説明

リン化合物を用いる二炭酸ジエステルの安定化

リン化合物を用いることによって、長期間にわたり、熱分解および化学分解に関して二炭酸ジエステルを安定化することができる。二炭酸ジエステルとリン化合物との混合物は、優れた食品保存料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二炭酸ジエステルの安定剤としてのリン化合物の使用、および二炭酸ジエステルとリン化合物とを含有する混合物に関し、食品および材料を保存するためのこれらの混合物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
二炭酸ジエステルは、とりわけ、食品の保存、特に飲料の保存に、抗菌剤の成分として発酵プロセスにおける酵素を非活性化するために使用され、あるいは、ファインケミカルズまたはポリマーの合成に使用される。さらに、二炭酸ジエステルは、例えばアミンの酸化の触媒として、または合成のために、例えば保護基の導入において使用される。
【0003】
二炭酸ジエステルの安定性は、室温で、特に高温では比較的低いことが知られている。したがって、特に精製中、例えば蒸留による精製において、または比較的長い貯蔵中に、二炭酸ジエステルの分解が起こり得る。この分解によって、二炭酸ジエステルの質および純度が損なわれる。さらに、この分解は、一般に、不純物が多く存在するほど急速に進む。したがって、高純度の二炭酸ジエステル、および二炭酸ジエステルの安定化が強く求められている。
【0004】
二炭酸ジエステルの熱安定性を向上させる方法が、先行技術により既に知られている。例えば、金属硫酸塩を添加することによるジアルキルピロカーボネートの安定化が提案されている((特許文献1)参照)。しかしながら、この方法の欠点は、二炭酸ジエステルとこれらの金属硫酸塩との混和性が、低いかまたは乏しいということである。
【0005】
さらに、ホウ素化合物を添加することによって二炭酸ジエステルを安定化することが知られている((特許文献2)参照)。しかし、この場合の欠点は、相当するホウ素化合物の毒性である。食品における使用では、これらの添加は考慮に入らない。
【0006】
さらに、カルボニル化合物およびカルボニル化合物のヘテロ類似体もまた、二炭酸ジエステルに不活性な溶媒中の二炭酸ジエステル溶液の貯蔵安定性を高めるための添加物として提案されている((特許文献3)参照)。しかし、通例である非プロトン性溶媒中の二炭酸ジエステルの溶液は、食品への添加物としてほとんど考慮に入らない。加えて、安定化の効果は、比較的高いパーセンテージ量の添加物を使用してのみ達成され得る。
【特許文献1】特開昭48−4016号公報
【特許文献2】特開昭46−37810号公報
【特許文献3】独国特許出願公開第3231397号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、熱分解(thermal breakdown)に対して二炭酸ジエステルを効果的に保護するために好適な安定剤が必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、リン化合物を添加することによって、例えば、貯蔵中、または蒸留による精製などの精製中に起こり得る熱分解反応および/または化学分解反応に対して、二炭酸ジエステルを安定化することができることが見出された。
【0009】
したがって、本発明は、化学分解反応および/または熱分解反応に対して二炭酸ジエステルを安定化するための、少なくとも1種のリン化合物の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
二炭酸ジエステルは、好ましくは、一般式(I):
【0011】
【化1】

