説明

リポキシンA4類似体

【課題】リポキシンA4類似体類の提供。
【解決手段】式の化合物は、ヒトにおける炎症及び自己免疫疾患の処理において有用である単一の立体異体としての化合物、立体異性体の混合物、又は立体異性体のラセミ混合物。また、肺又は呼吸気管炎症の処理においても有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リポキシンA4類似体類、炎症及び自己免疫疾患及び肺及び呼吸気管炎症の処理へのそれらの使用、及び前記類似体類を含む医薬組成物並びにそれらの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リューコトリエン、プロスタグランジン及びトロンボキサンと共に、リポキシンは、エイコサノイドとして集合的には言及される、生物学的活性の酸素化された脂肪酸群を構成する。エイコサノイドは、酵素のアラキドン酸カスケードを通して膜リン脂質から新たに、すべて合成される。1984年、それらの初期発見以来、構造的にユニークな種類のエイコサノイドであるリポキシンは、それらが治療可能性を有することができることを示唆する有能な抗炎症性質を有する(Serhan, C. N., Prostaglandins (1997), Vol. 53, pp. 107-137; O'Meara, Y. M.など., KidneyInt. (Suppl.) (1997), Vol. 58, pp. S56-S61 ; Brady, H. R. など., Curer. Opin. Nephrol. Hypertens. (1996), Vol. 5, pp. 20-27; 及び Serhan, C. N., Biochem. Biophys. Acta. (1994), Vol. 1212, pp. 1-25)。他の炎症剤、例えば血小板活性化因子、FMLP、免疫複合体及びTNFαの他に、リューコトリエンの前−炎症機能を拮抗するリポキシンの能力は、特に興味あるものである。
【0003】
従って、リポキシンは、PMN走化性、同型凝集、付着、内皮及び外皮細胞を通しての移動、辺縁趨向/漏出、及び組織浸潤を阻害する有能な抗−好中球(PMN)剤である(Lee, T. H. ,など., Clin. Sci. (1989), Vol. 77, pp. 195-203; Fiore, S., など., Biochemistry (1995), Vol. 34, pp. 16678-16686; Papyianni, A., など., J. Immunol. (1996), Vol. 56, pp. 2264- 2272; Hedqvist, P.,など., Acta. Physiol. Scand. (1989), Vol. 137,. pp. 157-572; Papyianni, A. ,など., Kidney Intl. (1995), Vol. 47, pp. 1295-1302)。
【0004】
さらに、リポキシンは、PMNについての内皮P−セレクチン発現及び付着(Papyianni, A., など., J. Immunol. (1996), Vol. 56, pp. 2264-2272)、気管及び血管平滑筋収縮、糸球体間質細胞収縮及び付着(Dahlen, S. E., など., Adv. Exp. Med. Biol. (1988), Vo.. 229, pp. 107-130 ; Christie, P. E. , など., Am. Rev. Respir. Dis. (1992), Vol. 145, pp. 1281-1284; Badr, K. F., など., Proc. Natl. Acad. Sci. (1989), Vol. 86, pp. 3438-3442 ; 及び Brady, H. R., など., Am. J. Physio. (1990), Vol. 259, pp. F809-F815)、及び好酸球走化性及び脱顆粒(Soyombo, O., など., Allergy (1994), Vol. 49, pp. 230-234)をダウン−レギュレーションすることができる。
【0005】
リポキシン、特にリポキシンA4のこのユニーク抗−炎症プロフィールは、炎症又は自己免疫疾患、及び肺及び呼吸気管炎症のための治療剤としてのそれらの可能性を見出すことにおいて促進された興味を有する。著しい炎症性浸潤を示すそのような疾患及び炎症が特に興味あるものであり、そして皮膚学的疾患、例えば乾癬、リュウマチ様関節炎及び呼吸疾患、例えば喘息を包含する。
【0006】
他の内因性エイコサノイドに関しては、急速に代謝され、そして不活性化される天然に存在するリポキシンは、不安定な生成物である(Serhan, C. N., Prostaglandins (1997), Vol. 53, pp. 107-137)。これは、特にリポキシンの抗−炎症プロフィールのインビボ薬理学的評価に関して、リポキシン研究分野の発展を制限して来た。いくつかのアメリカ特許は、長い組織半減期と共に、リポキシンA4の活性部位を有する化合物に向けられている。例えばアメリカ特許第5,441,951号及び第5,648,512号(それらの開示は引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0007】
それらの化合物は、リポキシンA4受容体結合活性、及び天然のリポキシンの可能性あるインビトロ及びインビボ抗−炎症性質を保持する(Takano, T., など., J. Clin. Invest. (1998), Vol. 101, pp. 819-826; Scalia, R., など., Proc. Natl. Acad. Sci. (1997), Vol. 94, pp. 9967-9972; Takano, T., など., J. Exp. Med. (1997), Vol. 185, pp. 1693-1704; Maddox, J. F., など., J. Biol. Chem. (1997), Vol. 272, pp. 6972-6978; Serhan, C. N., など., Biochemistry (1995), Vol. 34, pp. 14609-14615)。
本明細書において引用されるすべての引例、例えば公開された特許出願及び雑誌記事は、引用により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、有能な、選択的及び代謝的に/化学的に安定したリポキシA4類似体、及び哺乳類、特にヒトにおける炎症又は自己免疫疾患、及び肺又は呼吸気管炎症の処理へのそれらの使用に向けられる。
1つの観点においては、本発明は、下記式(I)又は(II):
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、個々のR1, R2及びR3は、独立して、ハロ, -OR6, -SR6, -S(O)tR7 (ここで、tは1又は2である)、又は-N(R7)R8であり;あるいは
R1及びR2は、それらが結合される炭素原子と共に、下記式:
【0011】
【化2】

【0012】
から選択された単環式の複素環式構造体を形成し;あるいは
R1及びR2は、それらが結合される炭素原子と共に、下記式:
【0013】
【化3】

【0014】
(式中、qは0〜3であり、pは1〜4であり、そして個々のR15は水素、アルキル、アラルキル又はアリールである)で表される二環式の複素環式構造体を形成し;
個々のR4は、-R9-R12, -R9-R13-R11, -R9-O-R10-R11, -R9-O-R12, - R9-C(O)-R10-R11, -R9-N(R7)-R10-R11, -R9-S(O)t-R10-R11 (ここで、tは0〜2である), 又は- R9-C(F)2-R9-R11であり;
個々のR5は、アリール(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
【0015】
個々のR6は、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、-C(O)R7,- C(S)R7,-C (O)OR14, -C(S)OR14, -C(O)N(R7)R8, 又は-C(S)N(R7)R8であり;
個々のR7は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルであり;
R8は、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、-C(O)R7, -C(O)OR14, 又はシクロアルキル(任意には、アルキル、-N(R7)2及び-C(O)OR7から成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
個々のR9は、独立し、直接結合、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖であり;
【0016】
個々のR10は、独立して、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキニレン鎖、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のシクロアルキレンであり;
個々のR11は、独立して、-C(O)OR7, -C(O)N(R7)2, -P(O)(OR7)2, - S (O)2OR7, -S(O)2N(H) R7、又はテトラゾールであり;
R12は、アリール(-C(O)OR7 又は-C(O)N(R7)2により置換され、そして任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(-C(O)OR7 又は-C(O)N(R7)2により置換され、そして任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
【0017】
R13は、枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖又はシクロアルキレンであり;そして
R14は、アルキル、アリール又はアラルキルである]
で表される化合物、その単一の立体異性体、立体異性体の混合物、立体異性体のラセミ混合物、又はそのシクロデキストリンクラスレート、又はその医薬的に許容できる塩に向けられる。
【0018】
もう1つの観点においては、本発明は、1又は複数の医薬的に許容できる賦形剤及び治療的有効量の上記に記載される式(I)又は(II)の化合物を含んで成る、哺乳類、特にヒトにおける炎症又は自己免疫疾患の処理において有用な医薬組成物に向けられる。
もう1つの観点においては、本発明は、1又は複数の医薬的に許容できる賦形剤及び治療的有効量の上記に記載される式(I)又は(II)の化合物を含んで成る、哺乳類、特にヒトにおける肺又は呼吸気管炎症の処理において有用な医薬組成物に向けられる。
【0019】
もう1つの観点においては、本発明は、治療的有効量の上記に記載される式(I)又は(II)の化合物を、炎症又は自己免疫疾患を有する哺乳類、特にヒトに投与することを含んで成る、前記疾患の処理方法に向けられる。
もう1つの観点においては、本発明は、治療的有効量の上記に記載される式(I)又は(II)の化合物を、肺又は呼吸気管炎症を有する哺乳類、特にヒトに投与することを含んで成る、前記疾患の処理方法に向けられる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
A. 定義
本明細書において使用される場合、単称形“1つの(a)”、“及び(and)”、及び“その(the)”は、特にことわらない限り、複数の指示対象を包含する。例えば、“1つの化合物”とは、1又は複数のそのような化合物を言及し、そして“その酵素”とは、特定の酵素、及び当業者に知られているような他のファミリーメンバー及びその同等物を包含する。さらに、本明細書において使用されるように、特にことわらない限り、次の用語は、示される意味を有する:
【0021】
“アルキル”とは、1〜8個の炭素原子を有する、不飽和を含まない、炭素原子及び水素原子のみから成り、そして単結合により分子の残りに結合される、直鎖又は枝分かれ鎖の炭化水素鎖基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(イソ−プロピル)、n−ブチル、n−ペンチル、1,1−ジメチル(t−プチル)及び同様のものを言及する。本明細書においては、特にことわらない限り、アルキル基は、シアノ、ニトロ、-R9-OR6, -R9-N=N-O-R16, -R9-N(R6)2, -R9-C(O)R6, -R9-C(O)OR6,-R9-C(O)N(R6)2, -R9-N (R6)C(O)ORI6, -R9-N(R6)C(O)R6, -R9-S(O)tOR6 (ここで t は 0 〜 2である),-R9-S(O)tR6 (ここで t はis 0〜 2である), -R9-S(O)tN(R6)2(ここで、個々のR6及びR9は本発明の要約において定義される通りであり、そして個々のR16は水素、アルキル又はアラルキルである)から成る群から選択された1又は複数の置換基により任意に置換され得る。本明細書において、特にことわらない限り、そのような置換は、アルキル基のいずれかの炭素上で存在することができることは理解されている。
【0022】
“アルキレン鎖”とは、炭素及び水素からのみ成り、不飽和を含まず、そして1〜8個の炭素原子を有する、直鎖又は枝分かれ鎖の二価の炭化水素鎖、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、n−ブチレン及び同様のものを言及する。
【0023】
“アルケニル”とは、炭素及び水素原子のみから成り、少なくとも1つの二重結合を含み、2〜8個の炭素原子を有し、そして単結合により分子の残りに結合される、直鎖又は枝分かれ鎖の単価の炭化水素鎖基、例えばエテニル、プロプ−1−エニル、ブト−1−エニル、ペント−1−エニル、ペンタ−1,4−ジエニル及び同様のものを言及する。本明細書においては、特にことわらない限り、アルケニル基は、シアノ、ニトロ、-R9-OR6, -R9-N=N-O-R16, -R9-N(R6)2, -R9-C(O)R6, -R9-C(O)OR6,-R9-C(O)N(R6)2, -R9-N (R6)C(O)ORI6, -R9-N(R6)C(O)R6, -R9-S(O)tOR6 (ここで t は 0 〜 2である),-R9-S(O)tR6 (ここで t はis 0〜 2である), -R9-S(O)tN(R6)2(ここで、個々のR6及びR9は本発明の要約において定義される通りであり、そして個々のR16は水素、アルキル又はアラルキルである)から成る群から選択された1又は複数の置換基により任意に置換され得る。本明細書において、特にことわらない限り、そのような置換は、アルケニル基のいずれかの炭素上で存在することができることは理解されている。
【0024】
“アルケニレン鎖”とは、炭素及び水素のみから成り、少なくとも1つの二重結合を含み、そして2〜8個の炭素原子を有する、直鎖又は枝分かれ鎖の二価の炭化水素鎖、例えばエテニレン、プロプ−1−エニレン、ブト−1−エニレン、ペント−1−エニレン、ヘキサ−1,4−ジエニレン及び同様のものを言及する。
【0025】
“アルキニル”とは、炭素及び水素原子のみから成り、少なくとも1つの三重結合を含み、2〜8個の炭素原子を有し、そして単結合により分子の残りに結合される、直鎖又は枝分かれ鎖の炭化水素鎖基、例えばエチニル、プロプ−1−イニル、ブト−1−イニル、ペント−1−イニル、ペント−3−イニル及び同様のものを言及する。本明細書においては、特にことわらない限り、アルキニル基は、シアノ、ニトロ、-R9-OR6, -R9-N=N-O-R16, -R9-N(R6)2, -R9-C(O)R6, -R9-C(O)OR6,-R9-C(O)N(R6)2, -R9-N (R6)C(O)ORI6, -R9-N(R6)C(O)R6, -R9-S(O)tOR6 (ここで t は 0 〜 2である),-R9-S(O)tR6 (ここで t はis 0〜 2である), -R9-S(O)tN(R6)2(ここで、個々のR6及びR9は本発明の要約において定義される通りであり、そして個々のR16は水素、アルキル又はアラルキルである)から成る群から選択された1又は複数の置換基により任意に置換され得る。本明細書において、特にことわらない限り、置換されたアルキニル基を含む、下記で定義されるような基に関しては、そのような置換はアルキニル基のいずれかの炭素上で存在することは理解されている。
【0026】
“アルキニレン鎖”とは、炭素及び水素のみから成り、少なくとも1つの三重結合を含み、そして2〜8個の炭素原子を有する、直鎖又は枝分かれ鎖の二価の炭化水素鎖、例えばエチニレン、プロプ−1−イニレン、ブト−1−イニレン、ペント−3−イニレン、ヘキサ−1,4−ジイニレン及び同様のものを言及する。
“アルコキシ”とは、式-ORa (ここで、Raは上記で定義されたようなアルキル基である)の基、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、1−メチルエトキシ(イソ−プロポキシ)、n−ブトキシ、n−ペントキシ、1,1−ジメチルエトキシ(t−ブトキシ)及び同様のものを言及する。
【0027】
“アミノ”とは、−NH2基を言及する。
“アリール”とは、フェニル又はナフチル基を言及する。本明細書において、特にことわらない限り、用語“アリール”又は接頭語“アラ−”(例えば“アラルキル”におけるような)は、アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、アリール、アラルキル、シクロアルキル、-R9-OR6, -R9-N=N-O-R16, -R9-N(R6)2, -R9-C(O)R6, -R9-C(O)OR6,-R9-C(O)N(R6)2, -R9-N (R6)C(O)ORI6, -R9-N(R6)C(O)R6, -R9-S(O)tOR6 (ここで t は 0 〜 2である),-R9-S(O)tR6 (ここで t はis 0〜 2である), -R9-S(O)tN(R6)2(ここで、個々のR6及びR9は本発明の要約において定義される通りであり、そして個々のR16は水素、アルキル又はアラルキルである)から成る群から選択された1又は複数の置換基により任意に置換され得るアリール基の包含を意味する。本明細書において、特にことわらない限り、そのような置換は、アリル基のいずれかの炭素上で存在することができることは理解されている。
【0028】
“アラルキル”とは、式-RaRb (ここで、Raは上記で定義されたようなアルキル基であり、そしてRbは上記で定義されたようなアリール基である)で表される基、例えばベンジル及び同様のものを言及する。前記アリール基は、上記に記載されるように、任意に置換され得る。
“カルボキシ”とは、-C(O)OH 基を言及する。
【0029】
本明細書において使用される場合、“市販されている”化合物は、標準の市販源、例えばAcros Organics (Pittsburgh PA), Aldrich Chemical (Milwaukee WI, including Sigma Chemical and Fluka), Apin Chemicals Ltd. (Milton Park UK), Avocado Research (Lancashire U. K. ), BDH Inc. (Toronto, Canada), Bionet (Cornwall, U. K.), Chemservice Inc. (West Chester PA), Crescent Chemical Co. (Hauppauge NY), Eastman Organic Chemicals, Eastman Kodak Company (Rochester NY), Fisher Scientific Co. (Pittsburgh PA), Fisons Chemicals (Leicestershire UK), Frontier Scientific (Logan UT), ICN Biomedicals, Inc. (Costa Mesa CA), Key Organics (Cornwall U. K.), Lancaster Synthesis (Windham NH), Maybridge Chemical Co. Ltd. (Cornwall U. K. ), Parish Chemical Co. (Orem UT), Pfaltz & Bauer, Inc. (Waterbury CN), Polyorganix (Houston TX), Pierce Chemical Co. (Rockford IL), Riedel de Haen AG (Hannover, Germany), Spectrum Quality Product, Inc. (New Brunswick, NJ), TCI America (Portland OR), Trans World Chemicals, Inc. (Rockville MD), 及び Wako Chemicals USA, Inc. (Richmond VA)から入手できる。
【0030】
本明細書において使用される場合、“当業者に知られている方法”は、種々の引用文献及びデータベースを通して同定され得る。本発明の化合物調製のために有用な反応体の合成を詳細するか、又はその調製を記載する参照文献を供給する適切な引用文献及び出版物は、例えば次のものを包含する:”Synthetic Organic Chemistry”. John Wiley & Sons, inc., New York; S. R. Sandler など., “Organic Functional Group Preparations,” 2nd Ed., Academic Press, New York, 1983; H. O. House, “Modern Synthetic Reactions” 2nd ED., W. A. Benjamin, Inc. Menlo Park, Calif. 1972; T. L. Gilchrist, “heterocyclic Chemistry”, 2nd Ed., John Wiley & Sons, New York, 1992; J. March, “Advanced Organic Chemistry. Reactions, Mechanisms and structure”, 4th Ed., Wiley-Interscience, New York。特定の及び類似する反応体はまた、ほとんどの公立及び大学の図書館において入手できるChemical Abstract Service of the American Chemical Societyにより供給される既知化学物質のインデックスを通して、及びオンラインデータベース(American Chemical Society, Washingto, D. C., WWW. acs. orgがより詳細のために接触され得る)を通して同定され得る。既知であるが、しかしカタログでは市販されていない化学物質は、標準化学供給会社(例えば、上記に列挙される会社)の多くが注文合成サービスを提供する、注文化学合成会社により調製され得る。
【0031】
本明細書において使用される場合、合成段階を行なうための“適切な条件”は、本明細書に明白に提供されるか、又は合成有機化学に使用される方法に向けられる出版物により認識され得る。本発明の化合物の調製において有用な反応体の合成を詳細する上記に示される文献及び論文はまた、本発明の合成段階を行なうための適切な条件を提供するであろう。
【0032】
“クラストレート”とは、本明細書において使用される場合、包接複合体として気体、液体又は化合物を固定する物質を言及し、ここで前記複合体は固体形で取り扱われ、そして包含される成分(又は“ゲスト”分子)は続いて、溶媒の作用により、又は溶融により放出する。用語“クラストレート”とは、本明細書においては、“包接分子”又は“包接複合体”と交換可能的に使用される。本発明において使用されるクラストレートは、シクロデキストリンから調製される。シクロデキストリンは、種々の分子と共にクラストレート(すなわち、包接化合物)を形成する能力を有するものとして広く知られている。
【0033】
例えば、Inclusion Compounds, edited by J. L. Atwood, J. E. D. Davies, and D. D. MacNicol, London, Orlando, Academic Press, 1984; Goldberg, I., "The Significance of Molecular Type, Shape and Complementarity in Clathrate Inclusion", Topics in Current Chemistry (1988), Vol. 149, pp. 2-44; Weber, E. など., "Functional Group Assisted Clathrate Formation-Scissor-Like and Roof-Shaped Host Molecules", Topics in Current Chemistry (1988), Vol. 149, pp. 45-135; 及びMacNicol, D. D. et al.,"Clathrates and Molecular Inclusion Phenomena", Chemical Society Reviews (1978), Vol. 7, No. 1, pp. 65-87を参照のこと。シクロデキストリンクラストレートへの転換は、一定の化合物の安定性及び溶解性を高め、それにより医薬剤としてのそれらの使用を促進することが知られている。
【0034】
例えば、Saenger, W.,"Cyclodextrin Inclusion Compounds in Research and Industry", Angew. Chem. Int. Ed. Engl. (1980), Vol. 19, pp. 344-362; アメリカ特許第4,886, 788号 (Schering AG); アメリカ特許第6,355, 627 号(Takasago); アメリカ特許第6,288, 119 号(Ono Pharmaceuticals); アメリカ特許第6,110, 969 号(Ono Pharmaceuticals); アメリカ特許第6,235, 780 号(Ono Pharmaceuticals); アメリカ特許第6,262, 293号 (Ono Pharmaceuticals); アメリカ特許第6,225, 347号 (Ono Pharmaceuticals); 及び アメリカ特許第4,935, 446号(Ono Pharmaceuticals)を参照のこと。
【0035】
“シクロデキストリン”は、α(1−4)連鎖により一緒に結合される少なくとも6個のグルコピラノースから成る環状オリゴ糖類を言及する。オリゴ糖環は、円環体の狭い末端上に存在するグルコース残基の第1ヒドロキシル基と共に円環体を形成する。第2グルコピラノースヒドロキシル基は、広い末端上に位置する。シクロデキストリンは、それらのキャビティ中に疎水性分子を結合することによって、水溶液において前記分子と共に包接複合体を形成することが示されている。そのような複合体の形成は、蒸発の損失から、酸素、可視及び紫外線光による攻撃から、及び分子内及び分子間反応から“ゲスト”分子を保護する。
【0036】
そのような複合体はまた、その複合体が暖かな湿った環境に遭遇するまで、揮発性材料を“固定する”よう作用し、この点で、複合体は溶解し、そしてゲスト分子及びシクロデキストリンに解離する。本発明のためには、6−グルコース単位含有シクロデキストリンがα−シクロデキストリンとして特定され、そして7及び8個のグルコース残基を有するシクロデキストリンは、それぞれβ−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンとして命名される。シクロデキストリン命名法の最も通常の他の方法は、シクロアミロースとしてのそれらの化合物の命名である。
【0037】
“シクロアルキル”とは、炭素及び水素原子からのみ成り、3〜10個の炭素原子を有し、そして単結合により分子の残りに飽和され、そして結合される、安定した単価の単環式又は二環式炭化水素基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、デカリニル及び同様のものを言及する。本明細書において、特にことわらない限り、用語“シクロアルキル”とは、アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、-R9-OR6, -R9-N=N-O-R16, -R9-N(R6)2, -R9-C(O)R6, -R9-C(O)OR6,-R9-C(O)N(R6)2, -R9-N (R6)C(O)ORI6, -R9-N(R6)C(O)R6, -R9-S(O)tOR6 (ここで t は 0 〜 2である),-R9-S(O)tR6 (ここで t はis 0〜 2である), -R9-S(O)tN(R6)2(ここで、個々のR6及びR9は本発明の要約において定義される通りであり、そして個々のR16は水素、アルキル又はアラルキルである)から成る群から独立して選択された1又は複数の置換基により任意に置換されるシクロアルキル基を包含することを意味する。本明細書において、特にことわらない限り、そのような置換は、シクロアルキル基のいずれかの炭素上で存在することができることは理解されている。
【0038】
“シクロアルキレン”とは、炭素及び水素原子のみから成り、3〜10個の炭素原子を有し、そして2個の単結合により分子の残りに飽和され、そして結合される、安定した二価の単環式又は二環式炭化水素、例えばシクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロへキシレン、デカリニレン及び同様のものを言及する。本明細書において、特にことわらない限り、用語“シクロアルキレン”とは、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、アミノ及びカルボキシから成る群から独立して選択された1又は複数の置換基により任意に置換されるシクロアルキレン成分を包含することを意味する。
【0039】
“ハロ”とは、ブロモ、クロロ、ヨード又はフルオロを言及する。
“ハロアルキル”とは、上記に定義されるような1又は複数のハロ基により置換される、上記に定義されるようなアルキル基、例えばトリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1−フルオロメチル−2−フルオロエチル、3−ブロモ−2−フルオロプロピル、1−ブロモメチル−2−ブロモエチル及び同様のものを言及する。
【0040】
“ハロアルコキシ”とは、式-ORc (ここで、Rcは上記で定義されたようなハロアルキル基である)で表される基、例えばトリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリクロロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、1−フルオロメチル−2−フルオロエトキシ、3−ブロモ−2−フルオロプロポキシ、1−ブロモメチル−2−ブロモエトキシ及び同様のものを言及する。
“哺乳類”とは、ヒト及び家畜動物、例えばネコ、イヌ、豚、牛、羊、ヤギ、馬、ウサギ及び同様のものを包含する。
【0041】
“任意の”又は“任意には”とは、続けて記載される環境の現像が生じ得ても、又は生じ得なくても良く、そして前記記載が、前記現像又は環境が生じる事例及びそれが生じない事例を包含することを意味する。例えば、“任意に置換されるアリール”とは、アリール基が置換され得ても又は置換されなくとも良く、そしてその記載が置換されたアリール基及び置換を有さないアリール基の両者を包含することを意味する。
“医薬的に許容できる塩”とは、酸及び塩基付加塩の両者を包含する。
【0042】
“医薬的に許容できる酸付加塩”とは、遊離塩基の生物学的有効性及び性質を保持し、そして生物学的に又は他方では、所望であり、そして無機酸、例えば塩酸、臭酸、硫酸、硝酸、リン酸及び同様のもの、及び有機酸、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、琥珀酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸及び同様のものにより形成されるそれらの塩を言及する。
【0043】
“医薬的に許容できる塩基付加塩”とは、生物学的に又は他方では、所望である遊離酸の生物学的有効性及び性質を保持するそれらの塩を言及する。それらの塩は、遊離酸への無機塩基又は有機塩基の付加から調製される。無機塩基由来の塩は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニア、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムの塩及び同様のもの。好ましい無機塩は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムの塩である。
【0044】
有機塩基由来の塩は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:第一、第二及び第三アミン、天然に存在する置換されたアミンを包含する置換されたアミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂の塩、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドロバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂、及び同様のもの。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン及びカフェインである。
【0045】
“プロドラッグ”とは、生理学的条件下で又は可溶媒分解により、本発明の生物学的活性化合物に転換され得る化合物を意味する。従って、用語“プロドラッグ”とは、医薬的に許容できる本発明の化合物の代謝前駆体を言及する。プロドラッグは、その必要な対象に投与される場合、不活性であり得るが、しかし本発明の活性化合物にインビボで転換され得る。プロドラッグは典型的には、例えば血液における加水分解により、本発明の親化合物を生成するために、インビボで急速に転換される。プロドラッグ化合物はしばしば、哺乳類生物における溶解性、組織適合性又は遅延された開放性の利点を提供する(Bundgard, H., Design of Prodrugs (1985), pp. 7-9, 21-24 (Elsevier, Amsterdam) を参照のこと)。
【0046】
プロドラッグの議論は、Higuchi, T., など., “Pro-drugs as Novel Delivery Systems, “A.C.S. Synposium Series, Vol. 14及びBioreversible Carriers in Drug Design, ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987 (両者共、引用により本明細書に組込まれる)に提供される。
【0047】
用語“プロドラッグ”はまた、そのようなプロドラッグが哺乳類対象に投与される場合、インビボで本発明の活性化合物を開放するいずれかの共有結合されるキャリヤーを包含することを意味する。本発明の化合物のプロドラッグは、修飾が通常の操作において、又はインビボで、本発明の親化合物に分解されるような手段で、本発明の化合物に存在する官能基を修飾することによって調製され得る。プロドラッグは、本発明の化合物を包含し、ここでヒドロキシ、アミノ又はメルカプト基は、本発明の化合物のプロドラッグが哺乳類対象に投与される場合、それぞれ遊離ヒドロキシ、遊離アミノ又は遊離メルカプト基を形成するために分解するいずれかの基に結合される。プロドラッグの例は、本発明の化合物及び同様のものにおけるアルコール及びアミン官能基のアセテート、ホルメート及びベンゾエート誘導体を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0048】
“適切な化合物”及び“安定構造体”とは、反応混合物からの有用な程度の純度への単離、及び効果的な治療剤への配合を耐えるために十分に強い化合物を意味する。
“治療的有効量”とは、哺乳類、特にヒトに投与される場合、炎症又は自己免疫疾患、又は肺又は呼吸気管炎症のための、下記に定義されるような処理をもたらすのに十分である、本発明の化合物の量を言及する。“治療的有効量”を構成する本発明の化合物の量は、その化合物、炎症又は自己免疫疾患、又は肺又は呼吸気管炎症、及び処理されるべき哺乳類の重症度及び年齢に依存して変化するであろうが、但し当業者により通常決定され得る。
【0049】
“処理する”又は処理“とは、本明細書において使用される場合、哺乳類、好ましくはヒトにおける炎症又は自己免疫疾患、又は哺乳類、好ましくはヒトにおける肺又は呼吸気管炎症の処理を包含し、そして
(i)特に、哺乳類が前記疾患にかかりやすいが、但しそれを有するものとしてまだ診断されていない場合、そのような哺乳類におけるそのような疾患又は炎症の発生を妨げ;
(ii)前記疾患又は炎症を阻害し、すなわちその進行を阻止し;又は
(iii)前記疾患又は炎症を軽減し、すなわち前記疾患又は炎症の暖解を引き起こすことを包含する。
【0050】
本発明の化合物、その単一の立体異性体、立体異性体の混合物、立体異性体のラセミ混合物、又はそのシクロデキストリンクラスレート、又はその医薬的に許容できる塩は、1又は複数の不斉中心を含むことができ、そして従って、アミノ酸について(R)−又は(S)−として、又は(D)−又は(L)−として絶対立体化学により定義され得る、鏡像異性体、ジアステレオマー、及び他の立体異性体形を生ぜしめることができる。
【0051】
本発明は、すべてのそのような可能な異性体類、並びにそれらのラセミ形及び化学的に純粋な形の包含を意味する。光学的活性(R)−及び(S)、又は(D)−及び(L)−異性体は、当業者に知られている方法により、キラルシントン(synthons)又はキラル試薬を用いて調製され、又は従来の技法を用いて分解され得る。本明細書に記載される化合物がオレフィン性二重結合又は幾何学的不斉性の他の中心を有する場合、及び特にことわらない限り、化合物はE及びZ幾何学的異性体の両者を包含することが意図される。同様に、すべての互変異形がまた、包含されることを意図される。
【0052】
本明細書において使用される命名法は、本発明の化合物がヘキサデカン酸成分の誘導体として本明細書において命名される、I.U.P.A.C.命名システムの変更された形である。例えば、式(I)[式中、R1, R2及びR3はそれぞれ-OR6 (ここで、R6は水素である)であり;R4は-R9-O-R10-R11 (ここで、R9は直接的な結合であり、R10 はメチレンであり、そしてR11は-C(O)OHである)であり;そしてR5は、フルオロにより4−位置で置換されるフェニルである]で表される次の化合物、すなわち
【0053】
【化4】

