説明

リーダ同期システム、リーダ装置、タグ装置およびリーダ同期方法

【課題】 相互に近接して設置された複数のリーダ装置間で混信が発生するのを防ぐことのできるリーダ同期システムを提供する。
【解決手段】 リーダ同期システムでは、複数のリーダ装置1が相互に近接して設置されている。リーダ装置1は、監視対象(児童)が保持するタグ装置5と無線通信するリーダ6と、監視対象の画像を撮影するカメラ4と、タグ装置5のリーダ検出と監視対象のカメラ撮影を連動させるコントローラ7を備える。複数のリーダ装置間で、複数のスーパーフレームのタイミングを合わせる同期制御が行われ、各リーダ装置1は、それぞれの担当スーパーフレームでタグ装置5への送信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のリーダ装置間の同期を行うリーダ同期システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、無線ICタグを用いて、児童の通学を見守る見守りシステムが提案されている(例えば特許文献1参照)。従来の見守りシステムでは、見守り対象者である児童に個人を特定できる無線ICタグを所持させておき、児童の通学路などにICタグリーダーを設置しておく。無線ICタグを所持した児童がICタグリーダーの付近を通過すると、無線ICタグとの無線通信によって児童の通過が検出され、児童の通過履歴が記録される。その通過履歴はWebサーバに保存される。児童の保護者は、自宅のパソコンなどからWebサーバにアクセスし、児童の通過履歴を入手する。このようにして、児童の保護者は、児童の安全を離れた場所からでも見守ることができる。
【特許文献1】特開2004−86394号公報(第3−7頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のシステムにおいては、複数のICタグリーダーを相互に近接して設置した場合の対策が考慮されていない。例えば、無線ICタグの検知に連動して児童のカメラ画像を撮影するシステムでは、同時に多数の児童が通過するときに、児童の画像をもれなく撮影するために、複数のICタグリーダーを近距離に配置する必要がある。またマルチパスによる検知不可地点、遮蔽物による検知不可地点の解消のためにも複数のICタグリーダーを近距離に配置する必要がある。
【0004】
そのような場合に、複数のICタグリーダーを同一チャネルで動作させると、各リーダの通信エリアが重なっているため、複数のICタグリーダー間で混信が発生し、無線ICタグの検知率が低下するおそれがあるという問題があった。一方、複数のICタグリーダーを異なるチャネルで動作させると、各リーダの通信エリアが重なっているため、カメラ撮影を行うICタグリーダーとは異なるICタグリーダーのチャネルを無線ICタグが捉えてしまい、正しいカメラ撮影ができないおそれがあるという問題があった。また一方のICタグリーダーのチャネルでのみで通信するおそれがあり、マルチパスによる検知不可地点、遮蔽物による検知不可地点の解消もできないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、相互に近接して設置された複数のリーダ装置間で混信が発生するのを防ぐことのできるリーダ同期システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のリーダ同期システムは、複数のリーダ装置が、少なくとも隣接するリーダ装置と無線通信可能な位置に相互に近接して設置されており、前記複数のリーダ装置間の同期が行われるリーダ同期システムにおいて、前記リーダ装置は、監視対象が保持するタグ装置と無線通信する無線通信手段と、前記複数のリーダ装置間で、前記無線通信手段の無線通信単位に含まれる送受信用の複数のスーパーフレームの各々のタイミングを合わせる同期制御手段と、前記複数のスーパーフレームのうち前記リーダ装置ごとに割り当てられた担当スーパーフレームで、前記タグ装置への信号を送信する送信手段と、を備えた構成を有している。
【0007】
この構成により、複数のリーダ装置間で、無線通信単位に含まれる複数のスーパーフレームのタイミングを合わせる同期が行われる。各リーダ装置は、それぞれに割り当てられた担当スーパーフレームでタグ装置への送信を行う。そのため、あるリーダ装置がタグ装置への送信を行っているときには、他のリーダ装置はタグ装置への送信を行わない。したがって、複数のリーダ装置が相互に近接して設置された場合であっても、複数のリーダ装置間で混信が発生するのを防ぐことができる。
