説明

リチャージング方法及び関連する装置

本発明は、電力貯蔵装置に遠隔からエネルギーを与える装置と方法を提供する。エネルギーの付与は、ワイヤレス・フィデリティ・スタンダードの周波数の範囲内のRFエネルギーを用いて行なうことが好ましい。遠隔ステーションは、その物理的面積よりも大きな有効面積を有する1以上のアンテナを有することが好ましい。本発明は、電力貯蔵装置からエネルギーが与えられるワイヤレス・フィデリティ・プロダクツに用いられると有利である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<発明の分野>
この出願は、電力貯蔵装置に対し、遠隔からエネルギーを与える方法及び装置に関する。具体的には、ワイヤレス周波数に基づいたRF周波数を利用して、遠隔から電力貯蔵装置にエネルギーを与える小型装置を用いる方法及び装置に関する。この発明の方法及び装置は、好適には、エネルギーを得るために、その物理的面積よりも大きな有効面積を有する少なくとも1つのアンテナを使用するものである。
【背景技術】
【0002】
<先行技術の説明>
非接触式の電気接続は、ポータブル型電気装置の分野で広く知られている。例えば、ポータブル型電動歯ブラシには、通常、誘導によって充電される再充電可能な電池(rechargeable battery)が入っている。誘導充電装置は、電磁による非接触式電池充電装置とも称される。誘導充電装置には、電気接続を必要とする充電装置とは異なり、電気的な接触不良によって充電に支障をきたさないという利点がある。誘導充電装置は、一般的には、誘導カプラーを含んでおり、充電装置の誘導カプラーの一次側から、電子機器の誘導カプラーの二次側へ、エネルギーの移動が行われる。誘導充電を利用した例として、米国特許第6284651号、米国特許第6310465号及び米国特許第5952814号がある。誘導充電の主な問題は、電子機器の電力貯蔵装置にエネルギーを供給するために、充電装置は、電子機器に極めて接近した位置に配備せねばならないことである。
【0003】
誘導充電に関する問題を解消するために、自由空間に放射されたRF電磁界を用いた充電装置が提案されている。米国特許第6127799号は、電力貯蔵装置を、クローズドシステム内の自由空間に放射されたRF電磁界に曝すことによって充電される電荷貯蔵装置を開示している。電荷貯蔵装置には、放射されたRF電磁界を受信するように構成された1又は2以上のダイポールアンテナが配備されている。受信したRF電磁界をDC出力電流に整流するために、前記アンテナには、1又は2以上のブリッジ整流器が接続されている。整流器によって生じたDC出力電流は、電荷貯蔵装置へエネルギーを供給するために用いられる。
【0004】
米国特許第6127799号に開示されているように、アンテナは、1又は2以上のダイポールアンテナであってよく、それらアンテナを組み合わせて、ダイポールアンテナ素子アレイの少なくとも2以上のサブセットが形成される。ここで、一方のサブセットは、少なくとも1つの他のサブセットに対して鋭角又は直角の向きにされてよい。アンテナ又はダイポールアンテナは、電荷貯蔵装置の2以上の外側面に配置されて、互いに鋭角又は直角に取り囲む。米国特許第6127799号に開示された技術を利用して、RFエネルギー及びアンテナを用いて遠隔充電を行なうと、開示された発明のアンテナアレイの電力変換効率がダイポールの数に依存するという欠点がある。また、この装置に用いられるダイポールアンテナのサイズは、多くのポータブル式電子機器(例えば、携帯電話、携帯電子ゲーム器、デジタルカメラ等)の実用化に適さない。この特許の場合、電池の2以上の面を覆うのに用いられるダイポールアンテナの幅は12.5cmもある。
【0005】
この問題を解消するための手法として、電子チップに形成されたアンテナを用いることが提案されている。オンチップアンテナを開示した先行技術としては、例えば、米国特許第4857893号及び米国特許第6373447号がある。
【0006】