【0054】
は、本発明においては、(5S, 6R, 7E, 9E, 11Z, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15−トリヒドロキシ−3−オキサ−7, 9, 11, 13−ヘキサデカテトラエノール酸として命名される。特にことわらない限り、化合物名称は、いずれかの単一の立体異性体、鏡像異性体、ラセミ体又はそれらの混合物を包含することを意図される。
この開示のためには、R1及びR2が、それらが結合される炭素と共に、次の複素環式構造体:
【0055】
【化5】

を形成する本発明のそれらの化合物においては、前記構造体は、次の逆構造体:
【0056】
【化6】

を包含することが理解される。
【0057】
B. 本発明の化合物の有用性
本発明の化合物は、天然のリポキシンA4の生物学的活性に類似するが、しかし代謝性分解に対して増強された耐性を有するリポキシンA4類似体である。従って、本発明の化合物は、哺乳類、特にヒトにおける炎症又は自己免疫疾患の処理において有用である。特に、本発明の化合物は、好中球、好酸球、Tリンパ球、NK細胞、又は炎症、免疫又は自己免疫疾患の病原に寄与するほかの免疫細胞により介在される、急性又は慢性炎症、又は炎症性又は自己免疫応答の阻害において有用である。前記化合物はまた、増殖障害、例えば炎症又は免疫応答における障害に関連するそれらの障害、例えば癌の処理においても有用である。前記化合物はまた、癌の病因における脈管形成応答のインヒビターとしても有用である。
【0058】
従って、本発明の化合物は、哺乳類、特にヒトにおける次の炎症又は自己免疫疾患の処理に使用され得る:アナフィラキシー反応、アレルギー反応、アレルギー接触性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、化学的及び非特異的刺激物接触性皮膚炎、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、乾癬、腐敗性又は内毒素性衝撃、出血ショック、ショック様症候群、癌免疫療法によって引き起こされた毛細管漏れ症候群、急性成人型呼吸窮促迫症候群、外傷性ショック、免疫−及び病原菌−誘発された肺炎、免疫複合体−介在性肺障害及び慢性閉塞性肺疾患、炎症性腸疾患、例えば潰瘍性大腸炎、クローン病及び外科後の損傷、消化管潰瘍、虚血再潅流損傷に関連している疾病、例えば急性心筋虚血及び心筋梗塞、急性腎不全、虚血性腸疾患及び急性出血又は虚血性発作、免疫複合体−介在性糸球体腎炎、自己免疫疾、例えばインスリン依存性糖尿病、 多発性硬化症、リウマチ様関節炎、変形性関節症、及び全身性エリテマトーデス、急性及び慢性の移植臓器拒絶、移植片アテローム性動脈硬化症及び線維症、心血管障害、例えば高血圧症、アテローム硬化症、心室瘤、決定的な脚の虚血症、末梢動脈閉塞性疾患、及びレーノー症候群、糖尿病性腎症、ニューロパシー、及び網膜障害を含む糖尿病の併発症、眼球障害、例えば網膜黄斑部変性及び緑内障、神経変性疾患、例えば卒中、アルツハイマーの疾病、パーキンソン病、脳炎、HIV痴呆における遅延された神経変性、炎症性及び神経因性疼痛、例えば関節炎痛、歯周疾患、例えば歯肉炎、耳の感染症、片頭痛、良性前立腺肥大、癌腫、例えば白血病、リンパ腫、前立腺癌、乳癌、肺癌、悪性黒色腫、腎癌、頭頚部腫瘍及び結直腸癌(但し、それらだけには限定されない)。
【0059】
本発明の化合物はまた、同型腫瘍の処理に使用される、上皮成長因子(EGF)又は上皮成長因子受容体(EGFR)キナーゼのインヒビターにより誘発される毛包炎の処理においても有用である。臨床学的試験は、そのような処理の主要な用量制限性副作用として毛包炎(顔、胸部及び上方背部上での重度のアクネ様皮膚発疹により明示される髪小胞の炎症)を示した。そのような毛包炎は、炎症の原因である、活性化された好中球により分泌される生成物を提供する好中球の浸潤に関係している。本発明のリポキシンA4類似体は、好中球又は好酸球−介在性炎症を阻害し、そして従って、そのような毛包炎の処理において有用であり、それによれば、処理される癌患者の生命の性質を改良し、そしてまた、EGFインヒビター又はEGFRキナーゼインヒビターの用量の上昇、又は処理の持続期間の延長を可能にし、所望するインヒビターの改良された効力をもたらす。
【0060】
前記化合物はまた、肺及び呼吸気管炎症、例えば喘息、慢性気管支炎、細気管支炎、閉塞性細気管支炎(組織的肺炎を包含する)、呼吸気管のアレルギー性炎(鼻炎と副鼻腔炎を包含する)、好酸性肉芽腫、肺炎、肺の繊維症、結合組織病の肺出現、急性又は慢性の肺損傷、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸促窮迫症候群、及び好酸球浸潤により特徴づけられる肺の他の非感染性炎症疾患(但し、それらだけには限定されない)の処理において有用である。
【0061】
例えば、本発明の化合物は、肺又は組織の好酸球−介在性炎症;肺の好中球−介在性炎症;肺のリンパ球−介在性炎症;サイトカイン及びケモカイン、例えばインターロイキン−5、インターロイキン−13及びエオタキシン(eotaxin)生成;脂質メディエーター、例えばプロスタグランジンE2及びシステイニルリューコトリエン生成;気道過度−応答;及び気道及び血管炎症の阻害において有用である。
【0062】
C. 本発明の化合物の試験
炎症の顕著な特徴は、好中球、好酸球及び他の炎症細胞の内皮を通しての付着及び移行である。類似する工程が、肺、胃腸管及び他の器官に存在する極性化された外皮細胞を通しての細胞の移動について観察される。それらの工程の細胞培養モデルは、入手でき、そしてリポキシンA4及び安定したリポキシンA4類似体がヒト内皮細胞及び外皮細胞、例えばヒト腸外皮細胞系T84を通してのヒト好中球の移行を阻害することを示すために使用されて来た。従って、当業者は、Colgan, S. P., et al., J. Clin. Invest. (1993), Vol. 92, No. 1, pp. 75-82 及び Serhan, C. N., et-al., Biochemistry (1995), Vol. 34, No. 44, pp. 14609-14615に記載されるアッセイに類似するアッセイを行うことによって、ヒト内皮細胞及び外皮細胞を通してのヒト好中球及び好酸球の移行を阻害するそれらの能力について、本発明の化合物を試験することができる。
【0063】
空気嚢モデル及び/又はマウスチモサン−誘発された腹膜炎モデルが、炎症応答の処理における本発明の化合物のインビボ効力を評価するために使用され得る。それらは、局在化された領域への炎症細胞の浸潤により特徴づけられる炎症の急性実験もであるである。Ajuebor, M. N., など., Immunology (1998), Vol. 95, pp. 625-630; Gronert, K., など., Am. J. Pathol. (2001), Vol. 158, pp. 3-9; Pouliot, M. , などl., Biochemistry (2000), Vol. 39. pp. 47614768 ; Clish, C. B., など., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. (1999), Vol. 96, pp. 8247-8252; 及び Hachicha, M., など., J. Exp. Med. (1999), Vol. 189, pp. 1923-30に記載されるインビボアッセイを参照のこと。
【0064】
動物モデル(すなわち、インビボアッセイ)はまた、喘息、及び肺及び呼吸気管の関連する疾患の処理における本発明の化合物の効力を決定するためにも使用され得る。たとえば、De Sanctis, G. T.など., Journal of Clinical Investigation (1999), Vol. 103, pp. 507-515 及び Campbell, E. M., など., J. Immunol. (1998), Vol. 161, No. 12, pp. 7047-7053に記載されるアッセイを参照のこと。
【0065】
D. 本発明の化合物の投与
本発明の化合物類、又はその単一の立体異性体、立体異性体の混合物、立体異性体のラセミ混合物、又はそのシクロデキストリンクラスレート、又はその医薬的に許容できる塩の純粋な形での又は適切な医薬組成物の形での投与は、投与の許容されるモード又は類似する有用性の役に立つ剤のいずれかを通して行われ得る。従って、投与は、例えば、固体、半固体、凍結乾燥された粉末又は液体投与形、例えば錠剤、坐剤、ピル、軟質及び硬質ゼラチンカプセル、粉末、溶液、懸濁液又はエーロゾル、パッチ又は同様のものの形で、好ましくは正確な用量形の単純な投与のために適切な単位用量形で、経口、鼻腔内、非経口、肺、局所、経皮又は直腸内投与され得る。組成物は、従来の医薬的キャリヤー又は賦形剤、及び本発明の化合物及び/又は活性剤を含み、そしてさらに、他の薬剤、医薬剤、キャリヤー、アジュバント、等を含むことができる。
【0066】
一般的に、投与の意図される態様に依存して、医薬的に許容できる組成物は、約1〜約99重量%の本発明の化合物、又はその単一の立体異性体、立体異性体の混合物、立体異性体のラセミ混合物、又はそのシクロデキストリンクラスレート、又はその医薬的に許容できる塩、及び99〜1重量%の適切な医薬的賦形剤を含むであろう。好ましくは、組成物は、約5〜75重量%の本発明の化合物又はその単一の立体異性体、立体異性体の混合物、立体異性体のラセミ混合物、又はそのシクロデキストリンクラスレート、又はその医薬的に許容できる塩を含み、そして残りは、適切な医薬的賦形剤である。
【0067】
投与の好ましい経路は、処理されるべき疾病状態の重症度に従って調節され得る従来の毎日の用量レジメを用いての経口である。そのような経口投与に関しては、本発明の化合物又はその単一の立体異性体、立体異性体の混合物、立体異性体のラセミ混合物、又はそのシクロデキストリンクラスレート、又はその医薬的に許容できる塩を含む医薬的に許容できる組成物は、通常使用される賦形剤のいずれか、例えば医薬品種のマンニトール、ラクトース、澱粉、プレゲル化された澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、タルク、セルロースエーテル誘導体、グルコース、ゼラチン、スクロース、シトレート、プロピルガレート及び同様のものの組み込みにより形成される。そのような組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、粉末、持効性配合物及び同様のものの形を取る。
【0068】
好ましくは、そのような組成物は、カプセル、カプレット又は錠剤の形を取り、そして従って、また希釈剤、例えばラクトース、スクロース、リン酸二カルシウム、及び同様のもの;紛解剤、例えばクロスカメロースナトリウム又はその誘導体;滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム及び同様のもの;及び結合剤、例えば澱粉、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロースエーテル誘導体及び同様のものを含むであろう。
本発明の化合物類又は医薬的に許容できるそれらの塩はまた、身体内でゆっくり溶解するキャリヤー、例えばポリオキシエチレングリコール及びポリエチレングルコール(PEG)、例えばPEG1000(96%)及びPEG4000(4%)に分散された、約0.5%〜約50%の活性生物を用いて、坐剤中に配合され得る。
【0069】
医薬的に投与できる液体組成物は、キャリヤー、例えば水、塩溶液、水性デキストロース、グリセロール、エタノール及び同様のものにおいて、本発明の化合物(約0.5〜約20%)又はその単一の立体異性体、立体異性体の混合物、立体異性体のラセミ混合物、又はそのシクロデキストリンクラスレート、又はその医薬的に許容できる塩、及び任意の医薬アジュバントを溶解し、分散し、等により調製され得、それにより溶液又は懸濁液が形成される。
所望には、本発明の医薬組成物はまた、少量の補助物質、例えば湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤、酸化防止剤及び同様のもの、例えばクエン酸、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート、ブチル化されたヒドロキシトルエン、等も含むことができる。
【0070】
そのような投与形を調製する実際の方法は知られており、又は当業者に明らかであろう。例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., (Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania, 1990) を参照のこと。投与されるべき組成物は、本発明の教授に従って、炎症により特徴づけられる疾病状態の処理のために、治療的有効量の本発明の化合物、又はその単一の立体異性体、立体異性体の混合物、立体異性体のラセミ混合物、又はそのシクロデキストリンクラスレート、又はその医薬的に許容できる塩を含むであろう。
【0071】
本発明の化合物、又は医薬的に許容できるその塩は、種々の要因、例えば使用される特定化合物の活性;化合物の代謝安定性及び作用の長さ;患者の年齢、体重、一般的な健康、性別及び食事;投与の形態及び時間;排泄の速度;薬剤の組み合わせ;特定の疾病状態の重症度;及び治療を受ける宿主に依存して変化するであろう治療的有効量で投与される。一般的に、毎日の治療的有効用量は、約0.14mg〜約14.3mgの本発明の化合物又はその単一の立体異性体、立体異性体の混合物、立体異性体のラセミ混合物、又はそのシクロデキストリンクラスレート、又はその医薬的に許容できる塩/kg体重/日、好ましくは約0.7mg〜約10mg/kg/日、及び最も好ましくは約1.4mg〜約7.2mg/kg/日である。例えば、70kgの個人への投与に関しては、用量範囲は、約10mg〜約1.0gの本発明の化合物又はその単一の立体異性体、立体異性体の混合物、立体異性体のラセミ混合物、又はそのシクロデキストリンクラスレート、又はその医薬的に許容できる塩/日、好ましくは約50mg〜約700mg/日、及び最も好ましくは、約100mg〜約500mg/日である。
【0072】
E. 好ましい態様
上記の発明の要約に示されるような本発明の化合物のうち、いくつかの化合物グループが特に好ましい。
従って、本発明の好ましい化合物グループは、下記式(I):
【0073】
【化7】

