説明

レトルト後塗膜密着性に優れたスズめっき鋼板の製造方法

【課題】レトルト後塗膜密着性に優れたスズめっき鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】冷延鋼板に、スズめっき、リフロー処理、および、化成処理を施す缶用スズめっき鋼板の製造方法であって、スズめっき工程において、鋼板の缶内面となる側に1.5〜13.0g/mのスズめっきを施し、リフロー工程において、水蒸気濃度が0〜40g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、重クロム酸ナトリム水溶液中に0.5〜4.0秒無電解で浸漬した後、重クロム酸ナトリム水溶液中で0.8〜6.5C/dm2の通電量で陰極電解による化成処理を行う。さらに好ましくは、リフロー工程において、スズめっきの溶融時間が0.1〜0.7秒となるリフロー処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装等の樹脂被覆をして食缶に用いられるスズめっき鋼板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スズめっき鋼板は金属缶用素材として広く使用されている。内容物が果実の場合には、缶内面は無塗装で使用されることがあるが、その他の内容物では、塗装等の樹脂被覆をして使用されることが一般的である。缶の内容物としては様々なものが充填されることになる。炭酸飲料や果汁飲料及び果実などの酸性食品を除くと、ほとんどの内容物が充填後にレトルト殺菌される。そのため、素材のスズめっき鋼板には高温湿潤環境下での塗膜密着性が要求される。特に、内面側に関しては、内容物が多岐にわたり、内容物によって塗膜の密着性を低下させるメカニズムも異なる。内容物毎に、スズめっき鋼板素材を準備するよりも、幅広い内容物に対してレトルト後の塗膜密着性を確保できる素材が望まれる。また、スズめっき鋼板素材は船舶での高温域の輸送あるいは倉庫での長期保管もあり、経時後においてもレトルト後の塗膜密着性を確保できることが要求される。
【0003】
湿潤下での経時塗料密着性に優れたスズめっき鋼板の製造法については従来から種々の提案がなされており、例えば下記特許文献1において、リフロー工程後のアルカリ性溶液での清浄化処理工程あるいはニッケルイオンを含む強酸での清浄化処理工程の提案がなされており、レトルト後の塗膜密着性を確保することは可能であるが、従来のスズめっき鋼板設備においては、清浄化処理工程を設備に組み込むには大幅な設備改造が必要であり、現実的ではない。
【0004】
また、下記特許文献2において、スズめっき鋼板の酸化錫を斜方晶のSnOにする方法が提案されており、スマッジ性や1次密着性を確保することは可能であるが、この方法でも2次密着性に関しては十分な密着性を確保することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−11483号公報
【特許文献2】特開昭54−142135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述した従来技術の問題点を解決し、大きな設備改造を行うことなく、レトルト後塗膜密着性に優れたスズめっき鋼板の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、スズめっき後のリフロー処理条件と化成処理条件に関して、種々の検討を行い、本発明に至ったものであり、その要旨とするところは特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
(1)冷延鋼板に、スズめっき、リフロー処理、および、化成処理を施す缶用スズめっき鋼板の製造方法であって、スズめっき工程において、鋼板の缶内面となる側に1.5〜13.0g/mのスズめっきを施し、リフロー工程において、水蒸気濃度が0〜40g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、
重クロム酸ナトリム水溶液中に0.5〜4.0秒無電解で浸漬した後、重クロム酸ナトリム水溶液中で0.8〜6.5C/dm2の通電量で陰極電解による化成処理を行うことを特徴とするレトルト密着性に優れるスズめっき鋼板の製造方法。
(2)前記リフロー工程において、スズめっきの溶融時間が0.1〜0.7秒となるリフロー処理を行うことを特徴とする(1)に記載のレトルト密着性に優れるスズめっき鋼板の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スズめっき後のリフロー条件の制御および化成処理液中での無電解浸漬時間の確保との組合せにより、従来のスズめっき鋼板では安定して得られなかったレトルト密着性に優れるスズめっき鋼板を大きな設備変更など多大な費用をかけることなく安価に製造することが可能になり、産業上有用な著しい効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について、詳細に説明する。
まず、冷延鋼板をスズめっきの前処理としてアルカリ水溶液中で電解脱脂し、次いで酸洗を行い、電気スズめっきを行う。めっき浴としては公知のスズめっき浴、フェノールスルホン浴、硫酸浴、メタンスルホン酸浴、ハロゲン浴、アルカリ浴等を用いることができる。スズめっきの付着量は少なくとも缶内面となる側は1.5〜13.0g/mとするが、これは、スズ付着量1.5g/m未満では、鋼板の表面を錫が完全に被覆しておらず、鉄が露出した状態となり、鉄が酢酸に溶解し易いことから、酢酸系溶液で加熱殺菌するレトルト後の塗膜密着性が不安定になり易くなるうえ、錫の犠牲防食期間が短くなることから耐食性が不十分となるためである。また、スズめっきの付着量13.0g/m超では耐食性は十分満足できるようになり、スズ目付け量の効果は飽和し、コスト的な不利を招くためである。更には、 2.0〜4.0g/m2の範囲のスズ付着量が好ましい。
【0010】
次に、めっきされたスズを加熱して溶解するリフロー処理を行う。このリフロー処理によって、電気めっきされたスズは光沢ない外観から光沢外観へと変わる。同時に、スズの一部は地鉄と反応して耐食性に有効な錫鉄合金層を形成する。
【0011】
一方で、スズめっきの表面では酸化錫が生成される。ここで生成される酸化錫にはSnOとSnOとの2種類がある。なお、リフローの加熱方法は通電加熱または誘導加熱あるいは通電加熱と誘導加熱の併用で行う方法が、温度制御の面から望ましい。
【0012】
本発明者等は、この酸化錫をリフロー処理工程と化成処理工程とにおいて制御することにより、大きな設備改造を行うことなくレトルト後の塗膜密着性を大きく改善できるとの知見を得て、本発明に至ったものである。
