説明

リポソームアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドによるBcl−2タンパク質発現の阻害

【課題】ガンのようなBcl-2関連疾患の処置に、詳細には、嚢胞性リンパ腫(FL)の処置における使用のための新規組成物および方法を提供すること。リポソームアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドによるBcl-2タンパク質発現を阻害すること。
【解決手段】細胞内条件下で第2のBcl−2をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする第1のポリヌクレオチド、および該第1のポリヌクレオチドと会合される中性脂質を含む、組成物であって、ここで該組成物がカチオン性脂質を含まない、組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
A.発明の分野
本発明は、ガン治療、特に、Bcl−2疾患の処置の分野に関する。より詳細には、これらの処置は、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドおよびそのリポソーム処方物の使用を包含する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
B.関連技術
Bcl−2は、白血病およびリンパ腫の両方の血液学的悪性疾患(嚢胞性および非嚢胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、および形質細胞異形成を含む)(Camposら,Blood, 84:595,1994);固体腫瘍(例えば、乳ガン、前立腺ガン、および結腸ガンと関連する腫瘍);ならびに免疫障害のような種々の疾患に関連している。1つの特定のBcl−2関連疾患は、嚢胞性非ホジキンリンパ腫(FL)である。FLは、ヨーロッパおよび米国で最も一般的なリンパ様悪性疾患である。代表的には、小さな休止B細胞の蓄積からなる無痛性の低級疾患(low grade disease)である。化学療法に対する応答は最初は良好であるが、再発は、より攻撃的な組織学的タイプへの形質転換および薬物耐性の発生のため避けられない(Aisenberg,J.Clin.Oncol.,13:2656,1995;Johnsonら,J.Clin.Oncol.,13:140,1995)。90%以上のFL患者では、染色体18q21からのbcl−2遺伝子の、染色体14q323における免疫グロブリンH鎖遺伝子座との並列を生じる、t(14;18)転座が見られる(Tsujimotoら,Science,229:1390,1985;Graningerら,J.Clin.Invest.,80:1512,1987)。結果として、bcl−2遺伝子は免疫グロブリンH鎖エンハンサーの影響下にあり、そしてBcl−2タンパク質は過剰発現される(Bakhshiら,Cell,41:899,1985;Tsujimotoら,Oncogene,2:3,1987)。Bcl−2腫瘍形成可能性は、生理学的死応答を妨害する能力に関連し、それによって細胞の寿命を増やす(Nunezら,J.Immunol.,144:3602,1990)。Bcl−2タンパク質は、増殖因子欠損、放射、熱ショック、ウイルス、およびほとんどの化学療法剤のようなアポトーシス刺激をブロックする(Reed,Hematol.Oncol.Clin.North Am.,9:451,1995;Hockenberyら,Nature,348:334,1990)。bcl−2−Ig−トランスジェニックマウスでは、成熟Bリンパ球の拡張からなるポリクローナル嚢胞性リンパ増殖が、最初に観察される(McDonnellら,Cell,57:79,1989)。次に、モノクローナルの高程度の巨大免疫芽細胞タイプリンパ腫は、C−MYCの再編成を提示するその50%が発生する。これは、第2の遺伝子改変が、悪性リンパ腫の発生および進行に必要であることを示唆する(McDonnellおよびKorsmeyer,Nature,349:254,1991)。
【0003】
近年、Bcl−2関連タンパク質の拡張したファミリーが同定された。これには、Bax、Bcl−X、Bcl−X、Bad、Bak、Mcl−1、A−1、およびDNAウイルス中のいくつかのオープンリーディングフレームが挙げられる(Oltvaiら,Cell,74:609,1993;Boiseら,Cell,74:597,1993;Yangら,Cell,80:285,1995;Chittendenら,Nature,374:733,1995;Kieferら,Nature,374:736,1995;Kozopasら,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,90:3516,1993;Linら,J.Immunol.,151:1979,1993;Pearsonら,Virology,160:151,1987;Neilanら,J.Virol.,67:4391,1993)。タンパク質のBcl−2ファミリーにおけるメンバーシップは、主として、メンバー間のダイマー化を調節することを助けるBH1およびBH2ドメイン内の相同性によって定義される(Satoら,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,91:9238,1994)。Bcl−2と21%アミノ酸同一性を共有するBaxは、Bcl−2タンパク質に結合し、そして細胞死をブロックする能力を中和し得る。したがって、Bcl−2対Baxの比は、アポトーシス刺激後の細胞の死への感受性を決定すると考えられる(Oltvaiら,1993;Yinら,Nature,369:321,1994)。
【0004】
Bcl−2 mRNAの翻訳開始部位の特異的配列に相補的なホスホジエステルアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドは、Bcl−2タンパク質の産生およびt(14;18)転座保有細胞の増殖を阻害し得る(Kitadaら,AntisenseRes.Dev.,3:157,1993)。しかし、アンチセンスオリゴヌクレオチドの治療的使用は、その低い細胞取り込みならびにヌクレアーゼおよび他の血清または細胞成分によるその迅速な分解によって妨げられている。ヌクレアーゼ分解に耐性であるホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、ホスホジエステルオリゴヌクレオチドよりも10倍低い濃度でFL細胞増殖を阻害することが見いだされた(Reedら,Cancer Research,50:6565,1990a;Cotterら,Oncogene,9:3049,1994)。しかし、このアプローチは、オリゴヌクレオチドの低い細胞取り込みを被る。例えば、Reedらは、697およびSu−Dhl−4細胞のようなB細胞リンパ腫に由来する細胞株の50%増殖阻害を達成するために、ホスホロチオエートの25μM以上の濃度を使用しなければならなかった。リポソーム組込みは、オリゴヌクレオチドの白血病細胞への取り込みを増強させた(Akhtarら,Nucleic Acids Res.,19:5551,1991;Tariら,Blood,84:601,1994)。ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドを送達するためのReedらによるカチオン性脂質の使用は、0.075〜0.3μMにオリゴヌクレオチド濃度を低下させ、そしてさらにSu−Dhl−4細胞における増殖阻害を誘導することを可能にした。
【0005】
しかし、まだ、嚢胞性および非嚢胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、および形質細胞異形成を含む、白血病およびリンパ腫の両方の血液学的悪性疾患;固体腫瘍(例えば、乳ガン、前立腺ガン、および結腸ガンに関連する腫瘍);ならびに免疫障害のようなBcl−2関連疾患の処置のための方法および組成物の大きな必要性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
本発明は、患者の細胞において特定の核酸を標的するために新規アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して、嚢胞性および非嚢胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、および形質細胞異形成を含む、白血病およびリンパ腫の両方の血液学的悪性疾患;固体腫瘍(例えば、乳ガン、前立腺ガン、および結腸ガンに関連する腫瘍);ならびに免疫障害のようなBcl−2関連疾患の処置のための改良された組成物および方法を提供することによって、先行技術の欠点を克服するように設計される。
【0007】
したがって、1つの実施態様では、細胞内条件下でBcl−2をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む組成物が提供される。本明細書で定義されるような細胞内条件には、約160mMの濃度の一価カチオン(10mM Na;150mM K)および約20mMの二価カチオンの濃度(18mM Mg++;2mM Ca++)を含む。細胞内条件はまた、ハイブリダイゼーションの容量を減少させ、したがって核酸種の有効濃度を上昇させるために役立つ、約150mg/mlのタンパク質濃度を含み得る。
【0008】
本発明のポリヌクレオチドは、約8〜50塩基の長さを有するオリゴヌクレオチドであり得る。ポリヌクレオチドは、天然で見られるようなホスホジエステルポリヌクレオチドであり得るか、あるいは好ましくは、誘導体化されたポリヌクレオチドまたはさらにポリヌクレオチドアナログであり得る。例示的ポリマーは、p−エトキシまたはメチルホスホネートポリヌクレオチドである。使用され得る他のアナログとしては、C−5プロピンピリミジンポリヌクレオチド(Wagnerら,Science,260:1510−1513,1993)、あるいは米国特許第5,138,045号またはヨーロッパ特許出願EP 431,523に記載されるようなポリヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない(それぞれ参考として本明細書に援用される)。好ましいアナログは、ヌクレアーゼ耐性であり、高い融点を有し、(RNAに堅く結合し、)そして特定の実施態様では、好ましいポリヌクレオチドは、リポソームのような脂質組成物とのより効率的な会合に対して疎水性である。
【0009】
さらなる実施態様では、ポリヌクレオチドは、bcl−2 mRNAに、および好ましくはBcl−2 mRNAの翻訳開始部位にハイブリダイズする。しかし、本発明のアンチセンス分子が、Bcl−2タンパク質の発現をダウンレギュレートするために有効なbcl−2転写物の任意の領域にハイブリダイズし得ることが理解される。第1のオープンリーディングフレームを標的することに特定の利点があり、そして上述のように、転写開始部位が特に好ましい。ある特定の実施態様では、ポリヌクレオチドは、配列5’CAGCGTGCGCCATCCTTC3’(配列番号1)を有するオリゴヌクレオチドであり得る。
【0010】
本発明のポリヌクレオチド調製物は、好ましくは、脂質と会合される。脂質と会合したポリヌクレオチドは、リポソームの水性内部にカプセル化され、リポソームの脂質二重層内に散在され、リポソームおよびポリヌクレオチドの両方と会合される連結分子を介してリポソームに付着され、脂質と複合体化され、脂質を含む溶液中に分散され、脂質と混合され、脂質と合わされ、脂質中で懸濁液として含まれ、ミセルとともに含まれもしくは複合体化されるか、あるいは他の様式で脂質と会合されると記載される。
【0011】
本明細書および請求の範囲で使用される場合、用語「脂質」とは、天然に存在するおよび合成の脂質またはリポソームの両方のいずれかの形態をいう。脂質は脂肪物質であり、そして当業者に周知である。本発明の脂質は、溶液中の任意の特定の構造に限定されない。例えば、これらは、ミセルのような二重層構造で、または「折り畳まれた(collapsed)」構造を有して存在し得る。これらはまた、単に溶液中で散在され得、おそらくサイズまたは形状のいずれかにおいて均一でない凝集物を形成する。脂質は、好ましくは、正味の電荷で中性であり、そして有利には、脂質ジオレオイルホスファチジルコリンから構成され得るが、他のホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、およびホスファチジルエタノールアミンのような他の脂質も用いられ得る。
【0012】
さらに他の実施態様では、Bcl−2をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む組成物が提供される。
【0013】
なおさらに別の実施態様では、Bcl−2をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドをコードする発現構築物を含む組成物が提供され、ここで、この第1のポリヌクレオチドは、真核生物細胞において活性であるプロモーターの制御下にある。
【0014】
本発明はまた、Bcl−2をコードする核酸にハイブリダイズする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む組成物とガン細胞とを接触させる工程を包含する、ガン細胞の増殖を阻害する方法を包含する。この方法は、以下で実施例に示すように、種々のガン細胞に対して有利に適用され得る。本発明の方法は、高レベルのbcl−2を過剰発現または発現しそしてまたBaxタンパク質を発現するガン細胞で、ならびに遺伝毒性傷害の際の核へのp53の転座がbcl−2によって阻害される細胞で、有効であることが示される。このような細胞としては、嚢胞性および非嚢胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、および形質細胞異形成を含む、白血病およびリンパ腫の両方の血液学的悪性疾患;固体腫瘍(例えば、乳ガン、前立腺ガン、および結腸ガンに関連する腫瘍);ならびに免疫障害が挙げられるが、これらに限定されない。組成物は、リポソーム中にカプセル化されたポリヌクレオチドのようなポリヌクレオチドと会合される中性脂質を含み得る。特定の実施態様では、接触させる工程は、患者で、および特定の実施態様ではヒト患者で起こる。組成物は、有利には、用量当たり0.50〜10.0mlの用量でまたはm当たり5〜30mgポリヌクレオチドの量でヒト患者に送達され得る。特定の治療法では、組成物は、8週間にわたり1週当たり3回投与される。しかし、種々の投与量が、患者の特定の疾患、年齢、および状態、ならびに医師の決定に影響を及ぼし得る他の因子に基づいて、担当医によって決定されるように使用され得る。
【0015】
本発明は、Bcl−2関連疾患を処置するために用いられ得るアンチセンス技法に関する。1つの実施態様では、Bcl−2をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド、およびポリヌクレオチドと会合される中性脂質、そして好ましくはカチオン性脂質を排除するものを含む組成物を包含する。ポリヌクレオチドは、約8と約50塩基との間の長さを有するオリゴヌクレオチドであり得る。しかし、他の長さのオリゴヌクレオチオも有用であり得る。ポリヌクレオチドはまた、Bcl−2 mRNAの翻訳開始部位にハイブリダイズし得る。有用なポリヌクレオチドの例は、配列CAGCGTGCGCCATCCTTC(配列番号1)を有するオリゴヌクレオチドである。
【0016】
本発明の組成物はまた、リポソームが脂質から形成される組成物を包含する。いくつかの場合では、ポリヌクレオチドがリポソーム中にカプセル化される組成物を有することが有用であり得る。本発明で特に有用である脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、およびホスファチジルエタノールアミンが挙げられ、1つの例は、脂質ジオレイルホスファチジルコリンであるが、任意の受容可能な中性脂質が使用され得る。
【0017】
本発明の実施態様は、Bcl−2をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドをコードする発現構築物を含む組成物であり、ここでこのポリヌクレオチドは真核生物細胞で活性であるプロモーターの制御下にある。
【0018】
他の実施態様は、Bcl−2をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを得る工程、ポリヌクレオチド/脂質会合を形成するためにポリヌクレオチドを中性脂質と混合する工程、およびこの会合を細胞に投与する工程を包含する、Bcl−2関連疾患を阻害する方法を包含する。細胞は、嚢胞性リンパ腫細胞のようなガン細胞であり得る。この方法は、約8と約50塩基との間の長さを有するオリゴヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを用い得る。脂質は、リポソームを含み得る。そうであれば、リポソームはポリヌクレオチドをさらにカプセル化し得る。
【0019】
この実施態様はまた、接触させる工程がヒトのような動物において起こる方法を包含する。例えば、組成物は、用量当たり0.50〜10.0mlの容量でまたはm当たり約5〜約30mgポリヌクレオチドの量で上記のヒトに送達され得る。これはまた、1週間当たり3回、8週間投与され得る。
【0020】
本発明の他の目的、特徴、および有利点は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかし、本発明の意図および範囲内の種々の変更および改変がこの詳細な説明から当業者に明らかになるので、詳細な説明および特定の実施例が、本発明の好ましい実施態様を示すが、例示のみによって与えられることが理解されるべきである。
【0021】
上記に加えて、本発明は、以下を提供する:
項目1.細胞内条件下で第2のBcl−2をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする第1のポリヌクレオチド、および該第1のポリヌクレオチドと会合される中性脂質を含む、組成物であって、ここで該組成物がカチオン性脂質を含まない、組成物。
【0022】
項目2.前記第1のポリヌクレオチドが、約8と約50との間の塩基の長さを有するオリゴヌクレオチドである、項目1に記載の組成物。
【0023】
項目3.前記第1のポリヌクレオチドが、Bcl−2 mRNAの翻訳開始部位に相補的である、項目1に記載の組成物。
【0024】
項目4.前記ポリヌクレオチドが、配列CAGCGTGCGCCATCCTTC(配列番号1)を含むオリゴヌクレオチドである、項目3に記載の組成物。
【0025】
項目5.前記脂質から形成されるリポソームを含む、項目1に記載の組成物。
【0026】
項目6.前記第1のポリヌクレオチドが、リポソームにカプセル化される、項目5に記載の組成物。
【0027】
項目7.前記脂質が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、またはホスファチジルエタノールアミンである、項目1に記載の組成物。
【0028】
項目8.前記脂質が、ジオレオイルホスファチジルコリンである、項目7に記載の組成物。
【0029】
項目9.細胞内条件下で、第2のBcl−2をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする第1のポリヌクレオチドをコードする発現構築物を含む組成物であって、ここで、該第1のポリヌクレオチドは、真核生物細胞で活性であるプロモーターの制御下にあり、そして該構築物は、中性脂質と会合し、そしてさらに、該組成物がカチオン性脂質を含まない、組成物。