【0074】
[式中、R1, R2及びR3はそれぞれ独立して、ハロ、-OR6, -SR6又は-N(R7)R8であり;
個々のR4は、-R9-R12, -R9-R13-R11, -R9-O-R10-R11, -R9-O-R12, - R9-C(O)-R10-R11, -R9-N(R7)-R10-R11, -R9-S(O)t-R10-R11 (ここで、tは0〜2である), 又は- R9-C(F)2-R9-R11であり;
個々のR5は、アリール(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換される)、又はアラルキル(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換される)であり;
【0075】
個々のR6は、独立して、水素、アルキル、アラルキル、-C(O)R7又は-C(O)OR7であり;
個々のR7は、独立して、水素、アルキル、アリール又はアラルキルであり;
R8は、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、又はシクロアルキル(任意には、アルキル、-N(R7)2及び-C(O)OR7から成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
個々のR9は、独立し、直接結合、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖であり;
個々のR10は、独立して、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキニレン鎖、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のシクロアルキレンであり;
【0076】
個々のR11は、独立して、-C(O)OR7又は-C(O)N(R7)2であり;
R12は、アリール(-C(O)OR7 又は-C(O)N(R7)2により置換され、そして任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(-C(O)OR7 又は-C(O)N(R7)2により置換され、そして任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
R13は、枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖又はシクロアルキレンである]で表されるそれらの化合物である。
【0077】
この化合物グループのうち、好ましい化合物のサブグループは、
R1, R2及びR3はそれぞれ独立して、ハロ、-OR6, 又は-SR6であり;
R4は、-R9-O-R10-R11であり;
R5は、アリール(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
【0078】
個々のR6は、独立して、水素、アルキル、アリール又はアラルキルであり;
個々のR7は、独立して、水素、アルキル、アリール又はアラルキルであり;
R9は、直接結合、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖であり;
R10は、独立して、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキニレン鎖、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のシクロアルキレンであり;そして
R11は、-C(O)OR7又は-C(O)N(R7)2であるで化合物のそのサブグループである。
【0079】
この化合物グループのうち、好ましい種類の化合物は、
R1, R2及びR3はそれぞれ-OR6であり;
R4は、-R9-O-R10-R11であり;
R5は、アリール(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
【0080】
R6は、水素、アルキル、アリール又はアラルキルであり;
個々のR7は、独立して、水素、アルキル、アリール又はアラルキルであり;
R9は、直接結合であり;
R10は、独立して、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキニレン鎖であり;そして
R11は、-C(O)OR7又は-C(O)N(R7)2であるその種類の化合物である。
【0081】
この種類の化合物のうち、好ましい化合物は、次の化合物から成る群から選択される:
(5S, 6R, 7E, 9E, 11Z, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15−トリヒドロキシ−3−オキサ−7, 9, 11, 13−ヘキサデカテトラエン酸、メチルエステル;及び
(5S, 6R, 7E, 9E, 11Z, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15−トリヒドロキシ−3−オキサ−7, 9, 11, 13−ヘキサデカテトラエン酸。
【0082】
本発明のもう1つの好ましい化合物グループは、下記式(II):
【化8】

【0083】
[式中、R1, R2及びR3はそれぞれ独立して、ハロ、-OR6, -SR6又は-N(R7)R8であり;
個々のR4は、-R9-R12, -R9-R13-R11, -R9-O-R10-R11, -R9-O-R12, - R9-C(O)-R10-R11, -R9-N(R7)-R10-R11, -R9-S(O)t-R10-R11 (ここで、tは0〜2である), 又は- R9-C(F)2-R9-R11であり;
R5は、アリール(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
【0084】
個々のR6は、独立して、水素、アルキル、アラルキル、-C(O)R7又は-C(O)OR7であり;
個々のR7は、独立して、水素、アルキル、アリール又はアラルキルであり;
R8は、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、又はシクロアルキル(任意には、アルキル、-N(R7)2及び-C(O)OR7から成る群から選択された1又は複数の置換基により置換される)であり;
個々のR9は、独立し、直接結合、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖であり;
個々のR10は、独立して、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキニレン鎖、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のシクロアルキレンであり;
【0085】
個々のR11は、独立して、-C(O)OR7又は-C(O)N(R7)2であり;
R12は、アリール(-C(O)OR7 又は-C(O)N(R7)2により置換され、そして任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(-C(O)OR7 又は-C(O)N(R7)2により置換され、そして任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
R13は、枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖又はシクロアルキレンである]で表されるそれらの化合物である。
【0086】
この化合物グループのうち、好ましい化合物のサブグループは、
R1, R2及びR3はそれぞれ独立して、ハロ、-OR6, 又は-SR6であり;
R4は、-R9-O-R10-R11であり;
R5は、アリール(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
【0087】
個々のR6は、独立して、水素、アルキル、アリール又はアラルキルであり;
個々のR7は、独立して、水素、アルキル、アリール又はアラルキルであり;
R9は、直接結合であり;
R10は、独立して、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキニレン鎖であり;そして
R11は、-C(O)OR7又は-C(O)N(R7)2である化合物のそのサブグループである。
【0088】
この化合物グループのうち、好ましい種類の化合物は、
R1, R2及びR3はそれぞれ-OR6であり;
R4は、-R9-O-R10-R11であり;
R5は、アリール(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
R6は、水素、アルキル、アリール、又はアラルキルであり;
個々のR7は、独立して、水素、アルキル、アリール又はアラルキルであり;
R9は、直接結合であり;
R10は、独立して、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキニレン鎖であり;そして
R11は、-C(O)OR7又は-C(O)N(R7)2であるその種類の化合物である。
【0089】
この種類の化合物のうち、好ましい化合物は、次の化合物から成る群から選択される:
(5S, 6R, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15− トリヒドロキシ−3− オキサヘキサデカ−7, 9, 13−トリエン−11−イン酸、メチルエステル;
(5S, 6R, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15− トリヒドロキシ−3− オキサヘキサデカ−7, 9, 13−トリエン−11−イン酸;
(5S, 6S, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15−トリヒドロキシ−3−オキサヘキサデカ−7, 9, 13−トリエン−11−イン酸、メチルエステル;及び
(5S, 6S, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15−トリヒドロキシ−3−オキサヘキサデカ−7, 9, 13−トリエン−11−イン酸。
【0090】
上記の本発明の要約に示されるような本発明の化合物の使用方法のうち、化合物の好ましい使用は、ヒトにおける乾癬、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症又は急性出血性又は虚血性発作の処理である。前記化合物のもう1つの好ましい使用は、ヒトにおける喘息の処理である。
【0091】
F. 本発明の化合物の調製
次の記載においては、前記式の置換基及び/又は変数の組合せが、そのような寄与が安定した化合物をもたらす場合のみ許容できることが理解される。
下記に記載される工程においては、中間化合物の官能基は、適切な保護基により保護される必要があることがまた、当業者により理解されるであろう。そのような官能基は、ヒドロキシ、アミノ、メルカプト及びカルボン酸を包含する。ヒドロキシのための適切な保護基は、トリアルキルシリル又はジアリールアルキルシリル(例えば、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル又はトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、ベンジル及び同様のものを包含する。
【0092】
1,2−ジヒドロキシのための適切な保護基は、ケタール−及びアセタール−形成基を包含する。アミノ、アミジノ及びグアニジノのための適切な保護基は、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル及び同様のものを包含する。メルカプトのための適切な保護基は、-C(O)-R(ここで、Rはアルキル、アリール又はアラルキルである)、p−メトキシベンジル、トリチル及び同様のものを包含する。カルボン酸のための適切な保護基は、アルキル、アリール又はアラルキルエステルを包含する。
【0093】
保護基は、当業者に良く知られている標準技法に従って、及び本明細書に記載のようにして付加されるか、又は除去され得る。
保護基の使用は、Green, T. W. and P. G. M. Wutz, Protective Groups in Organic Synthesis (1991), 2nd Ed., Wiley-Interscienceに詳細に記載されている。保護基はまた、ポリマー樹脂、例えばWang樹脂又は2−クロロトリチルクロリド樹脂でもあり得る。
【0094】
上記の発明の要約に記載されるような式(I)及び(II)の化合物のそのような保護された誘導体は薬理学的活性を有さないが、それらは炎症又は自己免疫疾患、又は肺及び呼吸気管炎症を有する哺乳類に投与され得、そしてその後、薬理学的に活性である本発明の化合物を形成するために、身体において代謝され得ることは、当業者により理解されるであろう。従ってそのような誘導体は、“プロドラッグ”として記載される。式(I)及び(II)の化合物のすべてのプロドラッグは、本発明の範囲内に包含される。
【0095】
使用目的のために、R9が結合であり、そしてR1, R2及びR3がヒドロキシである、本発明の化合物のみが、次の反応スキームに示される。しかしながら、当業者は、次の開示、例えば調製及び実施例、並びに化学合成分野の当業者に知られている情報を考慮して、本発明の他の化合物を製造することができることがまた理解される。
【0096】
1.式(D)の化合物の調製
式(D)の化合物は、本発明の調製における中間体である。それらは、下記反応スキーム1に記載のようにして調製される:
【0097】
【化9】

【0098】
式(A)及び(Aa)の化合物は、市販されているか、又は当業者に知られている方法に従って調製され得る。
一般的に、式(D)の化合物は、酸、好ましくは硫酸の存在下で、周囲温度で約30分〜約2時間、好ましくは約1.5時間、式(Aa)のケトンにより式(A)の化合物をまず処理することによって調製される。次に、その得られる反応混合物のpHを、適切な塩基により約pH7.0に調節する。次に式(B)の化合物を、その反応混合物から、標準の単離技法、例えば濾過及び濃縮により単離する。
【0099】
次にプロトン性溶媒、好ましくは水における式(B)の化合物を、適切な還元剤、好ましくは硼水素化ナトリウムにより、約0℃〜5℃の温度で処理する。反応混合物を、約1〜約2時間、好ましくは約2時間、攪拌し、その後、緩酸を添加し、存在する過剰の還元剤を消耗し、そしてpHを約6.0に調節する。得られる反応混合物を、約0℃〜5℃に冷却する。グリコール分解剤、例えば過ヨウ素酸ナトリウムを、前記混合物に添加する。その得られる反応混合物を、周囲温度で約1〜約2時間、好ましくは約2時間、攪拌する。次に、式(D)の化合物を、その反応混合物から、標準の単離技法、例えば有機抽出及び濃縮により単離する。
【0100】
他方では、他のアルキル、アリール及びアラルキルケトンを、式(Aa)のケトンの代わりに使用し、式(B)のケタールを形成する。さらに、適切なアルデヒドを、式(Aa)のケトンの代わりに使用し、その反応するアセタールを形成し、これをさらに、本明細書に記載のようにして処理し、式(D)の化合物を形成する。1,2−ジオールのための種々の保護基の記載に関しては、Green, T. W. and P. G. M. Wutz, Protective Groups in Organic Synthesis (1991), 2nd Ed. , Wiley-Interscienceを参照のこと。
【0101】
2.式(M)の化合物の調製
式(M)の化合物は、本発明の化合物の調製における中間体である。それらを、下記反応スキーム2に記載のようにして調製し、ここでR2aは、アルキル、アリール又はアラルキルであり、R10は上記発明の要約に記載される通りであり、個々のR14は独立して、水素又はアルキルであり、R14aは水素又はアルキルであり、そしてX1及びX2はそれぞれ独立して、ハロである:
【0102】
【化10】

【0103】
式(E)、(Ee)、(H)及び(K)の化合物は市販されているか、又は当業者に知られている方法に従って調製され得る。
【0104】
一般的に、式(M)の化合物が、式(E)の化合物から標準の技法により、必要なら水をまず除去することによって調製される。個々のR14がメチルであり、そしてR14aが水素である場合、非プロトン性無水溶媒、例えばアセトン中、式(E)の化合物を、酸性触媒、例えばdl-10-樟脳スルホン酸の存在下で、周囲温度で、式(Ea)の化合物により処理する。その反応混合物を、約2〜約4時間、好ましくは約3時間、攪拌し、そして次に、塩基、例えばアンモニアガスの添加により塩基性にする。次に、式(F)の化合物を、反応混合物から、標準の単離技法、例えば濾過、濃縮、有機抽出及び濃縮により単離する。
【0105】
次に、式(F)の化合物の水溶液を、還元剤、好ましくは水中、冷硼水素化ナトリウムにより処理する。得られる反応混合物を、約3〜約6時間、好ましくは約5時間、攪拌し、そして次に、酸、好ましくは酢酸により処理し、過剰の硼酸水素化合物を除去し、そしてpHを約6.0に調節する。式(G)の化合物を、反応混合物から、標準の技法、例えば水性層の抽出及びその濃縮により単離する。
【0106】
次に、式(G)の化合物を、塩基、好ましくは水素化ナトリウムの存在下で、式(H)の化合物により処理する。その反応混合物を、約6〜約24時間、好ましくは約12時間、攪拌する。式(J)の化合物を、前記反応混合物から、標準の単離技法により単離し、そして非プロトン性溶媒、好ましくはジメチルホルムアミド(DMF)に溶解する。次に、式(K)の化合物を、前記溶液に添加し、そしてその得られる混合物を、約6〜約24時間、好ましくは約12時間、攪拌する。次に、式(L)の化合物を、前記反応混合物から、標準の単離技法、例えば塩洗浄、抽出及び濃縮により単離する。
水及び極性非プロトン性補助溶媒、例えばアセトン中、式(L)の化合物を、グリコール分解剤、例えば過ヨウ素酸ナトリウムにより処理する。式(M)の化合物を、反応混合物から、標準の単離技法、例えば抽出、塩洗浄及び濃縮により単離する。
【0107】
3.式(Q)の化合物の調製
式(Q)の化合物は、本発明の化合物の調製における中間体である。それらを下記反応スキーム3に記載のようにして調製し、ここでPhはフェニルであり、そしてPG1は三重結合のための保護基、例えばフェニルジメチルシリル、ジフェニルメチルシリル又はトリメチルシリルである:
【0108】
【化11】

【0109】
一般的に、式(Q)のWittig試薬が、式(N)の化合物を、有機金属化合物、好ましくはn−ブチルリチウムによる処理により、−30℃〜−15℃、好ましくは約−20℃の温度で、まず脱水素化することによって調製される。次に、保護基、好ましくはトリメチルシリルを、前記化合物に、標準の保護基生成条件下で添加する。式(O)の保護された化合物を、反応混合物から、標準の単離技法、及び有機層の抽出及び濃縮により単離する。
【0110】
次に、非プロトン性溶媒、好ましくはジクロロメタン中、式(O)の化合物を、トリフェニルホスフィンの存在下で、約−10℃〜約0℃の温度で、臭素化剤、例えばN−ブロモスクシンイミドにより処理する。反応混合物を、周囲温度に暖め、そして約1〜約3時間、好ましくは約2時間、攪拌する。式(P)の化合物を、反応混合物から、標準の単離技法、例えば濃縮、及び不活性有機溶媒、例えばヘキサンによる粉砕により単離する。
次に、式(P)の化合物を、わずかにモル過剰量のトリアリールホスフィン又はトリアルキルホスフィン、好ましくはトリフェニルホスフィンにより、標準のWittig試薬形成条件下で処理し、式(Q)のリントリド(Wittig反応試薬)を形成する。
【0111】
4.式(W)の化合物の調製
式(W)の化合物は、本発明の化合物の調製における中間体である。それらを、下記反応スキーム4に記載のようにして調製し、ここでPG1は保護基であり、X1はハロであり、R10は上記の発明の要約に記載される通りであり、そしてR7a及びR7bはそれぞれ独立して、アルキルアリール又はアラルキルである:
【0112】
【化12】

【0113】
式(D)及び(Q)の化合物を、本明細書に開示される方法により調製する。式(S)の化合物は、市販されているか、又は当業者に知られている方法に従って調製され得る。
一般的に、式(W)の化合物は、わずかにモル過剰量の式(Q)の化合物により式(D)の化合物を、標準のWitting反応条件下でまず処理し、式(R)の化合物を形成し、これを、反応混合物から標準の単離技法により単離することによって調製される。
次に、式(R)の化合物を、強塩基、例えば水素酸化ナトリウムの存在下で、及び約50℃〜約70℃、好ましくは約63℃で、非プロトン性溶媒、例えばテトラヒドロフラン(THF)中、式(S)の化合物により処理する。反応混合物を、周囲温度に冷却した。式(T)の化合物を、前記反応混合物から、標準の単離技法、例えば有機抽出及び濃縮により単離した。
【0114】
非プロトン性溶媒、例えば塩化メチレン中、式(T)の化合物を、標準の条件下で、沃素により周囲温度で処理する。式(U)の幾何学的異性体を、標準の単離技法により前記反応混合物から単離する。
次に、非プロトン性溶媒、例えばTHF中、式(U)の化合物を、標準の保護解除及び加水分解条件下で、保護解除し、そして式(V)の化合物に加水分解する。式(V)の化合物を、反応混合物から、標準の単離技法、例えば抽出及び濃縮により単離する。
次に、非プロトン性溶媒中、式(V)の化合物を、エステル化剤、例えばトリメチルシリルジアゾメタンにより、標準のエステル化条件下で処理し、式(W)の化合物を形成し、これを、反応混合物から、標準の単離技法、例えば抽出、濃縮及びクロマトグラフィーにより精製により単離する。
【0115】
S. 式(Ta)及び(Ua)の化合物の調製
式(Ta)及び(Ua)の化合物は、本発明の化合物の調製における中間体であり、そして下記反応スキーム5に記載されるようにして調製され得、ここでR7aはアルキル、アリール又はアラルキルであり、R10は上記発明の要約に記載される通りであり、R14はアルキルであり、そしてR14aは水素又はアルキルである:
【0116】
【化13】

【0117】
式(Q)及び(M)の化合物を、本明細書に開示される方法に従って調製する。
一般的に、式(Ua)の化合物を、わずかにモル過剰量の式(Q)の化合物により式(M)の化合物を、標準のWitting反応条件下でまず処理し、式(Ta)の化合物を形成し、次にこれを、上記に記載されるのと類似する条件下で沃素により処理することによって調製する。次に、式(Ua)の化合物を、式(U)の化合物について上記に記載されるのと類似する態様で処理し、上記に記載されるような式(W)のその反応する化合物を形成する。
【0118】
6.式(DD)の化合物の調製
式(DD)の化合物は、本発明の化合物の調製における中間体である。それらを、下記反応スキーム6に記載のようにして調製し、ここでR5は上記発明の要約に記載の通りであり、そしてX2はハロである:
【0119】
【化14】

【0120】
式(X)の化合物、N, O−ジメチルヒドロキシルアミン、エチニルマグネシウムブロミド及び3,5−ジニトロペンゾイルクロリドは、市販されているか、又は当業者に知られている方法に従って、調製され得る。
一般的に、式(DD)の化合物は、モル過剰量のハロゲン化アシル試薬、好ましくは塩化オキサリルにより、周囲温度で、非プロトン性溶媒、好ましくは塩化メチレン中、式(X)の化合物をまず処理することによって調製される。反応混合物を、約6〜約24時間、好ましくは約12時間、攪拌する。式(Y)の化合物を、反応混合物から、標準の単離技法、例えば真空下での濃縮により単離する。
【0121】
次に、式(Y)の化合物を、アルカリ塩基、好ましくは炭酸カリウムの存在下で、標準のアミンアシル化条件下で、ヒドロキシルアミン、好ましくはN, O−ジメチルヒドロキシルアミンにより処理する。式(Z)の化合物を、反応混合物から、標準の技法、例えば有機抽出及び濃縮により単離する。
【0122】
非プロトン性溶媒、例えばTHF中、式(Z)の化合物を、適切なグリニャール試薬、例えばHC≡CMgBrにより標準条件下で処理し、式(AA)の化合物を形成し、これを、反応混合物から、標準の単離技法、例えば有機溶媒抽出、濾過及び濃縮により単離する。次に、式(AA)の化合物を、キラル還元剤により、標準の還元条件下で処理し、式(BB)の化合物を形成し、これを、反応混合物から、標準の単離技法例えば濾過、濃縮、及び鏡像異性体の混合物としてのフラッシュクロマトグラフィーによる精製により単離する。鏡像異性体過剰物はキラル分析HPLCにより決定され得る。
【0123】
鏡像異性体過剰物は、非プロトン性溶媒、好ましくは塩化メチレン中、式(BB)の化合物を、モル過剰量のハロゲン化アロイル、好ましくは3,5−ジニトロベンゾイルクロリドにより、塩基、好ましくはトリエチルアミン、及び活性化量のジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下で、約−5℃〜0℃の温度で処理することによって形成されるアリールエステルの再結晶化により改良される。反応混合物を、周囲温度で約30分〜1時間、好ましくは40分間、攪拌する。式(BBa)の化合物を、反応混合物から、標準の単離技法、例えば抽出、濾過及び再結晶化により単離し、そして分析用HPLCにより、98%以上の鏡像異性体過剰物を有することを決定する。
【0124】
プロトン性溶媒、好ましくはメタノール中、式(BBa)の化合物を、アルカリ塩基、好ましくは炭酸カリウムにより処理する。その反応混合物を、約3〜約5時間、好ましくは約3.5時間、攪拌し、そして次に、反応を、酸、好ましくは酢酸の添加により停止する。98%の鏡像異性体過剰物を有する式(BB)の化合物を、反応混合物から、標準の単離技法、例えば濾過及び濾液の濃縮により単離する。
【0125】
次に、式(BB)の化合物を、触媒、例えば硝酸銀の存在下で、周囲温度で、ハロゲン化剤、好ましくはN−ブロモスクシンイミドにより処理する。次に、式(CC)の化合物を、反応混合物から、標準の単離技法、例えば真空下での濃縮、濾過及び有機溶媒による溶出により単離する。
次に、式(CC)の化合物を、三重結合についての標準のハロゲン化条件下で、例えば還元剤、好ましくは水素化リチウムアルミニウム及び塩化アルミニウムの混合物による処理によりハロゲン化し、式(DD)の化合物を形成し、これを、標準の単離技法により反応混合物から単離する。
【0126】
7.式(Ia)、(Ib)及び(IIa)の化合物の調製
式(Ia)、(Ib)及び(IIa)の化合物は、本発明の化合物である。それらを、下記反応スキーム7に記載のようにして調製し、ここでR5及びR10は上記発明の要約に記載の通りであり、そしてR7bはアルキル、アリール又はアラルキルである:
【0127】
【化15】

【0128】
式(DD)及び(W)の化合物は、本明細書に開示される方法により調製される。他方では、式(Ua)の化合物から製造される式(W)の化合物に対応する化合物は、本発明の対応する化合物を生成するために、上記反応スキームに使用され得る。
【0129】
一般的に、式(Ia)、(Ib)及び(IIa)の化合物は、非プロトン性溶媒、好ましくはTHF中、式(DD)の化合物を、非プロトン性溶媒、好ましくはTHF中、式(W)の化合物により、標準のSonogashiraカップリング条件下で、例えばヨウ化銅、アミン塩基及びパラジウム触媒の存在下で、まず処理することによって調製される。反応混合物を、周囲温度で、約30分〜約1時間、好ましくは約45分間、攪拌する。式(EE)の化合物を、反応混合物から、標準の単離技法、例えば濾過、有機溶媒による溶出、及びクロマトグラフィーによる精製により単離する。
【0130】
次に、プロトン性溶媒、好ましくはメタノール中、式(EE)の化合物を、酸、好ましくは塩酸により処理する。反応混合物を、周囲温度で約12〜約48時間、好ましくは約48時間、攪拌する。式(IIa)の化合物を、反応混合物から、標準の単離技法、例えば反応混合物のpHの7.0への調節及び逆相のクロマトグラフィーによる精製により単離する。
プロトン性溶媒、好ましくはメタノール中、式(IIa)の化合物を、Helv. Chim. Acta. (1987)に記載される方法により、式(Ia)の化合物に還元する。次に、式(Ia)の化合物を、標準の塩基性加水分解条件下で式(Ib)の化合物に加水分解する。
さらに、プロトン性溶媒、好ましくはメタノール中、式(IIa)の化合物を、標準の塩基性加水分解条件下で加水分解し、式(IIa)(R7bは水素である)の化合物を形成する。
【0131】
8.式(IIb)の化合物の調製
式(IIb)の化合物は、本発明の化合物である。それらを、下記反応スキーム8に記載のようにして調製し、ここでq, p, R5, R10及びR15は上記発明の要約に記載される通りであり、そしてR7bはアルキル、アリール又はアラルキルである:
【0132】
【化16】

