説明

リフロー半田付け装置及びそれを用いたリフロー半田付けシステム

【課題】 消費電力を低減し、かつ、小型化を図ることができると共に、複数品種のプリント基板の混合生産に対応させることのできるリフロー半田付け装置を提供する。
【解決手段】 リフロー半田付け装置1は、プリント基板3を搬送する搬送コンベア6と、搬送コンベア6の搬送部分に対して上下移動可能に設けられ、プリント基板3を予備加熱する第1及び第2の予備加熱ヒータ8、9と、第2の予備加熱ヒータ9の、プリント基板3の搬入側と反対側に設けられると共に、搬送コンベア6の搬送部分に対して上下移動可能に設けられ、プリント基板3をリフロー加熱するリフロー加熱ヒータ10とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板への電子部品の半田付け実装に広く用いられているリフロー半田付け装置、及び、それを用いたリフロー半田付けシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリフロー半田付け装置においては、プリント基板の実装の生産タクトによって当該プリント基板を搬送する搬送コンベア(基板搬送部)の速度が決定されるため、実装されるプリント基板の量(生産量)が多くなれば搬送コンベアの速度を上げなければならない。そして、これに関連して、プリント基板を加熱するヒータ(加熱部)の温度を高くする必要があるが、急激な加熱は、プリント基板上の電子部品に悪影響を及ぼすと共に、プリント基板の表面温度の均一化に対しても悪影響を及ぼす。
【0003】
従来、この問題を解決するために、リフロー半田付け装置の全長を長くし、かつ、ヒータの数も増加させることにより、ヒータの温度を高くせずに搬送コンベアの速度を上げても、プリント基板の表面温度を所定のプロファイルに上昇させることができるようにされている。
【0004】
しかし、上記のような構成では、消費電力が大きくなると共に、設置スペースも広くなり、現実的ではない。
【0005】
そこで、消費電力を低減し、かつ、小型化を図ることを可能とするために、クリーム半田を加熱溶融し、プリント基板のパターン電極と電子部品の電極とを接続するリフロー半田付け装置であって、被加熱プリント基板の上下に配置される加熱部(ヒータもしくは熱風送風装置又はその併用)を、プリント基板に対して上下移動可能に設けたリフロー半田付け装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。そして、このリフロー半田付け装置においては、必要な予備温度で一定時間経過後、それぞれの加熱部がプリント基板に近づけられ、プリント基板がリフロー温度に達するまで加熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−98262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載のリフロー半田付け装置において、プリント基板は装置内で停止した状態で加熱される。そして、実装されるプリント基板の量(生産量)が多くなった場合には、リフロー半田付け装置を複数台直列に連結することによって対応するようにされている。この場合、直列に連結された複数台のリフロー半田付け装置の搬入側にプリント基板をストックできるストッカーが設けられ、ストッカーからプリント基板が1枚ずつ各リフロー半田付け装置内に搬送コンベアで搬送された後、一斉にリフロー半田付けが開始される。
【0008】
しかし、例えば3台のリフロー半田付け装置を連結したものにあっては、3台のリフロー半田付け装置の長さ分の搬送ロス時間が発生し、生産量が多くなればその連結台数分搬送ロス時間が比例して増加するという問題がある。
【0009】
また、プリント基板は多品種化し、リフロー半田付け装置には多様な生産形態に対応する能力が求められるようになってきているが、上記特許文献1に記載のリフロー半田付け装置は、複数品種のプリント基板の混合生産に対応したものとはなっていない。
