説明

レゾルバステータ構造

【課題】レゾルバのステータを回転電機に組付ける時の挿入性を改善し、組立作業性を向上させたレゾルバステータ構造を得る。
【解決手段】径方向内側に突出した複数のティース3aを有する環状のステータコア3と、円環部4a,5aの内側に各ティース3aを絶縁するティース絶縁部4b,5bを有しステータコア3を両面から挟持する一対の絶縁部材4,5と、ティース絶縁部4b,5bを介して各ティース3aに巻回されたステータコイル6とを備え、一対の絶縁部材4,5のうち、回転電機に組み込まれたとき回転電機の内部側となる絶縁部材5には、円環部5aの外径側に、ステータコア3との接触面からステータコア3の軸方向に離れるに従って内径側に傾斜する傾斜面を持つ挿入ガイド部5cを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転電機の回転を検出する回転検出器(以下、レゾルバという)に関し、特に、そのステータ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のレゾルバのステータ構造としては、例えば、全体形状が輪状をなし内方へ向けて突出する複数の磁極を有するステータ体と、ステータ体の両端面に設けられた一対の絶縁部材と、その絶縁部材を介してステータ体の磁極に巻回されたステータ巻線とを備え、一方の絶縁部材には、コネクタピンを有するコネクタ部が、径方向外側に突出して絶縁部材と一体に形成されており、コネクタ部は、傾斜面と空間部を介してステータ体からオーバーハング状に離間させて構成されたものが知られている。この構成により、レゾルバをモータ等へ組込む際に十分な取付スペースが確保でき、ステータ体を確実かつ容易に組み込むことができるようにしたものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−344107号公報(第2−3頁、図1−2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レゾルバのステータ部は、検知対象の回転電機に対して、高い同軸度を確保して取り付ける必要がある。このため、ステータ体の外周側を、回転電機のブラケット等に嵌め合わせて組付ける構成が取られる場合があるが、特許文献1に示すような従来のレゾルバステータ構造では、ステータ部を回転電機のブラケット等に嵌め合わせて組付けようとすれば、挿入性が悪く作業に多くの時間を要するという問題点があった。
【0005】
この発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、レゾルバのステータを回転電機に組付ける時の挿入性を改善し、組立作業性を向上させたレゾルバステータ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るレゾルバステータ構造は、径方向内側に突出した複数のティースを有する環状のステータコアと、円環部の内側にティースを絶縁するティース絶縁部を有しステータコアを両面から挟持する一対の絶縁部材と、ティース絶縁部を介してティースに巻回されたステータコイルとを備え、一対の絶縁部材のうち、回転電機に組み込まれたとき回転電機の内部側となる絶縁部材には、円環部の外径側に、ステータコアとの接触面からステータコアの軸方向に離れるに従って内径側に傾斜する傾斜面を持つ挿入ガイド部が形成されているものである。
【0007】
また、一対の絶縁部材のうち、回転電機に組み込まれたとき回転電機の内部側となる絶縁部材には、ティース絶縁部の内径側に、ステータコアとの接触面からステータコアの軸方向に離れる従って外径側に傾斜する傾斜面を持つ内側ガイド部が形成されているものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明のレゾルバステータ構造によれば、回転電機に組み込まれたとき回転電機の内部側となる絶縁部材には、円環部の外径側に、ステータコアとの接触面からステータコアの軸方向に離れるに従って内径側に傾斜する傾斜面を持つ挿入ガイド部を設けたので、レゾルバステータを回転電機のブラケットに組付けるとき、挿入ガイド部がブラケットの取付穴へ誘われるため、レゾルバを挿入し易くなり組立作業が容易になる。このため、生産効率の向上を図ることができる。
【0009】
