説明

リフォーム塗装システム

【課題】 外壁診断に基き適した下塗り塗料を自動的に求める。
【解決手段】 複数の外観診断項目と、各外観診断項目毎に与えられた複数の劣化段階と、複数種類の下塗り塗料との組み合わせによるデータテーブル1を備える。外壁の外観を各外観診断項目毎にどの劣化段階であるかを入力するための外観診断入力手段2と、入力された各外観診断項目毎の各劣化段階に対応して、それぞれデータテーブル1により複数の異なる下塗り塗料の中から当該外観診断項目における当該劣化段階に適した下塗り塗料を選定するための下塗り塗料一次選定手段3と、各外観診断項目毎に選定された複数の異なる下塗り塗料毎に選定された合計数を算出すると共に合計数が最も多い下塗り塗料を選出するための下塗り塗料選定手段4と、下塗り塗料選定手段4で選定された下塗り塗料を表示するための下塗り塗料表示手段5とを具備する。
【選定図】 図1

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁のリフォーム塗装を行うためのリフォーム塗装システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
経年変化により建物の外壁が汚れたり、劣化したりしているので、リフォーム塗装をすることが行われている。
【0003】
また、建物の外壁のリフォーム塗装を行うための外壁塗装診断法が特許文献1により知られている。
【0004】
この特許文献1に示された従来例は、複数の外観診断項目毎に複数の評価グレードを設け、各外観診断項目毎に評価グレードを決め、各外観診断項目毎に求めた評価グレードを総和し、総合判定を行うようにしたものである。
【0005】
これにより建物の外壁塗装の診断を行って、塗り替え時期であるかどうかを判断して塗り替え時期を見逃さないようにしている。
【0006】
しかし、上記の従来例は単に塗り替え時期であるかどうかの建物の外壁診断を行っているのみで、リフォームするに当たって、汚れや劣化の程度や種類に応じてリフォームの際の最適の下塗り塗料や、最適の下地調整、あるいは洗浄の有無等をコンピュータを用いて自動的に選定して表示するようなシステムとなっておらず、したがって、外壁診断した当該物件に対してリフォームするとした場合に、具体的にどのような下塗り塗料を選定しし、あるいは下地調整が必要であるか否か、下地調整が必要であるとしたらどのような下地調整が必要であるか、あるいは洗浄が必要であるか否か、洗浄が必要であるとすればどのような種類の洗浄が必要であるかといったことに関しては、上記診断結果に基いて、熟練した技術者が個々の案件毎に決定しなければならず、時間がかかると共に、技術者の能力に個人差があり、時には不適切な下塗り塗料を選定したり、不適切な下地調整をしたり、あるいは下地調整が必要であるにも係わらず下地調整をしなかったり、あるいは、不適切な洗浄をしたり、あるいは洗浄が必要でないにもかかわらず不必要な洗浄をしたりするといった様々な問題がある。
【特許文献1】特開平1−163657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、建物の外壁のリフォーム塗装に当たって、建物の外壁の外観が各外観診断項目毎にどの劣化段階であるかという入力情報に基いて、適した下塗り塗料を自動的に求めることができ、また、下地調整が必要であるか否か、下地調整が必要であるとしたらどのような下地調整が必要であるか、あるいは洗浄が必要であるか否か、洗浄が必要であるとすればどのような種類の洗浄が必要であるかといったことも自動的に求めることができるリフォーム塗装システムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係るリフォーム塗装システムは、建物の外壁のリフォーム塗装に当たってコンピュータ10により建物の外壁の診断結果に応じて下塗り塗料を選定するためのリフォーム塗装システムであって、建物の外壁の外観を各外観診断項目毎にどの劣化段階であるかをコンピュータ10に入力するための外観診断入力手段2を有し、コンピュータ10に、複数の外観診断項目と、各外観診断項目毎に与えられた複数の劣化段階と、複数種類の下塗り塗料との組み合わせによるデータテーブル1と、入力された各外観診断項目毎の各劣化段階に対応して、それぞれ上記データテーブル1により複数の異なる下塗り塗料の中から当該外観診断項目における当該劣化段階に適した下塗り塗料を選定するための下塗り塗料一次選定手段3と、各外観診断項目毎に選定された複数の異なる下塗り塗料毎に選定された合計数を算出すると共に算出後に合計数が最も多い下塗り塗料を選出するための下塗り塗料選定手段4と、下塗り塗料選定手段4で選定された下塗り塗料を表示するための下塗り塗料表示手段5とを備えて成ることを特徴とするものである。