米国特許第4857893号に開示された望ましい手法とは、積層技術を用いて、機能的に完全なトランスポンダユニットを作るのに必要な全ての回路が含まれた単一のモノリシックチップのアッセンブリを効果的に作ることである。この特許は、チップ上に磁気フィルムインダクタを使用して巻き数を少なくすることを開示しており、これにより、そのようなインダクタの製作を可能にするものである。この特許は、文献[Soohoo, "Magnetic Thin Film Inductors For Integrated Circuit Applications", IEEE Transactions in Magnetic, Vol. MAG-15, No.6, pp.1803-1805 (Nov.1979)]を引用している。この特許に引用された他の技術は、[Salch and Qureshi, "Permalloy Thin Film Inductors", Electronic Letters, Vol.6, No.26, pp.850-852 (Dec.31,1970)]に記載されている。
【0007】
この特許は、チップ上のアンテナの構造を次のとおり記載している。10MHzで用いられる10ターンの方形スパイラルコイルは、外径1cm×1cmに作られる。伝導パスの幅は0.005インチである。ターン間隔は0.001インチである。銅のパスは真空蒸着によって形成され、次に電気メッキにより、その厚さは、約25マイクロメータまで厚くされる。厚さが1000〜3000オングストロームである2つのパーマロイ磁気フィルムが導体を囲んでおり、一方が導体の上、他方が導体の下に配置される。フィルムは、長手方向が磁界と平行となるような配向磁界、つまりフィルムの磁化が容易な方向の中で蒸着される。高周波電流がコイルの中を通過するとき、磁気フィルムは困難方向(hard direction)に駆動されるので、各導体の周りの2つの磁気フィルムは、1ターンコイルを囲む磁気コアとして作用する。磁気フィルムの効果により、その自由空間インダクタンスに加えて、コイルのインダクタンスは増加する。フィルムは困難方向に駆動されるので、透磁率はかなり大きい。さらに、一酸化珪素の層(SiO,厚さ10000A)によって、各磁気フィルムは伝導パスから隔てられている。
【0008】
米国特許第4857893号に開示された技術の問題は、コイルのインダクタンスを増加させるために、大きな透磁率及び電気絶縁特性を有するパーマロイ磁気フィルム又は他の適当な材料を堆積せねばならないことである。これはチップのアンテナのコスト高及び複雑化を招く。さらに、アンテナコイル間に磁気フィルム層が必要になるため、アンテナサイズの縮小化を制限することにもなる。
【0009】
米国特許第6373447号は、集積回路(IC)チップの上に形成され、ICチップ上の他の回路に接続された1又は2以上のアンテナを使用することを開示している。アンテナの形態として、ループ、マルチターンループ、方形スパイラル、ロングワイヤ、ダイポールが開示されている。開示されたアンテナは、アンテナの有効長さを変えるために、選択的に互いに接続可能な2又は3以上のセグメントを有するように形成される。さらにまた、2本のアンテナは、絶縁層で分離された2層の異なる金属化層に形成される。この特許の主な欠点は、発明者らが述べているように、アンテナの送信及び受信強度がターン数及びループ面積に比例することである。
【0010】
米国特許第6289237号のCIPである米国特許出願第09/951032号(Mickle)は、物理的面積よりも有効面積が大きいアンテナをチップ上に設けることを開示している。アンテナの中にLCタンク回路を使用することにより、アンテナの有効面積は、その物理的面積よりも大きく作られる。これは、(1)電極間キャパシタンス及びインダクタンスをもつアンテナと、(2)チップ(ダイ)の寄生キャパシタンス及びインダクタンスとを、一緒に又は別々に用いて、LCタンク回路を形成することで達成される。LCタンク回路を形成するために、電極間キャパシタンス及びインダクタンス並びに寄生キャパシタンス及びインダクタンスを用いる利点は、アンテナの有効面積を物理的面積よりも大きくするのに必要な追加のディスクリート回路を必要としないことである。より重要なことは、LCタンク回路を使用すると、各アンテナ導体の周りに磁気フィルムを用いる必要がないことを意味する。これによって、チップ上のアンテナの製作が簡素化されるので、チップ上に超小型アンテナの設計が可能となる。
