説明

リチウムイオン電池の充電

チタン酸リチウムベースの電気化学セルは、活性化された電気化学セルを形成するために、チタン酸リチウムベースの電気化学セルに電解液を加えることによって充電される。活性化された電気化学セルを第1の充電状態に充電するために、第1の期間の間、活性化された電気化学セルに電流が供給される。電気化学セルはさらに、40℃から120℃の温度範囲にて第2の期間の間、第2の充電状態に充電される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般にリチウムイオン電池の充電に関する。本出願は、より具体的には、電気化学セルが改善された特性を示すような、チタン酸リチウムベースの電気化学セルの充電に関する。
【背景技術】
【0002】
液体電解質を含んだリチウムイオン・セルは、黒鉛アノード、およびリチウム金属酸化物またはリチウム金属リン酸塩カソードを含む。
【0003】
このようなセルは、それらに電解質を充填することによって活性化される。それらは、その後に「形成」され、すなわち望ましいセル性能を達成するためにアノードおよびカソード面が調製される。アノード面の調製は、リチウムイオンに対しては伝導性を有するが導電性ではない固体電解質界面(すなわち、SEI)により電極を被覆するものである。一般にSEI形成は、1つまたは複数の連続する充電/放電サイクルの適用後に生じる。
【0004】
Fongらは、1サイクル形成手順を考察している。「Studies of Lithium Intercalation into Carbons Using Nonaqueous Electrochemical Cells」、J. Electrochem. Soc. 137: 2009, 1990を参照されたい。セルは、電解質で充填され、その後に封止される。封止されたセルは、0.14mA/cmの電流で25から40時間、充電され、それに約0.1mA/cmでのセル放電が後続する。
【0005】
米国特許第6,790,243号は、Fongの形成手順の特許請求された改善を開示している。セルは、電解質で充填され、ある期間そのままで置かれる。次いで、約1/4mA/cmの電流密度で少なくとも1時間充電され、少なくとも1時間、開回路のまま置かれる。第1の充電より大幅に大きな電流密度にて、セルが所望のセル容量に達するまで、第2の充電が行われる。ガスが放出され、セルは比較的高い電流密度で放電され、リチウムイオン・セルは封止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国仮出願第60/943,813号
【特許文献2】米国特許第6,790,243号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Fongら、「Studies of Lithium Intercalation into Carbons Using Nonaqueous Electrochemical Cells」、J. Electrochem. Soc. 137: 2009, 1990
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この報告されたセル形成手順は、チタン酸リチウムベースの負電極を含んだセルに対しては不利であることが見出されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの例示的実施形態では、チタン酸リチウムベースの電気化学セルは、活性化された電気化学セルを形成するために、チタン酸リチウムベースの電気化学セルに電解液を加えることによって充電される。活性化された電気化学セルを第1の充電状態に充電するために、第1の期間の間、活性化された電気化学セルに電流が供給される。電気化学セルはさらに、40℃から120℃の温度範囲にて第2の期間の間、第2の充電状態に充電される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】例示のチタン酸リチウムベースの電気化学セルを示す図である。
【図2】図1に示されるチタン酸リチウムベースの電気化学セルを充電するための、例示の充電プロセスのフローチャートである。
【図3】チタン酸リチウムベースの電池に対して25℃および100%の放電深度(DOD)にて行われたサイクル寿命試験を示すグラフである。
【図4】チタン酸リチウムベースの電池の自己放電を示すグラフである。
【図5】チタン酸リチウムベースの電池の電気化学インピーダンス・スペクトル分析(EIS)測定を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明は、一般にリチウムイオン電池の充電に関する。以下の説明は、より具体的には、電気化学セルが改善された特性を示すような、チタン酸リチウムベースの電気化学セルの充電に関する。以下の説明はさらに、そのようなプロセスによって充電される電気化学セルに関する。
