説明

リニアアクチュエータおよびリニアアクチュエータを用いたバルブ装置

【課題】ネジ送り機構における作動部材の位置決めを正確に行えるようにする。
【解決手段】ステッピングモータ8のロータ部90の回転を、作動部材7の軸方向の進退移動に変換するネジ送り機構と、ロータ部90の回転角度を規制する規制手段と、を備え、ネジ送り機構が、仕切壁30の固定部材130に固定されて作動部材7を回転不能かつ軸方向に移動可能に支持する支持部材120と、作動部材7とロータ部90に設けられて互いに噛み合う雄ネジ71aおよび雌ネジ95と、から構成されるリニアアクチュエータにおいて、作動部材120を、固定部材130に着脱可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアアクチュエータおよびリニアアクチュエータを用いたバルブ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モータのロータの回転を作動部材の軸方向の進退移動に変換するネジ送り機構と、ロータの回転角度を規定するアメリカンワインディングストップ機構と、を備えるリニアアクチュエータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−374652号公報
【0004】
このリニアアクチュエータのネジ送り機構は、作動部材の回転を阻止する回転止めと、作動部材とロータとに設けられて互いに噛み合う雄ネジおよび雌ネジと、を備えて構成され、ロータが回転すると、回転止めされている作動部材とロータとが相対回転して、雄ネジと雌ネジとの咬み合い部分の長さが変化することで、作動部材が軸方向の一方または他方に移動するようになっている。
この際の作動部材の移動方向は、ロータの回転方向に応じて決まり、移動可能な長さ範囲は、ロータの回転範囲を規定するアメリカンワインディングストップ機構により決定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このリニアアクチュエータの組み立ては、始めに、ロータをアメリカンワインディングストップ機構により回転が規制される角度位置に配置し、この状態で、ロータと作動部材とを相対回転させて雄ネジと雌ネジの噛み合い部分の長さを変更しながら作動部材の位置決めを行い、最後に、回転止めを作動部材に取り付けて作動部材の回転を阻止することで行われる。
しかし、従来のリニアアクチュエータの場合、作動部材の位置とロータの角度位置との関連づけが難しいため、作動部材を所望の初期位置に正確に配置することが難しかった。また、組み立てられたあとでは、作動部材の回転が回転止めにより阻止されているので、雄ネジと雌ネジの噛み合い部分の長さを変更して、作動部材の位置を微調整することができなかった。
【0006】
そこで、ネジ送り機構における作動部材の位置決めを正確に行えるようにすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
モータのロータの回転を、作動部材の軸方向の進退移動に変換するネジ送り機構と、ロータの回転角度を規制する規制手段と、を備え、ネジ送り機構が、固定側部材に固定されて、作動部材を回転不能かつ前記軸方向に移動可能に支持する支持部材と、ロータと作動部材に設けられて互いに噛み合う雄ネジおよび雌ネジと、から構成されるリニアアクチュエータにおいて、支持部材を、固定側部材に着脱可能に構成した。
このように構成すると、支持部材が固定側部材に取り付けられていない状態では、作動部材が支持部材に回転不能に支持されているので、ロータの回転を阻止しつつ作動部材を回転させることで、作動部材とロータとを相対的に回転させて、雄ネジと雌ネジとの咬み合い部分の長さを変更できる。よって、作動部材の軸方向における位置を所望の位置に調整でき、作動部材の位置決めを正確に行うことができる。
【0008】
支持部材は、固定側部材に対し、軸方向から着脱可能に構成した。
このように構成すると、支持部材を軸方向に移動させるだけで、固定側部材に取り付けることができるので、支持部材の固定側部材への取り付けを、特別な工具などを用いることなく、簡単に行うことができる。
【0009】
支持部材と固定側部材とは、スプラインにより相対回転が規制されている構成とした。
作動部材は、支持部材に回転不能に支持されているので、支持部材が回転すると作動部材もまた回転し、雄ネジと雌ネジとの咬み合い部分の長さが変化して、作動部材の軸方向の位置が変化する。
作動部材の位置を調整したのちに支持部材を固定側部材に取り付ける場合、スプライン同士の位置合わせのために、支持部材を固定側部材に対して回転させる必要があり、この僅かな回転により作動部材の位置が調整された位置から外れてしまう。
スプラインを採用すると、スプラインの1歯分の分解能が、固定側部材に支持部材を取り付けるときの支持部材の角度の分解能となり、スプラインの数を増やすことで分解能をより向上させて、作動部材が調整後の位置から大きく外れることを防ぐことができる。
【0010】
モータは、ステッピングモータであり、スプラインは、回転軸周りに放射状に設けられており、回転軸周りで隣接するスプラインの歯のピッチ角θと、ステッピングモータの1ステップでロータが回転する角度θrとが、θr≦θ<2θrの関係を満たすように設定されている構成とした。
このように構成すると、支持部材を固定部材に取り付ける場合に、支持部材を固定部材に対して相対回転させる角度を小さくしつつ、支持部材と固定部材と嵌合部における嵌合強度を確保できる。
また、支持部材の回転に伴う作動部材の軸方向の移動量が抑えられるので、作動部材が調整後の位置から大きく外れることを防ぐことができ、作動部材と支持部材の相対的な位置精度が向上する。
