説明

ループ遅延による予測パラメータ制御方法及び装置

【課題】ループ遅延が存在する通信システムにおいて、第1局において受信された信号の所望の電力レベルを維持するよう、第2局から第1局へと送り出された送信信号の電力レベルを制御する。
【解決手段】第1局は第2局に対して電力制御コマンドを送り、第2局に送信信号の電力レベルを上昇または低下させるように指示する。第1局は受信信号の電力レベルと、所望の電力レベルと、少なくとも1つの保留中の電力制御コマンドに基づいて電力制御コマンドを発生させる。保留中の電力制御コマンドは第1局と第2局間で伝搬している電力制御コマンドを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的にスペクトル拡散通信システムに関し、より詳細には、このようなシステムにおいて制御ループまたは通路遅延の存在下に信号状態を検出する際、及び検出された状態を変更するために制御可能成分を使用する際に、信号パラメータを調整する方法及び装置に関する。更に発明は同時に作動する送信機間の干渉を最小にし、個々の通信の品質を最大にするために制御されるパラメータとして送信電力を使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
多数のシステムユーザ間で情報を送受信するために、種々の多元接続通信システム及び技術が開発されている。しかしながら、特に多数の通信システムユーザにサービスを提供する場合に、符号分割多元接続(CDMA)スペクトル拡散技術等のスペクトル拡散変調技術は他の変調機構に優る少なからぬ利点を提供する。多元接続通信システムにおけるCDMAの使用は、1990年2月13日に発行され、「衛星または地上の中継器を使用するスペクトル拡散多元接続通信システム(Spread Spectrum Multiple Access Communication System Using Satellite Or Terrestrial Repeaters)」と題された米国特許第4,901,307号、及び「個々の受領位相時間とエネルギーを追跡するためのスペクトル拡散通信システムにおいて全スペクトル送信電力を使用するための方法と装置(Method And Apparatus For Using Full Spectrum Transmitted Power In A Spread Spectrum Communication System For Tracking Individual Recipient Phase Time And Energy)」と題された米国特許出願番号08/368,570に開示されており、これらは本発明の譲受人に譲渡されており、参照してここに組み込まれる。
【0003】
これらの特許は、多数の概して移動または遠隔システムユーザまたは加入者ユニット(「移動ユニット」)が、他の移動ユニット、または公衆電話スイッチング回路網等の他の接続システムのユーザと通信するために少なくとも1つの送受信機を使用する通信システムを開示している。通信信号は衛星中継器とゲートウェイを介して送受信されるか、あるいは地上の基地局(時にはセルサイトまたはセルとも称する)に対して直接送受信される。
【0004】
CDMA通信では、周波数スペクトルを多数回再使用することができ、それによって移動ユニットの数を増大させることができる。CDMAを使用することによって、他の多元接続技術を使用して達成することができるより高いスペクトル効率を生じさせることができる。しかしながら、全体の通信システム容量を最大にし、許容できるレベルの相互干渉と信号品質を維持するためには、所定の通信リンクのために必要な電力量を最低レベルに維持するように、システム内の送信信号電力を制御しなければならない。送信信号電力を最低レベル付近に制御することによって、他の移動ユニットとの干渉を減少させる。
【0005】
衛星を使用する通信システムでは、通信信号は典型的にリシアンとして特徴付けられるフェーディングを経験する。従って、受信信号はレイリーフェーディング統計を有する多数の反射成分と合計された直接成分より成る。直接成分と反射成分間の電力比は、移動ユニットアンテナの特性と移動ユニットが作動する環境に応じて、典型的に6〜10dBのオーダーである。
【0006】
衛星通信システムとは対称的に、地上通信システムの通信信号は典型的に、直接成分を含まず、反射成分またはレイリー成分のみから成る信号フェーディングを経験する。このように、地上通信信号はリシアンフェーディングが優勢なフェーディング特性である衛星通信信号より過酷なフェーディング環境を経験する。
【0007】
地上通信システムにおけるレイリーフェーディングは、多くの異なる特徴の物理的環境から反射される通信信号によって生じる。その結果、信号は異なる送信遅延を伴って、多くの方向から移動ユニット受信機にほぼ同時に到着する。セルラ移動電話システムの通信を含む移動無線通信によって通常使用されるUHF周波数帯域では、異なる通路を移動する信号のかなりの位相差が発生することがある。信号を破壊的に加算するかもしれない可能性が折り折りのディープフェーディングを生じさせるかもしれない。
【0008】
全二重チャネルを提供して、従来の有線電話システムによって提供されるもの等の、両方向の会話を同時にアクティブにするために、外向きのまたはフォワードリンク(つまりゲートウェイまたはセルサイト送信機から移動ユニット受信機への通信)のために1つの周波数帯域を使用し、内向きのまたはリバースリンク(つまり、移動ユニット送信機からゲートウェイまたはセルサイト受信機への送信)のために異なる周波数帯域を利用する。この周波数帯域の分離は、送信機から受信機へのフィードバックまたは干渉なしに、移動ユニット送信機及び受信機が同時にアクティブになるようにする。
【0009】
しかしながら、異なる周波数帯域の使用は、電力制御に対する少なからぬ含蓄を有する。異なる周波数帯域の使用は、マルチパスフェーディングがフォワード/リバースリンクにとって独立したプロセスであるようにする。フォワードリンクパス損失は簡単に測定できないし、同じパス損失がリバースリンクにも存在するものと仮定している。
【0010】
更に、セルラ移動電話システムでは、1989年11月7日に提出され、「CDMAセルラ電話システムにおける通信においてソフトハンドオフを提供するための方法及びシステム(Method And System For Providing A Soft Handoff In Communications In A CDMA Cellular Telephone System)」と題された同時係属中の米国特許出願番号07/433,030に開示しているように、移動電話が多数のセルサイトを通して通信することができる。多数のセルサイトとの通信では、上述の出願に開示され、やはり1989年11月7日に提出され、「CDMAセルラ電話システムにおけるダイバーシティ受信機(Diversity Receiver In A CDMA Cellular Telephone System)」と題された同時係属中の米国特許出願番号07/432,552に詳細に記載されているように、移動ユニットとセルサイトは多数の受信機機構を含む。これらの特許出願の開示は参照してここに組み込まれる。
【0011】
電力制御の一方法は、移動ユニットまたはゲートウェイにまず受信信号の電力レベルを測定させることである。この電力測定は、移動ユニットの各々のチャネルに対するパス損失を概算するために、使用される各々の衛星用のトランスポンダダウンリンク送信電力レベルの情報と、移動ユニットとゲートウェイ受信機感度の情報と共に使用される。基地局または移動ユニット送受信機のいずれかが、パス損失概算と送信されたデータ率と衛星受信機感度とを考慮して、移動ユニットに対する信号送信のために使用すべき適切な電力を決定する。移動ユニットの場合、このような測定及び決定に答えてそれより高い電力または低い電力を求める要求を出すことができる。同時に、ゲートウェイはこのような要求に答えて、またはそれ自体の測定に応じて電力を増減することができる。
【0012】
移動ユニットによって衛星に対して送信される信号は、ゲートウェイに対して、また、概して通信システム制御システムへと衛星によって中継される。ゲートウェイまたは制御システムは送信信号から受信した信号電力を測定する。次にゲートウェイは所望の通信レベルを維持するのに必要な最低レベルと受信した電力レベル間の偏差を決定する。好ましくは、最低の所望の電力レベルは、システムの干渉を減少させながら、上質の通信を維持するのに必要な電力レベルである。
【0013】
次に、ゲートウェイは移動ユニットの送信電力を調整または「微調整」するために、移動ユニットに対して電力制御コマンド信号を送信する。移動ユニットはこのコマンド信号を使用して、所望の通信を維持するのに必要な最低レベル付近に送信電力レベルを変更する。典型的に移動ユニットまたは衛星の動きのためにチャネル状態が変化するにつれて、移動ユニットはゲートウェイからの制御コマンドに応答して、連続的に送信電力レベルを調整し、適切な電力レベルを維持する。
【0014】
この構成では、ゲートウェイからの制御コマンドを電力制御フィードバックと称する。衛星を通した往復伝搬遅延のために、ゲートウェイからの電力制御フィードバックは一般にかなり遅い。典型的なLEO衛星軌道(879マイル)を使用する片道伝搬遅延は9〜26msのオーダーである。このように、ゲートウェイからの電力制御コマンドはそれが送られてから26ms後に移動ユニットに到達することができる。同様に、電力制御コマンドに答えて移動ユニットにより為された送信電力の変更は、その変更が為されてから26ms後にゲートウェイによって検出される。このシステムにおける全往復伝搬遅延は18〜53msのオーダーである。このように、電力制御コマンドがゲートウェイによって送られた時間と、応答(つまり、その電力制御コマンドによって生じる電力レベルの変更)がゲートウェイにおいて検出される時間との間で、53msまでの遅延が経過するかもしれない。
【0015】
すなわち、送信電力制御コマンドは、そのコマンドの結果が測定ユニットによって検出される前に、典型的な処理遅延と共に往復伝搬遅延を経験する。不運なことに、特に伝搬遅延が大きい場合、移動ユニットによって為される電力制御コマンドに応じた送信電力の調整が発生せず、次回に受信電力がゲートウェイにおいて測定される前にゲートウェイによって検出されないであろう。この結果、以前の電力制御コマンドが実施された利点なしに、送信電力を調整するために別の電力制御コマンドが送られる。実際、伝搬遅延と電力制御ループの反復時間に応じて、幾つかの電力制御コマンドが保留中になったり、あるいは最初の電力制御コマンドに移動ユニットが応答し、その結果がゲートウェイによって検出される前に「伝搬中である」かもしれない。その結果、送信電力は「限定サイクル」と称されるものにおける目標値付近で動揺する。つまり、コマンドの到着及び実施に際しての遅延のために、送信電力は所望の量を飛び超えたり、所望の量に届かなかったりする。
