説明

ルームミラー型撮像装置

【課題】複数のカメラを装備することなく、1台のカメラで車室内外を同時に撮像することが可能なルームミラー型撮像装置を提供する。
【解決手段】車両V室内に設けられるミラー本体2に、ミラー本体2の車両Vを運転する運転者に対向する面に光線を透過及び反射するハーフミラー3と、ミラー本体2のハーフミラー3を設けた面とは反対側の面に光線を透過する透過部材4と、ミラー本体2にハーフミラー3と透過部材4を透過した光線を撮像する撮像手段5とを設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内外の状況を撮像するルームミラー型撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のルームミラー型撮像装置は、特許文献1に開示されるものが知られている。このルームミラー型撮像装置は、例えば、ドライブレコーダーや車両監視カメラとして、採用されている。
【0003】
これらは、車室内のフロントガラス、ルームミラー、天井などに設置し、車両の事故発生時前後の車両の状況を撮像するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−118482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1のルームミラー型撮像装置は、車室内外の車両の状況を同時に撮像するために、車室内用カメラと車室外用カメラを備えており、コスト高であった。
【0006】
そこで、本発明は、前述した問題点に着目し、複数のカメラを装備することなく、1台のカメラで車室内外を同時に撮像することが可能なルームミラー型撮像装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両室内に設けられるミラー本体に、前記ミラー本体の前記車両を運転する運転者に対向する面に光線を透過及び反射するハーフミラーと、前記ミラー本体の前記ハーフミラーを設けた面とは反対側の面に光線を透過する透過部材と、前記ミラー本体に前記ハーフミラーと前記透過部材を透過した光線を撮像する撮像手段とを設けたものである。
【0008】
また、前記ハーフミラーを透過する前記光線を偏光する第1偏光部材を前記ハーフミラーに設け、前記第1偏光部材の偏光方向と異なる角度に偏光する第2偏光部材を前記透過部材に設けたものである。
【0009】
また、前記撮像手段は、前記ハーフミラーと前記透過部材を透過した前記光線を入射する入射部と前記入射した光線を反射させる回転対称形状の反射部とを有する中実な透明性材料からなる光学部材と、前記反射部で反射された前記光線を撮像する撮像素子とを備えているものである。
【0010】
また、前記光学部材は、前記反射部の頂部に細長形状の穴部を備え、前記穴部の少なくとも一部を遮光層で覆ったものである。
【0011】
また、前記反射部を、誘電体材料からなる反射層で覆ったものである。
【0012】
また、前記撮像手段は、前記ミラー本体内部に配置され、少なくとも仰角10度から俯角60度までの範囲で、360度を撮像するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、所期の目的を達成でき、複数のカメラを装備することなく、1台のカメラで車室内外を同時に撮像することが可能なルームミラー型撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態のルームミラー型撮像装置を装着した車両の概略図。
【図2】同実施形態のルームミラー型撮像装置の断面図。
【図3】同実施形態の撮像装置の断面図。
【図4】同発明の第2実施形態のルームミラー型撮像装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。本発明のルームミラー型撮像装置1は、車両Vの室内に設けられ、車両Vの運転者が、車両後方の様子を視認できるようにするものである。ルームミラー型撮像装置1は、ミラー本体2と、ハーフミラー3と、透過部材4と、撮像手段5を備えている。
【0016】
ミラー本体2は、合成樹脂からなる枠体であり、車両Vに設けられたステー6に取り付けられている。運転者の体格などに合わせて調整可能なように、ミラー本体2は、可動するようにステー6に取り付けられている。
【0017】
ハーフミラー3は、平板形状であり、車両Vを運転する前記運転者に対向するミラー本体2の面に設けられており、車両V後方の様子を前記運転者に反射するとともに、ミラー本体2内に透過するものである。すなわち、ハーフミラー3は、光線を透過及び反射するものである。
【0018】
また、ハーフミラー3のミラー本体2側の一部に、ハーフミラー3を透過する前記光線を偏光する第1偏光部材7を備えている。第1偏光部材7は、フィルム状をしており、ハーフミラー3に貼り付けられている。この第1偏光部材7は、直線偏光を作り出すものである。本実施形態では、直線偏光の方向は、水平方向である。
【0019】
透過部材4は、光を透過する合成樹脂からなる平板形状であり、ハーフミラー3を設けた面とは反対側のミラー本体2の面、すなわち、車両Vの前方に向いたミラー本体2の面に設けられており、車両V前方の様子を撮像手段5に透過するものである。すなわち、透過部材4は、光線を透過するものである。
【0020】
また、透過部材4のミラー本体2側に、透過部材4を透過する前記光線を偏光する第2偏光部材8を備えている。第2偏光部材8は、フィルム状をしており、透過部材4に貼り付けられている。この第2偏光部材8は、直線偏光を作り出すものである。本実施形態では、直線偏光の方向は、第1偏光部材7の偏光方向と異なる角度であり、垂直方向である。第1偏光部材7と第2偏光部材8との偏光方向が異なることによって、第2偏光部材8を備えた透過部材4を透過した光線は、第1偏光部材7で遮断され、ハーフミラー3を透過しない。
【0021】
撮像手段5は、ミラー本体2の内部に設けられており、ハーフミラー3と透過部材4を透過した周囲の様子を撮像するカメラである。
【0022】
撮像手段5は、光学部材51と、ケース体52と、撮像素子53と、回路基板54と、反射層55とを備えている。
【0023】
光学部材51は、中実な透光性樹脂(例えばポリカーボネート)からなり、入射部56と、反射部57及び導光部58を有している。
【0024】
入射部56は、透過部材4とハーフミラー3を透過した前記光線が、光学部材51内に入射する部分である。
【0025】
反射部57は、光学部材51内に入射した前記光線を反射させる部分であり、双曲線を回転させた形状である。また、反射部57には、反射層55が設けられている。この反射層55は、誘電体材料からなるものであり、波長選択性を有するもので、赤外線を透過させずに、可視光線だけを透過させるものである。また、反射部57の頂部には、細長形状の穴部59が設けられており、この穴部59の少なくとも一部は遮光層で覆われている。
【0026】
導光部58は、反射層55で反射された前記光線を撮像素子23に導くものであり、略円柱形状になっている。導光部58は、撮像素子23に対向する出射面58aとを有している。
【0027】
撮像手段5は、視野範囲Sを有しており、視野範囲Sは、垂直方向が、少なくとも仰角10度から俯角60度まであり、水平方向が、360度の全方位を撮像するものであり、入射部56から光学部材51の内部に入射し、反射層55で反射され、導光部58によって撮像素子53に導かれる。
【0028】
ケース体52は、光学部材51の下端部に固定されている。撮像素子53は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(相補性金属酸化膜半導体)を用いた撮像素子等であり、回路基板54上に実装され、ケース体52に固定されている。
【0029】
光学部材51の上面は、蓋体60で覆われている。蓋体60は、遮光性樹脂からなるものである。
【0030】
以上のように構成したことによって、複数のカメラを装備することなく、1台のカメラで車室内外を同時に撮像することが可能なルームミラー型撮像装置を提供することができる。
【0031】
なお、本発明のルームミラー型撮像装置1は、前記実施形態のように、車両Vに標準装備されるルームミラーに限定されず、図4に示すように、第2実施形態のルームミラー型撮像装置10は、車両Vに標準装備されるルームミラーMに装着するものであってもよい。
【0032】
第2実施形態のルームミラー型撮像装置10は、第1実施形態のルームミラー型撮像装置1とほぼ同様であり、差異は、ルームミラーMに固定するための固定部11を備えていることである。固定部11は、フック形状をしており、ルームミラーMを上下方向から挟んで、ルームミラー型撮像装置10をルームミラーMに固定するものである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
車室内外の状況を撮像する撮像装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1、10 ルームミラー型撮像装置
2 ミラー本体
3 ハーフミラー
4 透過部材
5 撮像手段
7 第1偏光部材
8 第2偏光部材
51 光学部材
53 撮像素子
55 反射層
56 入射部
57 反射部
59 穴部
S 視野範囲
V 車両