【0011】
流体の流入管と排出管とが接続されたバルブ室と、バルブ室内で、流入管の開口を開閉する弁体と、を備え、リニアアクチュエータの作動部材で、弁体を開口の開閉方向に進退移動させるバルブ駆動装置であって、ロータには、規制手段により回転が規制される回転角度が2つ設定されており、作動部材は、ロータが2つの回転角度のうちの一方の回転角度に達したときに、弁体を、開口を閉じる位置に配置させた構成のバルブ装置とした。
このように構成すると、バルブ室内に弁体の位置を検出するためのセンサなどを設けずに、開口を閉状態にするときの弁体の位置を正確に合わせることができる。
【0012】
弁体は、付勢手段により開口を閉じる方向に付勢されている構成した。
このように構成すると、弁体が流入口を付勢しながら閉鎖する状態での付勢力を一定にすることができる。
【発明の効果】
【0013】
支持部材が固定側部材に取り付けられていない状態で、ロータの回転を阻止しつつ作動部材を回転させることで、雄ネジと雌ネジとの咬み合い部分の長さを変更できるので、作動部材の軸方向における位置を所望の位置に調整でき、作動部材の位置決めを正確に行うことができる。
また、支持部材は、固定側部材に対して着脱可能であるので、リニアアクチュエータを組み立てたあとでも、支持部材を適宜取り外して作動部材の軸方向における位置調整を行うことができる
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態にかかるガス流量調整バルブの断面図である。
【図2】ガス流量調整バルブにおける要部の分解斜視図である。
【図3】ガス流量調整バルブにおける要部の拡大断面図である。
【図4】ステッピングモータのロータ部を説明する図である。
【図5】ゼネバ歯車を説明する図である。
【図6】ゼネバ歯車の機能を説明する図である。
【図7】支持部材を説明する図である。
【図8】固定部材を説明する図である。
【図9】支持部材と固定部材の嵌合を説明する図である。
【図10】ロータ部と固定部材の嵌合を説明する図である。
【図11】弁体を説明する図である。
【図12】支持部材と固定部材の嵌合と、作動部材の位置決めを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を、ガス流量調整バルブ装置1を例に挙げて説明する。
【0016】
図1に示すように、ガス流量調整バルブ装置1では、第1ケース部10と第2ケース部20とから形成される本体部2内の空間が、仕切壁30により区画されており、ガス流入管3とガス排出管4とが接続された第1ケース部10側が、バルブ室5となっている。
【0017】
バルブ室5内では、ガス流入管3の開口3aを開閉するための弁体6が、仕切壁30を貫通した作動部材7の先端に取り付けられている。
【0018】
このガス流量調整バルブ装置1では、ステッピングモータ8のロータ部90の回転が、後記するネジ送り機構により、作動部材7の軸方向の進退移動に変換されるようになっており、作動部材7の軸方向の進退移動に伴って、作動部材7の先端部に取り付けられた弁体6が、ガス流入管3の開口3aを開閉するようになっている。
【0019】
以下、ガス流量調整バルブ装置1の各部の構成を詳細に説明する。
第1ケース部10は、円板形状の底部11と、底部を囲む周壁部12と、周壁部12の底部11とは反対側の端部から径方向外側に延びるフランジ部13とを、備える。
【0020】
底部11の中央には、ガス流入管3の取付部材35が、底部11を厚み方向に貫通して設けられている。
取付部材35は、貫通穴36を有する筒状の部材であり、バルブ室5内に位置する先端部35aは、弁体6が当接する当接部となっている。そのため、弁体6による開口3aの閉鎖が確実に行われるようにするために、先端部35aは、ガス流入管3よりも厚肉で形成されて、弁体6から作用する押圧力で容易に変形しないようになっている。
【0021】
貫通穴36の途中には、ガス流入管3の先端3bが当接する段差部36aが設けられている。
取付部材35では、段差部36aよりも先端部35a側の内径D1は、ガス流入管3の内径と略同じ径で形成され、反対側の内径D2は、ガス流入管3の外径と略同じ径で形成されており、ガス流入管3の流路断面積が、そのまま維持されるようになっている。
【0022】
底部11には、ガス排出管4の縮径部4aを挿通させる開口11aが設けられており、ガス排出管4は、開口11aに縮径部4aを挿通させた状態で、底部11に溶接されている。
【0023】
フランジ部13の内径側13aは、外径側13bよりも僅かに底部11側に位置しており、仕切壁30の外周縁30aが全周に亘って当接する当接部となっている。
フランジ部13の外径側13bは、第2ケース部20のフランジ部23に当接しており、第1ケース部10と第2ケース部20とは、両フランジ部13、23の当接部分が互いに溶接されて接合されている。
【0024】
第2ケース部20は、円板形状の底部21と、底部21を囲む周壁部22と、周壁部22の底部21とは反対側の端部から径方向外側に延びるフランジ部23と、を備える。
【0025】
フランジ部23は、第1ケース部10のフランジ部13と同じ外径で形成されており、第1ケース部10側の面には、仕切壁30がスポット溶接で固定されている。
【0026】
底部21は、第1ケース部10の底部11よりも小さい径で形成されており、周壁部22は、底部21側の小径部22aと、フランジ部23側の大径部22bとを備えている。