【0010】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、消費電力を低減し、かつ、小型化を図ることができると共に、複数品種のプリント基板の混合生産に対応させることのできるリフロー半田付け装置、及び、それを用いたリフロー半田付けシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明に係るリフロー半田付け装置の構成は、プリント基板を搬送する基板搬送部と、前記基板搬送部に対して上下移動可能に設けられ、前記プリント基板を予備加熱する予備加熱部と、前記予備加熱部の、前記プリント基板の搬入側と反対側に設けられると共に、前記基板搬送部に対して上下移動可能に設けられ、前記プリント基板をリフロー加熱するリフロー加熱部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
このリフロー半田付け装置の構成によれば、最小限必要な数の予備加熱部及びリフロー加熱部を用い、予備加熱部及びリフロー加熱部自体の温度を上げることなく、予備加熱部及び/又はリフロー加熱部を上下移動させるだけで、被加熱プリント基板に最適なリフロー半田付けの温度プロファイルを設定することができるので、消費電力を低減し、かつ、小型化を図ることが可能なリフロー半田付け装置を実現することができる。そして、このように予備加熱部及び/又はリフロー加熱部を上下移動させるだけで、連続して適正な温度プロファイルを設定することができるので、リフロー半田付けの温度プロファイルの設定切替時間を‘0’にすることが可能となる。その結果、複数品種のプリント基板の混合生産に対応させることが可能なリフロー半田付け装置を実現することができる。
【0013】
前記本発明のリフロー半田付け装置の構成においては、前記予備加熱部が隣接する複数の例えば2つの第1及び第2の予備加熱部及び複数のリフロー加熱部からなるのが好ましい。この好ましい例によれば、リフロー半田付けの温度プロファイルをより細かく設定することができる。
【0014】
また、前記本発明のリフロー半田付け装置の構成においては、前記基板搬送部に搬入される前記プリント基板の品種を検出する基板品種検出部と、前記基板品種検出部からの基板品種検出信号に基づいて、前記予備加熱部及び/又はリフロー加熱部を上下移動させ、前記予備加熱部及びリフロー加熱部の前記基板搬送部からの距離を調整する加熱制御部とをさらに備えているのが好ましい。この好ましい例によれば、基板搬送部に搬入される品種のプリント基板に最適なリフロー半田付けの温度プロファイルを、予備加熱部及び/又はリフロー加熱部を上下移動させるだけで、設定切替に時間を要することなく設定することができるので、複数品種のプリント基板の混合生産に対応したリフロー半田付け装置を実現することができる。
【0015】
また、前記本発明のリフロー半田付け装置の構成においては、前記基板搬送部に前記プリント基板を搬入する基板搬入部と、前記基板搬送部への前記プリント基板の搬入を検出する基板搬入検出部と、前記基板搬入検出部からの基板搬入検出信号と前記基板搬送部の搬送速度に基づいて、前記基板搬入部の基板搬入動作を制御する基板搬入動作制御部とをさらに備えているのが好ましい。この好ましい例によれば、先行のプリント基板とその次のプリント基板を一定の間隔をおいて搬送しながら、連続してそれぞれのプリント基板に適正な温度プロファイルを設定することができるので、連続して効率良くスムーズに複数品種のプリント基板の混合生産を行うことが可能となる。
【0016】
また、前記本発明のリフロー半田付け装置の構成においては、前記予備加熱部及びリフロー加熱部が、ヒータ及び/又は熱風送風装置であるのが好ましい。
【0017】
また、本発明に係るリフロー半田付けシステムの構成は、前記本発明のリフロー半田付け装置を複数列備えたことを特徴とする。
【0018】
このリフロー半田付けシステムの構成によれば、生産タクトを上げて、実装されるプリント基板の生産性を向上させることができる。この場合、各列のリフロー半田付け装置を特定品種のプリント基板用として用いることにより、プリント基板の連続実装中に予備加熱部、リフロー加熱部を上下移動させる必要がないので、複数品種のプリント基板の混合生産に対応した省電力リフロー半田付けシステムを実現することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、消費電力を低減し、かつ、小型化を図ることができると共に、複数品種のプリント基板の混合生産に対応させることのできるリフロー半田付け装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態におけるリフロー半田付け装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施の形態におけるリフロー半田付け装置の概略構成を示す側面図である。