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両室内に設けられるミラー本体に、前記ミラー本体の前記車両を運転する運転者に対向する面に光線を透過及び反射するハーフミラーと、前記ミラー本体の前記ハーフミラーを設けた面とは反対側の面に光線を透過する透過部材と、前記ミラー本体に前記ハーフミラーと前記透過部材を透過した光線を撮像する撮像手段とを設けたことを特徴とするルームミラー型撮像装置。
【請求項2】
前記ハーフミラーを透過する前記光線を偏光する第1偏光部材を前記ハーフミラーに設け、前記第1偏光部材の偏光方向と異なる角度に偏光する第2偏光部材を前記透過部材に設けたことを特徴とする請求項1に記載のルームミラー型撮像装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、前記ハーフミラーと前記透過部材を透過した前記光線を入射する入射部と前記入射した光線を反射させる回転対称形状の反射部とを有する中実な透明性材料からなる光学部材と、前記反射部で反射された前記光線を撮像する撮像素子とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のルームミラー型撮像装置。
【請求項4】
前記光学部材は、前記反射部の頂部に細長形状の穴部を備え、前記穴部の少なくとも一部を遮光層で覆ったことを特徴とする請求項3に記載のルームミラー型撮像装置。
【請求項5】
前記反射部を、誘電体材料からなる反射層で覆ったことを特徴とする請求項3または4に記載のルームミラー型撮像装置。
【請求項6】
前記撮像手段は、前記ミラー本体内部に配置され、少なくとも仰角10度から俯角60度までの範囲で、360度を撮像することを特徴とする請求項1または3に記載のルームミラー型撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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