小径部22aの径方向外側には、ステッピングモータ8のステータ部80が、径方向内側にはロータ部90が、それぞれ設けられており、小径部22aを挟んで外側と内側に位置するステータ部80とロータ部90とにより、ステッピングモータ8が構成されている。
【0027】
ステッピングモータ8のステータ部80は、ステータコア81と、ボビン82と、駆動コイル83と、モータケース88とから構成される。
ステータコア81の内周部81aは、図示しない極歯が、回転軸X周りの周方向に所定間隔で並べられた筒形状を有している。
ステータ部80では、一組のステータコア81が、円板部81bを互いに接触させると共に、内周部81aを互いに反対方向に向けた状態で設けられており、この状態で、一方のステータコア81の極歯と、他方のステータコア81の極歯とが、回転軸X周りの周方向において交互に並ぶように配置されている。
【0028】
ステータコア81の内周部81aの外周には、駆動コイル83が巻き付けられたボビン82が外嵌して設けられている。
駆動コイル83の端部は、それぞれ端子84、84に巻き付けられており、この端子84、84の先端側が、コネクタ端子85が接続された回路基板86に接続している。
【0029】
ステータ部80を収容するモータカバー87は、樹脂材料から構成され、フランジ部23からステッピングモータ8側に延びる取付部材26に、係合爪87aを係止させて設けられている。
【0030】
ロータ部90は、一端が封止された筒状の本体部91の外周に、リング状の永久磁石100を備えて構成され、第2ケース部20内で、回転軸X周りに回転可能に設けられている。このロータ部90の本体部91と永久磁石100とは、インサート成形により一体に形成される。
【0031】
本体部91の封止端91aの中央部には、円筒形状の軸部92が、第2ケース部20の底部21側に突出して設けられている。
底部21の内側には、有底円筒形状の軸受部24を有する支持部25が設けられており、軸部92は、軸受部24で回転可能に支持されている。
【0032】
本体部91の外周には、軸方向から見てリング状の突出部91b、91cが全周に亘って設けられており、突出部91b、91cの間に永久磁石100が位置している。
【0033】
図2は、ガス流量調整バルブ装置1の要部を分解して示す斜視図であり、図3は、要部の断面を拡大して示す図である。
図4の(a)は、ロータ部90の斜視図であり、(b)は、ロータ部90を仕切壁30側から見た平面図である。
【0034】
図2から図4を参照して、ロータ部90を説明する
図3に示すように、ロータ部90の本体部91では、軸部92とは反対側に、突出部91bよりも径が小さい小径部93が設けられている。
小径部93の外周には、回転軸Xの軸方向(ロータ部90の長手方向)に沿って延びるゼネバピン93a(図2、図4参照)が設けられており、ゼネバピン93aは、突出部91bから、小径部93の先端部93eの近傍までの範囲に形成されている。
【0035】
図4に示すように、小径部93では、突出部91b側の外周に、軸方向から見て略C字形状の膨出部93bが設けられている。膨出部93bは、ゼネバピン93aと同じ径方向高さで形成されており、ゼネバピン93aとの間には、後記するゼネバ歯車110の歯部112b(図6の(b)参照)が係合するための歯溝部93d(図4の(b)参照)が確保されている。
この膨出部93bにおける歯溝部93dの近傍部分であるストッパ部93c、93cが、後記するゼネバ歯車110の度当たり112d、112eが当接する当接部となっている。
【0036】
図2および図3に示すように、小径部93の径方向外側には、ロータ部90の回転軸X周りの回転角度を規定するゼネバ歯車110が設けられている。
ゼネバ歯車110の回転軸116は、仕切壁30の軸受部33と、ブラケット部材115の軸受穴115aとで、回転可能に支持されており、ゼネバ歯車110は、ステッピングモータ8のロータ部90の回転軸Xに平行な回転軸X’周りに回転可能に設けられている。
【0037】
図5の(a)は、ゼネバ歯車110を仕切壁30側から見た斜視図であり、(b)は仕切壁30側から見た平面図である。
【0038】
図5に示すように、ゼネバ歯車110は、回転軸116が挿通されるリング状の軸部111と、軸部111よりも大径の大径部112とを備える。
大径部112では、ゼネバ歯車110の回転軸(回転中心)X’を通る直線L(図5の(b)参照)を境にして一方側の半円部に、歯溝部112aと、歯部112bと、突出部112cと、が設けられている。
【0039】
歯部112bと突出部112cとは、大径部112の周方向で交互に設けられている。歯部112bは、大径部112の厚み方向(回転軸X’の軸方向)における全長に亘って形成されており、突出部112cは、ロータ部90の回転を阻害しないようにするために、ロータ部90の膨出部93bとの接触を避ける厚み(高さHz)で形成されている。
【0040】
直線Lを境にして反対側の半円部のうち、歯溝部112aに面した部分である両側部112d、112eは、ロータ部90の回転範囲(回転角度)を規定する度当たりを構成している。
【0041】
図6は、ゼネバ歯車110と、ロータ部90のゼネバピン93aとの噛合と、ゼネバ歯車110によるロータ部90の回転範囲(回転角度)の規制を説明する図であって、(a)は、ゼネバ歯車110の一方の度当たり112eで、ロータ部90の回転が規制された状態を、(b)は、ゼネバ歯車110の歯溝部112aと、ロータ部90のゼネバピン93aとが係合した状態を示す図であり、(c)は、ゼネバ歯車110の他方の度当たり112dで、ロータ部90の回転が規制された状態を示す図である。
【0042】
