説明

リーダライタ、サービス提供システム、可搬記録媒体操作判別方法およびサービス提供方法

【課題】可搬記録媒体のみを操作して、可搬記録媒体のリーダライタへのかざし方如何により、本人認証を含む各種サービスのうち、所望のサービスの実施を指定可能なサービス提供システムを提供する。
【解決手段】可搬記録媒体例えば非接触ICカード20の記録内容を電磁誘導により読み書きするリーダライタ10に、上下にあるいは左右に非対称な形状のアンテナコイル1と、非接触ICカード20をアンテナコイル1の近傍を移動させた際に生じるアンテナコイル1からの反射電力の変化を検出する反射検出部2と、反射検出部2が検出した反射電力の変化を非接触ICカード20をかざした方向を示す反射電力の変化のパタンとして判別する判別部5とを備え、判別部5にて判別した反射電力の変化のパタンを上位装置50へ通知することにより、上位装置50にて、非接触ICカード20をかざした方向に対応するサービスを特定して、実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーダライタ、サービス提供システム、可搬記録媒体操作判別方法およびサービス提供方法に関する。特に、利用者が所持する非接触ICカード、RF(Radio Frequency)タグなどの可搬記録媒体に関するサービスを実施する情報処理装置、情報通信装置などの分野において好適に適用される。
【背景技術】
【0002】
従来、非接触ICカードやRF(Radio Frequency)タグなどの可搬記録媒体に関するサービスを実現しようとする場合、利用者は、所望のサービスを指定するためのサービス識別用のボタンを押下するなど、何らかの手段によって、所望のサービス(例えば、電子マネー支払い、残高参照など)を選択した後に、可搬記録媒体をリーダライタ(可搬記録媒体リーダライタ)上にかざすという2段階の操作を行うという使用方法であった。
【0003】
また、特許文献1の特開2003−091702号公報「非接触ICカードおよび非接触ICカードの位置検出方法」においては、ICカードの両面を使い分けて、ICカードの表面をリーダライタにかざす時と裏面をリーダライタかざす時とでは異なるサービスを選択するという方法も提案されている。しかしながら、非接触ICカードの利用時に、本人認証を併用したいという場合には、テンキーによるパスワードの投入や指紋読み取りによる認証など、ICカードをかざす操作とは別の手段を用いて、本人認証を実施しなければならなかった。
【特許文献1】特開2003−091702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、従来の技術においては、非接触カードやRFタグなどの可搬記録媒体に関するサービス(例えば、残高照会、電子マネー支払いなどのアプリケーションサービスや本人認証サービスなど)を選択して実行しようとする場合、当該可搬記録媒体のリーダライタへのかざし方(かざす方向やかざす速度など)によって、所望のアプリケーションサービスを指定したり、本人の認証処理を指定したりするという発想はなく、実行させたいサービスを識別するボタンの押下操作を行ったり、あるいは、テンキーによるパスワード入力などの手段を用いて本人の認証を実施したりすることが必要であり、該可搬記録媒体をリーダライタにかざす操作とは異なる操作を行うことが必要であった。
【0005】
また、前記特許文献1に記載の非接触ICカードの位置検出方法においては、非接触ICカードの表裏を磁性体で区切って、どちらの面がリーダライタにかざされたかということを判別する機能を非接触ICカードに組み込むことが必要であり、非接触ICカードの構造が複雑になり、通常、多数の枚数を発行しなければならない非接触ICカードのコストが上昇するという問題点があった。
【0006】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、可搬記録媒体のみの操作により、本人認証を含む各種サービスのうち、所望のサービスを指定して実施させることを可能とするリーダライタ、サービス提供システム、可搬記録媒体操作判別方法およびサービス提供方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するために、可搬記録媒体(非接触ICカード、RFタグなど)のリーダライタ(可搬記録媒体リーダライタ)へのかざし方如何により、所望のアプリケーションサービス(残高照会や電子マネー支払いなどのサービス)を選択したり、本人認証処理を指定したりすることを、その主要な特徴としている。具体的には、可搬記録媒体の利用者が、該可搬記録媒体を、リーダライタへかざす方向(リーダライタの上側から下側へ、または、右側から左側へなど)を変えながら、1回ないし複数回かざす操作を行った際に、リーダライタにおいて、利用者が行った可搬記録媒体のかざし方を判別することを可能とすることによって、当該利用者が要求しているサービスを特定することを可能とする仕組みを備えている。
【0008】
ここで、利用者が行った可搬記録媒体のかざし方をリーダライタにおいて判別可能とするために、リーダライタに近接してかざされた可搬記録媒体と電磁結合するリーダライタ側のアンテナコイルの形状を三角形などの上下非対称あるいは左右非対称とすること、あるいは、該アンテナコイルを非対称な形態にした複数個のコイルに分割して設置することなどにより、可搬記録媒体がリーダライタに近づいたり離れたりする時の方向を、リーダライタが前記アンテナコイルにおける反射電力の変化の違いとして検出・判別するようにしていることに、その特徴がある。
【0009】
具体的には、本発明は、以下のごとき各技術手段から構成されている。
【0010】
第1の技術手段は、可搬記録媒体の記録内容を電磁誘導により読み書きするリーダライタにおいて、上下非対称あるいは左右非対称となるように巻線したアンテナコイルと、前記可搬記録媒体を前記アンテナコイルの近傍を移動させるようにかざした際に生じる該アンテナコイルからの反射電力の変化を検出する検出部と、該検出部が検出した反射電力の変化のパタンを判別する判別部とを少なくとも備えることを特徴とする。
【0011】
第2の技術手段は、前記第1の技術手段に記載のリーダライタにおいて、前記アンテナコイルの形状が、上下または左右の一方が頂点で、他方が辺になる三角形形状、あるいは、上下または左右の一方のコイル密度が疎で、他方のコイル密度が密である偏心形形状、あるいは、上下または左右の一方のコイルの巻き数が少なく、他方のコイルの巻き数が多い複数のコイルに分割した分割形形状のいずれかの形状であることを特徴とする。
【0012】
第3の技術手段は、前記第1または第2の技術手段に記載のリーダライタにおいて、前記判別部は、前記検出部が検出した前記反射電力の信号波形の立ち上がり時間と立ち下がり時間との比較結果を、前記反射電力の変化のパタンの判別結果として出力することを特徴とする。
【0013】
第4の技術手段は、前記第3の技術手段に記載のリーダライタにおいて、前記検出部が、最初の前記反射電力の変化を検出した以降、あらかじめ定めた制限時間が経過するまでに1ないし複数回の前記反射電力の変化を検出した場合、前記判別部は、前記検出部が検出した1ないし複数の前記反射電力の変化それぞれについて、前記反射電力の信号波形の立ち上がり時間と立ち下がり時間とを比較して、得られた1ないし複数回の比較結果の組合せを、前記反射電力の変化のパタンの判別結果として出力することを特徴とする。
