リポタンパク質インスリン抵抗性指数、ならびに同一物を生成するための関連する方法、システムおよびコンピュータプログラム
複数の様々な測定されたリポタンパク質粒子パラメータを用いて低下したインスリン感受性および/またはインスリン抵抗性のレベルを評価するためのインスリン抵抗性指数を生成する方法、報告書およびシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2008年10月20日に出願された米国特許仮出願第61/106,833号明細書に対する恩典および優先権を主張するものであり、上記出願の内容は本明細書において完全に引用されているように参照することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0002】
[著作権の留保]
本特許文書の開示の一部分は、それに対して著作権保護が要求される事項を含有する。著作権保有者は、本特許文書もしくは本特許開示のいずれかのファクシミリによる複製に対しては、それが特許商標局の特許ファイルまたは特許記録に掲載されるため異論はないが、いかなる全ての権利も留保する。
【0003】
[発明の分野]
本発明は、患者が2型糖尿病を発症するリスクを評価するための、および/または患者のインスリン抵抗性の程度を評価するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0004】
2型真性糖尿病(T2DM)は、極めて費用がかかって厄介な慢性疾患の1つであり、米国やその他の国々においてまん延比率が増加しつつある。T2DMの決定的な特徴は高血糖症であり、これはインスリン分泌反応の欠損もしくは不完全の結果として生じる炭水化物(グルコース)利用障害の反映である。T2DMは、現在は125mg/dL以上の空腹時血漿中グルコース値を有する患者において規定されている。T2DMは、何年も前に始まる代謝異常の後期発現である。その原因は、β細胞機能の低下と連動したインスリン抵抗性の漸進的増加であると考えられる。インスリンの血糖低下作用に対する標的組織の漸進的抵抗性を代償するために膵臓β細胞が十分なインスリンを分泌することができる限りは、患者は正常空腹時血糖値を維持することができる。高血糖症およびT2DMへの移行は、インスリン抵抗性の増大に直面してインスリンの高分泌の維持不全を引き起こす漸進的β細胞機能不全の結果として発生する。これらの経時的な潜在的代謝変化および血糖値に及ぼす影響は、図1に概略的に示されている。
【0005】
2型糖尿病は、伝統的には血液中の上昇したグルコース(糖)レベル(高血糖症)の検出によって診断されてきた。高血糖症は糖尿病を規定するが、糖尿病は、インスリン抵抗性から末期糖尿病に通じる一連の事象における極めて後期の進行状態である。したがって、被験者が典型的症状、例えば高血糖症を発症する前に2型糖尿病を発症するリスク状態にある(すなわち、該状態に対する素因を有する)か否かを同定する方法があれば望ましい。疾患の指標のより早期の検出(例えば、血糖値が高血糖症であると見なされるほど十分に上昇する前の検出)は、該疾患の発病を実際的には防止できないにせよ、該疾患のより効果的な治療を導ける可能性がある。
【0006】
インスリン抵抗性を評価するために最も直接的かつ正確な方法は、労力を要し、時間も消費するため、臨床応用には実際的ではない。これらの調査方法の内の「ゴールドスタンダード」は、高インスリン血症正常血糖性クランプ法であり、この方法はクランプ中に最大糖処理率(GDR、インスリン抵抗性と反比例する)を定量する。また別の、再現性が若干低い(CV(変動係数)、14〜30%)極めて困難な調査方法は、インスリン抵抗性の逆であるインスリン感受性(Si)を測定する、最少モデル分析を用いて頻回にサンプリングされる静脈内糖負荷試験(IVGTT)である。
【0007】
Otvos et al.への米国特許第6,518,069号明細書は、患者がT2DMを発症するリスクを評価するためのグルコースおよび/または所定のリポタンパク質値のNMRにより得られた測定値について記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、患者のインスリン抵抗性のレベルを評価するための、および/または被験者が糖尿病を有するリスク状態にあるかどうかを決定するために同一物を使用するためのシステム、方法および評価に関する。
【0009】
本発明の実施形態は、非糖尿病性被験者のインスリン抵抗性のレベルを予測できる方法を提供する。この方法は、(a)インビトロの患者生体サンプルから複数の選択されたリポタンパク質パラメータの測定値を入手する工程と、(b)該入手した測定値に基づいてリポタンパク質インスリン抵抗性指数をプログラムにより生成する工程とを含んでいる。
【0010】
選択されるパラメータは、ラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径(典型的には、平均粒径)の少なくとも4つを含むことができる。
【0011】
生成する工程は、複数の入手したリポタンパク質パラメータ測定値の各々についてのリスクスコアを計算する工程と、該計算されたリスクスコアを合計してリポタンパク質インスリン指数を規定する工程とを含むことができる。
【0012】
一部の実施形態では、患者のサンプルは非空腹時の血漿サンプルもしくは血清サンプルであり、入手した測定値はスモールLDLおよびラージHDLの粒子濃度、ならびにLDLおよびHDLの(平均)粒径のNMR測定値を含む少なくとも4つのNMR測定値を含んでいる。この生成する工程は、少なくとも4つの入手した測定値の各々についてのリスクスコアを計算する工程と、該4つのリスクスコアを合計してリポタンパク質インスリン抵抗性指数を生成する工程とを含むことができる。
【0013】
他の実施形態では、患者のサンプルは空腹時サンプルであり、入手した測定値は全6つのリポタンパク質パラメータのNMR測定値を含んでいる。この生成する工程は、6つの入手したリポタンパク質パラメータ測定値の各々についてのリスクスコアを計算する工程と、該6つのリスクスコアを合計してリポタンパク質インスリン抵抗性指数を生成する工程とを含むことができる。
【0014】
特定の実施形態では、生成する工程は、入手したリポタンパク質パラメータ測定値の各々についてのリスクスコアを計算する工程、または1セットの規定リスクスコアから1つのリスクスコアを選択する工程と、該リスクスコアを合計して0〜100の間の数値を備えるリポタンパク質インスリン抵抗性指数を生成する工程とを含むことができ、このとき100はインスリン抵抗性の高度のリスクを示す。より大きな数値のリポタンパク質インスリン抵抗性指数は、糖尿病を発症する増加したリスクと関連付けることができる。
【0015】
さらにまた別の実施形態は、患者検査報告書に向けられる。検査報告書は、リポタンパク質インスリン抵抗性指数を含んでいる。該指数は、患者の血液サンプルまたは血漿サンプルの複数のNMR測定リポタンパク質粒子パラメータの各々と相関するリスクスコアの合成数である。
【0016】
複数のパラメータは、ラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径の少なくとも4つを含むことができる。
【0017】
さらに他の実施形態は、非糖尿病性被験者における低下したインスリン感受性(例えば、インスリン非感受性)および/またはインスリン抵抗性を評価するためのコンピュータプログラムに向けられる。コンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体であって、該媒体内に埋め込まれたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ可読媒体を含んでいる。コンピュータ可読プログラムコードは、リポタンパク質パラメータ、すなわちラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径の少なくとも4つのNMR測定値を決定するコンピュータ可読プログラムコードと、1つのリスクスコアを該少なくとも4つのリポタンパク質NMR測定値の各々に関連付けるコンピュータ可読プログラムコードと、該少なくとも4つのNMRリポタンパク質パラメータ測定値の各々のリスクスコアを使用してリポタンパク質インスリン抵抗性指数を生成するコンピュータ可読プログラムコードとを含んでいる。
【0018】
さらに他の実施形態は、被験者の血液サンプルまたは血漿サンプル中でのリポタンパク質パラメータの測定データを使用してインスリン抵抗性指数を生成するためのシステムに向けられる。このシステムは、インビトロの血漿サンプルもしくは血清サンプルの少なくとも1つのNMRスペクトルを収集するためのNMR分光計と、該NMR分光計と連絡しているプロセッサとを含んでいる。 プロセッサは、(a)複数の選択されたリポタンパク質パラメータのNMR測定値を決定し、(b)該選択されたリポタンパク質パラメータの決定された測定値の各々について1つのリスクスコアを計算し、または1セットの規定されたリスクスコアから1つのリスクスコアを選択し、(c)該リポタンパク質パラメータの各々についてのリスクスコアを合計してリポタンパク質インスリン抵抗性指数を生成するために構成される。
【0019】
選択されたリポタンパク質パラメータは、血漿サンプルもしくは血清サンプル中のリポタンパク質パラメータ、すなわちラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径の少なくとも4つを含むことができる。
【0020】
さらにまた他の実施形態は、インスリン感受性を低下させる治療を受けている被験者の治療効果を評価するための方法に向けられる。この方法は、(a)患者の血漿サンプルもしくは血清サンプルに対してリポタンパク質パラメータ、すなわちラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径の少なくとも複数を含むNMR測定リポタンパク質パラメータを用いて第1インスリン抵抗性スコアを入手し、入手した測定値に基づいて第1インスリン抵抗性スコアをプログラムにより生成する工程と、次に(b)患者の血漿サンプルもしくは血清サンプルに対してリポタンパク質パラメータ、すなわちラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径の少なくとも複数を含むNMR測定リポタンパク質パラメータを用いて、インスリン感受性を低下させるためのライフスタイルまたは薬物治療を該被験者が開始した後に入手した患者の血漿サンプルもしくは血清サンプルの第2インスリン抵抗性分析を入手し、入手した測定値に基づいて第2インスリン抵抗性スコアをプログラムにより生成する工程と、(c)該被験者のための治療有効性の指標を提供するために該リスク数が減少したかどうかを評価するために該第1スコアおよび第2スコアを比較する工程とを含んでいる。
【0021】
本発明の実施形態は、低下したインスリン感受性(例えば、インスリン非感受性または抵抗性)を備える被験者および/または糖尿病を発症する、もしくは有するリスク状態にある被験者を、例えば血糖値が依然として正常範囲内にあり、β細胞機能は未だ悪化していない場合などのように、大多数の人々にとって従来法で達成されるより早期にライフスタイル介入を開始するためにリスク状態の患者を標的とすることによってより有効なT2DM予防を可能にするために従来法で達成されたより早期に同定するための理解しやすいインスリン抵抗性評価を提供する。
【0022】
本発明の一部の実施形態は、インスリン感受性/抵抗性を評価して、患者が2型糖尿病を発症するリスクを評価するための(規定)スケールと関連付けられたインスリン抵抗性指数(例えば、スコア)を提供することができるインスリン抵抗性検査に向けられる。この検査は、ラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの(平均)粒径の内の複数を定量するためにリポタンパク質粒子サブクラスを測定するための自動核磁気共鳴(NMR)分光計を使用して生成することができる。一部の検査は、核磁気共鳴(NMR)分光法を使用して空腹時または非空腹時の血清サンプルおよび血漿サンプルを用いて実施できる。一部の検査は、同一患者サンプルを使用してグルコースを測定する工程をさらに含むことができる。リポタンパク質サブクラス(濃度)および粒径の測定はインスリン抵抗性と関連し、そして概して、非糖尿病性患者のインスリン感受性のレベルを評価するための定量的手段として、他の検査室測定および臨床評価と結び付けて、彼らが2型真性糖尿病を発症するリスクの評価に役立たせるために使用できる。
【0023】
該検査は、個別にリスクについてスコア付けされた各因子とともに複数の様々なリポタンパク質サブクラス測定(例えば、典型的には約4〜6つの相違するリポタンパク質因子)の測定値に基づくことができる。合成スコアもしくは累積(総)スコアは、リポタンパク質インスリン抵抗性指数を規定するために使用できる。
【0024】
以下では、本発明の上記およびその他の目的および態様についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】経時的な代謝変化を概略的に示すグラフである。
【図2A】本発明の実施形態によるリポタンパク質インスリン抵抗性指数を含む典型的な患者検査報告書である。
【図2B】本発明の実施形態によるリポタンパク質インスリン抵抗性指数を含む別の典型的な患者検査報告書である。
【図3A】本発明の実施形態による、リポタンパク質インスリン抵抗性指数値によって分類された非糖尿病性MESA参加者(数値的に指示された各指数カテゴリーにおける被験者数を含む)においてln(HOMA)値によって測定されたインスリン抵抗性のグラフである。
【図3B】本発明の実施形態による非糖尿病性MESA参加者(括弧内に指示された各指数カテゴリーにおける被験者数を含む)におけるグルコース(mg/dL)の四分位数およびリポタンパク質インスリン抵抗性指数スコアによるインスリン抵抗性(ln(HOMA))の棒グラフである。
【図4】本発明の実施形態によるインスリン抵抗性指数(例えば、スコア)を決定するために実施できる典型的な作業のフローチャートである。
【図5】本発明の一部の実施形態による破線のボックスによって指示された血糖値適合領域を備える血漿の陽子NMRスペクトルである。
【図6】本発明の実施形態による患者における血糖値を評価するために使用された2つのピークを備える拡大された血糖値適合領域を示す図5の拡大された一部分のNMRスペクトルである。
【図7】本発明の実施形態によるデータ処理システムの略図である。
【図8】本発明の実施形態によるNMR分析装置の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の好ましい実施形態が示される添付の図面を参照しながら本発明をより十分に説明する。しかし本発明は、多数の様々な形態で具体化することができ、本明細書に記載した実施形態に限定されると見なすべきではない。むしろこれらの実施形態は、この開示が完璧および完全であるように、そして当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提供される。
【0027】
同様の数字は、本明細書を通して同様の要素を意味する。図面では、所定の線、層、コンポーネント、要素もしくは機構の厚さは、明確さのために誇張される場合がある。破線は、他に特に明記しない限り、任意の機構または作業を例示する。
【0028】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を記載するためだけのものであり、本発明を限定することは意図されていない。本明細書で使用する単数形「1つの(「a」「an」)」および「その(「the」)」は、状況が明確に他のことを指示していない限り、複数形を同様に含むことが意図されている。用語「含む」および/または「含んでいる」は、本明細書で使用される場合は、言及された機構、整数、工程、作業、要素、および/またはコンポーネントの存在を規定するが、それらの1つ以上の他の機構、整数、工程、作業、要素、コンポーネント、および/または群の存在または追加を排除しないことはさらに理解される。本明細書で使用する用語「および/または」は、関連する列挙した項目の1つ以上のありとあらゆる組み合わせを含んでいる。本明細書で使用する語句、例えば「XとYとの間」および「約XとYとの間」は、XおよびYを含むと理解されたい。本明細書で使用する語句、例えば「約XとYとの間」は、「約Xと約Yとの間」を意味する。本明細書で使用する語句、例えば「約X〜Y」は、「約X〜約Y」を意味する。
【0029】
他に規定されない限り、本明細書で使用する(技術用語および科学用語を含む)全ての用語は、本発明が属する当業者には一般に理解される意味と同一の意味を有する。例えば一般に使用される辞書において規定された用語などの用語は、本明細書に明示的にそのように規定されていない限り、本明細書および関連技術に照らしてそれらの意味と一致する意味を有すると解釈すべきであり、理想的または過度に形式的な意味で解釈すべきではないとさらに理解される。周知の機能または構造は、簡潔さおよび/または明確さのために詳細に記載されない場合がある。
【0030】
用語「プログラムにより」は、指示、計算、機能、機構、作業および/または工程がコンピュータプログラムの指令を使用して実施されることを意味している。用語「自動化」および「自動」は、最小の手作業または手動入力を伴って、または全く伴わずに作業を実施できることを意味する。用語「半自動化」はオペレータに一部の入力もしくは活性化を許容することを意味するが、計算、決定およびシグナル収集ならびにリポタンパク質パラメータおよび/またはインスリン抵抗性マーカの濃度および/または粒径の計算は、電子的に、典型的にはプログラムにより手動入力を必要とせずに実施される。
【0031】
用語「生体サンプル」は、生の形態の、および/または標本中の全血、血漿、血清、尿、脳脊髄液(CSF)、リンパ液サンプル、糞便サンプル、組織、および/または体液を含んでいる。しかし、本発明の実施形態のためには、全血サンプルまたは血漿生体サンプルが特に適合する可能性がある。生体サンプルは、任意の標的被験者由来であり得る。被験者は、本発明によると、任意の動物被験者であってよく、好ましくは哺乳動物被験者(例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、齧歯類(マウス、ラット、ハムスター、モルモットまたはその他)、ブタ、霊長類、サル、および/またはウサギ)である。動物は、天然型、遺伝子組換え型もしくは遺伝子修飾型であろうと、/または変化させられた実験用、変化させられたライフスタイルおよび/または食習慣または薬物治療された動物変化であろうと、実験用動物または非実験用動物であってよい。
【0032】
用語「自動」は、そのように記載された実質的に全部または全部の作業が、ヒトオペレータの積極的な手動入力を必要とせずに実施することができることを意味し、典型的にはそれらの作業はプログラムにより指令および/または実施できることを意味している。用語「電子的」は、システム、作業またはデバイスが任意の適切な電子媒体を用いて連絡できることを意味し、典型的には遠隔であってよい制御システムと1つ以上のローカルNMR分析装置との間の連絡をコンピュータネットワークを使用してプログラムにより制御する工程を使用する。
【0033】
本明細書の所定の図面のフローチャートおよびブロック図は、本発明による分析モデルおよび評価システムおよび/またはプログラムの実行の可能性のある構造、機能性、および作業を例示している。この関連で、フローチャートまたはブロック図内の各ブロックは、特定の論理的機能を実行するための1つ以上の実行可能命令を含む、モジュール、セグメント、作業、またはコードの部分を表している。さらにまた、一部の代替的実行では、ブロック内に記載した機能は図面に記載した順序から外れて行われてよいことにも留意されたい。例えば、連続して示された2つのブロックは、実際には実質的に一斉に実行することができ、またはこれらのブロックは、時には、関連する機能性に依存して逆順で実行されてもよい。
【0034】
本明細書で使用する用語「2型真性糖尿病(T2DM)」は、互換的に「非インスリン依存型真性糖尿病(NIDDM)」とも称され、細胞インスリン抵抗性および/または血糖値を平衡させて維持するために必要であるより少ないインスリンの分泌を特徴とする障害に関する。1型糖尿病は、これとは対照的に、自己免疫反応によって膵臓におけるインスリンを生成するβ細胞の破壊を特徴とする障害を意味する。
【0035】
「明らかな(frank)」T2DMを発症する前に、人々は米国糖尿病協会によって「前糖尿病」と名付けられた、空腹時血糖障害(IFG、100〜125mg/dLの空腹時血糖値)または耐糖能障害(IGT、血糖値=140〜199mg/dL、標準75gの経口糖負荷の2時間後)と現在は規定されている中等度の高血糖症の移行状態を通過する。前糖尿病を抱える個人は、数年以内にT2DMを発症する増加したリスクを有し、臨床試験は、インスリン感受性を増加させるライフスタイルまたは薬理学的介入がこれらの人々におけるT2DMの発病を遅延させることができることを証明している。
【0036】
しかし、「前糖尿病」段階での介入は、その発病を単純に遅延させるのではなく、糖尿病が発生するのを防止するために遅すぎるかどうかについての疑問がますます増大しつつある。その理由は、患者が前糖尿病(IFGまたはIGT)を発症する時点までに潜在的に重大な(不可逆的な)β細胞機能不全が典型的に発生してきたことである。患者がインスリン抵抗性になったときの、または上昇したインスリン感受性が検出されるときに患者がインスリン抵抗性になるより前の、β細胞損傷が生じる前の積極的なライフスタイル改善を行う早期の介入はT2DMを単に遅延させるのではなく防止することができる。
【0037】
以前は、臨床状況において使用するために適合するインスリン抵抗性の代替的測定は、空腹時血液サンプルに実施された検査室検査に全て依存していた。疫学的試験において最も古く、そして最も広汎に使用された方法は、インスリンおよび糖の空腹時レベルに基づくホメオスタシスモデル評価(homeostasis model assessment)であり、HOMA=(空腹時インスリン×グルコース)/22.5である。空腹時血漿サンプルに基づくインスリン抵抗性の多数の他の推定値が提案されてきた。HOMAおよびこれらの代替的なインスリン抵抗性推定値の性能は、それらがゴールドスタンダードの正常血糖性クランプ法測定とどのように相関しているかを決定することによって様々な患者集団の検査において評価されてきた。HOMAの対数変換であるlog(HOMA)は、いずれの代替法と同等か、それより良好に遂行され、クランプ法で測定されたGDRとの強度の相関(rは約0.8)を生じた。
【0038】
HOMAは大規模集団を対象とする調査試験においてはインスリン抵抗性の有用な指数ではあるが、個別患者におけるインスリン抵抗性を評価するための単一決定の能力はその測定変動性によって制限される。HOMAについての変動係数(CV)は30%と高い可能性があり、より最適な条件下でのCVは8〜12%であると報告されている。空腹時血糖値の生物学的および分析的変動性はHOMAの変動性にある程度寄与するが、インスリン測定の限界はより重要である。市販のインスリンアッセイはインスリンとプロインスリンとの間の交差反応性が相違し、検査室間のインスリン値の一致を保証するのに役立つ標準化プログラムは設けられていないと考えられる。空腹時血漿インスリンを測定することについてのまた別の限界は、インスリン分泌の拍動性モード(10〜15分間の周期性を備える拍動)である。この変動の原因に由来する誤差を最小限に抑えるために、5分間隔で3つの血液サンプルを採血することが推奨されてきた。
【0039】
本発明の実施形態は、インスリン感受性および/またはインスリン抵抗性のレベルと相関するリポタンパク質インスリン抵抗性指数を提供するために、単一の患者(例えば、血液/血漿)インビトロサンプルを評価する際に有用である。リポタンパク質インスリン抵抗性指数(例えば、スコア)は、該患者が糖尿病を有する、および/または発症するリスクを評価するために使用できる。インスリン抵抗性とは、身体がインスリンに正常に反応できないことを意味する。インスリン抵抗性は、2型糖尿病の前兆であることが多い。「インスリン抵抗性症候群」もしくは「X症候群」は、高血糖レベルがインスリン産生を刺激するインスリン抵抗性に関する一連の医学的状態を意味する。被験者が過剰のインスリンを正常に処理できない場合は、インスリンレベルが上昇する。最終的には、該被験者は高血糖レベル(高血糖症)および高インスリンレベル(高インスリン血症)を有する。これらの条件下では、インスリンは脂肪代謝を制御する能力を消失し、過剰な脂肪が血流に進入する(高脂血症)。高脂血症は、高血圧、心疾患および脳卒中の原因となる。インスリン抵抗性のその他の障害には、脂質異常症(糖尿病性脂質異常症を含む)および末期2型糖尿病、若年性糖尿病および妊娠性糖尿病が含まれるがそれらに限定されない。
【0040】