【0011】
米国特許第6289237号は、RF電力を含む適当タイプの送信されたエネルギーを用いることにより、蓄積されたエネルギー源又はエネルギー源の有線接続を有しない遠隔ステーションへ、ベースステーションからエネルギーを与える装置及びそれに関連する方法を開示しており、該特許の開示は、引用を以て本願への記載加入とする。
【0012】
米国特許出願第09/951032号は、米国特許第6289237号となった出願を基礎とした一部継続出願であり、オンボードアンテナを含むチップの使用を開示している。この出願の開示は、引用を以て本願への記載加入とする。
【0013】
係属中の仮特許出願第60/406541号及び第60/411845号は、電力貯蔵装置に遠隔からエネルギーを与える装置及び方法、特に、RFエネルギーを使用して、電力貯蔵装置に遠隔からエネルギーを与える小型装置を開示しており、それらの開示は、引用を以て本願への記載加入とする。
【0014】
好ましくは周波数がワイヤレス・フィデリティ(WiFi)で用いられる範囲内にあるRFエネルギーを使用して、遠隔から電力貯蔵装置にエネルギーを与えることができるように構成された小型装置及び方法に対する要請が依然として存在する。さらに、エネルギーの付与を容易にするために、電力貯蔵装置が含まれる遠隔装置に、その物理的面積よりも大きな有効面積を有する少なくとも1つのアンテナが組み込まれた装置が要請されている。
【0015】
環境から送信されたエネルギーを受信して、電力貯蔵装置にエネルギーを与える手段を有し、電力充電装置が誘導充電に依存しない小型遠隔電力充電装置及びそれに関連する方法に対する要請がある。
【0016】
また、基板上に1又は2以上のアンテナを用いて、環境から送信されたエネルギーを受信する手段を有し、電力貯蔵装置にエネルギーを付与する小型遠隔電力充電装置及びそれに関連する方法に対する要請がある。
【0017】
さらに、基板上に1又は2以上のアンテナを使用し、アンテナの強度が、磁気誘導又はターン数及びアンテナのループ面積に依存しない小型遠隔電力充電装置及びそれに関連する方法に対する要請がある。
【0018】
<望ましい実施例の説明>
この明細書で使用する「ワイヤレス・フィデリティ・スタンダード(wireless fidelity standards」という語は、Institute for Electrical and Electronic Engineers(IEEE;米電気電子技術者協会)のネットワークに対する技術規格を意味し、その規格として、802.1la(5.0ギガヘルツ)、802.1lb(2.4ギガヘルツ)、802.1lg(2.4ギガヘルツ)、802.16(10.0〜66.0ギガヘルツ)、802.20(3.5ギガヘルツ未満)及びブルートゥース(2.4ギガヘルツ)と、各規格の後に付した丸括弧に示す関連周波数を含むが、これらに限定されるものではない。本発明における望ましいワイヤレス・フィデリティ周波数は、約2.4〜5.0ギガヘルツの範囲である。
【0019】
この明細書で使用する「ワイヤレス・フィデリティ・プロダクツ(wireless fidelity products)」という語は、エネルギーを与えるための電力貯蔵装置を用いた遠隔ステーションを有し、限定するものでないが、ラップトップ型コンピュータ、ノートブック型コンピュータ、PDAs、衛星ラジオ及びデジタルカメラを含む製品について、ワイヤレス操作を行なうことができるように構成された装置を意味する。この用語は、多くの手持式電子製品を包含する。
【0020】
この明細書で使用する「空間内(in space)」という語は、配線回路基板又はプリント回路基板による電気エネルギーの送信とは対照的に、エンクロージャの内部又はその部分的内部で送信が行われるかどうかと関係なく、エネルギー又は信号が、空気又は同様な媒体を通じて送られることを意味する。