実施の形態では、ロータ部90のゼネバピン93aは、ゼネバ歯車110の歯溝部112aに挿入されて歯部112bと係合するようになっており、ロータ部90が回転軸X周りに1回転する毎に、ゼネバ歯車110が、ゼネバピン93aにより所定角度ずつ回転軸X’周りに回転させられるようになっている。
【0043】
図6の(b)に示す状態で、ロータ部90が反時計回り方向CCWに回転すると、ゼネバ歯車110の度当たり112eが、膨出部93bのストッパ部93cに当接した時点で、ロータ部90の回転が阻止される(図6の(a)参照)。
【0044】
この図6の(a)に示す角度位置では、ロータ部90は、反時計回り方向への回転が規制されて、時計回り方向CWにしか回転できない状態となっている。
この状態からロータ部90が時計回り方向に回転すると、ロータ部90が1回転した地点で、図6の(b)に示す状態となり、この状態からさらに時計回り方向に2回転して、ゼネバ歯車110の度当たり112dが、膨出部93bのストッパ部93cに当接した時点で、ロータ部90の回転が阻止される(図6の(c)参照)。
【0045】
この図6の(c)に示す角度位置では、ロータ部90は、時計回り方向への回転が規制されて、反時計回り方向にしか回転できない状態となる。
なお、ゼネバ歯車110の突出部112cは、ロータ部90の膨出部93bとの干渉を避ける高さで形成されているので、ゼネバ歯車110とロータ部90とが干渉することなく相対回転できる。
さらに、実施の形態では、ロータ部90が、図6の(b)に示す位置から時計回り方向に1回転した時点で、弁体6が、ガス流入管3の取付部材35の先端部35a(図1参照)に当接し、そこからロータ部90がさらに1回転して、図6の(c)に示す位置に達するまでの間は、弁体6と作動部材7とが、スプリング76(図3参照)を圧縮しながら、回転軸Xの軸方向で相対移動するようになっている。
【0046】
前記したように、ガス流量調整バルブ装置1では、ステッピングモータ8のロータ部90の回転が、ねじ送り機構により、作動部材7の軸方向の進退移動に変換されるようになっている。
【0047】
ねじ送り機構は、図3に示すように、仕切壁30の固定部材130に回転不能に取り付けられると共に、作動部材7を回転不能かつ軸方向に進退移動可能に支持する支持部材120と、ロータ部90の内周に設けられた雌ネジ95と、作動部材7から延びる軸部材71の外周に設けられた雄ネジ71aとから構成される。
【0048】
図7の(a)は、支持部材120を仕切壁30側から見た平面図であり、(b)は、弁体6側から見た平面図であり、(c)は、側面図であり、(d)は、(a)におけるA−A断面図であり、(e)は、(a)におけるB−B断面図である。
【0049】
支持部材120は、仕切壁30に固定される固定部材130に対して、作動部材7の軸方向から着脱自在とされている。
図7の(e)に示すように、支持部材120の本体部121は、有底円筒形状を有しており、軸方向から見て円板形状の底部122と、底部122の外周縁の全周に亘って設けられた周壁部123と、を備える。
底部122では、作動部材7の軸部材71を挿通させる挿通穴122aと、挿通穴122aを全周に亘って囲む円筒壁124が、中央部に設けられている。
円筒壁124の底部122からの高さh1は、周壁部123の底部122からの高さh2よりも低く設定されており、円筒壁124の内周には、回転軸Xの軸方向に沿って延びるスプライン125が全周に亘って設けられている。
【0050】
図7の(a)に示すように、周壁部123には、回転軸X周りの周方向において120度間隔で、切欠き123aが設けられている。
軸方向から見て、切欠き123a内には底部122が露出しており、この露出した部分では、図7の(b)に示すように、外周縁部122bを残して貫通孔122cが設けられている。
図7の(c)から(e)に示すように、切欠き123a内では、外周縁部122bを基端とする腕部126が、回転軸Xの軸方向に沿って延びている。腕部126の底部122からの高さh3は、周壁部123の底部122からの高さh2よりも高くなっており、腕部126の先端には、径方向内側に突出する爪部126aが設けられている。
【0051】
周壁部123の内周には、回転軸Xの軸方向に沿って延びるスプライン127が、全周に亘って設けられており、スプライン127は、回転軸X周りに放射状に配置されている。
ここで、図7の(a)に示すように、スプライン127の歯のピッチ角θ(スプライン127の歯と支持部材120の回転軸(回転中心)Xとを結ぶ直線のうち、回転軸(回転中心)X周りで隣接する直線L1、L2同士の軸方向から見た交差角)と、ステッピングモータ8の1ステップでロータ部90が回転する角度θrとが、θr≦θ<2θrの関係を満たすように設定されている。
【0052】
スプライン127の数を増やすと、支持部材120を固定部材130に取り付ける場合における支持部材120と固定部材130とを相対回転させる角度を小さくできるからである。
【0053】
図8の(a)は、固定部材130を支持部材120側から見た平面図であり、(b)は、ロータ部90側から見た平面図であり、(c)は、側面図であり、(d)は、(a)におけるA−A断面図であり、(e)は、(a)におけるB−B断面図である。
図9は、仕切壁30における固定部材130と支持部材120との連結部分を、作動部材7のスプリング支持部74側から見た斜視図であり、図10は、仕切壁30における固定部材130とロータ部90との連結部分を、ステッピングモータ8側から見た斜視図である。
【0054】
図2に示すように、固定部材130は、ロータ部90側から仕切壁30に取り付けられるようになっている。
図3に示すように、固定部材130は、仕切壁30の貫通孔31に、外周にスプライン132が設けられた円筒部131をロータ部90側から挿入し、円板部135を、仕切壁30に突き当てた状態で設けられる。