〔式中、RおよびRは、互いに独立して、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、シクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、またはベンジル(それぞれ、ハロゲン;ニトロ;シアノ;C〜Cアルコキシ;ジアルキルアミノによって、同一にまたは異なって、任意に一置換または多置換されていてよい)であるか、あるいは、フェニル(ハロゲン;ニトロ;シアノ;アルキル;ハロアルキル;アルコキシ;ハロアルコキシ;アシル;アシルオキシ;アルコキシカルボニル;カルボキシルによって、同一にまたは異なって、任意に一置換または多置換されていてよい)であり、
好ましくは、
およびRは、互いに独立して、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、またはベンジルであり、
特に好ましくは、
およびRは、互いに独立して、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、Cアルケニル、またはベンジルであり、
非常に特に好ましくは、
およびRは、互いに独立して、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、t−アミル、アリル、またはベンジルである〕
の化合物である。
【0012】
安定剤は、リン化合物、好ましくはリンと酸素との化合物、さらに好ましくは少なくとも1つのリン−酸素結合を有する化合物、特に好ましくは、リン酸化物類、リン−酸素酸類、およびこれらの誘導体類からの化合物である。
【0013】
一例として、リン−酸素酸として挙げられる酸は:一般式HPOおよびHPOn−1(式中、n=2、3、4および5である)のオルト酸およびメタ酸、一般式H(式中、n=4、5、6、7および8である)の二酸、さらに一般式Hn+23n+1(式中、n=3〜15000である)のポリリン酸である。
【0014】
リン−酸素酸の誘導体として挙げられるものは、特にその塩およびエステルである。エステルの例としては、モノ−、ジ−およびトリアルキルエステル、モノ−、ジ−およびトリアルケニルエステル、モノ−、ジ−およびトリアリールエステル、およびさらに糖誘導体またはグリセロール誘導体とのエステルである。前記モノ−、ジ−およびトリアルキルエステルにおけるアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル基である。これらのエステルは、塩として、例えばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、またはカルシウム塩などの、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩として存在することもできる。
【0015】
リン−酸素酸のさらなる誘導体として、少なくとも1つのリン−炭素結合をさらに含有する化合物が挙げられる。この種のリン−炭素含有化合物の例は、ホスホン酸、亜ホスホン酸、またはホスフィン酸の誘導体およびそれらのエステルである。挙げることができるエステルの例は、モノ−、ジ−およびトリアルキルエステル、モノ−、ジ−およびトリアルケニルエステル、モノ−、ジ−およびトリアリールエステル、さらに糖誘導体またはグリセロール誘導体とのエステルである。前記モノ−、ジ−およびトリアルキルエステルにおけるアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル基である。これらのエステルは、同様に、塩として、例えばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、またはカルシウム塩などの、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩として存在することもできる。
【0016】
リン化合物として、非常に特に好ましいのは、五酸化リン(P)、次亜リン酸(HPO)、亜リン酸(HPO)、水性または結晶性リン酸(HPO)、ピロリン酸、メタリン酸、ポリリン酸、リン酸ジメチル、リン酸トリメチル、ホスフェート(例えば、リン酸水素ナトリウムまたはリン酸水素アンモニウム、オレイルホスフェートなど)、フィチン酸、ホスホリルコリン、アデノシン3’−モノリン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、アミノ−トリスメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、または、ホスホン酸基含有イオン交換体(例えば、国際公開第2000001458号パンフレットまたは欧州特許出願公開第355007号によって開示されているものなど)である。
【0017】
リン化合物は、純物質として、あるいは水溶液またはアルコール溶液として使用することができる。これらの化合物は、ピロカーボネートまたは他の適切な溶媒に、予め均一に溶解しておくことができる。これらのリン化合物は、表面上、例えばガラス表面上に、固定化することもできる。
【0018】
加えて、当然のことながら、ごく少量の水の存在下でさえ、系内で(in situ)加水分解されて上記のリン化合物を生成する、さまざまな反応性リン−ハロゲン化合物を使用することができる。これらの例は、三塩化リンまたは塩化ホスホリルである。
【0019】
前記安定剤を、一般に、二炭酸ジエステルまたはその混合物に基づいて、0.01〜100000ppm、好ましくは0.1〜10000ppm、特に好ましくは0.1〜3000ppm、非常に特に好ましくは0.1〜2000ppmの量で使用する。
【0020】
本発明による使用の結果として、一般に、熱分解および化学分解反応に対して二炭酸ジエステルを安定化することができる。かかる分解反応は、例えば貯蔵中に起こる。
【0021】
本発明により安定化された二炭酸ジエステルは、向上した貯蔵安定性によって特徴付けられる。例えば、本方法で安定化された二炭酸ジエステルは、二炭酸ジエステルの分解が観察されることなく、数ヶ月間室温で保存することができる。
【0022】
本発明はさらに、1種以上の上記の式(I)の二炭酸ジエステルと、二炭酸ジエステルまたはその混合物に基づいて一般に0.01〜100000ppm、好ましくは0.1〜10000ppm、特に好ましくは0.1〜3000ppm、非常に特に好ましくは0.1〜2000ppmの量の、一般的におよび好ましく上述したリン化合物のうちの1種以上と、を含有する混合物に関する。非常に特に好ましいのは、式(I)の二炭酸の少なくとも1種のジエステル、特にジメチルジカーボネートおよび/またはジエチルジカーボネートと、P、HPO、HPO、水性または結晶性HPO、ピロリン酸、メタリン酸、ポリリン酸、リン酸ジメチル、リン酸トリメチル、ホスフェート(例えば、リン酸水素ナトリウムまたはリン酸水素アンモニウム、オレイルホスフェートなど)、フィチン酸、ホスホリルコリン、アデノシン3’−モノリン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、アミノトリスメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、三塩化リン、塩化ホスホリル、またはホスホン酸基含有イオン交換体類からの1種以上のリン化合物と、の混合物である。
【0023】
本発明の混合物は、その中に存在する二炭酸ジエステルの分解が起こることなく、数ヶ月にわたって保存することができる。
【0024】
本発明の混合物は、微生物(例えば、細菌、真菌、または酵母など)による感染および/または分解に対して、食品、特に飲料を保存するのに著しく適している。
【0025】
本発明は、食品および飲料を保存するための、本発明の混合物の使用にも関する。
【0026】
本発明に従って安定化された二炭酸ジエステルは、非炭酸飲料または炭酸飲料(例えば、ソフトドリンク、ビタミンドリンク、果汁飲料、茶飲料、アルコールまたは脱アルコールワイン飲料、フルーツポンチ、またはビールなど)用の低温消毒剤として著しく適している。このために、従来どおりに、飲料のパッキングに近い時間に合わせて、二炭酸ジエステルを10〜250ppmの量で添加する。飲料への混合は、特別な計量ポンプを使用して行われる。二炭酸ジエステルは、一連の微生物(例えば、発酵性酵母、カビ、または発酵性細菌など)を制御するように働く。本明細書において挙げることができる例は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、酵母菌属(Mycoderma)、ブレタノマイセス属(Brettanomyces spp)、乳酸短杆菌(Lactobacillus brevis)、乳酸杆菌(Lactobacillus buchneri)、およびその他多数である。
【0027】
さらに、二炭酸ジエステルの熱分解反応は、例えば二炭酸ジエステルの製造方法との関連で起こるのと同様に、特に、二炭酸ジエステルの処理(workup)または蒸留の実施の際にも起こる。リン化合物の本発明の使用によって、二炭酸ジエステルを、比較的低い損失および比較的高い純度で蒸留することができる。
【0028】
したがって、本発明はさらに、上記の式(I)の二炭酸ジエステル1種以上と、それぞれ二炭酸ジエステルまたはその混合物に基づいて一般に0.01〜100000ppm、好ましくは0.1〜10000ppmの量の、一般にかつ好ましく上述したリン化合物のうちの1種以上とを混合し、次いで、この混合物を、5〜100ミリバール、好ましくは10〜70ミリバールの圧力、および30〜120℃、好ましくは40〜90℃の温度で蒸留することによる、二炭酸ジエステルの蒸留による精製方法に関する。工業的な従来からの蒸留カラムがこの蒸留のために考慮される。
【0029】
蒸留における二炭酸ジエステルの収率は通常、99%より高い。
【0030】
以下の実施例は、本発明の主題を説明することを意図するものであるが、本発明の主題はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0031】
[実施例1]
表1〜6のデータに対応して、それぞれの場合に、磁気撹拌機を備えた10ml丸底フラスコに、規定する高純度の二炭酸ジエステルの規定量、およびそれぞれ指定した添加物を計り入れた。各場合に使用した添加物の正確な量を、同様に表に示す。
【0032】
丸底フラスコをセプタムでしっかりと閉じた。このセプタムには、テフロン(登録商標)(Teflon)チューブが取り付けられる開口部があり、このチューブは、一目盛0.1mlの垂直なシリコーン油充填50mlビュレット内に通される。ビュレットの目盛りで、二炭酸ジエステルが分解した結果発生する二酸化炭素の量を読み取ることができる。それぞれの実験について表1〜6に指定した一定温度の油浴(500rpmで攪拌されているもの)に、フラスコを迅速に浸した。フラスコの浸漬の深さは2.0cmであった。
【0033】
それぞれ指定した時間の後、一般には1、2、5、10および15分後に、気体の体積を読み取った。気体の体積は、COを発生する二炭酸ジエステルの分解の程度の指標である。したがって、気体の体積は、試験される添加物による安定化度を逆比例により反映する。
【0034】
ほとんどの場合に、再現性を確実にするために実験を繰り返した。各場合において、有意な再現性が存在した。
【0035】
結果は表から引き出すことができる。高純度ピロカーボネートは、観察時間において、二酸化炭素をほとんど放出しなかったが、少量のシリカゲル、二酸化マンガン、または擦り傷が付けられたガラス(scratched glass)などの単に粗い表面と接触させると、大幅に分解が促進された。少量の安定剤が、この分解を効果的に低減するのに十分であった。
【0036】
温度ストレス下にて二炭酸ジエステルが放出する気体分解生成物が少なくなるほど、真空下での蒸留が有利に進む。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
【表3A】