【0021】
リチャージング装置
本発明は、上記要請に応えるものである。一実施例において(図1)、電力貯蔵装置に遠隔からエネルギーを供給する装置及びこれに関連する方法は、ベースステーション(2)と遠隔ステーション(4)を含んでいる。ベースステーション(2)は、空間内で、エネルギー(30)を遠隔ステーション(4)へ伝送する手段を有している。エネルギー(30)の伝送は、ワイヤレス・フィデリティ・スタンダードのRFを用いて行われる。遠隔ステーション(4)は、伝送されたエネルギー(30)を受信するアンテナ(100)と、所定物体上の電力貯蔵装置(150)へエネルギーを与えるために、送信されたエネルギーをDC電力に変換する回路(102)を有している。この発明の遠隔ステーション(4)において、伝送されたエネルギー(30)は、少なくとも1本のアンテナ(20)がその物理的面積(21)よりも大きな有効アンテナ面積(22)を有する1又は2本以上のアンテナ(100)を通じて受信される。アンテナの有効面積(22)は、アンテナの中にLCタンク回路を用いることにより、その物理的面積よりも大きくすることが望ましい。その物理的面積(21)よりも大きい有効面積(22)を有するアンテナ(100)を用いることにより、小さな遠隔ステーションを作ることができる。この遠隔ステーションは、ワイヤレス・フィデリティ・プロダクツのような小型の電子エネルギー貯蔵装置(150)にエネルギーを与えるために用いられることができる。遠隔ステーション(4)はまた、情報(8)を格納し、操作し、アンテナ(110)を通じてベースステーション(2)へ送信するためのマイクロコントローラ(94)を含むことができる。
【0022】
これまで、ワイヤレス・フィデリティは、主にデータのワイヤレス送信のために使用されてきた。本発明は、ネットワークとワイヤレス・フィデリティ・プロダクトとの間で、有線による接続の必要性を不要にするものである。これまで、ワイヤレス・フィデリティ・デバイスを長期にわたって使用するには、バッテリーを再充電するために、デバイスを電源に物理的に接続する必要があった。その結果、ワイヤレス・フィデリティのもつ利点は十分に達成されなかった。本発明では、例えばバッテリーのような電源を再充電するために、ワイヤレス法が用いられる。
【0023】
本発明は、ワイヤレス・フィデリティ周波数を使用して、遠隔からワイヤレス充電を行なうための方法及び装置を提供するものであることは理解されるであろう。
【0024】
周囲エネルギー(ambient energy)のリチャージング装置
他の実施例において(図2)、本発明の装置及びこれに関連する方法は、非協動環境(non-cooperating environment)(208)から送られる周囲RFエネルギー(32)を受信する手段を有し、ワイヤレス・フィデリティ・プロダクツの電力貯蔵装置(150)にエネルギーを与える小型遠隔ステーションから構成される。遠隔ステーション(4)は、周囲エネルギー(32)を得るために用いられる1又は2以上のアンテナ(100)と、電力貯蔵装置(150)にエネルギーを与えるために、この周囲エネルギーをDC電力に変換する回路(102)とから構成される。回路(102)は、例えば、充電ポンプ又は半波整流器によってDC電力への変換を行なうことができる。アンテナ(22)の有効面積は、アンテナ内にLCタンク回路を用いることにより、その物理的面積(21)よりも大きく作られる。有効面積(22)が物理的面積(21)よりも大きなアンテナ(100)を用いることにより、小型の電子エネルギー貯蔵装置(150)へエネルギーを付与するのに使用される小型遠隔ステーションを作ることができる。遠隔ステーション(4)はまた、情報(8)を格納し、処理し、アンテナ(110)を通じてベースステーション(2)(この図には示さず)へ送信するためのマイクロコントローラ(94)を含むことができる。
【0025】
有効面積