【0014】
第5の技術手段は、前記第1ないし第4の技術手段のいずれかに記載のリーダライタにおいて、前記判別部は、前記検出部が検出した前記反射電力をディジタル信号に変換するAD変換器と、該AD変換器がディジタル信号に変換した前記反射電力の変化のパタンを判別する判別用コントローラとを少なくとも備えることを特徴とする。
【0015】
第6の技術手段は、前記第1ないし第5の技術手段のいずれかに記載のリーダライタにおいて、前記可搬記録媒体に関する各種のサービスを実行する上位装置との間の通信を行う通信インタフェース部を備え、前記判別部の判別結果である前記反射電力の変化のパタンを、前記上位装置に前記通信インタフェース部を介して通知することを特徴とする。
【0016】
第7の技術手段は、前記第6の技術手段に記載のリーダライタにおいて、各種情報を表示する液晶パネルまたはランプからなる表示部を備え、前記判別部の判別結果を送信した前記上位装置から、指定した情報の表示を指示する通知用コマンドを前記通信インタフェース部を介して受け取った際に、該通知用コマンドにて指示された情報を前記表示部に表示することを特徴とする。
【0017】
第8の技術手段は、前記第1ないし第7の技術手段のいずれかに記載のリーダライタにおいて、前記可搬記録媒体が、非接触ICカードまたはRFタグであることを特徴とする。
【0018】
第9の技術手段は、可搬記録媒体の記録内容を電磁誘導により読み書きするリーダライタと、可搬記録媒体に関する各種サービスのうち、前記リーダライタの近傍を移動するようにかざした前記可搬記録媒体の利用者が希望するサービスを実行し、当該可搬記録媒体の記録内容を必要に応じて更新する上位装置とを備えたサービス提供システムにおいて、前記リーダライタが前記第1ないし第8の技術手段のいずれかに記載のリーダライタからなっていて、前記上位装置が、前記リーダライタから受け取った前記判別部の判別結果に基づいて、実行すべきサービスを判別して、判別した該サービスを実行し、前記リーダライタにかざされた前記可搬記録媒体の記録内容を必要に応じて更新することを特徴とする。
【0019】
第10の技術手段は、前記第9の技術手段に記載のサービス提供システムにおいて、前記上位装置が実行する前記可搬記録媒体に関する各種サービスとして、残高照会サービス、電子マネー支払サービスの2つのアプリケーションサービスを少なくとも含むことを特徴とする。
【0020】
第11の技術手段は、前記第9または第10の技術手段に記載のサービス提供システムにおいて、前記上位装置が実行する前記可搬記録媒体に関する各種サービスとして、当該可搬記録媒体の利用者本人の認証を行う本人認証サービスを少なくとも含むことを特徴とする。
【0021】
第12の技術手段は、リーダライタとの電磁誘導により記録内容を読み書きする可搬記録媒体の前記リーダライタへのかざし方を判別する可搬記録媒体操作判別方法であって、前記可搬記録媒体を上下非対称あるいは左右非対称な形状のアンテナコイルの近傍を移動させるようにかざした際に生じる該アンテナコイルからの反射電力の変化を検出する検出ステップと、該検出ステップによって検出した反射電力の変化のパタンを判別する判別ステップとを少なくとも有していることを特徴とする。
【0022】
第13の技術手段は、前記第12の技術手段に記載の可搬記録媒体操作判別方法において、前記アンテナコイルの形状が、上下または左右の一方が頂点で、他方が辺になる三角形形状、あるいは、上下または左右の一方のコイル密度が疎で、他方のコイル密度が密である偏心形形状、あるいは、上下または左右の一方のコイルの巻き数が少なく、他方のコイルの巻き数が多い複数のコイルに分割した分割形形状のいずれかの形状であることを特徴とする。
【0023】
第14の技術手段は、前記第12または第13の技術手段に記載の可搬記録媒体操作判別方法において、前記判別ステップにおける前記反射電力の変化のパタンの判別結果として、前記検出ステップによって検出した前記反射電力の信号波形の立ち上がり時間と立ち下がり時間との比較結果を出力することを特徴とする。
【0024】
第15の技術手段は、前記第14の技術手段に記載の可搬記録媒体操作判別方法において、前記検出ステップにおいて、最初の前記反射電力の変化を検出した以降、あらかじめ定めた制限時間が経過するまでに1ないし複数回の前記反射電力の変化を検出した場合、前記判別ステップにおける前記反射電力の変化のパタンの判別結果として、前記検出ステップによって検出した1ないし複数回の前記反射電力の変化それぞれについて、前記反射電力の信号波形の立ち上がり時間と立ち下がり時間とを比較して、得られた1ないし複数の比較結果の組合せを出力することを特徴とする。
【0025】
第16の技術手段は、前記第12ないし第15の技術手段のいずれかに記載の可搬記録媒体操作判別方法において、前記可搬記録媒体に関する各種のサービスを実行する上位装置に対して、前記可搬記録媒体から読み出した記録内容を送信する他に、前記判別ステップにおける判別結果である前記反射電力の変化のパタンを通知することを特徴とする。
【0026】
第17の技術手段は、可搬記録媒体に関する各種サービスのうち、リーダライタの近傍を移動させるようにかざした可搬記録媒体の利用者が希望するサービスを実行し、当該可搬記録媒体の記録内容を必要に応じて更新するサービス提供方法において、前記可搬記録媒体の前記リーダライタへのかざし方を判別する方法が前記第12ないし第16の技術手段のいずれかに記載の可搬記録媒体操作判別方法であって、前記判別ステップにおける判別結果である前記反射電力の変化のパタンに基づいて、実行すべきサービスを判別して、判別した該サービスを実行し、前記リーダライタにかざされた前記可搬記録媒体の記録内容を必要に応じて更新することを特徴とする。
【0027】
第18の技術手段は、前記第17の技術手段に記載のサービス提供方法において、前記可搬記録媒体に関する各種サービスとして、残高照会サービス、電子マネー支払サービスの2つのアプリケーションサービスを少なくとも含むことを特徴とするサービス提供方法。
【0028】
第19の技術手段は、前記第17または第18の技術手段に記載のサービス提供方法において、前記可搬記録媒体に関する各種サービスとして、当該可搬記録媒体の利用者本人の認証を行う本人認証サービスを少なくとも含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明のリーダライタ、サービス提供システム、可搬記録媒体操作判別方法およびサービス提供方法によれば、非接触ICカードやRFタグなどの可搬記録媒体のリーダライタへのかざし方を変えることにより、所望のサービス(残高照会や電子マネー支払いなどのアプリケーションサービス)を選択したり、あるいは、可搬記録媒体に関するサービスの一種である本人認証を行ったりすることが可能であり、可搬記録媒体以外のサービス識別用択ボタンやテンキーなどの他の手段を使用することなく、可搬記録媒体のみを用いて、サービスの選択や本人認証を行うことができ、可搬記録媒体の利用者の利便性を大幅に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、本発明に係るリーダライタ、サービス提供システム、可搬記録媒体操作判別方法およびサービス提供方法の最良の実施形態について、その一例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてまず説明する。本発明は、非接触型ICカードやRFタグなどの可搬記録媒体の記録内容を読み書きするリーダライタのアンテナコイルの形状を、図1に示すように、上下にあるいは左右に非対称な形状(三角形、偏心形、分割形など)とすることに主要な特徴があり、この結果として、前記可搬記録媒体のリーダライタへのかざし方(かざす方向やかざす速度)の違いにより生じる、リーダライタのアンテナコイルにおける入力インピーダンスの変化のパタンを、アンテナコイルからの反射電力を測定した結果に基づいて判別することによって、可搬記録媒体のリーダライタへのかざし方を識別することを可能とし、而して、当該可搬記録媒体の利用者が所望するサービス(残高照会、電子マネー支払いなどのアプリケーションサービスや本人認証サービスなどのうちのいずれかのサービス)を実施可能とするものである。
