説明

リパーゼ抑制剤としてのアルキルカルバマート置換したβ−ラクトン

一般式I[前記式中、R、R及びnは明細書において挙げた意味を有する]の置換したβ−ラクトン(オキセタノン)及び膵リパーゼ阻害性の作用を有するこれらの化合物を含有する医薬品が記載される。更に、前記式Iの化合物の製造方法及びこれらの方法の中間生成物が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非分枝のアルキルカルバマート側鎖により置換したβ−ラクトン(オキセタノン)であって、大型哺乳類及びヒトでの、肥満並びにこれに伴う随伴疾病及び/又は付随疾病、特にメタボリックシンドローム及び心臓血管疾病の治療及び/又は予防に適する非分枝のアルキルカルバマート側鎖により置換したβ−ラクトン(オキセタノン)に関する。更に本発明は、これらの新規の化合物を含有する医薬組成物並びに前記化合物の製造方法に関する。前記の本発明による化合物はこの際、リパーゼ、特に膵リパーゼの抑制剤として作用する。
【0002】
EP0444482 A2から、膵リパーゼ阻害性の作用を有する分枝した側鎖により置換したオキセタノンが既に公知である。
【0003】
EP0129748 A1から、ヘキサデカン酸誘導体及びヘキサデカジエン酸誘導体が既に公知であり、これらは膵リパーゼを阻害し、従って肥満及び高脂血症の克服又は防止の際に使用されることが可能である。
【0004】
刊行物WO03/050154 A2は、特にまた、側鎖により置換されたオキセタノンを触媒によるカルボニル化のための基質として記載する。
【0005】
本発明の課題は従って、肥満並びにその随伴疾病及び/又は付随疾病の治療及び/又は予防のための新規のリパーゼ抑制性に作用する医薬品であって、良好に作用しかつ単純な方法で得られることが可能である医薬品を提供することである。
【0006】
このアルキルカルバマート−側鎖において非分枝のアルキルカルバマート置換したβ−ラクトンのグループは、リパーゼ、特に膵リパーゼの抑制剤として作用することが見出された。前記の本発明による化合物は従って、哺乳類、特にヒトで、膵リパーゼにより誘発された脂肪消化を減少させることが可能であり、これによりこれらの身体に全体としてより少ない使用可能な栄養脂肪を提供することが可能である。前記の本発明による化合物は従って、肥満及びこの関連にある疾病の治療及び/又は予防に適していているように見える。
【0007】
本発明の対象は、一般式I
【0008】
【化1】

[前記式中、
1〜18−アルキルであって、そのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているC1〜18−アルキル;フェニル−C0〜18−アルキルであって、そのフェニル基が場合により1〜2回ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、C1〜8−アルキル、C1〜8−アルコキシ、C1〜6−アルキルカルボニル、C1〜6−アルコキシカルボニル、フェニル、ベンジル、及び/又はフェノキシによって置換されていてかつそのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているフェニル−C0〜18−アルキル;C3〜7−シクロアルキル−C0〜18−アルキルであって、そのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているC3〜7−シクロアルキル−C0〜18−アルキル、又はベンゾイルを表す;
1〜12−アルキルであって、そのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているC1〜12−アルキル;フェニル−C1〜18−アルキルであって、そのフェニル基が場合により1〜2回ハロゲン、C1〜4−アルキル、C1〜4−アルコキシ、ベンジル及び/又はフェノキシにより置換されていてかつそのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているフェニル−C1〜18−アルキル;又はC3〜7−シクロアルキル−C0〜18−アルキルであって、そのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているC3〜7−シクロアルキル−C0〜18−アルキルを表し、かつ
n 2〜8の整数を表す]のリパーゼ抑制性に作用するアルキルカルバマート置換したβ−ラクトンである。
【0009】
更に、本発明の対象は式Iの化合物を含有する医薬品である。更に、本発明の対象は、前記式Iの化合物の製造方法及びこれらの方法の中間生成物である。
【0010】
前記式Iの化合物において又はその他の本発明の枠内に記載された化合物において、置換基がアルキルを意味するか又は含有する場合は、これらはそれぞれ直鎖であるか又は分枝していてよい。前記式Iの化合物における置換基がハロゲンである場合は、フッ素、塩素、又は臭素が考慮される。塩素が有利である。
【0011】
は有利にはフェニル−C0〜2−アルキルであって、そのフェニル基は場合により上述したように置換されている。有利な置換基はC1〜4−アルキル、C1〜4−アルコキシ及びフェノキシである。特にRは、4−フェノキシフェニル、ベンジル、フェニルエチル又は4−エトキシベンジルであってよい。4−フェノキシフェニルは特に有利である。
【0012】
は有利にはアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているC2〜6−アルキルであって、特にヘキシルである。Rが場合により、前記フェニル基において置換されたフェニル−C1〜18−アルキルを表す場合は、フェニル−C2〜4アルキルが有利である。
【0013】
nは有利には2〜5の整数を表す。
【0014】
前記ラクトン環の2位にある炭素の置換基及び前記ラクトン環の3位にある炭素の置換基が、相互にtrans位を占める、式Iの化合物が有利である。
【0015】
特に有利な式Iの化合物は、5−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イル)−ペンチル−(フェノキシフェニル)−カルバマート及び4−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イル)−ブチル−(フェノキシフェニル)−カルバマートからなるグループから選択されていて、これらは特に有利にはそれぞれその2S,3S−trans−形にある。
【0016】
β−ラクトン(オキセタン)の数々の製造方法が公知である(参照、例えば:A.Pommier,J.−M.Pons,Synthesis (1993)441−459)。本発明により、一般式II
【0017】
【化2】

[前記式中、R及びnは上述の意味を有する]の化合物
を一般式III
【0018】
【化3】

[前記式中、Rは上述の意味を有する]の化合物と反応させることにより、前記の一般式Iの新規の化合物が得られる。
【0019】
前記式IIのアルコール誘導体と、前記式IIIのイソシアナート化合物との反応は、公知の方法で実施されてよく、例えば反応条件下で不活性の溶媒、例えば双極性非プロトン溶媒、特に低級アルキルハロゲン化物、有利にはジクロロメタン中で実施されてよい。通常の反応温度は、約−25℃〜約50℃にある。大抵は、前記反応温度は、この反応パートナーの接合の間に、約−25℃〜10℃、有利には0℃に保たれ、及び完全な接合の後には約15℃〜50℃、有利には室温(=RT)に高められる。いくつかの場合には、所定の反応時間、例えば2時間後に、前記反応混合物に、非求核性塩基、例えば有機窒素塩基、例えばジイソプロピルエチルアミン(=「Huenig塩基」)を添加し、引き続き前記反応の完全性のために所定の時間、例えば新たに2時間更に反応させる。式Iの化合物は引き続き、自体公知の方法で前記反応混合物から単離され、かつ必要があれば精製されてよい。
【0020】
前記式IIの化合物は、アルコール官能基で保護された、一般式IVa
【0021】
【化4】

[前記式中、R及びnは上述の意味を有し、かつR301はアルコール保護基である]のラクトン化合物から自体公知の方法で、前記アルコール保護基の開裂により得られる。アルコール官能基のための適した保護基並びにこの導入及び開裂のための方法は、例えばMcOmie, "Protective Groups in Organic Chemistry", Plenum Press,及びGreene, Wuts, "Protective Groups in Organic Synthesis", Wiley Interscience Publication(それぞれ初版において)から公知である。特に適したアルコール保護基R301は、ベンジル、テトラヒドロピラニル、メトキシメチル(=MOM)、メトキシエトキシメチル(=MEM)及びシリル−アルコール保護基、特に第三ブチルジメチルシリル及びトリエチルシリルからなるグループから選択されている。
【0022】
式IIの化合物は新規の化合物であり、これは有利には、新規の薬理学的な活性のある作用物質の製造のための、例えば前記式Iの化合物の製造のための中間生成物として適している。
【0023】
式IIIの化合物は自体公知であるか又は自体公知の方法で、公知の化合物から製造されてよい。
【0024】
式IVaの化合物は新規の化合物であり、これは有利には、新規の薬理学的な活性のある作用物質の製造のための、例えば前記式Iの化合物の製造のための中間生成物として適している。式IVaの化合物、特に化合物3−ヘキシル4−{5[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]ペンチル}オキセタン−2−オン及び3−ヘキシル−4−[5(ベンジルオキシ)ペンチル}]オキセタン−2−オンは、同様に既に膵リパーゼ抑制性の作用を示し、従って同様に肥満並びにその随伴疾病及び/又は付随疾病の治療及び/又は予防に適切であるようである。式IVの化合物から、アルコール保護基R301は自体公知の方法で、この遊離のアルコール官能基を得るために更に開裂されてよい。このようにして、一般式IVの化合物が入手可能である
【0025】
【化5】

[前記式中、R及びnは上述の意味を有し、かつRは水素又はアルコール保護基を表す]。
【0026】
式IVaの化合物は、第1の変形において、一般式V
【0027】
【化6】

[前記式中、R、R301及びnは上述の意味を有する]
のβ−ヒドロキシカルボン酸を、自体公知の方法でβ−ラクトンにまで環化することで得られてよい。前記の環化は例えば、前記式IVaの化合物と、カルボン酸官能基と一緒で容易に開裂可能な脱離基を生じる剤との反応により実施されてよく、例えばスルホン酸誘導体、例えばトルエンスルホン酸塩化物とで実施されてよい。同様に、前記式IVaの化合物において自体公知の方法で前記の遊離のアルコール官能基を相応して活性化させることも可能であり、これは前記基を、場合により活性化したカルボン酸官能基、例えばカルボキシラートの求核性の攻撃にさらすためである。
【0028】
式Vの化合物は、第1の変形において、
一般式VI
【0029】
【化7】

[前記式中、R301及びnは上述の意味を有する]
のアルデヒドを、自体公知の方法で、一般式VII
【0030】
【化8】

[前記式中、Rは上述の意味を有し、かつRは水素又はC1〜4−アルキルを表す]
のカルボン酸誘導体と反応させることで製造されてよい。前記反応の実施のためには、前記式VIIの化合物をまず自体公知の方法で、強力な非求核性の塩基、例えばリチウムジイソプロピルアミド(=LDA)で−場合により2回−脱プロトンし、かつこの相応するカルバニオンを引き続き前記式VIの化合物と反応させてよい。この前述の変形により製造された、式Vの化合物は通常は、前記の置換基「R」及び「β−ヒドロキシ」を有する炭素原子に関して定義された立体化学を有さず、かつ従って「syn/anti混合物」として存在する。
【0031】
式VIのアルデヒドは、一般式VIII
【0032】
【化9】