【0009】
このような構成とすることで、建物の外壁の外観が各外観診断項目毎にどの劣化段階であるかという入力情報に基いて、下塗り塗料一次選定手段3により、入力された各外観診断項目毎の各劣化段階に対応して、それぞれ上記データテーブル1に登録された複数の異なる下塗り塗料の中から当該外観診断項目における当該劣化段階に適した下塗り塗料を自動的に選定し、次いで、下塗り塗料選定手段4により、上記各外観診断項目毎に選定された複数の異なる下塗り塗料毎に選定された合計数を出して、複数種類の下塗り塗料のなかで選定された合計数が最も多い下塗り塗料を自動的に選定し、このようにして下塗り塗料選定手段4で選定された下塗り塗料を下塗り塗料表示手段5により自動的に表示するものであり、これにより、建物の外壁の外観を各外観診断項目毎にどの劣化段階であるかという入力情報があるだけで、複数の外観診断項目を総合して当該外壁のリフォームにおける最適の下塗り塗料を自動的に選定して表示することができるものである。
【0010】
また、コンピュータ10に、上記データテーブル1に加え、複数の外観診断項目と、各外観診断項目毎に与えられた複数の劣化段階と、複数項目に分類された下地調整項目との組み合わせによる第2のデータテーブル1aを備え、更に、入力された各外観診断項目の劣化段階に対応して、それぞれ上記第2のデータテーブル1aにより複数の異なる下地調整項目の中から当該外観診断項目における当該劣化段階に適した下地調整項目を選定するための下地調整選定手段6と、各外観診断項目毎に選定された下地調整項目を表示するための下地調整表示手段7を備えることが好ましい。
【0011】
このような構成とすることで、上記のように複数の外観診断項目を総合して当該外壁のリフォームにおける最適の下塗り塗料を自動的に選定して表示するという請求項1記載の発明の作用、効果に加えて、建物の外壁の外観が各外観診断項目毎にどの劣化段階であるかという入力情報に基いて、下地調整選定手段6により、入力された各外観診断項目毎の各劣化段階に対応して、それぞれ上記第2のデータテーブル1aに登録された複数の異なる下地調整項目の中から当該外観診断項目における当該劣化段階に適した下地調整項目を自動的に選定し、このようにして下地調整選定手段6により選定された下地調整項目を下地調整表示手段7により自動的に表示するものであり、これにより、建物の外壁の外観を各外観診断項目毎にどの劣化段階であるかという入力情報があるだけで、複数の外観診断項目を総合して当該外壁のリフォームにおける最適の下地調整項目を自動的に選定して表示することもできるものである。
【0012】
また、コンピュータ10に、上記データテーブル1、第2のデータテーブル1aに加え、複数の外観診断項目と、各外観診断項目毎に与えられた複数の劣化段階と、複数種類に分類された洗浄項目との組み合わせによる第3のデータテーブル1bを備え、更に、入力された外観診断項目の劣化段階に対応して、それぞれ上記第3のデータテーブル1bにより複数の異なる洗浄項目の中から当該外観診断項目における当該劣化段階に適した洗浄項目を選定するための洗浄選定手段8と、選定された洗浄項目を表示するための洗浄表示手段9とを備えることが好ましい。
【0013】
このような構成とすることで、上記のような請求項2記載の発明の作用、効果に加えて、建物の外壁の外観が各外観診断項目毎にどの劣化段階であるかという入力情報に基いて、洗浄選定手段8により、入力された各外観診断項目の劣化段階に対応して、それぞれ上記第3のデータテーブル1bに登録された複数の異なる洗浄項目の中から当該外観診断項目における当該劣化段階に適した洗浄項目が自動的に選定され、このようにして洗浄選定手段8により選定された洗浄項目を洗浄表示手段9により自動的に表示するものであり、これにより、建物の外壁の外観を各外観診断項目毎にどの劣化段階であるかという入力情報があるだけで、複数の外観診断項目を総合して当該外壁のリフォームにおける最適の洗浄項目を自動的に選定して表示することもできるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、建物の外壁のリフォーム塗装に当たって、建物の外壁の外観が各外観診断項目毎にどの劣化段階であるかという入力情報に基いて、最適の下塗り塗料を自動的に選定して表示できるという利点がある。