【0055】
図8の(d)、(e)に示すように、円筒部131の円板部135側には、径方向外側に延びるフランジ131a、131bが所定間隔で設けられている。
フランジ131aのスプライン132側にはテーパ面131cが設けられており、反対側のフランジ131bには、回転軸Xを挟んで対称となる位置に径方向外側に突出して突起131dが設けられている(図8の(a)参照)。
【0056】
図2に示すように、仕切壁30の貫通孔31にも、この突起131dに対応する位置に、突起131dと整合する形状の切欠き32が設けられており、突起131dは、固定部材130を仕切壁30に取り付ける際の位置決めと、固定部材130の仕切壁30における回転止めのために設けられている。
なお、固定部材130の仕切壁30への固定は、固定部材130が仕切壁30に対して回転止めされた状態で固定されていれば良く、例えば、ねじ締め、接着、圧入などにより固定されていても良い。
【0057】
円筒部131のスプライン132は、回転軸Xの軸方向に沿って延びており、円筒部131外周の全周に亘って設けられている。
スプライン132は、回転軸X周りに放射状に配置されており、前記した支持部材120のスプライン127に対応する歯数とピッチ角θで形成されている。
スプライン132もまた、スプライン132の歯のピッチ角θと、ステッピングモータ8の1ステップでロータ部90が回転する角度θrとが、θr≦θ<2θrの関係を満たすように設定されている。
【0058】
フランジ131aは、支持部材120を固定部材130に取り付けた際に腕部126の先端の爪部126aが係止される係止部となっており、爪部126aがフランジ131aに形成された状態で、支持部材120の固定部材130に対する軸方向の移動が規制されるようになっている(図9参照)。
【0059】
図3および図8の(b)に示すように、円板部135は、固定部材130が仕切壁30に取り付けられた状態で、ロータ部90側に位置しており、円板部135の外周には、周方向に沿って壁部136が設けられている。壁部136には、回転軸X周りの周方向において、120度間隔で切欠き137が設けられている。
【0060】
実施の形態では、図3に示すように、固定部材130とロータ部90の先端部93eとの間に、ロータ部90の軸方向におけるガタツキを防止するための板バネ140が配置されているので、板バネ140の脚部141(図10参照)が、この切欠き137の部分を通過して、仕切壁30に接触するようになっている。
【0061】
また、図8の(b)に示すように、円板部135のゼネバ歯車110側の一部には、ゼネバ歯車110との干渉を避けるための円弧状の切り欠き138が設けられており、この切り欠き138では、反対側に位置するフランジ131bが露出している。
【0062】
図8の(b)、(e)に示すように、円板部135の中央部には、作動部材7の軸部材71を挿通させる開口135aが設けられており、円板部135のロータ部90側の面には、開口135aを全周に亘って囲む周壁部139が設けられている。
周壁部139は、前記した壁部136の円板部135からの高さh5よりも高い高さh4で形成されている。
図3および図10に示すように、周壁部139には、ロータ部90の小径部93の先端部93eが、回転可能に外嵌するようになっており、回転軸X周りに回転するロータ部90の軸心合わせがこの周壁部139により行われるようになっている。
【0063】
図2および図3に示すように、作動部材7では、支持部材120が嵌合する嵌合部72と、弁体6との連結部73と、スプリング支持部74とが、同一の樹脂材料で構成され、これらとSUS材からなる軸部材71とが、インサート成形により一体に形成されている。
【0064】
軸部材71の先端側の外周には、ロータ部90の雌ネジ95に係合する雄ネジ71aが、設けられている。
【0065】
図3に示すように、軸部材71の基端側は、嵌合部72を貫通してスプリング支持部74まで及んで設けられており、円筒状の嵌合部72の外周には、軸方向に沿って延びるスプライン72aが、周方向の全周に亘って設けられている。
【0066】
スプリング支持部74は、嵌合部72よりも大径の円柱部74aと、円柱部74aの嵌合部72側の端部に設けられたフランジ部74bと、を備える。
円柱部74aの外径は、スプリング76の内径と略同じであり、スプリング76の一端側が外挿されて取り付けられるようになっている。フランジ部74bの外径は、スプリング76の外径よりも僅かに大きい径を有しており、スプリング76の一端が当接するようになっている。
【0067】
スプリング支持部74に隣接する連結部73は、基本形状が円柱形状であり、この連結部73の先端の外周に、径方向外側に突出する突起73aが、回転軸Xを挟んで反対方向に突出して設けられている。
連結部73の突起73aが設けられた先端側は、弁体6の開口62a(図2参照)に挿入されて、弁体6と連結部73とが連結されるようになっている。
【0068】
図3に示すように、弁体6は、樹脂材料からなる係合部材61と、係合部材61に外嵌して取り付けられた当接部材65と、を備える。
図11の(a)は、弁体6を作動部材7側から見た平面図、(b)は、(a)におけるA−A断面図、(c)は、(a)におけるB−B断面図である。
【0069】
図11に示すように、係合部材61は、円板部62と、円板部62の外周から作動部材7とは反対方向に延びる周壁部63と、フランジ部64と、を備える。
周壁部63は、小径部63aと大径部63bとを備えており、円板部62から離れるにつれて内径が広がるように階段状に形成されている。
