説明

リニア駆動式工作機械のバランサ装置

【課題】電源遮断時に主軸ヘッドの落下を防止するリニア駆動式工作機械のブレーキ装置として電源遮断時にガススプリングのシリンダ部材を制動するように構成したバランサ装置を提供する。
【解決手段】リニア駆動式工作機械のバランサ装置5は、主軸ヘッドの自重の一部をキャンセルするように主軸ヘッドに固定されたシリンダ部材を有するガススプリングを有し、このバランサ装置に、電源遮断時に主軸ヘッド2の落下を防止するブレーキ装置25を設け、ブレーキ装置は、コラム3に固定されてシリンダ部材21に外嵌されたケース部材と、このケース部材に支持され且つシリンダ部材に外嵌されたコレット部材と、ケース部材に装備され、電源遮断時にコレット部材を径縮小状態に圧縮してシリンダ部材を制動するブレーキ状態に切換えると共に電源非遮断時にコレット部材を径拡大状態に開放してブレーキ状態を解除する駆動手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニア駆動式工作機械のバランサ装置に関し、特に、電源遮断時にガススプリングからなるバランサ装置に設けたブレーキ装置により、主軸ヘッドを制動することで主軸ヘッドの落下を防止するように構成したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リニア駆動式工作機械において、主軸ヘッドをリニアモータの駆動により、コラムで案内しながら昇降駆動し、主軸ヘッドの主軸を電動モータで駆動して、ワークの加工を行っている。この種の工作機械では、重量が重い主軸ヘッドをリニアモータで昇降駆動しなければならないため、リニアモータへの負荷が大きくなり、主軸ヘッドの昇降の応答性が低下する。そこで、リニアモータへの負荷を軽減し応答性を向上させるため、主軸ヘッドにはこの主軸ヘッドの自重の一部をキャンセルするためのバランサ装置が設けられる場合がある。
【0003】
ところで、リニアモータは、磁力により主軸ヘッドを昇降駆動するので、終業時や停電や断線などにより工作機械への電力供給が遮断された場合に、この磁力が消磁されると主軸ヘッドが落下する虞がある。従って、電源遮断時に主軸ヘッドの落下を防止するためのブレーキ装置を主軸ヘッドに設ける必要がある。これらブレーキ装置としては、例えば、特許文献1〜3に記載されているような、種々のものが実用化されている。
【0004】
特許文献1に記載の放電加工装置の軸送り装置においては、可動子(主軸ヘッド)の移動軸にカウンタバランスウェイトを作用させるエアシリンダが設けられ、停電時には、このエアシリンダのピストンロッドを、圧縮コイルバネの付勢力によりレバー部材で挟持固定することでブレーキするブレーキ機構が設けられている。通常の稼働時には、加圧エアによりピストンロッドの固定が解除される。
【0005】
特許文献2に記載のロック付エアクッションシリンダ装置においては、このシリンダ装置は、ピストンロッドに遊嵌状に外嵌されたロックリングと、このロックリングを傾斜方向に付勢するスプリングとからロック機構を構成し、通常の稼働時には、このロックリングは加圧エアによりピストンロッドに対して直交方向の姿勢になって、ロックを解除している。停電時には、加圧エアの供給が停止することで、スプリングの付勢力によりロックリングが傾斜状態になってピストンロッドを固定する。特許文献3に記載の工作機械において、ピストンロッドをロックするロック機構に、特許文献2のロック機構と同様のロック機構が適用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許3315945号公報
【特許文献2】特開2003−336605号公報
【特許文献3】特開2007−98482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1〜3のブレーキ機構やロック機構では、ピストンロッドの表面をブレーキ面としてレバー部材やロックリングで挟持することで、ピストンロッドを制動する。工作機械の電源は毎日の夕刻の終業時に遮断されるため、工作機械の電源の遮断が頻繁に繰り返されてブレーキ状態にされることで、ピストンロッドの表面を徐々に傷付けてしまう虞がある。
【0008】