【0015】
また、最適の下塗り塗料を自動的選定して表示することに加えて、下地調整が必要であるか否か、下地調整が必要であるとしたらどのような下地調整が必要であるか、あるいは洗浄が必要であるか否か、洗浄が必要であるとすればどのような種類の洗浄が必要であるかといったことも自動的に求めることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0017】
図1には本発明のシステム構成図が示してある。
【0018】
コンピュータ10には複数の外観診断項目と、各外観診断項目毎に与えられた複数の劣化段階と、複数種類の下塗り塗料との組み合わせによるデータテーブル1と、複数の外観診断項目と、各外観診断項目毎に与えられた複数の劣化段階と、複数項目に分類された下地調整項目との組み合わせによる第2のデータテーブル1aと、複数の外観診断項目と、各外観診断項目毎に与えられた複数の劣化段階と、複数種類に分類された洗浄項目との組み合わせによる第3のデータテーブル1bを備えている。
【0019】
また、コンピュータ10にはキーボード11が接続してあり、本実施形態では、このキーボード11が建物の外壁の外観を各外観診断項目毎にどの劣化段階であるかを入力するための外観診断入力手段2を構成してある。
【0020】
更に、コンピュータ10には、診断表作成表示手段13、下塗り塗料一次選定手段3、下塗り塗料選定手段4、下塗り塗料表示手段5、下地調整選定手段6、下地調整表示手段7、洗浄選定手段8、洗浄表示手段9が設けてある。
【0021】
診断表作成表示手段13は、コンピュータ10に接続したディスプレー12の画面に図3に示すような診断表14を表示するようになっている。
【0022】
診断表14には上から下にかけて順に、診断項目表示部15、外観劣化段階入力表示部16、複数種類の洗浄項目を表示する複数の洗浄項目表示部17、複数種類の下地調整項目を表示する複数の下地調整項目表示部18、複数種類の下塗り塗料を表示する下塗り塗料の種類表示部19を有している。更に、診断表14には選定された下塗り塗料を表示するための下塗り塗料選定結果表示部20、選定された下地調整項目を表示する下地調整選定結果表示部21、選定された洗浄項目を表示する洗浄選定結果表示部22が設けてある。
【0023】
診断項目表示部15は、外壁の外観の美観劣化の項目を表示する美観劣化項目表示部15a、外壁の機能劣化の項目を表示する機能劣化項目表示部15bに分類してあり、更に、美観劣化項目表示部15aには美観劣化の具体的項目として「汚れ」、「カビ・苔」という細項目15cがあり、更に、機能劣化項目表示部15bとしては、「塗膜浮き・剥れ」、「チョーキング」、「基材割れ」、「反り・浮き」、「基材劣化(凍害)」、「シーリング材劣化」という細項目15cがある。
【0024】
外観劣化段階入力表示部16は上記診断項目表示部15の各細項目に対応した複数の細項目劣化段階表示部16aにより構成してある。ここで、建物の外壁の外観を上記診断項目表示部15の各細項目に対応してそれぞれ複数の劣化段階(劣化段階)に分け(例えば、1、2、3、4、5といったように点数で複数の劣化段階に分けたり、あるいは「大変よい」「よい」、「普通」、「やや悪い」、「悪い」といったような点数以外の劣化段階に分けたりしてある)、該当する建物の外壁の外観の該当する劣化段階が複数の劣化段階のうちどの段階であるかをキーボード等の外観診断入力手段2により入力することで、該入力された劣化段階が上記診断項目表示部15の各細項目に対応して設けた各細項目劣化段階表示部16aに表示されるようになっている。
【0025】
