説明

リチウム電池用被コーティング固体電解質、及びそれを用いた全固体二次電池

【課題】高いリチウムイオン伝導性を示し、通常の大気下で取り扱いが可能な高耐湿性を有するリチウム電池用被コーティング固体電解質を提供する。
【解決手段】少なくともリチウム及びリンを含有する硫化物系固体電解質の表面が、フッ素含有シラン化合物又はフッ素含有アクリル樹脂でコーティングされてなるリチウム電池用被コーティング固体電解質。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム電池用被コーティング固体電解質、及びそれを用いた全固体二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室温で高いリチウムイオン伝導性を示す電解質は通常、液体であり、市販のリチウムイオン二次電池の多くが有機系電解液を用いていた。この有機系電解液を用いたリチウムイオン二次電池では、漏洩、発火の危険性があり、より安全性の高い全固体電池が望まれている。しかしながら、固体電解質のイオン伝導度は一般的に低く、実用化が難しいのが現状であった。
【0003】
室温で10−3Scm−1の高いイオン伝導性を示す固体電解質として、LiNをベースとするリチウムイオン伝導性セラミックが知られている。しかし、分解電圧が低いため3V以上で作動する電池を構成することはできなかった。
【0004】
全固体電池に用いる電解質としては、リチウムイオン伝導性セラミックの他に硫化物系固体電解質が挙げられ、特許文献1は1E−4S/cm台の固体電解質を開示しており、また特許文献2はLiSとPから合成されてなる電解質を開示しており、この電解質は1E−4S/cm台のイオン伝導性を示している。
【0005】
上述の電解質に加えて、特許文献3ではLiSとPを68〜74モル%:26〜32モル%の比率で合成した硫化物系結晶化ガラスを開示しており、1E−3S/cm台のイオン伝導性を実現している。しかし、この硫化物系結晶化ガラスは大気下に暴露した場合に、空気中の水分と反応して劣化すると共に、硫化水素が発生する問題があった。
【0006】
特許文献4は、不活性雰囲気下のグローブボックスを使用して、露点−40℃以下に保持した環境とし、硫化物系固体電解質を取り扱うことを開示している。しかしながら、実際の電池製造においては機器調整等のメンテナンスが必要であり、上記環境を保持したままで硫化物系固体電解質を取り扱うのは困難であった。
【特許文献1】特開平4−202024号公報
【特許文献2】特開2002−109955号公報
【特許文献3】特開2005−228570号公報
【特許文献4】特開2002−212705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高いリチウムイオン伝導性を示し、通常の大気下で取り扱いが可能な高耐湿性を有するリチウム電池用被コーティング固体電解質を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、以下のリチウム電池用被コーティング固体電解質等が提供される。
1.少なくともリチウム及びリンを含有する硫化物系固体電解質の表面が、フッ素含有シラン化合物又はフッ素含有アクリル樹脂でコーティングされてなるリチウム電池用被コーティング固体電解質。
2.前記フッ素含有シラン化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を有する1に記載のリチウム電池用被コーティング固体電解質。
【化4】

(式中、R、R及びRは、それぞれH、CH又はCであり、nは1〜10の整数である。)
3.前記フッ素含有アクリル樹脂が下記式(3)で表される構造を有する1又は2に記載のリチウム電池用被コーティング固体電解質。
【化5】

(式中、R及びRは、それぞれH又はCHであり、Rは炭素数1〜10のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜10のアルキル基であってアルキル基の水素が全てフッ素で置換されたフッ素化アルキル基であり、p及びqはそれぞれ1以上の整数である。)
4.下記式(1)フッ素含有シラン化合物、下記式(2)で表されるフッ素含有シラン化合物又は下記式(3)で表されるフッ素含有アクリル樹脂、及び有機溶媒からなるコーティング液。
【化6】

(式中、R、R及びRは、それぞれH、CH又はCであり、nは1〜10の整数であり、
及びRは、それぞれH又はCHであり、Rは炭素数1〜10のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜10のアルキル基であってアルキル基の水素が全てフッ素で置換されたフッ素化アルキル基であり、p及びqはそれぞれ1以上の整数である。)
5.1〜3のいずれかに記載のリチウム電池用被コーティング固体電解質及び正極活物質からなる正極合材。
