説明

リーダライタシステム

【課題】リーダライタシステムで、複数のリーダライタI1〜I3が同期して通信体14との通信を行う。
【解決手段】制御装置11では、制御手段が複数のリーダライタI1〜I3に対して同期した動作を実行させるための所定の同期動作信号を送信する。複数のリーダライタI1〜I3では、それぞれ、受信手段が制御装置11から送信された同期動作信号を受信し、非接触送信手段が受信手段により受信された同期動作信号に基づくタイミングで通信体14からの情報を取得するための所定の情報取得信号をアンテナJ1〜J3により非接触で送信し、非接触受信手段が情報取得信号に応じて通信体14から非接触で送信された情報を受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のリーダライタを備えたリーダライタシステムに関し、特に、複数のリーダライタが同期して通信体との通信を行うリーダライタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFIDタグの単価が低減してきたこともあり、RFIDタグを利用した様々なシステムが注目されている。特に、図書館における本棚(書架)に収納された書籍の管理或いはファイルの管理や、宝石店などにおける商品陳列棚に置かれた商品の管理などのように、複数のリーダライタのアンテナを隣接して設置するシステムが用いられる場面が増えている。
このようなシステムでは、図書館における本棚や宝石店における商品陳列棚などに複数のリーダライタが設置され、書籍や商品などに付されたRFIDタグとリーダライタとの間で電磁誘導などを用いて非接触で通信を行うことで、書籍や商品などを管理する。また、複数のリーダライタを制御する制御装置が備えられる。
【0003】
まず、図3には、一つ(1台)のリーダライタ(図3の例では、リーダライタ1)が存在する場合に行われる通信の様子の一例を示してある。ここで、リーダライタ1と非接触通信することが可能な領域に複数のRFIDタグ(図3の例では、4個のタグ1〜4)が存在するとする。
リーダライタ1は、制御装置から入力される識別情報(ID情報)読み取りのための所定のコマンド(67.8msのInventoryコマンド)をアンテナから非接触で送信する。すると、このコマンドを受信した各タグ1〜4がID情報を含む応答信号をアンテナから非接触で送信し、リーダライタ1が所定の期間(72ms)において当該応答信号を受信する。ここで、各タグ1〜4からリーダライタ1への応答信号にはタグ毎に時間差が発生し得る。その後、所定の期間(80ms)において制御装置(例えば、パーソナルコンピュータ(PC))による処理や制御装置とリーダライタ1との通信が行われる。そして、これら一連の処理の期間(約220ms=67.8ms+72ms+80ms)が経過した後に、再び同様な動作を行うことが可能となる。
【0004】
次に、図4には、複数のリーダライタ(図4の例では、3個のリーダライタ1〜3)のアンテナが隣接して存在する場合に行われる通信の様子の一例を示してある。ここで、リーダライタ1と非接触通信することが可能な領域に複数のRFIDタグ(図4の例では、4個のタグ1〜4)が存在し、リーダライタ2と非接触通信することが可能な領域に複数のRFIDタグ(図4の例では、4個のタグ5〜8)が存在し、リーダライタ3と非接触通信することが可能な領域に複数のRFIDタグ(図4の例では、2個のタグ9、10)が存在するとする。
図3を参照して示されるのと同様に、各リーダライタ1〜3は、制御装置から入力される所定のコマンド(67.8msのInventoryコマンド)をアンテナから非接触で送信して、それぞれの通信可能領域に存在するタグからの応答信号を受信する。
ここで、既存のシステムでは、制御装置から複数のリーダライタ1〜3のそれぞれに対して、非同期で、ID情報読み取りのための所定のコマンドが出力されており、これにより、制御装置が各リーダライタ1〜3を介して各タグ1〜10からの応答信号に含まれるID情報を読み取って管理していた。
【0005】
なお、従来技術の一例として、一つのリーダライタに複数のアンテナを接続して、各アンテナを図書収納棚のような複数の棚のそれぞれに設置することにより、各棚に収納された物品に貼付されたRFIDタグの情報を読み取る物品管理棚が検討等されているが(例えば、特許文献1参照。)、棚全体においてRFIDタグの情報を読み取る時間を高速化するためには、例えば図4に示されるように、一つのシステムで複数のリーダライタを用いる必要が発生する。
