説明

リムーバブルディスクドライブ

【課題】
リムーバブルデバイスの記録メディア排出口に十分な空間が確保されていないと障害物と記録メディアが干渉し、故障の原因となることがある。このため、記録メディアの物理的保護や装置の運用を円滑におこなうことができるリムーバブルディスクドライブを提供する。
【解決手段】
発明のリムーバブルディスクドライバは、記録メディア排出時に排出方向の障害物の有無を検知する検知手段と、記録メディアの排出可否を表示する表示手段と、前記検知手段によりメディア排出方向の障害物の有無を検知し、メディアの排出方向に障害物があった場合には前記表示手段にメディア排出不可を表示するとともに前記情報処理装置にメディア排出不可を通知し、メディアの排出方向に障害物がなかった場合には前記排出手段により記録メディアの排出をおこない、前記情報処理装置にメディア排出完了を通知する制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCD−ROMドライブ等のリムーバブルディスクドライブに係り、記録メディアの排出制御に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置等で用いられている内蔵リムーバブルデバイスにおいては、近年のネットワークの普及に伴い、装置をシステム管理者から離れた場所に設置されることが多くなり、システム管理者が離れた場所からLAN等のネットワークを利用してリムーバブルデバイストレイの開閉や記録メディアの排出を遠隔から操作することが可能となっている。また、テープデバイス等へのデータバックアップにおいては、処理完了後にソフトウェア制御による記録メディアの自動排出を行うものも多く、システム管理者が実際に装置の前でイジェクトボタンを押すことなく記録メディアを排出する手法は広く一般的に使用されている。上記技術は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001-014792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1では、記録メディア排出時におけるデータ保護について検討されているが、リムーバブルデバイス自身や記録メディア自身を物理的に保護することは考慮されていない。
【0005】
遠隔地に設置されたリムーバブルデバイスを遠隔操作またはソフトウェアによる自動操作により操作してリムーバブルデバイス内の記録メディアを排出する場合、リムーバブルデバイスを搭載する装置本体の設置環境や構造上の問題により、記録メディア排出口に十分な空間が確保されていないと障害物と記録メディアが干渉し、故障の原因となることがある。特に内蔵リムーバブルデバイスにおいては、その性質上、多種多様の装置に搭載されるため、例えば図1に示すような記録メディア排出方向に装置扉を有する構造で、且つ、扉とデバイスの間に十分なクリアランスが確保されないような装置においては、扉が閉まった状態では記録メディアの排出時に扉に干渉してしまう。
【0006】
また、従来の技術においては、記録メディアやトレイが障害物に接触するような状態でも、ソフトウェアからの自動排出処理がくると、一度記録メディアを排出し障害物への接触を感知して記録メディアを引き戻すという処理を数回リトライ後にエラーとして処理を中止していた。特に、ソフトウェア的なトリガによって行う記録メディア排出の場合には、管理者がシステム装置の近くにいない場合が多く、上記のリトライ処理を行うことで障害の原因となっている。
【0007】
本発明は、上記問題を解決し、記録メディアの物理的保護や装置の運用を円滑におこなうことができるリムーバブルディスクドライブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の情報処理装置に内蔵されて前記情報処理装置からの制御コマンドにより記録メディアのアクセス制御とメディアの排出制御をおこなうリムーバブルディスクドライバは、記録メディアの排出手段と、記録メディア排出時に排出方向の障害物の有無を検知する検知手段と、記録メディアの排出可否を表示する表示手段と、前記情報処理装置からのメディア排出コマンドを受信したときに前記検知手段によりメディア排出方向の障害物の有無を検知し、メディアの排出方向に障害物があった場合には前記表示手段にメディア排出不可を表示するとともに前記情報処理装置にメディア排出不可を通知し、メディアの排出方向に障害物がなかった場合には前記排出手段により記録メディアの排出をおこない、前記情報処理装置にメディア排出完了を通知する制御手段とを備えるようにした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、記録メディアの排出時に記録メディアまたはトレイといった部位が障害物へ接触することを避けることが可能となり、干渉等により引き起こされるリムーバブルデバイスの故障を防止する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
図2は本発明の一実施形態を示す。リムーバブルデバイス201はトレイ式の記録メディア挿入/排出口を有するデバイスである。トレイ部分に障害物を検知するための赤外線センサ202を設置し、トレイを排出するために十分なスペースがあるかをチェックする(赤外線センサ202は、超音波センサ302でもよい。)。