【0008】
また、本発明のリーダ同期システムでは、前記複数のリーダ装置には、前記複数のスーパーフレームのうち最初のスーパーフレームが割り当てられたマスターリーダ装置と、前記複数のスーパーフレームのうち二番目以降のスーパーフレームが割り当てられたスレーブリーダ装置と、が含まれており、前記スレーブリーダ装置は、前記マスターリーダ装置がタグ装置へ送信する信号を検知して、前記複数のスーパーフレームの各々のタイミングを合わせる構成を有している。
【0009】
この構成により、マスターリーダ装置が送信する信号に基づいて、他のスレーブリーダ装置の同期が行われる。すなわち、マスターリーダ装置を中心にして、他のスレーブリーダ装置の同期が行われる。
【0010】
また、本発明のリーダ同期システムでは、前記マスターリーダ装置は、前記無線通信単位に含まれるキャリアセンス時間にキャリアセンスを行って、無線通信に用いるチャネルの空き状況に応じて前記チャネルの変更を行うマスターチャネル変更手段を備え、前記スレーブリーダ装置は、前記マスターリーダ装置がタグ装置へ送信する信号を検知して、前記スレーブリーダ装置が無線通信に用いるチャネルの変更を行うスレーブチャネル変更手段を備えた構成を有している。
【0011】
この構成により、マスターリーダ装置がチャネルの変更を行った場合には、スレーブリーダ装置はそれに追従してチャネルの変更を行う。例えば、マスターリーダ装置が他のシステムが使用中のチャネルを検知した場合には、マスターリーダ装置がチャネル変更を行うと、スレーブリーダ装置のチャネルも変更され、他のシステムとの干渉を回避することができる。
【0012】
また、本発明のリーダ同期システムでは、前記複数のリーダ装置は、前記監視対象の画像を撮影する撮影手段と、前記無線通信手段による前記タグ装置の検出と前記撮影手段による前記監視対象の画像撮影を連動させる連動制御手段と、前記無線通信単位に含まれるすべてのスーパーフレームで、前記タグ装置からの応答を受信する応答受信手段と、前記タグ装置からの応答の無線通信強度に基づいて、前記監視対象の画像を送信するか否かを判定する画像送信判定手段と、を備えた構成を有している。
【0013】
この構成により、複数のリーダ装置がすべてのスーパーフレームでタグ装置からの応答を受信し、その応答に含まれるRSSI強度に基づいて監視対象の画像撮影に適しているか否かを判定できる。これにより、複数のリーダ装置のうち、無線通信強度に応じた適切なリーダ装置(監視対象の近くのリーダ装置)で監視対象の画像を撮影することができる。
【0014】
本発明のリーダ装置は、上記のリーダ同期システムにおいて用いられるリーダ装置であって、監視対象が保持するタグ装置と無線通信する無線通信手段と、他のリーダ装置との間で、前記無線通信手段の無線通信単位に含まれる送受信用の複数のスーパーフレームの各々のタイミングを合わせる同期制御手段と、前記複数のスーパーフレームのうち前記リーダ装置ごとに割り当てられた担当スーパーフレームで、前記タグ装置への信号を送信する送信手段と、を備えた構成を有している。
【0015】
この構成により、他のリーダ装置との間で、スーパーフレームのタイミングを合わせる同期が行われる。各リーダ装置は、それぞれに割り当てられた担当スーパーフレームでタグ装置への送信を行う。そのため、あるリーダ装置がタグ装置への送信を行っているときには、他のリーダ装置はタグ装置への送信を行わない。したがって、複数のリーダ装置が相互に近接して設置された場合であっても、複数のリーダ装置間で混信が発生するのを防ぐことができる。
【0016】
本発明のリーダ装置では、前記リーダ装置には、前記複数のスーパーフレームのうち最初のスーパーフレームが割り当てられたマスターリーダ装置と、前記複数のスーパーフレームのうち二番目以降のスーパーフレームが割り当てられたスレーブリーダ装置と、が含まれており、前記スレーブリーダ装置は、前記マスターリーダ装置がタグ装置へ送信する信号を検知して、前記複数のスーパーフレームの各々のタイミングを合わせる構成を有している。
【0017】