また、回転電機に組み込まれたとき回転電機の内部側となる絶縁部材には、ティース絶縁部の内径側に、ステータコアとの接触面からステータコアの軸方向に離れる従って外径側に傾斜する傾斜面を持つ内側ガイド部を設けたので、回転電機への組み込み時に、レゾルバロータとレゾルバステータコアのティースとの干渉がなくなって挿入が容易となり、組立性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1によるレゾルバステータ構造を用いたレゾルバを示す正面図である。
【図2】図1の側面断面図である。
【図3】図2の矢印A−Aから見た断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1によるレゾルバステータ構造を、回転電機のブラケットに組付けた状態を示す側面断面図である。
【図5】この発明の実施の形態2によるレゾルバステータ構造を示す背面図である。
【図6】この発明の実施の形態2によるレゾルバステータ構造の他の例を示す背面図である。
【図7】この発明の実施の形態3によるレゾルバステータ構造を示す背面図である。
【図8】図7の矢印B−Bから見た側面断面図である。
【図9】この発明の実施の形態4によるレゾルバステータ構造を示す背面図である。
【図10】図9の矢印C−Cから見た側面断面図である。
【図11】この発明の実施の形態4によるレゾルバステータ構造の他の例を示す背面図である。
【図12】図11の矢印D−Dから見た側面断面図である。
【図13】この発明の実施の形態5によるレゾルバステータ構造を回転電機のリヤブラケットに組付けた状態を示す側面断面図である。
【図14】図13の回転電機のリヤブラケットにおいて、ドライバアセンブリを組付ける前の状態を示す側面断面図である。
【図15】図13の回転電機の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図に基づいて説明する。図1は、実施形態1によるレゾルバステータ構造を用いたレゾルバの正面図、図2は図1の側面断面図、図3は図2の矢印A−Aから見た断面図である。但し、レゾルバロータは省略している。また、図4は、実施の形態1のレゾルバステータ構造を用いたレゾルバを回転電機のブラケットに組付けた状態を示す側面断面図である。
【0012】
先ず、図1〜3により、レゾルバ構造について説明する。レゾルバは、複数の珪素鋼板が積層されて構成されたレゾルバロータ1と、このレゾルバロータ1と同軸でレゾルバロータ1の外周側に配置されるレゾルバステータ2とから構成される。
レゾルバステータ2は、複数の薄板状の珪素鋼板の積層体から成り、径方向内側へ向かって突出した複数のティース3aを有する環状のステータコア3を備えている。このステータコア3の両面から挟むように、樹脂材料から成る一対の絶縁部材4,5が設けられている。絶縁部材4,5は、ステータコア3の環状部を挟む円環部4a,5aと、その内側にあって各ティース3aに対応し各ティース3aを覆って絶縁するティース絶縁部4b、5bとから成っている。そして、各ティース3aには、ティース絶縁部4b、5bを介してステータコイル6が巻回されている。
【0013】
一対の絶縁部材4,5のうち、絶縁部材4は、回転電機に組み込まれたとき回転電機の外部側となり、絶縁部材5は、内部側すなわちブラケットに挿入される側となる。外部側となる絶縁部材4は、円環部4aの一部が径方向外側の2方に延びており、そのうちの一方はターミナル保持部4cとなっている。ターミナル保持部4cにはターミナル7がインサート成形されており、図1に示すように、ステータコイル6から引き出された引出線6aが、ターミナル7のターミナルピン7aに接続されている。
【0014】
絶縁部材5側は、図2に示すように、絶縁部材5の円環部5aの外径側に、ステータコア3との接触面からステータコア3の中心軸の軸方向すなわち軸線に平行方向に向けて離れるに従って内径側に傾斜する傾斜面を持つ挿入ガイド部5cが、全周に亘って形成されており、この部分が本願発明の特徴部である。挿入ガイド部5cのステータコア3との接触面側の外径は、ステータコア3の外径とほぼ同じとしている。
上記までの説明のうち、レゾルバロータ1を除く部分が、本願のレゾルバステータである。なお、絶縁部材4側のターミナル保持部4c等の形状は一例を示すものであり、図に限定するものではない。
【0015】
次に、レゾルバが回転電機に組付けられた状態を図4により説明する。回転電機は、例えばモータであり、そのリヤブラケット11にレゾルバを組み付ける場合を例に挙げて説明する。
モータの回転軸12のリヤブラケット11側の端部に、回転軸12と同軸に、先に説明したレゾルバロータ1が取り付けられ、レゾルバステータ2は、ティース3aをレゾルバロータ1外周側と対向させて、リヤブラケット11の外側から、回転軸12と同軸に取付られる。このため、リヤブラケット11の中心部には、レゾルバステータ2のステータコア3が嵌合するように、ステータコア3の外径と略同じ内径の凹部11aが回転軸12と同軸に形成されている。