ところで、ガススプリングからなるバランサ装置を採用した場合、ガススプリングに充填された圧縮窒素ガスは例えば7〜10MPaと高圧であるため、ピストンロッドとシリンダ部材との間の微小隙間からも圧縮窒素ガスのリークが生じやすい。そのため、ガススプリングのピストンロッドの表面は鏡面状に研磨加工されている。しかし、前記のように、ピストンロッドの外周面を挟持するようなブレーキ装置を設けた場合には、ピストンロッドの外周面に微小凹凸が発生してピストンロッドとシリンダ部材との間のガス密性が低下し、ガススプリングの圧縮窒素ガスが外部にリークしやすくなり、バランサ装置の耐久性が著しく低下してしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、電源遮断時にガススプリングのシリンダ部材を制動することで主軸ヘッドの落下を防止するブレーキ装置を設けたリニア駆動式工作機械のバランサ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1のリニア駆動式工作機械のバランサ装置は、リニアモータで駆動される主軸ヘッドとこの主軸ヘッドを昇降自在に案内するコラムとを有するリニア駆動式工作機械に、主軸ヘッドの自重の一部をキャンセルするように主軸ヘッドに固定された鉛直姿勢のシリンダ部材を有するガススプリングを設けたリニア駆動式工作機械のバランサ装置において、電源遮断時に主軸ヘッドの落下を防止するブレーキ装置を設け、前記ブレーキ装置は、前記コラムに固定されてシリンダ部材に外嵌されたケース部材と、このケース部材に支持され且つ前記シリンダ部材に外嵌されたコレット部材と、前記ケース部材に装備され、電源遮断時にコレット部材を径縮小状態に圧縮してシリンダ部材を制動するブレーキ状態に切換えると共に電源非遮断時にコレット部材を径拡大状態に開放して前記ブレーキ状態を解除する駆動手段とを備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項2のリニア駆動式工作機械のバランサ装置は、請求項1の発明において、前記コレット部材は、上端側程小径化するテーパ外周面と、上下方向へ延びる少なくとも1つの分断スリットとを有し、径縮小状態に弾性変形可能に構成されたことを特徴としている。
【0012】
請求項3のリニア駆動式工作機械のバランサ装置は、請求項2の発明において、前記駆動手段は、前記ケース部材内においてコレット部材に外嵌され且つ上端側程小径化して前記テーパ外周面との間に所定の隙間を形成するテーパ内周面を有する筒状部材と、前記テーパ外周面とテーパ内周面の間のテーパ筒状隙間に装着された複数のボールと、前記筒状部材をコレット部材に対して相対的に下方へ弾性付勢する複数の圧縮バネと、前記筒状部材をコレット部材に対して相対的に上方へ駆動可能な流体圧シリンダとを有することを特徴としている。
【0013】
請求項4のリニア駆動式工作機械のバランサ装置は、請求項3の発明において、前記流体圧シリンダは、前記筒状部材からなるピストン部材と、このピストン部材に上方向きの流体圧を作用させる環状流体作動室とを有することを特徴としている。
【0014】
請求項5のリニア駆動式工作機械のバランサ装置は、請求項4の発明において、前記流体圧シリンダの環状流体作動室に加圧エア供給源から加圧エアを導入するエア通路と、エア通路に介装され電源遮断時に環状流体作動室内の流体圧を外部へ放出可能な電磁方向切換弁とを設けたことを特徴としている。
【0015】
請求項6のリニア駆動式工作機械のバランサ装置は、請求項2の発明において、前記筒状部材の下端近傍部の内周部に、前記複数のボールを下方から受け止める環状ボール受部材を設けたことを特徴としている。
【0016】
請求項7のリニア駆動式工作機械のバランサ装置は、請求項3の発明において、前記複数の圧縮バネの代わりに、制動用流体圧シリンダを設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、リニアモータで駆動される主軸ヘッドとこの主軸ヘッドを昇降自在に案内するコラムとを有するリニア駆動式工作機械に、主軸ヘッドの自重の一部をキャンセルするように主軸ヘッドに固定された鉛直姿勢のシリンダ部材を有するガススプリングを設けたリニア駆動式工作機械のバランサ装置において、電源遮断時に主軸ヘッドの落下を防止するブレーキ装置を設けたので、工作機械への電源遮断時にブレーキ装置により主軸ヘッドの落下を防止することができる。
【0018】
このブレーキ装置は、前記コラムに固定されてシリンダ部材に外嵌されたケース部材と、このケース部材に支持され且つ前記シリンダ部材に外嵌されたコレット部材と、前記ケース部材に装備され、電源遮断時にコレット部材を径縮小状態に圧縮してシリンダ部材を制動するブレーキ状態に切換えると共に電源非遮断時にコレット部材を径拡大状態に開放して前記ブレーキ状態を解除する駆動手段とを備えたので、電源遮断時に駆動手段によりコレット部材を径縮小状態に圧縮して、シリンダ部材を制動することで、主軸ヘッドの落下を防止することができる。
【0019】