【0016】
この問題に対する1つの可能な解決策は、電力制御ループの反復時間を単に増やしてそれが伝搬遅延と処理遅延に厳密に似るようにすることである。しかしながら、通信信号が経験する急速フェーディングと突然の信号妨害の影響は、突然の信号損失を防止するために短い反復時間を必要とする。その結果、送信電力が突然、また不必要に増大し、無駄な電力と増大したシステム干渉を生じさせる。
【0017】
必要なことは、送信信号電力または他の信号パラメータの変更や要件に素早く応答し、対応する制御コマンドに関連する伝搬遅延と処理遅延の影響を中和する方法及び装置である。このような方法及び装置が付加的な複雑さと制御構造、あるいはゲートウェイにおけるプロトコール変更をほとんど必要としないことが望ましい。
【発明の概要】
【0018】
本発明は通信システムにおいて信号パラメータ、好ましくは送信信号電力を調整するのに有用な方法及び装置に向けられている。特に、本発明は、少なからぬ信号伝搬遅延を経験する衛星を使用するシステム等の通信システムにおいて、送信電力またはその他の動作条件を調整するための装置及び方法に向けられている。本発明は移動ユニットに対して以前に送られた電力制御コマンドと、ゲートウェイによってまだ検出されていない送信信号電力に対するその効果を追跡することによって、ゲートウェイによって移動ユニットに送られた電力制御コマンドに関連する伝搬遅延の影響を中和する。
【0019】
本発明の1つの実施形態では、ゲートウェイに置かれた電力制御ループが移動ユニットから送信された信号の受信電力レベルを決定する。電力制御ループは受信した電力レベルを所望の電力レベルと比較する。受信した電力レベルが所望の電力レベルより低い場合、移動ユニットにその送信電力を増大させるように命令する電力制御コマンドが送られる。受信した電力レベルが所望の電力レベルより高い場合、移動ユニットにその送信電力を低下させるように命令する電力制御コマンドが送られる。
【0020】
特に衛星ベースの通信システムにおいて、ゲートウェイとモビール間の距離から生じる伝搬遅延のために、幾つかの電力制御コマンドまたはその関連する応答がゲートウェイと移動ユニット間を移動中であるかもしれない。第1組の電力制御コマンドは通信システムのフォワードリンクに沿って伝搬中であり、移動ユニットにまだ達していない電力制御コマンドを含む。移動ユニットは電力制御コマンドがまだ受信されていないので、その送信電力を調整することによって第1組の電力制御コマンドにまだ応答していない。
【0021】
第2組の電力制御コマンドはその効果(つまり、調整済み電力レベルの信号)が通信システムのリバースリンクに沿って伝搬中であり、まだゲートウェイに達していない電力制御コマンドを含む。移動ユニットはこれらの電力制御コマンドを受信して応答したが、その送信電力レベルノ対応する調整はまだゲートウェイに達して検出されていない。
【0022】
本発明の特徴の1つは、第1組の電力制御コマンド(つまり、まだ移動ユーザに達していないフォラードリンクに沿った伝搬)と、第2組の電力制御コマンド(つまり、その調整がリバースリンクに沿って伝搬中であり、その調整がまだゲートウェイによって検出されていないもの)を、一組の「保留中の」電力制御コマンドとして絶えず注意している。新しい電力制御コマンドを決定するために、電力制御ループは保留中の電力制御コマンドを使用する。特に、それを所望の電力レベルと比較する前に、保留中の電力制御コマンドを受信した電力レベルに加える。この方法で、新しい電力制御コマンドの次の決定において保留中の電力制御コマンドが責任を持つ。これは所望の電力レベル付近の送信電力の「制限サイクル」と称される動揺を減少させる。
【0023】
本発明の別の特徴は付加的な複雑さ、付加的な制御構造または従来の通信システムの電力制御コマンドプロトコールの変化を必要としないことである。更に、この技術はマルチビットの電力制御コマンドプロトコールを使用するシステムに対しても同様の改良を提供する。このように、電力制御コマンドプロトコールに対する変更が必要ではない。更に本発明は、少々変更するだけで従来の電力制御ループに組み込むことができる。
【0024】
なお、図面に関連して以下の詳細な説明を読めば、本発明の特徴と目的と利点が自明となるであろう。図面において、同じ参照文字は対応する同じものを特定する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を使用する典型的な無線通信システムを示す図。
【図2】移動ユーザによって使用される例示的な送受信機装置を示す図。
【図3】ゲートウェイにおいて使用される例示的な送信/受信装置を示す図。
【図4】ゲートウェイと移動ユーザ間のフォワードリンクとリバースリンクの送信を示す図。
【図5】通信システムのフォワードリンクとリバースリンクに沿った電力制御コマンドのタイミングを示す図。
【図6】電力制御ループを示す図。
【図7】電力制御ループにおいて使用される従来の補償器を示す図。
【図8】従来の補償器の制限サイクル問題を示す図。
【図9】電力制御ループにおいて使用される本発明による補償器を示す図。
【図10】制限サイクルの減少を含む、本発明による補償器の改良された応答を示す図。
【図11】本発明の動作を示すフローチャート。
【図12】更に詳細な補償器の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は特に低地球周回軌道(LEO)衛星を使用する通信システムにおいて使用するのに特に適している。しかしながら、先行技術の当技術者に自明であるように、本発明のコンセプトは通信目的のために利用されない衛星システムにも適用することができる。また発明は、信号の充分大きな伝搬遅延がある場合、衛星が非LEO軌道で移動する衛星システム、または非衛星中継器システムにも適用することができる。
【0027】
発明の好ましい実施形態について下記に詳述する。特殊なステップや構成及び配置について説明するが、これは説明目的のためだけであることを理解すべきである。先行技術の当業者なら、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他のステップや構成及び配置も使用できることを認識するであろう。本発明は、位置決定や衛星と地上セルラ電話システム用のものを含み、種々の無線情報/通信システムにおいて使用できる。好ましいアプリケーションは移動または携帯電話サービス用のCDMA無線スペクトル拡散通信システムにおいてである。
【0028】
本発明が有用である例示的な無線通信システムが図1に図示されている。この通信システムはCDMAタイプの通信信号を使用することが企図されているが、これは本発明の要件ではない。図1において図示された通信システム100の一部では、2つの遠隔移動ユニット124、126との通信をもたらすために、1つの基地局112と、2つの衛星116、118と、2つの関連するゲートウェイまたはハブ120、122が示されている。典型的に、基地局と衛星/ゲートウェイは、必要ではないが、地上ベース及び衛星ベースと称される別々の通信システムの成分である。このようなシステムにおける基地局とゲートウェイと衛星の全数は、所望のシステム容量と、当業界で理解されている他の要素に依存する。
【0029】
移動ユニット124、126は各々、これらのものに制限されないが、セルラ電話、データ送受信機または送受信装置(例えば、コンピュータ、パーソナルデータアシスタント、ファクシミリ等)、またはページング/位置決定受信機等の無線通信装置を含み、所望であれば携帯したり、車に装着できる。典型的に、このような装置は携帯されたり、車に装着される。ここで、移動ユニットは携帯電話として図示されている。しかしながら、発明の教示は固定ユニット、または屋内及び戸外のロケーションを含み、遠隔無線サービスが望まれるその他のタイプの端末にも適用できることが理解される。
【0030】
基地局やゲートウェイやハブ、及び固定局等の用語は業界において時には相互交換できるものとして使用されており、ゲートウェイという用語は一般に衛星を通して通信を振り向ける特殊化された基地局を備えるものと理解されている。移動ユニットは、加入者ユニット、ユーザターミナル、移動局とも称され、あるいは好みに応じて一部の通信システムでは、単に「ユーザ」、「モビール」または「加入者」とのみ称されることもある。
【0031】
概して、衛星116と118からのビームは予め規定されたパターンで異なる地理的範囲をカバーする。CDMAチャネルまたは「サブビーム」とも称される異なる周波数のビームは、同じ領域の上に重なるように指令されてもよい。更に、多数の衛星用またはセルラ基地局用のビームカバレッジまたはサービスエリアは、通信システムのデザインまたは提供されるサービスのタイプに応じて、またスペースダイバーシティが達成されたか否かに応じて、所定の領域において完全にまたは部分的に重なるように設計されてもよいことを当業者は容易に理解するであろう。例えば、各々が異なる組のユーザに異なる周波数で異なる特徴のサービスを提供してもよいし、あるいは所定の移動ユニットが各々が重なる地理的カバレッジを有する多数の周波数及び/または多数のサービスプロバイダを使用してもよい。
【0032】
種々の多重衛星通信システムが48以上のオーダーの衛星を使用し、多数の移動ユニットにサービスを提供するためにLEO軌道で8つの異なる軌道面で移行する例示的なシステムと共に提案されている。しかしながら、当業者であれば、本発明の教示を種々の衛星システムや他の軌道距離やコンステレーションを含むゲートウェイ構成にどのように適用できるかを容易に理解するであろう。同時に、発明は様々な基地局構成の地上ベースのシステムにも同様に適用できる。
【0033】
図1において、移動ユニット124、126と基地局112との間に、あるいは衛星116と118を介してゲートウェイ120と122と設定された通信に対して、幾つかの可能な信号通路が図示されている。基地局−移動ユニットの通信リンクはライン130と132で示されている。衛星116と118及び移動ユニット124と126間の衛星−移動ユニットの通信リンクはライン14と142と144で示されている。ゲートウェイ120と122及び衛星116と118間のゲートウェイ−衛星の通信リンクはライン146、148、150および152によって示されている。ゲートウェイ120と122及び基地局112は一方向または二方向の通信システムの一部として、あるいは移動ユニット124と126に対してメッセージまたは日付を単に送受信するために使用されてよい。