【0016】
先に説明したように、ステータコア3を挟んで設けられた絶縁部材4,5のうち、リヤブラケット11の凹部11aへ挿入される側の絶縁部材5には、その外周面に挿入ガイド部5cが形成されているので、レゾルバステータ2を凹部11aに挿入するとき、挿入ガイド部5cにガイドされて、容易に挿入することができる。
レゾルバがモータに組み込まれた図4の状態では、レゾルバロータ1の外周側とステータコイル6が巻回されティース3aとが微小ギャップで対向している。モータの回転軸12が回転すると、回転に伴うレゾルバロータ1とレゾルバステータ2とのエアギャップ間のギァップパーミアンスの変化により、レゾルバステータ2に発生する出力電圧にもとづき、回転軸12に固着されている図示しない回転子の磁極位置を検出することができる。
【0017】
以上のように、実施の形態1のレゾルバステータ構造によれば、径方向内側に突出した複数のティースを有する環状のステータコアと、円環部の内側にティースを絶縁するティース絶縁部を有しステータコアを両面から挟持する一対の絶縁部材と、ティース絶縁部を介してティースに巻回されたステータコイルとを備え、一対の絶縁部材のうち、回転電機に組み込まれたとき回転電機の内部側となる絶縁部材には、円環部の外径側に、ステータコアとの接触面からステータコアの軸方向に離れるに従って内径側に傾斜する傾斜面を持つ挿入ガイド部が形成されているので、レゾルバステータを回転電機のブラケットに組付けるとき、挿入ガイド部がブラケットの取付穴へ誘われるため、レゾルバを挿入し易くなり組立作業が容易になる。このため、生産効率の向上を図ることができる。
また、レゾルバコア外径とリヤブラケットの嵌合穴の嵌め合い公差を小さくできるので、レゾルバの取付け精度が向上するため、角度検出精度が向上する。
【0018】
実施の形態2.
図5は実施の形態2によるレゾルバステータ構造を示す背面図である。実施の形態1の図1は正面図であったが、図5は図1の裏側から見たものに相当する。実施の形態1の構成要素と同等部分は同一符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
相違点は、絶縁部材に設けた挿入ガイド部の形状である。実施の形態1では、挿入ガイド部5cは、絶縁部材5の円環部5aの外径側の全周に形成されていたが、本実施の形態では、部分的に形成したものである。
【0019】
図5に示すように、本実施の形態の絶縁部材5には、挿入ガイド部5dを部分的に設けている。挿入ガイド部5dの幅はティース3aの幅と同程度とし、絶縁部材5の円環部5aの円周方向に略均等に、少なくとも3箇所設けるものとする。挿入ガイド部5dの側面から見た断面形状は、実施の形態1の図2に示す挿入ガイド部5cと同様である。すなわち、ステータコイル3の面と接触する一番大きい外径側は、ほぼステータコイル3の外径に合わせ、接触面からステータコア3の軸方向に離れるに従って内径側に傾斜する傾斜面を有している。
挿入ガイド部5dを部分的に設けることで、挿入ガイド部5d以外の部分でステータコア3の円環部が露出するので、この面を、例えば組立時に治具に固定する場合の当たり面として利用できる。
【0020】
次に、図5の変形例について説明する。図6は、図5の変形例であり、図5と同様にレゾルバステータの背面図である。
図5との相違点は、絶縁部材5に設ける挿入ガイド部5dの個数である。図6に示すように、挿入ガイド部5dの個数はステータコア3のティース3aと同数とし、ティース3aと対応する位置に設けている。個々の挿入ガイド部5dの形状は、図5のものと同等である。
【0021】
以上のように、実施の形態2のレゾルバステータ構造によれば、挿入ガイド部は、円環部の外周方向に部分的に設けられ、3箇所以上が略等間隔に配置されているので、ステータコアの当たり面を確保でき、治具に固定する場合等で加圧により確実に固定できる。
また部分的に挿入ガイド部を設けているので、絶縁部材の材料費が削減できコスト低減できる。
更に、レゾルバステータが組付けられるブラケットの取付部に、挿入ガイド部の位置を避けて補強リブを設けることができるので、ブラケット強度を上げることができる。
【0022】
また、挿入ガイド部は、ステータコアのティースに対応する位置に、ティースと同数だけ配置したので、ステータコアに絶縁部材を組付けるとき、挿入ガイド部の位置を気にする必要がなく、絶縁部材の組付けが容易となる。
【0023】
実施の形態3.