インスリン抵抗性の最も早期の発現の1つは、トリグリセリド値の上昇およびHDLコレステロールの減少を生じさせるリポタンパク質代謝の変化である。Laasko et al.,Insulin resistance is associated with lipid and lipoprotein abnormalities in subjects with varying degrees of glucose tolerance,Arteriosclerosis:1990;10−223−31を参照されたい。インスリン抵抗性に付随する代謝変化は、NMR LipoProfile(登録商標)リポタンパク質分析によって検出されるリポタンパク質サブクラスのレベルおよび粒径分布における一層大きくより広汎な異常を生じさせる。具体的には、インスリン抵抗性の個体においては、ラージVLDLおよびスモールLDLサブクラス粒子の濃度はより高く、ラージHDLサブクラスのレベルはより低い。NMRで測定されたVLDL、LDL、およびHDLの粒径もまたインスリン抵抗性の状態を反映する。患者がインスリン抵抗性である場合、VLDLの粒径はより大きくなり、LDLおよびHDLの粒径はより小さくなる傾向がある。
【0041】
リポタンパク質は、血漿、血清、全血、およびリンパ液中で見い出される様々なタイプおよび量のトリグリセリド、コレステロール、リン脂質、スフィンゴ脂質、およびタンパク質を含む極めて様々な粒子を含んでいる。これらの様々な粒子は、血液中でさもなければ疎水性である脂質分子の可溶化を許容し、脂肪分解、脂肪生成、ならびに腸、肝臓、筋組織および脂肪組織間の脂質輸送に関連する様々な機能に役立つ。血液および/または血漿中では、リポタンパク質は、一般には例えば密度または電気泳動移動度などの物理的特性に基づく多数の方法で分類されてきた。核磁気共鳴法により決定された粒径に基づく分類は、5つのサブタイプの高密度リポタンパク質、4つのサブタイプの低密度リポタンパク質、および6つのサブタイプのTRL(トリグリセリドに富むリポタンパク質)V1〜V6と表わされる超低密度リポタンパク質を含む少なくとも15種の別個のリポタンパク質粒子サブタイプを識別する。
【0042】
本明細書で使用する用語「スモールLDL粒子」は、典型的には約18〜20.5nm未満の粒径範囲を有する粒子を含んでいる。用語「ラージLDL粒子」は、約20.5〜23nmの径範囲を備える粒子を含んでいる。LDLサブクラスの粒子は他の粒径範囲に分けられることに留意されたい。例えば、「スモール」の粒径は約19〜20.5nmであってよく、中間は約20.5〜21.2nmであってよく、そしてラージは約21.2〜23nmであってよい。さらに、中間比重リポタンパク質粒子(「IDL」または「IDL−P」)は、約23〜29nmの径範囲内であり、特に「ラージ」LDLと規定された粒子に含めることができる。
【0043】
用語「ラージHDL粒子」(「ラージHDL−P」)は、典型的には粒径が約9.4〜約14nmの範囲に及ぶHDLサブクラスの粒子を含んでいる。用語「スモールHDL粒子」(スモールHDL−P)は、典型的には径が約7.3〜約8.2nmの範囲に及ぶ粒子を含んでいる。中間HDL粒子もしくは中HDL粒子(中HDL−P)は、スモールまたはラージの名称の1つに分類することができ、または典型的には約8.2〜9.4nmである粒径範囲内の粒子を含むとして別個に測定することができる。そこで、上記の粒径範囲のいずれかまたは両方は、中間HDL粒子の粒径の一部または全部を含むと拡大することができる。
【0044】
用語「ラージVLDL粒子」は、約55nm以上の粒子を意味する。
【0045】
上記の粒径は、典型的には平均測定値に関するが、他の区分もまた使用できる。
【0046】
用語「集団基準」および「標準」は、インスリン抵抗性の様々な測定、例えば以下でより詳細に考察するようなゴールドスタンダードの正常血糖性クランプ法、耐糖能検査、およびHOMAを使用してインスリン抵抗性について評価された試験参加者の集団におけるリポタンパク質パラメータの数値を意味する。しかし、本発明の実施形態は、1つ以上のリポタンパク質パラメータについて現在規定されている正常およびリスク状態の集団値は変化する可能性があるので、これらの集団値には限定されない。
【0047】
概説すると、本発明の実施形態は、リポタンパク質サブクラスの濃度および粒径を測定し、複数のそれらの測定値をインスリン抵抗性の別個および/または独立した予測因子として使用し、これらの予測因子は次にリポタンパク質(合成)インスリン抵抗性指数(例えば、スコア)を形成するために組み合わせることができ、そのレベルに基づいて該被験者におけるインスリン抵抗性レベルのより確実なインジケーターおよび/または糖尿病またはその他(インスリン抵抗性関連性異常)のリスクの予測因子を提供できる。何らかの1つの理論に結び付けようとは望まないが、まさにヘモグロビンA1cが単一の空腹時血糖測定と比較して患者の血糖状態のより正確な時間平均指標を提供するように、リポタンパク質サブクラスの濃度および粒径が患者のインスリン抵抗性状態の正確かつ安定に反映できることを前提が前提とされる。この前提は、(少なくとも一部には)肝インスリン抵抗性がリポタンパク質代謝における変化の中でその最も早期の測定可能な異常を発現し、トリグリセリド値の上昇およびHDLコレステロール値の減少を生じさせるという証拠に基づいている。低下したインスリン感受性および/またはインスリン抵抗性によって誘導され、またはそれが付随する代謝変化は、NMRによって検出可能なリポタンパク質サブクラスのレベルおよび粒径分布におけるより広汎な異常を生成する。
【0048】
さらにまた、リポタンパク質粒子のNMR測定値は本明細書に記載した分析のために特に適合することが企図されているが、現在または将来これらのパラメータを測定するために他の技術を使用できること、そして本発明の実施形態はこの測定技術には限定されないことが検討されることも留意されたい。例えば、浮遊法および超遠心分離法は、リポタンパク質粒子を評価するために密度に基づく分離技術を使用する。
【0049】
図1に示したように、これらのリポタンパク質サブクラスの異常の発達および進行は早期に、そしてインスリン抵抗性の発達および進行と平行して発生し、どちらの開始も異常な耐糖能が出現する何年も前に起こる。例えば下記で考察するような証拠は、NMRまたはその他の適切な手段によって測定されたリポタンパク質サブクラスおよび粒径の情報が、(合成)リポタンパク質インスリン抵抗性指数という形で一緒にされると、患者のインスリン抵抗性状態を評価する臨床的に有用な手段を提供できることを証明している。
【0050】
リポタンパク質サブクラス/粒径変数は、リポタンパク質インスリン抵抗性指数(例えば、スコア)を生成するために、インスリン抵抗性との関連の強度差を考慮に入れることによって組み合わせることができる。ヒトのインスリン抵抗性は低から高へ連続して広がる可能性があり、リポタンパク質インスリン抵抗性「指数」は、ヒトのインスリン抵抗性状態の指針または予測因子である。用語「指数」は、低(例えば、インスリン感受性)から高(より高度のインスリン抵抗性)までの範囲内にある被験者のインスリン抵抗性レベルを特徴付けることのできる数字、文字および/または記号を意味する。
【0051】
指数は数値スコアとして提供された場合に特に有用であることが企図されているが、他の指数も使用できる。用語「スコア」は、典型的には規定スケール上の、または規定数値範囲内の数値により表示された結果を意味する。特定の実施形態では、リポタンパク質インスリン抵抗性指数は、規定範囲内、例えば、0〜10、0〜24、0〜100、または0〜1000などのスコアとして提供できる、または含むことができる(最小数は最高インスリン感受性もしくは最低インスリン抵抗性と関連し、そして該範囲内の最高数は最高インスリン抵抗性もしくはより高度のインスリン抵抗性と関連している)。該範囲内のより低い数値は「0」より高い、例えば1、2、3、4もしくは5などであってよい、 または負の数(例えば、−1、−2、−3、4、−5など)でさえあってよい。その他の指数の例には、例えば、「100A」、「100B」などの英数字指数、例えば「IR陽性」、「IR高」、「IR中性」、「IR低」、「IR良好」、「IR不良」、「IR警戒」などの用語が含まれる。
【0052】
図2Aおよび図2Bは、各々を独立したリスク因子(各々がインスリン抵抗性との独立した関連を有する)として処理できるインスリン抵抗性指数50およびインスリン抵抗性マーカ20としてのリポタンパク質粒子測定値を含む典型的な患者検査報告書10を例示している。この情報を用いると、患者には、明白に「前糖尿病性」になる前に、潜在的にその疾患の開始を単に遅延させるのではなく防止するための効果的なライフスタイル改善が間に合うように、2型糖尿病を発症するリスクが高まっていることを警告することができる。報告書10は、臨床医または患者に電子的に提供でき、および/または「紙の」報告書として提供できる。
【0053】
報告書10は、指数50を「骨子」指数(例えば、スコア)として単独で、または心血管疾患もしくは「CVD」70についてのリポタンパク質に基づく検査/スクリーンと共に提供することができる。心血管疾患(CVD)は、心臓(心)および/または体の血管系(血管)に影響を及ぼす可能性がある障害を記載するために使用される一般用語である。同一の生体サンプルを使用してCVD分析70および指数50の両方を生成することができる。
【0054】
図示したように、検査報告書10は、指数50を計算または決定するために使用されるインスリン抵抗性マーカ20を示すことができる(しかし、これらのパラメータは上述したように報告書から除外されてもよい)。マーカ20は、(以下の6つのリポタンパク質粒子パラメータの全部として示される)以下のラージVLDL−P 21、スモールLDL−P 22、ラージHDL−P 23の濃度、ならびにVLDL粒径24、LDL粒径25、およびHDL粒径26の複数を含むことができる。VLDL粒径24、LDL粒径25、およびHDL粒径26。上述したように、粒径パラメータは、「平均」粒径として測定できるが、他の粒径区分も使用できる。
【0055】
可能性のある各リスクスコア30のセットは、指数50を決定するために使用できるインスリン抵抗性マーカ20として使用されるリポタンパク質パラメータ各々についての関連の強度差に基づいて規定することができる。すなわち、リポタンパク質測定値もしくは数値範囲についてのリスクスコアは、各リポタンパク質粒子パラメータに対して規定できる。様々なパラメータ21〜26の様々な数値についてのリスクスコア30は、リポタンパク質測定値30pの数値もしくは数値範囲に対して1つが事前に規定されている。実際の測定値30pはそのパラメータ20についての規定リスクスコア30の1つと相関し、この数はその患者についてのリポタンパク質粒子パラメータ測定値30pについてのリスクスコア40を提供する。
【0056】
図2Aは、リスクスコアが0〜4まで変動すること、そしてマーカ21についての患者リスクスコア40は「4」であり、可能性のある総最大指数は24であることを示している。図2Bは、1つのパラメータに対しては例えば0〜26、0〜27もしくは0〜32から、および別のパラメータに対しては(使用されたサンプルのタイプおよび計算モデルに依存して)0〜8、0〜4および0〜6からの様々な範囲のリスクスコア30を使用するが、各パラメータに対しては様々な数値範囲およびスコアリング数が含まれ、各リポタンパク質パラメータ20は可能性がある合計最大指数が100である様々な可能性のある上限のリスクスコア数を有する。図2Bにおけるリポタンパク質パラメータ20の測定値30pに対する最大の可能性のあるリスクスコア30は、VLDL粒径24に対するものである。ラージVLDL粒子濃度21は、2番目に最大の可能性があるリスクスコア数30を有する。図2Bは、ラージVLDL−P濃度21に対するリスクスコア40が、この患者について、VLDL粒径24についてのスコア40より大きいことを示している。様々なリスクスコア30は、図2Bの報告書10上には示されていない。
【0057】
指数50を決定するためには、様々なスコア40を結び付けるために方程式を使用できることが企図されている。パラメータ20についての実際の測定値30pについてのスコア40を生成または提供するために、関連付けたリスクスコア30は、各リポタンパク質パラメータについての1セットの事前に規定されたリスクスコアから選択することができ、またはリスクスコアはリスクスコアを実際の測定値に相関させる方程式を用いて計算することができる。
【0058】
図2Aおよび図2Bに示したように、報告書10は、リスクマーカ20(21〜26)についての「明瞭な」リスクモデル10Rを提供することができる。図2Aおよび図2Bはさらに、リポタンパク質インスリン抵抗性指数50は、可能性のある結果の範囲を例示するためにインスリン感受性/低インスリン抵抗性から高インスリン抵抗性への可能性のある連続する結果を表すスケール60を用いて提供され得ることもまた例示している。
【0059】
本発明の実施形態の方法およびシステムは、指数50が、リポタンパク質測定のための試料/サンプルが空腹時もしくは非空腹時サンプル/試料であったかどうか、および/または該患者が脂質を変化させる投薬を受けているかどうかに依存して様々なサンプルに対して別々に計算できることを企図している。指数50および/またはマーカ20のスコア付けは、さらにまた性特異的であってよい(リスクスコアは、同一リポタンパク質粒子測定値について女性対男性で相違する可能性がある)。または、報告書10および/または指数50は、患者が脂質を変化させる投薬を受けているかどうか、または試料が空腹時もしくは非空腹時のタイプのいずれであったかとは無関係に同様に計算することができる。例えば、前者の場合、被験者がスタチン類療法を受けている場合、指数50はリスクマーカ20の1つとしてのスモールLDL粒子濃度を排除して計算することができ、可能性のある総指数もしくは範囲はそれにしたがって減少させることができる。または、一部の特定の実施形態では、スモールLDL粒子濃度は潜在的マーカ20の6つ中の1つに過ぎないので、総合指数は実質的な影響を受けない可能性があるので、患者がスタチン類療法を受けているかどうかとは無関係に指数50を同一様式で計算できることも企図されている。
【0060】
各マーカ20は、患者のそのマーカ20の測定値に依存して個別に計算されたリスクスコア40を有することができる。各患者スコア40を規定するために使用される事前に規定されたリスクスコア30は、測定されたリポタンパク質粒子値が集団基準の(典型的には相違する五分位によって規定される)低い、または高いセグメントのいずれにあるかに基づいて規定することができ、より低いリスクはより低いスコアを有する。各マーカ20は、同一の、例えば0〜4、0〜10、0〜25などであるリスク範囲を有していてよい、または各マーカ20もしくは一部のマーカ20は、他とは相違するリスク範囲を有していてよい。例えば、非線形方程式を使用すると指数50を生成することができる。リスクスコア30の範囲は相違していてよく、リポタンパク質粒子パラメータ20の内の少なくとも1つは他より高い可能性のあるリスクスコア30を有していてよい。例えば、以下の表1〜3を参照されたい。
【0061】
図2Aでは、各マーカ20に対する可能性のあるリスクスコアは、可能性のある総最高数24に対して0〜4である。各リスクマーカ20のスコア値30は、典型的には連続する整数値で増加する。しかし、スコア値30は非連続性であってよく、整数であることは必要とされない。
【0062】
スコア値30は、特定の測定値の数値または数値範囲30pに対し増加することができる。特定の測定値の数値または数値範囲30pは、図2Aに示した実施形態では、「0」のリスク因子を備える規定数値範囲30での高インスリン感受性(もしくは低インスリン抵抗性)から様々な五分位範囲内にあるマーカ値と関連付けられたより高度のインスリン抵抗性と関連付けられたより大きいスコア30へ増加するインスリン抵抗性リスクと関連付けられた方向(矢印42による)に、様々なリポタンパク質パラメータ値21〜26と関連付けられた様々なマーカ20の各々についての様々な連続する五分位数値範囲30のセグメント内に提供され得る。
【0063】
または、1つ以上のマーカ20は、他のマーカのスコアよりもその測定範囲に指定されたより高いスコアを備える相違するリスクスケールを有することができ、該スコアは、増加もしくは連続する整数(例えば、スコアは、VLDL−P濃度測定値についての各相違する五分位に対して例えば0、1、3、5および7(またはそれ以上)であってよい)である必要はない。さらに、最小数は、負の数または「0」より大きくてよい。
【0064】
所定のこれらのリポタンパク質パラメータ21〜26はインスリン抵抗性と他よりも強力な独立した相関関係(独立したリスク要因)を有するが、指数50は、より高いおよび低い要因の両方を含むように計算することができる(例えば、一部のパラメータによって提供される一部の情報は、また別のパラメータによって提供される情報と重複する場合がある)。例えば、指数50(例えば、各々をインスリン抵抗性と関連付けることのできる数種の相違するリポタンパク質粒子の測定値を考察する合成指数)を生成するために様々なリポタンパク質パラメータ20の内の4つ以上を使用することは、検査は典型的には単一の時点に単一のサンプルを用いて行われるので、指数50がより確実または安定性の指標(例えば、時間平均測定値に類似する)となることに役立つ可能性がある。すなわち、特定患者のための任意の1つの時点に、任意の単一因子は患者および/または分析の変動に曝される可能性がある。複数、典型的には少なくとも4つ、および一部の実施形態では図2Aおよび図2Bに示した6つのリポタンパク質リスクマーカを使用すると、より良好および/またはより安定性の指数50を提供することができる。
【0065】
図2Aおよび図2Bは、NMRインスリン抵抗性マーカ20によって提供される予測情報を含む典型的に単純かつ理解しやすい報告書10を例示している。6つのマーカ21〜26の各々についての患者検査結果30pが表示または提示されている。図2Aは、患者測定値30pを備える報告書10を示し、それに隣接して整列しているのは、非糖尿病性個体の参照集団の五分位に対応させて本明細書に示されている、様々なリスクスコア30と結び付けられたセグメント内のデータの範囲を示している箱30bである(この実施例では、この標準範囲データの起源としてMESAを使用している)。図示したように、五分位箱30bはそれらのインスリン抵抗性との関係にしたがって左から右へ配列され、最高インスリン抵抗性を表示している箱が一番右である。マーカスコア30(例えば、0〜4)が各箱(例えば、集団サブグループ)に指定され、より大きい数はより高いインスリン抵抗性に結び付けられた数値に対応する。6つのパラメータ各々について患者の測定結果に対応する適切な箱は、視覚的に強調された(例えば、ボールド体、赤字、またはまた別の視覚的に強調する様式で強調表示された)31であってよい。患者測定値は、リポタンパク質インスリン抵抗性指数50を生じさせるために合計できるこれら6つの箱31の各々についてのスコア40を生じさせる。図2Aに示したように、指数50は、本実施例では0〜24(図2Aの実施例では、4+3+4+3+4+4=22)の数である。この指数スコア50は、報告書10の下側および/または例えば上部などの他の場所に表示することができる。図示したように、報告書10はさらにまた、より高いスコアは患者がより高度のインスリン抵抗性を有するますます大きな可能性を示すことを描出する視覚的矢印/スケールもしくはルーラ60を用いた相対的リスク度を示すことができる。
【0066】
図2Bは、各測定値30pは、全部が同一方向に増加するリスクを示すために配列されている、低から高、高から低、スモールからラージおよびスモールからラージのスケールに隣接させて図示できることを例示している。実際のリスクスコア40は、視覚的マーカによって指示できる。図示したように、三角形が、低値から高値への連続体に沿って患者の数値が配置されていることを指示するために、変量20の測定されたサブクラス/粒径30pのパーセンタイル値を示している。可能性のあるスコア30は、この報告書上では同定されていない。
【0067】
一部の実施形態では、指数50は患者のインスリン抵抗性状態の予測因子を連続体として提供することができ、最大値に近い指数50は、インスリン抵抗性の存在もしくは非存在のカテゴリー分類診断ではなく、より高度のインスリン抵抗性および糖尿病を発症するより高いリスクを表している。このタイプの代謝異常の指数50は、この指数50に影響を及ぼす(および低下させ、および/または好都合に変化させる)ため、前糖尿病および最終的には糖尿病の発病を防止するために、臨床医が患者に運動する、食習慣を改善する、および/または減量するように説得するのに役立つ可能性がある。
【0068】
しかし、第一四分位、例えば図2Aに示したスコア範囲内で18より上、もしくは18〜24、または図2B内の75パーセンタイルレベル以上にある指数50を有する患者は、前糖尿病を有すると診断でき、および/またはこの状態を確証するために血糖異常を評価するためのまた別の医学的評価を受けるように勧告することができる。
【0069】
さらに、典型的な報告書10は、関連マーカ20によるリスクの相対的に「明瞭な」要約を備える理解しやすいフォーマットを例示しているが、本発明の他の実施形態は「不明瞭な」形態のインスリン抵抗性指数50を、例えば独立したリポタンパク質パラメータ値の詳細およびこれらのマーカについて規定された関連するリスク値を伴わない単一の数として生成および提供する工程も想定している。このフォーマットが使用される場合、スケール60もまた任意で提供されてよい。
【0070】
表1〜3は、リポタンパク質パラメータ20の様々な測定値と関連付けることのできる典型的な方程式およびリスクスコア30を示している。リスクスコアデータは、例えば図2Bの報告書内に示された指数50に関して示されたような、0〜100の範囲内にある指数50を生成するために使用できる。
【0071】
表1〜3は、隣接列内のリポタンパク質パラメータの測定値もしくは数値範囲と相関させたリスクスコア30(表の中では「スコア」の用語で表示した)について上記で記載した6つのリポタンパク質パラメータ21〜26(図2A、2B)を示した表である。表1は、女性についての指数50を計算するために使用された典型的なスコア30を示しているが、表2は、男性についての同一情報を示している。そこで、表1および2は、性特異的指数50の実施例を表示している。図示したように、パラメータリスクスコア30はパラメータ特異的であり、各パラメータ21〜26の特定リポタンパク質測定値については、女性および男性についての同一数値/数値範囲に対して相違する可能性がある。表3は、リポタンパク質パラメータ20に対する性別の区別のない指数50およびリスクスコア30を例示している。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
そこで、方程式1〜3は同一であるが、被験者について入手できるスコア30は、特定患者に対して同一測定値を使用して指数50についてのある程度相違する数値を潜在的に生じさせる性特異的リスクスコア(または男女区別のないリスクスコア)に基づくと相違する。
【0076】
インスリン抵抗性とノースカロライナ州ローリーに主要営業所を有するNC LipoScience社から入手できるNMR LipoProfile(登録商標)リポタンパク質検査によって測定された6つのリポタンパク質粒子の濃度および粒径パラメータ20との間の強力な関連は、各々インスリン抵抗性の様々な測定を使用する2件の公表された試験および大規模の未公表試験において立証されてきた。これらの関連は、表4に要約されている。最初に公表された試験は、サウスカロライナ医科大学(MUSC)で相当に少数の被験者を対象に実施された(n=148。46例は未治療糖尿病。平均年齢37歳。43%は男性。66%は白色人種)(Garvey WT et al.Effects of Insulin Resistance and Type 2 Diabetes on Lipoprotein Subclass Particle Size and Concentration Determined by Nuclear Magnetic Resonance.Diabetes 2003;52:453−62.)。インスリン抵抗性は、ゴールドスタンダードの正常血糖性クランプ法を用いて測定され、NMR LipoProfile(登録商標)リポタンパク質検査は、冷凍空腹時血清試料を対象に実施された。
【0077】
2番目に公表された試験は、インスリン抵抗性アテローム動脈硬化症試験(IRAS)であった(Goff DC Jr et al.Insulin resistance and adiposity influence lipoprotein size and subclass concentrations.Results from the Insulin Resistance Atherosclerosis Study.Metabolism 2005;54:264−70)。NMR LipoProfile(登録商標)リポタンパク質分析は、平均年齢が55.5歳の試験参加者1,371例からの冷凍血漿サンプルを対象に実施された。この試験集団は、55%が女性であり、およそ3分の1ずつがアフリカ系アメリカ人、スペイン系アメリカ人および非スペイン系白人であった。46%は正常耐糖能であり、22%は耐糖能障害を有し、そして32%は糖尿病を有していた。インスリン抵抗性は、頻回にサンプリングされた静脈内糖負荷試験によって測定された。
