説明

リライトカード

【課題】カード等の管理情報等を隠蔽するとともに書き換え可能とする。
【解決手段】カードの基材12上に磁気層14及びデータ記録可能な熱可逆性印字層16を設け、該熱可逆印字層16の上にさらに不透明な赤外線透過材料からなる隠蔽層18を設け構成とし、前記熱可逆印字層16の記録した例えばカード管理データを前記隠蔽層18で隠蔽する。前記熱可逆印字層16の記録の書き換えは、サーマルヘッドにより前記隠蔽層18の上から行えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書き換え可能なバーコードを備えたリライトカードに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、データを記憶し処理する機能を備えたカード等の情報媒体はICカード等を中心に広く用いられているが、こられのカードには、バーコードの識別のための識別子として例えばバーコードが付されているものがある。
このバーコード情報は、カードリーダで読み取り、記憶した識別情報と照合して本人確認を行う等のために用いられているが、一般に黒色インクでカード面に印刷されており、目視可能であるため複写機等で容易に複写できるという問題があり、偽造されて使用されるおそれがある。
【0003】
そこで、例えば、バーコード付きカードの偽造を防止するため、バーコードを赤外線不透過性黒インキで印字し、かつカード基材面上のバーコード位置に対応するバーコード下地面、及びカード基材のバーコードの記録面を覆う透明プラスチックシート或いは透明プラスチックケースの前記バーコードに対応する位置に、赤外線透過性黒インキ層を設けて前記バーコードを遮蔽し、赤外線を照射して読み出すようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、このカードも何らかの手段で一度バーコードのパターンが見破られると複製が可能である。
そこで、これら識別子としてのバーコードをランダム化して管理することが有効であるが、バーコードは印刷されたものであるため、書き直しは不可能である。
【特許文献1】特開昭8−52930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来のカードが有する上記問題点に鑑みてなされたものであって、ICカードや磁気カードにおけるバーコード等のカード管理情報等の情報を目視できないようにすると共に、その書き換えを可能にすることで、万一そのパターンが見破られたとしても書き換えることで変更し、悪用を防止し安全性を高めたリライトカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、請求項1の発明は、リライトカードであって、カードもしくは媒体基材上にデータ記録可能な熱可逆性発色層を設け、該熱可逆発色層の上に不透明な赤外線透過材料からなる隠蔽層を設け、前記熱可逆発色層のデータは前記隠蔽層を介して記録及び消去可能であることを特徴とする。
請求項2の発明は、前記隠蔽層を介して請求項1に記載されたリライトカードにおいて、前記データはバーコードデータであることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載されたリライトカードにおいて、サーマルヘッドによるデータの記録及び消去が可能であることを特徴とする。
【0007】
(作用)
本発明のリライトカードでは、カードもしくは媒体基材上に書き換え可能な熱可逆性発色層を設け、例えばバーコード形式のデータをサーマルヘッドにて記録すると共にその上を不透明な赤外線透過型材料でできた隠蔽層で覆うことで、目視不可能にし隠蔽層を介して記録の書き込み及び読取を可能にした。
【発明の効果】
【0008】
カード或いは記録媒体からなるリライトカードの管理情報等の情報を隠蔽すると共に、該情報自体を書き換え可能にすることで、リライトカードの安全性を一層高めることができると共に、前記情報書き込みエリアを利用してリライトカードの記録容量を増大することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のリライトカードの1実施形態を添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の1実施形態に係る磁気カードであるリライトカードの断面図である。
本リライトカードは、図1に示すように、基材12から順に、磁気層(又は磁気記録層)14、熱可逆性印字層であるロイコ層16、赤外線透過隠蔽層18が積層配置されており、図示してはいないが、赤外線透過隠蔽層18上に透明樹脂シートからなる保護層を必要に応じて設ける。
【0010】
ここで、カード基材12は、従来のものと同様に、例えば、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリアクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリイミドなどのイミド系樹脂、エンジニアリング樹脂、ポリカ−ボネ−ト、ポリスチレン・高衝撃ポリスチレン・AS樹脂・ABS樹脂などのスチレン系樹脂、或いは、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体若しくは複数層からなる積層体で形成する。
【0011】