[前記式中、R301及びnは上述の意味を有する]
の第一アルコールの、自体公知の選択的酸化により製造されてよい。前記の選択的酸化は例えば、いわゆる「Swern酸化」として実施されてよく、その際酸化剤としてジメチルスルホキシド(=DMSO)を、求電子剤、例えば塩化オキサリルの存在下で使用してよい。更に、選択的酸化は、酸化剤としてピリジニウムクロロクロマート(=PCC)と共に実施されてもよい。前記式VIIIの化合物は自体公知であるか又は自体公知の方法で製造されてよく、特に、この相応するベースとなる末端ジオールへの適したアルコール保護基の自体公知の導入により製造されてよい。
【0033】
式VIIの化合物は自体公知であるか又は自体公知の方法で公知の化合物から製造されてよい。
【0034】
式Vの化合物は、また第2の変形において、
一般式IX
【0035】
【化10】

[前記式中、R301及びnは上述の意味を有し、かつR401はC1〜4−アルキル、特にメチルを表す]の化合物を自体公知の方法で、まず強力な非求核性の塩基、例えばリチウム低級アルキル化合物、特にLDAで、2回脱プロトンし、かつ引き続きこの脱プロトンした中間生成物を、一般式X
【0036】
【化11】

[前記式中、Rは上述の意味を有し、かつXは開裂可能な脱離基、例えばハロゲン、特にヨウ素、臭素又は塩素、有利にはヨウ素である]の化合物と反応させ、このエステル基R401を次に自体公知の方法で開裂することで製造されてよい。前記脱プロトン並びに前記式Xの化合物とのこの引き続く反応を、この反応条件下で不活性の有機溶媒、例えば環式の又は開鎖のジ低級アルキルエーテル、特にテトラヒドロフラン(=THF)中で実施してよい。有利な変形において、前記式Vの化合物は、少なくともジアステレオマー濃縮の形態において、有利にはジアステレオ選択的に、前記反応混合物に前記式Xの化合物の添加前に適した錯体形成剤を添加する場合には得られてよい。錯体形成剤として、例えばトリス−(ジメチルアミノ)−ホスフィン(=HMPT)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(=DMPH)又は1,3−ジメチルイミダゾリン−2−オン(=DMEU)が適する。DMPHが有利である。前記式Vの化合物は、これらの条件下で有利には「anti」−立体配置において形成される。前記のエステルR401の前述の開裂は例えば、水酸化アルカリ、例えば水酸化リチウムでの鹸化により、及び極性−プロトン性溶媒、例えばエタノール中で実施されてよい。
【0037】
前記式IXの化合物は第1の変形において、自体公知の方法でまず
一般式XI
【0038】
【化12】

[前記式中、R401は上述の意味を有する]
の化合物を、強力な、非求核性の塩基、例えばリチウム−低級アルキル化合物、有利にはLDAで脱プロトンし、かつ引き続き、この脱プロトンした中間生成物を、式VIの化合物と反応させることで製造されてよい。前記脱プロトン並びに前記式VIの化合物とのこの引き続く反応を、この反応条件下で不活性の有機溶媒、例えばジ低級アルキルエーテル、特にTHF中で実施してよい。通常、約−80℃〜−50℃の低い温度で処理される。
【0039】
式XIの化合物は公知であるか又は自体公知の方法で公知の化合物から製造されてよい。
【0040】
前記式IXの化合物は、第2の変形において、少なくともエナンチオマー濃縮の形において、有利にはエナンチオマー純粋に、前記式IXのラセミの出発化合物を自体公知の方法で一般式XII
【0041】
【化13】

[前記式中、R301、R401及びnは上述の意味を有する]
の、β−ケトエステルへと選択的に酸化して、この生じるケトエステル化合物を引き続き選択的に及び適したキラル触媒の存在下で少なくとも前記式IXのエナンチオマー濃縮の、式IXの化合物へと還元することで製造されてよい。前記式IXの出発化合物の酸化を、この反応条件下で不活性の有機溶媒、例えば低級アルキルハロゲン化物、特にジクロロメタン中で実施してよい。選択的酸化剤として、例えばPCCが適する。前記一般式XIIのβ−ケトエステルのエナンチオ選択的還元は、空気空間のもとで、この反応条件下で不活性の有機溶媒、例えばジメチルホルムアミド(=DMF)又はメタノール又は前述の溶媒の混合物中で実施してよい。この水素化は、約2〜6バール、有利には約4.0〜4.5バールの水素圧力で実施してよい。適した反応温度は、約50℃〜約90℃、有利には約60℃〜約80℃にある。キラルの水素化触媒として、特に、(S)−(−)2,2’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(=(S)−(−)−BINAP)を有するルテニウム−II又は(R)−(+)−2,2’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(=(R)−(+)−BINAP)を有するルテニウム−IIの自体公知の錯体が適する。この立体化学に依存して、これはキラルの水素化触媒中に存在するが、それぞれ(S)−異性体又は(R)−異性体に関して少なくとも濃縮した、前記式IXの化合物が得られてよい。(S)−(−)−BINAPを前記キラル触媒の配位子として使用する場合は、通常は前記式IXの化合物が得られ、その際前記の新規に生じたアルコール官能基を有する炭素は、「S」−立体配置を有する。
【0042】
前記式IVaの化合物はまた、第2の変形において、自体公知の方法で、一般式XIII
【0043】
【化14】

[前記式中、Rは上述の意味を有し、かつRはシリル基、特にトリエチルシリルを表す]
のシリルケテンアセタール化合物を、Tandem−Mukaiyama−アルドール−ラクトン化(参照、例えばH.W. Yang et al., Tetrahedron 53 No. 48 (1997) 16471-16488)の意味合いにおいて、式VIのアルデヒドと反応させることで得られてよい。前記反応を例えば、保護ガス雰囲気下で、有機溶媒、例えば低級アルキルハロゲン化物、特にジクロロメタン中で、及びルイス酸、特にZn−II−塩、例えばZn−II−塩化物の存在下で実施してよい。この反応の変形において、通常は前記式IVaの化合物の混合物が得られ、この置換基「R」及び「R301−O−(CH−」は主として相互にその「trans」−立体配置にあって存在する。
【0044】
前記式XIIIの化合物は、一般式XIV
【0045】
【化15】

[前記式中、Rは上述の意味を有する]
の化合物を、自体公知の方法で、まず強力な、非求核性の塩基で脱プロトンし、引き続きこの脱プロトンした中間生成物を、シリル保護基の導入のために適した剤で反応させることで製造されてよい。この反応は、有機溶媒、例えばDMF又はTHF中で、又はこれらの溶媒の混合物中で実施されてよい。強力な非求核性の塩基として、例えばリチウムヘキサメチルジシラジドが適する。有利には、この反応は約−90℃〜−60℃の温度で実施される。シリル保護基の導入のために適した剤として例えばトリエチルシリルクロリドが使用されてよい。
【0046】
前記式XIVの化合物は、自体公知の方法で、一般式XV
【0047】
【化16】