【0078】
3番目の(未公表)試験は、アテローム動脈硬化症の多民族試験(MESA)である。MESAは、年齢が45〜84歳で臨床的心血管疾患のエビデンスを備えていない6,814人の白人、黒人、スペイン系および中国人の男性および女性を対象とする、NHLBI(国立心肺血液研究所)が資金提供した観察研究である。空腹時血液サンプルは、全試験参加者からベースライン検査(2000〜2002年)時に採血された。血清グルコースはVitros分析装置(Johnson & Johnson Clinical Diagnostics社)によって測定され、インスリンはLincoヒトインスリン特異的RIAキット(Linco Research社)を使用するラジオイムノアッセイによって決定された。HOMA(インスリン抵抗性指数のホメオスタシスモデル評価)は、インスリン(mU/L)×(グルコース[mg/dl]×0.055)/22.5として計算され、数値は分析のために自然対数変換された。NMR LipoProfile(登録商標)リポタンパク質検査測定は、冷凍ベースライン時血漿試料を対象にLipoScience社で実施された。性特異的および非性特異的リポタンパク質インスリン抵抗性スコアアルゴリズムの両方の発達は、一部には、インフォームドコンセントを提出し、脂質を変化させる投薬を全く受けていなかった糖尿病を有していないサブセットのMESA試験参加者(n=4,085)からのデータによって誘導された。
【0079】
【表4】
【0080】
表5は、MESA非糖尿病集団におけるHOMA値の性特異的パーセンタイル分布を示している。さらにまた、インスリン抵抗性のゴールドスタンダードの正常血糖性クランプ法測定とより密接および線形に関連するHOMAの自然対数変換値ln(HOMA)もまた示されている。表6は、個別ならびに結合した男性および女性におけるインスリン抵抗性の6つのNMRサブクラスおよび粒径マーカのパーセンタイル分布である。
【0081】
【表5】
【0082】
【表6】
【0083】
インスリン抵抗性を予測するために6つのNMRサブクラス/粒径パラメータ21〜26の各々の比較能力を定量的に評価するために、線形回帰モデルを分析した。表7に示した結果は、サブクラス/粒径パラメータの各々が、関連強度は相違するが、インスリン抵抗性との統計的に有意な関連を有することを示している。最も強い個別関連はラージVLDL−Pサブクラスとであり、このパラメータの1標準偏差増分は、ln(HOMA)における0.29の増加に対応する。NMRサブクラス/粒径パラメータとインスリン抵抗性との関連は、トリグリセリドとHDL−Cとの関連に匹敵する。例えば、McLaughlin et al.,Use of metabolic markers to identify overweight individuals who are insulin resistant,Ann.Intern.Med.2003:139:802−9を参照されたい。複数の(例えば、6つのNMR)測定値からの情報を指数50(以下では、合成「LP−IRスコア」と呼ぶ)と結合すると、インスリン抵抗性との関連を実質的に強化し、性特異的スコアは非性特異的スコアよりわずかに良好に機能した。
【0084】
【表7】
【0085】
分析のために非空腹時試料しか入手できない場合、それでもラージVLDL−P 21およびVLDL粒径24を計算から排除できる修飾「非空腹時」指数を使用してインスリン抵抗性を評価することが可能であるが、それはこれら2つのパラメータだけが非空腹状態によって感知可能に影響を受ける(どちらも空腹時血液サンプルと比較して非空腹時には高い数値を生じる)からである。
【0086】
インスリン抵抗性の連続的インジケーターとしてのリポタンパク質インスリン抵抗性指数の性能についてのまた別の測定は、図3Aにグラフ表示されている。プロットされているのは、非糖尿病MESA試験参加者についての彼らの(非性特異的)LP−IRスコアの関数としての平均ln(HOMA)値および95%信頼区間である。これらの結果は、LP−IRスコアとln(HOMA)との強力な線形関係を証明し、患者の相対インスリン感受性が単一の(空腹時)NMR LipoProfile測定からのリポタンパク質サブクラス/粒径情報を使用して有用に評価できることを指摘している。
【0087】
空腹時血糖値はインスリン抵抗性を反映し、患者がT2DMを発症するリスクの最も広く受け入れられているインジケータであるので、インスリン抵抗性を評価する際に空腹時血糖を指数50(例えば、LP−IRスコア)が増強する程度が試験された。平均ln(HOMA)値は、空腹時血糖および(非性特異的)LP−IRスコアの四分位によって層別化されたサブグループ内で決定された。図3Bに示したように、各血糖カテゴリー内の個人は、LP−IRスコアと強く関連したある範囲のln(HOMA)値を示した。予想されたように、HOMAの計算に血糖値を使用することを前提にすると、各LP−IRカテゴリー内でも血糖値とln(HOMA)との関連が見られた。
【0088】
有益にも、NMR LipoProfile(登録商標)リポタンパク質検査は複数(例えば、6つ)のサブクラス/粒径リポタンパク質パラメータ20を追加の費用、装置もしくは時間を必要とせずに同時に測定できるので、様々なパラメータ20からの情報は、インスリン抵抗性のレベルもしくは程度および/または例えばT2DMを含むインスリン抵抗性障害を発症するリスクを予測するために、組み合わせることができる(例えば空腹時サンプルが分析される場合には典型的には全6つの測定であるが、非空腹時サンプルに対しては典型的には4つの測定を組み合わせることができる)。このリスク予測は、様々なパラメータが独立した追加の予測を生じる程度および/または多重情報(過剰な場合さえ)が1つの時点に採取された単一の測定値に基づく予測の限界を克服することに役立つ利点の両方から生じ得る。様々なリポタンパク質パラメータデータが容易に入手されずに他の試験技術(例えば、超遠心分離)が使用されるときには、減少した数のリポタンパク質パラメータを使用できる。
【0089】
これらのデータは、個別患者のインスリン感受性が、単一の検査、例えば単一のNMR LipoProfile(登録商標)インスリン抵抗性検査から入手した情報を用いて正確に評価することができることを示している。一部の患者は空腹時検査を受け容れることができない、または検査に戻る意志はないが計画された来院中の血液検査は受け容れることはできるので、非空腹時検査の入手可能性が、それらの患者についての検査を提供できる可能性があると考えられる。
【0090】
本発明の実施形態によって提供されるリスク評価は、コレステロールプロファイルもしくはリポタンパク質プロファイルを受けた任意の個人について標準的な総リポタンパク質プロファイル分析プロトコールにルーチン的に含めることができる。実際に、本発明の方法は、NMRに基づくリポタンパク質プロファイル検査に便宜的および迅速に自動化して適用することができ、それにより患者に症状が出ていない場合でさえ費用効果よくリスク情報を提供することができる。標準コレステロールサンプル以上に追加の血液サンプルは必要とされず、個人は相当に時間を要する血糖検査にさらされる必要がない。そのような迅速なルーチン検査は、ますます増大した数の、今では容易に同定可能なリスク状態の患者がインスリン抵抗性障害の発病を防止するために薬物療法を受けること、および/またはライフスタイルを改善することを潜在的に可能にできる。
【0091】
図4は、本発明の実施形態を実施するために使用できる典型的な作業のフローチャートである。インビトロの(被験者から収集した)血液サンプルを入手し、NMR分析装置(分光計)に導入することができる。被験者は、インスリン抵抗性および/または2型糖尿病を発症する、またはインスリン抵抗性を発症するリスク状態にあると疑われることがある。または、被験者は、健康状態の総合的評価の一部として、または2型糖尿病もしくはその他のインスリン抵抗性障害についてリスク状態にあるとの疑い以外の理由のためにリポタンパク質プロファイルスクリーニングを受ける可能性がある(冠動脈心疾患のスクリーニングなど)。血液サンプルは、公知の技術によって収集することができ、または血漿サンプル、もしくは血清サンプルであってよい。次に血液サンプルは、リポタンパク質パラメータを測定するためにNMRスペクトル分析によって分析される(ブロック100)。血液サンプルのタイプを決定できる(ブロック110)。すなわち、本発明の実施形態は、空腹時および非空腹時の両方の血液サンプルを使用してリスクを評価するために一般的NMR分析装置が使用される、そしてサンプルは適正な試験分析を許容するために同定できることを企図している。または、たった1つのタイプの血液サンプルを単一検査システムで処理することができ、血液サンプルが空腹時または非空腹時のサンプルタイプであるかどうかについての必要を取り除く。サンプルタイプは、様々な色収集ラベル、または試験管および所望の検査プロトコールを指令するためにシステムへ入力できる関連バーコードを使用して同定することができる。一部の実施形態では、両方のサンプルタイプのために同一検査プロトコールを使用でき、そのサンプルタイプのために使用されない数値は、単純に抑制する、廃棄する、またはさもなければ無視することができる。そこで、非空腹時サンプルについては、任意の血糖測定値(実施された場合)および/またはVLDL−P濃度もしくはVLDL粒径の測定値は任意で無視でき、例えばインスリン抵抗性指数50を計算するためには使用されない。
【0092】
血液サンプルが空腹時血液サンプルである場合は(ブロック130)、インスリン抵抗性指数は、複数(典型的には全6つ)の様々なリポタンパク質パラメータ20のリスクスコア40を合計する合成スコアを用いて計算できる(ブロック135)。NMRグルコース測定値もまた入手できる(ブロック138)。特定の実施形態では、ラージVLDL−P、スモールLDL−P、およびラージHDL−Pの濃度ならびにVLDL粒径、LDL粒径、およびHDL粒径についてのリスク数を決定し、インスリン抵抗性指数50を規定するために合計することができる(ブロック137)。任意で、血糖値が例えば90mg/dL以上(例えば、100〜125mg/dLのFGまたは125mg/dL超のFGのいずれか)に上昇すると、この血糖検査結果は、患者がインスリン抵抗性障害および/またはT2DMを有する可能性があることを同定するために指数50に優先することができ、または指数50と関連付けられたリスクを強調することができる(ブロック140)。血糖測定値を使用した場合、血糖測定値はFG<90mg/dL値または約100mg/dL未満の数値について考察することができ、この測定値は、患者がインスリン感受性(過度のインスリン抵抗性もしくは前糖尿病の発病前)であることを確証できる。
【0093】
血液サンプルが非空腹時血液サンプルである場合は(ブロック120)、インスリン抵抗性指数50は、空腹時分析のために使用されるパラメータより少ない複数(典型的には4つ)の様々なリポタンパク質パラメータのリスク数を合計する合成スコアを用いて計算することができる(ブロック125)。スモールLDL−PおよびラージHDL−Pの濃度ならびにLDL粒径およびHDL粒径についてのリスクスコア40を、決定して合計し、(合成)インスリン抵抗性指数50を規定することができる(ブロック123)。
【0094】
関連リスクスコアを備える他の、または追加のリポタンパク質パラメータは、インスリン抵抗性指数を生成するために空腹時または非空腹時いずれかのサンプルについて合計することができ、および/または1つ以上のパラメータ20についてのリスクスコア40を指数計算において加重できることが企図されている。
【0095】
一部の実施形態では、検査システム/方法は、患者が脂質を変化させる任意の投薬を受けているかどうか、例えば(非糖尿病患者が脂質を変化させる投薬を摂取しているかどうか)を同定するために構成することができる。これはシステム/方法が相違するセットの6つのリポタンパク質パラメータ(および調整された最大スコア)を用いて指数を計算すること、またはパラメータ40を加重すること、または代替的リスクスコア30を使用すること、例えば他のサンプルに対して使用された分析とは異なる方法でサンプルを分析することを許容できる。例えば、スタチン類を摂取している患者については、リスクスコアは他の患者についてと同じものから計算でき、または指数はスモールLDL粒子の濃度を除外する(および総潜在的指数数を低下させる)ことによって計算できる。
【0096】
一部の実施形態では、指数50は、また別の方法で計算し、臨床医に提供することができる。関連リスクスコア30を排除もしくは調整するための、可能性のある総指数スコアおよび/または6つのリポタンパク質パラメータ20における類似の調整は、該患者が摂取している投薬およびどのような脂質変化が同一物に関連しているかに基づくことができる。
【0097】
公知であるように、全血漿サンプルの観察されたCH3線形はその構成成分リポタンパク質クラスの脂質シグナルの適切に加重された合計によって密接に模擬されるので、任意のサンプル中に存在するこれらの構成成分の濃度を引き出すことができる。これは、観察された血漿NMRスペクトルと計算された血漿スペクトルとの間の最良適合を生じさせる加重係数を計算することによって遂行される。一般的に言って、NMRリポタンパク質分析のプロセスは、以下の工程、(1)構成成分リポタンパク質クラスおよび/または対象の血漿のサブクラスの「純粋」個別もしくは関連分類の各々についてのNMR「参照」スペクトルの収集と、(2)参照スペクトルを入手するために使用された測定条件と実質的に同一の測定条件を使用してサンプルについての全血漿NMRスペクトルの収集と、(3)複数の対応するリポタンパク質参照物質の濃度として表示される各リポタンパク質構成成分の濃度を生じさせるための構成成分のクラスおよび/またはサブクラス(またはそれらの関連分類)による血漿NMRスペクトルのコンピュータ解析とによって実施できる。
【0098】
本明細書で使用する用語「NMRスペクトル分析」は、血漿もしくは血清中に存在するリポタンパク質パラメータを測定するため、または血漿もしくは血清中に存在する糖の濃度もしくは「レベル」を測定するために陽子(1H)核磁気共鳴分光法技術を使用することを意味する。リポタンパク質パラメータ(クラスまたはサブクラス)を「測定する工程」は、リポタンパク質クラスもしくはサブクラスのパラメータ、例えばリポタンパク質クラスもしくはサブクラスの濃度またはそれらの平均粒径を決定する工程を意味する。
【0099】
より詳細には、本発明の特定の実施形態は、陽子NMRデータを血漿もしくは血清のサンプルから収集し、化学シフトスペクトルを生成するために収集されたNMRデータを処理し、リポタンパク質構成成分各々の濃度および該構成成分のサブクラスの分布を生じさせるためにリポタンパク質の主要クラスのサブクラスの参照スペクトルによって該スペクトルを解析するシステムおよび方法を含んでいる。このシステムおよび方法は、任意で、血漿もしくは血清のサンプルから陽子NMRデータも収集し、化学シフトスペクトルを生成するために該収集されたNMRデータを処理し、血清もしくは血漿サンプル中のグルコース濃度を生じさせるためにグルコースの参照スペクトルによって該スペクトルを解析することができる。
【0100】
該方法はリポタンパク質クラスを対象に実施できるが、リポタンパク質のサブクラスについてプロセスを実施する工程は、計算された線形とNMR線形との誤差を減少させ、そこで各クラスのサブクラスプロファイルの同時決定を許容しながら測定の精度を増加させることができる。サブクラスの線形および化学シフトにおける相違は小さいために、典型的には各サブクラスの参照スペクトルを血漿スペクトルと正確に整列させることが重要である。これらのスペクトルの整列は、リポタンパク質スペクトルと同様に、例えば温度およびサンプル組成などの環境変量に対して同一の様式で応答することが公知であるスペクトル内のコントロールピークの整列によって遂行される。1つのそのような適切な整列ピークはCaEDTAによって生成されるピークであるが、その他のEDTAピークもしくは適切なピークを利用することができる。スペクトルの整列によって、サブクラスの線形および化学シフトにおける小さな変動はより高度の精度およびサブクラスプロファイルを生成するために活用できる。NMRシグナルについて解析する方法についての詳細な説明は、米国特許第4,933,844号明細書、第5,343,389号明細書、および第7,243,030号明細書の中に見いだすことができ、それらの内容は参照することによりそれが本明細書に全部が言及されたかのように本明細書の一部をなすものとする。
【0101】
そこで、一部の典型的な実施形態では、対象のリポタンパク質パラメータの濃度および粒径は、個別のリポタンパク質クラスおよび/またはサブクラスの参照スペクトルを収集することによって決定される。次に参照スペクトルは、例えば電子メモリおよび/またはコンピュータプログラム内などに、追加の血液サンプルもしくは血清サンプルを評価するための参照基準を提供するために保存できる。個別リポタンパク質クラスおよびサブクラスと関連するNMR分光法由来スペクトルは、実質的に集団全体で不変である。したがって、個別リポタンパク質構成成分のNMR参照スペクトル(線形および振幅)は、個人の全血漿(または血清)と関連する合成シグナルを「解析」するための「鍵」として使用できる。この方法で、単一の参照セットは、(実質的に一定の温度および磁場で実施された場合)他の血液サンプルのリポタンパク質プロファイルを決定するための基礎として使用できる。
【0102】
より詳細に述べると、本発明の1つの実施形態は、スケーリング可能な係数を個別参照構成成分標準に指定し、スケーリング可能(加重)個別構成成分パラメータを合計する。NMR分光法分析は、実際(測定)合成血漿スペクトルシグナルを提供するために所望の(参照スペクトルのために使用される同一磁場強度および温度で採取された)血漿もしくは血清試料について生成される。次に本発明の好ましい方法は、スケーリング可能な係数の合計が合成シグナル値に実質的に「適合」するまでスケーリング可能な参照スペクトルを操作する。次にスケーリング可能な係数の数値がその個人の血漿サンプル中のリポタンパク質構成成分についての実際の濃度値を決定するために使用される。
【0103】
リポタンパク質クラスおよび/またはサブクラスのパラメータを決定することに加えて、本発明のNMRスペクトル分析は、例えば血液サンプル中のトリグリセリド、タンパク質、およびカイロミクロンの濃度などの血液の他の構成成分のパラメータを測定するためにも使用できる。
【0104】
上記で考察したように、一部の実施形態では、本発明の血液サンプル中のグルコース濃度は、典型的にはさらにまた同一血液サンプル中のリポタンパク質値のNMRに基づく測定値と一斉にNMRスペクトル分析を使用して測定できる。本明細書で使用する用語「一斉に」は、1回のNMRの「実行」もしくは測定事象中に実施することのできる時点に時間的に十分に近いことを意味する(すなわち、「一斉に」は同時にであってよく、あるいは相互の前または後の短期間内に発生する2つ以上の事象であってよく、あるいは同一サンプルもしくは単一採血セッションにおいて患者から採取されたサンプル、または開存性が確立されてから単一静脈穿刺から採取されたサンプルを対象に実施されたNMR評価であってよい)。
【0105】
中等度に上昇した空腹時血糖値を備える患者は、2型糖尿病を発症する上昇したリスク状態にある。したがって、本発明の実施形態は、1H NMRスペクトル分析による血漿サンプル中のグルコース濃度の決定を許容できる。これはサンプルの1H−NMRスペクトルを公知の血糖濃度を備えるサンプルのスペクトルと比較する工程によって実施される。サンプルスペクトルにおける強度の差を比較することによって、スペクトルにおけるグルコース濃度を計算することができる。
【0106】
図5は、血糖値を決定するために使用できる陽子NMRスペクトルにおける約3.55〜3.50(ppm)の間の2つのピークを備える血糖適合領域を備える、血漿の陽子NMRスペクトルを示している。図6は、血糖シグナルが観察される血漿スペクトルの領域の拡大を示し、2つのピークは血糖適合領域内に詳細に指示されている。血糖適合領域内のピークは、本発明の実施形態によるグルコースの定量的決定のために使用できる。参照スペクトルもしくは標準スペクトル、および患者血糖サンプルスペクトルにおけるデータポイントは、本明細書で「最良適合」を見いだすために記載された線形適合プロセスを使用して整列させられ、標準スペクトルの強度はサンプルスペクトルにマッチさせるために拡大される。血液サンプルの血糖濃度を生じさせるためには、標準物質の血糖濃度に該サンプルの線形にマッチさせるために使用される倍率が掛けられる。
【0107】
言い方を変えると、この血糖測定法では、参照血漿もしくは血清サンプルもしくは試料中のグルコースに対応するNMR参照データスペクトルが収集され、コンピュータメモリ内に保存される。参照係数は、その数値が独立した化学的血糖測定によって決定されたその参照試料の血糖濃度に基づいている参照スペクトル内の1つの血糖シグナルもしくは1群の血糖シグナル(「参照血糖線形」)に指定される。患者の血漿試料もしくは血清試料のNMRスペクトルは、血糖参照スペクトルを入手するために使用された測定条件と(実質的に)同一の測定条件下で少し後の時点に収集され、コンピュータメモリ内に保存される。すなわち、例えば、NMRデータスペクトルは、同一の磁場強度および試料温度下で入手される。参照血糖線形は、患者スペクトルにおける同一の血糖シグナルもしくは血糖シグナル群(「患者血糖線形」)と比較される。次に患者血糖線形との最良適合を生じさせるために参照血糖線形の振幅を調整するために必要とされる倍率を決定する計算が実施される。この倍率には、患者血漿試料もしくは血清試料中の血糖濃度を生じさせるために参照係数が掛けられる。
【0108】
線形適合プロセス(すなわち公知の関数の加重和に関する未知の関数の最小二乗法)において使用される数学は周知であり、例えばF.B.Hildebrand,Introduction to Numerical Analysis,2nd edition,pp.314−326,539−567,McGraw−Hill,1975などの数値分析についての多数の参考書に記載されている。血糖値計算についての追加の説明は、Otvos et al.への米国特許第6,518,069号明細書に提供され、その内容は本明細書に完全に引用されたかのように参照することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0109】
その他のライフスタイルおよび遺伝に関する情報もまた収集して、臨床医による総合リスク評価分析に取り入れることができる。例えば、糖尿病患者の体重、年齢、および家族歴は全部が、血中リポタンパク質に基づく分析に(個別または一緒に)取り入れることのできるリスク値を指定できる。
【0110】
被験者は、境界(血液検査)インスリン抵抗性指数50(例えば、最大リスク数の50%〜60%の数値)を有する可能性があるが、家族歴、遺伝、体重またはライフスタイル情報の内の1つ以上に帰せられる増加したリスク値によって(すなわち、2型糖尿病を発症することについて)「リスク状態」であると同定されることがある。この情報は、例えば運動、減量もしくは食習慣の改善などのライフスタイルの改善および/もしくは薬物療法のための患者を同定することができ、ならびに/または該被験者に増加した、および/もしくは定期的な監視スケジュールを課すことができる。上述したように、指数50は、患者がライフスタイルを改善する動機付けを与えるために使用できる代謝異常のより明確な証拠を提供できる。
【0111】
当業者であれば、本明細書に記載した方法がインスリン非感受性またはインスリン抵抗性のリスクを低下させるために経時的に患者(および治療プログラムの潜在的有効性)を評価するために有用であることを理解する。ベースライン時インスリン抵抗性指数50を生成するベースライン時インスリン抵抗性/感受性検査結果は、患者サンプル、例えば典型的には本明細書に記載したNMRスペクトル分析によって分析される血液サンプルを分析する工程によって入手できる。ベースライン時検査後、およびその後は定期的に、血液もしくは他の適切な生体サンプルを再び該被験者から採取することができ、次にベースライン時に測定されたリポタンパク質パラメータの第2回およびその後のインスリン抵抗性分析は、再び典型的には本明細書で記載したNMRスペクトル分析によって入手される。第2回分析および/または指数50は、ベースライン時指数50と比較することができる。2つの間の差(指数50における差および/または1回以上の測定されたリポタンパク質パラメータ20の数値における有益/好都合な変化によって指示される差)は、治療の有効性および/または指数50における安定性の指標を提供できる。
【0112】