【0034】
移動ユニット106において使用される例示的な送受信機200が図2に図示されている。送受信機200はアナログ受信機214に転送された通信信号を受信するために少なくとも1つのアンテナ210を使用し、アナログ受信機において信号はダウンコンバートされて増幅され、デジタル化される。同じアンテナが送信と受信機能を果たすことができるようにするために、デュプレクサ素子212が典型的に使用される。しかしながら、一部のシステムは異なる送信・受信周波数で動作するために別々のアンテナを使用する。
【0035】
アナログ受信機214によって出力されたデジタル通信信号は、少なくとも1つのデジタルデータ受信機216Aと少なくとも1つのデジタルサーチャー受信機218に転送される。関連技術の当業者には自明であるように、許容できるレベルの単位複雑度に応じて、所望レベルの信号ダイバーシティを得るために、付加的なデジタルデータ受信機216B〜216Nを使用することができる。
【0036】
少なくとも1つの移動ユニット制御プロセッサ220がデジタルデータ受信機216A〜216N及びサーチャー受信機218に結合される。制御プロセッサ220は、他の機能の中でもとりわけ、基本的な信号処理と、タイミングと、電力とハンドオフ制御または調整と、信号搬送波のために使用される周波数の選択とを提供する。制御プロセッサ220によってしばしば実施される別の基本的な制御機能は、PNコードシーケンスの選択または動作、あるいは通信信号波形を処理するために使用される直交関数である。制御プロセッサ220による信号処理は、相対的な信号強度の決定、及び様々な関連信号パラメータの演算を含むことができる。タイミングや周波数等のこのような信号パラメータの演算は、上昇した効率または測定速度または制御処理リソースの改良された割り当てを提供するために、付加的な、または別の専用回路の使用を含んでもよい。
【0037】
デジタルデータ受信機216A〜216Nの出力は移動ユニット内のデジタルベースバンド回路222に結合される。ユーザデジタルベースバンド回路222は、移動ユニットユーザへと/から情報を送受信するために使用される処理・表示成分を含んでなる。つまり、短期または長期のデジタルメモリ等の信号/データ記憶成分;表示スクリーン、スピーカ、キーパッド端末およびハンドセット等の入力/出力装置;A/D成分やボコーダおよび他の音声やアナログ信号処理成分等、全てが業界で公知の成分を使用するユーザデジタルベースバンド回路222の部品を形成する。ダイバーシティ信号処理を使用する場合、ユーザデジタルベースバンド回路222はダイバーシティコンバイナとデコーダとを備えることができる。これらの成分の一部は制御プロセッサ220の制御下に、あるいは制御プロセッサ220と組み合わせて作動してもよい。
【0038】
移動ユニットから生じた出力メッセージまたは通信信号として音声または他のデータが作成される場合、送信用の所望のデータを受信し、記憶し、処理し、またそうでなければ作成するためにユーザデジタルベースバンド回路222を使用する。ユーザデジタルベースバンド回路222は制御プロセッサ220の制御下に作動する送信変調器226にこのデータを提供する。送信変調器226の出力は電力制御装置228に転送され、電力制御装置228はアンテナ210からゲートウェイへの出力信号の最終的な送信のために、送信電力増幅器230に出力電力制御を提供する。
【0039】
移動ユニット200は、所望であれば、送信信号の周波数を調整するために、送信路において(図示しない)1つ以上の予備補正成分を使用することができる。これは1つまたは種々の公知の技術を使用して達成することができる。移動ユニット200は、送信波形内に遅延を加算または減算する公知の技術を使用して、送信信号のタイミングを調整するために送信路において予備補正成分を使用することができる。
【0040】
業界で公知の種々の技術を使用して、受信した通信信号に対する1つ以上の測定された信号パラメータ、または1つ以上の共有リソース信号に対応して情報またはデータをゲートウェイに送ることができる。例えば、別々の情報信号として情報を送信することができるし、あるいはユーザデジタルベースバンド回路222によって作成された他のメッセージに情報を付加することができる。あるいは、送信変調器226または送信電力制御装置228によって、制御プロセッサ220の制御下に所定の制御ビットとして情報を挿入することができる。例えば、「符号分割多元接続システムにおける高速フォワードリンク電力制御(Fast Forward Link Power Control In A Code Division Multiple Access System)」と題され、1995年1月17日に発行された米国特許第5,383,219号明細書;「送信機電力制御システムにおける制御パラメータの動的改変の方法及びシステム(Method And System For The Dynamic Modification Of Control Parameters In A Transmitter Power Control System)」と題され、1995年3月7日に発行された米国特許第5,396,516号明細書;及び「送信機電力制御システム(Transmitter Power Control System)」と題され、1993年11月30日に発行された米国特許第5,267,262号明細書を参照。
【0041】
特殊な信号を復調して追跡するために、デジタル受信機216A〜Nとサーチャー受信機218は信号相関成分を備えて構成される。サーチャー受信機218はパイロット信号または他の比較的固定されたパターンの強い信号をサーチするために使用される一方、デジタル受信機216A〜Nは検出されたパイロット信号に関連する他の信号を復調するために使用される。従って、これらのユニットの出力をモニタしてパイロット信号または他の信号のエネルギーまたは周波数を決定することができる。これらの受信機は更に、復調される信号のために、電流周波数とタイミング情報を制御プロセッサ220に提供するためにモニタすることができる周波数トラッキング成分を使用する。
【0042】
ゲートウェイ120と122において使用される例示的な送信・受信装置300が図3に図示されている。図3に図示されているゲートウェイ120、122の部分は、通信信号を受信するためにアンテナ310に接続される1つ以上のアナログ受信機314を有しており、通信信号は業界で公知の様々な機構を使用して、ダウンコンバート、増幅およびデジタル化される。一部の通信システムにおいては多重アンテナ310が使用される。アナログ受信機314によって出力されるデジタル化された信号は、概して点線324で示される少なくとも1つのデジタル受信機モジュールに対する入力として提供される。
【0043】
特定の変形が業界で公知であるが、各々のデジタル受信機モジュール324はゲートウェイ120、122と1つの移動ユニット124、126間の通信を管理するために使用される信号処理成分に対応する。1つのアナログ受信機314は多くのデジタル受信機モジュール324に対する入力を提供し、全ての衛星ビームと、所定の時間に処理される可能なダイバーシティモード信号を収容するために、多数のこのようなモジュールが典型的にゲートウェイ102、122において使用される。各々のデジタル受信機モジュール324は1つ以上のデジタルデータ受信機316とサーチャー受信機318とを有する。サーチャー受信機318は概してパイロット信号以外の信号の適切なダイバーシティモードをサーチする。通信システムにおいて実装される場合、多数のデジタルデータ受信機31
6A〜316Nがダイバーシティ信号受信のために使用される。
【0044】
デジタルデータ受信機316の出力は、業界で公知であり、ここでは更に詳細には図示しない装置を備える次に続くベースバンド処理成分322に提供される。例示的なベースバンド装置は、マルチパス信号を各々の加入者用の1つの出力に組み合わせるために、ダイバーシティコンバイナとデコーダとを含む。また例示的なベースバンド装置は典型的にデジタルスイッチまたはネットワークに対して出力データを提供するためのインターフェイス回路を含む。
【0045】
入力側では、これらに制限されないが、ボコーダとかデータモデム、デジタルデータスイッチングおよび記憶成分等の種々の他の公知の成分が、ベースバンド処理成分322の一部を形成していてよい。これらの成分は1つ以上の送信モジュール334に対する音声やデータ信号の送受信を処理し、制御し、または指示するために作動する。
【0046】
移動ユニットに送信すべき信号は各々1つ以上の適当な送信モジュール334に結合される。典型的なゲートウェイは多数のこのような送信モジュール334を使用して、多くの移動ユニット124、126に同時にサービスを提供し、また幾つかの衛星やビームを同時に準備する。ゲートウェイ120と122によって使用される送信モジュール334の数は、システムの複雑さや見えている衛星の数、加入者収容力および選択されたダイバーシティ度等を含む業界で公知の要素によって決定される。
【0047】
各々の送信モジュール334は送信用のデータをスペクトル拡散変調する送信変調器326を含む。送信変調器326は、送信されるデジタル信号のために使用される送信電力を制御するデジタル送信電力制御装置328に結合される出力を有する。デジタル送信電力制御装置328は干渉減少とリソース割り当ての目的のために最低レベルの電力を印加するが、送信路やその他の通路転送特性における減衰を補償するために必要な場合は適切なレベルの電力を印加する。信号を拡散させる際に送信モジュール326は少なくとも1つのPN発生器332を使用する。この符号発生はゲートウェイ122と124において使用される1つ以上の制御プロセッサまたは記憶成分の機能的な部品を形成することもできる。
【0048】
送信電力制御装置328の出力は加算器336に転送され、そこで他の送信電力制御回路からの出力と合計される。これらの出力は、他の移動ユニット124、126への送信のための、送信電力制御装置328の出力と同じ周波数で同じビーム内の信号である。加算器336の出力はデジタル・アナログ変換、適切なRF搬送周波数への変換と更には増幅のためにアナログ送信機338に提供され、移動ユニット124、126に対して放射するために1つ以上のアンテナ340に出力される。アンテナ310、340はシステムの複雑さと構成に応じて同じアンテナであってもよい。
【0049】
