ルーフキャリア
【課題】 フレームによって発生する風切り音を軽減しながら、耐荷重性が高く、製造コストを抑えたルーフキャリアを提供すること。
【解決手段】 車両のルーフ上に設置して荷を積載するルーフキャリアであって、略車幅の長さがあり、車両の前後方向に間隔をあけて互いに平行に配設され、荷を積載する複数のフレームと、該複数のフレームの両端に対して夫々、その長さ方向と直角に取付けられる2本の化粧枠と、該2本の化粧枠を車両のルーフの左側又は右側の端部に夫々固定する固定部材とからなり、前記フレームは、略水平な積載面を有し、長さ方向に直角な断面が略楕円形状であって、その断面において、略垂直方向に配向される短軸は35mm以上で、且つ、前縁半径は当該断面と同じ長さの短軸及び長軸を有する楕円の前縁半径以下であることを特徴とするルーフキャリアとする。
【解決手段】 車両のルーフ上に設置して荷を積載するルーフキャリアであって、略車幅の長さがあり、車両の前後方向に間隔をあけて互いに平行に配設され、荷を積載する複数のフレームと、該複数のフレームの両端に対して夫々、その長さ方向と直角に取付けられる2本の化粧枠と、該2本の化粧枠を車両のルーフの左側又は右側の端部に夫々固定する固定部材とからなり、前記フレームは、略水平な積載面を有し、長さ方向に直角な断面が略楕円形状であって、その断面において、略垂直方向に配向される短軸は35mm以上で、且つ、前縁半径は当該断面と同じ長さの短軸及び長軸を有する楕円の前縁半径以下であることを特徴とするルーフキャリアとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーフキャリアに関し、より詳しくは、車両のルーフ上に荷を積載して運搬するルーフキャリアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車内に入らない長いものや嵩高い荷を運搬するために、車両のルーフ上に設置するルーフキャリアが利用されている。このルーフキャリアとしては、車両の前後方向に設置される2本の横枠(化粧枠)と、複数の車幅方向のフレームとで構成され、そのフレーム上に荷を積載するようになっているものが多い。
そのフレームの形状としては、図11(a)のような断面形状のものを例示することができる。このような矩形の断面形状を有する四角柱のフレームの場合、フレーム上に荷を積載しない状態で走行すると、図11(a)に示すように、紙面左方向(前方)からの風を受けてフレーム後方にカルマン渦が発生し、大きな風切り音が生じる。このカルマン渦は、円柱のものに対して発生することはよく知られているので、円柱のフレームを採用した場合も同様に風切り音が大きくなる。
【0003】
そこで、風切り音を小さくするために、フレームを、長手方向に沿って大径部及び小径部が交互に形成された構成とすることが提案されている(下記特許文献1参照)。このフレームによって、車両走行時に大径部及び小径部の下流側に夫々カルマン渦が生じても、これらのカルマン渦が相互に干渉してカルマン渦の周期的な配列が乱され、その規則性が失われ、大きな風切り音が生じることを防ぐようにしている。
【0004】
しかしながら、フレームを、大径部及び小径部が交互に形成された構成とすると、小径部での強度が弱くなり、また、大径部と小径部を継ぎ合わせて構成する場合には、継ぎ目の強度も弱くなる。さらには、製造コストも高くなる。
ルーフキャリアは、レジャー目的でスキー板やサーフボード等の比較的軽量のものを積載する目的で利用される場合もあるが、各種工事の資材やキャンプ用品等のかなり重量のあるものを積載する目的で設置される場合も多く、耐荷重性が高いことも要求されている。
【0005】
図11(a)のような従来のフレームについても、その厚みtは20〜30mm程度で充分な強度はない。また、このフレームは図11(b)に示すようなクランプ等を用いて化粧枠に取り付けられるので、フレームの薄い面に直角にビス等を通して固定することになり、取り付け部においても充分な強度は確保できない。
【0006】
【特許文献1】特開平6−247212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、フレームによって発生する風切り音を軽減しながら、耐荷重性が高く、製造コストを抑えたルーフキャリアを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、車両のルーフ上に設置して荷を積載するルーフキャリアであって、略車幅の長さがあり、車両の前後方向に間隔をあけて互いに平行に配設され、荷を積載する複数のフレームと、該複数のフレームの両端に対して夫々、その長さ方向と直角に取付けられる2本の化粧枠と、該2本の化粧枠を車両のルーフの左側又は右側の端部に夫々固定する固定部材とからなり、前記フレームは、略水平な積載面を有し、長さ方向に直角な断面が略楕円形状であって、その断面において、略垂直方向に配向される短軸は35mm以上で、且つ、前縁半径は当該断面と同じ長さの短軸及び長軸を有する楕円の前縁半径以下であることを特徴とするルーフキャリアに関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記固定部材は、前記フレームを前記化粧枠に固定するとともに、該化粧枠を車両のルーフに固定し、前記フレームは、その内表面の長さ方向に形成されたビス穴に固定部材を介して挿入されたビスによって、前記化粧枠の長さ方向と直角に固定されることを特徴とする請求項1記載のルーフキャリアに関する。