図7は、本発明の実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品を例示するデータ処理システムの代表的な実施形態のブロック図である。プロセッサ310は、アドレス/データバス348を介してメモリ314と連絡している。プロセッサ310は、任意の市販で入手できる、または注文設計のマイクロプロセッサであってよい。メモリ314は、データ処理システム305の機能性を実行するために使用されるソフトウエアおよびデータを含有する全階層のメモリデバイスの代表である。メモリ314は、以下のタイプのデバイス:キャッシュ、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、SRAM、およびDRAMを含むことができるがそれらに限定されない。
【0113】
図7に示したように、メモリ314はデータ処理システム305において使用される幾つかのカテゴリーのソフトウエアおよびデータ、すなわちオペレーティングシステム352、アプリケーションプログラム354、入力/出力(I/O)デバイスドライバ358、リポタンパク質パラメータの濃度および粒径を考察するインスリン抵抗性指数計算モジュール350、およびデータ356を含むことができる。インスリン抵抗性指数計算モジュール350は、検索チャートもしくは電子レファレンスライブラリーにおいてマーカ「20」(インスリン抵抗性と関連する規定リポタンパク質粒子パラメータ)として作用する各リポタンパク質パラメータの様々な数値もしくは範囲に対する規定リスク値を含むことができる。
【0114】
データ356は、データもしくはシグナル収集システム320から入手できるシグナル(構成および/または合成スペクトル線形)データ362を含むことができる。当業者であれば認識できるように、オペレーティングシステム352は、データ処理システムとともに使用するために適合する任意のオペレーティングシステム、例えばInternational Business Machines Corporation社(ニューヨーク州アーモンク)からのOS/2、AIXもしくはOS/390、Microsoft Corporation社(ワシントン州レドモント)からのWindows(登録商標)CE、Windows(登録商標)NT、Windows(登録商標)95、Windows(登録商標)98、Windows(登録商標)2000もしくはWindows(登録商標)XP、Palm社からのPalmOS、Apple Computer社からのMacOS、UNIX(登録商標)、FreeBSD、またはLinux、専売オペレーティングシステムもしくは専用オペレーティングシステム、例えば埋め込みデータ処理システムであってよい。
【0115】
I/Oデバイスドライバ358は、典型的には、例えばI/Oデータポート、データストレージ356および特定メモリ314コンポーネントおよび/または画像収集システム320などのデバイスと連絡するためにオペレーティングシステム352を通してアプリケーションプログラム354によってアクセスされるソフトウエアルーチンを含んでいる。アプリケーションプログラム354は、データ処理システム305の様々な機能を実行するプログラムの例示であり、本発明の実施形態による作業を支持する少なくとも1つのアプリケーションを含むことができる。最後に、データ356は、アプリケーションプログラム354、オペレーティングシステム352、I/Oデバイスドライバ358、およびメモリ314内に存在していてよい他のソフトウエアプログラムによって使用される静的および動的データを表す。
【0116】
本発明を例えば図7におけるアプリケーションプログラムであるモジュール350を参照しながら具体的に説明してきたが、当業者であれば認識できるように、本発明の教示からの利益を依然として享受しながら他の構成もまた利用することができる。例えば、モジュール350は、さらにまたオペレーティングシステム352、I/Oデバイスドライバ358またはデータ処理システム305の他のそのような論理区域内に組み入れることもできる。そこで、本発明は、図7の構成に限定されると見なすべきではなく、本明細書に記載した作業を実行することのできる任意の構成を含むことが意図されている。
【0117】
I/Oデータポートは、データ処理システム305と画像スキャナもしくは収集システム320または別のコンピュータシステムもしくはネットワーク(例えば、インターネット)との間で、またはプロセッサによって制御される他のデバイスへ情報を伝達するために使用できる。これらのコンポーネントは、例えば多数の従来型データ処理システムにおいて使用されるコンポーネントなどの従来型コンポーネントであってよく、本明細書に記載したように作動するために本発明によって構成することができる。
【0118】
本発明を例えばプログラム、機能およびメモリの特定区域を参照しながら説明してきたが、本発明はそのような論理区域に限定されると見なすべきではない。そこで、本発明は、図7の構成に限定されると見なすべきではなく、本明細書に記載した作業を実行することのできる任意の構成を含むことが意図されている。
【0119】
ここで図8を参照すると、選択されたサンプルの線形および/またはNMR測定値を収集および計算するための代表的なシステム207の略図が示されている。システム207は、サンプルのNMR測定値を取るためのNMR分光計210を含んでいる。1つの実施形態では、分光計210は、NMR測定値が陽子シグナルについては400MHzで実行されるように構成される。他の実施形態では、測定は360MHzまたは他の適切な周波数で実行されてよい。所望の作業磁場強度に対応する他の周波数もまた使用できる。典型的には、陽子フロープローブが、サンプル温度を47±0.2℃で維持するための温度コントローラと同様に組み込まれる。分光計210の磁場均一性は、HDO NMRシグナルのスペクトル線幅が0.6Hz未満になるまで99.8% D2Oのサンプルについてシム調整することにより最適化できる。D2O測定のために使用される90°RF励起パルス幅は、典型的には約6〜7マイクロ秒である。
【0120】
再び図8を参照すると、分光計210は、典型的にはデジタルコンピュータ211または他のシグナル処理装置に保持されたプロセッサまたはACISによって制御される。コンピュータ/プロセッサは、高速フーリエ変換を実施できなければならない。システム207は、外部サーバ、クライアントもしくは他のコンピュータ213へのデータリンク212、およびハードディスク装置215もしくはデータ記憶を備えるバックアップサーバへ接続するダイレクトメモリアクセスチャネル214もまた含むことができる。
【0121】
コンピュータ211はまた、一連のアナログ−デジタルコンバータ、デジタル−アナログコンバータならびにパルスコントロールおよびインターフェース回路216を通して分光計のオペレーティング要素に接続するスローデバイスI/Oポートも含むことができる。これらの要素には、デジタルコンピュータ211によって指令される期間、周波数および振幅のRF励起パルスを生成するRFトランスミッタ217、およびパルスを増幅させてそれをサンプルセル220を取り囲むRF送信コイル219へ連結するRF電力増幅器218を含んでいる。超電導磁石221によって生成された9.4テスラ偏光磁場の存在下で励起されたサンプルによって生成されたNMRシグナルは、コイル222によって受信され、RFレシーバ223へ印加される。増幅およびフィルターにかけられたNMRシグナルは、224で復調され、生じた直交シグナルはインターフェース回路216へ印加され、そこで直交シグナルはデジタル化され、デジタルコンピュータ211を通してディスクストレージ215内のファイルへ入力される。モジュール350(図7)は、デジタルコンピュータ211内、ならびに/またはオンサイトまたは有線接続もしくは無線接続を用いて遠隔であってよい第2コンピュータ、プロセッサ、またはデータベース内に配置することができる。システム207はインターネット接続227を有していてよく、報告書を臨床医へ電子的に、および/または紙によって送信することができる。生体サンプルもしくは試料を分析するために適合する追加の自動化臨床NMR分析装置システムは、本願と同一の譲受人に譲渡された係属中の米国特許出願第11/093,596号明細書(2005−0222504)中に記載され、その内容は本明細書に完全に引用されたかのように参照することにより本明細書の一部をなすものとする。例えば、この分析技術の追加の説明については、米国特許第5,343,389号明細書、第6,617,167号明細書、第4,933,844号明細書、および第7,243,030号明細書も参照されたい。これらの特許文書の内容は、本明細書に完全に引用されたかのように参照することにより本明細書の一部をなすものとする。さらに、Handbook of Lipoprotein Testing,Chapter 31:「Measurement of lipoprotein subclass profiles by nuclear magnetic resonance spectroscopy」,J.D.Otvos,AACC Press,Washington DC,2000,2nd ed.,pp 609−623を参照されたい。
【0122】
NMRデータがサンプルから測定セル220内に収集された後、コンピュータ211による処理は、所望であればディスクストレージ215内(または例えばサーバもしくはデータベースなどの他のデータストレージデバイス)に保存できるまた別のファイルを生成する。この第2ファイルは化学シフトスペクトルのデジタル表現であり、引き続いてそのディスクストレージ225内への保存のためにコンピュータ213へ読み出される。そのメモリもしくは遠隔システム内に保存されたプログラムの指令下で、パーソナル、ラップトップ、デスクトップ、または他のコンピュータであってよいコンピュータ13は、本発明の教示にしたがって報告書を印刷するために化学シフトスペクトルを処理し、報告書はプリンタ226へ出力される、または電子的に保存されて所望のeメールアドレスもしくはURLへ伝達される。当業者であれば、他の出力デバイス、例えばコンピュータディスプレイスクリーンなどもまた結果の表示のために使用できることを理解する。
【0123】
当業者には、コンピュータ213およびその別個のディスクストレージ225によって実施される機能は、さらにまた分光計のデジタルコンピュータ211によって実行される機能内に組み込むこともできることは明白なはずである。そのような場合には、プリンタ226はデジタルコンピュータ211に直接的に接続でき、または臨床現場に存在していてもよい。その他のインターフェースおよび出力デバイスもまた、当業者には周知であるように使用することができる。
【0124】
インスリン抵抗性指数は、脂質代謝異常(糖尿病性脂質代謝異常を含む)、2型糖尿病、および妊娠性糖尿病を含むがそれらに限定されないインスリン抵抗性の障害を有することについてリスク状態にある患者を同定するのに役立つことが企図されている。
【0125】
上記は本発明の例示であり、本発明を制限するものであると見なすべきではない。本発明の少数の典型的な実施形態について記載してきたが、当業者であれば、本発明の新規の教示および利点から実質的に逸脱することなく典型的な実施形態において多数の修飾が可能であることを容易に理解する。したがって、全てのそのような修飾は、特許請求の範囲に規定された本発明の範囲内に含まれると意図されている。特許請求の範囲では、使用される場合、ミーンズ・プラス・ファンクション・クローズは、本明細書において言及された機能を実施する構造および構造的同等物だけではなく同等構造もまた全て含むことが意図されている。このため、上記は本発明の例示であり、特定の開示した実施形態を制限するものであると見なすべきではないこと、そして開示した実施形態ならびに他の実施形態への修飾は添付の請求項の範囲内に含まれることが意図されると理解すべきである。本発明は、以下の特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲の同等物はその中に含めるべきである。
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2008年10月20日に出願された米国特許仮出願第61/106,833号明細書に対する恩典および優先権を主張するものであり、上記出願の内容は本明細書において完全に引用されているように参照することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0002】
[著作権の留保]
本特許文書の開示の一部分は、それに対して著作権保護が要求される事項を含有する。著作権保有者は、本特許文書もしくは本特許開示のいずれかのファクシミリによる複製に対しては、それが特許商標局の特許ファイルまたは特許記録に掲載されるため異論はないが、いかなる全ての権利も留保する。
【0003】
[発明の分野]
本発明は、患者が2型糖尿病を発症するリスクを評価するための、および/または患者のインスリン抵抗性の程度を評価するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0004】
2型真性糖尿病(T2DM)は、極めて費用がかかって厄介な慢性疾患の1つであり、米国やその他の国々においてまん延比率が増加しつつある。T2DMの決定的な特徴は高血糖症であり、これはインスリン分泌反応の欠損もしくは不完全の結果として生じる炭水化物(グルコース)利用障害の反映である。T2DMは、現在は125mg/dL以上の空腹時血漿中グルコース値を有する患者において規定されている。T2DMは、何年も前に始まる代謝異常の後期発現である。その原因は、β細胞機能の低下と連動したインスリン抵抗性の漸進的増加であると考えられる。インスリンの血糖低下作用に対する標的組織の漸進的抵抗性を代償するために膵臓β細胞が十分なインスリンを分泌することができる限りは、患者は正常空腹時血糖値を維持することができる。高血糖症およびT2DMへの移行は、インスリン抵抗性の増大に直面してインスリンの高分泌の維持不全を引き起こす漸進的β細胞機能不全の結果として発生する。これらの経時的な潜在的代謝変化および血糖値に及ぼす影響は、図1に概略的に示されている。
【0005】
2型糖尿病は、伝統的には血液中の上昇したグルコース(糖)レベル(高血糖症)の検出によって診断されてきた。高血糖症は糖尿病を規定するが、糖尿病は、インスリン抵抗性から末期糖尿病に通じる一連の事象における極めて後期の進行状態である。したがって、被験者が典型的症状、例えば高血糖症を発症する前に2型糖尿病を発症するリスク状態にある(すなわち、該状態に対する素因を有する)か否かを同定する方法があれば望ましい。疾患の指標のより早期の検出(例えば、血糖値が高血糖症であると見なされるほど十分に上昇する前の検出)は、該疾患の発病を実際的には防止できないにせよ、該疾患のより効果的な治療を導ける可能性がある。
【0006】
インスリン抵抗性を評価するために最も直接的かつ正確な方法は、労力を要し、時間も消費するため、臨床応用には実際的ではない。これらの調査方法の内の「ゴールドスタンダード」は、高インスリン血症正常血糖性クランプ法であり、この方法はクランプ中に最大糖処理率(GDR、インスリン抵抗性と反比例する)を定量する。また別の、再現性が若干低い(CV(変動係数)、14〜30%)極めて困難な調査方法は、インスリン抵抗性の逆であるインスリン感受性(Si)を測定する、最少モデル分析を用いて頻回にサンプリングされる静脈内糖負荷試験(IVGTT)である。
【0007】
Otvos et al.への米国特許第6,518,069号明細書は、患者がT2DMを発症するリスクを評価するためのグルコースおよび/または所定のリポタンパク質値のNMRにより得られた測定値について記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、患者のインスリン抵抗性のレベルを評価するための、および/または被験者が糖尿病を有するリスク状態にあるかどうかを決定するために同一物を使用するためのシステム、方法および評価に関する。
【0009】
本発明の実施形態は、非糖尿病性被験者のインスリン抵抗性のレベルを予測できる方法を提供する。この方法は、(a)インビトロの患者生体サンプルから複数の選択されたリポタンパク質パラメータの測定値を入手する工程と、(b)該入手した測定値に基づいてリポタンパク質インスリン抵抗性指数をプログラムにより生成する工程とを含んでいる。
【0010】
選択されるパラメータは、ラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径(典型的には、平均粒径)の少なくとも4つを含むことができる。
【0011】
生成する工程は、複数の入手したリポタンパク質パラメータ測定値の各々についてのリスクスコアを計算する工程と、該計算されたリスクスコアを合計してリポタンパク質インスリン指数を規定する工程とを含むことができる。
【0012】
一部の実施形態では、患者のサンプルは非空腹時の血漿サンプルもしくは血清サンプルであり、入手した測定値はスモールLDLおよびラージHDLの粒子濃度、ならびにLDLおよびHDLの(平均)粒径のNMR測定値を含む少なくとも4つのNMR測定値を含んでいる。この生成する工程は、少なくとも4つの入手した測定値の各々についてのリスクスコアを計算する工程と、該4つのリスクスコアを合計してリポタンパク質インスリン抵抗性指数を生成する工程とを含むことができる。
【0013】
他の実施形態では、患者のサンプルは空腹時サンプルであり、入手した測定値は全6つのリポタンパク質パラメータのNMR測定値を含んでいる。この生成する工程は、6つの入手したリポタンパク質パラメータ測定値の各々についてのリスクスコアを計算する工程と、該6つのリスクスコアを合計してリポタンパク質インスリン抵抗性指数を生成する工程とを含むことができる。
【0014】
特定の実施形態では、生成する工程は、入手したリポタンパク質パラメータ測定値の各々についてのリスクスコアを計算する工程、または1セットの規定リスクスコアから1つのリスクスコアを選択する工程と、該リスクスコアを合計して0〜100の間の数値を備えるリポタンパク質インスリン抵抗性指数を生成する工程とを含むことができ、このとき100はインスリン抵抗性の高度のリスクを示す。より大きな数値のリポタンパク質インスリン抵抗性指数は、糖尿病を発症する増加したリスクと関連付けることができる。
【0015】
さらにまた別の実施形態は、患者検査報告書に向けられる。検査報告書は、リポタンパク質インスリン抵抗性指数を含んでいる。該指数は、患者の血液サンプルまたは血漿サンプルの複数のNMR測定リポタンパク質粒子パラメータの各々と相関するリスクスコアの合成数である。
【0016】
複数のパラメータは、ラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径の少なくとも4つを含むことができる。
【0017】
さらに他の実施形態は、非糖尿病性被験者における低下したインスリン感受性(例えば、インスリン非感受性)および/またはインスリン抵抗性を評価するためのコンピュータプログラムに向けられる。コンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体であって、該媒体内に埋め込まれたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ可読媒体を含んでいる。コンピュータ可読プログラムコードは、リポタンパク質パラメータ、すなわちラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径の少なくとも4つのNMR測定値を決定するコンピュータ可読プログラムコードと、1つのリスクスコアを該少なくとも4つのリポタンパク質NMR測定値の各々に関連付けるコンピュータ可読プログラムコードと、該少なくとも4つのNMRリポタンパク質パラメータ測定値の各々のリスクスコアを使用してリポタンパク質インスリン抵抗性指数を生成するコンピュータ可読プログラムコードとを含んでいる。
【0018】
さらに他の実施形態は、被験者の血液サンプルまたは血漿サンプル中でのリポタンパク質パラメータの測定データを使用してインスリン抵抗性指数を生成するためのシステムに向けられる。このシステムは、インビトロの血漿サンプルもしくは血清サンプルの少なくとも1つのNMRスペクトルを収集するためのNMR分光計と、該NMR分光計と連絡しているプロセッサとを含んでいる。 プロセッサは、(a)複数の選択されたリポタンパク質パラメータのNMR測定値を決定し、(b)該選択されたリポタンパク質パラメータの決定された測定値の各々について1つのリスクスコアを計算し、または1セットの規定されたリスクスコアから1つのリスクスコアを選択し、(c)該リポタンパク質パラメータの各々についてのリスクスコアを合計してリポタンパク質インスリン抵抗性指数を生成するために構成される。
【0019】
選択されたリポタンパク質パラメータは、血漿サンプルもしくは血清サンプル中のリポタンパク質パラメータ、すなわちラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径の少なくとも4つを含むことができる。
【0020】
さらにまた他の実施形態は、インスリン感受性を低下させる治療を受けている被験者の治療効果を評価するための方法に向けられる。この方法は、(a)患者の血漿サンプルもしくは血清サンプルに対してリポタンパク質パラメータ、すなわちラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径の少なくとも複数を含むNMR測定リポタンパク質パラメータを用いて第1インスリン抵抗性スコアを入手し、入手した測定値に基づいて第1インスリン抵抗性スコアをプログラムにより生成する工程と、次に(b)患者の血漿サンプルもしくは血清サンプルに対してリポタンパク質パラメータ、すなわちラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径の少なくとも複数を含むNMR測定リポタンパク質パラメータを用いて、インスリン感受性を低下させるためのライフスタイルまたは薬物治療を該被験者が開始した後に入手した患者の血漿サンプルもしくは血清サンプルの第2インスリン抵抗性分析を入手し、入手した測定値に基づいて第2インスリン抵抗性スコアをプログラムにより生成する工程と、(c)該被験者のための治療有効性の指標を提供するために該リスク数が減少したかどうかを評価するために該第1スコアおよび第2スコアを比較する工程とを含んでいる。
【0021】
本発明の実施形態は、低下したインスリン感受性(例えば、インスリン非感受性または抵抗性)を備える被験者および/または糖尿病を発症する、もしくは有するリスク状態にある被験者を、例えば血糖値が依然として正常範囲内にあり、β細胞機能は未だ悪化していない場合などのように、大多数の人々にとって従来法で達成されるより早期にライフスタイル介入を開始するためにリスク状態の患者を標的とすることによってより有効なT2DM予防を可能にするために従来法で達成されたより早期に同定するための理解しやすいインスリン抵抗性評価を提供する。
【0022】
本発明の一部の実施形態は、インスリン感受性/抵抗性を評価して、患者が2型糖尿病を発症するリスクを評価するための(規定)スケールと関連付けられたインスリン抵抗性指数(例えば、スコア)を提供することができるインスリン抵抗性検査に向けられる。この検査は、ラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの(平均)粒径の内の複数を定量するためにリポタンパク質粒子サブクラスを測定するための自動核磁気共鳴(NMR)分光計を使用して生成することができる。一部の検査は、核磁気共鳴(NMR)分光法を使用して空腹時または非空腹時の血清サンプルおよび血漿サンプルを用いて実施できる。一部の検査は、同一患者サンプルを使用してグルコースを測定する工程をさらに含むことができる。リポタンパク質サブクラス(濃度)および粒径の測定はインスリン抵抗性と関連し、そして概して、非糖尿病性患者のインスリン感受性のレベルを評価するための定量的手段として、他の検査室測定および臨床評価と結び付けて、彼らが2型真性糖尿病を発症するリスクの評価に役立たせるために使用できる。
【0023】
該検査は、個別にリスクについてスコア付けされた各因子とともに複数の様々なリポタンパク質サブクラス測定(例えば、典型的には約4〜6つの相違するリポタンパク質因子)の測定値に基づくことができる。合成スコアもしくは累積(総)スコアは、リポタンパク質インスリン抵抗性指数を規定するために使用できる。
【0024】
以下では、本発明の上記およびその他の目的および態様についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】経時的な代謝変化を概略的に示すグラフである。
【図2A】本発明の実施形態によるリポタンパク質インスリン抵抗性指数を含む典型的な患者検査報告書である。
【図2B】本発明の実施形態によるリポタンパク質インスリン抵抗性指数を含む別の典型的な患者検査報告書である。
【図3A】本発明の実施形態による、リポタンパク質インスリン抵抗性指数値によって分類された非糖尿病性MESA参加者(数値的に指示された各指数カテゴリーにおける被験者数を含む)においてln(HOMA)値によって測定されたインスリン抵抗性のグラフである。