6.1〜3のいずれかに記載のリチウム電池用被コーティング固体電解質及び負極活物質からなる負極合材。
7.正極及び負極と、
前記正極と負極の間に挟持された固体電解質層を含んでなる全固体二次電池であって、
前記正極が5に記載の正極合材からなり、
前記負極が6に記載の負極合材からなり、及び
前記固体電解質層が1〜3のいずれかに記載のリチウム電池用被コーティング固体電解質からなる全固体二次電池。
8.圧縮成型により得られる7に記載の全固体二次電池。
9.7又は8に記載の全固体二次電池を備えてなる機器。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高いリチウムイオン伝導性を示し、通常の大気下で取り扱いが可能な高耐湿性を有するリチウム電池用被コーティング固体電解質を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のリチウム電池用被コーティング固体電解質は、少なくともリチウム及びリンを含有する硫化物系固体電解質の表面が、フッ素含有シラン化合物又はフッ素含有アクリル樹脂でコーティングされている。
【0011】
硫化物系固体電解質の表面を、フッ素含有シラン化合物又はフッ素含有アクリル樹脂でコーティングすることで、被コーティング固体電解質は高い撥水性を示し、大気下であっても取り扱うことができる。従って、本発明の被コーティング固体電解質は、その製造、取り扱い等の際に低露点環境のドライルーム設備が不要であり、また、本発明の被コーティング固体電解質を用いて作製した電池は、破損事故等で硫化水素が漏洩することを抑制することができる。
【0012】
硫化物系固体電解質のコーティングに用いるフッ素含有シラン化合物は、好ましくは下記式(1)又は(2)で表される構造を有する化合物である。
【化7】

(式中、R、R及びRは、それぞれH、CH又はCであり、nは1〜10の整数である。)
【0013】
式(1)又は(2)で表される構造を有する化合物の具体例としては、(CH−Si−(CF−CF、(CH−O)−Si−O−(CF−CFが挙げられる。
【0014】
硫化物系固体電解質のコーティングに用いるフッ素含有アクリル樹脂は、好ましくは下記式(3)で表される構造を有する化合物である。
【化8】

(式中、R及びRは、それぞれH又はCHであり、Rは炭素数1〜10のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜10のアルキル基であってアルキル基の水素が全てフッ素で置換されたフッ素化アルキル基であり、p及びqはそれぞれ1以上の整数である。)
【0015】
少なくともリチウム及びリンを含有する硫化物系固体電解質は、イオン伝導度が他の無機化合物より高いことが知られており、特開平4−202024等に記載の無機固体電解質を使用できる。具体的には、LiSとSiS、GeS、P、Bの組合せから成る無機固体電解質に、適宜、LiPOやハロゲン、ハロゲン化合物を添加した無機固体電解質を用いることができる。
【0016】
リチウムイオン伝導性が高いことから、硫化リチウムと五硫化二燐、又は硫化リチウムと単体燐及び単体硫黄、さらには硫化リチウム、五硫化二燐、単体燐及び/又は単体硫黄から生成する硫化物系固体電解質を使用することが好ましい。以下、好ましい固体電解質について説明する。
【0017】
硫化物系固体電解質は、硫化リチウムと、五硫化二燐(P)及び/又は、単体燐及び単体硫黄から製造することができる。具体的には、これらの原料を溶融反応させた後、急冷することにより製造できる。また、これらの原料をメカニカルミリング法(以下、MM法と示すことがある。)により処理して得られる硫化物ガラス、あるいはこれを加熱処理したものである。
【0018】
硫化リチウムは、特に制限なく工業的に入手可能なものが使用できるが、以下に説明するように高純度のものが好ましい。
硫化リチウムは、少なくとも硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下、好ましくは0.1質量%以下であり、かつN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下、好ましくは0.1質量%以下である。硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、後記する溶融急冷法やメカニカルミリング法で得られる固体電解質は、ガラス状電解質(完全非晶質)である。即ち、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を越えると、得られる電解質は、最初から結晶化物であり、この結晶化物のイオン伝導度は低い。さらに、この結晶化物について下記の熱処理を施しても結晶化物には変化がなく、高イオン伝導度の硫化物系固体電解質を得ることはできない。
【0019】
また、N−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であると、N−メチルアミノ酪酸リチウムの劣化物がリチウム電池のサイクル性能を低下させることがない。