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記複数のフレームの間に配設された当該フレームと同形状の中桟と、該中桟を前記2本の化粧枠に固定する固定プレートとを有し、前記中桟は、その内表面の長さ方向に形成されたビス穴に固定プレートを介して挿入されたビスによって、前記化粧枠の長さ方向と直角に固定されることを特徴とする請求項1又は2記載のルーフキャリアに関する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、フレームが、略水平な積載面を有し、長さ方向に直角な断面が略楕円形状で、その断面において、略垂直方向に配向される短軸は35mm以上で設定したので、耐荷重性が高くなり、充分な強度を確保することができ、また、その断面において、前縁半径は当該断面と同じ長さの短軸及び長軸を有する楕円の前縁半径以下としたので、風切り音の発生を抑えることができる。このようなフレームは、継ぎ合わせたりすることなく製造できるので、製造コストも抑えることが可能である。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、フレームがその内表面の長さ方向に形成されたビス穴に固定部材を介して挿入されたビスによって、化粧枠の長さ方向と直角に固定されるので、フレームが容易に化粧枠に固定されるとともに、ビスの長さ全体がビス穴に通っているために、従来のようにクランプ等を用いてフレームの薄い面に直角にビスを通して固定する場合と比較し、強固に化粧枠に固定することができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、中桟は、フレームと同形状、即ち、略水平な積載面を有し、長さ方向に直角な断面が略楕円形状であって、その断面において、略垂直方向に配向される短軸は35mm以上で設定したので、より耐荷重性が高くなり、充分な強度を確保することができるとともに、前縁半径は当該断面と同じ長さの短軸及び長軸を有する楕円の前縁半径以下としたので、風切り音の発生を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るルーフキャリアの好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係るルーフキャリアの実施形態の一例を示す斜視図である。図2は、ルーフキャリアを車両のルーフ上に設置した状態を車両前上方から見た斜視図である。図3は、図2の車両のルーフキャリア付近を拡大して示し、(a)は正面図であり、(b)は背面図である。図4(a)は、フレームの内部構造を示す断面図であり、図4(b)は、図4(a)と同じ長さの短軸及び長軸を有する楕円を示す比較図である。
【0015】
本発明に係るルーフキャリア1は、複数のフレーム2と、2本の化粧枠3と、複数の固定部材4とからなる。
化粧枠3は、フレーム2の長さ方向と直角に、当該フレーム2の両端が取付けられる。
固定部材4は、2本の化粧枠3を車両のルーフの左側又は右側の端部に夫々固定する。
【0016】
フレーム2は、略車幅の長さがあり、車両の前後方向に間隔をあけて互いに平衡に配設され、荷を積載するようになっている。また、フレーム2は、図4(a)に示すように、長さ方向に垂直な断面が略楕円形状であり、車両に設置された状態で略水平になる積載面11と、車両前方側である前縁部12と、車両後方側である後縁部13とを有する。さらに、積載面11の両端部の内面側に梁14を有し、フレーム2の断面が略楕円の筒状部分の内側面の6箇所にビス固定下穴15を設けている。
【0017】
フレーム2の断面形状は、左右及び上下が略対象で、長軸aは短軸bの略2倍の長さで構成している。前縁部12における曲率半径(前縁半径)は、長軸a及び短軸bと各々同じ長さの長軸c及び短軸dを有する楕円(図4(b)参照)の前縁部16における曲率半径(前縁半径)より短く設定している。短軸bの長さは、高い耐荷重性を確保するため、35mm以上に設定し、好ましくは45mm以上60mm以下である。図示例では50mmである。この断面形状は、フレーム2の一端から他端まで同一形状であり、端面形状と一致する。
【0018】
なお、この断面形状において、ビス固定下穴15は、フレーム2の長さ方向全域に形成される必要はなく、両端部でビスが通る長さだけ形成されていればよいが、フレーム2の形成の容易さから長さ方向全域を同じ断面形状としている。また、ビス固定下穴15を図4のように一定の角度(60°)で開口しているのも、フレーム2の形成の容易さからである。従って、ビス固定下穴15の形状としては、開口がないものでもよいし、ビスが外れることがなければ60°より広い角度であってもよい。
【0019】
ここで、フレーム2によって発生する風切り音については、上述のように、長さ方向に垂直な断面が、矩形や円形ではカルマン渦が発生して風切り音が大きくなるので、本発明に係るルーフキャリア1においては、カルマン渦が発生し難いように略楕円形状とする。楕円形状では、積載面がなく、フレーム2の線上に荷を支えることになるので、フレーム2の断面においては、積載面11を確保し、楕円ではない略楕円形状とする。
【0020】
また、前縁部12の曲率半径(前縁半径)は、カルマン渦の発生を軽減するため、長軸a及び短軸bと各々同じ長さの長軸及び短軸を有する楕円の前縁部の曲率半径(前縁半径)より短くする。即ち、一般に前縁半径が短いほどカルマン渦の発生を抑えることができるので、扁平な楕円状にすることが考えられるが、上述のように短軸bの長さは、耐荷重強度を確保するため、少なくとも35mm以上に設定する必要があり、短軸bの長さを確保しながら、扁平な楕円状にするには、長軸を相当長くする必要があり、材料コストが高くなる。そこで、積載面11以外の部分についても、前縁部12の曲率半径(前縁半径)が短くなるように、中間部17の張り出しを抑えた略楕円形状とする。
【0021】
フレーム2において、略楕円の筒状部分の厚みeは、厚い方が強度を確保できるが、材料コストを考慮するとあまり厚くすることはできない。厚みeは、用いる材質も考慮して適宜決定する。材質としては、特に限定するものではないが、軽量かつ強度があり、加工も容易なアルミニウムやアルミニウム合金を例示することができる。アルミニウム合金としては、Al−Mg合金、Al−Mg−Si合金、Al−Zn−Mg合金等を例示することができる。
