。また、簡単には、リソースブロック毎のMCS値から、全てのリソースブロックの平均MCS値を、共通MCS値として決定するものであってもよい。共通MCS値は、リソースブロック選択部12(図1の場合)又は差分値算出部18(後述する図3、図5、図7、図8の場合)へ出力される。
【0038】
差分値算出部18は、リソースブロック毎に、当該リソースブロックのMCS値と、共通MCS値との差分値を算出する。リソースブロック毎の差分値は、リソースブロック選択部12へ出力される。
【0039】
図3は、本発明におけるリソースブロックの第1の組合せ方法を表す説明図である。
【0040】
(S31)移動局から受信したCQI情報に基づいて、6個のリソースブロックのMCS値が、「7」「9」「10」「5」「1」「3」であるとする。そして、リソースブロック毎に、移動局からのMCS値に基づくSINRが算出されている。
(S32)リソースブロック毎のSINRから、全てのリソースブロックにおける平均SINRaveを算出する。そして、その平均SINRaveから、共通MCS値を決定する。ここでは、例えば共通MCS値=6に設定されている。
(S33)次に、リソースブロック毎に、当該リソースブロックのMCS値と、共通MCS値6との差分値を算出する。6個のリソースブロックの差分値ΔDnが、「1」「3」「4」「−1」「−5」「−3」であるとする。
【0041】
ここで、差分値ΔDnが大きいリソースブロックほど、所定の誤り率を達成する上で、余裕のあることを意味する。一方で、差分値ΔDnが小さいリソースブロックほど、所定の誤り率を達成できない恐れがあり、伝送特性が劣化する可能性も高い。
【0042】
(S34)次に、複数の差分値の中で、最小の差分値のリソースブロック(MIN{ΔDn}=ΔD5=−5:RB5)と、最大の差分値のリソースブロック(MAX{ΔDn}=ΔD3=4:RB3)とを検出する。
(S35)そして、リソースブロックRB3及びRB5が選択され、プリコーディング部へ出力される。
【0043】
(S36)次に、残りの複数の差分値の中で、最小の差分値のリソースブロック(MIN{ΔDn}=ΔD6=−3:RB6)と、最大の差分値のリソースブロック(MAX{ΔDAn}=ΔDA2=3:RB2)とを検出する。
(S37)そして、リソースブロックRB2及びRB6が選択され、プリコーディング部へ出力される。
【0044】
(S38)最後に、残りのリソースブロックRB1及びRB4が選択され、プリコーディング部へ出力される。
【0045】
尚、本発明によれば、移動局からの特別なフィードバック情報を受信する必要なく、既存のシステムの中で既にフィードバックされているCQI情報のみを用いて、リソースブロックを組み合わせることができる。
【0046】
図4は、スペクトラムアグリゲーションのシステム構成図である。
【0047】
図4によれば、送信機1が、2つの送信ストリームを、異なるキャリア信号(800MHz帯、2GHz帯)で送信している。一方で、受信機2は、2つのストリームを受信しつつ復元する。ここで、図1のMIMO(Multiple Input Multiple Output:多入力・多出力)方式は、同一周波数帯に適用するものであるのに対し、図4によれば、異なる周波数帯(異なるキャリア信号)で、複数のストリームを送信しようとするものである。そのために、送信機の第1のアンテナから送信された第1のストリームは、受信機の第1のアンテナのみによって受信される。同様に、送信機の第2のアンテナから送信された第2のストリームは、受信機の第2のアンテナのみによって受信される。従って、MIMO多重化伝送方式のように、送信機の1つのアンテナから送信されたストリームが、受信機の全てのアンテナによって受信されることはない。尚、本実施形態によれば、ストリームが800MHz及び2GHzであるとして説明するが、勿論、利用可能な周波数帯域が、これに限定されるものではない。
【0048】
図4(a)によれば、1つの送信機(例えば基地局)1が、800MHz帯及び2GHz帯の両方のキャリア信号を送信している。送信機1は、原データの送信ストリームs1、s2に対して重み付け加算の符号化処理をし、キャリア信号毎のアンテナから送信ストリームs1'、s2'を送信する。送信ストリームs1'、s2'は、キャリア信号毎に、異なる伝搬路(伝搬路特性H)を通過し、ノイズ(n)を受ける。
800MHz帯:伝搬路特性H1、ノイズ成分n1
2GHz帯: 伝搬路特性H2、ノイズ成分n2
【0049】
