説明

リモコン送信器

【課題】ユーザーの使い勝手を良好にできるリモコン送信器を提供する。
【解決手段】リモコン送信器10は、操作面上方方向に送信するための上方送信用赤外線発光素子LED3、LED4と、操作面前方方向に送信するための前方送信用赤外線発光素子LED1、LED2と、上方送信用赤外線発光素子LED3,LED4および前方送信用赤外線発光素子LED1、LED2をそれぞれ少なくとも1個ずつ同時に駆動する少なくとも2つの駆動手段21、22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線を信号媒体として用いて制御信号を送信し、例えば照明器具等の負荷の制御を行うリモコン送信器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりケースの前端部に前方方向と上方方向とに指向された赤外線発光素子を設けて指向方向の異なる赤外線を送信するようにしたリモコン送信器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−288787号公報(図1、請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1に記載されたリモコン送信器は、スイッチが操作されて閉じられると、送信制御部に有する一対の出力からの信号により一対のスイッチング素子が駆動されて、前方方向用の赤外線発光素子と上方方向用の赤外線発光素子とが交互に駆動され、各赤外線発光素子から赤外線リモコン信号が送信される。
しかし、前述した特許文献1に記載されたリモコン送信器は、前方方向用の赤外線発光素子が一方のスイッチング素子で駆動され、上方方向用の赤外線発光素子が他方のスイッチング素子で駆動される。そのため、前述した特許文献1に記載されたリモコン送信器は、いずれか一方のスイッチング素子が故障した場合、前方方向用の赤外線発光素子と上方方向用の赤外線発光素子とのいずれかが駆動されなくなり、赤外線リモコン信号が前方方向と上方方向とのいずれか一方からのみしか送信されなくなる。
これにより、前述した特許文献1に記載されたリモコン送信器は、いずれか一方のスイッチング素子が故障した場合に、赤外線リモコン信号が前方方向と上方方向とのいずれか一方からのみしか送信されなくなってユーザーの使い勝手が良好ではない。
【0005】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ユーザーの使い勝手を良好にできるリモコン送信器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るリモコン送信器は、赤外線を信号媒体として用いて制御信号を送信し、負荷の制御を行うリモコン送信器であって、操作面上方方向に送信するための上方送信用赤外線発光素子と、操作面前方方向に送信するための前方送信用赤外線発光素子と、上方送信用赤外線発光素子および前方送信用赤外線発光素子をそれぞれ少なくとも1個ずつ同時に駆動する少なくとも2つの駆動手段とを備える。
【0007】
本発明に係るリモコン送信器は、制御信号が照明器具を制御する信号である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のリモコン送信器によれば、ユーザーの使い勝手を良好にできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る一実施形態のリモコン送信器の斜め上方から視た外観斜視図
【図2】図1のリモコン送信器の回路構成図
【図3】図1のリモコン送信器の動作を説明するタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係るリモコン送信器について図面を参照して説明する。
本発明の一実施形態であるリモコン送信器10は、ケース11と、送信制御部12と、全灯ボタン13と、調光ボタン14と、消灯ボタン15と、常夜灯ボタン16と、明暗ボタン17と、全灯スイッチSW1と、調光スイッチSW2と、消灯スイッチSW3と、常夜灯スイッチSW4と、第1スイッチング素子Tr1と、第1前方送信用赤外線発光素子(以下、第1前方発光素子とも言う)LED1と、第1上方送信用赤外線発光素子(以下、第1上方発光素子とも言う)LED3と、第2スイッチング素子Tr2と、第2前方送信用赤外線発光素子(以下、第2前方発光素子とも言う)LED2と、第2上方送信用赤外線発光素子(以下、第2上方発光素子とも言う)LED4とを備える。
【0011】
図1に示すように、リモコン送信器10は、ケース11が、上ケース18と、上ケース18に結合される下ケース19とからなる。上ケース18は、操作面上に、全灯ボタン13と、調光ボタン14と、消灯ボタン15と、常夜灯ボタン16と、明暗ボタン17とが所定位置に取り付けられている。また、上ケース18は、操作面上に、第1上方発光素子LED3と、第2上方発光素子LED4とが、指向方向を上方として所定位置に取り付けられている。そして、上ケース18と下ケース19との前面部20には、第1前方発光素子LED1と、第2前方発光素子LED2とが指向方向を前方として取り付けられている。
