説明

リモコン送信機

【課題】主に各種電子機器の操作に用いられるリモコン送信機に関し、誤操作がなく、簡易で確実な操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】制御手段15が静電タッチパネル12の直線または曲線状の接触操作に応じて、送信手段8からリモコン信号を送信することによって、押圧操作が不要となり、静電タッチパネル12を所定の軌跡で接触操作するだけで機器の遠隔操作が行えるため、誤操作が生じづらく、簡易で確実な操作が可能なリモコン送信機を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の遠隔操作に用いられるリモコン送信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビやビデオ、エアコン等の各種電子機器の高機能化が進むなか、これらを遠隔操作するリモコン送信機においても、多様で確実な操作を行えるものが求められている。
【0003】
このような従来のリモコン送信機について、図5〜図8を用いて説明する。
【0004】
なお、これらの図面のうち断面図は、構成を判り易くするために厚さ方向の寸法を拡大して表している。
【0005】
図7は従来のリモコン送信機の断面図、図8は同斜視図であり、同図において、1は略箱状で絶縁樹脂製のケース、2は静電タッチパネルで、ケース1上面の開口孔に静電タッチパネル2が装着されている。
【0006】
そして、この静電タッチパネル2は、フィルム状のシートの上面または上下面に略帯状の複数の導電部(図示せず)が、所定の間隙を空けて直交方向に配列されて形成されている。
【0007】
また、3は絶縁樹脂製の上覆体、4は同じく下覆体で、この上覆体3と下覆体4の間に静電タッチパネル2が収納されると共に、静電タッチパネル2の複数の導電部の端部に接続された電極部(図示せず)が形成されたテール部2Aが、下覆体4の下面から右外方へ延出している。
【0008】
さらに、5は上下面に複数の配線パターン(図示せず)が形成された配線基板で、この上面にはプッシュスイッチ等のスイッチ接点6が実装され、スイッチ接点6上面から突出した押釦6Aに下覆体4の下面が当接すると共に、静電タッチパネル2がテール部2Aやコネクタ等を介して、配線基板5の配線パターンに電気的に接続されている。
【0009】
そして、7は下方に略ドーム状の薄肉部が形成されたゴム等の操作体で、上面が上ケース1上面の貫通孔から上下動可能に突出すると共に、下面には配線基板5上面に形成された複数の固定接点5Aと、所定の間隙を空けて対向する可動接点7Aが設けられている。
【0010】
また、配線基板5の上下面には、発光ダイオード等のリモコン信号を送信する送信手段8や、配線パターンを介して送信手段8や静電タッチパネル2、スイッチ接点6、複数の固定接点5Aに接続されたマイコン等の制御手段9が形成されると共に、ケース1下面を絶縁樹脂製のカバー10が覆って、リモコン送信機が構成されている。
【0011】
以上の構成において、リモコン送信機を操作する電子機器に向けて、指で所定の操作体7の上面を押圧操作すると、略ドーム状の薄肉部が弾性変形して操作体7が下方へ移動し、この下面の可動接点7Aが複数の固定接点5Aに接触して、可動接点7Aを介して複数の固定接点5Aの電気的接離が行われ、この電気的接離に応じて制御手段9が、送信手段8から赤外線のリモコン信号を電子機器へ送信し、例えば、テレビの電源の入/切や選局の切換え等が遠隔操作によって行われる。
【0012】
また、図5の正面図に示すように、遠隔操作する電子機器30の表示画面31に、例えば、遠隔操作する機器のメニュー等が表示された状態で、上覆体3上面に指を触れ、指をなぞるように前後左右に移動して接触操作すると、この指に静電タッチパネル2の電荷の一部が導電し、操作した箇所の導電部の容量が変化するため、これによって静電タッチパネル2のどの箇所が接触操作されたかを制御手段9が検出する。
【0013】
そして、この指の移動に応じたリモコン信号を、制御手段9が送信手段8から機器へ送信し、例えば、表示画面31に表示されたポインタ32等が、指の移動した上下方向や左右方向へ移動して、機器のメニュー等の選択が行われる。
【0014】
さらに、ポインタ32等が所望の機器のメニュー上に位置した状態で、上覆体3上面を押圧操作すると、静電タッチパネル2や下覆体4が下方へ移動し、下覆体4の下面がスイッチ接点6の押釦6Aを押圧操作して、スイッチ接点6の電気的接離が行われ、これを制御手段9が検出して送信手段8からリモコン信号を送信し、例えば、図6の正面図に示すような、次の機器の操作メニュー等が表示される。