【0030】
項目10.Bcl-2関連疾患を阻害する方法であって、細胞内条件下で、第2のBcl−2をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする第1のポリヌクレオチドを得る工程、ポリヌクレオチド/脂質会合を形成するために該第1のポリヌクレオチドを中性脂質と混合する工程、および該会合を細胞に投与する工程、を包含し、ここで該細胞がBcl-2およびBaxの両方を発現する、方法。
【0031】
項目11.前記細胞がガン細胞である、項目10に記載の方法。
【0032】
項目12.前記ガン細胞が嚢胞性リンパ腫細胞である、項目11に記載の方法。
【0033】
項目13.前記第1のポリヌクレオチドが、約8と約50との間の塩基の長さを有するオリゴヌクレオチドである、項目10に記載の方法。
【0034】
項目14.前記脂質から形成されるリポソームを含む、項目10に記載の方法。
【0035】
項目15.前記リポソームが、前記第1のポリヌクレオチドをカプセル化する、項目14に記載の方法。
【0036】
項目16.前記接触させる工程が動物で行われる、項目10に記載の方法。
【0037】
項目17.前記動物がヒトである、項目16に記載の方法。
【0038】
項目18.前記組成物が、0.50〜10.0ml/用量の容量で前記ヒトに送達される、項目17に記載の方法。
【0039】
項目19.前記組成物が、約5〜約30mgポリヌクレオチド/mの量で前記ヒトに送達される、項目17に記載の方法。
【0040】
項目20.前記組成物が、1週間当たり3回、8週間投与される、項目19に記載の方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
好ましい実施態様の詳細な説明
bcl−2は、プログラムされた細胞死をブロックする能力による腫瘍形成可能性を有するガン遺伝子である。本発明は、腫瘍細胞がプログラムされた細胞死に入る能力を回復し得るようにBcl−2の産生を阻害するために、リポソームアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドを用いる。本発明はまた、嚢胞性および非嚢胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、およびプラズマ細胞疾患を含む、白血病およびリンパ腫の両方の血液学的悪性疾患;固体腫瘍(例えば、乳ガン、前立腺ガン、および結腸ガンに関連する腫瘍);およびBcl−2発現に関連する免疫疾患を処置するために使用され得る。このような疾患は、Bcl−2を過剰発現または高レベルを発現し、そしてBaxも発現する細胞に関連する疾患を含む。
【0042】
本発明は、bcl−2遺伝子の部分に関するアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチド、およびBcl−2関連疾患の処置におけるそれらの使用に関する。本発明の方法によって処置され得るガンの特定のタイプはFLである。90%以上の嚢胞性リンパ腫患者は、第18染色体におけるその正常位置から第14染色体上の免疫グロブリン重鎖遺伝子座へのbcl−2遺伝子の転座を生じるt(14;18)転座を有する。結果として、bcl−2遺伝子は、免疫グロブリン重鎖エンハンサーの影響下にあり、そしてBcl−2タンパク質が過剰発現される。bcl−2は、プログラムされた細胞死をブロックするその能力による腫瘍化の可能性を有するガン遺伝子であるので、これらの嚢胞性リンパ腫についての可能性のある治療は、Bcl−2タンパク質の産生を阻害することである。本発明は、他のアプローチが、Bcl−2タンパク質の産生を阻害するために、第1のオープンリーディングフレームに、およびより詳細には、Bcl−2 mRNAの翻訳開始部位に特異的な安定なヌクレアーゼ耐性アンチセンスオリゴヌクレオチドを、細胞へ送達するための中性リポソームへ組み込むことによって失敗した場合に、成功することを望む。
【0043】
特に、これらのアンチセンス分子を単独または他のアンチセンス分子と組み合わせのいずれかで使用することによって、FL、およびおそらく他のBcl−2ガンを効果的に処置することができることを意図する。例えば、本明細書に示すように、リポソームbcl−2アンチセンスオリゴヌクレオチド(L−bcl−2)は、FL細胞およびBcl−2タンパク質を過剰発現する他の細胞の増殖を阻害する。本発明の実施において、オリゴ−またはポリヌクレオチド自体、あるいはそれをコードする発現ベクターが用いられ得る。これらの核酸を送達する好ましい方法は、リポソーム、および特に中性脂質から作成されるリポソームによってである。本発明は、種々の実施態様において、以下により詳細に説明される。
【0044】
(A.ポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド)
用語「アンチセンス」とは、Bcl−2 RNAの一部に相補的なポリヌクレオチド分子、またはそれに対応するDNAをいうことを意図する。「相補的な」ポリヌクレオチドは、標準的ワトソン・クリック相補性ルールに従って塩基対合し得るポリヌクレオチドである。すなわち、より大きなプリンは、シトシンと対になったグアニン(G:C)とDNAの場合はチミン(A:T)と、またはRNAの場合はウラシル(A:U)と対になったアデニンとの組み合わせを形成するために、より小さなピリミジンと塩基対合する。イノシン、5−メチルシトシン、6−メチルアデニン、ヒポキサンチン、および配列をハイブリダイズする他のもののような普通にはない塩基の包含は、いくつかの場合に特定の利点を提供し得、そして対合を妨害しない。
【0045】
ポリヌクレオチドとの二本鎖(ds)DNAを標的することは、三重らせん形成を導き;RNAを標的化することは、二重らせん形成を導く。標的細胞に導入される場合、アンチセンスポリヌクレオチドは、その標的ポリヌクレオチドに特異的に結合し、そして転写、RNAプロセシング、輸送、翻訳、および/または安定性を妨害する。アンチセンスRNA構築物、またはこのようなアンチセンスRNAをコードするDNAは、ヒト被験体を含む宿主動物内のようなインビトロまたはインビボのいずれかで、宿主細胞内で遺伝子転写または翻訳あるいは両方を阻害するために用いられ得る。
【0046】
一価カチオンの細胞内濃度は約160mMである(10mM Na;150mM K)。二価カチオンの細胞内濃度は約20mMである(18mM Mg++;2mM Ca++)。ハイブリダイゼーションの用量を減少させ、したがって核酸種の有効濃度を増加させるために用いる細胞内タンパク質濃度は、150mg/mlである。構築物は、これらのインビボ条件を模倣する条件下でインビトロで試験され得る。
【0047】
アンチセンス構築物は、プロモーターおよび他の制御領域、エクソン、イントロン、またはさらに遺伝子のエクソン−イントロン境界に結合するように設計され得る。本発明についてのほとんどの有効なアンチセンス構築物は、mRNA開始部位に相補的な領域を含むことが意図される。当業者は、どのレベルの標的タンパク質が影響を及ぼされるかを決定するために、単にインビトロで構築物を試験することによって、このような構築物を容易に試験し得る。このような試験は、当該分野で公知の種々の技術により裸のポリ核酸分子を細胞に移入することによって、あるいは核酸分子を1つ以上の脂質と会合することによって行われ得る。同様に、タンパク質合成の有害な非特異的阻害はまた、インビトロで標的細胞生存度を決定することによって測定され得る。
【0048】
本明細書中で使用される場合、用語「相補的」または「アンチセンス」とは、その完全な長さにわたって実質的に相補的でありそして非常にわずかの塩基のミスマッチを有するポリヌクレオチドを意味する。例えば、15塩基長の配列は、それらが15のうちの13または14の位置について相補的なヌクレオチドを有する場合に相補的と呼ばれ得る。天然には、「完全に相補的」または「全長相補物」である配列は、その全体の長さを通して完全に相補的であり、そして塩基ミスマッチを有さない配列である。
【0049】
より低い程度の相同性を有する他の配列も意図される。例えば、高い相同性の限定された領域を有するが、非相同領域(例えば、リボザイム)も含むアンチセンス構築物が設計され得る。これらの分子は、50%以下の相同性を有するが、適切な条件下で標的配列に結合する。
【0050】
本発明によるポリヌクレオチドは、bcl−2遺伝子またはタンパク質発現のアンチセンス阻害をもたらすために十分な遺伝子の一部をコードし得る。ポリヌクレオチドは、ゲノムDNAに由来し得、すなわち、特定の生物のゲノムから直接クローン化され得る。しかし、他の実施態様では、ポリヌクレオチドは、相補的DNA(cDNA)であり得る。cDNAは、テンプレートとしてメッセンジャーRNA(mRNA)を使用して調製されるDNAである。したがって、cDNAは、任意の中断されたコード配列を含まず、そして通常は対応するタンパク質のコード領域(単数または複数)をほとんど独占的に含む。他の実施態様では、アンチセンスポリヌクレオチドは、合成的に生成され得る。
【0051】
特定の構築物を生成するために、ゲノムDNAの一部をcDNAまたは合成配列と合わせることは有利であり得る。例えば、イントロンが最終的構築物で所望される場合、ゲノムクローンが使用される必要がある。cDNAまたは合成されたポリヌクレオチドは、構築物の残りの部分についてのより都合の良い制限部位を提供し得、したがって配列の残りに使用される。
【0052】
Bcl−2についてのDNAおよびタンパク質配列は、TsujimotoおよびCroce(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83:5214,1986)(配列番号4、配列番号5、配列番号6、および配列番号7)によって文献で公開される(これは、参考として本明細書に援用される)。本明細書中に開示されたものとは異なる配列を有するBcl−2の天然の改変体が存在することが意図される。したがって、本発明は、Bcl−2について提供されたポリヌクレオチド配列の使用に限定されないが、任意の天然に存在する改変体の使用を包含する。このような改変体の特定の配列に依存して、これらは標的選択性に関してさらなる利点を提供し得、すなわち、関連の転写物の望ましくないアンチセンス阻害を避ける。本発明はまた、これらの配列の化学的に合成された変異体を包含する。
【0053】
上述のように、アンチセンス配列は、全長ゲノムもしくはcDNAコピーまたはそれらの大きなフラグメントであり得るが、これらはまた、より短いフラグメント、または50塩基以下のポリヌクレオチドとして本明細書中に定義される「オリゴヌクレオチド」であり得る。より短いオリゴマー(8〜20)はインビボ接近性を得て増加させることがより容易であるが、多くの他の因子が塩基対合の特異性を決定することに関連する。例えば、オリゴヌクレオチドのその相補的標的への結合親和性および配列特異性の両方は、長さの増加とともに増加する。8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、または50塩基対、あるいはそれより大きいオリゴヌクレオチドが使用され得ることが意図される。遺伝子配列のすべてまたは一部が、アンチセンス構築物の状況において用いられ得るが、統計学的には、17塩基長の任意の配列は、ヒトゲノムにおいて一度のみ生じるべきであり、したがって、独特の標的配列を特定するために十分である。
【0054】
特定の実施態様では、他のエレメントを含むアンチセンス構築物、例えば、C−5プロピンピリミジンを含む構築物を用いることが望まれ得る。ウリジンおよびシチジンのC−5プロピンアナログを含むオリゴヌクレオチドは、高い親和性でRNAを結合し、そして遺伝子発現の強力なアンチセンスインヒビターであることが示されている(Wagnerら,1993)。本発明の実施において、p−エトキシまたはメチルホスホネートオリゴヌクレオチドのような誘導体化されたポリヌクレオチドまたはホスホジエステルアナログが使用され得る。このようなポリヌクレオチドは、ヌクレアーゼ耐性のような特定の利点を提供し得る。疎水性であるp−エトキシオリゴヌクレオチドがまた、リポソームにより有効に組み込まれる点で有利であることが本発明者らの発見である。
【0055】
標的されたアンチセンス送達の代わりとして、標的されたリボザイムが使用され得る。用語「リボザイム」とは、DNAおよびRNAの両方において特定の塩基配列を標的化し、そして切断し得るRNAに基づく酵素をいう。リボザイムは、リボザイム配列を組み込むRNAオリゴヌクレオチドの形態で、細胞に直接標的され得るか、あるいは所望のリボザイムRNAをコードする発現ベクターとして細胞に導入され得るかのいずれかであり得る。リボザイムは、アンチセンスポリヌクレオチドについて記載されたのとほとんど同じように使用および適用され得る。リボザイム配列もまた、アンチセンスポリヌクレオチドについて記載されたのとほとんど同じように改変され得る、例えば、非ワトソン・クリック塩基を導入し得るか、もしくは混合したRNA/DNAオリゴヌクレオチドを作製し得るか、またはホスホジエステル中心を改変し得る。
【0056】
あるいは、本発明のアンチセンスオリゴおよびポリヌクレオチドは、オリゴ−またはポリヌクレオチドをコードする核酸を有する発現構築物からの転写によって、mRNAとして提供され得る。本明細書全体を通して、用語「発現構築物」とは、核酸配列の一部またはすべてが転写され得るアンチセンス産物をコードする核酸配列を含む遺伝子構築物の任意のタイプを含むことを意味する。代表的な発現ベクターには、pUCまたはBluescriptTMプラスミドシリーズのいずれかのような細菌プラスミドまたはファージ、あるいはさらに以下に議論されるような真核生物細胞での使用に適合されたウイルスベクターが挙げられる。
【0057】
好ましい実施態様では、核酸は、プロモーターの転写制御下でアンチセンスオリゴ−またはポリヌクレオチドをコードする。「プロモーター」とは、細胞の合成機構によって認識されるDNA配列、または遺伝子の特異的転写を開始するために必要とされる合成機構を導入したDNA配列をいう。句「転写制御下」とは、プロモーターが、RNAポリメラーゼ開始を制御するために核酸に関して正確な位置および配向にあることを意味する。
【0058】
用語プロモーターは、RNAポリメラーゼIIについての開始部位の周囲にクラスター形成された転写制御モジュールの群をいうために本明細書で使用される。プロモーターがどのように組織されるかについての考察の多くは、HSVチミジンキナーゼ(tk)およびSV40初期転写ユニットについてのプロモーターを含む、いくつかのウイルスプロモーターの分析に由来する。より近年の研究によって増大されたこれらの研究は、プロモーターが、それぞれ約7〜20bpのDNAからなり、そして転写アクチベーターまたはリプレッサータンパク質についての1つ以上の認識部位を含む、個々の機能的モジュールから構成されることを示している。
【0059】
各プロモーターにおける少なくとも1つのモジュールは、RNA合成についての開始部位を配置するために機能する。これの最良の公知の例は、TATAボックスであるが、哺乳動物末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子についてのプロモーターおよびSV40後期遺伝子についてのプロモーターのようなTATAボックスを欠くいくつかのプロモーターでは、開始部位自体の上に横たわる別々のエレメントは、開始の場所を固定することを助ける。
【0060】
追加のプロモーターエレメントは、転写開始の頻度を調節する。代表的には、これらは、開始部位の30〜110bp上流の領域に位置するが、多くのプロモーターは、さらに開始部位の下流の機能的エレメントを含むことが近年示された。プロモーターエレメント間の間隔は、しばしば融通性であり、そのためエレメントがもう1つのプロモーターに対して逆転または移動される場合、プロモーター機能は保存される。tkプロモーターにおいては、プロモーターエレメント間の間隔は、活性が減少し始める前に、50bp離れるまで増加され得る。プロモーターに依存して、個々のエレメントが、転写を活性化するために協力してまたは独立してのいずれかで機能し得る。
【0061】
阻害ペプチドをコードする核酸の発現を制御するために用いられる特定のプロモーターは、標的された細胞においてペプチドを発現し得る限り、重要であるとは考えられない。したがって、ヒト細胞が標的される場合、ヒト細胞において活性であるプロモーターに隣接し、そしてその制御下にある阻害ペプチドをコードする核酸を配置することが好ましい。一般的にいえば、このようなプロモーターは、ヒトまたはウイルスプロモーターのいずれかを含み得る。
【0062】
種々の実施態様では、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)即時型初期遺伝子プロモーター、SV40初期プロモーター、およびRous肉腫ウイルス長末端反復配列は、種々のタンパク質の高レベル発現を得るために使用され得る。発現のレベルが所定の目的に十分であるならば、本発明によるペプチドの発現を達成するための当該技術分野で周知である他のウイルスまたは哺乳動物細胞または細菌ファージプロモーターの使用がさらに意図される。
【0063】
周知の特性を有するプロモーターを用いることによって、アンチセンスオリゴ−またはポリヌクレオチドの発現のレベルおよびパターンは最適化され得る。さらに、特異的な生理学的シグナルに応じて調節されるプロモーターの選択は、阻害タンパク質の誘導性発現を可能にし得る。例えば、ヒトPAI−1プロモーターの制御下の核酸は、腫瘍壊死因子によって誘導可能な発現を生じる。表1および2は、本発明の文脈において、アンチセンス構築物の発現を調節するために用いられ得るいくつかのエレメント/プロモーターを列挙している。このリストは、発現の促進に関連するすべての可能性のあるエレメントの完全ではなく、単にそれらの例示であることが意図される。
【0064】
エンハンサーは、元来、DNAの同じ分子上の離れた位置に位置するプロモーターからの転写を増加させる遺伝エレメントとして検出された。大きな距離にわたって作用するこの能力は、原核生物転写調節の古典的研究においてほとんど先例がなかった。その後の研究は、エンハンサー活性を有するDNAの領域が非常に類似のプロモーターに組み立てられることを示した。すなわち、これらは、多くの個々のエレメントから構成され、そのそれぞれは1つ以上の転写タンパク質に結合する。
【0065】
エンハンサーとプロモーターとの間の基本的な差異は、操作上のものである。エンハンサー領域は全体として、少し離れて転写を刺激できなければならない;これはプロモーター領域またはその成分エレメントに当てはまる必要はない。他方では、プロモーターは、特定の部位でおよび特定の配向でRNA合成の開始を支持する1つ以上のエレメントを有さなければならないが、エンハンサーはこれらの特異性を欠く。プロモーターおよびエンハンサーは、しばしば重複しそして連続し、しばしば非常に類似のモジュラー機構を有すると思われる。
【0066】
以下は、発現構築物においてNF−IL6阻害ペプチドをコードする核酸と組み合わせて使用され得るウイルスプロモーター、細胞性プロモーター/エンハンサー、および誘導性プロモーター/エンハンサーのリストである(表1および表2)。さらに、任意のプロモーター/エンハンサー組み合わせ(Eukaryotic Promoter Data Base EPDBについて)も、本発明による核酸の発現を誘導するために使用され得る。T3、T7、またはSP6細胞質発現系の使用は、他の可能な実施態様である。適切な細菌ポリメラーゼが、送達複合体の一部としてまたは追加の遺伝発現構築物としてのいずれかで提供されるならば、真核生物細胞は、ある細菌プロモーターからの細胞質転写を支持し得る。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