電源非遮断時に、駆動手段によりコレット部材を径拡大状態に開放することで、主軸ヘッドのブレーキ状態を解除することができる。シリンダ部材にケース部材とコレット部材を外嵌し、制動時にコレット部材でシリンダ部材の外周面を挟持するように構成したので、ガススプリングのピストンロッドの外周面を傷付けることがない。従って、ガススプリングのシリンダ部材とピストンロッドと間のガス密性を維持し、バランサ装置の耐久性を確保することができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、前記コレット部材は、上端側程小径化するテーパ外周面と、上下方向へ延びる少なくとも1つの分断スリットとを有し、径縮小状態に弾性変形可能に構成されたので、駆動手段によりコレット部材を径縮小状態に圧縮することができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、前記駆動手段は、前記ケース部材内においてコレット部材に外嵌され且つ上端側程小径化して前記テーパ外周面との間に所定の隙間を形成するテーパ内周面を有する筒状部材と、前記テーパ外周面とテーパ内周面の間のテーパ筒状隙間に装着された複数のボールと、前記筒状部材をコレット部材に対して相対的に下方へ弾性付勢する複数の圧縮バネと、前記筒状部材をコレット部材に対して相対的に上方へ駆動可能な流体圧シリンダとを有するので、複数の圧縮バネにより筒状部材を下方へ弾性付勢し、筒状部材のテーパ内周面が複数のボールを介してコレット部材のテーパ外周面に係合し、コレット部材を径縮小状態に圧縮することで制動状態を維持できる。従って、複数の圧縮バネの弾性力でシリンダ部材を制動するので、停電時や断線時にも確実に主軸ヘッドを制動してブレーキ状態に維持することができる。
【0022】
コレット部材のテーパ外周面と筒状部材のテーパ内周面との間に複数のボールを介在させているため、低摩擦状態となり、筒状部材からの荷重をコレット部材に効率よく伝達することができる。電源非遮断時には、流体圧シリンダに流体圧が供給可能であるため、流体圧シリンダにより筒状部材を上方へ駆動し、テーパ外周面とテーパ内周面との係合を解除して、コレット部材を径拡大状態に開放することで、シリンダ部材を非制動状態に維持することができる。
【0023】
請求項4の発明によれば、前記流体圧シリンダは、前記筒状部材からなるピストン部材と、このピストン部材に上方向きの流体圧を作用させる環状流体作動室とを有するので、電源非遮断時に環状流体作動室に流体圧を供給し、流体圧でピストン部材を上方へ駆動し筒状部材からなるピストン部材を上方に駆動することができる。
【0024】
請求項5の発明によれば、前記流体圧シリンダの環状流体作動室に加圧エア供給源から加圧エアを導入するエア通路と、エア通路に介装され電源遮断時に環状流体作動室内の流体圧を外部へ放出可能な電磁方向切換弁とを設けたので、電源遮断時に電磁方向切換弁を環状流体作動室内の加圧エアを外部へ放出する位置に切り換えて、環状流体作動室を大気開放状態にし、シリンダ部材を確実に制動状態にすることができる。
【0025】
請求項6の発明によれば、前記筒状部材の下端近傍部の内周部に、前記複数のボールを下方から受け止める環状ボール受部材を設けたので、環状ボール受部材により複数のボールが環状隙間から離脱するのを防止することができる。
【0026】
請求項7の発明によれば、前記複数の圧縮バネの代わりに、制動用流体圧シリンダを設けたので、電源遮断時に制動用流体圧シリンダの付勢力によりコレット部材を径縮小状態に圧縮して、シリンダ部材を制動するブレーキ状態にすることで、主軸ヘッドの落下を防止することができる。制動用流体圧シリンダにより、強力な制動力を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例1に係るバランサ装置(ガススプリングが最大伸長状態)を設けたリニア駆動式工作機械の側面図である。
【図2】リニア駆動式工作機械(ガススプリングが最大退入状態)の側面図である。
【図3】リニア駆動式工作機械の平面図である。
【図4】ガススプリングとブレーキ装置の側面図である。
【図5】ブレーキ装置の平面図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】図5のVII−VII線断面図である。
【図8】実施例2に係るブレーキ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0029】
先ず、本発明のバランサ装置5が設けられた立形のリニア駆動式工作機械1の全体構成について説明する。
図1〜図3に示すように、リニア駆動式工作機械1(以下、工作機械1という)は、主軸ヘッド2と、この主軸ヘッド2を昇降自在に案内するコラム3と、主軸ヘッド2を駆動するリニアモータ4などを有している。この工作機械1には、主軸ヘッド2の自重の一部をキャンセルしてリニアモータ4の負荷を軽減するバランサ装置5が主軸ヘッド2に設けられている。尚、図1の上下を上下とし、左右を前後として説明する。
【0030】
主軸ヘッド2は、フレーム部材6と、フレーム部材6の前部に鉛直軸心回りに回転自在に支持され工具を下端部に着脱可能に装着する為の主軸8と、主軸8を回転駆動する電動モータ9などを有する。電動モータ9は、フレーム部材6の前部の上端部に取り付けられて主軸8に連結されている。電動モータ9は、制御ユニット11に電気的に接続され、この制御ユニット11により駆動制御されて、主軸8と共に工具が回転駆動される。
