リードの固定と摘出
患者の脈管内に移植するためのデバイスは、このデバイスの容易な摘出を可能としつつ、このデバイスを所定位置に留置する固定機構を含むことができる。固定機構は取り外し自在/生体分解可能部分を含むことができ、この部分は、デバイスの嵩を身体から負傷のおそれなく単純に引っ張れるように、デバイスの嵩から取り外せる。これらのデバイスは線維内成長を促進しない電極アセンブリも含むことができ、デバイスの摘出の際の負傷のおそれを更に低減する。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
背景
患者の脈管構造へ移植された部分を含めることができる多くの医療デバイスが存在する。 例えば、ペースメーカーと移植可能除細動(ICDs)システム(即ち、リードを有するデバイス)は、心臓鼓動状態の処置のために長年に亘って順調に移植されている。 ペースメーカーは、徐脈の期間を検出して、心臓に電気的刺激を与えることによって鼓動を適切な速度まで増加させるために移植され、ICDsは心臓へ直接に電流を流すことにより心臓を心変換又は除細動するために患者に移植される。別の移植可能除細動デバイスは、心房細動(AF)発作を検出して、電気調整を回復するために電気ショックを心房に送ることができる。
次世代のICDs、ペースメーカーなどは細長い脈管内装置の形態を採るであろうが、これは例えば以下に説明されている。即ち、米国特許第7,082,336号(2003年6月4日出願、発明の名称”Implantable Intravascular Device for Defibrillation and/or Pacing”、米国特許出願第10/453,971号 (2003年6月4日出願、発明の名称”Device & Method for Retaining a Medical Device with a Vessel”)、及び米国特許出願第10/862,113号 (2004年6月4日出願、発明の名称”Intravascular Electrophysiological System and Methods”)であり、その各々は参照により本明細書に組み込まれている。このようなデバイスは、上述の参照により組み込まれた米国特許出願第10/862,113号(出願日2004年6月4日)に説明された方法を含む多数の代替的な手法で移植することができる。例えば、大腿静脈を通して静脈系へデバイスを導入することができ、その鎖骨下静脈か腕頭静脈を通して静脈系に導入するか、或いは大腿動脈の一つを通じるアクセスを用いて動脈系へ導入する。更に、脈管系の様々な部品は異なるアクセスサイトを通して導入し得る。例えば、デバイスを個別に大腿静脈を通して導入し、対応するリードは鎖骨下静脈を通して導入してもよい。
【0002】
患者の体腔内の心室、大心臓静脈、又は他の同様の位置において、これらのデバイスの一つについての又はより多くの従来のデバイスについてのリードの長期移植は、通常は何らかの形式の固定を必要とする。リード固定には一般的に認知された二つの形態がある。即ち、受動固定及び能動固定である。受動固定においては、例えば、心臓内にリードを固定するために右室(RV)内で小柱骨組織を係合させるように設計されているシリコン又はポリウレタンの可撓性の歯が用いられるのが通例である。能動固定においては、伸縮自在金属螺旋がリードの尖端チップに配置されるのが通例であり、リードは取り付けのために心内膜心筋へ進められる。
【0003】
能動固定リードは頂点以外の心室における領域にてより容易に配置して固定できる。一方、歯には心尖部をより容易に見つける傾向がある。移殖デバイスの限りある寿命は例えば約4年であるので、後にデバイスを摘出することが必要になる場合がある。しかしながら、長期歯リードの摘出はリードチップ及び歯の周りの線維性内成長に起因して困難な場合がある。歯リード直径は、より基部に近い機構よりも大径であるので、チップは引き抜きに対して通常は抵抗する。対照的に、能動固定螺旋は摘出に先だってチップへ引っ込めることができる。そのような螺旋を使用する場合のチップ径は、基部に近い構造の径と同じであるか、又は更に小さい。しかしながら、固定螺旋の伸縮は基部リードへのアクセスが必要であるが、リードが完全に脈管内にあるとすれば、固定螺旋の起動のための基部リードへのアクセスは、非実用的であるか、若しくは不可能である。
【0004】
詳細な説明
本発明の様々な実施形態によるシステム及び方法は、身体内にデバイスが固定又は留置される機構を改良することによって、既存の移殖型デバイスにおける不具合を解消する。 除細動器用リードなどの移殖型デバイスは、デバイスの早期摘出を可能にするために少なくとも部分的に取り外し可能であるか、又は溶解可能な固定機構を持つことができる。これらのデバイスは、摘出可能又は溶解可能な螺旋、歯、鉤、或いは楔などの固定機構を用いて組織に能動的に又は受動的に固定できる。そのような試みは、固定デバイスの初期配置に代えて、ひいては従来技術におけるようなリードの連続配置に代えて、固定機構を取り付けている間、心臓内(又は他の実施形態においては適切な場所)の何処にでもリードを配置することを可能とする。
【0005】
更に、多くの既存のリードはペーシング、除細動などのためにリードの端部又はチップからエネルギーを供給する。本明細書に説明した幾つかの実施形態は、リードの端部からのペーシングエネルギー供給を必要としないので、ワイヤをリードの端部まで導く必要はない。これは都合のよいことである。というのは、このようなワイヤは、それを破断するには相当量の強度を必要とするので、患者を傷つけてしまい(周囲壁、組織などの損傷)、外植が困難なワイヤチップの後方に残ってしまうためである。これに代えて、より基部に近い電極又は直列電極を用いることができる。チップを破断するか、又は溶かすことにより、身体から残りのリードを単に引くことができる。他の既存のデバイスは収縮式のねじを用いるが、ねじを単純に引っ張って心筋から離脱させようとすると、既に述べたように患者に深刻な負傷をもたらす場合がある。
【0006】
機械的破断
図1に示される第1の実施形態による離脱固定機構100は、移殖可能デバイス(例えば、リード)の狭端領域で形成された一連のノッチ102を含んでいる。この端部領域は本デバイスの嵩よりも狭い。というのは、従来のシステムにおけるように電極ワイヤが固定機構の端部へ延伸するのとは対照的に、本デバイスでは電極が固定機構の端部から距離をもって離間した点104へ達するのみであるためである。ノッチの数、ノッチのサイズ、及びこれらのノッチの配置は、固定機構100を形成するのに用いられる材料、デバイスを留置するのに必要な強度、及び固定機構を破断してリードの残りの部分を摘出するために加えねばならない所望の最大引張り強度に依存する。固定機構は、必要な留置の強度を与えることができるこの種のデバイスの技術分野で公知の適宜な生体適合材とすることができる。ノッチの適切な配置は、例えば、歯とチップとが線維性組織によって保持されている間にリードの反対端を単純に引っ張ることにより、このような固定機構を機械的リードから破断させることを可能とする。次いでリードは、ノッチで切り離されて所定位置に残す固定機構により容易に摘出できる。また、移植後の最初の数ヶ月の間に留置強度を向上させる目的で固定機構に内成長保持促進体106を含めることも望ましい。促進体106は、摘出時点で強度を与えるので、周囲の組織を損傷することなく、又は部分的に除去することなく、リードを固定機構100から破断することができる。電極ワイヤがリードの端部まで及ばず、破断又は分離させる必要はないので、ノッチでデバイスを破断するのに必要な強さは、従来のデバイスよりも少ないであろう。この例のために歯チップを示したが、例えば螺旋又はねじアセンブリのような他の固定機構も可能である。