この発明の異なる実施例では、遠隔ステーションにおける送信エネルギーの受信は、遠隔ステーションの1又は2以上のアンテナを用いて行われる。なお、ここでのアンテナの少なくとも1つは、その物理的面積よりも大きな有効面積を有している。アンテナの有効面積は、アンテナ内にLCタンク回路を用いることにより、その物理的面積よりも大きく作られる。物理的面積よりも有効面積が大きいアンテナを用いることにより、小型遠隔ステーションの作製が可能となり、該小型遠隔ステーションを用いて小型電気エネルギー貯蔵装置にエネルギーを与えることができる。
【0026】
アンテナの「有効面積(effective area)」とは、同調したアンテナが、その幾何学的面積よりも大きな有効面積を有する場合がある事実を意味する。その現象は、文献[Rudenberg, Reinhold, "Den Empfang Electrischer Wellen in den Drahtlosen Telegraphie"("The Receipt of Electric Waves in the Wireless Telegraphy") Annalen den Physik IV, 25, 1908, p.446-466]に記載されており、その説明は、何年にも亘り、多くの筆者によって引用されてきた。
【0027】
Rudenbergに付与された米国特許第5296866号には、「アンテナが、ほぼ平面波である入射フィールドと相互作用し、誘導によりアンテナの中を流れる電流を発生させる。(アンテナの)電流は、アンテナの近傍にフィールドを発生する。発生したフィールドは、入射フィールド線が曲げられるように、入射フィールドと相互作用する。フィールド線は、入射する波面の相対的に大きな部分からエネルギーの流れが生じるように曲げられて、エネルギーを、アンテナの幾何学的面積よりもかなり大きな波面(wave front)からアンテナの中へ吸収する効果を有する」ことが記載されている。
【0028】
有効面積の概念は知られているが、アンテナのような構造において実現することは容易でないし、自明でもない。米国特許第5296866号は、独立した回路構成を用いて、有効性が高められたアクティブアンテナを作製することを開示している。米国特許第4857893号は、コイルのインダクタンスを大きくするために、各々のアンテナ導体の周囲に磁気フィルムを用いたアンテナをチップ上に作製する概念を開示している。
【0029】
アンテナの物理的面積よりも大きな有効面積をもつアンテナのデータについては、米国特許第6289237号のCIPである米国特許出願第09/951032号(Mickle)を参照することができる。さらにまた、この出願は、送信されたエネルギーをDC(又はAC)電圧へ変換する手段に関して開示している。
【0030】
プリントされた遠隔ステーション
本発明の遠隔ステーションを作製する方法の1つとして、半導体製造技術を用いて行なう方法があり、この方法では、機能的に完全な遠隔ステーションを作るのに必要な全ての回路が含まれる単一のモノリシックチップアッセンブリが、効率的に作製される。チップは、CMOSデバイス及び/又はMEMSデバイスから選択されるデバイスの形態であってよい。
【0031】
本発明の遠隔ステーションを作製する他の方法は、アンテナと、機能的に完全な遠隔ステーションを作製するのに必要な全ての回路とをプリントすることにより行われる。プリント回路基板のアンテナは、図3a及び図3bに示されるように、その物理的面積よりも大きな有効面積を有しており、以下のように作られる。
a.アンテナは、特定の電極が配備され、電極間寸法は、適当なキャパシタンスの基板で被覆されるか又は前記基板の上に堆積されたときに、LCタンク回路が形成されるように構成される(414)。
b.アンテナは、商業的に入手可能な導電性組成物(例えば、導電エポキシ、導電インク等)を用いて、非導電性基板(プラスチックフィルム、ガラス等)(401)の上にプリントされる。電極構造(414)は、例えばインクジェット、シルクスクリーン等の標準的なプリンティング技術を用いてプリントされる。