図7は、実施の形態3によるレゾルバステータ構造を示す背面図であり、図8は、図7の矢印B−Bから見た側面断面図である。実施の形態2の構成要素と同等部分は同一符号を付して説明は省略して、相違点を中心に説明する。相違点は絶縁部材に設けた挿入ガイド部の形状である。
【0024】
図8に示すように、挿入ガイド部が形成される絶縁部材5側の円環部5aの外径を、ステータコア3の外径より小さくしておき、挿入ガイド部5eは、ステータコア3との接触面側をステータコア3の外径と略同じとし、接触面からステータコア3の軸方向に離れるに従って内径側に傾斜する傾斜面を有し、接触面と反対側の先端部は、絶縁部材5の円環部5aの面より更に軸方向に突出させて形成されている。つまり、挿入ガイド部5eの軸方向の厚さは、円環部5aの軸方向の厚さより厚くしている。なお、円環部5aの厚さは、ステータコイル6の外径寸法から、必然的に必要寸法が決められる。
挿入ガイド部5eの個数は、実施の形態2と同様に、外周方向に部分的に複数個(図6では6個)設けられており、少なくとも3個以上あれば良く、ティース3aと同数としても良い。
【0025】
以上のように、実施の形態3のレゾルバステータ構造によれば、挿入ガイド部の軸方向の先端部は、挿入ガイド部が形成された円環部の面より更に軸方向に突出しているので、回転電機のブラケット等に組付けるとき、挿入時にいち早く挿入ガイド部の先端部でガイドされ、実施の形態1,2のものに比べ、より挿入性が向上する。
【0026】
実施の形態4.
図9は、実施の形態4によるレゾルバステータ構造を示す背面図であり、図10は、図9を矢印C−Cから見た側面断面図である。実施の形態1の構成要素と同等部分には同一符号を付して説明は省略し、相違点を中心に説明する。実施の形態1〜3までは、絶縁部材5の外周側に挿入ガイド部を設けたものであったが、本実施の形態では、ガイド部を絶縁部材5の内径側に設けたものである。
【0027】
図9及び図10に示すように、レゾルバを回転電機に組み込んだとき、回転電機の内部側となる絶縁部材5は、そのティース絶縁部5bの最内径側すなわち軸線に近い側の寸法を、ステータコア3のティース3aの内径dと略同じにし、ステータコア3との接触面からステータコア3の軸方向に離れるに従って外径側に傾斜する傾斜面を持つ内側ガイド部5fを絶縁部材5のティース絶縁部5bと一体に形成したものである。ティース絶縁部5bは、ステータコイル6の巻枠を兼ねているので、内径側の軸方向の突起寸法は、少なくともステータコイル6の外径をカバーする寸法となっている。
このように絶縁部材5の内径側に内側ガイド部5fを設けることにより、組立時にレゾルバロータ1とレゾルバステータコア3のティース3aとが干渉することなく、挿入し易くなり、生産効率が向上する。
【0028】
次に、変形例を図11,12により説明する。図11,図12は上記で説明した図9,10に対応する図である。図9,10との相違点は、内側ガイド部の軸方向への突起寸法である。
図9,10の場合は、内側ガイド部5fの軸方向の寸法は、ステータコイル6の巻枠として必要なティース絶縁部5bの寸法に合わせたが、図11,図12の内側ガイド部5gは、その軸方向の先端を、ステータコア3との接触面から離れる方向へ、更に突出させたものである。すなわち、図12に示すように、内側ガイド部5gの先端は、ステータコイル6の外径より例えば数mm程度だけ軸方向へ突出させている。このような形状とすることにより、組立時にレゾルバロータ1とステータコア3のティース3aが干渉することなく、更に挿入作業が容易となる。
【0029】
なお、実施の形態1〜3で説明した挿入ガイド部と、本実施の形態の内側ガイド部とを組み合わせて設けても良い。そうすればブラケットへの組み付けを容易にし、かつ、レゾルバロータの干渉をなくして挿入作業が容易となる。
【0030】
以上のように実施の形態4によるレゾルバステータ構造によれば、径方向内側に突出した複数のティースを有する環状のステータコアと、円環部の内側にティースを絶縁するティース絶縁部を有しステータコアを両面から挟持する一対の絶縁部材と、ティース絶縁部を介してティースに巻回されたステータコイルとを備え、一対の絶縁部材のうち、回転電機に組み込まれたとき回転電機の内部側となる絶縁部材には、ティース絶縁部の内径側に、ステータコアとの接触面からステータコアの軸方向に離れる従って外径側に傾斜する傾斜面を持つ内側ガイド部を形成したので、回転電機への組み込み時に、レゾルバロータとレゾルバステータコアのティースとの干渉がなくなって挿入し易くなり、組立性が向上する。
【0031】
また、内側ガイド部の軸線方向の先端部は、内側ガイド部が形成されたティース絶縁部の軸方向の先端より更に軸方向に突出しているので、回転電機への組み込み時に、いち早く内側ガイド部の先端部でガイドが行われてより挿入性が向上する。
また、レゾルバロータとレゾルバステータコアのティースとの干渉を防いで、ステータコイルを傷つけることなく安全に組み立てることができ、組立の信頼性が向上する。
【0032】
実施の形態5.