【0013】
即ち、めっきされたスズを溶融させるリフロー工程において、水蒸気濃度が0〜40g/m3以下の雰囲気でリフロー処理を行い、次の化成処理工程での重クロム酸ナトリム水溶液中での陰極電解処理の前に重クロム酸ナトリム水溶液中で無電解の浸漬時間を0.5〜4.0秒確保することとの組合せが本発明の最も重要な点である。
【0014】
リフロー処理での雰囲気の水蒸気濃度が40g/m3超ではリフロー処理後のスズ表面に生成する酸化錫のうち、酢酸系溶液でのレトルト後の塗膜密着性を低下させるSnOが増加するためである。好ましくは水蒸気濃度の上限は30g/m3である。水蒸気濃度が低い程、SnOの生成が少なく、酢酸系溶液でのレトルト後の塗膜密着性は良好となる。
【0015】
化成処理工程の第1段階において、重クロム酸ナトリム水溶液中に無電解での浸漬時間を0.5秒未満とすると、酢酸系溶液でのレトルト後の塗膜密着性が大幅に低下する。この理由は明確ではないが、重クロム酸ナトリム水溶液中に無電解で浸漬することによって、リフロー処理工程で生成したSnOが溶解するが、浸漬時間が短いとSnOの溶解が不十分となり、酢酸系溶液でのレトルト後の塗膜密着性が大幅に低下するものと推定される。また、重クロム酸ナトリム水溶液中に無電解での浸漬時間が4.0秒を超えると、SnOは十分に溶解すると推測され、酢酸系溶液でのレトルト後の塗膜密着性は十分なものとなるが、4.0秒超の浸漬時間を確保するためには生産速度を大幅に低下させるか、または、化成処理の工程を長くするための設備レイアウトの変更が必要になり、新設設備でも化成処理セクションが大きくなり高設備投資が必要となるため好ましくない。このため、重クロム酸ナトリム水溶液中に無電解での浸漬時間は0.5〜4.0秒とし、更に好ましくは、0.7〜2.0秒の範囲である。
【0016】
リフロー処理工程にて、スズを溶融させる時間が0.1秒未満では、耐食性に有効な錫鉄合金層の形成が鋼板の幅方向、あるいは長手方法で不均一となる場合があり、またスズが溶融した後の光沢のある外観が、均一に得られないなどの問題を起こす。一方、スズを溶融させる時間が0.7秒超では、酸化錫が増加する。当然SnOも増加することになり、酢酸系溶液でのレトルト後の塗膜密着性を低下させることになる。このため、リフロー処理工程にて、スズを溶融させる時間は0.1〜0.7秒の範囲が好ましい。
【0017】
次に重要な点は、化成処理工程の第2段階における重クロム酸ナトリム水溶液中での陰極電解の通電量である。通電量は0.8〜6.5C/dmである。0.8C/dm未満では、経時によって黄変と呼ばれるスズめっき鋼板の変色が発生することがあり、6.5C/dm超では化成処理皮膜の効果が飽和するとともに、過剰な化成処理皮膜により腐食が一点に集中して、缶体の穿孔腐食に至る危険がある。更に好ましくは0.8〜4.0C/dmの範囲が好ましい。
【0018】
化成処理工程の第2段階における重クロム酸ナトリム水溶液中での陰極電流密度は0.2〜10.0/dmの範囲が望ましい。電流密度の影響が顕著に現れるのは、経時後である。スズめっき鋼板は赤道域を輸送、あるいは使用されるまで長期間倉庫で保管されることがあり、この点も考慮する必要がある。陰極電流密度が0.2A/dm未満では経時後に塗装した場合の酢酸系溶液でのレトルト後の塗膜密着性が大幅に低下し、また、陰極電流密度が10A/dm超でも同様に、経時後に塗装した場合の酢酸系溶液でのレトルト後の塗膜密着性が大幅に低下する。この理由は、陰極電流密度が0.2A/dm未満では化成処理皮膜が不均一となり、経時によりスズめっき鋼板表面のSnOが成長するためではないかと推定される。また、陰極電流密度が10A/dm超では化成処理皮膜の被覆は均一となるが、酢酸系溶液で加熱殺菌するレトルト後の塗膜密着性が低下する。その理由に関しては現時点では不明である。更に好ましくは0.2〜5.0A/dmの範囲である。
【0019】
さらに、化成処理の浴温は40〜55℃の範囲が作業性、設備面からも望ましい。また、化成処理溶液である重クロム酸ナトリムの濃度についても20〜30g/Lの範囲が作業性、設備面から望ましい。
【0020】
化成処理液は電解時には液の抵抗発熱により、浴には熱量が加えられる方向であり、特に、夏期において浴温を40℃未満に制御するためには、冷却装置が必要になる。
【0021】
また、浴温が55℃超では浴からの水蒸気の蒸発量が多くなり、浴濃度管理の頻度を上げる必要があること、さらに、浴の腐食性が高くなるため、電解槽やタンクの材質も高耐食性の材質を使用する必要が生じる。
【実施例】
【0022】
以下に本発明例及び比較例、ならびに評価方法を述べる。
<発明例1>
0.20mm厚みの冷延鋼板を10%の水酸化ナトリウム水溶液で電解脱脂し、水洗し、10%塩酸水溶液中に浸漬酸洗、水洗した後、フェノールスルホン酸浴中で1.7g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.7A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.8A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は1.3C/dm2とした。
【0023】
<発明例2>
発明例1と同様の前処理を行い、メタンスルホン酸浴12.4g/m2スズめっきを施した。次いで、発明例1と同様の雰囲気で同様リフロー処理を行い、さらに、発明例1と同様の無電解の浸漬後、同様の陰極電解処理を行った。
【0024】
<発明例3>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.1g/m2スズめっきを施した。次いで、発明例1と同様の雰囲気で同様リフロー処理を行い、さらに、発明例1と同様の無電解の浸漬後、同様の陰極電解処理を行った。
【0025】
<発明例4>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で3.8g/m2スズめっきを施した。次いで、発明例1と同様の雰囲気で同様リフロー処理を行い、さらに、発明例1と同様の無電解の浸漬後、同様の陰極電解処理を行った。
【0026】
<発明例5>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度37g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。さらに、発明例1と同様の無電解の浸漬後、同様の陰極電解処理を行った。
【0027】
<発明例6>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度27g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。さらに、発明例1と同様の無電解の浸漬後、同様の陰極電解処理を行った。