【0007】
スナップ嵌合
図2に示す第2の実施形態による離脱固定機構200は、リード204(電極205を含む)の体積と固定機構200との間の分離点を規定するスリット202を含む。スリットの位置における分離は、リードを固定機構から容易に分離して身体から摘出すること可能とする。スナップ嵌合アセンブリ206は固定機構をリードの体積と共に保持するのに用いることができる。スナップ嵌合アセンブリはボール戻り止め207、207、干渉嵌合、O−リング、及び/又はスナップリングなどの部品を含むことができる。スナップ嵌合アセンブリは、固定機構をリードの端部に容易に取り付けることを可能とし、固定機構が取り付けられているときにアセンブリの少なくとも一つの部品を適所に「スナッピング」させて、固定機構を取り外し自在に適所に係止する。また、スナップ嵌合アセンブリは固定機構の簡単な分離を可能とする。図示のようにケーブル208(好ましくは非弾性)を取り付けることができ、これはポスト210に荷重を加えて、定機構からの牽引力を引き起こす。
【0008】
代替的な実施形態では、スナップ嵌合は、当技術分野で公知の形状記憶合金を使用して熱活性化を用いることで達成できる。このような合金の熱活性化は、アセンブリの部品を接続するのに用いると、それらの部品を取り外せるように合金の形状を変形することができ、さもなければ合金の形状を操作することができる。内部エネルギー源を合金の熱活性化に使用することができ、或いは遠隔エネルギー源を誘導又は伝導により結合させる。この例では歯チップを示したが、螺旋やスクリューアセンブリのような他の実施形態においては固定機構も可能である。
【0009】
生体分解性チップ保持体
図3に示す第3の実施形態による離脱固定機構300は再びリード304のバルクと固定機構300との間の分離点を規定するスリット302を利用する。しかしながら、このデバイスでは、固定機構のリードを保持するために、生体分解性チップ保持体306がリードのチップ及び固定機構300に用いられる。しかしながら、このデバイスにおいては、生体分解性チップ保持体306が固定機構300のリードのチップに用いられており、固定機構内にリードを保持する。保持体306内でリードを適所に保持するのにリードの端部で使用できるものは、例えばケーブル、ワイヤ、ポリエステル編糸、又は他の多孔性材からなるテザー308(選択的にボール)である。この保持体は、右室などの位置に移植するために当技術分野で公知の適宜な生体分解性材料から製作することができる。保持体の材料が生体分解したならば、固定機構300からテザー308を取り外すようにリードを引っ張ることができる。チップは、リードの張引により、スリット302、又は他の分離点若しくはノッチにて破断することができる。
【0010】
生体分解性材料で被覆された螺旋
図4A及び図4Bに示される第4の実施形態による固定機構400は、例えば患者の心筋層などの適所にリード404を保持するのに使用する螺旋402を含んでいる。螺旋402は、図4Bの対応する断面図のように内側螺旋状コア408及び外側分解可能被覆410(ポリマー又はマグネシウムなど)から構成することができる。被覆と組み合わせると、螺旋402はリードを保持する適宜な強度を持つことができる。 時間がたつにつれて、リードは線維性内成長414(図4A)に起因して一層安定化することができ、これは螺旋402に内成長促進材料又は物質を用いることにより局所的に促進することができる。 被覆410が身体に吸収されると、結果的な螺旋(主としてコアと残りの被覆から構成される)は、牽引によって安全な摘出ができるくらい弱い場合がある。 図5に示される代替的実施形態では、非吸収性コア408(螺旋ワイヤとすることができる)の長さは、初期螺旋500の螺旋ワイヤの長さよりも短くすることができ、これは被覆410を含み、コア408はテーパー状として強度が末端から基端へ漸進的に増大する。何れの実施形態でも、生体分解速度は、成長及び安定化率に適合するために合わせることができる。代替的に、全体の螺旋(又は他の固定機構)は生体分解性とすることができる。様々な環境に適した生体分解性/被覆は、ポリーカプトラクトン(PCL)、ポリグリコール酸(PGA)、及びポリー乳酸(PLA)を含む。
【0011】
生体分解性固定機構
図6に示された第5の実施形態による固定機構600は生体分解性固定機構の一例である。移植可能デバイス602は、線維性内成長を促進するように設計でき、例えば或る期間(例えば約60日間)の後に内成長604が適所にリードを保持するために充分であるようにすることができる。線維性内成長は、移植可能デバイスの緩やかなアンダーカット機構606の周りに形成できる。繊維領域を形成するアンダーカット機構は、当技術分野で公知のような高伸張性材料を利用できる。収縮ワイヤ608又はケーブルがまさに基部にてネッキング遷移を終端させることができる。適度の引っ張り荷重(牽引)の下では、アンダーカット機構606は、図7A及び図7Bに示すように、引き離すことができる。 また、図7A及び図7Bに見られるように、固定機構は生体分解して、もはや適所にリード602を保持していない。アンダーカット機構606は、収縮ワイヤの起動によって、図示のようにより細長い配置へ少なくとも部分的に圧潰又は圧縮させることができるので、周囲の組織を損傷させることなくアンダーカット機構を摘出できる。代替的に、アンダーカット機構自体は螺旋状とすることができ、摘出はリードを捩じる(螺旋を捩じって外す)ことによって実行できる。
電解質分離
図8に示される第6の実施形態による固定機構800は、電解質の分離要素802を含んでおり、これは電気エネルギに露呈されると電気的に浸食される。要素802はコンダクタさもなければ移植デバイスを介して、通電させることができる。螺旋は図解のために示されていますが、取付機構は本明細書で説明したものか、或いはそうでなければ、歯や楔など、留置に役立つ任意の機構とすることができる。固定機構を取り外すために、形状記憶合金(ニチノール)又は重合体などの材料へ熱エネルギを加えることで直線状に又は軟化させることができる。図示の例ではエネルギの適用が図8Bに示すように螺旋804を取り外せるので、嵩張るリード806を容易に摘出できる。