【0006】
【特許文献1】特開2002−60021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図4に示されるようなシステムでは、アンテナが隣接するリーダライタ同士で、リーダライタ3からタグへのコマンド発行と他のリーダライタ2によるタグからの応答信号受信とのタイミングが重なってしまうことが生じ、この場合、タグからの応答信号と比べてリーダライタからのコマンド出力の方がはるかに電力が大きいため、タグからの応答信号を受信するリーダライタ2では、コマンドを発行するリーダライタ3からのコマンドをノイズとして受信してしまい、受信情報(受信データ)の精度に影響を与えてしまうといった問題があった。
具体例として、図書館における本棚などについては、単行本用に棚板の間隔を狭くすることや、本棚を背中合わせで設置することなどが行われるが、このような場合には、特に、各リーダライタのアンテナ同士が接近して配置されるため互いに干渉することとなる。そして、各リーダライタから非同期でタグへのコマンドが発行されるため、発行されたコマンドが他のリーダライタによりノイズ成分として受信されてしまい、情報の読み取り精度が低下してしまう。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決するために為されたもので、複数のリーダライタが同期して通信体との通信を行うことにより、リーダライタ同士の干渉を防止することができるリーダライタシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本例のリーダライタシステムでは、次のような構成により、リーダライタが通信体と非接触で通信する。
すなわち、制御装置と、複数のリーダライタと、を備える。
前記制御装置では、制御手段が、前記複数のリーダライタに対して、同期した動作を実行させるための所定の信号(同期動作信号)を送信する。
前記複数のリーダライタは、それぞれ、アンテナと、受信手段と、非接触送信手段と、非接触受信手段と、を備える。前記受信手段は、前記制御装置から送信された前記同期動作信号を受信する。前記非接触送信手段は、前記受信手段により受信された前記同期動作信号に基づくタイミングで、前記通信体からの情報を取得するための所定の信号(情報取得信号)を前記アンテナにより非接触で送信する。前記非接触受信手段は、前記情報取得信号に応じて前記通信体から非接触で送信された情報を受信する。
【0010】
従って、制御装置による制御により、複数のリーダライタから情報取得信号を非接触で送信するタイミングが同期させられるため、例えば、或るリーダライタから通信体へ情報取得信号が非接触で送信されるタイミング(つまり、或るリーダライタによる送信タイミング)と通信体から他のリーダライタへ情報が非接触で送信されるタイミング(つまり、他のリーダライタによる受信タイミング)とが重ならないようにすることができる。このように、複数のリーダライタが同期して通信体との通信を行うことにより、リーダライタ同士の干渉を防止することができる。
【0011】
ここで、制御装置や、リーダライタとしては、それぞれ、種々なものが用いられてもよい。
また、制御装置と各リーダライタとは、例えば、有線で接続されて有線通信するが、他の構成例として、無線通信してもよい。
また、複数のリーダライタの数としては、種々な数が用いられてもよい。
また、通信体としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、非接触で通信するタグや、非接触で通信するICカードなどを用いることができる。
また、通信体が動作するために使用する電力としては、例えば、リーダライタから通信体へ非接触で電力が供給されてもよく、或いは、通信体がバッテリなどを備えてもよい。
【0012】
また、非接触な通信としては、例えば、電磁誘導を利用した通信などを用いることができる。
また、リーダライタのアンテナや、通信体のアンテナ(通信体アンテナ)としては、それぞれ、種々なものが用いられてもよく、例えば、ループアンテナを用いることができる。
また、制御装置からリーダライタへ送信される所定の同期動作信号としては、種々な信号が用いられてもよい。
また、リーダライタから通信体へ送信される所定の情報取得信号としては、種々な信号が用いられてもよく、例えば、制御装置から受信される所定の同期動作信号と同じものが用いられてもよく、或いは、異なるものが用いられてもよい。