添付図面に示す実施形態では、診断項目表示部15の各細項目15c毎に、それぞれ外壁の劣化段階を1、2、3、4、5の5段階に分けてある。ここで、「1は大変良い」「2はよい」「3は普通」「4はやや悪い」「5は悪い」であり、建物の外壁を見て、上記「汚れ」、「カビ・苔」、「塗膜浮き・剥れ」、「チョーキング」、「基材割れ」、「反り・浮き」、「基材劣化(凍害)」、「シーリング材劣化」という細項目15c毎に、上記劣化段階のうちどの劣化段階であるかを診断して、診断結果を、例えば、当該外壁の「汚れ」が「悪い」という診断結果を得た場合には、キーボードのような外観診断入力手段2を用いて診断項目表示部15の「汚れ」という細項目15cに対応した細項目劣化段階表示部16aに診断点数として「5」を入力して表示する。同様にして次々と診断項目表示部15の各細項目15cに対応した細項目劣化段階表示部16aに診断点数を入力して表示する。
【0026】
なお、建物の外壁の診断に当たり、「汚れ」、「カビ・苔」、「基材割れ」、「反り・浮き」、「基材劣化(凍害)」、「シーリング材劣化」は診断者が外壁を外観目視して診断するものであり、「塗膜浮き・剥れ」はルーペで外壁を見て診断するものであり、「チョーキング」はチョーキングテスターを用いて診断するものである。
【0027】
上記説明した外壁の劣化診断基準を表にまとめると図4に示すようになり、図4のような劣化診断基準に基いて各診断項目毎に診断者が該当する建物の外壁を外観目視あるいはルーペ、チョーキングテスターを用いて診断し、各診断項目毎の診断結果を外観診断入力手段2により入力する。
【0028】
洗浄項目表示部17は複数の洗浄項目17aに分かれており、実施形態では、高圧水により洗浄する「a 高圧水洗」と、高圧水洗と薬品洗浄とで洗浄する「b 高圧水洗+薬品洗浄」という2つの項目に分かれている。
【0029】
また、下地調整項目表示部18は複数の下地調整項目18aに分かれており、実施形態では、下地調整が不要な「a 調整不要」、劣化部分の補修をして下地調整を行う「b 劣化部分の補修」、劣化部分の交換をして下地調整を行う「c 劣化部分の交換」、劣化部分の交換をし且つ劣化部分の原因の除去(下地補修)等をして下地調整を行う「d 劣化部位の交換+劣化原因の除去(下地補修等)」、ビスの打ち替えや増し打ち等をして下地調整を行う「e ビスの打ち替え・増し打ち」、既存シーリング目地への専用シーラーの塗布により下地調整を行う「f 既存シーリング目地への専用シーラー塗布」、シーリングの部分打ち替えをして下地調整を行う「g シーリングの部分打ち替え」、シーリングの全面打ち替えをして下地調整を行う「h シーリングの全面打ち替え」という8の下地調整項目18aに分かれている。
【0030】
また、下塗り塗料の種類表示部19は複数種類の下塗り塗料を表示するための表示部19aに分かれており、実施形態では、「a 水系1液」、「b 水系2液」、「c 水系3液」、「d 溶剤1液」、「e 溶剤2液」の5種類の下塗り塗料の表示部に分かれている。
【0031】
上記診断表14には、上記の各診断項目表示部15の各細項目15c毎に、上記複数の洗浄項目表示部17、複数の下地調整項目表示部18、複数の下塗り塗料の種類表示部19に対応して、それぞれ診断項目表示部15に表示された評価段階に適した洗浄や下地調整や下塗り塗料の選定を表示する選定表示部25が設けてある。
【0032】
コンピュータ10には複数の外観診断項目と、各外観診断項目毎に与えられた複数の劣化段階と、複数種類の下塗り塗料との組み合わせによるデータテーブル1と、複数の外観診断項目と、各外観診断項目毎に与えられた複数の劣化段階と、複数項目に分類された下地調整項目との組み合わせによる第2のデータテーブル1aと、複数の外観診断項目と、各外観診断項目毎に与えられた複数の劣化段階と、複数種類に分類された洗浄項目との組み合わせによる第3のデータテーブル1bを備えている。
【0033】
図2に示す実施形態においては、データテーブル1、第2のデータテーブル1a、第3のデータテーブル1bが1つのテーブルAとして構成してある。
【0034】
