リンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法
【課題】データ通信網内での通信経路上の障害を迅速に検出することでエンドユーザに発生する通信断時間を短縮し、障害発生によるリンクダウンを行うUNIポート以外のデータ通信網の通信経路に対して影響が少ないリンク制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本リンク制御装置は、「正常性状態テーブル」を保持し、データ通信網内での障害発生状態を管理する機能をもつ。また、本リンク制御装置は、障害発生パターン毎にそれぞれの場合にリンクダウンを実行すべき対象UNIポートの対応のリストを「障害発生パターンテーブル」にてあらかじめ保持しておく。また、本リンク制御装置は、これらのテーブルの情報をもとに障害発生時に、リンクダウンおよびリンクアップを実行すべきUNIポートを判定する。また、本リンク制御装置は、この判定結果にもとづきUNIポートのリンクダウンおよびリンクアップを実行する。
【解決手段】本リンク制御装置は、「正常性状態テーブル」を保持し、データ通信網内での障害発生状態を管理する機能をもつ。また、本リンク制御装置は、障害発生パターン毎にそれぞれの場合にリンクダウンを実行すべき対象UNIポートの対応のリストを「障害発生パターンテーブル」にてあらかじめ保持しておく。また、本リンク制御装置は、これらのテーブルの情報をもとに障害発生時に、リンクダウンおよびリンクアップを実行すべきUNIポートを判定する。また、本リンク制御装置は、この判定結果にもとづきUNIポートのリンクダウンおよびリンクアップを実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ通信網上で、ユーザ装置と接続されるユーザー・ネットワーク・インターフェース(以下、UNIポートと記載する。)を持つ複数の接続装置を統合的に管理するリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エンドユーザがネットワーク冗長構成をとるために、2つのキャリアのデータ通信網を使う場合がある。図1は、ネットワーク冗長構成を説明する図である。図1の構成では、エンドユーザルータ装置で2つのデータ通信網に接続し、そのどちらかのデータ通信網を用いて通信する。どちらのデータ通信網を使うかは、エンドユーザルータ装置が決定する。その方法としては、エンドユーザルータ装置のルータを使用し、ルーティング動作を設定することでどちらのデータ通信網側を使うかを決定する。
【0003】
通信を行っている通信系路上で障害が発生した際、ルーティング情報を書き換えて通信経路を切り替える。その際、障害検知としては、ルータにおいてデータ通信網と接続しているUNIポートがリンクダウンした場合には、ルータがリンクダウン検出を行えるので、これによりルーティングテーブルの書き換えが実行できる。
【0004】
しかし、データ通信網内で通信系路上の障害が発生した場合には、データ通信網からエンドユーザのルータ装置に障害発生を通知する方法がない。このような障害を検知可能な方法として、ルーティングプロトコルによって障害検知を行う方法が知られている(例えば、非特許文献1を参照。)。ルーティングプロトコルとして一般的な非特許文献1のBGP(Border Gateway Protocol)では、キープアライブメッセージ(keepalive message)パケットを送信することで障害検知を行う。このBGPのkeepaliveによる障害検知の場合、推奨値では障害検出まで約90秒を要する。このように、データ通信網内で通信系路上の障害が発生した場合、エンドユーザルータ装置は、通信経路上の障害を検出するまで約90秒かかり、この間エンドユーザに通信断が発生する。
【0005】
BFPの障害検知にかかる時間を解消するため、UNIポートを持つ接続装置が持つレイヤ2における機能を用いる技術もある。これは、その接続装置のデータ通信網側ポートでレイヤ2において通信できない状態であるリンクダウン障害が発生した場合に、UNIポートを自動的にリンクダウンさせるというリンクダウン転送方式の技術である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】A Border Gateway Protocol 4 (BGP−4) 「RFC4271」“http://tools.ietf.org/html/rfc4271”(2010年1月26日検索)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、リンクダウン転送方式の技術は、UNIポートを持つ接続装置における障害しか検知できない。通常、データ通信網内では、UNIポートを持つ接続装置同士が直接接続されているだけの構成は存在せず、UNIポートを持つ接続装置間に複数のUNIポートを持たない装置が存在することになる。リンクダウン転送方式の技術は、このようなデータ通信網内での通信経路上の任意の箇所の障害に対してUNIポートのリンクダウンが実現できないという課題がある。
【0008】
また、リンクダウン転送方式の技術をデータ通信網内の全ての装置で実装した場合、データ通信網内での通信系路上の任意の箇所での障害発生に対して、その障害発生を自装置のUNIポートで検出した装置が、他の装置のUNIポートをリンクダウンし、そのリンクダウンを隣接装置が検出して、他の装置のUNIポートをリンクダウンするという動作が発生する。この動作を続けていくことで、最終的に接続装置のUNIポートのリンクダウンを実現することも可能ではあるが、データ通信網内で多数のリンクダウンを発生させてしまい、データ通信網全体に障害の影響が及ぶという課題もある。
【0009】
この課題を解決するために、本発明は、データ通信網内での通信経路上の障害を迅速に検出することでエンドユーザに発生する通信断時間を短縮できるとともに、障害発生によるリンクダウンを行うUNIポート以外のデータ通信網の通信経路に対して影響が少ないリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係るリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法は、データ通信網内での障害発生状態を管理する「正常性状態テーブル」を保持し、障害発生状態を管理する機能をもつ。また、本発明に係るリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法は、障害発生パターン毎にそれぞれの場合にリンクダウンを実行すべき対象UNIポートの対応のリストを「障害発生パターンテーブル」にてあらかじめ保持しておく機能をもつ。また、本発明に係るリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法は、これらのテーブルの情報をもとに、障害発生時に、リンクダウンおよびリンクアップを実行すべきUNIポートを判定する処理部の機能を持つ。また、本発明に係るリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法は、この判定結果にもとづきUNIポートのリンクダウンおよびリンクアップを実行する機能を持つ。
【0011】
そして、これらの機能を用いて、障害が発生した場合、接続装置から通知される障害情報を受信し、該障害情報をもとに、本発明に係るリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法は、「正常性状態テーブル」により障害発生状態を管理する。また、本発明に係るリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法は、このテーブルで管理された障害発生状態の情報と、あらかじめ保持している「障害発生パターンテーブル」の情報に基づき、リンクダウン対象UNIポートの判定を行う。この判定結果に基づき、本発明に係るリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法は、自律的にリンクダウン対象UNIポートのリンクダウン制御を行う。
【0012】
このような制御を行うために、本発明に係るリンク制御装置は、データ通信網上に配置されており、ユーザ装置と前記データ通信網とを接続するユーザネットワークインターフェースを持つ接続装置が出力する、監視対象としている前記ユーザネットワークインターフェース又は/及び前記データ通信網上の通信経路における障害の有無についての障害情報を受信する障害情報受信部と、前記監視対象毎に正常又は異常の障害状態が記載される正常性監視対象インデックスが設定され、前記障害情報受信部が受信した前記障害情報に基づいて、前記正常性監視対象インデックスの前記障害状態を更新する正常性状態テーブル、及び少なくとも1つの前記監視対象を含む障害パターンインデックスが設定され、該障害パターンインデックスに含まれる全ての前記監視対象の前記障害状態に基づいてリンクダウン又はリンクアップさせる少なくとも1つの前記ユーザネットワークインターフェースを前記障害パターンインデックスに結びつけた障害パターンが記載され、前記障害パターンの発生の有無を更新する障害パターンテーブルを有する記憶部と、前記記憶部の前記障害パターンテーブルを参照し、前記監視対象に障害が発生したときに、対応する前記ユーザネットワークインターフェースをリンクダウンさせ、前記監視対象の障害が解消したときに、対応する前記ユーザネットワークインターフェースをリンクアップさせる制御命令を前記接続装置へ出力するコマンド実行部と、を備える。
【0013】
本発明に係るリンク制御システムは、データ通信網と、前記データ通信網上に配置されており、ユーザ装置と前記データ通信網とを接続するユーザネットワークインターフェースを持ち、制御命令に従い前記ユーザネットワークインターフェースのリンクダウン及びリンクアップを実施するとともに、前記ユーザネットワークインターフェース又は/及び前記データ通信網上の通信経路を監視対象として前記監視対象の障害の有無についての障害情報を出力する複数の接続装置と、前記リンク制御装置と、前記接続装置と前記制御装置とを接続し、前記障害情報及び前記制御命令を伝搬する管理ネットワークと、を備える。
【0014】
本発明に係るリンク制御方法は、データ通信網上に配置されており、ユーザ装置と前記データ通信網とを接続するユーザネットワークインターフェースを持つ接続装置が出力する、監視対象としている前記ユーザネットワークインターフェース又は/及び前記データ通信網上の通信経路における障害の有無についての障害情報を受信し、前記監視対象毎に正常又は異常の障害状態が記載される正常性監視対象インデックスが設定された正常性状態テーブルの該正常性監視対象インデックスの前記障害状態を前記障害情報に基づいて更新し、少なくとも1つの前記監視対象を含む障害パターンインデックスが設定され、該障害パターンインデックスに含まれる全ての前記監視対象の前記障害状態に基づいてリンクダウン又はリンクアップさせる少なくとも1つの前記ユーザネットワークインターフェースを前記障害パターンインデックスに結びつけた障害パターンが記載され、前記障害パターンの発生の有無を更新する障害パターンテーブルを参照し、前記監視対象に障害が発生したときに、対応する前記ユーザネットワークインターフェースをリンクダウンさせ、前記監視対象の障害が解消したときに、対応する前記ユーザネットワークインターフェースをリンクアップさせる制御命令を前記接続装置へ出力する。
【0015】
本発明に係るリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法は、UNIポートに接続しているユーザ装置が、データ通信網内での障害発生時にリンクダウンを検出できるため、ルーティングプロトコルによるkeepaliveでの障害検出を待たずに、通信経路上の障害を迅速に検知することができる。そして、ユーザ装置は、他のポートに接続されている他のデータ通信網等を利用した通信経路への経路切替を迅速に行ない通信断時間を短縮することができる。
【0016】
また、本発明に係るリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法は、データ通信網内のさまざまな障害発生のパターンに対し、それぞれのパターン毎に、リンクダウンによる障害検出が必要なユーザ装置に対するUNIポートのみリンクダウンする。このため、本発明に係るリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法は、リンクダウンを行うUNIポート以外の箇所に対する影響を小さくすることができる。
【0017】
従って、本発明は、データ通信網内での通信経路上の障害を迅速に検出することでエンドユーザに発生する通信断時間を短縮できるとともに、障害発生によるリンクダウンを行うUNIポート以外のデータ通信網の通信経路に対して影響が少ないリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法を提供することができる。
【0018】
本発明に係るリンク制御装置の前記記憶部は、前記コマンド実行部からの前記制御命令で、前記ユーザネットワークインターフェースがリンクダウンを行った実行時間を記憶するポートリンクダウン実行ログテーブル、及び前記ポートリンクダウン実行ログテーブルが記憶する前記実行時間の後、前記障害情報受信部が前記障害情報を受信した場合に、前記正常性状態テーブルの前記障害状態の更新を待機させる保護時間を設定する保護時間設定部をさらに有することを特徴とする。
【0019】