【0031】
コラム3の前端部には鉛直に延びる左右1対のガイドレール12が設けられ、主軸ヘッド2のフレーム部材6の後端部に左右2対のスライド13が固着され、1対のガイドレール12に2対のスライド13が係合されて、主軸ヘッド2が昇降自在に案内されている。
【0032】
図3に示すように、リニアモータ4は、左右1対のコイルヨーク15と左右1対の磁石板16などから構成されている。1対のコイルヨーク15は、コラム3の前端部に主軸ヘッド2を左右両側から挟んで対向するように設けられ、各コイルヨーク15は鉛直方向に所定間隔おきに配置された複数のコイルを有する。一方、1対の磁石板16は、主軸ヘッド2の左右の両側面に設けられ、上下方向に設定間隔を空けて配置された複数の永久磁石片を有する。1対のコイルヨーク15の複数のコイルに供給する電流を制御することで、永久磁石とコイルとの間に発生する磁力により主軸ヘッド2を昇降駆動する。
【0033】
次に、バランサ装置5について説明する。
図1〜図8に示すように、バランサ装置5は、ガススプリング20とブレーキ装置25などから構成されている。バランサ装置5は、このガススプリング20により主軸ヘッド2を上方へ付勢し、ガススプリング20に充填された圧縮窒素ガスの付勢力によりリニアモータ4の負荷を軽減するように構成されている。
【0034】
ガススプリング20は、主軸ヘッド2の自重の一部をキャンセルするように主軸ヘッド2の内部に鉛直姿勢で配設されている。ガススプリング20は、シリンダ部材21と、ピストンロッド22と、ガス作動室(図示略)と、ガス作動室に充填された圧縮窒素ガスなどを有し、シリンダ部材21は、そのシリンダ部材21の下端部に固定されたブラケット24を介して主軸ヘッド2に固定されている。このシリンダ部材21からピストンロッド22が下方へ延び、ピストンロッド22の下端がコラム3の下部に当接している。シリンダ部材21内のガス作動室に圧縮窒素ガス(例えば、ガス圧7〜10MPa)が充填され、ピストンロッド24を下方へ強力に付勢している。
【0035】
次に、ブレーキ装置25について説明する。
図4〜図8に示すように、ブレーキ装置25は、ガススプリング20のシリンダ部材21に外嵌されている。ブレーキ装置25は、ケース部材26と、ケース部材26に支持され、シリンダ部材21に外嵌されたコレット部材27と、ケース部材26に装備された駆動手段29などを備えている。このブレーキ装置25は、電源遮断時にガススプリング20のシリンダ部材21を制動するブレーキ状態にすることで、主軸ヘッド2の落下を防止するように構成されている。
【0036】
次に、ケース部材26について説明する。
図6,図7に示すように、ケース部材26は、金属製の筒状本体部31と、金属製の環状板部32とから構成されている。ケース部材26は、シリンダ部材21に僅かの隙間をもって遊嵌状に外嵌されている。ケース部材26は、コラム3の前部に突出状に設けられた連結部28に8本のボルト28aにより固定され、この連結部28を介してケース部材26はコラム3に支持されている。
【0037】
筒状本体部31の内周部には、上方から下方に向けて、環状板部32が装着される環状板部装着部33、大径孔部34、大径孔部34よりも小径の小径孔部35、シリンダ部材21が僅かの隙間をもって挿通されるシリンダ挿通孔36とが順々に形成されている。筒状本体部31の上端近傍部の外周部には、フランジ部37が形成され、このフランジ部37には8つのボルト孔31aが周方向等間隔に形成されている。
【0038】
環状板部32は、シリンダ部材21を挿通させる為に中央部に形成されたシリンダ挿通孔38と、外周部に周方向等間隔に形成された8つのボルト孔32aとを有している。環状板部32は、これら8つのボルト孔32aと筒状本体部31の8つのボルト孔31aとが一致するように環状板部装着部33に装着され、8本のボルト28aで連結部28に固定されている。環状板部32には、シリンダ部材21の軸心を挟んで対向するように2本のボルト(図示略)が挿通される2つのボルト挿通孔32bが形成されている。2つのボルト挿通孔32bは、後述する駆動手段29を固定するために使用される。
筒状本体部31の挿通孔36と環状板部32の挿通孔38には、シリンダ部材21に付着した塵や埃などが外部からケース部材26の内部に侵入するのを防止するための1対のダストシール39a,39bが設けられている。
【0039】
次に、コレット部材27について説明する。
図6,図7に示すように、コレット部材27は、環状に形成された金属製のものであって、上端側程小径化するテーパ外周面41と、上下方向へ延びる1つの分断スリット42と、シリンダ部材21が挿通されるシリンダ挿通孔43とを有し、シリンダ部材21の外周面に密着する径縮小状態に弾性変形可能に構成されている。コレット部材27は、ケース部材26に支持され且つシリンダ部材21に僅かな隙間をもって外嵌されている。