このテーブルAは、図2に示すように、複数の外観診断項目として「汚れ」、「カビ・苔」、「基材割れ」、「反り・浮き」、「基材劣化(凍害)」、「シーリング材劣化」の各項目を有し、更に、上記各「汚れ」、「カビ・苔」、「基材割れ」、「反り・浮き」、「基材劣化(凍害)」、「シーリング材劣化」の各項目毎にそれぞれ与えられた複数の劣化段階を「1」「2」「3」「4」「5」という5段階で表す劣化段階の項目を有し、更に、「下塗り塗料」の項目、「洗浄」の項目、「下地調整」の項目を有している。そして、「汚れ」、「カビ・苔」、「基材割れ」、「反り・浮き」、「基材劣化(凍害)」、「シーリング材劣化」という各外観診断項目の「1」「2」「3」「4」「5」という各劣化段階毎に、「a 水系1液」、「b 水系2液」、「c 水系3液」、「d 溶剤1液」、「e 溶剤2液」という5種類の下塗り塗料の中から各劣化段階に適した下塗り塗料を設定してある。例えば、「汚れ」という外観診断項目における劣化段階が「5」の場合には上記複数の下塗り塗料の中でb、c、eの下塗り塗料が適していると設定してあり、「基材割れ」という外観診断項目における劣化段階が「3」の場合はb、c、eの下塗り塗料が適していると設定してあり、このように各外観診断項目における各劣化段階毎に適した下塗り塗料を設定してある。なお、「反り・浮き」という外観診断項目においては、「反り・浮き」単独では劣化段階1〜5のいずれの場合も塗装のリフォームは必要でないので、下塗り塗料が必要でない「−」で示している。
【0035】
また、「カビ・苔」という各外観診断項目の「1」「2」「3」「4」「5」という各劣化段階毎に「a 高圧水洗」、「b 高圧水洗+薬品洗浄」という2種類の洗浄形態のいずれかが適した洗浄形態であるかが設定してある。すなわち、「カビ・苔」という外観診断項目における劣化段階が「1」「2」「3」の場合はaの高圧水洗、「4」「5」の場合はbの高圧水洗+薬品洗浄が適していると設定してある。また、「汚れ」、「基材割れ」、「反り・浮き」、「基材劣化(凍害)」、「シーリング材劣化」の各外観診断項目単独では各項目の劣化段階1〜5のいずれの場合も洗浄が必要でないので、洗浄が必要でない「−」で示している。
【0036】
また、「基材割れ」、「反り・浮き」、「基材劣化(凍害)」、「シーリング材劣化」という各外観診断項目の「1」「2」「3」「4」「5」という各劣化段階毎に「a 調整不要」、「b 劣化部分の補修」、「c 劣化部分の交換」、「d 劣化部位の交換+劣化原因の除去(下地補修等)」、「e ビスの打ち替え・増し打ち」、「f 既存シーリング目地への専用シーラー塗布」、「g シーリングの部分打ち替え」、「h シーリングの全面打ち替え」という8項目のいずれかの下地調整が適しているかが設定してある。例えば、「基材割れ」という外観診断項目における劣化段階が「5」の場合はcの劣化部分の交換が適していると設定してあり、また、「基材劣化(凍害)」というという外観診断項目における劣化段階が「5」の場合はdの劣化部位の交換+劣化原因の除去(下地補修等)が適していると設定してあり、このように「基材割れ」、「反り・浮き」、「基材劣化(凍害)」、「シーリング材劣化」という各外観診断項目における各劣化段階毎に適した下地調整を設定してある。なお、「汚れ」、「カビ・苔」、「塗膜浮き・剥れ」、「チョーキング」という外観診断項目においては、それぞれ単独では劣化段階1〜5のいずれの場合も下地調整が必要でないので下地調整が必要でない「−」で示している。
【0037】
下塗り塗料一次選定手段3は、建物の外壁の外観を各外観診断項目毎にどの劣化段階であるのかという外観診断の結果が、外観診断入力手段2により入力されると、各外観診断項目毎の各劣化段階に対応して、それぞれ上記テーブルAにより複数の異なる下塗り塗料の中から当該外観診断項目における当該劣化段階に適した下塗り塗料を選定し、診断表14の選定表示部25に選定されたことを表示するようになっている(図3の実施形態では選定された場合*で表示される)。例えば、「汚れ」という外観診断項目に劣化段階が「5」と入力されると、図2に示す上記テーブルAに基いて、図3に示すようにディスプレー12の画面に表示される診断表14の「汚れ」という外観診断項目と「下塗り塗料」のb、c、eの各項目とに対応した選定表示部25に*が表示されるようになっている。
【0038】