【0032】
図1は、本発明によるリーダライタのアンテナコイルの形状の一例を示す模式図であり、上下に非対称なコイル形状とする一例として、図1(a)のアンテナコイル1aは、図1の上側が頂点となって細く、下側が辺となって幅が広くなる三角形の形状を示し、図1(b)のアンテナコイル1bは、図1の上側のコイル密度が疎で、下側のコイル密度が密な偏心形の形状を示し、図1(c)のアンテナコイル1cは、複数のコイルに分割する一例して図1の上下に第1コイル1c、第2コイル1cの2つのコイルに分割して、上側の第1コイル1cは巻き数が少なく、下側の第2コイル1cは巻き数が多い分割形の形状としている場合を示している。
【0033】
図1のような上下に非対称な形状のアンテナコイルとして、該アンテナコイルの非対称な方向に可搬記録媒体を移動するようにかざす操作を行った場合、該アンテナコイルにおける入力インピーダンスが、可搬記録媒体の操作に応じて変化する。
【0034】
したがって、該入力インピーダンスの変化の様相をリーダライタ側で判別する機能を備えることによって、可搬記録媒体(非接触ICカードやRFタグなど)のみを用いて、利用者が該可搬記録媒体をリーダライタへ近づけたり離したりする方向や速度など可搬記録媒体の操作の仕方を変えるだけで、利用者が所望するサービスを、リーダライタや該リーダライタに接続した上位装置において判別させることができるので、例えば、サービスを実行する上位装置において、提供すべきサービス(残高照会や電子マネー支払いなどのアプリケーションサービスや本人認証サービスなど)を選択させて、実行させることができる。
【0035】
さらに説明すれば、次の通りである。
【0036】
一般に、非接触ICカードやRFタグなどの可搬記録媒体を、リーダライタのアンテナコイルに近づけると、リーダライタの該アンテナコイルと可搬記録媒体例えば非接触ICカード側のアンテナコイルとの電磁結合の度合い(つまり結合係数)が変化することにより、相互インダクタンスが変化する。この結果として、リーダライタの送信部側から見たリーダライタのアンテナコイルの入力インピーダンスが変化するので、該送信部からのアンテナコイルヘの送信電力に対する反射電力も、入力インピーダンスの変化に合わせて変化する。
【0037】
該反射電力の変化の速度は、結合係数の変化の速度に比例する。つまり、可搬記録媒体例えば非接触ICカードをリーダライタに近づけたり離したりすると、その接近速度や離反速度に応じて、アンテナコイルからの反射電力に変化が生じる。また、リーダライタのアンテナコイルを例えば三角形形状のごとき非対称な形状に形成した場合、三角形形状のアンテナコイルの頂点の方向に可搬記録媒体例えば非接触ICカードが近づいたり離れたりした場合には、電磁結合の変化は緩やかであるので、反射電力の変化も緩やかであるが、該アンテナコイルの辺の方向に可搬記録媒体例えば非接触ICカードが近づいたり離れたりすると、電磁結合の変化は、逆に、急激になり、反射電力の変化も急激になる。
【0038】
かくのごとき反射電力の変化の様相の違いを検出し、かつ、反射電力の変化のパタンとして判別する仕組みを、リーダライタに付与し、かかる仕組みを用いて判別した判別結果(反射電力の変化のパタン)を、リーダライタが接続されている外部の上位装置(例えば、可搬記録媒体に関するサービスを実施するサービス提供サーバなど)に伝える。リーダライタから当該判別結果を受信した該上位装置においては、当該判別結果に応じて、実施すべきアプリケーションサービスを選択したり、かざした本人の認証を行ったりするようにする。
【0039】
したがって、可搬記録媒体例えば非接触ICカードのリーダライタへかざす方向やかざす速度など可搬記録媒体の操作の仕方を変えることによって、前述のようなリーダライタが接続されたサービス提供システムとして、可搬記録媒体のみの操作により利用者が所望するサービスを簡単に選択し、該当するアプリケーションサービスを実行させたり、可搬記録媒体例えば非接触ICカードをかざした本人を特定させたりすることができる。
【0040】
(本発明によるサービス提供システムの構成例)
次に、図1に示すような上下または左右に非対称な形状のアンテナコイルを備えたリーダライタを用いたサービス提供システムの具体的な構成例について図2を用いて説明する。図2は、本発明によるリーダライタを用いたサービス提供システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。なお、図2においては、利用者が所持する可搬記録媒体として、非接触ICカード20を用いる場合を示し、リーダライタ10内に設置した上下または左右に非対称になるように巻線したアンテナコイル1の一例として、図1(a)に示す上下に非対称な三角形形状のコイル(つまり図1(a)のアンテナコイル1a)を用いている場合を示している。
【0041】
また、図2に示す実施形態においては、リーダライタ10への非接触ICカード20のかざし方によって異なるサービスを選択可能とする一例として、非接触ICカード20の利用者が、非接触ICカード20をリーダライタ10へ1回だけかざし、かつ、かざす方向を変えることによって、所望のアプリケーションサービスの提供を上位装置50に対してリーダライタ10を介して要求する場合の動作の一例を示している。
【0042】
ここで、非接触ICカード20をリーダライタ10へかざす方向として、
(1)例えば、残高照会サービスというアプリケーションサービスを提供させるために、リーダライタ10内のアンテナコイルの頂点方向から近づけ、辺の方向に向かって抜けるようにかざす場合(つまり、図2の上方向から下方向に非接触ICカード20を移動させるようにかざす場合)、
(2)例えば、電子マネー支払いサービスというアプリケーションサービスを提供させるために、リーダライタ10内のアンテナコイルの辺方向から近づけ、頂点の方向に向かって抜けるようにかざす場合(つまり、図2の下方向から上方向に非接触ICカード20を移動させるようにかざす場合)、
の2つの場合を示している。
【0043】
図2に示すように、非接触ICカード20だけを用いて、上位装置50から異なるサービスを利用者に対して提供することを可能とするために、非接触ICカード20の記録内容を電磁結合により読み書きするリーダライタ10は、三角形の形状からなるアンテナコイル1、反射検出部2、送信部3、受信部4、判別部5、コントローラ6、通信インタフェース部7、および、表示部8を少なくとも備えている。ここで、本発明の特徴は、リーダライタ10として、特殊な形状のアンテナコイル1、反射検出部2、判別部5を備えている点にあり、送信部3、受信部4、コントローラ6、通信インタフェース部7、表示部8の各構成要素については、従来から存在する通常のリーダライタと同様の回路構成であって構わない。