【0012】
ケース11内には、不図示の回路基板上に、送信制御部12と、全灯スイッチSW1と、調光スイッチSW2と、消灯スイッチSW3と、常夜灯スイッチSW4と、NPN型の第1スイッチング素子Tr1と、同じくNPN型の第2スイッチング素子Tr2とが実装されており、不図示のバッテリーが収容されている。
【0013】
図2に示すように、送信制御部12には、第1駆動回路21と、第2駆動回路22とが内蔵されており、電源VDDと、全灯スイッチSW1と、調光スイッチSW2と、消灯スイッチSW3と、常夜灯スイッチSW4とが接続されている。第1駆動回路21は第1スイッチング素子Tr1のベースに接続されている。第2駆動回路22は第2スイッチング素子Tr2のベースに接続されている。
【0014】
第1前方発光素子LED1は、そのアノードが電流制限用の抵抗R1を通じてコレクタ電源VCCに接続されており、そのカソードが第1スイッチング素子Tr1のコレクタに接続されている。第1上方発光素子LED3は、そのアノードが電流制限用の抵抗R3を通じてコレクタ電源VCCに接続されており、そのカソードが第1スイッチング素子Tr1のコレクタに接続されている。即ち、第1前方発光素子LED1と、第1上方発光素子LED3とは第1スイッチング素子Tr1に並列に接続されている。
【0015】
第2前方発光素子LED2は、そのアノードが電流制限用の抵抗R2を通じてコレクタ電源VCCに接続されており、そのカソードが第2スイッチング素子Tr2のコレクタに接続されている。第2上方発光素子LED4は、そのアノードが電流制限用の抵抗R4を通じてコレクタ電源VCCに接続されており、そのカソードが第2スイッチング素子Tr2のコレクタに接続されている。即ち、第2前方発光素子LED2と、第2上方発光素子LED4とは第2スイッチング素子Tr2に並列に接続されている。
【0016】
送信制御部12は、全灯ボタン13、調光ボタン14、消灯ボタン15、常夜灯ボタン16が押下された際に、全灯ボタン13、調光ボタン14、消灯ボタン15、常夜灯ボタン16の押下により、全灯スイッチSW1、調光スイッチSW2、消灯スイッチSW3、常夜灯スイッチSW4が閉成され、それに伴い、例えばローレベルに切換ったポートをトリガとして、全灯トリガ信号、調光トリガ信号、消灯トリガ信号、常夜灯トリガ信号をそれぞれ処理して、全灯指令信号、調光指令信号、消灯指令信号、常夜灯指令信号をそれぞれ独立して生成する。そして、各指令信号により、第1駆動回路21が第1スイッチング素子Tr1のベースをローレベルにすると同時に、第2駆動回路22が第2スイッチング素子Tr2のベースをローレベルにして、第1スイッチング素子Tr1および第2スイッチング素子Tr2がオンされる。なお、調光ボタン14が押下されることにより調光スイッチSW2が閉成された際に、明暗ボタン17が明側に押下されるか或いは暗側に押下されるかに伴い調光指令信号が明側或いは暗側に無段階に微調整される。
【0017】
送信制御部12は、第1スイッチング素子Tr1および第2スイッチング素子Tr2がオンされることにより、第1前方発光素子LED1、第1上方発光素子LED3、第2前方発光素子LED2、第2上方発光素子LED4が同時に発光される。第1前方発光素子LED1、第1上方発光素子LED3、第2前方発光素子LED2、第2上方発光素子LED4からは、例えば38〜40kHzに変調されてパルス間隔により全灯指令信号、調光指令信号、消灯指令信号、常夜灯指令信号に設定された各ビットを有する赤外線信号が送信される。そして、赤外線信号は、負荷である不図示の照明器具に搭載されているフォトトランジスタ等の受光素子により受信されて復調される。
【0018】
次に、リモコン送信器10の動作について説明する。なお、以下の動作説明においては、全灯ボタン13が押下された場合についてのみ説明を行い、他の調光ボタン14、消灯ボタン15、常夜灯ボタン16については同様の動作を行うために、それらの説明は省略する。
図3に示すように、まず、時刻T1において、ユーザーにより全灯ボタン13が押下されることにより全灯スイッチSW1が閉成されると、送信制御部12により全灯トリガ信号が処理されて全灯指令信号が生成される。そして、全灯指令信号により、第1駆動回路21による第1スイッチング素子Tr1のオンにより第1前方発光素子LED1、第1上方発光素子LED3から全灯指令信号を含む赤外線信号が送信され、同時に、第2駆動回路22による第2スイッチング素子Tr2のオンにより第2前方発光素子LED2、第2上方発光素子LED4から全灯指令信号を含む赤外線信号が送信される。
【0019】