【0020】
このように、高イオン伝導性電解質を得るためには、不純物が低減された硫化リチウムを用いる必要がある。
【0021】
高イオン伝導性電解質の製造に用いられる硫化リチウムの製造法としては、少なくとも上記不純物を低減できる方法であれば特に制限はない。
例えば、次の方法で製造された硫化リチウムを精製することにより得ることもできる。
以下の製造法の中では、特にa又はbの方法が好ましい。
a.非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを0〜150℃で反応させて水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を150〜200℃で脱硫化水素化する方法(特開平7−330312号公報)。
b.非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを150〜200℃で反応させ、直接硫化リチウムを生成する方法(特開平7−330312号公報)。
c.水酸化リチウムとガス状硫黄源を130〜445℃の温度で反応させる方法(特開平9−283156号公報)。
【0022】
上記のようにして得られた硫化リチウムの精製方法としては、特に制限はない。好ましい精製法としては、例えば、国際公開WO2005/40039号等に記載の方法が挙げられる。
【0023】
具体的には、上記のようにして得られた硫化リチウムを、有機溶媒を用い、100℃以上の温度で洗浄する。洗浄に用いる有機溶媒は、非プロトン性極性溶媒であることが好ましく、さらに、硫化リチウム製造に使用する非プロトン性有機溶媒と洗浄に用いる非プロトン性極性有機溶媒とが同一であることがより好ましい。
【0024】
洗浄に好ましく用いられる非プロトン性極性有機溶媒としては、例えば、アミド化合物、ラクタム化合物、尿素化合物、有機硫黄化合物、環式有機リン化合物等の非プロトン性の極性有機化合物が挙げられ、単独溶媒、又は混合溶媒として好適に使用することができる。特に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)は、良好な溶媒に選択される。
【0025】
洗浄に使用する有機溶媒の量は特に限定されず、また、洗浄の回数も特に限定されないが、2回以上であることが好ましい。洗浄は、窒素、アルゴン等の不活性ガス下で行うことが好ましい。
【0026】
洗浄された硫化リチウムを、洗浄に使用した有機溶媒の沸点以上の温度で、窒素等の不活性ガス気流下、常圧又は減圧下で、5分以上、好ましくは約2〜3時間以上乾燥することにより、本発明で好適に用いられる硫化リチウムを得ることができる。
【0027】
は、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。尚、Pに代えて、相当するモル比の単体リン(P)及び単体硫黄(S)を用いることもできる。単体リン(P)及び単体硫黄(S)は、工業的に生産され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
【0028】
本発明において、固体電解質としては、ガラス状固体電解質及び結晶成分を含有する固体電解質の両方が使用できる。必要とする特性に合わせて種類を選定すればよい。また、両方を使用してもよい。
【0029】
上記硫化リチウムと、五硫化二燐又は単体燐及び単体硫黄の混合モル比は、通常50:50〜80:20、好ましくは60:40〜75:25である。
特に好ましくは、LiS:P=68:32〜74:26(モル比)程度である。
【0030】
ガラス状電解質である硫化物ガラスの製造方法としては、例えば、溶融急冷法やメカニカルミリング法が挙げられる。
【0031】
溶融急冷法による場合、PとLiSを所定量乳鉢にて混合し、ペレット状にしたものをカーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。所定の反応温度で反応させた後、氷中に投入し急冷することにより、硫化物ガラスが得られる。
【0032】
この際の反応温度は、好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは、800℃〜900℃である。また、反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは、1〜12時間である。上記反応物の急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は1〜10000K/sec程度、好ましくは1〜1000K/secである。
【0033】
MM法による場合、PとLiSを所定量乳鉢にて混合し、メカニカルミリング法にて所定時間反応させることにより、硫化物ガラスが得られる。
【0034】
