リバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法及びテストアンビル保持装置。
【課題】 リバウンドハンマーRによるコンクリート3の測定反発度を高精度な硬度数値に補正できる測定値補正方法及びテストアンビル保持装置を提供する。
【解決手段】 リバウンドハンマー本体4内に重錘1を摺動自在に設け、この重錘1を前記リバウンドハンマー本体4に突没動自在に設けたインパクトプランジャー2を介してコンクリート3の測定面3aに直交方向から打撃し、この打撃時の前記重錘1の跳ね返り量によって前記コンクリート3の反発度を測定し得るように構成した測定値補正方法であって、基準値の異なる複数のテストアンビル5の硬度測定を夫々行い、各テストアンビル5の測定反発度xと各テストアンビル5の基準値yとの相関関係を示す関係式(y=f(x))を求め、この関係式のxに前記コンクリート3の測定反発度を代入することで算出されるyの数値を、前記コンクリート3の測定反発度の補正硬度数値yとして、補正する。
【解決手段】 リバウンドハンマー本体4内に重錘1を摺動自在に設け、この重錘1を前記リバウンドハンマー本体4に突没動自在に設けたインパクトプランジャー2を介してコンクリート3の測定面3aに直交方向から打撃し、この打撃時の前記重錘1の跳ね返り量によって前記コンクリート3の反発度を測定し得るように構成した測定値補正方法であって、基準値の異なる複数のテストアンビル5の硬度測定を夫々行い、各テストアンビル5の測定反発度xと各テストアンビル5の基準値yとの相関関係を示す関係式(y=f(x))を求め、この関係式のxに前記コンクリート3の測定反発度を代入することで算出されるyの数値を、前記コンクリート3の測定反発度の補正硬度数値yとして、補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法、及びテストアンビル保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリートの圧縮強度を非破壊試験によって推定する方法は、1948年にスイスのE.Schmidtが考案したシュミットハンマー法が最も一般的である。このシュミットハンマー法は、コンクリートの表面(測定面)を打撃した際の反発度から圧縮強度を推定する方法であり、具体的には、例えば、図19に図示したように、リバウンドハンマー本体4内に重錘1を摺動自在に設け、この重錘1を、前記リバウンドハンマー本体4に突没動自在に設けたインパクトプランジャー2を介してコンクリート3の測定面3aに直交方向に打撃し、この打撃時の前記重錘1の跳ね返り量によってコンクリート3の反発度(コンクリート3の硬度を示す指数)を測定し、この反発度からコンクリートの硬さ(圧縮強度)を推定するものであり、このリバウンドハンマーによるコンクリートの非破壊試験は国内においても1955年頃から長年にわたり多数の研究が為されている。
【0003】
ところで、この種のリバウンドハンマーは、測定反発度にバラツキや誤差が生じやすく、例えば、同じ製造者に製造された同一機種のリバウンドハンマーであったとしても、個々の性能に個体差が生ずる為、個々のリバウンドハンマー毎に測定反発度にバラツキが生ずるという、リバウンドハンマーの個体差に応じた測定反発度のバラツキや誤差の問題を有している。
【0004】
また、例えば、全く同じ性能のリバウンドハンマーで硬度測定を行った場合でも、測定時の、即ち、打撃時のリバウンドハンマーの打撃角度(水平方向に対する打撃角度)に応じて測定反発度にバラツキが生ずるという、リバウンドハンマーの打撃角度に応じた測定反発度のバラツキや誤差の問題を有している。即ち、たとえ同じ性能のリバウンドハンマーで同じ反発度を有するコンクリートを硬度測定したとしても、例えば、測定面が水平なコンクリートをリバウンドハンマーで鉛直方向に打撃した場合と、測定面が垂直なコンクリートをリバウンドハンマーで水平方向に打撃した場合とでは、同じ測定反発度を得ることができない。
【0005】
また、例えば、リバウンドハンマーの使用回数(打撃回数)に応じたリバウンドハンマーの性能の老朽化によって測定反発度にバラツキが生ずるという、リバウンドハンマーの新・旧(使用回数)に応じた測定反発度のバラツキや誤差の問題を有している。
【0006】
このように、リバウンドハンマーは様々な要因に基く影響を受けることから必ずしも精度の良い測定値が得られないという問題点を有するが、しかし、より秀れたコンクリート硬度測定方法の開発に至っていないため、コンクリート構造物工事の品質検査などにこのリバウンドハンマーによる硬度測定が一般的に用いられている。
【0007】
そこで、従来においては、リバウンドハンマーによりコンクリート硬度測定を行う前に、測定に使用するリバウンドンハンマーの性能を確認するため、テストアンビルを用いたリバウンドハンマーの検定を実施している。
【0008】
これは、テストアンビル(高反発度テストアンビル)をリバウンドハンマーによって打撃して硬度測定を行って得られたこのテストアンビルの測定反発度が、このテストアンビルの実際の反発度(正しい反発度)を示すかどうかを検定するものであって、具体的には、高反発度テストアンビルの反発度80を基準値とし、このテストアンビルのテスト測定面が水平方向となるようにテストアンビルを設置し、このテストアンビルのテスト測定面に対してリバウンドハンマーを下方向に(鉛直方向に)打撃して硬度測定を行い、これによって得られた測定反発度が基準値80に近い値(JIS規格では許容誤差範囲3%以内)であればこのリバウンドハンマーは正常の機能を有するものとし、一方、誤差が3%以上のリバウンドハンマーは調整(修理)が必要であると検定するものである。
【0009】
このように、従来においては、テストアンビルを用いたリバウンドハンマーの検定によって、測定に使用するリバウンドハンマーに調整(修理)が必要か否かをチェックしたとしても、検定に使用するテストアンビルの反発度が80なのに対して実際のコンクリートの硬度の多くは反発度で30〜40程度であり、上記の高反発度(反発度80)のテストアンビルによって検定した際の誤差が3%以内の(即ち、個体差や使用回数に応じた誤差が無視できる範囲内であると判断された)リバウンドハンマーを用いてコンクリートの硬度測定を行っても、実際のコンクリート硬度数値(30〜40前後)付近の測定値では個体差や使用回数に応じた測定反発度にバラツキや誤差がありすぎるのが実情となっており、よって、実際のコンクリートの反発度に近い高精度な測定反発度を得るのは困難であった。
【0010】
尚、リバウンドハンマーの打撃角度に応じた測定反発度のバラツキや誤差は、図20や下記表(表1)に示されるように、水平打撃を基準(補正不要)とし、それ以外の場合は打撃角度に応じて所定の補正値ΔRを測定反発度に加算若しくは減算するという方法で補正を行っているものの、リバウンドハンマーの個体差や、使用回数に応じて生ずる測定反発度のバラツキや誤差の補正が為されていない精度の低い測定反発度を、上記の通りリバウンドハンマーの打撃角度に応じて補正したところで、結局、精度の高い硬度数値を得ることは困難であった(尚、国内においては、図20に図示した補正値ΔRが一般的に採用されている。)。
【0011】
【表1】
【0012】
しかも、リバウンドハンマーの打撃角度に応じて生ずるバラツキや誤差も、個々のリバウンドハンマーによってこの打撃角度による誤差が大きく生じたり、または、小さく生じたりと決して一定ではないため、従来法のように打撃角度に応じて予め定められた一定の補正値ΔR(表1または図20参照)を加算したり減算したりするに過ぎない従来法では高精度な補正を達成し得ない。
【0013】
更に、上記表(表1)や図20などに示された補正値ΔRを基にしたリバウンドハンマーの打撃角度に応じた測定反発度のバラツキや誤差の補正は、リバウンドハンマーによる水平打撃による測定反発度を基準とし他の打撃角度を水平打撃に対する相対角度αに応じて補正するのに対し、テストアンビルを用いたリバウンドハンマーの検定では、リバウンドハンマーによるテストアンビルの水平打撃ではなく鉛直打撃による測定反発度を用いて検定を行うなど、補正や検定の際のリバウンドハンマーの打撃角度の統一すらされておらず、この点においても従来法のリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定は信頼性が低く、高精度な硬度数値を得るのが非常に困難であった。
【0014】
尚、上記のテストアンビルを用いた検定の際に誤差が3%以上で調整が必要とされたリバウンドハンマーでもコンクリート硬度測定が行えるように、調整が必要とされたリバウンドハンマーによって得た硬度測定値を、このリバウンドハンマーの検定時のテストアンビルの測定反発度と基準値80を用いて下記式(式1)によって補正する補正方法も従来から提案されている。
【0015】
y=(t/t’)x・・・式1
y:補正硬度数値
t:高反発度テストアンビルの基準値(=80)
t’:リバウンドハンマーにより測定した高反発度テストアンビルの測定反発度
x:リバウンドハンマーにより測定したコンクリートの測定反発度
【0016】
しかし、上述したように実際のコンクリートの硬度の多くは、反発度で30〜40程度であり、よって、上記式(式1)を用いて補正を行った場合においても、実際のコンクリートの硬度数値に近い高精度な硬度数値に補正することができないのが現状であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記問題点を解決したものであり、リバウンドハンマーの個体差や、打撃角度,使用回数などの種々の要因によって生ずる測定反発度のバラツキや誤差を良好に補正でき、リバウンドハンマーによる硬度測定によって得られたコンクリートの測定反発度から、実際のコンクリートの真の硬度数値に近い高精度な数値を算出することができる極めて実用性に秀れた画期的なリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法及びテストアンビル保持装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0019】
リバウンドハンマー本体4内に重錘1を摺動自在に設け、この重錘1を、前記リバウンドハンマー本体4に突没動自在に設けたインパクトプランジャー2を介してコンクリート3の測定面3aに直交方向から打撃し、この打撃時の前記重錘1の跳ね返り量によって前記コンクリート3の反発度を測定し得るように構成したリバウンドハンマーRによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法であって、リバウンドハンマーRの基準値を確認するテストアンビル5を傾斜調整し、このテストアンビル5のテスト測定面5aを、測定したいコンクリート3の測定面3aと等しい傾斜角度としたうえで、このテスト測定面5aを直交方向からリバウンドハンマーRにより打撃するようにして、基準値の異なる複数のテストアンビル5の硬度測定を夫々行い、このリバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた各テストアンビル5の測定反発度xと各テストアンビル5の基準値yとの相関関係を示す関係式(y=f(x))を求め、この関係式のxに、リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた測定したい前記コンクリート3の測定反発度を代入することで算出されるyの数値を、前記コンクリート3の測定反発度の補正硬度数値yとして、リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた測定反発度を高精度な硬度数値に補正することを特徴とするリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法に係るものである。
【0020】
また、前記関係式は、前記リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた各テストアンビル5の測定反発度xを独立変数,各テストアンビル5の実際の反発度yを従属変数とする回帰式(y=ax+b,y=axbなど;a,bは係数)としたことを特徴とする請求項1記載のリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法に係るものである。
【0021】
また、前記複数のテストアンビル5として、少なくとも低反発度及び高反発度のテストアンビル5、若しくは、少なくとも低反発度,中反発度及び高反発度のテストアンビル5を採用したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法に係るものである。
【0022】