【図3B】本発明の実施形態による非糖尿病性MESA参加者(括弧内に指示された各指数カテゴリーにおける被験者数を含む)におけるグルコース(mg/dL)の四分位数およびリポタンパク質インスリン抵抗性指数スコアによるインスリン抵抗性(ln(HOMA))の棒グラフである。
【図4】本発明の実施形態によるインスリン抵抗性指数(例えば、スコア)を決定するために実施できる典型的な作業のフローチャートである。
【図5】本発明の一部の実施形態による破線のボックスによって指示された血糖値適合領域を備える血漿の陽子NMRスペクトルである。
【図6】本発明の実施形態による患者における血糖値を評価するために使用された2つのピークを備える拡大された血糖値適合領域を示す図5の拡大された一部分のNMRスペクトルである。
【図7】本発明の実施形態によるデータ処理システムの略図である。
【図8】本発明の実施形態によるNMR分析装置の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の好ましい実施形態が示される添付の図面を参照しながら本発明をより十分に説明する。しかし本発明は、多数の様々な形態で具体化することができ、本明細書に記載した実施形態に限定されると見なすべきではない。むしろこれらの実施形態は、この開示が完璧および完全であるように、そして当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提供される。
【0027】
同様の数字は、本明細書を通して同様の要素を意味する。図面では、所定の線、層、コンポーネント、要素もしくは機構の厚さは、明確さのために誇張される場合がある。破線は、他に特に明記しない限り、任意の機構または作業を例示する。
【0028】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を記載するためだけのものであり、本発明を限定することは意図されていない。本明細書で使用する単数形「1つの(「a」「an」)」および「その(「the」)」は、状況が明確に他のことを指示していない限り、複数形を同様に含むことが意図されている。用語「含む」および/または「含んでいる」は、本明細書で使用される場合は、言及された機構、整数、工程、作業、要素、および/またはコンポーネントの存在を規定するが、それらの1つ以上の他の機構、整数、工程、作業、要素、コンポーネント、および/または群の存在または追加を排除しないことはさらに理解される。本明細書で使用する用語「および/または」は、関連する列挙した項目の1つ以上のありとあらゆる組み合わせを含んでいる。本明細書で使用する語句、例えば「XとYとの間」および「約XとYとの間」は、XおよびYを含むと理解されたい。本明細書で使用する語句、例えば「約XとYとの間」は、「約Xと約Yとの間」を意味する。本明細書で使用する語句、例えば「約X〜Y」は、「約X〜約Y」を意味する。
【0029】
他に規定されない限り、本明細書で使用する(技術用語および科学用語を含む)全ての用語は、本発明が属する当業者には一般に理解される意味と同一の意味を有する。例えば一般に使用される辞書において規定された用語などの用語は、本明細書に明示的にそのように規定されていない限り、本明細書および関連技術に照らしてそれらの意味と一致する意味を有すると解釈すべきであり、理想的または過度に形式的な意味で解釈すべきではないとさらに理解される。周知の機能または構造は、簡潔さおよび/または明確さのために詳細に記載されない場合がある。
【0030】
用語「プログラムにより」は、指示、計算、機能、機構、作業および/または工程がコンピュータプログラムの指令を使用して実施されることを意味している。用語「自動化」および「自動」は、最小の手作業または手動入力を伴って、または全く伴わずに作業を実施できることを意味する。用語「半自動化」はオペレータに一部の入力もしくは活性化を許容することを意味するが、計算、決定およびシグナル収集ならびにリポタンパク質パラメータおよび/またはインスリン抵抗性マーカの濃度および/または粒径の計算は、電子的に、典型的にはプログラムにより手動入力を必要とせずに実施される。
【0031】
用語「生体サンプル」は、生の形態の、および/または標本中の全血、血漿、血清、尿、脳脊髄液(CSF)、リンパ液サンプル、糞便サンプル、組織、および/または体液を含んでいる。しかし、本発明の実施形態のためには、全血サンプルまたは血漿生体サンプルが特に適合する可能性がある。生体サンプルは、任意の標的被験者由来であり得る。被験者は、本発明によると、任意の動物被験者であってよく、好ましくは哺乳動物被験者(例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、齧歯類(マウス、ラット、ハムスター、モルモットまたはその他)、ブタ、霊長類、サル、および/またはウサギ)である。動物は、天然型、遺伝子組換え型もしくは遺伝子修飾型であろうと、/または変化させられた実験用、変化させられたライフスタイルおよび/または食習慣または薬物治療された動物変化であろうと、実験用動物または非実験用動物であってよい。
【0032】
用語「自動」は、そのように記載された実質的に全部または全部の作業が、ヒトオペレータの積極的な手動入力を必要とせずに実施することができることを意味し、典型的にはそれらの作業はプログラムにより指令および/または実施できることを意味している。用語「電子的」は、システム、作業またはデバイスが任意の適切な電子媒体を用いて連絡できることを意味し、典型的には遠隔であってよい制御システムと1つ以上のローカルNMR分析装置との間の連絡をコンピュータネットワークを使用してプログラムにより制御する工程を使用する。
【0033】
本明細書の所定の図面のフローチャートおよびブロック図は、本発明による分析モデルおよび評価システムおよび/またはプログラムの実行の可能性のある構造、機能性、および作業を例示している。この関連で、フローチャートまたはブロック図内の各ブロックは、特定の論理的機能を実行するための1つ以上の実行可能命令を含む、モジュール、セグメント、作業、またはコードの部分を表している。さらにまた、一部の代替的実行では、ブロック内に記載した機能は図面に記載した順序から外れて行われてよいことにも留意されたい。例えば、連続して示された2つのブロックは、実際には実質的に一斉に実行することができ、またはこれらのブロックは、時には、関連する機能性に依存して逆順で実行されてもよい。
【0034】
本明細書で使用する用語「2型真性糖尿病(T2DM)」は、互換的に「非インスリン依存型真性糖尿病(NIDDM)」とも称され、細胞インスリン抵抗性および/または血糖値を平衡させて維持するために必要であるより少ないインスリンの分泌を特徴とする障害に関する。1型糖尿病は、これとは対照的に、自己免疫反応によって膵臓におけるインスリンを生成するβ細胞の破壊を特徴とする障害を意味する。
【0035】
「明らかな(frank)」T2DMを発症する前に、人々は米国糖尿病協会によって「前糖尿病」と名付けられた、空腹時血糖障害(IFG、100〜125mg/dLの空腹時血糖値)または耐糖能障害(IGT、血糖値=140〜199mg/dL、標準75gの経口糖負荷の2時間後)と現在は規定されている中等度の高血糖症の移行状態を通過する。前糖尿病を抱える個人は、数年以内にT2DMを発症する増加したリスクを有し、臨床試験は、インスリン感受性を増加させるライフスタイルまたは薬理学的介入がこれらの人々におけるT2DMの発病を遅延させることができることを証明している。
【0036】
しかし、「前糖尿病」段階での介入は、その発病を単純に遅延させるのではなく、糖尿病が発生するのを防止するために遅すぎるかどうかについての疑問がますます増大しつつある。その理由は、患者が前糖尿病(IFGまたはIGT)を発症する時点までに潜在的に重大な(不可逆的な)β細胞機能不全が典型的に発生してきたことである。患者がインスリン抵抗性になったときの、または上昇したインスリン感受性が検出されるときに患者がインスリン抵抗性になるより前の、β細胞損傷が生じる前の積極的なライフスタイル改善を行う早期の介入はT2DMを単に遅延させるのではなく防止することができる。
【0037】
以前は、臨床状況において使用するために適合するインスリン抵抗性の代替的測定は、空腹時血液サンプルに実施された検査室検査に全て依存していた。疫学的試験において最も古く、そして最も広汎に使用された方法は、インスリンおよび糖の空腹時レベルに基づくホメオスタシスモデル評価(homeostasis model assessment)であり、HOMA=(空腹時インスリン×グルコース)/22.5である。空腹時血漿サンプルに基づくインスリン抵抗性の多数の他の推定値が提案されてきた。HOMAおよびこれらの代替的なインスリン抵抗性推定値の性能は、それらがゴールドスタンダードの正常血糖性クランプ法測定とどのように相関しているかを決定することによって様々な患者集団の検査において評価されてきた。HOMAの対数変換であるlog(HOMA)は、いずれの代替法と同等か、それより良好に遂行され、クランプ法で測定されたGDRとの強度の相関(rは約0.8)を生じた。
【0038】
HOMAは大規模集団を対象とする調査試験においてはインスリン抵抗性の有用な指数ではあるが、個別患者におけるインスリン抵抗性を評価するための単一決定の能力はその測定変動性によって制限される。HOMAについての変動係数(CV)は30%と高い可能性があり、より最適な条件下でのCVは8〜12%であると報告されている。空腹時血糖値の生物学的および分析的変動性はHOMAの変動性にある程度寄与するが、インスリン測定の限界はより重要である。市販のインスリンアッセイはインスリンとプロインスリンとの間の交差反応性が相違し、検査室間のインスリン値の一致を保証するのに役立つ標準化プログラムは設けられていないと考えられる。空腹時血漿インスリンを測定することについてのまた別の限界は、インスリン分泌の拍動性モード(10〜15分間の周期性を備える拍動)である。この変動の原因に由来する誤差を最小限に抑えるために、5分間隔で3つの血液サンプルを採血することが推奨されてきた。
【0039】
本発明の実施形態は、インスリン感受性および/またはインスリン抵抗性のレベルと相関するリポタンパク質インスリン抵抗性指数を提供するために、単一の患者(例えば、血液/血漿)インビトロサンプルを評価する際に有用である。リポタンパク質インスリン抵抗性指数(例えば、スコア)は、該患者が糖尿病を有する、および/または発症するリスクを評価するために使用できる。インスリン抵抗性とは、身体がインスリンに正常に反応できないことを意味する。インスリン抵抗性は、2型糖尿病の前兆であることが多い。「インスリン抵抗性症候群」もしくは「X症候群」は、高血糖レベルがインスリン産生を刺激するインスリン抵抗性に関する一連の医学的状態を意味する。被験者が過剰のインスリンを正常に処理できない場合は、インスリンレベルが上昇する。最終的には、該被験者は高血糖レベル(高血糖症)および高インスリンレベル(高インスリン血症)を有する。これらの条件下では、インスリンは脂肪代謝を制御する能力を消失し、過剰な脂肪が血流に進入する(高脂血症)。高脂血症は、高血圧、心疾患および脳卒中の原因となる。インスリン抵抗性のその他の障害には、脂質異常症(糖尿病性脂質異常症を含む)および末期2型糖尿病、若年性糖尿病および妊娠性糖尿病が含まれるがそれらに限定されない。
【0040】
インスリン抵抗性の最も早期の発現の1つは、トリグリセリド値の上昇およびHDLコレステロールの減少を生じさせるリポタンパク質代謝の変化である。Laasko et al.,Insulin resistance is associated with lipid and lipoprotein abnormalities in subjects with varying degrees of glucose tolerance,Arteriosclerosis:1990;10−223−31を参照されたい。インスリン抵抗性に付随する代謝変化は、NMR LipoProfile(登録商標)リポタンパク質分析によって検出されるリポタンパク質サブクラスのレベルおよび粒径分布における一層大きくより広汎な異常を生じさせる。具体的には、インスリン抵抗性の個体においては、ラージVLDLおよびスモールLDLサブクラス粒子の濃度はより高く、ラージHDLサブクラスのレベルはより低い。NMRで測定されたVLDL、LDL、およびHDLの粒径もまたインスリン抵抗性の状態を反映する。患者がインスリン抵抗性である場合、VLDLの粒径はより大きくなり、LDLおよびHDLの粒径はより小さくなる傾向がある。
【0041】
リポタンパク質は、血漿、血清、全血、およびリンパ液中で見い出される様々なタイプおよび量のトリグリセリド、コレステロール、リン脂質、スフィンゴ脂質、およびタンパク質を含む極めて様々な粒子を含んでいる。これらの様々な粒子は、血液中でさもなければ疎水性である脂質分子の可溶化を許容し、脂肪分解、脂肪生成、ならびに腸、肝臓、筋組織および脂肪組織間の脂質輸送に関連する様々な機能に役立つ。血液および/または血漿中では、リポタンパク質は、一般には例えば密度または電気泳動移動度などの物理的特性に基づく多数の方法で分類されてきた。核磁気共鳴法により決定された粒径に基づく分類は、5つのサブタイプの高密度リポタンパク質、4つのサブタイプの低密度リポタンパク質、および6つのサブタイプのTRL(トリグリセリドに富むリポタンパク質)V1〜V6と表わされる超低密度リポタンパク質を含む少なくとも15種の別個のリポタンパク質粒子サブタイプを識別する。
【0042】
本明細書で使用する用語「スモールLDL粒子」は、典型的には約18〜20.5nm未満の粒径範囲を有する粒子を含んでいる。用語「ラージLDL粒子」は、約20.5〜23nmの径範囲を備える粒子を含んでいる。LDLサブクラスの粒子は他の粒径範囲に分けられることに留意されたい。例えば、「スモール」の粒径は約19〜20.5nmであってよく、中間は約20.5〜21.2nmであってよく、そしてラージは約21.2〜23nmであってよい。さらに、中間比重リポタンパク質粒子(「IDL」または「IDL−P」)は、約23〜29nmの径範囲内であり、特に「ラージ」LDLと規定された粒子に含めることができる。
【0043】
用語「ラージHDL粒子」(「ラージHDL−P」)は、典型的には粒径が約9.4〜約14nmの範囲に及ぶHDLサブクラスの粒子を含んでいる。用語「スモールHDL粒子」(スモールHDL−P)は、典型的には径が約7.3〜約8.2nmの範囲に及ぶ粒子を含んでいる。中間HDL粒子もしくは中HDL粒子(中HDL−P)は、スモールまたはラージの名称の1つに分類することができ、または典型的には約8.2〜9.4nmである粒径範囲内の粒子を含むとして別個に測定することができる。そこで、上記の粒径範囲のいずれかまたは両方は、中間HDL粒子の粒径の一部または全部を含むと拡大することができる。
【0044】
用語「ラージVLDL粒子」は、約55nm以上の粒子を意味する。
【0045】
上記の粒径は、典型的には平均測定値に関するが、他の区分もまた使用できる。
【0046】
用語「集団基準」および「標準」は、インスリン抵抗性の様々な測定、例えば以下でより詳細に考察するようなゴールドスタンダードの正常血糖性クランプ法、耐糖能検査、およびHOMAを使用してインスリン抵抗性について評価された試験参加者の集団におけるリポタンパク質パラメータの数値を意味する。しかし、本発明の実施形態は、1つ以上のリポタンパク質パラメータについて現在規定されている正常およびリスク状態の集団値は変化する可能性があるので、これらの集団値には限定されない。
【0047】
概説すると、本発明の実施形態は、リポタンパク質サブクラスの濃度および粒径を測定し、複数のそれらの測定値をインスリン抵抗性の別個および/または独立した予測因子として使用し、これらの予測因子は次にリポタンパク質(合成)インスリン抵抗性指数(例えば、スコア)を形成するために組み合わせることができ、そのレベルに基づいて該被験者におけるインスリン抵抗性レベルのより確実なインジケーターおよび/または糖尿病またはその他(インスリン抵抗性関連性異常)のリスクの予測因子を提供できる。何らかの1つの理論に結び付けようとは望まないが、まさにヘモグロビンA1cが単一の空腹時血糖測定と比較して患者の血糖状態のより正確な時間平均指標を提供するように、リポタンパク質サブクラスの濃度および粒径が患者のインスリン抵抗性状態の正確かつ安定に反映できることを前提が前提とされる。この前提は、(少なくとも一部には)肝インスリン抵抗性がリポタンパク質代謝における変化の中でその最も早期の測定可能な異常を発現し、トリグリセリド値の上昇およびHDLコレステロール値の減少を生じさせるという証拠に基づいている。低下したインスリン感受性および/またはインスリン抵抗性によって誘導され、またはそれが付随する代謝変化は、NMRによって検出可能なリポタンパク質サブクラスのレベルおよび粒径分布におけるより広汎な異常を生成する。
【0048】
さらにまた、リポタンパク質粒子のNMR測定値は本明細書に記載した分析のために特に適合することが企図されているが、現在または将来これらのパラメータを測定するために他の技術を使用できること、そして本発明の実施形態はこの測定技術には限定されないことが検討されることも留意されたい。例えば、浮遊法および超遠心分離法は、リポタンパク質粒子を評価するために密度に基づく分離技術を使用する。
【0049】
図1に示したように、これらのリポタンパク質サブクラスの異常の発達および進行は早期に、そしてインスリン抵抗性の発達および進行と平行して発生し、どちらの開始も異常な耐糖能が出現する何年も前に起こる。例えば下記で考察するような証拠は、NMRまたはその他の適切な手段によって測定されたリポタンパク質サブクラスおよび粒径の情報が、(合成)リポタンパク質インスリン抵抗性指数という形で一緒にされると、患者のインスリン抵抗性状態を評価する臨床的に有用な手段を提供できることを証明している。
【0050】
リポタンパク質サブクラス/粒径変数は、リポタンパク質インスリン抵抗性指数(例えば、スコア)を生成するために、インスリン抵抗性との関連の強度差を考慮に入れることによって組み合わせることができる。ヒトのインスリン抵抗性は低から高へ連続して広がる可能性があり、リポタンパク質インスリン抵抗性「指数」は、ヒトのインスリン抵抗性状態の指針または予測因子である。用語「指数」は、低(例えば、インスリン感受性)から高(より高度のインスリン抵抗性)までの範囲内にある被験者のインスリン抵抗性レベルを特徴付けることのできる数字、文字および/または記号を意味する。
【0051】
指数は数値スコアとして提供された場合に特に有用であることが企図されているが、他の指数も使用できる。用語「スコア」は、典型的には規定スケール上の、または規定数値範囲内の数値により表示された結果を意味する。特定の実施形態では、リポタンパク質インスリン抵抗性指数は、規定範囲内、例えば、0〜10、0〜24、0〜100、または0〜1000などのスコアとして提供できる、または含むことができる(最小数は最高インスリン感受性もしくは最低インスリン抵抗性と関連し、そして該範囲内の最高数は最高インスリン抵抗性もしくはより高度のインスリン抵抗性と関連している)。該範囲内のより低い数値は「0」より高い、例えば1、2、3、4もしくは5などであってよい、 または負の数(例えば、−1、−2、−3、4、−5など)でさえあってよい。その他の指数の例には、例えば、「100A」、「100B」などの英数字指数、例えば「IR陽性」、「IR高」、「IR中性」、「IR低」、「IR良好」、「IR不良」、「IR警戒」などの用語が含まれる。
【0052】
図2Aおよび図2Bは、各々を独立したリスク因子(各々がインスリン抵抗性との独立した関連を有する)として処理できるインスリン抵抗性指数50およびインスリン抵抗性マーカ20としてのリポタンパク質粒子測定値を含む典型的な患者検査報告書10を例示している。この情報を用いると、患者には、明白に「前糖尿病性」になる前に、潜在的にその疾患の開始を単に遅延させるのではなく防止するための効果的なライフスタイル改善が間に合うように、2型糖尿病を発症するリスクが高まっていることを警告することができる。報告書10は、臨床医または患者に電子的に提供でき、および/または「紙の」報告書として提供できる。
【0053】
報告書10は、指数50を「骨子」指数(例えば、スコア)として単独で、または心血管疾患もしくは「CVD」70についてのリポタンパク質に基づく検査/スクリーンと共に提供することができる。心血管疾患(CVD)は、心臓(心)および/または体の血管系(血管)に影響を及ぼす可能性がある障害を記載するために使用される一般用語である。同一の生体サンプルを使用してCVD分析70および指数50の両方を生成することができる。
【0054】
図示したように、検査報告書10は、指数50を計算または決定するために使用されるインスリン抵抗性マーカ20を示すことができる(しかし、これらのパラメータは上述したように報告書から除外されてもよい)。マーカ20は、(以下の6つのリポタンパク質粒子パラメータの全部として示される)以下のラージVLDL−P 21、スモールLDL−P 22、ラージHDL−P 23の濃度、ならびにVLDL粒径24、LDL粒径25、およびHDL粒径26の複数を含むことができる。VLDL粒径24、LDL粒径25、およびHDL粒径26。上述したように、粒径パラメータは、「平均」粒径として測定できるが、他の粒径区分も使用できる。
【0055】
可能性のある各リスクスコア30のセットは、指数50を決定するために使用できるインスリン抵抗性マーカ20として使用されるリポタンパク質パラメータ各々についての関連の強度差に基づいて規定することができる。すなわち、リポタンパク質測定値もしくは数値範囲についてのリスクスコアは、各リポタンパク質粒子パラメータに対して規定できる。様々なパラメータ21〜26の様々な数値についてのリスクスコア30は、リポタンパク質測定値30pの数値もしくは数値範囲に対して1つが事前に規定されている。実際の測定値30pはそのパラメータ20についての規定リスクスコア30の1つと相関し、この数はその患者についてのリポタンパク質粒子パラメータ測定値30pについてのリスクスコア40を提供する。
【0056】
図2Aは、リスクスコアが0〜4まで変動すること、そしてマーカ21についての患者リスクスコア40は「4」であり、可能性のある総最大指数は24であることを示している。図2Bは、1つのパラメータに対しては例えば0〜26、0〜27もしくは0〜32から、および別のパラメータに対しては(使用されたサンプルのタイプおよび計算モデルに依存して)0〜8、0〜4および0〜6からの様々な範囲のリスクスコア30を使用するが、各パラメータに対しては様々な数値範囲およびスコアリング数が含まれ、各リポタンパク質パラメータ20は可能性がある合計最大指数が100である様々な可能性のある上限のリスクスコア数を有する。図2Bにおけるリポタンパク質パラメータ20の測定値30pに対する最大の可能性のあるリスクスコア30は、VLDL粒径24に対するものである。ラージVLDL粒子濃度21は、2番目に最大の可能性があるリスクスコア数30を有する。図2Bは、ラージVLDL−P濃度21に対するリスクスコア40が、この患者について、VLDL粒径24についてのスコア40より大きいことを示している。様々なリスクスコア30は、図2Bの報告書10上には示されていない。
【0057】
指数50を決定するためには、様々なスコア40を結び付けるために方程式を使用できることが企図されている。パラメータ20についての実際の測定値30pについてのスコア40を生成または提供するために、関連付けたリスクスコア30は、各リポタンパク質パラメータについての1セットの事前に規定されたリスクスコアから選択することができ、またはリスクスコアはリスクスコアを実際の測定値に相関させる方程式を用いて計算することができる。
【0058】
図2Aおよび図2Bに示したように、報告書10は、リスクマーカ20(21〜26)についての「明瞭な」リスクモデル10Rを提供することができる。図2Aおよび図2Bはさらに、リポタンパク質インスリン抵抗性指数50は、可能性のある結果の範囲を例示するためにインスリン感受性/低インスリン抵抗性から高インスリン抵抗性への可能性のある連続する結果を表すスケール60を用いて提供され得ることもまた例示している。
【0059】
本発明の実施形態の方法およびシステムは、指数50が、リポタンパク質測定のための試料/サンプルが空腹時もしくは非空腹時サンプル/試料であったかどうか、および/または該患者が脂質を変化させる投薬を受けているかどうかに依存して様々なサンプルに対して別々に計算できることを企図している。指数50および/またはマーカ20のスコア付けは、さらにまた性特異的であってよい(リスクスコアは、同一リポタンパク質粒子測定値について女性対男性で相違する可能性がある)。または、報告書10および/または指数50は、患者が脂質を変化させる投薬を受けているかどうか、または試料が空腹時もしくは非空腹時のタイプのいずれであったかとは無関係に同様に計算することができる。例えば、前者の場合、被験者がスタチン類療法を受けている場合、指数50はリスクマーカ20の1つとしてのスモールLDL粒子濃度を排除して計算することができ、可能性のある総指数もしくは範囲はそれにしたがって減少させることができる。または、一部の特定の実施形態では、スモールLDL粒子濃度は潜在的マーカ20の6つ中の1つに過ぎないので、総合指数は実質的な影響を受けない可能性があるので、患者がスタチン類療法を受けているかどうかとは無関係に指数50を同一様式で計算できることも企図されている。