本発明に係るリンク制御方法は、前記制御命令で、前記ユーザネットワークインターフェースがリンクダウンを行った実行時間をポートリンクダウン実行ログテーブルに記憶し、前記ポートリンクダウン実行ログテーブルが記憶する前記実行時間の後、前記障害情報受信部が前記障害情報を受信した場合に、保護時間設定部に設定された保護時間の間前記正常性状態テーブルの前記障害状態の更新を待機させることを特徴とする。
【0020】
本発明に係るリンク制御装置及びリンク制御方法は、接続装置のUNIポートをリンクダウンさせた後、待機時間にその接続装置からUNIポートのリンクダウンによる障害情報が通知されても、この障害情報でUNIポートのリンクダウンが新たに行わない。すなわち、本発明に係るリンク制御装置及びリンク制御方法は、待機時間を設定することで、UNIポートのリンクダウンが短い時間内に連続することを防ぐことができる。
【0021】
本発明に係るリンク制御装置の前記コマンド実行部は、前記監視対象に障害が発生した場合でも、前記障害パターンテーブルに記載される前記障害パターンに定められた前記監視対象の一部のみの前記障害状態が異常ならば、処理を終了し、対応する前記ユーザネットワークインターフェースのリンクダウンを不実施とすることを特徴とする。
【0022】
本発明に係るリンク制御方法は、前記監視対象に障害が発生した場合でも、前記障害パターンテーブルに記載される前記障害パターンに定められた前記監視対象の一部のみの前記障害状態が異常ならば、処理を終了し、対応する前記ユーザネットワークインターフェースのリンクダウンを不実施とすることを特徴とする。
【0023】
本発明に係るリンク制御装置の前記コマンド実行部は、前記監視対象の障害が復旧した場合でも、該監視対象が含まれる前記障害パターンが未発生ならば、処理を終了し、対応する前記ユーザネットワークインターフェースのリンクアップを不実施とすることを特徴とする。
【0024】
本発明に係るリンク制御方法は、前記監視対象の障害が復旧した場合でも、該監視対象が含まれる前記障害パターンが未発生ならば、処理を終了し、対応する前記ユーザネットワークインターフェースのリンクアップを不実施とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、データ通信網内での通信経路上の障害を迅速に検出することでエンドユーザに発生する通信断時間を短縮できるとともに、障害発生によるリンクダウンを行うUNIポート以外のデータ通信網の通信経路に対して影響が少ないリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ネットワーク冗長構成を説明する図である。
【図2】本発明に係るリンク制御装置を説明する図である。
【図3】本発明に係るリンク制御装置を説明する図である。
【図4】本発明に係るリンク制御システムにおいて、通信系路上の疎通確認の方法を説明する図である。
【図5】本発明に係るリンク制御装置に含まれる正常性状態テーブルを説明する図である。本テーブルは、UNIポート及びUNIポート間の通信経路を監視対象とし、各監視対象を「正常性監視対象インデックス」として管理している。さらに、正常性監視対象インデックス毎に、「正常」または「異常」の「状態」データを保持している。本テーブルは、「正常性監視対象インデックス」と「状態」を用いて監視対象とその状態を管理する。「状態」データは、処理部によって書き換えられる。なお、「対象に関する説明」は設定しなくてもよい。
【図6】本発明に係るリンク制御装置に含まれる正常性状態テーブルを説明する図である。本図は図5の状態が更新された図である。
【図7】本発明に係るリンク制御装置に含まれる正常性状態テーブルを説明する図である。本図は図5の状態が更新された図である。
【図8】本発明に係るリンク制御装置に含まれる正常性状態テーブルを説明する図である。本図は図5の状態が更新された図である。
【図9】本発明に係るリンク制御装置に含まれる正常性状態テーブルを説明する図である。本図は図5の状態が更新された図である。
【図10】本発明に係るリンク制御装置に含まれる正常性状態判定条件テーブルを説明する図である。正常性状態判定条件テーブルは、図5から図9の「正常性状態テーブル」で管理している各「正常性監視対象インデックス」に対し、どのような情報を装置から受け取ったら「異常」と判断するか、または「正常」と判定するかの条件を管理している。なお、本図では、イーサOAM(Ethernet(登録商標) operations administration maintenance)技術を使用することを想定している。条件内にある「LOC」は、イーサOAMでの「loss of continuity」のことであり、検査フレームが到着しないことによる通信系路上の障害を検出した状態を指す。
【図11】本発明に係るリンク制御装置に含まれる障害パターンテーブルを説明する図である。図5〜図9の正常性状態テーブルにて管理されている各監視対象のうち、どの監視対象が「異常」となった場合にどのUNIポートをリンクダウンするか、という対応を「障害パターンインデックス」にてあらかじめ設定しておく。各障害パターンにおけるリンクダウン対象は「リンクダウン対象ポート」データにて管理する。また、「障害発生状態」は、「発生」または「未発生」のデータを持つ。
【図12】本発明に係るリンク制御装置に含まれるポートリンクダウン実行ログテーブルを説明する図である。
【図13】本発明に係るリンク制御装置に含まれる保護時間設定を説明する図である。
【図14】本発明に係るリンク制御方法のフローチャートである。
【図15】本発明に係るリンク制御方法のフローチャートである。
【図16】本発明に係るリンク制御方法のフローチャートである。
【図17】本発明に係るリンク制御方法のフローチャートである。
【図18】本発明に係るリンク制御方法のフローチャートである。
【図19】本発明に係るリンク制御方法のフローチャートである。
【図20】本発明に係るリンク制御方法のフローチャートである。
【図21】本発明に係るリンク制御方法のフローチャートである。
【図22】本発明に係るリンク制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。また、本明細書では、ユーザ装置とUNIポートとの間を通信断とすること及び通信断となることをリンクダウンと記載し、ユーザ装置とUNIポートとの間で通信可能とすることをリンクアップと記載する。
【0028】
本実施形態のリンク制御システム301を説明する。リンク制御システム301は、図1のようにユーザ装置(11〜14)が、2つのデータ通信網(A,B)に接続している。データ通信網A、Bは、例えば、イーサネット(登録商標)通信網である。ユーザ装置(11〜14)は、例えば、ルータである。ユーザ装置(11〜14)は、それぞれ接続装置(101〜104)のUNIポート(21〜24)に接続されている。接続装置(101〜104)は、例えば、イーサネット(登録商標)装置である。どちらのデータ通信網(A,B)を使用するかは、ユーザ装置(11〜14)が決定する。なお、図1では、ユーザ装置(11〜14)は接続装置(101〜104)を介してデータ通信網Aに接続されているが、他の接続装置(不図示)を介してデータ通信網Bにも接続される。
【0029】
リンク制御システム301は、リンク制御装置151を備える。図2は、接続装置(101〜104)とリンク制御装置151とを接続する管理ネットワークCを説明する図である。各接続装置(101〜104)は、管理ポート20を有し、管理ポート20に接続された管理ネットワークC経由でリンク制御装置151と接続される。
【0030】
図3は、接続装置(101〜104)とリンク制御装置151の各機能との関係を説明するブロック図である。接続装置(101〜104)は、障害情報送出部31、コマンド受信部32、及び通信インターフェース部33を備える。接続装置(101〜104)は、データ通信網(A又はB)上に配置されており、ユーザ装置(不図示)とデータ通信網(A又はB)とを接続するUNIポート(21〜24)を持つ。コマンド受信部32は、通信インターフェース部33を介してリンク制御装置151から送信された制御命令を受信し、該制御命令に従いUNIポート(21〜24)のリンクダウン及びリンクアップを実施する。障害情報送出部31は、UNIポート(21〜24)又は/及びデータ通信網(A又はB)上の通信経路を監視対象として前記監視対象の障害の有無についての障害情報を検出し、通信インターフェース部33を介してリンク制御装置151へ出力する。
【0031】
リンク制御装置151は、障害情報受信部41、記憶部42、及びコマンド実行部43、処理部44、通信インターフェース部45を備える。通信インターフェース部45は、管理ネットワークCを介して接続装置(101〜104)の通信インターフェース部33と接続している。
【0032】
障害情報受信部41は、接続装置(101〜104)が出力する、監視対象としているUNIポート又は/及びデータ通信網(A又はB)上の通信経路における障害の有無についての障害情報を通信インターフェース部45を介して受信する。
【0033】
記憶部42は、監視対象毎に正常又は異常の障害状態が記載される正常性監視対象インデックスが設定され、障害情報受信部41が受信した障害情報に基づいて、前記正常性監視対象インデックスの障害状態を更新する正常性状態テーブル61、及び少なくとも1つの監視対象を含む障害パターンインデックスが設定され、該障害パターンインデックスに含まれる全ての監視対象の障害状態に基づいてリンクダウン又はリンクアップさせる少なくとも1つのUNIポートを障害パターンインデックスに結びつけた障害パターンが記載され、障害パターンの発生の有無を更新する障害パターンテーブル63を有する。
【0034】
コマンド実行部43は、記憶部42の障害パターンテーブル63を参照し、監視対象に障害が発生したときに、対応するUNIポートをリンクダウンさせ、監視対象の障害が解消したときに、対応するUNIポートをリンクアップさせる制御命令を通信インターフェース45を介して接続装置(101〜104)へ出力する。
【0035】
正常性状態テーブル61は、各監視対象の障害状態を管理する。図5〜図9は、正常性状態テーブル61の設定例である。また、障害パターンテーブル63は、いくつかの障害発生のパターンに対しそれぞれの場合にリンクダウンを実行すべきUNIポートをあらかじめ指定し、そのリストを保持する。図11は、障害パターンテーブル63の設定例である。
【0036】
接続装置(101〜104)は障害発生を検出し、管理ネットワークC経由で障害情報をリンク制御装置151に送信する。例えば、障害情報送出部31は、SNMPのTRAPを用いた通知等で障害情報を送出することができる。
【0037】
ここで、発生する障害とは、UNIポート自身のリンクダウンやデータ通信網上の通信経路の通信断等であり、接続装置(101〜104)はこれらを監視対象として障害の有無を監視する。例えば、接続装置(101〜104)は、UNIポート(21〜24)のリンクダウンをUNIポート自身が検知することでUNIポートの障害を検出することができる。また、接続装置(101〜104)は、図4のように、ITU−T Y.1731またはIEEE 802.1agにて規定されているイーサネット(登録商標)OAM技術等を用いてデータ通信網上の通信経路を定期的に監視しており、データ通信網上の通信経路の障害を検出することができる。
【0038】
リンク制御装置151の処理部44は、通知された障害情報に基づき、障害状態を判定する条件を管理する正常性状態判定テーブル62を用いて正常又は異常の判定を行う。図10は、正常性状態判定テーブル62の設定例である。図14は、障害情報に基づき、処理部44が正常又は異常の判定を行う判定フローを説明する図である。また、処理部44は、判定結果に基づき、正常性状態テーブル61に記載される障害状態を更新する。
【0039】
さらに、処理部44は、正常性状態テーブル61に記載される障害状態と、前述の障害パターンテーブル63とから、リンクダウン又はリンクアップを実行するUNIポートを判断する。リンク制御装置151のコマンド実行部43は、当該UNIポートの接続装置に対し、UNIポートのリンクダウン又はリンクアップを実行する制御命令を出力する。
【0040】
通信装置(101〜104)は、リンク制御装置151からのコマンドをコマンド受信部32で受信し、UNIポートのリンクダウン制御を行う機能を持つ。
【0041】
(動作例1)
リンク制御システム301は、データ通信網(A又はB)上に配置されており、ユーザ装置(11〜14)とデータ通信網(A又はB)とを接続するUNIポート(21〜24)を持つ接続装置(101〜104)が出力する、監視対象としているUNIポート(21〜24)又は/及びデータ通信網(A又はB)上の通信経路における障害の有無についての障害情報を受信し、監視対象毎に正常又は異常の障害状態が記載される正常性監視対象インデックスが設定された正常性状態テーブル61の該正常性監視対象インデックスの障害状態を障害情報に基づいて更新し、少なくとも1つの監視対象を含む障害パターンインデックスが設定され、該障害パターンインデックスに含まれる全ての監視対象の障害状態に基づいてリンクダウン又はリンクアップさせる少なくとも1つのUNIポートを該障害パターンインデックスに結びつけた障害パターンが記載され、障害パターンの発生の有無を更新する障害パターンテーブル63を参照し、監視対象に障害が発生したときに、対応するUNIポートをリンクダウンさせ、監視対象の障害が解消したときに、対応するUNIポートをリンクアップさせる制御命令を接続装置(101〜104)へ出力するリンク制御方法を行う。