また、リバウンドハンマーRの基準値を確認するテストアンビル5を保持する保持部6を傾動調整自在に保持する傾動調整機構7を備え、前記保持部6を傾動調整しこの保持部6に保持したテストアンビル5のテスト測定面5aを所定の傾斜角度に調整可能にテストアンビル保持装置Hを構成し、このテストアンビル保持装置Hにテストアンビル5を保持して、このテストアンビル5のテスト測定面5aが測定したい前記コンクリート3の測定面3aの傾斜角度と一致するようにテストアンビル5の傾斜調整を行ったうえで、このテストアンビル5のテスト測定面5aを直交方向からリバウンドハンマーRにより打撃するようにして、基準値の異なる複数のテストアンビル5の硬度測定を夫々行ったことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法に係るものである。
【0023】
また、前記テストアンビル保持装置Hは、このテストアンビル保持装置Hに保持したテストアンビル5のテスト測定面5aを直交方向から打撃できるように、このテストアンビル5の近接位置にリバウンドハンマーRを保持し打撃方向をガイドするハンマーガイド部8を備えた構成とし、このテストアンビル保持装置Hにテストアンビル5を保持して、このテストアンビル5のテスト測定面5aが測定したい前記コンクリート3の測定面3aの傾斜角度と一致するようにテストアンビル5の傾斜調整を行ったうえで、このテストアンビル5のテスト測定面5aを前記ハンマーガイド部8に保持したリバウンドハンマーRによって直交方向から打撃するようにして、基準値の異なる複数のテストアンビル5の硬度測定を夫々行ったことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法に係るものである。
【0024】
また、テストアンビル5を保持する保持部6を傾動調整自在に保持する傾動調整機構7を設け、前記保持部6を傾動調整してこの保持部6に保持した前記テストアンビル5のテスト測定面5aを所定の傾斜角度に調整可能に構成したことを特徴とするテストアンビル保持装置に係るものである。
【0025】
また、前記傾動調整機構7の保持部6に保持したテストアンビル5のテスト測定面5aを直交方向から打撃できるように、このテストアンビル5の近接位置にリバウンドハンマーRを保持し打撃方向をガイドするハンマーガイド部8を備え、前記傾動調整機構7により所定の傾斜角度に調整した前記テストアンビル5のテスト測定面5aを、前記ハンマーガイド部8に保持したリバウンドハンマーRにより直交方向から打撃して硬度測定を行えるように構成したことを特徴とする請求項6記載のテストアンビル保持装置に係るものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明は上述のようにしたから、基準値の複数のテストアンビルをリバウンドハンマーによって硬度測定し、これによって得られた各テストアンビルの測定反発度xと各テストアンビルの基準値yとの関係式(y=f(x))を用いて、リバウンドハンマーの硬度測定により得たコンクリートの測定反発度を補正することにより、この測定反発度を従来にない高精度な硬度数値に補正した補正硬度数値を算出することができる。即ち、単に一種ルのテストアンビルでなく、基準値の異なる複数のテストアンビルを用いている為、それだけ高い相関性を示す関係式を得られ、しかも、例えば、複数のテストアンビルとして高反発度のテストアンビルと低反発度のテストアンビルなどの反発度が大きく異なるテストアンビルをリバウンドハンマーにより硬度測定することで、広い硬度数値範囲に亘って、且つ、高い相関性を示す秀れた関係式が得られ、このようにして求めた関係式を用いてリバウンドハンマーによる硬度測定によって得られたコンクリートの測定反発度を補正することによって、たとえ測定に使用したリバウンドハンマーが個体差などによる測定反発値のバラツキや誤差を生ずるものであったとしてもこの測定反発度のバラツキや誤差を良好に補正でき、よって、従来例に比して極めて高精度な硬度数値が得られる。
【0027】
しかも、本発明では、単にテストアンビルのテスト測定面を水平にしてリバウンドハンマーにより鉛直打撃してこのテストアンビルの硬度測定を行うのではなく、テストアンビルを傾斜調整してこのテストアンビルのテスト測定面を、測定したいコンクリートの測定面の傾斜角度と一致させたうえでリバウンドハンマーによって硬度測定を行うことで、それだけ信頼性が高く精度の秀れた補正を可能とする秀れた関係式を得ることが可能である。更に、予め測定したいコンクリートの測定面の傾斜角度に合わせて傾斜調整したテストアンビルを硬度測定して求めた関係式によって補正を行う為、この関係式によって補正を行うことでリバウンドハンマーの個体差や使用回数に応じたバラツキや誤差を補正すると同時に、打撃角度に応じたバラツキや誤差の補正も達成するので、例えば、この関係式によって個体差や使用回数に応じた補正を行った後に、更に、従来例に記載のリバウンドハンマーの打撃角度(測定したいコンクリートの測定面の傾斜角度)に応じた補正を行う必要が無く、この精度の低い従来法による打撃角度を行うことなく打撃角度に応じたバラツキや誤差の補正を達成でき、それだけ一層精度の高い補正を達成し得る。
【0028】
よって、本発明は、リバウンドハンマーの個体差や使用回数などに応じた測定反発度のバラツキや誤差が生ずるリバウンドハンマーにより、測定面が如何なる角度に傾斜したコンクリートの硬度測定を行った場合においても、これにより得られた測定反発度を関係式に代入し、前記コンクリートの実際の硬度数値(真の値)に近い高精度な硬度数値を算出することができ、リバウンドハンマーによる硬度測定から、従来にない極めて高精度な硬度数値を得ることができる画期的で実用性に秀れたリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法となる。
【0029】
また、請求項6,7記載の発明においては、リバウンドハンマーにより硬度測定を行いたいテストアンビルを保持部に保持し、傾動調整機構により保持部を傾動調整することによってこの保持部に保持した前記テストアンビルのテスト測定面を所定の傾斜角度に傾斜角度調整を行うことも容易に為し得、よって、テストアンビルのテスト測定面が、リバウンドハンマーにより硬度測定を行いたいコンクリートの測定面と等しい傾斜角度となるようにテストアンビルの傾斜調整を行うといったことも容易に行うことができ、上記秀れたリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法の実施を簡易に達成することができる画期的なテストアンビル保持装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0031】
リバウンドハンマー本体4内に重錘1を摺動自在に設け、この重錘1を、前記リバウンドハンマー本体4に突没動自在に設けたインパクトプランジャー2を介してコンクリート3の測定面3aに直交方向に打撃し、この打撃時の前記重錘1の跳ね返り量によって前記コンクリート3の反発度を測定し得るように構成したリバウンドハンマーRにより、基準値の異なる複数のテストアンビル5を打撃し、夫々に硬度測定を行う。
【0032】
この際、各テストアンビル5は、各々に傾斜調整してこのテストアンビル5のテスト測定面5aが測定したい前記コンクリート3の測定面3aと等しい傾斜角度となるようにしたうえで、このテストアンビル5のテスト測定面5aを直交方向からリバウンドハンマーRによって打撃するようにして、この複数のテストアンビル5の硬度測定を夫々行う。
【0033】
このように傾斜調整したうえでリバウンドハンマーRによって硬度測定した各テストアンビル5の測定反発度xと、各テストアンビル5の基準値yとの相関関係を示す関係式(y=f(x))を求める。
【0034】
尚、この関係式は、例えば、前記リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた各テストアンビル5の測定反発度xを独立変数,各テストアンビル5の実際の反発度yを従属変数とする回帰式(y=ax+b,y=axbなど;a,bは係数)とした場合には、最小二乗法などの一般的な近似法により、前記リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた各テストアンビル5の測定反発度xと各テストアンビル5の基準値yとの相関関係を良好に示す相関性の秀れた(高い)関係式(y=f(x))を簡単に求められることとなる。
【0035】
この関係式のxに、リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた測定したい前記コンクリート3の測定反発度を代入することで算出されるyの数値を、前記コンクリート3の測定反発度の補正硬度数値yとして、リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた測定反発度を高精度な硬度数値に補正できることとなる。
【0036】
従って、本発明は、リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られたコンクリート3の測定反発度を補正する為の前記関係式を、基準値の異なる複数のテストアンビル5の測定反発度及び基準値を基に求めている為、それだけ複数のデータを用いた相関性の高い関係式を求めることができ、且つ、それだけ広い範囲の数値領域に対して秀れた相関性を示す関係式を求めることができ、よって、本発明に係る方法によって求めた関係式を用いて様々な反発度のコンクリート3の測定反発度を高精度な硬度数値に補正できることとなる。
【0037】
しかも、本発明では、測定したいコンクリート3の測定面3aと等しい傾斜角度となるように各テストアンビル5のテスト測定面5aを傾斜させたうえで、リバウンドハンマーRにより直交方向から打撃して硬度測定を行うこととしている。即ち、従来例のように、単にテストアンビル5のテスト測定面5aを水平にしてこのテスト測定面5aをリバウンドハンマーRにより直交方向から打撃(鉛直打撃)してリバウンドハンマーの検定に使用されているに過ぎなかった従来のテストアンビルを、本発明では、測定したいコンクリート3の測定面3aが傾斜していた場合にはこの測定面3aの傾斜に合わせてテストアンビル5を傾斜調整し、このテストアンビル5のテスト測定面5aを、測定したい前記コンクリート3の傾斜面3aの傾斜角度と一致させたうえでこのテスト測定面5aをリバウンドハンマーRにより直交方向から打撃して硬度測定を行うようにした為、このように傾斜調整したうえで硬度測定して得られた複数のテストアンビル5の各測定反発度と各基準値から関係式を求めることによって、単にテストアンビル5のテスト測定面5aを水平にして硬度測定を行う従来法に比して精度の高い補正が可能な秀れた関係式が求められることとなる。更に、予め測定したいコンクリート3の測定面3aの傾斜角度と等しい傾斜調整にテストアンビル5のテスト測定面5aを調整したうえで硬度測定を行って関係式を求めている為、従来例のように、この関係式によってリバウンドハンマーRの個体差や使用回数に応じて生ずる測定反発度のバラツキや誤差を修正した後、更に、コンクリート3の測定面の傾斜角度に対して直交方向に合わせた前記リバウンドハンマーRの打撃角度に応じて生ずるバラツキや誤差の補正を行うといった必要がなく、リバウンドハンマーRによる硬度測定により得られたコンクリート3の測定反発度を上記関係式のxに代入するだけでこのリバウンドハンマーRの個体差や使用回数に応じた測定反発度のバラツキや誤差だけでなくリバウンドハンマーRの打撃角度に応じた測定反発度のバラツキや誤差も補正できる。即ち、関係式により補正した後に、更に別途従来例に記載の精度の低い補正(打撃角度に応じた補正)を行う必要が無いので、それだけ高精度の補正を達成し得ることとなる。
【0038】
よって、本発明は、リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られたコンクリート3の測定反発値を、従来に無く極めて高精度な硬度数値に補正できる実用性に秀れた補正方法となる。
【0039】
尚、前記複数のテストアンビル5として、例えば、少なくとも低反発度及び高反発度のテストアンビル5、若しくは、少なくとも低反発度,中反発度及び高反発度のテストアンビル5を採用した場合には、反発度の大きく異なるテストアンビル5を用いて前記関係式を求める為に、それだけ広い硬度数値範囲に亘って、且つ、相関性の高い秀れた関係式が得られることとなり、一層良好に補正を行える実用性に秀れた補正方法となる。また、例えばこの低反発度及び高反発度のテストアンビル5のみ、若しくは、低反発度,中反発度及び高反発度のテストアンビル5のみを採用した場合には、僅かなテストアンビル5の硬度測定で良好な関係式が得られ、簡便な補正方法となる。
【0040】
また、請求項6,7記載の発明においては、保持部6にテストアンビル5を保持すると共に、この保持部6を傾動調整機構7によって傾動調整することにより、この保持部6に保持したテストアンビル5のテスト測定面5aを所定の傾斜角度に調整することができ、従って、テストアンビル5のテスト測定面5aが所望の傾斜角度となるようにこのテストアンビル5の傾斜調整を行うことが簡単にでき、このようにテスト測定面5aを所望の傾斜角度となるようにテストアンビル5を傾斜調整したうえでこのテスト測定面5aを直交方向からリバウンドハンマーRにより打撃して硬度測定を行うといったことも簡単に行えることとなる。
【0041】