【0012】
組み合わせ
他の実施形態は最初の六つの実施形態における概念を組み合わせることができる。これらの概念は独自に用いてもよく、幾多の組み合わせで用いてもよい。例えば図9は、リード906の摘出に際してチップ又は固定機構904を取り外すのに用いられるノッチ902の周りに生体分解性材料900が配置されている実施形態を示す。固定機構は上述のように線維性内成長促進体908を持つことができる。 生体分解性材料はノッチ上で生体分解性カフの形態を採ることができ、材料が分解する(及び結果的に吸収される)とき、リードの引張り強度がノッチ902で減少する。例えば、移植後の所定時間(30乃至90日間まで)の頃に最終的強度は約2.5乃至3.0 lbsである。 生体分解性材料900が約6カ月後に吸収された後に、引張り強度は、約0.5乃至1.0lbs以下である。二つの断面図910、912が図9B及び図9Cに示されており、生体分解性材料により囲まれたノッチ位置におけるリードの例示的形状を図解している。図10に示された他の実施形態においては、生体吸収性歯1000は固定機構の一部として使用される。これらは単独で用いるか、或いは少なくとも一つの長期可撤性歯1002と組み合わせて使用できる。代替的に、恒久的な歯とリードとの間の接触面は吸収可能及び/又は分解可能である。これはリードを摘出時点で歯から引き出すことを可能とする。
可撤性歯
図11に示される第7実施形態による固定機構1100は、リード1104と共に取り除くことができるリードチップ1102を含んでおり、歯1106は可撤性である。チップは、歯を真っすぐにさせるのを容易にするためにリリーフ1108を包含できる。各歯1106がリードチップ1102へ取り付けられる位置は膜1110を含むことができ、これは穿孔されているか、又はノッチが付けられているので、充分な牽引(例えば1ポンドの力)がリード及びチップに加わるとき、膜1106は破断できる。代替的に、生体分解性ポリマーを用いることができ、これはリードチップが組織内成長によって保持された後に、溶解及び/又は吸収されるか、或いは脆弱になる。脆弱になった歯は脱するか反転してリード1104による歯1106の退出を可能とする。
【0013】
拡張自在/収縮自在歯アンカー
図12に示される第8実施形態による固定機構1200は、リード1202が(例えば右心室(RV)へ)送られて一つ又は複数の歯1204が収縮することを可能とする。この設計では、収縮した歯はリードの円周を越えて外に延出することはない。収縮した歯はリードのチップ内に拘束される。図13に示されるようにリードが適所に位置すると、固定デバイス1300を形成する延伸位置へ歯1204を進めることができる。各歯は例えば被覆された又は被覆されていないニチノルワイヤなどの材料から形成できる。
【0014】
送りを容易にするために探針1206を用いることができ、これは、リードを留置する適所に達したときに歯を露呈させるプランジャとして使用できる。図14A−14Cは収縮及び前進させるために可能な代替的な歯の幾何形状1400、1402、1404を示す。図15はリード1502を除去するために収縮する歯1500の図を示す。歯ワイヤは基端から引っ張ることができ、リードチップにおける耐牽引が可能である。歯の収縮を容易にするために耐牽引シースも使用できる。これに代えて、図16に示すように、歯1600は、リード1604上を進められるシース1602へ引き込まれる。リードボディが僅かな軸方向弾性を有し、且つ歯1600が(最少量の伸張を有する)基端へ固定されるなら、牽引力は一つ又は複数の歯をチップへ引き入れることができる。
【0015】
固定プラグ
代替的に、固定機構はリード送りシステムによって独立に送りができる固定プラグを含むことができる。そのような特徴は生体分解性であり、リードの取り外しを容易にする。このような一つのデバイスでは、リード1700(図17A)のチップ1702には、鉤1706(図17B)、ステープル、螺旋1708(図17C)、又はねじなどの固定用具を受け入れるように形状付けられた開口を持たせることができる。着床部位にあるリード1700によれば、固定用具を開口1704へ挿入して、リードを適所に保持するために固定用具がチップ1702の端部における第2の開口1710へ延出する位置へ押すことができる。図18に示すように、組織内への挿入のための回転を必要とする螺子又は螺旋固定用具を外部的に作動させるためにリード内には歯車付きブッシング1800か外部的に作動させられたねじがある。ブッシングはモーターか手動の手段を使用することで駆動させることができる。或いは、固定用具はリードに先立って移植してもよく、その段階においては、リードを進めて、二つの要素が噛合するまで、基端開口1710は可撓デバイス上を通過する。何れの方法においても、固定デバイスからリードを取り外すためにリードへ張力が加えられる。
【0016】
ここに開示された実施形態は、心臓へ固定されたリードという状況で説明したが、この開示された原理は他の実施形態においては形式の移植型デバイスにも同様に適用可能であることに留意されたい。例えば、本願の譲受人が所有している米国特許第7,082,336号及び米国特許出願第10/862,113号で開示された形式のものを含む脈管内デバイスは、血管の内壁と着床部位との接触へ拡張可能な放射状拡張型アンカーを含んでいる。 ここに開示された形式の分離機構は、脈管内デバイス(例えば、パルスジェネレータ又は管状リード)の血管壁に外傷を引き起こすことのないアンカーからの分離を可能とするように採用できる。
【0017】
以上の説明を斟酌すれば上述に特定された実施形態の様々な変形例が当業者には自明であることに留意されたい。従って本発明は、本明細書に図示及び説明された特定の実施形態及び方法により限定されるものではない。むしろ本発明の要旨は添付の請求項及びその均等物により規定されるべきものである。
【0018】
上記に参照した任意の又は全ての特許、特許出願、及び刊行物は、優先権主張の目的のものも含めて、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は取り外し自在な固定機構の第1の実施形態の側面図である。
【図2】図2は取り外し自在な固定機構の第2の実施形態の縦断面図である。
【図3】図3は取り外し自在な固定機構の第3の実施形態の縦断面図である。
【図4A】図4Aは取り外し自在な固定機構の第4の実施形態の側面図である。
【図4B】図4Bは図4Aに4B−4Bで示された面に沿って採った断面図である。
【図5】図5は図4Aの実施形態に対する変更例の側面図である。
【図6】図6は取り外し可能な固定機構の第5の実施形態の側面図である。
【図7】図7は図6の非分解可能アンダーカット機能の側面図である。
【図7B】図7Bは図6の非分解可能アンダーカット機能の側面図である。
【図8A】図8Aは電解質の分離を利用する取り外し自在な固定機構の側面図である。