移動ユニット200の場合のように、1つ以上の予備補正成分または予備補正器を送信路に配置して、通信が設定されるリンクのために公知のドップラーに基づいて出力周波数を調整することができる。送信前に信号の周波数を調整するために使用される技術または成分は当業界で公知である。それに加えて、通信が設定されるリンクのために公知の伝搬遅延と符号ドップラーに基づいて出力タイミングを調整するために、同じかまたは別の予備補正器が作動することができる。
【0050】
送信前に信号のタイミングを調整するために使用される技術または成分も当業界で公知である。
【0051】
少なくとも1つのゲートウェイ制御プロセッサ320が受信機モジュール324と送信モジュール334とベースバンド回路322に結合される。これらの装置はお互いに物理的に分離されていてもよい。制御プロセッサ320は、これらのものに制限されないが、信号処理、タイミング信号発生、電力制御、ハンドオフ制御、ダイバーシティコンバイニングおよびシステムインターフェイシング等の機能をもたらすために、コマンドと制御信号を提供する。それに加えて、制御プロセッサ320は加入者通信において使用されるPN拡散コード、直交コードシーケンスおよび特殊な送信機/受信機を指定する。
【0052】
更に制御プロセッサ320はパイロット信号、同期化信号およびページングチャネル信号の発生及び電力と、送信電力制御装置328に対するそれらの結合も制御する。パイロットチャネルは単にデータによって変調されない信号であり、送信変調器326に対する反復する無変更パターンまたは変化しないフレーム構造タイプの入力を使用してもよく、PN発生器332から印加されるPN拡散コードのみを効果的に送信する。
【0053】
送信モジュール324または受信モジュール334等のモジュールの成分に対して制御プロセッサ320を直接結合してもよい一方、各々のモジュールは概して、送信プロセッサ330または受信プロセッサ321等の、そのモジュールの成分を制御するモジュール特有のプロセッサを備える。このように、好ましい実施形態では、図3に示すように、制御プロセッサ320が送信プロセッサ330と受信プロセッサ321に結合される。この方法で、1台の制御プロセッサ320が多数のモジュールとリソースの動作をより効率的に制御することができる。
【0054】
送信プロセッサ330はパイロット信号や同期化信号、ページング信号および交信チャネル信号の発生及びそのための信号電力と、電力制御装置328に対する各々の結合を制御する。受信プロセッサ321はサーチングと、変調用のPN拡散コードと、受信電力のモニタリングとを制御する。
【0055】
ユーザターミナルに対して説明したように、アナログ受信機314によって、あるいはデジタル受信機316の出力内のエネルギーをモニタリングすることによって決定される、信号内の電力を検出するために受信電力検出器323を使用することができる。下記において更に詳細に説明するように、電力制御ループの一部として出力電力を調整するために、この情報は送信電力制御装置328に提供される。この情報は、所望であれば、受信機プロセッサ321または制御プロセッサ320に提供することもできる。この情報は受信プロセッサ321内の一機能として組み込まれてもよい。
【0056】
共有リソース電力制御等の特定の動作のために、ゲートウェイ120と122は受信した信号の強度や周波数測定値、または通信信号内の移動ユニットから受信した他の信号パラメータ等の情報を受信する。受信プロセッサ321はこの情報を復調されたデータ受信機316の出力から引き出すことができる。あるいは、制御プロセッサ320または受信プロセッサ321によってモニタされている信号内の予め定められているロケーションにおいて発生するものとしてこの情報を検出し、制御プロセッサ320に転送することもできる。制御プロセッサ320はこの情報を使用して、送信電力プロセッサ328とアナログ送信機338を使用して送信、処理されている信号のタイミングと周波数、及び出力電力を制御することができる。
【0057】
通信システム100の動作の間に、ゲートウェイで発生された搬送周波数Aを使用して、フォワードリンク信号と称される通信信号s(t)がゲートウェイ(120、122)によって移動ユニット(124、126)に送信される。フォワードリンク信号は時間遅延と、伝搬遅延と、ドップラーによる周波数シフト及びその他の影響を経験する。フォワードリンク信号はまずゲートウェイから衛星への送信中に(つまり、フォワードリンク信号のアップリンク部分で)これらの影響をまず経験し、第2に衛星から移動ユニットへの送信中に(つまり、フォワードリンク信号のダウンリンク部分で)これらの影響を経験する。一旦信号が受信されると、復帰またはリバースリンク信号を送る際に更なる遅延と、伝搬遅延と、更に移動ユニットから衛星への送信における(つまり、リバースリンク信号のアップリンク部分の)ドップラーと、やはり衛星からゲートウェイへの(つまり、リバースリンク信号のダウンリンク部分の)ドップラーがある。
【0058】
図4は1つ以上の衛星中継器116を使用する通信システム100において送信される様々な信号を図示している。ゲートウェイ120は衛星中継器116を介してフォワードリンク信号410を移動ユニット124へと送信する。フォワードリンク信号410はゲートウェイ120から衛星中継器116へのアップリンク部分412と、衛星中継器116から移動ユニット124へのダウンリンク部分414とで構成される。移動ユニット124は衛星中継器116を介してゲートウェイ120へとリバースリンク信号420を送信する。リバースリンク信号420は移動ユニット124から衛星中継器116へのアップリンク部分422と、衛星中継器116からゲートウェイ120へのダウンリンク部分424とで構成される。
【0059】
図5はアップリンク部分412と、フォワードリンク410を通して送受信される電力制御コマンドのタイミングと、リバースリンク420を通した電力制御コマンドの応答(つまり、送信電力レベルの対応する変化)のタイミングを示している。移動ユニット124に対してゲートウェイ120によって送られる電力制御コマンドのタイミングについて、図4と図5を参照して説明する。ゲートウェイ120がフォワードリンク信号410を通して衛星中継器116へと電力制御コマンドを送信する場合、電力制御コマンドはゲートウェイ120と衛星中継器116間の距離の結果として、アップリンク部分412で伝搬遅延510(t)を経験する。衛星中継器116では、移動ユニット124に対してダウンリンク部分414を送信するために、電力制御コマンドは衛星中継器116がアップリンク部分412を処理する時の処理遅延520(t)を経験する。つまり、電力制御コマンドは、例えば衛星が周波数変換またはビーム形成を実施する場合の処理遅延520を経験する。次に、電力制御コマンドは衛星中継器116と移動ユニット124間の距離の結果としてダウンリンク部分414で伝搬遅延530(t)を経験する。
【0060】
移動ユニット124では、電力制御コマンドが制御プロセッサ220とデジタル送信電力プロセッサ228によって処理される。この処理の結果として、移動ユニット124はリバースリンク信号420の送信電力を調整する。この処理の間に、電力制御コマンドは処理遅延540(t)を経験する。
【0061】
合計すると、電力制御コマンドは移動ユニット124が送信電力レベルを調整する前に、フォワードリンク遅延545(tforward)を経験し、それを以下のように表すことができる:
forward=t+t+t+t
フォワードリンク遅延545は、電力制御コマンドがゲートウェイ120によって送られた時間と、リバースリンク信号420の送信電力に対する調整が発生した時間との間の遅延量を表す。
【0062】
次に、リバースリンク信号420に対して移動ユニット124が実施する電力制御コマンドに対する応答のタイミングについて、図4と図5を参照して説明する。移動ユニット124がリバースリンク信号420の送信電力を調整した後、移動ユニット124はアップリンク部分422を衛星中継器116に送信する。
【0063】
電力制御コマンドに対する応答(つまり、リバースリンク信号に対する送信電力レベルの変化)は、移動ユニット124と衛星中継器116間の(現在の)距離の結果として、アップリンク部分422で伝搬遅延550(t)を経験する。
【0064】
衛星中継器116では、ゲートウェイ120に対してダウンリンク部分424を送信するために、電力制御コマンドに対する応答は、衛星中継器116がアップリンク部分422を処理する時の処理遅延560(t)を経験する。次に、電力制御コマンドに対する応答は、衛星中継器116とゲートウェイ120間の距離の結果としてダウンリンク部分424で伝搬遅延570(t)を経験する。
【0065】
ゲートウェイ120では、電力制御コマンドに対する応答が受信機214、216、218及び制御プロセッサ320によって処理される。この処理の結果として、ゲートウェイ120はリバースリンク信号420の受信電力レベルを検出し、上述したように受信した電力レベルと所望の電力レベルに基づいて新しい電力制御コマンドを決定する。この処理の間に、電力制御コマンドに対する応答(つまり、リバースリンク信号内で検出された電力レベル)は処理遅延580(t)を経験する。
【0066】
合計すると、電力制御コマンドに対する応答はリバースリンク遅延585(treverse)を経験し、それを以下のように表すことができる:
reverse=t+t+t+t
リバースリンク遅延585は、電力制御コマンドに対する応答が移動ユニット124によって送られた時間と、その応答がゲートウェイによって検出された時間との間の遅延量を表す。
【0067】
電力制御コマンドがゲートウェイ120によって送られた時間と電力制御コマンドに対する応答がゲートウェイ120によって検出された時間の間に経験される全遅延590(tdelay)は以下のように定義される:
delay=tforward+treverse=t+t+t
+t+t+2
実際には、t、t、tおよびtとが遅延590の大部分を構成する。本発明を使用する典型的なLEO衛星アプリケーションでは、各々の伝搬遅延545と585は9〜26msのオーダーである。全遅延590は18〜53msのオーダーである。全遅延590は往復伝搬遅延590とも称される。
【0068】
衛星通信システムでは、ゲートウェイ120は概して、衛星116によって使用される明確な軌道パターンと、これらの軌道に対するゲートウェイ120の公知のロケーションのために、所定の時間にゲートウェイ120と衛星116を横切る信号に課される遅延のかなり正確な概算を有する。
【0069】