よって、本発明に係るテストアンビル保持装置を用いることで、上記の本発明に係るリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法を容易に実施することができ、秀れた補正方法を簡易に達成可能とする画期的で実用性に秀れたテストアンビル保持装置となる。
【実施例】
【0042】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0043】
本実施例は、シュミットハンマー法によってコンクリート3の硬度測定(非破壊試験)を行うリバウンドハンマーRにより、測定したいコンクリート3の測定面3aを直交方向から打撃して硬度測定を行い、このリバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた前記コンクリート3の測定反発度を、所定の関係式に代入することによって前記コンクリート3の真の硬度数値に近い高精度な数値に補正する補正方法である。
【0044】
リバウンドハンマーRは、図19に図示した従来例と同様、コンクリート硬度測定に一般的に採用されている既存のリバウンドハンマーRを採用しており、具体的には、図4に図示したように、リバウンドハンマー本体4内に重錘1を摺動自在に設け、この重錘1を、前記リバウンドハンマー本体4に突没動自在に設けたインパクトプランジャー2を介してコンクリート3の測定面3a(又は、図4に図示したようにテストアンビル5のテスト測定面5aなどの被打撃面)を直交方向から打撃し、この打撃時の前記重錘1の跳ね返り量によって前記コンクリート3の反発度を測定し得るように構成したものである(尚、図2に図示したように、本実施例に採用しているリバウンドハンマーRは、測定値が表示される表示部13が設けられたものである。)。
【0045】
本実施例のリバウンドハンマーRによるコンクリート3硬度測定における測定値補正方法を以下に詳述する。
【0046】
本実施例では、先ず、リバウンドハンマーRによって、基準値の異なる複数のテストアンビル5の硬度測定を行う。
【0047】
この際、テストアンビル5を傾斜調整してこのテストアンビル5のテスト測定面5aが、測定したい前記コンクリート3の測定面3aと等しい傾斜角度(水平方向に対する傾斜角度)となるようにしたうえで、この傾斜したテスト測定面5aに対して直交方向からリバウンドハンマーRを打撃するようにして、各テストアンビル5の硬度測定を夫々行うもとのする。
【0048】
次いで、これら各個に傾斜調整したうえでリバウンドハンマーRにより硬度測定を行った各テストアンビル5の測定反発度xと、各テストアンビル5の基準値yとの相関関係を示す関係式(y=f(x))を求める。
【0049】
具体的には、図7に図示したように、各テストアンビル5の測定反発度xを独立変数,各テストアンビル5の基準値yを従属変数とする回帰式(y=ax+b)を求める。ここで、三種類以上のテストアンビル5を硬度測定した場合には、前記回帰式は直線式(y=ax+b)だけでなく累乗式(y=axb)とすることもできる(図7参照)。尚、これらの回帰式に係る係数a,bは、例えば最小二乗法などの近似法で推定しても良いし、他にも、いかなる手法で求めても良い。更に、この関係式は、各テストアンビル5の硬度測定値xと各テストアンビル5の基準硬度yとの相関関係を良好に(高い相関係数で)示せる関係式であれば、いかなる数式でも良い。
【0050】
この関係式(本実施例においては、回帰式y=ax+b)のxに、前記リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた測定したい前記コンクリート3の測定反発度を代入する。これによって、前記コンクリート3の真の硬度(反発度)に近い高精度な補正硬度数値yを算出することができる。
【0051】
よって、本発明は、リバウンドハンマーRにより測定したコンクリート3の測定反発度を、このコンクリート3の測定面3aの傾斜角度に応じて、言い換えれば、この測定面3aを直交方向から打撃するリバウンドハンマーRの水平方向に対する打撃角度αに応じて求めた前記関係式(回帰式)に代入することにより、この測定反発度を実際のコンクリート3の真の硬度数値に近い高精度の硬度数値に前記測定反発度を補正することができ、リバウンドハンマーRによるコンクリート硬度測定から、従来にない極めて高精度な硬度数値を得ることが可能な画期的で実用性に秀れたリバウンドハンマーRによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法となる。
【0052】
尚、本実施例に使用する複数のテストアンビル5には、少なくとも低反発度及び高反発度のテストアンビル5、若しくは、少なくとも低反発度,中反発度及び高反発度のテストアンビルを採用している。具体的には、本実施例においては、低反発度として反発度30,中反発度として反発度50,高反発度として反発度80のテストアンビル5を採用している。この各テストアンビル5の基準値は夫々、30,50,80とする(尚、この基準値30,50,80は各テストアンビル5のテスト測定面5aを水平にしてリバウンドハンマーRにより垂直打撃した場合の各テストアンビル5の反発度の数値であって、各テストアンビル5のテスト測定面5aを垂直にしてリバウンドハンマーRにより水平打撃した場合の各テストアンビル5の反発度の数値33.0,51.9,80.2を基準値として採用しても良い。)。尚、この低反発度,中反発度及び高反発度のテストアンビル5の夫々の反発度は本実施例のものに限らず、一方のテストアンビル5の反発度に対する他方のテストアンビル5の反発度の相対的な関係に基いて設定されるものであり、低反発度のテストアンビル5の反発度30、中反発度のテストアンビル5の反発度50、高反発度のテストアンビル5の反発度80の数値に限られるものではない。
【0053】
また、本実施例においては、これら複数のテストアンビル5をリバウンドハンマーRにより硬度測定する際に、具体的には、図1に図示したようにテストアンビル保持装置Hを使用して行っている。
【0054】
このテストアンビル保持装置Hは、図1に図示したように、テストアンビル5を保持する保持部6を傾動調整自在に保持する傾動調整機構7を設け、前記保持部6を傾動調整してこの保持部6に保持した前記テストアンビル5のテスト測定面5aを所定の傾斜角度に傾斜調整可能に構成したものである。
【0055】
また、このテストアンビル保持装置Hには、前記傾動調整機構7の保持部6に保持したテストアンビル5のテスト測定面5aを直交方向から打撃できるように、このテストアンビル5の近接位置にリバウンドハンマーRを保持し打撃方向をガイドするハンマーガイド部8を備えている。
【0056】
従って、このテストアンビル保持装置Hにテストアンビル5を保持することで、このテストアンビル5のテスト測定面5aを、傾動調整機構7により測定したい前記コンクリート3の測定面3aの傾斜角度と一致するように傾動調整したうえで、ハンマーガイド部8に保持したリバウンドハンマーRにより、所定の傾斜角度に調整した前記テストアンビル5のテスト測定面5aを確実に直交方向から打撃し硬度測定を行える。
【0057】
具体的には、傾動調整機構7は、平板状の載置板9上に前記保持部6を設けて、この保持部6にテストアンビル5の先端を固定して載置板9に横設状態にテストアンビル5を載置保持し得るように構成し、この載置板9の下端部を図1中、左右方向に移動自在とし、この載置板9の上端部を柱や壁などの立部11に上下方向に複数並設状態に設けた角度調整用孔11aのうちのいずれか一つに選択係合固定せしめることで、この載置板9の角度を調整し、この載置板9の保持部6に保持したテストアンビル5のテスト測定面5を所望の角度に調整し得るように構成したものである。尚、傾動調整機構7は本実施例の構成に限らず、前記保持部6に保持したテストアンビル5を傾斜調整してこのテストアンビル5のテスト測定面5aの傾斜角度を調整し得る構成であれば良い。また、前記載置板9の水平方向に対する相対角度が確認できるように、テストアンビル保持装置Hに水平器や分度器などを備えた構成としても良いし、予め前記載置板9が決められた角度(例えば30°,45°,60°など)となるように、前記立部11の所定高さに前記角度調整用孔11aを複数並設状態に配設する構成としても良い。
【0058】
また、この載置板9に設けた保持部6は、具体的には、図1及び図3に図示したように、載置板9から突出状態に設け前記テストアンビル5の先端側に当接する当接板6aと、載置板9の上端側(図1中、左上側)に配設されて前記テストアンビル5の底面に当接状態に配設される支持体12(十分な硬度を有するコンクリート体など)との間にテストアンビル5を介存配設し、この当接板6aと支持体12とにより前記テストアンビル5を挟持状態に固定する構成としている。更に具体的には、図3に図示したように、テストアンビル5の底面に当接状態に設けた支持体12の更に基端側(図3中、左側)に当接状態に板状の締め付け板10を沿設配設し、この締め付け板10に締め付けボルト17を挿通し、この締め付けボルト17を夫々、前記当接板6aの両端側(図3中、上下両端側)に複数設けたボルト挿通孔(図示省略)に挿通してこの締め付けボルト17の先端にナット17aを螺合し、この締め付けボルト17とナット17aによる締め付け押圧によって、前記テストアンビル5を当接板6aと支持体12により挟持状態に締め付け固定するように前記保持部6を構成している。
【0059】
従って、テストアンビル5を保持部6に確実に保持できるだけでなく、テストアンビル5の底面に支持体12を当接状態に配設しているので、リバウンドハンマーRによる打撃時にテストアンビル5の底部を支持し良好に打撃試験(硬度測定)が行える。
【0060】
また、ハンマーガイド部8は、具体的には、図3に図示したように、このハンマーガイド部8の先端側に設けた筒状の抱持固定部14にテストアンビル5の先端側を嵌挿配設すると共に、このテストアンビル5の先端側の左右に設けられた取付孔16に締め付けネジ14aの先端を嵌挿し、このハンマーガイド部8をテストアンビル5の先端側に取り付け固定可能な構成としている。また、この抱持固定部14に固定したテストアンビル5に、図2に図示したようにリバウンドハンマーRのインパクトプランジャー2を差し込み状態にしてこのリバウンドハンマーRの先端側を固定し、このリバウンドハンマーRの基端側は、ハンマーガイド部8の基端側(図2中、右下側)に設けた押動操作部15に固定し得るように構成している。また、この押動操作部15はハンマーガイド部8の前後方向にスライド移動自在に構成しており、この押動操作部15のハンドル15aを操作してリバウンドハンマーRを基端側からこの押動操作部15により先端側に押圧し得るように構成している。
【0061】
従って、図2に図示したように、このハンマーガイド部8によってテストアンビル5のテスト測定面5aに対して直交方向から打撃し得るようにリバウンドハンマーRを保持し、このハンマーガイド部8の押動操作部15によりリバウンドハンマーRを押動操作し前記テストアンビル5を打撃し硬度測定が行える。
【0062】
尚、本実施例では、このハンマーガイド部8に対してテストアンビル5及びリバウンドハンマーRが着脱自在に構成しているが、例えば、テストアンビル5若しくはリバウンドハンマーRに予め前記ハンマーガイド部8が一体に備えられる構成としても良い。
【0063】
よって、このテストアンビル保持装置Hを用いれば、テストアンビル5を保持部6に保持し、このテストアンビル5のテスト測定面5aが測定したい前記コンクリート3の測定面3aの傾斜角度と一致するようにテストアンビル5の傾斜調整を傾斜調整機構7により行ったうえで、このテストアンビル5のテスト測定面5aを前記ハンマーガイド部8に保持したリバウンドハンマーRによって直交方向から打撃するようにして、基準値の異なる複数のテストアンビル5の硬度測定を夫々行うことができ、本発明に係るリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正を簡易に実施できることと成り、よって、一層簡便なリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定に置ける測定値補正方法となる。
【0064】
尚、本実施例においては、テストアンビル保持装置Hの保持部6にテストアンビル5を保持し、傾動調整機構7によってこのテストアンビル5のテスト測定面5aを、測定したい前記コンクリート3の測定面3aの傾斜角度と一致させたうえで、リバウンドハンマーRによって硬度測定を行うようにしたが、この傾動調整機構7を使用しなくとも、即ち、図1に図示したように、載置板9にテストアンビル5を載置状態に保持してこの載置板9の傾斜角度を調整することで前記テストアンビル5を傾斜調整するといったことをせずとも、図2に図示したように硬度測定を行うテストアンビル5に対してハンマーガイド部5によりリバウンドハンマーRを直交方向から打撃し得るように保持した状態で、図5及び図6に図示したように、測定したいコンクリート3の測定面3aに直接テストアンビル5を載置してリバウンドハンマーRにより硬度測定を行うことで、必然的にテストアンビル5のテスト測定面5aを、測定したい前記コンクリート3の測定面3aと一致させたうえで硬度測定を行うことができ、このようにして本実施例に係る補正方法を実施しても良い。また、これらのテストアンビル5やリバウンドハンマーRを保持し傾動調整を行う装置を一切使用せずとも、例えば、図4に図示したように、測定したいコンクリート3の測定面3aに直接テストアンビル5の底面を当接状態に載置して手で押さえるなどして保持し、このテストアンビル5のテスト測定面5aを直交方向からリバウンドハンマーRで打撃して硬度測定を行っても良い。このように、テストアンビル保持装置Hなどの装置を使用せずとも本実施例の補正方法は実施可能であり、どのような方法でテストアンビル5のテスト測定面5aを測定したい前記コンクリート3の測定面3aの傾斜角度と一致させたうえでこのテスト測定面5aを直交方向からリバウンドハンマーRにより打撃し硬度測定を行っても良い。