【図3】図3は、リフロー半田付けの温度プロファイルを示すグラフである。
【図4】図4は、本発明の一実施の形態におけるリフロー半田付け装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明の一実施の形態におけるリフロー半田付け装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の一実施の形態におけるリフロー半田付けシステムの概略構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
【0022】
〈リフロー半田付け装置の構成〉
まず、本実施の形態のリフロー半田付け装置について、図1〜図4を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施の形態におけるリフロー半田付け装置の概略構成を示す平面図、図2は、本発明の一実施の形態におけるリフロー半田付け装置の概略構成を示す側面図、図3は、リフロー半田付けの温度プロファイルを示すグラフ、図4は、本発明の一実施の形態におけるリフロー半田付け装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【0024】
図1、図2に示すように、本実施の形態のリフロー半田付け装置1は、装置本体2と、装置本体2内の後述する搬送コンベア6にプリント基板3を搬入する基板搬入部4とを備えている。
【0025】
装置本体2内には、プリント基板3を搬送する基板搬送部としての搬送コンベア6が配設されており、搬送コンベア6のうち、実際にプリント基板3を搬送する部分(以下『搬送部分』という)は、水平状態に保たれている。尚、搬送コンベア6のコンベア駆動用モータ7は、制御部12(図4参照)によって制御され、これにより、リフロー半田付け作業時に搬送コンベア6が所定の搬送速度で駆動される。
【0026】
また、装置本体2内には、予備加熱部が設けられている。ここで、予備加熱部は、基板搬入部4側から順に配置された、隣接する2つの第1及び第2の予備加熱部としての第1及び第2の予備加熱ヒータ8、9からなっている。第1の予備加熱ヒータ8は、プリント基板3を上面側から予備加熱する上面予備加熱ヒータ8aと、プリント基板3を下面側から予備加熱する下面予備加熱ヒータ8bとにより構成されている。また、第2の予備加熱ヒータ9も、プリント基板3を上面側から予備加熱する上面予備加熱ヒータ9aと、プリント基板3を下面側から予備加熱する下面予備加熱ヒータ9bとにより構成されている。そして、各ヒータ8a、8b、9a、9bは、搬送コンベア6の搬送部分に対して上下移動可能に設けられている。
【0027】
また、装置本体2内には、第2の予備加熱ヒータ9の、基板搬入部4側と反対側に隣接して、リフロー加熱部としてのリフロー加熱ヒータ10が設けられている。リフロー加熱ヒータ10は、プリント基板3を上面側からリフロー加熱する上面リフロー加熱ヒータ10aと、プリント基板3を下面側からリフロー加熱する下面リフロー加熱ヒータ10bとにより構成されている。そして、各ヒータ10a、10bは、搬送コンベア6の搬送部分に対して上下移動可能に設けられている。尚、図1、図2中、参照符号5はリフロー加熱後のプリント基板3を冷却するための冷却装置を示している。
【0028】
以上の構成のリフロー半田付け装置1によれば、最小限必要な数の予備加熱部、リフロー加熱部を用い、予備加熱部、リフロー加熱部自体の温度を上げることなく、予備加熱部を構成するヒータ8a、8b、9a、9b、及び、リフロー加熱部を構成するヒータ10a、10bを上下移動させるだけで、各ヒータ8a、8b、9a、9b、10a、10bの搬送コンベア6の搬送部分からの距離を調整して、図3に示すような、予熱部、リフロー部として温度コントロールされた、被加熱プリント基板3に最適なリフロー半田付けの温度プロファイルを設定することができる。このため、消費電力を低減し、かつ、小型化を図ることが可能なリフロー半田付け装置を実現することができる。そして、このようにヒータ8a、8b、9a、9b、10a、10bを上下移動させるだけで、連続して適正な温度プロファイルを設定することができるので、リフロー半田付けの温度プロファイルの設定切替時間を‘0’にすることが可能となる。その結果、複数品種のプリント基板の混合生産に対応させることが可能なリフロー半田付け装置を実現することができる。