c.特定キャパシタンス及び絶縁特性を有する材料のフィルム(412)が、アンテナの上面にプリントされる。このフィルム(412)はアンテナに設けられて、LCタンク回路が得られる。
【0032】
本発明のプリントされた充電装置(charge device)を形成するために、ダイオード(図示せず)等の他の電子部品を基板にプリントすることもできる。
【0033】
実施例
本発明の概念を確認するために、図4に示す装置を使用した。図4の装置は、基板に搭載された実験システムであり、電圧計(424)を有し、該電圧計は、試験ユニットの端子に対し、導線(440)と(442)、及び(441)と(444)によって接続されている。アンテナ(430)は、導線(450)によって回路(434)に接続され、携帯電話のバッテリー(432)は、回路(434)の近傍に配置されている。図4で使用された装置を約40分間使用すると、携帯電話のバッテリーの電圧は、2.888ボルトから2.890ボルトに上昇した。このように、ワイヤレス・フィデリティをワイヤレス方式で用いることにより、電源を充電する能力のあることが確認された。アンテナの周波数帯域は適正範囲内であったが、エネルギーを獲得するバッテリー充電回路は、2.5GHzソースではなく、915MHzを指定した。さらに、エネルギー獲得のために使用される充電ポンプのダイオードは、約1GHzでのみ特異性をもつものが用いられた。それにもかかわらず、この実験では、電圧が上昇して、バッテリーの電荷の増加を示し、ワイヤレス・フィデリティのアクセスポイントからエネルギーを獲得する能力を有することが確認された。
【0034】
一般的に、本発明の方法及び装置は、サイズの小さな遠隔ステーションに使用すると有利であるが、本発明はそのような遠隔ステーションに限定されるものではない。例えば、電力貯蔵装置を含む遠隔ステーションは、幅が約12インチ未満、長さが約12インチ未満、厚さが約2インチ未満でもよい。
【0035】
本発明は、エネルギー源がベースステーションから遠隔ステーションへ伝送される電力貯蔵装置にエネルギーを与える方法を提供するものである。エネルギーは、ワイヤレス・フィデリティ・スタンダードの周波数の範囲内のRF電力であってよい。アンテナはエネルギーを受信し、遠隔ステーションの回路により、エネルギーはDC電力に変換され、該電力は電力貯蔵装置に送られる。
【0036】
本発明は、例えば、1辺が約5mm〜5cmの正方形状の回路基板のような小型プリント基板に使用すると有利である。
【0037】
本発明の方法及び装置では、アンテナとして、電子チップ又はプリント基板上に形成されたアンテナを用いることが好ましい。アンテナは、遠隔ステーションの基板の上に、導電部と電気絶縁部を用いてプリンティングすることによって形成されることができる。遠隔ステーションで用いられるLCタンクは、アンテナの有効面積を物理的面積よりも大きくするために、アンテナに接続されるか又はアンテナの中に設けられる。
【0038】
この発明の具体的実施例を例示として説明したが、当該分野の専門家であれば、特許請求の範囲に記載された発明から逸脱することなく、その詳細について種々の変形をなし得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の方法で使用することができるように構成されたリチャージング装置の概略図である。
【図2】本発明に基づいて作られた周囲エネルギーリチャージング装置の概略図である。
【図3a】遠隔ステーションにプリントされたアンテナの正面図である。
【図3b】遠隔ステーションにプリントされたアンテナの横断面図である。
【図4】実験システムの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力貯蔵装置にエネルギーを与える方法であって、
ベースステーションと、電力受信用の少なくとも1つのアンテナを有する遠隔ステーションと、電力貯蔵装置を配備し、
空間中を、ベースステーションから遠隔ステーションへエネルギーを送信し、
前記少なくとも1つのアンテナとして、その物理的面積よりも大きな有効アンテナ面積を有するアンテナを使用し、