【0070】
円板部62には、円板部62を厚み方向に貫通する開口62aが設けられており、開口62aでは、回転軸Xを挟んで互いに平行な二面幅部62b、62bが形成されている。
この開口62aは、連結部73の突起73aが設けられた先端部を挿通可能な形状および大きさで形成されている。
【0071】
また、連結部73の先端部の最大径Laは、周壁部63の小径部63aの内径Daよりも僅かに小さく設定されている。
そのため、弁体6の開口62aに連結部73の先端部を挿入したのち、弁体6を90度回転させることで、突起73aが円板部62に係止させた状態となり(図11の(c)参照)、弁体6の連結部73からの脱落が防止されるようになっている。
この状態において、弁体6と、作動部材7の連結部73とは、回転軸Xの軸方向で相対移動可能になっている。
【0072】
周壁部63の小径部63aの外径は、スプリング76の内径と略同じであり、スプリング76の他端側が外挿されて取り付けられるようになっている。大径部63bの外径は、スプリング76の外径よりも僅かに大きい径を有しており、スプリング76の他端が当接するようになっている。
【0073】
周壁部63の円板部62とは反対側の端部の外周には、フランジ部64が全周に亘って設けられている。フランジ部64は、径方向外側に延出している。
フランジ部64には、NBRなどのゴム材料からなる当接部材65(図3参照)が外嵌して取り付けられるようになっており、図1に示すように、弁体6がガス流入管3側に移動すると、ガス流入管3の開口3aが当接部材65により閉鎖されるようになっている。
そのため、当接部材65(フランジ部64)の外径は、ガス流入管3の開口径よりも大きくなっている。
【0074】
ここで、図1に示すように、ガス流量調整バルブ装置1では、弁体6と、作動部材7と、ロータ部90と、ガス流入管3とが、同軸上に配置されており、ガス流入管3の開口3aは、開口面に直交する方向(回転軸Xの軸方向)に進退移動する弁体6により、開閉されるようになっている。また、実施の形態では、ステッピングモータ8により作動部材7および弁体6が軸方向にステップ移動するので、段階的に変化する弁体6の開口3aとの位置関係に応じて、ガス流入管3からバルブ室5内に流入してガス排出管4から排出されるガスの量が調整される。
【0075】
ガス流量調整バルブ装置1の組み付け時における弁体6(作動部材7)の位置決めを説明する。
図12は、ガス流量調整バルブ装置1の組み付け時における作動部材7(弁体6)の位置決めを説明する図であって、(a)は、支持部材120の固定部材130への着脱と弁体6の位置調整を説明する図であり、(b)は、位置調整時におけるゼネバ歯車110によるロータ部90の回転規制を説明する図である。
【0076】
実施の形態では、支持部材120のスプライン125と、作動部材7の嵌合部72のスプライン72aとを嵌合させて、支持部材120と作動部材7とが組み付けられており、支持部材120は作動部材7に対して回り止め嵌合している。
そして、この支持部材120は、スプライン72aに沿って回転軸Xの軸方向に移動可能であり、仕切壁30に固定された固定部材130に対して、回転軸Xの軸方向から着脱自在とされている。
そのため、ガス流量調整バルブ装置1におけるネジ送り機構の部分の組み付け時には、始めに、ロータ部90を回転させて、ゼネバ歯車110の度当たり112eが、ストッパ部93cに当接する角度位置にロータ部90を配置する(図12の(b)参照)。
そして、ロータ部90の回転を阻止した状態で、図中矢印S1で示す回転軸X周りに支持部材120を回転させて、作動部材7とロータ部90とを相対回転させることで、作動部材7の雄ネジ71aとロータ部90の雌ネジ95との噛み合い部分(図3参照)の長さを変える。これにより、支持部材120の回転方向に応じて、作動部材7と弁体6とが矢印S2で示す方向に進退移動するので、弁体6を、所定の初期位置に位置決めできる。
【0077】
そして、初期位置に配置したのち、支持部材120(作動部材7)の回転軸X周りの角度位置を保持した状態で、支持部材120を固定部材130側にスライドさせて、固定部材130側に延びる腕部126の爪部126aを、固定部材130のフランジ131aに係止させる。
この状態では、支持部材120のスプライン127と、固定部材130のスプライン132とが互いに嵌合しているので、支持部材120は、固定側部材である仕切壁30の固定部材130に回り止め嵌合された状態となる。
【0078】
また、支持部材120と固定部材130とを回り止め嵌合したのちに、弁体6(作動部材7)の位置を再度調整する場合には、支持部材120を固定部材130から取り外すことで、作動部材7の位置の調整を行うことができる状態(図12の(a)に示す状態)になる。
この際、支持部材120から延びる可撓性の腕部126の爪部126aとフランジ131aとの係合を解除して、支持部材120を軸方向にスライドさせるだけで、支持部材120を固定部材130から簡単に取り外すことができる。
【0079】
ここで、実施の形態では、スプライン132の歯の数を40歯とし、ステッピングモータ8が48ステップでロータ部90を一回転(作動部材7の軸部材71を一回転)させる構成として、ピッチ角θと、ステッピングモータ8の1ステップでロータ部90が回転する角度θrとが、θr≦θ<2θrの関係を満たすように設定されている。
上記の関係を満たすようにすると、支持部材120を固定部材130に取り付ける場合に、互いのスプライン127、132の位置を合わせるために支持部材120と固定部材130とを相対回転させる角度を、小さく抑えることができるので、位置調整後の作動部材7の位置が大きくズレることを防止できる。