上記原料を用いたメカニカルミリング法は、室温で反応を行うことができる。MM法によれば、室温でガラス状電解質を製造できるため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成のガラス状電解質を得ることができるという利点がある。また、MM法では、ガラス状電解質の製造と同時に、ガラス状電解質を微粉末化できるという利点もある。
【0035】
MM法は種々の形式の粉砕法を用いることができるが、遊星型ボールミルを使用するのが特に好ましい。遊星型ボールミルは、ポットが自転回転しながら、台盤が公転回転し、非常に高い衝撃エネルギーを効率良く発生させることができる。
【0036】
MM法の回転速度及び回転時間は特に限定されないが、回転速度が速いほど、ガラス状電解質の生成速度は速くなり、回転時間が長いほどガラス質状電解質ヘの原料の転化率は高くなる。
【0037】
このようにして得られた電解質は、ガラス状電解質であり、通常、イオン伝導度は1.0×10−5〜8.0×10−4(S/cm)程度である。
【0038】
MM法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
【0039】
以上、溶融急冷法及びMM法による硫化物ガラスの具体例を説明したが、温度条件や処理時間等の製造条件は、使用設備等に合わせて適宜調整することができる。
【0040】
その後、得られた硫化物ガラスを所定の温度で熱処理することにより、結晶成分を含有する固体電解質が生成する。
【0041】
このような固体電解質を生成させる熱処理温度は、好ましくは190℃〜340℃、より好ましくは、195℃〜335℃、特に好ましくは、200℃〜330℃である。190℃より低いと高イオン伝導性の結晶が得られにくい場合があり、340℃より高いとイオン伝導性の低い結晶が生じる恐れがある。
【0042】
熱処理時間は、190℃以上220℃以下の温度の場合は、3〜240時間が好ましく、特に4〜230時間が好ましい。また、220℃より高く340℃以下の温度の場合は、0.1〜240時間が好ましく、特に0.2〜235時間が好ましく、さらに、0.3〜230時間が好ましい。熱処理時間が0.1時間より短いと、高イオン伝導性の結晶が得られにくい場合があり、240時間より長いと、イオン伝導性の低い結晶が生じるとなる恐れがある。
【0043】
このようにして得られた、結晶成分を含有する硫化物系固体電解質は、通常、イオン伝導度は、7.0×10−4〜5.0×10−3(S/cm)程度である。
【0044】
この硫化物系固体電解質は、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において、2θ=17.8±0.3deg,18.2±0.3deg,19.8±0.3deg,21.8±0.3deg,23.8±0.3deg,25.9±0.3deg,29.5±0.3deg,30.0±0.3degに回折ピークを有することが好ましい。このような結晶構造を有する固体電解質が、極めて高いリチウムイオン伝導性を有する。
【0045】
本発明の被コーティング固体電解質は、硫化物系固体電解質をフッ素含有シラン化合物又はフッ素含有アクリル樹脂と有機溶媒からなるコーティング液に硫化物固体電解質を浸漬することで製造することができる。
コーティング液の好ましいフッ素含有シラン化合物及びフッ素含有アクリル樹脂は、被コーティング固体電解質のフッ素含有シラン化合物及びフッ素含有アクリル樹脂と同様である。
【0046】
コーティング液に用いる有機溶媒は、硫化物系固体電解質の性能に影響を与えない溶媒であれば特に限定はされないが、例えばトルエン、キシレン、ジメチルカーボネート等が挙げられる。
【0047】
コーティング液における、フッ素含有シラン化合物又はフッ素含有アクリル樹脂の含有量は、硫化物系固体電解質の表面積にもよるが、通常は0.1wt%以上50wt%以下であり、好ましくは0.1wt%以上30wt%以下であり、より好ましくは0.1wt%以上10wt%以下である。
【0048】
本発明の被コーティング固体電解質は、上述した浸漬法のほか、スプレードライヤ法、流動床気相搬送法等によっても製造できるが、特殊な設備を必要としない点で浸漬法が好ましい。
【0049】
本発明の被コーティング固体電解質は、正極活物質と混合することで正極合材とすることができる。
正極活物質としては市販されているものを特に限定なく使用することができ、リチウムと遷移金属の複合酸化物等を好適に用いることができる。具体的には、以下に示す各材料及び各元素の組成比が異なる類似の材料が使用でき、LiCoO,LiNiCoO,LiNiO,LiNiMnCoO,LiFeMnO,LiPtO,LiMnNiO,LiMn,LiNiMnO,LiNiVO,LiCrMnO,LiFePO,LiFe(SO,LiCoVO,LiCoPO,S等が挙げられる。粒径に関しても特に制限はないが、平均粒径が数μm〜10μmのものを好適に用いることができる。
【0050】