【0013】
また、所定の同期動作信号に基づくタイミングとしては、種々な態様が用いられてもよく、例えば、各リーダライタが制御装置から同期動作信号を受信したことに応じて(例えば、特に時間を計らずにすぐに)情報取得信号を送信する態様や、或いは、各リーダライタが制御装置から同期動作信号を受信したタイミングから予め設定された所定時間が経過したタイミングで情報取得信号を送信する態様や、或いは、制御装置から送信される同期動作信号にその発行時などの時刻の情報を含めておいて、各リーダライタが制御装置から同期動作信号を受信した場合に当該同期動作信号に含まれる時刻情報に基づくタイミング(例えば、その時刻情報の時刻から予め設定された所定時間が経過したタイミング)で情報取得信号を送信する態様などを用いることができる。
また、リーダライタでは、例えば、1回の同期動作信号の受信に基づいて1回の情報取得信号を送信してもよく、或いは、1回の同期動作信号の受信に基づいて複数回の情報取得信号を予め設定された時間周期などのタイミングで送信してもよい。
また、複数のリーダライタが同期する精度としては、実用上で有効な程度であれば、多少のずれがあっても、本発明は包含する。
【0014】
以下で、上記のようなリーダライタシステムを含んだ非接触通信システムの一例を示す。
リーダライタと通信体が非接触で通信する非接触通信システムにおいて、
制御装置と、複数のリーダライタと、通信体と、を備え、
前記制御装置は、前記複数のリーダライタに対して同期した動作を実行させるための所定の同期動作信号を送信する制御手段を備え、
前記複数のリーダライタは、それぞれ、アンテナと、前記制御装置から送信された前記同期動作信号を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記同期動作信号に基づくタイミングで前記通信体からの情報を取得するための所定の情報取得信号を前記アンテナにより非接触で送信する非接触送信手段と、前記通信体から非接触で送信された情報を受信する非接触受信手段と、を備え、
前記通信体は、通信体アンテナと、前記リーダライタから非接触で送信された前記情報取得信号を前記通信体アンテナにより受信する通信体受信手段と、前記通信体受信手段により前記情報取得信号が受信されたことに応じて所定の情報を前記リーダライタに対して前記通信体アンテナにより非接触で送信する通信体送信手段と、を備えた、
ことを特徴とするリーダライタシステム。
【0015】
ここで、通信体は、例えば、当該通信体を識別する識別情報(ID情報)や、必要に応じて他の情報をICメモリなどの記憶手段に記憶しており、リーダライタから所定の情報取得信号を受信したことに応じて、当該リーダライタに対して前記記憶手段に記憶された所定の情報を送信する。
また、通信体からリーダライタへ送信する情報としては、例えば、いずれの情報を送信するかが予め通信体に設定されていてもよく、或いは、リーダライタから送信される情報取得信号に要求する情報の種類などを特定する情報を含めて、この情報に基づいて通信体がリーダライタへ送信する情報の種類などを特定してもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明に係るリーダライタシステムによると、複数のリーダライタに対して設けられた制御装置が所定の同期動作信号を送信し、これら複数のリーダライタがそれぞれ受信された前記同期動作信号に基づくタイミングで所定の情報取得信号をアンテナにより非接触で送信し、これら複数のリーダライタがそれぞれ前記情報取得信号に応じて通信体から非接触で送信された情報を受信するようにしたため、複数のリーダライタが同期して通信体との通信を行うことが実現され、これにより、リーダライタ同士の干渉を防止することができ、通信品質の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
図1(a)、(b)には、本発明の一実施例に係る書籍管理システムの構成例を示してある。
図1(a)には、本例の書籍管理システムの全体的な構成例を示してある。
本例の書籍管理システムは、サーバ装置1と、例えばパーソナルコンピュータ(PC)からなる検索端末装置2と、例えば100BASE−Tなどの高速ネットワークを使用したLAN(Local Area Network)などのネットワーク3と、複数(本例では、12個)の本棚部H1〜H12を備えている。