【0042】
動作例1の前提条件は次の通りである。
リンク制御システム301は図1のような構成である。ここではリンク制御装置151は示していない。
【0043】
リンク制御システム301は、UNIポート間の通信経路の正常性確認を行っている。例えば、図4のように、UNIポート間で検査フレームを送受信することで、UNIポート間での通信経路の疎通確認を、片方向通信ずつ確認することができる。その結果、接続装置101のUNIポート21から接続装置103のUNIポート23方向への通信経路に障害が発生している。また、接続装置101のUNIポート21から接続装置104のUNIポート24方向への通信経路にも障害が発生している。
【0044】
正常性状態テーブル61は、図5のように、対応する「正常性監視対象インデックス」6と11で、障害状態が「異常」と管理されている。
【0045】
次に動作の説明を行う。
接続装置103のUNIポート23から接続装置101のUNIポート21方向での通信経路障害が発生したとする。接続装置101は、接続装置103からの検査フレームが到着しないことで障害発生を検知できる。接続装置101は、リンク制御装置151へ障害情報を通知する。
【0046】
リンク制御装置151は、障害情報を受信し、図14の判定フローにしたがって制御を開始する。この判定フローは、ステップS101からステップS112を含む。例えば、接続装置103のUNIポート23から接続装置101のUNIポート21方向での通信経路に障害が発生したとする。接続装置101は接続装置103からの検査フレームが到着しないことで、この障害発生を検知する。接続装置101が、リンク制御装置151へ障害情報を通知する。リンク制御装置151は障害情報を受信し、図9のフローにしたがって制御が開始される(ステップS101)。
【0047】
リンク制御装置151は、図10の「正常性状態判定条件テーブル」を参照し、受信した障害情報と照合する(ステップS102)。「正常性状態判定条件テーブル」に設定された正常性監視対象インデックスの総数をNとする(ステップS103)。正常性監視対象インデックスi=0とし(ステップS104)、これに1を加える(ステップS105)。iとNを比較し(ステップS106)、i>Nであれば処理を終了する(ステップS112)。i>Nでなければ障害情報送信元該当チェックを行う(ステップS107)。障害情報送信元該当チェックは、受信した障害情報の送信元が、正常性判定条件テーブルの正常性監視対象インデックスiの情報送信元に該当するか否かを判断する。該当しない場合はステップS105へ戻る。該当する場合は、正常状態該当チェックを行う(ステップS108)。正常状態該当チェックは、受信した障害情報の内容が正常性判定条件テーブルの正常性監視対象インデックスiの「正常状態」に該当するか否かを判断する。「正常状態」に該当する場合は図18の正常情報受信時処理を行ない(ステップS110)、処理を完了する(ステップS112)。「正常状態」に該当しない場合は異常状態該当チェックを行う(ステップS109)。異常状態該当チェックは、受信した障害情報の内容が正常性判定条件テーブルの正常性監視対象インデックスiの「異常状態」に該当するか否かを判断する。「異常状態」に該当しない場合はステップS105へ戻る。「異常状態」に該当する場合は図15や図16の異常情報受信時処理を行ない(ステップS111)、処理を完了する(ステップS112)。
【0048】
図15は「異常情報受信時処理」を説明するフローチャートである。ステップS109で「異常状態」に該当した場合、本フローが開始される(ステップS201)。まず、図5の「正常性状態テーブル」を参照する(ステップS202)。該当する正常性監視対象インデックスiの「状態」を確認する(ステップS203)。該状態が「異常」であるならば、処理を完了する(ステップS207)。該状態が「正常」ならば、「異常」に更新し(ステップS205)、図19の障害パターン判定処理を行ない(ステップS206)、処理を完了する(ステップS207)。
【0049】
図19は「障害パターン判定処理」を説明するフローチャートである。まず、図11の「障害パターンテーブル」を参照し(ステップS302)、続いて全ての障害パターンインデックスについて以下のステップを行う(ステップS303)。テーブル中の「障害発生パターンインデックス」で分けられている各障害発生パターンについて、「異常状態となっている監視対象の組」の組み合わせが全て異常になっているものがあるかチェックする(ステップS304)。全て異常でなければ処理を終了する(ステップS309)。全て異常となっている障害パターンがあれば、そのパターンは障害発生と判断する。そして、障害パターンテーブルで管理されているその障害発生パターンの「障害発生状態」が「発生」であれば、更新は必要ないためそのまま終了する(ステップS305、ステップS309)。「障害発生状態」が「未発生」であれば、障害パターンテーブルのデータを「発生」に更新し(ステップS306)、障害パターンテーブル上の当該「障害発生パターンインデックス」の「リンクダウン対象ポート」に対して、図21の「ポートリンクダウン処理」を実行する(ステップS307、ステップ308)。
【0050】
図21は、「ポートリンクダウン処理」を説明するフローチャートである。まず、リンクダウン対象UNIポートの状態をコマンドで確認し(ステップS402)、リンクアップ状態であれば、コマンドでリンクダウンを実行する(ステップS403、ステップS404)。リンクダウンを実行した場合は、リンクダウン実施時間を図12の「ポートリンクダウン実行ログテーブル」に書き込み(ステップS405)、処理完了する(ステップS406)。一方、ステップS403でリンクダウン対象UNIポートの状態がリンクダウン状態であれば、処理完了する(ステップS406)。
【0051】
動作例1の場合、受信した障害情報が「正常性監視対象インデックス」の7の「異常状態」と判定する条件に合致するため、ステップS109で図15の「異常情報受信時処理」を行う。
【0052】
「異常情報受信時処理」では、ステップS202で図5の「正常性状態テーブル」を参照し、ステップS203で正常性監視対象インデックス7にすでに管理されている「状態」を確認する。ここでは該状態が「正常」となっているので「異常」にデータを更新する(ステップS205)。更新後は図6のようになる。その後、図19の「障害パターン判定処理」へ進む(ステップS206)。
【0053】
「障害パターン判定処理」では、ステップS302で図11の「障害パターンテーブル」を参照する。図11のような「障害パターンテーブル」の場合、図6の「正常性状態テーブル」で、正常性監視対象インデックス6と7が異常であり、ステップS304で「障害パターンテーブル」の「異常状態となっている監視対象の組」がすべて異常であるものを検索すると「障害発生パターンインデックス」の「D」が該当する。この「障害発生パターンインデックス」Dの「障害パターンテーブル」上の「障害発生状態」が「未発生」となっているので(ステップS305)、これを「発生」に更新し(ステップS306)、「障害発生パターンインデックス」Dの「リンクダウン対象ポート」に記載されているすべてのUNIポートに対し、「ポートリンクダウン処理」を実行する(ステップS308)。
【0054】
動作例1の場合、図21のように、接続装置102のUNIポート22、接続装置103のUNIポート23、接続装置104のUNIポート24に対し、「ポートリンクダウン処理」を実行しする。また、図12のような「ポートリンクダウン実行ログテーブル」上の、リンクダウンを実施したUNIポート(22、23、24)に該当する「正常性監視対象インデックス」の「リンクダウン実施時刻」に時刻を書き込む。
【0055】
(動作例2)
リンク制御装置151の動作により接続装置(101〜104)のリンクダウンが実行されとき、そのリンクダウンが障害情報として通知され、これにより新たなリンクダウン動作が引き起こされるといったリンクダウンの連続を防ぐために、リンク制御装置151に待機時間を設定することが可能である。
【0056】
リンク制御システム301の記憶部42は、コマンド実行部43からの制御命令で、UNIポートがリンクダウンを行った実行時間を記憶するポートリンクダウン実行ログテーブル64、及びポートリンクダウン実行ログテーブル64が記憶する実行時間の後、障害情報受信部41が障害情報を受信した場合に、正常性状態テーブル61の障害状態の更新を待機させる保護時間を設定する保護時間設定部65をさらに有する。
【0057】
動作例2の前提条件は動作例1と同じである。
【0058】
次に動作例1と異なる部分の動作の説明を行う。動作例2の動作例1と異なる部分は、「異常情報受信時処理」である。動作例1が図15の処理フローを行っていたことに対し、動作例2では図16の処理フローを行う。図15の処理フローと図16の処理フローとの違いは、ステップS205の前に「待機処理」(ステップS204)があることである。
【0059】
図17は、「待機処理」を説明するフローチャートである。図12の「ポートリンクダウン実行ログテーブル」と図13の「保護時間設定」を参照し(ステップS211、ステップS212)、「ポートリンクダウン実行ログテーブル」中に対象のUNIポートのログが残っているかどうか確認する(ステップS213)。ログがあれば、「リンクダウン実施時刻」と現時刻との差を「保護時間」と比較する(ステップS213)。「リンクダウン実施時刻」と現時刻との差が「保護時間」以上(保護時間を経過している)であれば、「待機時間」は0に設定して(ステップS215)障害パターン判定処理に進む(ステップS217)。「リンクダウン実施時刻」と現時刻との差が「保護時間」未満であれば、「保護時間」との差を「待機時間」に設定して(ステップS216)、待機時間経過後「障害パターン判定処理」へ進む(ステップS216、S217)。
【0060】
動作例2の場合、「異常情報受信時処理」において、図5の「正常性状態テーブル」を参照し、正常性監視対象インデックス7にすでに管理されている「状態」を確認し(ステップS203)、「正常」となっているので、「待機処理」に進む(ステップS204)。待機処理の後、「正常性状態テーブル」の状態を「異常」に更新する(ステップS205)。その後「障害パターン判定処理」へ進む(ステップS206)。
【0061】
ステップS204の待機処理では、図17ように、「ポートリンクダウン実行ログテーブル」と「保護時間設定」を参照する(ステップS211、ステップS212)。「ポートリンクダウン実行ログテーブル」には、図12のように、制御システムが実行したUNIポートをリンクダウンした実行時間が保存されている。また図13のように「保護時間設定」をあらかじめ設定しておく。
【0062】
「ポートダウン実行ログテーブル」に、図12のように今回受信した接続装置102のUNIポート22に該当するログがあれば、待機時間を計算し、待機時間が0で無ければ、計算結果に基づき処理を一時停止する(ステップS216)。
【0063】
(動作例3)
リンク制御システム301のコマンド実行部43は、監視対象に障害が発生した場合でも、障害パターンテーブル63に記載される障害パターンに定められた監視対象の一部のみの障害状態が異常ならば、処理を終了し、対応するUNIポートのリンクダウンを不実施とする。
【0064】
動作例3の前提条件は動作例1と同じである。
【0065】
次に動作例1と異なる部分の動作の説明を行う。
接続装置103のUNIポート23から接続装置102のUNIポート22方向での通信経路障害が発生したとする。接続装置102は接続装置103からの検査フレームが到着しないことで障害発生を検知する。接続装置102は、リンク制御装置151へ障害情報を通知する。リンク制御装置151は障害情報を受信し、図14のフローにしたがって制御を開始する。
【0066】
リンク制御装置151は、図10の「正常性状態判定条件テーブル」を参照し(ステップS102)、受信した障害情報と照合する。動作例2の場合、受信した障害情報は「正常性監視対象インデックス」の9の「異常状態と判定する条件」に一致するため(ステップS109)、図14のステップS111の「異常情報受信時処理」を行う。
【0067】
図15の「異常情報受信時処理」では、図5の「正常性状態テーブル」を参照し(ステップS202)、正常性監視対象インデックス9にすでに管理されている「状態」を確認し(ステップS203)、「正常」を「異常」に更新する(ステップS205)。更新後は図7のようになる。その後、「障害パターン判定処理」へ進む(ステップS206)。
【0068】
「障害パターン判定処理」では、図19のフローように、「障害パターンテーブル」を参照する(ステップS302)。図7の「正常性状態テーブル」は正常性監視対象インデックス6と9が異常であるが、図11の「障害パターンテーブル」において「異常状態となっている監視対象の組」がすべて異常であるインデックスに該当するものがない(ステップS304)。このため、ここで処理が終了となり、管理対象に障害が発生していてもUNIポートリンクダウン処理は行われない(ステップS309)。
【0069】
(動作例4)
リンク制御システム301のコマンド実行部43は、監視対象の障害が復旧した場合でも、該監視対象が含まれる障害パターンが未発生ならば、処理を終了し、対応するUNIポートのリンクアップを不実施とする。
【0070】
動作例4の前提条件は動作例1と同じである。
【0071】
次に動作例1と異なる部分の動作の説明を行う。