【図8B】図8Bはリードから取り外された図8Aの機構の図解である。
【図9A】図9Aは生体分解性物質と壊れやすい特性を持っている取り外し可能固定機構の側断面面である。
【図9B】図9Bは図9AにA−Aで示された面に沿って図9Aの断面図についての二つの代替例を有する断面図である。
【図9C】図9Cは図9AにA−Aで示された面に沿って図9Aの断面図についての二つの代替例を有する断面図である。
【図10】図10は生体分解性物質固定機構の側断面図である。
【図11】図11は更に他の取り外し自在な固定機構の側面図である。
【図12】図12は収縮式の歯アセンブリの側面斜視図である。
【図13】図13は展開姿勢における図12の収縮式の歯のアセンブリを示す側斜視図である。
【図14A】図14Aは図13と同様な図解であり、収縮式歯アセンブリについての代替的幾何形状を示す図である。
【図14B】図14Bは図13と同様な図解であり、収縮式歯アセンブリについての代替的幾何形状を示す図である。
【図14C】図14Cは図13と同様な図解であり、収縮式歯アセンブリについての代替的幾何形状を示す図である。
【図15】図15は歯を収縮させる方法を示す収縮式歯アセンブリの斜視図である。
【図16】図16は歯を収縮させる方法を示す収縮式歯アセンブリの斜視図である。
【図17A】図17Aは個別の移植可能取り外し自在固定機構と共に使用するリードの斜視図である。
【図17B】図17Bは図17Aのリードと共に使用可能な固定機構の例を示す図である。
【図17C】図17Cは図17Aのリードと共に使用可能な固定機構の例を示す図である。
【図18】図18は回転可能ブッシングを有するチップ移殖デバイスを用いる個別の移植可能取り外し自在固定機構と共に使用するリードの斜視図である。
【0020】
【発明の詳細な説明】
【0001】
背景
患者の脈管構造へ移植された部分を含めることができる多くの医療デバイスが存在する。 例えば、ペースメーカーと移植可能除細動(ICDs)システム(即ち、リードを有するデバイス)は、心臓鼓動状態の処置のために長年に亘って順調に移植されている。 ペースメーカーは、徐脈の期間を検出して、心臓に電気的刺激を与えることによって鼓動を適切な速度まで増加させるために移植され、ICDsは心臓へ直接に電流を流すことにより心臓を心変換又は除細動するために患者に移植される。別の移植可能除細動デバイスは、心房細動(AF)発作を検出して、電気調整を回復するために電気ショックを心房に送ることができる。
次世代のICDs、ペースメーカーなどは細長い脈管内装置の形態を採るであろうが、これは例えば以下に説明されている。即ち、米国特許第7,082,336号(2003年6月4日出願、発明の名称”Implantable Intravascular Device for Defibrillation and/or Pacing”、米国特許出願第10/453,971号 (2003年6月4日出願、発明の名称”Device & Method for Retaining a Medical Device with a Vessel”)、及び米国特許出願第10/862,113号 (2004年6月4日出願、発明の名称”Intravascular Electrophysiological System and Methods”)であり、その各々は参照により本明細書に組み込まれている。このようなデバイスは、上述の参照により組み込まれた米国特許出願第10/862,113号(出願日2004年6月4日)に説明された方法を含む多数の代替的な手法で移植することができる。例えば、大腿静脈を通して静脈系へデバイスを導入することができ、その鎖骨下静脈か腕頭静脈を通して静脈系に導入するか、或いは大腿動脈の一つを通じるアクセスを用いて動脈系へ導入する。更に、脈管系の様々な部品は異なるアクセスサイトを通して導入し得る。例えば、デバイスを個別に大腿静脈を通して導入し、対応するリードは鎖骨下静脈を通して導入してもよい。
【0002】
患者の体腔内の心室、大心臓静脈、又は他の同様の位置において、これらのデバイスの一つについての又はより多くの従来のデバイスについてのリードの長期移植は、通常は何らかの形式の固定を必要とする。リード固定には一般的に認知された二つの形態がある。即ち、受動固定及び能動固定である。受動固定においては、例えば、心臓内にリードを固定するために右室(RV)内で小柱骨組織を係合させるように設計されているシリコン又はポリウレタンの可撓性の歯が用いられるのが通例である。能動固定においては、伸縮自在金属螺旋がリードの尖端チップに配置されるのが通例であり、リードは取り付けのために心内膜心筋へ進められる。
【0003】
能動固定リードは頂点以外の心室における領域にてより容易に配置して固定できる。一方、歯には心尖部をより容易に見つける傾向がある。移殖デバイスの限りある寿命は例えば約4年であるので、後にデバイスを摘出することが必要になる場合がある。しかしながら、長期歯リードの摘出はリードチップ及び歯の周りの線維性内成長に起因して困難な場合がある。歯リード直径は、より基部に近い機構よりも大径であるので、チップは引き抜きに対して通常は抵抗する。対照的に、能動固定螺旋は摘出に先だってチップへ引っ込めることができる。そのような螺旋を使用する場合のチップ径は、基部に近い構造の径と同じであるか、又は更に小さい。しかしながら、固定螺旋の伸縮は基部リードへのアクセスが必要であるが、リードが完全に脈管内にあるとすれば、固定螺旋の起動のための基部リードへのアクセスは、非実用的であるか、若しくは不可能である。
【0004】
詳細な説明
本発明の様々な実施形態によるシステム及び方法は、身体内にデバイスが固定又は留置される機構を改良することによって、既存の移殖型デバイスにおける不具合を解消する。 除細動器用リードなどの移殖型デバイスは、デバイスの早期摘出を可能にするために少なくとも部分的に取り外し可能であるか、又は溶解可能な固定機構を持つことができる。これらのデバイスは、摘出可能又は溶解可能な螺旋、歯、鉤、或いは楔などの固定機構を用いて組織に能動的に又は受動的に固定できる。そのような試みは、固定デバイスの初期配置に代えて、ひいては従来技術におけるようなリードの連続配置に代えて、固定機構を取り付けている間、心臓内(又は他の実施形態においては適切な場所)の何処にでもリードを配置することを可能とする。
【0005】
更に、多くの既存のリードはペーシング、除細動などのためにリードの端部又はチップからエネルギーを供給する。本明細書に説明した幾つかの実施形態は、リードの端部からのペーシングエネルギー供給を必要としないので、ワイヤをリードの端部まで導く必要はない。これは都合のよいことである。というのは、このようなワイヤは、それを破断するには相当量の強度を必要とするので、患者を傷つけてしまい(周囲壁、組織などの損傷)、外植が困難なワイヤチップの後方に残ってしまうためである。これに代えて、より基部に近い電極又は直列電極を用いることができる。チップを破断するか、又は溶かすことにより、身体から残りのリードを単に引くことができる。他の既存のデバイスは収縮式のねじを用いるが、ねじを単純に引っ張って心筋から離脱させようとすると、既に述べたように患者に深刻な負傷をもたらす場合がある。