受信機2は、受信ストリームr1/r2に対して、最尤検出やMMSE(Minimum Mean Square Error)等化を実行し、原データの送信ストリームs1/s2を復元する。
【0050】
図4(b)によれば、800MHz帯用の第1の基地局と、2GHz帯用の第2の基地局とがそれぞれ別に存在している。受信機2は、第1の基地局からストリームsを受信し、第2の基地局からストリームsを受信する。このとき、第1の基地局と第2の基地局との間で、送信ストリームの連携機能が必要となる。
【0051】
図5は、本発明におけるリソースブロックの第2の組合せ方法を表す説明図である。
【0052】
(S51)6個のリソースブロックが表されており、キャリア信号(A及びB)毎に、1つの送信ストリームに対して3個ずつのリソースブロックが割り当てられている。そして、リソースブロック毎に、移動局からのMCS値に基づくSINRが算出されている。
(S52)キャリア信号Aについて、全てのリソースブロックにおける平均SINRAaveを算出する。そして、その平均SINRAaveから、共通MCS値=8が決定されている。また、キャリア信号Bについて、全てのリソースブロックにおける平均SINRBaveを算出する。そして、その平均SINRBaveから、共通MCS値=3が決定されている。
(S53)次に、キャリア信号Aについて、各リソースブロックのMCS値と、共通MCS値との差分値ΔDA1=−1,ΔDA2=1,ΔDA3=2が算出される。また、キャリア信号Bについて、各リソースブロックのMCS値と、共通MCS値との差分値ΔDB4=2,ΔDB5=−2,ΔDB6=0が算出される。
【0053】
(S54)次に、キャリア信号Aについて、複数の差分値の中で、最小の差分値のリソースブロック(MIN{ΔDAn}=ΔDA1=−1:RB1)を検出する。また、キャリア信号Bについて、複数の差分値の中で、最小の差分値のリソースブロック(MIN{ΔDBn}=ΔDB5=−2:RB5)を検出する。ここで、RB1の差分値(−1)とRB5の差分値(−2)とを比較すると、キャリア信号BにおけるRB5の差分値(−2)の方が小さい。これに対し、キャリア信号Aについて、複数の差分値の中で、最大の差分値のリソースブロック(MAX{ΔDAn}=ΔDA3=2:RB3)を検出する。
(S55)そして、キャリア信号Aにおける最大の差分値のRB3と、キャリア信号Bにおける最小の差分値のRB5とが選択され、プリコーディング部へ出力される。
【0054】
尚、キャリア信号A及びBについて、MIN{ΔDAn}=MIN{ΔDBn}となる場合もある。この場合、伝送特性がより改善されるべくリソースブロックを組み合わせるように、MAX{ΔDAn}:MAX{ΔDBn}を比較する。例えば、MAX{ΔDAn}>MAX{ΔDBn}である場合、MAX{ΔDAn}のRBと、MIN{ΔDBn}のRBとを組み合わせる。これによって、できる限り、伝送特性の良いRBと組み合わせることができる。
【0055】
(S56)次に、残りのリソースブロックの選択を判断する。キャリア信号Aについて、複数の差分値の中で、最小の差分値のリソースブロック(MIN{ΔDAn}=ΔDA1=−1:RB1)を検出する。また、キャリア信号Bについて、複数の差分値の中で、最小の差分値のリソースブロック(MIN{ΔDBn}=ΔDB6=0:RB6)を検出する。ここで、RB1の差分値(−1)とRB6の差分値(0)とを比較すると、キャリア信号AにおけるRB1の差分値(−1)の方が小さい。これに対し、キャリア信号Bについて、複数の差分値の中で、最大の差分値のリソースブロック(MAX{ΔDBn}=ΔDB4=2:RB4)を検出する。
(S57)そして、キャリア信号Aにおける最小の差分値のRB1と、キャリア信号Bにおける最大の差分値のRB4とが選択され、プリコーディング部へ出力される。
【0056】
(S58)最後に、残りのリソースブロックについて、キャリア信号AのRB2と、キャリア信号BのRB6とが選択され、プリコーディング部へ出力される。
【0057】
このような順序で、プリコーディング部で処理することによって、伝送特性が悪いリソースブロックの伝送特性の劣化を、伝送特性が良いリソースブロックによって吸収することができる。これによって、全体の伝送特性を向上させることができる。また、このように、可能な限り、周波数帯域を跨ってリソースブロックを組み合わせることによって、周波数ダイバーシチ利得を効果的に得ることも期待できる。尚、リソースブロックの合計数が奇数の場合は、プリコーディングを施さないリソースブロックが、1つ残ることとなる。