[前記式中、R及びXは上述の意味を有する]の化合物を、2−メルカプトピリジンと反応させることで得られてよい。
【0048】
前記式Iの化合物は2つのキラル炭素原子を含み、即ち、このラクトン環の2位にある置換基「R−N−C(O)−(CH−」を有する炭素原子及びこのラクトン環の3位にある置換基「−R」を有する炭素原子を含む。前記化合物は従って全体として4つの立体異性体の形で存在してよい。本発明は、立体異性体又はエナンチオマーの混合物も、異性体純粋の前記式Iの化合物をも含む。有利には、異性体純粋の前記式Iの化合物であり、特にこの炭素原子の前述の置換基がこのラクトン環の2位及び3位で、「trans」−立体配置にある。通常は、前記式Iの化合物が特に有利であり、その際前記ラクトン環の2位にある置換基「R−N−C(O)−(CH−」を有する炭素原子及び前記ラクトン環の3位にある置換基「−R」を有する炭素原子両方が「S」−立体配置を示す。
【0049】
前記した反応の際には、この場合により予備形成された、前記式Vの出発化合物のキラル中心は、前記式Iの化合物への引き続く反応において、もはや変更されず、これにより前記出発化合物の種類に応じて、最終的に異性体純粋の前記式Iの化合物又は異性体混合物が得られてよい。立体化学により統一した、前記式Iの化合物の製造のためには目的に応じて、立体化学により統一した、前記式Vの化合物が使用される。前記式Iの異性体の混合物が得られる場合には、これらを所望の場合には、自体公知の方法で分離してよく、例えばクロマトグラフィー、特にHPLC−分離により、場合によりキラルである分離材料に関して分離してよい。
【0050】
前記式Iの本発明による化合物は、大型哺乳類、特にヒトの、リパーゼの阻害のため、特に膵リパーゼの場合により選択的な阻害のために適する。リパーゼ阻害性の特性を有する化合物はこれらが、有利には脂肪含有栄養と一緒に消化路に供給される場合は、この全体として収容される栄養脂肪に対する、身体により実際に消化される栄養脂肪の割合を、減少することができる。このようにして、哺乳類、特にヒトでのこの脂肪吸収を減少させることができる。本発明による化合物のグループは従って、肥満並びにこれに伴う随伴疾病及び/又は付随疾病の治療及び/又は予防に適するようである。前記の肥満の随伴疾病又はその付随疾病には、前記疾病はそれぞれ本発明による化合物で治療可能であるが、特にメタボリックシンドローム及び心臓血管疾病が挙げられる。「メタボリックシンドローム」の概念には、通常は疾病イメージをまとめた複合体、これは主に高血圧(=高血圧症)、特に動脈高血圧、インスリン耐性、特にII型糖尿病、異リポタンパク血症、特に高トリグリセリド血症として−低下したHDLコレステロールに伴って生じる異リポタンパク血症−並びに高尿酸血症(痛風を生じる)が含まれる。「心臓血管疾病」の概念には、肥満に関連して通常は冠状動脈心疾患、これは心臓の機能不全を生じ、脳血管疾病、これは例えば高い卒中発作のリスクを伴い、及び末梢動脈閉塞疾患が理解される。更なる、肥満の随伴疾病又はその付随疾病は、胆嚢疾病、例えば胆石形成、睡眠時無呼吸症候群、整形外科的な合併症、例えば変形性関節症並びに精神社会的な障害であってよい。
【0051】
薬理学的な試験方法の記載
1.p−ニトロフェニルパルミタート−試験
前記式Iの化合物のリパーゼ阻害性の特性は、例えばin vitro活性試験により証明される。この試験において、豚膵リパーゼの前記脂肪分解性の作用の阻害は、試験基質p−ニトロフェニルパルミタート(=pNpp)に対して、前記式Iの試験物質の影響下で決定される。この際、この検査溶液の相対吸光度の変化を測定し、これはpNppからのp−ニトロフェノールの脂肪分解による放出により引き起こされる。
【0052】
以下に挙げた試薬が製造された。
【0053】
A.基質溶液
「溶液A」の製造のために、pNpp 45mgをイソプロパノール15ml中に、超音波での処理により溶解させた。「溶液B」の製造のために、Na−デオキコラート−乾燥物質558mg及びアラビアガム67.5mgを、0.05Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH=8.0)135ml中に溶解させた。135mlの氷冷した「溶液B」中に、15mlの「溶液A」を、1.25mlで8回にわけてエッペンドルフハンドディスペンサーを用いて、400Upmでの撹拌下で、可能な限り速い速度で注入した。この最初の吸光度E1は空試験値の決定の際にそれぞれ0.250Eよりも小さかった。
【0054】
B.1%の塩化ナトリウム溶液(m/V)
10gの塩化ナトリウム(NaCl、分析試薬)を1000mlの超純水中に溶解させた。
【0055】
C.リパーゼ標準溶液(50 FIP−E/ml)
120.8mgの、「Federation Internationale Pharmaceutique」(=FIP)の規則に従ったリパーゼ標準LS7(豚膵リパーゼ、36700FIP−E/g)を50mlの氷冷した塩化ナトリウム溶液(B)中に溶解し、0.2μm−のシリンジフィルターを通して濾過した。20mlの濾過物を、8mlの塩化ナトリウム溶液(B)で希釈した(50 FIP−E/mlに相応)。
【0056】
D.リパーゼ−校正溶液(10−20−30−40 FIP−E/ml)
それぞれ2−4−6−8mlのリパーゼ標準溶液(C)を塩化ナトリウム溶液(B)で、10mlに充たし、氷浴中で保存した。
【0057】
E.リパーゼ基本溶液(40 FIP−E/ml)
8mlのリパーゼ標準溶液を塩化ナトリウム溶液(B)で、10mlに充たし、氷浴中で保存した。
【0058】
F.抑制剤溶液
前記のリパーゼ抑制性に作用する、前記式Iの化合物をDMSO中に溶解した。この基本溶液から、100〜0.1nmol/mlの希釈系列を作成した。100μlのこの希釈液を、試験において使用した。この希釈液は、リパーゼのこの最大の残留活性が>90%を有するように合わせられた。
【0059】
G.実施
測定を37℃で行い、この吸光度を405nmの波長で測定した。この測光による測定部位は、光度計及び振盪器(エッペンドルフ社)を有した。前記光度計を水で0Eに調整した。この検査系列の最初及び最後に、それぞれ8つの空試験値及びそれぞれ1つのリパーゼ校正系列を測定した。この空試験値のためにそれぞれ1mの基質溶液を100μlのDMSOと混合し、5秒間振盪し、かつ5分間の間調温した。次いて、100μlの塩化ナトリウム溶液(B)をこれに分取し、これを更なる5秒間振盪した。2分後、4分間この吸光度増加を検知した。前記吸光度の値E1は、前記空試験値の算出の際にそれぞれ0.250Eよりも少なかった。
【0060】
校正のためにそれぞれ1mlの基質溶液を、8つのキュベット中に装入し、100μlのDMSOと混合し、5秒間振盪し、かつ5分間調温した。この反応を100μlの校正溶液で開始させた。2分後、このキネティクスの検知を4分間にわたり行った。各濃度を2回測定した。
【0061】
前記抑制剤溶液の測定のために、それぞれ1mlの基質溶液を、8つのキュベット中に装入し、100μlの抑制剤溶液と混合し、5秒間振盪し、次いで5分間調温した。この反応を100μlのリパーゼ基本溶液で開始させた。2分後、このキネティクスの検知を4分間にわたり行った。前記抑制剤溶液及び前記リパーゼ標準溶液をそれぞれ前記検査系列の開始直前に製造した。
【0062】
この結果の算定のために、校正データ及び空試験値から、線形回帰を用いて直線方程式、軸切片、及び決定係数を、次の方程式により決定した:
y=mx+b
x=リパーゼ単位 FIP−E;y=ΔE/分での吸光度;m=(ΔE/分)/Eにおける上昇;b=軸切片。
【0063】
これらのデータから、リパーゼ抑制剤溶液の未知の活性xを以下の式により計算した:
x=(y−b)/m
前記酵素の残留活性(%で)のために、以下の式を使用した:
%=x*100/4 FIP−E。
【0064】
前記式Iの物質の抑制性の作用の程度のために、そのIC50値が決定された。このために、前記式Iの個々の化合物に関して測定した抑制値を濃度のパーセントに換算し、PRISM−3−計算プログラムを使用して以下のアルゴリズムによりIC50値に換算した;非線形曲線適合、可変上昇を有するシグモイド曲線経過;最大値である100%の抑制、最小値である0%の抑制を、定数として付加した。酵素抑制性に作用する試験物質のIC50値は、この酵素がその他は同一の試験条件下でまだ50%の残留活性を有する、試験物質の濃度である。前述した膵リパーゼ−活性試験において、この以下に挙げた表に表示された式Iの試験物質が、以下に挙げたIC50値を示した。この挙げた実施例の数字は、以下に上げた製造実施例に関する。
【0065】
表1:pNppに対する、in vitroにおける前記試験物質の豚膵リパーゼ抑制性の作用
【0066】
【表1】

【0067】
2.オリーブオイル試験
前記式Iの化合物のリパーゼ抑制性の特性は、更なるin vitro活性試験によっても証明される。不均一反応において、前記豚膵リパーゼの脂肪分解性の作用の阻害を、前記式Iの試験物質の影響下で、試験基質、オリーブオイル中に含有されるトリグリセリドに対して決定した。前記リパーゼにより放出される脂肪酸を、苛性ソーダによりpH9.0で滴定した。
【0068】
以下に挙げた試薬が製造された。
【0069】
A.10%(m/V)のアラビアガム溶液
200gのアラビアゴム(ドイツ薬局方(=DAB)/欧州薬局方(=Ph.Eur.)の規定に相応するアラビアゴム)を2000mlの超純水中で撹拌及び必要であれば遠心分離下で溶解した。この溶液を−20℃で、250mlの容積を有するプラスチック容器中で保存した。日毎の必要量を、必要に応じて解凍した。
【0070】
B.8%(m/V)のタウロコール酸ナトリウム溶液
8gのタウロコール酸ナトリウム(FIP)を100mlの超純水中に溶解させた。
【0071】
C.緩衝液
60.6mgのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(分析試薬)(メルク、no.8382)及び234mgの塩化ナトリウム(分析試薬)を100ml中の超純水中に溶解させた。
【0072】
D.0.1Nの苛性ソーダ。
【0073】
E.オリーブオイルエマルション
40mlのオリーブオイル(DAB、室温)、330mlのアラビアガム溶液(A.)及び30gの氷(超純水から)を、適したミキサー中で15分間乳化した。このエマルションをそれぞれの使用日のために新たに製造した。
【0074】
F.試薬混合物
100mlのタウロコール酸ナトリウム溶液(B.)、400mlの緩衝液(C.)及び450mlの超純水を、撹拌下で混合した。この混合物を日毎に新たに調整した。それぞれの測定のために19mlが必要であった。
【0075】
G.リパーゼ溶媒
10.0gの塩化ナトリウム(分析試薬)、6.06gのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(分析試薬、メルク、no.8382)及び4.9gの無水マレイン酸(分析試薬)を900mlの超純水中に溶解させた。4Nの苛性ソーダ(分析試薬)で、pH値を7.0に調整した。超純水で、この溶液を1000.0mlに充たした。5℃+/−3℃で3ヶ月までの保存。
【0076】
H.抑制剤基本溶液
前記式Iの抑制剤化合物から、それぞれDMSO中の0.02mMの基本溶液5mlを製造した。前記基本溶液から次いで、20000〜0.00002nmol/試験の濃度範囲の希釈液を作成した。この溶液のアリコットを試験において使用した。試験における希釈及び体積は、このリパーゼの最大残留活性が>90%を有するように合わせられた。
【0077】
I.参照懸濁液(リパーゼ−参照−標準)
約2500のFIP/Ph.Eur−Eのリパーゼ−参照−標準を、ガラスビーカー中で正確に量りとり、いくばくかの海砂と数滴の氷冷したリパーゼ溶媒(G.)とで、ガラス棒を用いてかゆ状物に練磨し、200mlの氷冷したリパーゼ溶媒で15〜30分間氷浴中で撹拌した。この溶液から1mlを試験において使用した。
【0078】
J.反応溶液
恒温化した反応容器中で、10mlのオリーブオイルエマルション(E.)及び19mlの試薬混合物(F.)を37.0℃+/−0.1℃で調温した。このpH値を0.1mol/lの苛性ソーダ(D.)でpH9.0に予備滴定した。
【0079】
K.リパーゼ抑制剤溶液
1mlのリパーゼ参照懸濁液を、それぞれの量の抑制剤溶液で、10分間氷浴中でインキュベーションした。このインキュベーション時間後に、このリパーゼ抑制剤溶液を反応溶液へと分取した。これにより反応が開始した。この放出された酸を、37.0℃+/−0.5℃で、pH9.0でのpHスタット−条件下で、自動的に0.1mol/lの苛性ソーダ(D.)で少なくとも5分間滴定した。1分間及び5分間の間のこのソーダ消費を検知した、この滴定をそれぞれの抑制剤濃度で2回実施し、両方の測定の結果を算出した。同様に、この滴定を抑制剤溶液の添加なしに、この参照懸濁液の活性を算出すべく実施した。前記リパーゼ残留活性を、抑制剤の使用の際の1g当たりのFIP/Ph.Eur.単位にあるリパーゼ−参照−標準に関して計算するために、以下の方程式を使用した:
[(n×m)/(n×m)]×A=リパーゼ単位/g
=前記リパーゼ−抑制剤試験懸濁液の滴定の際の、0.1mol/lの苛性ソーダに関する消費ml/分。
=前記参照懸濁液の滴定の際の、0.1mol/lの苛性ソーダに関する消費ml/分。
=抑制剤を有する試験懸濁液中のリパーゼ−参照−標準の質量、mgで。
=参照懸濁液中のリパーゼ−参照−標準の質量、mgで。
A=FIP/Ph.Eur.−E/g 標準における、前記参照懸濁液中の参照−標準の申告した活性。
【0080】
この結果は、「パーセント残留活性」において挙げられる:
残留活性[%]=リパーゼ−FIP/Ph.Eur.−E/g×100/前記参照−標準の基準活性。
【0081】
FIPによればこのリパーゼ−参照−標準の基準活性は、36700のリパーゼ−FIP/Ph.Eur.−E/gを有した。
【0082】
前記式Iの物質の抑制性の作用の程度として、そのIC50値を、前述したpNpp試験に関して挙げた方法に相応して決定した。前述した膵リパーゼ活性試験において、この以下に表示した表2において表示した、前記式Iの試験物質は以下に挙げたIC50値を示した。この挙げた実施例の数字は、以下に上げた製造実施例に関する。
【0083】
表2:オリーブオイル中のトリグリセリドに対する、in vitroにおける試験物質の豚膵リパーゼ抑制性の作用
【0084】
【表2】