本発明のある実施態様では、細胞における核酸の送達は、発現構築物においてマーカーを含むことによってインビトロまたはインビボで同定され得る。マーカーは、発現の容易な同定を可能にするトランスフェクトされた細胞への同定可能な変化を生じる。単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)(真核生物性)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)(原核生物性)のような酵素が用いられ得る。
【0069】
これはまた、転写物の適切なポリアデニル化をもたらすためにポリアデニル化シグナルを含み得る。ポリアデニル化シグナルの性質は、本発明の成功した実施に重要とは考えられず、そしてこのような配列が用いられ得る。例としては、SV40、グロビン、またはアデノウイルスポリアデニル化シグナルが挙げられる。発現カセットのエレメントがターミネーターであることも意図される。これらのエレメントは、メッセージレベルを増強しそしてカセットから他の配列へのリードスルーを最小にするために役立ち得る。
【0070】
(B.脂質処方物)
本発明の好ましい実施態様では、アンチセンスオリゴ−またはポリヌクレオチドおよび発現ベクターは、脂質と会合され得る。脂質と会合したポリヌクレオチドは、リポソームの水性内部にカプセル化され得るか、リポソームの脂質二重層内に散在し得るか、リポソームとポリヌクレオチドとの両方と会合される連結分子を介してリポソームに付着され得るか、リポソームに捕らえられ得るか、リポソームと複合体化され得るか、脂質を含む溶液に分散され得るか、脂質と混合され得るか、脂質と合わされ得るか、脂質中に懸濁液として含まれ得るか、ミセルに含まれるかもしくは複合体化され得るか、あるいは他に脂質と会合され得る。本発明の脂質または脂質/オリゴヌクレオチド会合組成物は、溶液中で任意の特定の構造に限定されない。例えば、これらは、ミセルとして二重層構造で、または「折り畳まれた(collapsed)」構造で存在し得る。これらはまた、単に溶液中に散在され得、おそらくサイズまたは形状のいずれかが均一でない凝集体を形成する。脂質は、多重層状小胞、小さなまたは大きな単層小胞、あるいは当該技術分野で公知の他のタイプの小胞として、当該技術分野で公知のリポソームの形態であり得る。
【0071】
脂質は、天然に存在するまたは合成脂質であり得る脂肪物質である。例えば、脂質としては、細胞質に天然に存在する脂肪小滴、ならびに長鎖脂肪族炭化水素およびその誘導体(例えば、脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、およびアルデヒド)を含む当業者に周知の化合物のクラスが挙げられる。例は、脂質のジオレオイルホスファチジルコリンである。
【0072】
「リポソーム」は、封入された脂質二重層または凝集体の生成によって形成された種々の単または多重層状脂質小胞を包含する一般用語である。リポソームは、リン脂質二重層膜および内部水性媒体を有する小胞構造を有するものとして特徴づけられ得る。多重層状リポソームは、水性媒体によって分離された多重脂質層を有する。これらは、リン脂質が過剰の水溶液に懸濁される場合に自然に形成される。脂質成分は、閉じた構造の形成の前に自己再配置を受け、そして脂質二重層間に水および溶解した溶質を捕らえる(GhoshおよびBachhawat, Wu G. Wu C編,Liver diseases,targeted dianosis and therapy using specific receptors and ligands,New York:Marel Dekker,87−104頁,1991)。しかし、本発明はまた、正常な小胞構造とは溶液中で異なる構造を有する組成物を包含する。例えば、脂質は、ミセル構造を仮定し得るか、あるいは単に脂質分子の非均一凝集体として存在し得る。リポフェクタミン−核酸複合体も意図される。
【0073】
インビトロでの外来DNAのリポソーム媒介されたポリヌクレオチド送達および発現は、非常に成功している。Wongら(Gene,10:87−94,1980)は、培養されたニワトリ胚HeLaおよび肝臓ガン細胞中での外来DNAのリポソーム媒介された送達および発現の可能性を証明した。Nicolauら(Methods Enzymol.,149:157−176,1987)は、静脈内注射後のラットにおける成功したリポソーム媒介された遺伝子導入を達成した。
【0074】
本発明の所定の実施態様では、脂質は、赤血球凝集ウイルス(HVJ)と会合され得る。これは、細胞膜との融合を容易にしそしてリポソームカプセル化DNAの細胞侵入を促進することが示されている(Kanedaら,Science,243:375−378,1989)。他の実施態様では、脂質は、核非ヒストン染色体タンパク質(HMG−1)とともに複合体化されるかまたは用いられ得る(Katoら,J.Biol.CHem.,266:3361−3364,1991)。よりさらなる実施態様では、脂質は、HVJおよびHMG−1の両方とともに複合体化されるかまたは用いられ得る。このような発現ベクターがインビトロおよびインビボでのポリヌクレオチドの導入および発現にうまく用いられている場合、これらは本発明に適用可能である。細菌プロモーターがDNA構築物中で用いられる場合、リポソーム内に適切な細菌ポリメラーゼを含むことも望まれる。
【0075】
リン脂質は、本発明によるリポソームを調製するために使用され、そして正味の正電荷、正味の負電荷を有し得るか、あるいは中性であり、中性リン脂質が最も好ましい。ジアセチルホスフェートは、しばしば、リポソームに負電荷を与えるために用いられ、そしてステアリルアミンは、リポソームに正電荷を与えるために用いられる。
【0076】
本発明による使用に適切な脂質は、市販の供給源から得られ得る。例えば、ジミリスチルホスファチジルコリン(「DMPC」)は、Sigma Chemcal Co.から得られ得、ジセチルホスフェート(「DCP」)は、K & K Laboratories (Plainview,NY)から得られ;コレステロール(「Chol」)は、Calbiochem−Behringから得られ;ジミリストイルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)および他の脂質は、Avanti Polar Lipids,Inc.(Birmingham,Ala)から得られ得る。クロロホルムまたはクロロホルム/メタノール中の脂質のストック溶液は、約−20℃で保存され得る。好ましくは、メタノールよりも容易にエバポレートされるので、クロロホルムが使用される。
【0077】
卵または大豆ホスファチジルコリン、脳ホスファチジン酸、脳または植物ホスファチジルイノシトール、心臓カルジオリピン、および植物または細菌ホスファチジルエタノールアミンのような、天然の供給源からのリン脂質は、好ましくは、主要ホスファチドとして、すなわち、得られるリポソームの不安定性および漏出性のため、総ホスファチド組成の50%以上を構成するホスファチドとして使用されない。
【0078】
本発明によって使用されるリポソームは、種々の方法によって作成され得る。リポソームのサイズは、合成方法に依存して変化する。水溶液に懸濁されたリポソームは、一般的に、球状小胞の形状であり、脂質二重層分子の1つ以上の同心円層を有する。各層は、式XYによって表される分子の並行整列からなり、ここでXは、親水性部分であり、そしてYは、疎水性部分である。水性懸濁液中では、同心円層は、親水性部分が水相と接触したままの傾向があり、そして疎水性領域が自己会合する傾向があるように整列される。例えば、水相がリポソーム内および外の両方に存在する場合、脂質分子は、配列XY−YXの、ラメラとして公知の二重層を形成し得る。1つより多くの脂質分子の親水性および疎水性部分が互いに会合する場合、脂質の凝集体が形成され得る。これらの凝集体のサイズおよび形状は、溶媒の性質および溶液中の他の化合物の存在のような、多くの種々の変数に依存する。
【0079】
本発明の範囲内のリポソームは、公知の実験室技法に従って調製され得る。1つの好ましい実施態様では、リポソームは、容器(例えば、ガラス、ナス型フラスコ)中の溶媒中で、リポソーム脂質を混合することによって調製される。容器は、リポソームの予測された懸濁液の容量よりも10倍大きい容量を有するべきである。ロータリーエバポレーターを使用して、溶媒を減圧下で約40℃で除去した。溶媒は、正常には、リポソームの所望の容量に依存して、約5分から2時間以内で除去される。組成物は、真空下でデシケーター中でさらに乾燥され得る。乾燥した脂質は、一般的に、時間とともに悪化する傾向のため、約1週間後に捨てられる。
【0080】
乾燥した脂質は、すべての脂質フィルムが再懸濁されるまで浸透することによって、滅菌した発熱物質を含まない水中の約25〜50mMのリン脂質で水和され得る。次いで、水性リポソームは、アリコートに分離され、それぞれバイアルに入れ、凍結乾燥し、そして真空下で密封され得る。
【0081】
あるいは、リポソームは、他の公知の実験室手順に従って調製され得る:Banghamら(J.Mol.Biol.,13:238,1965)の方法、その内容は参考として本明細書に援用される;Gregoriadisの方法、DRUG CARRIERS IN BIOLOGY AND MEDICINE, G.Greroriadis編(1979)287−341頁に記載される、その内容は参考として本明細書に援用される;DeamerおよびUster(LIPOSOMES,M.Ostro編,1983)の方法、その内容は参考として本明細書に援用される;およびSzokaおよびPapahadjopoulos(Proc.Nat’l.Acad.Sci.U.S.A.75:4194−98 1978)によって記載される逆相エバポレーション方法。上記の方法は、水性物質を捕らえるためのそれぞれの能力およびそれぞれの水性空隙対脂質比で異なる。
【0082】
上記のように調製した乾燥した脂質または凍結乾燥したリポソームを、脱水し、そして阻害ペプチドの溶液中で再構成し、そして適切な溶媒、例えば、DPBSで適切な濃度に希釈し得る。次いで、混合物を、ボルテックスミキサーで激しく浸透する。カプセル化されていない核酸を、29,000×gでの遠心分離によって除去し、そしてリポソームペレットを洗浄する。洗浄したリポソームを、適切な総リン脂質濃度、例えば、約50〜200mMで再懸濁する。カプセル化された核酸の量を、標準的方法に従って決定し得る。リポソーム調製物にカプセル化される核酸の量の決定後、リポソームを、適切な濃度に希釈し、そして使用まで4℃で貯蔵し得る。
【0083】
ホスホジエステルのヌクレアーゼ耐性アナログであるp−エトキシオリゴヌクレオチドは、血清中で安定でありそして細胞質中へ効果的に輸送されるので、好ましい。好ましい実施態様では、脂質ジオレオイルホスファチジルコリンが用いられる。しかし、他のホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、およびホスファチジルエタノールアミンのような他の脂質もまた有用であり得る。ヌクレアーゼ耐性オリゴヌクレオチドは、過剰のt−ブタノールの存在下で脂質と混合される。混合物は、アセトン/ドライアイス浴中で凍結される前にボルテックスされる。凍結した混合物は凍結乾燥され、そしてHepes緩衝化生理食塩水(1mM Hepes、10mM NaCl、pH 7.5)で水和され、次いで、リポソームは10〜15分間、浴タイプのソニケーター中で超音波処理される。リポソームオリゴヌクレオチドのサイズは、代表的には、サブミクロン粒子サイザー自動希釈モデル370(Nicomp,Santa Barbara,CA)によって決定される場合の200〜300nmの直径の範囲である。
【0084】
(C.代わりの送達系)
レトロウイルス。レトロウイルスは、逆転写のプロセスによって感染した細胞中でそのRNAを二本鎖DNAに変換する能力によって特徴づけられる一本鎖RNAウイルスの群である(Coffin,Virology,Fieldsら(編),New York:Raven Press,1437−1500,1990)。次いで、得られるDNAは、プロウイルスとして細胞染色体に安定に組み込まれ、そしてウイルスタンパク質の合成を導く。組込みは、レシピエント細胞およびその子孫においてウイルス遺伝子配列の保持を生じる。レトロウイルスゲノムは、それぞれキャプシドタンパク質、ポリメラーゼ酵素、およびエンベロープ成分をコードする3つの遺伝子、gag、pol、およびenvを含む。gag遺伝子から上流に見られる配列は、Ψと呼ばれ、ビリオンへのゲノムのパッケージングのためのシグナルとして機能する。2つの長末端反復(LTR)配列は、ウイルスゲノムの5’および3’末端に存在する。これらは、強力なプロモーターおよびエンハンサー配列を含み、そしてまた宿主細胞ゲノムにおける組込みに必要とされる(Coffin,1990)。
【0085】
レトロウイルスベクターを構築するために、Bcl−2アンチセンス構築物をコードする核酸が、複製欠損であるウイルスを産生するために、特定のウイルス配列の代わりに、ウイルスゲノムに挿入される。ビリオンを産生するために、gag、pol、およびenv遺伝子を含むが、LTRおよびΨ成分を含まないパッケージング細胞株が、構築される(Mannら,Cell,33:153−159,1983)。レトロウイルスLTRおよびΨ配列とともに、挿入されたDNAを含む組換えプラスミドは、(例えば、リン酸カルシウム沈殿によって)この細胞株に導入される場合、Ψ配列は、組換えプラスミドのRNA転写がウイルス粒子にパッケージングされることを可能にし、次いでこれは培養培地に分泌される(NicolasおよびRubenstein,Vectors:A survey of molecular cloning vectors and their uses,RodriguezおよびDenhardt,(編),Stoneham:Butterworth,494−513頁,1988;Temin,Gene Transfer,Kucherlapati(編),New York:Plenum Press,149−188頁,1986;Mannら,1983)。次いで、組換えレトロウイルスを含む培地を集め、必要に応じて濃縮し、そして遺伝子導入に使用する。レトロウイルスベクターは、広範な種々の細胞タイプを感染させ得る。しかし、組込みおよび安定な発現は、宿主細胞の分裂を必要とする(Paskindら,Virology,67:242−248,1975)。
【0086】
アデノウイルス:ヒトアデノウイルスは、約36kBのゲノムサイズを有する二本鎖DNA腫瘍ウイルスである。真核生物遺伝子発現についてのモデル系として、アデノウイルスは、広く研究されそして十分に特徴づけされ、これは遺伝子導入系としてのアデノウイルスの開発のための魅力的な系になる。このウイルスの群は、増殖および操作が容易であり、そしてこれらはインビトロおよびインビボで広い宿主範囲を示す。溶菌的に感染した細胞において、アデノウイルスは、宿主タンパク質合成を遮断し、大量のウイルスタンパク質を合成するために細胞機構を導き、そして大量のウイルスを産生し得る。
【0087】
ゲノムのE1領域は、ウイルスゲノムの転写調節にを担うタンパク質をコードするE1AおよびE1B、ならびに少数の細胞性遺伝子を含む。E2AおよびE2Bを含むE2発現は、ウイルス複製機能物、例えば、DNA結合タンパク質、DNAポリメラーゼ、および複製をプライムする末端タンパク質の合成を可能にする。E3遺伝子産物は、細胞傷害性T細胞および腫瘍壊死因子による細胞溶解を抑制し、そしてウイルス増殖に重要であるようである。E4タンパク質と関連する機能には、DNA複製、後期遺伝子発現、および宿主細胞遮断が挙げられる。後期遺伝子産物には、ほとんどのビリオンキャプシドタンパク質が挙げられ、そしてこれらは、主要後期プロモーターからの単一の初期転写物のプロセシングのほとんどが生じた後にのみ、発現される。主要後期プロモーター(MLP)は、感染の後期の間、高い効率を示す(Stratford−PerricaudetおよびPerricaudet,51−61頁,Human Gene Transfer, O.Cohen−HaguenauerおよびM.Boiron編 Editions John Libbey Exrotext,France,1991)。
【0088】