【表3B】

【表3C】

【0040】
【表4】

【0041】
【表5】

【0042】
【表6】

【0043】
[実施例2]
ジメチルジカーボネートを室温で貯蔵した。分解の指標として、ジメチルカーボネート含有量をGCによって測定した。安定剤組成物を添加しない場合、試料のジメチルカーボネート含有量は、3ヵ月後に1090ppmであった。
【0044】
この実験を、リン酸約5ppmを添加した以外は同様にして繰り返した。10個のさまざまな試料を使用して、一連の実験を行った。この場合における、3ヵ月後のジメチルカーボネート含有量は、平均でわずか210ppmであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学分解および熱分解反応に対して二炭酸ジエステルを安定化するための、リン化合物類からの少なくとも1種の化合物の使用。
【請求項2】
前記リン化合物が、少なくとも1つのリン−酸素結合を有する、リンと酸素との化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記リン化合物が、リン酸化物類、リン−酸素酸類、およびこれらの誘導体類からの化合物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記リン−酸素酸類が、一般式HPOおよびHPOn−1(式中、n=2、3、4および5である)のオルト酸およびメタ酸、一般式H(式中、n=4、5、6、7および8である)の二酸、ならびに一般式Hn+23n+1(式中、n=3〜15000である)のポリリン酸であることを特徴とする、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記二炭酸ジエステルが、一般式:
【化1】