【0060】
各マーカ20は、患者のそのマーカ20の測定値に依存して個別に計算されたリスクスコア40を有することができる。各患者スコア40を規定するために使用される事前に規定されたリスクスコア30は、測定されたリポタンパク質粒子値が集団基準の(典型的には相違する五分位によって規定される)低い、または高いセグメントのいずれにあるかに基づいて規定することができ、より低いリスクはより低いスコアを有する。各マーカ20は、同一の、例えば0〜4、0〜10、0〜25などであるリスク範囲を有していてよい、または各マーカ20もしくは一部のマーカ20は、他とは相違するリスク範囲を有していてよい。例えば、非線形方程式を使用すると指数50を生成することができる。リスクスコア30の範囲は相違していてよく、リポタンパク質粒子パラメータ20の内の少なくとも1つは他より高い可能性のあるリスクスコア30を有していてよい。例えば、以下の表1〜3を参照されたい。
【0061】
図2Aでは、各マーカ20に対する可能性のあるリスクスコアは、可能性のある総最高数24に対して0〜4である。各リスクマーカ20のスコア値30は、典型的には連続する整数値で増加する。しかし、スコア値30は非連続性であってよく、整数であることは必要とされない。
【0062】
スコア値30は、特定の測定値の数値または数値範囲30pに対し増加することができる。特定の測定値の数値または数値範囲30pは、図2Aに示した実施形態では、「0」のリスク因子を備える規定数値範囲30での高インスリン感受性(もしくは低インスリン抵抗性)から様々な五分位範囲内にあるマーカ値と関連付けられたより高度のインスリン抵抗性と関連付けられたより大きいスコア30へ増加するインスリン抵抗性リスクと関連付けられた方向(矢印42による)に、様々なリポタンパク質パラメータ値21〜26と関連付けられた様々なマーカ20の各々についての様々な連続する五分位数値範囲30のセグメント内に提供され得る。
【0063】
または、1つ以上のマーカ20は、他のマーカのスコアよりもその測定範囲に指定されたより高いスコアを備える相違するリスクスケールを有することができ、該スコアは、増加もしくは連続する整数(例えば、スコアは、VLDL−P濃度測定値についての各相違する五分位に対して例えば0、1、3、5および7(またはそれ以上)であってよい)である必要はない。さらに、最小数は、負の数または「0」より大きくてよい。
【0064】
所定のこれらのリポタンパク質パラメータ21〜26はインスリン抵抗性と他よりも強力な独立した相関関係(独立したリスク要因)を有するが、指数50は、より高いおよび低い要因の両方を含むように計算することができる(例えば、一部のパラメータによって提供される一部の情報は、また別のパラメータによって提供される情報と重複する場合がある)。例えば、指数50(例えば、各々をインスリン抵抗性と関連付けることのできる数種の相違するリポタンパク質粒子の測定値を考察する合成指数)を生成するために様々なリポタンパク質パラメータ20の内の4つ以上を使用することは、検査は典型的には単一の時点に単一のサンプルを用いて行われるので、指数50がより確実または安定性の指標(例えば、時間平均測定値に類似する)となることに役立つ可能性がある。すなわち、特定患者のための任意の1つの時点に、任意の単一因子は患者および/または分析の変動に曝される可能性がある。複数、典型的には少なくとも4つ、および一部の実施形態では図2Aおよび図2Bに示した6つのリポタンパク質リスクマーカを使用すると、より良好および/またはより安定性の指数50を提供することができる。
【0065】
図2Aおよび図2Bは、NMRインスリン抵抗性マーカ20によって提供される予測情報を含む典型的に単純かつ理解しやすい報告書10を例示している。6つのマーカ21〜26の各々についての患者検査結果30pが表示または提示されている。図2Aは、患者測定値30pを備える報告書10を示し、それに隣接して整列しているのは、非糖尿病性個体の参照集団の五分位に対応させて本明細書に示されている、様々なリスクスコア30と結び付けられたセグメント内のデータの範囲を示している箱30bである(この実施例では、この標準範囲データの起源としてMESAを使用している)。図示したように、五分位箱30bはそれらのインスリン抵抗性との関係にしたがって左から右へ配列され、最高インスリン抵抗性を表示している箱が一番右である。マーカスコア30(例えば、0〜4)が各箱(例えば、集団サブグループ)に指定され、より大きい数はより高いインスリン抵抗性に結び付けられた数値に対応する。6つのパラメータ各々について患者の測定結果に対応する適切な箱は、視覚的に強調された(例えば、ボールド体、赤字、またはまた別の視覚的に強調する様式で強調表示された)31であってよい。患者測定値は、リポタンパク質インスリン抵抗性指数50を生じさせるために合計できるこれら6つの箱31の各々についてのスコア40を生じさせる。図2Aに示したように、指数50は、本実施例では0〜24(図2Aの実施例では、4+3+4+3+4+4=22)の数である。この指数スコア50は、報告書10の下側および/または例えば上部などの他の場所に表示することができる。図示したように、報告書10はさらにまた、より高いスコアは患者がより高度のインスリン抵抗性を有するますます大きな可能性を示すことを描出する視覚的矢印/スケールもしくはルーラ60を用いた相対的リスク度を示すことができる。
【0066】
図2Bは、各測定値30pは、全部が同一方向に増加するリスクを示すために配列されている、低から高、高から低、スモールからラージおよびスモールからラージのスケールに隣接させて図示できることを例示している。実際のリスクスコア40は、視覚的マーカによって指示できる。図示したように、三角形が、低値から高値への連続体に沿って患者の数値が配置されていることを指示するために、変量20の測定されたサブクラス/粒径30pのパーセンタイル値を示している。可能性のあるスコア30は、この報告書上では同定されていない。
【0067】
一部の実施形態では、指数50は患者のインスリン抵抗性状態の予測因子を連続体として提供することができ、最大値に近い指数50は、インスリン抵抗性の存在もしくは非存在のカテゴリー分類診断ではなく、より高度のインスリン抵抗性および糖尿病を発症するより高いリスクを表している。このタイプの代謝異常の指数50は、この指数50に影響を及ぼす(および低下させ、および/または好都合に変化させる)ため、前糖尿病および最終的には糖尿病の発病を防止するために、臨床医が患者に運動する、食習慣を改善する、および/または減量するように説得するのに役立つ可能性がある。
【0068】
しかし、第一四分位、例えば図2Aに示したスコア範囲内で18より上、もしくは18〜24、または図2B内の75パーセンタイルレベル以上にある指数50を有する患者は、前糖尿病を有すると診断でき、および/またはこの状態を確証するために血糖異常を評価するためのまた別の医学的評価を受けるように勧告することができる。
【0069】
さらに、典型的な報告書10は、関連マーカ20によるリスクの相対的に「明瞭な」要約を備える理解しやすいフォーマットを例示しているが、本発明の他の実施形態は「不明瞭な」形態のインスリン抵抗性指数50を、例えば独立したリポタンパク質パラメータ値の詳細およびこれらのマーカについて規定された関連するリスク値を伴わない単一の数として生成および提供する工程も想定している。このフォーマットが使用される場合、スケール60もまた任意で提供されてよい。
【0070】
表1〜3は、リポタンパク質パラメータ20の様々な測定値と関連付けることのできる典型的な方程式およびリスクスコア30を示している。リスクスコアデータは、例えば図2Bの報告書内に示された指数50に関して示されたような、0〜100の範囲内にある指数50を生成するために使用できる。
【0071】
表1〜3は、隣接列内のリポタンパク質パラメータの測定値もしくは数値範囲と相関させたリスクスコア30(表の中では「スコア」の用語で表示した)について上記で記載した6つのリポタンパク質パラメータ21〜26(図2A、2B)を示した表である。表1は、女性についての指数50を計算するために使用された典型的なスコア30を示しているが、表2は、男性についての同一情報を示している。そこで、表1および2は、性特異的指数50の実施例を表示している。図示したように、パラメータリスクスコア30はパラメータ特異的であり、各パラメータ21〜26の特定リポタンパク質測定値については、女性および男性についての同一数値/数値範囲に対して相違する可能性がある。表3は、リポタンパク質パラメータ20に対する性別の区別のない指数50およびリスクスコア30を例示している。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
そこで、方程式1〜3は同一であるが、被験者について入手できるスコア30は、特定患者に対して同一測定値を使用して指数50についてのある程度相違する数値を潜在的に生じさせる性特異的リスクスコア(または男女区別のないリスクスコア)に基づくと相違する。
【0076】
インスリン抵抗性とノースカロライナ州ローリーに主要営業所を有するNC LipoScience社から入手できるNMR LipoProfile(登録商標)リポタンパク質検査によって測定された6つのリポタンパク質粒子の濃度および粒径パラメータ20との間の強力な関連は、各々インスリン抵抗性の様々な測定を使用する2件の公表された試験および大規模の未公表試験において立証されてきた。これらの関連は、表4に要約されている。最初に公表された試験は、サウスカロライナ医科大学(MUSC)で相当に少数の被験者を対象に実施された(n=148。46例は未治療糖尿病。平均年齢37歳。43%は男性。66%は白色人種)(Garvey WT et al.Effects of Insulin Resistance and Type 2 Diabetes on Lipoprotein Subclass Particle Size and Concentration Determined by Nuclear Magnetic Resonance.Diabetes 2003;52:453−62.)。インスリン抵抗性は、ゴールドスタンダードの正常血糖性クランプ法を用いて測定され、NMR LipoProfile(登録商標)リポタンパク質検査は、冷凍空腹時血清試料を対象に実施された。
【0077】
2番目に公表された試験は、インスリン抵抗性アテローム動脈硬化症試験(IRAS)であった(Goff DC Jr et al.Insulin resistance and adiposity influence lipoprotein size and subclass concentrations.Results from the Insulin Resistance Atherosclerosis Study.Metabolism 2005;54:264−70)。NMR LipoProfile(登録商標)リポタンパク質分析は、平均年齢が55.5歳の試験参加者1,371例からの冷凍血漿サンプルを対象に実施された。この試験集団は、55%が女性であり、およそ3分の1ずつがアフリカ系アメリカ人、スペイン系アメリカ人および非スペイン系白人であった。46%は正常耐糖能であり、22%は耐糖能障害を有し、そして32%は糖尿病を有していた。インスリン抵抗性は、頻回にサンプリングされた静脈内糖負荷試験によって測定された。
【0078】
3番目の(未公表)試験は、アテローム動脈硬化症の多民族試験(MESA)である。MESAは、年齢が45〜84歳で臨床的心血管疾患のエビデンスを備えていない6,814人の白人、黒人、スペイン系および中国人の男性および女性を対象とする、NHLBI(国立心肺血液研究所)が資金提供した観察研究である。空腹時血液サンプルは、全試験参加者からベースライン検査(2000〜2002年)時に採血された。血清グルコースはVitros分析装置(Johnson & Johnson Clinical Diagnostics社)によって測定され、インスリンはLincoヒトインスリン特異的RIAキット(Linco Research社)を使用するラジオイムノアッセイによって決定された。HOMA(インスリン抵抗性指数のホメオスタシスモデル評価)は、インスリン(mU/L)×(グルコース[mg/dl]×0.055)/22.5として計算され、数値は分析のために自然対数変換された。NMR LipoProfile(登録商標)リポタンパク質検査測定は、冷凍ベースライン時血漿試料を対象にLipoScience社で実施された。性特異的および非性特異的リポタンパク質インスリン抵抗性スコアアルゴリズムの両方の発達は、一部には、インフォームドコンセントを提出し、脂質を変化させる投薬を全く受けていなかった糖尿病を有していないサブセットのMESA試験参加者(n=4,085)からのデータによって誘導された。
【0079】
【表4】
【0080】
表5は、MESA非糖尿病集団におけるHOMA値の性特異的パーセンタイル分布を示している。さらにまた、インスリン抵抗性のゴールドスタンダードの正常血糖性クランプ法測定とより密接および線形に関連するHOMAの自然対数変換値ln(HOMA)もまた示されている。表6は、個別ならびに結合した男性および女性におけるインスリン抵抗性の6つのNMRサブクラスおよび粒径マーカのパーセンタイル分布である。
【0081】
【表5】
【0082】
【表6】
【0083】
インスリン抵抗性を予測するために6つのNMRサブクラス/粒径パラメータ21〜26の各々の比較能力を定量的に評価するために、線形回帰モデルを分析した。表7に示した結果は、サブクラス/粒径パラメータの各々が、関連強度は相違するが、インスリン抵抗性との統計的に有意な関連を有することを示している。最も強い個別関連はラージVLDL−Pサブクラスとであり、このパラメータの1標準偏差増分は、ln(HOMA)における0.29の増加に対応する。NMRサブクラス/粒径パラメータとインスリン抵抗性との関連は、トリグリセリドとHDL−Cとの関連に匹敵する。例えば、McLaughlin et al.,Use of metabolic markers to identify overweight individuals who are insulin resistant,Ann.Intern.Med.2003:139:802−9を参照されたい。複数の(例えば、6つのNMR)測定値からの情報を指数50(以下では、合成「LP−IRスコア」と呼ぶ)と結合すると、インスリン抵抗性との関連を実質的に強化し、性特異的スコアは非性特異的スコアよりわずかに良好に機能した。
【0084】
【表7】
【0085】
分析のために非空腹時試料しか入手できない場合、それでもラージVLDL−P 21およびVLDL粒径24を計算から排除できる修飾「非空腹時」指数を使用してインスリン抵抗性を評価することが可能であるが、それはこれら2つのパラメータだけが非空腹状態によって感知可能に影響を受ける(どちらも空腹時血液サンプルと比較して非空腹時には高い数値を生じる)からである。
【0086】
インスリン抵抗性の連続的インジケーターとしてのリポタンパク質インスリン抵抗性指数の性能についてのまた別の測定は、図3Aにグラフ表示されている。プロットされているのは、非糖尿病MESA試験参加者についての彼らの(非性特異的)LP−IRスコアの関数としての平均ln(HOMA)値および95%信頼区間である。これらの結果は、LP−IRスコアとln(HOMA)との強力な線形関係を証明し、患者の相対インスリン感受性が単一の(空腹時)NMR LipoProfile測定からのリポタンパク質サブクラス/粒径情報を使用して有用に評価できることを指摘している。
【0087】
空腹時血糖値はインスリン抵抗性を反映し、患者がT2DMを発症するリスクの最も広く受け入れられているインジケータであるので、インスリン抵抗性を評価する際に空腹時血糖を指数50(例えば、LP−IRスコア)が増強する程度が試験された。平均ln(HOMA)値は、空腹時血糖および(非性特異的)LP−IRスコアの四分位によって層別化されたサブグループ内で決定された。図3Bに示したように、各血糖カテゴリー内の個人は、LP−IRスコアと強く関連したある範囲のln(HOMA)値を示した。予想されたように、HOMAの計算に血糖値を使用することを前提にすると、各LP−IRカテゴリー内でも血糖値とln(HOMA)との関連が見られた。
【0088】
有益にも、NMR LipoProfile(登録商標)リポタンパク質検査は複数(例えば、6つ)のサブクラス/粒径リポタンパク質パラメータ20を追加の費用、装置もしくは時間を必要とせずに同時に測定できるので、様々なパラメータ20からの情報は、インスリン抵抗性のレベルもしくは程度および/または例えばT2DMを含むインスリン抵抗性障害を発症するリスクを予測するために、組み合わせることができる(例えば空腹時サンプルが分析される場合には典型的には全6つの測定であるが、非空腹時サンプルに対しては典型的には4つの測定を組み合わせることができる)。このリスク予測は、様々なパラメータが独立した追加の予測を生じる程度および/または多重情報(過剰な場合さえ)が1つの時点に採取された単一の測定値に基づく予測の限界を克服することに役立つ利点の両方から生じ得る。様々なリポタンパク質パラメータデータが容易に入手されずに他の試験技術(例えば、超遠心分離)が使用されるときには、減少した数のリポタンパク質パラメータを使用できる。
【0089】
これらのデータは、個別患者のインスリン感受性が、単一の検査、例えば単一のNMR LipoProfile(登録商標)インスリン抵抗性検査から入手した情報を用いて正確に評価することができることを示している。一部の患者は空腹時検査を受け容れることができない、または検査に戻る意志はないが計画された来院中の血液検査は受け容れることはできるので、非空腹時検査の入手可能性が、それらの患者についての検査を提供できる可能性があると考えられる。
【0090】
本発明の実施形態によって提供されるリスク評価は、コレステロールプロファイルもしくはリポタンパク質プロファイルを受けた任意の個人について標準的な総リポタンパク質プロファイル分析プロトコールにルーチン的に含めることができる。実際に、本発明の方法は、NMRに基づくリポタンパク質プロファイル検査に便宜的および迅速に自動化して適用することができ、それにより患者に症状が出ていない場合でさえ費用効果よくリスク情報を提供することができる。標準コレステロールサンプル以上に追加の血液サンプルは必要とされず、個人は相当に時間を要する血糖検査にさらされる必要がない。そのような迅速なルーチン検査は、ますます増大した数の、今では容易に同定可能なリスク状態の患者がインスリン抵抗性障害の発病を防止するために薬物療法を受けること、および/またはライフスタイルを改善することを潜在的に可能にできる。
【0091】
図4は、本発明の実施形態を実施するために使用できる典型的な作業のフローチャートである。インビトロの(被験者から収集した)血液サンプルを入手し、NMR分析装置(分光計)に導入することができる。被験者は、インスリン抵抗性および/または2型糖尿病を発症する、またはインスリン抵抗性を発症するリスク状態にあると疑われることがある。または、被験者は、健康状態の総合的評価の一部として、または2型糖尿病もしくはその他のインスリン抵抗性障害についてリスク状態にあるとの疑い以外の理由のためにリポタンパク質プロファイルスクリーニングを受ける可能性がある(冠動脈心疾患のスクリーニングなど)。血液サンプルは、公知の技術によって収集することができ、または血漿サンプル、もしくは血清サンプルであってよい。次に血液サンプルは、リポタンパク質パラメータを測定するためにNMRスペクトル分析によって分析される(ブロック100)。血液サンプルのタイプを決定できる(ブロック110)。すなわち、本発明の実施形態は、空腹時および非空腹時の両方の血液サンプルを使用してリスクを評価するために一般的NMR分析装置が使用される、そしてサンプルは適正な試験分析を許容するために同定できることを企図している。または、たった1つのタイプの血液サンプルを単一検査システムで処理することができ、血液サンプルが空腹時または非空腹時のサンプルタイプであるかどうかについての必要を取り除く。サンプルタイプは、様々な色収集ラベル、または試験管および所望の検査プロトコールを指令するためにシステムへ入力できる関連バーコードを使用して同定することができる。一部の実施形態では、両方のサンプルタイプのために同一検査プロトコールを使用でき、そのサンプルタイプのために使用されない数値は、単純に抑制する、廃棄する、またはさもなければ無視することができる。そこで、非空腹時サンプルについては、任意の血糖測定値(実施された場合)および/またはVLDL−P濃度もしくはVLDL粒径の測定値は任意で無視でき、例えばインスリン抵抗性指数50を計算するためには使用されない。
【0092】
血液サンプルが空腹時血液サンプルである場合は(ブロック130)、インスリン抵抗性指数は、複数(典型的には全6つ)の様々なリポタンパク質パラメータ20のリスクスコア40を合計する合成スコアを用いて計算できる(ブロック135)。NMRグルコース測定値もまた入手できる(ブロック138)。特定の実施形態では、ラージVLDL−P、スモールLDL−P、およびラージHDL−Pの濃度ならびにVLDL粒径、LDL粒径、およびHDL粒径についてのリスク数を決定し、インスリン抵抗性指数50を規定するために合計することができる(ブロック137)。任意で、血糖値が例えば90mg/dL以上(例えば、100〜125mg/dLのFGまたは125mg/dL超のFGのいずれか)に上昇すると、この血糖検査結果は、患者がインスリン抵抗性障害および/またはT2DMを有する可能性があることを同定するために指数50に優先することができ、または指数50と関連付けられたリスクを強調することができる(ブロック140)。血糖測定値を使用した場合、血糖測定値はFG<90mg/dL値または約100mg/dL未満の数値について考察することができ、この測定値は、患者がインスリン感受性(過度のインスリン抵抗性もしくは前糖尿病の発病前)であることを確証できる。
【0093】
血液サンプルが非空腹時血液サンプルである場合は(ブロック120)、インスリン抵抗性指数50は、空腹時分析のために使用されるパラメータより少ない複数(典型的には4つ)の様々なリポタンパク質パラメータのリスク数を合計する合成スコアを用いて計算することができる(ブロック125)。スモールLDL−PおよびラージHDL−Pの濃度ならびにLDL粒径およびHDL粒径についてのリスクスコア40を、決定して合計し、(合成)インスリン抵抗性指数50を規定することができる(ブロック123)。
【0094】
関連リスクスコアを備える他の、または追加のリポタンパク質パラメータは、インスリン抵抗性指数を生成するために空腹時または非空腹時いずれかのサンプルについて合計することができ、および/または1つ以上のパラメータ20についてのリスクスコア40を指数計算において加重できることが企図されている。
【0095】
一部の実施形態では、検査システム/方法は、患者が脂質を変化させる任意の投薬を受けているかどうか、例えば(非糖尿病患者が脂質を変化させる投薬を摂取しているかどうか)を同定するために構成することができる。これはシステム/方法が相違するセットの6つのリポタンパク質パラメータ(および調整された最大スコア)を用いて指数を計算すること、またはパラメータ40を加重すること、または代替的リスクスコア30を使用すること、例えば他のサンプルに対して使用された分析とは異なる方法でサンプルを分析することを許容できる。例えば、スタチン類を摂取している患者については、リスクスコアは他の患者についてと同じものから計算でき、または指数はスモールLDL粒子の濃度を除外する(および総潜在的指数数を低下させる)ことによって計算できる。
【0096】
一部の実施形態では、指数50は、また別の方法で計算し、臨床医に提供することができる。関連リスクスコア30を排除もしくは調整するための、可能性のある総指数スコアおよび/または6つのリポタンパク質パラメータ20における類似の調整は、該患者が摂取している投薬およびどのような脂質変化が同一物に関連しているかに基づくことができる。
【0097】
公知であるように、全血漿サンプルの観察されたCH3線形はその構成成分リポタンパク質クラスの脂質シグナルの適切に加重された合計によって密接に模擬されるので、任意のサンプル中に存在するこれらの構成成分の濃度を引き出すことができる。これは、観察された血漿NMRスペクトルと計算された血漿スペクトルとの間の最良適合を生じさせる加重係数を計算することによって遂行される。一般的に言って、NMRリポタンパク質分析のプロセスは、以下の工程、(1)構成成分リポタンパク質クラスおよび/または対象の血漿のサブクラスの「純粋」個別もしくは関連分類の各々についてのNMR「参照」スペクトルの収集と、(2)参照スペクトルを入手するために使用された測定条件と実質的に同一の測定条件を使用してサンプルについての全血漿NMRスペクトルの収集と、(3)複数の対応するリポタンパク質参照物質の濃度として表示される各リポタンパク質構成成分の濃度を生じさせるための構成成分のクラスおよび/またはサブクラス(またはそれらの関連分類)による血漿NMRスペクトルのコンピュータ解析とによって実施できる。