次に、実施の形態5によるレゾルバステータ構造を図に基づいて説明する。図13は実施の形態5のレゾルバステータ構造を組み付けた回転電機のリヤ部を示す部分断面図であり、図14は図13のリヤブラケットに回転電機のドライバアセンブリを組付ける前の状態を示した断面図、図15は回転電機のリヤ視図である。ただし、実施の形態1〜4の構成要素と同等部分には同一符号を付して、説明は省略する。レゾルバステータ構造は、実施の形態1〜4で説明した構成のいずれか又はそれらの組み合わせを利用するものである。
【0033】
図13の回転電機は、例えば、車両用回転電機の場合を示している。界磁巻線が巻かれた回転子13と、その外周側に配置された固定子(図示せず)と、これら回転子13と固定子を収容するケースとなるフロントブラケット(図示せず)及びリヤブラケット11と、電力を供給するための回路部で構成されている電子モジュール14と、電子モジュール14を制御するドライバアセンブリ15と、を備えて構成されている。
以下、図13,14によりリヤ部をもう少し詳しく説明する。
【0034】
回転子13の中心に固定された回転軸12は、両端部がそれぞれ軸受16を介してリヤブラケット11と図示しないフロントブラケットとに回転自在に支持されている。回転軸12のリヤ側には、2個のスリップリング17が組付けられている。リヤブラケット11の内部側には、スリップリング17に摺接するブラシ18がブラシホルダ18aに保持されて設けられている。そして、回転子13のリヤ側先端部に、レゾルバロータ1が固着されている。
【0035】
電子モジュール14は、その内部に電力を供給するための回路部14aがヒートシンク19の同一平面に接合されて収容され、ヒートシンク19の裏面側には冷却フィン19aが設けられている。回路部14aには信号端子がインサート成形されており、信号端子はリヤブラケット11の外部にある制御基板15dに接続する必要があるので、電子モジュール14内に分散配置されている信号端子を中継基板20に集約して、Fコネクタ21を用いて制御基板15d側と接続される。電子モジュール14のケース内は樹脂14bで封止されており、これらで電子モジュール14が構成されている。
【0036】
次に、図14により、ドライバアセンブリ15を組立手順に従って説明する。まず、ドライバケース15aの中心部に、実施の形態1〜4で説明したレゾルバステータ2を、嵌合や接着により一体的に装着する。レゾルバステータ2の信号線を、ドライバケース15aにインサート成形されているターミナル15bと溶接または半田付けにより接続する。回転電機に組み込まれたとき外部側となるリヤ側からカバー22で塞ぐ。そして、カバー22の更にリヤ側に、電子モジュール14を制御するマイコン15cが搭載された制御基板15dを収納し、ターミナル15bと接続すると共に、電子モジュール14側と接続されるMコネクタ15eと接続した後、ドライバケース15a内に樹脂15fを充填する。これらでドライバアセンブリ15が構成されている。
【0037】
ドライバアセンブリ15の回転電機への取付は、ドライバアセンブリ15をリヤブラケット11の外部側から矢印方向に挿入する。これにより、ドライバケース15aに一体成形されたMコネクタ15eと電子モジュール14に設けられたFコネクタ21が、リヤブラケット11に設けられた穴部を通しリヤブラケット11を挟んで接続される。これと同時に、レゾルバステータ2がリヤブラケット11の中心部の凹部に挿入される。接続を確認後、ドライバアセンブリ15をリヤブラケット11にボルト締め等で固定する。
この取付作業は、リヤブラケット11の嵌合穴、特に、中心部のレゾルバステータ2との嵌合凹部がドライバアセンブリ15で隠れて見えない状態での作業となるが、レゾルバステータ2には、実施の形態1〜4で説明したような挿入ガイド部または内側ガイド部またはそれら両方が設けられているので、容易に挿入することが可能である。
なお、レゾルバステータ部がドライバアセンブリのドライバケースに組み込まれている部分以外の細部の構成は、図に限定するものではない。
【0038】
以上のように、実施の形態5によるレゾルバステータ構造によれば、実施形態1〜4で説明したレゾルバステータ構造が、回転電機の電子モジュールを制御するドライバアセンブリのドライバケースに組み込まれて、回転電機のブラケットに取り付けられているので、ドライバ部と一体でコンパクト化しながら、ドライバアセンブリの取付において、レゾルバステータが挿入されるリヤブラケットの嵌合部が見えない状態でも、簡単に挿入できるため、取付作業が容易になる。