【0133】
【化17】

【0134】
【化18】

【0135】
式(E)、(FF)、(Q)及び(Sa)の化合物は、市販されているか、又は本明細書に開示される方法に従って、又は当業者に知られている方法により調製され得る。
一般的に、式(IIb)の化合物は、強酸、例えば硫酸を反応混合物に添加しながら、式(FF)の化合物中、式(E)の化合物及び硫酸銅の混合物をまず、窒素下で攪拌することによって調製する。得られる反応混合物を、周囲温度、好ましくは約29℃に暖め、そして約8〜16時間、好ましくは約12時間、攪拌する。反応混合物を濾過し、そして得られる濾液を有機溶媒、好ましくは酢酸エチルにより洗浄する。次に、濾液を、塩基、好ましくは水酸化アンモニウムにより処理し、そして得られる固形物を濾過により除去する。式(GG)の化合物を、標準の単離技法、例えば有機溶媒による抽出及び追加の濾過により濾液から単離する。
【0136】
次に、プロトン性溶媒、例えばメタノール中、モル過剰量の還元剤、例えば硼水素化ナトリウムを、0℃に冷却し、そして次に、プロトン性溶媒、例えばメタノール中、式(GG)の化合物により処理する。得られる反応混合物を、約4〜約8時間、好ましくは約4時間、攪拌する。所望する反応の完結に基づいて、酸、好ましくは酢酸を反応混合物に添加し、過剰の還元剤を消耗し、そして反応混合物のpHを約6に調節する。次に、式(HH)の化合物を、反応混合物から、標準の単離技法、例えば濾過、固形物の濃縮、有機溶媒による抽出、及び沈殿により単離する。
【0137】
次に、非プロトン性溶媒、例えばトルエン中、式(HH)の化合物及び式(Sa)の化合物の混合物を攪拌し、そして水中、アルカリ塩基、例えば水酸化ナトリウムを添加する。相移行触媒、例えば硫酸テトラブチルアンモニウムを反応混合物に添加し、そしてその反応混合物を、約8〜16時間、好ましくは約12時間、攪拌する。式(JJ)の化合物を、反応混合物から、標準の単離技法、例えば塩基性有機溶媒による抽出、濃縮及びクロマトグラフィー処理により単離する。
【0138】
次に、極性有機溶媒、例えばアセトン中、式(JJ)の化合物を、水中、モル過剰量の過沃素酸塩により処理する。次に、得られる反応混合物を、約4〜約8時間、好ましくは約4時間、窒素下で激しく攪拌する。溶媒を周囲温度で真空下で除去する。式(KK)の化合物を、反応混合物から、標準の単離技法、例えば有機溶媒による抽出及び有機層の濃縮により単離する。
【0139】
非プロトン性溶媒、好ましくはTHF中、式(Q)の化合物を、無水条件下で約−30℃に冷却し、そして次に、強塩基、好ましくはn−ブチルリチウムにより徐々に処理する。反応混合物を約0℃に暖め、そして約15分〜1時間、好ましくは約15分間、攪拌する。次に、反応混合物を約−30℃に冷却し、そして次に、非プロトン性溶媒、好ましくはTHF中、等モル量の式(KK)の化合物に処理する。得られる反応を、約−30℃の温度で、約30分〜2時間、好ましくは約1時間、攪拌する。反応を、適切な酸、例えばリン酸カリウムの添加により停止する。式(LL)の化合物を、反応混合物から、標準の単離技法、例えば塩洗浄、濃縮及び沈殿により単離する。
【0140】
式(LL)の化合物を、上記反応スキーム4における式(T)の化合物の処理に類似する態様で処理し、式(MM)の化合物を得、次にこれを、上記反応スキーム4における式(U)の化合物の処理に類似する態様で処理し、式(NN)の化合物を得る。
次に、式(NN)の化合物を、上記反応スキーム7における式(W)の化合物の処理について記載される態様に類似する態様で式(DD)の化合物により処理し、式(IIb)の化合物を得る。
【0141】
9.式(IIc)及び(IId)の化合物の調製
式(IIc)及び(IId)の化合物は、上記に記載される式(IIa)の化合物と同じであるが、但しそれらが調製される出発材料、すなわち(IIb)の化合物は、式(IIa)の化合物についての出発材料とは異なった合成により調製される。従って、式(IIc)及び(IId)の化合物は、下記反応スキーム9に記載のようにして調製され、ここでq, p, R5, R10及びR15は上記発明の要約に記載される通りであり、そしてR7bはアルキル、アリール又はアラルキルである:
【0142】
【化19】

【0143】
式(IIb)の化合物を、上記反応スキーム8に記載の通りにして調製する。
一般的に、式(IIc)及び(IId)の化合物は、式(IIb)の化合物を、酸、例えば酢酸、好ましくは有機溶媒、例えば酢酸エチルにより希釈された酢酸により、約50℃〜約60℃、好ましくは約50℃の温度で、約10〜約20時間、好ましくは20時間、まず処理することによって調製される。有機試薬及び溶媒を、真空下での蒸留により除去する。式(IIc)の化合物を、反応混合物から、標準の単離技法、例えば有機溶媒による抽出及び濃縮により単離する。次に、式(IIc)の化合物を、加水分解状態に処理し、そして次に、式(IId)の化合物を、反応混合物から、標準の単離技法、例えばクロマトグラフィー処理により、単離する。
【0144】
上記反応スキーム及び次の調製及び例の他に、本発明の化合物は、当業者に知られている方法に従って調製され得る。
例えば、R1が-SR6、-S(O)tR7又は-N(R7)R8(ここで、R6、R7及びR8は水素である)である本発明の化合物は、式(EE)又は(U)の化合物(上記に記載されるような)を、適切なヒドロキシ−保護剤により、遊離ヒドロキシ基を保護するために処理し、そして次に、式(EE)又は(U)の保護された化合物を、ケタールを分解するために適切な酸により処理することによって調製され得る。次に、得られるジ−ヒドロキシ化合物を、標準の酸加水分解条件下で処理し、その対応するラクトンを形成する。次に、遊離ヒドロキシを、誘導体化し、適切な脱離基を形成し、そして適切に置換されたチオール又はアミンによる置換、続く酸加水分解が、本発明の化合物(ここで、R1は-SR6、-S(O)tR7又は-N(R7)R8)を形成するであろう。
【0145】
R3が-SR6、-S(O)tR7又は-N(R7)R8である本発明の化合物は、適切な脱離基を形成するために式(EE)の化合物の遊離ヒドロキシを誘導体化し、そして次に、前記誘導体化された化合物と適切に置換された求核試薬とを反応せしめることによって調製され得る。
R2が-SR6、-S(O)tR7又は-N(R7)R8である本発明の化合物は、上記に記載のようにしてラクトンを調製し、そして次に、上記に記載のようにして遊離ヒドロキシを保護することによって調製され得る。次に、得られる化合物を、標準の酸加水分解状態に処理し、その対応する酸を形成することができる。次に、遊離ヒドロキシ基を、適切な脱離基を形成するよう誘導体化し、そして適切な置換された求核基による続く置換、続いての保護解除が、R2が-SR6、-S(O)tR7又は-N(R7)R8である本発明の化合物を形成するであろう。
【0146】
R4が-R9-N(R7)-R10-R11である本発明の化合物は、上記に記載されるような式(F)の化合物を、標準の還元性アミノ化条件下で、適切に置換されたアミンにより処理し、そして次に、その得られる化合物を、本発明のその対応する化合物を形成するために上記に記載される態様で処理することによって調製され得る。R4がR9-S(O)t-R10-R11である本発明の化合物は、適切な脱離基を形成するために上記に記載されるような式(G)の化合物の第1ヒドロキシを誘導体化し、そして次に、その得られる化合物と、適切なチオールアルコキシドとを、所望する生成物を形成するために反応せしめることによって調製され、前記生成物は、所望するスルフィニル及びスルホニル化合物を形成するために標準の酸化条件下で、さらに酸化され得る。
【0147】
R1及びR2が、それらが結合される炭素と共に、下記式:
【化20】