【0040】
コレット部材27の下端が、ケース部材26の環状底面40に当接され、コレット部材27の上端と環状板部32の下端面との間には僅かな隙間が形成されている。コレット部材27のテーパ外周面41の上端部には、後述する複数のボール46が上方に離脱するのを規制する環状規制部44が形成されている。尚、分断スリット42は必ずしも1つである必要はなく、複数の分断スリット42を形成してもよい。
【0041】
次に、駆動手段29について説明する。
図6,図7に示すように、駆動手段29は、金属製の筒状部材45と、複数のボール46と、複数の圧縮バネ47と、流体圧シリンダ48などを備えている。駆動手段29は、ケース部材26に装備され、電源遮断時にコレット部材27を径縮小状態に圧縮してシリンダ部材21を制動するブレーキ状態に切換えると共に電源非遮断時にコレット部材27を径拡大状態に開放して前記ブレーキ状態を解除するように構成されている。
【0042】
筒状部材45は、本体筒部51と小径筒部52とから一体的に構成され、本体筒部51が大径孔部34に摺動自在に挿入され、小径筒部52が小径孔部35に摺動自在に挿入されている。この筒状部材45は、ケース部材26内においてコレット部材27に外嵌され且つ上端側程小径化してテーパ外周面41との間に後述のボール46の直径と等しい隙間を形成するテーパ内周面53を有する。本体筒部51の上端部には、シリンダ部材21の軸心を挟んで対向するように2つのボルト孔51aが形成されている。
【0043】
複数のボール46(鋼球)は、テーパ外周面41とテーパ内周面53の間のテーパ筒状隙間54に密集状に充填した状態に装着されている。筒状部材45の下端近傍部の内周部に、複数のボール46を下方から受け止める環状ボール受部材55が設けられている。尚、1つの分断スリット42に、ボール46がスリット42に係合するのを防止する係合防止部材を設けても良い。
【0044】
複数の圧縮バネ47は、筒状部材45と環状板部32に亙って周方向等間隔に形成された複数のバネ装着部57に夫々圧縮状に装着されている。複数の圧縮バネ47は、筒状部材45をコレット部材27に対して相対的に下方へ弾性付勢する。流体圧シリンダ48に加圧エアが供給されていない状態では、複数の圧縮バネ47により筒状部材45を下方へ弾性付勢し、テーパ内周面53が複数のボール46を介してテーパ外周面41に係合し、コレット部材27を径縮小状態に弾性変形させる。流体圧シリンダ48に加圧エアが供給されている状態では、図6、図7に示すように、筒状部材45を上方へ駆動し、テーパ外周面41とテーパ内周面53との係合を解除して、コレット部材27を径拡大状態に開放する。尚、本発明では、複数の圧縮バネ47と複数のバネ装着部57は6組又は8組設けられている。
【0045】
次に、流体圧シリンダ48について説明する。
図6、図7に示すように、流体圧シリンダ48は、筒状部材45からなるピストン部材と、ケース部材26の大径孔部34からなるシリンダ孔と、このピストン部材45に上方向きの加圧エア(流体圧に相当する)を作用させる環状流体作動室58とを有している。流体圧シリンダ48は、ブレーキ状態を解除する場合に、ピストン部材45(筒状部材45)をコレット部材27に対して相対的に上方へ駆動可能に構成されている。
【0046】
環状流体作動室58は、ケース部材26とピストン部材45とで区画された環状空間から構成されている。環状流体作動室58は、ケース部材26に形成されたエア供給路59を介して、加圧エア供給源60から加圧エアが供給される。この環状流体作動室58に加圧エアが供給されている場合は、複数の圧縮バネ47の付勢力に抗してピストン部材45を上方へ駆動し、ブレーキ解除状態にする。ピストン部材45とシリンダ孔34には、環状流体作動室58内を気密に保持する為の1対の環状シール部材59a,59bが装着されている。
【0047】
図6に示すように、このバランサ装置5には、流体圧シリンダ48の環状流体作動室58に加圧エア供給源60から加圧エアを導入するエア通路61と、エア通路61に介装され電源遮断時に環状流体作動室58内の加圧エアを外部へ放出可能な電磁方向切換弁62とが設けられている。エア通路61の上流側は加圧エア供給源60に接続され、下流側はブレーキ装置25のエア供給路59に接続されている。電磁方向切換弁62は、制御ユニット11によりソレノイド63をオン・オフすることで切り換えられる。
【0048】
図6に示す状態は、電磁方向切換弁62のソレノイド63をオンにして供給位置に切り換えた状態を示す。加圧エア供給源60からエア通路61とエア供給路59とを介して環状流体作動室58に加圧エアが供給され、非制動状態になっている。電源遮断時には電磁方向切換弁62のソレノイド63をオフすることにより排出位置に切換えて、環状流体作動室58を大気開放状態にし、制動状態にする。尚、電磁方向切換弁62には、排気時の音を減衰させるためのサイレンサ64も設けられている。