図6は電力制御ループ600を示す。電力制御ループ600は制御装置610と、第1の遅延ブロック620と、プロセス630と、第2の遅延ブロック640と、補償器650と、第3の遅延ブロック660とを具備する。本発明の一実施形態では、移動ユニット124に置かれた制御装置610は、送受信機200内の、特に図2に示すように、制御プロセッサ220とデジタル送信電力制御装置228の電力制御ループ機能を表す。更に、本発明のこの実施形態に対して、ゲートウェイ120内に置かれた補償器650が、図3に示すように、制御プロセッサ320における電力制御ループ機能を表す。
【0070】
電力制御ループ600の動作について、主として図6を参照して、また二次的に図4と図5を参照して説明する。制御装置610は特定の送信電力レベルで信号615(図6においてx(t)で示す)を出力する。本発明の好ましい実施形態では、信号615は移動ユニット124からゲートウェイ120へのリバースリンク信号420のアップリンク部分422を表す。信号615はtの遅延ブロック620を通して遅延を経験する。この実施形態では、tは、上述のように、伝搬遅延550(図5においてtで示す)の概算に対応する。遅延ブロック620の結果として、信号615は(図6においてx(t−τ)で示す)信号625に変換される。信号625はτだけ時間が遅延された信号615に相当する。
【0071】
本発明を使用する典型的なLEO衛星アプリケーションでは、伝搬遅延510、530、550、570は処理遅延520、540、560、580を支配し、従って処理遅延520、540、560、580が無視される。あるいは、公知である場合、このような処理遅延の正確な概算を使用することができるであろう。上述のように、τはtとして概算される。更に、後述するように、τはtとして概算され、τはt+tとして概算される。明らかであるように、伝搬遅延510、530、550、570に比べて処理遅延520、540、560、580が重大である場合、それらは同様にτ、τ、τにおいて説明されてもよい。この説明目的のために、「伝搬遅延」は処理遅延も同様に含む。
【0072】
信号625はプロセス630によって受信される。プロセス630は信号625が移動ユニット124からゲートウェイ120へと伝搬するにつれて、減衰及びフェーディング等の他の効果を表す。換言すれば、プロセス630は信号が衛星116を介して移動ユニット124からゲートウェイ120へと伝搬するにつれて通過する雰囲気/環境の伝達関数を表す。(図6においてy(t−τ)で示す)信号635がプロセス630から生じる。信号635は明らかなように、減衰されフェーディングされた信号625を表す。
【0073】
次に、信号635は遅延ブロック640によって遅延される。信号635はτの遅延ブロック640を通して遅延を経験する。この実施形態では、上述のように、τは(図5においてtで示す)伝搬遅延570の概算に対応する。遅延ブロック640の結果として、信号635は(図6においてy(t−τ−τ)で示す)信号645に変換される。信号645はτだけ時間が遅延された信号635に相当する。上述のように、遅延τはリバースリンク信号420のダウンリンク部分424の伝搬遅延を表す。
【0074】
信号645は移動ユニット124から送信されるにつれてゲートウェイ120によって受信される信号を表す。特に、信号645はτとτだけ時間が遅延され、プロセス630に従って減衰されフェーディングされた後、移動ユニット124によって送信される信号を表す。
【0075】
補償器650は信号645を受信し、公知の方法によって信号645の電力レベルを決定する。上述のように、信号645の電力レベルが最低の所望の電力レベルに一致することが望ましい。例えば、信号645の電力レベルが所望の電力レベルより低い場合、補償器650は制御装置610に信号615の送信電力を上昇させるように指示する電力制御コマンドを出す。他方、信号645の電力レベルが所望の電力レベルより高い場合、補償器650は制御装置610に信号615の送信電力を低下させるように指示する電力制御コマンドを出す。
【0076】
本発明の好ましい実施形態では、補償器650は1ビットの電力制御コマンドを出す。換言すれば、補償器650はパワーアップコマンドまたはパワーダウンコマンドのどちらかを出す。このような電力制御システムの一般的な説明は、「送信機電力制御システムにおける制御パラメータの動的改変の方法及びシステム(Method And Apparatus For The Dynamic Modification Of Control Parameters In A Transmitter Power Control System)」と題され、1995年3月7日に発行された米国特許第5,396,516号明細書に開示されており、この特許は本発明の譲受人に譲渡されており、参照してここに組み込まれる。本発明の好ましい実施形態では、パワーアップコマンドは制御装置610に対して固定された量だけ、例えば1dBだけ信号615の送信電力を上昇させるように指示する。パワーダウンコマンドは制御装置610に対して固定された量だけ、例えば1dBだけ信号615の送信電力を低下させるように指示する。明らかなように、異なる固定量を使用することができるであろう。やはり明らかなように、それより多くのビットの電力制御コマンドを実施することもでき、それは電力制御調整レベルの変化を提供するであろう。
【0077】
更に、本発明の好ましい実施形態では、信号645の電力レベルが所望の電力レベルより低い場合、補償器650がパワーアップコマンドを出す。それ以外の時には補償器650がパワーダウンコマンドを出す。自明であるように、信号645の受信電力レベルが所望の電力レベルの特定の範囲内にある場合は、ゼロ電力コマンドを準備する付加的なレベルも実施することができるであろう。
【0078】
本発明の別の実施形態では、パワーアップコマンドが第1の固定量だけ信号615の電力レベルを上昇させ、パワーダウンコマンドが第2の固定量だけ信号615の電力レベルを低下させるであろう。この場合、第1の固定量は第2の固定量より少ない。この実施形態では、信号615の電力レベルを上昇させるであろうよりはるかに速く、電力制御ループ600が信号615の電力レベルを低下させるであろう。この実施形態はCDMA通信システムにおいて信号の電力レベルを低下させるためにより素早く反応し、それは上述のように、特定の信号が経験する干渉量を減少させる。
【0079】
補償器650は(図6においてCMD(t−τ−τ)で示す)コマンド655を出力する。本発明の好ましい実施形態に関して上述したように、電力制御コマンド655はパワーアップコマンドかパワーダウンコマンドのいずれかである。電力制御コマンド655は、τ+τ(つまり、片道伝搬遅延)に等しい量だけ、リバースリンク420での伝搬のために遅延した信号615に答えて補償器650によって出力される。
【0080】
電力制御コマンド655はフォワードリンク410を介してゲートウェイ120から移動ユニット124へと送信される。電力制御コマンド655がフォワードリンク410を通って伝搬するにつれて、電力制御コマンド655は遅延ブロック660で表される別の伝搬遅延を経験する。遅延ブロック660は、フォワードリンク410のアップリンク部分412とダウンリンク部分414両方の伝搬遅延に対応する量τだけ電力制御コマンド655を遅延させる。本発明のこの実施形態では、τは(図5においてtとtで示された)遅延510と遅延520の合計に相当する。
【0081】
遅延ブロック660の出力は、信号665(図6においてCMD(t−τ−τ−τ)で示す)信号665である。信号665はゲートウェイ120と移動ユニット124間の伝搬遅延だけ遅延された電力制御コマンド655を表す。信号665は制御装置610によって受信される。信号665は制御装置610に対する電力制御コマンドを表す。本発明の好ましい実施形態では、信号665は制御装置610に対して信号615の送信電力を固定量だけ上昇させるか、あるいは信号615の送信電力を固定量だけ低下させるように指示する。しかしながら上述のように、電力制御ループ600において信号615はτ+τ+τ秒の全遅延を経験する。換言すれば、信号615が移動ユニット124から送信された時間から、信号615の電力レベルを変更するために補償器650によって送信された電力制御コマンドが移動ユニット124によって受信される時間の間に、τ+τ+τ秒が経過している。τ+τ+τがかなり大きい(例えば、制御装置610のループ反復時間を超える)場合、遅延は信号615の電力レベルを制御する際にかなり重大な問題を課す。
【0082】
特に、補償器650はτ+τ+τに等しい時間量が経過してしまうまで、コマンドに答えて信号615の電力レベルの変更を検出しないであろう。補償器650の反復時間がτ+τ+τに比べて小さい場合、補償器650はこれらの電力制御コマンド655に対する応答が信号645として検出される前に、多数の電力制御コマンド655を出しているであろう。これは制限サイクルと称される現象を電力制御ループ600に導入する。
【0083】
図7は従来の補償器650の動作を詳細に図示している。従来の補償器650は所望の電力レベル(または他の対応するパラメータ)しきい値710と、電力レベル(対応するパラメータ)検出器730と、コンパレータ720とを含む。電力レベル検出器730は通信システムにおいて公知の技術に従って、信号645の電力レベルを決定する。コンパレータ720は信号645の電力レベルと所望の電力レベルしきい値710間の差を決定する。信号645の電力レベルが所望の電力レベルしきい値710より低い場合、コンパレータ720はパワーアップコマンドを出力する。信号645の電力レベルが所望の電力レベルしきい値710より高い場合、コンパレータ720はパワーダウンコマンドを出力する。
【0084】
図8は従来の補償器650の動作を示す。図8は2つのプロット:受信した電力プロット810と電力制御コマンドプロット830を含む。受信した電力プロット810は時を経て従来の補償器650により受信された信号645の例示的な受信電力レベル820を表す。電力制御コマンドプロット830は、時を経て受信された電力レベル820に答えて、従来の補償器650が出力した電力制御コマンド840を表す。以下に受信電力レベル820に応答した従来の補償器650の動作を説明する。
【0085】
図8に示すように、時間t=0において、受信した電力レベル820は−88.5dBである。この特定の例では、所望の電力レベルしきい値710は−88dBに設定されており、このレベルは公知の原則に従って各々の通信システムにおいて選ばれている。従って、受信した電力レベル820は所望の電力レベル710より低い。これに答えて、従来の補償器650は信号615の送信電力を上昇させるべきであることを指示するパワーアップコマンドを制御装置610に出す。このように、時間t=0における電力制御コマンド840は+1である。(この例では、電力制御コマンドプロット830において、パワーアップコマンドは+1として指示され、パワーダウンコマンドは−1として指示される)。