ウイルスゲノムの小部分のみがシスで必要とされるようであるので、アデノウイルス由来ベクターは、293細胞のような細胞株とともに使用される場合、大きなDNAフラグメントの置換にすぐれた可能性を提供する。Ad5形質転換されたヒト胚腎臓細胞株(Grahamら,J.Gen.Virol.,36:59−72,1977)は、トランスで必須のウイルスタンパク質を提供するために開発されている。
【0089】
外来タンパク質を細胞に送達するためのアデノウイルス系の特に利点としては、(i)外来DNAによるウイルスDNAの比較的大きな部分を置換する能力;(ii)組換えアデノウイルスの構造安定性;(iii)アデノウイルス投与のヒトへの安全性;および(iv)ガンまたは悪性腫瘍でのアデノウイルス感染の任意の公知の関連の欠如;(v)組換えウイルスの高い力価を得るための能力;および(vi)アデノウイルスの高い感染性が挙げられる。
【0090】
アデノウイルスベクターのレトロウイルスに対するさらなる利点は、遺伝子発現のより高いレベルを包含する。さらに、アデノウイルス複製は、宿主遺伝子複製とは独立しており、レトロウイルス配列とは異なる。E1領域中のアデノウイルストランスフォーミング遺伝子は、容易に欠失されそしてさらに効果的な発現ベクターを提供するので、アデノウイルスベクターからのガン遺伝子危険性は、無視できると考えられる(GrunhausおよびHorwitz,Seminar in Virology,3:237−252,1992)。
【0091】
一般に、アデノウイルス遺伝子導入系は、組換えの操作されたアデノウイルスに基づき、これはE1のようなそのゲノムの一部の欠失によって複製非能になり、そしてさらに感染についてのその能力を保持する。比較的大きな外来タンパク質をコードする配列は、追加の欠失がアデノウイルスゲノムで作製される場合、発現され得る。例えば、E1およびE3領域の両方で欠失したアデノウイルスは、10kBまでの外来DNAを有し得、そして293細胞において高い力価まで増殖され得る(Stratford−PerricaudetおよびPerricaudet,1991)。驚くべきことに、アデノウイルス感染後の導入遺伝子の持続した発現も報告されている。
【0092】
発現構築物としての他のウイルスベクター。他のウイルスベクターは、本発明における発現構築物として用いられ得る。ワクシニアウイルス(Ridgeway,Stoneham:Butterworth,467−492頁,1988;BaichwalおよびSugden,Kucherlapati R,(編) Gene transfer.New York:Plenum Press,117−148頁,1986;Couparら,Gene,68:1−10,1988)、アデノ随伴ウイルス(AAV)(Ridgeway,1988;BaichwalおよびSugden,1986;HermonatおよびMuzycska,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,81:6466−6470,1984)、ならびにヘルペスウイルスのようなウイルスに由来するベクターが用いられ得る。これらは、種々の哺乳動物細胞についてのいくつかの魅力的特徴を提供する(Friedmanら,Genes Devel.3:1314,1989;Ridgeway,1988;BaichwalおよびSugden,1986;Couparら,1988;Horwichら,J.Virol.64:642−650,1990)。
【0093】
欠損B型肝炎ウイルスの最近の認識により、種々のウイルス配列の構造−機能関連に新しい洞察を得た。インビトロ研究は、ウイルスが、その80%までのゲノムの欠失にもかかわらず、ヘルパー依存性パッケージングおよび逆転写についての能力を保持し得ることを示した(Horwichら,1990)。これは、ゲノムの大部分が外来遺伝物質と置換され得ることを示唆した。肝臓親和性(hepatotropism)および存続(組込み)は、特に、肝臓指向性遺伝子導入にとっての魅力的な特性であった。Changら(Hepatology,14:134A,1991)は、近年、ポリメラーゼコード配列、表面コード配列、およびプレ表面コード配列の代わりに、カモB型肝炎ウイルスゲノムにクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子を導入した。鳥類肝ガン腫細胞株に野生型ウイルスを同時トランスフェクトした。高い力価の組換えウイルスを含む培養培地を使用して、初代子ガモ肝細胞に感染させた。安定なCAT遺伝子発現を、トランスフェクション後の少なくとも24日間にわたり検出した(Changら,1991)。
【0094】
非ウイルス方法。培養した哺乳動物細胞への発現ベクターの導入のためのいくつかの非ウイルス方法もまた、本発明によって意図される。これらには、リン酸カルシウム沈殿(Grahamおよびvan der Eb,Virology,52:456−467,1973;ChenおよびOkayama,Mol.Cell Biol.,7:2745−2752,1987;Rippeら,Mol.Cell Biol.,10:689−695,1990)、DEAE−デキストラン(Gopal,Mol.Cell Biol.,5:1188−1190,1985)、エレクトロポレーション(Tur−Kaspaら,Mol.Cell Biol.,6:716−718,1986;Potterら,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,81:7161−7165,1984)、直接マイクロインジェクション(HarlandおよびWeintraub,J.Cell Biol.,101:1094−1099,1985)、DNA装填リポソーム(NicolauおよびSene,Biochem.Biophys.Acta,721:185−190,1982;Fraleyら,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,76:3348−3352,1979)およびリポフェクタミン−DNA複合体、細胞超音波処理(Fecheimerら,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,76:3348−52,1979)、高速マイクロプロジェクタイル(Yangら,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,87:9568−9572,1990)を使用する遺伝子ボンバードメント、ポリカチオンおよびレセプター媒介トランスフェクション(WuおよびWu,J. Biol.Chem.,262:4429−4432,1987;WuおよびWu,Biochemistry,27:887−892,1988)が挙げられる。これらの技法のいくつかは、インビボまたはエクスビボ使用にうまく適合され得る。
【0095】
本発明の1つの実施態様では、発現構築物は、単に裸の組換えベクターからなり得る。構築物の導入は、物理学的または化学的に細胞膜を透過可能にする上記の方法のいずれかによって行われ得る。例えば、Dubenskyら(Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,81:7529−7533,1984)は、成熟および新生マウスの肝臓および脾臓にCaPO沈殿物の形態でポリオーマウイルスDNAをうまく注射し、活性なウイルス複製および急性感染を示した。BenvenistyおよびNeshif(Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,83:9551,1986)はまた、CaPO沈殿させたプラスミドの直接腹腔内注射が、トランスフェクトされた遺伝子の発現を生じることを示した。Bcl−2構築物をコードするDNAもまた、インビボで類似の方法でトランスフェクトされ得ると考えられる。
【0096】
裸のDNA発現ベクターを細胞に導入するための本発明の他の実施態様は、粒子ボンバードメントを包含し得る。この方法は、DNAコートしたマイクロプロジェクタイルを、細胞膜を貫通させそして細胞を殺傷することなく細胞に侵入させる高速まで促進する能力に依存する(Kleinら,Nature,327:70−73,1987)。小さい粒子を促進するためのいくつかのデバイスが開発されている。このような1つのデバイスは、電流を発生するために高電圧放出を頼り、次に動力を提供する(Yangら,1990)。使用されるマイクロプロジェクタイルは、タングステンまたは金ビーズのような生物学的に不活性な物質からなっている。
【0097】
ラットおよびマウスの肝臓、皮膚、および筋肉組織を含む選択された器官が、インビボでボンバードされた(Yangら,1990;Zeleninら,FEBS Lett.,280:94−96,1991)。これは、銃と標的器官との間の任意の間に入っている組織を排除するために、組織または細胞の外科的曝露を必要とし得る。Bcl−2構築物をコードするDNAは、この方法によって送達され得る。
【0098】
(D.薬学的組成物および投与経路)
アンチセンスオリゴ−またはポリヌクレオチドまたは発現ベクターを含むリポソームの臨床的適用を受ける場合、目的の適用に適切な薬学的組成物としてリポソーム複合体を調製する必要がある。一般的に、これは、発熱物質、ならびにヒトまたは動物に有害であり得る任意の他の不純物を本質的に含まない薬学的組成物を調製することを含む。一般的に、複合体を安定にしそして標的細胞による取り込みを可能にするために適切な緩衝液を用いることも所望される。
【0099】
本発明の水性組成物は、上記のようなリポソームにカプセル化され、さらに薬学的に受容可能なキャリアまたは水性倍体に分散された、有効量のアンチセンス発現ベクターを含む。このような組成物は、接種物ともいう。用語「薬学的に」または「生理学的に受容可能」とは、動物またはヒトに適切に投与される場合、有害な、アレルギー性の、または他の都合の悪い反応を生じない組成物をいう。
【0100】
本明細書で使用される場合、「薬学的に受容可能なキャリア」としては、任意およびすべての溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などが挙げられる。薬学的に活性な物質についてのこのような媒体および薬剤の使用は、当該技術分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性成分と不適合であるかぎり以外は、治療組成物における使用が意図される。追加の活性成分はまた、組成物に組み込まれ得る。
【0101】
治療組成物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適切に混合した水中で調製され得る。分散剤はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、それらの混合物中で、および油中で調製され得る。貯蔵および使用の普通の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐための保存剤を含む。
【0102】
本発明の治療組成物は、液体溶液または懸濁液のいずれかとして注射可能な組成物の形態で有利に投与され;注射前に液体中での溶液または懸濁液に適切な固体形態も調製され得る。これらの調製物はまた乳化され得る。このような目的のための代表的組成物は、薬学的に受容可能なキャリアを含む。例えば、組成物は、リン酸緩衝化生理食塩水の1ミリリットル当たり、10mg、25mg、50mg、または約100mgまでのヒト血清アルブミンを含み得る。他の薬学的に受容可能なキャリアには、水溶液、非毒性賦形剤(塩、保存剤、緩衝剤を含む)などが挙げられる。
【0103】
非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、およびオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルである。水性キャリアには、水、アルコール性/水性溶液、生理食塩溶液、塩化ナトリウム、リンゲルブドウ糖のような非経口ビヒクルなどが挙げられる。静脈内ビヒクルには、液体および栄養補充物が挙げられる。保存剤には、抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤、および不活性ガスが挙げられる。薬学的組成物の種々の成分のpHおよび正確な濃度は、周知のパラメータに従って調節される。
【0104】
追加の処方物は、経口投与に適切である。経口処方物には、例えば、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような代表的賦形剤が挙げられる。組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、持続放出処方物、または粉剤の形態をとる。経路が局所的である場合、形態はクリーム、軟膏(ointment)、軟膏(salve)、またはスプレーであり得る。
【0105】
本発明の治療組成物は、古典的薬学的調製物を含み得る。本発明による治療組成物の投与は、標的組織がその経路を介して利用可能である限り、任意の普通の経路を介する。これには、経口、経鼻、経頬内、経直腸、経膣、または局所が含まれる。局所投与は、化学療法で誘導された脱毛症または他の皮膚過剰増殖障害を防ぐために、皮膚ガンの処置に特に有利である。あるいは、投与は、眼局所(orthotopic)、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、または静脈内注射によってであり得る。このような組成物は、正常には、生理学的に受容可能なキャリア、緩衝剤、または他の賦形剤を含む薬学的に受容可能な組成物として投与される。肺の症状の処置については、好ましい経路は肺へのエアロゾル送達である。エアロゾルの容量は、約0.01mlと0.5mlとの間である。同様に、結腸関連疾患の処置のために好ましい方法は、浣腸によってである。浣腸の容量は、約1mlと100mlとの間である。
【0106】
治療組成物の有効量は、意図される目的に基づいて決定される。用語「単位用量」または「投与量」とは、被験体における使用に適切な物理的に別個の単位をいい、各単位は、その投与、すなわち適切な経路および処置方法と関連して、上記の所望の応答を生じるために計算された治療組成物の所定の量を含む。処置の数および単位用量の両方に従って投与されるべき量は、所望の防御に依存する。
【0107】
治療組成物の正確な量はまた、主治医の判断に依存し、そして各個体に固有である。用量に影響を及ぼす因子には、患者の物理的および臨床的状態、投与経路、処置(徴候対治癒の軽減)および効能の意図された目的、特定の治療物質の安定性および毒性が挙げられる。本発明については、単位用量に含まれる治療ペプチドの量は、約5〜30mgのポリヌクレオチドの範囲であると考えられる。
【実施例】
【0108】
(E.実施例)
実施例1:オリゴヌクレオチドの合成
【0109】
ヌクレアーゼ耐性p−エトキシオリゴヌクレオチド、非イオン性ホスホジエステルアナログを、Oligo Therapeutics(Willsonville,OR)から購入した。ヒトBcl−2 mRNAの翻訳開始部位に特異的なオリゴヌクレオチド:配列5’CAGCGTGCGCCATCCTTC3’(配列番号1)を、アンチセンスオリゴヌクレオチドとして使用した。2つの異なるコントロールオリゴヌクレオチドを使用した:5’ACGGTCCGCCACTCCTTCCC3’(配列番号2)(Bcl−2アンチセンスオリゴヌクレオチドのスクランブル型)およびランダム配列5’CTGAAGGGCTTCTTCC3’(配列番号3)。
【0110】
実施例2:リポソームオリゴヌクレオチド(L−OS)の調製
蒸留水に溶解したp−エトキシ−オリゴヌクレオチドを、過剰のtert−ブタノール(≧95容量%)の存在下でリン脂質(Avanti Polar Lipids,Alabaster,AL)に添加した。混合物を、ドライアイス/アセトン浴中で凍結し、一晩凍結乾燥させ、そして最終的に0.1mmol/Lの最終オリゴヌクレオチド濃度でHEPES緩衝化生理食塩水(1mmol/L Hepesおよび10mmol/L NaCl)で水和した。リポソームオリゴヌクレオチド(L−OS)を、浴槽タイプの超音波処理器中で12分間超音波処理した。粒子の平均直径は、NICOMP粒子測定システム(Santa Barbara,CA)で決定した場合、100nm±50nmであった。
【0111】