この構成により、マスターリーダ装置が送信する信号に基づいて、他のスレーブリーダ装置の同期が行われる。すなわち、マスターリーダ装置を中心にして、他のスレーブリーダ装置の同期が行われる。
【0018】
本発明のリーダ装置では、前記マスターリーダ装置は、前記無線通信単位に含まれるキャリアセンス時間にキャリアセンスを行って、無線通信に用いるチャネルの空き状況に応じて前記チャネルの変更を行うマスターチャネル変更手段を備えた構成を有している。
【0019】
この構成により、マスターリーダ装置がチャネルの変更を行った場合には、スレーブリーダ装置はそれに追従してチャネルの変更を行う。例えば、マスターリーダ装置が他のシステムが使用中のチャネルを検知した場合には、マスターリーダ装置がチャネル変更を行うと、スレーブリーダ装置のチャネルも変更され、他のシステムとの干渉を回避することができる。
【0020】
本発明のリーダ装置では、前記スレーブリーダ装置は、前記マスターリーダ装置がタグ装置へ送信する信号を検知して、前記スレーブリーダ装置が無線通信に用いるチャネルの変更を行うスレーブチャネル変更手段を備えた構成を有している。
【0021】
この構成により、マスターリーダ装置がチャネルの変更を行った場合には、スレーブリーダ装置はそれに追従してチャネルの変更を行う。例えば、マスターリーダ装置が他のシステムが使用中のチャネルを検知した場合には、マスターリーダ装置がチャネル変更を行うと、スレーブリーダ装置のチャネルも変更され、他のシステムとの干渉を回避することができる。
【0022】
本発明のリーダ装置は、前記監視対象の画像を撮影する撮影手段と、前記無線通信手段による前記タグ装置の検出と前記撮影手段による前記監視対象の画像撮影を連動させる連動制御手段と、前記無線通信単位に含まれるすべてのスーパーフレームで、前記タグ装置からの応答を受信する応答受信手段と、前記タグ装置からの応答の無線通信強度に基づいて、前記監視対象の画像を送信するか否かを判定する画像送信判定手段と、を備えた構成を有している。
【0023】
この構成により、複数のリーダ装置がすべてのスーパーフレームでタグ装置からの応答を受信し、その応答に含まれるRSSI強度に基づいて監視対象の画像撮影に適しているか否かを判定できる。これにより、複数のリーダ装置のうち、無線通信強度に応じた適切なリーダ装置(監視対象の近くのリーダ装置)で監視対象の画像を撮影することができる。
【0024】
本発明のタグ装置は、複数のリーダ装置が、少なくとも隣接するリーダ装置と無線通信可能な位置に相互に近接して設置されており、前記複数のリーダ装置間の同期が行われるリーダ同期システムにおいて用いられるタグ装置であって、前記リーダ同期システムでは、前記リーダ装置は、前記監視対象が保持するタグ装置と無線通信し、前記複数のリーダ装置間で、無線通信単位に含まれる送受信用の複数のスーパーフレームの各々のタイミングを合わせる同期制御が行われており、前記タグ装置は、前記複数のスーパーフレームのうち前記リーダ装置ごとに割り当てられた担当スーパーフレームで、前記リーダ装置から送信された信号を受信する手段を備えた構成を有している。
【0025】
この構成により、複数のリーダ装置間で、無線通信単位に含まれる複数のスーパーフレームのタイミングを合わせる同期が行われる。各リーダ装置は、それぞれに割り当てられた担当スーパーフレームでタグ装置への送信を行う。そのため、あるリーダ装置がタグ装置への送信を行っているときには、他のリーダ装置はタグ装置への送信を行わない。したがって、複数のリーダ装置が相互に近接して設置された場合であっても、複数のリーダ装置間で混信が発生するのを防ぐことができる。
【0026】
本発明のリーダ同期方法は、上記のリーダ同期システムにおいて、タグ装置とリーダ装置との無線通信単位に含まれる送受信用の複数のスーパーフレームの各々のタイミングを、複数のリーダ装置間で合わせる同期制御を行い、前記複数のスーパーフレームのうち前記リーダ装置ごとに割り当てられた担当スーパーフレームで、前記リーダ装置から前記タグ装置への信号を送信する。
【0027】