【0085】
前記式Iの化合物のリパーゼ阻害性の特性はまた、ラットに対する餌付け検査によって証明された。
【0086】
前記式Iの化合物は通常の医薬的組成物に加工されてよい。使用すべき用量は個々で相違してよく、かつ当然、それぞれ処置すべき症状の及び使用する物質の種類により変動する。一般的に、ヒトへの適用への及び大型哺乳類への適用に適するが、単一用量につき作用物質10〜500mg、特に50〜250mgの作用物質含量を有する剤形が適する。
【0087】
前記化合物は本発明により、通常の医薬的助剤及び/又はキャリヤー物質と共に、固体の又は液状の医薬的組成物中に含有されていてよい。固体の調製物としての例は、経口適用可能な調製物、例えばタブレット、糖衣剤、カプセル、粉体又は顆粒が挙げられる。これらの調製物は、医薬的に通常の無機の及び/又は有機のキャリアー物質、例えばタルク、乳糖、又はデンプンを、医薬的に通常の助剤、例えば滑沢剤、又はタブレット崩壊剤のほかに含有してよい。液状の調製物、例えば前記作用物質の懸濁液又はエマルションは、この通常の希釈剤、例えば水、油及び/又は懸濁剤、例えばポリエチレングリコール及びこの類似物を含有してよい。付加的に更なる助剤、例えば保存剤、風味改善剤、及びこの類似物を添加してよい。
【0088】
前記作用物質は、医薬的助剤及び/又はキャリアー物質と、自体公知の方法で混合及び処方されてよい。固体の剤形の製造のために、前記作用物質は例えば、助剤及び/又はキャリアー物質と、通常の方法で混合され、かつ湿式又は乾式で造粒されてよい。この顆粒又は粉体は直接的にカプセル中に充填されるか、又は通常の方法でタブレットコアへと圧縮されてよい。
【0089】
一般式Iの化合物の製造のための以下に挙げた製造実施例は、本発明をその範囲において制限することなしにより詳細に記載するものである。
【0090】
実施例1:
trans−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イル)−ペンチル−(4−フェノキシフェニル)−カルバマート
【0091】
【化17】

【0092】
A)窒素雰囲気下で、0℃で、400mlの脱水したDMF中の41.9gの1,6−ヘキサンジオールの溶液へ、少量ずつ18.9gのカリウム−tert.−ブチラートを添加した、15分後、120mlの脱水したDMF中の14mlの臭化ベンジルの溶液を0℃で滴加した。この反応混合物を、5分間0℃で、及び引き続き2時間室温で撹拌した。この沈殿物を濾別し、この濾過物を真空中で濃縮した。この残留物をジクロロメタン中に取り込み、水及び飽和した食塩水溶液で相互に洗浄した。この有機相を分離し、硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、真空中で蒸発させた。この粗生成物を、n−ヘキサン/酢酸エチルエステル(=EE)(4:1v/v)の展開剤混合物を用いてシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行い、その際19gの油状の6−(ベンジルオキシ)ヘキサン−1−オールを得た、H−NMR(400MHz、CDCl):δ=1.33−1.46(m,4H),1.54−1.68(m,4H),3.47(t,2H),3.63(t,2H),4.50(s,2H),7.24−7.37(m,5H)。
【0093】
B)窒素雰囲気下で、脱水したジクロロメタン250ml中の14.8mlの塩化オキサリルの溶液に−55℃で、50mlの脱水したジクロロメタン中の25.1mlのDMSOの溶液を滴加した。3分間の撹拌後、この温度でゆっくりと100mlの脱水したジクロロメタン中の24gの6−(ベンジルオキシ)ヘキサン−1−オールの溶液を滴加した。15分後、103mlのトリエチルアミンを滴加した。この後で、この反応混合物を10分間、−55℃で撹拌し、引き続き室温(=RT)に温めた。まず水、次いで飽和した食塩水溶液で洗浄した。この有機相を分離し、硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、真空中で蒸発させた。この粗生成物を精製のために、n−ヘキサン/EE(8:1v/v)の展開剤混合物を用いてシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行い、その際15.7gの6−(ベンジルオキシ)ヘキサナールを得た、H−NMR(400MHz、CDCl):δ=1.38−1.46(m,2H),1.59−1.70(m,4H),2.43(dt,1H),3.47(t,2H),4.49(s,2H),7.24−7.36(m,5H),9.76(t,1H)。
【0094】
C)200mlのTHF中の23.3mlのジイソプロピルアミンの溶液に窒素雰囲気下で−70℃で、n−ヘキサン中の1.6モーラーのブチルリチウム溶液104.2mlを滴加した。前記溶液を−20℃に温めて、かつ10分間この温度で放置した後、新たに−70℃に冷却し、17.5mlの酢酸メチルエステルをゆっくりと滴加した。15分間の撹拌後、この温度で250mlのTHF中の30.16gの6−(ベンジルオキシ)−ヘキサナールの溶液を滴加し、10分間−70℃で放置した。−20℃へのゆっくりとした温めの後、150mlの飽和した塩化アンモニウム溶液を添加し、酢酸−エチルエステルで希釈した。この有機相の分離後、この水相を2回EEで抽出し、この一緒にした有機抽出物を水及び食塩水溶液で洗浄した。硫酸ナトリウムを介した乾燥後、真空中で濃縮し、この粗生成物をn−ヘキサン/EE(9:1v/v)の展開剤混合物でシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行い、この際真空中での蒸発後に、25.6gの8−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ−オクタン酸−メチルエステルを得た、H−NMR(400MHz、DMSO−d6):δ=1.24−1.40(m,6H),1.53(m,2H),2.29(dd,J=8.2;14.7Hz,1H),2.39(dd,J=4.8;14.7Hz,1H),3.41(t,2H),3.57(s,3H),3.80(m,1H),4.44(s,2H),4.63(d,J=5.7Hz,1H),7.24−7.37(m,5H)。
【0095】
D)100mlのTHF中の14.3mlのジイソプロピルアミンの溶液に窒素雰囲気下で−70℃で、n−ヘキサン中の1.6モーラーのブチルリチウム溶液89.4mlを滴加した。前記溶液を−20℃に温めてかつ10分間この温度で放置した後、−75℃に冷却した。これに、次いで15mlのTHF中の18.0gの8−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ−オクタン酸−メチルエステルの溶液をゆっくりと添加し、2.5時間にわたって−45℃に温めた。−70℃への新たな冷却後、10mlのTHF中の13.0mlのHMPTを滴加し、30分間撹拌した。次いで、30.4gのn−ヨウ化ヘキシルを−70℃で30分間にわたり滴加した。この反応混合物を一晩かけて10℃に温めた。後処理のために、希釈した硫酸水素カリウム水溶液を及び、3回の水を用いた順で洗浄した。引き続き、この有機相を硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、減圧下で蒸発させた。この試みを18.0gの8−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ−オクタン酸−メチルエステルで繰り返した。全体として、75gの粗生成物が得られ、これをn−ヘキサン/EE(9:1v/v)の展開剤混合物で、この組成を連続的に3:1に変更させて、シリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行った。23.7gのジアステレオマー純粋の8−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ−オクタン酸−メチルエステルが得られた。
【0096】
E)25.33gの8−ベンジルオキシ−2−ヘキシル−3−ヒドロキシ−オクタン酸メチルエステルを180mlのエタノール中に溶解させ、水60ml中の、5.2gの水酸化リチウム水和物の溶液と混合した。この反応混合物を48時間RTで撹拌した。次いで、硫酸水素カリウム水溶液でpH6に調整し、減圧下で蒸発させた。この残留物をEEで取り込み、硫酸水素カリウム水溶液、水、及び飽和した食塩水溶液を用いた順で洗浄した。この有機相を分離し、硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、真空中で蒸発させ、最後に4時間オイルポンプ真空中で乾燥させた。23.9gの8−ベンジルオキシ−2−ヘキシル−3−ヒドロキシ−オクタン酸を得た、IR:2928、2856、1706、1454、1100cm−1
【0097】
F)窒素雰囲気下で、23.9gの8−ベンジルオキシ−2−ヘキシル−3−ヒドロキシ−オクタン酸を100mlのピリジン中に溶解させ、−20℃で13.3gのベンゼンスルホン酸塩化物と混合した。この反応混合物を18時間4℃で放置した。引き続き、EEで取り込み、この有機相を3回水、希釈したクエン酸水溶液及び飽和した食塩溶液を用いた順で洗浄し、硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、減圧下で蒸発させた。この試みを5.76gの8−ベンジルオキシ−2−ヘキシル−3−ヒドロキシ−オクタン酸で繰り返した。全体として30gの粗生成物を得て、これをn−ヘキサン/EE(3:1v/v)からなる展開剤混合物でシリカゲルに対してクロマトグラフィーを行い、その際全体として21.4gの4−[5−(ベンジルオキシ)ペンチル]−3−ヘキシルーオキセタン−2−オンを純粋なtrans−生成物として得た、IR:2929、2857、1818、1455、1117cm−1
【0098】
G)10.0gの前述で得た生成物を200mlのEE中に溶解させ、1.0gの10%のPd/C触媒と混合した。引き続き4時間、2.5バールの水素圧で水素化した。触媒からの濾別後、この有機相を真空中で蒸発させ、7.1gの3−ヘキシル−4−(5−ヒドロキシペンチル)−オキセタン−2−オンを純粋なtrans−生成物として得た、H−NMR(400MHz,CDCl):δ=0.89(t,3H)、1.2−1.9(m,18H)、3.17(m,1H)、3.66(t,2H)、4.22(m,1H)。
【0099】
H)窒素雰囲気下で、50ml中のジクロロメタン中の5.8gの4−フェノキシフェニルイソシアナートの溶液に0℃で、25mlのジクロロメタン中の5.5gの3−ヘキシル−4−(5−ヒドロキシペンチル)−オキセタン−2−オンの溶液を滴加し、5分間0℃で放置した。引き続き、2時間RTで攪拌し、反応の完全性のために更に0.4mlのジイソプロピルエチルアミン(=「Huenig塩基」)を添加した。一晩の撹拌後、この反応混合物をまず水、次いで飽和した食塩水溶液で洗浄した。次いでこの有機相を硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、真空中で蒸発させた。この残っている残留物を、シリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行い、その際まず純粋なn−ヘキサンを展開剤として使用し、このヘキサンに連続的に上昇する割合のEEを添加した。この生成物画分の真空中での蒸発により、固体の残留物を得、これをn−ヘキサン/EEから再晶出化した。7.1gの表題化合物を純粋なtrans生成物として得た、Fp.63.1−66.3°C;H−NMR(400MHz,CDCl):δ=0.89(t,3H),1.2−1.9(m,18H),3.17(m,1H),4.17(t,2H),4.22(m,1H),6.55(s,br,1H),6.96−7.00(m,4H),7.07(dt,1H),7.28−7.37(m,4H)。
【0100】
実施例2:
cis/trans−5−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イル)ペンチル−フェニルカルバマート
【0101】
【化18】