これにより、第1前方発光素子LED1から指向方向を上方とする全灯指令信号を含む赤外線信号が送信されるとともに、第1上方発光素子LED3から指向方向を前方とする全灯指令信号を含む赤外線信号が送信される。同時に、第2前方発光素子LED2から指向方向を上方とする全灯指令信号を含む赤外線信号が送信されるとともに、第2上方発光素子LED4から指向方向を前方とする全灯指令信号を含む赤外線信号が送信される。そして、全灯指令信号を含む赤外線信号が照明器具の受光素子により受信され、照明器具が全灯で点灯される。
【0020】
これとは異なり、第1スイッチング素子Tr1が故障していた場合、時刻T2において、ユーザーにより全灯ボタン13が押下されることにより全灯スイッチSW1が閉成されると、送信制御部12により全灯トリガ信号が処理されて全灯指令信号が生成される。そして、全灯指令信号により、第1駆動回路21により第1スイッチング素子Tr1はオンされずに、第2駆動回路22による第2スイッチング素子Tr2のオンにより第2前方発光素子LED2、第2上方発光素子LED4から全灯指令信号を含む赤外線信号が送信される。
【0021】
これにより、第2前方発光素子LED2から指向方向を上方とする全灯指令信号を含む赤外線信号が送信されるとともに、第2上方発光素子LED4から指向方向を前方とする全灯指令信号を含む赤外線信号が送信される。つまりは、第1スイッチング素子Tr1がオンされなくても、指向方向を上方とする赤外線信号および指向方向を前方とする赤外線信号が送信されることになる。そして、全灯指令信号を含む赤外線信号が照明器具の受光素子により受信され、照明器具が全灯で点灯される。なお、第1スイッチング素子Tr1ではなく、第2スイッチング素子Tr2を含む第2駆動回路22側に故障を生じていたとしても、指向方向を上方とする赤外線信号および指向方向を前方とする赤外線信号が送信される。なお、第1駆動回路21および第2駆動回路22に加えて、複数の駆動回路を備えることもできる。もちろん、その場合、スイッチング素子により、指向方向を上方とする赤外線信号および指向方向を前方とする赤外線信号を発光する一対の赤外線発光素子が複数の駆動回路に接続されるのは言うまでもない。
【0022】
従って、この一実施形態のリモコン送信器10においては、第1スイッチング素子Tr1が故障していた場合、第1駆動回路21により第1スイッチング素子Tr1がオンされなくても、第2駆動回路22による第2スイッチング素子Tr2のオンにより第2前方発光素子LED2、第2上方発光素子LED4から全灯指令信号を含む赤外線信号が送信される。
これにより、この一実施形態のリモコン送信器10においては、第1スイッチング素子Tr1を含む第1駆動回路21側に故障が生じていたとしても、指向方向を上方とする赤外線信号および指向方向を前方とする赤外線信号が確実に送信されることにより、ユーザーの使い勝手を良好にできる。
【0023】
また、この一実施形態のリモコン送信器10においては、制御信号である、全灯指令信号、調光指令信号、消灯指令信号、常夜灯指令信号の赤外線信号が照明器具に送信される。
これにより、ユーザーが手で持つ場合に加えて、室内の壁面等に引掛けた場合においても、第1スイッチング素子Tr1を含む第1駆動回路21側に故障が生じていたとしても、指向方向を上方とする赤外線信号および指向方向を前方とする赤外線信号を送信して、照明器具を確実に遠隔で操作できる。
【0024】
なお、一実施形態で使用したケース11、送信制御部12、全灯ボタン13、調光ボタン14、消灯ボタン15、常夜灯ボタン16等は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0025】
10 リモコン送信器
21 第1駆動回路(駆動手段)
22 第2駆動回路(駆動手段)
LED1 第1前方送信用赤外線発光素子(前方送信用赤外線発光素子)
LED2 第2前方送信用赤外線発光素子(前方送信用赤外線発光素子)
LED3 第1上方送信用赤外線発光素子(上方送信用赤外線発光素子)
LED4 第2上方送信用赤外線発光素子(上方送信用赤外線発光素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線を信号媒体として用いて制御信号を送信し、負荷の制御を行うリモコン送信器であって、
操作面上方方向に送信するための上方送信用赤外線発光素子と、
操作面前方方向に送信するための前方送信用赤外線発光素子と、
前記上方送信用赤外線発光素子および前記前方送信用赤外線発光素子をそれぞれ少なくとも1個ずつ同時に駆動する少なくとも2つの駆動手段とを備えるリモコン送信器。
【請求項2】
請求項1に記載のリモコン送信器において、
前記制御信号が照明器具を制御する信号であるリモコン送信器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−244355(P2011−244355A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116701(P2010−116701)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】