【0012】
1.定義
以下の説明では、「フル充電状態」という語句は、セルが、その所定のカットオフ充電電圧まで充電されることを意味するのに用いられる。フル充電状態に相当するセル電圧は、フル充電ステップの直後の1時間の休止の後の、セルの開放セル電圧(OCV)として定義される。「過充電状態」は、セル電圧がフル充電状態でのセルOCV電圧より高く保たれることを意味する。
【0013】
2.電気化学セルの調製
チタン酸リチウムベースの電気化学セル100の例示的実施形態は、図1に示される。チタン酸リチウムベースの電気化学セル100は、正電極102、セパレータ104、チタン酸リチウムベースの負電極106、および電解液108を含む。
【0014】
正電極102は、典型的には活性物質、伝導剤、およびバインダを含んだ正電極混合物を調製することによって形成することができる。正電極混合物は、ペーストを生ずるように溶媒内に溶解され、このペーストは、被覆を形成するように第1の集電体に塗布される。第1の集電体の小さな部分は、それにリードが接続されるように、被覆されずに残される。被覆は乾燥され、熱を用いてまたは熱を用いずに加圧されて正電極102が形成される。
【0015】
チタン酸リチウムベースの負電極106は、典型的にはチタン酸リチウム・スピネル、伝導剤、およびバインダを含んだ負電極混合物を調製することによって形成することができる。負電極混合物は、ペーストを生ずるように溶媒内に溶解され、このペーストは、被覆を形成するように第2の集電体に塗布される。第2の集電体の小さな部分は、それにリードが接続されるように、被覆されずに残される。被覆は乾燥され、熱を用いてまたは熱を用いずに加圧されてチタン酸リチウムベースの負電極106が形成される。
【0016】
一部の変形形態では、第1の集電体および第2の集電体は、2つの側面を有する。正電極材料および負電極材料は、両方の側面に塗布することができる。
【0017】
正電極リードおよび負電極リードは、正電極102の第1の集電体およびチタン酸リチウムベースの負電極106の第2の集電体のそれぞれ被覆されていない部分に取り付けられる。セパレータ104は、正電極102とチタン酸リチウムベースの負電極106の間に置かれる。セパレータ104は、典型的にはテープを用いて、電極群を形成するように固定される。電極群は、電池容器(たとえば、ステンレス鋼の缶、またはフォイルの袋)内に挿入される。
【0018】
図2は、図1に示されるチタン酸リチウムベースの電気化学セル100を充電する、例示の充電プロセス200を示す。ステップ202では、セルに電解液が加えられる。具体的には、図1を参照すると、電極群を含んだ電池容器内に電解液108が注入され、容器は封止される。一部の変形形態では、容器は気密封止される。これにより、充電の準備が整った活性化された電気化学セルが用意される。
【0019】
溶液108は典型的には、その中にリチウム塩が溶解された混合溶媒を含む。用いることができる溶媒の例としては、エチレン・カーボネート(EC)、エチルメチル・カーボネート(EMC)、プロピレン・カーボネート(PC)、ブチレン・カーボネート(BC)、ビニレン・カーボネート(VC)、ジエチレン・カーボネート(DEC)、ジメチレン・カーボネート(DMC)、γ-ブチロラクトン、スルホラン、酢酸メチル(MA)、プロピオン酸メチル(MP)、およびギ酸メチル(MF)が含まれる。リチウム塩の例としては、LiBF、LiPF、LiAsF、LiClO、LiSbF、LiCFSO、およびLiN(CFSOが含まれる。
【0020】
図2を参照すると、ステップ204では、電気化学セルが活性化された後に、活性化された電気化学セルを第1の充電状態に充電するために、電流が供給される。セル活性化と、この第1の充電ステップの間の時間フレームはセル性能に影響せず、数分から数ヶ月の範囲とすることができる。一部の変形形態では、セルは、第1の充電状態に充電した後に、ある期間、OCVにて保たれる。一部の変形形態では、この期間は、約0.1から24時間の範囲とすることができる。しかしこのステップに、より長い期間を用いることが、セルの特性に悪影響を及ぼすことはない。
【0021】
ステップ204の後に、ステップ206ではセルは再び、第2の充電状態に充電される。セルは典型的には、約0.25または0.5時間、高温にて充電され第2の充電状態に保たれる。一部の変形形態では、第2の充電状態は、約0.75または1時間、高温にて維持される。一部の変形形態では、第2の充電状態は、約0.25から48時間、0.5から48時間、または1から48時間の範囲の期間の間、高温にて維持される。別法としてセルは、周囲温度にて第2の充電状態に充電し、次いで高温にてある期間の間、第2の充電状態に維持することができる。