実施例3:タンパク質発現のオリゴヌクレオチド阻害
細胞株
Bcl−2タンパク質を過剰発現するt(14;18)転座を有するヒト形質転換FL細胞株である、Johnson細胞を使用した。それぞれヒトBurkittリンパ腫細胞株およびヒト急性T細胞白血病細胞株である、RajiおよびJurkat細胞も使用した。両方の株ともBcl−2タンパク質を発現するが、t(14;18)転座がない。Bcl−2タンパク質を発現しないヒトBurkittリンパ腫細胞株であるDaudi細胞を、ネガティブコントロール細胞株として使用した。Johnson、Raji、およびJurkat細胞を、10%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)を補充したRPMI 1640培地(GIBCO, Grand Island, NY)中で増殖した。Daudi細胞を、20%熱不活性化FBSを補充したRPMI 1640培地中で増殖した。
【0112】
L−OSの細胞への送達
10,000細胞/ウェルを、0.1mLのそれぞれの培地中の96ウェルプレートに播種した。細胞を、5%COインキュベーター中で37℃にて2〜8μmol/Lの最終濃度でL−OSとともにインキュベートした。各研究を3連で行い、そして少なくとも3回繰り返した。
【0113】
細胞生存度アッセイ
新生物細胞の生存度を、alamarBlue色素(Alamar,Sacramento,CA)によって測定した。L−OSとのインキュベーションの5日後、40μLの細胞/ウェルをアリコートにし、そして140μLの新鮮な培地に添加した。20μLのalamarBlue色素を各ウェルに添加した。37℃にて12時間のインキュベーション後、プレートを、570および595nmにてマイクロプレートリーダー(Molecular Devices,CA)で直接読んだ。570と595nmとの間の吸光度の差を、細胞の全体の吸光度値とみなした。すべての実験を、t−検定によって分析し、ここでは、L−OSで処理した細胞の生存度は、未処理のコントロールの生存度と比較した。
【0114】
Bcl−2およびBaxタンパク質についてのウエスタンブロット
100,000細胞/ウェルを、3mLのそれぞれの培地中の6ウェルプレートに播種し、2、3、および4μmol/LのL−OSで処理し、そして37℃にてインキュベートした。未処理細胞も、培養物中で維持した。試料を、L−OSの添加後3日目に取り出し、そして0℃にて30分間100μLの溶解緩衝液(1%Triton、150mmol/L NaCl、および25mmol/L Tris pH 7.4)中で溶解した。12,000×gにて10分間の遠心分離後、上清を回収し、そして総タンパク質含量について標準化した(Bcl−2分析については5μg/レーンのJohnson細胞ライセートおよび20μg/レーンのJurkat細胞ライセート、ならびにBax分析については25μg/レーンのJohnson細胞)。ライセートを、1%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)および1%の2−β−メルカプトエタノールを含む試料緩衝液と混合し、そして5分間煮沸した。SDS−PAGEを10%ポリアクリルアミドゲルに流し、電気泳動でニトロセルロースメンブレンに移し、そして10%脱脂乾燥乳でブロックした。フィルターを2つの部分に切断した:下の部分を、6C8ハムスター抗ヒトBcl−2モノクローナル抗体またはウサギ抗ヒトBaxポリクローナル抗体(Hockenberyら,Nature,348:334,1990)とインキュベートし、そして上の部分を、室温にて2時間、マウス抗アクチンモノクローナル抗体(Amersham)とインキュベートした。洗浄、ならびにペルオキシダーゼ標識した抗ハムスター(KirkegaarおよびPerry laboratories)、抗ウサギ(Santa Cruz)、または抗マウス(Amersham)二次抗体とのインキュベーション後、ブロットを、増強した化学発光系(ECL,Amersham)によって顕色した。Bcl−2タンパク質の阻害およびBcl−2/Baxタンパク質の比を評価するために、濃度測定スキャンを、Gilford Response Gel Scanner(CIBA Corning,Medfield,MA)でのウエスタンブロットで行った。500nmでの吸光度ピークの面積積分を使用して、Bcl−2:アクチンおよびBcl−2:Baxタンパク質の比を決定した。
【0115】
アポトーシスの分析
アポトーシスに関連したヌクレオソーム間のDNA切断を定性的に決定するために、アガロースゲル電気泳動によるDNAフラグメント化分析を行った(Dukeら,Coliganら(編) Current protocols in immunology,1巻,New York:John Wiley & sons,p3.17.1,1991)。簡単にいえば、1×10Johnson細胞を、75sq.cm組織培養フラスコ中10mLの培地中で培養し、4μmol/LのL−OSで処理し、そして37℃にてインキュベートした。未処理細胞も、培養物中で維持した。試料を処理後3日目に取り出し、PBSで洗浄し、そして200×gにて10分間遠心分離することによってペレットにした。ペレットを、0.5mLの溶解緩衝液(10mmol/L Tris pH 7.4、1mmol/L EDTA pH 8.0、および0.2%Triton X−100)で溶解し、そしてフラグメントにしたDNAを、13,000×gにて10分間マイクロ遠心分離することによってインタクトなクロマチンから分離した。上清のDNAを、−20℃にて一晩0.7mLの氷冷イソプロパノールで沈殿させ、30μLのTE緩衝液(10mmol/L Tris pH 7.4、1mmol/L EDTA pH 8.0)に再懸濁し、そして10μLのRNase(10μg/mL溶液)中で60℃にて1時間インキュベートした。ウェル当たり20μLの試料を、2%アガロースゲルで電気泳動し、そしてエチジウムブロミド染色によって可視化した。
【0116】
アポトーシスの程度を定量的に決定するために、蛍光DNA結合色素のアクリジンオレンジ(Dukeら,1991)を使用した。簡単にいえば、5μmol/Lの最終濃度のL−OSを、1mLの培地中24ウェルプレートにプレートした1×10細胞/ウェルに添加した。37℃でのインキュベーションの3日後、細胞をPBSで洗浄し、そして1×10細胞/mLで再懸濁した。25μlの細胞懸濁液を、1μLのアクリジンオレンジ色素(100μg/mL、Sigma Chemicals, St.Louis,MO)と混合し、そして蛍光顕微鏡で観察した。アポトーシス細胞の割合(アポトーシスインデックス)を、血球計数器を使用して得た。アポトーシスインデックス=(アポトーシス核を有する細胞の総数/計数された細胞の総数)×100%。
【0117】
リンパ腫細胞増殖におけるL−bcl−2−アンチセンスオリゴヌクレオチド(「L−bcl−2」)の効果
L−bcl−2の細胞への添加後5日目に、腫瘍細胞の生存度を評価した。細胞増殖を、t(14;18)転座を有しそして非常に高レベルのBcl−2を発現するJohnson細胞においては濃度依存的様式で阻害した。6μmol/L L−bcl−2の濃縮物は、5日以内のJohnson細胞の生存性の完全喪失を生じた(図1)。細胞生存度の同様の用量依存的減少は、3つの別の研究においてみられ得た。逆に、6μmol/L( )L−bcl−2での処理後、Jurkat、Raji、およびDaudi細胞の生存度は、それぞれ23%、0%、および35%のみ減少した(図1)。
【0118】
リンパ腫細胞増殖におけるリポソームコントロールオリゴヌクレオチド(L−コントロールオリゴ)の効果
2つのコントロールオリゴヌクレオチドを使用して、観察された阻害の特異性を決定した。L−コントロールオリゴまたは空のリポソームをJohnson細胞に添加した場合、細胞増殖阻害は観察されなかった。Jurkat、Raji、およびDaudi細胞も、L−コントロールオリゴおよび空のリポソームで処理した。非特異的毒性は、6μmol/Lより多いL−OSを使用した場合に観察し得たが、空のリポソームでは観察されなかった(図2)。
【0119】
L−bcl−2−アンチセンスオリゴヌクレオチドによるBcl−2タンパク質の選択的阻害
Johnson細胞におけるL−bcl−2の細胞傷害効果がBcl−2タンパク質の減少によって引き起こされたかどうかを決定するために、L−bcl−2での処理後のこれらの細胞におけるBcl−2タンパク質発現ならびにBcl−2タンパク質を過剰発現する他の細胞株におけるL−bcl−2の効果(図3)も決定した。
【0120】
Johnson細胞を、2、3、および4mmol/LのL−bcl−2で処理した場合、Bcl−2/アクチンタンパク質の比は、それぞれ28、57、および64%阻害された。Bcl−2タンパク質発現は、同じ用量のL−コントロールオリゴで処理した細胞で阻害されなかった。
【0121】
Jurkat細胞を、3および4mmol/LのL−bcl−2で処理した場合、Bcl−2/アクチンタンパク質の比は、それぞれ44%および50%阻害された。Bcl−2タンパク質は、同じ用量のL−コントロールオリゴを使用した場合、有意に阻害されなかった(図4)。
【0122】
L−bcl−2およびL−コントロールオリゴでの処理の前後のJohnsonおよびJurkat細胞におけるBcl−2/Baxタンパク質の比も決定した。Johnson、Raji、およびDaudi細胞はBaxタンパク質を発現したが、Jurkat細胞は発現しなかった(図5)。Johnson細胞を、2、3、および4mmol/LのL−bcl−2で処理した場合、Bax/アクチンの比は改変されなかったが、Bcl−2/Baxの比はそれぞれ10%、40%、および50%減少した。これらのタンパク質比は、同じ用量のL−コントロールオリゴでの処理後に改変されなかった(図6)。
【0123】
Bcl−2タンパク質の阻害はFL細胞におけるアポトーシスを導く
Johnson細胞で見られる増殖阻害効果がアポトーシスの誘導に関連し得るかどうかも研究した。L−bcl−2とのインキュベーションの3日後、代表的なヌクレオソーム間DNA分解パターンが観察されたが、L−コントロールオリゴとインキュベートした細胞は、ヌクレオソーム間DNAパターンを示さなかった(図7)。その後、アクリジンオレンジによるアポトーシスの定量を評価した。4および5μmol/LのL−bcl−2への曝露の3日後、アポトーシス細胞が明らかであった。未処理のJohnson細胞のアポトーシスインデックスは3%であったが、4および5μmol/LのL−bcl−2で処理したJohnson細胞のインデックスは、それぞれ43%および61%であった。アポトーシスインデックスの有意な増加は、リポソームコントロールオリゴヌクレオチドまたは空のリポソームで処理した細胞では見られなかった(図8)。
【0124】
L−bcl−2は用量依存的様式でBcl−2タンパク質の発現および細胞増殖をダウンレギュレートする
細胞増殖の阻害は、t(14;18)転座を有するFL細胞株でのみ見られたが、細胞増殖阻害は、Bcl−2発現(Daudi細胞)またはt(14;18)転座(RajiおよびJurkat細胞)のない細胞株では見られなかった。2つの異なるコントロールオリゴヌクレオチドへ曝露したJohnson細胞において、非特異的毒性はなかった。増殖阻害効果は、3μmol/LのL−bcl−2の濃度で始まることが観察され得、そして阻害効果は6μmol/L濃度で最大であった。処理した細胞は、代表的DNAヌクレオソーム間分解パターン、およびアクリジンオレンジによって測定した場合に増加したアポトーシスインデックスを示したので、L−bcl−2がJohnson細胞において増殖阻害を及ぼすメカニズムの1つは、アポトーシスの誘導を介するものであり得た。3日目までに、5μmol/LのL−bcl−2で処理したJohnson細胞の61%が、L−コントロールオリゴで処理した細胞では15%であったのと比較してアポトーシスであった。アポトーシスは、他の細胞タイプで観察されなかった。
【0125】
したがって、Bcl−2タンパク質の阻害は、生存性を維持するためのBcl−2タンパク質の存在に依存する細胞において、細胞増殖阻害を導く。遺伝子導入実験は、Bcl−2が、インビトロでリンパ様細胞生存性を維持することに重要な役割を果たすという証拠を提供したが、他の自己分泌増殖因子もまた関連し得る(Vauxら,Nature(London),355:440,1988;Reedら,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,87:3660,1990b;BlagosklonnyおよびNeckers,Eur.Cytokine Network,6:21,1995)。ホスホロチオネートアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して、Cotterおよび共同研究者らは、t(14;18)転座を有しそしてBcl−2タンパク質を過剰発現するDoHH2細胞株の増殖阻害を観察したが、t(14;18)転座なしにBcl−2タンパク質を過剰発現するFC11細胞株では観察されなかった(Cotterら、1994)。Bcl−2を過剰発現しそしてt(14;18)転座のない細胞は、アポトーシスおよび増殖阻止に駆動する、増殖因子喪失または化学療法薬物での処理のような、アポトーシス刺激を必要とし得る(Reed,1995)。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、t(14;18)転座なしに高レベルのBcl−2もまた過剰発現する細胞の化学療法剤耐性を逆転させるために使用され得る(Kitadaら,Antisense Res.Dev.,4:71,1994)。アポトーシス刺激と本発明の開示のL−Bcl−2とのこのような組み合わせが、添付の請求の範囲の精神および範囲に包含されることが理解される。
【0126】
アポトーシス細胞死のプロモーターであるBaxは、他のBcl−2ファミリーメンバー機能のヘテロダイマー化および調節に関連する共通のパートナーであり得る(Sedlakら,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,92:7834,1995)。Bcl−2:BaxヘテロダイマーおよびBax:Baxホモダイマーの形成における平衡が、アポトーシスの分子調節における中心のようであることが示唆されている(Yinら,1994)。さらに、近年の研究では、Bcl−2:Baxの比は、IL−3依存的FL5.12細胞における細胞死と相関した。約半分以上のBaxがBcl−2とヘテロダイマー化された場合、アポトーシスは阻害された(Yangら,1995)。L−bcl−2とのインキュベーション後にJohnson細胞で観察されたアポトーシス死は、Bcl−2:Bax比の減少およびより多くのBax:Baxホモダイマーの形成に起因し得た。
【0127】
別の説明は、C−MYCおよびp53のような他のガン遺伝子および腫瘍サプレッサー遺伝子が、他の細胞株の生存に関連し得るということである。例えば、C−MYCは、代表的には、Burkittリンパ腫でおよびいくつかの形質転換されたFLで発現される(McDonnellおよびKorsmeyer,1991)。多くのヒト腫瘍に関連するサプレッサー遺伝子であるp53遺伝子の変異はまた、これらの細胞株に関連し得;p53遺伝子は、Baxのアップレギュレーションによって細胞周期阻止およびアポトーシスを誘導するために、少なくとも一部は転写因子として機能する、DNA結合タンパク質をコードする(VogelsteinおよびKinzler,Cell,70:523,1992;Miyashitaら,Oncogene,9:1799,1994;MiyashitaおよびReed,Cell,80:293,1995)。おそらく、Bcl−2発現の阻害単独では、t(14;18)転座を有するような高い発現レベルのBcl−2を有する細胞以外の細胞におけるアポトーシスおよび増殖阻害を誘導するために十分ではない。しかし、本明細書に記載のように、L−bcl−2によるBcl−2/Baxの比の減少は、嚢胞性リンパ腫治療ならびにBaxが発現される細胞における他のBcl−2疾患への分子アプローチのための基礎を形成する。
【0128】
実施例4:p53核移入のBcl−2調節
野生型p53遺伝子を有する、ヒト前立腺ガン腫細胞株、LNCaP(Carrollら,Prostate,23:123−134,1993)を選択して、bcl−2によるp53依存的性のプログラムされた細胞死の阻害を研究した。安定なbcl−2発現LNCaP前立腺ガン腫細胞株を生成し、そしてウエスタンブロットによって確認した。bcl−2の発現は、形態学的およびフローサイトメトリー分析によって評価される場合にコントロールクローンと比較して、γ−照射後のアポトーシス誘導に対して顕著な耐性を与えた(図9Aおよび9B)。照射後48時間まで、bcl−2発現LNCaP細胞において、顕著な細胞死誘導は観察されなかった。さらに、照射前のLNCaPとLNCaP−bcl−2細胞との間の細胞周期分布の差、および細胞周期内の細胞の分布が照射後に変更される証拠はなかった。約60%の非照射コントロール細胞は、G/Gにあり、18%がS期、および22%がG/Mにあり、これと比較して59%の非照射LNCaP−bcl−2細胞がG/G、21%がS期、および20%がG/Mにある。これらの値は、照射後30分、1時間、2時間、4時間、および8時間で観察された値と著しく異ならなかった。
【0129】
遺伝毒性傷害に応じて誘導されたアポトーシスは、p53依存的であると考えられる。LNCaP細胞では、総細胞性p53タンパク質は、20Gyγ−照射後4時間以内に、bcl−2発現クローンおよびコントロールトランスフェクタントのほぼ等価なレベルまで誘導された(図10A)。単離された核を使用するウエスタンブロット分析は、核中のp53タンパク質のレベルがコントロールLNCaPにおいて照射の2時間以内に増加するが、bcl−2発現LNCaP細胞では増加しないことを明らかにした(図10A)。この観察は、DNA傷害後のp53の核移入が、高レベルのbcl−2タンパク質に関連して損傷され得ることを示唆する。
【0130】
スキャンニング共焦点レーザー顕微鏡を使用して、照射後のp53核移入をさらに特徴づけた。bcl−2細胞における核p53移入の阻害は、p53タンパク質を認識する抗体を使用して共焦点顕微鏡によって確認された(図10B)。したがって、2つの独立した技法によって、p53核移入は、電離放射線による細胞死誘導後のbcl−2発現細胞において著しく阻害されることを証明した。
【0131】
p53のトランス活性化能力がbcl−2タンパク質に関連した影響を及ぼすかどうかを決定するために、NIH3T3細胞を、機能的p53結合部位を有するmdm−2プロモータールシフェラーゼリポーター構築物で、一過性でトランスフェクトした。ルシフェラーゼ活性は、野生型p53発現プラスミドでの同時トランスフェクション後に約8倍増加したが、変異体p53発現プラスミドでは増加しなかった(図10C)。bcl−2および野生型p53発現プラスミドの同時トランスフェクションは、野生型p53単独と比較してルシフェラーゼ活性の2〜4倍の減少を生じた(p≦0.02)。
【0132】
野生型p53の核輸移入を阻害するbcl−2の能力がLNCaP前立腺ガン細胞株に特異的であるかどうかを評価するために、RKO結腸ガン腫細胞株を使用して、さらなる研究を行った。RKO細胞は、野生型p53遺伝子を有し(Nagasawaら,CancerRes.,55,1842−1846,1995)、そしてまたbcl−2タンパク質を発現する。RKO細胞におけるbcl−2発現をダウンレギュレートするために、bcl−2特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを、リポソームによって送達した。Bcl−2タンパク質レベルは、空のリポソームまたはコントロールオリゴヌクレオチドを含むリポソームで処理したRKO細胞と比較して、3倍減少した(図11A)。共焦点顕微鏡を使用して、アンチセンスbcl−2オリゴヌクレオチドまたはコントロールオリゴヌクレオチドを含むリポソームで処理したRKO細胞において、10Gyのγ−照射後4時間のp53タンパク質をイメージングした。コントロールオリゴヌクレオチドで処理したRKO細胞は、ほとんどのp53タンパク質がサイトゾルに局在したままであることを示した(図11B)。逆に、bcl−2がアンチセンスオリゴヌクレオチドによってダウンレギュレートされているRKO細胞は、コントロールオリゴヌクレオチドで処理したRKO細胞と比較して、核内で高レベルのp53タンパク質および有意な(p≦0.005)細胞死誘導を示した(図11C)。これらの所見は、DNA傷害に応じて野生型p53タンパク質の移入を調節するためのbcl−2の能力が細胞タイプ特異的ではないことを示唆する。
【0133】
照射およびカルセイン−AM染色
細胞を、10%FBSを含むRPMI中で20分間1mg/mlでカルセイン−AM(Molecular Probes,Eugene,OR)をプレロード(preloaded)した。細胞を、137Csγ源を使用して20Gyの放射を与え、そしてカルセイン生成した蛍光を、エピ蛍光(epifluorescence)光学およびFITCフィルター(530nm発光)を使用して可視化した。LNCaP細胞においてアポトーシスの最大レベルを誘導するために必要な最少用量として、20Gy用量の放射を選択した。
【0134】
フローサイトメトリー分析
LNCaP細胞における細胞周期および細胞死誘導のフローサイトメトリー分析。単一細胞懸濁液を70%エタノールで固定し、そして50mg/mlプロピジウムヨード(PI)および20mg/ml RNAseとともに37℃にて15分間インキュベートした。フロー分析を、488nm励起でEPICS Profile Iで行い、そしてElite Software 4.0(Coulter Corp,Miami,FL)およびMulti Cycle DNA Analysisプログラムソフトウエア(Phoenix Flow Systems,San Diego,CA)を使用して、PI蛍光について収集した。
【0135】
トランスフェクションおよびルシフェラーゼアッセイ
LNCaP細胞を、既述のように(Marinら,Oncogene,12,2259−66,1996;Tuら,Cancer Lett.,93,147−155,1995)bcl−2 cDNAインサートを有するまたは有さない(コントロール)脾臓フォーカス形成ウイルス発現プラスミドでトランスフェクトした。エフェクタープラスミドLTRXAおよびLTRKH発現プラスミドはこれまでに記載されており(Defileら,1993)、そしてそれぞれ野生型および変異体p53を表す。リポータープラスミドP2mdm2−Lucを、マウスmdm2遺伝子からのp53応答性エレメントを含む1Kb Xhol−フラグメントをpA3−ルシフェラーゼプラスミドのSmal部位にクローニングすることによって作製した。NIH3T3細胞を、トランスフェクションの24時間前にプレート当たり0.5×10細胞の密度でプレートした。エフェクター野生型または変異体p53プラスミド(10μg)、リポータープラスミドP2mdm2−Luc(4μg)、およびβ−ガラクトシダーゼ(βgal)発現プラスミド(3μg)を、リン酸カルシウム法後にbcl−2ベクター(20μg)とともにまたはなしで同時トランスフェクトした。トランスフェクトしたDNAの総量を、すべてのトランスフェクションについて、p−GEMプラスミドを37μgの総DNAまで添加することによって標準化した。トランスフェクション後48時間に、細胞を採取した。抽出物を作製し、そしてルシフェラーゼ活性についてアッセイした。