【0028】
<発明例7>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.12秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.0秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.7A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度2.2A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は1.0C/dm2とした。
【0029】
<発明例8>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.68秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.7A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.8A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は2.2C/dm2とした。
【0030】
<発明例9>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で0.6秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.7A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.8A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は1.3C/dm2とした。
【0031】
<発明例10>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.65秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で3.7秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.8A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.1A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は1.9C/dm2とした。
【0032】
<発明例11>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で0.8秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.7A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.8A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は1.3C/dm2とした。
【0033】
<発明例12>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.65秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.8秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.7A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.8A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は2.2C/dm2とした。
【0034】
<発明例13>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度0.3A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.8A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は1.1C/dm2とした。
【0035】
<発明例14>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度9.0A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.8A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は1.6C/dm2とした。
【0036】
<発明例15>
発明例1と同様の前処理を行い、メタンスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度4.6A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.8A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は1.4C/dm2とした。
【0037】
<発明例16>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.7A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度0.3A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は2.2C/dm2とした。
【0038】
<発明例17>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.8A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度9.0A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は1.6C/dm2とした。
【0039】
<発明例18>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.7A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度4.6A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は3.0C/dm2とした。
【0040】
<発明例19>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.7A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.1A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は0.9C/dm2とした。
【0041】
<発明例20>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.65秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度4.5A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.7A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は6.2C/dm2とした。
【0042】
<発明例21>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.65秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.4A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.4A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は3.7C/dm2とした。
【0043】
<発明例22>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。次いで、42℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、42℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.7A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、42℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.8A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は1.3C/dm2とした。
【0044】
<発明例23>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。次いで、53℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、53℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.7A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、53℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.8A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は1.3C/dm2とした。
【0045】
<発明例24>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。次いで、50℃、22g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、50℃、22g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.7A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、22g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.8A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は1.3C/dm2とした。
【0046】
<発明例25>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。次いで、50℃、28g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、50℃、28g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.7A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、28g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.8A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は1.3C/dm2とした。
【0047】
<発明例26>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.0A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.8A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は1.3C/dm2とした。
【0048】
<発明例27>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度2.2A/dm2で陰極電解処理を行った。通電量は1.3C/dm2とした。
【0049】
<発明例28>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.08秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.7A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.8A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は0.9C/dm2とした。
【0050】
<発明例29>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.73秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.0A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.1A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は2.1C/dm2とした。
【0051】