【0098】
本明細書で使用する用語「NMRスペクトル分析」は、血漿もしくは血清中に存在するリポタンパク質パラメータを測定するため、または血漿もしくは血清中に存在する糖の濃度もしくは「レベル」を測定するために陽子(1H)核磁気共鳴分光法技術を使用することを意味する。リポタンパク質パラメータ(クラスまたはサブクラス)を「測定する工程」は、リポタンパク質クラスもしくはサブクラスのパラメータ、例えばリポタンパク質クラスもしくはサブクラスの濃度またはそれらの平均粒径を決定する工程を意味する。
【0099】
より詳細には、本発明の特定の実施形態は、陽子NMRデータを血漿もしくは血清のサンプルから収集し、化学シフトスペクトルを生成するために収集されたNMRデータを処理し、リポタンパク質構成成分各々の濃度および該構成成分のサブクラスの分布を生じさせるためにリポタンパク質の主要クラスのサブクラスの参照スペクトルによって該スペクトルを解析するシステムおよび方法を含んでいる。このシステムおよび方法は、任意で、血漿もしくは血清のサンプルから陽子NMRデータも収集し、化学シフトスペクトルを生成するために該収集されたNMRデータを処理し、血清もしくは血漿サンプル中のグルコース濃度を生じさせるためにグルコースの参照スペクトルによって該スペクトルを解析することができる。
【0100】
該方法はリポタンパク質クラスを対象に実施できるが、リポタンパク質のサブクラスについてプロセスを実施する工程は、計算された線形とNMR線形との誤差を減少させ、そこで各クラスのサブクラスプロファイルの同時決定を許容しながら測定の精度を増加させることができる。サブクラスの線形および化学シフトにおける相違は小さいために、典型的には各サブクラスの参照スペクトルを血漿スペクトルと正確に整列させることが重要である。これらのスペクトルの整列は、リポタンパク質スペクトルと同様に、例えば温度およびサンプル組成などの環境変量に対して同一の様式で応答することが公知であるスペクトル内のコントロールピークの整列によって遂行される。1つのそのような適切な整列ピークはCaEDTAによって生成されるピークであるが、その他のEDTAピークもしくは適切なピークを利用することができる。スペクトルの整列によって、サブクラスの線形および化学シフトにおける小さな変動はより高度の精度およびサブクラスプロファイルを生成するために活用できる。NMRシグナルについて解析する方法についての詳細な説明は、米国特許第4,933,844号明細書、第5,343,389号明細書、および第7,243,030号明細書の中に見いだすことができ、それらの内容は参照することによりそれが本明細書に全部が言及されたかのように本明細書の一部をなすものとする。
【0101】
そこで、一部の典型的な実施形態では、対象のリポタンパク質パラメータの濃度および粒径は、個別のリポタンパク質クラスおよび/またはサブクラスの参照スペクトルを収集することによって決定される。次に参照スペクトルは、例えば電子メモリおよび/またはコンピュータプログラム内などに、追加の血液サンプルもしくは血清サンプルを評価するための参照基準を提供するために保存できる。個別リポタンパク質クラスおよびサブクラスと関連するNMR分光法由来スペクトルは、実質的に集団全体で不変である。したがって、個別リポタンパク質構成成分のNMR参照スペクトル(線形および振幅)は、個人の全血漿(または血清)と関連する合成シグナルを「解析」するための「鍵」として使用できる。この方法で、単一の参照セットは、(実質的に一定の温度および磁場で実施された場合)他の血液サンプルのリポタンパク質プロファイルを決定するための基礎として使用できる。
【0102】
より詳細に述べると、本発明の1つの実施形態は、スケーリング可能な係数を個別参照構成成分標準に指定し、スケーリング可能(加重)個別構成成分パラメータを合計する。NMR分光法分析は、実際(測定)合成血漿スペクトルシグナルを提供するために所望の(参照スペクトルのために使用される同一磁場強度および温度で採取された)血漿もしくは血清試料について生成される。次に本発明の好ましい方法は、スケーリング可能な係数の合計が合成シグナル値に実質的に「適合」するまでスケーリング可能な参照スペクトルを操作する。次にスケーリング可能な係数の数値がその個人の血漿サンプル中のリポタンパク質構成成分についての実際の濃度値を決定するために使用される。
【0103】
リポタンパク質クラスおよび/またはサブクラスのパラメータを決定することに加えて、本発明のNMRスペクトル分析は、例えば血液サンプル中のトリグリセリド、タンパク質、およびカイロミクロンの濃度などの血液の他の構成成分のパラメータを測定するためにも使用できる。
【0104】
上記で考察したように、一部の実施形態では、本発明の血液サンプル中のグルコース濃度は、典型的にはさらにまた同一血液サンプル中のリポタンパク質値のNMRに基づく測定値と一斉にNMRスペクトル分析を使用して測定できる。本明細書で使用する用語「一斉に」は、1回のNMRの「実行」もしくは測定事象中に実施することのできる時点に時間的に十分に近いことを意味する(すなわち、「一斉に」は同時にであってよく、あるいは相互の前または後の短期間内に発生する2つ以上の事象であってよく、あるいは同一サンプルもしくは単一採血セッションにおいて患者から採取されたサンプル、または開存性が確立されてから単一静脈穿刺から採取されたサンプルを対象に実施されたNMR評価であってよい)。
【0105】
中等度に上昇した空腹時血糖値を備える患者は、2型糖尿病を発症する上昇したリスク状態にある。したがって、本発明の実施形態は、1H NMRスペクトル分析による血漿サンプル中のグルコース濃度の決定を許容できる。これはサンプルの1H−NMRスペクトルを公知の血糖濃度を備えるサンプルのスペクトルと比較する工程によって実施される。サンプルスペクトルにおける強度の差を比較することによって、スペクトルにおけるグルコース濃度を計算することができる。
【0106】
図5は、血糖値を決定するために使用できる陽子NMRスペクトルにおける約3.55〜3.50(ppm)の間の2つのピークを備える血糖適合領域を備える、血漿の陽子NMRスペクトルを示している。図6は、血糖シグナルが観察される血漿スペクトルの領域の拡大を示し、2つのピークは血糖適合領域内に詳細に指示されている。血糖適合領域内のピークは、本発明の実施形態によるグルコースの定量的決定のために使用できる。参照スペクトルもしくは標準スペクトル、および患者血糖サンプルスペクトルにおけるデータポイントは、本明細書で「最良適合」を見いだすために記載された線形適合プロセスを使用して整列させられ、標準スペクトルの強度はサンプルスペクトルにマッチさせるために拡大される。血液サンプルの血糖濃度を生じさせるためには、標準物質の血糖濃度に該サンプルの線形にマッチさせるために使用される倍率が掛けられる。
【0107】
言い方を変えると、この血糖測定法では、参照血漿もしくは血清サンプルもしくは試料中のグルコースに対応するNMR参照データスペクトルが収集され、コンピュータメモリ内に保存される。参照係数は、その数値が独立した化学的血糖測定によって決定されたその参照試料の血糖濃度に基づいている参照スペクトル内の1つの血糖シグナルもしくは1群の血糖シグナル(「参照血糖線形」)に指定される。患者の血漿試料もしくは血清試料のNMRスペクトルは、血糖参照スペクトルを入手するために使用された測定条件と(実質的に)同一の測定条件下で少し後の時点に収集され、コンピュータメモリ内に保存される。すなわち、例えば、NMRデータスペクトルは、同一の磁場強度および試料温度下で入手される。参照血糖線形は、患者スペクトルにおける同一の血糖シグナルもしくは血糖シグナル群(「患者血糖線形」)と比較される。次に患者血糖線形との最良適合を生じさせるために参照血糖線形の振幅を調整するために必要とされる倍率を決定する計算が実施される。この倍率には、患者血漿試料もしくは血清試料中の血糖濃度を生じさせるために参照係数が掛けられる。
【0108】
線形適合プロセス(すなわち公知の関数の加重和に関する未知の関数の最小二乗法)において使用される数学は周知であり、例えばF.B.Hildebrand,Introduction to Numerical Analysis,2nd edition,pp.314−326,539−567,McGraw−Hill,1975などの数値分析についての多数の参考書に記載されている。血糖値計算についての追加の説明は、Otvos et al.への米国特許第6,518,069号明細書に提供され、その内容は本明細書に完全に引用されたかのように参照することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0109】
その他のライフスタイルおよび遺伝に関する情報もまた収集して、臨床医による総合リスク評価分析に取り入れることができる。例えば、糖尿病患者の体重、年齢、および家族歴は全部が、血中リポタンパク質に基づく分析に(個別または一緒に)取り入れることのできるリスク値を指定できる。
【0110】
被験者は、境界(血液検査)インスリン抵抗性指数50(例えば、最大リスク数の50%〜60%の数値)を有する可能性があるが、家族歴、遺伝、体重またはライフスタイル情報の内の1つ以上に帰せられる増加したリスク値によって(すなわち、2型糖尿病を発症することについて)「リスク状態」であると同定されることがある。この情報は、例えば運動、減量もしくは食習慣の改善などのライフスタイルの改善および/もしくは薬物療法のための患者を同定することができ、ならびに/または該被験者に増加した、および/もしくは定期的な監視スケジュールを課すことができる。上述したように、指数50は、患者がライフスタイルを改善する動機付けを与えるために使用できる代謝異常のより明確な証拠を提供できる。
【0111】
当業者であれば、本明細書に記載した方法がインスリン非感受性またはインスリン抵抗性のリスクを低下させるために経時的に患者(および治療プログラムの潜在的有効性)を評価するために有用であることを理解する。ベースライン時インスリン抵抗性指数50を生成するベースライン時インスリン抵抗性/感受性検査結果は、患者サンプル、例えば典型的には本明細書に記載したNMRスペクトル分析によって分析される血液サンプルを分析する工程によって入手できる。ベースライン時検査後、およびその後は定期的に、血液もしくは他の適切な生体サンプルを再び該被験者から採取することができ、次にベースライン時に測定されたリポタンパク質パラメータの第2回およびその後のインスリン抵抗性分析は、再び典型的には本明細書で記載したNMRスペクトル分析によって入手される。第2回分析および/または指数50は、ベースライン時指数50と比較することができる。2つの間の差(指数50における差および/または1回以上の測定されたリポタンパク質パラメータ20の数値における有益/好都合な変化によって指示される差)は、治療の有効性および/または指数50における安定性の指標を提供できる。
【0112】
図7は、本発明の実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品を例示するデータ処理システムの代表的な実施形態のブロック図である。プロセッサ310は、アドレス/データバス348を介してメモリ314と連絡している。プロセッサ310は、任意の市販で入手できる、または注文設計のマイクロプロセッサであってよい。メモリ314は、データ処理システム305の機能性を実行するために使用されるソフトウエアおよびデータを含有する全階層のメモリデバイスの代表である。メモリ314は、以下のタイプのデバイス:キャッシュ、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、SRAM、およびDRAMを含むことができるがそれらに限定されない。
【0113】
図7に示したように、メモリ314はデータ処理システム305において使用される幾つかのカテゴリーのソフトウエアおよびデータ、すなわちオペレーティングシステム352、アプリケーションプログラム354、入力/出力(I/O)デバイスドライバ358、リポタンパク質パラメータの濃度および粒径を考察するインスリン抵抗性指数計算モジュール350、およびデータ356を含むことができる。インスリン抵抗性指数計算モジュール350は、検索チャートもしくは電子レファレンスライブラリーにおいてマーカ「20」(インスリン抵抗性と関連する規定リポタンパク質粒子パラメータ)として作用する各リポタンパク質パラメータの様々な数値もしくは範囲に対する規定リスク値を含むことができる。
【0114】
データ356は、データもしくはシグナル収集システム320から入手できるシグナル(構成および/または合成スペクトル線形)データ362を含むことができる。当業者であれば認識できるように、オペレーティングシステム352は、データ処理システムとともに使用するために適合する任意のオペレーティングシステム、例えばInternational Business Machines Corporation社(ニューヨーク州アーモンク)からのOS/2、AIXもしくはOS/390、Microsoft Corporation社(ワシントン州レドモント)からのWindows(登録商標)CE、Windows(登録商標)NT、Windows(登録商標)95、Windows(登録商標)98、Windows(登録商標)2000もしくはWindows(登録商標)XP、Palm社からのPalmOS、Apple Computer社からのMacOS、UNIX(登録商標)、FreeBSD、またはLinux、専売オペレーティングシステムもしくは専用オペレーティングシステム、例えば埋め込みデータ処理システムであってよい。
【0115】
I/Oデバイスドライバ358は、典型的には、例えばI/Oデータポート、データストレージ356および特定メモリ314コンポーネントおよび/または画像収集システム320などのデバイスと連絡するためにオペレーティングシステム352を通してアプリケーションプログラム354によってアクセスされるソフトウエアルーチンを含んでいる。アプリケーションプログラム354は、データ処理システム305の様々な機能を実行するプログラムの例示であり、本発明の実施形態による作業を支持する少なくとも1つのアプリケーションを含むことができる。最後に、データ356は、アプリケーションプログラム354、オペレーティングシステム352、I/Oデバイスドライバ358、およびメモリ314内に存在していてよい他のソフトウエアプログラムによって使用される静的および動的データを表す。
【0116】
本発明を例えば図7におけるアプリケーションプログラムであるモジュール350を参照しながら具体的に説明してきたが、当業者であれば認識できるように、本発明の教示からの利益を依然として享受しながら他の構成もまた利用することができる。例えば、モジュール350は、さらにまたオペレーティングシステム352、I/Oデバイスドライバ358またはデータ処理システム305の他のそのような論理区域内に組み入れることもできる。そこで、本発明は、図7の構成に限定されると見なすべきではなく、本明細書に記載した作業を実行することのできる任意の構成を含むことが意図されている。
【0117】
I/Oデータポートは、データ処理システム305と画像スキャナもしくは収集システム320または別のコンピュータシステムもしくはネットワーク(例えば、インターネット)との間で、またはプロセッサによって制御される他のデバイスへ情報を伝達するために使用できる。これらのコンポーネントは、例えば多数の従来型データ処理システムにおいて使用されるコンポーネントなどの従来型コンポーネントであってよく、本明細書に記載したように作動するために本発明によって構成することができる。
【0118】
本発明を例えばプログラム、機能およびメモリの特定区域を参照しながら説明してきたが、本発明はそのような論理区域に限定されると見なすべきではない。そこで、本発明は、図7の構成に限定されると見なすべきではなく、本明細書に記載した作業を実行することのできる任意の構成を含むことが意図されている。
【0119】
ここで図8を参照すると、選択されたサンプルの線形および/またはNMR測定値を収集および計算するための代表的なシステム207の略図が示されている。システム207は、サンプルのNMR測定値を取るためのNMR分光計210を含んでいる。1つの実施形態では、分光計210は、NMR測定値が陽子シグナルについては400MHzで実行されるように構成される。他の実施形態では、測定は360MHzまたは他の適切な周波数で実行されてよい。所望の作業磁場強度に対応する他の周波数もまた使用できる。典型的には、陽子フロープローブが、サンプル温度を47±0.2℃で維持するための温度コントローラと同様に組み込まれる。分光計210の磁場均一性は、HDO NMRシグナルのスペクトル線幅が0.6Hz未満になるまで99.8% D2Oのサンプルについてシム調整することにより最適化できる。D2O測定のために使用される90°RF励起パルス幅は、典型的には約6〜7マイクロ秒である。
【0120】
再び図8を参照すると、分光計210は、典型的にはデジタルコンピュータ211または他のシグナル処理装置に保持されたプロセッサまたはACISによって制御される。コンピュータ/プロセッサは、高速フーリエ変換を実施できなければならない。システム207は、外部サーバ、クライアントもしくは他のコンピュータ213へのデータリンク212、およびハードディスク装置215もしくはデータ記憶を備えるバックアップサーバへ接続するダイレクトメモリアクセスチャネル214もまた含むことができる。
【0121】
コンピュータ211はまた、一連のアナログ−デジタルコンバータ、デジタル−アナログコンバータならびにパルスコントロールおよびインターフェース回路216を通して分光計のオペレーティング要素に接続するスローデバイスI/Oポートも含むことができる。これらの要素には、デジタルコンピュータ211によって指令される期間、周波数および振幅のRF励起パルスを生成するRFトランスミッタ217、およびパルスを増幅させてそれをサンプルセル220を取り囲むRF送信コイル219へ連結するRF電力増幅器218を含んでいる。超電導磁石221によって生成された9.4テスラ偏光磁場の存在下で励起されたサンプルによって生成されたNMRシグナルは、コイル222によって受信され、RFレシーバ223へ印加される。増幅およびフィルターにかけられたNMRシグナルは、224で復調され、生じた直交シグナルはインターフェース回路216へ印加され、そこで直交シグナルはデジタル化され、デジタルコンピュータ211を通してディスクストレージ215内のファイルへ入力される。モジュール350(図7)は、デジタルコンピュータ211内、ならびに/またはオンサイトまたは有線接続もしくは無線接続を用いて遠隔であってよい第2コンピュータ、プロセッサ、またはデータベース内に配置することができる。システム207はインターネット接続227を有していてよく、報告書を臨床医へ電子的に、および/または紙によって送信することができる。生体サンプルもしくは試料を分析するために適合する追加の自動化臨床NMR分析装置システムは、本願と同一の譲受人に譲渡された係属中の米国特許出願第11/093,596号明細書(2005−0222504)中に記載され、その内容は本明細書に完全に引用されたかのように参照することにより本明細書の一部をなすものとする。例えば、この分析技術の追加の説明については、米国特許第5,343,389号明細書、第6,617,167号明細書、第4,933,844号明細書、および第7,243,030号明細書も参照されたい。これらの特許文書の内容は、本明細書に完全に引用されたかのように参照することにより本明細書の一部をなすものとする。さらに、Handbook of Lipoprotein Testing,Chapter 31:「Measurement of lipoprotein subclass profiles by nuclear magnetic resonance spectroscopy」,J.D.Otvos,AACC Press,Washington DC,2000,2nd ed.,pp 609−623を参照されたい。
【0122】
NMRデータがサンプルから測定セル220内に収集された後、コンピュータ211による処理は、所望であればディスクストレージ215内(または例えばサーバもしくはデータベースなどの他のデータストレージデバイス)に保存できるまた別のファイルを生成する。この第2ファイルは化学シフトスペクトルのデジタル表現であり、引き続いてそのディスクストレージ225内への保存のためにコンピュータ213へ読み出される。そのメモリもしくは遠隔システム内に保存されたプログラムの指令下で、パーソナル、ラップトップ、デスクトップ、または他のコンピュータであってよいコンピュータ13は、本発明の教示にしたがって報告書を印刷するために化学シフトスペクトルを処理し、報告書はプリンタ226へ出力される、または電子的に保存されて所望のeメールアドレスもしくはURLへ伝達される。当業者であれば、他の出力デバイス、例えばコンピュータディスプレイスクリーンなどもまた結果の表示のために使用できることを理解する。
【0123】
当業者には、コンピュータ213およびその別個のディスクストレージ225によって実施される機能は、さらにまた分光計のデジタルコンピュータ211によって実行される機能内に組み込むこともできることは明白なはずである。そのような場合には、プリンタ226はデジタルコンピュータ211に直接的に接続でき、または臨床現場に存在していてもよい。その他のインターフェースおよび出力デバイスもまた、当業者には周知であるように使用することができる。
【0124】
インスリン抵抗性指数は、脂質代謝異常(糖尿病性脂質代謝異常を含む)、2型糖尿病、および妊娠性糖尿病を含むがそれらに限定されないインスリン抵抗性の障害を有することについてリスク状態にある患者を同定するのに役立つことが企図されている。
【0125】
上記は本発明の例示であり、本発明を制限するものであると見なすべきではない。本発明の少数の典型的な実施形態について記載してきたが、当業者であれば、本発明の新規の教示および利点から実質的に逸脱することなく典型的な実施形態において多数の修飾が可能であることを容易に理解する。したがって、全てのそのような修飾は、特許請求の範囲に規定された本発明の範囲内に含まれると意図されている。特許請求の範囲では、使用される場合、ミーンズ・プラス・ファンクション・クローズは、本明細書において言及された機能を実施する構造および構造的同等物だけではなく同等構造もまた全て含むことが意図されている。このため、上記は本発明の例示であり、特定の開示した実施形態を制限するものであると見なすべきではないこと、そして開示した実施形態ならびに他の実施形態への修飾は添付の請求項の範囲内に含まれることが意図されると理解すべきである。本発明は、以下の特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲の同等物はその中に含めるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非糖尿病性被験者のインスリン抵抗性度を予測する方法であって、
インビトロの患者生体サンプルから複数の選択されたリポタンパク質パラメータの測定値を入手する工程と、
前記入手した測定値に基づいてリポタンパク質インスリン抵抗性指数をプログラムにより生成する工程とを含む方法。
【請求項2】