【0006】
機械的破断
図1に示される第1の実施形態による離脱固定機構100は、移殖可能デバイス(例えば、リード)の狭端領域で形成された一連のノッチ102を含んでいる。この端部領域は本デバイスの嵩よりも狭い。というのは、従来のシステムにおけるように電極ワイヤが固定機構の端部へ延伸するのとは対照的に、本デバイスでは電極が固定機構の端部から距離をもって離間した点104へ達するのみであるためである。ノッチの数、ノッチのサイズ、及びこれらのノッチの配置は、固定機構100を形成するのに用いられる材料、デバイスを留置するのに必要な強度、及び固定機構を破断してリードの残りの部分を摘出するために加えねばならない所望の最大引張り強度に依存する。固定機構は、必要な留置の強度を与えることができるこの種のデバイスの技術分野で公知の適宜な生体適合材とすることができる。ノッチの適切な配置は、例えば、歯とチップとが線維性組織によって保持されている間にリードの反対端を単純に引っ張ることにより、このような固定機構を機械的リードから破断させることを可能とする。次いでリードは、ノッチで切り離されて所定位置に残す固定機構により容易に摘出できる。また、移植後の最初の数ヶ月の間に留置強度を向上させる目的で固定機構に内成長保持促進体106を含めることも望ましい。促進体106は、摘出時点で強度を与えるので、周囲の組織を損傷することなく、又は部分的に除去することなく、リードを固定機構100から破断することができる。電極ワイヤがリードの端部まで及ばず、破断又は分離させる必要はないので、ノッチでデバイスを破断するのに必要な強さは、従来のデバイスよりも少ないであろう。この例のために歯チップを示したが、例えば螺旋又はねじアセンブリのような他の固定機構も可能である。
【0007】
スナップ嵌合
図2に示す第2の実施形態による離脱固定機構200は、リード204(電極205を含む)の体積と固定機構200との間の分離点を規定するスリット202を含む。スリットの位置における分離は、リードを固定機構から容易に分離して身体から摘出すること可能とする。スナップ嵌合アセンブリ206は固定機構をリードの体積と共に保持するのに用いることができる。スナップ嵌合アセンブリはボール戻り止め207、207、干渉嵌合、O−リング、及び/又はスナップリングなどの部品を含むことができる。スナップ嵌合アセンブリは、固定機構をリードの端部に容易に取り付けることを可能とし、固定機構が取り付けられているときにアセンブリの少なくとも一つの部品を適所に「スナッピング」させて、固定機構を取り外し自在に適所に係止する。また、スナップ嵌合アセンブリは固定機構の簡単な分離を可能とする。図示のようにケーブル208(好ましくは非弾性)を取り付けることができ、これはポスト210に荷重を加えて、定機構からの牽引力を引き起こす。
【0008】
代替的な実施形態では、スナップ嵌合は、当技術分野で公知の形状記憶合金を使用して熱活性化を用いることで達成できる。このような合金の熱活性化は、アセンブリの部品を接続するのに用いると、それらの部品を取り外せるように合金の形状を変形することができ、さもなければ合金の形状を操作することができる。内部エネルギー源を合金の熱活性化に使用することができ、或いは遠隔エネルギー源を誘導又は伝導により結合させる。この例では歯チップを示したが、螺旋やスクリューアセンブリのような他の実施形態においては固定機構も可能である。
【0009】
生体分解性チップ保持体
図3に示す第3の実施形態による離脱固定機構300は再びリード304のバルクと固定機構300との間の分離点を規定するスリット302を利用する。しかしながら、このデバイスでは、固定機構のリードを保持するために、生体分解性チップ保持体306がリードのチップ及び固定機構300に用いられる。しかしながら、このデバイスにおいては、生体分解性チップ保持体306が固定機構300のリードのチップに用いられており、固定機構内にリードを保持する。保持体306内でリードを適所に保持するのにリードの端部で使用できるものは、例えばケーブル、ワイヤ、ポリエステル編糸、又は他の多孔性材からなるテザー308(選択的にボール)である。この保持体は、右室などの位置に移植するために当技術分野で公知の適宜な生体分解性材料から製作することができる。保持体の材料が生体分解したならば、固定機構300からテザー308を取り外すようにリードを引っ張ることができる。チップは、リードの張引により、スリット302、又は他の分離点若しくはノッチにて破断することができる。
【0010】
生体分解性材料で被覆された螺旋
図4A及び図4Bに示される第4の実施形態による固定機構400は、例えば患者の心筋層などの適所にリード404を保持するのに使用する螺旋402を含んでいる。螺旋402は、図4Bの対応する断面図のように内側螺旋状コア408及び外側分解可能被覆410(ポリマー又はマグネシウムなど)から構成することができる。被覆と組み合わせると、螺旋402はリードを保持する適宜な強度を持つことができる。 時間がたつにつれて、リードは線維性内成長414(図4A)に起因して一層安定化することができ、これは螺旋402に内成長促進材料又は物質を用いることにより局所的に促進することができる。 被覆410が身体に吸収されると、結果的な螺旋(主としてコアと残りの被覆から構成される)は、牽引によって安全な摘出ができるくらい弱い場合がある。 図5に示される代替的実施形態では、非吸収性コア408(螺旋ワイヤとすることができる)の長さは、初期螺旋500の螺旋ワイヤの長さよりも短くすることができ、これは被覆410を含み、コア408はテーパー状として強度が末端から基端へ漸進的に増大する。何れの実施形態でも、生体分解速度は、成長及び安定化率に適合するために合わせることができる。代替的に、全体の螺旋(又は他の固定機構)は生体分解性とすることができる。様々な環境に適した生体分解性/被覆は、ポリーカプトラクトン(PCL)、ポリグリコール酸(PGA)、及びポリー乳酸(PLA)を含む。
【0011】
生体分解性固定機構
図6に示された第5の実施形態による固定機構600は生体分解性固定機構の一例である。移植可能デバイス602は、線維性内成長を促進するように設計でき、例えば或る期間(例えば約60日間)の後に内成長604が適所にリードを保持するために充分であるようにすることができる。線維性内成長は、移植可能デバイスの緩やかなアンダーカット機構606の周りに形成できる。繊維領域を形成するアンダーカット機構は、当技術分野で公知のような高伸張性材料を利用できる。収縮ワイヤ608又はケーブルがまさに基部にてネッキング遷移を終端させることができる。適度の引っ張り荷重(牽引)の下では、アンダーカット機構606は、図7A及び図7Bに示すように、引き離すことができる。 また、図7A及び図7Bに見られるように、固定機構は生体分解して、もはや適所にリード602を保持していない。アンダーカット機構606は、収縮ワイヤの起動によって、図示のようにより細長い配置へ少なくとも部分的に圧潰又は圧縮させることができるので、周囲の組織を損傷させることなくアンダーカット機構を摘出できる。代替的に、アンダーカット機構自体は螺旋状とすることができ、摘出はリードを捩じる(螺旋を捩じって外す)ことによって実行できる。