【0148】
から選択された単環式の複素環式構造体を形成する本発明の化合物は、R1及びR2が独立して、ヒドロキシ、チオール又はアミンから選択される、上記に記載のような式(Ia)又は(IIa)の化合物を、適切なアシル化剤、例えばホスゲンにより、酸性条件下で処理することによって調製され得る。
R4が-R9-R13-R11である本発明の化合物は、Rodringez, A. R., など., Tetrahedron Letters (2001), Vol. 42, pp. 6057-6060に開示されるそれらの方法に類似する方法に従って調製され得る。
【0149】
R4が-R9-R12である本発明の化合物は、第1ヒドロキシ上に適切な脱離基を形成するために上記に記載のような式(G)の化合物を誘導体化し、そして次に、その得られる化合物を、残るヒドロキシを保護するために適切なヒドロキシ保護剤により処理することによって調製され得る。次に、脱離基は、適切なアリールクプラート又はグリニャール試薬により置換され得る。
【0150】
R4が-R9-O-R10-R11である本発明の化合物は、適切に置換されたハロアルカン酸塩、ハロアルケン酸塩、ハロアルキン酸塩又はハロシクロアルカン酸塩を用いて、本明細書に記載される方法に従って調製され得る。他方では、R10がシクロアルキレンである化合物は、その対応するアルケニレン含有化合物を、適切なアルキルジハロゲン化合物によりアルキル化することによって調製され得る。
R4が-R9-O-R12である本発明の化合物は、式(G)の化合物を、適切なハロアラルキル(ここで、ハロはアルキル鎖上に存在する)により、置換条件下で処理することによって調製され得る。
【0151】
R4が-R9-C(O)-R10-R11である本発明の化合物は、R4が-R9-R13-R11(ここで、R13はアルキレン鎖である)であるその対応する本発明の化合物を、その対応するアルコールを形成するための標準の水和化条件下で水和化し、そして次に、前記アルコールをその対応するケトンに酸化することによって調製され得る。
R4が-R9-N(R7)-R10-R11又は-R9-S(O)t-R10-R11である本発明の化合物は、R1及びR2が-SR6、-S(O)tR7又は-N(R7)R8である本発明の化合物について上記に記載されるような類似する態様で調製され得る。
【0152】
R4が-R9-C(F)2-R9-R11である本発明の化合物は、適切な弗素化剤、例えば(ジエチルアミノ)硫黄トリフルオリド(DAST)に用いて、その対応するケトンから調製され得る。
R6がアルキル、アリール、アラルキル、-C(O)R7, -C(S)R7, -C(O)OR14又は-C(S)OR14である本発明の化合物は、式(Ia)又は(IIa)の化合物と、適切なハロゲン化物とを、標準の置換条件下で反応せしめることによって調製され得る。R6が-C(O)N(R7)R8又は-C(S)N(R7)R8である本発明の化合物は、式(Ia)又は(IIa)の化合物と、適切に置換されたイソシアネート又はイソチオシアネートとを反応せしめることによって調製され得る。
【0153】
遊離塩基又は酸形で存在する、上記で調製されたような本発明のすべての化合物は、適切な無機又は有機塩基又は酸による処理により、それらの医薬的に許容できる塩に転換され得る。上記で調製された化合物の塩は、標準の技法によりそれらの遊離塩基又は酸形に転換され得る。本発明の化合物のすべての多形体、非晶形、無水体、水和物、溶媒化合物及び塩は、本発明の範囲内であることが理解される。
【0154】
本発明のシクロデキストリンクラスレートを調製するためには、上記の発明の要約に定義されるような、式(I)及び(II)のリポキシンA4類似体、又はアメリカ特許第5,441,951号;第5,079,261号;第5,648,512号;及び第6,048,877号に記載されるリポキシンA4類似体を、薬理学的に許容できる溶媒、例えばアルコール、好ましくはエタノール、ケトン、例えばアセトン、又はエーテル、例えばジエチルエーテルに溶解し、そしてα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリン、好ましくはβ−シクロデキストリンの水溶液と共に、20℃〜80℃で混合し;又は上記の発明の要約において定義されるような、それらの塩(例えば、Na+又はK+塩)の水溶液の形でのリポキシンA4類似体の酸を、シクロデキストリンと共に混合し、そしてその後、その対応するシクロデキストリンクラスレートを得るために等量の酸(例えば、塩酸又は硫酸)を有する溶液と共に混合することができる。
【0155】
この点で又は冷却の後、その対応するシクロデキストリンクラストレートは、結晶形で分離する。しかしながら、発明の要約に定義されるような式(I)及び/又は(II)の油状及び/又は、結晶性化合物を、シクロデキストリンの水溶液による処理により、周囲温度でのかなり長い攪拌(例えば、1時間〜14時間)を伴って、その対応するシクロデキストリンクラストレートに転換することも可能である。次に、クラストレートを、溶媒の吸引及び乾燥により、固体のさらさらした結晶として単離することができる。
【0156】
本明細書に使用されるシクロデキストリンは、例えばAldrich Chemical Co. から市販されているか、又は当業者に知られている方法により調製され得る。例えば、Croft, A. P. など,"Synthesis of Chemically Modified Cyclodextrins", Tetrahedron (1983), Vol. 39, No. 9, pp. 1417-1474を参照のこと。適切なシクロデキストリンは、上記に示されるような式(I)及び(II)の化合物のクラストレートを生成する広範囲の種類のシクロデキストリンを包含する。例えば、J. E. F. Reynolds (ed. ) Martindale, The Extra Pharmacopoeia 28th ed. The Pharmaceutical Press, London 1982, p. 333 and 389-390 and O.-A. Neumueller (ed. ), Roempps Chemie-Lexikon, 8. Aufl. Franckh'sche Verlagshandlung, Stuttgart 1981, p. 763-764, 841,1053-1054を参照のこと。
【0157】
適切な量のシクロデキストリン及び水の選択により、再生可能な含有量の効果的物質を有する理論的組成での新規クラストレートを得ることが可能である。クラストレートは、乾燥吸湿性形又は水含有であるが、しかしほとんど吸湿性ではない形で使用され得る。シクロデキストリン:式(I)又は(II)の化合物の典型的なモル比は、2:1(シクロデキストリン:化合物)である。
【実施例】
【0158】
次の特定の調製及び例は、本発明の実施を助けるためのガイドとして提供され、本発明の範囲を限定するものではない。
【0159】
調製1式(B)及び(D)の化合物
A. アセトン(500ml)中、D−リボース(50g、0.33モル)のスラリーを、濃硫酸(1.25ml)を添加しながら、周囲温度で攪拌した。その反応混合物を30分間、攪拌し、透明な溶液を得、そして次に、さらに1時間、攪拌した。反応混合物のpHを、水酸化カルシウム(約7.0g)により約7に調節した。得られるスラリーを、セライトのパッドを通して濾過した。濾液を濃縮し、わずかに着色した油状物として、64.8gのD−リボフラノース−3,4−アセトニド、すなわち式(B)の化合物を得た;NMR: (CDCl3) δ1.30 (s, 3H), 1.47 (s, 3H) 2.05 (s, 1), 3.7 (m, 3H), 4.38 (m, 1H), 4.56 (d, 1H), 4.80 (d, 1H), 4.96 (d, 1H), 5. 38 (d, 1 H) ppm。
【0160】
B. 式(B)の化合物に対応する化合物を、類似する態様で調製することができる。
C. 水(0.75L)中、硼水素化ナトリウム(10.7g、0,34モル)のスラリーを、氷浴において冷却し、そして水(1.25L)中、D−リボフラノース−3,4−アセトニド(64.6g、0.34モル)により処理した。その反応混合物を、約2時間、攪拌し、その後、過剰の硼水素化物を消耗し、そしてpHを約6に調節するために、酢酸(約25ml)を添加した。
【0161】
その反応混合物を氷浴において冷却し、その後、過沃素酸ナトリウム(72.7g、0.34モル)を少しづつ添加した。反応混合物を周囲温度で約2時間、攪拌し、減圧下で濃縮し、そして酢酸エチルにより抽出した(3度)。組み合わされた酢酸エチル溶液を、ブラインにより洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして濃縮し、無色の粘性油状物として、47.5gの(3,4−イソプロピリデン)エリトロース、すなわち式(D)の化合物を得た;NMR (DMSO) δ1.22 (s, 3H), 1.32 (s, 3H), 3.28 (d, 1H), 3.78 (m, 2H), 4.38 (d, 1H), 4.76 (m, 1 H), 5.12 (m, 1 H) ppm。
D. 類似する態様で、式(D)の他の化合物を調製することができる。
【0162】
調製2式(F)、(G)、(L)及び(M)の化合物
A. 固体L−ラムノース水和物(100g、0.55モル)を、アセトン:トルエンの1:1混合物(1L)に懸濁し、そして濃縮した。前記工程を、上昇する濃度のトルエンを用いて、3度、反復した。フラスコを高い真空下に置き、微量のトルエンを除去した。無水残留物を、アセトン(600ml)に溶解し、そしてメトキシプロペン(68ml、0.71モル)、ピリジニウムトシレート(3g)及びdl−10−樟脳スルホン酸(3g)により処理した。
【0163】
反応を周囲温度で約3時間、攪拌した。反応混合物を、アンモニアガスにおいて泡立てることによって塩基性にし、そして得られる固形物を濾過により除去した。濾液を濃縮し、そしてシロップ状の液体を水に溶解し、そして酢酸エチルにより抽出した(3度)。組合された有機相を、水(2度)及びブラインにより洗浄し、乾燥し、そして濃縮し、粘性の油状物として、102gの(3,4−イソプロピリデン)ラムノース、すなわち式(F)の化合物を得た;1H NMR (CDC13) δ1.32 (m, 6H), 1.45 (s, 3H), 3.92 (m, 1H), 4.05 (m, 1H), 4.59 (d, 1H), 4.87 (m, 1H), 5.2 (s, 1H) ppm。
【0164】
B. 水(60ml)中、硼水素化ナトリウム(52g、1.4mモル)のスラリーを、氷浴において冷却し、そして水(900ml)中、(3,4−イソプロピリデン)ラムノース(78g、0.38mモル)により処理した。反応混合物を、約5時間、攪拌し、その後、酢酸を添加し、過剰の硼水素化合物を消耗し、そしてpHを約6に調節した(約130ml)。水性層を減圧下で濃縮した。残留物(最少量の水中)を、酢酸エチルにより抽出した(3度)。組合された有機層を乾燥し、そして濃縮し、70gの5−(ヒドロキシメチル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロピル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン、すなわち式(G)の化合物を、無色の粘性油状物として得た;1H NMR (CD30D) δ1.23 (d, 3H), 1.34 (s, 3H), 1.47 (s, 3H), 3.37 (m, 1H), 3.7 (m, 3H), 4.21 (m, 1H), 4.42 (m, 1H) ppm。
【0165】
C. 水中、4−(ヒドロキシメチル)−5−(1,2−ジヒドロキシプロピル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン(63g、0,33モル)及びナトリウムヨードアセテート(75g、0.36モル)の溶液を、固体水酸化ナトリウム(16g、0.35モル)により処理した。その反応混合物を一晩、攪拌し、そして次に、酢酸エチル及びエーテルにより洗浄した。水性層を濃縮した。得られる残留物をDMF(20ml)に溶解し、そしてヨードメタン(37ml、0.6モル)により処理した。得られる反応混合物を一晩、攪拌した。反応混合物を、2体積の塩水により希釈し、そして酢酸エチルにより抽出した(6度)。組合された有機層を乾燥し、そして濃縮し、20gの2−[[(4S、5R)−5−(1,2−ジヒドロキシプロピル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、メチルエステル、すなわち式(L)の化合物を、無色の粘性油状物として得た;1H NMR (CD13) δ1.27 (d, 3H), 1.38 (s, 3H), 1.48 (s, 3H), 3.57 (m, 1H), 3.77 (s, 3H), 3.8 (m, 2H), 4.13 (m, 2H), 4.4 (m, 2H) ppm。
【0166】
D. アセトン(20ml)中、2−[[(4S、5R)−5−(1,2−ジヒドロキシプロピル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、メチルエステル(20g、72mモル)の溶液を、固形過沃素酸ナトリウム(26.13g、122mモル)により処理した。反応をTLCにより分析し、そして1時間の攪拌の後、完結した。反応混合物を酢酸エチルにより抽出した(3度)。組合された有機層を、ブラインにより洗浄し、乾燥し、そして濃縮し、12.6gの2−[[(4S、5S)−5−ホルミル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、メチルエステル、すなわち式(M)の化合物を、わずかに黄がかった粘性油状物を得た;1H NMR (CDC13) δ1.38 (s, 3H), 1.57 (s, 3H), 3.75 (m, 2H), 3.7 (s, 3H), 4.08 (m, 2H), 4.42 (m, lH), 4. 54 (m, 1H), 9.64 (d, 1H) ppm。
【0167】
E. 類似する態様で、式(M)の次の化合物を調製する:
2−[[(4S、5S)−5−ホルミル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、エチルエステル;
2−[2−[(4S、5S)−5−ホルミル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]エトキシ]エタン酸、エチルエステル;
2−[2−[(4S、5S)−5−ホルミル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]エトキシ]エタン酸、メチルエステル;
2−[[(4S、5S)−5−ホルミル−2,2−ジエチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、エチルエステル;
2−[2−[(4S、5S)−5−ホルミル−2,2−ジエチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]エトキシ]エタン酸、エチルエステル;
【0168】
2−[2−[(4S、5S)−5−ホルミル−2,2−ジエチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]エトキシ]エタン酸、メチルエステル;
2−[[(4S、5S)−5−ホルミル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、エチルエステル;
2−[2−[(4S、5S)−5−ホルミル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]エトキシ]エタン酸、エチルエステル;
2−[2−[(4S、5S)−5−ホルミル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]エトキシ]エタン酸、メチルエステル;
2−[[(4S、5S)−5−ホルミル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、t−ブチルエステル;及び
2−[2−[(4S、5S)−5−ホルミル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]エトキシ]エタン酸、t−ブチルエステル。
【0169】
調製3式(O)、(P)及び(Q)の化合物
A. 3.0Lの4ツ首の丸底フラスコにおける窒素雰囲気下での無水テトラヒドロフラン(THF)(1.0L)中、ベント−2−エン−4−イン−1−オール(58、0.7モル)の溶液を、機械的に攪拌し、そしてヘキサン(0.35L、2M、0.77モル)中、n−ブチルリチウムの溶液を、−20℃以下の温度を維持する速度で添加しながら、ドライアイス/2プロパノール浴において冷却した。20分後、純粋なクロロトリメチルシラン(93g、0.77モル)を添加した。20分後、ヘキサン(0.35L、2M、0.77モル)中、n−ブチルリチウムの溶液を、−20℃以下の温度を維持する速度で添加した。10分後、純粋なクロロトリメチルシラン(93g、0.77モル)を添加した。反応を、周囲温度に約1時間にわたって暖めた。反応を飽和塩化アンモニウムにより処理し、そしてヘキサンにより希釈した。
【0170】
水性層をヘキサンにより洗浄した。組合された有機抽出物を、水及びブラインにより洗浄し、乾燥し、そして濃縮した。残留物を、THF(約690ml)に溶解し、1Nの塩酸(75ml)により処理し、そして一晩、攪拌した。水性層を分離し、そしてエーテルにより洗浄した。組合された有機層を、水(3度)及びブラインにより洗浄し、乾燥し、そして濃縮し、106gの油状物を得た。残留物を、15cmのジャケット付きカラムを通して真空下で蒸留し、72.6gの5−トリメチルシリルペント−2−エン−4−イン−1−オール、すなわち式(O)の化合物を、ほぼ無色の油状物として得た:b.p.=71−77℃/0.4mmHg;1H-NMR (300 mHz, CDC13) δ0.18 (s, 9H), 1.7 (bs, 1H), 4.18 (d, 2H), 5.75 (d, 1H), 6.29 (dm, 1H) ppm。
【0171】
B. N−ブロモスクシンイミド(85.3g、0.48モル)を、ジクロロメタン(600ml)中、トリフェニルホスフィン(128.2g、0.49モル)及び5−トリメチルシリルペント−2−エン−4−イン−1−オール(72.5g、0.47モル)のほぼ均質の溶液に、窒素下で少しづつ添加し、そして−20℃以下の初期温度に、ドライアイス/2−プロパノール浴において冷却した。反応混合物の内部温度を、添加の速度を調節することによって、添加を通して−10℃〜0℃で維持した。浴を周囲温度に暖めた。2時間後、反応は完結した。反応混合物を、濃ペーストに、真空下で濃縮し、そして残留物をヘキサン(250ml)と共に粉砕した。懸濁液を濾過し、そして固形物及びシリカゲルを、ヘキサン(10×150ml)によりすすいだ。濾液を真空下で濃縮し(30℃/60mトル)、44g(89%の収率)の1−ブロモ−5−トリメチルシリルペント−2−エン−4−イン、すなわち式(P)の化合物を、淡黄色の油状物として得た;1H-NMR (300 mHz, CD13) δ0.19 (s, 9H), 3.95 (d, 2H), 5.75 (d, 1H), 6. 31 (dt, 1H) ppm。
【0172】
C. トリフェニルホスフィン(64.1g、0.244モル)を、トルエン(204ml)中、1−ブロモ−5−トリメチルシリルペント−2−エン−4−イン(44.26g、0.20モル)の溶液に添加した。その混合物を、周囲温度で、窒素雰囲気下で攪拌した。3日後、懸濁液を、メチルtert−ブチルエーテル(408ml)により希釈し、周囲温度で1時間、攪拌し、そして沈殿物を濾過により集めた。フィルターケークを、メチルtert−ブチルエーテルにより洗浄し、そして30℃で真空下で乾燥し、79gの5−トリメチルシリルペント−2−エン−4−イニルトリフェニル−ホスホニウムブロミド、すなわち式(Q)の化学物を、オフホワイト粉末として得た;1H-NMR (300 mHz, CDCl3)δ0.14 (s, 9H), 5.08 (dd, 2H), 5.91 (dt, 1H), 6.22 (dd, 1H), 7.6-8. 0 (m, 15 H);C26H28BrPSiについての計算値:C65.13, H5.89, Br16.66, P6.46; 実験値:C64.95, H5.78, Br16.96, P6.31。
D. 類似する態様においては、式(Q)の他の化合物を調製することができる。
【0173】
調製4式 (R), (T), (U), (V), (L), (MM)及び (NN) の化合物
THF(1L)中、5−トリメチルシリルペント−2−エン−4−イニルトリフェニル−ホスホニウムブロミド(115g, 0.24モル)のスラリーを、窒素下で攪拌し、ドライアイス/2−プロパノール浴において冷却し、そしてヘキサン中、n−ブチルリチウムの溶液(2M, 120ml, 0.24モル)の滴下により処理した。約5分後、冷却浴を除き、そして反応混合物の温度を、<0℃(内部)まで上昇せしめた。反応混合物を、ドライアイス/2−プロパノール浴に再び置いた。反応混合物を、200mlのTHF中、(2,3−イソプロピリデン)エリトロース(36.6g, 0.23モル)の溶液を滴下しながら、攪拌した。反応混合物を、一晩、周囲温度に暖めた。
【0174】
次に、反応混合物を、ドライアイス/2−プロパノールにより冷却し、そして飽和塩化アンモニウムにより処理した。得られる水性層を、酢酸エチルにより洗浄した。有機層を組合し、そして水及びブライン溶液により洗浄し、乾燥し、シリカゲルにより処理し、そして濃縮した。ヘキサン/酢酸エチル(3:1)を、前記混合物に添加し、不純物を沈殿し、そしてその溶液を濾過し、そして濃縮した。得られる残留物を、エーテル:ヘキサン(1:1)、シリカゲルにより処理し、濾過し、そして濃縮し、50gの生成物を得た。
【0175】
ヘキサン中、エーテルのグラジエントを用いてのシリカゲル上でのクロマトグラフィーによる精製は、13.9gの(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−6−(トリメチルシリル)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−4−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキソラン及び(4S, 5R)−5−[(1Z, 3E)−6−(トリメチルシリル)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−4−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキソランの混合物、すなわち式(R)の化合物を与えた;(1Z, 3E)異性体のみについてのNMR:lH NMR (CDCl3) δ 0.1 (s, 9H), 1.22 (s, 3H), 1.38 (s, 3H), 1.6 (m, 1H), 3.36 (m, 2H), 4.12 (m, 1H), 4.93 (m, 1H), 5.4 (t, 1H), 5.51 (d, 1H), 6.03 (t, 1 H), 6.67 (dd, 1 H) ppm。
【0176】
B. 150mlのTHF中、(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−6−(トリメチルシリル)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−4−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキソラン及び(4S, 5R)−5−[(1Z, 3E)−6−(トリメチルシリル)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−4−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキソランの混合物(14g、50mモル)及びt−ブチルブロモアセテート(9.6ml, 64mモル)の溶液を、氷浴において冷却し、そして固体水素化ナトリウム(60%、2.5g、65mモル)により処理した。そのスラリーを、周囲温度に一晩、暖めた。反応をTLCにより分析し、そして約40%の完結であった。
【0177】
次に、反応を、63℃の油浴において約7時間、加熱した。反応混合物を冷却し、そして氷、酢酸エチル、及び飽和塩化アンモニウムの混合物中に注いだ。水性層を酢酸エチルにより洗浄した(2度)。組合された有機層を水及びブライン溶液により洗浄し、乾燥し、シリカゲルにより処理し、そして濃縮した。ヘキサン中、エーテルのグラジエントを用いてのシリカゲル上でのクロマトグラフィーによる精製は、5.2gの2−[[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−6−(トリメチルシリル)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、1,1−ジメチルエチルエステル及び2−[[(4S, 5R)−5−[(1Z, 3E)−6−(トリメチルシリル)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、1,1−ジメチルエチルエステルの混合物、すなわち式(T)の化合物を与えた;(1Z, 3E)異性体のみについてのNMR:1H NMR (CDC13) δ 0. 01 (s, 9H), 1.22 (s, 3H), 1. 28 (s, 9H), 1.38 (s, 3H), 3.33 (m, 2H), 3.80 (m, 2H), 4.25 (m, 1H), 4.9 (m, 1H), 5. 35 (m, 1H), 5.48 (dd, 1H), 6.0 (t, 1H), 6.72 (dd, 1H) ppm。
【0178】
C. 塩化メチレン中、2−[[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−6−(トリメチルシリル)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、1,1−ジメチルエチルエステル及び2−[[(4S, 5R)−5−[(1Z, 3E)−6−(トリメチルシリル)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、1,1−ジメチルエチルエステルの混合物の溶液を、赤色が持続するまで、沃素により処理した。その混合物を、一晩、静置した。
【0179】
NMR分析は完全な転換を示した。反応を、Na2S2O4の水溶液により処理し、そして水及びブラインにより洗浄し、乾燥し、シリカゲルにより処理し、そして濃縮し、4.3gの2−[[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−6−(トリメチルシリル)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、1,1−ジメチルエチルエステル、すなわち式(U)の化合物を、粘性油状物として得た;1H NMR (CDCI3) δ 0. 01 (s, 9H), 1.22 (s, 3H), 1.28 (s, 9H), 1.38 (s, 3H), 3.33 (m, 2H), 3.80 (m, 2H), 4.25 (m, 1H), 4. 5 (m, 1H), 5.43 (m, 1H), 5.58 (dd, 1H), 6.23 (dd, 1H), 6.44 (dd, 1H) ppm。
【0180】
D. 類似する態様で及び式(LL)の化合物を用いて、次の式(MM)の化合物を製造した:
1,1−ジメチルエチル[[(2S, 3R)−3−[(1E, 3E)−6−(トリメチルシリル)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−1,4−ジオキサスピロ[4,5]デク−2−イル]メトキシ]エタノエート、[α]D=-14. 351 (メタノール中、10.566 mg/cc) ; 1H NMR (CDCl3) δ 0.15 (s, 9H), 1. 3 (m, 2H), 1. 4 (s, 9H), 1. 6 (m, 8H), 3.45 (m, 2H), 3.92 (m, 2H), 4.34 (m, 1H), 4.62 (m, 1H), 5.54 (d, 1H), 5.72 (dd, 1H), 6.26 (dd, 1H), 6.56 (dd, 1H) ppm。
【0181】
E. THF中、2−[[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−6−(トリメチルシリル)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、1,1−ジメチルエチルエステルの溶液を、THF中、テトラブチルアンモニウムフルオリドの溶液により少しづつ処理した。その反応混合物を一晩、攪拌した。反応混合物を、水及び1Nの水酸化ナトリウム溶液(1:1)により希釈し、そして一晩、攪拌した。その反応混合物を、酢酸エチル及び飽和塩化アンモニウムの混合物中に注いだ。
【0182】
水性層を酢酸エチルにより洗浄した(2度)。組合された有機層を水及びブライン溶液により洗浄し、シリカゲルにより処理し、そして濃縮し、2.8gの2−[[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、すなわち式(V)の化合物を、油状物として得た;1H NMR (CDCI3) δ 1. 37 (s, 3H), 1.46 (s, 3H), 3.06 (s, 1H), 3.49 (m, 2H), 4.06 (m, 2H), 4.37 (m, 1H), 4.65 (t, 1H), 5.54 (d, 1H), 5.66 (dd, 1H), 6. 28 (dd, 1H), 6.58 (dd, 1H) ppm。
【0183】
F. 類似する態様で及び式(MM)の化合物を用いて、次の式(NN)の化合物を製造した:
1,1−ジメチルエチル[[(2S, 3R)−3−[(1E, 3E)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−1,4−ジオキサスピロ[4,5]デク−2−イル]メトキシ]エタノエート;1H NMR (CDC13) δ 1.3 (m, 2H), 1.4 (s, 9H), 1.6 (m, 8H), 3.02 (m, 2H), 3.05 (m, 2H), 3.96 (m, 2H), 4.38 (q, 1H), 4.66 (t, 1H), 5.54 (dd, 1H), 5. 78 (dd,. lH), 6. 33 (dd, 1H), 6.65 (dd, 1H) ppm。
【0184】
G. THF中、2−[[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸の溶液を、氷浴において冷却し、そしてTHF中、トリメチルシリルジアゾメタンの溶液により少しづつ処理した。過剰のジアゾメタンを酢酸により分解し、そしてその混合物をエーテルにより希釈し、そして水、飽和炭酸水素ナトリウム、水(2度)及びブラインによりブラインにより洗浄し、乾燥し、シリカゲルにより処理し、そして濃縮した。
【0185】
ヘキサン中、エーテルのグラジエントを用いてのシリカゲル上でのクロマトグラフィー処理による精製は、0.9gの2−[[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、メチルエステル、すなわち式(W)の化合物を、油状物として与えた;1H NMR (CDCl3) δ1.37 (s, 3H), 1.51 (s, 3H), 3.06 (s, 1H), 3.49 (m, 2H), 3.74 (s, 3H), 4.16 (m, 2H), 4. 42. (m, 1H), 4.65 (t, 1H), 5.60 (dd, 1H), 5.79 (dd, 1H), 6.33 (dd, 1H), 6.65 (dd, 1H) ppm。
【0186】
H. 上記に記載されるのと類似する態様で、式(W)の化合物に対応する次の化合物を調製する:
2−[[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、エチルエステル;