【0044】
アンテナコイル1は、前述したように、図2の上下に非対称な三角形の形状とされ、近接した非接触ICカード20との間で磁界によるデータの送受信を行う。反射検出部2は、例えば方向性結合器によって構成され、アンテナコイル1からの反射電力を測定し、測定した該反射電力の変化に応じた電圧信号を判別部5に分岐出力する検出部である。判別部5は、反射検出部2にて測定した反射電力の変化に応じた電圧信号により、反射電力の変化のパタンを判別するものであり、反射電力の変化のパタンの判別結果によって、非接触ICカード20の接近方向(つまり非接触ICカード20のリーダライタ10へかざす方向)を判別することができる。
【0045】
また、送信部3は、アンテナコイル1から非接触ICカード20へ送信する送信データを変調・増幅して出力するものであり、受信部4は、非接触ICカード20からアンテナコイル1を介して受信した受信データを復調するものである。
【0046】
また、コントローラ6は、上位装置50からのコマンドによる指示に応じて送信部3、受信部4の非接触ICカード20との間の送受信動作(読み書き動作)およびリーダライタ10内の各部の動作を制御するものである。
【0047】
また、通信インタフェース部7は、情報処理装置や情報通信装置などからなる上位装置50(非接触ICカード20に関するサービスを実行するサービス提供サーバ)との間の通信を行うためのインタフェースを提供するものであり、非接触ICカード20の当該リーダライタ10へのかざし方の判別結果つまり判別部5における反射電力の変化のパタンの判別結果を、上位装置50に対して通知したり、あるいは、上位装置50から非接触ICカード20への読み書き動作を指示するリーダライタ制御コマンドや非接触ICカード20の利用者に対する通知などのためにリーダライタ10の表示部8への表示指示などを行うICカード通信用コマンドを、コントローラ6へ転送したりする。
【0048】
また、表示部8は、液晶パネルやランプなどからなり、リーダライタ10に非接触ICカード20をかざした利用者に対して通知する情報などを表示するものである。
【0049】
なお、判別部5は、AD変換器5aと判別用コントローラ5bとから構成されており、AD変換器5aは、反射検出部2からの反射電力の変化に応じたアナログ電圧信号をディジタル信号に変換するものであり、入力されたアナログ電圧信号(つまり反射電力)をディジタル処理することが可能なように、サンプリングし、量子化する。
【0050】
また、判別用コントローラ5bは、AD変換器5aにてディジタル信号に変換された電圧信号(つまり反射電力の変化に応じた信号)の変化のパタンを判別するものであり、電圧値(つまり反射電力値)の大きさが変化する速度のパタンを判別することによって、非接触ICカード20がかざされた方向を判別する。つまり、AD変換器5aにてディジタル化された電圧信号(つまり反射電力)の信号波形の立ち上がり時間および立ち下がり時間を計測し、両者を比較することにより、非接触ICカード20が、アンテナコイル1の頂点方向から近づいて辺方向に抜けていった場合(図2に示す(1)の場合)、あるいは、アンテナコイル1の辺方向から近づいて頂点方向に抜けていった場合(図2に示す(2)の場合)のいずれであるかを判別する。
【0051】
なお、本実施形態においては、非接触ICカード20を1回のみかざしている場合を示しているが、あらかじめ定めた制限時間内に、複数回に亘って、非接触ICカード20をリーダライタ10にかざす場合であっても、同様に、反射電力の変化のパタンを判別する。すなわち、非接触ICカード20がかざされる都度生じるそれぞれの反射電力の変化を検出して、反射電力の変化に相当する電圧信号をディジタル化し、ディジタルされた電圧信号(反射電力)それぞれの信号波形について立ち上がり時間と立ち下がり時間との比較を行うことによって、複数回に亘る両者の比較結果から、複数回に亘る各非接触ICカード20のかざし方つまり反射電力の変化のパタンを判別することができる。
【0052】
判別部5の判別用コントローラ5bにおける反射電力の変化のパタンに関する判別結果(つまり、非接触ICカード20のかざし方を判別した結果)は、上位装置50に対して通知される。上位装置50は、リーダライタ10から通知されてきた反射電力の変化のパタンに関する判別結果に基づいて、非接触ICカード20のかざし方を判別し、提供可能な各種のサービス(残高照会、電子マネー支払いなどのアプリケーションサービスや本人認証処理のサービスなど)のうち、非接触ICカード20の利用者によって指定・選択されたサービスつまり非接触ICカード20のかざし方に該当するサービスを実行し、当該非接触ICカード20の記録内容を必要に応じて更新することにより、当該非接触ICカード20の利用者に対して所望のサービスを提供する処理機能を備えた情報処理装置・情報通信装置(つまりサービス提供用サーバ)である。
【0053】
本実施形態においては、前述したように、上位装置50は、リーダライタ10から通知されてきた反射電力の変化のパタンの判別結果に基づいて、当該非接触ICカード20に関する残高照会サービス、電子マネー支払いサービスの2つのアプリケーションサービスのうちいずれかのサービスを実施する。
【0054】
このようなアプリケーションサービスを実施可能とするために、上位装置50は、リーダライタ10のコントローラ6に対して、非接触ICカード20の記録内容の読み書きを指示するリーダライタ制御コマンドや、非接触ICカード20との間の制御情報の通信や非接触ICカード20の利用者への情報通知(例えば、指定した情報をリーダライタ10上の表示部8へ表示する通知)を指示する通知用コマンドすなわちICカード通信用コマンドをリーダライタ10へ送信する機能を備えている。
【0055】
(本発明の動作原理)
次に、本発明によるリーダライタの動作原理について、図2の装置構成に基づいて説明する。
【0056】
非接触ICカード20をリーダライタ10の上下に非対称な形状のアンテナコイル1に近づけると、非接触ICカード20のアンテナコイル21とリーダライタ10のアンテナコイル1との結合係数が変化し、リーダライタ10のアンテナコイル1は、非接触ICカード20のアンテナコイル21からの相互インダクタンスの影響をより多く受けることになる。
【0057】
この結果、リーダライタ10のアンテナコイル1の送信部3に対する入力インピーダンスが変化することになり、非接触ICカード20が近傍に存在しないときの送信部3との整合状態から変化して、送信部3に戻ってくる反射電力が変化する。反射電力が変化する様相を方向性結合器にて構成された反射検出部2によって検出し、反射電力の大きさに応じた電圧信号を判別部5に対して分岐出力する。非接触ICカード20を、リーダライタ10の上下に非対称な三角形形状のアンテナコイル1にかざした場合の反射電力の大きさの変化を実験した結果を図3に示す。
【0058】