【0049】
このブレーキ装置25をガススプリング20へ組み付ける時やメンテナンスをする時には、2本のボルトを環状板部32のボルト挿通孔32bに挿通し、筒状部材45のボルト孔51aに夫々螺着する。これにより、複数の圧縮バネ47の付勢力に抗して、筒状部材45をケース部材26の環状板部32に引き寄せて固定し、テーパ外周面41をテーパ内周面53との係合を解除し、コレット部材27を径拡大状態に維持することができる。
【0050】
次に、本発明の工作機械1のバランサ装置5の作用及び効果について説明する。
先ず、工作機械1の電源が投入される前は、制御ユニット11は停止しているので、電磁方向切換弁62が排出位置を維持し、ブレーキ装置5の環状流体作動室58が大気開放状態となり、複数の圧縮バネ47の付勢力により、筒状部材45が下方へ弾性付勢され、テーパ外周面41が複数のボール46を介してテーパ内周面53と係合してコレット部材27が径縮小状態に圧縮されている。このコレット部材27により、ガススプリング20のシリンダ部材21を制動し、主軸ヘッド2がコラム3に対して固定されている。
【0051】
工作機械1の電源が投入されると、制御ユニット11により電磁方向切換弁62を図6に示す供給位置に切り換えて、加圧エア供給源60から環状流体作動室58に加圧エアを供給する。加圧エアが、複数の圧縮バネ47の付勢力に抗して筒状部材45(ピストン部材)を上方へ駆動し、テーパ外周面41をテーパ内周面53との係合を解除して、コレット部材27を径拡大状態に開放することで、ブレーキ装置25によるシリンダ部材21を制動するブレーキ状態を解除する。その後、この工作機械1は、バランサ装置5のガススプリング20の上方への弾性付勢により主軸ヘッド2の自重の一部をキャンセルしながら種々の加工に供される。
【0052】
ここで、終業時における工作機械の電源の遮断や、停電や断線などにより工作機械1への電力供給が遮断された場合、制御ユニット11からソレノイド63への通電が停止すると、電磁方向切換弁62が排出位置に切り換えられ、環状流体作動室58の加圧エアが外部に排出されて大気開放状態になる。この状態になると、複数の圧縮バネ47により筒状部材45が下方へ弾性付勢され、テーパ外周面41が複数のボール46を介してテーパ内周面53に係合して、コレット部材27を径縮小状態に圧縮してシリンダ部材21を制動する制動状態になることで、主軸ヘッド2の落下を防止する。
【0053】
このように、リニアモータ4で駆動される主軸ヘッド2とこの主軸ヘッド2を昇降自在に案内するコラム3と有する工作機械1に、主軸ヘッド2の自重の一部をキャンセルするように主軸ヘッド2に固定された鉛直姿勢のシリンダ部材21を有するガススプリング20を設けた工作機械1のバランサ装置5において、電源遮断時に主軸ヘッド2の落下を防止するブレーキ装置25を設けたので、工作機械1への電源遮断時にブレーキ装置25によりバランサ装置5を介して主軸ヘッド2の落下を防止することができる。
【0054】
このブレーキ装置25は、コラム3に固定されてシリンダ部材21に外嵌されたケース部材26と、このケース部材26に支持され且つシリンダ部材21に外嵌されたコレット部材27と、ケース部材26に装備され、電源遮断時にコレット部材27を径縮小状態に圧縮してシリンダ部材21を制動するブレーキ状態に切換えると共に電源非遮断時にコレット部材27を径拡大状態に開放してブレーキ状態を解除する駆動手段29とを備えたので、電源遮断時に駆動手段29によりコレット部材27を径縮小状態に圧縮して、シリンダ部材21を制動するブレーキ状態にすることで、主軸ヘッド2の落下を防止することができる。
【0055】
電源非遮断時に、駆動手段29によりコレット部材27を径拡大状態に開放して、主軸ヘッド2のブレーキ状態を解除することができる。シリンダ部材21にケース部材26とコレット部材27を外嵌し、制動時にコレット部材27でシリンダ部材21の外周面を挟持するように構成したので、シリンダ部材21の外周面に傷がつくことはあっても、ガススプリング20のピストンロッド24の外周面を傷つけることがない。従って、スプリング20のガス密性を維持し、バランサ装置5の耐久性を確保することができる。
【0056】
コレット部材27は、上端側程小径化するテーパ外周面41と、上下方向へ延びる少なくとも1つの分断スリット42とを有し、径縮小状態に弾性変形可能に構成されたので、駆動手段29によりコレット部材27を径縮小状態に圧縮することができる。
【0057】