この方法によっても、上記のように、複数のリーダ装置間で、スーパーフレームのタイミングを合わせる同期が行われる。各リーダ装置は、それぞれに割り当てられた担当スーパーフレームでタグ装置への送信を行う。そのため、あるリーダ装置がタグ装置への送信を行っているときには、他のリーダ装置はタグ装置への送信を行わない。したがって、複数のリーダ装置が相互に近接して設置された場合であっても、複数のリーダ装置間で混信が発生するのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、複数のリーダ装置間でスーパーフレームのタイミングを合わせる同期制御手段と、担当スーパーフレームでタグ装置への送信を行う送信手段を設けることにより、相互に近接して設置された複数のリーダ装置間で混信が発生するのを防ぐことができるという効果を有するリーダ同期システムを提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態のリーダ同期システムについて、図面を用いて説明する。本実施の形態では、児童(監視対象)の通学を見守るための見守りシステム等として用いられる場合を例示する。なお、ここでは監視対象が人である例について説明するが、監視対象は物であってもよい。
【0030】
本発明の実施の形態のリーダ同期システムの構成を、図1〜図4を用いて説明する。図1は、マスターリーダ装置の構成を示すブロック図であり、図2は、スレーブリーダ装置の構成を示すブロック図である。また、図3は、リーダ装置(マスターリーダ装置やスレーブリーダ装置)の設置例を示す図であり、図4は、リーダ装置の他の設置例を示す図である。
【0031】
ここでは、まず、図3および図4を参照して、リーダ同期システムの全体の構成について説明する。図3および図4に示すように、このリーダ同期システムは、複数のリーダ装置1によって構成されている。複数のリーダ装置1には、マスターリーダ装置2と、1台以上のスレーブリーダ装置3が含まれている。図3では、3台のリーダ装置1(1台のマスターリーダ装置2と2台のスレーブリーダ装置3)が通学路に設置された例が示されており、図4では、2台のリーダ装置1(1台のマスターリーダ装置2と1台のスレーブリーダ装置3)が校門に設置された例が示されている。
【0032】
これらのリーダ装置1(マスターリーダ装置2やスレーブリーダ装置3)は、相互に近接して配置されており、少なくとも隣接するリーダ装置1と無線通信可能である。そして、リーダ装置1(マスターリーダ装置2やスレーブリーダ装置3)には、監視対象である児童の画像を撮影するカメラ4と、児童が所持しているタグ装置5を無線通信で検知するリーダ6と、カメラ4での画像撮影とリーダ6でのタグ検出とを連動させるコントローラ7が設けられている(図1および図2参照)。なお、図3に示すように、カメラ4で画像撮影が可能な撮影エリアは、リーダ6でタグ検出が可能な検出エリアよりも小さい。ここでは、カメラ4が本発明の撮影手段に相当し、リーダ6が本発明の無線通信手段に相当する。また、コントローラ7が本発明の連動制御手段に相当する。
【0033】
なお、図3および図4は、あくまで例示であり、リーダ装置1の台数や設置場所は、これに限定されるものではない。すなわち、リーダ装置1は4台以上であってもよく、また、通学路以外の場所(公園など)に設置されてもよい。
【0034】
つぎに、図1および図2に戻って、リーダ装置1(マスターリーダ装置2およびスレーブリーダ装置3)のリーダ6の構成について説明する。
【0035】
ここでは、まず、マスターリーダ装置2およびスレーブリーダ装置3のリーダ6に共通する構成について説明する。図1および図2に示すように、マスターリーダ装置2およびスレーブリーダ装置3のリーダ6は、送受信部8備えている。マスターリーダ装置2およびスレーブリーダ装置3のコントローラ7は、画像送信判定部9を備えている。送受信部8は、アンテナを備えており、タグ装置5や他のリーダ装置1と無線通信する。画像送信判定部9は、タグ装置5からの応答のRSSI強度に基づいて、そのタグ装置5を所持している児童のカメラ画像をネットワークを介して送信するか否かを判定する(図5参照)。
【0036】