【0102】
A)300mlのDMF中の20.9gの1,6−ヘキサンジオールの溶液に、16.3gのイミダゾールを添加した。これにRTで、120mlのDMF中の17.8gのtert.−ブチルジメチルシリルクロリドの溶液を滴加した。引き続き、20時間撹拌した。水を添加し、この水相を複数回EEで抽出した。この一緒にした有機相を、水及び飽和した食塩水溶液の順で洗浄し、硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、真空中で蒸発させた。この残っている残留物を、n−ヘキサン/EE(9:1 v/v)からなる展開剤混合物でシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行った。17.4gの6−{[Tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}ヘキサン−1−オールを得た、H−NMR(400MHz, CDCl):δ=0.05(s,6H)、0.89(s,9H)、1.37(m,4H)、1.55(m,4H)、3.61(t,2H)、3.64(t,2H)。
【0103】
B)窒素雰囲気下で、脱水したジクロロメタン250ml中の9.4mlの塩化オキサリルの溶液に−55℃で、75mlの脱水したジクロロメタン中の15.9mlのDMSOの溶液を滴加した。3分間の撹拌後、この温度でゆっくりと150mlの脱水したジクロロメタン中の17gの6−{[Tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}ヘキサン−1−オールの溶液を滴加した。15分後、65.9mlのトリエチルアミンを滴加した。この後で、この反応混合物を15分間、−55℃で撹拌し、引き続きRTに温めた。この有機相を、水及び飽和した食塩水溶液の順で洗浄した。この有機相を濾別し、硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、濾別し、真空中で蒸発させた。この残っている残留物をn−ヘキサン/EE(9:1 v/v)の展開剤混合物でシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行い、その際14.9gの6−{[Tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}ヘキサナールを得た、H−NMR(400MHz,CDCl):δ=0.04(s,6H),0.89(s,9H),1.38(m,2H),1.54(m,2H),1.65(m,2H),2.43(dd,J=1.8;7.3Hz,1H),3.61(t,2H),9.77(t,J=1.8Hz,1H)。
【0104】
C)300mlのTHF中の25.5mlのジイソプロピルアミンの溶液に、−70℃で、n−ヘキサン中の1.6モーラーのブチルリチウム溶液113.4mlを滴加した。この溶液を0℃に温め、かつ10分間この温度で放置した後、−50℃に冷却し、この温度で150mlのTHF中の14.2mlのオクタン酸の溶液をゆっくりと滴加した。15分間のこの温度での撹拌後、1時間室温で撹拌した。次いで、−78℃に冷却し、150mlのTHF中の19gの6−{[Tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}ヘキサナールの溶液を、この温度が−60℃を上回らないように滴加した。−78℃での3時間の撹拌後、室温に温めた。引き続き、飽和した塩化アンモニウム水溶液150mlを添加し、EEで複数回抽出した。この一緒にした有機相を、水及び飽和した食塩水溶液の順で洗浄し、硫酸ナトリムを介して乾燥させ、真空中で蒸発させた。この残っている残留物を、n−ヘキサン/EE(4:1 v/v)からなる展開剤混合物でシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行った。この生成物画分の真空中での蒸発により、28.5gの8−{[Tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−ヘキシル−3−ヒドロキシ−オクタン酸をsyn/anti混合物として提供する、H−NMR(400MHz,CDCl;選択したシグナル):δ=0.05(s,6H),0.88(t,3H),0.89(s,9H),2.47(m,1H),3.61(t,2H),3.72及び3.85(m,1H)。
【0105】
D)窒素雰囲気下で、100mlのジクロロメタン中の7.6mlの新しく蒸留したベンゼンスルホン酸塩化物の溶液に、49mlのピリジンを0℃で添加した。引き続き、この温度で、100mlのジクロロメタン中の11.1gの8−{[Tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−ヘキシル−3−ヒドロキシ−オクタン酸の溶液を滴加した。この反応混合物を20時間4℃に放置した。引き続き、この有機相を水及び飽和した食塩水溶液の順で洗浄し、硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、真空中で蒸発させた。この残っている残留物をシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行い、その際純粋なn−ヘキサンを展開剤として使用し、これにEEに関して連続的に上昇する割合を添加した。4.0gの4−(5−{[Tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}ペンチル)−3−ヘキシル−オキセタン−2−オンをtrans/cis混合物(7:1)として得た、H−NMR(400MHz,CDCl):δ=0.05(s,6H),0.89(t,3H),0.89(s,9H),3.16(m,1H),3.61(t,2H),4.21(m,1H)(trans異性体に対して選択したシグナル;);3.60(m,1H),4.52(m,1H)(cis異性体に対して選択したシグナル)。
【0106】
E)窒素雰囲気下で、40mlのTHF中の3.1gの4−(5−{[Tert−ブチル(ジメチル)−シリル]オキシ}ペンチル)−3−ヘキシル−オキセタン−2−オンの溶液に、40mlのTHF中の10.97gのテトラブチルアンモニウムフロリド−三水和物の溶液を、0℃で滴加し、まず1時間この温度で、及び引き続き1時間RTで撹拌した。引き続き、この反応混合物をEEで希釈し、この有機相を水及び飽和した食塩水溶液の順で洗浄した。この有機相を硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、真空中で蒸発させた。この残っている残留物を、n−ヘキサン/EE(9:1v/v)からなる展開剤混合物でシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行った。真空中でのこの生成物画分の蒸発は、1.9gの3−ヘキシル−4−(5−ヒドロキシペンチル)−オキセタン−2−オンを、trans/cis混合物(8:1)で提供した、H−NMR(400MHz,CDCl):trans:δ=3.17(m,1H),4.22(m,1H);cis:δ=3.6(m,1H),4.53(m,1H)(このβ−ラクトンのプロトンの特徴的なシグナル)。
【0107】
F)窒素雰囲気下で、5mlのジクロロメタン中の0.45gのフェニルイソシアナートの溶液に、0℃で5mlのジクロロメタン中の0.3gの3−ヘキシル−4−(5−ヒドロキシペンチル)−オキセタン−2−オンの溶液を滴加した。引き続き、5分間、0℃で、次いで1時間RTで撹拌した。後処理のために、この有機相を水及び飽和した食塩水溶液の順で洗浄し、硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、及び真空中で蒸発させた。この残っている残留物を、n−ヘキサン/EE(9:1v/v)からなる展開剤混合物でシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行った。0.4gの5−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イル)ペンチル−フェニルカルバマートをtrans/cis混合物として得た、H−NMR(400MHz,CDCl):trans:δ=3.17(m,1H),4.22(m,1H);cis:δ=3.60(m,1H),4.53(m,1H)(このβ−ラクトンのプロトンの特徴的なシグナル);IR:3331,2931,2859,1818,1732,1600,1540cm-
【0108】
実施例3:
cis/trans−5−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イル)ペンチル−イソプロピルカルバマート
【0109】
【化19】