【0029】
尚、本実施の形態においては、予備加熱部を、隣接する2つの第1及び第2の予備加熱ヒータ8、9を用いて構成しているが、1つの予備加熱ヒータのみを用いて構成してもよい。リフロー半田付けの温度プロファイルをより細かく設定できる点で、複数の例えば2つの第1及び第2の予備加熱ヒータ8、9を用いるのが好ましい。また、本実施の形態においては、リフロー加熱部を、1つのリフロー加熱部のみを用いて構成しているが、隣接する複数のリフロー加熱部を用いて構成してもよい。
【0030】
また、本実施の形態においては、第1及び第2の予備加熱ヒータ8、9、並びに、リフロー加熱ヒータ10を、それぞれ上下一対のヒータを用いて構成しているが、各加熱ヒータは少なくとも上側のヒータを備えていればよい。
【0031】
各ヒータ8a、8b、9a、9b、10a、10bの上下移動は、モータやガイド等からなる公知の駆動機構を用いたヒータ上下駆動部11(図4参照)によって独立に行われる。
【0032】
各プリント基板3には、その品種を示すバーコードからなる基板品種識別マーク(図示せず)が付されている。尚、基板品種識別マークは、QR(quick response)コード(登録商標)等であってもよい。
【0033】
図1、図2、図4に示すように、装置本体2と基板搬入部4との間には、装置本体2内の搬送コンベア6に搬入されるプリント基板3の品種を検出する基板品種検出部としてのバーコードリーダ13が設けられている。そして、基板搬入部4から搬送コンベア6に搬入されるプリント基板3に付されているバーコードがバーコードリーダ13によって読み取られると、バーコードリーダ13からの基板品種検出信号が制御部12に送られる。制御部12は、バーコードリーダ13からの基板品種検出信号に基づいてヒータ上下駆動部11を制御し、各ヒータ8a、8b、9a、9b、10a、10bを上下移動させて、各ヒータ8a、8b、9a、9b、10a、10bの搬送コンベア6の搬送部分からの距離を調整する。これにより、図3に示すような、予熱部、リフロー部として温度コントロールされた、当該品種のプリント基板3に最適なリフロー半田付けの温度プロファイルが設定される。尚、制御部12は、バーコードリーダ13から受け取った基板品種検出信号が先行のプリント基板3のものと同じ場合には、ヒータ上下駆動部11を制御することはない。
【0034】
各品種のプリント基板に対応するヒータ上下駆動部11の制御量は、記憶部15に予め記憶されており、制御部12は、バーコードリーダ13からの基板品種検出信号を受け取ったら、当該品種のプリント基板に対応するヒータ上下駆動部11の制御量を記憶部15から呼び出して、ヒータ上下駆動部11を制御する。
【0035】
以上の構成によれば、搬送コンベア6に搬入される品種のプリント基板3に最適なリフロー半田付けの温度プロファイルを、ヒータ8a、8b、9a、9b、10a、10bを上下移動させるだけで、設定切替に時間を要することなく設定することができるので、複数品種のプリント基板の混合生産に対応したリフロー半田付け装置を実現することができる。
【0036】
尚、プリント基板3の品種が切り替わる際、必ずしもヒータ8a、8b、9a、9b、10a、10bの全てを上下移動させる必要はない。上下移動させる必要のあるヒータのみを上下移動させて、品種切替後のプリント基板3に最適なリフロー半田付けの温度プロファイルを設定すればよい。
【0037】
また、装置本体2と基板搬入部4との間には、搬送コンベア6へのプリント基板3の搬入を検出する基板搬入検出部としての基板搬入検出用センサ14が設けられている。そして、基板搬入部4から搬送コンベア6に搬入されるプリント基板3が基板搬入検出用センサ14によって検出されると、基板搬入検出用センサ14からの基板搬入検出信号が制御部12に送られる。制御部12は、基板搬入検出用センサ14からの基板搬入検出信号と搬送コンベア6の搬送速度とに基づいて基板搬入部4の基板搬入動作を制御する。すなわち、制御部12は、搬送コンベア6の搬送速度換算により、先行のプリント基板3が第2の予備加熱ヒータ9の上面予備加熱ヒータ9aと下面予備加熱ヒータ9bとの間に搬入されるのとほぼ同時に、その次のプリント基板3が第1の予備加熱ヒータ8の上面予備加熱ヒータ8aと下面予備加熱ヒータ8bとの間に搬入されるように、基板搬入部4の基板搬入動作を制御する。尚、例えば、先行のプリント基板3がリフロー加熱ヒータ10の上面リフロー加熱ヒータ10aと下面リフロー加熱ヒータ10bとの間に搬入されるのとほぼ同時に、その次のプリント基板3が第1の予備加熱ヒータ8の上面予備加熱ヒータ8aと下面予備加熱ヒータ8bとの間に搬入されるように、基板搬入部4の基板搬入動作を制御するようにしてもよい。