【0086】
説明目的だけのために、また従来の補償器650の動作を立証するためだけに以下のことを仮定する。第1の仮定は、従来の補償器650のループ反復時間が、伝搬遅延の結果として全遅延τ+τ+τの1/4として任意に選択されることである。換言すれば、第1の電力制御コマンド655が従来の補償器650によって受信電力レベル820として検出される前に、4つの電力制御コマンド655が従来の補償器650から出される。第2の仮定は、パワーアップコマンドが制御装置610に1dBだけ信号615の電力レベルを上昇させるように指示し、パワーダウンコマンドが制御装置610に1dBだけ信号615の電力レベルを降下させるように指示することである。これらの仮定は、発明の作用を説明する目的のためだけであり、典型的な通信システムにおいて道理的なもので
ある。しかしながら、各々のシステムはそれ自体の反復時間と公知のコマンドレベルを有する。
【0087】
次に図8を参照する。伝搬遅延の結果として、時間t=1において、時間t=0において出された電力制御コマンド840に対する応答はまだ補償器650によって検出されていない。このように、受信電力レベル820はまだ所望の電力レベルしきい値710より低い。従って、補償器650は時間t=1において別のパワーアップコマンドを出す。同じことが時間t=2と時間t=3において発生する。
【0088】
しかしながら、時間t=4において、時間t=0において出されたパワーアップコマンドが制御装置610によって受信され、その効果が従来の補償器650へと伝搬して戻される。換言すれば、時間t=4において、従来の補償器650は時間t=0において出された電力制御コマンド840の結果として、受信電力レベル820の変化を検出する。このように、時間t=4において、受信電力レベル820は−87.5dBへと1dBだけ上昇している。時間t=4において、従来の補償器650は受信電力レベル820が所望の電力レベルしきい値710を超えていると判断し、従ってパワーダウンコマンドを出す。前述のように、パワーダウンコマンドは制御装置610に対して信号615の送信電力を低下させるように指示する。
【0089】
時間t=5において、時間t=1において出された電力制御コマンド840のために、従来の補償器650において更に受信電力レベル820の上昇が検出される。このように、電力制御コマンド840を出してからその応答を検出するまでの遅延のために、時間t=0と、t=1と、t=2と、t=3において出された2つのパワーアップコマンドの各々に対して、受信電力レベル820が上昇する。その結果、受信電力レベル820は所望の電力レベルしきい値710を3.5dBだけ飛び超える。
【0090】
これは上述の制限サイクルの問題を説明する。遅延τ+τ+τのために、従来の補償器650は時間t=0から時間t=3までパワーアップコマンドを出す。これらのパワーアップコマンドの各々が制御装置610によって受信され、信号615の送信電力の上昇を生じさせる。しかしながら、時間t=4において、受信電力レベル820が所望の電力レベルしきい値710を超えると、補償器650はパワーダウンコマンドを出し始め、時間t=11までパワーダウンコマンドを出し続ける。時間t=11において、受信電力レベル820が所望の電力レベル710より低くなり、従来の補償器650は再びパワーアップコマンドを出し始める。このプロセスは無限に続き、受信電力レベル820が所望の電力レベルしきい値710付近で動揺する。伝搬遅延τ+τ+τのために、概して受信電力レベル820は所望の電力レベルしきい値710と決して一致しないであろう。この制限サイクルは従来の補償器650が実施できる最良の動作を表す。つまり、制限サイクルは補償器650が特定の所望の電力レベルまで信号を如何にうまく、あるいは如何に近接して保持することができるかを表している。これはシステム能力を低下させ、移動ユニットの動作時間を減少させる電力の無駄使いを表している。
【0091】
図9は本発明により改良された補償器900を示す。本発明では、補償器900は図6の従来の補償器650に取って代わる。補償器900は補償器900によって出された電力制御コマンド655を説明し、その応答は補償器900まで伝搬して戻ってくる時間がない。
【0092】
特に、補償器900は所望の電力レベルしきい値710と、電力レベル検出器730と、コンパレータ720と、保留コマンドアキュムレータ910と、加算器920とを具備する。電力レベル検出器730と所望の電力レベルしきい値710は従来の補償器650に対して上述したように作動する。
【0093】
保留コマンドアキュムレータ910は、補償器900によって出されたが、まだ制御ループ600を通して伝搬しておらず、それらの応答が補償器900によって検出されていない、保留中の電力制御コマンド655の合計915を蓄積する。1つの実施形態では、アキュムレータ910は正味のステップ変更に達し、電力の正味変更へと変換されるアップ/ダウンステップによって命令された調整を蓄積する。別の実施形態では、アキュムレータ910は出された各々のコマンドに関連する電力値(つまりdBの値)を蓄積する。保留中のコマンドアキュムレータ910は以下の関係に従って、反復Nにおける保留中の電力制御コマンド655を決定する:
【数1】

【0094】
式中、
PCMDは、反復Nにおける保留中のコマンドの合計であり;
τ+τ+τは、全体の往復伝搬遅延であり;
Tは、ループ反復期間である。
【0095】
実際には、蓄積される電力制御コマンドの数は、フォワードリンク信号410とリバースリンク信号420において経験される伝搬遅延と、制御ループ600の反復時間に依存する。例えば、全伝搬遅延が50msであり、制御ループ600の反復時間が12.5msであるとすれば、4つの電力制御コマンド655が保留コマンドアキュムレータ910によって蓄積される。
【0096】
保留コマンドアキュムレータ910は、その応答がまだ加算器920に検出されていない電力制御コマンドの合計915に対応する電力レベルを出力する。加算器920は受信電力レベル645に保留コマンドアキュムレータ910の出力を加算する。加算器920はコンパレータ720に対してこれらの信号の合計を出力する。
【0097】
コンパレータ720は加算器920の出力が所望の電力レベルしきい値710より低い場合、パワーアップコマンドを出す。加算器920の出力が所望の電力レベルしきい値710より高い場合、コンパレータ720はパワーダウンコマンドを出す。
【0098】
補償器900の動作が図10に示されている。単に説明目的のために、図8に対して為されたのと同じことを仮定する。これらの仮定は、第1の効果が検出される前に、4つの電力制御コマンド655が出されること、及びパワーアップコマンドとパワーダウンコマンドが1dBだけ信号615の送信電力レベルを変更することである。
【0099】
図10は、受信電力レベル1020対時間を示す受信電力レベルプロット1010と、保留コマンドアキュムレータの出力1040対時間を示す保留コマンドアキュムレータ出力プロット1030と、電力制御コマンドまたはコマンド1060対時間を示す電力制御コマンドプロット1050を含む。
【0100】
図10において、時間t=0において、受信電力レベル1020は−88.5dBである。所望の電力レベルしきい値710は−88dBに設定されている。従って、時間t=0において受信した電力レベル1020は所望の電力レベル710より低い。これより以前に電力レベル制御コマンドが出されていない(つまり、如何なる電力制御コマンドも保留中ではない)と仮定して、補償器900は時間t=0においてパワーアップコマンドを出力する。
【0101】
時間t=1において、パワーアップコマンドに対する応答はまだ電力制御ループ600を通って伝搬していないので、受信電力レベル1020はまだ所望の電力レベルしきい値710より低い。しかしながらこの場合、時間t=1において保留コマンドアキュムレータの出力1040は1dBに等しく、出された最初の電力制御コマンドとその応答がまだ検出されていないことを表す。
【0102】
保留コマンドアキュムレータの出力1040が受信電力レベル1020に加算されると、所望の電力レベルしきい値710を超える。このようにこの場合、コンパレータ720は時間t=0における電力制御コマンド1060と共に、時間t=1における受信電力レベル1020を反映するパワーダウンコマンドを指示するであろう。
【0103】
時間t=2において、補償器900は時間t=0または時間t=1における電力制御コマンド1060のどちらに対する応答もまだ検出していない。時間t=2における保留電力コマンドアキュムレータの出力1040は、時間t=0と時間t=1における電力制御コマンドの合計を表し、それは0である。時間t=2における保留コマンドアキュムレータの出力1040を時間t=2において受信した電力レベル1020に加算すると、合計が所望の電力レベルしきい値710より低いことが示される。このように、コンパレータ720は時間t=2においてパワーアップコマンドを出す。同様のプロセスが時間t=3においても続き、パワーダウンコマンドを出す。
【0104】
時間t=4において、時間t=0において出された電力制御コマンド1060に対する応答が補償器900によって検出される。その結果、時間t=4において受信した電力レベル1020が1dBだけ上昇する。時間t=4において、受信した電力レベル1020が所望の電力レベル710を超える。しかしながら、全ての保留電力制御コマンド1060がまだ補償器900によって検出されていない。実際、時間t=4において、アキュムレータの出力1040は受信した電力レベル1020の−1dBの変化の合計を指示する。保留コマンドアキュムレータの出力1040と受信した電力レベル1020の合計が所望の電力レベルしきい値710より低いので、時間t=4における受信した電力レベル1020と保留コマンドアキュムレータの出力1040の加算は、時間t=4においてパワーアップコマンドが出されるべきであることを示す。
【0105】
受信した電力レベル1020が所望の電力レベルしきい値710付近で動揺するにつれて、時間t=4とt=8の間で、電力制御コマンド1060は+1と−1の間を動揺する。これは補償器900の制限サイクルを表す。図8の受信電力レベル820の制限サイクルと比較すると、補償器900は電力制御ループ600の性能を劇的に改良する。
【0106】