【0110】
A)窒素雰囲気下で、400mlのTHF中の22.8gの1,6−ヘキサンジオールの溶液に、0℃で12.4mlの3,4−ジヒドロ−2H−ピラン及び0.7gのp−トルエンスルホン酸を添加した。45分間、0℃で撹拌した後、RTに温めた。引き続き、更なる6.2mlの3,4−ジヒドロ−2H−ピランを添加し、更なる時間RTで撹拌した。真空中で蒸発させ、この残っている残留物をジクロロメタンで取り込み、この有機相を飽和したカルボン酸水素ナトリウム水溶液、水及び飽和した食塩水溶液の順で洗浄し、硫酸ナトリウムを介して乾燥させた。真空中での蒸発及びこの残っている残留物のシリカゲルに対する、展開剤(まずn−ヘキサン/EE(9:1v/v)からなり、かつEEに関する連続的に上昇する割合により変動する)を用いたフラッシュクロマトグラフィーにより、18.3gの6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]ヘキサン−1−オールを提供した、H−NMR(400MHz,CDCl):δ=1.34−1.47(m,4H),1.48−1.65(m,8H),1.71(m,1H),1.83(m,1H),3.40(dt,J=6.6;9.6Hz,1H),3.50(m,1H),3.65(t,J=6.5Hz,2H),3.74(dt,J=6.8;9.6Hz,1H),3.87(m,1H),4.57(dd,J=2.7;4.2Hz,1H)。
【0111】
B)窒素雰囲気下で、脱水したジクロロメタン250ml中の11.6mlの塩化オキサリルの溶液に−55℃で、75mlの脱水したジクロロメタン中の19.7mlのDMSOの溶液を滴加した。5分間の撹拌後、この温度でゆっくりと150mlの脱水したジクロロメタン中の18.3gの6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]ヘキサン−1−オールの溶液を滴加した。15分後、81.5mlのトリエチルアミンを滴加した。この後で、この反応混合物を15分間、−55℃で撹拌し、RTに解凍した。この有機相をまず水で、次いで飽和した食塩水溶液で洗浄し、この水相を分離し、この有機相を硫酸ナトリウムを介して乾燥させた。乾燥剤を濾別し、真空中で蒸発させ、この残っている残留物をシリカゲルに対してn−ヘキサン/EE(9:1v/v)の展開剤混合物(このEEに関する含量を連続的に増加させる)を用いてフラッシュクロマトグラフィーを行った。14.1gの6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]ヘキサナールを得た、H−NMR(400MHz、CDCl):δ=1.37−1.47(m,2H),1.48−1.75(m,9H),1.77−1.89(m,1H),2.44(dt,J=1.8;7.3Hz,2H),3.39(dt,J=6.4;9.7Hz,1H),3.50(m,1H),3.74(dt,J=6.7;9.7Hz,1H),3.86(m,1H),4.56(dd,J=2.8;4.4Hz,1H),9.77(t,1.8Hz,1H)。
【0112】
C)250mlのTHF中の21.6mlのジイソプロピルアミンの溶液に、窒素雰囲気下で−70℃で、n−ヘキサン中の1.6モーラーのn−ブチルリチウム溶液96.1mlを滴加した。この溶液を0℃に温め、10分間この温度で放置した後、−50℃に冷却し、これにこの温度で、125mlのTHF中の12.1mlのオクタン酸の溶液をゆっくりと滴加した。この温度での15分間の撹拌後、1時間RTで撹拌した。次いで、−78℃に冷却し、125mlのTHF中の14gの6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]ヘキサナールの溶液を添加した。−78℃での3時間の撹拌後、RTに温めた。引き続き、150mlの飽和した塩化アンモニウム水溶液を滴加し、複数回EEで抽出した。この一緒にした有機相を水で及び飽和した食塩水溶液の順で洗浄し、硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、真空中で蒸発させた。この残っている残留物を、n−ヘキサン/EE(4:1v/v)からなる展開剤混合物でシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行い、この際EEに関する割合は連続的に増加した。この生成物画分の真空中での蒸発は、16.2gの2−ヘキシル−3−ヒドロキシ−8−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]オクタン酸をsyn/anti混合物として提供した、H−NMR(400MHz、CDCl):δ=0.88(m,3H),1.25−1.89(m,25H),2.47(m,1H),3.40(dt,1H),3.51(m,1H),3.73(m,1H),3.86(m,1H),4.57(m,1H)。
【0113】
D)窒素雰囲気下で、150mlのジクロロメタン中の12mlの新たに蒸留したベンゼンスルホン酸塩化物の溶液に50mlのピリジンを、0℃で添加した。引き続き、この温度で100mlのジクロロメタン中の16.2gの2−ヘキシル−3−ヒドロキシ−8−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]オクタン酸の溶液を滴加した。この反応混合物を20時間4℃で放置した。引き続きこの有機相を水で及び飽和した食塩水溶液の順で洗浄し、硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、真空中で蒸発させた。この残っている残留物をシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行い、その際純粋なn−ヘキサンを、これにEEに関して連続的に上昇する割合(8:2v/vまで)を添加して、展開剤として使用した。10.0gの3−ヘキシル−4−{5[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]ペンチル}−オキセタン−2−オンをジアステレオマー混合物(2:1)として得た、H−NMR(400MHz,CDCl):trans:δ=3.16(m,1H),4.21(m,1H);cis:δ=3.59(m,1H),4.53(m,1H)(このβ−ラクトンのプロトンの特徴的なシグナル);IR:1822,1465,1077cm−1
【0114】
E)58mlのエタノール中に1.89gの3−ヘキシル−4−{5[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]ペンチル}オキセタン−2−オンを溶解させ、1.46gのピリジニウム−pートルエンスルホナートと混合した。4時間50℃で撹拌し、次いで更なる1.46gのピリジニウム−p−トルエンスルホナートを添加した。この反応混合物を1時間50℃で、次いで20時間RTで撹拌した。沈殿物を濾別し、この濾過物を真空中で蒸発させ、この残っている残留物をシリカゲルに対してn−ヘキサン/EE(9:1v/v)からなる展開剤混合物でフラッシュクロマトグラフィーを行い、このEEに関する割合を連続的に増加させた。この生成物画分の蒸発は、1.0gのcis/trans−3−ヘキシル−4−(5−ヒドロキシペンチル)−オキセタン−2−オンを提供し、これは更なる精製なしに直接的に、この次の反応のために使用される。
【0115】
F)窒素雰囲気下で、5mlのジクロロメタン中の0.4gのイソプロピルイソシアナートの溶液に0℃で、5mlのジクロロメタン中の0.3gの3−ヘキシル−4−(5−ヒドロキシペンチル)−オキセタン−2−オンの溶液を滴加した。引き続き、5分間、0℃で、次いで1時間RTで撹拌した。0.2mlのジイソプロピルエチルアミンを添加し、更なる2時間50℃で撹拌した。水及び飽和した食塩水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、真空中で蒸発させた。この残っている残留物を、n−ヘキサン/EE(9:1v/v)からなる展開剤混合物でシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行い、このEEに関する割合を100%にまで連続的に増加させた。0.1gの5−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イル)ペンチル−イソプロピルカルバマートをtrans/cis混合物(2:1)として得た、H−NMR(400MHz,CDCl):trans:δ=3.16(m,1H),4.21(m,1H);cis:δ=3.60(m,1H),4.52(m,1H)(このβ−ラクトンのプロトンの特徴的なシグナル);IR:3321,2930,1813,1687,1538,1468cm−1
【0116】
実施例4:
trans−5−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イル)ブチル−ベンジルカルバマート
【0117】
【化20】

【0118】
A)窒素雰囲気下で50.0gの2−メルカプトピリジンを、1lのジクロロメタン中に溶解させ、0℃で94.0mlのトリエチルアミンと混合した。これに、200mlのジクロロメタン中の73.2gのオクタノイルクロリドを、10分間のうちに添加した。この冷却物の除去後、90分間RTで撹拌し、引き続き600mlの水と混合した。この有機相の分離後、この水相を3回、それぞれ200mlのジクロロメタンで抽出した。この一緒にした有機相を硫酸マグネシウムを介して乾燥させ、引き続き真空中で蒸発させた。この残っている残留物をn−ペンタン/ジエチルエーテル(1:1v/v)を用いてシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行った。101.6gのチオオクタン酸−S−ピリジン−2−イル−エステルを得た、H−NMR(400MHz、CDCl):δ=0.88(t,J=6.9Hz,3H),1.23−1.40(m,8H),1.69−1.76(m,2H),2.70(t,J=7.5Hz,2H),7.28(ddd,.J=7.5;4.8;1.1Hz,1H),7.61(dt,J=0.8;7.8Hz,1H),7.73(dt,J=1.9;7.7Hz,1H),8.62(ddd,J=4.8;1.8;0.7Hz,1H)。
【0119】
B)420mlのTHF中の97.6mlのリチウムヘキサメチルジシラジド溶液(THF中で1M)を窒素雰囲気下で−10℃に冷却し、12.6mlのDMF及び22.7mlのトリエチルアミンと相互に混合し、10分間撹拌した。次いで、50mlのTHF中の24.5gのトリエチルシリルクロリドを添加し、この反応混合物−78℃に冷却した。引き続き、50mlのTHF中の19.3gのチオオクタン酸−2−ピリジン−2−イル−エステルをゆっくりと滴加し、この混合物を1時間−78℃で撹拌した。この冷却物の除去後、この反応混合物を1時間のうちに10℃に温め、800mlの水と混合した。ジエチルエーテルを用いた複数回の抽出後、この有機相を硫酸マグネシウムを介して乾燥させ、真空中で蒸発させた。この残っている残留物を、n−ペンタン/ジエチルエーテル(9:1v/v)からなる展開剤混合物で素早くシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行った。この生成物画分の蒸発により、25.6gの2−({(1E)−1−[(トリエチルシリル)オキシ]オクタ−1−エン−1−イル}チオ)ピリジンを得た、H−NMR(400MHz、CDCl):δ=0.60−0.69(m,6H),0.84−0.91(m,12H),1.24−1.43(m,8H),2.18(q,J=7.2Hz,2H),5.38(t,J=7.3Hz,1H),6.99(ddd,J=7.4;4.9;1.0Hz,1H),7.34(dt,J=1.0;8.1Hz,1H),7.54(ddd,J=8.1;7.4;1.9;Hz,1H),8.42(ddd,J=4.9;1.9;0.9Hz,1H)。
【0120】
C)800mlのジクロロメタン中の34.0gの水不含の塩化亜鉛の懸濁液に、RTで及び窒素雰囲気下で、37.9gの5−{[Tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}ペンタナール(製造は実施例2B参照)を添加し、15分間撹拌した。引き続き55.9gの2−({(1E)−1−[(トリエチルシリル)オキシ]オクタ−1−エン−1−イル}チオ)ピリジンを添加し、この反応混合物を40時間RTで撹拌した。引き続き飽和したカルボン酸水素ナトリウム水溶液を添加し、この相を分離し、この水相を3回ジクロロメタンで抽出した。この一緒にした有機相を、硫酸マグネシウムを介して乾燥させ、真空中で約500mlの体積になるまで蒸発させた。この溶液を47.7gの二臭化銅と混合し、90分間RTで撹拌した。引き続きこの生じた懸濁液をシリカゲルを介して濾過し、その際ジクロロメタンを用いてすすいだ。真空中での蒸発及びこの残っている残留物のシリカゲルに対するn−ペンタン/ジエチルエール(33:1v/v)からなる展開剤混合物でのフラッシュクロマトグラフィーにより、17.8gの4−(5−{[Tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}ブチル)−3−ヘキシル−オキセタン−2−オンを純粋なtrans−生成物として提供した、H−NMR(400MHz、CDCl):δ=0.04(s,6H),0.85−0.90(m,12H),1.22−1.92(m,16H),3.16(ddd,J=8.8;6.5;3.9Hz,1H),4.21(ddd,J=7.2;6.1;4.0Hz,1H)。
【0121】
D)PET容器中で、前述で得た化合物17.8gを200mlのTHF中に溶解させ、10mlのHF−ピリジン錯体と混合し、引き続き一晩RTで撹拌した。次いでこの反応混合物をシリカゲルを用いて濾過し、ジエチルエーテルですすいだ。この溶媒を真空中で蒸発させ、この残っている残留物をn−ペンタン/ジエチルエーテル(1:1v/v)からなる展開剤混合物でシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行った。この生成物画分の乾燥により、10.6gの3−ヘキシル−4−(5−ヒドロキシブチル)−オキセタン−2−オンを純粋なtrans−生成物として提供した、H−NMR(400MHz、CDCl):δ=0.89(t,J=6.3Hz,3H),1.29−1.93(m,16H),2.14(s br,1H),3.19(ddd,J=8.6;6.6;3.9Hz,1H),3.65(t,J=6.3Hz,2H),4.24(ddd,J=7.4;5.6;4.0Hz,1H)。
【0122】
E)窒素雰囲気下で、5mlのジクロロメタン中の0.26gのベンジルイソシアナートの溶液に0℃で、5mlのジクロロメタン中の0.3gの3−ヘキシル−4−(5−ヒドロキシブチル)−オキセタン−2−オンの溶液を滴加した。引き続き、10分間、0℃で、次いで20分間RTで撹拌した。引き続きこの有機相を水で及び飽和した食塩水溶液の順で洗浄し、硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、真空中で蒸発させた。この残っている残留物を、n−ヘキサン/EE(3:2v/v)からなる展開剤混合物でシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行い、この一緒にした生成物画分を引き続きn−ヘキサン/EEの混合物から再結晶化させた。0.4gの表題化合物を純粋なtrans−生成物として得た、Fp.50.9−52.5°C;H−NMR(400MHz,CDCl):δ=0.89(t,3H),3.17(m,1H),4.12(t,2H),4.20(m,1H),4.36(d,2H),4.94(s br,1H),7.23−7.37(m,5)。
【0123】
実施例5
trans−5−(3−ベンジル−4−オキソ−オキセタン−2−イル)ペンチル−(4−アセチルフェニル)カルバマート
【0124】
【化21】