ここで、サーバ装置1と検索端末装置2はネットワーク3と接続されており、ネットワーク3は各本棚部H1〜H12まで敷設されている。
また、本例では、6個の本棚部H1〜H6がグループAとしてグループ化されており、1個の本棚部H1にマスターの制御装置を備え、他の5個の本棚部H2〜H6にスレーブの制御装置を備えている。同様に、6個の本棚部H7〜H12がグループBとしてグループ化されており、1個の本棚部H7にマスターの制御装置を備え、他の5個の本棚部H8〜H12にスレーブの制御装置を備えている。
【0018】
図1(b)には、1個の本棚部H1についての構成例を示してある。
本棚部H1は、例えば所定の制御ソフトウエアにより動作するパーソナルコンピュータ(PC)からなる制御装置11と、本棚12と、複数(本例では、3個)のRFIDのリーダライタI1〜I3と、各リーダライタI1〜I3のアンテナJ1〜J3を備えている。各リーダライタI1〜I3のアンテナJ1〜J3は、それぞれ、本棚12が有する異なる棚の棚板に設置されており、つまり、本棚12の棚板毎に一つ(1台)のリーダライタI1〜I3が用いられており、隣接する棚板に設置されたアンテナJ1〜J3同士は互いに干渉が発生し得る程度に近い位置に存在する。また、本棚12の各棚には、RFIDのタグ14が付された書籍13が複数収納されている。
【0019】
ここで、制御装置11と各リーダライタI1〜I3は、本棚部H1まで敷設されたネットワーク3と接続されている。
また、本例では、グループAの本棚部H1とグループBの本棚部H7の制御装置11はマスターとして用いられ、他の本棚部H2〜H6、H8〜H12の制御装置11はスレーブとして用いられる。
なお、他の本棚部H2〜H12の構成についても、本棚部H1と同様であるが、リーダライタの数や書籍の数としては種々な数が用いられてもよい。
【0020】
本例の書籍管理システムにおいて行われる動作の例を示す。
各書籍13に付されたタグ14は、例えばループアンテナから構成されたアンテナとメモリを有しており、当該各書籍13の識別情報(ID情報)を当該メモリに記憶しており、更に他の情報(例えば、使用状況の情報など)を当該メモリに記憶してもよい。
本棚12の各棚板に設置された各リーダライタI1〜I3のアンテナJ1〜J3は、例えばループアンテナから構成されており、各棚板に収納されている書籍13に取り付けられたタグ14のアンテナとの間で例えば電磁誘導により非接触で通信する。
各リーダライタI1〜I3は、当該各リーダライタI1〜I3に接続された各アンテナJ1〜J3の通信可能領域に存在する各タグ14と通信して、当該各タグ14に記憶されたID情報などを読み書きする質問器として動作する。
制御装置11は、本例では、同一の本棚部H1に存在する複数のリーダライタI1〜I3を制御や管理する対象とし、ネットワーク3を介して各リーダライタI1〜I3との間で通信することにより、各リーダライタI1〜I3へコマンドを発行(送信)することや、各リーダライタI1〜I3から情報を受信することを行う。
【0021】
例えば、制御装置11は、管理下にある各リーダライタI1〜I3へID情報読み取りのための所定のコマンドを発行する。各リーダライタI1〜I3は、このコマンドを制御装置11から受信したことに応じて、このコマンドをそのまま或いはID情報読み取りのための対応するコマンド(本例では、Inventoryコマンド)を非接触で送信する。このコマンドを受信した各タグ14は、それに応じて当該各タグ14に記憶されたID情報などをメモリから読み出して各リーダライタI1〜I3へ応答信号により送信する。これにより、各リーダライタI1〜I3は、各タグ14からの応答信号を受信することで各タグ14からのID情報などを取得し、取得した情報を制御装置11へ送信する。制御装置11は、各リーダライタI1〜I3から各タグ14の情報を受信する。
ここで、本例では、制御装置11が管理下にある複数のリーダライタI1〜I3に対してID情報読み取りのためのコマンドを同期させて発行することにより、一つの(同一の)本棚12に設置された複数のリーダライタI1〜I3により行われるID情報読み取りの動作を同期させる。
【0022】
また、本例では、更に広範囲に存在する複数の本棚部に設置されたリーダライタI1〜I3の同期を取るために、複数の制御装置11をグループ化して、制御装置11同士の同期を取ることも可能である。