2−[[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、t-ブチルエステル;
2−[2−[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]エトキシ]エタン酸、エチルエステル;
【0187】
2−[2−[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]エトキシ]エタン酸、t-ブチルエステル;
2−[2−[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]エトキシ]エタン酸、メチルエステル;
2−[3−[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]プロポキシ]エタン酸、エチルエステル;
2−[3−[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]プロポキシ]エタン酸、t-ブチルエステル;
【0188】
2−[3−[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]プロポキシ]エタン酸、メチルエステル;
4−[[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]ブタン酸、エチルエステル;
4−[[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]ブタン酸、t-ブチルエステル;
4−[[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]ブタン酸、エチルエステル;及び
4−[[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]ブタン酸、t-ブチルエステル。
【0189】
調製5式(Ta)及び(Ua)の化合物
A. THF(120ml)中、5−トリメチルシリルペント−2−エン−4−イニルトリフェニルホスホニウムブロミド、すなわち式(Q)の化合物(8.5g, 17.7mモル)のスラリーを、窒素下で攪拌し、ドライアイス/アセトニトリル浴において冷却し、そしてヘキサン中、n−ブチルリチウムの溶液(2M, 8ml, 16mモル)の滴下を通して処理した。ドライアイス浴を、氷浴により置換し、そして反応混合物を、均質混合物が得られるまで、約15分間、攪拌した。ドライアイス浴を交換し、そしてその反応混合物を、THF60ml中、2−[[(4S, 5S)−5−ホルミル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、メチルエステル、すなわち式(M)の化合物(3.7g, 16mモル)の溶液により処理した。
【0190】
反応混合物を、ドライアイス浴において1時間、攪拌し、次にそれを、氷浴により置換した。1時間後、反応混合物をエーテル及び一塩基性リン酸カリウムにより希釈した。水性層をエーテルにより洗浄した。組合された有機層を、水及びブラインにより洗浄し、乾燥し、シリカゲルのパッドを通して濾過し、そして濃縮した。ヘキサン/酢酸エチル(約3:1混合物)を、前記残留物に添加し、不純物を沈殿した。残留物を濾過し、そして濃縮した。
【0191】
得られる残留物を、エーテル及びヘキサン(1:1)により処理し、続いてシリカゲルにより処理し、濾過し、そして濃縮し、トリフェニルホスフィン酸化物及び2−[[(4S, 5R)−5−[(1Z, 3E)−6−(トリメチルシリル)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、メチルエステル、すなわち式(Ta)の化合物の1:3混合物9.2gを得た;1H NMR (CDC13) δ 0.01 (s, 9H), 1.2 (s, 3H), 1.33 (s, 3H), 3.33 (m, 2H), 3.56 (s, 3H), 3.90 (m, 2H), 4.25 (m, 1H), 4.88 (m, 1H), 5.32 (t, 1H), 5.48 (d, 1H), 5.98 (t, 1H), 6.68 (dd, 1H) ppm (エステルのみについてのNMR)。
【0192】
B. 塩化メチレン中、上記残留物の溶液を、十分な量の沃素により処理し、赤色を維持し、そして光下で3時間、静置した。次に、反応混合物を、飽和水性ハイドロサルファイトにより処理し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、シリカゲルのパッドを通して濾過し、そして濃縮し、4.53gの生成物を得た。ヘキサン中、5〜100%のエーテルのグラジエントを用いてのシリカゲル上でのクロマトグラフィー処理は、2.74gの2−[[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−6−(トリメチルシリル)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、メチルエステル、すなわち式(Ua)の化合物を与えた;1H NMR (CD13) δ 0.01 (s, 9H), 1.18 (s, 3H), 1.33 (s, 3H), 3.3 (m, 2H), 3.56 (s, 3H), 3.90 (m, 2H), 4.25 (m, 1H), 4.48 (m, 1H), 5.46 (m, 1H), 5. 58 (dd, 1H), 6.14 (t, 1H), 6.44 (dd, 1H) ppm。
C. 類似する態様で、式(Ua)の他の化合物を調製できる。
【0193】
調製6式(Y), (Z), (AA), (BB), (CC) 及び(DD)の化合物
A. 塩化オキサリル(60ml, 686mモル)及びジメチルホルムアミド(DMF)(8滴、触媒)を、ジクロロメタン(500ml)中、2−(4−フルオロフェノキシ)エタン酸(97.3g, 572mモル)の攪拌された懸濁液に添加した。22時間後、混合物を真空下で濃縮し、108gの2−(4−フルオロフェノキシ)エタン酸クロリド、すなわち式(Y)の化合物を、黄色の油状物として得た;1H NMR (CDCl3) δ4.90 (s, 2H), 6.84 (m, 2H), 6.99 (m, 2H) ppm。
【0194】
B. 2−(4−フルオロフェノキシ)エタン酸クロリドを、飽和K2CO3及び酢酸エチル(375ml)中、N, O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(55.80g, 572mモル)の攪拌された懸濁液にゆっくりと添加した。適度な発熱反応が発生し(より大規模な反応は氷浴により冷却される)、そして20分後、反応混合物を水とエーテルとの間に分けた。エーテル層を、1MのHCl及び飽和NaClにより洗浄し、そして硫酸マグネシウム上で乾燥した。乾燥された溶液を濾過し、そして真空下で濃縮し、N−メトキシ−N−メチル−2−(4−フルオロフェノキシ)エタンアミド、すなわち式(Z)の化合物を、黄色の油状物として得、これは、オフホワイトの結晶性固形物113.03g(出発酸から73%の収率)に固化した;1H NMR (CDC13, 400 mHz) δ3.21 (s, 3H), 3.73 (s, 3H), 4.75 (s, 2H), 6.87 (m, 2H), 6.95 (m, 2H) ppm。
【0195】
C. エチニルマグネシウムブロミドの溶液(THF中、0.5M, 508ml, 254mモル)を、THF(100ml)中、N−メトキシ−N−メチル−2−(4−フルオロフェノキシ)エタンアミド(20.00g、74mモル)の氷水冷却された溶液に、フラスコの側面からの流れとして、ゆっくりと添加し、さらに0℃での30分後、反応混合物を、1MのNaH2SO4(1700ml)及びエーテル(1L)の激しく攪拌された混合物中の注いだ。層を分離し、そして次に、水性層をエーテル(700ml)により抽出した。組合された有機相を、ブラインにより洗浄し、そして硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、そして真空下で濃縮した。残留物を、エーテル:石油エーテル(1:4)により、シリカゲルのプラグ(10cm×3Cm)を通して溶出することによって精製し、27.65g(91%の収率)の4−(4−フルオロフェノキシ)−1−ブチン−3−オン、すなわち式(AA)の化合物を、低溶融固形物として得た;1H NMR (CDC13) δ3.40 (s, 1H), 4.70 (s, 2H), 6.85 (m, 2H), 7.0 (t, 2H) ppm。
【0196】
D. R−Alpine−Bornne(商標)の溶液(THF中、0.5M、930ml、465mモル)を、真空下で蒸発乾燥し、約150gの濃シロップ状物を得た。4−(4−フルオロフェノキシ)−1−ブチン−3−オン(27.6g、155mモル)を添加し、そして発熱反応が観察される場合、その反応混合物を、氷/水浴により冷却し、次に、周囲温度に暖めた。2日後、反応混合物を0℃で冷却し、そしてアセトアルデヒド(26ml、465mモル)を添加し、過剰の試薬を消耗した。周囲温度での2時間の攪拌の後、反応混合物を真空下に置き、そしてまず0℃で1時間、次に65℃で2時間、攪拌した。反応混合物を、周囲温度に冷却し、そしてエーテル(300ml)を真空下で添加した。
【0197】
エタノールアミン(30ml、465mモル)を0℃で滴下し、そして得られる反応混合物を冷凍庫に一晩、貯蔵した。得られる沈殿物を濾過により除去し、そして冷エーテルにより洗浄した。組合された濾液を真空下で濃縮した。阻生成物を、溶離剤としてヘキサン中、10〜25%の酢酸エチルを用いて、シリカゲルの2.5Lカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、27gの(3S)−4−(4−フルオロフェノキシ)−3−ヒドロキシ−1−ブチン、すなわち式(BB)の化合物を得た;1H NMR (CDC13) δ 2.56 (s, 1H), 4.10 (m, 2H), 4.78 (m, 1H), 6.85 (m, 2H), 7.0 (m, 2H)。この材料は、その3,5−ジニトロベンゾイルエステルのキラルHPLCに基づけば、約64%のeeであることが決定された(下記参照のこと)。
【0198】
E. 塩化メチレン(1L)中、(3S)−4−(4−フルオロフェノキシ)−3−ヒドロキシ−1−ブチン(490mモル)の溶液に、3,5−ジニトロベンゾイルクロリド(125g、539mモル)を−5℃〜0℃で添加し、続いてトリエチルアミン(10.8ml, 77mモル)及び触媒量のジメチルアミノピリジン(DMAP)(20mg)をゆっくり添加した。その混合物を周囲温度で40分間、攪拌した後、反応混合物を、塩化メチレンと水性NaHCO3との間に注意して分けた。水性層をジクロロメタンにより抽出し、そして組み合わされた有機層を水及びブラインにより洗浄し、そしてNa2SO4上で乾燥した。その溶液を、シリカゲル及び塩化メチレンのパッドを通して濾過し、組成物を、黄褐色の固形物として付与した。
【0199】
メタノール:酢酸の99:1混合物(5L)からの急速な再結晶化は、101gの鏡像異性体に富んで生成物、すなわち(3S)−4−(4−フルオロフェノキシ)−3−(3’、5’−ジニトロベンゾイル)オキシ−1−ブチン、すなわち式(BBa)の化合物を、ふわふわした白色の針状物として付与した。この材料は、Diacel Chiralpak AD(商標)(4.6×250mm、60%の2−プロパノール/ヘキサン、1ml/分)を用いて、分析用HPLCにより98%以上のeeを有することが決定され、これを、(R)(11.5分)及び(S)(19.3分)の鏡像異性体を分離した;1H NMR (CDC13) δ 2.65 (s, 1H), 4.40 (m, 2H), 6.05 (m, 1H), 6.90 (m, 2H), 7.0 (t, 2H), 9.15 (s, 2H), 9.25 (s, 1 H) ppm。
【0200】
F. THF(115ml)中、(3S)−4−(4−フルオロフェノキシ)−3−(3’、5’−ジニトロベンゾイル)オキシ−1−ブチン(10.35g、98%ee, 27.6mモル)の溶液に、メタノール(115ml)及びK2CO3(0.58g)を添加した。3.5時間の攪拌の後、反応混合物を、酢酸(2ml)により停止した。溶媒を蒸発し、そして得られるスラリーを濾過し、そして固形物をエーテルにより洗浄した。濾液を濃縮し、そして濾過/エーテル洗浄の順序を反復した。濃縮により、4.02gの(3S)−4−(4−フルオロフェノキシ)−3−ヒドロキシ−1−ブチン(98%ee)、すなわち式(BB)の化合物を得た;1H NMR (CDCI3) δ2.56 (s, 1H), 4.10 (m, 2H), 4.78 (m, 1H), 6.85 (m, 2H), 7.0 (m, 2H)。
【0201】
G. アセトン(70ml)中、(3S)−4−(4−フルオロフェノキシ)−3−ヒドロキシ−1−ブチン(2.5g、14mモル)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)(2.74g、15.4mモル)及びAgNO3(0.12g、0.9mモル)の混合物を、周囲温度で攪拌した。青白い溶液が30分以上で濁って来た。その混合物を真空下で濃縮し、そして得られる残留物を、シリカゲルのプラグ(1×5cm)を通して濾過し、酢酸エチル:ヘキサン(1:4)により溶出し、(3S)−3−ブロモ−4−(4−フルオロフェノキシ)−3−ヒドロキシ−1−ブチン、すなわち式(CC)の化合物を、いくらかの酢酸エチルを含む淡黄色の油状物(9.75g)としてを得た;1H NMR (CDC13) δ 3.95-4. 15 (m, 2H), 4.75 (m, 1H), 6.86 (m, 2H), 6.97 (m, 2H) ppm。
【0202】
H. AlCl3(2.79g、21mモル)を、水素化リチウムアルミニウム(LAH)(1.06g, 28mモル)及びエーテル(70ml)の混合物に少しづつ添加した。エーテル(10ml)中、(3S)−1−ブロモ−4−(4−フルオロフェノキシ)−3−ヒドロキシ−1−ブチン(14mモル)の溶液を注意して添加した。ガスの発生を伴っての激しい反応が観察された。混合物を、水浴上で30分間、還元下で暖めた。次に、反応混合物を0℃に冷却し、そして2.8mの水(ゆっくりした。激しい反応)、2.8mlの15%NaOH、及び最終的に8.4mlの水により処理した。次に、その得られる懸濁液を10分間、攪拌し、濾過し、そして固形物をTHFがエーテルにより洗浄した。その溶液を真空下で濃縮し、2.9g(2段階に関して、81%の収率)の(1Z、3S)−1−ブロモ−4−(4−フルオロフェノキシ)−3−ヒドロキシ−1−ブテン、すなわち式(DD)の化合物を得た;1H NMR (CDC13)δ2.41 (t, 1H), 3.85 (dd, 1H), 3.99 (dd, 1H), 4.50 (m, 1H), 6.31 (dd, 1H), 6.52 (dd, 1H), 6.83 (m, 2H), 6.97 (t, 2H) ppm。
I. 類似する態様で、式(DD)の他の化合物を調製することができる。
【0203】
調製7式(EE)の化合物
A. THF(50ml)及びジエチルアミン(5ml、48mモル)中、(1Z、3S)−1−ブロモ−4−(4−フルオロフェノキシ)−3−ヒドロキシ−1−ブテン(0.84g、3mモル)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)(0.13g、0.2mモル)及び沃化銅(I)(60mg、0.3mモル)の溶液を、火炎乾燥されたフラスコにおいて、アルゴンガスにおいて45分間、泡立てることによって、注意して脱酸素化した。アルゴン下で45分間、泡立てることによって脱酸素化された、THF(50ml)中、2−[[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、メチルエステル(0.9g, 3.2mモル)の溶液を添加しながら、前記反応を攪拌した。約4時間後、反応は完結した。
【0204】
反応混合物を、ヘキサンにより希釈し、そしてシリカゲルのパッドを通して濾過し、そしてシリカゲルをエーテルにより溶出した。組合された濾駅を濃縮し、油状物を得た。ヘキサン中、エーテルの20〜75%グラジエントを用いてのクロマトグラフィーによる精製は、1.1gの2−[[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E, 6Z, 8S)−8−ヒドロキシ−9−(4−フルオロフェノキシ)−1,3,6−ノナトリエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、メチルエステル、すなわち式(EE)の化合物を、油状物として付与した:1H NMR (CDCI3) δ 1. 37 (s, 3H), 1.5 (s, 3H), 3.52 (m, 2H), 3.75 (s, 3H), 3.83 (m, 2H), 4.13 (m, 2H), 4.44 (m, 1H), 5.74 (m, IH), 5.76 (m, 2H), 6.05 (m, IH), 6.17 (m, 1H), 6.29 (m, 1H), 6.58 (dd, IH), 6.88 (m, 4 H) ppm。
B. 類似する態様で、式(EE)の他の化合物を調製することができる。
【0205】
調製8式(GG)の化合物
A. 新たに蒸留されたシクロヘキサノン(330g)中、硫酸銅(175g、1.09モル、2当量)及びラムノース水和物(100g, 0.55モル)のスラリーを、濃硫酸(1.5ml)を一度に添加しながら、窒素下で攪拌した。反応混合物を、約29℃で内部温度に暖めた。反応混合物を一晩、攪拌した。反応を、TLC(酢酸エチル)により分析し、そして完結した。反応混合物を、セライトのパッドを通して濾過し、そして固形物を酢酸エチルにより洗浄した。濾液を約1.5mlの濃水酸化アンモニウムにより処理し、pHを7にし、そして得られる固形物を濾過により除去した。
【0206】
濾液を減圧下で濃縮し、無色の油状物を得た。残留物をエーテルに溶解し、そしてヘキサンにより処理し、そして一晩、静置した。得られる固形物を、濾過により単離し、そして乾燥し、92.3g(0.31モル、57%)の(2R、3R)−3−(1,2−ジヒドロキシプロピル)−1,4−ジオキソスピロ[4,5]デカン−2−カルボキシアルデヒドを、オフホワイト色の固形物として得た:1H NMR (CDC13) δ 1.34 (d, 3H), 1.40 (m, 2H), 1.6 (m, 8H), 2.78 (d, 1H), 3.0 (s, 1 H), 3.9 (m, 1H), 4.07 (m, 1H), 4.6 (d, 1H), 4.9 (m, 1 H), 5.4 (s, 1 H) ppm。
B. 類似する態様で、式(GG)の他の化合物を調製する。
【0207】
調製9式(HH)の化合物
A. メタノール(400ml)中、硼水素化ナトリウム(34.2g、0.9モル)のスリラーを、氷浴において冷却し、そしてメタノール200mlに溶解された(2R、3R)−3−(1,2−ジヒドロキシプロピル)−1,4−ジオキソスピロ[4,5]デカン−2−カルボキシアルデヒド(92g、0.27モル)により処理した。その反応混合物を約4時間、攪拌した。反応が完結し、そして酢酸を添加し、過剰の硼水素化物を消耗し、そしてpHを約6に調節する(約120ml)。反応混合物を濃縮し、そして酢酸エチルに溶解した。
【0208】
得られる固形物を濾過により除去した。組合された濾液を乾燥し、そして濃縮し、わずかに黄かかった粘性油状物を得た。残留物をエーテルに溶解し、そしてヘキサンにより処理し、生成物を沈殿せしめた。固形物を濾過により単離し、そして乾燥し、81.2gの(2R, 3S)−α2−(1−ヒドロキシエチル)−1,4−ジオキサスピロ[4,5]デカン−2,3−ジメタノールを、オフホワイト色の固形物として得た;[α] D = +5.494 (10.119 mg/cc MeOH) ;1 H NMR (CD30D) δ1.28 (d, 3H), 1.43 (m, 2H), 1.7 (m, 8H), 3.42 (dd, 1H), 3.7 (m, 3H), 4.25 (m, 1H), 4.42 (dd, 1H) ppm。
B. 類似する態様で、式(HH)の他の化合物を調製する。
【0209】
調製10式(JJ)の化合物
A. ILのトルエン中、(2R, 3S)−α2−(1−ヒドロキシエチル)−1,4−ジオキソスピロ[4,5]デカン−2,3−ジメタノール(81g、0.32モル)及びt−ブチルブロモアセテート(77g, 0.39モル、1.2等量)の混合物を、水中、80mlの水酸化ナトリウム(25重量%)を添加しながら、機械的攪拌機により攪拌した。相トランスファー触媒、すなわちテトラブチルアンモニウム硫酸塩(7.8g、23mモル、0.07等量)を添加し、そして反応混合物を一晩、攪拌し、そしてTLCによりモニターした。反応混合物を、酢酸エチル及び飽和一塩基性水性リン酸カリウムにより希釈した。組合された有機層を乾燥し、そして濃縮し、透明な油状物を得た。
【0210】
ヘキサン中、20%エーテル、ヘキサン中、50%エーテル、及びエーテルの段階的グラジエントを用いての1kgのシリカゲル上でのクロマトグラフィー処理は、34gの純粋な生成物及び38gの不純物画分を付与した。ヘキサン中、エーテルのグラジエントを用いての混合された画分のクロマトグラフィー処理は、純粋画分を付与し、これを最初の画分と組合し、50.8g(44%)の1,1−ジメチルエチル[[(2S、3R)−3−(1,3−ジヒドロキシプロピル)−1,4−ジオキサスピロ[4,5]デク−2−イル]メトキシ]アセテートを油状物として得た;[α] D = +8.587 (10. 301 mg/cc MeOH).1H NMR (CDC13) δ1.24 (d, 3H), 1.35 (m, 2H), 1.47 (s, 9H), 1.6 (m, 8H), 3.6 (m, 2H), 3.8 (m, 2H), 3.95 (m, 2H), 4. 32 (m, 1H), 4.4 (m, 1H) ppm。
B. 類似する態様で、式(JJ)の他の化合物を調製する。
【0211】
調製11式(KK)の化合物
A. アセトン(350ml)中、1,1−ジメチルエチル[[(2S、3R)−3−(1,3−ジヒドロキシプロピル)−1,4−ジオキサスピロ[4,5]デク−2−イル]メトキシ]アセテート(50g、138mモル)の溶液を、水(1.2L)中、過沃素酸塩(50g、2.35mモル、1.7等量)の溶液により処理した。反応混合物を窒素下で激しく攪拌し、そしてTLCによりモニターした。約4時間後、反応TLC分析によれば、完結した。アセトンを、加熱しないで、減圧下で除去した。
【0212】
反応混合物を、酢酸エチル(3×500ml)により抽出した。組合された有機層を乾燥し、そして加熱しないで、減圧下で濃縮し、40gの1,1−ジメチルエチル−[[(2S, 3S)−3−ホルミル−1,4−ジオキサスピロ[4,5]デク−2−イル]メトキシ]アセテートを透明な油状物として得た;[α] D =-1.142 (メタノール中、10.147 mg/cc) ;1 H NMR (CDC13) δ 1. 38 (m, 2H), 1.42 (s, 9H), 1.61 (m, 8H), 1.73 (m, 2H), 3.52 (dd, 1 H), 3.72 (dd, 1 H), 3.88 (s, 2H), 4.38 (dd, 1 H), 4.52 (m, 1H), 9.62 (s, 1H) ppm。
B. 類似する態様で、式(KK)の他の化合物を調製する。
【0213】
調製12式(LL)の化合物
A. THF(875ml)中、5−トリメチルシリルペント−2−エン−4−イニルトリフェニルホスホニウムブロミド、すなわち式(Q)の化合物(67.1g, 0.14モル)のスラリーを、窒素下で攪拌し、ドライアイスアセトニトリル浴において冷却し(−30℃の内部温度)、そしてn−ブチルリチウム(66.5ml、0.133モル、ヘキサン中、2M)の溶液により滴下処理した。ドライアイス浴を、氷浴により交換し、そして反応を、均質の赤色混合物が得られるまで、約15分間、攪拌した。ドライアイス浴を交換し、そして反応混合物を約−30℃に冷却した。
【0214】
反応混合物を、125mlのTHF中、1,1−ジメチルエチル−[[(2S, 3S)−3−ホルミル−1,4−ジオキサスピロ[4,5]デク−2−イル]メトキシ]アセテート(40g、0.127モル)の溶液により処理した。反応混合物を、ドライアイス浴において1時間、攪拌した。約−30℃の内部温度を伴って、反応混合物を、飽和リン酸カリウム(pH=5)により希釈した。水性層をエーテルにより洗浄した(3度)。組合された有機層を、水及びブラインにより洗浄し、乾燥し、シリカゲルにより処理し、そして濃縮した。残留物を、ヘキサン:酢酸エチルの約3:1混合物により希釈し、不純物を沈殿した。得られるスラリーを濾過し、そして固形物をヘキサン/酢酸エチル混合物により洗浄した。濾液を濃縮した。
【0215】
前記工程を、エーテル及びヘキサンの1:1混合物を用いて反復し、そしてシリカゲルにより処理し、50.29gの1,1−ジメチルエチル[[(2S, 3R)−3−[(1Z, 3E)−6−(トリメチルシリル)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−1,4−ジオキサスピロ[4,5]デク−2−イル]メトキシ]エタノエートを、油状物として得た。生成物のプロトンNMR分析は、E, Z−:E, E−異性体の2:1混合物を示した。Z, E異性体を前記混合物から抽出することができる;1H NMR (CDC13) δ 0.15 (s, 9H), 1. 3 (m, 2H), 1.4 (s, 9H), 1.6 (m, 8H), 3.45 (m, 2H), 3.92 (m, 2H), 4.34 (m, 1H), 5.02 (m, 1H), 5.48 (dd, 1H), 5.6 (d, 1H), 6.16 (dd, 1H), 6.82 (dd, 1H) ppm。
B. 類似する態様で、式(KK)の他の化合物調製する。
【0216】
例1.式(IIa)の化合物
A. メタノール(25ml)中、2−[[(4S, 5R)−5−[(1E, 3E, 6Z, 8S)−8−ヒドロキシ−9−(4−フルオロフェノキシ)−1,3,6−ノナトリエン−5−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]エタン酸、メチルエステル(1.1g, 1.8mモル)の溶液を、1mlの1Nの塩酸により処理し、そして反応を2日間、攪拌した。
【0217】
反応のpHを中性に調節した。水中、アセトニトリルのグラジエントを用いての分離用逆相セミ−プレプカラム上での精製は、1.1gの(5S, 6R, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15− トリヒドロキシ−3− オキサヘキサデカ−7, 9, 13−トリエン−11−イン酸、メチルエステルを、油状物として生成した;1H NMR (CDCl3) δ 3.67 (m, 2H), 3.75 (s, 3H), 3.83 (m, 1H), 3.95 (m, 1H), 4.13 (m, 2H), 4.37 (m, 1H), 4.58 (m, 1H), 5.73 (dd, 1H), 5.86 (dd, 1H), 6.04 (dt, 1H), 6.17 (m, 1H), 6.40 (m, 1H), 6.58 (m, 1H), 6.9 (m, 4H) ppm。
【0218】
B. 類似する態様で、式(IIa)の次の化合物を調製した:
(5S, 6S, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15− トリヒドロキシ−3− オキサヘキサデカ−7, 9, 13−トリエン−11−イン酸、メチルエステル。
【0219】
C. メタノール(20ml)中、(5S, 6R, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15− トリヒドロキシ−3− オキサヘキサデカ−7, 9, 13−トリエン−11−イン酸、メチルエステル(0.4g、0.95mモル)の溶液を、1Nの水酸化ナトリウム(水性)(4ml、4mモル)溶液により処理し、そして3時間、静置した。次に、反応混合物を、飽和カリウムモノホスフェートにより処理し、そしてHP20カラム上に注いだ。水中、メタノールのグラジエントによる溶離は、0.35gの(5S, 6R, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15− トリヒドロキシ−3− オキサヘキサデカ−7, 9, 13−トリエン−11−イン酸(静置に基づいて固化する)を得た;1H NMR (CD30D)δ 3.63 (m, 2H), 3.667 (m, 1H), 3.91 (m, 2H), 4.113 (s, 2H), 4.150, (t, 1H), 4.498, (m, 1H), 5.762 (dd, 1H), 5.953 (dd, 1H), 6.003 (dt, 1H), 6.202 (dd, 1H), 6.380 (dd, 1H), 6.596 (dd, 1H), 6. 928 (m, 2H), 6.988 (m, 2H) ppm。
【0220】
D. 類似する態様で、式(IIa)の次の化合物を調製した:
(5S, 6S, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15− トリヒドロキシ−3− オキサヘキサデカ−7, 9, 13−トリエン−11−イン酸。
【0221】
E. 上記に記載されるのと類似する態様で、式(II)の次の化合物を調製する:
(2E, 5S, 6R, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15− トリヒドロキシヘキサデカ−2,7, 9, 13−テトラエン−11−イン酸;
(2E, 5S, 6R, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15− トリヒドロキシヘキサデカ−2,7, 9, 13−テトラエン−11−イン酸、メチルエステル;
(5R, 6R, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15− トリヒドロキシ−3−オキサヘキサデカ−7, 9, 13−トリエン−11−イン酸;
(5R, 6R, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15− トリヒドロキシ−3−オキサヘキサデカ−7, 9, 13−トリエン−11−イン酸、メチルエステル;
(5S, 6R, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15− トリヒドロキシ−3−オキサヘキサデカ−7, 9, 13−トリエン−11−インアミド;
【0222】
(5S, 6R, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15− トリヒドロキシ−3−N,N−ジメチル−3−オキサヘキサデカ−7, 9, 13−トリエン−11−インアミド;
(7S, 8R, 9E, 11E, 15E, 17S)−18−(4-フルオロフェノキシ)−7, 8, 17− トリヒドロキシ−5−オキサオクタデカ−9, 11, 15−トリエン−13−イン酸;
(7S, 8R, 9E, 11E, 15E, 17S)−18−(4-フルオロフェノキシ)−7, 8, 17− トリヒドロキシ−5−オキサオクタデカ−9, 11, 15−トリエン−13−イン酸、メチルエステル;
【0223】
(5S, 6R, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15− トリヒドロキシ−3−チアヘキサデカ−7, 9, 13−トリエン−11−イン酸;
(5S, 6R, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15− トリヒドロキシ−3−アザヘキサデカ−7, 9, 13−トリエン−11−イン酸;
(5S, 6R, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 15− ジヒドロキシ−6−(メチルアミノ)−3−オキサヘキサデカ−7, 9, 13−トリエン−11−イン酸;及び