【0065】
以下、本実施例の作用効果を更に具体的に示す実験例を示す。
【0066】
<試験装置>
テストアンビル5は、図1に図示したように、打撃が一定の測定面・角度で行われるように、リバウンドハンマーRを支承保持する保持装置に保持すると共に、このテストアンビル5の底面が支持体12(コンクリート体)に当接状態となるように保持して、前記リバウンドハンマーRによりこのテストアンビル5のテスト測定面5aを直交方向から打撃して反発度を測定する。
【0067】
リバウンドハンマーRは、同一機種のものを12本使用する。
【0068】
<リバウンドハンマーRによる硬度測定値の基準値と補正方法>
a.基準値は、リバウンドハンマーRで鉛直方向に打撃した際に30,50及び80の反発度を有するテストアンビルの各反発度を基準値として定義(尚、水平方向に打撃した際には33,51.9,80.2であり、これを基準値と定義しても良い。)。
【0069】
b.リバウンドハンマーRの個体差
リバウンドハンマーR(12本)の打撃角度による固体差(図9)
リバウンドハンマーR(12本)の製造上の個体差(図10及び図11)
【0070】
c.リバウンドハンマーRの個体差に応じた反発度の補正方法
リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた測定反発度を、図8に図示したように、ケース1〜ケース6の異なる補正方法により補正し、この補正反発度と、コア圧縮強度(真の硬度数値)との関係を図示すると共に相関性Rを比較することによって、これらの複数の補正方法の補正精度を比較する。
【0071】
(1)ケース0:測定値で補正なしの場合(図12、R=0.790)
【0072】
(2)硬さの基準値:鉛直打撃80のアンビルで反発度が誤差3%以内(または反発度80±2の範囲)のリバウンドハンマーであるかを点検
ケース1:従来法どうり水平反発度を基準とし、角度のみを一定値(表1)で補す
る場合(図13、R=0.803)
【0073】
(3)硬さの基準値:鉛直打撃80のテストアンビル
ケース2:下向き打撃で80の硬さのアンビルを基準とし、個体差(y=ax式)
及び角度を一定値(表1)で補正する場合(図14、R=0.818)
【0074】
(4)硬さの基準値:鉛直打撃30及び80のテストアンビル
ケース3:個体差は鉛直打撃で補正式(y=ax+b)を求め補正する。打撃角度
の補正は、打撃角度による機差はなしで一定値とし下向き打撃値を求め
、補正式(y=ax+b)で補正する場合(図15、R=0.836)
ケース4:個体差は打撃方向ごとに補正式(y=ax+b)を求め補正する。打撃
角度の補正は、打撃角度による個体差はありとして打撃方向ごとに補正
式を求めるため不要とする場合(図16、R=0.862)
【0075】
(5)硬さの基準値:鉛直打撃30、50及び80のテストアンビル
ケース5:個体差は打撃方向ごとに補正式(y=ax+b)を求め補正する。打撃
角度の補正は、打撃角度による個体差はありとして打撃方向ごとに補正
式を求めるため不要とする場合(図17、R=0.872)
ケース6:個体差は打撃方向ごとに補正式(y=axb)を求め補正する。打撃角
度の補正は、打撃角度による個体差はありとして打撃方向ごとに補正式
を求めるため不要とする場合(図18、R=0.866)
【0076】
上述した本実施例に係るリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法は、本実験に係るケース5による補正方法と同様である。
【0077】
図13〜図18(図12は補正無しなので除外)に示されるように、ケース1〜ケース6の補正方法のなかで、ケース5(図17)の補正方法が、最も補正反発度とコア圧縮強度(真の硬度数値)との相関性が高く、このケース5の補正方法によって求めた補正反発度が最もコア圧縮強度に近い高精度な補正が可能な方法である。
【0078】
従って、本実施例の測定方法(即ち、ケース5の補正方法)を用いれば、たとえリバウンドハンマーRが個体差や、使用回数(リバウンドハンマーR自体の老朽化など)により測定反発度にバラツキや誤差が生ずるものであったとしても、更に測定時のリバウンドハンマーRの打撃角度、即ち測定面3aの傾斜角度がどのような角度であったとしても、このリバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた測定反発度からコア圧縮強度(即ち、真の硬度数値)に近い極めて高精度な補正硬度数値を算出でき、従来にない極めて信頼性の高く精度に秀れた硬度数値が得られることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本実施例に係るリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法を示す説明正面図である。
【図2】本実施例に係るハンマーガイド部8の説明斜視図である。
【図3】本実施例に係るテストアンビル保持装置Hの説明平面図である。
【図4】本実施例に係るリバウンドハンマーRの説明正面図である。
【図5】本実施例に係るリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法の別例を示す図である。
【図6】本実施例に係るリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法の別例を示す図である。
【図7】本実施例に係るリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法の説明図である。
【図8】本実施例の実験例に係る補正方法の比較図である。
【図9】本実施例の実験例に係る複数のリバウンドハンマーRによる打撃角度と測定反発度との関係を示す説明図である。
【図10】本実施例の実験例に係るリバウンドハンマーRにより鉛直方向にテストアンビル5を打撃した際の測定反発度と基準値との関係を示す説明図である。
【図11】本実施例の実験例に係るリバウンドハンマーRにより水平方向にテストアンビル5を打撃した際の測定反発度と基準値との関係を示す説明図である。
【図12】本実施例の実験例に係るリバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた測定反発度とコア圧縮強度との関係を示す説明図である。
【図13】本実施例の実験例に係るリバウンドハンマーRによる硬度測定をケース1の補正方法によって補正した補正反発度とコア圧縮強度との関係を示す説明図である。
【図14】本実施例の実験例に係るリバウンドハンマーRによる硬度測定をケース2の補正方法によって補正した補正反発度とコア圧縮強度との関係を示す説明図である。
【図15】本実施例の実験例に係るリバウンドハンマーRによる硬度測定をケース3の補正方法によって補正した補正反発度とコア圧縮強度との関係を示す説明図である。
【図16】本実施例の実験例に係るリバウンドハンマーRによる硬度測定をケース4の補正方法によって補正した補正反発度とコア圧縮強度との関係を示す説明図である。
【図17】本実施例の実験例に係るリバウンドハンマーRによる硬度測定をケース5の補正方法によって補正した補正反発度とコア圧縮強度との関係を示す説明図である。
【図18】本実施例の実験例に係るリバウンドハンマーRによる硬度測定をケース6の補正方法によって補正した補正反発度とコア圧縮強度との関係を示す説明図である。
【図19】リバウンドハンマーRの従来例を示す正面断面図である。
【図20】リバウンドハンマーRの打撃角度に応じた測定値補正の従来法を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1 重錘
2 インパクトプランジャー
3 コンクリート
3a 測定面
4 リバウンドハンマー本体
5 テストアンビル
5a テスト測定面
6 保持部
7 傾動調整機構
8 ハンマーガイド部
R リバウンドハンマー
H テストアンビル保持装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、リバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法、及びテストアンビル保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリートの圧縮強度を非破壊試験によって推定する方法は、1948年にスイスのE.Schmidtが考案したシュミットハンマー法が最も一般的である。このシュミットハンマー法は、コンクリートの表面(測定面)を打撃した際の反発度から圧縮強度を推定する方法であり、具体的には、例えば、図19に図示したように、リバウンドハンマー本体4内に重錘1を摺動自在に設け、この重錘1を、前記リバウンドハンマー本体4に突没動自在に設けたインパクトプランジャー2を介してコンクリート3の測定面3aに直交方向に打撃し、この打撃時の前記重錘1の跳ね返り量によってコンクリート3の反発度(コンクリート3の硬度を示す指数)を測定し、この反発度からコンクリートの硬さ(圧縮強度)を推定するものであり、このリバウンドハンマーによるコンクリートの非破壊試験は国内においても1955年頃から長年にわたり多数の研究が為されている。
【0003】
ところで、この種のリバウンドハンマーは、測定反発度にバラツキや誤差が生じやすく、例えば、同じ製造者に製造された同一機種のリバウンドハンマーであったとしても、個々の性能に個体差が生ずる為、個々のリバウンドハンマー毎に測定反発度にバラツキが生ずるという、リバウンドハンマーの個体差に応じた測定反発度のバラツキや誤差の問題を有している。
【0004】
また、例えば、全く同じ性能のリバウンドハンマーで硬度測定を行った場合でも、測定時の、即ち、打撃時のリバウンドハンマーの打撃角度(水平方向に対する打撃角度)に応じて測定反発度にバラツキが生ずるという、リバウンドハンマーの打撃角度に応じた測定反発度のバラツキや誤差の問題を有している。即ち、たとえ同じ性能のリバウンドハンマーで同じ反発度を有するコンクリートを硬度測定したとしても、例えば、測定面が水平なコンクリートをリバウンドハンマーで鉛直方向に打撃した場合と、測定面が垂直なコンクリートをリバウンドハンマーで水平方向に打撃した場合とでは、同じ測定反発度を得ることができない。
【0005】
また、例えば、リバウンドハンマーの使用回数(打撃回数)に応じたリバウンドハンマーの性能の老朽化によって測定反発度にバラツキが生ずるという、リバウンドハンマーの新・旧(使用回数)に応じた測定反発度のバラツキや誤差の問題を有している。
【0006】
このように、リバウンドハンマーは様々な要因に基く影響を受けることから必ずしも精度の良い測定値が得られないという問題点を有するが、しかし、より秀れたコンクリート硬度測定方法の開発に至っていないため、コンクリート構造物工事の品質検査などにこのリバウンドハンマーによる硬度測定が一般的に用いられている。
【0007】
そこで、従来においては、リバウンドハンマーによりコンクリート硬度測定を行う前に、測定に使用するリバウンドンハンマーの性能を確認するため、テストアンビルを用いたリバウンドハンマーの検定を実施している。
【0008】
これは、テストアンビル(高反発度テストアンビル)をリバウンドハンマーによって打撃して硬度測定を行って得られたこのテストアンビルの測定反発度が、このテストアンビルの実際の反発度(正しい反発度)を示すかどうかを検定するものであって、具体的には、高反発度テストアンビルの反発度80を基準値とし、このテストアンビルのテスト測定面が水平方向となるようにテストアンビルを設置し、このテストアンビルのテスト測定面に対してリバウンドハンマーを下方向に(鉛直方向に)打撃して硬度測定を行い、これによって得られた測定反発度が基準値80に近い値(JIS規格では許容誤差範囲3%以内)であればこのリバウンドハンマーは正常の機能を有するものとし、一方、誤差が3%以上のリバウンドハンマーは調整(修理)が必要であると検定するものである。
【0009】