〔式中、RおよびRは、互いに独立して、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、シクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、またはベンジル(それぞれ、ハロゲン;ニトロ;シアノ;C〜Cアルコキシ;ジアルキルアミノによって、同一にまたは異なって、任意に一置換または多置換されていてよい)であるか、あるいは、フェニル(ハロゲン;ニトロ;シアノ;アルキル;ハロアルキル;アルコキシ;ハロアルコキシ;アシル;アシルオキシ;アルコキシカルボニル;カルボキシルによって、同一にまたは異なって、任意に一置換または多置換されていてよい)である〕
の化合物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記二炭酸ジエステルが、ジメチルジカーボネートまたはジエチルジカーボネートであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記リン化合物を、二炭酸ジエステルまたはその混合物に基づいて、0.01〜100000ppmの量で使用することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
分解反応に対する前記安定化が、処理、抽出、蒸留または貯蔵中の安定化であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
一般式:
【化2】

〔式中、RおよびRは、互いに独立して、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、シクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、またはベンジル(それぞれ、ハロゲン;ニトロ;シアノ;C〜Cアルコキシ;ジアルキルアミノによって、同一にまたは異なって、任意に一置換または多置換されていてよい)であるか、あるいは、フェニル(ハロゲン;ニトロ;シアノ;アルキル;ハロアルキル;アルコキシ;ハロアルコキシ;アシル;アシルオキシ;アルコキシカルボニル;カルボキシルによって、同一にまたは異なって、任意に一置換または多置換されていてよい)である〕
の1種以上の二炭酸ジエステルと、
二炭酸ジエステルまたはその混合物の量に基づいて、0.01〜100000ppmの量の1種以上のリン化合物と
を含有する混合物。
【請求項10】
前記リン化合物が、少なくとも1つのリン−酸素結合を有する、リンと酸素との化合物であることを特徴とする、請求項9に記載の混合物。
【請求項11】
前記リン化合物が、リン酸化物類、リン−酸素酸類、およびこれらの誘導体類からの化合物であることを特徴とする、請求項9または10に記載の混合物。
【請求項12】
ジメチルジカーボネートおよびジエチルジカーボネートからの少なくとも1種の化合物と、
、HPO、HPO、水性または結晶性HPO、ピロリン酸、メタリン酸、ポリリン酸、リン酸ジメチル、リン酸トリメチル、ホスフェート(例えば、リン酸水素ナトリウムまたはリン酸水素アンモニウム、オレイルホスフェートなど)、フィチン酸、ホスホリルコリン、アデノシン3’−モノリン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、アミノ−トリスメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、三塩化リン、塩化ホスホリル、またはホスホン酸基含有イオン交換体からの少なくとも1種のリン化合物と
を含有することを特徴とする、請求項9〜11のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項13】
食品、飲料、および材料を保存するための、請求項9〜12のいずれか一項に記載の混合物の使用。
【請求項14】
一般式:
【化3】

〔式中、RおよびRは、互いに独立して、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、シクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、またはベンジル(それぞれ、ハロゲン;ニトロ;シアノ;C〜Cアルコキシ;ジアルキルアミノによって、同一にまたは異なって、任意に一置換または多置換されていてよい)であるか、あるいは、フェニル(ハロゲン;ニトロ;シアノ;アルキル;ハロアルキル;アルコキシ;ハロアルコキシ;アシル;アシルオキシ;アルコキシカルボニル;カルボキシルによって、同一にまたは異なって、任意に一置換または多置換されていてよい)である〕
の1種以上の二炭酸ジエステルを、1種以上のリン化合物と混合し、次いで、この混合物を蒸留することを特徴とする、二炭酸ジエステルの蒸留による精製方法。
【請求項15】
前記リン化合物が、少なくとも1つのリン−酸素結合を有する、リンと酸素との化合物であることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記リン化合物が、リン酸化物類、リン−酸素酸類、およびこれらの誘導体類からの化合物であることを特徴とする、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
1種以上のリン化合物を、二炭酸ジエステルまたはその混合物に基づいて、0.01〜100000ppmの量で使用することを特徴とする、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
蒸留を、5〜100ミリバールの圧力、および30〜120℃の温度で行うことを特徴とする、請求項14〜17のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2009−534327(P2009−534327A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505749(P2009−505749)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/003200
【国際公開番号】WO2007/121857
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】