【0038】
先行のプリント基板3とその次のプリント基板3とが異なる品種である場合、ヒータ8a、8b、9a、9b、10a、10bの上下移動は、第1の予備加熱ヒータ8⇒第2の予備加熱ヒータ9⇒リフロー加熱ヒータ10の順番で行われ、リフロー半田付けの温度プロファイルが次のプリント基板3に最適な温度プロファイルに徐々に切替えられる。
【0039】
そして、以上の構成によれば、先行のプリント基板3とその次のプリント基板3を一定の間隔をおいて搬送しながら、連続してそれぞれのプリント基板3に適正な温度プロファイルを設定することができるので、連続して効率良くスムーズに複数品種のプリント基板の混合生産を行うことが可能となる。
【0040】
尚、本実施の形態においては、同じ制御部12を用いて、ヒータ上下駆動部11の動作と基板搬入部4の基板搬入動作を制御しているが、別々の制御部(加熱制御部、基板搬入動作制御部)を用いてもよい。
【0041】
また、本実施の形態においては、予備加熱部及びリフロー加熱部としてヒータを用いているが、熱風送風装置を用いてもよい。また、ヒータと熱風送風装置を併用してもよい。
【0042】
〈リフロー半田付け装置の動作〉
次に、本実施の形態のリフロー半田付け装置を用いて複数品種のプリント基板の混合生産を行う場合の動作について、図1〜図5を参照しながら説明する。
【0043】
図5は、本発明の一実施の形態におけるリフロー半田付け装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0044】
まず、基板搬入部4から搬送コンベア6にプリント基板3が搬入される際に、プリント基板3に付されているバーコードがバーコードリーダ13によって読み取られることにより、搬入されるプリント基板3の品種が検出される(S1)。
【0045】
次に、搬入されるプリント基板3の品種が、現在リフロー半田付けされている先行のプリント基板3の品種と同じか否かが判断される(S2)。
【0046】
搬入されるプリント基板3の品種が先行のプリント基板3の品種と異なる場合には、制御部12が、バーコードリーダ13からの基板品種検出信号に基づいて、当該品種のプリント基板に対応するヒータ上下駆動部11の制御量を記憶部15から呼び出し、ヒータ上下駆動部11を制御する(S3)。これにより、各ヒータ8a、8b、9a、9b、10a、10bが上下移動され、各ヒータ8a、8b、9a、9b、10a、10bの搬送コンベア6の搬送部分からの距離が調整されて、搬入されるプリント基板3に最適なリフロー半田付けの温度プロファイルが設定される。
【0047】
そして、この温度プロファイルにしたがって、当該プリント基板3のリフロー半田付けが行われ(S4)、当該プリント基板3は、冷却装置5で冷却された後、搬送コンベア6から搬出される。
【0048】
尚、本実施の形態のリフロー半田付け装置1においては、先行のプリント基板3が第2の予備加熱ヒータ9の上面予備加熱ヒータ9aと下面予備加熱ヒータ9bとの間に搬入されるのとほぼ同時に、その次のプリント基板3が第1の予備加熱ヒータ8の上面予備加熱ヒータ8aと下面予備加熱ヒータ8bとの間に搬入されるように構成されているので、ヒータ8a、8b、9a、9b、10a、10bの上下移動は、第1の予備加熱ヒータ8⇒第2の予備加熱ヒータ9⇒リフロー加熱ヒータ10の順番で行われる。
【0049】
搬入されるプリント基板3の品種が先行のプリント基板3の品種と同じ場合には、先行のプリント基板3に対して最適に設定されている温度プロファイルにしたがって、当該搬入されるプリント基板3のリフロー半田付けが行われ(S4)、当該プリント基板3は、冷却装置5で冷却された後、搬送コンベア6から搬出される。
【0050】
〈リフロー半田付けシステムの構成〉
次に、本実施の形態のリフロー半田付けシステムについて、図6を参照しながら説明する。
【0051】
図6は、本発明の一実施の形態におけるリフロー半田付けシステムの概略構成を示す平面図である。
【0052】