【0015】
そして、この状態で再び上覆体3上面を指で前後左右に接触操作すると、この指の移動に応じたリモコン信号を制御手段9が機器へ送信し、例えば、表示画面31に表示されたカーソル33等が上下方向や左右方向へ移動して、操作メニュー等の選択が行われ、この状態で再び押圧操作すると、スイッチ接点6の電気的接離が行われてリモコン信号が送信され、例えば、ビデオテープやディスク等の再生や早送り等が行われる。
【0016】
つまり、複数の操作体7の押圧操作によって、電源や選局といった機器の各機能の遠隔操作を行うと共に、静電タッチパネル2の接触操作と押圧操作を繰返すことによって、表示画面31に表示された機器や操作メニュー等を順次切換え、都度これらの選択や確定を行って、機器を遠隔操作するように構成されているものであった。
【0017】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2007−141269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記従来のリモコン送信機においては、再生や早送りといった機器の操作メニュー等の操作を行う際、先ず、静電タッチパネル2に触れた指を移動し、接触操作によって操作メニュー等の選択を行った後、静電タッチパネル2を押圧操作して機器の遠隔操作を行っているため、操作が煩雑で、誤操作も生じてしまい易いという課題があった。
【0019】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、誤操作がなく、簡易で確実な操作が可能なリモコン送信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために本発明は、制御手段が静電タッチパネルの直線または曲線状の接触操作に応じて、送信手段からリモコン信号を送信するようにしてリモコン送信機を構成したものであり、静電タッチパネルを直線または曲線状の所定の軌跡で接触操作するだけで、制御手段がこれに応じたリモコン信号を送信して機器の遠隔操作が行えるため、押圧操作が不要となり、誤操作が生じづらく、簡易で確実な操作が可能なリモコン送信機を得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によれば、誤操作がなく、簡易で確実な操作が可能なリモコン送信機を実現できるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図5を用いて説明する。
【0023】
なお、これらの図面のうち断面図は、構成を判り易くするために厚さ方向の寸法を拡大して表している。
【0024】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0025】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるリモコン送信機の断面図、図2は同分解斜視図であり、同図において、1は略箱状でポリスチレンやABS等の絶縁樹脂製のケース、12は静電タッチパネルで、ケース1上面の開口孔に静電タッチパネル12が装着されている。
【0026】
そして、この静電タッチパネル12は、フィルム状のシートの上面または上下面に、略帯状または略方形の複数の導電部(図示せず)が、所定の間隙を空けて直交方向に配列されて形成されている。
【0027】
また、3は絶縁樹脂製の上覆体、4は同じく下覆体で、この上覆体3と下覆体4の間に静電タッチパネル12が収納されると共に、静電タッチパネル12の複数の導電部の端部に接続された電極部(図示せず)が形成されたテール部12Aが、下覆体4の下面から右外方へ延出している。
【0028】
さらに、5は紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板で、上下面には銅箔等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成され、上面にはプッシュスイッチ等のスイッチ接点6が実装されて、スイッチ接点6上面から突出した押釦6Aに下覆体4下面の突出部4Aが当接すると共に、静電タッチパネル12がテール部12Aやコネクタ13等を介して、配線基板5の配線パターンに電気的に接続されている。
【0029】
そして、7は下方に略ドーム状の薄肉部が形成されたゴムやエラストマー等の操作体で、上面が上ケース1上面の貫通孔から上下動可能に突出すると共に、下面には配線基板5上面に形成された複数の固定接点5Aと、所定の間隙を空けて対向する可動接点7Aが設けられている。