【0080】
ここで、実施の形態におけるロータ部90が発明におけるロータに相当する。
また、実施の形態における、支持部材120と、固定部材130と、作動部材7の雄ネジ71aと、ロータ部90の雌ネジ95とで、発明におけるネジ送り機構を構成し、さらにロータ部90と対をなすステータ部80を設けてステッピングモータ8を構成することで、発明におけるリニアアクチュエータが構成される。
さらに、実施の形態におけるゼネバ歯車110とロータ部90のゼネバピン93aとで、発明における規制手段が構成される。
【0081】
以上の通り、実施形態では、ステッピングモータ8のロータ部90の回転を、作動部材7の軸方向の進退移動に変換するネジ送り機構と、ロータ部90の回転角度を規制する規制手段と、を備え、ネジ送り機構が、仕切壁30の固定部材130に固定されて作動部材7を回転不能かつ軸方向に移動可能に支持する支持部材120と、作動部材7とロータ部90に設けられて互いに噛み合う雄ネジ71aおよび雌ネジ95と、から構成されるリニアアクチュエータにおいて、支持部材120を、固定部材130に着脱可能に構成した。
このように構成すると、支持部材120が固定部材130に取り付けられていない状態では、作動部材7をロータ部90に対して相対回転させることができる。
よって、この状態で、ロータ部90の回転を阻止しつつ作動部材7を回転させることで、作動部材7を軸方向に移動させて、作動部材7の雄ネジ71aと、ロータ部90の雌ネジ95との咬み合い部分の長さを変更できるので、作動部材7の軸方向における位置を、所望の位置に調整でき、作動部材7の軸方向の位置決めを正確に行うことができる。
また、支持部材120は、固定部材130に対して着脱可能であるので、リニアアクチュエータを組み立てたあとでも、支持部材120を適宜取り外して、作動部材7の軸方向における位置調整を簡単に行うことができる。
【0082】
作動部材7では、支持部材120に支持されるスプライン72aが軸方向に沿って設けられており、支持部材120は、スプライン72aの軸方向における一部を支持すると共に、作動部材7を支持した状態で軸方向にスライドさせて、固定部材130に対して着脱される構成とした。
このように構成すると、支持部材120を軸方向にスライドさせるだけで、固定部材130に取り付けることができるので、支持部材120の固定部材130への取り付けを、簡単に行うことができる。
とくに、支持部材120は、固定部材130側に伸びる腕部126の先端に設けられた爪部126aを、固定部材130のフランジ131aに係止させて、固定部材130に取り付けられるので、支持部材120の固定部材130への取り付けを、特別な工具などを用いることなく、簡単に行うことができる。
【0083】
また、支持部材120と固定部材130とは、互いに噛み合うスプライン127、132により相対回転が規制されている構成とした。
作動部材7は、支持部材120に回転不能に支持されているので、支持部材120が回転すると作動部材7もまた回転し、雄ネジ71aと雌ネジ95との咬み合い部分の長さが変化して、作動部材7の軸方向の位置が変化する。
作動部材7の位置を調整したのちに支持部材120を固定部材130に取り付ける場合、スプライン127、132同士の位置合わせのために、支持部材120を固定部材130に対して僅かに回転させる必要があり、この僅かな回転により作動部材7の位置が調整された位置から外れてしまう。
スプラインを採用すると、スプラインの1歯分の分解能が、固定部材130に支持部材120を取り付けるときの支持部材120の角度の分解能となり、スプラインの数を増やすことで分解能をより向上させて、作動部材7が調整後の位置から大きく外れることを防ぐことができる。
また、スプラインの1歯分の分解能が、作動部材7の軸方向の位置調整を行う際の最小の移動量を規定する分解能となる。よって、スプラインにより相対回転を規制することで、支持部材120の回転軸X周りの分解能と共に、作動部材7の軸方向の位置調整の分解能(精度)が向上する。
【0084】
さらに、図7に示すように、支持部材120および固定部材130では、軸方向に延びるスプライン127、132が、それぞれ回転軸X周りに放射状に設けられており、スプライン127、132の回転軸(回転中心)X周りで隣接する歯のピッチ角θと、ステッピングモータ8の1ステップでロータ部90が回転する角度θrとが、θr≦θ<2θrの関係を満たすように設定されている構成とした。
支持部材120を固定部材130に取り付ける場合、互いのスプライン127、132の位置を合わせるために、支持部材120と固定部材130とを相対回転させる必要が生ずることがあり、相対回転させる量が多くなると、作動部材7の軸方向の移動量が大きくなって、位置調整後の作動部材7の位置が大きくズレてしまう。
ここで、スプラインの歯を細かくする(スプライン127、132の数を増やす)と、相対回転させる角度を小さくすることができる一方で、支持部材120と固定部材130との嵌合部であるスプライン127、132が設けられた部分の強度が低下する。
ピッチ角θと角度θrとの関係を上記の範囲に設定すると、支持部材120と固定部材130とを相対回転させる角度を小さくしつつ、支持部材120と固定部材130と嵌合部における嵌合強度を確保できる。
よって、位置調整後の作動部材7の位置が大きくズレることを防止して、作動部材7と支持部材120の相対的な位置精度を向上させると共に、必要な嵌合強度を確保できる。
【0085】