このRSSI強度に基づくカメラ撮影は、例えば、児童が所持しているタグ装置5を複数のリーダ装置1のリーダ6で同時に検出できるような場合に有効である。図5に示した例では、児童が所持しているタグ装置5をマスターリーダ装置2(図面中央)のリーダ6とスレーブリーダ装置3(図面右側)のリーダ6のいずれでも検出できる。このような場合には、それぞれのリーダ6でRSSI強度に基づく撮影判定が行われる。図5の例では、タグ装置5はマスターリーダ装置2(図面中央)のリーダ6から遠くに位置しており、マスターリーダ装置2のリーダ6とタグ装置5の無線通信のRSSI強度が弱い。したがって、マスターリーダ装置2のカメラ4での撮影は行われない。一方、タグ装置5はスレーブリーダ装置3(図面右側)のリーダ6の近くに位置しており、スレーブリーダ装置3のリーダ6とタグ装置5の無線通信のRSSI強度が強い。したがって、このスレーブリーダ装置3(タグ装置5の近くのスレーブリーダ装置3)のカメラ4での撮影が行われる。
【0037】
つぎに、マスターリーダ装置2のリーダ6に特徴的な構成について説明する。図1に示すように、マスターリーダ装置2のリーダ6は、無線通信単位に含まれる各スーパーフレームのタイミングを合わせる同期制御を行うためのマスター同期制御部10を備えている。
【0038】
ここで、図6を参照して、本実施の形態の無線通信単位について説明する。図6に示すように、無線通信単位には、リーダキャリアセンス時間と複数のスーパーフレーム(第1スーパーフレーム〜最終スーパーフレーム)が含まれている。上述のように、リーダ装置1のリーダ6には、それぞれ担当スーパーフレームが割り当てられている。つまり、各スーパーフレームごとに担当のリーダ6が決められているともいえる。
【0039】
リーダキャリアセンス時間では、リーダ6のキャリアセンスが行われ、スーパーフレームでは、リーダ間やリーダタグ間で信号や情報の送信(TX)や受信(RX)が行われる。各スーパーフレームには、複数のタイムスロット(第1タイムスロット〜第Nタイムスロット)が含まれている。各タイムスロットでは、タグ装置5からリーダ6への応答の送受信とリーダ6からタグ装置5へのACK情報などの送受信が行われる。
【0040】
図1に戻って、マスター同期制御部10の説明を続ける。マスター同期制御部10は、担当スーパーフレーム記憶部11(担当SF記憶部11)とマスター送受信制御部12を備えている。担当スーパーフレーム記憶部11には、事前に設定されたマスターリーダ装置2とスレーブリーダ装置3の台数が記憶されている。マスターリーダ装置2の担当スーパーフレームとしては、無線通信単位に含まれる複数のスーパーフレームのうち最初のスーパーフレーム及び「スレーブリーダ装置3の台数×n(nは1からの自然数)+2」のスーパーフレームが割り当てられている。
【0041】
マスター送受信制御部12では、無線通信単位に含まれる各スーパーフレームでの送受信の制御が行われる。具体的には、担当のスーパーフレーム(マスターリーダ装置2の担当スーパーフレーム)で送信を行い(担当のスーパーフレーム以外では送信を行わず)、すべてのスーパーフレームで受信を行うように、マスターリーダ装置2の送受信の制御が行われる(図6参照)。
【0042】
マスターリーダ装置2のリーダ6は、無線通信に用いるチャネルの空き状況に応じてチャネルの変更を行うマスターチャネル変更部13を備えている。このマスターチャネル変更部13は、チャネルサーチ部14を備えている。チャネルサーチ部14は、無線通信単位に含まれるリーダキャリアセンス時間にキャリアセンスを行って、空きチャネルをサーチし、マスターリーダ装置2は空きチャネルにてタグ装置5との通信を行う。
【0043】
つぎに、スレーブリーダ装置3のリーダ6に特徴的な構成について説明する。図2に示すように、スレーブリーダ装置3のリーダ6は、無線通信単位に含まれる各スーパーフレームのタイミングを合わせる同期制御を行うためのスレーブ同期制御部15を備えている。
【0044】
このスレーブ同期制御部15は、担当スーパーフレーム記憶部16(担当SF記憶部16)とスレーブ送受信制御部17を備えている。担当スーパーフレーム記憶部16には、事前に設定されたマスターリーダ装置2の識別情報とスレーブリーダ装置3の台数、及びスレーブリーダ装置3の担当スーパーフレーム(このスレーブリーダ装置3の担当スーパーフレーム)が記憶されている。スレーブリーダ装置3の担当スーパーフレームとしては、無線通信単位に含まれる複数のスーパーフレームのうち二番目以降のスーパーフレームが割り当てられている。スレーブリーダ装置3は、マスターリーダ装置2がタグ装置5と通信するために送信する信号が検出する。この信号を基準にしてスレーブリーダ装置3の同期が行われる。
【0045】