接続装置101のUNIポート21から接続装置103のUNIポート23での通信経路の障害が復旧したとする。接続装置103は接続装置101からの検査フレームを受信し始めることで、障害復旧を検知する。接続装置103は、リンク制御装置151へ障害情報を通知する。リンク制御装置151は障害情報を受信し、図14のフローにしたがって制御を開始する。
【0072】
リンク制御装置151は、図10の「正常性状態判定条件テーブル」を参照し(ステップS102)、受信した障害情報と照合する。動作例4の場合、受信した障害情報は「正常性監視対象インデックス」の6の「正常状態と判定する条件」に合致し(ステップS108)、「正常情報受信時処理」を行う(ステップS110)。
【0073】
図18は、「正常情報受信時処理」を説明するフローチャートである。ステップS110で「正常状態」に該当した場合、本フローが開始される(ステップS221)。まず、図5〜図9の「正常性状態テーブル」を参照する(ステップS222)。該当する正常性監視対象インデックスiの「状態」を確認する(ステップS223)。該状態が「正常」であるならば、処理を完了する(ステップS227)。該状態が「異常」ならば、「正常」に更新し(ステップS225)、図20の障害復旧パターン判定処理を行ない(ステップS226)、処理を完了する(ステップS227)。
【0074】
図20は「障害復旧パターン判定処理」を説明するフローチャートである。まず、図11の「障害パターンテーブル」を参照し(ステップS322)、続いて全ての障害パターンインデックスについて以下のステップを行う(ステップS323)。テーブル中の「障害発生パターンインデックス」で分けられている各障害発生パターンについて、「異常状態となっている監視対象の組」の組み合わせが全て異常になっているものがあるかチェックする(ステップS324)。全て異常となっている障害パターンがあれば、そのパターンは障害発生と判断し、処理を終了する(ステップS329)。そして、正常なものが含まれる場合は、障害パターンテーブルで管理されているその障害発生パターンの「障害発生状態」を確認し(ステップS325)、「未発生」であれば状態の更新は発生しないので終了する(ステップS329)。ステップS325で「障害発生状態」が「発生」であれば、「未発生」に更新し(ステップS326)、障害パターンテーブル上にある「リンクダウン対象ポート」に対して、図22の「ポートリンクアップ処理」を実行する(ステップS327、ステップS328)。
【0075】
図22は、「ポートリンクアップ処理」を説明するフローチャートである。まず、リンクアップ対象UNIポートの状態をコマンドで確認し(ステップS412)、リンクダウン状態であれば、コマンドでリンクアップを実行し(ステップS413、ステップS414)、処理完了する(ステップS416)。一方、ステップS413でリンクアップ対象UNIポートの状態がリンクアップ状態であれば、処理完了する(ステップS416)。
【0076】
動作例4では、図18の「正常情報受信時処理」で、図5の「正常性状態テーブル」を参照し(ステップS222)、正常性監視対象インデックス6の「状態」を確認する(ステップS223)。該状態が「異常」となっているので「正常」に更新する(ステップS225)。更新後は図8のようになる。その後「障害復旧パターン処理」を行う(ステップS226)。
【0077】
「障害復旧パターン判定処理」では、ステップS322で図11の「障害パターンテーブル」を参照する。図11のような「障害パターンテーブル」の場合、図8の「正常性状態テーブル」の「正常性監視対象インデックス」で11のみが「異常」であり、「障害パターンテーブル」の「異常状態となっている監視対象の組」において正常である「正常性監視対象インデックス」が含まれる障害パターンは、「障害パターンインデックス」のA、B、C、およびDが該当する(ステップS324)。この「障害パターンインデックス」A、B、C、およびDの「障害パターンテーブル」上の「障害発生状態」はそれぞれ「未発生」となっているので(ステップS325)、データの更新を行う必要がなく、処理を終了する(ステップS329)。このため、接続装置101のUNIポート21から接続装置103のUNIポート23での通信経路の障害が復旧してもUNIポート21及びUNIポート23のリックアップを行わない。
【0078】
(動作例5)
動作例5の前提条件は動作例1と同じである。
【0079】
次に動作例1と異なる部分の動作の説明を行う。
接続装置101のUNIポート21から接続装置104のUNIポート24での通信経路の障害が復旧したとする。接続装置104は接続装置101からの検査フレームを受信し始めることで、障害復旧を検知する。接続装置104は、リンク制御装置151へ障害情報を通知する。リンク制御装置151は障害情報を受信し、図14のフローにしたがって制御を開始する。
【0080】
リンク制御装置151は、図10の「正常性状態判定条件テーブル」を参照し(ステップS102)、受信した障害情報と照合する。動作例5の場合、受信した障害情報は「正常性監視対象インデックス」の11の「正常状態と判定する条件」に合致し(ステップS108)、「正常情報受信時処理」を行う(ステップS110)。
【0081】
動作例5では、図18の「正常情報受信時処理」で、図5の「正常性状態テーブル」を参照し(ステップS222)、正常性監視対象インデックス11の「状態」を確認する(ステップS223)。該状態が「異常」となっているので「正常」にデータを更新する(ステップS225)。更新後は図9のようになる。その後「障害復旧パターン処理」を行う(ステップS226)。
【0082】
「障害復旧パターン判定処理」では、ステップS322で図11の「障害パターンテーブル」を参照する。図11のような「障害パターンテーブル」の場合、図9の「障害発生パターン」のインデックス6以外が全て「正常」であり、「障害パターン」のインデックスにおいて、「異常状態となっている監視対象の組」がすべて異常であるものが存在しない。しかし、「障害パターン」インデックスEにおいて、「障害発生状態」が「発生」となっているので、これを「未発生」に更新し(ステップS326)、「障害発生パターンインデックス」Eの「リンクダウン対象ポート」に記載されているすべてのUNIポートに対し、「ポートリンクアップ処理」を実行する(ステップS327、ステップS328)。具体的には、UNIポート24をリンクアップする。
【0083】
上述のようにリンク制御システム301は、次のような効果が得られる。
リンク制御システム301は、データ通信網内での障害発生時に、接続装置からの障害通知をもとに、自律的な制御をおこない、必要なUNIポートのリンクダウンを短時間で実行する。UNIポートにエンドユーザのルータ装置が接続されている場合、このルータ装置はUNIポートのリンクダウンにより、障害発生を検出できる。このため、このルータ装置は、ルーティングプロトコルによるkeepalive等での障害検出を待たずに、経路上の障害を迅速に検知することができ、経路切替が迅速に行える。
【0084】
また、データ通信網内の通信経路がマルチポイント構成になっていて、データ通信網内の通信経路やUNIポートが複数存在する場合でも、リンク制御システム301は、さまざまな障害発生のパターンに対し、それぞれのパターン毎に、リンクダウンによる障害検出が必要なルータ装置に対してのみUNIポートのみリンクダウンすることが可能である。
【0085】
また、リンク制御システム301は、UNIポートのリンクダウンを行うが、データ通信網に対して、障害発生箇所にかかわらず、リンクダウンを行うUNIポート以外の箇所に対して影響を与えないで制御を行うことが可能である。またデータ通信網のネットワーク構成に制限されない制御が可能になる。
【符号の説明】
【0086】
11〜14:ユーザ装置
20:管理ポート
21〜24:UNIポート
31:障害情報送出部
32:コマンド受信部
33:通信インターフェース部
41:障害情報受信部
42:記憶部
43:コマンド実行部
44:処理部
45:通信インターフェース部
61:正常性状態テーブル
62:正常性判定条件テーブル
63:障害パターンテーブル
64:ポートリンク実行ログテーブル
65:保護時間設定
101〜104:接続装置
151:リンク制御装置
301:リンク制御システム
A、B:データ通信網
C:管理ネットワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ通信網上で、ユーザ装置と接続されるユーザー・ネットワーク・インターフェース(以下、UNIポートと記載する。)を持つ複数の接続装置を統合的に管理するリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エンドユーザがネットワーク冗長構成をとるために、2つのキャリアのデータ通信網を使う場合がある。図1は、ネットワーク冗長構成を説明する図である。図1の構成では、エンドユーザルータ装置で2つのデータ通信網に接続し、そのどちらかのデータ通信網を用いて通信する。どちらのデータ通信網を使うかは、エンドユーザルータ装置が決定する。その方法としては、エンドユーザルータ装置のルータを使用し、ルーティング動作を設定することでどちらのデータ通信網側を使うかを決定する。
【0003】
通信を行っている通信系路上で障害が発生した際、ルーティング情報を書き換えて通信経路を切り替える。その際、障害検知としては、ルータにおいてデータ通信網と接続しているUNIポートがリンクダウンした場合には、ルータがリンクダウン検出を行えるので、これによりルーティングテーブルの書き換えが実行できる。
【0004】
しかし、データ通信網内で通信系路上の障害が発生した場合には、データ通信網からエンドユーザのルータ装置に障害発生を通知する方法がない。このような障害を検知可能な方法として、ルーティングプロトコルによって障害検知を行う方法が知られている(例えば、非特許文献1を参照。)。ルーティングプロトコルとして一般的な非特許文献1のBGP(Border Gateway Protocol)では、キープアライブメッセージ(keepalive message)パケットを送信することで障害検知を行う。このBGPのkeepaliveによる障害検知の場合、推奨値では障害検出まで約90秒を要する。このように、データ通信網内で通信系路上の障害が発生した場合、エンドユーザルータ装置は、通信経路上の障害を検出するまで約90秒かかり、この間エンドユーザに通信断が発生する。
【0005】
BFPの障害検知にかかる時間を解消するため、UNIポートを持つ接続装置が持つレイヤ2における機能を用いる技術もある。これは、その接続装置のデータ通信網側ポートでレイヤ2において通信できない状態であるリンクダウン障害が発生した場合に、UNIポートを自動的にリンクダウンさせるというリンクダウン転送方式の技術である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】A Border Gateway Protocol 4 (BGP−4) 「RFC4271」“http://tools.ietf.org/html/rfc4271”(2010年1月26日検索)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、リンクダウン転送方式の技術は、UNIポートを持つ接続装置における障害しか検知できない。通常、データ通信網内では、UNIポートを持つ接続装置同士が直接接続されているだけの構成は存在せず、UNIポートを持つ接続装置間に複数のUNIポートを持たない装置が存在することになる。リンクダウン転送方式の技術は、このようなデータ通信網内での通信経路上の任意の箇所の障害に対してUNIポートのリンクダウンが実現できないという課題がある。
【0008】
また、リンクダウン転送方式の技術をデータ通信網内の全ての装置で実装した場合、データ通信網内での通信系路上の任意の箇所での障害発生に対して、その障害発生を自装置のUNIポートで検出した装置が、他の装置のUNIポートをリンクダウンし、そのリンクダウンを隣接装置が検出して、他の装置のUNIポートをリンクダウンするという動作が発生する。この動作を続けていくことで、最終的に接続装置のUNIポートのリンクダウンを実現することも可能ではあるが、データ通信網内で多数のリンクダウンを発生させてしまい、データ通信網全体に障害の影響が及ぶという課題もある。
【0009】
この課題を解決するために、本発明は、データ通信網内での通信経路上の障害を迅速に検出することでエンドユーザに発生する通信断時間を短縮できるとともに、障害発生によるリンクダウンを行うUNIポート以外のデータ通信網の通信経路に対して影響が少ないリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係るリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法は、データ通信網内での障害発生状態を管理する「正常性状態テーブル」を保持し、障害発生状態を管理する機能をもつ。また、本発明に係るリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法は、障害発生パターン毎にそれぞれの場合にリンクダウンを実行すべき対象UNIポートの対応のリストを「障害発生パターンテーブル」にてあらかじめ保持しておく機能をもつ。また、本発明に係るリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法は、これらのテーブルの情報をもとに、障害発生時に、リンクダウンおよびリンクアップを実行すべきUNIポートを判定する処理部の機能を持つ。また、本発明に係るリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法は、この判定結果にもとづきUNIポートのリンクダウンおよびリンクアップを実行する機能を持つ。