駆動手段29は、ケース部材26内においてコレット部材27に外嵌され且つ上端側程小径化してテーパ外周面41との間に所定の隙間を形成するテーパ内周面53を有する筒状部材45と、テーパ外周面41とテーパ内周面53の間のテーパ筒状隙間54に装着された複数のボール46と、筒状部材45をコレット部材27に対して相対的に下方へ弾性付勢する複数の圧縮バネ47と、筒状部材45をコレット部材27に対して相対的に上方へ駆動可能な流体圧シリンダ48とを有するので、次の効果を奏する。
【0058】
複数の圧縮バネ47により筒状部材45を下方へ弾性付勢し、筒状部材45のテーパ内周面53が複数のボール46を介してコレット部材27のテーパ外周面41に係合し、コレット部材27を径縮小状態に圧縮することで制動状態を維持できる。従って、複数の圧縮バネ47の弾性力でシリンダ部材21を制動するので、停電時や断線時にも確実に主軸ヘッド2を制動してブレーキ状態に維持することができる。コレット部材のテーパ外周面と筒状部材のテーパ内周面との間に複数のボールを介在させているため、低摩擦状態となり、筒状部材からの荷重をコレット部材に効率よく伝達することができる。電源非遮断時には、流体圧シリンダ48に加圧エアが供給可能なので、流体圧シリンダ48により筒状部材45を上方へ駆動し、テーパ外周面41とテーパ内周面53との係合を解除して、コレット部材27を径拡大状態に開放することで、非制動状態に維持することができる。
【0059】
流体圧シリンダ48は、筒状部材45からなるピストン部材45と、このピストン部材45に上方向きの流体圧を作用させる環状流体作動室58とを有するので、環状流体作動室58に流体圧を供給し、加圧エアでピストン部材45を上方へ駆動し、筒状部材45からなるピストン部材を上方に駆動することができる。
【0060】
流体圧シリンダ48の環状流体作動室58に加圧エア供給源60から加圧エアを導入するエア通路61と、エア通路61に介装され電源遮断時に環状流体作動室58内の加圧エアを外部へ放出可能な電磁方向切換弁62とを設けたので、電源遮断時に電磁方向切換弁62により環状流体作動室58内の加圧エアを外部へ放出可能に切り換えるので、環状流体作動室58を大気開放状態にし、確実にシリンダ部材21を制動状態にすることができる。
【0061】
筒状部材45の下端近傍部の内周部に、複数のボール46を下方から受け止める環状ボール受部材55を設けたので、環状ボール受部材55により複数のボール46が環状隙間から離脱するのを防止することができる。
【実施例2】
【0062】
次に、前記実施例1のブレーキ装置25を部分的に変更した実施例2に係るブレーキ装置25Aについて図8に基づいて説明する。但し、実施例1と同じ構成要素には同じ参照符号を付して説明を省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。このブレーキ装置25Aの駆動手段29Aにおいては、前記複数の圧縮バネ47の代わりに、複数の油圧シリンダ70(制動用流体圧シリンダに相当する)が設けられている。
【0063】
図8に示すように、複数の油圧シリンダ70は、筒状部材45と環状板部32に亙って形成された複数のシリンダ装着部71に夫々装着されている。油圧シリンダ70は、シリンダ部材72と、ピストン部材73と、油圧作動室74などを備えている。ピストン部材73は、シリンダ部材72のシリンダ孔に油密摺動自在に装着され、ピストン部材73の進出側の先端面は、シリンダ装着部71の底面(筒状部材45に形成された底面)に当接されている。複数の油圧作動室74は、油圧給排口75を介して油圧アキュムレータ77に接続されて、油圧アキュムレータ77から油圧が供給されている。この複数のピストン部材73による筒状部材45に対する作用力(押圧力)は、環状流体作動室58に供給される加圧エアによる作用力よりも小さい。
【0064】
電源非遮断時には、加圧エアにより筒状部材45を上方へ駆動し、バランサ装置5を非制動状態にする。このとき、複数の油圧作動室74内の油圧の一部は油圧アキュムレータ77に蓄圧される。電源遮断時には、実施例1と同様に加圧エアの供給が停止し、環状流体作動室58内が大気開放状態になるので、油圧アキュムレータ77の油圧が油圧作動室74に供給され、筒状部材45を下方へ駆動して制動状態にする。
【0065】
複数の圧縮バネ47の代わりに、油圧シリンダ70(制動用流体圧シリンダ)を設けたので、電源遮断時に油圧シリンダ70の付勢力によりコレット部材27を径縮小状態に圧縮して、シリンダ部材21を制動するブレーキ状態にすることで、主軸ヘッド2の落下を防止することができる。油圧シリンダ70により、強力な制動力を発生させることができる。その他の構成、作用及び効果は、前記実施例1と同様であるので説明は省略する。
【0066】
次に、前記実施例1,2を部分的に変更した変更例について説明する。
[1]前記実施例1,2の電磁方向切換弁62の構成は一例に過ぎず、電源非遮断時に環状流体作動室58に加圧エア供給源60から加圧エアが供給し、電源遮断時に環状流体作動室58の加圧エアを排出する構成のものであればよく、種々の構成の電磁方向切換弁を適用可能である。