【0022】
セルの充電、および第2の充電状態での維持は、典型的には約40℃から120℃の範囲の温度にて生ずる。一部の変形形態では、充電は、約60℃から120℃、60℃から100℃、または70℃から90℃の範囲の温度にて実行される。一部の変形形態では、充電は、約80℃から85℃の範囲の温度にて実行される。別法としてセルは、周囲温度にて第2の充電状態に充電し、次いで約40℃から120℃の範囲の温度にてある期間の間、第2の充電状態に維持することができる。
【0023】
充電の後に、ガス抜きステップを行うことができる。このオプションのステップは、典型的には、封止に対して真空を適用し、これにより発生したガスを除去し、電気化学セルの気密封止または再封止が後続するものである。
【0024】
一部の変形形態では、第1および/または第2の充電状態は、ある電圧を有する過充電状態である。一部の変形形態では、電圧は、フル充電状態での電気化学セルの開放セル電圧より、約10mVだけ高くすることができる。一部の変形形態では、電圧は、フル充電状態の電気化学セルの開放セル電圧より、約50mVだけ高くすることができる。
【0025】
図1を再び参照すると、セル100は、チタン酸リチウムベースの負電極106の容量と、正電極102の容量とによって制御される容量を有する。具体的には、チタン酸リチウムベースの負電極106と、正電極102は、それぞれ容量を有する。一部の変形形態では、チタン酸リチウムベースの負電極106の容量と、正電極102の容量の比は、約1.05である。一部の変形形態では、比は約1.10または1.15である。一部の変形形態では、比は約1.20または1.25である。
【0026】
例示の充電プロセス200(図2)を用いて充電された、セル100のような電気化学セルは、典型的に、従来の充電プロセスを用いて充電されたセルに比べて改善された特性を示す。たとえば、2つの同一のチタン酸リチウムベースのセルをとり、一方を例示の充電プロセス200(図2)により充電し、他方を従来の充電プロセスで充電した場合、例示の充電プロセス200(図2)を用いて充電されたセルは典型的に、改善されたサイクル寿命、自己放電プロファイル、および電力保持を示す。たとえば、例示の充電プロセス200(図2)を用いて充電されたセルは典型的に、従来の充電プロセスを用いて充電されたセルと比較して、少なくとも2倍のサイクル数に対して、その容量の少なくとも80%を保持する。一部の変形形態では、例示の充電プロセス200(図2)を用いて充電されたセルは、従来の充電プロセスによって充電されたセルと比較して、少なくとも3倍または4倍のサイクル数に対して、その容量の少なくとも80%を保持する。一部の変形形態では、例示の充電プロセス200(図2)を用いて充電されたセルは、従来の充電プロセスによって充電されたセルと比較して、少なくとも5倍、7倍、または10倍のサイクル数に対して、その容量の少なくとも80%を保持する。一部の変形形態では、例示の充電プロセス200(図2)を用いて充電された、充電されたチタン酸リチウムベースの電気化学セル100は、100時間の自己放電の後に失うセル電圧は、4.25%以下である。一部の変形形態では、例示の充電プロセス200(図2)を用いて充電された、充電されたチタン酸リチウムベースの電気化学セル100は、100時間の自己放電の後に失うセル電圧は、5%以下である。
【実施例1】
【0027】
3.実施例1
電気化学セルを、組立てた。負電極はナノLiTi12から調製され、正電極はLiCoOから調製された。
【0028】
負電極は以下のステップを用いて調製され、すなわち、LiTi12を、NMP溶媒に溶解された10%カーボン・ブラックおよび8%PVDFバインダと混合してスラリを形成し、スラリはアルミニウム・フォイル上に塗布されNMP溶媒を蒸発させるために加熱され、乾燥した電極はつや出しされ、約38cmの2インチ×3インチのサイズを有する矩形のサンプル電極に切断された。
【0029】
正電極は、負電極の調製について述べたのと同じ手順を用いて、LiCoOにより調製された。
【0030】
2つの調製された電極は、EC:EMC/LiPF電解質と共にソフトパック電気化学セル内に配置された。
【0031】
例示の充電プロセス200(図2)により、電解質によるセルの活性化の後に、セルは2.8Vに充電され、次いで約16時間、OCVに保たれた。次いでセルは、80℃に予熱された炉に入れられ、炉の内部で再び2.8Vに充電され、炉内で約8時間、この電圧に保たれた。次にセルは、周囲温度まで冷却され、ガス抜きされた。最後に、25℃にてサイクル試験が行われた。