【0011】
そして、これらの機能を用いて、障害が発生した場合、接続装置から通知される障害情報を受信し、該障害情報をもとに、本発明に係るリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法は、「正常性状態テーブル」により障害発生状態を管理する。また、本発明に係るリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法は、このテーブルで管理された障害発生状態の情報と、あらかじめ保持している「障害発生パターンテーブル」の情報に基づき、リンクダウン対象UNIポートの判定を行う。この判定結果に基づき、本発明に係るリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法は、自律的にリンクダウン対象UNIポートのリンクダウン制御を行う。
【0012】
このような制御を行うために、本発明に係るリンク制御装置は、データ通信網上に配置されており、ユーザ装置と前記データ通信網とを接続するユーザネットワークインターフェースを持つ接続装置が出力する、監視対象としている前記ユーザネットワークインターフェース又は/及び前記データ通信網上の通信経路における障害の有無についての障害情報を受信する障害情報受信部と、前記監視対象毎に正常又は異常の障害状態が記載される正常性監視対象インデックスが設定され、前記障害情報受信部が受信した前記障害情報に基づいて、前記正常性監視対象インデックスの前記障害状態を更新する正常性状態テーブル、及び少なくとも1つの前記監視対象を含む障害パターンインデックスが設定され、該障害パターンインデックスに含まれる全ての前記監視対象の前記障害状態に基づいてリンクダウン又はリンクアップさせる少なくとも1つの前記ユーザネットワークインターフェースを前記障害パターンインデックスに結びつけた障害パターンが記載され、前記障害パターンの発生の有無を更新する障害パターンテーブルを有する記憶部と、前記記憶部の前記障害パターンテーブルを参照し、前記監視対象に障害が発生したときに、対応する前記ユーザネットワークインターフェースをリンクダウンさせ、前記監視対象の障害が解消したときに、対応する前記ユーザネットワークインターフェースをリンクアップさせる制御命令を前記接続装置へ出力するコマンド実行部と、を備える。
【0013】
本発明に係るリンク制御システムは、データ通信網と、前記データ通信網上に配置されており、ユーザ装置と前記データ通信網とを接続するユーザネットワークインターフェースを持ち、制御命令に従い前記ユーザネットワークインターフェースのリンクダウン及びリンクアップを実施するとともに、前記ユーザネットワークインターフェース又は/及び前記データ通信網上の通信経路を監視対象として前記監視対象の障害の有無についての障害情報を出力する複数の接続装置と、前記リンク制御装置と、前記接続装置と前記制御装置とを接続し、前記障害情報及び前記制御命令を伝搬する管理ネットワークと、を備える。
【0014】
本発明に係るリンク制御方法は、データ通信網上に配置されており、ユーザ装置と前記データ通信網とを接続するユーザネットワークインターフェースを持つ接続装置が出力する、監視対象としている前記ユーザネットワークインターフェース又は/及び前記データ通信網上の通信経路における障害の有無についての障害情報を受信し、前記監視対象毎に正常又は異常の障害状態が記載される正常性監視対象インデックスが設定された正常性状態テーブルの該正常性監視対象インデックスの前記障害状態を前記障害情報に基づいて更新し、少なくとも1つの前記監視対象を含む障害パターンインデックスが設定され、該障害パターンインデックスに含まれる全ての前記監視対象の前記障害状態に基づいてリンクダウン又はリンクアップさせる少なくとも1つの前記ユーザネットワークインターフェースを前記障害パターンインデックスに結びつけた障害パターンが記載され、前記障害パターンの発生の有無を更新する障害パターンテーブルを参照し、前記監視対象に障害が発生したときに、対応する前記ユーザネットワークインターフェースをリンクダウンさせ、前記監視対象の障害が解消したときに、対応する前記ユーザネットワークインターフェースをリンクアップさせる制御命令を前記接続装置へ出力する。
【0015】
本発明に係るリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法は、UNIポートに接続しているユーザ装置が、データ通信網内での障害発生時にリンクダウンを検出できるため、ルーティングプロトコルによるkeepaliveでの障害検出を待たずに、通信経路上の障害を迅速に検知することができる。そして、ユーザ装置は、他のポートに接続されている他のデータ通信網等を利用した通信経路への経路切替を迅速に行ない通信断時間を短縮することができる。
【0016】
また、本発明に係るリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法は、データ通信網内のさまざまな障害発生のパターンに対し、それぞれのパターン毎に、リンクダウンによる障害検出が必要なユーザ装置に対するUNIポートのみリンクダウンする。このため、本発明に係るリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法は、リンクダウンを行うUNIポート以外の箇所に対する影響を小さくすることができる。
【0017】
従って、本発明は、データ通信網内での通信経路上の障害を迅速に検出することでエンドユーザに発生する通信断時間を短縮できるとともに、障害発生によるリンクダウンを行うUNIポート以外のデータ通信網の通信経路に対して影響が少ないリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法を提供することができる。
【0018】
本発明に係るリンク制御装置の前記記憶部は、前記コマンド実行部からの前記制御命令で、前記ユーザネットワークインターフェースがリンクダウンを行った実行時間を記憶するポートリンクダウン実行ログテーブル、及び前記ポートリンクダウン実行ログテーブルが記憶する前記実行時間の後、前記障害情報受信部が前記障害情報を受信した場合に、前記正常性状態テーブルの前記障害状態の更新を待機させる保護時間を設定する保護時間設定部をさらに有することを特徴とする。
【0019】
本発明に係るリンク制御方法は、前記制御命令で、前記ユーザネットワークインターフェースがリンクダウンを行った実行時間をポートリンクダウン実行ログテーブルに記憶し、前記ポートリンクダウン実行ログテーブルが記憶する前記実行時間の後、前記障害情報受信部が前記障害情報を受信した場合に、保護時間設定部に設定された保護時間の間前記正常性状態テーブルの前記障害状態の更新を待機させることを特徴とする。
【0020】
本発明に係るリンク制御装置及びリンク制御方法は、接続装置のUNIポートをリンクダウンさせた後、待機時間にその接続装置からUNIポートのリンクダウンによる障害情報が通知されても、この障害情報でUNIポートのリンクダウンが新たに行わない。すなわち、本発明に係るリンク制御装置及びリンク制御方法は、待機時間を設定することで、UNIポートのリンクダウンが短い時間内に連続することを防ぐことができる。
【0021】
本発明に係るリンク制御装置の前記コマンド実行部は、前記監視対象に障害が発生した場合でも、前記障害パターンテーブルに記載される前記障害パターンに定められた前記監視対象の一部のみの前記障害状態が異常ならば、処理を終了し、対応する前記ユーザネットワークインターフェースのリンクダウンを不実施とすることを特徴とする。
【0022】
本発明に係るリンク制御方法は、前記監視対象に障害が発生した場合でも、前記障害パターンテーブルに記載される前記障害パターンに定められた前記監視対象の一部のみの前記障害状態が異常ならば、処理を終了し、対応する前記ユーザネットワークインターフェースのリンクダウンを不実施とすることを特徴とする。
【0023】
本発明に係るリンク制御装置の前記コマンド実行部は、前記監視対象の障害が復旧した場合でも、該監視対象が含まれる前記障害パターンが未発生ならば、処理を終了し、対応する前記ユーザネットワークインターフェースのリンクアップを不実施とすることを特徴とする。
【0024】
本発明に係るリンク制御方法は、前記監視対象の障害が復旧した場合でも、該監視対象が含まれる前記障害パターンが未発生ならば、処理を終了し、対応する前記ユーザネットワークインターフェースのリンクアップを不実施とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、データ通信網内での通信経路上の障害を迅速に検出することでエンドユーザに発生する通信断時間を短縮できるとともに、障害発生によるリンクダウンを行うUNIポート以外のデータ通信網の通信経路に対して影響が少ないリンク制御装置、リンク制御システム、及びリンク制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ネットワーク冗長構成を説明する図である。
【図2】本発明に係るリンク制御装置を説明する図である。
【図3】本発明に係るリンク制御装置を説明する図である。
【図4】本発明に係るリンク制御システムにおいて、通信系路上の疎通確認の方法を説明する図である。
【図5】本発明に係るリンク制御装置に含まれる正常性状態テーブルを説明する図である。本テーブルは、UNIポート及びUNIポート間の通信経路を監視対象とし、各監視対象を「正常性監視対象インデックス」として管理している。さらに、正常性監視対象インデックス毎に、「正常」または「異常」の「状態」データを保持している。本テーブルは、「正常性監視対象インデックス」と「状態」を用いて監視対象とその状態を管理する。「状態」データは、処理部によって書き換えられる。なお、「対象に関する説明」は設定しなくてもよい。
【図6】本発明に係るリンク制御装置に含まれる正常性状態テーブルを説明する図である。本図は図5の状態が更新された図である。
【図7】本発明に係るリンク制御装置に含まれる正常性状態テーブルを説明する図である。本図は図5の状態が更新された図である。
【図8】本発明に係るリンク制御装置に含まれる正常性状態テーブルを説明する図である。本図は図5の状態が更新された図である。
【図9】本発明に係るリンク制御装置に含まれる正常性状態テーブルを説明する図である。本図は図5の状態が更新された図である。
【図10】本発明に係るリンク制御装置に含まれる正常性状態判定条件テーブルを説明する図である。正常性状態判定条件テーブルは、図5から図9の「正常性状態テーブル」で管理している各「正常性監視対象インデックス」に対し、どのような情報を装置から受け取ったら「異常」と判断するか、または「正常」と判定するかの条件を管理している。なお、本図では、イーサOAM(Ethernet(登録商標) operations administration maintenance)技術を使用することを想定している。条件内にある「LOC」は、イーサOAMでの「loss of continuity」のことであり、検査フレームが到着しないことによる通信系路上の障害を検出した状態を指す。
【図11】本発明に係るリンク制御装置に含まれる障害パターンテーブルを説明する図である。図5〜図9の正常性状態テーブルにて管理されている各監視対象のうち、どの監視対象が「異常」となった場合にどのUNIポートをリンクダウンするか、という対応を「障害パターンインデックス」にてあらかじめ設定しておく。各障害パターンにおけるリンクダウン対象は「リンクダウン対象ポート」データにて管理する。また、「障害発生状態」は、「発生」または「未発生」のデータを持つ。
【図12】本発明に係るリンク制御装置に含まれるポートリンクダウン実行ログテーブルを説明する図である。
【図13】本発明に係るリンク制御装置に含まれる保護時間設定を説明する図である。
【図14】本発明に係るリンク制御方法のフローチャートである。
【図15】本発明に係るリンク制御方法のフローチャートである。
【図16】本発明に係るリンク制御方法のフローチャートである。
【図17】本発明に係るリンク制御方法のフローチャートである。
【図18】本発明に係るリンク制御方法のフローチャートである。
【図19】本発明に係るリンク制御方法のフローチャートである。
【図20】本発明に係るリンク制御方法のフローチャートである。
【図21】本発明に係るリンク制御方法のフローチャートである。
【図22】本発明に係るリンク制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。また、本明細書では、ユーザ装置とUNIポートとの間を通信断とすること及び通信断となることをリンクダウンと記載し、ユーザ装置とUNIポートとの間で通信可能とすることをリンクアップと記載する。
【0028】
本実施形態のリンク制御システム301を説明する。リンク制御システム301は、図1のようにユーザ装置(11〜14)が、2つのデータ通信網(A,B)に接続している。データ通信網A、Bは、例えば、イーサネット(登録商標)通信網である。ユーザ装置(11〜14)は、例えば、ルータである。ユーザ装置(11〜14)は、それぞれ接続装置(101〜104)のUNIポート(21〜24)に接続されている。接続装置(101〜104)は、例えば、イーサネット(登録商標)装置である。どちらのデータ通信網(A,B)を使用するかは、ユーザ装置(11〜14)が決定する。なお、図1では、ユーザ装置(11〜14)は接続装置(101〜104)を介してデータ通信網Aに接続されているが、他の接続装置(不図示)を介してデータ通信網Bにも接続される。