例えば、材質としてAl−Mg−Si合金を用い、図4(a)のような断面形状で短軸bが50mmである場合、厚みeは2mm程度に設定すれば、充分な耐荷重性を確保することができる。また、梁14の厚みも同程度に設定すれば、フレーム2全体としてさらに高い耐荷重性を確保することができる。
【0022】
化粧枠3の形状や材質としては、特に限定されない。本実施形態においては、図3に示すように、断面矩形の角を丸くして車両の外側方向に丸く張り出した形状とし、フレーム2と同じ材質を用いる。
【0023】
本発明に係るルーフキャリア1は、フレーム2が、略水平な積載面を有し、長さ方向に直角な断面が略楕円形状で、その断面において、略垂直方向に配向される短軸を35mm以上で設定したので、耐荷重性が高くなり、充分な強度を確保することができ、また、前縁半径は当該断面と同じ長さの短軸及び長軸を有する楕円の前縁半径以下としたので、風切り音の発生を抑えることができる。このようなフレームは、継ぎ合わせたりすることなく製造できるので、製造コストも抑えることが可能である。
また、積載面11の両端部の内面側に梁14を設けることによって、さらに耐荷重強度を確保することができる。
【0024】
次に、固定部材4によるフレーム2及び化粧枠3の車両ルーフへの設置について説明する。
図5(a)は、ルーフキャリアを設置した車両の右側面図であり、図5(b)は、図5(a)におけるルーフキャリアの取付け状態を示す部分拡大図である。図6は、図5(b)の取付け部分を拡大して示す部分拡大図である。図7は、図6の取付け部分の斜視図である。なお、図5(b)及び図6において取付け部分は全て実線で示している。
【0025】
図5に示すルーフキャリア21は、図1に示したルーフキャリア1と同様、複数のフレーム2と、2本の化粧枠3と、複数の固定部材4とを備え、さらに中桟7、及び中桟7を化粧枠3に固定する固定プレート7を追加したものである。中桟7は、フレーム2と全く同じものであるが、化粧枠3への取付け方がフレーム2と異なる。従って、図5に示すルーフキャリア21及び図1に示したルーフキャリア1において、フレーム2、固定枠3及び固定部材4による取付け状態は同様である。即ち、固定部材4によって、フレーム2が化粧枠3へ取り付けられるとともに、化粧枠3が車両のルーフに取付けられる。
【0026】
固定部材4は、ブラケット23及びクランプ24で構成され、必要に応じて固定を強化するナットプレート、荷を固定するフック31等が追加される。図5(b)及び図6に示すように、車両最前部の固定部材4においてブラケット23は、車両のルーフの傾斜に合わせてクランプ24と重なる部分が傾斜しているが、傾斜形状以外の取付け状態は、傾斜していないものと同様である。従って、取付け状態については、傾斜していないブラケット23を有する固定部材4を例に説明する。
【0027】
図8は、ブラケットの構造を示し、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。
まず、ブラケット23を介してフレーム2を化粧枠3へ固定する取り付けについて、図4、図6及び図8を参照して説明する。
ブラケット23には、図4に示す6箇所のビス固定下穴15に対応する6箇所のビス穴41と、当該ブラケット23を化粧枠3に固定するためのボルトを通す皿穴42とが設けられている。化粧枠3にも、皿穴42に対応するボルト穴が設けられている。図8(a)に示すブラケット23の正面側は、化粧枠3側に配置され、ビス穴41及び皿穴42が設けられたブラケット23における上方側の面が化粧枠3と当接する。ブラケット23の背面側は、図4に示す断面と同じ構造のフレーム2の端面と接する。
【0028】
取付け方としては、ブラケット23の正面側から6箇所のビス穴41にビスが通され、このビスがフレーム2のビス固定下穴15に挿入される。そして、ブラケット23の正面側に出ているビスの頭が、化粧枠3に押付けられるようにして、ブラケット23の上側の面が化粧枠3と当接させられる。この状態でブラケット23の背面側から、ボルトが皿穴42と化粧枠3のボルト穴に通され、ブラケット23が化粧枠3に固定される。この際、フレーム2もブラケット23を介して化粧枠3に固定されることになる。
【0029】
このように、フレーム2が長さ方向に形成されたビス固定下穴15を有し、ブラケット23を介してビスを通すことによって、フレーム2が容易に化粧枠に固定されるとともに、ビスの長さ全体がビス固定下穴15に通っているので、例えばクランプを用いてフレーム2の薄い積載面11に直角にビスを通して固定する場合と比較し、強固に化粧枠に固定される。
【0030】
図9は、クランプの構造を示し、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。
次に、ブラケット23をクランプ24によって車両のルーフの左右端部に固定する取り付けについて、図6〜図9を参照して説明する。
ブラケット23における下方側は、クランプ24とともにズレることなく車両のルーフの左側又は右側の端部を挟めるように、クランプ24と同様の角度をもって折り曲げられ、中間面と下側面とに分けられている。従って、クランプ24の背面側とブラケット23の正面側とが対峙する。上述のビス穴41及び皿穴42以外に、ブラケット23の下側面にはボルトを固定するタップ穴43が設けられ、クランプ24にもタップ穴43に対応する長穴51が設けられている。ブラケット23の中間面には、荷を固定するためのロープ等をかけるフック31を取り付けるためのタップ穴44が設けられている。
【0031】
取付け方としては、ブラケット23の正面側とクランプ24の背面側を対峙させ、これらで車両のルーフの左側又は右側の端部を挟むようにし、クランプ24の正面側からボルトを長穴51に通してブラケット23の下側面に設けられたタップ穴に固定する。
【0032】
このように、固定部材4(特にブラケット23)によって、フレーム2が化粧枠3に取付けられるとともに、化粧枠3が車両のルーフに取付けられるので、ルーフキャリア21の構成部材が一体的に強固に車両のルーフに固定されることができる。