【0058】
図6は、Eb/NOに対するパケット誤り率を表すグラフである。
【0059】
「Eb/NO」とは、ディジタル変調信号における、1ビットあたりの電力密度対雑音電力密度比を意味する。尚、図7は、QPSK変調方式を適用しており、符号化率をパラメータとしたEb/NO帯を変化させた場合のパケット誤り率を表す。図6によれば、各プロットは、以下のように表される。
○:従来のリソースブロック組合せ方法、 符号化率R=1
△:従来のリソースブロック組合せ方法、 符号化率R=7/8
□:従来のリソースブロック組合せ方法、 符号化率R=2/3
●:本発明のリソースブロック組合せ方法、符号化率R=1
▲:本発明のリソースブロック組合せ方法、符号化率R=7/8
■:本発明のリソースブロック組合せ方法、符号化率R=2/3
尚、「従来のリソースブロック組合せ方法」とは、各周波数帯域について周波数の低いリソースブロックから順に1つずつ選択し、プリコーディング処理を実行する方法であるとする。
【0060】
図6によれば、誤り訂正の符号化率に依らず、本発明を適用することによって、伝送特性が改善していることが確認できる。即ち、同一のEb/NO環境下で、ある規定の誤り率を達成しようとした場合に、本発明を適用することによって、高い符号化率を選択することができ、スループットを増加させることができる。
【0061】
図7は、本発明におけるリソースブロックの第3の組合せ方法を表す説明図である。
【0062】
図7によれば、装置構成を簡略化するべく、キャリア信号A及びキャリア信号Bを、1つの誤り訂正符号器を共用できるようにしている。そのために、キャリア信号A及びBについて、全てのリソースブロックを共通MCS値で統一する。逆に、図5によれば、キャリア信号毎に、異なる共通MCS値を用いている。
【0063】
(S71)図5と同様に、1つの送信ストリームに対して6個のリソースブロックが表されており、キャリア信号毎に、3個ずつのリソースブロックに区分されている。そして、リソースブロック毎に、移動局からのMCS値に基づくSINRが算出されている。
(S72)キャリア信号A及びBについて、全てのリソースブロックにおける平均SINRaveを算出する。そして、その平均SINRaveから、共通MCS値=6が決定されている。
(S73)次に、キャリア信号A及びBにおける各リソースブロックについて、当該リソースブロックのMCS値と、共通MCS値との差分値を算出する。キャリア信号Aについて、差分値ΔDA1=1,ΔDA2=3,ΔDA3=4が算出され、キャリア信号Bについて、差分値ΔDB4=−1,ΔDB5=−4,ΔDB6=−3が算出される。
【0064】
(S74)次に、キャリア信号Aについて、複数の差分値の中で、最小の差分値のリソースブロック(MIN{ΔDAn}=ΔDA1=1:RB1)を検出する。また、キャリア信号Bについて、複数の差分値の中で、最小の差分値のリソースブロック(MIN{ΔDBn}=ΔDB5=−4:RB5)を検出する。ここで、RB1の差分値(1)と、RB5の差分値(−4)とを比較すると、キャリア信号BにおけるRB5の差分値(−4)の方が小さい。これに対し、キャリア信号Aについて、複数の差分値の中で、最大の差分値のリソースブロック(MAX{ΔDAn}=ΔDA3=4:RB3)を検出する。
(S75)そして、キャリア信号Aにおける最大の差分値のRB3と、キャリア信号Bにおける最小の差分値のRB5とが選択され、プリコーディング部へ出力される。
【0065】
(S76)次に、残りのリソースブロックの選択を判断する。キャリア信号Aについて、複数の差分値の中で、最小の差分値のリソースブロック(MIN{ΔDAn}=ΔDA1=1:RB1)を検出する。また、キャリア信号Bについて、複数の差分値の中で、最小の差分値のリソースブロック(MIN{ΔDBn}=ΔDB6=−3:RB6)を検出する。ここで、RB1の差分値(1)と、RB6の差分値(−3)とを比較すると、キャリア信号BにおけるRB6の差分値(−3)の方が小さい。これに対し、キャリア信号Aについて、複数の差分値の中で、最大の差分値のリソースブロック(MAX{ΔDAn}=ΔDA2=3:RB2)を検出する。
(S77)そして、キャリア信号Aにおける最大の差分値のRB2と、キャリア信号Bにおける最小の差分値のRB6とが選択され、プリコーディング部へ出力される。
【0066】
(S78)最後に、残りのリソースブロックについて、キャリア信号AのRB1と、キャリア信号BのRB4と選択され、プリコーディング部へ出力される。