【0029】
リンク制御システム301は、リンク制御装置151を備える。図2は、接続装置(101〜104)とリンク制御装置151とを接続する管理ネットワークCを説明する図である。各接続装置(101〜104)は、管理ポート20を有し、管理ポート20に接続された管理ネットワークC経由でリンク制御装置151と接続される。
【0030】
図3は、接続装置(101〜104)とリンク制御装置151の各機能との関係を説明するブロック図である。接続装置(101〜104)は、障害情報送出部31、コマンド受信部32、及び通信インターフェース部33を備える。接続装置(101〜104)は、データ通信網(A又はB)上に配置されており、ユーザ装置(不図示)とデータ通信網(A又はB)とを接続するUNIポート(21〜24)を持つ。コマンド受信部32は、通信インターフェース部33を介してリンク制御装置151から送信された制御命令を受信し、該制御命令に従いUNIポート(21〜24)のリンクダウン及びリンクアップを実施する。障害情報送出部31は、UNIポート(21〜24)又は/及びデータ通信網(A又はB)上の通信経路を監視対象として前記監視対象の障害の有無についての障害情報を検出し、通信インターフェース部33を介してリンク制御装置151へ出力する。
【0031】
リンク制御装置151は、障害情報受信部41、記憶部42、及びコマンド実行部43、処理部44、通信インターフェース部45を備える。通信インターフェース部45は、管理ネットワークCを介して接続装置(101〜104)の通信インターフェース部33と接続している。
【0032】
障害情報受信部41は、接続装置(101〜104)が出力する、監視対象としているUNIポート又は/及びデータ通信網(A又はB)上の通信経路における障害の有無についての障害情報を通信インターフェース部45を介して受信する。
【0033】
記憶部42は、監視対象毎に正常又は異常の障害状態が記載される正常性監視対象インデックスが設定され、障害情報受信部41が受信した障害情報に基づいて、前記正常性監視対象インデックスの障害状態を更新する正常性状態テーブル61、及び少なくとも1つの監視対象を含む障害パターンインデックスが設定され、該障害パターンインデックスに含まれる全ての監視対象の障害状態に基づいてリンクダウン又はリンクアップさせる少なくとも1つのUNIポートを障害パターンインデックスに結びつけた障害パターンが記載され、障害パターンの発生の有無を更新する障害パターンテーブル63を有する。
【0034】
コマンド実行部43は、記憶部42の障害パターンテーブル63を参照し、監視対象に障害が発生したときに、対応するUNIポートをリンクダウンさせ、監視対象の障害が解消したときに、対応するUNIポートをリンクアップさせる制御命令を通信インターフェース45を介して接続装置(101〜104)へ出力する。
【0035】
正常性状態テーブル61は、各監視対象の障害状態を管理する。図5〜図9は、正常性状態テーブル61の設定例である。また、障害パターンテーブル63は、いくつかの障害発生のパターンに対しそれぞれの場合にリンクダウンを実行すべきUNIポートをあらかじめ指定し、そのリストを保持する。図11は、障害パターンテーブル63の設定例である。
【0036】
接続装置(101〜104)は障害発生を検出し、管理ネットワークC経由で障害情報をリンク制御装置151に送信する。例えば、障害情報送出部31は、SNMPのTRAPを用いた通知等で障害情報を送出することができる。
【0037】
ここで、発生する障害とは、UNIポート自身のリンクダウンやデータ通信網上の通信経路の通信断等であり、接続装置(101〜104)はこれらを監視対象として障害の有無を監視する。例えば、接続装置(101〜104)は、UNIポート(21〜24)のリンクダウンをUNIポート自身が検知することでUNIポートの障害を検出することができる。また、接続装置(101〜104)は、図4のように、ITU−T Y.1731またはIEEE 802.1agにて規定されているイーサネット(登録商標)OAM技術等を用いてデータ通信網上の通信経路を定期的に監視しており、データ通信網上の通信経路の障害を検出することができる。
【0038】
リンク制御装置151の処理部44は、通知された障害情報に基づき、障害状態を判定する条件を管理する正常性状態判定テーブル62を用いて正常又は異常の判定を行う。図10は、正常性状態判定テーブル62の設定例である。図14は、障害情報に基づき、処理部44が正常又は異常の判定を行う判定フローを説明する図である。また、処理部44は、判定結果に基づき、正常性状態テーブル61に記載される障害状態を更新する。
【0039】
さらに、処理部44は、正常性状態テーブル61に記載される障害状態と、前述の障害パターンテーブル63とから、リンクダウン又はリンクアップを実行するUNIポートを判断する。リンク制御装置151のコマンド実行部43は、当該UNIポートの接続装置に対し、UNIポートのリンクダウン又はリンクアップを実行する制御命令を出力する。
【0040】
通信装置(101〜104)は、リンク制御装置151からのコマンドをコマンド受信部32で受信し、UNIポートのリンクダウン制御を行う機能を持つ。
【0041】
(動作例1)
リンク制御システム301は、データ通信網(A又はB)上に配置されており、ユーザ装置(11〜14)とデータ通信網(A又はB)とを接続するUNIポート(21〜24)を持つ接続装置(101〜104)が出力する、監視対象としているUNIポート(21〜24)又は/及びデータ通信網(A又はB)上の通信経路における障害の有無についての障害情報を受信し、監視対象毎に正常又は異常の障害状態が記載される正常性監視対象インデックスが設定された正常性状態テーブル61の該正常性監視対象インデックスの障害状態を障害情報に基づいて更新し、少なくとも1つの監視対象を含む障害パターンインデックスが設定され、該障害パターンインデックスに含まれる全ての監視対象の障害状態に基づいてリンクダウン又はリンクアップさせる少なくとも1つのUNIポートを該障害パターンインデックスに結びつけた障害パターンが記載され、障害パターンの発生の有無を更新する障害パターンテーブル63を参照し、監視対象に障害が発生したときに、対応するUNIポートをリンクダウンさせ、監視対象の障害が解消したときに、対応するUNIポートをリンクアップさせる制御命令を接続装置(101〜104)へ出力するリンク制御方法を行う。
【0042】
動作例1の前提条件は次の通りである。
リンク制御システム301は図1のような構成である。ここではリンク制御装置151は示していない。
【0043】
リンク制御システム301は、UNIポート間の通信経路の正常性確認を行っている。例えば、図4のように、UNIポート間で検査フレームを送受信することで、UNIポート間での通信経路の疎通確認を、片方向通信ずつ確認することができる。その結果、接続装置101のUNIポート21から接続装置103のUNIポート23方向への通信経路に障害が発生している。また、接続装置101のUNIポート21から接続装置104のUNIポート24方向への通信経路にも障害が発生している。
【0044】
正常性状態テーブル61は、図5のように、対応する「正常性監視対象インデックス」6と11で、障害状態が「異常」と管理されている。
【0045】
次に動作の説明を行う。
接続装置103のUNIポート23から接続装置101のUNIポート21方向での通信経路障害が発生したとする。接続装置101は、接続装置103からの検査フレームが到着しないことで障害発生を検知できる。接続装置101は、リンク制御装置151へ障害情報を通知する。
【0046】
リンク制御装置151は、障害情報を受信し、図14の判定フローにしたがって制御を開始する。この判定フローは、ステップS101からステップS112を含む。例えば、接続装置103のUNIポート23から接続装置101のUNIポート21方向での通信経路に障害が発生したとする。接続装置101は接続装置103からの検査フレームが到着しないことで、この障害発生を検知する。接続装置101が、リンク制御装置151へ障害情報を通知する。リンク制御装置151は障害情報を受信し、図9のフローにしたがって制御が開始される(ステップS101)。
【0047】
リンク制御装置151は、図10の「正常性状態判定条件テーブル」を参照し、受信した障害情報と照合する(ステップS102)。「正常性状態判定条件テーブル」に設定された正常性監視対象インデックスの総数をNとする(ステップS103)。正常性監視対象インデックスi=0とし(ステップS104)、これに1を加える(ステップS105)。iとNを比較し(ステップS106)、i>Nであれば処理を終了する(ステップS112)。i>Nでなければ障害情報送信元該当チェックを行う(ステップS107)。障害情報送信元該当チェックは、受信した障害情報の送信元が、正常性判定条件テーブルの正常性監視対象インデックスiの情報送信元に該当するか否かを判断する。該当しない場合はステップS105へ戻る。該当する場合は、正常状態該当チェックを行う(ステップS108)。正常状態該当チェックは、受信した障害情報の内容が正常性判定条件テーブルの正常性監視対象インデックスiの「正常状態」に該当するか否かを判断する。「正常状態」に該当する場合は図18の正常情報受信時処理を行ない(ステップS110)、処理を完了する(ステップS112)。「正常状態」に該当しない場合は異常状態該当チェックを行う(ステップS109)。異常状態該当チェックは、受信した障害情報の内容が正常性判定条件テーブルの正常性監視対象インデックスiの「異常状態」に該当するか否かを判断する。「異常状態」に該当しない場合はステップS105へ戻る。「異常状態」に該当する場合は図15や図16の異常情報受信時処理を行ない(ステップS111)、処理を完了する(ステップS112)。
【0048】
図15は「異常情報受信時処理」を説明するフローチャートである。ステップS109で「異常状態」に該当した場合、本フローが開始される(ステップS201)。まず、図5の「正常性状態テーブル」を参照する(ステップS202)。該当する正常性監視対象インデックスiの「状態」を確認する(ステップS203)。該状態が「異常」であるならば、処理を完了する(ステップS207)。該状態が「正常」ならば、「異常」に更新し(ステップS205)、図19の障害パターン判定処理を行ない(ステップS206)、処理を完了する(ステップS207)。
【0049】
図19は「障害パターン判定処理」を説明するフローチャートである。まず、図11の「障害パターンテーブル」を参照し(ステップS302)、続いて全ての障害パターンインデックスについて以下のステップを行う(ステップS303)。テーブル中の「障害発生パターンインデックス」で分けられている各障害発生パターンについて、「異常状態となっている監視対象の組」の組み合わせが全て異常になっているものがあるかチェックする(ステップS304)。全て異常でなければ処理を終了する(ステップS309)。全て異常となっている障害パターンがあれば、そのパターンは障害発生と判断する。そして、障害パターンテーブルで管理されているその障害発生パターンの「障害発生状態」が「発生」であれば、更新は必要ないためそのまま終了する(ステップS305、ステップS309)。「障害発生状態」が「未発生」であれば、障害パターンテーブルのデータを「発生」に更新し(ステップS306)、障害パターンテーブル上の当該「障害発生パターンインデックス」の「リンクダウン対象ポート」に対して、図21の「ポートリンクダウン処理」を実行する(ステップS307、ステップ308)。
【0050】
図21は、「ポートリンクダウン処理」を説明するフローチャートである。まず、リンクダウン対象UNIポートの状態をコマンドで確認し(ステップS402)、リンクアップ状態であれば、コマンドでリンクダウンを実行する(ステップS403、ステップS404)。リンクダウンを実行した場合は、リンクダウン実施時間を図12の「ポートリンクダウン実行ログテーブル」に書き込み(ステップS405)、処理完了する(ステップS406)。一方、ステップS403でリンクダウン対象UNIポートの状態がリンクダウン状態であれば、処理完了する(ステップS406)。
【0051】
動作例1の場合、受信した障害情報が「正常性監視対象インデックス」の7の「異常状態」と判定する条件に合致するため、ステップS109で図15の「異常情報受信時処理」を行う。
【0052】
「異常情報受信時処理」では、ステップS202で図5の「正常性状態テーブル」を参照し、ステップS203で正常性監視対象インデックス7にすでに管理されている「状態」を確認する。ここでは該状態が「正常」となっているので「異常」にデータを更新する(ステップS205)。更新後は図6のようになる。その後、図19の「障害パターン判定処理」へ進む(ステップS206)。
【0053】
「障害パターン判定処理」では、ステップS302で図11の「障害パターンテーブル」を参照する。図11のような「障害パターンテーブル」の場合、図6の「正常性状態テーブル」で、正常性監視対象インデックス6と7が異常であり、ステップS304で「障害パターンテーブル」の「異常状態となっている監視対象の組」がすべて異常であるものを検索すると「障害発生パターンインデックス」の「D」が該当する。この「障害発生パターンインデックス」Dの「障害パターンテーブル」上の「障害発生状態」が「未発生」となっているので(ステップS305)、これを「発生」に更新し(ステップS306)、「障害発生パターンインデックス」Dの「リンクダウン対象ポート」に記載されているすべてのUNIポートに対し、「ポートリンクダウン処理」を実行する(ステップS308)。