上記正極活物質と被コーティング固体電解質を所定の割合で混合することにより本発明の正極合材が作製される。割合としては、正極活物質の固体重量%(wt%)として、20wt%〜95wt%の割合で用いることができる。より好ましくは、50wt%〜90wt%であり、さらに好適な割合は60wt%〜80wt%である。混合する方法としては、乾燥紛体をメノウ乳鉢等で混ぜる方法の他、有機溶媒に直接加えて混合する方法等を用いることができる。
【0051】
正極合材の場合と同様に、本発明の被コーティング固体電解質は、負極活物質と混合することで負極合材とすることができる。
負極活物質としては、市販されているものを特に限定なく使用することができ、炭素材料やSn金属、In金属等を好適に用いることができる。具体的には、天然黒鉛や各種グラファイト、Sn,Si,Al,Sb,Zn,Bi等の金属粉、SnCu,SnCo,SnFe、Ti−Sn、Ti−Si等の金属合金粉、酸化物(Li4/3Ti5/3O)、窒化物(LiCoN)、その他アモルファス合金やメッキ合金が挙げられる。粒径に関しても特に制限はないが、平均粒径が数μm〜80μmのものを好適に用いることができる。
【0052】
上述の負極活物質と被コーティング固体電解質を所定の割合で混合することにより本発明の負極合材を作製することができる。割合としては、負極活物質の固体重量%(wt%)として、30wt%〜90wt%の割合で用いることができる。より好ましくは、40wt%〜80wt%であり、さらに好適な割合は50wt%〜80wt%である。混合する方法としては、乾燥紛体をメノウ乳鉢等で混ぜる方法の他、有機溶媒に直接加えて混合する方法等を用いることができる。
【0053】
本発明の全固体二次電池は、正極と、負極と、正極及び負極間に挟持された固体電解質層で構成され、正極、負極及び固体電解質層は本発明の被コーティング固体電解質を含んでなる。
【0054】
図1は本発明に係る全固体二次電池の一実施形態を示す概略断面図である。
全固体二次電池1は、正極10及び負極30からなる一対の電極間に固体電解質層20が挟持されている。正極10及び負極30にはそれぞれ集電体40及び42が設けられている。
【0055】
正極10及び負極30は、上述した本発明の被コーティング固体電解質を含む正極合材及び負極合材からそれぞれなる。
正極の成膜方法としては、正極合材及び溶媒からなる混合液を塗布して形成する方法のほか、例えば、ブラスト法、エアロゾルデポジション法、コールドスプレー法、スパッタリング法、気相成長法、加圧プレス法又は溶射法等も用いることができる。このような方法により成膜することで、正極の空隙率をより小さくすることができ、電子伝導、電子授受及びイオン伝導を改善することができる。
【0056】
正極合材及び溶媒からなる混合液を塗布して正極を形成する場合において、混合液は、正極合材が溶媒に溶解しているのではない。正極合材の比重は、通常、溶媒の比重より大きいことから、上記混合液中で通常、沈殿しているが、正極を形成する際には攪拌等により正極合材を均一に分散させた混合液を用いると好ましい。
【0057】
混合液に用いる溶媒は、好ましくは正極合材との反応性が低い溶媒であるが、正極合材表面をコートする等して正極合材が溶媒と反応しないように処置することにより、正極合材との反応性が高い溶媒も用いることができる。
【0058】
上記溶媒は、好ましくは有機溶媒であり、より好ましくは炭化水素系有機溶媒であり、例えばヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、デカリン等である。
これら溶媒のうち、塗布後の乾燥工程を考慮すると、低沸点溶媒であるヘキサン、トルエン、キシレンが好ましいが、混合液の維持を考慮すると、蒸発速度の速い低沸点溶媒を用いることは困難であり、トルエン、キシレン等が好ましい。
【0059】
混合液に用いる溶媒は、好ましくは脱水処理して水分含有量を低くする。溶媒の水分含有量は、通常30ppm以下、好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは1.0ppm以下である。
【0060】
正極合材及び溶媒からなる混合液にバインダーをさらに添加してもよい。
上記バインダーは、正極合材との反応性が低ければ特に限定されないが、好ましくは熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂であり、より好ましくはポリシロキサン、ポリアルキレングリコール、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンブタジエンゴム/カルボキシメチルセルロース(SBR/CMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)、分岐PEO、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、PEO−PPO共重合体、分岐PEO−PPO共重合体、アルキルボラン含有ポリエーテルである。