図3のうち、図3(a)は、非接触ICカード20をアンテナコイル1にかざす様子を示す模式図であり、図3(a)の符号(1)に示すように、三角形形状のアンテナコイル1の頂点の方向から近づけて辺の方向に抜ける場合と、図3(a)の符号(2)に示すように、三角形形状のアンテナコイル1の辺の方向から近づけて頂点の方向に抜ける場合とを示している。
【0059】
図3(b)は、図3(a)のような2種類のかざし方をした場合の、アンテナコイル1の反射電力の大きさの実験結果を示す特性図である。図3(a)の符号(1)に示すように、三角形形状のアンテナコイル1の頂点の方向から近づけて辺の方向に抜ける場合は、図3(b)の実線で示すように、立ち上がりは緩やかで、立ち下がりは急峻である。一方、図3(a)の符号(2)に示すように、三角形形状のアンテナコイル1の辺の方向から近づけて頂点の方向に抜ける場合は、図3(b)の破線で示すように、立ち上がりは急峻で、立ち下がりは緩やかである。
【0060】
したがって、図2の判別部5においては、反射検出部2からの電圧信号(反射電力の変化のパタンに相当する信号)をAD変換器5aにてAD変換(アナログ・ディジタル変換)し、判別用コントローラ5bにて、ディジタル変換された電圧信号(つまり反射電力の変化を示す信号波形に相当する信号)の立ち上がり速度、立ち下がり速度を判別することによって、非接触ICカード20が近づいた方向を判別することができる。
【0061】
すなわち、判別用コントローラ5bにおいては、図3(b)に図示しているように、反射電力の変化に応じた電圧信号の立ち上がり速度が緩やかで、立ち下がり速度が急峻な場合には、非接触ICカード20が、アンテナコイル1の三角形の頂点方向(図2の上からの方向:符号(1))から近づいた場合と判別し、逆に、反射電力の変化に応じた電圧信号の立ち上がり速度が急峻で、立ち下がり速度が緩やかな場合には、非接触ICカード20が、アンテナコイル1の三角形の辺方向(図2の下からの方向:符号(2))から近づいた場合と判別することができる。
【0062】
つまり、判別用コントローラ5bにおいて、図3(b)の実験結果や図2の符号(1)、(2)の反射電力の変化に示しているように、反射電力の変化に応じた電圧信号の立ち上がり時間よりも、立ち下がり時間が短い場合には、非接触ICカード20が、アンテナコイル1の三角形の頂点方向から近づいた場合と判別し、逆に、反射電力の変化に応じた電圧信号の立ち上がり時間よりも、立ち下がり時間が長い場合には、非接触ICカード20が、アンテナコイル1の三角形の辺方向から近づいた場合と判別することができる。
【0063】
さらには、非接触ICカード20がリーダライタ10にかざされる都度、非接触ICカード20がかざされた方向を、反射電力の変化に応じた電圧信号の立ち上がり時間と立ち下がり時間との比較結果を用いて判別することにすれば、あらかじめ定めた制限時間内に、1回ないし複数回に亘って非接触ICカード20をかざす操作がなされたような場合であっても、それぞれに対応して得られる1回ないし複数回の比較結果の組合せとして、反射電力の変化のパタンを判別することができる。而して、1回ないし複数回の比較結果の組合せを用いることにより、2個のみに限ることなく、2個以上の複数個のサービスのうち、いずれのサービスを指定しているのかを識別することができる。
【0064】
(図2のシステム構成における動作例)
次に、図2のシステム構成における動作について、図4のフローチャートを用いてさらに詳細に説明する。図4は、本発明による一実施形態である図2のシステム構成の動作の一例を示すフローチャートであり、本発明による可搬記録媒体操作判別方法およびサービス提供方法の一例を説明するものである。
【0065】
図2に示すサービス提供システムにおいては、例えば、次のようにして、所望のサービスを利用者に対して提供することになる。
【0066】
まず、非接触ICカード20に関するサービスの実施を要求する利用者は、要求するサービスに応じて非接触ICカード20を図2のリーダライタ10上を上から下へまたは下から上へ移動させるようにかざす(ステップS21)。ここで、以下の実施形態においては、利用者が要求するサービスが、前述のように、残高照会サービス、電子マネー支払いサービスの2つのアプリケーションサービスのいずれかであり、残高照会サービスの場合は、図2の符号(1)に示すように、非接触ICカード20を、図2のリーダライタ10の上から下へ移動するように1回だけかざし、また、電子マネー支払いサービスの場合は、図2の符号(2)に示すように、非接触ICカード20を、図2のリーダライタ10の下から上へ移動するように1回だけかざす操作を行えば良いものとする。
【0067】
非接触ICカード20が図2のリーダライタ10上を上から下へまたは下から上へ移動させるようにかざされると、リーダライタ10においては、上下に非対称な三角形形状のアンテナコイル1との電磁結合によって、アンテナコイル1の反射電力の変化が反射検出部2により検出され、反射電力の変化を示す電圧信号とされて、方向性結合器により判別部5へ分岐出力される(ステップS11:反射電力の変化を検出する検出ステップを意味する)。
【0068】
ここで、図2の符号(1)に示すように、非接触ICカード20を図2のリーダライタ10の上方向から下方向に向かって移動操作をして、三角形形状のアンテナコイル1の細く尖っている頂点方向から近づけて、アンテナコイル1の幅が広い下辺の方向に抜けるように、かざすと、前述したように、非接触ICカード20のアンテナコイル21とリーダライタ10のアンテナコイル1との結合係数の変化は、アンテナコイル1の頂点に近づく時は緩やかであり、アンテナコイル1の下辺から離れる時は急峻となるので、反射検出部2から出力される反射電力の信号波形を表す電圧信号の変化は、図5(a)の特性図に示すようになる。
【0069】
一方、図2の符号(2)に示すように、非接触ICカード20を図2のリーダライタ10の下方向から上方向に向かって移動操作をして、三角形形状のアンテナコイル1の幅が広い下辺の方向から近づけて、アンテナコイル1の細く尖った頂点の方向に抜けるように、かざすと、前述したように、非接触ICカード20のアンテナコイル21とリーダライタ10のアンテナコイル1との結合係数の変化は、アンテナコイル1の下辺に近づく時は急峻で、アンテナコイル1の頂点から離れる時は緩やかとなるので、反射検出部2から出力される反射電力の信号波形を表す電圧信号の変化は、図5(b)の特性図に示すようになる。
【0070】
ここで、図5は、非接触ICカード20をリーダライタ10に近接させた場合に、リーダライタ10の反射検出部2が検出する反射電力の信号波形を表す電圧信号の変化の様子を示す特性図であり、図3の実験結果に示した反射電力の変化の様相を模式的に示している。図5(a)は、図2の符号(1)に示すように、非接触ICカード20をアンテナコイル1の頂点方向から近づけて、アンテナコイル1の辺の方向に抜けるようにかざした場合の反射電力の信号波形を表す電圧信号の変化の様子を示し、図5(b)は、逆に、図2の符号(2)に示すように、非接触ICカード20をアンテナコイル1の辺方向から近づけて、アンテナコイル1の頂点の方向に抜けるようにかざした場合の反射電力の信号波形を表す電圧信号の変化の様子を示している。
【0071】
したがって、リーダライタ10には上下に非対称な三角形形状のアンテナコイル1を設置することによって、非接触ICカード20をリーダライタ10にかざす方向として、図2の上から下へ(符号(1)の方向へ)移動させた場合と、図2の下から上へ(符号(2)の方向へ)移動させた場合とによって、図5に示すように、反射電力の変化に応じた電圧信号の立ち上がり時間(t1)と立ち下がり時間(t2)とが、異なる様相を示すことになり、この両者の様相の違いに基づいて、要求しているサービスを判別することが可能である。