下塗り塗料選定手段4は、上記のようにして各外観診断項目毎に選定された複数の異なる下塗り塗料毎に選定された合計数を算出すると共に算出後に合計数が最も多い下塗り塗料を選定するようになっている。例えば、図3においては、「a 水系1液」、「b 水系2液」、「c 水系3液」、「d 溶剤1液」、「e 溶剤2液」の5種類の下塗り塗料中、「a 水系1液」は選定されたのが0個、「b 水系2液」は選定されたのが3個、「c 水系3液」は選定されたのが6個、「d 溶剤1液」は選定されたのが0個、「e 溶剤2液」は選定されたのが6個であり、したがって、下塗り塗料選定手段4によりこれら各下塗り塗料後とに選定された合計数を算出し、最も合計数が多い下塗り塗料が「c 水系3液」と「e 溶剤2液」であることを求めるものである。
【0039】
このようにして下塗り塗料選定手段4により求められた「c 水系3液」と「e 溶剤2液」は、当該外壁の診断に基いたリフォーム塗装を行うに当たって適した下塗り塗料であり、この下塗り塗料選定手段4で選定された下塗り塗料の選定結果を下塗り塗料表示手段5によりディスプレー12の画面上の診断表14の下塗り塗料選定結果表示部20に図3に示すように適した下塗り塗料として「c 水系3液」、「e 溶剤2液」の2種類の下塗り塗料を表示するようになっている。
【0040】
また、下地調整選定手段6は、建物の外壁の外観を各外観診断項目毎にどの劣化段階であるかという観診断した結果が、外観診断入力手段2により入力されると、各外観診断項目毎の各劣化段階に対応して、それぞれ上記テーブルAにより複数の異なる下地調整の中から当該外観診断項目における当該劣化段階に適した下地調整を選定し、診断表14の選定表示部25に選定されたことを表示するようになっている(図3の実施形態では選定された場合*で表示される)。例えば、「基材割れ」という外観診断項目における劣化段階が「5」と入力されると、図2に示す上記テーブルAに基いて、図3に示すようにディスプレー12の画面に表示される診断表14の「基材割れ」という外観診断項目と「下地調整」のcの項目とに対応した選定表示部25に*が表示されるようになっている。
【0041】
このようにして下地調整選定手段6により選定された下地調整項目は、下地調整表示手段7によりディスプレー12の画面上の診断表14の下地調整選定結果表示部21に図3に示すように適した下地調整として例えば「b 劣化部分の補修」「c 劣化部分の交換」「d 劣化部位の交換+劣化原因の除去(下地補修等)」「h シーリングの全面打ち替え」が必要であると表示するようになっている。
【0042】
また、洗浄選定手段8は、「カビ・苔」という外観診断項目においてどの劣化段階であるかが入力されると、「カビ・苔」という外観診断項目の各劣化段階に対応して、それぞれ上記テーブルAにより複数の異なる下地調整の中から当該外観診断項目における当該劣化段階に適した洗浄項目を選定し、診断表14の選定表示部25に選定されたことを表示するようになっている(図3の実施形態では選定された場合*で表示される)。例えば、「カビ・苔」という外観診断項目における劣化段階が「5」と入力されると、図2に示す上記テーブルAに基いて、図3に示すようにディスプレー12の画面に表示される診断表14の「カビ・苔」という外観診断項目と「洗浄」のbの項目とに対応した選定表示部25に*が表示されるようになっている。
【0043】
このようにして洗浄選定手段8により選定された洗浄項目は、洗浄表示手段9によりディスプレー12の画面上の診断表14の洗浄選定結果表示部22に図3に示すように適した洗浄として例えば「b 高圧洗浄+薬品洗浄」が必要であると表示するようになっている。
【0044】
上記のようにして外壁の複数の診断項目毎に診断結果を入力するだけで、該入力情報に基いて当該建物の外壁に適した下塗り塗料の種類、下地調整の形態、洗浄の形態を自動的に求めて表示することで、当該建物の外壁に適した下塗り塗料の種類、下地調整の形態、洗浄の形態を簡単に知ることができるのであるが、このような外壁の診断→当該建物の外壁に適した下塗り塗料の種類、下地調整の形態、洗浄の形態を自動的に求めて表示するに当たって、建物の各面(通常は東西南北の四面)毎に行うものである。
【0045】
上記実施形態では図2に示すように、データテーブル1、第2のデータテーブル1a、第3のデータテーブル1bが1つのテーブルAとして構成してある例を示しているが、データテーブル1、第2のデータテーブル1a、第3のデータテーブル1bがそれぞれ別々のテーブルとして構成してあってもよい。
【0046】