【符号の説明】
【0039】
1 レゾルバロータ 2 レゾルバステータ
3 ステータコア 3a ティース
4 絶縁部材 4a 円環部
4b ティース絶縁部 4c ターミナル保持部
5 絶縁部材 5a 円環部
5b ティース絶縁部 5c,5d,5e 挿入ガイド部
5f,5g 内側ガイド部 6 ステータコイル
6a 引き出し線 7 ターミナル
7a ターミナルピン
11 リヤブラケット 11a 凹部
12 回転軸 13 回転子
14 電子モジュール 14a 回路部
14b 樹脂 15 ドライバアセンブリ
15a ドライバケース 15b ターミナル
15c マイコン 15d 制御基板
15e Mコネクタ 15f 樹脂
16 軸受 17 スリップリング
18 ブラシ 18a ブラシホルダ
19 ヒートシンク 19a 冷却フィン
20 中継基板 21 Fコネクタ
22 カバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向内側に突出した複数のティースを有する環状のステータコアと、
円環部の内側に前記ティースを絶縁するティース絶縁部を有し前記ステータコアを両面から挟持する一対の絶縁部材と、
前記ティース絶縁部を介して前記ティースに巻回されたステータコイルとを備え、
前記一対の絶縁部材のうち、回転電機に組み込まれたとき前記回転電機の内部側となる絶縁部材には、前記円環部の外径側に、前記ステータコアとの接触面から前記ステータコアの軸方向に離れるに従って内径側に傾斜する傾斜面を持つ挿入ガイド部が形成されていることを特徴とするレゾルバステータ構造。
【請求項2】
請求項1記載のレゾルバステータ構造において、
前記挿入ガイド部は、前記円環部の外周方向に部分的に設けられ、3箇所以上が略等間隔に配置されていることを特徴とするレゾルバステータ構造。
【請求項3】
請求項2記載のレゾルバステータ構造において、
前記挿入ガイド部は、前記ティースに対応する位置に、前記ティースと同数だけ配置されていることを特徴とするレゾルバステータ構造。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のレゾルバステータ構造において、
前記挿入ガイド部の前記軸方向の先端部は、前記挿入ガイド部が形成された前記円環部の面より更に前記軸方向に突出していることを特徴とするレゾルバステータ構造。
【請求項5】
径方向内側に突出した複数のティースを有する環状のステータコアと、
円環部の内側に前記ティースを絶縁するティース絶縁部を有し前記ステータコアを両面から挟持する一対の絶縁部材と、
前記ティース絶縁部を介して前記ティースに巻回されたステータコイルとを備え、
前記一対の絶縁部材のうち、回転電機に組み込まれたとき前記回転電機の内部側となる絶縁部材には、前記ティース絶縁部の内径側に、前記ステータコアとの接触面から前記ステータコアの軸方向に離れる従って外径側に傾斜する傾斜面を持つ内側ガイド部が形成されていることを特徴とするレゾルバステータ構造。
【請求項6】
請求項5記載のレゾルバステータ構造において、
前記内側ガイド部の前記軸方向の先端部は、前記内側ガイド部が形成された前記ティース絶縁部の前記軸方向の先端より更に前記軸方向に突出していることを特徴とするレゾルバステータ構造。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のレゾルバステータ構造において、
前記レゾルバステータは、回転電機の電子モジュールを制御するドライバアセンブリのドライバケースに組み込まれて、前記回転電機のブラケットに取り付けられることを特徴とするレゾルバステータ構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2013−74725(P2013−74725A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211985(P2011−211985)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】