具体的には、6個の本棚部H1〜H6がグループAに属しており、これら6個の本棚部H1〜H6において制御装置11同士の同期が取られ、同様に、6個の本棚部H7〜H12がグループBに属しており、これら6個の本棚部H7〜H12において制御装置11同士の同期が取られる。
各グループA、Bでは、グループ内に設けられた一つ(1台)の制御装置(本例では、本棚部H1の制御装置及び本棚部H7の制御装置)11がマスターとされ、残りの制御装置11がスレーブとされる。そして、各グループA、Bでは、マスターの制御装置11が残りのスレーブの制御装置11へネットワーク3を介して定期的に同期信号を送信し、それぞれのスレーブの制御装置11が当該同期信号を受信して当該同期信号に基づいてマスターの制御装置11に同期して管理下にあるリーダライタI1〜I3を制御することにより、同期が取られる。
なお、同期信号としては、例えば、LANのマルチキャストなどを利用することが可能である。
【0023】
サーバ装置1は、各本棚部H1〜H12に設けられた制御装置11により取得されたタグ14の情報をネットワーク3を介して収集して、メモリに記憶する。また、サーバ装置1は、検索端末装置2とネットワーク3を介して通信し、検索端末装置2からの要求に応じて、タグ14の情報を提供する。
ここで、タグ14の情報としては、ID情報などが用いられ、本例では、各書籍13(各タグ14)が収納されている位置などの情報を提供することができる。
検索端末装置2は、利用者(人)により操作されて、サーバ装置1から受信した書籍13の位置情報などを提供するサービスを行う。
【0024】
図2には、複数のリーダライタ(本例では、3個のリーダライタI1〜I3)のアンテナ(本例では、アンテナJ1〜J3)が隣接して存在する場合に行われる通信の様子の一例を示してある。ここで、リーダライタI1と非接触通信することが可能な領域に複数のRFIDのタグ(本例では、4個のタグT1〜T4)が存在し、リーダライタI2と非接触通信することが可能な領域に複数のRFIDのタグ(本例では、4個のタグT5〜T8)が存在し、リーダライタI3と非接触通信することが可能な領域に複数のRFIDのタグ(本例では、2個のタグT9、T10)が存在するとする。
【0025】
本例では、制御装置11が管理下にある複数のリーダライタI1〜I3に対して同期したタイミングでID情報読み取りのための所定のコマンドを送信し、当該コマンドを受信した各リーダライタI1〜I3がID情報読み取りのための所定のコマンド(本例では、67.8msのInventoryコマンド)を各アンテナJ1〜J3から非接触で送信する。すると、このコマンドを受信した各タグT1〜T10がID情報を含む応答信号をアンテナから非接触で送信し、各リーダライタI1〜I3が所定の期間(72ms)において当該応答信号を受信する。ここで、各タグT1〜T10からリーダライタI1〜I3への応答信号にはタグ毎に時間差が発生し得る。その後、制御装置11による処理や制御装置11とリーダライタI1〜I3との通信が行われる。そして、これら一連の処理を同期して行うための周期(同期周期)として所定の期間(本例では、400ms)が設定されており、各リーダライタI1〜I3は当該周期毎にID情報読み取りの動作を行う。
なお、図2の例では、リーダライタI3について最初のID情報読み取りのためのコマンドが多少遅延している様子を示したが、これはネットワーク3などによる遅延を表しており、次回からはコマンドの発行タイミングが全てのリーダライタI1〜I3で一致している。このような遅延は、実用上では、特には問題とならないと考えられる。
【0026】
このように、制御装置11が管理下にある複数のリーダライタI1〜I3を制御して各リーダライタI1〜I3からタグ14へのコマンドの発行タイミングを同期させることで、タグ14から送信される応答信号により他のリーダライタI1〜I3が情報受信(データ受信)するタイミングと当該コマンドの発行タイミングとが重ならないようにし、これにより、複数のリーダライタI1〜I3の間で干渉による互いの影響を軽減することができ、情報の読み取り率を改善することができる。
【0027】
以上のように、本例の書籍管理システムでは、制御装置11が管理下にある制御対象となる複数のリーダライタI1〜I3に対してID情報読み取りのためのコマンドを同期させて発行することにより、一つの本棚12内で複数のリーダライタI1〜I3の動作を同期させることができ、リーダライタI1〜I3同士の干渉を低減し、タグ14の情報の読み取り精度を向上させることができる。