電解質分離
図8に示される第6の実施形態による固定機構800は、電解質の分離要素802を含んでおり、これは電気エネルギに露呈されると電気的に浸食される。要素802はコンダクタさもなければ移植デバイスを介して、通電させることができる。螺旋は図解のために示されていますが、取付機構は本明細書で説明したものか、或いはそうでなければ、歯や楔など、留置に役立つ任意の機構とすることができる。固定機構を取り外すために、形状記憶合金(ニチノール)又は重合体などの材料へ熱エネルギを加えることで直線状に又は軟化させることができる。図示の例ではエネルギの適用が図8Bに示すように螺旋804を取り外せるので、嵩張るリード806を容易に摘出できる。
【0012】
組み合わせ
他の実施形態は最初の六つの実施形態における概念を組み合わせることができる。これらの概念は独自に用いてもよく、幾多の組み合わせで用いてもよい。例えば図9は、リード906の摘出に際してチップ又は固定機構904を取り外すのに用いられるノッチ902の周りに生体分解性材料900が配置されている実施形態を示す。固定機構は上述のように線維性内成長促進体908を持つことができる。 生体分解性材料はノッチ上で生体分解性カフの形態を採ることができ、材料が分解する(及び結果的に吸収される)とき、リードの引張り強度がノッチ902で減少する。例えば、移植後の所定時間(30乃至90日間まで)の頃に最終的強度は約2.5乃至3.0 lbsである。 生体分解性材料900が約6カ月後に吸収された後に、引張り強度は、約0.5乃至1.0lbs以下である。二つの断面図910、912が図9B及び図9Cに示されており、生体分解性材料により囲まれたノッチ位置におけるリードの例示的形状を図解している。図10に示された他の実施形態においては、生体吸収性歯1000は固定機構の一部として使用される。これらは単独で用いるか、或いは少なくとも一つの長期可撤性歯1002と組み合わせて使用できる。代替的に、恒久的な歯とリードとの間の接触面は吸収可能及び/又は分解可能である。これはリードを摘出時点で歯から引き出すことを可能とする。
可撤性歯
図11に示される第7実施形態による固定機構1100は、リード1104と共に取り除くことができるリードチップ1102を含んでおり、歯1106は可撤性である。チップは、歯を真っすぐにさせるのを容易にするためにリリーフ1108を包含できる。各歯1106がリードチップ1102へ取り付けられる位置は膜1110を含むことができ、これは穿孔されているか、又はノッチが付けられているので、充分な牽引(例えば1ポンドの力)がリード及びチップに加わるとき、膜1106は破断できる。代替的に、生体分解性ポリマーを用いることができ、これはリードチップが組織内成長によって保持された後に、溶解及び/又は吸収されるか、或いは脆弱になる。脆弱になった歯は脱するか反転してリード1104による歯1106の退出を可能とする。
【0013】
拡張自在/収縮自在歯アンカー
図12に示される第8実施形態による固定機構1200は、リード1202が(例えば右心室(RV)へ)送られて一つ又は複数の歯1204が収縮することを可能とする。この設計では、収縮した歯はリードの円周を越えて外に延出することはない。収縮した歯はリードのチップ内に拘束される。図13に示されるようにリードが適所に位置すると、固定デバイス1300を形成する延伸位置へ歯1204を進めることができる。各歯は例えば被覆された又は被覆されていないニチノルワイヤなどの材料から形成できる。
【0014】
送りを容易にするために探針1206を用いることができ、これは、リードを留置する適所に達したときに歯を露呈させるプランジャとして使用できる。図14A−14Cは収縮及び前進させるために可能な代替的な歯の幾何形状1400、1402、1404を示す。図15はリード1502を除去するために収縮する歯1500の図を示す。歯ワイヤは基端から引っ張ることができ、リードチップにおける耐牽引が可能である。歯の収縮を容易にするために耐牽引シースも使用できる。これに代えて、図16に示すように、歯1600は、リード1604上を進められるシース1602へ引き込まれる。リードボディが僅かな軸方向弾性を有し、且つ歯1600が(最少量の伸張を有する)基端へ固定されるなら、牽引力は一つ又は複数の歯をチップへ引き入れることができる。
【0015】
固定プラグ
代替的に、固定機構はリード送りシステムによって独立に送りができる固定プラグを含むことができる。そのような特徴は生体分解性であり、リードの取り外しを容易にする。このような一つのデバイスでは、リード1700(図17A)のチップ1702には、鉤1706(図17B)、ステープル、螺旋1708(図17C)、又はねじなどの固定用具を受け入れるように形状付けられた開口を持たせることができる。着床部位にあるリード1700によれば、固定用具を開口1704へ挿入して、リードを適所に保持するために固定用具がチップ1702の端部における第2の開口1710へ延出する位置へ押すことができる。図18に示すように、組織内への挿入のための回転を必要とする螺子又は螺旋固定用具を外部的に作動させるためにリード内には歯車付きブッシング1800か外部的に作動させられたねじがある。ブッシングはモーターか手動の手段を使用することで駆動させることができる。或いは、固定用具はリードに先立って移植してもよく、その段階においては、リードを進めて、二つの要素が噛合するまで、基端開口1710は可撓デバイス上を通過する。何れの方法においても、固定デバイスからリードを取り外すためにリードへ張力が加えられる。
【0016】
ここに開示された実施形態は、心臓へ固定されたリードという状況で説明したが、この開示された原理は他の実施形態においては形式の移植型デバイスにも同様に適用可能であることに留意されたい。例えば、本願の譲受人が所有している米国特許第7,082,336号及び米国特許出願第10/862,113号で開示された形式のものを含む脈管内デバイスは、血管の内壁と着床部位との接触へ拡張可能な放射状拡張型アンカーを含んでいる。 ここに開示された形式の分離機構は、脈管内デバイス(例えば、パルスジェネレータ又は管状リード)の血管壁に外傷を引き起こすことのないアンカーからの分離を可能とするように採用できる。
【0017】