【0032】
4.比較例1
実施例1と同じ負電極および正電極を有する電気化学セルが、実施例1で述べた手順により調製された。セルは、実施例1と同じ電解質によって活性化された。活性化の後にセルは、3つの連続する充電/放電サイクルによって充電され、これは一般のリチウムイオン電池に対する従来の充電プロセスである。次いでセルは、ガス抜きされ、25℃にてサイクル試験が行われた。
【0033】
2つの異なる充電プロセスによって形成されたセルのサイクル性能の比較は、図3に示される。図3に示されるように、例示の充電プロセス200(図2)により充電されたセルは、最初の600サイクルの間、その容量は変化せず(図3に四角を用いて示されるデータ点で、キャプションでは実施例1として注記される)、一方、従来の充電プロセスにより充電されたセルは、同じサイクル数においてその容量の約20%を失った(図3に三角を用いて示されるデータ点で、キャプションでは比較例1として注記される)。図3はまた、2000サイクルの後に、例示の充電プロセス200(図2)により充電されたセルは、その初期容量の2から3%を失っただけであることを示す。
【実施例2】
【0034】
5.実施例2
電気化学セルを、調製した。実施例1と同じ手順を用いて、負電極はナノLiTi12から調製され、正電極はLiNi1/3Co1/3Mn1/3から調製された。
【0035】
例示の充電プロセス200(図2)により、実施例1で述べたのと同じ電解質によるセル活性化の後に、セルは2.7Vに充電され、約8時間、そのOCVに保たれた。次いでセルは、再び2.7Vに充電され、80℃に予熱された炉に入れられた。その後にセルは、周囲温度まで冷却され、ガス抜きされた。次いでセルは、再び2.7Vに充電され、セルの自己放電率を計算するために、時間と共にOCVが監視された。
【0036】
6.比較例2
実施例2と同じ負電極、および実施例2と同じ正電極LiNi1/3Co1/3Mn1/3を有する電気化学セルが、実施例1で述べた手順により調製された。活性化の後に、セルは比較例1のように3つの連続する充電/放電サイクルにより従来の充電プロセスを用いて充電された。次いでセルは、ガス抜きされ、2.7Vに充電され、セル自己放電率を示すものとして時間と共にOCVが監視された。
【0037】
2つの異なる充電プロセスによって形成されたセルの自己放電率の比較は、図4に示される。例示の充電プロセス200(図2)により充電されたセルのセル電圧低下(図4に菱形を用いて示されるデータ点で、キャプションでは実施例2として注記される)は、従来の充電プロセスを用いて充電されたセルの電圧低下(図4に三角を用いて示されるデータ点で、キャプションでは比較例2として注記される)より大幅に小さい。さらに、図4に示されるように、従来の充電プロセスを用いて充電されたセルは、約16時間後に98%充電状態に相当する2.58Vに達し、一方、例示の充電プロセス200(図2)によるセル充電は、約480時間後に前記電圧および充電状態に達する。これは、例示の充電プロセス200(図2)は、セルの自己放電率を約30分の1に抑制することを示唆している。
【実施例3】
【0038】
7.実施例3
電気化学セルを、調製した。実施例1で述べたのと同じ手順を用いて、負電極はナノLiTi12から調製され、正電極はLiMnから調製された。
【0039】
例示の充電プロセス200(図2)により、実施例1で述べたのと同じ電解質によるセル活性化の後に、セルは2.9Vに充電され、約6時間、そのOCVに保たれた。次いでセルは、再び2.9Vに充電され、80℃に予熱された炉に入れられた。その後にセルは、周囲温度まで冷却され、ガス抜きされた。次にセルは、その充電状態(SOC)の70%まで放電され、2mVの振幅で10〜10−2Hzの周波数範囲にてEISインピーダンス測定が行われた。
【0040】
8.比較例3
実施例3と同じ負電極、および実施例3と同じ正電極LiMnを有する電気化学セルが、実施例1で述べた手順により調製された。活性化の後にセルは、比較例1のように3つの連続する充電/放電サイクルによる従来の充電プロセスを用いて充電された。次いでセルは、ガス抜きされ、その充電状態(SOC)の70%まで放電され、実施例3のように2mVの振幅で10〜10−2Hzの周波数範囲にてEISインピーダンス測定が行われた。
【0041】
2つの異なる充電プロセスを用いて充電されたセルのEISインピーダンスの比較は、図5に示される。図示のように、例示の充電プロセス200(図2)を用いて充電されたセルのインピーダンス(図5に丸を用いて示されるデータ点で、キャプションでは実施例3として注記される)は、従来の充電プロセスを用いたセル充電のインピーダンス(図5に四角を用いて示されるデータ点で、キャプションでは比較例3として注記される)より約50%低い。