【0054】
動作例1の場合、図21のように、接続装置102のUNIポート22、接続装置103のUNIポート23、接続装置104のUNIポート24に対し、「ポートリンクダウン処理」を実行しする。また、図12のような「ポートリンクダウン実行ログテーブル」上の、リンクダウンを実施したUNIポート(22、23、24)に該当する「正常性監視対象インデックス」の「リンクダウン実施時刻」に時刻を書き込む。
【0055】
(動作例2)
リンク制御装置151の動作により接続装置(101〜104)のリンクダウンが実行されとき、そのリンクダウンが障害情報として通知され、これにより新たなリンクダウン動作が引き起こされるといったリンクダウンの連続を防ぐために、リンク制御装置151に待機時間を設定することが可能である。
【0056】
リンク制御システム301の記憶部42は、コマンド実行部43からの制御命令で、UNIポートがリンクダウンを行った実行時間を記憶するポートリンクダウン実行ログテーブル64、及びポートリンクダウン実行ログテーブル64が記憶する実行時間の後、障害情報受信部41が障害情報を受信した場合に、正常性状態テーブル61の障害状態の更新を待機させる保護時間を設定する保護時間設定部65をさらに有する。
【0057】
動作例2の前提条件は動作例1と同じである。
【0058】
次に動作例1と異なる部分の動作の説明を行う。動作例2の動作例1と異なる部分は、「異常情報受信時処理」である。動作例1が図15の処理フローを行っていたことに対し、動作例2では図16の処理フローを行う。図15の処理フローと図16の処理フローとの違いは、ステップS205の前に「待機処理」(ステップS204)があることである。
【0059】
図17は、「待機処理」を説明するフローチャートである。図12の「ポートリンクダウン実行ログテーブル」と図13の「保護時間設定」を参照し(ステップS211、ステップS212)、「ポートリンクダウン実行ログテーブル」中に対象のUNIポートのログが残っているかどうか確認する(ステップS213)。ログがあれば、「リンクダウン実施時刻」と現時刻との差を「保護時間」と比較する(ステップS213)。「リンクダウン実施時刻」と現時刻との差が「保護時間」以上(保護時間を経過している)であれば、「待機時間」は0に設定して(ステップS215)障害パターン判定処理に進む(ステップS217)。「リンクダウン実施時刻」と現時刻との差が「保護時間」未満であれば、「保護時間」との差を「待機時間」に設定して(ステップS216)、待機時間経過後「障害パターン判定処理」へ進む(ステップS216、S217)。
【0060】
動作例2の場合、「異常情報受信時処理」において、図5の「正常性状態テーブル」を参照し、正常性監視対象インデックス7にすでに管理されている「状態」を確認し(ステップS203)、「正常」となっているので、「待機処理」に進む(ステップS204)。待機処理の後、「正常性状態テーブル」の状態を「異常」に更新する(ステップS205)。その後「障害パターン判定処理」へ進む(ステップS206)。
【0061】
ステップS204の待機処理では、図17ように、「ポートリンクダウン実行ログテーブル」と「保護時間設定」を参照する(ステップS211、ステップS212)。「ポートリンクダウン実行ログテーブル」には、図12のように、制御システムが実行したUNIポートをリンクダウンした実行時間が保存されている。また図13のように「保護時間設定」をあらかじめ設定しておく。
【0062】
「ポートダウン実行ログテーブル」に、図12のように今回受信した接続装置102のUNIポート22に該当するログがあれば、待機時間を計算し、待機時間が0で無ければ、計算結果に基づき処理を一時停止する(ステップS216)。
【0063】
(動作例3)
リンク制御システム301のコマンド実行部43は、監視対象に障害が発生した場合でも、障害パターンテーブル63に記載される障害パターンに定められた監視対象の一部のみの障害状態が異常ならば、処理を終了し、対応するUNIポートのリンクダウンを不実施とする。
【0064】
動作例3の前提条件は動作例1と同じである。
【0065】
次に動作例1と異なる部分の動作の説明を行う。
接続装置103のUNIポート23から接続装置102のUNIポート22方向での通信経路障害が発生したとする。接続装置102は接続装置103からの検査フレームが到着しないことで障害発生を検知する。接続装置102は、リンク制御装置151へ障害情報を通知する。リンク制御装置151は障害情報を受信し、図14のフローにしたがって制御を開始する。
【0066】
リンク制御装置151は、図10の「正常性状態判定条件テーブル」を参照し(ステップS102)、受信した障害情報と照合する。動作例2の場合、受信した障害情報は「正常性監視対象インデックス」の9の「異常状態と判定する条件」に一致するため(ステップS109)、図14のステップS111の「異常情報受信時処理」を行う。
【0067】
図15の「異常情報受信時処理」では、図5の「正常性状態テーブル」を参照し(ステップS202)、正常性監視対象インデックス9にすでに管理されている「状態」を確認し(ステップS203)、「正常」を「異常」に更新する(ステップS205)。更新後は図7のようになる。その後、「障害パターン判定処理」へ進む(ステップS206)。
【0068】
「障害パターン判定処理」では、図19のフローように、「障害パターンテーブル」を参照する(ステップS302)。図7の「正常性状態テーブル」は正常性監視対象インデックス6と9が異常であるが、図11の「障害パターンテーブル」において「異常状態となっている監視対象の組」がすべて異常であるインデックスに該当するものがない(ステップS304)。このため、ここで処理が終了となり、管理対象に障害が発生していてもUNIポートリンクダウン処理は行われない(ステップS309)。
【0069】
(動作例4)
リンク制御システム301のコマンド実行部43は、監視対象の障害が復旧した場合でも、該監視対象が含まれる障害パターンが未発生ならば、処理を終了し、対応するUNIポートのリンクアップを不実施とする。
【0070】
動作例4の前提条件は動作例1と同じである。
【0071】
次に動作例1と異なる部分の動作の説明を行う。
接続装置101のUNIポート21から接続装置103のUNIポート23での通信経路の障害が復旧したとする。接続装置103は接続装置101からの検査フレームを受信し始めることで、障害復旧を検知する。接続装置103は、リンク制御装置151へ障害情報を通知する。リンク制御装置151は障害情報を受信し、図14のフローにしたがって制御を開始する。
【0072】
リンク制御装置151は、図10の「正常性状態判定条件テーブル」を参照し(ステップS102)、受信した障害情報と照合する。動作例4の場合、受信した障害情報は「正常性監視対象インデックス」の6の「正常状態と判定する条件」に合致し(ステップS108)、「正常情報受信時処理」を行う(ステップS110)。
【0073】
図18は、「正常情報受信時処理」を説明するフローチャートである。ステップS110で「正常状態」に該当した場合、本フローが開始される(ステップS221)。まず、図5〜図9の「正常性状態テーブル」を参照する(ステップS222)。該当する正常性監視対象インデックスiの「状態」を確認する(ステップS223)。該状態が「正常」であるならば、処理を完了する(ステップS227)。該状態が「異常」ならば、「正常」に更新し(ステップS225)、図20の障害復旧パターン判定処理を行ない(ステップS226)、処理を完了する(ステップS227)。
【0074】
図20は「障害復旧パターン判定処理」を説明するフローチャートである。まず、図11の「障害パターンテーブル」を参照し(ステップS322)、続いて全ての障害パターンインデックスについて以下のステップを行う(ステップS323)。テーブル中の「障害発生パターンインデックス」で分けられている各障害発生パターンについて、「異常状態となっている監視対象の組」の組み合わせが全て異常になっているものがあるかチェックする(ステップS324)。全て異常となっている障害パターンがあれば、そのパターンは障害発生と判断し、処理を終了する(ステップS329)。そして、正常なものが含まれる場合は、障害パターンテーブルで管理されているその障害発生パターンの「障害発生状態」を確認し(ステップS325)、「未発生」であれば状態の更新は発生しないので終了する(ステップS329)。ステップS325で「障害発生状態」が「発生」であれば、「未発生」に更新し(ステップS326)、障害パターンテーブル上にある「リンクダウン対象ポート」に対して、図22の「ポートリンクアップ処理」を実行する(ステップS327、ステップS328)。
【0075】
図22は、「ポートリンクアップ処理」を説明するフローチャートである。まず、リンクアップ対象UNIポートの状態をコマンドで確認し(ステップS412)、リンクダウン状態であれば、コマンドでリンクアップを実行し(ステップS413、ステップS414)、処理完了する(ステップS416)。一方、ステップS413でリンクアップ対象UNIポートの状態がリンクアップ状態であれば、処理完了する(ステップS416)。
【0076】
動作例4では、図18の「正常情報受信時処理」で、図5の「正常性状態テーブル」を参照し(ステップS222)、正常性監視対象インデックス6の「状態」を確認する(ステップS223)。該状態が「異常」となっているので「正常」に更新する(ステップS225)。更新後は図8のようになる。その後「障害復旧パターン処理」を行う(ステップS226)。
【0077】
「障害復旧パターン判定処理」では、ステップS322で図11の「障害パターンテーブル」を参照する。図11のような「障害パターンテーブル」の場合、図8の「正常性状態テーブル」の「正常性監視対象インデックス」で11のみが「異常」であり、「障害パターンテーブル」の「異常状態となっている監視対象の組」において正常である「正常性監視対象インデックス」が含まれる障害パターンは、「障害パターンインデックス」のA、B、C、およびDが該当する(ステップS324)。この「障害パターンインデックス」A、B、C、およびDの「障害パターンテーブル」上の「障害発生状態」はそれぞれ「未発生」となっているので(ステップS325)、データの更新を行う必要がなく、処理を終了する(ステップS329)。このため、接続装置101のUNIポート21から接続装置103のUNIポート23での通信経路の障害が復旧してもUNIポート21及びUNIポート23のリックアップを行わない。
【0078】
(動作例5)
動作例5の前提条件は動作例1と同じである。
【0079】
次に動作例1と異なる部分の動作の説明を行う。
接続装置101のUNIポート21から接続装置104のUNIポート24での通信経路の障害が復旧したとする。接続装置104は接続装置101からの検査フレームを受信し始めることで、障害復旧を検知する。接続装置104は、リンク制御装置151へ障害情報を通知する。リンク制御装置151は障害情報を受信し、図14のフローにしたがって制御を開始する。
【0080】
リンク制御装置151は、図10の「正常性状態判定条件テーブル」を参照し(ステップS102)、受信した障害情報と照合する。動作例5の場合、受信した障害情報は「正常性監視対象インデックス」の11の「正常状態と判定する条件」に合致し(ステップS108)、「正常情報受信時処理」を行う(ステップS110)。
【0081】
動作例5では、図18の「正常情報受信時処理」で、図5の「正常性状態テーブル」を参照し(ステップS222)、正常性監視対象インデックス11の「状態」を確認する(ステップS223)。該状態が「異常」となっているので「正常」にデータを更新する(ステップS225)。更新後は図9のようになる。その後「障害復旧パターン処理」を行う(ステップS226)。
【0082】
「障害復旧パターン判定処理」では、ステップS322で図11の「障害パターンテーブル」を参照する。図11のような「障害パターンテーブル」の場合、図9の「障害発生パターン」のインデックス6以外が全て「正常」であり、「障害パターン」のインデックスにおいて、「異常状態となっている監視対象の組」がすべて異常であるものが存在しない。しかし、「障害パターン」インデックスEにおいて、「障害発生状態」が「発生」となっているので、これを「未発生」に更新し(ステップS326)、「障害発生パターンインデックス」Eの「リンクダウン対象ポート」に記載されているすべてのUNIポートに対し、「ポートリンクアップ処理」を実行する(ステップS327、ステップS328)。具体的には、UNIポート24をリンクアップする。
【0083】
上述のようにリンク制御システム301は、次のような効果が得られる。
リンク制御システム301は、データ通信網内での障害発生時に、接続装置からの障害通知をもとに、自律的な制御をおこない、必要なUNIポートのリンクダウンを短時間で実行する。UNIポートにエンドユーザのルータ装置が接続されている場合、このルータ装置はUNIポートのリンクダウンにより、障害発生を検出できる。このため、このルータ装置は、ルーティングプロトコルによるkeepalive等での障害検出を待たずに、経路上の障害を迅速に検知することができ、経路切替が迅速に行える。
【0084】