時間t=8における更なる説明目的のために、プロセス630においてフェーディングが発生し、受信電力レベル1020において(時間t=4におけるパワーアップコマンドからの+1dBの命令された変化に加えて)+2dBの命令されていない変化を作り出し、−85.5dBの受信電力レベル1020を生じさせる。このように、時間t=8において、受信電力レベル1020が保留コマンドアキュムレータの出力1040に加算され、コンパレータ720に入力される。コンパレータ720はパワーダウンコマンドを出力する。伝搬遅延τ+τ+τのために、時間t=8におけるこのパワーダウンコマンドは時間t=12になるまで補償器900によって検出されない。このように、時間t=8とt=12の間で受信電力レベル1020は−86dB付近で動揺する。つまり、ループ反復時間(つまり、ループのサンプル率または更新率)に対して大きなループ遅延(例えば伝搬遅延)を備えた制御ループが、量子化のレベルによっても影響される振動型の反応を有する。
【0107】
しかしながら、時間t=9と時間t=10における連続パワーダウンコマンド、及びそれに続く時間t=11におけるパワーアップコマンドが、時間t=8におけるフェーディングに答えて、時間t=13において所望の電力レベルしきい値710付近の制限サイクルへと受信電力レベル1020を戻す際の、保留コマンドアキュムレータの出力1040の効果を立証している。
【0108】
事実上は、補償器900が電力制御ループ600を通って伝搬していないコマンドを計上する。将来の電力制御コマンドが受信電力レベル1020内の保留中であってまだ検出されていない変化に基づくように、保留コマンドアキュムレータ910がこれらの電力制御コマンドを計上する。
【0109】
図11は本発明の動作を示すフローチャートである。ステップ1110において、第1局に置かれた補償器900において信号645が受信される。本発明の好ましい実施形態では、第1局はゲートウェイ120に相当する。しかしながら、本発明の代替実施形態では、補償器900が移動ユニット124内に置かれる。
【0110】
ステップ1120において、電力レベル検出器730が公知の技術に従って信号645の電力レベルを測定する。ステップ1130において、補償器900は、信号645の測定された電力と、所望の電力レベル710と、保留電力制御コマンド655の合計915に基づいて電力制御コマンド655を決定する。ステップ1140において、信号645の電力を適宜増減することができるように、電力制御コマンド655が第1局に送られる。
【0111】
図12は補償器900の動作を更に詳細に説明するフローチャートである。特に、図12は図11に関連して説明したステップ1130の動作を説明している。ステップ1210において、保留コマンドアキュムレータ910は保留中の電力制御コマンド655を蓄積する。上述のように、保留中の制御コマンド655は、それらの応答が補償器900へと伝搬して戻る時間がない制御コマンドである。
【0112】
ステップ1220において、保留中の制御コマンド655に相当する電力レベルが受信した信号645の電力レベルに加算される。決定ステップ1230において、保留中の制御コマンド655と受信信号645の電力の合計が、所望の電力レベル710と比較される。
【0113】
保留中の制御コマンド655と受信信号645の電力の合計が所望の電力レベル710より低い場合、ステップ1250において、信号645の電力レベルを上昇させるように電力コマンドが出される。保留中の制御コマンド655と受信信号645の電力の合計が所望の電力レベル710以上である場合、ステップ1240において、信号645の電力レベルを低下させるように電力コマンドが出される。上述のように、本発明の好ましい実施形態では、信号645の電力レベルを上昇させるためにパワーアップコマンドが出され、信号645の電力レベルを低下させるためにパワーダウンコマンドが出される。
【0114】
一部の通信システムでは、周波数や符号タイミング等の通信信号のその他の作動パラメータを検出するために、同じ補償器成分または付加的な補償器成分900を使用することができる。アップ/ダウン、または前進/後退等のコマンドを適宜発生させることができ、それらを移動ユニット124が使用してこのようなパラメータの変更を実施する。例えば、移動ユニット124の局部発振器の中心周波数におけるずれを無効にするために、復帰リンク信号用の作動周波数を調整するように、あるいはドップラー効果を補償するために符号タイミングコールドを変更するように、移動ユニット124に告げることができる。コマンドを使用してその補償をもたらすことができる多くのパラメータやプロセスが公知であるが、それらは上述の電力制御コマンドが経験する送受信遅延に苦しんでいる。
【0115】
本発明を衛星bケースの通信システム100に関して説明してきたが、本発明は衛星を使用しないシステムにおいても実施することができる。例えば、地上システムでは、セルサイトと移動ユニット124間の伝搬が、電力制御ループ600のループ反復時間に比べて大きい場合、制限サイクルで同じ様な問題が発生するかもしれない。
【0116】
それに加えて、補償器900がゲートウェイ120に置かれ、制御装置610が移動ユニット124に置かれる場合に、移動ユニット124の送信電力を調整するものとして本発明を説明してきた。明らかなように、ゲートウェイ120から送信される電力を制御することができるように、補償器900が移動ユニット124に置かれ、制御装置610がゲートウェイ120に置かれる同様の制御ループを設定することができるであろう。
【0117】
あるいは、電力の測定またはしきい値に対する電力の測定が移動ユニット124において発生し、その情報をゲートウェイ120に送信しなおして、そこで補償処理が発生してゲートウェイ120信号の電力を調整してもよい。このアプローチは、移動ユニット124内のリソース要件と複雑さを最小にし、ゲートウェイ120のより大きな演算リソースを使用するので好ましい。この状況では、コマンドは遅延する信号655、665として送信されず、遅延する情報信号として送信される。遅延値はそうでない場合と同じである。
【0118】
固定量だけ送信電力を増減させるように制御装置610に指示するパワーアップコマンドまたはパワーダウンコマンドが補償器900によって出される1ビットシステムに関して本発明を説明してきた。しかしながら、自明であるように、所望の電力レベル710と受信した電力レベル645間の差に応じて、電力制御コマンドが量子化される異なる機構も実施できるであろう。
【0119】
好ましい実施形態の上述の説明は、当業者が本発明を使用できるようにするために提供した。これらの実施形態に対する様々な変更は当業者にとって自明であろうし、ここで定義した共通の原則は、発明の能力を使用しないでも他の実施形態に適用することができる。このように、本発明はここで示した実施形態に制限されず、ここで開示した原則及び新規の特徴に一致する最も幅広い範囲と一致するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1局と、第2局と、第1局と第2局を結合する衛星リンクとを有する通信システムにおいて、信号の電力レベルを制御する方法であって、
前記通信システムは第1局と第2局間に少なからぬ伝搬遅延を有し、前記方法は、
信号が第2局から第1局へと衛星リンクを介して送信される場合の信号の受信電力レベルを測定するステップと、
第1局において電力制御コマンドを発生させるステップと、
前記電力制御コマンドを第1局から第2局へと送り出すステップとを備え、
前記電力制御コマンドの発生ステップは、前記受信電力レベルと、所望の電力レベルと、第1局から第2局へと送られた少なくとも1つの以前の電力制御コマンドの関数として前記電力制御コマンドを発生させる方法。
【請求項2】
前記電力制御コマンドの発生ステップは、前記受信電力レベルと、前記所望の電力レベルと、第1局から第2局へと送られたが第2局によってまだ受信されていない、少なくとも1つの以前の電力制御コマンドの関数として前記電力制御コマンドを発生させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
更に、第2局において第1局からの前記電力制御コマンドを受信するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電力制御コマンドの発生ステップは、前記受信電力レベルと、前記所望の電力レベルと、第1局から第2局へと送られ、第2局によって受信された、少なくとも1つの以前の電力制御コマンドの関数として前記電力制御コマンドを発生させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
更に、第2局において調整された信号を作り出すために、前記電力制御コマンドに答えて信号の送信電力レベルを調整するステップを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記電力制御コマンドの発生ステップは、前記受信電力レベルと、前記所望の電力レベルと、第1局から第2局へと送られ、第2局において前記調整された信号をまだ作り出していない、少なくとも1つの以前の電力制御コマンドの関数として前記電力制御コマンドを発生させる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
更に第2局から第1局へと前記調整された信号を送信するステップを備える、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記電力制御コマンドの発生ステップは、前記受信電力レベルと、前記所望の電力レベルと、第1局から第2局へと送られ、前記調整された信号を作り出したがその信号がまだ第1局によって受信されていない、少なくとも1つの以前の電力制御コマンドの関数として前記電力制御コマンドを発生させる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記調整ステップは、前記電力制御コマンドに答えて、固定された量だけ前記送信電力レベルを調整するステップを備える、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記調整ステップは、第2局に前記送信電力レベルを上昇させるように命令する電力制御コマンドに答えて、第1の固定量だけ前記送信電力レベルを上昇させるステップと、
第2局に前記送信電力レベルを低下させるように命令する電力制御コマンドに答えて、第2の固定量だけ前記送信電力レベルを低下させるステップとを備える請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の固定量と前記第2の固定量とが等しい、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第1局と、第2局と、第1局と第2局を結合する衛星リンクとを有する衛星通信システムにおいて、信号の電力レベルを制御するシステムであって、前記システムは、