【0125】
A)15mlのTHF中の2.2gのジイソプロピルアミンの溶液に−60℃で、n−ヘキサン中の1.6モーラーのn−ブチルリチウム溶液13.7mlを滴加した。30分間−40℃で解凍させ、次いで−75℃に冷却した。この反応混合物にゆっくりと、2.8gの8−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ−オクタン酸−メチルエステル(製造は実施例1C参照)の溶液を滴加し、次いで−55℃で3時間撹拌した。−75℃に冷却し、2mlのHMPTを添加し、新たに30分間撹拌した。引き続き3mlのTHF中に溶解させた3.42gの臭化ベンジルをゆっくりと滴加し、20時間にわたりRTに温めた。EEで取り込み、この有機相を相互に水、硫酸水素カリウム水溶液、及び新たに水で洗浄し、引き続き硫酸ナトリウムを介して乾燥させた。この残っている残留物を、n−ヘキサン/EE(9:1v/v、連続的に3:1v/vにまで変動)からなる混合物でシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行った。この生成物画分の乾燥により、2.7gのジアステレオマー純粋な2−ベンジル−8−(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシ−オクタン酸メチルエステルを提供した、H−NMR(200MHz,CDCl):δ=1.2−1.7(m,8H),2.57(d,1H),2.72(ddd,1H),2.90−3.10(m,2H),3.45(t,2H),3.61(s,3H),4.49(s,2H)。
【0126】
B)90mlのエタノール中の10.8gの2−ベンジル−8−(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシ−オクタン酸メチルエステルの溶液を、30mlの水中の1.83gの水酸化リチウムの溶液と混合した。これらの反応混合物を18時間RTで撹拌した後、1Mのクエン酸と混合し、過剰の溶媒を真空中で蒸発させた。この残っている残留物をEE中に取り込み、この有機相を硫酸水素カリウム水溶液及び水の順で洗浄し、引き続き硫酸ナトリウムで乾燥させた。真空中での蒸発により固体の残留物を提供し、これをn−ヘキサン/EE(1:1 v/v)から再結晶化した。9.31gのジアステレオマー純粋な2−ベンジル−8−(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシ−オクタン酸を得た、Fp.66−67℃;IR:3233,2932,2849,1706,1454,1125cm−1
【0127】
C)窒素雰囲気下で9.31gの2−ベンジル−8−(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシ−オクタン酸を52mlのピリジン中に溶解させ、−20℃で、5.1gのベンゼンスルホン酸塩化物と混合した。この後で2時間0℃で、及び引き続き48時間4℃で撹拌した。この反応混合物をジエチルエーテルで希釈し、3回水で及びそれぞれ1回1Mクエン酸及び水の順で洗浄し、この有機相を硫酸ナトリウムを介して乾燥させた。この溶媒を真空中で蒸発させ、この残っている残留物を引き続きシリカゲルに対してn−ヘキサン/EEからなる展開剤混合物(まず9:1v/v、次いで連続的に3:1に変動)でフラッシュクロマトグラフィーを行った。この生成物画分の乾燥は、7.2gのtrans−3−ベンジル−4−[5−(ベンジルオキシ)ペンチル]オキセタン−2−オンを提供した、IR:2933,2858,1816,1454,1114cm−1
【0128】
D)7.1gの前述により得られた生成物を200mlのEE中に溶解させ、0.7gの10%Pd/C触媒と混合した。引き続き5時間2.5バールの水素圧で水素化した。触媒の濾別後、真空中で蒸発させた。4.9gの3−ベンジル−4−(5−ヒドロキシペンチル)オキセタン−2−オンを得た、H−NMR(400MHz,CDCl):δ=1.08−1.34(m,5H),1.47(m,2H),1.62(m,1H),1.80(m,1H),3.00(dd,J=9.4;14.3Hz,1H),3.18(dd,J=5.7;14.3Hz,1H),3.46(m,1H),3.58(t,2H),4.28(m,1H),7.19(m,2H),7.26(m,1H),7.32(m,2H)。
【0129】
E)窒素雰囲気下で、10mlのジクロロメタン中の0.29gの4−アセチルフェニルイソシアナートの溶液に0℃で、5mlのジクロロメタン中の0.3gの3−ベンジル−4−(5−ヒドロキシペンチル)−オキセタン−2−オンの溶液を滴加した。引き続き、30分間、0℃で、引き続き2時間RTで撹拌した。0.21mlのジイソプロピルエチルアミンを添加し、2日間RTで撹拌した。次いでジクロロメタンで取り込み、この有機相を水で及び飽和した食塩水溶液の順で洗浄し、硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、真空中で蒸発させた。この残っている残留物を、n−ヘキサン/EE(3:2v/v)からなる展開剤混合物でシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行った。この生成物画分の乾燥は、0.4gの表題化合物を提供した、Fp.104−106°C;H−NMR (400MHz,CDCl):δ=1.1−1.4(m,4H),1.54−1.68(m,3H),1.80(m,1H),2.56(s,3H),3.00(dd,J=9.5;14.3Hz,1H),3.18(dd,J=5.7;14.3Hz,1H),3.47(m,1H),4.12(t,2H),4.28(m,1H),6.84(s br,1H),7.19(“d”,2H),7.25(m,1H),7.32(“t”,2H),7.48(d,2H),7.93(“d”,2H)。
【0130】
実施例6:
(2S,3S)−5−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イル)−ペンチル(4−フェノキシフェニル)−カルバマート
【0131】
【化22】

【0132】
A)350mlのジクロロメタン中の17.7gの8−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ−オクタン酸メチルエステル(製造は実施例1C参照)の溶液に、まず14.9gのピリジニウムクロロクロマートを、次いでCelite(R)を少々添加した。一晩RTで撹拌し、更なる15.0gのピリジニウムクロロクロマートを添加し、10分間還流冷却下で沸騰するまで加熱した。引き続き再度一晩RTで撹拌し、次いで400mlのジエチルエーテルを添加し、これをCelite(R)を介して濾過した。この濾過物を真空中で蒸発させ、この残っている残留物をn−ヘプタン/EE(2:1v/v)からなる展開剤混合物でシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行った。この生成物画分の乾燥は、13.0gの8−ベンジルオキシ−3−オキソ−オクタン酸メチルエステルを提供した。
【0133】
B)アルゴン雰囲気下で、0.26gの(S)−(−)−2,2′−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフチルに、0.106gのベンゼンルテニウム−(II)−クロリド−二量体を添加した。これに8mlのDMFを添加し、これは前もって3回の凍結及び解凍により精製されている。この生じた反応混合物を15分間115℃に加熱し、RTに冷却後65℃で真空中で蒸発させた。この残っている茶色の固形物に、35mlのメタノール中の13gの8−ベンジルオキシ−3−オキソ−オクタン酸メチルエステルの溶液を添加し、次いでこの反応溶液をシリンジでオートクレーブに移した。70℃で6時間、4.2バールの水素圧で水素化し、引き続き真空中で蒸発させ、この残っている残留物をn−ヘプタン/EE(2:1v/v)からなる展開剤混合物でシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行った。この生成物画分の乾燥により、10.7gの(S)−8−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ−オクタン酸メチルエステルを薄く黄色付いたオイルとして提供した。このエナンチオマー純度を、DaicelのChiralpak AD−H−カラムを用いて測定した。移動相として、n−ヘプタン/イソプロパノール(9:1v/v)からなる展開剤混合物を使用した;この流速は1ml/分であった。この条件下で、32.297分間の保持時間を測定した。
【0134】
C)60mlのTHF中の7.7gのジイソプロピルアミンの溶液に、−60℃で、n−ヘキサン中の1.6モーラーのn−ブチルリチウム溶液48mlを滴加した。30分間−40℃で解凍させ、次いで−78℃に冷却した。この生じた反応混合物に、ゆっくりと10mlのTHF中の9.8gの(S)−8−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ−オクタン酸メチルエステルの溶液を滴加し、これを3時間−40℃に温めた。次いで新たに−75℃に冷却し、これをまず8mlのDMPH(8mlのTHF中に溶解させた)、次いで14.8gのn−ヨウ化ヘキシルを滴加した。この生じた反応混合物を一晩RTで解凍し、これをEEで希釈し、この有機相を水、希釈した硫酸水素カリウム水溶液及び飽和した食塩水溶液の順で洗浄した。この有機相を硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、真空中で蒸発させ、及びこの残っている残留物をシリカゲルに対してn−ヘキサン/EE(9:1v/v)からなる展開剤混合物(徐々に3:1(v/v)の組成になるまでEEを添加)でフラッシュクロマトグラフィーを行った。この生成物画分の乾燥は、4.0gの(S,S)−8−ベンジルオキシ−2−ヘキシル−3−ヒドロキシ−オクタン酸−メチルエステルを提供した、[α]=−12.60゜(c=25.7mg、2mlのメタノール中);IR:2928,2856,1733,1454,1164,1100cm−1
【0135】
D)5.5gの(S,S)−8−ベンジルオキシ−2−ヘキシル−3−ヒドロキシ−オクタン酸メチルエステルを40mlのエタノール中に溶解させ、13mlの水中の0.97gの水酸化リチウム水和物と混合し、24時間RTで撹拌した。引き続き、希釈した硫酸水素カリウム水溶液と混合し、過剰の溶媒を真空中で蒸発させた。EEで取り込み、この有機相を希釈した硫酸水素カリウム水溶液及び水の順で洗浄し、この水相を分離し、硫酸ナトリウムを介して乾燥させた。真空中での蒸発及びオイルポンプ真空中での乾燥により、5.4gの(S,S)−8−ベンジルオキシ−2−ヘキシル−3−ヒドロキシオクタン酸を、軽く黄色付いたオイルとして得、これを更なる精製なしにこの次の反応のために使用した、[α]=−14.23゜(c=21.5mg、2mlのメタノール中);IR:2928,2856,1706,1454,1100cm−1
【0136】
E)5.4gの(S,S)−8−ベンジルオキシ−2−ヘキシル−3−ヒドロキシ−オクタン酸を30mlのピリジン中に溶解させ、−20℃で、2.99gのベンゼンスルホン酸塩化物と混合した。2時間のうちに、0℃に温め、引き続き48時間4℃で放置した。ジエチルエーテルで希釈し、この有機相を3回氷冷した水、0.5Mのクエン酸、及び飽和した食塩水溶液の順で洗浄した。この有機相を硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、真空中で蒸発させた。この残っている残留物を、n−ヘキサン/EE(まず9:1v/v、次いで連続的に3:1v/vにまで変動)からなる展開剤混合物でシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行った。この生成物画分の乾燥は、2.6gの(S,S)−4−[5−(ベンジルオキシ)ペンチル]−3−ヘキシル−オキセタン−2−オンを提供した、[α]=−23.21゜(c=16.6mg、2mlのクロロホルム中)、IR:2929,2857,1818,1455,1117cm−1
【0137】
F)2.5gの(S,S)−4−[5−(ベンジルオキシ)ペンチル]−3−ヘキシル−オクタン−2−オンを、100mlのEE中に溶解させ、0.25gの10%Pd/C触媒と混合した。引き続き2.5バールの水素圧で、5時間水素化した。触媒を分離し、過剰の溶媒を真空中で蒸発させ、引き続きオイルポンプ真空中で乾燥させた。1.86gの(S,S)−4−[5−ヒドロキシペンチル]−3−ヘキシル−オキセタン−2−オンをオイルとして得た、[α]=−37.5゜(c=1、EE中)。
【0138】
G)窒素雰囲気下で、10mlのジクロロメタン中の0.78gの4−フェノキシフェニルイソシアナートの溶液に0℃で、10mlのジクロロメタン中の0.6gの(S,S)−4−[5−ヒドロキシペンチル]−3−ヘキシル−オキセタン−2−オンの溶液を滴加した。引き続き15分間0℃で、及び引き続き2時間RTで撹拌した。0.43mlのジイソプロピルエチルアミンを添加し、2日間RTで撹拌した。次いでジクロロメタンで取り込み、この有機相を水で及び食塩水溶液の順で洗浄し、硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、真空中で蒸発させた。この残っている残留物を、n−ヘキサン/EE(4:1v/v)からなる展開剤混合物でシリカゲルに対してフラッシュクロマトグラフィーを行った。この生成物画分の乾燥により、0.74gの表題化合物を提供した、Fp.73−74°C;[α]=−21.5°(c=1、EE中);H−NMR(400MHz,CDCl):δ=0.89(t,3H),1.2−1.9(m,18H),3.18(m,1H),4.17(t,2H),4.22(m,1H),6.55(s,br,1H),6.96−7.00(m,4H),7.07(“t”,1H),7.28−7.37(m,4H)。
【0139】
前述した実施例において記載された方法又はこれに類似する方法により、以下の表3に挙げた、式Iの化合物をも製造した:
表3:前記式Iの更なる化合物
【0140】
【表3】