【0042】
本明細書で述べた方法および装置は、一部の変形形態に関連して説明してきたが、これは本明細書に記載された特定の形に限定されるものではない。そうではなく、本明細書で述べた方法および装置の範囲は、特許請求の範囲のみによって限定されるものである。さらに、特徴は、特定の変形形態に関連して述べられたように見え得るが、当業者なら、説明した変形形態の様々な特徴は、本明細書で述べた方法および装置により組み合わせ得ることが理解されよう。
【0043】
さらに、個々に列挙されているが、複数の手段、要素、または方法ステップは、たとえば単一の装置または方法によって実施することができる。さらに、個々の特徴は、異なる請求項に含まれ得るが、これらは有利に組み合わせることができ、異なる請求項に含まれていることは、特徴を組み合わせることが、実施可能ではなくかつ/または有利ではないということを意味しない。また、特徴が1つのカテゴリの請求項に含まれていることは、そのカテゴリへの限定を意味せず、その特徴は必要に応じて他の請求項のカテゴリに等しく適用可能であり得る。
【0044】
この文書内で用いられる用語および語句、およびその変形は、別に明記しない限り、限定的ではなく、拡張可能と解釈されるべきである。上記の例として、「含む」という用語は「非限定的に、含む」などを意味すると解釈されるべきであり、「実施例」または「一部の変形形態」という用語は考察の項目の例示の事例を示すために用いられるものであり、その網羅的なまたは限定的なリストではなく、「従来の」、「伝統的な」、「通常の」、「標準の」、「知られている」などの形容詞、および同様な意味の用語は記述される項目を所与の期間、または所与の時点で利用可能な項目に限定するものと解釈されるべきではなく、その代わりに現在または将来における任意の時点で利用可能または知られている、従来の、伝統的な、通常の、または標準の技術を包含するものと解釈されるべきである。同様に、「および」という接続詞で結合された1群の項目は、それらの項目の1つ1つがグルーピング内に存在する必要があると解釈されるべきではなく、別に明記しない限り、「および/または」と解釈されるべきである。同様に、「または」という接続詞で結合された1群の項目は、その群の中で互いに排他的である必要があると解釈されるべきではなく、これも別に明記しない限り「および/または」と解釈されるべきである。さらに、本明細書で述べた方法および装置の項目、要素、または構成要素は、単数形で記述され、または特許請求されている場合があるが、単数への限定が明記されない限り、複数形がそれらの範囲内であることが企図されている。一部の場合に「1つまたは複数の」、「少なくとも」、「非限定的に」、「一部の変形形態では」、または他の同様な語句などの、拡大する語および語句が存在することは、このような拡大する語句がない場合に、狭いケースが意図されるまたは求められることを意味すると解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン酸リチウムベースの電気化学セルを充電する方法であって、
(a)活性化された電気化学セルを形成するために、前記チタン酸リチウムベースの電気化学セルに電解液を加えることと、
(b)前記活性化された電気化学セルを第1の充電状態に充電するために、第1の期間の間、前記活性化された電気化学セルに電流を供給することと、
(c)充電されたチタン酸リチウムベースの電気化学セルを形成するために、前記電気化学セルを、40℃から120℃の温度範囲にて第2の期間の間、第2の充電状態にさらに充電することと
を含む方法。
【請求項2】
前記チタン酸リチウムベースの電気化学セルからガスを除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(b)と(c)の間で、0.1から24時間の範囲の期間の間、前記活性化された電気化学セルを開放セル電圧にて維持することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の期間が、0.25から48時間の範囲である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の期間が、0.25から1時間の範囲である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(c)が、60℃から120℃の温度範囲にて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(