【0067】
図8は、本発明におけるリソースブロックの第4の組合せ方法を表す説明図である。
【0068】
前述の図5によれば、キャリア信号Aのリソースブロック数と、キャリア信号Bのリソースブロック数とは、同一であるとして説明した。これに対し、図8によれば、キャリア信号Aのリソースブロック数と、キャリア信号Bのリソースブロック数とが、異なる場合についても本発明を適用できる。
【0069】
(S81)6個のリソースブロックが表されており、キャリア信号Aの1つの送信ストリームに対して4個にリソースブロックが割り当てられ、キャリア信号Bの1つの送信ストリームに対して2個のリソースブロックが割り当てられている。そして、リソースブロック毎に、移動局からのMCS値に基づくSINRが算出されている。
(S82)キャリア信号Aについて、全てのリソースブロックにおける平均SINRAaveを算出する。そして、その平均SINRAaveから、共通MCS値=7が決定されている。また、キャリア信号Bについて、全てのリソースブロックにおける平均SINRBaveを算出する。そして、その平均SINRBaveから、共通MCS値=2が決定されている。
(S83)次に、キャリア信号毎に、各リソースブロックについて、当該リソースブロックのMCS値と、共通MCS値との差分値を算出する。キャリア信号Aについて、差分値ΔDA1=0,ΔDA2=2,ΔDA3=3,ΔDA4=−2が算出され、キャリア信号Bについて、差分値ΔDB5=−1,ΔDB6=1が算出される。
【0070】
(S84)次に、キャリア信号Aについて、複数の差分値の中で、最小の差分値のリソースブロック(MIN{ΔDAn}=ΔDA4=−2:RB4)を検出する。また、キャリア信号Bについて、複数の差分値の中で、最小の差分値のリソースブロック(MIN{ΔDBn}=ΔDB5=−1:RB5)を検出する。ここで、RB4の差分値(−2)と、RB5の差分値(−1)とを比較すると、キャリア信号AにおけるRB4の差分値(−2)の方が小さい。これに対し、キャリア信号Bについて、複数の差分値の中で、最大の差分値のリソースブロック(MAX{ΔDBn}=ΔDB6=1:RB6)を検出する。
(S85)そして、キャリア信号Aにおける最小の差分値のRB4と、キャリア信号Bにおける最大の差分値のRB6とが選択され、プリコーディング部へ出力される。
【0071】
(S86)次に、残りのリソースブロックの選択を判断する。キャリア信号Aについて、複数の差分値の中で、最小の差分値のリソースブロック(MIN{ΔDAn}=ΔDA1=0:RB1)を検出する。ここで、RB1の差分値(0)と、残りのRB5の差分値(ΔDB5=−1)とを比較すると、キャリア信号BにおけるRB5の差分値(−1)の方が小さい。これに対し、キャリア信号Aについて、複数の差分値の中で、最大の差分値のリソースブロック(MAX{ΔDAn}=ΔDA3=3:RB3)を検出する。
(S87)そして、キャリア信号Aにおける最大の差分値のRB3と、キャリア信号Bにおける最小の差分値のRB5とが選択され、プリコーディング部へ出力される。
【0072】
(S88)最後に、残りのリソースブロックについて、キャリア信号AのRB1及びRB2が選択され、プリコーディング部へ出力される。キャリア信号毎にリソースブロック数が異なる場合には、キャリア信号を跨ったリソースブロックを優先的に組み合わせる。
【0073】
前述した図5、図7及び図8に共通する他の第1の実施形態について説明する。前述した実施形態におけるリソースブロック選択部によれば、キャリア信号毎に最小の差分値を導出し、両方のキャリア信号における最小の差分値が異なる場合である。これに対し、両方のキャリア信号における最小の差分値が同数となる場合もある。この場合、逆に、キャリア信号毎に最大の差分値を導出し、大きい方の差分値となる一方のキャリア信号における最大の差分値のリソースブロックと、他方のキャリア信号における最小の差分値のリソースブロックとを組にして同時に出力する。この処理を、全てのリソースブロックを出力するまで繰り返す。これによって、伝送特性が悪いリソースブロックを、できる限り、伝送特性が良いリソースブロックと組み合わせることによって、伝送特性の劣化を軽減することができる。
【0074】
また、他の第2の実施形態について説明する。本発明によれば、キャリア信号(周波数帯域)が3つ以上あっても、同様の方法で、リソースブロックを組み合わせることができる。例えば、以下の場合を想定する。