なお、化粧枠3へのフレーム2の取付けと、化粧枠3の車両ルーフへの取付けは、いずれを先にしてもよく、取付け箇所等によって取付け易いように適宜選択することができる。
【0033】
図10は、中桟を化粧枠に固定するための固定プレートの構造を示し、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。
次に、固定プレート6を介して中桟7を化粧枠3へ固定する取付けについて、図4、図6及び図10を参照して説明する。
固定プレート6は、図10に示すように略矩形の平板であり、正面側からボルトを挿入するための2つの皿穴61と、背面側からビスを挿入するための4つの皿穴62が設けられている。固定フレーム6の背面側が、化粧枠3と当接する。
【0034】
ここで、中桟7は、上述のようにフレーム2と全く同じものであり、その断面及び端面の構造は、図4に示すフレーム2の断面と同じである。
図10に示す4つの皿穴62は、図4に示す梁14とフレーム2の内面との間に設けられた4つのビス固定下穴15と対応するように設けられ、残り2つのビス固定下穴15の外側に位置するように2つの皿穴61が設けられている。
【0035】
取付け方としては、上述のブラケット23を介してフレーム2を化粧枠3に固定する場合と同様である。即ち、固定フレーム6の背面側から4箇所の皿穴62にビスが通され、このビスが中桟7のビス固定下穴15にも通される。そして、固定プレート6の正面側のビスの頭が化粧枠3に押付けられるように固定プレート6が化粧枠3と当接させられる。この状態で固定プレート6の正面側から、ボルトが皿穴61と化粧枠3のボルト穴に通され、固定プレート6が化粧枠3に固定される。この際、中桟7も固定プレートを介して化粧枠3に固定されることになる。
【0036】
このように、中桟7が長さ方向に形成されたビス固定下穴15を有し、固定プレート6を介してビスを通すことによって、中桟7が容易に化粧枠3に固定されるとともに、ビスの長さ全体がビス固定下穴15に通っているので、強固に化粧枠3に固定される。
また、中桟7は、フレーム2と同形状、即ち、略水平な積載面を有し、長さ方向に直角な断面が略楕円形状であって、その断面において、略垂直方向に配向された短軸は35mm以上で設定したので、フレーム2とともに全体としてより耐荷重性が高くなり、充分な強度を確保することができるとともに、前縁半径は、当該断面と同じ長さの短軸及び長軸を有する楕円の前縁半径以下としたので、風切り音の発生を抑えることができる。
【0037】
なお、固定プレート6を介した中桟7の化粧枠3への取付けにおいては、ブラケット23を介したフレーム2の化粧枠3への取付けと比較すると、ビス及びボルトの数が少なくなっており、若干強度は低くなるが、フレーム2にかかる荷重を軽減するために各フレーム2の間に配置される中桟7としては、充分な強度を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、車内に入らない長いものや嵩高い荷をルーフ上に積載して運搬するボックスカー等の一般車両において好適に利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係るルーフキャリアの実施形態の一例を示す斜視図である。
【図2】ルーフキャリアを車両のルーフ上に設置した状態を車両前上方から見た斜視図である。
【図3】図2の車両のルーフキャリア付近を拡大して示し、(a)は正面図であり、(b)は背面図である。
【図4】(a)はフレームの内部構造を示す断面図であり、(b)は(a)と同じ長さの短軸及び長軸を有する楕円を示す比較図である。
【図5】(a)はルーフキャリアを設置した車両の右側面図であり、(b)は(a)におけるルーフキャリアの取付け状態を示す部分拡大図である。
【図6】図5(b)の取付け部分を拡大して示す部分拡大図である。
【図7】図6の取付け部分の斜視図である。
【図8】ブラケットの構造を示し、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。
【図9】クランプの構造を示し、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。
【図10】中桟を化粧枠に固定するための固定プレートの構造を示し、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。
【図11】(a)は従来のフレームの断面形状を示す断面図であり、(b)は(a)のフレームを化粧枠に取り付けるためのクランプを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ルーフキャリア
2 フレーム
3 化粧枠
4 固定部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーフキャリアに関し、より詳しくは、車両のルーフ上に荷を積載して運搬するルーフキャリアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車内に入らない長いものや嵩高い荷を運搬するために、車両のルーフ上に設置するルーフキャリアが利用されている。このルーフキャリアとしては、車両の前後方向に設置される2本の横枠(化粧枠)と、複数の車幅方向のフレームとで構成され、そのフレーム上に荷を積載するようになっているものが多い。
そのフレームの形状としては、図11(a)のような断面形状のものを例示することができる。このような矩形の断面形状を有する四角柱のフレームの場合、フレーム上に荷を積載しない状態で走行すると、図11(a)に示すように、紙面左方向(前方)からの風を受けてフレーム後方にカルマン渦が発生し、大きな風切り音が生じる。このカルマン渦は、円柱のものに対して発生することはよく知られているので、円柱のフレームを採用した場合も同様に風切り音が大きくなる。