尚、バインダーは、シート化容易性、界面抵抗の増加を防ぎ且つ充放電容量の低下を防ぐ観点から特に好ましくはSBR、ポリアルキレングリコールである。
【0061】
負極30は、正極10と同様に作製できる。
【0062】
固体電解質層20は本発明の被コーティング固体電解質を例えば、ブラスト法やエアロゾルデポジション法にて成膜することで製造できる。また、コールドスプレー法、スパッタリング法、気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)又は溶射法等でも被コーティング固体電解質の成膜が可能である。
さらに、被コーティング固体電解質と溶媒やバインダー(結着材や高分子化合物等)を混合した溶液を塗布、塗工した後、溶媒を除去し成膜化する方法もある。また、固体電解質自体や固体電解質とバインダー(結着材や高分子化合物等)や支持体(固体電解質層の強度を補強させたり、固体電解質自体の短絡を防ぐための材料や化合物等)を混合・組合した電解質を加圧プレスすることで成膜することも可能である。
簡便な装置で行うことができ、室温条件下、固体電解質の状態を変化させない温度範囲で成膜できることから、好ましくはブラスト法又はエアロゾルデポジション法を用いる。
【0063】
固体電解質層の成膜に用いる溶媒は、被コーティング固体電解質の性能に悪影響を与えないものであれば特に限定されないが、例えば非水系溶媒が挙げられる。
非水系溶媒としては、例えば、乾燥ヘプタン、トルエン、ヘキサン、テトラヒドロフラン(THF)、Nメチルピロリドン、アセトニトリル、及びジメトキシエタン、ジメチルカーボネート等の電解液に用いられる溶媒が挙げられ、好ましくは水分含有量が100ppm以下、より好ましくは50ppm以下の溶媒である。
【0064】
バインダーとしては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が使用できる。例えば、ポリシロキサン、ポリアルキレングリコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体又は前記材料の(Na)イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸共重合体又は前記材料の(Na)イオン架橋体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体又は前記材料の(Na)イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体又は前記材料の(Na)イオン架橋体を挙げることができる。
【0065】
この中で好ましいのはポリシロキサン、ポリアルキレングリコール、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
【0066】
集電体40,42としては、銅、マグネシウム、ステンレス鋼、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、ゲルマニウム、インジウム、リチウム、又は、これらの合金等からなる板状体や箔状体等が使用できる。
集電体40,42は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。例えば、集電体40には銅箔を使用し、集電体42にはアルミニウム箔を使用してもよい。
【0067】
本発明の全固体二次電池は、好ましくは上述の正極合材、被コーティング固体電解質及び上述の負極合材をこの順に積層し、得られた積層体を集電体で挟持した後、プレス機を用いて圧縮成形して作製する。
【0068】
プレス方法は特に限定されないが、好ましくはロールプレス又は真空プレスを用い、プレス圧力は通常1MPa〜1000MPaであり、好ましくは1MPa〜100MPaである。
【実施例】
【0069】
以下、本発明を実施例を基に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されない。
【0070】
作製例
[硫化リチウムの調製]
硫化リチウムは、特開平7−330312号公報における第1の態様(2工程法)の方法に従って製造した。以下、具体的に説明する。
まず、撹拌翼のついた10リットルオートクレーブに、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)、及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。
【0071】
続いて、この反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した水硫化リチウムを脱硫化水素化し、硫化リチウムを得た。尚、昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。水硫化リチウムの脱硫化水素反応が終了後(約80分)に反応を終了し、硫化リチウムを調製した。