以上の説明を斟酌すれば上述に特定された実施形態の様々な変形例が当業者には自明であることに留意されたい。従って本発明は、本明細書に図示及び説明された特定の実施形態及び方法により限定されるものではない。むしろ本発明の要旨は添付の請求項及びその均等物により規定されるべきものである。
【0018】
上記に参照した任意の又は全ての特許、特許出願、及び刊行物は、優先権主張の目的のものも含めて、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は取り外し自在な固定機構の第1の実施形態の側面図である。
【図2】図2は取り外し自在な固定機構の第2の実施形態の縦断面図である。
【図3】図3は取り外し自在な固定機構の第3の実施形態の縦断面図である。
【図4A】図4Aは取り外し自在な固定機構の第4の実施形態の側面図である。
【図4B】図4Bは図4Aに4B−4Bで示された面に沿って採った断面図である。
【図5】図5は図4Aの実施形態に対する変更例の側面図である。
【図6】図6は取り外し可能な固定機構の第5の実施形態の側面図である。
【図7】図7は図6の非分解可能アンダーカット機能の側面図である。
【図7B】図7Bは図6の非分解可能アンダーカット機能の側面図である。
【図8A】図8Aは電解質の分離を利用する取り外し自在な固定機構の側面図である。
【図8B】図8Bはリードから取り外された図8Aの機構の図解である。
【図9A】図9Aは生体分解性物質と壊れやすい特性を持っている取り外し可能固定機構の側断面面である。
【図9B】図9Bは図9AにA−Aで示された面に沿って図9Aの断面図についての二つの代替例を有する断面図である。
【図9C】図9Cは図9AにA−Aで示された面に沿って図9Aの断面図についての二つの代替例を有する断面図である。
【図10】図10は生体分解性物質固定機構の側断面図である。
【図11】図11は更に他の取り外し自在な固定機構の側面図である。
【図12】図12は収縮式の歯アセンブリの側面斜視図である。
【図13】図13は展開姿勢における図12の収縮式の歯のアセンブリを示す側斜視図である。
【図14A】図14Aは図13と同様な図解であり、収縮式歯アセンブリについての代替的幾何形状を示す図である。
【図14B】図14Bは図13と同様な図解であり、収縮式歯アセンブリについての代替的幾何形状を示す図である。
【図14C】図14Cは図13と同様な図解であり、収縮式歯アセンブリについての代替的幾何形状を示す図である。
【図15】図15は歯を収縮させる方法を示す収縮式歯アセンブリの斜視図である。
【図16】図16は歯を収縮させる方法を示す収縮式歯アセンブリの斜視図である。
【図17A】図17Aは個別の移植可能取り外し自在固定機構と共に使用するリードの斜視図である。
【図17B】図17Bは図17Aのリードと共に使用可能な固定機構の例を示す図である。
【図17C】図17Cは図17Aのリードと共に使用可能な固定機構の例を示す図である。
【図18】図18は回転可能ブッシングを有するチップ移殖デバイスを用いる個別の移植可能取り外し自在固定機構と共に使用するリードの斜視図である。
【0020】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓ペーシング又は除細動リードであって、
リードボディの末端部分及び基端部分を規定する分離点を含む細長いリードボディと、
前記分離点の近傍の前記リードボディの前記基端部分における少なくとも一つの露出している電極と、
前記リードボディの前記末端部分へ接続された非導電性末端固定部品とを備え、前記細長いリードボディが前記分離点にて分離されるとき、前記固定部品は前記末端部分を所定位置に留めると共に、前記少なくとも一つの露出電極を有する前記基端部分を摘出することを可能とするリード。
【請求項2】
請求項1のリードにおいて、前記基端部分と前記末端部分とは牽引を加えて前記分離点にてリードボディを折ることにより分離されるリード。
【請求項3】
請求項1のリードにおいて、前記固定部品と前記リードボディの一部とは、所定の力を越える牽引が加わるときに解除可能であるカップリングにより結合されているリード。
【請求項4】
請求項1のリードにおいて、前記カップリングは、ボール戻止め、干渉嵌合、及びスナップ嵌合カップリングからなるグループから選択されたカップリングを含むリード。
【請求項5】
請求項4のリードにおいて、前記カップリングの少なくとも一部が生体分解性成分を含むリード。
【請求項6】
請求項1のリードにおいて、前記リードボディの末端部分が内成長促進体を含むリード。
【請求項7】
請求項6のリードにおいて、前記内成長促進体はアンダーカット、穴、線維性物質、多孔性材料、及び生物活性材料からなるグループから選択されているリード。
【請求項8】
心臓ペーシング又は除細動リードであって、
基端及び末端を有する細長いリードボディと、
前記リードボディの前記基端近傍における少なくとも一つの露出している電極と、
前記リードボディの前記末端の近傍へ接続された取り外し自在な固定部品とを備え、前記固定部品が前記リードボディから取り外されるとき、前記リードボディ及び前記露出電極を摘出可能であるリード。
【請求項9】
請求項8のリードにおいて、前記固定部品の少なくとも一部が生体分解性であるリード。
【請求項10】
請求項8のリードにおいて、前記固定部品は電解離脱により前記リードボディから取り外し可能であるリード。
【請求項11】
請求項8のリードにおいて、前記固定部品は牽引力が加えられた際に前記リードボディから取り外し可能であり、その取り外しを達成するのに必要である牽引力は時間が経るにつれて減少するリード。
【請求項12】
請求項8のリードにおいて、前記固定部品は内成長促進体を包含するリード。
【請求項13】
請求項12のリードにおいて、前記内成長促進体は、アンダーカット、穴、線維性材料、多孔性材料、及び生物活性材料からなるグループから選択されるリード。
【請求項14】
請求項8のリードにおいて、前記取り外し可能な固定部品は分解性の第1の部分を含み、この分解性第1の部分は、より可撓な非分解性の第2の部分の上に被せられているリード。
【請求項15】
請求項8のリードにおいて、前記取り外し可能な固定部品は吸収可能な歯であるリード。
【請求項16】
請求項8のリードにおいて、前記取り外し可能な固定部品は吸収可能螺旋であるリード。
【請求項17】
請求項8のリードにおいて、前記取り外し可能な固定部品は少なくとも部分的に吸収可能であるリード。
【請求項18】
請求項8のリードにおいて、前記取り外し可能な固定部品は摘出可能であるリード。
【請求項19】
請求項18のリードにおいて、前記取り外し可能な固定部品は膜状の歯と被覆されたねじからなるグループから選択されるリード。
【請求項20】
身体からリードを除去する方法であって、
基端及び末端、その末端近傍の少なくとも一つの露出している電極、及び該末端近傍に接続された取り外し自在な固定部品を有する細長いリードボディを含むリードを与え、