前記選択されたリポタンパク質パラメータが、ラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径の少なくとも4つを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選択されたリポタンパク質パラメータの入手した各測定値に対するリスクスコアをプログラムにより提供する工程をさらに含み、前記生成する工程が、前記選択されたリポタンパク質パラメータの前記リスクスコアを合計して合成数値スコアを生成する工程を含み、前記インスリン抵抗性指数が前記合成数値スコアを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記患者の生体サンプルが非空腹時の血漿サンプルもしくは血清サンプルであり、前記入手した測定値がスモールLDLおよびラージHDLの粒子濃度ならびにLDLおよびHDLの平均粒径の測定値を少なくとも含み、前記生成する工程が、リスクスコアを計算する工程、または前記少なくとも4つの入手した測定値各々についての1セットの規定リスクスコアから1つのリスクスコアを選択する工程と、前記少なくとも4つのリスクスコアを合計して前記インスリン抵抗性指数を生成する工程とを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記患者の生体サンプルが空腹時の血漿サンプルもしくは血清サンプルであり、前記選択されたリポタンパク質パラメータが全6つの前記リポタンパク質パラメータを含んでおり、前記生成する工程が、前記選択されたリポタンパク質パラメータと関連付けられた各リスクスコアを合計して前記インスリン抵抗性指数を生成する工程を含む請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記生成する工程が(a)1セットの規定リスクスコアからリスクスコアを選択する工程、または(b)前記入手したリポタンパク質パラメータ測定値各々についてのリスクスコアを計算し、前記各リスクスコアを合計して前記インスリン抵抗性指数を生成する工程を含み、前記インスリン抵抗性指数が約0〜100の数値を有し、「100」が高度のインスリン抵抗性を示し、「0」がインスリン感受性を示す請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記選択されたリポタンパク質パラメータの各々の様々な潜在的な測定値もしくは数値範囲と関連付けられた1セットの規定リスクスコアからリスクスコアを選択する工程をさらに含み、前記規定リスクスコアが前記潜在的な測定値もしくは数値範囲についてインスリン抵抗性のリスクの増加にしたがって各リポタンパク質パラメータについて増加する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記入手した測定値がNMRから得られた測定値である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記患者サンプルのNMR評価を使用して前記生体サンプル中の血糖値を測定する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の選択されたリポタンパク質パラメータが少なくとも4つであり、前記リポタンパク質インスリン抵抗性指数を生成する工程が各リポタンパク質パラメータについての1セットのリスクスコアから1つのリスクスコアを電子的に選択する工程であり、前記リスクスコアのセットが前記少なくとも4つのリポタンパク質パラメータの各々について規定された様々な範囲の測定値と関連付けられ、前記インスリン抵抗性指数を生成する工程が前記少なくとも4つの選択されたリスクスコアを電子的に合計して数値合成スコアを生成する工程によって実施される請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記リポタンパク質粒子パラメータの少なくとも2つの前記リスクスコアが、男性患者および女性患者について相違する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
リポタンパク質インスリン抵抗性指数を含む患者検査報告書であって、前記インスリン抵抗性指数が、前記患者の生体サンプルから入手した複数の規定リポタンパク質パラメータの測定された数値と関連付けられた規定リスクスコアに基づいて決定され、前記規定リポタンパク質パラメータの各々がインスリン抵抗性の関連のリスクを有し、少なくとも複数のラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径を含む患者検査報告書。
【請求項13】
前記リポタンパク質インスリン抵抗性指数が、最高インスリン感受性と関連付けられた規定範囲内の最小数と、最高インスリン抵抗性と関連付けられた規定範囲内の最高数とを備える規定の数値範囲内にあるスコアである請求項12に記載の患者検査報告書。
【請求項14】
前記リポタンパク質インスリン抵抗性指数が規定数値範囲内にあるスコアであり、前記範囲が、約0〜10、約0〜24、約0〜25、約0〜50、約0〜100、約0〜200、または約0〜1000の1つであり、前記範囲の約「0」末端がインスリン感受性と関連付けられ、各範囲内の最高数が最高インスリン抵抗性と関連付けられる請求項12に記載の患者検査報告書。
【請求項15】
前記リポタンパク質インスリン抵抗性指数が、約0〜100の範囲内のスコアであり、約「0」が最高インスリン感受性と関連付けられ、約「100」が最高インスリン抵抗性および2型糖尿病を発症する高度のリスクと関連付けられる請求項12に記載の患者検査報告書。
【請求項16】
リポタンパク質インスリン抵抗性指数を含む患者検査報告書であって、前記インスリン抵抗性指数が、患者の血液サンプルもしくは血漿サンプルのNMRで測定されたリポタンパク質粒子パラメータの合計リスクスコアの合成数である患者検査報告書。
【請求項17】
前記指数が、NMRで測定されたリポタンパク質粒子パラメータの少なくとも4つの合計リスクスコアの合成数であり、前記リポタンパク質粒子パラメータが、ラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径の少なくとも4つを含む請求項16に記載の患者検査報告書。
【請求項18】
前記指数が、非空腹時患者サンプルを使用して計算される請求項16に記載の患者検査報告書。
【請求項19】
前記指数が空腹時患者サンプルを使用して計算され、前記少なくとも4つのリポタンパク質粒子パラメータが前記リポタンパク質粒子パラメータの全6つである請求項16に記載の患者検査報告書。
【請求項20】
前記リポタンパク質インスリン抵抗性指数が規定数値範囲内の数値スコアを含み、前記規定範囲内の最小数が最高インスリン感受性と関連付けられ、前記規定範囲内の最大数が最高インスリン抵抗性と関連付けられる請求項16に記載の患者検査報告書。
【請求項21】
前記検査報告書が、LDL粒子およびHDL粒子のNMR測定値に基づいて患者が心血管疾患を発症するリスクを示す心血管リスク分析セグメントも含む請求項20に記載の患者検査報告書。
【請求項22】
前記リポタンパク質インスリン抵抗性指数が、約0〜100の範囲内のスコアであり、約「0」が最高インスリン感受性と関連付けられ、約「100」が最高インスリン抵抗性および2型糖尿病を発症する高度のリスクと関連付けられる請求項16に記載の患者検査報告書。
【請求項23】
前記検査報告書が、前記スコアが低レベルのインスリン抵抗性(インスリン感受性)または高レベルのインスリン抵抗性と関連付けられるかどうかを視覚的に指示するリポタンパク質インスリン指数スケールを含む請求項20に記載の患者検査報告書。
【請求項24】
低下したインスリン感受性および/またはインスリン抵抗性を評価するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムが、
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記媒体内に埋め込まれたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ可読記憶媒体を含み、前記コンピュータ可読プログラムコードが、
リポタンパク質パラメータ、すなわちラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径の少なくとも4つのNMR測定値を決定するコンピュータ可読プログラムコードと、
前記少なくとも4つのリポタンパク質のNMR測定値の各々に、1つのリスクスコアを関連付けるコンピュータ可読プログラムコードと、
前記少なくとも4つのリポタンパク質パラメータのNMR測定値の各々の前記リスクスコアを合計してリポタンパク質インスリン抵抗性指数を生成するコンピュータ可読プログラムコードとを含むコンピュータプログラム。
【請求項25】
前記患者サンプルが非空腹時サンプルであり、前記NMR測定値を決定する前記コンピュータ可読プログラムコードが、スモールLDLおよびラージHDLの粒子濃度、ならびにLDLおよびHDLの平均粒径を決定する請求項24に記載のコンピュータプログラム。
【請求項26】
前記患者サンプルが空腹時サンプルであり、測定値を決定する前記コンピュータ可読プログラムコードが、前記リポタンパク質パラメータの全6つのNMR測定値を決定するように構成され、前記リポタンパク質インスリン抵抗性指数を生成する前記コンピュータ可読プログラムコードが前記リポタンパク質パラメータ測定値の各々と関連付けられた個別のリスクスコアの合計を用いて前記指数を計算するように構成される請求項24に記載のコンピュータプログラム。
【請求項27】
リポタンパク質パラメータの測定データを用いてインスリン抵抗性指数を生成するためのシステムであって、
被験者のインビトロの血漿サンプルもしくは血清サンプルの少なくとも1つのNMRスペクトルを得るためのNMR分光計と、
前記NMR分光計と連絡している少なくとも1つのプロセッサであって、(a)前記血漿サンプルもしくは血清サンプル中で複数の選択されたリポタンパク質パラメータのNMR測定値を計算し、(b)1つのリスクスコアを計算し、もしくは前記選択されたリポタンパク質パラメータの前記決定された測定値の各々についての1セットの規定リスクスコアから1つのリスクスコアを選択し、(c)前記選択されたリポタンパク質パラメータの各々の前記リスクスコアを用いてインスリン抵抗性指数を生成するために構成されたプロセッサと
を含むシステム。
【請求項28】
前記選択されたリポタンパク質パラメータが、リポタンパク質パラメータ、すなわちラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径の少なくとも4つを含む請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記システムが空腹時および非空腹時の両方のサンプルを実行するように構成され、前記システムが前記サンプルが空腹時サンプルまたは非空腹時サンプルのいずれであるかに依存して相違して前記インスリン抵抗性指数を生成するように電子的に構成される請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
前記プロセッサが、前記患者の血漿サンプルもしくは血清サンプルのグルコースのNMR測定値を決定するようにさらに構成される請求項27に記載のシステム。
【請求項31】
インスリン抵抗性の変化について患者を評価する方法であって、
リポタンパク質パラメータ、すなわちラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径の少なくとも複数を含む、患者の血漿サンプルもしくは血清サンプルについてNMRで測定されたリポタンパク質粒子パラメータを用いて決定される第1インスリン抵抗性指数をプログラムにより生成する工程と、
リポタンパク質パラメータ、すなわちラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの平均粒径の少なくとも複数を含む、患者の他の血漿サンプルもしくは血清サンプルについてNMRで測定されたリポタンパク質粒子パラメータを用いて決定される異なる時点における第2インスリン抵抗性指数をプログラムにより生成する工程と、
前記リポタンパク質インスリン抵抗性指数の数値の変化を前記患者が有するかどうかを評価するために前記第1指数および前記第2指数を比較し、それにより前記被験者のための任意のライフスタイルの改善または治療の有効性の指標を提供する工程と
を含む方法。
【請求項1】
非糖尿病性被験者のインスリン抵抗性度を予測する方法であって、
インビトロの患者生体サンプルから複数の選択されたリポタンパク質パラメータの測定値を入手する工程と、
前記入手した測定値に基づいてリポタンパク質インスリン抵抗性指数をプログラムにより生成する工程とを含む方法。
【請求項2】
前記選択されたリポタンパク質パラメータが、ラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径の少なくとも4つを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選択されたリポタンパク質パラメータの入手した各測定値に対するリスクスコアをプログラムにより提供する工程をさらに含み、前記生成する工程が、前記選択されたリポタンパク質パラメータの前記リスクスコアを合計して合成数値スコアを生成する工程を含み、前記インスリン抵抗性指数が前記合成数値スコアを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記患者の生体サンプルが非空腹時の血漿サンプルもしくは血清サンプルであり、前記入手した測定値がスモールLDLおよびラージHDLの粒子濃度ならびにLDLおよびHDLの平均粒径の測定値を少なくとも含み、前記生成する工程が、リスクスコアを計算する工程、または前記少なくとも4つの入手した測定値各々についての1セットの規定リスクスコアから1つのリスクスコアを選択する工程と、前記少なくとも4つのリスクスコアを合計して前記インスリン抵抗性指数を生成する工程とを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記患者の生体サンプルが空腹時の血漿サンプルもしくは血清サンプルであり、前記選択されたリポタンパク質パラメータが全6つの前記リポタンパク質パラメータを含んでおり、前記生成する工程が、前記選択されたリポタンパク質パラメータと関連付けられた各リスクスコアを合計して前記インスリン抵抗性指数を生成する工程を含む請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記生成する工程が(a)1セットの規定リスクスコアからリスクスコアを選択する工程、または(b)前記入手したリポタンパク質パラメータ測定値各々についてのリスクスコアを計算し、前記各リスクスコアを合計して前記インスリン抵抗性指数を生成する工程を含み、前記インスリン抵抗性指数が約0〜100の数値を有し、「100」が高度のインスリン抵抗性を示し、「0」がインスリン感受性を示す請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記選択されたリポタンパク質パラメータの各々の様々な潜在的な測定値もしくは数値範囲と関連付けられた1セットの規定リスクスコアからリスクスコアを選択する工程をさらに含み、前記規定リスクスコアが前記潜在的な測定値もしくは数値範囲についてインスリン抵抗性のリスクの増加にしたがって各リポタンパク質パラメータについて増加する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記入手した測定値がNMRから得られた測定値である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記患者サンプルのNMR評価を使用して前記生体サンプル中の血糖値を測定する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の選択されたリポタンパク質パラメータが少なくとも4つであり、前記リポタンパク質インスリン抵抗性指数を生成する工程が各リポタンパク質パラメータについての1セットのリスクスコアから1つのリスクスコアを電子的に選択する工程であり、前記リスクスコアのセットが前記少なくとも4つのリポタンパク質パラメータの各々について規定された様々な範囲の測定値と関連付けられ、前記インスリン抵抗性指数を生成する工程が前記少なくとも4つの選択されたリスクスコアを電子的に合計して数値合成スコアを生成する工程によって実施される請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記リポタンパク質粒子パラメータの少なくとも2つの前記リスクスコアが、男性患者および女性患者について相違する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
リポタンパク質インスリン抵抗性指数を含む患者検査報告書であって、前記インスリン抵抗性指数が、前記患者の生体サンプルから入手した複数の規定リポタンパク質パラメータの測定された数値と関連付けられた規定リスクスコアに基づいて決定され、前記規定リポタンパク質パラメータの各々がインスリン抵抗性の関連のリスクを有し、少なくとも複数のラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径を含む患者検査報告書。
【請求項13】
前記リポタンパク質インスリン抵抗性指数が、最高インスリン感受性と関連付けられた規定範囲内の最小数と、最高インスリン抵抗性と関連付けられた規定範囲内の最高数とを備える規定の数値範囲内にあるスコアである請求項12に記載の患者検査報告書。
【請求項14】
前記リポタンパク質インスリン抵抗性指数が規定数値範囲内にあるスコアであり、前記範囲が、約0〜10、約0〜24、約0〜25、約0〜50、約0〜100、約0〜200、または約0〜1000の1つであり、前記範囲の約「0」末端がインスリン感受性と関連付けられ、各範囲内の最高数が最高インスリン抵抗性と関連付けられる請求項12に記載の患者検査報告書。
【請求項15】
前記リポタンパク質インスリン抵抗性指数が、約0〜100の範囲内のスコアであり、約「0」が最高インスリン感受性と関連付けられ、約「100」が最高インスリン抵抗性および2型糖尿病を発症する高度のリスクと関連付けられる請求項12に記載の患者検査報告書。
【請求項16】
リポタンパク質インスリン抵抗性指数を含む患者検査報告書であって、前記インスリン抵抗性指数が、患者の血液サンプルもしくは血漿サンプルのNMRで測定されたリポタンパク質粒子パラメータの合計リスクスコアの合成数である患者検査報告書。
【請求項17】
前記指数が、NMRで測定されたリポタンパク質粒子パラメータの少なくとも4つの合計リスクスコアの合成数であり、前記リポタンパク質粒子パラメータが、ラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径の少なくとも4つを含む請求項16に記載の患者検査報告書。
【請求項18】
前記指数が、非空腹時患者サンプルを使用して計算される請求項16に記載の患者検査報告書。
【請求項19】
前記指数が空腹時患者サンプルを使用して計算され、前記少なくとも4つのリポタンパク質粒子パラメータが前記リポタンパク質粒子パラメータの全6つである請求項16に記載の患者検査報告書。
【請求項20】
前記リポタンパク質インスリン抵抗性指数が規定数値範囲内の数値スコアを含み、前記規定範囲内の最小数が最高インスリン感受性と関連付けられ、前記規定範囲内の最大数が最高インスリン抵抗性と関連付けられる請求項16に記載の患者検査報告書。
【請求項21】
前記検査報告書が、LDL粒子およびHDL粒子のNMR測定値に基づいて患者が心血管疾患を発症するリスクを示す心血管リスク分析セグメントも含む請求項20に記載の患者検査報告書。
【請求項22】
前記リポタンパク質インスリン抵抗性指数が、約0〜100の範囲内のスコアであり、約「0」が最高インスリン感受性と関連付けられ、約「100」が最高インスリン抵抗性および2型糖尿病を発症する高度のリスクと関連付けられる請求項16に記載の患者検査報告書。
【請求項23】
前記検査報告書が、前記スコアが低レベルのインスリン抵抗性(インスリン感受性)または高レベルのインスリン抵抗性と関連付けられるかどうかを視覚的に指示するリポタンパク質インスリン指数スケールを含む請求項20に記載の患者検査報告書。
【請求項24】
低下したインスリン感受性および/またはインスリン抵抗性を評価するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムが、
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記媒体内に埋め込まれたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ可読記憶媒体を含み、前記コンピュータ可読プログラムコードが、
リポタンパク質パラメータ、すなわちラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径の少なくとも4つのNMR測定値を決定するコンピュータ可読プログラムコードと、
前記少なくとも4つのリポタンパク質のNMR測定値の各々に、1つのリスクスコアを関連付けるコンピュータ可読プログラムコードと、
前記少なくとも4つのリポタンパク質パラメータのNMR測定値の各々の前記リスクスコアを合計してリポタンパク質インスリン抵抗性指数を生成するコンピュータ可読プログラムコードとを含むコンピュータプログラム。
【請求項25】
前記患者サンプルが非空腹時サンプルであり、前記NMR測定値を決定する前記コンピュータ可読プログラムコードが、スモールLDLおよびラージHDLの粒子濃度、ならびにLDLおよびHDLの平均粒径を決定する請求項24に記載のコンピュータプログラム。
【請求項26】
前記患者サンプルが空腹時サンプルであり、測定値を決定する前記コンピュータ可読プログラムコードが、前記リポタンパク質パラメータの全6つのNMR測定値を決定するように構成され、前記リポタンパク質インスリン抵抗性指数を生成する前記コンピュータ可読プログラムコードが前記リポタンパク質パラメータ測定値の各々と関連付けられた個別のリスクスコアの合計を用いて前記指数を計算するように構成される請求項24に記載のコンピュータプログラム。
【請求項27】
リポタンパク質パラメータの測定データを用いてインスリン抵抗性指数を生成するためのシステムであって、
被験者のインビトロの血漿サンプルもしくは血清サンプルの少なくとも1つのNMRスペクトルを得るためのNMR分光計と、
前記NMR分光計と連絡している少なくとも1つのプロセッサであって、(a)前記血漿サンプルもしくは血清サンプル中で複数の選択されたリポタンパク質パラメータのNMR測定値を計算し、(b)1つのリスクスコアを計算し、もしくは前記選択されたリポタンパク質パラメータの前記決定された測定値の各々についての1セットの規定リスクスコアから1つのリスクスコアを選択し、(c)前記選択されたリポタンパク質パラメータの各々の前記リスクスコアを用いてインスリン抵抗性指数を生成するために構成されたプロセッサと
を含むシステム。
【請求項28】
前記選択されたリポタンパク質パラメータが、リポタンパク質パラメータ、すなわちラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径の少なくとも4つを含む請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記システムが空腹時および非空腹時の両方のサンプルを実行するように構成され、前記システムが前記サンプルが空腹時サンプルまたは非空腹時サンプルのいずれであるかに依存して相違して前記インスリン抵抗性指数を生成するように電子的に構成される請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
前記プロセッサが、前記患者の血漿サンプルもしくは血清サンプルのグルコースのNMR測定値を決定するようにさらに構成される請求項27に記載のシステム。
【請求項31】
インスリン抵抗性の変化について患者を評価する方法であって、
リポタンパク質パラメータ、すなわちラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの粒径の少なくとも複数を含む、患者の血漿サンプルもしくは血清サンプルについてNMRで測定されたリポタンパク質粒子パラメータを用いて決定される第1インスリン抵抗性指数をプログラムにより生成する工程と、
リポタンパク質パラメータ、すなわちラージVLDL、スモールLDL、およびラージHDLの粒子濃度、ならびにVLDL、LDL、およびHDLの平均粒径の少なくとも複数を含む、患者の他の血漿サンプルもしくは血清サンプルについてNMRで測定されたリポタンパク質粒子パラメータを用いて決定される異なる時点における第2インスリン抵抗性指数をプログラムにより生成する工程と、
前記リポタンパク質インスリン抵抗性指数の数値の変化を前記患者が有するかどうかを評価するために前記第1指数および前記第2指数を比較し、それにより前記被験者のための任意のライフスタイルの改善または治療の有効性の指標を提供する工程と
を含む方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2012−506051(P2012−506051A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532094(P2011−532094)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/005689
【国際公開番号】WO2010/047767
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(506140561)リポサイエンス,インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/005689
【国際公開番号】WO2010/047767
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(506140561)リポサイエンス,インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
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