スレーブ送受信制御部17では、無線通信単位に含まれる各スーパーフレームでの送受信の制御が行われる。具体的には、このスレーブリーダ装置3の担当スーパーフレーム(二番目以降のスーパーフレーム)で送信を行い(このスレーブリーダ装置3の担当スーパーフレーム以外では送信を行わず)、すべてのスーパーフレームで受信を行うように、スレーブリーダ装置3の送受信の制御が行われる(図6参照)。
【0046】
スレーブリーダ装置3のリーダ6は、スレーブチャネル変更部18を備えている。このスレーブチャネル変更部18は、チャネルサーチ部19を備えており、マスターリーダを検知できなくなった際に、マスターリーダ装置2がタグ装置5と通信するために送信する信号のチャネルをサーチし、マスターリーダ装置2のチャネル変更に追従してスレーブリーダ装置3のチャネルを変更する。
【0047】
このような本発明の実施の形態のリーダ同期システムによれば、複数のリーダ装置1でスーパーフレームのタイミングを合わせる同期制御を行い、担当スーパーフレームでタグ装置5への送信を行うことにより、相互に近接して設置された複数のリーダ装置1で混信が発生するのを防ぐことができる。
【0048】
すなわち、本実施の形態では、複数のリーダ装置1で、無線通信単位に含まれる複数のスーパーフレームのタイミングを合わせる同期が行われる。図6に示すように、複数のリーダ装置1での同期が行われた状態では、各リーダ装置1は、それぞれに割り当てられた担当スーパーフレームでのみタグ装置5への送信を行う。そのため、あるリーダ装置1のリーダ6(リーダA)がタグ装置5への送信を行っているときには、他のリーダ装置1のリーダ6(リーダB、リーダC)はタグ装置5への送信を行わない。したがって、複数のリーダ装置1が相互に近接して設置された場合であっても、複数のリーダ装置1で混信が発生するのを防ぐことができる。
【0049】
また、本実施の形態では、マスターリーダ装置2がタグ装置5と通信するために送信する信号を他のスレーブリーダ装置3が検知して同期が行われる。すなわち、マスターリーダ装置2を中心にして、他のスレーブリーダ装置3の同期が行われる。
【0050】
また、本実施の形態では、マスターリーダ装置2がチャネルの変更を行った場合には、スレーブリーダ装置3はそれに追従してチャネルの変更を行う。例えば、マスターリーダ装置2が図6のリーダキャリアセンス時間でキャリアセンスを行い他のシステムが使用中のチャネルを検知した場合には、マスターリーダ装置2がチャネル変更を行うと、スレーブリーダ装置3のチャネルも変更され、他のシステムとの干渉を回避することができる。
【0051】
また、本実施の形態では、複数のリーダ装置1がすべてのスーパーフレームでタグ装置5からの応答を受信し、その応答に含まれるRSSI強度に基づいて監視対象の画像撮影に適しているか否かを判定できる。これにより、複数のリーダ装置1のうち、無線通信強度に応じた適切なリーダ装置1(監視対象の近くのリーダ装置1)で監視対象の画像を撮影することができる(図5参照)。
【0052】
このように、タグ検出と連動してカメラ撮影を行うシステムにおいて、リーダ間でスーパーフレームの同期をとって通信を行うことにより、混信することなく複数台のリーダ6を近接して設置可能となる。また、リーダ6からの送信は、時分割切り替えで行い、リーダ6での受信は、同期している全てのリーダ6で行うことにより、正しいカメラ撮像が可能になる。
【0053】
すなわち、リーダ6からの送信は、スーパーフレーム毎又はタイムスロット毎に時分割切り替えをすることにより、混信の発生をさけることができる。一方、リーダ6での受信は、全てのリーダ6で行うことにより、受信強度(RSSI)値に基づいて、タグ装置5の近くのカメラ4で撮影を行うことができ、より正しいカメラ撮像が可能となる。
【0054】
この場合、複数設置されたリーダ間において、マスターリーダ装置2のリーダ6とスレーブリーダ装置3のリーダ6を設定し、マスターリーダ装置2からの信号を検知して、スレーブリーダ装置3が同期をとることにより、複数のリーダ6を混信せずに近接に設置可能となる。
【0055】
また、同期がとれたリーダ6は、複数のスーパーフレームを順次担当し、送信を周期的に行う。これにより、1台での運用と同様の方式で運用可能であり、また近接されたリーダ間で一様な通信が可能となる。
【0056】