周波数帯域A(リソースブロック数=4)
周波数帯域B(リソースブロック数=2)
周波数帯域C(リソースブロック数=2)
この場合、周波数帯域Aと周波数帯域Bについて、図8に基づくリソースブロックの組合せを実行すると、周波数帯域Aにリソースブロックが2つ残ることとなる。その後、周波数帯域Aに残ったリソースブロックと、周波数帯域Cのリソースブロックとを、同様の方法によって組み合わせることができる。
【0075】
以上、詳細に説明したように、本発明の送信機、プログラム及び方法によれば、OFDMA伝送方式の送信機について、リソースブロックを最適に組み合わせることによって、伝送特性を向上させることができる。即ち、本発明によれば、伝送特性が良いリソースブロックが、伝送特性が悪いリソースブロックにおける伝送特性の劣化を軽減し、全体の伝送特性を改善することができる。また、キャリア信号を跨ってプリコーディングを実行することによって、周波数ダイバーシチ利得を効果的に得られる。
【0076】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0077】
1 送信機、基地局
10 データ送信部
11 サブキャリア生成部
12 リソースブロック選択部
13 プリコーディング部
14 周波数信号処理部
15 アンテナ
16 コードブック記憶部
17 共通MCS決定部
18 差分値算出部
2 受信機、移動局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信ストリーム毎に、複数のサブキャリアに分割するサブキャリア生成手段と、
複数のサブキャリアからリソースブロックを生成し、当該リソースブロックを、複数個ずつ同時に出力するリソースブロック選択手段と、
複数個のリソースブロックに対して符号化し、複数の送信ストリームを出力するプリコーディング手段と、
前記送信ストリーム毎に、周波数信号処理をし、各アンテナへ出力する複数の周波数信号処理手段と
を有し、送信ストリームを複数のアンテナから同時に送信するOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)伝送方式用の送信機であって、
送信ストリーム毎の全てのリソースブロックについて共通MCS(Modulation and Coding Scheme)値を決定するMCS決定手段と、
前記リソースブロック毎に、当該リソースブロックのMCS値と、前記共通MCS値との差分値を算出する差分算出手段と
を更に有し、
前記リソースブロック選択手段は、複数の差分値の中で、最大の差分値のリソースブロックと、最小の差分値のリソースブロックとを組にして同時に出力すると共に、この処理を、全てのリソースブロックを出力するまで繰り返す
ことを特徴とする送信機。
【請求項2】
前記MCS決定手段は、
移動局からフィードバックされた、リソースブロック毎のCQI(Channel Quality Indicator)情報に基づいて、リソースブロック毎のMCS値を取得し、
リソースブロック毎に前記MCS値に基づく信号対干渉比を導出し、これら信号対干渉比から平均信号対干渉比を算出し、該平均信号対干渉比から前記共通MCS値を算出するか、又は、全てのリソースブロックの全ての前記MCS値の平均値を前記共通MCS値とすることを特徴とする請求項1に記載の送信機。
【請求項3】
前記送信機は、周波数帯域が互いに離れた複数のキャリア信号毎に、各送信ストリームを、複数のアンテナから同時に送信するスペクトラムアグリゲーション用のものであって、
前記MCS決定手段は、前記キャリア信号毎に、その送信ストリームにおける全てのリソースブロックについて共通MCS値を決定し、
前記差分算出手段は、前記キャリア信号毎に、その送信ストリームにおける各リソースブロックについて、当該リソースブロックのMCS値と、前記共通MCS値との差分値を算出し、
前記リソースブロック選択手段は、前記キャリア信号毎に最小の差分値を導出し、両方のキャリア信号における最小の差分値を比較し、小さい方の差分値となる一方のキャリア信号における最小の差分値のリソースブロックと、他方のキャリア信号における最大の差分値のリソースブロックとを組にして同時に出力し、この処理を、全てのリソースブロックを出力するまで繰り返す
ことを特徴とする請求項2に記載の送信機。
【請求項4】
前記送信機は、周波数帯域が互いに離れた複数のキャリア信号毎に、各送信ストリームを、複数のアンテナから同時に送信するスペクトラムアグリゲーション用のものであって、