(5S, 6R, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 15− ジヒドロキシ−6−アミノ−3−オキサヘキサデカ−7, 9, 13−トリエン−11−イン酸。
【0224】
F. 上記で調製されるような式(IIa)の化合物を、適切なアシル化剤、例えばホスゲンにより、酸性条件下で処理し、次の化合物を生成した:
[[5−[(1E, 3E, 7E, 9R)−10−(4−フルオロフェノキシ)−9−ヒドロキシ−1,3,7−デカトリエン−5−イニル]−2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]酢酸;
[[5−[(1E, 3E, 7E, 9R)−10−(4−フルオロフェノキシ)−9−ヒドロキシ−1,3,7−デカトリエン−5−イニル]−2−オキソ−1,3−オキサチオラン−5−イル]メトキシ]酢酸;及び
[[5−[(1E, 3E, 7E, 9R)−10−(4−フルオロフェノキシ)−9−ヒドロキシ−1,3,7−デカトリエン−5−イニル]−2−オキソ−5−オキサゾリジニウム]メトキシ]酢酸。
【0225】
例2.式(IIb)の化合物
A. ジエチルアミン(50ml)及びTHF(800ml)中、(1Z, 3S)−1−ブロモ−4−(4−フルオロフェノキシ)−3−ヒドロキシ−1−ブテン(16.6g, 63mモル)、固体テトラキストリフェニルホスフィンPd(0) (3.67g, 3mモル)及び沃化銅(I)(1.2g, 6.3mモル)の溶液を、攪拌し、そしてその混合物を90分間、アルゴンを泡立てることによって脱酸素化した。アルゴン添加を、200mlのTHF中、1,1−ジメチルエチル[[(2S, 3R)−3−[(1Z , 3E)−6−(トリメチルシリル)−1,3−ヘキサジエン−5−イニル]−1,4−ジオキサスピロ[4,5]デク−2−イル]メトキシ]エタノエート(23g, 63mモル)の同様にして脱酸素化された溶液(アルゴン泡立て)を滴下しながら、約3時間、続けた。反応をTLC分析によりモニターした。
【0226】
さらに、約2時間後、反応はTLC分析によれば、完結した。反応混合物を、ヘキサン(約400ml)により希釈し、シリカゲル(約40g)により処理し、そして濾過した。固形物を、エーテル:ヘキサンの1:1溶液により洗浄した。濾液を濃縮し、36.8gの油状物を得た。残留物をエーテルに溶解し、ヘキサンにより処理し、そして週末の間、静置した。高く着色された材料を、シリカゲルのパッドを通しての濾過により除去し、そして生成物をエーテルにより溶出した。所望する画分を濃縮し、油状物を得た。
【0227】
ヘキサン中、エーテルの15〜50%グラジエントを用いての1kgのシリカゲル上でのクロマトグラフィー処理による精製は、16.9gの1,1−ジメチルエチル[[(2S, 3R)−3−[(1E, 3E, 7E, 9S)−10−(4−フルオロフェノキシ)−9−ヒドロキシ−1,3,7−デカトリエン−5−イニル]−1,4−ジオキサスピロ[4,5]デク−2−イル]メトキシ]エタノエートを油状物として付与した;[α] D =- 21.174 (メタノール中、10.165 mg/cc) ;1H NMR (CDCl3) δ 1.3 (m, 2H), 1.4 (s, 9H), 1.6 (m, 8H), 2.42 (s, 1H), 3.5 (d, 2H), 3.96 (m, 4H), 4.38 (q, 1H), 4.58 (m, 1H), 4.66 (t, 1H), 5.72 (m, 1H), 5.78 (dd, 1H), 6.03 (m, 1H), 6.16 (dd, 1H), 6.33 (dd, 1H), 6.58 (dd, 1H), 6.88 (m, 4H) ppm。
B. 類似する態様で、式(IIb)の他の化合物を調製する。
【0228】
例3.式(IIc)及び(IId)の化合物
A. 酢酸(50ml)中、1,1−ジメチルエチル[[(2S, 3R)−3−[(1E, 3E, 7E, 9S)−10−(4−フルオロフェノキシ)−9−ヒドロキシ−1,3,7−デカトリエン−5−イニル]−1,4−ジオキサスピロ[4,5]デク−2−イル]メトキシ]エタノエート(1g、2.8mモル)の溶液を、酢酸エチル(50ml)より希釈し、そして55℃の油浴に20時間、置いた。反応は、TLC分析によれば、完結であった。酢酸及び酢酸エチルを、高い真空下での蒸留により除去した。残留物を水により希釈し、そして酢酸エチルにより抽出した(3度)。組み合わされた有機層を水、飽和炭酸ナトリウム、水及びブライン溶液により洗浄し、乾燥し、そして濃縮し、0.9gの油状物を得た。
【0229】
水中、メタノールのグラジエントにより溶離するHP−20カラム上でのクロマトグラフィー処理は、(5S, 6R, 7E, 9E, 13E, 15S)−6−(4−フルオロフェノキシ)−5, 6, 15−トリヒドロキシ−3−オキサヘキサデカ−7,9,13−トリエン−11−イン酸、t−ブチルエステル(式(IIc)の化合物)を付与した。組合された画分を、INの水酸化ナトリウム溶液(2ml)により処理し、そして濃縮した。反応を、約1時間後、TLCによれば、完結し、そしてHP20クラム上に配置した。
【0230】
水中、メタノールのグラジエントを用いてのクロマトグラフィー処理は、0.3gの(5S, 6R, 7E, 9E, 13E, 15S)−6−(4−フルオロフェノキシ)−5, 6, 15−トリヒドロキシ−3−オキサヘキサデカ−7,9,13−トリエン−11−イン酸を付与し;これは静置に基づいて固化した;1H NMR (CD30D) δ 3.63 (m, 2H), 3.667 (m, 1H), 3.91 (m, 2H), 4.113 (s, 2H), 4. 150, (t, 1H), 4.498, (m, 1H), 5.762 (dd, 1H), 5.953 (dd, IH), 6.003 (dt, 1H), 6.202 (dd, 1H), 6.380 (dd, 1H), 6.596 (dd, 1H), 6.928 (m, 2H), 6.988 (m, 2H) ppm。
B. 類似する態様で、式(IIc)及び(IIc)の他の化合物を調製する。
【0231】
例4.式(I)の化合物
A. 活性化された亜鉛を、10gの亜鉛から調製し、そしてその還元を、Helv. Chim. Acta (1987), Vol. 70, p.1025に記載される方法を用いて行った。メタノール(4ml)中、(5S, 6R, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4−フルオロフェノキシ)−5, 6, 15−トリヒドロキシ−3−オキサヘキサデカ−7,9,13−トリエン−11−イン酸、メチルエステル(0.8g、1.2mモル)の溶液を、メタノール:水の1:1混合物(45ml)中、活性化された亜鉛のスラリーに添加した。フラスコを、窒素下で24〜60時間、激しく攪拌した。混合物を、セライト545のパッドを通して濾過し、そしてメタノール(3×25ml)によりすすいだ。
【0232】
アセトニトリル及び水のグラジエントを用いての逆相セミ-プレプカラム上でのクロマトグラフィーによる精製は、55mgの(5S, 6R, 7E, 9E, 11Z, 13E, 15S)−16−(4−フルオロフェノキシ)−5, 6, 15−トリヒドロキシ−3−オキサ−7,9,11,13−ヘキサデカテトラエン酸、メチルエステルを、油状物として付与した:1H-NMR (400 mHz, メタノール-d4) δ 3.62 (m, 2H), 3.75 (s, 3H), 3.93 (m, 2H), 4.13 (m, 3H), 4.58 (m, 1H), 5.85 (m, 2H), 6.14 (m, 2H), 6.36 (m, 2H), 6.77 (m, 1H), 6.96 (m, 5H) ppm。
B. 類似する態様で、式(I)の他の化合物を調製する。
【0233】
C. メタノール(6ml)中、(5S, 6R, 7E, 9E, 11Z, 13E, 15S)−16−(4−フルオロフェノキシ)−5, 6, 15−トリヒドロキシ−3−オキサ−7,9,11,13−ヘキサデカテトラエン酸、メチルエステル(25mg、59mモル)の溶液を、1Nの水酸化ナトリウム(水性)(25μl、25μモル)溶液により処理し、そして静置した。完結に基づいて、反応を、飽和カリウムモノホスフェートにより処理した。水性メタノールグラジエントにより溶離されるHP20カラム上でのクロマトグラフィー処理による精製は、10mgの(5S, 6R, 7E, 9E, 11Z, 13E, 15S)−16−(4−フルオロフェノキシ)−5, 6, 15−トリヒドロキシ−3−オキサ−7,9,11,13−ヘキサデカテトラエン酸を付与した;1H NMR (CD30D)δ 3.6 (m, 3H), 3.88 (m, 4H), 4.18 (m, 1H), 4.52 (m, 1H), 5.84 (m, 2H), 6.03 (m, 2H), 6.34 (m, 2H), 6.74 (m, 1H), 6.95 (m, 5H) ppm。
【0234】
D. 上記のような類似する態様で、式(I)の次の化合物を調製する:
(2E, 5S, 6R, 7E, 9E, 11Z, 13E, 15S)−16−(4−フルオロフェノキシ)−5,6,15−トリヒドロキシヘキサ−2,7,9,11、13−デカペンタエン酸;
(2E, 5S, 6R, 7E, 9E, 11Z, 13E, 15S)−16−(4−フルオロフェノキシ)−5,6,15−トリヒドロキシヘキサ−2,7,9,11、13−デカペンタエン酸、メチルエステル;
(5R, 6R, 7E, 9E, 11Z, 13E, 15S)−16−(4−フルオロフェノキシ)−5,6,15−トリヒドロキシ−3−オキサ−7,9,11、13−ヘキサデカテトラエン酸;
(5R, 6R, 7E, 9E, 11Z, 13E, 15S)−16−(4−フルオロフェノキシ)−5,6,15−トリヒドロキシ−3−オキサ−7,9,11、13−ヘキサデカテトラエン酸、メチルエステル;
(5S, 6R, 7E, 9E, 11Z, 13E, 15S)−16−(4−フルオロフェノキシ)−5,6,15−トリヒドロキシ−3−オキサ−7,9,11、13−ヘキサデカテトラエンアミド;
【0235】
(5S, 6R, 7E, 9E, 11Z, 13E, 15S)−16−(4−フルオロフェノキシ)−5,6,15−トリヒドロキシ−N,N−ジメチル−3−オキサ−7,9,11、13−ヘキサデカテトラエンアミド;
(7S, 8R, 9E, 11E, 13Z, 15E, 17S)−18−(4−フルオロフェノキシ)−7,8,17−トリヒドロキシ−5−オキサ−9,11、13,15−オクタデカテトラエン酸;
(7S, 8R, 9E, 11E, 13Z, 15E, 17S)−18−(4−フルオロフェノキシ)−7,8,17−トリヒドロキシ−5−オキサ−9,11、13,15−オクタデカテトラエン酸、メチルエステル;
(5S, 6R, 7E, 9E, 11Z, 13E, 15S)−16−(4−フルオロフェノキシ)−5,6,15−トリヒドロキシ−3−チア−7,9,11、13−ヘキサデカテトラエン酸;
(5S, 6R, 7E, 9E, 11Z, 13E, 15S)−16−(4−フルオロフェノキシ)−5,6,15−トリヒドロキシ−3−アザ−7,9,11、13−ヘキサデカテトラエン酸;
(5S, 6R, 7E, 9E, 11Z, 13E, 15S)−16−(4−フルオロフェノキシ)−5,15−ジヒドロキシ−6−(メチルアミノ)−3−オキサ−7,9,11、13−ヘキサデカテトラエン酸;及び
(5S, 6R, 7E, 9E, 11Z, 13E, 15S)−16−(4−フルオロフェノキシ)−5,15−ジヒドロキシ−6−アミノ−3−オキサ−7,9,11、13−ヘキサデカテトラエン酸。
【0236】
例5
この例は、本発明の化合物又はその単一の立体異性体、立体異性体の混合物、立体異性体のラセミ混合物、又はそのシクロデキストリンクラスレート、又はその医薬的に許容できる塩を含む、経口投与のための代表的な医薬組成物の調製を示す。
A. 成分 %wt/wt
本発明の化合物 20.0%
ラクトース 79.5%
ステアリン酸マグネシウム 0.5%
【0237】
上記成分を、それぞれ100mgを含む、硬質シェルゼラチンカプセル中に混合し、そして分散し、1つのカプセルは、合計の毎日の投与量に近づける。
B. 成分 %wt/wt
本発明の化合物 20.0%
ステアリン酸マグネシウム 0.9%
澱粉 8.6%
ラクトース 69.6%
PVP(ポリビニルピロリジン) 0.9%
ステアリン酸マグネシウムを除く上記成分を組合せ、そして粒質化液体として水を用いて粒質化した。次に、その配合物を乾燥し、ステアリン酸マグネシウムと共に混合し、そして適切な錠剤化機械により錠剤に形成した。
【0238】
C. 成分
本発明の化合物 0.1g
プロピレングリコース 20.0g
ポリエチレングリコール460 20.0g
ポリソルベート80 1.0g
水 100ml(十分な量)
本発明の化合物を、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール400及びポリソルベート80に溶解した。次に、十分な量の水を、撹拌しながら添加し、100mlの溶液を得、これを濾過し、そしてビンに詰めた。
【0239】
D. 成分 %wt/wt
本発明の化合物 20.0%
ピーナツ油 78.0%
Span 602.0%
上記成分を溶融し、混合し、そして軟質弾性カプセル中に充填する。
E. 成分 %wt/wt
本発明の化合物 1.0%
メチル又はカルボキシメチルセルロース 2.0%
0.9%塩溶液 100ml(十分な量)
本発明の化合物を、セルロース/塩溶液に溶解し、濾過し、そして使用のためにビン詰めした。
【0240】
例6
この例は、本発明の化合物又はその単一の立体異性体、立体異性体の混合物、立体異性体のラセミ混合物、又はそのシクロデキストリンクラスレート、又はその医薬的に許容できる塩を含む、非経口投与のための代表的な医薬組成物の調製を示す。
成分
本発明の化合物 0.02g
プロピレングリコール 20.0g
ポリエチレングリコール400 20.0g
ポリソルベート80 1.0g
0.9%塩溶液 100ml(十分な量)
本発明の化合物を、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール400及びポリソルベート80に溶解する。次に、十分な量の0.9%塩溶液を、撹拌しながら添加し、I.V.溶液100mlを調製し、これを0.2μmの膜フィルターを通して濾過し、そして滅菌条件下でパッケージする。
【0241】
例7
この例は、本発明の化合物又はその単一の立体異性体、立体異性体の混合物、立体異性体のラセミ混合物、又はそのシクロデキストリンクラスレート、又はその医薬的に許容できる塩を含む、坐剤形での代表的な医薬組成物の調製を示す:
成分 %wt/wt
本発明の化合物 1.0%
ポリエチレングリコール1000 74.5%
ポリエチレングリコール4000 24.5%
前記成分を一緒に溶融し、そして蒸気槽上で混合し、そして合計2.5gの重量を含む鋳型中に注ぐ。
【0242】
例8
この例は、本発明の化合物又はその単一の立体異性体、立体異性体の混合物、立体異性体のラセミ混合物、又はそのシクロデキストリンクラスレート、又はその医薬的に許容できる塩を含む、吸入のための代表的な医薬組成物の調製を示す:
成分 %wt/wt
超微粉砕された本発明の化合物 1.0%
超微粉砕されたラクトース 99.0%
上記成分を、微粉砕し、混合し、そして供給ポンプを備えた吸入器にパッケージングする。
【0243】
例9
この例は、本発明の化合物又はその単一の立体異性体、立体異性体の混合物、立体異性体のラセミ混合物、又はそのシクロデキストリンクラスレート、又はその医薬的に許容できる塩を含む、噴霧化された形での代表的な医薬組成物の調製を示す:
成分 %wt/wt
本発明の化合物 0.005%
水 89.995%
エタノール 10.000%
本発明の化合物をエタノールに溶解し、そして水と共にブレンドする。次に、この配合物を、供給ポンプを備えたネブライザーにパッケージングする。
【0244】
例10
この例は、本発明の化合物又はその単一の立体異性体、立体異性体の混合物、立体異性体のラセミ混合物、又はそのシクロデキストリンクラスレート、又はその医薬的に許容できる塩を含む、エアロゾル形での代表的な医薬組成物の調製を示す:
成分 %wt/wt
本発明の化合物 0.10%
噴射剤 98.90%
オレイン酸 1.00%
本発明の化合物を、オレイン酸及び噴射剤において分散する。得られる混合物を、計量弁を備えたエアロゾル容器中に注ぐ。
【0245】
例11.(インビトロアッセイ)経内皮移動アッセイ
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の培養
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を、Serhan, C. N., など., Biochemistry (1995), Vol. 34, No. 44, pp. 14509-14615に開示される方法に従って培養した。特に、HUVECを、継代1及び2で使用し、そしてコラゲナーゼ消化(0.1%コラーゲナーゼ、CLS3;Worthington Biochem. Corp., Freehold, New JerseY)により単離し、そして15%ウシ血清(BCS)(Hyclone Laboratories, Logam, Utah), 15% NU−血清(Collaborative Research Inc., Lexington, Massachusetts), 50 μg/mlの内皮ミトゲン(Biomedical Technologies Inc., Stoughton, Massachusetts)、8単位/mlのヘパリン、50単位/mlのペニシリン及び50μg/mlのストレプトマイシンにより補充されたRPMI1640細胞培養培地(BioWhittaker Inc., Walkersville, Maryland)において、ゼラチン−被覆された(1%)組織培養プレート(Costar Corp., Cambridge, Massachusetts) 上で増殖した。移動アッセイのために、HUVECを接種し、そして0.33cm2の表面積を有する、ゼラチン−被覆された(1%)ポリカーボネート透過性支持体(挿入帯)(Costar Inc., Cambridge, MA)上で集密性まで増殖した。
【0246】
上皮細胞培養
TB4細胞を、ダルベッコ変性イーグル培地、及び15mMのHEPES緩衝液(pH7.5)、14mMのNaHCO3、40μg/mlのペニシリン、8μg/mlのアンピシリン、80μg/mlのストレプトマイシン、及び5%新生児ウシ血清により補充されたHams F-12培地の1:1混合物(Dharmasathaphornなど., 1990)において増殖した。先端から基底外部への移動実験のために、TB4単層を、Parkos, C.A., など., J. Chin. Invest. (1991), Vol. 88, pp. 1605-1612に記載のようにして、0.33cm2の表面積を有する、コラーゲン被覆されたポリカーボネート透過性支持体(挿入体)(Costar Inc., Cambridge, MA)上で増殖した。
【0247】
生理学的に指図された、基底外部から先端への好中球移動実験のために、TB4細胞を、Parkos, C. A., などに記載のようにして、ラット−尾コラーゲンによりわずかに被覆された、0.33cm2のポリカーボネートフィルターの下部上にプレートした。これは、逆にされた単層の増殖を可能にし、従って、重力によるすぐ上皮下区画中への好中球の沈着を可能にした。
【0248】
アッセイ
ヒト多形核白血病(PMN)を、正常ヒトボランティアから単離し、そしてCa2+及びMg2+を有さず、10mMのHepes(pH7.4)(Sigma)を含む変性ハンクス液(HBSS)において、5×107個の細胞/mlの濃度で懸濁した。PMNの添加の前、TB4上皮又はHUVEC内皮細胞単層を、HBSSにより集中的にすすぎ、残留血清成分を除去した。PMNを、本発明の化合物に、25℃で15分間、10-11〜10-7Mの範囲の濃度で予備−暴露した。移行アッセイを、化学誘発物質(10nMのfMLP)を反対(低部)のチャンバーに添加した後、上部チャンバーにおけるHBSS(Ca2+及びMg2+を含む、160μl)へのPMN(40μl)の添加により行われた。単層への添加の前、本発明の化合物を有さないPMNは、洗浄されなかった。
【0249】
PMN(1×106)を、時点0で添加した。移行を60分間、進行せしめた。すべての実験は、内皮/外皮単層、溶液、プラスチックウェル、等を、均等な37℃の温度の維持を確保するために、37℃の環境下で行われた。移行を、PMNアズール好性顆粒マーカーミエロペルオキシダーゼ(MPO)について分析することによって定量化した。個々の移行アッセイに従って、非付着性PMNを、単層の表面から集中的に洗浄し、そして標準曲線から推定されるPMN細胞同等物(PMN CE)を、単層を完全に横切った(すなわち、レザバー横中への単層を通して)PMNの数として評価した。
【0250】
本発明の化合物は、このアッセイにおいて試験される場合、宿主防御及び炎症における2種の重要な免疫現象の部位である、上皮細胞及び血管内皮細胞の極性化された単層を通してのPMNの移行を阻害する能力を示した。
【0251】
例12.走化性アッセイ(インビボアッセイ)
走化性実験を、健康なボランティアにより供与された完全な血液から得られた、新しく用意されたヒト好中球(PMN)に対して行った。血液を、抗凝固し(ヘパリン)、低速度で遠心分離し、そして血小板に富んでいる血漿を吸引に除去した。残る血液を、等体積のリン酸緩衝溶液(Ca2+/Mg2+を有さない;pH7.4)(PBS)と共に混合し、そして等体積のPBS中、3%デキストランを添加し、サンプルを混合し、そして沈殿せしめた。白血球細胞のために富化された上部層(約25ml)を、Ficoll−Hypaqueのクッション15mlに適用し、そして18〜22℃で、400gで30分間、遠心分離した。
【0252】
上部層を吸引し、そしてPMN細胞ペレットを、低張性赤血球細胞溶解にゆだねた。PMNを2度、洗浄し、そしてハンクス液(Ca2+/Mg2+を有さない;pH7.4)(HBSS)に、遠心分離管において1×107個の細胞/mlで再懸濁した。2.5μMのCalcein−AM(Molecular Probeカタログ番号C3100)を添加し、そして細胞を周囲温度で25分間インキュベートし、次に、37℃のインキュベーターに5分間、配置した。次に、細胞を遠心分離し、そしてHBSSにより2度、洗浄し、残留Calcein−AMを除去した。最終的に、好中球を、HBSS+10mMのHEPES(pH7.4)に、2×107/mlで再懸濁した。
【0253】
走化性アッセイを、特殊化された96−ウェルプレートにより行った。3μmのフィルターを、金属フレームに結合し、そして個々のウェルの周囲を疎水性マスクにより選択的に被覆した。この疎水性マスクは、フィルターの上部への細胞の直接的な付加を可能にした。好中球(15μl、1.5×105個の細胞/ウェル)を、ChemoTx(商標)プレート(カタログ番号101−3)の上部に付加した。阻害研究のために、PMNを、本発明の化合物と共に15分間、プレインキュベートした。上部チャンバーへのPMNの付加の前、30μlの化学誘発剤(10nMのfMLP)又は10nMのLTB4又はF−12培養培地(フェノールレッドを有さない)を、低部チャンバーに添加し、次にフィルターマットを特定の位置に適合し、そしてPNMを、8−チャネルピペットによりフィルターに添加した。
【0254】
アッセイプレートを、5%CO2+95%空気下で、37℃で90分間、インキュベートした。インキュベーションの後、フィルターマットを除去し、そしてプレートを、Victor IIプレートリーダー(485nm−励起/535nm−発光)において読み取った。低部チャンバー中にフィルターを通して移動した、蛍光標識された細胞を測定した。
このアッセイにおいて試験される場合、本発明の化合物は、ヒト好中球走化性を阻害する能力を示した。
【0255】
例13.マウスチモサン−誘発された腹膜炎モデル(インビボアッセイ)
次のアッセイを用いて、局在化された領域中への細胞浸潤により特徴づけられる炎症を阻害する本発明の化合物の能力を評価した。
【0256】
0.1%エタノール/PBSビークルにおける本発明の化合物を、Charles River Laboratoriesから購入された、生後6〜8週目のFVBマウス(平均21g)に、静脈内、皮下又は胃内供給を通して投与した。胃内研究のために、200μlの個々の化合物濃縮物を、動物飼育用針を用いて供給した。約45分後、1ml(1mg/ml)のチモサンAを、腹膜中に注入した。腹膜内注射の2.5時間後、マウスを、過剰用量のイソフルランにより安楽死せしめ、そしてCa2+及びMg2+を含むPBS5mlによる腹膜洗浄を集めた。全白血球を光顕微鏡により数え、そしてビークル対照に対する%阻害率を計算する。
【0257】
好中球、好酸球、単球及びリンパ球に対する示差的阻害効果のための、約250,000個の細胞を、ガラススライドに移し、そして0.4%Wright Giemsa Stainにより染色し、顕微鏡(40倍)下で計数することによって区別し、そしてビークル対照に対する%阻害を計算した。
このアッセイにおいて試験される場合、本発明の化合物は、腹膜中への炎症細胞(すなわち、好中球、単球及びリンパ球)の移動を阻害する能力を示した。従って、本発明の化合物は、インビボモデルにおける炎症障害の処理において有用であることが示された。
【0258】
例14.インビボアッセイ
次のアッセイを、Campbell, E. M., など., J. Immunol. (1998), Vol. 161, No. 12, p.7047-7053に記載されるアッセイに類似する態様で行うことができる。
【0259】
このアッセイは、不完全フロントアジュバント中、可溶性ゴキブリ抗原により腹腔内感作されたCBA/Jマウスを用いる。このアッセイは、個々のグループ/時点、例えば対照についてのグループにおいて6〜8匹の動物を用いる。14日後、マウスを、鼻腔内投与により、可溶性ゴキブリ抗原により再び感作し、続いて3〜5日後、ゴキブリ抗原の気管内注射により感作する。マウスは、48時間後、第2の気管内攻撃を与えられる。最終攻撃の前、アレルギー性マウスは、3用量のうち1つの用量の本発明の化合物を受ける。8及び24時間の後−攻撃の後、マウスを、気道過剰反応について試験し、そして白血球サブタイプの蓄積を、気管支肺胞洗浄(BAL)及び組織学的切片においてモニターする。
【0260】
第2攻撃は、気道内及びその周囲に見出される相当量の炎症、例えば好酸球が存在する時点で与えられる。このシナリオは、慢性喘息において生じることの代表である。この慢性段階応答は、さらにより厳密であり、そして有意に高レベルの白血球浸潤及び好酸球の数及び活性化の相乗的上昇を有する。この炎症は、Th2型免疫応答に依存する。この分析は、本発明の化合物がその応答、すなわち白血球移動及び臨床学的に適切な気道生理学を弱めるかどうかの同定を可能にする。
【0261】
上記分析の他に、研究のために集められた種々のサンプル、例えばBAL流体及び肺組織についてのさらなる分析が、本発明の化合物が応答を弱める態様を決定するために行われ得る。特に、BAL流体及び肺組織ホモジネートにおけるサイトカイン(IL-4, IL-5, IL-10, IL-13, IL-18, TNF, IFN, 等)レベル、及びヒスタミン及び好酸球ペルオキシダーゼレベルが分析され得る(Wn, W., など., Journal of Clinical Investigation (2000), Vol. 105, pp. 1455-1463を参照のこと)。
【0262】
動物
雌C57/BL6マウスを、The Jackson Laboratory, (Bar Harbor, ME) 又は Charles River Breeding Laboratories (Wilmington, MA)から購入し、そして標準の病原体フリーの条件下で維持した。すべての材料は、特にことわらない限り、Sigma Chemical Company (St. Louis, MO)から得られた。
【0263】
気道応答の感作及び誘発
正常なC57/BL6マウスを、IFA中、10μgのゴキブリアレルゲン(Bayer)により、0日で免疫化した。肺に対する応答を局在化するために、マウスは、14日目、10μlの希釈剤中、10μgのゴキブリアレルゲンの鼻腔内投与を与えられた。この初期鼻腔内アレルゲンは、組織学的試験に基づいて、マウスの肺中への細胞湿潤をほとんど誘発しなかった。次に、マウスを、6日後、50μlの無菌PBS中、10μgのゴキブリアレルゲン、又はPBSのみ(ビークル)の気管内投与により攻撃した(この後、一次攻撃応答として言及される)。ビークル対照及びゴキブリアレルゲン−攻撃されたマウスの両者における白血球レクルートメントの大きさを、組織学的に試験した。ゴキブリアレルゲン−攻撃されたマウスのみが、単核細胞及び好酸球浸潤を包含する有意な炎症応答を示した。
【0264】
いくつかのマウスは、ゴキブリアレルゲン(50μl中、10μg)又は希釈対照のいずれかの第2の気管内注入を与えられ、そして続いて、分析された(二次攻撃応答)。別の研究において、ゴキブリアレルゲン−誘発された応答に対応する抗−ネズミMIP−1α及び抗−ネズミエオタキシンポリクローナル抗体の効果を、個々のアレルゲン攻撃の1時間前、i.p. 用量の抗体(0.5ml、106/mlの力価)を、感作されたマウスに与えることによって評価した。正常なウサギ血清(NRS)を対照として使用した。ポリクローナル抗体は、インビトロで、ネズミ好酸球の化学誘発物質を阻止することがこれまで示されている。
【0265】
気道過剰活性の測定
気道過剰活性を、Lukacs, N. W., など., J. Immunol. (1992), Vol. 13, pp. 501にこれまで記載のようにして、低換気体積(Buxco)のために特別に企画されたBuxcoマウスプレチスモグラフを用いて測定した。手短には、試験されるべきマウスを、ナトリウムペントバービタールにより麻酔し、そして18ケージの金属管による気管のカニューレ挿入を通してインキュベートした。続いて、マウスを、Harvardポンプ換気機により換気し(換気体積=0.4ml、頻度=120呼吸/分、正の最終呼気圧=2.5〜3.0cm H2O)、そして尾静脈を、メタコリン攻撃の注入のために27ゲージ針によりカニューレ挿入した。
【0266】
プレチスモグラフを密封し、そして読み取りをコンピューターによりモニターした。ボックスは密封されたシステムであるので、肺体積の変化は、示差変換器により測定される、ボックス圧力(Pbox)の変化により表された。そのシステムは、2mlの既知体積を供給する注射器により検量された。第2変換器を用いて、身体ボックスを言及する、気管の開放での圧力スパン(Paw)(すなわち、胸膜圧)を測定し、そして経肺圧力(Ptp=Paw−Pbox)の測定を提供した。気管変換器は、20cmのH2Oの定圧で検量された。
【0267】
耐性は、吸入体積の百分率に基づいて、体積曲線からの2つの時点で、流れ(F)の変化により圧力(Ptp)の変化を割り算することによって計算された(δPtp/δF;単位=cm H2O/ml/s)。マウスがボックスに取り付けられると、それは、読み取りを受ける前、5分間、換気された。基線レベルが安定化され、そして初期読み取りが取られると、メタコリン攻撃が、カニューレ挿入された尾静脈を通して与えられた。用量−応答曲線(0.001〜0.5mg)を決定した後、この研究における実験の残りを通して使用される最適用量を選択した(0.1mgのメタコリン)。メタコリン攻撃の後、応答をモニターし、そしてピーク気道耐性を、気道過剰活性の測定として記録した。
【0268】
本発明の化合物は、上記アッセイにおいて試験される場合、喘息についての動物モデルにおいて気道体制を低める能力を示した。
本発明は、その特定の態様により記載されてきたが、種々の変更が本発明の範囲内で行なわれ得ることは、当業者により理解されるべきである。さらに、多くの修飾が、特定の情況、材料、組成物、方法、工程段階、目的物、本発明の範囲を適合するために行なわれ得る。すべてのそのような修飾は、本発明の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)又は(II):
【化1】