このように、従来においては、テストアンビルを用いたリバウンドハンマーの検定によって、測定に使用するリバウンドハンマーに調整(修理)が必要か否かをチェックしたとしても、検定に使用するテストアンビルの反発度が80なのに対して実際のコンクリートの硬度の多くは反発度で30〜40程度であり、上記の高反発度(反発度80)のテストアンビルによって検定した際の誤差が3%以内の(即ち、個体差や使用回数に応じた誤差が無視できる範囲内であると判断された)リバウンドハンマーを用いてコンクリートの硬度測定を行っても、実際のコンクリート硬度数値(30〜40前後)付近の測定値では個体差や使用回数に応じた測定反発度にバラツキや誤差がありすぎるのが実情となっており、よって、実際のコンクリートの反発度に近い高精度な測定反発度を得るのは困難であった。
【0010】
尚、リバウンドハンマーの打撃角度に応じた測定反発度のバラツキや誤差は、図20や下記表(表1)に示されるように、水平打撃を基準(補正不要)とし、それ以外の場合は打撃角度に応じて所定の補正値ΔRを測定反発度に加算若しくは減算するという方法で補正を行っているものの、リバウンドハンマーの個体差や、使用回数に応じて生ずる測定反発度のバラツキや誤差の補正が為されていない精度の低い測定反発度を、上記の通りリバウンドハンマーの打撃角度に応じて補正したところで、結局、精度の高い硬度数値を得ることは困難であった(尚、国内においては、図20に図示した補正値ΔRが一般的に採用されている。)。
【0011】
【表1】
【0012】
しかも、リバウンドハンマーの打撃角度に応じて生ずるバラツキや誤差も、個々のリバウンドハンマーによってこの打撃角度による誤差が大きく生じたり、または、小さく生じたりと決して一定ではないため、従来法のように打撃角度に応じて予め定められた一定の補正値ΔR(表1または図20参照)を加算したり減算したりするに過ぎない従来法では高精度な補正を達成し得ない。
【0013】
更に、上記表(表1)や図20などに示された補正値ΔRを基にしたリバウンドハンマーの打撃角度に応じた測定反発度のバラツキや誤差の補正は、リバウンドハンマーによる水平打撃による測定反発度を基準とし他の打撃角度を水平打撃に対する相対角度αに応じて補正するのに対し、テストアンビルを用いたリバウンドハンマーの検定では、リバウンドハンマーによるテストアンビルの水平打撃ではなく鉛直打撃による測定反発度を用いて検定を行うなど、補正や検定の際のリバウンドハンマーの打撃角度の統一すらされておらず、この点においても従来法のリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定は信頼性が低く、高精度な硬度数値を得るのが非常に困難であった。
【0014】
尚、上記のテストアンビルを用いた検定の際に誤差が3%以上で調整が必要とされたリバウンドハンマーでもコンクリート硬度測定が行えるように、調整が必要とされたリバウンドハンマーによって得た硬度測定値を、このリバウンドハンマーの検定時のテストアンビルの測定反発度と基準値80を用いて下記式(式1)によって補正する補正方法も従来から提案されている。
【0015】
y=(t/t’)x・・・式1
y:補正硬度数値
t:高反発度テストアンビルの基準値(=80)
t’:リバウンドハンマーにより測定した高反発度テストアンビルの測定反発度
x:リバウンドハンマーにより測定したコンクリートの測定反発度
【0016】
しかし、上述したように実際のコンクリートの硬度の多くは、反発度で30〜40程度であり、よって、上記式(式1)を用いて補正を行った場合においても、実際のコンクリートの硬度数値に近い高精度な硬度数値に補正することができないのが現状であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記問題点を解決したものであり、リバウンドハンマーの個体差や、打撃角度,使用回数などの種々の要因によって生ずる測定反発度のバラツキや誤差を良好に補正でき、リバウンドハンマーによる硬度測定によって得られたコンクリートの測定反発度から、実際のコンクリートの真の硬度数値に近い高精度な数値を算出することができる極めて実用性に秀れた画期的なリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法及びテストアンビル保持装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0019】
リバウンドハンマー本体4内に重錘1を摺動自在に設け、この重錘1を、前記リバウンドハンマー本体4に突没動自在に設けたインパクトプランジャー2を介してコンクリート3の測定面3aに直交方向から打撃し、この打撃時の前記重錘1の跳ね返り量によって前記コンクリート3の反発度を測定し得るように構成したリバウンドハンマーRによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法であって、リバウンドハンマーRの基準値を確認するテストアンビル5を傾斜調整し、このテストアンビル5のテスト測定面5aを、測定したいコンクリート3の測定面3aと等しい傾斜角度としたうえで、このテスト測定面5aを直交方向からリバウンドハンマーRにより打撃するようにして、基準値の異なる複数のテストアンビル5の硬度測定を夫々行い、このリバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた各テストアンビル5の測定反発度xと各テストアンビル5の基準値yとの相関関係を示す関係式(y=f(x))を求め、この関係式のxに、リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた測定したい前記コンクリート3の測定反発度を代入することで算出されるyの数値を、前記コンクリート3の測定反発度の補正硬度数値yとして、リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた測定反発度を高精度な硬度数値に補正することを特徴とするリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法に係るものである。
【0020】
また、前記関係式は、前記リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた各テストアンビル5の測定反発度xを独立変数,各テストアンビル5の実際の反発度yを従属変数とする回帰式(y=ax+b,y=axbなど;a,bは係数)としたことを特徴とする請求項1記載のリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法に係るものである。
【0021】
また、前記複数のテストアンビル5として、少なくとも低反発度及び高反発度のテストアンビル5、若しくは、少なくとも低反発度,中反発度及び高反発度のテストアンビル5を採用したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法に係るものである。
【0022】
また、リバウンドハンマーRの基準値を確認するテストアンビル5を保持する保持部6を傾動調整自在に保持する傾動調整機構7を備え、前記保持部6を傾動調整しこの保持部6に保持したテストアンビル5のテスト測定面5aを所定の傾斜角度に調整可能にテストアンビル保持装置Hを構成し、このテストアンビル保持装置Hにテストアンビル5を保持して、このテストアンビル5のテスト測定面5aが測定したい前記コンクリート3の測定面3aの傾斜角度と一致するようにテストアンビル5の傾斜調整を行ったうえで、このテストアンビル5のテスト測定面5aを直交方向からリバウンドハンマーRにより打撃するようにして、基準値の異なる複数のテストアンビル5の硬度測定を夫々行ったことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法に係るものである。
【0023】
また、前記テストアンビル保持装置Hは、このテストアンビル保持装置Hに保持したテストアンビル5のテスト測定面5aを直交方向から打撃できるように、このテストアンビル5の近接位置にリバウンドハンマーRを保持し打撃方向をガイドするハンマーガイド部8を備えた構成とし、このテストアンビル保持装置Hにテストアンビル5を保持して、このテストアンビル5のテスト測定面5aが測定したい前記コンクリート3の測定面3aの傾斜角度と一致するようにテストアンビル5の傾斜調整を行ったうえで、このテストアンビル5のテスト測定面5aを前記ハンマーガイド部8に保持したリバウンドハンマーRによって直交方向から打撃するようにして、基準値の異なる複数のテストアンビル5の硬度測定を夫々行ったことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法に係るものである。
【0024】
また、テストアンビル5を保持する保持部6を傾動調整自在に保持する傾動調整機構7を設け、前記保持部6を傾動調整してこの保持部6に保持した前記テストアンビル5のテスト測定面5aを所定の傾斜角度に調整可能に構成したことを特徴とするテストアンビル保持装置に係るものである。
【0025】
また、前記傾動調整機構7の保持部6に保持したテストアンビル5のテスト測定面5aを直交方向から打撃できるように、このテストアンビル5の近接位置にリバウンドハンマーRを保持し打撃方向をガイドするハンマーガイド部8を備え、前記傾動調整機構7により所定の傾斜角度に調整した前記テストアンビル5のテスト測定面5aを、前記ハンマーガイド部8に保持したリバウンドハンマーRにより直交方向から打撃して硬度測定を行えるように構成したことを特徴とする請求項6記載のテストアンビル保持装置に係るものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明は上述のようにしたから、基準値の複数のテストアンビルをリバウンドハンマーによって硬度測定し、これによって得られた各テストアンビルの測定反発度xと各テストアンビルの基準値yとの関係式(y=f(x))を用いて、リバウンドハンマーの硬度測定により得たコンクリートの測定反発度を補正することにより、この測定反発度を従来にない高精度な硬度数値に補正した補正硬度数値を算出することができる。即ち、単に一種ルのテストアンビルでなく、基準値の異なる複数のテストアンビルを用いている為、それだけ高い相関性を示す関係式を得られ、しかも、例えば、複数のテストアンビルとして高反発度のテストアンビルと低反発度のテストアンビルなどの反発度が大きく異なるテストアンビルをリバウンドハンマーにより硬度測定することで、広い硬度数値範囲に亘って、且つ、高い相関性を示す秀れた関係式が得られ、このようにして求めた関係式を用いてリバウンドハンマーによる硬度測定によって得られたコンクリートの測定反発度を補正することによって、たとえ測定に使用したリバウンドハンマーが個体差などによる測定反発値のバラツキや誤差を生ずるものであったとしてもこの測定反発度のバラツキや誤差を良好に補正でき、よって、従来例に比して極めて高精度な硬度数値が得られる。
【0027】
しかも、本発明では、単にテストアンビルのテスト測定面を水平にしてリバウンドハンマーにより鉛直打撃してこのテストアンビルの硬度測定を行うのではなく、テストアンビルを傾斜調整してこのテストアンビルのテスト測定面を、測定したいコンクリートの測定面の傾斜角度と一致させたうえでリバウンドハンマーによって硬度測定を行うことで、それだけ信頼性が高く精度の秀れた補正を可能とする秀れた関係式を得ることが可能である。更に、予め測定したいコンクリートの測定面の傾斜角度に合わせて傾斜調整したテストアンビルを硬度測定して求めた関係式によって補正を行う為、この関係式によって補正を行うことでリバウンドハンマーの個体差や使用回数に応じたバラツキや誤差を補正すると同時に、打撃角度に応じたバラツキや誤差の補正も達成するので、例えば、この関係式によって個体差や使用回数に応じた補正を行った後に、更に、従来例に記載のリバウンドハンマーの打撃角度(測定したいコンクリートの測定面の傾斜角度)に応じた補正を行う必要が無く、この精度の低い従来法による打撃角度を行うことなく打撃角度に応じたバラツキや誤差の補正を達成でき、それだけ一層精度の高い補正を達成し得る。
【0028】
よって、本発明は、リバウンドハンマーの個体差や使用回数などに応じた測定反発度のバラツキや誤差が生ずるリバウンドハンマーにより、測定面が如何なる角度に傾斜したコンクリートの硬度測定を行った場合においても、これにより得られた測定反発度を関係式に代入し、前記コンクリートの実際の硬度数値(真の値)に近い高精度な硬度数値を算出することができ、リバウンドハンマーによる硬度測定から、従来にない極めて高精度な硬度数値を得ることができる画期的で実用性に秀れたリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法となる。
【0029】
また、請求項6,7記載の発明においては、リバウンドハンマーにより硬度測定を行いたいテストアンビルを保持部に保持し、傾動調整機構により保持部を傾動調整することによってこの保持部に保持した前記テストアンビルのテスト測定面を所定の傾斜角度に傾斜角度調整を行うことも容易に為し得、よって、テストアンビルのテスト測定面が、リバウンドハンマーにより硬度測定を行いたいコンクリートの測定面と等しい傾斜角度となるようにテストアンビルの傾斜調整を行うといったことも容易に行うことができ、上記秀れたリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法の実施を簡易に達成することができる画期的なテストアンビル保持装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0031】