c)が、70℃から90℃の温度範囲にて行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(c)が、80℃から85℃の温度範囲にて行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記電気化学セルが負電極と正電極とを備え、前記電気化学セルは容量を有し、前記容量は前記負電極によって制御される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記負電極は負電極容量を有し、前記正電極は正電極容量を有し、前記負電極容量と前記正電極容量の比は少なくとも1.05である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記負電極容量と前記正電極容量の比が少なくとも1.10である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(b)と(c)の間で、前記活性化された電気化学セルを0.1から24時間、開放セル電圧にて維持することをさらに含み、前記第2の期間は0.25から48時間の範囲であり、ステップ(c)は60℃から120℃の温度範囲にて行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1および/または第2の充電状態が、ある電圧を有する過充電状態であり、前記電圧は、フル充電状態での前記電気化学セルの開放セル電圧より、少なくとも10mVだけ高い、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1および/または第2の充電状態が、ある電圧を有する過充電状態であり、前記電圧は、フル充電状態での前記電気化学セルの開放セル電圧より、少なくとも50mVだけ高い、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記充電されたチタン酸リチウムベースの電気化学セルは、100時間の自己放電の後に失うセル電圧が4.25%以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記充電されたチタン酸リチウムベースの電気化学セルは、100時間の自己放電の後に失うセル電圧が5%以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
チタン酸リチウムベースの電気化学セルを充電する方法であって、
(a)活性化された電気化学セルを形成するために、前記チタン酸リチウムベースの電気化学セルに電解液を加えることと、
(b)前記活性化された電気化学セルを第1の充電状態に充電するために、第1の期間の間、前記活性化された電気化学セルに電流を供給することと、
(c)前記電気化学セルを、第2の充電状態にさらに充電することと、
(d)充電されたチタン酸リチウムベースの電気化学セルを形成するために、前記電気化学セルを第2の期間の間、40℃から120℃の温度範囲にて維持することと
を含む方法。
【請求項18】
充電されたチタン酸リチウムベースの電気化学セルであって、
チタン酸リチウムベースの負電極と、
正電極と、
電解液と、
セパレータと
を備え、第1の期間の間、第1の充電状態に充電され、40℃から120℃の温度範囲にて第2の期間の間、第2の充電状態にさらに充電された、充電されたチタン酸リチウムベースの電気化学セル。
【請求項19】
前記充電されたチタン酸リチウムベースの電気化学セルは、100時間の自己放電の後に失うセル電圧が4.25%以下である、請求項18に記載の充電されたチタン酸リチウムベースの電気化学セル。
【請求項20】
前記充電されたチタン酸リチウムベースの電気化学セルは、100時間の自己放電の後に失うセル電圧が5%以下である、請求項18に記載の充電されたチタン酸リチウムベースの電気化学セル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−530122(P2010−530122A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512387(P2010−512387)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/066936
【国際公開番号】WO2008/157363
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(507012043)アルテアーナノ,インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】