また、マスターリーダ装置2がキャリアセンス等により、チャネルを変更した場合には、スレーブリーダ装置3は、マスターリーダ装置2がタグ装置5と通信するために送信する信号をチャネルサーチにより検知して、マスターリーダ装置2と同期をとりなおす。これにより、他システムからの干渉を回避しつつ同期をとることが可能となる。
【0057】
また、別のリーダ6が担当しているスーパーフレームにおいても、同期を取っている全てのリーダ6が受信することにより、電波強度(RSSI)に基づいて、タグ装置5の近くのカメラ4で撮影を行うことができる。
【0058】
以上により、リーダ6を近接して設置した環境においても混信を回避することができ、タグ・リーダ間の通信エリアを容易に拡大することができる。また、リーダ6のフレキシブルな設置が可能となり、監視対象の画像をもれなく撮影するためのカメラ制御および検知不可地点の解消も可能となる。
【0059】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように、本発明にかかるリーダ同期システムは、相互に近接して設置された複数のリーダ装置間で混信が発生するのを防ぐことができるという効果を有し、児童(監視対象)の通学を見守るための見守りシステム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施の形態のリーダ同期システムで用いられるマスターリーダ装置のブロック図
【図2】本実施の形態のリーダ同期システムで用いられるスレーブリーダ装置のブロック図
【図3】リーダ装置(マスターリーダ装置やスレーブリーダ装置)の設置例を示す図
【図4】リーダ装置(マスターリーダ装置やスレーブリーダ装置)の他の設置例を示す図
【図5】RSSI強度に応じたカメラ撮影制御を説明するための図
【図6】リーダ装置の同期状態を説明するための図
【符号の説明】
【0062】
1 リーダ装置
2 マスターリーダ装置
3 スレーブリーダ装置
4 カメラ
5 タグ装置
6 リーダ
7 コントローラ
8 送受信部
9 画像送信判定部
10 マスター同期制御部
11 担当スーパーフレーム記憶部
12 マスター送受信制御部
13 マスターチャネル変更部
14 チャネルサーチ部
15 スレーブ同期制御部
16 担当スーパーフレーム記憶部
17 スレーブ送受信制御部
18 スレーブチャネル変更部
19 チャネルサーチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリーダ装置が、少なくとも隣接するリーダ装置と無線通信可能な位置に相互に近接して設置されており、前記複数のリーダ装置間の同期が行われるリーダ同期システムにおいて、
前記リーダ装置は、
監視対象が保持するタグ装置と無線通信する無線通信手段と、
前記複数のリーダ装置間で、前記無線通信手段の無線通信単位に含まれる送受信用の複数のスーパーフレームの各々のタイミングを合わせる同期制御手段と、
前記複数のスーパーフレームのうち前記リーダ装置ごとに割り当てられた担当スーパーフレームで、前記タグ装置への信号を送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とするリーダ同期システム。
【請求項2】
前記複数のリーダ装置には、前記複数のスーパーフレームのうち最初のスーパーフレームが割り当てられたマスターリーダ装置と、前記複数のスーパーフレームのうち二番目以降のスーパーフレームが割り当てられたスレーブリーダ装置と、が含まれており、
前記スレーブリーダ装置は、前記マスターリーダ装置がタグ装置へ送信する信号を検知して、前記複数のスーパーフレームの各々のタイミングを合わせることを特徴とする請求項1に記載のリーダ同期システム。
【請求項3】
前記マスターリーダ装置は、前記無線通信単位に含まれるキャリアセンス時間にキャリアセンスを行って、無線通信に用いるチャネルの空き状況に応じて前記チャネルの変更を行うマスターチャネル変更手段を備え、
前記スレーブリーダ装置は、前記マスターリーダ装置がタグ装置へ送信する信号を検知して、前記スレーブリーダ装置が無線通信に用いるチャネルの変更を行うスレーブチャネル変更手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載のリーダ同期システム。
【請求項4】
前記複数のリーダ装置は、
前記監視対象の画像を撮影する撮影手段と、