また、データ通信網内の通信経路がマルチポイント構成になっていて、データ通信網内の通信経路やUNIポートが複数存在する場合でも、リンク制御システム301は、さまざまな障害発生のパターンに対し、それぞれのパターン毎に、リンクダウンによる障害検出が必要なルータ装置に対してのみUNIポートのみリンクダウンすることが可能である。
【0085】
また、リンク制御システム301は、UNIポートのリンクダウンを行うが、データ通信網に対して、障害発生箇所にかかわらず、リンクダウンを行うUNIポート以外の箇所に対して影響を与えないで制御を行うことが可能である。またデータ通信網のネットワーク構成に制限されない制御が可能になる。
【符号の説明】
【0086】
11〜14:ユーザ装置
20:管理ポート
21〜24:UNIポート
31:障害情報送出部
32:コマンド受信部
33:通信インターフェース部
41:障害情報受信部
42:記憶部
43:コマンド実行部
44:処理部
45:通信インターフェース部
61:正常性状態テーブル
62:正常性判定条件テーブル
63:障害パターンテーブル
64:ポートリンク実行ログテーブル
65:保護時間設定
101〜104:接続装置
151:リンク制御装置
301:リンク制御システム
A、B:データ通信網
C:管理ネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ通信網上に配置されており、ユーザ装置と前記データ通信網とを接続するユーザネットワークインターフェースを持つ接続装置が出力する、監視対象としている前記ユーザネットワークインターフェース又は/及び前記データ通信網上の通信経路における障害の有無についての障害情報を受信する障害情報受信部と、
前記監視対象毎に正常又は異常の障害状態が記載される正常性監視対象インデックスが設定され、前記障害情報受信部が受信した前記障害情報に基づいて、前記正常性監視対象インデックスの前記障害状態を更新する正常性状態テーブル、及び少なくとも1つの前記監視対象を含む障害パターンインデックスが設定され、該障害パターンインデックスに含まれる全ての前記監視対象の前記障害状態に基づいてリンクダウン又はリンクアップさせる少なくとも1つの前記ユーザネットワークインターフェースを前記障害パターンインデックスに結びつけた障害パターンが記載され、前記障害パターンの発生の有無を更新する障害パターンテーブルを有する記憶部と、
前記記憶部の前記障害パターンテーブルを参照し、前記監視対象に障害が発生したときに、対応する前記ユーザネットワークインターフェースをリンクダウンさせ、前記監視対象の障害が解消したときに、対応する前記ユーザネットワークインターフェースをリンクアップさせる制御命令を前記接続装置へ出力するコマンド実行部と、
を備えるリンク制御装置。
【請求項2】
前記記憶部は、
前記コマンド実行部からの前記制御命令で、前記ユーザネットワークインターフェースがリンクダウンを行った実行時間を記憶するポートリンクダウン実行ログテーブル、及び
前記ポートリンクダウン実行ログテーブルが記憶する前記実行時間の後、前記障害情報受信部が前記障害情報を受信した場合に、前記正常性状態テーブルの前記障害状態の更新を待機させる保護時間を設定する保護時間設定部
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のリンク制御装置。
【請求項3】
前記コマンド実行部は、
前記監視対象に障害が発生した場合でも、前記障害パターンテーブルに記載される前記障害パターンに定められた前記監視対象の一部のみの前記障害状態が異常ならば、処理を終了し、対応する前記ユーザネットワークインターフェースのリンクダウンを不実施とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のリンク制御装置。
【請求項4】
前記コマンド実行部は、
前記監視対象の障害が復旧した場合でも、該監視対象が含まれる前記障害パターンが未発生ならば、処理を終了し、対応する前記ユーザネットワークインターフェースのリンクアップを不実施とすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のリンク制御装置。
【請求項5】
データ通信網と、
前記データ通信網上に配置されており、ユーザ装置と前記データ通信網とを接続するユーザネットワークインターフェースを持ち、制御命令に従い前記ユーザネットワークインターフェースのリンクダウン及びリンクアップを実施するとともに、前記ユーザネットワークインターフェース又は/及び前記データ通信網上の通信経路を監視対象として前記監視対象の障害の有無についての障害情報を出力する複数の接続装置と、
請求項1から4のいずれかに記載されるリンク制御装置と、
前記接続装置と前記制御装置とを接続し、前記障害情報及び前記制御命令を伝搬する管理ネットワークと、
を備えるリンク制御システム。
【請求項6】
データ通信網上に配置されており、ユーザ装置と前記データ通信網とを接続するユーザネットワークインターフェースを持つ接続装置が出力する、監視対象としている前記ユーザネットワークインターフェース又は/及び前記データ通信網上の通信経路における障害の有無についての障害情報を受信し、
前記監視対象毎に正常又は異常の障害状態が記載される正常性監視対象インデックスが設定された正常性状態テーブルの該正常性監視対象インデックスの前記障害状態を前記障害情報に基づいて更新し、
少なくとも1つの前記監視対象を含む障害パターンインデックスが設定され、該障害パターンインデックスに含まれる全ての前記監視対象の前記障害状態に基づいてリンクダウン又はリンクアップさせる少なくとも1つの前記ユーザネットワークインターフェースを前記障害パターンインデックスに結びつけた障害パターンが記載され、前記障害パターンの発生の有無を更新する障害パターンテーブルを参照し、
前記監視対象に障害が発生したときに、対応する前記ユーザネットワークインターフェースをリンクダウンさせ、前記監視対象の障害が解消したときに、対応する前記ユーザネットワークインターフェースをリンクアップさせる制御命令を前記接続装置へ出力するリンク制御方法。
【請求項7】
前記制御命令で、前記ユーザネットワークインターフェースがリンクダウンを行った実行時間をポートリンクダウン実行ログテーブルに記憶し、
前記ポートリンクダウン実行ログテーブルが記憶する前記実行時間の後、前記障害情報受信部が前記障害情報を受信した場合に、保護時間設定部に設定された保護時間の間前記正常性状態テーブルの前記障害状態の更新を待機させることを特徴とする請求項6に記載のリンク制御方法。
【請求項8】
前記監視対象に障害が発生した場合でも、前記障害パターンテーブルに記載される前記障害パターンに定められた前記監視対象の一部のみの前記障害状態が異常ならば、処理を終了し、対応する前記ユーザネットワークインターフェースのリンクダウンを不実施とすることを特徴とする請求項6又は7に記載のリンク制御方法。
【請求項9】
前記監視対象の障害が復旧した場合でも、該監視対象が含まれる前記障害パターンが未発生ならば、処理を終了し、対応する前記ユーザネットワークインターフェースのリンクアップを不実施とすることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載のリンク制御方法。
【請求項1】
データ通信網上に配置されており、ユーザ装置と前記データ通信網とを接続するユーザネットワークインターフェースを持つ接続装置が出力する、監視対象としている前記ユーザネットワークインターフェース又は/及び前記データ通信網上の通信経路における障害の有無についての障害情報を受信する障害情報受信部と、
前記監視対象毎に正常又は異常の障害状態が記載される正常性監視対象インデックスが設定され、前記障害情報受信部が受信した前記障害情報に基づいて、前記正常性監視対象インデックスの前記障害状態を更新する正常性状態テーブル、及び少なくとも1つの前記監視対象を含む障害パターンインデックスが設定され、該障害パターンインデックスに含まれる全ての前記監視対象の前記障害状態に基づいてリンクダウン又はリンクアップさせる少なくとも1つの前記ユーザネットワークインターフェースを前記障害パターンインデックスに結びつけた障害パターンが記載され、前記障害パターンの発生の有無を更新する障害パターンテーブルを有する記憶部と、
前記記憶部の前記障害パターンテーブルを参照し、前記監視対象に障害が発生したときに、対応する前記ユーザネットワークインターフェースをリンクダウンさせ、前記監視対象の障害が解消したときに、対応する前記ユーザネットワークインターフェースをリンクアップさせる制御命令を前記接続装置へ出力するコマンド実行部と、
を備えるリンク制御装置。
【請求項2】
前記記憶部は、
前記コマンド実行部からの前記制御命令で、前記ユーザネットワークインターフェースがリンクダウンを行った実行時間を記憶するポートリンクダウン実行ログテーブル、及び
前記ポートリンクダウン実行ログテーブルが記憶する前記実行時間の後、前記障害情報受信部が前記障害情報を受信した場合に、前記正常性状態テーブルの前記障害状態の更新を待機させる保護時間を設定する保護時間設定部
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のリンク制御装置。
【請求項3】
前記コマンド実行部は、
前記監視対象に障害が発生した場合でも、前記障害パターンテーブルに記載される前記障害パターンに定められた前記監視対象の一部のみの前記障害状態が異常ならば、処理を終了し、対応する前記ユーザネットワークインターフェースのリンクダウンを不実施とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のリンク制御装置。
【請求項4】
前記コマンド実行部は、
前記監視対象の障害が復旧した場合でも、該監視対象が含まれる前記障害パターンが未発生ならば、処理を終了し、対応する前記ユーザネットワークインターフェースのリンクアップを不実施とすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のリンク制御装置。
【請求項5】
データ通信網と、
前記データ通信網上に配置されており、ユーザ装置と前記データ通信網とを接続するユーザネットワークインターフェースを持ち、制御命令に従い前記ユーザネットワークインターフェースのリンクダウン及びリンクアップを実施するとともに、前記ユーザネットワークインターフェース又は/及び前記データ通信網上の通信経路を監視対象として前記監視対象の障害の有無についての障害情報を出力する複数の接続装置と、
請求項1から4のいずれかに記載されるリンク制御装置と、
前記接続装置と前記制御装置とを接続し、前記障害情報及び前記制御命令を伝搬する管理ネットワークと、
を備えるリンク制御システム。
【請求項6】
データ通信網上に配置されており、ユーザ装置と前記データ通信網とを接続するユーザネットワークインターフェースを持つ接続装置が出力する、監視対象としている前記ユーザネットワークインターフェース又は/及び前記データ通信網上の通信経路における障害の有無についての障害情報を受信し、
前記監視対象毎に正常又は異常の障害状態が記載される正常性監視対象インデックスが設定された正常性状態テーブルの該正常性監視対象インデックスの前記障害状態を前記障害情報に基づいて更新し、
少なくとも1つの前記監視対象を含む障害パターンインデックスが設定され、該障害パターンインデックスに含まれる全ての前記監視対象の前記障害状態に基づいてリンクダウン又はリンクアップさせる少なくとも1つの前記ユーザネットワークインターフェースを前記障害パターンインデックスに結びつけた障害パターンが記載され、前記障害パターンの発生の有無を更新する障害パターンテーブルを参照し、
前記監視対象に障害が発生したときに、対応する前記ユーザネットワークインターフェースをリンクダウンさせ、前記監視対象の障害が解消したときに、対応する前記ユーザネットワークインターフェースをリンクアップさせる制御命令を前記接続装置へ出力するリンク制御方法。
【請求項7】
前記制御命令で、前記ユーザネットワークインターフェースがリンクダウンを行った実行時間をポートリンクダウン実行ログテーブルに記憶し、
前記ポートリンクダウン実行ログテーブルが記憶する前記実行時間の後、前記障害情報受信部が前記障害情報を受信した場合に、保護時間設定部に設定された保護時間の間前記正常性状態テーブルの前記障害状態の更新を待機させることを特徴とする請求項6に記載のリンク制御方法。
【請求項8】
前記監視対象に障害が発生した場合でも、前記障害パターンテーブルに記載される前記障害パターンに定められた前記監視対象の一部のみの前記障害状態が異常ならば、処理を終了し、対応する前記ユーザネットワークインターフェースのリンクダウンを不実施とすることを特徴とする請求項6又は7に記載のリンク制御方法。
【請求項9】
前記監視対象の障害が復旧した場合でも、該監視対象が含まれる前記障害パターンが未発生ならば、処理を終了し、対応する前記ユーザネットワークインターフェースのリンクアップを不実施とすることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載のリンク制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−171844(P2011−171844A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31669(P2010−31669)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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