また、図示を省略しているが、外壁のリフォーム塗装に使用する上記した複数種類の下塗り塗料にそれぞれ最も適した上塗り塗料のデータを蓄積したデータベースをコンピュータ10に設けておき、上記のように下塗り塗料選定手段4により該当する外壁の診断に基いたリフォーム塗装を行うに当たって適した下塗り塗料の選定がなされると、この選定情報に基いて上塗り塗料選定表示手段により選定された下塗り塗料に適した上塗り塗料を選定して上記診断表14において表示するようにしてもよい。この場合、図示を省略しているが、上記診断表14に選定された上塗り塗料を表示するための上塗り塗料表示部を設けるものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のシステム構成図である。
【図2】同上のテーブルの一実施形態を示す説明図である。
【図3】同上の診断表の一実施形態の説明図である。
【図4】同上の劣化診断基準を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1 データテーブル
1a 第2のデータテーブル
1b 第3のデータテーブル
2 外観診断入力手段
3 下塗り塗料一次選定手段
4 下塗り塗料選定手段
5 下塗り塗料表示手段
6 下地調整選定手段
7 下地調整表示手段
8 洗浄選定手段
9 洗浄表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁のリフォーム塗装に当たってコンピュータにより建物の外壁の診断結果に応じて下塗り塗料を選定するためのリフォーム塗装システムであって、
建物の外壁の外観を各外観診断項目毎にどの劣化段階であるかをコンピュータに入力するための外観診断入力手段を有し、
コンピュータに、
複数の外観診断項目と、各外観診断項目毎に与えられた複数の劣化段階と、複数種類の下塗り塗料との組み合わせによるデータテーブルと、
入力された各外観診断項目毎の各劣化段階に対応して、それぞれ上記データテーブルにより複数の異なる下塗り塗料の中から当該外観診断項目における当該劣化段階に適した下塗り塗料を選定するための下塗り塗料一次選定手段と、
各外観診断項目毎に選定された複数の異なる下塗り塗料毎に選定された合計数を算出すると共に算出後に合計数が最も多い下塗り塗料を選出するための下塗り塗料選定手段と、
下塗り塗料選定手段で選定された下塗り塗料を表示するための下塗り塗料表示手段とを
備えて成ることを特徴とするリフォーム塗装システム。
【請求項2】
コンピュータに、
上記データテーブルに加え、複数の外観診断項目と、各外観診断項目毎に与えられた複数の劣化段階と、複数項目に分類された下地調整項目との組み合わせによる第2のデータテーブルを備え、
更に、入力された各外観診断項目の劣化段階に対応して、それぞれ上記第2のデータテーブルにより複数の異なる下地調整項目の中から当該外観診断項目における当該劣化段階に適した下地調整項目を選定するための下地調整選定手段と、
各外観診断項目毎に選定された下地調整項目を表示するための下地調整表示手段とを
備えて成ることを特徴とする請求項1記載のリフォーム塗装システム。
【請求項3】
コンピュータに、
上記データテーブル及び第2のデータテーブルに加え、複数の外観診断項目と、各外観診断項目毎に与えられた複数の劣化段階と、複数種類に分類された洗浄項目との組み合わせによる第3のデータテーブルを備え、
更に、入力された外観診断項目の劣化段階に対応して、それぞれ上記第3のデータテーブルにより複数の異なる洗浄項目の中から当該外観診断項目における当該劣化段階に適した洗浄項目を選定するための洗浄選定手段と、
選定された洗浄項目を表示するための洗浄表示手段とを
備えて成ることを特徴とする請求項2記載のリフォーム塗装システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−9405(P2006−9405A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187817(P2004−187817)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(503367376)クボタ松下電工外装株式会社 (467)
【Fターム(参考)】