【0136】
免疫蛍光染色および共焦点顕微鏡分析
LNCaPコントロールおよびLNCaP−bcl−2細胞を、ラミニンでコートしたカバースライド上で増殖させ、そして20Gyで照射した。4時間後、細胞をPBSで2回洗浄し、次いで4%パラホルムアルデヒドで10分間固定し、そしてPBS中で2回洗浄した。細胞をPBS中10%ヤギ血清でブロックし、10%ヤギ血清中でp53(AB−2,Calbiochem)抗体(75:1)とともにインキュベートし、2回洗浄し、そして10%ヤギ血清中でフルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識二次抗体(200:1)とともにインキュベートした。イメージングを、Zeiss走査型共焦点レーザー顕微鏡を使用して行った。
【0137】
RKO細胞を、ラミニンでコートしたカバースライド上で増殖させ、そして5%COインキュベーター中37℃にて3日間、10μMの最終濃度でリポソームオリゴヌクレオチド処方物とともにインキュベートした。10Gyでの照射後4時間で、細胞をPBSで2回洗浄し、次いで4%パラホルムアルデヒドで10分間固定し、そしてPBS中で2回洗浄した。細胞をPBS中10%ヤギ血清でブロックし、10%ヤギ血清中でp53(AB−2,Calbiochem)抗体(75:1)とともにインキュベートし、2回洗浄し、そして10%ヤギ血清中でフルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識二次抗体(200:1)とともにインキュベートした。共焦点顕微鏡分検査を、Zeiss走査型共焦点レーザー顕微鏡を使用して行った。
【0138】
アンチセンスおよびDNA方法
p−エトキシ−オリゴヌクレオチド、非イオン性およびヌクレアーゼ耐性ホスホジエステルアナログを、Oligo Therapeutics (Willsonville,OR)から購入した。ヒトbcl−2 mRNAの翻訳開始部位に特異的なオリゴヌクレオチド:5’CAGCGTGCGCCATCCTTC3’(配列番号1)を、アンチセンスオリゴヌクレオチドとして使用した。使用したコントロールオリゴヌクレオチドは、スクランブル型のBcl−2アンチセンスオリゴヌクレオチド5’ACGGTCCGCCACTCCTTCCC3’(配列番号2)であった。DMSOに溶解したp−エトキシ−オリゴヌクレオチドを、過剰のtert−ブタノールの存在下でリン脂質(Avanti Polar Lipids,Alabaster,AL)に添加した。混合物を、ドライアイス/アセトン浴中で凍結し、一晩凍結乾燥し、そして0.1mmol/Lの最終オリゴヌクレオチド濃度で0.9%生理食塩水で水和した。空のリポソームを、オリゴヌクレオチドが調製物中に含まれないこと以外は、上記と同様に調製した。0.25×10細胞/mLを、24ウェルプレート中のそれぞれ0.5mLの培地中に播種した。細胞を、5%COインキュベーター中37℃にて3日間、10μMの最終濃度で、アンチセンス、コントロールオリゴヌクレオチドおよび空のリポソームとインキュベートした。コントロールおよびbcl−2でトランスフェクトしたクローンの全細胞抽出物(40μg)のウエスタンブロッティングを、抗bcl−2モノクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology Inc,Santa Cruz,CA)を使用するbcl−2タンパク質についての免疫ブロッティングによって分析した。
【0139】
細胞および核抽出物におけるタンパク質発現の分析
γ−照射後のp53タンパク質誘導および核への輸送のウエスタンブロット分析。コントロールLNCaPおよびLNCaP−bcl−2細胞のサブコンフルエント培養物に、20Gyを照射した。核の抽出物を、低張溶解緩衝液(100mM Hepes、pH 7.4、1.5mM MgCl、10mM KCl、0.5mMβ−メルカプトエタノール、および5ng/mlロイペプチン)中に細胞単層を掻き落とすことによって調製した。氷上で10分後、NP−40を0.625%まで添加し、そして粗核ペレットを、2000×gで5分間の遠心分離によって回収した。核ペレットを、SDS−PAGE試料ローディング緩衝液に溶解した。核および全細胞の抽出物を、照射後2および4時間に調製した。ライセートの等量を、p53抗体(Santa Cruz)での免疫ブロッティングによって分析した。
【0140】
核の抽出物を、低張溶解緩衝液(100mM Hepes、pH 7.4、1.5mM MgCl、10mM KCl、0.5mMβ−メルカプトエタノール、および5ng/mlロイペプチン)中に細胞単層を掻き落とすことによって調製した。氷上で10分後、NP−40を0.625%まで添加し、そして粗核ペレットを、2000×gで5分間の遠心分離によって回収した。核ペレットを、SDS−PAGE試料ローディング緩衝液に溶解した。
【0141】
実施例5:インビボ試験
インビボ試験の最初のラウンドでは、約5〜6週齢の30匹のヌード(nu/nu)マウスに、それぞれ3,000,000のJohnson細胞、t(14;18)転座を有する濾胞性リンパ腫細胞を腹腔内注射した。それぞれ10匹のマウスの3群を使用した:未処理マウス(I群)、リポソームp−エトキシBcl−2アンチセンス処理マウス(II群)、およびリポソームBcl−2コントロール処理マウス(III群)。腫瘍移植後1週に、IIおよびIII群のマウスに、リポソームBcl−2アンチセンスオリゴ、またはリポソームBcl−2コントロールオリゴの隔週の静脈内注射を投与した。オリゴ用量は、15mg/kgマウス体重である。
【0142】
50日目までに瀕死の状態(1.5cmを越える腫瘍サイズと定義される)に達した数匹のマウスが観察された。移植後70日目(処理の63日目)に、IおよびIII群では6匹のマウス(60%)が瀕死の状態に達しそしてこれらを屠殺し、一方、II群では2匹のみのマウス(20%)が瀕死の状態に達しそしてこれらを屠殺した。1匹の他のマウスは、77日目(処理の70日目)までに瀕死の状態に達した。研究を78日目に終了した。肝臓、腎臓、脾臓、心臓、肺、胃、小腸、および骨髄からの組織を、組織病理研究のために収集した。したがって、予備的インビボ結果は、中性リポソーム中の送達されたアンチセンスBcl−2が、マウスにおいて濾胞性リンパ腫を阻害することに効果的であることを示す。
【0143】
実施例6:臨床試験
この実施例は、脂質に会合したオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチド組成物を使用するヒト処置プロトコルの開発に関する。これらの脂質処方物は、形質転換されたまたはガン細胞がある役割を果たす種々のbcl−2過剰発現ガンおよび疾患の臨床処置における使用のものである。このような処置は、抗腫瘍治療、例えば、FLの患者を処置することに、特に有用なツールである。この処置はまた、濾胞性および非濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、ならびに形質細胞異形成を含む、白血病およびリンパ腫の両方の血液学的悪性疾患;乳ガン、前立腺ガン、および結腸ガンに付随するような固形腫瘍;ならびに免疫障害のような、bcl−2過剰発現によって媒介されそして従来の養生法および処置に耐性である他の状態を処置することに有用である。
【0144】
患者の処置およびモニタリングを含む臨床試験を行うことの種々のエレメントは、本開示を考慮に入れれば当業者に公知である。以下の情報を、臨床試験において、単独かまたは抗ガン薬物と組み合わせた、脂質に会合したオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチド組成物を確立することにおける使用のための一般的指針として提示する。
【0145】
第1相臨床試験のための候補は、すべての従来の治療が失敗した患者である。リポソームBcl−2アンチセンスオリゴが、試験的な週1回の基準で患者に静脈内投与される。疾患の経過をモニターしそして抗腫瘍応答を評価するために、患者が毎月適切な腫瘍マーカーについて検査されるべきであることが意図される。薬物の有効性を評価するために、以下のパラメーターをモニターする:腫瘍サイズおよびガン細胞の骨髄浸潤。患者の経過および処置の有効性をモニターするために使用される試験には、以下が含まれる:理学的検査、X線、血液研究、および他の臨床実験室的方法論。さらに、末梢血および骨髄試料を採取して、標的タンパク質発現の変化を評価する。第1相研究で与えられる用量は、標準的第1相臨床試験で行われるように段階的に増加され、すなわち、用量は、最大許容範囲が達成されるまで段階的に増加される。
【0146】
臨床応答は、許容可能な測定によって定義され得る。例えば、完全な応答は、少なくとも2ヶ月間のガン細胞の証拠の完全な消失によって定義され得る。それに対して、部分応答は、少なくとも2ヶ月間のガン細胞の50%減少によって定義され得る。
【0147】
実施例7:ヒト処置および臨床プロトコル
この実施例は、脂質に会合したオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの組成物を、単独でまたは抗ガン薬物と組み合わせて使用して、bcl−2媒介された疾患の処置を容易にするためのプロトコルを記載する。
【0148】
代表的には、処置のための候補である患者はFLの患者であるが、白血病およびリンパ腫の両方の血液学的悪性疾患;乳ガン、前立腺ガン、および結腸ガンに関連するもののような固形腫瘍;および免疫障害の患者もまた、本発明の方法で処置され得る。処置の代表的経過は、個々の患者および当業者に公知の方法で処置される疾患に依存して変化する。例えば、FLの患者は、8週間のサイクルで処置され得るが、患者に有害な効果が観察されないならばより長い期間が使用され得、そして患者が見込まれたほどには処置に寛容でないならばより短い処置期間となり得る。各サイクルは、等しく間隔をあけた20と35との間の用量からなるが、これも臨床状況に依存して変化され得る。
【0149】
FLのようなbcl−2媒介状態を示す患者は、以下のプロトコルを使用して処置され得る。患者は、それまでに化学療法、放射線治療、または遺伝子治療処置を受けていてもよいが、その必要はない。最適には、患者は、適切な骨髄機能(>2,000/mmの末梢絶対顆粒球数および100,000/mmの血小板数として定義される)、適切な肝機能(ビリルビン1.5mg/dl)、ならびに適切な腎臓機能(クレアチニン1.5mg/dl)を示す。
【0150】
bcl−2の過剰発現は、代表的には、治療の前、最中、および後にモニターされる。本発明の組成物は、代表的には、所望のように標準的な周知の非毒性の生理学的に受容可能なキャリア、アジュバント、およびビヒクルを含む投与単位処方物で、経口または非経口投与される。本明細書で使用される場合、用語、非経口には、皮下注射、静脈内、筋肉内、動脈内注射、または注入技術が挙げられる。脂質に会合したオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組成物は、他の抗ガン剤の前、後、または同時に患者に送達され得る。
【0151】
代表的な処置経過は、7〜21日の期間にわたって送達される約6用量を含み得る。臨床医による選択の際、養生法は、3週毎に6用量またはより少ない頻度(毎月、隔月、年に4回など)の基準で続けられ得る。もちろん、これらは、単に例示的な処置時間であり、そして当業者は多くの他の時間経過が可能であることを容易に認識する。
【0152】
本発明に記載の方法および組成物を使用してbcl−2過剰発現ガン細胞を殺すために、一般的には、標的細胞を既述の脂質に会合した処方物と接触させる。これらの組成物は、細胞を殺すまたは細胞の増殖を阻害するための有効量で提供される。
【0153】
脂質に会合した処方物の局所送達は、臨床疾患を妨げるための治療有効用量を送達するための効率的方法である。あるいは、全身送達が適切であり得る。本発明の治療組成物は、腫瘍の部位で患者に直接投与され得る。これは、本質的に、ガンの表面の局所的処置である。組成物の容量は、通常、腫瘍の全体の表面が、脂質に会合したオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組成物によって接触することを確実にするために十分であるべきである。
【0154】
1つの実施態様では、投与は、単に、治療組成物の腫瘍への注射を伴う。別の実施態様では、カテーテルが、腫瘍の部位に挿入され、そしてその腔は、所望の期間にわたり連続的に灌流され得る。
【0155】
もちろん、上記の処置養生法は、実施例5に記載の臨床試験のような臨床試験から得られた知見に従って変更され得る。当業者は、本明細書に開示された情報を得、そして本明細書に記載された臨床試験に基づいて処置養生法を最適化し得る。
【図面の簡単な説明】
【0156】
以下の図面は本明細書の一部を形成し、そして本発明の特定の局面をさらに証明するために含まれる。本発明は、本明細書に示される特定の実施態様の詳細な説明と組み合わせて1つ以上のこれらの図面を参照してよりよく理解され得る。
【図1】リポソーム−bcl−2−アンチセンスオリゴヌクレオチド(「L−bcl−2」)によるリンパ様細胞の増殖阻害。3μmol/L(点)、4μmol/L(横線)、5μmol/L(縦線)、および6μmol/L(斜線)の最終濃度のL−bcl−2を、Johnson細胞、Jurkat細胞、Raji細胞、およびDaudi細胞に添加した。5日後、腫瘍細胞の生存度を、alamarBlue染料によって測定した。生存度を、未処理細胞のパーセントとして表した。
【図2】リポソームオリゴヌクレオチドの6μmol/Lでのリンパ様細胞における非特異的毒性。空のリポソーム(斜線)および2つの異なるリポソームコントロールオリゴヌクレオチド(「L−コントロールオリゴ」)(灰色、黒色)を、6μmol/L最終濃度で、Johnson細胞、Jurkat細胞、Raji細胞、およびDaudi細胞に添加した。5日後、腫瘍細胞の生存度を、alamar blue染料によって測定した。生存度を、未処理細胞のパーセントとして表した。
【図3】4つの細胞株におけるBcl−2タンパク質のウエスタンブロット分析。Johnson細胞、Jurkat細胞、Daudi細胞、およびRaji細胞を、試料緩衝液に溶解し、そして総タンパク質含量について標準化した。25グラムの総タンパク質を各レーンにロードした。メンブレンをハムスター抗ヒトbcl−2モノクローナル抗体とともにインキュベートした。t(14;18)転座を有する細胞株であるJohnson細胞では、Bcl−2タンパク質の過剰発現が観察される。t(14;18)転座のないJurkatおよびRaji細胞では、Bcl−2の発現は低い。Daudi細胞では、Bcl−2発現は観察されない。
【図4】図4Aおよび図4B:L−bcl−2によるJohnsonおよびJurkat細胞におけるBcl−2タンパク質の特異的阻害。図4A:3mL中1×10Johnson細胞/mLを、3および4μmol/LのL−bcl−2またはL−コントロールオリゴで処理した。培養の3日後、タンパク質含有ライセートを調製し、そして5μgの総タンパク質をSDS−PAGEにかけ、そしてニトロセルロースメンブレンに移した。ブロットを切片に切断し、そしてBcl−2またはアクチンのいずれかに特異的な抗体とともにインキュベートした(左)。bcl−2タンパク質の阻害を推定するために、データを、スキャンニングデンシトメトリーによって定量し、そしてBcl−2:アクチンの比として表した(右)。L−bcl−2:(黒四角);L−コントロール:(白丸)。図4B:3mL中の1×10Jurkat細胞/mLを3および4μmol/LのL−bcl−2またはL−コントロールオリゴヌクレオチドで処理した。培養の3日後、タンパク質含有ライセートを調製し、そして20μgの総タンパク質をSDS−PAGEにかけ、そしてニトロセルロースメンブレンに移した。ブロットを切片に切断し、そしてBcl−2またはアクチンのいずれかに特異的な抗体とともにインキュベートした(左)。bcl−2タンパク質の阻害を推定するために、データを、スキャンニングデンシトメトリーによって定量し、そしてBcl−2:アクチンの比として表した(右)。L−bcl−2:(黒四角);L−コントロール:(白丸)。
【図5】4つの細胞株におけるBaxタンパク質のウエスタンブロット分析。Johnson細胞、Jurkat細胞、Daudi細胞、およびRaji細胞を、試料緩衝液に溶解し、そして総タンパク質含量について標準化した。50μgの総タンパク質を各レーンにロードした。メンブレンを、ウサギ抗ヒトBaxポリクローナル抗体とともにインキュベートした。
【図6】図6Aおよび図6B:Bcl−2/Bax比は、L−bcl−2によるJohnson細胞における減少する。図6A:3mLにおいて1×10Johnson細胞/mLを、2、3、および4μmol/LのL−bcl−2またはL−コントロールオリゴで処理した。培養の3日後、タンパク質含有溶解物をSDS−PAGEに供し、そしてニトロセルロースメンブレンに転写した。ブロットを切片に切断し、そしてBaxまたはアクチンのいずれかに特異的な抗体とともにインキュベートした。この実験を、図4Aおよび4Bに示される実験で得られる同じ溶解物を使用して行った。図6B:データを、スキャンニングデンシトメトリーによって定量し、そしてBcl−2:Baxの比として表した。L−bcl−2:(黒四角);L−コントロールオリゴ:(白丸)。
【図7】L−Bcl−2とインキュベートしたJohnson細胞におけるDNAフラグメント化。Johnson細胞を、4μmol/LのL−bcl−2および2つのL−コントロールオリゴとインキュベートした。インキュベーションの3日後、DNAを抽出し、2%アガロースゲルによって電気泳動し、そしてエチジウムブロミドで染色した。レーン1、未処理細胞;レーン2、L−コントロール(スクランブルした)オリゴで処理した細胞;レーン3、L−コントロール(ランダム)オリゴで処理した細胞;レーン4、L−bcl−2で処理した細胞。
【図8】図8Aおよび図8B:L−bcl−2でインキュベートしたアポトーシスJohnson細胞。図8A:5μmol/LのL−bcl−2(右)とのまたはリポソームオリゴヌクレオチド(「L−OS」)(左)なしでのインキュベーションの3日後、DNA結合染料のアクリジンオレンジで染色したJohnson細胞の蛍光写真。図8B:4および5μMのL−bcl−2(点)、L−コントロールオリゴ(横線)、または空のリポソーム(黒塗り)で処理したJohnson細胞のアポトーシスインデックス。アポトーシスインデックス=(アポトーシス核を有する細胞の総数/係数した細胞の総数)×100%。
【図9】図9Aおよび図9B:LNCaPコントロールおよびbcl−2トランスフェクトした細胞の照射後の細胞死の評価。図9A:LNCaPコントロールおよびbcl−2でトランスフェクトした細胞(LNCaP−bcl−2)の照射後の細胞死誘導の蛍光顕微鏡評価。未処理コントロール(左上)、未処理のLNCaP−bcl−2細胞(左下)、20Gyγ−照射の24時間後のコントロール細胞(右上)、および照射の24時間後のLNCaP−bcl−2細胞(右下)。アポトーシスの特徴的特徴を示した細胞は、コントロールで普通に観察されるが、照射後のLNCaP−bcl−2細胞では観察されない。図9B:LNCaP細胞における20Gyのγ−照射後の細胞死誘導のフローサイトメトリー分析。アポトーシス細胞は、照射の8時間後にLNCaPベクターコントロール細胞集団の約30%を含み、そして照射したLNCaP−bcl−2細胞では<5%を含む。
【図10】図10Aおよび図10Bおよび図10C:p53誘導、細胞下の局在化、および転写制御。図10A:LNCaPコントロールおよびLNCaP−bcl−2細胞におけるγ−照射後のp53タンパク質誘導および核移入のウエスタンブロット分析。コントロールLNCaPおよびLNCaP−bcl−2細胞のサブコンフルエント培養物を、20Gyで照射した。細胞全体または細胞全体から単離した核の抽出物を、照射後2および4時間に調製した。溶解物の等価のマウントを、p53抗体(Santa Cruz)での免疫ブロッティングによって分析した。対応するデンシトメトリースキャンは、照射後に誘導したp53タンパク質のマウントが、LNCaPコントロールおよびLNCaP−bcl−2細胞からの細胞全体抽出物においてほぼ等価であることを示す。しかし、p53タンパク質の核蓄積は、照射したLNCaPコントロール細胞から単離された核でのみ観察される。図10B:照射後のp53細胞下局在化の共焦点顕微鏡分析。LNCaPコントロール(左)およびLNCaP−bcl−2(右)細胞を、20Gyで照射し、4時間後に固定し、そしてp53タンパク質を共焦点レーザー顕微鏡をスキャンすることによってイメージングした。p53タンパク質の核局在化は、LNCaPコントロール細胞でのみ観察される。図10C:wt−p53による転写活性化のBcl−2阻害。NIH3T3細胞を、リン酸カルシウム法を使用して、bcl−2発現ベクター(BCL−2)(20μg)を含むかまたは含まない、エフェクター野生型(P53 WT)または変異体p53(P53 MUT)プラスミド(10μg)、リポータープラスミドP2mdm2−Luc(4μg)、およびβ−ガラクトシダーゼ(βgal)発現プラスミド(3μg)でトランスフェクトした。空のエフェクターベクター(VECTOR)での同時トランスフェクションを、ネガティブコントロールとして用いた。データは、ルシフェラーゼ活性の増加倍数を表す。Bcl−2は、野生型p53タンパク質がmdm2プロモーターをトランス活性化する能力を有意に阻害した(p≦0.02)。
【図11】図11Aおよび図11B:アンチセンスオリゴヌクレオチドによるRKO結腸ガン細胞におけるbcl−2のダウンレギュレーションおよびp53の局在化。図11A:RKO結腸ガン細胞におけるbcl−2タンパク質の選択的ダウンレギュレーション。細胞全体抽出物(40μg)のウエスタンブロッティングを、bcl−2タンパク質についての免疫ブロッティングによって分析した。タンパク質ローディングの基準化後のbcl−2タンパク質の相対マウントのグラフ表示を示す。アンチセンスbcl−2オリゴヌクレオチドでの処理は、bcl−2タンパク質の量の減少を生じたが、コントロールオリゴヌクレオチドまたは空のリポソームでは減少しなかった。図11B:コントロールオリゴヌクレオチド(上)またはアンチセンス−bcl−2オリゴヌクレオチド(下)で処理した照射したRKO細胞におけるp53タンパク質の共焦点顕微鏡。照射後のp53タンパク質の顕著な核局在化は、アンチセンス−bcl−2処理したRKO細胞でのみ観察される。
【0157】
(配列表)
SEQUENCE LISTING