次に、磁気層14は、通常は磁気ストライプ形状をなし、従来と同様に、例えば、カード基材12の表面に、磁性物質を添加し混練した塗料を用いて直接設けるか、薄いプラスチックシート等の基材に塗布し、ストライプ状にカットして貼るか、あるいは一旦、仮の転写基材に剥離可能に積層して作製した磁気層転写シートを使用して、転写法により形成する。また、磁性物質を添加し混練した塗料を用いる以外に、磁性物質の蒸着やスパッタリング等により気相状態で磁性物質の薄膜を形成して磁気層14とする方法によって行なうか、以降、ストライプ状にカットして貼るか、転写により適用するなどによってもよい。
その磁性材料としては、例えば、γ−Fe2O3、Co被着γ−Fe2O3、Fe3O4、Fe、Fe−Cr、Fe−Co、Co−Cr、Co−Ni、Baフェライト、Srフェライトなどの磁性微粒子が挙げられる。
【0012】
次に、熱可逆性印字層であるロイコ層16は、加熱温度や冷却速度により、発色状態と透明状態が可逆的に変化する、公知の種々の材料が適用でき、磁気層14上に、例えば、公知の印刷法またはコーティング法等によって形成される。公知の材料としては、例えば、染料と可逆性顕色剤を含むロイコ染料型可逆表示材料、または、脂肪酸の融解凝固で透明性が変化する脂肪酸‐高分子複合型可逆表示材料、合成樹脂とその中に分散させた有機低分子物質および赤外線吸収材等を主成分とする可逆性感熱記録材料によって構成されるものなどがあり、このロイコ層16は、加熱により発色し、再加熱により消色する。
【0013】
前記ロイコ層16を隠蔽する赤外線透過性隠蔽層18は、例えば、プロセスインキ(イエロー、マゼンタ、シアン)を適当な比で混合したグレー系のインキを、オフセット或いはスクリーン印刷法などにより好ましくは、1〜10μm厚に形成する。
なお、プロセスインキとは、ある特定の可視領域の波長のみを吸収することにより、減法混色の3原色(イエロー、マゼンタ、シアン)を発現するものであり、混ぜ合わせることにより黒又はグレーとなるが、赤外線領域の吸収は殆どない。つまり赤外線透過性隠蔽層18は可視光を殆ど透過せず、従って、目で見た場合カーボンブラック顔料を使用する普通の墨インキと同様黒色に見えるが、赤外線領域では墨インキと異なり赤外線を透過する。
【0014】
この熱可逆性印字層16に文字等の可視情報の記録は、例えば、サーマルヘッドやレーザー照射装置によって前記赤外線透過性隠蔽層18の上から、又はその上に透明保護シートがある場合は、その上から比較的高温高速で走査することによって行う。これに対し、可視情報を消去するには、比較的低温に加熱することで可視情報を消去することができる。
【0015】
図2は、以上で説明したリライトカードの平面図である。
本リライトカードは、例えば図示のようにその一側部に赤外線透過性隠蔽層18が設けられており、その下側のロイコ層16には実際には目視できない状態でバーコード20による管理情報が印字されている。
このカードに赤外線照射して前記隠蔽層18の下側の印字を読み取り或いはサーマルヘッドにより前記印字情報を書き換える。なお、図示の例では、バーコードは1次元バーコードであるが、2次元バーコードであってもよい。
【0016】
このように、本実施形態によれば、熱可逆性印字層の上に赤外透過隠蔽層を設けることにより、可視光では識別できないように隠蔽するが、赤外センサ(赤外光反射センサなど)を使用することにより印字したバーコードデータを読み取ることができる。そのため、可視光では見えないバーコードデ一タを、例えば、サーマルヘッド等にて印字し形成するだけではなく、かつ印字した内容をサーマルヘッド等にて書き換えることができるから、例えば、定期的或いは不定期にこれらの情報を書き換えることで、カードや情報媒体の管理情報等の漏洩を完全に防止することができる。また、カードの記憶容量不足を補うこともでき、特に二次元バーコードを用いると記憶容量を大幅に増大できる。この場合には、例えばカードの照合用管理情報に加えて、任意の記録を秘密裏に書き込かつ、読み出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るリライトカードの断面図である。
【図2】同リライトカードの平面図である。
【符号の説明】
【0018】
10・・・リライトカード、12・・・基材、14・・・磁気層、16・・・熱可逆性印字層(ロイコ層)、18・・・赤外線透過隠蔽層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードもしくは媒体基材上にデータ記録可能な熱可逆性発色層を設け、該熱可逆発色層の上に不透明な赤外線透過材料からなる隠蔽層を設け、
前記熱可逆発色層のデータは前記隠蔽層を介して記録及び消去可能であることを特徴とするリライトカード。
【請求項2】
前記隠蔽層を介して請求項1に記載されたリライトカードにおいて、
前記データはバーコードデータであることを特徴とするリライトカード。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたリライトカードにおいて、
サーマルヘッドによるデータの記録及び消去が可能であることを特徴とするリライトカード。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−205466(P2006−205466A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−18675(P2005−18675)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】