【0003】
そこで、風切り音を小さくするために、フレームを、長手方向に沿って大径部及び小径部が交互に形成された構成とすることが提案されている(下記特許文献1参照)。このフレームによって、車両走行時に大径部及び小径部の下流側に夫々カルマン渦が生じても、これらのカルマン渦が相互に干渉してカルマン渦の周期的な配列が乱され、その規則性が失われ、大きな風切り音が生じることを防ぐようにしている。
【0004】
しかしながら、フレームを、大径部及び小径部が交互に形成された構成とすると、小径部での強度が弱くなり、また、大径部と小径部を継ぎ合わせて構成する場合には、継ぎ目の強度も弱くなる。さらには、製造コストも高くなる。
ルーフキャリアは、レジャー目的でスキー板やサーフボード等の比較的軽量のものを積載する目的で利用される場合もあるが、各種工事の資材やキャンプ用品等のかなり重量のあるものを積載する目的で設置される場合も多く、耐荷重性が高いことも要求されている。
【0005】
図11(a)のような従来のフレームについても、その厚みtは20〜30mm程度で充分な強度はない。また、このフレームは図11(b)に示すようなクランプ等を用いて化粧枠に取り付けられるので、フレームの薄い面に直角にビス等を通して固定することになり、取り付け部においても充分な強度は確保できない。
【0006】
【特許文献1】特開平6−247212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、フレームによって発生する風切り音を軽減しながら、耐荷重性が高く、製造コストを抑えたルーフキャリアを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、車両のルーフ上に設置して荷を積載するルーフキャリアであって、略車幅の長さがあり、車両の前後方向に間隔をあけて互いに平行に配設され、荷を積載する複数のフレームと、該複数のフレームの両端に対して夫々、その長さ方向と直角に取付けられる2本の化粧枠と、該2本の化粧枠を車両のルーフの左側又は右側の端部に夫々固定する固定部材とからなり、前記フレームは、略水平な積載面を有し、長さ方向に直角な断面が略楕円形状であって、その断面において、略垂直方向に配向される短軸は35mm以上で、且つ、前縁半径は当該断面と同じ長さの短軸及び長軸を有する楕円の前縁半径以下であることを特徴とするルーフキャリアに関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記固定部材は、前記フレームを前記化粧枠に固定するとともに、該化粧枠を車両のルーフに固定し、前記フレームは、その内表面の長さ方向に形成されたビス穴に固定部材を介して挿入されたビスによって、前記化粧枠の長さ方向と直角に固定されることを特徴とする請求項1記載のルーフキャリアに関する。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記複数のフレームの間に配設された当該フレームと同形状の中桟と、該中桟を前記2本の化粧枠に固定する固定プレートとを有し、前記中桟は、その内表面の長さ方向に形成されたビス穴に固定プレートを介して挿入されたビスによって、前記化粧枠の長さ方向と直角に固定されることを特徴とする請求項1又は2記載のルーフキャリアに関する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、フレームが、略水平な積載面を有し、長さ方向に直角な断面が略楕円形状で、その断面において、略垂直方向に配向される短軸は35mm以上で設定したので、耐荷重性が高くなり、充分な強度を確保することができ、また、その断面において、前縁半径は当該断面と同じ長さの短軸及び長軸を有する楕円の前縁半径以下としたので、風切り音の発生を抑えることができる。このようなフレームは、継ぎ合わせたりすることなく製造できるので、製造コストも抑えることが可能である。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、フレームがその内表面の長さ方向に形成されたビス穴に固定部材を介して挿入されたビスによって、化粧枠の長さ方向と直角に固定されるので、フレームが容易に化粧枠に固定されるとともに、ビスの長さ全体がビス穴に通っているために、従来のようにクランプ等を用いてフレームの薄い面に直角にビスを通して固定する場合と比較し、強固に化粧枠に固定することができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、中桟は、フレームと同形状、即ち、略水平な積載面を有し、長さ方向に直角な断面が略楕円形状であって、その断面において、略垂直方向に配向される短軸は35mm以上で設定したので、より耐荷重性が高くなり、充分な強度を確保することができるとともに、前縁半径は当該断面と同じ長さの短軸及び長軸を有する楕円の前縁半径以下としたので、風切り音の発生を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るルーフキャリアの好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係るルーフキャリアの実施形態の一例を示す斜視図である。図2は、ルーフキャリアを車両のルーフ上に設置した状態を車両前上方から見た斜視図である。図3は、図2の車両のルーフキャリア付近を拡大して示し、(a)は正面図であり、(b)は背面図である。図4(a)は、フレームの内部構造を示す断面図であり、図4(b)は、図4(a)と同じ長さの短軸及び長軸を有する楕円を示す比較図である。
【0015】
本発明に係るルーフキャリア1は、複数のフレーム2と、2本の化粧枠3と、複数の固定部材4とからなる。
化粧枠3は、フレーム2の長さ方向と直角に、当該フレーム2の両端が取付けられる。
固定部材4は、2本の化粧枠3を車両のルーフの左側又は右側の端部に夫々固定する。