送信されたエネルギーをアンテナで受信し、前記エネルギーをDC電力に変換し、
前記DC電力を用いて、前記電力貯蔵装置にエネルギーを与えることを含んでいる、方法。
【請求項2】
電力貯蔵装置は、携帯用のワイヤレス・フィデリティ・プロダクトに連繋されることを含んでいる請求項1の方法。
【請求項3】
エネルギーを、約2.4〜5.0ギガヘルツの周波数で送信することを含んでいる請求項1の方法。
【請求項4】
遠隔ステーションは、幅が約12インチ未満、長さが約12インチ未満、厚さが約2インチ未満である請求項1の方法。
【請求項5】
空間中を、ワイヤレス・フィデリティ・スタンダードの周波数の範囲内で、ベースステーションから遠隔ステーションにエネルギーを送信することを含んでいる請求項1の方法。
【請求項6】
空間中を、ワイヤレス・フィデリティ・スタンダード内のRFエネルギーとして、ベースステーションから遠隔ステーションにエネルギーを送信することを含んでいる請求項1の方法。
【請求項7】
遠隔ステーションは、ワイヤレス・フィデリティ・プロダクトを含んでいる請求項1の方法。
【請求項8】
遠隔ステーションは、ワイヤレス・フィデリティ・プロダクトの構成要素である請求項1の方法。
【請求項9】
遠隔ステーションは、ワイヤレス・フィデリティ・プロダクトに連繋され、前記ワイヤレス・フィデリティ・プロダクトにエネルギーを与えることを含んでいる請求項1の方法。
【請求項10】
電子チップに形成された前記アンテナとして使用することを含んでいる請求項1の方法。
【請求項11】
前記遠隔ステーションとして、導電部及び絶縁部を用いて基板上にプリントされた遠隔ステーションを使用することを含んでいる請求項1の方法。
【請求項12】
前記アンテナの有効面積をその物理的面積よりも大きくするために、前記アンテナの中にLCタンク回路を用いることを含んでいる請求項1の方法。
【請求項13】
前記遠隔ステーションとして、エネルギーを受信するためのアンテナと、エネルギーを変換するための回路とを具えるモノリシックチップアッセンブリを用いることを含んでいる請求項1の方法。
【請求項14】
前記遠隔ステーションとして、プリントされた回路と、プリントされたアンテナを有するステーションを用いることを含んでいる請求項1の方法。
【請求項15】
前記プリントされたアンテナとして、非導電性基板にプリントされた導電性アンテナを用いることを含んでいる請求項11の方法。
【請求項16】
前記アンテナの上に、特定のキャパシタンス及び電気絶縁特性を有する材料の層を設けることを含んでいる請求項15の方法。
【請求項17】
前記方法を、携帯用ワイヤレス・フィデリティ・プロダクト用の電力貯蔵装置に用いることを含んでいる請求項1の方法。
【請求項18】
電力貯蔵装置に遠隔からエネルギーを与える装置であって、
空間中を、遠隔ステーションへエネルギーを送信するためのベースステーションと、
送信されたエネルギーを受信する手段を有し、電力貯蔵装置にエネルギーを与える遠隔ステーションと、を具えており、
前記遠隔ステーションは、1又は複数のアンテナを有し、少なくとも1つのアンテナは、その物理的面積よりも大きな有効面積を有しており、
前記遠隔ステーションは、前記電力貯蔵装置にエネルギーを与えるために、送信されたエネルギーをDC電力へ変換できるように構成されている、装置。
【請求項19】
ベースステーションは、ワイヤレス・フィデリティ・スタンダードの範囲内の周波数で、空間中を、遠隔ステーションにエネルギーを送信できるように構成されている請求項18の装置。
【請求項20】
ベースステーションは、ワイヤレス・フィデリティ・スタンダードの範囲内のRFの形態で、空間中を、遠隔ステーションにエネルギーを送信できるように構成されている請求項18の装置。
【請求項21】
遠隔ステーションは、ワイヤレス・フィデリティ・プロダクトを含んでいる請求項18の装置。
【請求項22】
遠隔ステーションは、ワイヤレス・フィデリティ・プロダクトの構成要素である請求項18の装置。
【請求項23】