このリードは前記固定部品が身体の一部に係合した状態で人体に移植されており、前記リードボディの一部に牽引を加えることにより、前記リードボディを前記固定部品から分離させ、前記リードボディ及び前記露出電極を人体から摘出する方法。
【請求項21】
請求項20の方法において、前記牽引を加える段階は、前記リードボディ及び固定部品を、予め規定された分離点にて破断する方法。
【請求項22】
請求項20の方法において、前記リードを与える段階は、前記リードボディ及び固定部品を所定の力を越える牽引が加わるときに解除可能なカップリングによって結合させる方法。
【請求項23】
請求項22の方法において、前記リードボディを前記固定部品から分離させる段階に先立って、前記カップリングの一部を生体分解又は生体吸収させる段階を含む方法。
【請求項24】
請求項20の方法において、前記摘出する段階の後に、前記固定部品を身体内で生体分解又は生体吸収することを可能にさせることを更に含む方法。
【請求項1】
心臓ペーシング又は除細動リードであって、
リードボディの末端部分及び基端部分を規定する分離点を含む細長いリードボディと、
前記分離点の近傍の前記リードボディの前記基端部分における少なくとも一つの露出している電極と、
前記リードボディの前記末端部分へ接続された非導電性末端固定部品とを備え、前記細長いリードボディが前記分離点にて分離されるとき、前記固定部品は前記末端部分を所定位置に留めると共に、前記少なくとも一つの露出電極を有する前記基端部分を摘出することを可能とするリード。
【請求項2】
請求項1のリードにおいて、前記基端部分と前記末端部分とは牽引を加えて前記分離点にてリードボディを折ることにより分離されるリード。
【請求項3】
請求項1のリードにおいて、前記固定部品と前記リードボディの一部とは、所定の力を越える牽引が加わるときに解除可能であるカップリングにより結合されているリード。
【請求項4】
請求項1のリードにおいて、前記カップリングは、ボール戻止め、干渉嵌合、及びスナップ嵌合カップリングからなるグループから選択されたカップリングを含むリード。
【請求項5】
請求項4のリードにおいて、前記カップリングの少なくとも一部が生体分解性成分を含むリード。
【請求項6】
請求項1のリードにおいて、前記リードボディの末端部分が内成長促進体を含むリード。
【請求項7】
請求項6のリードにおいて、前記内成長促進体はアンダーカット、穴、線維性物質、多孔性材料、及び生物活性材料からなるグループから選択されているリード。
【請求項8】
心臓ペーシング又は除細動リードであって、
基端及び末端を有する細長いリードボディと、
前記リードボディの前記基端近傍における少なくとも一つの露出している電極と、
前記リードボディの前記末端の近傍へ接続された取り外し自在な固定部品とを備え、前記固定部品が前記リードボディから取り外されるとき、前記リードボディ及び前記露出電極を摘出可能であるリード。
【請求項9】
請求項8のリードにおいて、前記固定部品の少なくとも一部が生体分解性であるリード。
【請求項10】
請求項8のリードにおいて、前記固定部品は電解離脱により前記リードボディから取り外し可能であるリード。
【請求項11】
請求項8のリードにおいて、前記固定部品は牽引力が加えられた際に前記リードボディから取り外し可能であり、その取り外しを達成するのに必要である牽引力は時間が経るにつれて減少するリード。
【請求項12】
請求項8のリードにおいて、前記固定部品は内成長促進体を包含するリード。
【請求項13】
請求項12のリードにおいて、前記内成長促進体は、アンダーカット、穴、線維性材料、多孔性材料、及び生物活性材料からなるグループから選択されるリード。
【請求項14】
請求項8のリードにおいて、前記取り外し可能な固定部品は分解性の第1の部分を含み、この分解性第1の部分は、より可撓な非分解性の第2の部分の上に被せられているリード。
【請求項15】
請求項8のリードにおいて、前記取り外し可能な固定部品は吸収可能な歯であるリード。
【請求項16】
請求項8のリードにおいて、前記取り外し可能な固定部品は吸収可能螺旋であるリード。
【請求項17】
請求項8のリードにおいて、前記取り外し可能な固定部品は少なくとも部分的に吸収可能であるリード。
【請求項18】
請求項8のリードにおいて、前記取り外し可能な固定部品は摘出可能であるリード。
【請求項19】
請求項18のリードにおいて、前記取り外し可能な固定部品は膜状の歯と被覆されたねじからなるグループから選択されるリード。
【請求項20】
身体からリードを除去する方法であって、
基端及び末端、その末端近傍の少なくとも一つの露出している電極、及び該末端近傍に接続された取り外し自在な固定部品を有する細長いリードボディを含むリードを与え、
このリードは前記固定部品が身体の一部に係合した状態で人体に移植されており、前記リードボディの一部に牽引を加えることにより、前記リードボディを前記固定部品から分離させ、前記リードボディ及び前記露出電極を人体から摘出する方法。
【請求項21】
請求項20の方法において、前記牽引を加える段階は、前記リードボディ及び固定部品を、予め規定された分離点にて破断する方法。
【請求項22】
請求項20の方法において、前記リードを与える段階は、前記リードボディ及び固定部品を所定の力を越える牽引が加わるときに解除可能なカップリングによって結合させる方法。
【請求項23】
請求項22の方法において、前記リードボディを前記固定部品から分離させる段階に先立って、前記カップリングの一部を生体分解又は生体吸収させる段階を含む方法。
【請求項24】
請求項20の方法において、前記摘出する段階の後に、前記固定部品を身体内で生体分解又は生体吸収することを可能にさせることを更に含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【公表番号】特表2009−504331(P2009−504331A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527059(P2008−527059)
【出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/031829
【国際公開番号】WO2007/022180
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(505448947)シネコー・エルエルシー (15)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/031829
【国際公開番号】WO2007/022180
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(505448947)シネコー・エルエルシー (15)
【Fターム(参考)】
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