【0016】
フレーム2は、略車幅の長さがあり、車両の前後方向に間隔をあけて互いに平衡に配設され、荷を積載するようになっている。また、フレーム2は、図4(a)に示すように、長さ方向に垂直な断面が略楕円形状であり、車両に設置された状態で略水平になる積載面11と、車両前方側である前縁部12と、車両後方側である後縁部13とを有する。さらに、積載面11の両端部の内面側に梁14を有し、フレーム2の断面が略楕円の筒状部分の内側面の6箇所にビス固定下穴15を設けている。
【0017】
フレーム2の断面形状は、左右及び上下が略対象で、長軸aは短軸bの略2倍の長さで構成している。前縁部12における曲率半径(前縁半径)は、長軸a及び短軸bと各々同じ長さの長軸c及び短軸dを有する楕円(図4(b)参照)の前縁部16における曲率半径(前縁半径)より短く設定している。短軸bの長さは、高い耐荷重性を確保するため、35mm以上に設定し、好ましくは45mm以上60mm以下である。図示例では50mmである。この断面形状は、フレーム2の一端から他端まで同一形状であり、端面形状と一致する。
【0018】
なお、この断面形状において、ビス固定下穴15は、フレーム2の長さ方向全域に形成される必要はなく、両端部でビスが通る長さだけ形成されていればよいが、フレーム2の形成の容易さから長さ方向全域を同じ断面形状としている。また、ビス固定下穴15を図4のように一定の角度(60°)で開口しているのも、フレーム2の形成の容易さからである。従って、ビス固定下穴15の形状としては、開口がないものでもよいし、ビスが外れることがなければ60°より広い角度であってもよい。
【0019】
ここで、フレーム2によって発生する風切り音については、上述のように、長さ方向に垂直な断面が、矩形や円形ではカルマン渦が発生して風切り音が大きくなるので、本発明に係るルーフキャリア1においては、カルマン渦が発生し難いように略楕円形状とする。楕円形状では、積載面がなく、フレーム2の線上に荷を支えることになるので、フレーム2の断面においては、積載面11を確保し、楕円ではない略楕円形状とする。
【0020】
また、前縁部12の曲率半径(前縁半径)は、カルマン渦の発生を軽減するため、長軸a及び短軸bと各々同じ長さの長軸及び短軸を有する楕円の前縁部の曲率半径(前縁半径)より短くする。即ち、一般に前縁半径が短いほどカルマン渦の発生を抑えることができるので、扁平な楕円状にすることが考えられるが、上述のように短軸bの長さは、耐荷重強度を確保するため、少なくとも35mm以上に設定する必要があり、短軸bの長さを確保しながら、扁平な楕円状にするには、長軸を相当長くする必要があり、材料コストが高くなる。そこで、積載面11以外の部分についても、前縁部12の曲率半径(前縁半径)が短くなるように、中間部17の張り出しを抑えた略楕円形状とする。
【0021】
フレーム2において、略楕円の筒状部分の厚みeは、厚い方が強度を確保できるが、材料コストを考慮するとあまり厚くすることはできない。厚みeは、用いる材質も考慮して適宜決定する。材質としては、特に限定するものではないが、軽量かつ強度があり、加工も容易なアルミニウムやアルミニウム合金を例示することができる。アルミニウム合金としては、Al−Mg合金、Al−Mg−Si合金、Al−Zn−Mg合金等を例示することができる。
例えば、材質としてAl−Mg−Si合金を用い、図4(a)のような断面形状で短軸bが50mmである場合、厚みeは2mm程度に設定すれば、充分な耐荷重性を確保することができる。また、梁14の厚みも同程度に設定すれば、フレーム2全体としてさらに高い耐荷重性を確保することができる。
【0022】
化粧枠3の形状や材質としては、特に限定されない。本実施形態においては、図3に示すように、断面矩形の角を丸くして車両の外側方向に丸く張り出した形状とし、フレーム2と同じ材質を用いる。
【0023】
本発明に係るルーフキャリア1は、フレーム2が、略水平な積載面を有し、長さ方向に直角な断面が略楕円形状で、その断面において、略垂直方向に配向される短軸を35mm以上で設定したので、耐荷重性が高くなり、充分な強度を確保することができ、また、前縁半径は当該断面と同じ長さの短軸及び長軸を有する楕円の前縁半径以下としたので、風切り音の発生を抑えることができる。このようなフレームは、継ぎ合わせたりすることなく製造できるので、製造コストも抑えることが可能である。
また、積載面11の両端部の内面側に梁14を設けることによって、さらに耐荷重強度を確保することができる。
【0024】
次に、固定部材4によるフレーム2及び化粧枠3の車両ルーフへの設置について説明する。
図5(a)は、ルーフキャリアを設置した車両の右側面図であり、図5(b)は、図5(a)におけるルーフキャリアの取付け状態を示す部分拡大図である。図6は、図5(b)の取付け部分を拡大して示す部分拡大図である。図7は、図6の取付け部分の斜視図である。なお、図5(b)及び図6において取付け部分は全て実線で示している。
【0025】
図5に示すルーフキャリア21は、図1に示したルーフキャリア1と同様、複数のフレーム2と、2本の化粧枠3と、複数の固定部材4とを備え、さらに中桟7、及び中桟7を化粧枠3に固定する固定プレート7を追加したものである。中桟7は、フレーム2と全く同じものであるが、化粧枠3への取付け方がフレーム2と異なる。従って、図5に示すルーフキャリア21及び図1に示したルーフキャリア1において、フレーム2、固定枠3及び固定部材4による取付け状態は同様である。即ち、固定部材4によって、フレーム2が化粧枠3へ取り付けられるとともに、化粧枠3が車両のルーフに取付けられる。
【0026】
固定部材4は、ブラケット23及びクランプ24で構成され、必要に応じて固定を強化するナットプレート、荷を固定するフック31等が追加される。図5(b)及び図6に示すように、車両最前部の固定部材4においてブラケット23は、車両のルーフの傾斜に合わせてクランプ24と重なる部分が傾斜しているが、傾斜形状以外の取付け状態は、傾斜していないものと同様である。従って、取付け状態については、傾斜していないブラケット23を有する固定部材4を例に説明する。