遠隔ステーションは、ワイヤレス・フィデリティ・プロダクトの電力貯蔵装置に連繋され、前記電力貯蔵装置にエネルギーを与えることができるように構成されている請求項18の装置。
【請求項24】
遠隔ステーションは、電子チップの上にアンテナ手段が形成されている請求項1の装置。
【請求項25】
遠隔ステーションは、基板の上に、導電性組成物及び絶縁性組成物を用いてプリントされている請求項1の装置。
【請求項26】
アンテナの有効面積は、アンテナの中にLCタンク回路を用いることにより、その物理的面積よりも大きく作られている請求項1の遠隔ステーション。
【請求項27】
遠隔ステーションは、エネルギーを受信するために用いられる少なくとも1つのアンテナと、エネルギーを変換するために用いられる回路とを含むモノリシックチップアッセンブリを有している請求項18の装置。
【請求項28】
遠隔ステーションは、プリントされた回路と、プリントされたアンテナを有している請求項27の装置。
【請求項29】
電力貯蔵装置は、携帯用ワイヤレス・フィデリティ・プロダクト用の電力源である請求項1の方法。
【請求項30】
環境から周囲エネルギーを受信するための手段を有し、ワイヤレス・フィデリティ・プロダクツの電力貯蔵装置にエネルギーを与える遠隔ステーションであって、
1又は2以上のアンテナと、
ワイヤレス・フィデリティ・スタンダードの範囲内のRF周波数の形態で送信されたエネルギーを、電力貯蔵装置にエネルギーを与えるためのDC電力に変換する回路と、
その物理的面積よりも大きな有効アンテナ面積を有する少なくとも1つのアンテナと、
を含んでいる、遠隔ステーション。
【請求項31】
装置は、アンテナが形成された電子チップを有している請求項30の遠隔ステーション。
【請求項32】
遠隔ステーションは、導電性組成物及び絶縁性組成物を用いて、基板上にプリントされている請求項30の装置。
【請求項33】
アンテナの有効面積は、アンテナの中にLCタンク回路を用いることにより、その物理的面積よりも大きく作られている請求項30の遠隔ステーション。
【請求項34】
周囲エネルギーはRF電力である請求項30の遠隔ステーション。
【請求項35】
遠隔ステーションの電力貯蔵装置にエネルギーを与える方法であって、
環境から、ワイヤレス・フィデリティ・スタンダードの範囲内のRF周波数の形態で、周囲エネルギーを受信するためのエネルギー受信用アンテナを、遠隔ステーションに配備すること、を含んでいる方法。
【請求項36】
電子チップに形成された前記アンテナを使用することを含んでいる請求項35の方法。
【請求項37】
前記遠隔ステーションとして、導電部及び絶縁部を用いて、基板上にプリントされた遠隔ステーションを使用することを含んでいる請求項35の方法。
【請求項38】
前記アンテナの有効面積を、その物理的面積よりも大きくするために、LCタンク回路を前記アンテナの中で用いることを含んでいる請求項35の方法。
【請求項39】
遠隔ステーションは、ワイヤレス・フィデリティ・プロダクトの構成要素である請求項35の方法。
【請求項40】
遠隔ステーションは、ワイヤレス・フィデリティ・プロダクトを含んでいる請求項35の方法。
【請求項41】
遠隔ステーションは、ワイヤレス・フィデリティ・プロダクトに連繋されている請求項35の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−516686(P2007−516686A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533093(P2006−533093)
【出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/015231
【国際公開番号】WO2004/105157
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(501102988)ユニバーシティ オブ ピッツバーグ オブ ザ コモンウェルス システム オブ ハイヤー エデュケイション (24)
【Fターム(参考)】