リバウンドハンマー本体4内に重錘1を摺動自在に設け、この重錘1を、前記リバウンドハンマー本体4に突没動自在に設けたインパクトプランジャー2を介してコンクリート3の測定面3aに直交方向に打撃し、この打撃時の前記重錘1の跳ね返り量によって前記コンクリート3の反発度を測定し得るように構成したリバウンドハンマーRにより、基準値の異なる複数のテストアンビル5を打撃し、夫々に硬度測定を行う。
【0032】
この際、各テストアンビル5は、各々に傾斜調整してこのテストアンビル5のテスト測定面5aが測定したい前記コンクリート3の測定面3aと等しい傾斜角度となるようにしたうえで、このテストアンビル5のテスト測定面5aを直交方向からリバウンドハンマーRによって打撃するようにして、この複数のテストアンビル5の硬度測定を夫々行う。
【0033】
このように傾斜調整したうえでリバウンドハンマーRによって硬度測定した各テストアンビル5の測定反発度xと、各テストアンビル5の基準値yとの相関関係を示す関係式(y=f(x))を求める。
【0034】
尚、この関係式は、例えば、前記リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた各テストアンビル5の測定反発度xを独立変数,各テストアンビル5の実際の反発度yを従属変数とする回帰式(y=ax+b,y=axbなど;a,bは係数)とした場合には、最小二乗法などの一般的な近似法により、前記リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた各テストアンビル5の測定反発度xと各テストアンビル5の基準値yとの相関関係を良好に示す相関性の秀れた(高い)関係式(y=f(x))を簡単に求められることとなる。
【0035】
この関係式のxに、リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた測定したい前記コンクリート3の測定反発度を代入することで算出されるyの数値を、前記コンクリート3の測定反発度の補正硬度数値yとして、リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた測定反発度を高精度な硬度数値に補正できることとなる。
【0036】
従って、本発明は、リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られたコンクリート3の測定反発度を補正する為の前記関係式を、基準値の異なる複数のテストアンビル5の測定反発度及び基準値を基に求めている為、それだけ複数のデータを用いた相関性の高い関係式を求めることができ、且つ、それだけ広い範囲の数値領域に対して秀れた相関性を示す関係式を求めることができ、よって、本発明に係る方法によって求めた関係式を用いて様々な反発度のコンクリート3の測定反発度を高精度な硬度数値に補正できることとなる。
【0037】
しかも、本発明では、測定したいコンクリート3の測定面3aと等しい傾斜角度となるように各テストアンビル5のテスト測定面5aを傾斜させたうえで、リバウンドハンマーRにより直交方向から打撃して硬度測定を行うこととしている。即ち、従来例のように、単にテストアンビル5のテスト測定面5aを水平にしてこのテスト測定面5aをリバウンドハンマーRにより直交方向から打撃(鉛直打撃)してリバウンドハンマーの検定に使用されているに過ぎなかった従来のテストアンビルを、本発明では、測定したいコンクリート3の測定面3aが傾斜していた場合にはこの測定面3aの傾斜に合わせてテストアンビル5を傾斜調整し、このテストアンビル5のテスト測定面5aを、測定したい前記コンクリート3の傾斜面3aの傾斜角度と一致させたうえでこのテスト測定面5aをリバウンドハンマーRにより直交方向から打撃して硬度測定を行うようにした為、このように傾斜調整したうえで硬度測定して得られた複数のテストアンビル5の各測定反発度と各基準値から関係式を求めることによって、単にテストアンビル5のテスト測定面5aを水平にして硬度測定を行う従来法に比して精度の高い補正が可能な秀れた関係式が求められることとなる。更に、予め測定したいコンクリート3の測定面3aの傾斜角度と等しい傾斜調整にテストアンビル5のテスト測定面5aを調整したうえで硬度測定を行って関係式を求めている為、従来例のように、この関係式によってリバウンドハンマーRの個体差や使用回数に応じて生ずる測定反発度のバラツキや誤差を修正した後、更に、コンクリート3の測定面の傾斜角度に対して直交方向に合わせた前記リバウンドハンマーRの打撃角度に応じて生ずるバラツキや誤差の補正を行うといった必要がなく、リバウンドハンマーRによる硬度測定により得られたコンクリート3の測定反発度を上記関係式のxに代入するだけでこのリバウンドハンマーRの個体差や使用回数に応じた測定反発度のバラツキや誤差だけでなくリバウンドハンマーRの打撃角度に応じた測定反発度のバラツキや誤差も補正できる。即ち、関係式により補正した後に、更に別途従来例に記載の精度の低い補正(打撃角度に応じた補正)を行う必要が無いので、それだけ高精度の補正を達成し得ることとなる。
【0038】
よって、本発明は、リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られたコンクリート3の測定反発値を、従来に無く極めて高精度な硬度数値に補正できる実用性に秀れた補正方法となる。
【0039】
尚、前記複数のテストアンビル5として、例えば、少なくとも低反発度及び高反発度のテストアンビル5、若しくは、少なくとも低反発度,中反発度及び高反発度のテストアンビル5を採用した場合には、反発度の大きく異なるテストアンビル5を用いて前記関係式を求める為に、それだけ広い硬度数値範囲に亘って、且つ、相関性の高い秀れた関係式が得られることとなり、一層良好に補正を行える実用性に秀れた補正方法となる。また、例えばこの低反発度及び高反発度のテストアンビル5のみ、若しくは、低反発度,中反発度及び高反発度のテストアンビル5のみを採用した場合には、僅かなテストアンビル5の硬度測定で良好な関係式が得られ、簡便な補正方法となる。
【0040】
また、請求項6,7記載の発明においては、保持部6にテストアンビル5を保持すると共に、この保持部6を傾動調整機構7によって傾動調整することにより、この保持部6に保持したテストアンビル5のテスト測定面5aを所定の傾斜角度に調整することができ、従って、テストアンビル5のテスト測定面5aが所望の傾斜角度となるようにこのテストアンビル5の傾斜調整を行うことが簡単にでき、このようにテスト測定面5aを所望の傾斜角度となるようにテストアンビル5を傾斜調整したうえでこのテスト測定面5aを直交方向からリバウンドハンマーRにより打撃して硬度測定を行うといったことも簡単に行えることとなる。
【0041】
よって、本発明に係るテストアンビル保持装置を用いることで、上記の本発明に係るリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法を容易に実施することができ、秀れた補正方法を簡易に達成可能とする画期的で実用性に秀れたテストアンビル保持装置となる。
【実施例】
【0042】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0043】
本実施例は、シュミットハンマー法によってコンクリート3の硬度測定(非破壊試験)を行うリバウンドハンマーRにより、測定したいコンクリート3の測定面3aを直交方向から打撃して硬度測定を行い、このリバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた前記コンクリート3の測定反発度を、所定の関係式に代入することによって前記コンクリート3の真の硬度数値に近い高精度な数値に補正する補正方法である。
【0044】
リバウンドハンマーRは、図19に図示した従来例と同様、コンクリート硬度測定に一般的に採用されている既存のリバウンドハンマーRを採用しており、具体的には、図4に図示したように、リバウンドハンマー本体4内に重錘1を摺動自在に設け、この重錘1を、前記リバウンドハンマー本体4に突没動自在に設けたインパクトプランジャー2を介してコンクリート3の測定面3a(又は、図4に図示したようにテストアンビル5のテスト測定面5aなどの被打撃面)を直交方向から打撃し、この打撃時の前記重錘1の跳ね返り量によって前記コンクリート3の反発度を測定し得るように構成したものである(尚、図2に図示したように、本実施例に採用しているリバウンドハンマーRは、測定値が表示される表示部13が設けられたものである。)。
【0045】
本実施例のリバウンドハンマーRによるコンクリート3硬度測定における測定値補正方法を以下に詳述する。
【0046】
本実施例では、先ず、リバウンドハンマーRによって、基準値の異なる複数のテストアンビル5の硬度測定を行う。
【0047】
この際、テストアンビル5を傾斜調整してこのテストアンビル5のテスト測定面5aが、測定したい前記コンクリート3の測定面3aと等しい傾斜角度(水平方向に対する傾斜角度)となるようにしたうえで、この傾斜したテスト測定面5aに対して直交方向からリバウンドハンマーRを打撃するようにして、各テストアンビル5の硬度測定を夫々行うもとのする。
【0048】
次いで、これら各個に傾斜調整したうえでリバウンドハンマーRにより硬度測定を行った各テストアンビル5の測定反発度xと、各テストアンビル5の基準値yとの相関関係を示す関係式(y=f(x))を求める。
【0049】
具体的には、図7に図示したように、各テストアンビル5の測定反発度xを独立変数,各テストアンビル5の基準値yを従属変数とする回帰式(y=ax+b)を求める。ここで、三種類以上のテストアンビル5を硬度測定した場合には、前記回帰式は直線式(y=ax+b)だけでなく累乗式(y=axb)とすることもできる(図7参照)。尚、これらの回帰式に係る係数a,bは、例えば最小二乗法などの近似法で推定しても良いし、他にも、いかなる手法で求めても良い。更に、この関係式は、各テストアンビル5の硬度測定値xと各テストアンビル5の基準硬度yとの相関関係を良好に(高い相関係数で)示せる関係式であれば、いかなる数式でも良い。
【0050】
この関係式(本実施例においては、回帰式y=ax+b)のxに、前記リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた測定したい前記コンクリート3の測定反発度を代入する。これによって、前記コンクリート3の真の硬度(反発度)に近い高精度な補正硬度数値yを算出することができる。
【0051】
よって、本発明は、リバウンドハンマーRにより測定したコンクリート3の測定反発度を、このコンクリート3の測定面3aの傾斜角度に応じて、言い換えれば、この測定面3aを直交方向から打撃するリバウンドハンマーRの水平方向に対する打撃角度αに応じて求めた前記関係式(回帰式)に代入することにより、この測定反発度を実際のコンクリート3の真の硬度数値に近い高精度の硬度数値に前記測定反発度を補正することができ、リバウンドハンマーRによるコンクリート硬度測定から、従来にない極めて高精度な硬度数値を得ることが可能な画期的で実用性に秀れたリバウンドハンマーRによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法となる。
【0052】
尚、本実施例に使用する複数のテストアンビル5には、少なくとも低反発度及び高反発度のテストアンビル5、若しくは、少なくとも低反発度,中反発度及び高反発度のテストアンビルを採用している。具体的には、本実施例においては、低反発度として反発度30,中反発度として反発度50,高反発度として反発度80のテストアンビル5を採用している。この各テストアンビル5の基準値は夫々、30,50,80とする(尚、この基準値30,50,80は各テストアンビル5のテスト測定面5aを水平にしてリバウンドハンマーRにより垂直打撃した場合の各テストアンビル5の反発度の数値であって、各テストアンビル5のテスト測定面5aを垂直にしてリバウンドハンマーRにより水平打撃した場合の各テストアンビル5の反発度の数値33.0,51.9,80.2を基準値として採用しても良い。)。尚、この低反発度,中反発度及び高反発度のテストアンビル5の夫々の反発度は本実施例のものに限らず、一方のテストアンビル5の反発度に対する他方のテストアンビル5の反発度の相対的な関係に基いて設定されるものであり、低反発度のテストアンビル5の反発度30、中反発度のテストアンビル5の反発度50、高反発度のテストアンビル5の反発度80の数値に限られるものではない。
【0053】
また、本実施例においては、これら複数のテストアンビル5をリバウンドハンマーRにより硬度測定する際に、具体的には、図1に図示したようにテストアンビル保持装置Hを使用して行っている。
【0054】