【0011】
赤外線センサ202が障害物を検知しなければトレイは排出されるが、もし障害物を検知した場合は、記録メディア排出は中止され、その事を必要に応じてリムーバブルデバイス201の前面に設置するLED203の点灯ならびにスピーカ204の警告音で知らせると共に管理端末に通知する。
【0012】
図3は本発明の一実施形態を示す。リムーバブルデバイス301は、記録メディアトレイを有しないタイプで、記録メディアの挿入/排出は、記録メディアをリムーバブルデバイス301の挿入口に直接出し入れする方式のデバイスである。挿入口付近に超音波センサ302を設置し、記録メディアの排出に十分なスペースがあるかをチェックする。(超音波センサ302は、赤外線センサ202でもよい。)
超音波センサ302が障害物を検知しなければ記録メディアは排出されるが、もし障害物を検知した場合は、記録メディア排出は中止され、その事をリムーバブルデバイス301の前面に設置するLED303の点灯ならびにスピーカ304の警告音で知らせると共に管理端末に通知する。
【0013】
図4は本発明に関する部分の概略ブロック図である。リムーバブルデバイス4は制御部401、記録メディア挿入/排出機構部402、センサ部403、記憶部404、データ入出力部405、LED表示部406から構成され、リムーバブルデバイス4全体の動作を管理する制御部401は、ソフトウェアからのメディア排出コマンドに対し、センサ部403が障害物を検知していない場合は、記録メディア排出機構部402に対しメディアの排出処理を命令する。一方、センサ部403が障害物を検知している場合は、メディアの排出は中止し、LED表示部405ならびにソフトウェアに対し、処理が中止された事を通知する。
【0014】
図5は本発明に関する部分のフローチャートである。記録メディア排出コマンド受信501に対し、センサによる障害物検知502の結果により処理が分かれる。障害物がない状況では記録メディアの排出506を行い、処理完了通知507にて正常に処理が完了したことを通知して処理は終了する。
【0015】
障害物がある場合、記録メディアの排出は中止503し、命令が中止されたことをLED点灯504および処理中止通知505にて知らせる。
【0016】
本実施例によれば、リムーバブルデバイスを運用するにあたり、安心して運用ができるだけでなく、障害の発生頻度が低くなるため、トータルコストの低減につながる運する効果が見込めるため、情報処理装置特にPCサーバの様に基幹業務に使用され、障害によるダウンタイムの短さが要求される機器に利用される。
【0017】
また、リムーバブルデバイスそのものが障害物を検知する機能を具備することで、装置に依存することなく本発明の効果を活用出来ると共に、セキュリティの観点から設置された筐体扉のドアセンサとしても適用出来るため、例えば不審者が扉を開けた事を管理者に通知する機能を本デバイスの搭載により汎用的に付加することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明が解決しようとする課題の一形態を示す図である。
【図2】本発明におけるセンサ具備の方法を示す図である。
【図3】本発明におけるセンサ具備の方法を示す図である。
【図4】本発明における概略ブロック図である。
【図5】本発明におけるメディア排出制御の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0019】
1…情報処理装置、201…リムーバブルデバイス、202…赤外線センサ、
203…LED、204…スピーカ、301…リムーバブルデバイス、
302…超音波センサ、303…LED、304…スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置に内蔵されて前記情報処理装置からの制御コマンドにより記録メディアのアクセス制御とメディアの排出制御をおこなうリムーバブルディスクドライバであって、
記録メディアの排出手段と、
記録メディア排出時に排出方向の障害物の有無を検知する検知手段と、
記録メディアの排出可否を表示する表示手段と、
前記情報処理装置からのメディア排出コマンドを受信したときに前記検知手段によりメディア排出方向の障害物の有無を検知し、メディアの排出方向に障害物があった場合には前記表示手段にメディア排出不可を表示するとともに前記情報処理装置にメディア排出不可を通知し、メディアの排出方向に障害物がなかった場合には前記排出手段により記録メディアの排出をおこない、前記情報処理装置にメディア排出完了を通知する制御手段と
を備えたことを特徴とするリムーバブルディスクドライブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−188604(P2007−188604A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−6900(P2006−6900)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】