【0072】
なお、前述したように、非接触ICカード20のリーダライタ10へかざす操作を1回のみに限ることなく、複数回かざすようにしても良く、図2の符号(1)の方向と符号(2)の方向とのそれぞれの操作順序の組合せに応じて、複数の反射電力の変化の組合せを生成し、それぞれの反射電力の変化の組合せに対応して、要求するサービスを定義することにより、2個に限ることなく、任意の個数のサービスを選択することも可能である。
【0073】
反射検出部2から出力される反射電力の変化に応じた電圧信号は、判別部5のAD変換器5aに入力されて、アナログ形式からディジタル信号形式に変換されて、判別部5の判別用コントローラ5bに入力される(ステップS12)。
【0074】
判別部5の判別用コントローラ5bにおいては、AD変換器5aにてディジタル信号形式に変換された電圧信号(つまりアンテナコイル1の反射電力の信号波形)の立ち上がり時間t1と立ち下がり時間t2とを比較する(ステップS13)。立ち上がり時間t1と立ち下がり時間t2との比較結果を反射電力の変化のパタンとして判別して(ステップS14:反射電力の変化のパタンを判別する判別ステップを意味する)、判別した反射電力の変化のパタンを、通信インタフェース部7を介して、当該リーダライタ10に外部接続している上位装置50に対して通知する(ステップS15)。
【0075】
ここで、図2の符号(1)に示すように、非接触ICカード20をアンテナコイル1の頂点方向から近づけて、アンテナコイル1の辺の方向に抜けるようにかざした場合には、図5(a)に示すように、
t1>t2
の関係となっているので、判別部5の判別用コントローラ5bからの反射電力の変化のパタンに関する判別結果を受け取った上位装置50においては、所望のサービスを要求する利用者によって、図2の符号(1)のかざし方(つまり、図2の上から下方向へ移動させるかざし方)がなされたものと判別することができる。
【0076】
逆に、図2の符号(2)に示すように、非接触ICカード20をアンテナコイル1の辺方向から近づけて、アンテナコイル1の頂点の方向に抜けるようにかざした場合には、図5(b)に示すように、
t1<t2
の関係となっているので、判別部5の判別用コントローラ5bからの反射電力の変化のパタンに関する判別結果を受け取った上位装置50においては、所望のサービスを要求する利用者によって、図2の符号(2)のかざし方(つまり、図2の下から上方向へ移動させるかざし方)がなされたものと判別することができる。
【0077】
すなわち、上位装置50において、リーダライタ10の判別部5からの判別結果(反射電力の変化のパタンつまりアンテナコイル1の反射電力の信号波形の立ち上がり時間t1と立ち下がり時間t2との比較結果)を受け取ると(ステップS51)、該判別結果(反射電力の変化のパタンの判別結果)に基づいて、利用者へ提供すべきサービス種別(アプリケーションサービスや本人認証処理などのサービス種別)を判別して(ステップS52)、判別したサービス種別を、これから実施しようとするサービスを利用者へ通知するICカード通知用コマンドとして、リーダライタ10に対して通知する(ステップS53)。
【0078】
本実施形態の場合には、あらかじめ定めた制限時間内に、非接触ICカード20をリーダライタ10にかざす操作回数が1回だけであるので、上位装置50は、前述のように、非接触ICカード20に関する残高照会サービス、電子マネー支払いサービスの2つのアプリケーションサービスのうち、いずれのサービスを選択して実施するかということを判別している。
【0079】
ここで、上位装置50において、例えば、前述したように、図2の符号(1)に示す方向の1回だけのかざし方が残高照会サービスであり、図2の符号(2)に示す方向の1回だけのかざし方が電子マネー支払いサービスであるものとして、実施すべきアプリケーションサービスのサービス種別をあらかじめ定めて、非接触ICカード20の利用者に周知している。この結果、非接触ICカード20の利用者は、非接触ICカード20以外の手段を用いることなく(例えば、アプリケーションサービスを指定するためのサービス識別用のボタンの押下操作などを行うことなく)、非接触ICカード20を操作するだけで、所望のサービスを選択して実施させることができる。
【0080】
すなわち、非接触ICカード20の利用者は、図2の符号(1)に示す方向のかざし方をするだけで、残高照会サービスを選択して実施させることができ、一方、図2の符号(2)に示す方向のかざし方をするだけで、電子マネー支払いサービスを選択して実施させることができる。
【0081】
上位装置50において選択したサービス種別は、前述のように、ICカード通信用コマンドとして、リーダライタ10のコントローラ6に対して通知されてくるので、リーダライタ10のコントローラ6は、リーダライタ10上に配置されているランプなどの表示部8に通知されてきたサービス種別を表示することによって、上位装置50にて実施しようとしているサービス種別を非接触ICカード20の利用者に提示することができる(ステップS16)。
【0082】
非接触ICカード20の利用者は、リーダライタ10上のランプなどの表示部8の表示内容によって、上位装置50において実施しようとしているサービスの種別を確認することができ、確認した後で、再度、リーダライタ10に非接触ICカード20をかざすことにより、希望するサービス(例えば残高照会、電子マネーの支払いのいずれかのアプリケーションサービス)を受けることができる。
【0083】
かくのごとく、利用者は、非接触ICカード20のリーダライタ10へのかざし方を変えるだけで、所望するサービスを指定し、該サービスの提供を受けることが可能となる。
【0084】
(他の実施形態)
前述の実施形態の説明においては、上位装置50において、非接触ICカード20の利用者が、リーダライタ10への非接触ICカード20のかざし方に応じて、残高照会サービス、電子マネー支払いサービスの2つのアプリケーションサービスのうち、いずれかのサービスを選択して、選択したサービスの提供を受ける場合について示したが、本発明は、かかる場合のみに限るものではない。例えば、前述の実施形態にて説明したような仕組みを、非接触ICカード20の利用者に対して提供するサービスの一つとして、非接触ICカード20の利用者本人に関する本人認証に用いるようにしても良いし、あるいは、2つのアプリケーションサービスの選択に限らず、2つ以上の複数のアプリケーションサービスのうちいずれかのサービスの選択を行うようにしても良い。
【0085】
つまり、非接触ICカード20をリーダライタ10にかざす回数を1回のみに限ることなく、リーダライタ10の反射検出部2にて最初の反射電力の変化を検出した以降、あらかじめ定めた制限時間内に、複数回かざすような操作も可能である。該制限時間内に複数回に亘って非接触ICカード20をリーダライタ10にかざした場合には、複数回のそれぞれのかざし方について図2の符号(1)に示すようなかざし方と符号(2)に示すようなかざし方とを組合せることによって、2つ以上の複数のサービス(アプリケーションサービスや本人認証処理サービスなど)のうち、いずれか1つのサービスを特定して指定することが可能である。