【0030】
また、配線基板5の上下面には、発光ダイオード等のリモコン信号を送信する送信手段8や、配線パターンを介して送信手段8や静電タッチパネル12、スイッチ接点6、複数の固定接点5Aに接続されたマイコン等の制御手段15が形成されると共に、ケース1下面を絶縁樹脂製のカバー10が覆って、リモコン送信機が構成されている。
【0031】
以上の構成において、リモコン送信機を操作する電子機器に向けて、指で所定の操作体7の上面を押圧操作すると、略ドーム状の薄肉部が弾性変形して操作体7が下方へ移動し、この下面の可動接点7Aが複数の固定接点5Aに接触して、可動接点7Aを介して複数の固定接点5Aの電気的接離が行われ、この電気的接離に応じて制御手段15が、送信手段8から赤外線のリモコン信号を電子機器へ送信し、例えば、テレビの電源の入/切や選局の切換え等が遠隔操作によって行われる。
【0032】
また、図5の正面図に示すように、遠隔操作する電子機器30の表示画面31に、例えば、遠隔操作する機器のメニュー等が表示された状態で、上覆体3上面に指を触れ、指をなぞるように前後左右に移動して接触操作すると、この指に静電タッチパネル12の電荷の一部が導電し、操作した箇所の導電部の容量が変化するため、これによって静電タッチパネル12のどの箇所が接触操作されたかを制御手段15が検出する。
【0033】
そして、この指の移動に応じたリモコン信号を、制御手段15が送信手段8から機器へ送信し、例えば、表示画面31に表示されたポインタ32等が、指の移動した上下方向や左右方向へ移動して、機器のメニュー等の選択が行われる。
【0034】
さらに、ポインタ32等が所望の機器のメニュー上に位置した状態で、上覆体3上面を押圧操作すると、静電タッチパネル12や下覆体4が下方へ移動し、下覆体4下面の突出部4Aがスイッチ接点6の押釦6Aを押圧操作して、スイッチ接点6の電気的接離が行われ、これを制御手段15が検出して送信手段8からリモコン信号を送信し、遠隔操作する機器の選択が行われる。
【0035】
つまり、複数の操作体7の押圧操作によって、電源や選局といった機器の各機能の遠隔操作が行われると共に、静電タッチパネル2の接触操作と押圧操作によって、表示画面31に表示された機器の選択や確定が行われる。
【0036】
また、この後、上覆体3上面に指を触れ、指を直線または曲線状に前後左右に移動して、例えば、図3(a)の正面図に示すように、指を右下方向へ移動した後、続けて左下方向へ移動して略逆くの字状に接触操作すると、この略逆くの字状になぞった箇所の静電タッチパネル12の容量が変化する。
【0037】
そして、この静電タッチパネル12の容量変化によって、静電タッチパネル12が略逆くの字状の軌跡A1で接触操作されたことを制御手段15が検出すると共に、この軌跡A1と予め記憶された複数の軌跡とを照合し、例えば、軌跡A1の場合には再生用のリモコン信号を、制御手段15が送信手段8から機器へ送信して、機器のビデオテープやディスク等の再生が行われる。
【0038】
あるいは、図3(b)に示すように、指を下方向へ移動した後、続けて右方向へ移動して、略逆L字状の軌跡A2で静電タッチパネル12を接触操作した場合には、この軌跡A2を制御手段15が検出し記憶した軌跡と照合して、一時停止用のリモコン信号を、送信手段8から機器へ送信する。
【0039】
また、同様に、図3(c)や図3(d)に示すように、静電タッチパネル12の中央部を左から右へ移動した軌跡A3の場合には早送り用の、右上から左下へ移動した軌跡A4の場合には停止用のリモコン信号を、制御手段15が各々送信して、ビデオテープやディスク等の早送りや停止操作が行われる。
【0040】
さらに、図4(a)の正面図に示すように、指を時計方向へ略リング状に続けて回転して接触操作した場合には、この略リング状の軌跡B1を制御手段15が検出して記憶した軌跡と照合すると共に、回転した回数を検出し、例えば、音量増加用のリモコン信号を回転した回数分、繰返して機器へ送信する。
【0041】
あるいは、図4(b)に示すように、指を反時計方向へ略リング状に軌跡B2で、続けて回転して接触操作した場合には、制御手段15が音量減少用のリモコン信号を回転した回数分、繰返して送信手段8から機器へ送信する。
【0042】
つまり、静電タッチパネル12を軌跡A1やA2〜A4のような直線状の軌跡、または軌跡B1やB2のような曲線状の軌跡で接触操作すると共に、制御手段15がこの所定の軌跡を検出し、これらと予め記憶した複数の軌跡とを照合して、これらの接触操作に応じたリモコン信号を送信手段8から機器へ送信することによって、所定の軌跡の接触操作のみでビデオテープやディスク、機器等の様々な遠隔操作が行えるようになっている。