前記MCS決定手段は、全てのキャリア信号の全ての送信ストリームにおける全てのリソースブロックについて共通MCS値を決定し、
前記差分算出手段は、前記キャリア信号毎に、その送信ストリームにおける各リソースブロックについて、当該リソースブロックのMCS値と、前記共通MCS値との差分値を算出し、
前記リソースブロック選択手段は、前記キャリア信号毎に最小の差分値を導出し、両方のキャリア信号における最小の差分値を比較し、小さい方の差分値となる一方のキャリア信号における最小の差分値のリソースブロックと、他方のキャリア信号における最大の差分値のリソースブロックとを組にして同時に出力し、この処理を、全てのリソースブロックを出力するまで繰り返す
ことを特徴とする請求項2に記載の送信機。
【請求項5】
前記リソースブロック選択手段は、
前記キャリア信号毎に最小の差分値を導出し、両方のキャリア信号における最小の差分値を比較し、同数である場合、
前記キャリア信号毎に最大の差分値を導出し、大きい方の差分値となる一方のキャリア信号における最大の差分値のリソースブロックと、他方のキャリア信号における最小の差分値のリソースブロックとを組にして同時に出力し、この処理を、全てのリソースブロックを出力するまで繰り返す
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の送信機。
【請求項6】
両方のキャリア信号におけるリソースブロックの数が同数でない場合、
前記リソースブロック選択手段は、最終的に、一方のキャリア信号のリソースブロック同士を組にして同時に出力する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の送信機。
【請求項7】
送信ストリーム毎に、複数のサブキャリアに分割するサブキャリア生成手段と、
複数のサブキャリアからリソースブロックを生成し、当該リソースブロックを、複数個ずつ同時に出力するリソースブロック選択手段と、
複数個のリソースブロックに対して符号化し、複数の送信ストリームを出力するプリコーディング手段と、
前記送信ストリーム毎に、周波数信号処理をし、各アンテナへ出力する複数の周波数信号処理手段と
を有し、送信ストリームを複数のアンテナから同時に送信するOFDMA(直交周波数分割多元接続)伝送方式用の送信機に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
送信ストリーム毎の全てのリソースブロックについて共通MCS値を決定するMCS決定手段と、
前記リソースブロック毎に、当該リソースブロックのMCS値と、前記共通MCS値との差分値を算出する差分算出手段と
を更に有し、
前記リソースブロック選択手段は、複数の差分値の中で、最大の差分値のリソースブロックと、最小の差分値のリソースブロックとを組にして同時に出力すると共に、この処理を、全てのリソースブロックを出力するまで繰り返す
ようにコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
送信ストリーム毎に、複数のサブキャリアに分割する第1のステップと、
複数のサブキャリアからリソースブロックを生成し、当該リソースブロックを、複数個ずつ同時に出力する第2のステップと、
複数個のリソースブロックに対して符号化し、複数の送信ストリームを出力する第3のステップと、
前記送信ストリーム毎に、周波数信号処理をし、各アンテナへ出力する第4のステップと
を有し、送信ストリームを複数のアンテナから同時に送信するOFDMA(直交周波数分割多元接続)伝送方式用の送信機における送信方法であって、
送信ストリーム毎の全てのリソースブロックについて共通MCS値を決定し、
前記リソースブロック毎に、当該リソースブロックのMCS値と、前記共通MCS値との差分値を算出し、
第2のステップは、複数の差分値の中で、最大の差分値のリソースブロックと、最小の差分値のリソースブロックとを組にして同時に出力すると共に、この処理を、全てのリソースブロックを出力するまで繰り返す
ことを特徴とする送信方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−182515(P2012−182515A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42039(P2011−42039)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】