このテストアンビル保持装置Hは、図1に図示したように、テストアンビル5を保持する保持部6を傾動調整自在に保持する傾動調整機構7を設け、前記保持部6を傾動調整してこの保持部6に保持した前記テストアンビル5のテスト測定面5aを所定の傾斜角度に傾斜調整可能に構成したものである。
【0055】
また、このテストアンビル保持装置Hには、前記傾動調整機構7の保持部6に保持したテストアンビル5のテスト測定面5aを直交方向から打撃できるように、このテストアンビル5の近接位置にリバウンドハンマーRを保持し打撃方向をガイドするハンマーガイド部8を備えている。
【0056】
従って、このテストアンビル保持装置Hにテストアンビル5を保持することで、このテストアンビル5のテスト測定面5aを、傾動調整機構7により測定したい前記コンクリート3の測定面3aの傾斜角度と一致するように傾動調整したうえで、ハンマーガイド部8に保持したリバウンドハンマーRにより、所定の傾斜角度に調整した前記テストアンビル5のテスト測定面5aを確実に直交方向から打撃し硬度測定を行える。
【0057】
具体的には、傾動調整機構7は、平板状の載置板9上に前記保持部6を設けて、この保持部6にテストアンビル5の先端を固定して載置板9に横設状態にテストアンビル5を載置保持し得るように構成し、この載置板9の下端部を図1中、左右方向に移動自在とし、この載置板9の上端部を柱や壁などの立部11に上下方向に複数並設状態に設けた角度調整用孔11aのうちのいずれか一つに選択係合固定せしめることで、この載置板9の角度を調整し、この載置板9の保持部6に保持したテストアンビル5のテスト測定面5を所望の角度に調整し得るように構成したものである。尚、傾動調整機構7は本実施例の構成に限らず、前記保持部6に保持したテストアンビル5を傾斜調整してこのテストアンビル5のテスト測定面5aの傾斜角度を調整し得る構成であれば良い。また、前記載置板9の水平方向に対する相対角度が確認できるように、テストアンビル保持装置Hに水平器や分度器などを備えた構成としても良いし、予め前記載置板9が決められた角度(例えば30°,45°,60°など)となるように、前記立部11の所定高さに前記角度調整用孔11aを複数並設状態に配設する構成としても良い。
【0058】
また、この載置板9に設けた保持部6は、具体的には、図1及び図3に図示したように、載置板9から突出状態に設け前記テストアンビル5の先端側に当接する当接板6aと、載置板9の上端側(図1中、左上側)に配設されて前記テストアンビル5の底面に当接状態に配設される支持体12(十分な硬度を有するコンクリート体など)との間にテストアンビル5を介存配設し、この当接板6aと支持体12とにより前記テストアンビル5を挟持状態に固定する構成としている。更に具体的には、図3に図示したように、テストアンビル5の底面に当接状態に設けた支持体12の更に基端側(図3中、左側)に当接状態に板状の締め付け板10を沿設配設し、この締め付け板10に締め付けボルト17を挿通し、この締め付けボルト17を夫々、前記当接板6aの両端側(図3中、上下両端側)に複数設けたボルト挿通孔(図示省略)に挿通してこの締め付けボルト17の先端にナット17aを螺合し、この締め付けボルト17とナット17aによる締め付け押圧によって、前記テストアンビル5を当接板6aと支持体12により挟持状態に締め付け固定するように前記保持部6を構成している。
【0059】
従って、テストアンビル5を保持部6に確実に保持できるだけでなく、テストアンビル5の底面に支持体12を当接状態に配設しているので、リバウンドハンマーRによる打撃時にテストアンビル5の底部を支持し良好に打撃試験(硬度測定)が行える。
【0060】
また、ハンマーガイド部8は、具体的には、図3に図示したように、このハンマーガイド部8の先端側に設けた筒状の抱持固定部14にテストアンビル5の先端側を嵌挿配設すると共に、このテストアンビル5の先端側の左右に設けられた取付孔16に締め付けネジ14aの先端を嵌挿し、このハンマーガイド部8をテストアンビル5の先端側に取り付け固定可能な構成としている。また、この抱持固定部14に固定したテストアンビル5に、図2に図示したようにリバウンドハンマーRのインパクトプランジャー2を差し込み状態にしてこのリバウンドハンマーRの先端側を固定し、このリバウンドハンマーRの基端側は、ハンマーガイド部8の基端側(図2中、右下側)に設けた押動操作部15に固定し得るように構成している。また、この押動操作部15はハンマーガイド部8の前後方向にスライド移動自在に構成しており、この押動操作部15のハンドル15aを操作してリバウンドハンマーRを基端側からこの押動操作部15により先端側に押圧し得るように構成している。
【0061】
従って、図2に図示したように、このハンマーガイド部8によってテストアンビル5のテスト測定面5aに対して直交方向から打撃し得るようにリバウンドハンマーRを保持し、このハンマーガイド部8の押動操作部15によりリバウンドハンマーRを押動操作し前記テストアンビル5を打撃し硬度測定が行える。
【0062】
尚、本実施例では、このハンマーガイド部8に対してテストアンビル5及びリバウンドハンマーRが着脱自在に構成しているが、例えば、テストアンビル5若しくはリバウンドハンマーRに予め前記ハンマーガイド部8が一体に備えられる構成としても良い。
【0063】
よって、このテストアンビル保持装置Hを用いれば、テストアンビル5を保持部6に保持し、このテストアンビル5のテスト測定面5aが測定したい前記コンクリート3の測定面3aの傾斜角度と一致するようにテストアンビル5の傾斜調整を傾斜調整機構7により行ったうえで、このテストアンビル5のテスト測定面5aを前記ハンマーガイド部8に保持したリバウンドハンマーRによって直交方向から打撃するようにして、基準値の異なる複数のテストアンビル5の硬度測定を夫々行うことができ、本発明に係るリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正を簡易に実施できることと成り、よって、一層簡便なリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定に置ける測定値補正方法となる。
【0064】
尚、本実施例においては、テストアンビル保持装置Hの保持部6にテストアンビル5を保持し、傾動調整機構7によってこのテストアンビル5のテスト測定面5aを、測定したい前記コンクリート3の測定面3aの傾斜角度と一致させたうえで、リバウンドハンマーRによって硬度測定を行うようにしたが、この傾動調整機構7を使用しなくとも、即ち、図1に図示したように、載置板9にテストアンビル5を載置状態に保持してこの載置板9の傾斜角度を調整することで前記テストアンビル5を傾斜調整するといったことをせずとも、図2に図示したように硬度測定を行うテストアンビル5に対してハンマーガイド部5によりリバウンドハンマーRを直交方向から打撃し得るように保持した状態で、図5及び図6に図示したように、測定したいコンクリート3の測定面3aに直接テストアンビル5を載置してリバウンドハンマーRにより硬度測定を行うことで、必然的にテストアンビル5のテスト測定面5aを、測定したい前記コンクリート3の測定面3aと一致させたうえで硬度測定を行うことができ、このようにして本実施例に係る補正方法を実施しても良い。また、これらのテストアンビル5やリバウンドハンマーRを保持し傾動調整を行う装置を一切使用せずとも、例えば、図4に図示したように、測定したいコンクリート3の測定面3aに直接テストアンビル5の底面を当接状態に載置して手で押さえるなどして保持し、このテストアンビル5のテスト測定面5aを直交方向からリバウンドハンマーRで打撃して硬度測定を行っても良い。このように、テストアンビル保持装置Hなどの装置を使用せずとも本実施例の補正方法は実施可能であり、どのような方法でテストアンビル5のテスト測定面5aを測定したい前記コンクリート3の測定面3aの傾斜角度と一致させたうえでこのテスト測定面5aを直交方向からリバウンドハンマーRにより打撃し硬度測定を行っても良い。
【0065】
以下、本実施例の作用効果を更に具体的に示す実験例を示す。
【0066】
<試験装置>
テストアンビル5は、図1に図示したように、打撃が一定の測定面・角度で行われるように、リバウンドハンマーRを支承保持する保持装置に保持すると共に、このテストアンビル5の底面が支持体12(コンクリート体)に当接状態となるように保持して、前記リバウンドハンマーRによりこのテストアンビル5のテスト測定面5aを直交方向から打撃して反発度を測定する。
【0067】
リバウンドハンマーRは、同一機種のものを12本使用する。
【0068】
<リバウンドハンマーRによる硬度測定値の基準値と補正方法>
a.基準値は、リバウンドハンマーRで鉛直方向に打撃した際に30,50及び80の反発度を有するテストアンビルの各反発度を基準値として定義(尚、水平方向に打撃した際には33,51.9,80.2であり、これを基準値と定義しても良い。)。
【0069】
b.リバウンドハンマーRの個体差
リバウンドハンマーR(12本)の打撃角度による固体差(図9)
リバウンドハンマーR(12本)の製造上の個体差(図10及び図11)
【0070】
c.リバウンドハンマーRの個体差に応じた反発度の補正方法
リバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた測定反発度を、図8に図示したように、ケース1〜ケース6の異なる補正方法により補正し、この補正反発度と、コア圧縮強度(真の硬度数値)との関係を図示すると共に相関性Rを比較することによって、これらの複数の補正方法の補正精度を比較する。
【0071】
(1)ケース0:測定値で補正なしの場合(図12、R=0.790)
【0072】
(2)硬さの基準値:鉛直打撃80のアンビルで反発度が誤差3%以内(または反発度80±2の範囲)のリバウンドハンマーであるかを点検
ケース1:従来法どうり水平反発度を基準とし、角度のみを一定値(表1)で補す
る場合(図13、R=0.803)
【0073】
(3)硬さの基準値:鉛直打撃80のテストアンビル
ケース2:下向き打撃で80の硬さのアンビルを基準とし、個体差(y=ax式)
及び角度を一定値(表1)で補正する場合(図14、R=0.818)
【0074】
(4)硬さの基準値:鉛直打撃30及び80のテストアンビル
ケース3:個体差は鉛直打撃で補正式(y=ax+b)を求め補正する。打撃角度
の補正は、打撃角度による機差はなしで一定値とし下向き打撃値を求め
、補正式(y=ax+b)で補正する場合(図15、R=0.836)
ケース4:個体差は打撃方向ごとに補正式(y=ax+b)を求め補正する。打撃
角度の補正は、打撃角度による個体差はありとして打撃方向ごとに補正
式を求めるため不要とする場合(図16、R=0.862)
【0075】
(5)硬さの基準値:鉛直打撃30、50及び80のテストアンビル
ケース5:個体差は打撃方向ごとに補正式(y=ax+b)を求め補正する。打撃
角度の補正は、打撃角度による個体差はありとして打撃方向ごとに補正
式を求めるため不要とする場合(図17、R=0.872)
ケース6:個体差は打撃方向ごとに補正式(y=axb)を求め補正する。打撃角
度の補正は、打撃角度による個体差はありとして打撃方向ごとに補正式
を求めるため不要とする場合(図18、R=0.866)
【0076】
上述した本実施例に係るリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法は、本実験に係るケース5による補正方法と同様である。
【0077】
図13〜図18(図12は補正無しなので除外)に示されるように、ケース1〜ケース6の補正方法のなかで、ケース5(図17)の補正方法が、最も補正反発度とコア圧縮強度(真の硬度数値)との相関性が高く、このケース5の補正方法によって求めた補正反発度が最もコア圧縮強度に近い高精度な補正が可能な方法である。
【0078】
従って、本実施例の測定方法(即ち、ケース5の補正方法)を用いれば、たとえリバウンドハンマーRが個体差や、使用回数(リバウンドハンマーR自体の老朽化など)により測定反発度にバラツキや誤差が生ずるものであったとしても、更に測定時のリバウンドハンマーRの打撃角度、即ち測定面3aの傾斜角度がどのような角度であったとしても、このリバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた測定反発度からコア圧縮強度(即ち、真の硬度数値)に近い極めて高精度な補正硬度数値を算出でき、従来にない極めて信頼性の高く精度に秀れた硬度数値が得られることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本実施例に係るリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法を示す説明正面図である。
【図2】本実施例に係るハンマーガイド部8の説明斜視図である。
【図3】本実施例に係るテストアンビル保持装置Hの説明平面図である。
【図4】本実施例に係るリバウンドハンマーRの説明正面図である。
【図5】本実施例に係るリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法の別例を示す図である。