【0067】
[2]前記実施例1,2の加圧エア供給源60とエア通路61に代えて油圧供給源と油路を設けても良い。ブレーキ状態を解除する場合、環状流体作動室内に油圧を供給して、ピストン部材45を上方に駆動する。ブレーキ状態のときの環状流体作動室内の油圧は、油路を介して油圧タンクに排出される。
【0068】
[3]前記実施例1,2の主軸ヘッド2に対するリニアモータ4とバランサ装置5の配置は、一例を示すものに過ぎない。例えば、バランサ装置5を主軸ヘッド2の一方又は両方の側面に設け、主軸ヘッド2後端面に磁石板16を装着し、コラム3前端面にコイルヨーク15を設けた構成のリニアモータ4であってもよい。
[4]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能で、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明のリニア駆動式工作機械のバランサ装置は、種々のリニア駆動式工作機械に設けることができる。また、リニア駆動式工作機械以外の工作機械にも利用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 リニア駆動式工作機械
2 主軸ヘッド
3 コラム
4 リニアモータ
5 バランサ装置
20 ガススプリング
21 シリンダ部材
25,25A ブレーキ装置
26 ケース部材
27 コレット部材
29,29A 駆動手段
32 環状板部
41 テーパ外周面
42 分断スリット
45 筒状部材
45 ピストン部材
46 ボール
47 圧縮バネ
48 流体圧シリンダ
53 テーパ内周面
54 テーパ筒状隙間
55 環状ボール受部材
58 環状流体作動室
60 加圧エア供給源
61 エア通路
62 電磁方向切換弁
70 油圧シリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リニアモータで駆動される主軸ヘッドとこの主軸ヘッドを昇降自在に案内するコラムとを有するリニア駆動式工作機械に、主軸ヘッドの自重の一部をキャンセルするように主軸ヘッドに固定された鉛直姿勢のシリンダ部材を有するガススプリングを設けたリニア駆動式工作機械のバランサ装置において、
電源遮断時に主軸ヘッドの落下を防止するブレーキ装置を設け、
前記ブレーキ装置は、
前記コラムに固定されてシリンダ部材に外嵌されたケース部材と、
このケース部材に支持され且つ前記シリンダ部材に外嵌されたコレット部材と、
前記ケース部材に装備され、電源遮断時にコレット部材を径縮小状態に圧縮してシリンダ部材を制動するブレーキ状態に切換えると共に電源非遮断時にコレット部材を径拡大状態に開放して前記ブレーキ状態を解除する駆動手段とを備えたことを特徴とするリニア駆動式工作機械のバランサ装置。
【請求項2】
前記コレット部材は、上端側程小径化するテーパ外周面と、上下方向へ延びる少なくとも1つの分断スリットとを有し、径縮小状態に弾性変形可能に構成されたことを特徴とする請求項1に記載のリニア駆動式工作機械のバランサ装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、
前記ケース部材内においてコレット部材に外嵌され且つ上端側程小径化して前記テーパ外周面との間に所定の隙間を形成するテーパ内周面を有する筒状部材と、
前記テーパ外周面とテーパ内周面の間のテーパ筒状隙間に装着された複数のボールと、
前記筒状部材をコレット部材に対して相対的に下方へ弾性付勢する複数の圧縮バネと、
前記筒状部材をコレット部材に対して相対的に上方へ駆動可能な流体圧シリンダとを有することを特徴とする請求項2に記載のリニア駆動式工作機械のバランサ装置。
【請求項4】
前記流体圧シリンダは、前記筒状部材からなるピストン部材と、このピストン部材に上方向きの流体圧を作用させる環状流体作動室とを有することを特徴とする請求項3に記載のリニア駆動式工作機械のバランサ装置。
【請求項5】
前記流体圧シリンダの環状流体作動室に加圧エア供給源から加圧エアを導入するエア通路と、エア通路に介装され電源遮断時に環状流体作動室内の流体圧を外部へ放出可能な電磁方向切換弁とを設けたことを特徴とする請求項4に記載のリニア駆動式工作機械のバランサ装置。
【請求項6】
前記筒状部材の下端近傍部の内周部に、前記複数のボールを下方から受け止める環状ボール受部材を設けたことを特徴とする請求項2に記載のリニア駆動式工作機械のバランサ装置。
【請求項7】
前記複数の圧縮バネの代わりに、制動用流体圧シリンダを設けたことを特徴とする請求項3に記載のリニア駆動式工作機械のバランサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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