【0027】
図8は、ブラケットの構造を示し、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。
まず、ブラケット23を介してフレーム2を化粧枠3へ固定する取り付けについて、図4、図6及び図8を参照して説明する。
ブラケット23には、図4に示す6箇所のビス固定下穴15に対応する6箇所のビス穴41と、当該ブラケット23を化粧枠3に固定するためのボルトを通す皿穴42とが設けられている。化粧枠3にも、皿穴42に対応するボルト穴が設けられている。図8(a)に示すブラケット23の正面側は、化粧枠3側に配置され、ビス穴41及び皿穴42が設けられたブラケット23における上方側の面が化粧枠3と当接する。ブラケット23の背面側は、図4に示す断面と同じ構造のフレーム2の端面と接する。
【0028】
取付け方としては、ブラケット23の正面側から6箇所のビス穴41にビスが通され、このビスがフレーム2のビス固定下穴15に挿入される。そして、ブラケット23の正面側に出ているビスの頭が、化粧枠3に押付けられるようにして、ブラケット23の上側の面が化粧枠3と当接させられる。この状態でブラケット23の背面側から、ボルトが皿穴42と化粧枠3のボルト穴に通され、ブラケット23が化粧枠3に固定される。この際、フレーム2もブラケット23を介して化粧枠3に固定されることになる。
【0029】
このように、フレーム2が長さ方向に形成されたビス固定下穴15を有し、ブラケット23を介してビスを通すことによって、フレーム2が容易に化粧枠に固定されるとともに、ビスの長さ全体がビス固定下穴15に通っているので、例えばクランプを用いてフレーム2の薄い積載面11に直角にビスを通して固定する場合と比較し、強固に化粧枠に固定される。
【0030】
図9は、クランプの構造を示し、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。
次に、ブラケット23をクランプ24によって車両のルーフの左右端部に固定する取り付けについて、図6〜図9を参照して説明する。
ブラケット23における下方側は、クランプ24とともにズレることなく車両のルーフの左側又は右側の端部を挟めるように、クランプ24と同様の角度をもって折り曲げられ、中間面と下側面とに分けられている。従って、クランプ24の背面側とブラケット23の正面側とが対峙する。上述のビス穴41及び皿穴42以外に、ブラケット23の下側面にはボルトを固定するタップ穴43が設けられ、クランプ24にもタップ穴43に対応する長穴51が設けられている。ブラケット23の中間面には、荷を固定するためのロープ等をかけるフック31を取り付けるためのタップ穴44が設けられている。
【0031】
取付け方としては、ブラケット23の正面側とクランプ24の背面側を対峙させ、これらで車両のルーフの左側又は右側の端部を挟むようにし、クランプ24の正面側からボルトを長穴51に通してブラケット23の下側面に設けられたタップ穴に固定する。
【0032】
このように、固定部材4(特にブラケット23)によって、フレーム2が化粧枠3に取付けられるとともに、化粧枠3が車両のルーフに取付けられるので、ルーフキャリア21の構成部材が一体的に強固に車両のルーフに固定されることができる。
なお、化粧枠3へのフレーム2の取付けと、化粧枠3の車両ルーフへの取付けは、いずれを先にしてもよく、取付け箇所等によって取付け易いように適宜選択することができる。
【0033】
図10は、中桟を化粧枠に固定するための固定プレートの構造を示し、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。
次に、固定プレート6を介して中桟7を化粧枠3へ固定する取付けについて、図4、図6及び図10を参照して説明する。
固定プレート6は、図10に示すように略矩形の平板であり、正面側からボルトを挿入するための2つの皿穴61と、背面側からビスを挿入するための4つの皿穴62が設けられている。固定フレーム6の背面側が、化粧枠3と当接する。
【0034】
ここで、中桟7は、上述のようにフレーム2と全く同じものであり、その断面及び端面の構造は、図4に示すフレーム2の断面と同じである。
図10に示す4つの皿穴62は、図4に示す梁14とフレーム2の内面との間に設けられた4つのビス固定下穴15と対応するように設けられ、残り2つのビス固定下穴15の外側に位置するように2つの皿穴61が設けられている。
【0035】
取付け方としては、上述のブラケット23を介してフレーム2を化粧枠3に固定する場合と同様である。即ち、固定フレーム6の背面側から4箇所の皿穴62にビスが通され、このビスが中桟7のビス固定下穴15にも通される。そして、固定プレート6の正面側のビスの頭が化粧枠3に押付けられるように固定プレート6が化粧枠3と当接させられる。この状態で固定プレート6の正面側から、ボルトが皿穴61と化粧枠3のボルト穴に通され、固定プレート6が化粧枠3に固定される。この際、中桟7も固定プレートを介して化粧枠3に固定されることになる。
【0036】
このように、中桟7が長さ方向に形成されたビス固定下穴15を有し、固定プレート6を介してビスを通すことによって、中桟7が容易に化粧枠3に固定されるとともに、ビスの長さ全体がビス固定下穴15に通っているので、強固に化粧枠3に固定される。
また、中桟7は、フレーム2と同形状、即ち、略水平な積載面を有し、長さ方向に直角な断面が略楕円形状であって、その断面において、略垂直方向に配向された短軸は35mm以上で設定したので、フレーム2とともに全体としてより耐荷重性が高くなり、充分な強度を確保することができるとともに、前縁半径は、当該断面と同じ長さの短軸及び長軸を有する楕円の前縁半径以下としたので、風切り音の発生を抑えることができる。