図6に示すように、本実施の形態のリフロー半田付けシステム16は、上記した本実施の形態のリフロー半田付け装置1を複数列備えた構成を有している。
【0053】
このリフロー半田付けシステム16の構成によれば、生産タクトを上げて生産性を向上させることができる。
【0054】
また、各列のリフロー半田付け装置1を特定品種のプリント基板3用として用いることにより、プリント基板3の連続実装中に第1及び第2の予備加熱ヒータ8、9並びにリフロー加熱ヒータ10を上下移動させる必要がないので、複数品種のプリント基板の混合生産に対応した省電力リフロー半田付けシステムを実現することができる。
【0055】
尚、図6には、リフロー半田付け装置1を2列備えたリフロー半田付けシステム16が示されているが、リフロー半田付け装置1の数はプリント基板3の品種の数などを考慮して決定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明のリフロー半田付け装置は、予備加熱部、リフロー加熱部を上下移動させるだけで、連続して適正な温度プロファイルを設定することができるので、リフロー半田付けの温度プロファイルの設定切替時間を‘0’にすることが可能となる。従って、本発明のリフロー半田付け装置は、複数品種のプリント基板の混合生産に対応させることが可能なリフロー半田付け装置として有用である。
【符号の説明】
【0057】
1 リフロー半田付け装置
2 装置本体
3 プリント基板
4 基板搬入部
5 冷却装置
6 搬送コンベア
7 コンベア駆動用モータ
8 第1の予備加熱ヒータ
8a 上面予備加熱ヒータ
8b 下面予備加熱ヒータ
9 第2の予備加熱ヒータ
9a 上面予備加熱ヒータ
9b 下面予備加熱ヒータ
10 リフロー加熱ヒータ
10a 上面リフロー加熱ヒータ
10b 下面リフロー加熱ヒータ
11 ヒータ上下駆動部
12 制御部
13 バーコードリーダ(基板品種検出部)
14 基板搬入検出用センサ
15 記憶部
16 リフロー半田付けシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板を搬送する基板搬送部と、
前記基板搬送部に対して上下移動可能に設けられ、前記プリント基板を予備加熱する予備加熱部と、
前記予備加熱部の、前記プリント基板の搬入側と反対側に設けられると共に、前記基板搬送部に対して上下移動可能に設けられ、前記プリント基板をリフロー加熱するリフロー加熱部とを備えたリフロー半田付け装置。
【請求項2】
前記予備加熱部が隣接する複数の予備加熱部からなる、請求項1に記載のリフロー半田付け装置。
【請求項3】
前記予備加熱部が隣接する複数のリフロー加熱部からなる、請求項1に記載のリフロー半田付け装置。
【請求項4】
前記予備加熱部が隣接する複数の予備加熱部からなり、前記リフロー加熱部が隣接する複数のリフロー加熱部からなる、請求項1に記載のリフロー半田付け装置。
【請求項5】
前記基板搬送部に搬入される前記プリント基板の品種を検出する基板品種検出部と、
前記基板品種検出部からの基板品種検出信号に基づいて、前記予備加熱部及び/又はリフロー加熱部を上下移動させ、前記予備加熱部及びリフロー加熱部の前記基板搬送部からの距離を調整する加熱制御部とをさらに備えた、請求項1〜4のいずれかに記載のリフロー半田付け装置。
【請求項6】
前記基板搬送部に前記プリント基板を搬入する基板搬入部と、
前記基板搬送部への前記プリント基板の搬入を検出する基板搬入検出部と、
前記基板搬入検出部からの基板搬入検出信号と前記基板搬送部の搬送速度に基づいて、前記基板搬入部の基板搬入動作を制御する基板搬入動作制御部とをさらに備えた、請求項1〜5のいずれかに記載のリフロー半田付け装置。
【請求項7】
前記予備加熱部及びリフロー加熱部が、ヒータ及び/又は熱風送風装置である、請求項1〜6のいずれかに記載のリフロー半田付け装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のリフロー半田付け装置を複数列備えたリフロー半田付けシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−119352(P2011−119352A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273768(P2009−273768)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】