また、本例の書籍管理システムでは、複数の制御装置11をグループ化して、グループ内で制御装置11同士の同期を取ることにより、更に広範囲においてリーダライタI1〜I3の同期を取ることができ、タグ14の情報の読み取り精度を向上させることができる。
【0028】
このように、本例の書籍管理システムでは、互いに近接するアンテナJ1〜J3を有する複数のリーダライタI1〜I3を同期させて制御することにより、或るリーダライタの受信タイミングと他のリーダライタの送信タイミングとが重なることを防止することができ、複数のリーダライタI1〜I3において互いに受信に与える影響を軽減することができる。また、例えば、複数のリーダライタI1〜I3のアンテナJ1〜J3をより近接した位置に配置するようなことも可能となる。
【0029】
なお、本例では、タグ14から通信体が構成されており、制御装置11や複数のリーダライタI1〜I3からリーダライタシステムが構成されており、このようなリーダライタシステムやタグ14からなる書籍管理システムとして非接触通信システムが構成されている。
また、本例の制御装置11では、リーダライタI1〜I3へ送信するID情報読み取りのためのコマンドにより同期動作信号が構成されており、このようなコマンドを複数のリーダライタI1〜I3へ送信する機能により制御手段が構成されている。
また、本例のリーダライタI1〜I3では、制御装置11から同期動作信号を受信する機能により受信手段が構成されており、通信体へ送信するID情報読み取りのためのコマンドにより情報取得信号が構成されており、このようなコマンドをアンテナJ1〜J3により非接触で送信する機能により非接触送信手段が構成されており、通信体から非接触で送信された情報を受信する機能により非接触受信手段が構成されている。
また、本例の通信体(タグ14)では、リーダライタI1〜I3から非接触で送信されたコマンド(情報取得信号)をアンテナにより受信する機能により通信体受信手段が構成されており、ID情報を含む応答信号をアンテナにより非接触で送信する機能により通信体送信手段が構成されている。
【0030】
ここで、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々な装置やシステムとして提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施例に係る書籍管理システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係る複数のリーダライタによる同期通信の様子を示す図である。
【図3】一つのリーダライタによる通信の様子を示す図である。
【図4】複数のリーダライタによる非同期な通信の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1・・サーバ装置、 2・・検索端末装置、 3・・ネットワーク、 11・・制御装置、 12・・本棚、 13・・書籍、 14・・タグ、 H1〜H12・・本棚部、 I1〜I3・・リーダライタ、 J1〜J3・・アンテナ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信体と非接触で通信するリーダライタを備えたリーダライタシステムにおいて、
制御装置と、複数のリーダライタと、を備え、
前記制御装置は、前記複数のリーダライタに対して同期した動作を実行させるための所定の同期動作信号を送信する制御手段を備え、
前記複数のリーダライタは、それぞれ、アンテナと、前記制御装置から送信された前記同期動作信号を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記同期動作信号に基づくタイミングで前記通信体からの情報を取得するための所定の情報取得信号を前記アンテナにより非接触で送信する非接触送信手段と、前記情報取得信号に応じて前記通信体から非接触で送信された情報を受信する非接触受信手段と、を備えた、
ことを特徴とするリーダライタシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−219605(P2007−219605A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−36349(P2006−36349)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】