【0037】
なお、固定プレート6を介した中桟7の化粧枠3への取付けにおいては、ブラケット23を介したフレーム2の化粧枠3への取付けと比較すると、ビス及びボルトの数が少なくなっており、若干強度は低くなるが、フレーム2にかかる荷重を軽減するために各フレーム2の間に配置される中桟7としては、充分な強度を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、車内に入らない長いものや嵩高い荷をルーフ上に積載して運搬するボックスカー等の一般車両において好適に利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係るルーフキャリアの実施形態の一例を示す斜視図である。
【図2】ルーフキャリアを車両のルーフ上に設置した状態を車両前上方から見た斜視図である。
【図3】図2の車両のルーフキャリア付近を拡大して示し、(a)は正面図であり、(b)は背面図である。
【図4】(a)はフレームの内部構造を示す断面図であり、(b)は(a)と同じ長さの短軸及び長軸を有する楕円を示す比較図である。
【図5】(a)はルーフキャリアを設置した車両の右側面図であり、(b)は(a)におけるルーフキャリアの取付け状態を示す部分拡大図である。
【図6】図5(b)の取付け部分を拡大して示す部分拡大図である。
【図7】図6の取付け部分の斜視図である。
【図8】ブラケットの構造を示し、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。
【図9】クランプの構造を示し、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。
【図10】中桟を化粧枠に固定するための固定プレートの構造を示し、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。
【図11】(a)は従来のフレームの断面形状を示す断面図であり、(b)は(a)のフレームを化粧枠に取り付けるためのクランプを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ルーフキャリア
2 フレーム
3 化粧枠
4 固定部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフ上に設置して荷を積載するルーフキャリアであって、
略車幅の長さがあり、車両の前後方向に間隔をあけて互いに平行に配設され、荷を積載する複数のフレームと、
該複数のフレームの両端に対して夫々、その長さ方向と直角に取付けられる2本の化粧枠と、
該2本の化粧枠を車両のルーフの左側又は右側の端部に夫々固定する固定部材とからなり、
前記フレームは、略水平な積載面を有し、長さ方向に直角な断面が略楕円形状であって、その断面において、略垂直方向に配向される短軸は35mm以上で、且つ、前縁半径は当該断面と同じ長さの短軸及び長軸を有する楕円の前縁半径以下であることを特徴とするルーフキャリア。
【請求項2】
前記固定部材は、前記フレームを前記化粧枠に固定するとともに、該化粧枠を車両のルーフに固定し、
前記フレームは、その内表面の長さ方向に形成されたビス穴に固定部材を介して挿入されたビスによって、前記化粧枠の長さ方向と直角に固定されることを特徴とする請求項1記載のルーフキャリア。
【請求項3】
前記複数のフレームの間に配設された当該フレームと同形状の中桟と、該中桟を前記2本の化粧枠に固定する固定プレートとを有し、
前記中桟は、その内表面の長さ方向に形成されたビス穴に固定プレートを介して挿入されたビスによって、前記化粧枠の長さ方向と直角に固定されることを特徴とする請求項1又は2記載のルーフキャリア。
【請求項1】
車両のルーフ上に設置して荷を積載するルーフキャリアであって、
略車幅の長さがあり、車両の前後方向に間隔をあけて互いに平行に配設され、荷を積載する複数のフレームと、
該複数のフレームの両端に対して夫々、その長さ方向と直角に取付けられる2本の化粧枠と、
該2本の化粧枠を車両のルーフの左側又は右側の端部に夫々固定する固定部材とからなり、
前記フレームは、略水平な積載面を有し、長さ方向に直角な断面が略楕円形状であって、その断面において、略垂直方向に配向される短軸は35mm以上で、且つ、前縁半径は当該断面と同じ長さの短軸及び長軸を有する楕円の前縁半径以下であることを特徴とするルーフキャリア。
【請求項2】
前記固定部材は、前記フレームを前記化粧枠に固定するとともに、該化粧枠を車両のルーフに固定し、
前記フレームは、その内表面の長さ方向に形成されたビス穴に固定部材を介して挿入されたビスによって、前記化粧枠の長さ方向と直角に固定されることを特徴とする請求項1記載のルーフキャリア。
【請求項3】
前記複数のフレームの間に配設された当該フレームと同形状の中桟と、該中桟を前記2本の化粧枠に固定する固定プレートとを有し、
前記中桟は、その内表面の長さ方向に形成されたビス穴に固定プレートを介して挿入されたビスによって、前記化粧枠の長さ方向と直角に固定されることを特徴とする請求項1又は2記載のルーフキャリア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−24050(P2008−24050A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195963(P2006−195963)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(506245877)株式会社ベクタークラフト (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(506245877)株式会社ベクタークラフト (2)
【Fターム(参考)】
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