<比較例1>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で1.2g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.7A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.8A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は1.3C/dm2とした。
【0052】
<比較例2>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度45g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.7A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.8A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は1.3C/dm2とした。
【0053】
<比較例3>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で0.3秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度3.7A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度1.8A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は1.3C/dm2とした。
【0054】
<比較例4>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度0.9A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度0.9A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は0.6C/dm2とした。
【0055】
<比較例5>
発明例1と同様の前処理を行い、フェノールスルホン酸浴中で2.6g/m2スズめっきを施した。次いで、水蒸気濃度25g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、スズを溶融し、80℃の温水中で急冷した。なお、スズの溶融時間0.42秒とした。次いで、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電階の状態で1.5秒浸漬し、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度4.2A/dm2で1段目の陰極電解処理をさらに、その後、50℃、25g/Lの重クロム酸ナトリウム水溶液中で電流密度4.2A/dm2で2段目の陰極電解処理を行った。通電量は6.9C/dm2とした。
【0056】
発明例1〜29、比較例1〜5で得られたスズめっき鋼板について、次に示す塗料密着性評価試験を行い、その結果を表1および表2に示した。
<評価方法>
(1)塗装及び成型
試料表面にエポキシフェノール塗料を8g/m塗布し、204℃で10分間加熱した後、室温まで冷却した。さらに、8時間以上室温で保管したのち、塗装面を缶内面となるようにφ200のEND(缶蓋)を成型した。
(2)レトルト密着性
成型したEND(缶蓋)は4種の水溶液に浸漬して120℃で90分のレトルトを行い、レトルト終了後、直ちに水洗、クロスカット、テープ剥離試験を行った。
クロスカットは3mmピッチで100マスの碁盤目を形成し、テープ剥離試験で剥離面積により、10段階(剥離無しを10点、100%剥離したものを1点)の密着性評価を行った。4種の浸漬液での試験で、全て密着性7点以上を合格とした。
浸漬液は以下の4種とした。
A:3%酢酸+2%NaCl
B:1.1%乳酸
C:2%クエン酸+0.4%アスコルビン酸
D:0.056%システインHCl+0.4%KHPO+0.81%NaHPO
(3)経時試験
作成したスズめっき鋼板を、50℃で湿度90%RHの条件で防錆紙に梱包し、同条件で7日間貯蔵したのち、前記(1)および(2)と同じ条件でレトルト密着性の評価を行った。
【0057】
発明例1〜29は、本発明の条件を満足するため、全て外観が良好であるうえ、経時処理を行わない場合、および、経時処理を行った場合の全てのケースにおいてA〜Dの浸漬液のいずれのケースにおいてもレトルト密着性評価結果が7点以上だった。
一方、比較例1は、スズめっき量が1.2g/m2であり発明範囲未満なので極僅か光沢が低く、浸漬液A、Dについてレトルト密着性評価結果が6点以下だった。
比較例2は、リフロー処理の雰囲気の水蒸気濃度が45g/m3であり発明範囲を超えているので、浸漬液Aの場合にレトルト密着性評価結果が6点以下だった。
比較例3は、重クロム酸ナトリウム水溶液中に無電解の状態での秒浸漬時間が0.3秒であり発明範囲未満なので、浸漬液Aについてレトルト密着性評価結果が6点以下だった。
比較例4は、化成処理の電解処理における通電量が0.6C/dmであり発明範囲未満なので、浸漬液Dについてレトルト密着性評価結果が6点以下だった。
比較例5は、化成処理の電解処理における通電量が6.9C/dmであり発明範囲を超えているので、経時処理後における浸漬液Aについてレトルト密着性評価結果が6点以下だった。
以上の実施例により、本発明の効果が確認された。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷延鋼板に、スズめっき、リフロー処理、および、化成処理を施す缶用スズめっき鋼板の製造方法であって、
スズめっき工程において、鋼板の缶内面となる側に1.5〜13.0g/mのスズめっきを施し、
リフロー工程において、水蒸気濃度が0〜40g/m3の雰囲気でリフロー処理を行い、
重クロム酸ナトリム水溶液中に0.5〜4.0秒無電解で浸漬した後、重クロム酸ナトリム水溶液中で0.8〜6.5C/dm2の通電量で陰極電解による化成処理を行うことを特徴とするレトルト密着性に優れるスズめっき鋼板の製造方法。
【請求項2】
前記リフロー工程において、スズめっきの溶融時間が0.1〜0.7秒となるリフロー処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のレトルト密着性に優れるスズめっき鋼板の製造方法。

【公開番号】特開2010−209435(P2010−209435A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58804(P2009−58804)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】