【0072】
[硫化リチウムの精製]
調製した500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。そのままの温度でNMPをデカンテーションした。さらにNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、そのままの温度でNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。
【0073】
得られた精製硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。亜硫酸リチウム(LiSO)、硫酸リチウム(LiSO)、チオ硫酸リチウム(Li)の各硫黄酸化物、及びN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)の含有量は、イオンクロマトグラフ法により定量した。
その結果、精製硫化リチウムの硫黄酸化物の総含有量は0.13質量%であり、LMABは0.07質量%であった。
【0074】
[硫化物系固体電解質の調製]
調製した平均粒径30μm程度の精製硫化リチウム(LiS)32.54gと、平均粒径50μm程度のP(アルドリッチ社製)67.46gを、10mmφアルミナボール175個が入った500mlアルミナ製容器に入れ密閉した。尚、上記計量及び密閉作業はすべてグローブボックス内で実施し、使用する器具類はすべて乾燥機で事前に水分除去した。
【0075】
密閉したアルミナ製容器を、遊星ボールミル(レッチェ社製PM400)にて、室温下、36時間メカニカルミリング処理することで、白黄色の固体電解質ガラス粒子を得た。このときの回収率は78%であった。
【0076】
得られた固体電解質ガラス粒子のX線回折測定(CuKα:λ=1.5418Å)を行なった結果、原料LiSのピークは観測されず、固体電解質ガラスに起因するハローパターンであった。
上記固体電解質ガラス粒子を、グローブボックス内Ar雰囲気下で、SUS製チューブに密閉し、300℃、2時間の加熱処理を施して固体電解質ガラスセラミック粒子(平均粒径14.52μm)を得た。得られた固体電解質ガラスセラミック粒子のX線回折測定では、2θ=17.8、18.2、19.8、21.8、23.8、25.9、29.5、30.0degにピークが観測された。
この固体電解質ガラスセラミック粒子の伝導度は、1.3×10−3S/cmであった。
【0077】
実施例1
作製例で調製した固体電解質ガラスセラミック粒子25gをトルエン溶媒100mlにフッ素系シラン化合物である(CH−Si−(CF−CF(株式会社ハーベス社製 ヂュラサーフシリーズ)0.5gを加えたコーティング液に添加して、十分に撹拌してスラリー状にした。このスラリーをダルトン社製万能混合撹拌機に移し、ジャケットを100℃に加熱しながら撹拌・乾燥しフッ素系シラン化合物コート硫化物系固体電解質を調製した。尚、上述のコーティング工程は、露点が−60℃に管理されたドライルームにおいて行った。
【0078】
得られたフッ素系シラン化合物コート硫化物系固体電解質を通常環境下(25℃、湿度55%)に放置しても、加水分解反応に伴う硫化水素の発生は確認されなかった。
【0079】
また、得られたフッ素系シラン化合物コート硫化物系固体電解質を2時間通常環境下に放置した後、錠剤成形機に充填し、4〜6MPaの圧力を加え成形体を得た。さらに、電極としてカーボンとフッ素系シラン化合物コート固体電解質を重量比1:1で混合した合材を成形体の両面に乗せ、再度錠剤成形機にて圧力を加えて一次成型体を得た。その後、200℃において加熱下圧力を加えて、伝導度測定用の成形体(直径約10mm、厚み約1mm)を作製した。この成形体について交流インピーダンス測定によりイオン伝導度測定(25℃)をしたところ、伝導度は9.86E−4S/cmであった。
【0080】
実施例2
フッ素系シラン化合物(CH−Si−(CF−CFの代わりにフッ素系アクリル樹脂であるパーフルオロアクリル樹脂(ダイキン工業株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様にしてパーフルオロアクリル樹脂コート固体電解質を調製した。
得られたパーフルオロアクリル樹脂コート固体電解質を通常環境下(25℃、湿度55%)に放置しても、加水分解反応に伴う硫化水素の発生は確認されなかった。
また、実施例1と同様にして、得られたパーフルオロアクリル樹脂コート固体電解質の伝導度を測定したところ、伝導度は8.87E−4S/cmであった。
【0081】
実施例3
フッ素系シラン化合物(CH−Si−(CF−CFの代わりにフッ素系シラン化合物である(CH−O)−Si−O−(CF−CFを用いた以外は実施例1と同様にしてフッ素系シラン化合物コート固体電解質を調製した。