【0043】
すなわち、静電タッチパネル12を直線または曲線状の所定の軌跡で接触操作するだけで、制御手段15がこれに応じたリモコン信号を送信して機器の遠隔操作が行えるため、押圧操作が不要となり、誤操作が生じづらくなると共に、接触操作のみの簡易な操作で、確実な遠隔操作が可能なように構成されている。
【0044】
なお、以上の説明では、静電タッチパネル12の直線または曲線状の接触操作に応じて、制御手段15がこの接触操作の所定の軌跡を検出し、予め記憶した複数の軌跡と照合して、各操作用のリモコン信号を送信する構成として説明したが、リモコン送信機からは接触操作した軌跡をそのまま所定のリモコン信号として送信し、これを機器の受信機側で記憶した複数の軌跡と照合して、機器の各操作を行うように構成しても、本発明の実施は可能である。
【0045】
また、静電タッチパネル12に直線または曲線状の接触操作が行われている間は、他の操作が行われても、制御手段15がこれを無視、あるいは機器の受信機側がこれを無視するようにすれば、誤って静電タッチパネル12や操作体7が操作された場合でも、機器の誤操作を防ぐように構成することができる。
【0046】
つまり、例えば、人差し指で軌跡A1やB1を接触操作している際に、誤って中指が静電タッチパネル12の他の箇所に触れた場合等には、制御手段15がこれを無視し、この分のリモコン信号は送信しない、あるいは機器の受信機側がこれを無視し、所定の軌跡のみの操作を行うことによって、機器の誤操作を防止し、さらに操作を行い易いものとすることができる。
【0047】
このように本実施の形態によれば、制御手段15が静電タッチパネル12の直線または曲線状の接触操作に応じて、送信手段8からリモコン信号を送信することによって、押圧操作が不要となり、静電タッチパネル12を所定の軌跡で接触操作するだけで機器の遠隔操作が行えるため、誤操作が生じづらく、簡易で確実な操作が可能なリモコン送信機を得ることができるものである。
【0048】
なお、以上の説明では、配線基板5上面にプッシュスイッチを実装してスイッチ接点6を形成した構成について説明したが、配線基板5上面に複数の固定接点を設け、この上方に操作体7と同様に下面の可動接点を対向させるように形成した構成や、あるいは、配線基板5上面の固定接点上に、略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を載置したもの等、様々なスイッチ接点を用いた構成においても、本発明の実施は可能である。
【0049】
また、以上の説明では、発光ダイオード等によって送信手段8を形成し、送信手段8から赤外線のリモコン信号を電子機器へ送信する構成について説明したが、送信手段をアンテナ等によって形成し、電波のリモコン信号を送信する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によるリモコン送信機は、誤操作がなく、簡易で確実な操作が可能なものが得られ、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施の形態によるリモコン送信機の断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同静電タッチパネルの正面図
【図4】同静電タッチパネルの正面図
【図5】電子機器の正面図
【図6】同電子機器の正面図
【図7】従来のリモコン送信機の断面図
【図8】同斜視図
【符号の説明】
【0052】
1 ケース
3 上覆体
4 下覆体
4A 突出部
5 配線基板
5A 固定接点
6 スイッチ接点
6A 押釦
7 操作体
7A 可動接点
8 送信手段
10 カバー
12 静電タッチパネル
12A テール部
13 コネクタ
15 制御手段
30 電子機器
31 表示画面
32 ポインタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース上面に装着された静電タッチパネルと、この静電タッチパネルに接続された制御手段からなり、上記制御手段が上記静電タッチパネルの直線または曲線状の接触操作に応じて、送信手段からリモコン信号を送信するリモコン送信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−218985(P2009−218985A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62167(P2008−62167)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】