【図6】本実施例に係るリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法の別例を示す図である。
【図7】本実施例に係るリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法の説明図である。
【図8】本実施例の実験例に係る補正方法の比較図である。
【図9】本実施例の実験例に係る複数のリバウンドハンマーRによる打撃角度と測定反発度との関係を示す説明図である。
【図10】本実施例の実験例に係るリバウンドハンマーRにより鉛直方向にテストアンビル5を打撃した際の測定反発度と基準値との関係を示す説明図である。
【図11】本実施例の実験例に係るリバウンドハンマーRにより水平方向にテストアンビル5を打撃した際の測定反発度と基準値との関係を示す説明図である。
【図12】本実施例の実験例に係るリバウンドハンマーRによる硬度測定によって得られた測定反発度とコア圧縮強度との関係を示す説明図である。
【図13】本実施例の実験例に係るリバウンドハンマーRによる硬度測定をケース1の補正方法によって補正した補正反発度とコア圧縮強度との関係を示す説明図である。
【図14】本実施例の実験例に係るリバウンドハンマーRによる硬度測定をケース2の補正方法によって補正した補正反発度とコア圧縮強度との関係を示す説明図である。
【図15】本実施例の実験例に係るリバウンドハンマーRによる硬度測定をケース3の補正方法によって補正した補正反発度とコア圧縮強度との関係を示す説明図である。
【図16】本実施例の実験例に係るリバウンドハンマーRによる硬度測定をケース4の補正方法によって補正した補正反発度とコア圧縮強度との関係を示す説明図である。
【図17】本実施例の実験例に係るリバウンドハンマーRによる硬度測定をケース5の補正方法によって補正した補正反発度とコア圧縮強度との関係を示す説明図である。
【図18】本実施例の実験例に係るリバウンドハンマーRによる硬度測定をケース6の補正方法によって補正した補正反発度とコア圧縮強度との関係を示す説明図である。
【図19】リバウンドハンマーRの従来例を示す正面断面図である。
【図20】リバウンドハンマーRの打撃角度に応じた測定値補正の従来法を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1 重錘
2 インパクトプランジャー
3 コンクリート
3a 測定面
4 リバウンドハンマー本体
5 テストアンビル
5a テスト測定面
6 保持部
7 傾動調整機構
8 ハンマーガイド部
R リバウンドハンマー
H テストアンビル保持装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リバウンドハンマー本体内に重錘を摺動自在に設け、この重錘を、前記リバウンドハンマー本体に突没動自在に設けたインパクトプランジャーを介してコンクリートの測定面に直交方向から打撃し、この打撃時の前記重錘の跳ね返り量によって前記コンクリートの反発度を測定し得るように構成したリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法であって、リバウンドハンマーの基準値を確認するテストアンビルを傾斜調整し、このテストアンビルのテスト測定面を、測定したいコンクリートの測定面と等しい傾斜角度としたうえで、このテスト測定面を直交方向からリバウンドハンマーにより打撃するようにして、基準値の異なる複数のテストアンビルの硬度測定を夫々行い、このリバウンドハンマーによる硬度測定によって得られた各テストアンビルの測定反発度xと各テストアンビルの基準値yとの相関関係を示す関係式(y=f(x))を求め、この関係式のxに、リバウンドハンマーによる硬度測定によって得られた測定したい前記コンクリートの測定反発度を代入することで算出されるyの数値を、前記コンクリートの測定反発度の補正硬度数値yとして、リバウンドハンマーによる硬度測定によって得られた測定反発度を高精度な硬度数値に補正することを特徴とするリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法。
【請求項2】
前記関係式は、前記リバウンドハンマーによる硬度測定によって得られた各テストアンビルの測定反発度xを独立変数,各テストアンビルの実際の反発度yを従属変数とする回帰式(y=ax+b,y=axbなど;a,bは係数)としたことを特徴とする請求項1記載のリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法。
【請求項3】
前記複数のテストアンビルとして、少なくとも低反発度及び高反発度のテストアンビル、若しくは、少なくとも低反発度,中反発度及び高反発度のテストアンビルを採用したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法。
【請求項4】
リバウンドハンマーの基準値を確認するテストアンビルを保持する保持部を傾動調整自在に保持する傾動調整機構を備え、前記保持部を傾動調整しこの保持部に保持したテストアンビルのテスト測定面を所定の傾斜角度に調整可能にテストアンビル保持装置を構成し、このテストアンビル保持装置にテストアンビルを保持して、このテストアンビルのテスト測定面が測定したい前記コンクリートの測定面の傾斜角度と一致するようにテストアンビルの傾斜調整を行ったうえで、このテストアンビルのテスト測定面を直交方向からリバウンドハンマーにより打撃するようにして、基準値の異なる複数のテストアンビルの硬度測定を夫々行ったことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法。
【請求項5】
前記テストアンビル保持装置は、このテストアンビル保持装置に保持したテストアンビルのテスト測定面を直交方向から打撃できるように、このテストアンビルの近接位置にリバウンドハンマーを保持し打撃方向をガイドするハンマーガイド部を備えた構成とし、このテストアンビル保持装置にテストアンビルを保持して、このテストアンビルのテスト測定面が測定したい前記コンクリートの測定面の傾斜角度と一致するようにテストアンビルの傾斜調整を行ったうえで、このテストアンビルのテスト測定面を前記ハンマーガイド部に保持したリバウンドハンマーによって直交方向から打撃するようにして、基準値の異なる複数のテストアンビルの硬度測定を夫々行ったことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法。
【請求項6】
テストアンビルを保持する保持部を傾動調整自在に保持する傾動調整機構を設け、前記保持部を傾動調整してこの保持部に保持した前記テストアンビルのテスト測定面を所定の傾斜角度に調整可能に構成したことを特徴とするテストアンビル保持装置。
【請求項7】
前記傾動調整機構の保持部に保持したテストアンビルのテスト測定面を直交方向から打撃できるように、このテストアンビルの近接位置にリバウンドハンマーを保持し打撃方向をガイドするハンマーガイド部を備え、前記傾動調整機構により所定の傾斜角度に調整した前記テストアンビルのテスト測定面を、前記ハンマーガイド部に保持したリバウンドハンマにより直交方向から打撃して硬度測定を行えるように構成したことを特徴とする請求項6記載のテストアンビル保持装置。
【請求項1】
リバウンドハンマー本体内に重錘を摺動自在に設け、この重錘を、前記リバウンドハンマー本体に突没動自在に設けたインパクトプランジャーを介してコンクリートの測定面に直交方向から打撃し、この打撃時の前記重錘の跳ね返り量によって前記コンクリートの反発度を測定し得るように構成したリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法であって、リバウンドハンマーの基準値を確認するテストアンビルを傾斜調整し、このテストアンビルのテスト測定面を、測定したいコンクリートの測定面と等しい傾斜角度としたうえで、このテスト測定面を直交方向からリバウンドハンマーにより打撃するようにして、基準値の異なる複数のテストアンビルの硬度測定を夫々行い、このリバウンドハンマーによる硬度測定によって得られた各テストアンビルの測定反発度xと各テストアンビルの基準値yとの相関関係を示す関係式(y=f(x))を求め、この関係式のxに、リバウンドハンマーによる硬度測定によって得られた測定したい前記コンクリートの測定反発度を代入することで算出されるyの数値を、前記コンクリートの測定反発度の補正硬度数値yとして、リバウンドハンマーによる硬度測定によって得られた測定反発度を高精度な硬度数値に補正することを特徴とするリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法。
【請求項2】
前記関係式は、前記リバウンドハンマーによる硬度測定によって得られた各テストアンビルの測定反発度xを独立変数,各テストアンビルの実際の反発度yを従属変数とする回帰式(y=ax+b,y=axbなど;a,bは係数)としたことを特徴とする請求項1記載のリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法。
【請求項3】
前記複数のテストアンビルとして、少なくとも低反発度及び高反発度のテストアンビル、若しくは、少なくとも低反発度,中反発度及び高反発度のテストアンビルを採用したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法。
【請求項4】
リバウンドハンマーの基準値を確認するテストアンビルを保持する保持部を傾動調整自在に保持する傾動調整機構を備え、前記保持部を傾動調整しこの保持部に保持したテストアンビルのテスト測定面を所定の傾斜角度に調整可能にテストアンビル保持装置を構成し、このテストアンビル保持装置にテストアンビルを保持して、このテストアンビルのテスト測定面が測定したい前記コンクリートの測定面の傾斜角度と一致するようにテストアンビルの傾斜調整を行ったうえで、このテストアンビルのテスト測定面を直交方向からリバウンドハンマーにより打撃するようにして、基準値の異なる複数のテストアンビルの硬度測定を夫々行ったことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法。
【請求項5】
前記テストアンビル保持装置は、このテストアンビル保持装置に保持したテストアンビルのテスト測定面を直交方向から打撃できるように、このテストアンビルの近接位置にリバウンドハンマーを保持し打撃方向をガイドするハンマーガイド部を備えた構成とし、このテストアンビル保持装置にテストアンビルを保持して、このテストアンビルのテスト測定面が測定したい前記コンクリートの測定面の傾斜角度と一致するようにテストアンビルの傾斜調整を行ったうえで、このテストアンビルのテスト測定面を前記ハンマーガイド部に保持したリバウンドハンマーによって直交方向から打撃するようにして、基準値の異なる複数のテストアンビルの硬度測定を夫々行ったことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリバウンドハンマーによるコンクリート硬度測定における測定値補正方法。
【請求項6】
テストアンビルを保持する保持部を傾動調整自在に保持する傾動調整機構を設け、前記保持部を傾動調整してこの保持部に保持した前記テストアンビルのテスト測定面を所定の傾斜角度に調整可能に構成したことを特徴とするテストアンビル保持装置。
【請求項7】
前記傾動調整機構の保持部に保持したテストアンビルのテスト測定面を直交方向から打撃できるように、このテストアンビルの近接位置にリバウンドハンマーを保持し打撃方向をガイドするハンマーガイド部を備え、前記傾動調整機構により所定の傾斜角度に調整した前記テストアンビルのテスト測定面を、前記ハンマーガイド部に保持したリバウンドハンマにより直交方向から打撃して硬度測定を行えるように構成したことを特徴とする請求項6記載のテストアンビル保持装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2007−17386(P2007−17386A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−201545(P2005−201545)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年2月25日 社団法人土木学会西武支部発行の「平成16年度 土木学会西武支部研究発表会講演概要集」に発表
【出願人】(503361813)学校法人 中村産業学園 (26)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年2月25日 社団法人土木学会西武支部発行の「平成16年度 土木学会西武支部研究発表会講演概要集」に発表
【出願人】(503361813)学校法人 中村産業学園 (26)
【Fターム(参考)】
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