【0086】
例えば、非接触ICカード20の利用者本人に関する本人認証に用いる場合には、一例として、図2の符号(1)に示すようなかざし方(非接触ICカード20をアンテナコイル1の頂点方向から近づけて、アンテナコイル1の辺の方向に抜けるようなかざし方)を2回行った後、図2の符号(2)に示すようなかざし方(非接触ICカード20をアンテナコイル1の辺方向から近づけて、アンテナコイル1の頂点の方向に抜けるようなかざし方)を1回行うものとして、上位装置50側においてあらかじめ定めておく。
【0087】
ここで、非接触ICカード20の利用者が、あらかじめ定めた制限時間内に、本人認証用として上位装置50に登録されている前述のような操作(非接触ICカード20のかざし方)を行うと、上位装置50において、本人認証用のサービスが指定されているものと判別されて、上位装置50から、ICカード通信用コマンドによって、これから本人認証用の処理を実行しようとする旨の通知が、リーダライタ10のコントローラ6に対して通知されてきて、リーダライタ10上の表示部8(本人認証用ランプなど)にその旨を表示させることができる。
【0088】
また、前述の実施形態においては、図2に示すように、アンテナコイル1の反射電力の大きさを比較判別する判別部5をリーダライタ10の内部に実装する例について説明したが、上位装置50側に実装しても構わない。かくのごとき場合、判別部5のAD変換器5aと判別用コントローラ5bとを分離して、AD変換器5aは、リーダライタ10側に実装し、判別用コントローラ5bを上位装置50側に実装するようにしても良い。
【0089】
さらに、前述の実施形態においては、図2に示すように、非接触ICカード20などの可搬記録媒体の記録内容を読み書きするリーダライタ10側に左右または上下に非対称な形状のアンテナコイル1を備えている場合について説明したが、本発明はかかる場合のみに限るものではない。例えば、リーダライタ10側ではなく、非接触ICカード20やRFタグなどからなる可搬記録媒体側のアンテナコイルとして(例えば非接触ICカード20のアンテナコイル21として)、図1に示すような上下または左右に非対称な形状のアンテナコイルを備えるようにしても良い。あるいは、リーダライタ側と可搬記録媒体側との双方に上下または左右に非対称な形状のアンテナコイルを備えるようにして、両者の組合せを利用することによって複数種類のサービスの判別を行うようにしても良い。
【0090】
また、前述の実施形態においては、固定的に据え付けたリーダライタ10に非接触ICカード20をかざす場合について説明したが、リーダライタがハンディ型であっても構わない。ハンディ型リーダライタの場合、非接触ICカード20とリーダライタとの相対的な位置関係の変化が前述の実施形態の場合と同様になっている限り、ハンディ型のリーダライタのアンテナコイル(場合によっては、可搬記録媒体側のアンテナコイル)を非対称な形状とすることにより、ハンディ型のリーダライタを一方の手に保持して、もう一方の手に持った非接触ICカード20を当該リーダライタのいずれかの方向になぞるように操作すれば、前述の実施形態と同様の効果が得られるのは当然である。
【0091】
(さらに異なる実施形態)
また、タッチアンドゴーのように、可搬記録媒体例えば非接触ICカード20の利用者が、非接触ICカード20をリーダライタ10のアンテナコイル1の正面からタッチして、タッチした方向と同じ正面の方向に離すかざし方を行う場合であっても、異なるサービスを選択したり、本人認証を行ったりすることができる。
【0092】
かくのごとく、タッチした方向と同じ方向に離すかざし方を行う場合には、可搬記録媒体例えば非接触ICカード20をリーダライタ10にタッチするときの接近速度と、リーダライタ10から離す時の離反速度とを、当該非接触ICカード20の利用者が明示的に変えることにより、複数のサービス種別(アプリケーションサービスや本人認証処理など)のうち、いずれかのサービスを指定するようにすれば良い。
【0093】
なお、前述のように、リーダライタ10に対する非接触ICカード20の接近速度と離反速度とを明示的に変更する場合には、リーダライタ10のアンテナコイル1を、図1のような上下または左右に非対称とする巻き方を行う必要はなく、均一な巻き方であっても実現することが可能である。
【0094】
(本発明による実施形態の効果)
以上に詳細に説明したように、本発明による実施形態においては、非接触ICカード20やRFタグなどの可搬記録媒体のリーダライタ10へのかざし方を変えることによって、サービス識別用のボタンなど他の手段を利用することなく、所望のアプリケーションサービスの選択や本人認証を行うことができるようになり、可搬記録媒体の利用者の利便性が大幅に向上するという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明によるリーダライタのアンテナコイルの形状の一例を示す模式図である。
【図2】本発明によるリーダライタを用いたサービス提供システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【図3】非接触ICカードを、リーダライタの上下に非対称な三角形形状のアンテナコイルにかざした場合の反射電力の大きさの変化を実験した結果を示す特性図である。
【図4】本発明による一実施形態である図2のシステム構成の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】非接触ICカードをリーダライタに近接させた場合に、リーダライタの反射検出部が検出する反射電力の信号波形を表す電圧信号の変化の様子を示す特性図である。
【符号の説明】
【0096】
1…アンテナコイル、1a…アンテナコイル、1b…アンテナコイル、1c…アンテナコイル、1c…第1コイル、1c…第2コイル、2…反射検出部(検出部)、3…送信部、4…受信部、5…判別部、5a…AD変換器、5b…判別用コントローラ、6…コントローラ、7…通信インタフェース部、10…リーダライタ、20…非接触ICカード、21…アンテナコイル、50…上位装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬記録媒体の記録内容を電磁誘導により読み書きするリーダライタにおいて、上下非対称あるいは左右非対称となるように巻線したアンテナコイルと、前記可搬記録媒体を前記アンテナコイルの近傍を移動させるようにかざした際に生じる該アンテナコイルからの反射電力の変化を検出する検出部と、該検出部が検出した反射電力の変化のパタンを判別する判別部とを少なくとも備えることを特徴とするリーダライタ。
【請求項2】
請求項1に記載のリーダライタにおいて、前記アンテナコイルの形状が、上下または左右の一方が頂点で、他方が辺になる三角形形状、あるいは、上下または左右の一方のコイル密度が疎で、他方のコイル密度が密である偏心形形状、あるいは、上下または左右の一方のコイルの巻き数が少なく、他方のコイルの巻き数が多い複数のコイルに分割した分割形形状のいずれかの形状であることを特徴とするリーダライタ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のリーダライタにおいて、前記判別部は、前記検出部が検出した前記反射電力の信号波形の立ち上がり時間と立ち下がり時間との比較結果を、前記反射電力の変化のパタンの判別結果として出力することを特徴とするリーダライタ。