前記無線通信手段による前記タグ装置の検出と前記撮影手段による前記監視対象の画像撮影を連動させる連動制御手段と、
前記無線通信単位に含まれるすべてのスーパーフレームで、前記タグ装置からの応答を受信する応答受信手段と、
前記タグ装置からの応答の無線通信強度に基づいて、前記監視対象の画像を送信するか否かを判定する画像送信判定手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のリーダ同期システム。
【請求項5】
請求項1に記載のリーダ同期システムにおいて用いられるリーダ装置であって、
監視対象が保持するタグ装置と無線通信する無線通信手段と、
他のリーダ装置との間で、前記無線通信手段の無線通信単位に含まれる送受信用の複数のスーパーフレームの各々のタイミングを合わせる同期制御手段と、
前記複数のスーパーフレームのうち前記リーダ装置ごとに割り当てられた担当スーパーフレームで、前記タグ装置への信号を送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とするリーダ装置。
【請求項6】
前記リーダ装置には、前記複数のスーパーフレームのうち最初のスーパーフレームが割り当てられたマスターリーダ装置と、前記複数のスーパーフレームのうち二番目以降のスーパーフレームが割り当てられたスレーブリーダ装置と、が含まれており、
前記スレーブリーダ装置は、前記マスターリーダ装置がタグ装置へ送信する信号を検知して、前記複数のスーパーフレームの各々のタイミングを合わせることを特徴とする請求項5に記載のリーダ装置。
【請求項7】
前記マスターリーダ装置は、前記無線通信単位に含まれるキャリアセンス時間にキャリアセンスを行って、無線通信に用いるチャネルの空き状況に応じて前記チャネルの変更を行うマスターチャネル変更手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載のリーダ装置。
【請求項8】
前記スレーブリーダ装置は、前記マスターリーダ装置がタグ装置へ送信する信号を検知して、前記スレーブリーダ装置が無線通信に用いるチャネルの変更を行うスレーブチャネル変更手段を備えたことを特徴とする請求項6または請求項7に記載のリーダ装置。
【請求項9】
前記監視対象の画像を撮影する撮影手段と、
前記無線通信手段による前記タグ装置の検出と前記撮影手段による前記監視対象の画像撮影を連動させる連動制御手段と、
前記無線通信単位に含まれるすべてのスーパーフレームで、前記タグ装置からの応答を受信する応答受信手段と、
前記タグ装置からの応答の無線通信強度に基づいて、前記監視対象の画像を送信するか否かを判定する画像送信判定手段と、
を備えたことを特徴とする請求項5ないし請求項8のいずれかに記載のリーダ装置。
【請求項10】
複数のリーダ装置が、少なくとも隣接するリーダ装置と無線通信可能な位置に相互に近接して設置されており、前記複数のリーダ装置間の同期が行われるリーダ同期システムにおいて用いられるタグ装置であって、
前記リーダ同期システムでは、前記リーダ装置は、前記監視対象が保持するタグ装置と無線通信し、前記複数のリーダ装置間で、無線通信単位に含まれる送受信用の複数のスーパーフレームの各々のタイミングを合わせる同期制御が行われており、
前記タグ装置は、
前記複数のスーパーフレームのうち前記リーダ装置ごとに割り当てられた担当スーパーフレームで、前記リーダ装置から送信された信号を受信する手段を備えたことを特徴とするタグ装置。
【請求項11】
請求項1に記載のリーダ同期システムにおいて、
タグ装置とリーダ装置との無線通信単位に含まれる送受信用の複数のスーパーフレームの各々のタイミングを、複数のリーダ装置間で合わせる同期制御を行い、
前記複数のスーパーフレームのうち前記リーダ装置ごとに割り当てられた担当スーパーフレームで、前記リーダ装置から前記タグ装置への信号を送信することを特徴とするリーダ同期方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−259050(P2009−259050A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108231(P2008−108231)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】