信号が第2局から第1局へと衛星リンクを介して送信される場合の信号の受信電力レベルを測定する手段と、
第1局において電力制御コマンドを発生させる手段と、
前記電力制御コマンドを第1局から第2局へと送り出す手段とを備え、
前記電力制御コマンドの発生手段は、前記受信電力レベルと、所望の電力レベルと、第1局から第2局へと送られた少なくとも1つの以前の電力制御コマンドの関数として前記電力制御コマンドを発生させるシステム。
【請求項13】
前記電力制御コマンドの発生手段は、前記受信電力レベルと、前記所望の電力レベルと、第2局によってまだ受信されていない、第1局から第2局へと送られた少なくとも1つの以前の電力制御コマンドの関数として前記電力制御コマンドを発生させる、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
更に、第2局において第1局から前記電力制御コマンドを受信する手段を備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記電力制御コマンドの発生手段は、前記受信電力レベルと、前記所望の電力レベルと、第1局から第2局へと送られ、第2局によって受信された、少なくとも1つの以前の電力制御コマンドの関数として前記電力制御コマンドを発生させる、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
更に、第2局において調整された信号を作り出すために、前記電力制御コマンドに答えて信号の送信電力レベルを調整する手段を備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記電力制御コマンドの発生手段は、前記受信電力レベルと、前記所望の電力レベルと、第1局から第2局へと送られ、第2局において前記調整された信号をまだ作り出していない、少なくとも1つの以前の電力制御コマンドの関数として前記電力制御コマンドを発生させる、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
更に第2局から第1局へと前記調整された信号を送信する手段を備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記電力制御コマンドの発生手段は、前記受信電力レベルと、前記所望の電力レベルと、第1局から第2局へと送られ、前記調整された信号を作り出したがその信号がまだ第1局によって受信されていない、少なくとも1つの以前の電力制御コマンドの関数として前記電力制御コマンドを発生させる、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記調整手段は、前記電力制御コマンドに答えて、固定された量だけ前記送信電力レベルを調整する手段を備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項21】
前記調整手段は、第2局に前記送信電力レベルを上昇させるように命令する電力制御コマンドに答えて、第1の固定量だけ前記送信電力レベルを上昇させる手段と、
第2局に前記送信電力レベルを低下させるように命令する電力制御コマンドに答えて、第2の固定量だけ前記送信電力レベルを低下させる手段と、
を備える請求項16に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1の固定量と前記第2の固定量とが等しい、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
第1局と、第2局と、第1局と第2局を結合する衛星リンクとを有する衛星通信システムにおいて、送信された信号の電力レベルを制御する装置であって、前記装置は、
第1局に置かれ、第2局から第1局へと送信された信号の受信電力レベルを測定するための電力レベル検出器と、
第1局に置かれ、第2局にその送信電力を調整するように指示する電力制御コマンドを発生させる補償器と、
第1局から第2局に前記電力制御コマンドを送り出すための送信機とを備え、
前記補償器は前記受信電力レベルと、所望の電力レベルと、第1局から第2局へと送られた少なくとも1つの保留中の電力制御コマンドの関数として前記電力制御コマンドを発生させる装置。
【請求項24】
前記補償器は、
第1局から第2局へと送られた保留中の電力制御コマンドを蓄積する保留コマンドアキュムレータと、
前記保留コマンドアキュムレータの出力によって調整された前記受信電力レベルを前記所望の電力レベルと比較して、前記電力制御コマンドを決定するコンパレータとを備える、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記保留コマンドアキュムレータは、第1局から第2局へと送られたが、第2局によってまだ受信されていない前記保留中の電力制御コマンドを蓄積する、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記保留コマンドアキュムレータは、第1局から第2局へと送られたが、第2局から送られる調整された信号をまだ作り出していない前記保留中の電力制御コマンドを蓄積する、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記保留コマンドアキュムレータは、第1局から第2局へと送られ、第2局から第1局へと送られる調整された信号を作り出したが、その信号がまだ第1局によって受信されていない前記保留中の電力制御コマンドを蓄積する、請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記保留コマンドアキュムレータは、前記補償器に関連する伝搬遅延とループ反復時間に基づいて、第1局から第2局へと送られる、多数の保留中の電力制御コマンドを蓄積する、請求項24に記載の装置。
【請求項29】
第1局と、第2局と、第1局と第2局を結合する衛星リンクとを有する通信システムにおいて、信号に関連するパラメータを制御する方法であって、通信システムは第1局と第2局間に少なからぬ伝搬遅延を有し、前記方法は、
信号が第2局から第1局へと衛星リンクを介して送信される場合の信号のパラメータを測定するステップと、
第1局において制御コマンドを発生させるステップと、
前記制御コマンドを第1局から第2局へと送り出すステップとを備え、
前記制御コマンドの発生ステップは、前記測定されたパラメータと、パラメータに対する所望のレベルと、第1局から第2局へと送られた少なくとも1つの以前の制御コマンドの関数として前記制御コマンドを発生させる方法。
【請求項30】
前記制御コマンドの発生ステップは、前記測定されたパラメータと、パラメータに対する前記所望のレベルと、第1局から第2局へと送られたが第2局によってまだ受信されていない、少なくとも1つの以前の制御コマンドの関数として前記制御コマンドを発生させる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
更に、第2局において第1局からの前記制御コマンドを受信するステップを備える、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記制御コマンドの発生ステップは、前記測定されたパラメータと、パラメータに対する前記所望のレベルと、第1局から第2局へと送られ、第2局によって受信された、少なくとも1つの以前の制御コマンドの関数として前記制御コマンドを発生させる、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
更に、第2局において調整された信号を作り出すために、前記制御コマンドに答えて信号のパラメータを調整するステップを備える、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記制御コマンドの発生ステップは、前記測定されたパラメータと、パラメータに対する前記所望のレベルと、第1局から第2局へと送られ、第2局において前記調整された信号をまだ作り出していない、少なくとも1つの以前の制御コマンドの関数として前記制御コマンドを発生させる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
更に第2局から第1局へと前記調整された信号を送信するステップを備える、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記制御コマンドの発生ステップは、前記測定されたパラメータと、パラメータに対する前記所望のレベルと、第1局から第2局へと送られ、前記調整された信号を作り出したがその信号がまだ第1局によって受信されていない、少なくとも1つの以前の制御コマンドの関数として前記制御コマンドを発生させる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記調整ステップは、前記制御コマンドに答えて、固定された量だけ前記パラメータレベルを調整するステップを備える、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記調整ステップは、第2局に前記パラメータレベルを上昇させるように命令する制御コマンドに答えて、第1の固定量だけ前記パラメータレベルを上昇させるステップと、
第2局に前記パラメータレベルを低下させるように命令する制御コマンドに答えて、第2の固定量だけ前記パラメータレベルを低下させるステップとを備える請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の固定量と前記第2の固定量とが等しい、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
信号はスペクトル拡散通信システムにおける通信信号である、請求項29に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−250438(P2011−250438A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−147433(P2011−147433)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【分割の表示】特願2010−94030(P2010−94030)の分割
【原出願日】平成10年8月7日(1998.8.7)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】