[式中、個々のR1, R2及びR3は、独立して、ハロ, -OR6, -SR6, -S(O)tR7 (ここで、tは1又は2である)、又は-N(R7)R8であり;あるいは
R1及びR2は、それらが結合される炭素原子と共に、下記式:
【化2】

から選択された単環式の複素環式構造体を形成し;あるいは
R1及びR2は、それらが結合される炭素原子と共に、下記式:
【化3】

(式中、qは0〜3であり、pは1〜4であり、そして個々のR15は水素、アルキル、アラルキル又はアリールである)で表される二環式の複素環式構造体を形成し;
個々のR4は、-R9-R12, -R9-R13-R11, -R9-O-R10-R11, -R9-O-R12, - R9-C(O)-R10-R11, -R9-N(R7)-R10-R11, -R9-S(O)t-R10-R11 (ここで、tは0〜2である), 又は- R9-C(F)2-R9-R11であり;
個々のR5は、アリール(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
個々のR6は、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、-C(O)R7,- C(S)R7,-C (O)OR14, -C(S)OR14, -C(O)N(R7)R8, 又は-C(S)N(R7)R8であり;
個々のR7は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルであり;
R8は、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、-C(O)R7, -C(O)OR14, 又はシクロアルキル(任意には、アルキル、-N(R7)2及び-C(O)OR7から成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
個々のR9は、独立し、直接結合、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖であり;
個々のR10は、独立して、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキニレン鎖、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のシクロアルキレンであり;
個々のR11は、独立して、-C(O)OR7, -C(O)N(R7)2, -P(O)(OR7)2, - S (O)2OR7, -S(O)2N(H) R7、又はテトラゾールであり;
R12は、アリール(-C(O)OR7 又は-C(O)N(R7)2により置換され、そして任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(-C(O)OR7 又は-C(O)N(R7)2により置換され、そして任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
R13は、枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖又はシクロアルキレンであり;そして
R14は、アルキル、アリール又はアラルキルである]
で表される化合物、その単一の立体異性体、立体異性体の混合物、立体異性体のラセミ混合物、又はそのシクロデキストリンクラスレート、又はその医薬的に許容できる塩。
【請求項2】
下記式(I):
【化4】

[式中、R1, R2及びR3はそれぞれ独立して、ハロ、-OR6, -SR6又は-N(R7)R8であり;
個々のR4は、-R9-R12, -R9-R13-R11, -R9-O-R10-R11, -R9-O-R12, - R9-C(O)-R10-R11, -R9-N(R7)-R10-R11, -R9-S(O)t-R10-R11 (ここで、tは0〜2である), 又は- R9-C(F)2-R9-R11であり;
R5は、アリール(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
個々のR6は、独立して、水素、アルキル、アラルキル、-C(O)R7又は-C(O)OR7であり;
個々のR7は、独立して、水素、アルキル、アリール又はアラルキルであり;
R8は、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、又はシクロアルキル(任意には、アルキル、-N(R7)2及び-C(O)OR7から成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
個々のR9は、独立し、直接結合、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖であり;
個々のR10は、独立して、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキニレン鎖、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のシクロアルキレンであり;
個々のR11は、独立して、-C(O)OR7又は-C(O)N(R7)2であり;
R12は、アリール(-C(O)OR7 又は-C(O)N(R7)2により置換され、そして任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(-C(O)OR7 又は-C(O)N(R7)2により置換され、そして任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
R13は、枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖又はシクロアルキレンである]
から選択された請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1, R2及びR3はそれぞれ独立して、ハロ、-OR6, 又は-SR6であり;
R4は、-R9-O-R10-R11であり;
R5は、アリール(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
個々のR6は、独立して、水素、アルキル、アリール又はアラルキルであり;
個々のR7は、独立して、水素、アルキル、アリール又はアラルキルであり;
R9は、直接結合、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖であり;
R10は、独立して、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキニレン鎖、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のシクロアルキレンであり;そして
R11は、-C(O)OR7又は-C(O)N(R7)2である請求項2記載の化合物。
【請求項4】
R1, R2及びR3はそれぞれ-OR6であり;
R4は、-R9-O-R10-R11であり;
R5は、アリール(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
R6は、水素、アルキル、アリール、又はアラルキルであり;
個々のR7は、独立して、水素、アルキル、アリール又はアラルキルであり;
R9は、直接結合であり;
R10は、独立して、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキニレン鎖であり;そして
R11は、-C(O)OR7又は-C(O)N(R7)2である請求項3記載の化合物。
【請求項5】
(5S, 6R, 7E, 9E, 11Z, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15−トリヒドロキシ−3−オキサ−7, 9, 11, 13−ヘキサデカテトラエン酸、メチルエステル;及び
(5S, 6R, 7E, 9E, 11Z, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15−トリヒドロキシ−3−オキサ−7, 9, 11, 13−ヘキサデカテトラエン酸から成る群から選択された請求項4記載の化合物。
【請求項6】
下記式(II):
【化5】

[式中、R1, R2及びR3はそれぞれ独立して、ハロ、-OR6, -SR6又は-N(R7)R8であり;
個々のR4は、-R9-R12, -R9-R13-R11, -R9-O-R10-R11, -R9-O-R12, - R9-C(O)-R10-R11, -R9-N(R7)-R10-R11, -R9-S(O)t-R10-R11 (ここで、tは0〜2である), 又は- R9-C(F)2-R9-R11であり;
R5は、アリール(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
個々のR6は、独立して、水素、アルキル、アラルキル、-C(O)R7又は-C(O)OR7であり;
個々のR7は、独立して、水素、アルキル、アリール又はアラルキルであり;
R8は、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、又はシクロアルキル(任意には、アルキル、-N(R7)2及び-C(O)OR7から成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
個々のR9は、独立し、直接結合、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖であり;
個々のR10は、独立して、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキニレン鎖、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のシクロアルキレンであり;
個々のR11は、独立して、-C(O)OR7又は-C(O)N(R7)2であり;
R12は、アリール(-C(O)OR7 又は-C(O)N(R7)2により置換され、そして任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(-C(O)OR7 又は-C(O)N(R7)2により置換され、そして任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
R13は、枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖又はシクロアルキレンである]
から選択された請求項1記載の化合物。
【請求項7】
R1, R2及びR3はそれぞれ独立して、ハロ、-OR6, 又は-SR6であり;
R4は、-R9-O-R10-R11であり;
R5は、アリール(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
個々のR6は、独立して、水素、アルキル、アリール又はアラルキルであり;
個々のR7は、独立して、水素、アルキル、アリール又はアラルキルであり;
R9は、直接結合であり;
R10は、独立して、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキニレン鎖であり;そして
R11は、-C(O)OR7又は-C(O)N(R7)2である請求項6記載の化合物。
【請求項8】
R1, R2及びR3はそれぞれ-OR6であり;
R4は、-R9-O-R10-R11であり;
R5は、アリール(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
R6は、水素、アルキル、アリール又はアラルキルであり;
個々のR7は、独立して、水素、アルキル、アリール又はアラルキルであり;
R9は、直接結合であり;
R10は、独立して、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキニレン鎖であり;そして
R11は、-C(O)OR7又は-C(O)N(R7)2である請求項7記載の化合物。
【請求項9】
(5S, 6R, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15− トリヒドロキシ−3− オキサヘキサデカ−7, 9, 13−トリエン−11−イン酸、メチルエステル;
(5S, 6R, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15− トリヒドロキシ−3− オキサヘキサデカ−7, 9, 13−トリエン−11−イン酸;
(5S, 6S, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15−トリヒドロキシ−3−オキサヘキサデカ−7, 9, 13−トリエン−11−イン酸、メチルエステル;及び
(5S, 6S, 7E, 9E, 13E, 15S)−16−(4-フルオロフェノキシ)−5, 6, 15−トリヒドロキシ−3−オキサヘキサデカ−7, 9, 13−トリエン−11−イン酸から成る群から選択される請求項8記載の化合物。
【請求項10】
哺乳類における炎症又は自己免疫疾患の処理において有用な医薬組成物であって、1又は複数の医薬的に許容できる賦形剤、及び治療的有効量の下記式(I)又は(II):
【化6】

[式中、個々のR1, R2及びR3は、独立して、ハロ, -OR6, -SR6, -S(O)tR7 (ここで、tは1又は2である)、又は-N(R7)R8であり;あるいは
R1及びR2は、それらが結合される炭素原子と共に、下記式:
【化7】

から選択された単環式の複素環式構造体を形成し;あるいは
R1及びR2は、それらが結合される炭素原子と共に、下記式:
【化8】

(式中、qは0〜3であり、pは1〜4であり、そして個々のR15は水素、アルキル、アラルキル又はアリールである)で表される二環式の複素環式構造体を形成し;
個々のR4は、-R9-R12, -R9-R13-R11, -R9-O-R10-R11, -R9-O-R12, - R9-C(O)-R10-R11, -R9-N(R7)-R10-R11, -R9-S(O)t-R10-R11 (ここで、tは0〜2である), 又は- R9-C(F)2-R9-R11であり;
個々のR5は、アリール(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
個々のR6は、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、-C(O)R7,- C(S)R7,-C (O)OR14, -C(S)OR14, -C(O)N(R7)R8, 又は-C(S)N(R7)R8であり;
個々のR7は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルであり;
R8は、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、-C(O)R7, -C(O)OR14, 又はシクロアルキル(任意には、アルキル、-N(R7)2及び-C(O)OR7から成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
個々のR9は、独立し、直接結合、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖であり;
個々のR10は、独立して、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキニレン鎖、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のシクロアルキレンであり;
個々のR11は、独立して、-C(O)OR7, -C(O)N(R7)2, -P(O)(OR7)2, - S (O)2OR7, -S(O)2N(H) R7、又はテトラゾールであり;
R12は、アリール(-C(O)OR7 又は-C(O)N(R7)2により置換され、そして任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(-C(O)OR7 又は-C(O)N(R7)2により置換され、そして任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
R13は、枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖又はシクロアルキレンであり;そして
R14は、アルキル、アリール又はアラルキルである]
で表される化合物、その単一の立体異性体、立体異性体の混合物、立体異性体のラセミ混合物、又はそのシクロデキストリンクラスレート、又はその医薬的に許容できる塩を含んで成る医薬組成物。
【請求項11】
前記哺乳類がヒトである請求項10記載の医薬組成物。
【請求項12】
哺乳類における肺又は呼吸気管炎症の処理において有用な医薬組成物であって、1又は複数の医薬的に許容できる賦形剤、及び治療的有効量の下記式(I)又は(II):
【化9】

[式中、個々のR1, R2及びR3は、独立して、ハロ, -OR6, -SR6, -S(O)tR7 (ここで、tは1又は2である)、又は-N(R7)R8であり;あるいは
R1及びR2は、それらが結合される炭素原子と共に、下記式:
【化10】

から選択された単環式の複素環式構造体を形成し;あるいは
R1及びR2は、それらが結合される炭素原子と共に、下記式:
【化11】

(式中、qは0〜3であり、pは1〜4であり、そして個々のR15は水素、アルキル、アラルキル又はアリールである)で表される二環式の複素環式構造体を形成し;
個々のR4は、-R9-R12, -R9-R13-R11, -R9-O-R10-R11, -R9-O-R12, - R9-C(O)-R10-R11, -R9-N(R7)-R10-R11, -R9-S(O)t-R10-R11 (ここで、tは0〜2である), 又は- R9-C(F)2-R9-R11であり;
個々のR5は、アリール(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
個々のR6は、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、-C(O)R7,- C(S)R7,-C (O)OR14, -C(S)OR14, -C(O)N(R7)R8, 又は-C(S)N(R7)R8であり;
個々のR7は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルであり;
R8は、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、-C(O)R7, -C(O)OR14, 又はシクロアルキル(任意には、アルキル、-N(R7)2及び-C(O)OR7から成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
個々のR9は、独立し、直接結合、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖であり;
個々のR10は、独立して、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキニレン鎖、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のシクロアルキレンであり;
個々のR11は、独立して、-C(O)OR7, -C(O)N(R7)2, -P(O)(OR7)2, - S (O)2OR7, -S(O)2N(H) R7、又はテトラゾールであり;
R12は、アリール(-C(O)OR7 又は-C(O)N(R7)2により置換され、そして任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(-C(O)OR7 又は-C(O)N(R7)2により置換され、そして任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
R13は、枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖又はシクロアルキレンであり;そして
R14は、アルキル、アリール又はアラルキルである]
で表される化合物、その単一の立体異性体、立体異性体の混合物、立体異性体のラセミ混合物、又はそのシクロデキストリンクラスレート、又はその医薬的に許容できる塩を含んで成る医薬組成物。
【請求項13】
前記哺乳類がヒトである請求項12記載の医薬組成物。
【請求項14】
哺乳類における炎症又は自己免疫疾患の処理方法であって、治療的有効量の下記式(I)又は(II):
【化12】

[式中、個々のR1, R2及びR3は、独立して、ハロ, -OR6, -SR6, -S(O)tR7 (ここで、tは1又は2である)、又は-N(R7)R8であり;あるいは
R1及びR2は、それらが結合される炭素原子と共に、下記式:
【化13】

から選択された単環式の複素環式構造体を形成し;あるいは
R1及びR2は、それらが結合される炭素原子と共に、下記式:
【化14】

(式中、qは0〜3であり、pは1〜4であり、そして個々のR15は水素、アルキル、アラルキル又はアリールである)で表される二環式の複素環式構造体を形成し;
個々のR4は、-R9-R12, -R9-R13-R11, -R9-O-R10-R11, -R9-O-R12, - R9-C(O)-R10-R11, -R9-N(R7)-R10-R11, -R9-S(O)t-R10-R11 (ここで、tは0〜2である), 又は- R9-C(F)2-R9-R11であり;
個々のR5は、アリール(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
個々のR6は、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、-C(O)R7,- C(S)R7,-C (O)OR14, -C(S)OR14, -C(O)N(R7)R8, 又は-C(S)N(R7)R8であり;
個々のR7は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルであり;
R8は、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、-C(O)R7, -C(O)OR14, 又はシクロアルキル(任意には、アルキル、-N(R7)2及び-C(O)OR7から成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
個々のR9は、独立し、直接結合、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖であり;
個々のR10は、独立して、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキニレン鎖、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のシクロアルキレンであり;
個々のR11は、独立して、-C(O)OR7, -C(O)N(R7)2, -P(O)(OR7)2, - S (O)2OR7, -S(O)2N(H) R7、又はテトラゾールであり;
R12は、アリール(-C(O)OR7 又は-C(O)N(R7)2により置換され、そして任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(-C(O)OR7 又は-C(O)N(R7)2により置換され、そして任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
R13は、枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖又はシクロアルキレンであり;そして
R14は、アルキル、アリール又はアラルキルである]
で表される化合物、その単一の立体異性体、立体異性体の混合物、立体異性体のラセミ混合物、又はそのシクロデキストリンクラスレート、又はその医薬的に許容できる塩を、その必要な前記哺乳類に投与することを含んで成る方法。
【請求項15】
前記哺乳類がヒトである請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記炎または自己免疫疾患が、以下:
アレルギー接触性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、化学的及び非−特異的刺激性接触皮膚炎、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、乾癬、急性心筋虚血及び梗塞、急性出血促進性又は虚血性卒中、多発性硬化症、リウマチ様関節炎、変形性関節症及び全身性エリテマトーデス、急性及び慢性移植臓器拒絶、移植性動脈硬化及び線維症、高血圧症; アテローム性動脈硬化、心室瘤、決定的な脚の虚血症、辺縁動脈閉塞性疾患、レーノーの症候群、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、及び糖尿病性網膜症、卒中における神経変性、アルツハイマー病、パーキンソン病、良性前立腺肥大、白血病、リンパ種、前立腺癌、乳癌、肺癌、悪性黒色腫、腎癌、頭頚部腫瘍、及び結直腸癌から成る群から選択される請求項15記載の方法。
【請求項17】
哺乳類における肺又は呼吸気管炎症の処理方法であって、治療的有効量の下記式(I)又は(II):
【化15】

[式中、個々のR1, R2及びR3は、独立して、ハロ, -OR6, -SR6, -S(O)tR7 (ここで、tは1又は2である)、又は-N(R7)R8であり;あるいは
R1及びR2は、それらが結合される炭素原子と共に、下記式:
【化16】

から選択された単環式の複素環式構造体を形成し;あるいは
R1及びR2は、それらが結合される炭素原子と共に、下記式:
【化17】

(式中、qは0〜3であり、pは1〜4であり、そして個々のR15は水素、アルキル、アラルキル又はアリールである)で表される二環式の複素環式構造体を形成し;
個々のR4は、-R9-R12, -R9-R13-R11, -R9-O-R10-R11, -R9-O-R12, - R9-C(O)-R10-R11, -R9-N(R7)-R10-R11, -R9-S(O)t-R10-R11 (ここで、tは0〜2である), 又は- R9-C(F)2-R9-R11であり;
個々のR5は、アリール(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
個々のR6は、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、-C(O)R7,- C(S)R7,-C (O)OR14, -C(S)OR14, -C(O)N(R7)R8, 又は-C(S)N(R7)R8であり;
個々のR7は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルであり;
R8は、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、-C(O)R7, -C(O)OR14, 又はシクロアルキル(任意には、アルキル、-N(R7)2及び-C(O)OR7から成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
個々のR9は、独立し、直接結合、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖であり;
個々のR10は、独立して、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルキニレン鎖、又は直鎖もしくは枝分かれ鎖のシクロアルキレンであり;
個々のR11は、独立して、-C(O)OR7, -C(O)N(R7)2, -P(O)(OR7)2, - S (O)2OR7, -S(O)2N(H) R7、又はテトラゾールであり;
R12は、アリール(-C(O)OR7 又は-C(O)N(R7)2により置換され、そして任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)、又はアラルキル(-C(O)OR7 又は-C(O)N(R7)2により置換され、そして任意には、アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル及びハロアルコキシから成る群から選択された1又は複数の置換基により置換されていてもよい)であり;
R13は、枝分かれ鎖のアルキレン鎖、直鎖もしくは枝分かれ鎖のアルケニレン鎖又はシクロアルキレンであり;そして
R14は、アルキル、アリール又はアラルキルである]
で表される化合物、その単一の立体異性体、立体異性体の混合物、立体異性体のラセミ混合物、又はそのシクロデキストリンクラスレート、又はその医薬的に許容できる塩を、その必要な前記哺乳類に投与することを含んで成る方法。
【請求項18】
前記哺乳類がヒトである請求項17記載の方法。

【公開番号】特開2012−214479(P2012−214479A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−125762(P2012−125762)
【出願日】平成24年6月1日(2012.6.1)
【分割の表示】特願2009−35743(P2009−35743)の分割
【原出願日】平成14年11月5日(2002.11.5)
【出願人】(300049958)バイエル ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】