また、ガス流入管3とガス排出管4とが接続されたバルブ室5と、バルブ室5内で、ガス流入管3の開口3aを開閉する弁体6と、を備え、リニアアクチュエータの作動部材7で、弁体6を開口3aの開閉方向に進退移動させるバルブ駆動装置であって、ロータ部90には、ゼネバ歯車110の度当たり112d、112eで回転が規制される回転角度が、ロータ部90が時計回り方向に回転する場合と、反時計回り方向に回転する場合とに一つずつ、合計2つ設定されており、作動部材7は、ロータ部90が2つの回転角度のうちの一方の回転角度に達したときに、弁体6を開口3aを閉じる位置に配置させるように設定されている構成とした。
このように構成すると、バルブ室5内に弁体6の位置を検出するためのセンサなどを設けずに、開口3aを閉状態にするときの弁体6の位置を正確に合わせることができる。
【0086】
また、弁体6は、スプリング76により、開口3aを閉じる方向に付勢されている構成としたので、弁体6が、ガスの流入口となる開口3aに付勢された状態で、開口3aを閉鎖している状態での付勢力(開口3aを閉じる力)を一定にすることができる。
とくに、ロータ部90が、図6の(b)に示す位置から時計回り方向に1回転した時点で、弁体6が、ガス流入管3の取付部材35の先端部35a(図1参照)に当接し、そこからロータ部90がさらに1回転して、図6の(c)に示す位置に達するまでの間は、弁体6と作動部材7とが、スプリング76(図3参照)を圧縮しながら、回転軸Xの軸方向で相対移動するように構成したので、弁体6はスプリング76の付勢力を受けつつ開口3aを閉鎖する位置に配置される。
よって、ガス流入管3内の流体(ガス)の圧力に抗しつつ、弁体6による開口3aの閉鎖を確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0087】
1 ガス流量調整バルブ装置
2 本体部
3 ガス流入管
4 ガス排出管
5 バルブ室
6 弁体
7 作動部材
8 ステッピングモータ
10 第1ケース部
20 第2ケース部
30 仕切壁
61 係合部材
65 当接部材
71 軸部材
71a 雄ネジ
72 嵌合部
72a スプライン
73 連結部
73a 突起
74 スプリング支持部
76 スプリング
80 ステータ部
90 ロータ部(ロータ)
91 本体部
92 軸部
93 小径部
93a ゼネバピン
93c ストッパ部
95 雌ネジ
100 永久磁石
110 ゼネバ歯車
111 軸部
112 大径部
112a 歯溝部
112b 歯部
112c 突出部
112d、112e 度当たり
115 ブラケット部材
116 回転軸
120 支持部材
121 本体部
122 底部
123 周壁部
124 円筒壁
125 スプライン
126 腕部
126a 爪部
127 スプライン
130 固定部材
131 円筒部
131a フランジ
131b フランジ
131d 突起
132 スプライン
135 円板部
136 壁部
139 周壁部
140 板バネ
141 脚部
X、X’ 回転軸(回転中心)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータのロータの回転を、作動部材の軸方向の進退移動に変換するネジ送り機構と、
前記ロータの回転角度を規制する規制手段と、を備え、
前記ネジ送り機構が、
固定側部材に固定されて、前記作動部材を回転不能かつ前記軸方向に移動可能に支持する支持部材と、
前記ロータと前記作動部材に設けられて互いに噛み合う雄ネジおよび雌ネジと、から構成されるリニアアクチュエータにおいて、
前記支持部材を、前記固定側部材に着脱可能に構成したことを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項2】
前記支持部材は、前記固定側部材に対し、前記軸方向から着脱可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項3】
前記支持部材と前記固定側部材とは、スプラインにより相対回転が規制されていることを特徴とする請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項4】
前記モータは、ステッピングモータであり、
前記スプラインは、回転軸周りに放射状に設けられており、回転軸周りで隣接する前記スプラインの歯のピッチ角θと、前記ステッピングモータの1ステップで前記ロータが回転する角度θrとが、θr≦θ<2θrの関係を満たすように設定されていることを特徴とする請求項3に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項5】
流体の流入管と排出管とが接続されたバルブ室と、
前記バルブ室内で、前記流入管の開口を開閉する弁体と、を備え、
請求項1から請求項4のうちの何れか一項に記載のリニアアクチュエータの作動部材で、前記弁体を前記開口の開閉方向に進退移動させるバルブ装置であって、
前記ロータには、前記規制手段により回転が規制される回転角度が2つ設定されており、
前記作動部材は、前記ロータが前記2つの回転角度のうちの一方の回転角度に達したときに、前記弁体を、前記開口を閉じる位置に配置させることを特徴とするバルブ装置。
【請求項6】
前記弁体は、付勢手段により前記開口を閉じる方向に付勢されていることを特徴とする請求項5に記載のバルブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−169438(P2011−169438A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35558(P2010−35558)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】