全ての表3に挙げた化合物はラセミ体である。
【0141】
実施例1:
trans−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イル)−ペンチル−(4−フェノキシフェニル)−カルバマートを含有するカプセル:
カプセルにつき以下の組成にあるカプセルを製造した:
trans−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イル)−ペンチル−(4−フェノキシフェニル)−カルバマート 20mg
トウモロコシデンプン 60mg
乳糖 300mg
EE 適量。
【0142】
前記作用物質、トウモロコシデンプン及び乳糖は、EEの助けのもとで、均質なペースト状の混合物に加工された。このペーストを破砕し、この生じた顆粒を適したシート上に設け、この溶媒の除去のために45℃で乾燥させた。この乾燥させた顆粒を、破砕機械に導通させ、ミキサー中で更なる以下の助剤と混合した:
タルク 5mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
トウモロコシデンプン 9mg
及び、更に400mg容量のカプセル(カプセルサイズ=0)中に充填した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

[前記式中、
1〜18−アルキルであって、そのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているC1〜18−アルキル;フェニル−C0〜18−アルキルであって、そのフェニル基が場合により1〜2回ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、C1〜8−アルキル、C1〜8−アルコキシ、C1〜6−アルキルカルボニル、C1〜6−アルコキシカルボニル、フェニル、ベンジル、及び/又はフェノキシによって置換されていてかつそのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているフェニル−C0〜18−アルキル;C3〜7−シクロアルキル−C0〜18−アルキルであって、そのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているC3〜7−シクロアルキル−C0〜18−アルキル、又はベンゾイルを表す;
1〜12−アルキルであって、そのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているC1〜12アルキル;フェニル−C1〜18−アルキルであって、そのフェニル基が場合により1〜2回ハロゲン、C1〜4−アルキル、C1〜4−アルコキシ、ベンジル及び/又はフェノキシにより置換されていてかつそのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているフェニル−C1〜18−アルキル;又はC3〜7−シクロアルキル−C0〜18−アルキルであって、そのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているC3〜7−シクロアルキル−C0〜18−アルキルを表し、かつ
n 2〜8の整数を表す]の化合物。
【請求項2】
が、フェニル−C0〜2−アルキルであって、そのフェニル基が場合によりC1〜4−アルキル、C1〜4−アルコキシ又はフェノキシにより置換されているフェニル−C0〜2−アルキルを表す、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項3】
が、C2〜6−アルキルであって、そのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているC2〜6−アルキルを表す、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項4】
nが、2〜5の整数を表す、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項5】
5−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イル)−ペンチル−(フェノキシフェニル)−カルバマート及び
4−(3−ヘキシル−4−オキソ−オキセタン−2−イル)−ブチル−(フェノキシフェニル)−カルバマートからなるグループから選択されている、請求項1〜4までのいずれか1項記載の式Iの化合物。
【請求項6】
前記ラクトン環の2位にある炭素の置換基及び前記ラクトン環の3位にある炭素の置換基が、相互にtrans位を占める、請求項1から5までのいずれか1項記載の式Iの化合物。
【請求項7】
請求項1記載の式Iの化合物の薬理学的な有効量及び、通常の医薬的助剤及び/又はキャリヤー物質を含有する、医薬品。
【請求項8】
肥満並びにその随伴疾病及び/又は付随疾病の治療及び/又は予防のための医薬品の製造のための請求項1記載の式Iの化合物の使用において、前記疾病が、メタボリックシンドローム、特に高血圧;インスリン耐性、特にII型糖尿病;異リポタンパク質血症及び高尿酸血を含むメタボリックシンドローム、及び心臓血管疾病、特に冠状動脈心疾患、脳血管疾患、及び末梢動脈閉塞疾患を含む心臓血管疾病からなるグループから選択される、請求項1記載の式Iの化合物の使用。
【請求項9】
一般式I
【化2】

[前記式中、
1〜18−アルキルであって、そのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているC1〜18−アルキル;フェニル−C0〜18−アルキルであって、そのフェニル基が場合により1〜2回ハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、C1〜8−アルキル、C1〜8−アルコキシ、C1〜6−アルキルカルボニル、C1〜6−アルコキシカルボニル、フェニル、ベンジル、及び/又はフェノキシにより置換されていてかつそのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているフェニル−C0〜18−アルキル;C3〜7−シクロアルキル−C0〜18−アルキルであって、そのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているC3〜7−シクロアルキル−C0〜18−アルキル、又はベンゾイルを表す;
1〜12−アルキルであって、そのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているC1〜12−アルキル;フェニル−C1〜18−アルキルであって、そのフェニル基が場合により1〜2回ハロゲン、C1〜4−アルキル、C1〜4−アルコキシ、ベンジル及び/又はフェノキシにより置換されていてかつそのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているフェニル−C1〜18−アルキル;又はC3〜7−シクロアルキル−C0〜18−アルキルであって、そのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているC3〜7−シクロアルキル−C0〜18−アルキルを表し、かつ
n 2〜8の整数を表す]
の化合物を製造するにあたり、
一般式II
【化3】

[前記式中、R及びnは上述の意味を有する]の化合物
を一般式III
【化4】

[前記式中、Rは上述の意味を有する]の化合物と反応させることを特徴とする、一般式Iの化合物の製造方法。
【請求項10】
一般式IV
【化5】

[前記式中、
1〜12−アルキルであって、そのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているC1〜12−アルキル;フェニル−C1〜18−アルキルであって、そのフェニル基が場合により1〜2回ハロゲン、C1〜4−アルキル、C1〜4−アルコキシ、ベンジル及び/又はフェノキシにより置換されていてかつそのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているフェニル−C1〜18−アルキル;又はC3〜7−シクロアルキル−C0〜18−アルキルであって、そのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているC3〜7−シクロアルキル−C0〜18−アルキルを表す;
水素又はアルコール保護基を表し、かつ
n 2〜8の整数を表す]の化合物。
【請求項11】
一般式IVa
【化6】

[前記式中、
1〜12−アルキルであって、そのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているC1〜12−アルキル;フェニル−C1〜18−アルキルであって、そのフェニル基が場合により1〜2回ハロゲン、C1〜4−アルキル、C1〜4−アルコキシ、ベンジル及び/又はフェノキシにより置換されていてかつそのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているフェニル−C1〜18−アルキル;又はC3〜7−シクロアルキル−C0〜18−アルキルであって、そのアルキル鎖−炭素原子が場合により1〜2回酸素及び/又は硫黄により置き換えられているC3〜7−シクロアルキル−C0〜18−アルキルを表す;
301 アルコール保護基を表し、かつ
n 2〜8の整数を表す]
の化合物。
【請求項12】
前記アルコール保護基は、ベンジル、テトラヒドロピラニル、メトキシメチル、メトキシエチル及びシリル−アルコール保護基、特に第三ブチルジメチルシリル及びトリエチルシリルからなるグループから選択されている、請求項11記載の式IVaの化合物。
【請求項13】
3−ヘキシル−4−{5[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]ペンチル}オキセタン−2−オン及び3−ヘキシル−4−[5(ベンジルオキシ)ペンチル}]オキセタン−2−オンからなるグループから選択されている、請求項11記載の式IVaの化合物。
【請求項14】
医薬品としての使用のための、請求項11記載の一般式IVaの化合物。

【公表番号】特表2007−523131(P2007−523131A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553595(P2006−553595)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/050719
【国際公開番号】WO2005/080366
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(391027619)ゾルファイ ファーマスーティカルズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (46)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Pharmaceuticals GmbH
【住所又は居所原語表記】Hans−Boeckler−Allee 20, D−30173 Hannover,Germany
【Fターム(参考)】