(1) GENERAL INFORMATION:

(i) APPLICANT: Board of Regents, The University of Texas System

(ii) TITLE OF INVENTION: INHIBITION OF Bcl-2 PROTEIN EXPRESSION
BY LIPOSOMAL ANTISENSE OLIGODEOXYNUCLEOTIDES

(iii) NUMBER OF SEQUENCES: 7

(iv) CORRESPONDENCE ADDRESS:
(A) ADDRESSEE: Arnold, White & Durkee
(B) STREET: P.O. Box 4433
(C) CITY: Houston
(D) STATE: Texas
(E) COUNTRY: United States of America
(F) ZIP: 77210

(v) COMPUTER READABLE FORM:
(A) MEDIUM TYPE: Floppy disk
(B) COMPUTER: IBM PC compatible
(C) OPERATING SYSTEM: PC-DOS/MS-DOS
(D) SOFTWARE: PatentIn Release #1.0, Version #1.30

(vi) CURRENT APPLICATION DATA:
(A) APPLICATION NUMBER: pct/us97/18348
(B) FILING DATE: 1997-10-03
(C) CLASSIFICATION: Unknown

(viii) ATTORNEY/AGENT INFORMATION:
(A) NAME: Wilson, Mark B.
(B) REGISTRATION NUMBER: 37,259
(C) REFERENCE/DOCKET NUMBER: UTFC:550-JP

(ix) TELECOMMUNICATION INFORMATION:
(A) TELEPHONE: (512) 418-3000
(B) TELEFAX: (512) 474-7577


(2) INFORMATION FOR SEQ ID NO:1:

(i) SEQUENCE CHARACTERISTICS:
(A) LENGTH: 18 base pairs
(B) TYPE: nucleic acid
(C) STRANDEDNESS: single
(D) TOPOLOGY: linear





(xi) SEQUENCE DESCRIPTION: SEQ ID NO:1:

CAGCGTGCGC CATCCTTC 18

(2) INFORMATION FOR SEQ ID NO:2:

(i) SEQUENCE CHARACTERISTICS:
(A) LENGTH: 20 base pairs
(B) TYPE: nucleic acid
(C) STRANDEDNESS: single
(D) TOPOLOGY: linear





(xi) SEQUENCE DESCRIPTION: SEQ ID NO:2:

ACGGTCCGCC ACTCCTTCCC 20

(2) INFORMATION FOR SEQ ID NO:3:

(i) SEQUENCE CHARACTERISTICS:
(A) LENGTH: 16 base pairs
(B) TYPE: nucleic acid
(C) STRANDEDNESS: single
(D) TOPOLOGY: linear





(xi) SEQUENCE DESCRIPTION: SEQ ID NO:3:

CTGAAGGGCT TCTTCC 16

(2) INFORMATION FOR SEQ ID NO:4:

(i) SEQUENCE CHARACTERISTICS:
(A) LENGTH: 5086 base pairs
(B) TYPE: nucleic acid
(C) STRANDEDNESS: single
(D) TOPOLOGY: linear



(ix) FEATURE:
(A) NAME/KEY: CDS
(B) LOCATION: 1459..2175


(xi) SEQUENCE DESCRIPTION: SEQ ID NO:4:

GCGCCCGCCC CTCCGCGCCG CCTGCCCGCC CGCCCGCCGC GCTCCCGCCC GCCGCTCTCC 60

GTGGCCCCGC CGCGCTGCCG CCGCCGCCGC TGCCAGCGAA GGTGCCGGGG CTCCGGGCCC 120

TCCCTGCCGG CGGCCGTCAG CGCTCGGAGC GAACTGCGCG ACGGGAGGTC CGGGAGGCGA 180

CCGTAGTCGC GCCGCCGCGC AGGACCAGGA GGAGGAGAAA GGGTGCGCAG CCCGGAGGCG 240

GGGTGCGCCG GTGGGGTGCA GCGGAAGAGG GGGTCCAGGG GGGAGAACTT CGTAGCAGTC 300

ATCCTTTTTA GGAAAAGAGG GAAAAAATAA AACCCTCCCC CACCACCTCC TTCTCCCCAC 360

CCCTCGCCGC ACCACACACA GCGCGGGCTT CTAGCGCTCG GCACCGGCGG GCCAGGCGCG 420

TCCTGCCTTC ATTTATCCAG CAGCTTTTCG GAAAATGCAT TTGCTGTTCG GAGTTTAATC 480

AGAAGACGAT TCCTGCCTCC GTCCCCGGCT CCTTCATCGT CCCATCTCCC CTGTCTCTCT 540

CCTGGGGAGG CGTGAAGCGG TCCCGTGGAT AGAGATTCAT GCCTGTGTCC GCGCGTGTGT 600

GCGCGCGTAT AAATTGCCGA GAAGGGGAAA ACATCACAGG ACTTCTGCGA ATACCGGACT 660

GAAAATTGTA ATTCATCTGC CGCCGCCGCT GCCAAAAAAA AACTCGAGCT CTTGAGATCT 720

CCGGTTGGGA TTCCTGCGGA TTGACATTTC TGTGAAGCAG AAGTCTGGGA ATCGATCTGG 780

AAATCCTCCT AATTTTTACT CCCTCTCCCC CCGACTCCTG ATTCATTGGG AAGTTTCAAA 840

TCAGCTATAA CTGGAGAGTG CTGAAGATTG ATGGGATCGT TGCCTTATGC ATTTGTTTTG 900

GTTTTACAAA AAGGAAACTT GACAGAGGAT CATGCTGTAC TTAAAAAATA CAAGTAAGTC 960

TCGCACAGGA AATTGGTTTA ATGTAACTTT CAATGGAAAC CTTTGAGATT TTTTACTTAA 1020

AGTGCATTCG AGTAAATTTA ATTTCCAGGC AGCTTAATAC ATTGTTTTTA GCCGTGTTAC 1080

TTGTAGTGTG TATGCCCTGC TTTCACTCAG TGTGTACAGG GAAACGCACC TGATTTTTTA 1140

CTTATTAGTT TGTTTTTTCT TTAACCTTTC AGCATCACAG AGGAAGTAGA CTGATATTAA 1200

CAATACTTAC TAATAATAAC GTGCCTCATG AAATAAAGAT CCGAAAGGAA TTGGAATAAA 1260

AATTTCCTGC GTCTCATGCC AAGAGGGAAA CACCAGAATC AAGTGTTCCG CGTGATTGAA 1320

GACACCCCCT CGTCCAAGAA TGCAAAGCAC ATCCAATAAA ATAGCTGGAT TATAACTCCT 1380

CTTCTTTCTC TGGGGGCCGT GGGGTGGGAG CTGGGGCGAG AGGTGCCGTT GGCCCCCGTT 1440

GCTTTTCCTC TGGGAAGG ATG GCG CAC GCT GGG AGA ACG GGG TAC GAC AAC 1491
Met Ala His Ala Gly ArgThr Gly TyrAsp Asn
1 5 10

CGG GAG ATA GTG ATG AAG TAC ATC CAT TAT AAG CTG TCG CAG AGG GGC 1539
Arg Glu IleVal Met Lys Tyr Ile His Tyr LysLeu Ser Gln Arg Gly
15 20 25

TAC GAG TGG GAT GCG GGA GAT GTG GGC GCC GCG CCC CCG GGG GCC GCC 1587
Tyr Glu TrpAsp Ala Gly Asp Val Gly Ala Ala Pro Pro Gly Ala Ala
30 35 40

CCC GCA CCG GGC ATC TTC TCC TCCCAG CCC GGG CAC ACG CCC CAT CCA 1635
Pro Ala Pro Gly Ile Phe Ser SerGln Pro Gly His Thr Pro His Pro
45 50 55

GCC GCA TCC CGC GAC CCG GTC GCC AGG ACC TCG CCG CTG CAG ACC CCG 1683
Ala Ala Ser ArgAsp Pro Val Ala Arg Thr Ser Pro Leu Gln Thr Pro
60 65 70 75

GCT GCC CCC GGC GCC GCC GCG GGG CCT GCG CTC AGC CCG GTG CCA CCT 1731
Ala Ala Pro GlyAla Ala Ala Gly Pro Ala Leu Ser Pro Val Pro Pro
80 85 90

GTG GTC CAC CTG GCC CTC CGC CAA GCC GGC GAC GAC TTC TCC CGC CGC 1779
Val Val His LeuAla Leu Arg Gln Ala Gly Asp Asp Phe Ser ArgArg
95 100 105

TAC CGC GGC GAC TTC GCC GAG ATG TCC AGC CAG CTG CAC CTG ACG CCC 1827
Tyr Arg GlyAsp Phe Ala Glu Met Ser Ser Gln LeuHis Leu Thr Pro
110 115 120

TTC ACC GCG CGG GGA CGC TTT GCC ACG GTG GTG GAG GAG CTC TTC AGG 1875
Phe Thr Ala Arg Gly ArgPhe Ala Thr Val Val Glu GluLeu Phe Arg
125 130 135

GAC GGG GTG AAC TGG GGG AGG ATT GTG GCC TTC TTT GAG TTC GGT GGG 1923
Asp Gly Val AsnTrp Gly ArgIle Val Ala Phe Phe Glu PheGly Gly
140 145 150 155

GTC ATG TGT GTG GAG AGC GTC AAC CGG GAG ATG TCG CCC CTG GTG GAC 1971
Val Met Cys Val Glu Ser Val Asn Arg Glu Met Ser Pro Leu Val Asp
160 165 170

AAC ATC GCC CTG TGG ATG ACT GAG TAC CTG AAC CGG CAC CTG CAC ACC 2019
Asn Ile Ala Leu Trp Met ThrGlu Tyr LeuAsn Arg His Leu His Thr
175 180 185