得られたフッ素系シラン化合物コート固体電解質を通常環境下(25℃、湿度55%)に放置しても、加水分解反応に伴う硫化水素の発生は確認されなかった。
また、実施例1と同様にして、得られたフッ素系シラン化合物コート固体電解質の伝導度を測定したところ、伝導度は9.24E−4S/cmであった。
【0082】
比較例1
作製例の固体電解質ガラスセラミック粒子を通常環境下(25℃、湿度55%)で、局所排気設備内に放置したところ、直後より硫化水素の発生が確認された。
また、フッ素系シラン化合物(CH−Si−(CF−CFの代わりに作製例の固体電解質ガラスセラミック粒子を用いて実施例1と同様にして伝導度を測定したところ、伝導度は3.44E−7S/cmであった。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の被コーティング固体電解質は、全固体二次電池に使用できる。
本発明の全固体二次電池は、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モーターを電力源とする自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等の電池として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の全固体リチウム電池の一実施形態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0085】
1 全固体二次電池
10 正極
20 固体電解質層
30 負極
40,42 集電体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともリチウム及びリンを含有する硫化物系固体電解質の表面が、フッ素含有シラン化合物又はフッ素含有アクリル樹脂でコーティングされてなるリチウム電池用被コーティング固体電解質。
【請求項2】
前記フッ素含有シラン化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を有する請求項1に記載のリチウム電池用被コーティング固体電解質。
【化1】

(式中、R、R及びRは、それぞれH、CH又はCであり、nは1〜10の整数である。)
【請求項3】
前記フッ素含有アクリル樹脂が下記式(3)で表される構造を有する請求項1又は2に記載のリチウム電池用被コーティング固体電解質。
【化2】

(式中、R及びRは、それぞれH又はCHであり、Rは炭素数1〜10のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜10のアルキル基であってアルキル基の水素が全てフッ素で置換されたフッ素化アルキル基であり、p及びqはそれぞれ1以上の整数である。)
【請求項4】
下記式(1)フッ素含有シラン化合物、下記式(2)で表されるフッ素含有シラン化合物又は下記式(3)で表されるフッ素含有アクリル樹脂、及び有機溶媒からなるコーティング液。
【化3】

(式中、R、R及びRは、それぞれH、CH又はCであり、nは1〜10の整数であり、
及びRは、それぞれH又はCHであり、Rは炭素数1〜10のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜10のアルキル基であってアルキル基の水素が全てフッ素で置換されたフッ素化アルキル基であり、p及びqはそれぞれ1以上の整数である。)
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載のリチウム電池用被コーティング固体電解質及び正極活物質からなる正極合材。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載のリチウム電池用被コーティング固体電解質及び負極活物質からなる負極合材。
【請求項7】
正極及び負極と、
前記正極と負極の間に挟持された固体電解質層を含んでなる全固体二次電池であって、
前記正極が請求項5に記載の正極合材からなり、
前記負極が請求項6に記載の負極合材からなり、及び
前記固体電解質層が請求項1〜3のいずれかに記載のリチウム電池用被コーティング固体電解質からなる全固体二次電池。
【請求項8】
圧縮成型により得られる請求項7に記載の全固体二次電池。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の全固体二次電池を備えてなる機器。

【図1】
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【公開番号】特開2010−33732(P2010−33732A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191748(P2008−191748)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】