【請求項4】
請求項3に記載のリーダライタにおいて、前記検出部が、最初の前記反射電力の変化を検出した以降、あらかじめ定めた制限時間が経過するまでに1ないし複数回の前記反射電力の変化を検出した場合、前記判別部は、前記検出部が検出した1ないし複数の前記反射電力の変化それぞれについて、前記反射電力の信号波形の立ち上がり時間と立ち下がり時間とを比較して、得られた1ないし複数回の比較結果の組合せを、前記反射電力の変化のパタンの判別結果として出力することを特徴とするリーダライタ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のリーダライタにおいて、前記判別部は、前記検出部が検出した前記反射電力をディジタル信号に変換するAD変換器と、該AD変換器がディジタル信号に変換した前記反射電力の変化のパタンを判別する判別用コントローラとを少なくとも備えることを特徴とするリーダライタ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のリーダライタにおいて、前記可搬記録媒体に関する各種のサービスを実行する上位装置との間の通信を行う通信インタフェース部を備え、前記判別部の判別結果である前記反射電力の変化のパタンを、前記上位装置に前記通信インタフェース部を介して通知することを特徴とするリーダライタ。
【請求項7】
請求項6に記載のリーダライタにおいて、各種情報を表示する液晶パネルまたはランプからなる表示部を備え、前記判別部の判別結果を送信した前記上位装置から、指定した情報の表示を指示する通知用コマンドを前記通信インタフェース部を介して受け取った際に、該通知用コマンドにて指示された情報を前記表示部に表示することを特徴とするリーダライタ。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のリーダライタにおいて、前記可搬記録媒体が、非接触ICカードまたはRFタグであることを特徴とするリーダライタ。
【請求項9】
可搬記録媒体の記録内容を電磁誘導により読み書きするリーダライタと、可搬記録媒体に関する各種サービスのうち、前記リーダライタの近傍を移動させるようにかざした前記可搬記録媒体の利用者が希望するサービスを実行し、当該可搬記録媒体の記録内容を必要に応じて更新する上位装置とを備えたサービス提供システムにおいて、前記リーダライタが請求項1ないし8のいずれかに記載のリーダライタからなっていて、前記上位装置が、前記リーダライタから受け取った前記判別部の判別結果に基づいて、実行すべきサービスを判別して、判別した該サービスを実行し、前記リーダライタにかざされた前記可搬記録媒体の記録内容を必要に応じて更新することを特徴とするサービス提供システム。
【請求項10】
請求項9に記載のサービス提供システムにおいて、前記上位装置が実行する前記可搬記録媒体に関する各種サービスとして、残高照会サービス、電子マネー支払サービスの2つのアプリケーションサービスを少なくとも含むことを特徴とするサービス提供システム。
【請求項11】
請求項9または10に記載のサービス提供システムにおいて、前記上位装置が実行する前記可搬記録媒体に関する各種サービスとして、当該可搬記録媒体の利用者本人の認証を行う本人認証サービスを少なくとも含むことを特徴とするサービス提供システム。
【請求項12】
リーダライタとの電磁誘導により記録内容を読み書きする可搬記録媒体の前記リーダライタへのかざし方を判別する可搬記録媒体操作判別方法であって、前記可搬記録媒体を上下非対称あるいは左右非対称な形状のアンテナコイルの近傍を移動させるようにかざした際に生じる該アンテナコイルからの反射電力の変化を検出する検出ステップと、該検出ステップによって検出した反射電力の変化のパタンを判別する判別ステップとを少なくとも有していることを特徴とする可搬記録媒体操作判別方法。
【請求項13】
請求項12に記載の可搬記録媒体操作判別方法において、前記アンテナコイルの形状が、上下または左右の一方が頂点で、他方が辺になる三角形形状、あるいは、上下または左右の一方のコイル密度が疎で、他方のコイル密度が密である偏心形形状、あるいは、上下または左右の一方のコイルの巻き数が少なく、他方のコイルの巻き数が多い複数のコイルに分割した分割形形状のいずれかの形状であることを特徴とする可搬記録媒体操作判別方法。
【請求項14】
請求項12または13に記載の可搬記録媒体操作判別方法において、前記判別ステップにおける前記反射電力の変化のパタンの判別結果として、前記検出ステップによって検出した前記反射電力の信号波形の立ち上がり時間と立ち下がり時間との比較結果を出力することを特徴とする可搬記録媒体操作判別方法。
【請求項15】
請求項14に記載の可搬記録媒体操作判別方法において、前記検出ステップにおいて最初の前記反射電力の変化を検出した以降、あらかじめ定めた制限時間が経過するまでに1ないし複数回の前記反射電力の変化を検出した場合、前記判別ステップにおける前記反射電力の変化のパタンの判別結果として、前記検出ステップによって検出した1ないし複数回の前記反射電力の変化それぞれについて、前記反射電力の信号波形の立ち上がり時間と立ち下がり時間とを比較して、得られた1ないし複数の比較結果の組合せを出力することを特徴とする可搬記録媒体操作判別方法。
【請求項16】
請求項12ないし15のいずれかに記載の可搬記録媒体操作判別方法において、前記可搬記録媒体に関する各種のサービスを実行する上位装置に対して、前記可搬記録媒体から読み出した記録内容を送信する他に、前記判別ステップにおける判別結果である前記反射電力の変化のパタンを通知することを特徴とする可搬記録媒体操作判別方法。
【請求項17】
可搬記録媒体に関する各種サービスのうち、リーダライタの近傍を移動させるようにかざした可搬記録媒体の利用者が希望するサービスを実行し、当該可搬記録媒体の記録内容を必要に応じて更新するサービス提供方法において、前記可搬記録媒体の前記リーダライタへのかざし方を判別する方法が請求項12ないし16のいずれかに記載の可搬記録媒体操作判別方法であって、前記判別ステップにおける判別結果である前記反射電力の変化のパタンに基づいて、実行すべきサービスを判別して、判別した該サービスを実行し、前記リーダライタにかざされた前記可搬記録媒体の記録内容を必要に応じて更新することを特徴とするサービス提供方法。
【請求項18】
請求項17に記載のサービス提供方法において、前記可搬記録媒体に関する各種サービスとして、残高照会サービス、電子マネー支払サービスの2つのアプリケーションサービスを少なくとも含むことを特徴とするサービス提供方法。
【請求項19】
請求項17または18に記載のサービス提供方法において、前記可搬記録媒体に関する各種サービスとして、当該可搬記録媒体の利用者本人の認証を行う本人認証サービスを少なくとも含むことを特徴とするサービス提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−15415(P2010−15415A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175379(P2008−175379)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】