TGG ATC CAG GAT AAC GGA GGC TGG GAT GCC TTT GTG GAA CTG TAC GGC 2067
Trp Ile GlnAsp Asn Gly Gly Trp Asp Ala Phe Val Glu LeuTyr Gly
190 195 200

CCC AGC ATG CGG CCT CTG TTT GAT TTC TCC TGG CTG TCT CTG AAG ACT 2115
Pro Ser Met Arg Pro Leu Phe Asp PheSer Trp Leu Ser Leu Lys Thr
205 210 215

CTG CTC AGT TTG GCC CTG GTG GGA GCT TGC ATC ACC CTG GGT GCC TAT 2163
Leu Leu Ser Leu Ala Leu Val Gly Ala Cys IleThr Leu GlyAla Tyr
220 225 230 235

CTG AGC CAC AAG TGAAGTCAAC ATGCCTGCCC CAAACAAATA TGCAAAAGGT 2215
Leu Ser His Lys


TCACTAAAGC AGTAGAAATA ATATGCATTG TCAGTGATGT ACCATGAAAC AAAGCTGCAG 2275

GCTGTTTAAG AAAAAATAAC ACACATATAA ACATCACACA CACAGACAGA CACACACACA 2335

CACAACAATT AACAGTCTTC AGGCAAAACG TCGAATCAGC TATTTACTGC CAAAGGGAAA 2395

TATCATTTAT TTTTTACATT ATTAAGAAAA AAGATTTATT TATTTAAGAC AGTCCCATCA 2455

AAACTCCGTC TTTGGAAATC CGACCACTAA TTGCCAAACA CCGCTTCGTG TGGCTCCACC 2515

TGGATGTTCT GTGCCTGTAA ACATAGATTC GCTTTCCATG TTGTTGGCCG GATCACCATC 2575

TGAAGAGCAG ACGGATGGAA AAAGGACCTG ATCATTGGGG AAGCTGGCTT TCTGGCTGCT 2635

GGAGGCTGGG GAGAAGGTGT TCATTCACTT GCATTTCTTT GCCCTGGGGG CGTGATATTA 2695

ACAGAGGGAG GGTTCCCGTG GGGGGAAGTC CATGCCTCCC TGGCCTGAAG AAGAGACTCT 2755

TTGCATATGA CTCACATGAT GCATACCTGG TGGGAGGAAA AGAGTTGGGA ACTTCAGATG 2815

GACCTAGTAC CCACTGAGAT TTCCACGCCG AAGGACAGCG ATGGGAAAAA TGCCCTTAAA 2875

TCATAGGAAA GTATTTTTTT AAGCTACCAA TTGTGCCGAG AAAAGCATTT TAGCAATTTA 2935

TACAATATCA TCCAGTACCT TAAACCCTGA TTGTGTATAT TCATATATTT TGGATACGCA 2995

CCCCCCAACT CCCAATACTG GCTCTGTCTG AGTAAGAAAC AGAATCCTCT GGAACTTGAG 3055

GAAGTGAACA TTTCGGTGAC TTCCGATCAG GAAGGCTAGA GTTACCCAGA GCATCAGGCC 3115

GCCACAAGTG CCTGCTTTTA GGAGACCGAA GTCCGCAGAA CCTACCTGTG TCCCAGCTTG 3175

GAGGCCTGGT CCTGGAACTG AGCCGGGCCC TCACTGGCCT CCTCCAGGGA TGATCAACAG 3235

GGTAGTGTGG TCTCCGAATG TCTGGAAGCT GATGGATGGA GCTCAGAATT CCACTGTCAA 3295

GAAAGAGCAG TAGAGGGGTG TGGCTGGGCC TGTCACCCTG GGGCCCTCCA GGTAGGCCCG 3355

TTTTCACGTG GAGCATAGGA GCCACGACCC TTCTTAAGAC ATGTATCACT GTAGAGGGAA 3415

GGAACAGAGG CCCTGGGCCT TCCTATCAGA AGGACATGGT GAAGGCTGGG AACGTGAGGA 3475

GAGGCAATGG CCACGGCCCA TTTTGGCTGT AGCACATGGC ACGTTGGCTG TGTGGCCTTG 3535

GCCACCTGTG AGTTTAAAGC AAGGCTTTAA ATGACTTTGG AGAGGGTCAC AAATCCTAAA 3595

AGAAGCATTG AAGTGAGGTG TCATGGATTA ATTGACCCCT GTCTATGGAA TTACATGTAA 3655

AACATTATCT TGTCACTGTA GTTTGGTTTT ATTTGAAAAC CTGACAAAAA AAAAGTTCCA 3715

GGTGTGGAAT ATGGGGGTTA TCTGTACATC CTGGGGCATT AAAAAAAAAT CAATGGTGGG 3775

GAACTATAAA GAAGTAACAA AAGAAGTGAC ATCTTCAGCA AATAAACTAG GAAATTTTTT 3835

TTTCTTCCAG TTTAGAATCA GCCTTGAAAC ATTGATGGAA TAACTCTGTG GCATTATTGC 3895

ATTATATACC ATTTATCTGT ATTAACTTTG GAATGTACTC TGTTCAATGT TTAATGCTGT 3955

GGTTGATATT TCGAAAGCTG CTTTAAAAAA ATACATGCAT CTCAGCGTTT TTTTGTTTTT 4015

AATTGTATTT AGTTATGGCC TATACACTAT TTGTGAGCAA AGGTGATCGT TTTCTGTTTG 4075

AGATTTTTAT CTCTTGATTC TTCAAAAGCA TTCTGAGAAG GTGAGATAAG CCCTGAGTCT 4135

CAGCTACCTA AGAAAAACCT GGATGTCACT GGCCACTGAG GAGCTTTGTT TCAACCAAGT 4195

CATGTGCATT TCCACGTCAA CAGAATTGTT TATTGTGACA GTTATATCTG TTGTCCCTTT 4255

GACCTTGTTT CTTGAAGGTT TCCTCGTCCC TGGGCAATTC CGCATTTAAT TCATGGTATT 4315

CAGGATTACA TGCATGTTTG GTTAAACCCA TGAGATTCAT TCAGTTAAAA ATCCAGATGG 4375

CGAATGACCA GCAGATTCAA ATCTATGGTG GTTTGACCTT TAGAGAGTTG CTTTACGTGG 4435

CCTGTTTCAA CACAGACCCA CCCAGAGCCC TCCTGCCCTC CTTCCGCGGG GGCTTTCTCA 4495

TGGCTGTCCT TCAGGGTCTT CCTGAAATGC AGTGGTCGTT ACGCTCCACC AAGAAAGCAG 4555

GAAACCTGTG GTATGAAGCC AGACCTCCCC GGCGGGCCTC AGGGAACAGA ATGATCAGAC 4615

CTTTGAATGA TTCTAATTTT TAAGCAAAAT ATTATTTTAT GAAAGGTTTA CATTGTCAAA 4675

GTGATGAATA TGGAATATCC AATCCTGTGC TGCTATCCTG CCAAAATCAT TTTAATGGAG 4735

TCAGTTTGCA GTATGCTCCA CGTGGTAAGA TCCTCCAAGC TGCTTTAGAA GTAACAATGA 4795

AGAACGTGGA CGTTTTTAAT ATAAAGCCTG TTTTGTCTTT TGTTGTTGTT CAAACGGGAT 4855

TCACAGAGTA TTTGAAAAAT GTATATATAT TAAGAGGTCA CGGGGGCTAA TTGCTAGCTG 4915

GCTGCCTTTT GCTGTGGGGT TTTGTTACCT GGTTTTAATA ACAGTAAATG TGCCCAGCCT 4975

CTTGGCCCCA GAACTGTACA GTATTGTGGC TGCACTTGCT CTAAGAGTAG TTGATGTTGC 5035

ATTTTCCTTA TTGTTAAAAA CATGTTAGAA GCAATGAATG TATATAAAAG C 5086


(2) INFORMATION FOR SEQ ID NO:5:

(i) SEQUENCE CHARACTERISTICS:
(A) LENGTH: 239 amino acids
(B) TYPE: amino acid
(D) TOPOLOGY: linear

(ii) MOLECULE TYPE: protein

(xi) SEQUENCE DESCRIPTION: SEQ ID NO:5:

Met Ala His Ala Gly Arg Thr GlyTyr Asp Asn Arg Glu IleVal Met
1 5 10 15

Lys Tyr IleHis Tyr Lys Leu Ser Gln ArgGly Tyr GluTrp Asp Ala
20 25 30

Gly Asp Val Gly Ala Ala Pro Pro GlyAla Ala Pro Ala Pro Gly Ile
35 40 45

Phe Ser Ser Gln Pro Gly His Thr Pro His Pro Ala Ala Ser Arg Asp
50 55 60

Pro Val Ala Arg Thr Ser Pro Leu Gln Thr Pro Ala Ala Pro Gly Ala
65 70 75 80

Ala Ala GlyPro Ala Leu Ser Pro Val Pro ProVal Val His Leu Ala
85 90 95

Leu Arg GlnAla Gly Asp Asp Phe Ser Arg ArgTyr Arg GlyAsp Phe
100 105 110

Ala Glu Met Ser Ser Gln LeuHis Leu Thr Pro Phe Thr Ala ArgGly
115 120 125

Arg Phe Ala Thr Val Val GluGlu Leu PheArg Asp Gly Val Asn Trp
130 135 140

Gly Arg IleVal Ala Phe Phe Glu Phe GlyGly Val Met Cys Val Glu
145 150 155 160

Ser Val Asn ArgGlu Met Ser Pro Leu Val Asp Asn Ile Ala Leu Trp
165 170 175

Met Thr GluTyr Leu AsnArg His Leu His Thr Trp IleGln Asp Asn
180 185 190

Gly Gly TrpAsp Ala Phe Val Glu Leu Tyr GlyPro Ser Met Arg Pro
195 200 205

Leu Phe Asp Phe Ser Trp LeuSer Leu Lys Thr Leu LeuSer Leu Ala
210 215 220

Leu Val Gly Ala Cys Ile ThrLeu Gly Ala Tyr Leu Ser His Lys
225 230 235

(2) INFORMATION FOR SEQ ID NO:6:

(i) SEQUENCE CHARACTERISTICS:
(A) LENGTH: 911 base pairs
(B) TYPE: nucleic acid
(C) STRANDEDNESS: single
(D) TOPOLOGY: linear



(ix) FEATURE:
(A) NAME/KEY: CDS
(B) LOCATION: 147..761


(xi) SEQUENCE DESCRIPTION: SEQ ID NO:6:

TGATTGAAGA CACCCCCTCG TCCAAGAATG CAAAGCACAT CCAATAAAAT AGCTGGATTA 60

TAACTCCTCT TCTTTCTCTG GGGGCCGTGG GGTGGGAGCT GGGGCGAGAG GTGCCGTTGG 120

CCCCCGTTGC TTTTCCTCTG GGAAGG ATG GCG CAC GCT GGG AGA ACG GGG TAC 173
Met Ala His Ala Gly ArgThr Gly Tyr
1 5

GAC AAC CGG GAG ATA GTG ATG AAG TAC ATC CAT TAT AAG CTG TCG CAG 221
Asp Asn ArgGlu Ile Val Met Lys Tyr IleHis Tyr Lys Leu Ser Gln
10 15 20 25

AGG GGC TAC GAG TGG GAT GCG GGA GAT GTG GGC GCC GCG CCC CCG GGG 269
Arg Gly TyrGlu Trp Asp Ala Gly Asp Val Gly Ala Ala Pro Pro Gly
30 35 40

GCC GCC CCC GCA CCG GGC ATC TTC TCC TCC CAG CCC GGG CAC ACG CCC 317
Ala Ala Pro Ala Pro Gly Ile PheSer Ser Gln Pro Gly His Thr Pro
45 50 55

CAT CCA GCC GCA TCC CGC GAC CCG GTC GCC AGG ACC TCG CCG CTG CAG 365
His Pro Ala Ala Ser Arg Asp Pro Val Ala Arg Thr Ser Pro Leu Gln
60 65 70

ACC CCG GCT GCC CCC GGC GCC GCCGCG GGG CCT GCG CTC AGC CCG GTG 413
Thr Pro Ala Ala Pro Gly Ala Ala AlaGly Pro Ala Leu Ser Pro Val
75 80 85

CCA CCT GTG GTC CAC CTG GCC CTC CGC CAA GCC GGC GAC GAC TTC TCC 461
Pro Pro Val ValHis Leu Ala Leu Arg Gln Ala GlyAsp Asp Phe Ser
90 95 100 105

CGC CGC TAC CGC GGC GAC TTC GCC GAG ATG TCC AGC CAG CTG CAC CTG 509
Arg Arg TyrArg Gly Asp Phe Ala Glu Met Ser Ser Gln LeuHis Leu
110 115 120

ACG CCC TTC ACC GCG CGG GGA CGC TTT GCC ACG GTG GTG GAG GAG CTC 557
Thr Pro Phe Thr Ala Arg GlyArg Phe Ala Thr Val Val GluGlu Leu
125 130 135

TTC AGG GAC GGG GTG AAC TGG GGG AGG ATT GTG GCC TTC TTT GAG TTC 605
Phe Arg Asp Gly Val Asn TrpGly Arg IleVal Ala Phe Phe Glu Phe
140 145 150

GGT GGG GTC ATG TGT GTG GAG AGC GTC AAC CGG GAG ATG TCG CCC CTG 653
Gly Gly Val Met Cys Val Glu Ser Val Asn Arg GluMet Ser Pro Leu
155 160 165

GTG GAC AAC ATC GCC CTG TGG ATG ACT GAG TAC CTG AAC CGG CAC CTG 701
Val Asp Asn IleAla Leu Trp Met Thr Glu TyrLeu Asn ArgHis Leu
170 175 180 185

CAC ACC TGG ATC CAG GAT AAC GGA GGC TGG GTA GGT GCA TCT GGT GAT 749
His Thr TrpIle Gln Asp Asn Gly GlyTrp Val Gly Ala Ser Gly Asp
190 195 200

GTG AGT CTG GGC TGAGGCCACA GGTCCGAGAT CGGGGGTTGG AGTGCGGGTG 801
Val Ser Leu Gly
205

GGCTCCTGGG CAATGGGAGG CTGTGGAGCC GGCGAAATAA AATCAGAGTT GTTGCTTCCC 861

GGCGTGTCCC TACCTCCTCC TCTGGACAAA GCGTTCACTC CCAACCTGAC 911


(2) INFORMATION FOR SEQ ID NO:7:

(i) SEQUENCE CHARACTERISTICS:
(A) LENGTH: 205 amino acids
(B) TYPE: amino acid
(D) TOPOLOGY: linear

(ii) MOLECULE TYPE: protein

(xi) SEQUENCE DESCRIPTION: SEQ ID NO:7:

Met Ala His Ala Gly Arg Thr GlyTyr Asp Asn Arg Glu IleVal Met
1 5 10 15

Lys Tyr IleHis Tyr Lys Leu Ser Gln ArgGly Tyr GluTrp Asp Ala
20 25 30

Gly Asp Val Gly Ala Ala Pro Pro GlyAla Ala Pro Ala Pro Gly Ile
35 40 45

Phe Ser Ser Gln Pro Gly His Thr Pro His Pro Ala Ala Ser Arg Asp
50 55 60

Pro Val Ala Arg Thr Ser Pro Leu Gln Thr Pro Ala Ala Pro Gly Ala
65 70 75 80

Ala Ala GlyPro Ala Leu Ser Pro Val Pro ProVal Val His Leu Ala
85 90 95

Leu Arg GlnAla Gly Asp Asp Phe Ser Arg ArgTyr Arg GlyAsp Phe
100 105 110

Ala Glu Met Ser Ser Gln LeuHis Leu Thr Pro Phe Thr Ala ArgGly
115 120 125

Arg Phe Ala Thr Val Val GluGlu Leu PheArg Asp Gly Val Asn Trp
130 135 140

Gly Arg IleVal Ala Phe Phe Glu Phe GlyGly Val Met Cys Val Glu
145 150 155 160

Ser Val Asn ArgGlu Met Ser Pro Leu Val Asp Asn Ile Ala Leu Trp
165 170 175

Met Thr GluTyr Leu AsnArg His Leu His Thr Trp IleGln Asp Asn
180 185 190

Gly Gly TrpVal Gly Ala Ser Gly Asp Val Ser Leu Gly
195 200 205


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載されるリポソームアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドによるBcl-2タンパク質発現の阻害のための組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−69161(P2008−69161A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248267(P2007−248267)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【分割の表示】特願平10−516985の分割
【原出願日】平成9年10月3日(1997.10.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FLOPPY
【出願人】(591217403)ボード オブ リージェンツ, ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム (49)
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【Fターム(参考)】